説明

不純物分離装置および燃料電池システム

【課題】動力を必要とせず、不純物としての微粒子及び気泡を効果的且つ経済的に除去して、例えば、自立型の燃料電池システムにおける水の循環回路に使用できる不純物分離装置およびこの不純物分離装置を備えた燃料電池システムを提供する。
【解決手段】処理対象水W1から不純物Mを分離して精製水W2を製造する不純物分離装置2と、その下流側に接続された精密ポンプ7とを備え、その精密ポンプ7はポンプ室7eの容積を増減させる往復移動体とポンプ室7eの内壁面とが摺動する摺動部7fを有し、分離用流路6bを処理対象水W1が水流入口6cから水流出口6dに向けて流れる状態で、微粒子M1が気泡滞留室仕切板6gから沈降して容器6aの底部6hに到達する時間において、水流入口6cから水流出口6dへの流れ方向において微粒子M1が到達する到達位置が、水流出口6dより流れ方向の上流側に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下流側に備えられるポンプにより発生される吸引力により、処理対象水を水流入口から容器内に設けられた分離用流路に吸引して、当該分離用流路において不純物を分離して精製水として水流出口から流出する不純物分離装置およびこの不純物分離装置を備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2には、水蒸気改質に使用された水分、燃料電池から発生する水分等を回収するとともに、気液分離し、分離後の水から不純物を除去し、改質器に戻す燃料電池システムが開示されている。この燃料電池システムでは、燃料電池により発生する水等を利用する目的から、システム内に水の循環回路が形成されるとともに、その循環回路内に不純物分離装置を設けて清浄水が循環回路を循環するようにしている。特許文献1、特許文献2に開示の燃料電池システムでは、気液分離装置の下流側に循環用のポンプを備え、水を、気液分離装置−不純物分離装置−改質器−燃料電池に亘って循環している。
この種のポンプとして、通常、流量及びその精度の関係から、所謂、精密ポンプが採用される。
【0003】
燃料電池システムにおいて、水から分離すべき不純物としては、特許文献1、2に記載のイオンの他、例えば、改質器内に充填されている改質触媒から発生することがあるアルミナ粉等がある。このようなアルミナ粉は、粒子径0.1mm以下の微粒子である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−298894号公報
【特許文献2】特開2005−317392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の水処理分野における水中の微粒子の除去方法としては、凝集剤添加による凝集沈殿法や、遠心分離法(デカンター法)、流体動圧遠心法(サイクロン法)さらに、容積フィルターやろ過塔などで除去する方法が知られている。
しかしながら、従来知られていたこれら水処理方法は、例えば、燃料電池システムに採用しようとした場合、それぞれ以下の課題がある。
【0006】
凝集沈殿法では、清浄水中に凝集剤を添加することとなるため、水がイオン化合物などを含まない「清浄水」で無くなる。
遠心分離法では動力が必要であり、装置も高価であるため経済的でない。
流体動圧遠心法では、液体の場合、微粒子の分離には大流量の水を循環する必要があり、装置が大型となるため経済的でない。
また、前記それぞれの方法では、清浄水中の気泡や、清浄水より比重の小さい異物を除去できない。
水中の異物(これまで説明してきた微粒子を含む)や、気泡が除去できないと、特に、回転もしくは往復運動などを行う精密ポンプの構造が固体同士の摺り合わせの構造を有する場合、微粒子の噛みこみによる故障が生じたり、メカニカルシールの場合は、寿命を減損したり、磨耗等でシール性が低下する。
また、燃料電池システムにおいては、気泡溜りによるポンプの流量制御が乱れ、安定運転できなくなる。
【0007】
さらに、フィルターや、ろ過塔方式では、微粒子が小さくなるほど一般的に圧力損失が大きく、フィルターや、ろ過材が目詰まりするに従い、さらに圧力損失が大きくなって、ポンプ吸い込み側においてポンプにおいてキャビテーションが発生し、水の供給ができなくなって、システムが停止してしまう運転上の課題や、定期的に交換する必要が発生するなど経済的にも課題が発生する。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、それ自体としては、動力を必要とせず、不純物としての微粒子及び気泡を効果的且つ経済的に除去して、例えば、自立型の燃料電池システムにおける水の循環回路に使用できる不純物分離装置およびこの不純物分離装置を備えた燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る不純物分離装置は、下流側に備えられるポンプにより発生される吸引力により、処理対象水を水流入口から容器内に設けられた分離用流路に吸引して、当該分離用流路において不純物を分離して精製水として水流出口から流出する不純物分離装置であって、その特徴構成は、
前記ポンプが、ポンプ室の容積を増減させる回転体または往復移動体と当該ポンプ室の内壁面とが摺動する摺動部を有する精密ポンプであり、
前記分離用流路の下部に、前記水流入口が設けられるとともに、
前記分離用流路の上側に、気泡滞留室仕切板を介して前記水流入口から上昇した気泡が進入して分離される気泡滞留室を設け、
前記分離用流路を流れる処理対象水内を微粒子が沈降して容器の底部に分離されるように構成され、
前記分離用流路を処理対象水が前記水流入口から前記水流出口に向けて流れる状態で、
前記微粒子が前記気泡滞留室仕切板から沈降して前記容器の底部に到達する時間において、前記水流入口から前記水流出口への流れ方向において前記微粒子が到達する到達位置が、前記水流出口より前記流れ方向の上流側に設定されている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、下流側に備えられるポンプにより発生される吸引力により、処理対象水を水流入口から容器内に設けられた分離用流路に吸引して、その分離用流路において不純物を分離して精製水として水流出口から流出するので、容器内において、処理対象水を流動させるための動力を設ける必要がなく、容器を簡単な構成とすることができる。そして、ポンプは水流出口から流出した不純物が分離された精製水を吸入するので、微粒子の摺動部への噛み込みによって回転体または往復移動体の動作が困難となることによる動作不良や、気泡のポンプ室への流入によって精密ポンプが機能しなくなる所謂エアーロックという現象による動作不良の発生を防止することができる。これにより、精製水を水消費手段に安定して供給することができる。
【0011】
また、容器内において、分離用流路の下部には、水流入口が設けられるとともに、分離用流路を流れる処理対象水内を微粒子が沈降して容器の底部に分離されるように構成されているので、容器の底部に近接する水流入口から処理対象水が流入するので、処理対象水より比重の大きい微粒子を、速やかに容器の底部に沈降して分離させることができる。
一方、分離用流路の上側に、気泡滞留室仕切板を介して水流入口から上昇した気泡が進入して分離される気泡滞留室が設けられているので、処理対象水より比重の小さい気泡を、比重差を利用して分離用流路の上部に設けられた気泡滞留室に滞留させるとともに、分離されて気泡滞留室に滞留している気泡が、再び分離用流路を流れる処理対象水に混入することを気泡滞留室仕切板により防止することができる。
【0012】
また、水流入口から容器内に流入した処理対象水に含まれる微粒子が、そのまま容器の底部に沈降せずに、その処理対象水に含まれる気泡に付着して容器上部の気泡滞留室仕切板付近まで浮上することがあるが、この場合においても、分離用流路を処理対象水が流れる状態で、微粒子が気泡滞留室仕切板から沈降して容器の底部に到達する時間において、水流入口から水流出口への処理対象水の流れ方向において微粒子が到達する到達位置が、水流出口より流れ方向の上流側に設定されているので、分離用流路内において、最大限、微粒子が浮上したとしても、流れ方向において到達位置に到達するまでには、浮上した微粒子が沈降して容器の底部に到達して分離される。その結果、その到達位置より下流側に位置する水流出口には、微粒子が到達することは実質的にない。これにより、水流入口から容器に流入して気泡に付着せずにそのまま沈降する微粒子のみならず、気泡とともに容器上部の気泡滞留室まで一度浮上してしまった微粒子についても分離用流路内で分離することができ、水流出口から不純物としての気泡と微粒子とが分離された精製水が流出される。よって、動力を必要とせず、処理対象水の気泡及び微粒子を確実かつ同時に分離して、下流側に設けられた精密ポンプに動作不良が発生することを防止することができ、安定して精製水を供給することが可能となる。
【0013】
本発明に係る不純物分離装置の更なる特徴構成は、前記容器は円筒状の形状とされ、前記容器の径方向中心部に前記水流入口が配設されるとともに、前記容器の外周側面に前記水流出口が配設され、
前記容器の内部において前記分離用流路を形成する流路仕切板は、前記容器と同心の渦巻き状を成して設けられ、前記分離用流路が渦巻き状を成す点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、円筒状の容器の径方向中心部に水流入口が配設されるとともに、その容器の外周側面に水流出口が配設されて、容器内には渦巻き状の分離用流路が形成されているので、分離用流路を円筒状の容器中心部から容器外周側面まで渦巻き状に長く形成することができる。また、直線状の分離用流路を形成するときに比べて、容器をコンパクトに形成することができる。
【0015】
本発明に係る不純物分離装置の更なる特徴構成は、前記気泡滞留室に滞留する前記気泡の滞留量を検知する気泡検知手段を備え、前記気泡の滞留量が所定の滞留量となると、前記滞留した前記気泡を前記容器の外部に排出する気泡排出弁を備えた点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、気泡滞留室に滞留した気泡の滞留量が所定の滞留量となると、滞留した気泡が容器の外部に排出されるので、処理対処水から分離されて気泡滞留室に滞留する気泡が、再度処理対処水に混入することを防止することができる。これにより水流出口から気泡が混入した精製水が流出されることを防止して、下流側に設けられた精密ポンプに動作不良が発生することを防止することができ、安定して水消費手段に精製水を供給することができる。
【0017】
本発明に係る不純物分離装置の更なる特徴構成は、前記容器の底部に沈降して滞留する前記微粒子の滞留量を検知する微粒子検知手段を備え、前記微粒子の滞留量が所定の滞留量となると、前記滞留した前記微粒子を前記容器の外部に排出する微粒子排出弁を備えた点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、容器の底部に沈降して滞留した微粒子の滞留量が所定の滞留量となると、滞留した微粒子が容器の外部に排出されるので、処理対処水から分離されて容器の底部に滞留した微粒子が、再度処理対処水に混入することを防止することができる。これにより水流出口から微粒子が混入した精製水が流出されることを防止して、下流側に設けられた精密ポンプに動作不良が発生することを防止することができ、安定して水消費手段に精製水を供給することができる。
【0019】
本発明に係る燃料電池システムの特徴構成は、上記記載の不純物分離装置と、原料ガスを水蒸気改質して改質ガスを生成する改質器と、当該改質器を加熱するための改質バーナと、前記改質ガスによって発電を行う燃料電池と、前記改質バーナの燃焼において発生した燃焼排ガスおよび前記燃料電池から排出された排出ガスの少なくとも一方に含まれる水分を凝縮させた凝縮水を回収する水回収器とを備え、
前記凝縮水が前記不純物分離装置に流入可能に構成されて、前記凝縮水を前記処理対象水として、前記不純物分離装置によって前記不純物が分離されるとともに、前記不純物が分離された前記精製水が、前記水蒸気改質のための水蒸気を発生させる水蒸気改質用の水として、前記精密ポンプを介して水消費手段としての前記改質器または前記改質器に接続された蒸気発生器に供給される燃料電池システムした点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、改質器より改質ガスの供給をうける燃料電池から排出された排出ガスから、水回収器が凝縮水を回収して、その凝縮水が改質器または改質器に接続された蒸気発生器に供給されるように構成されて、システム内で水が循環されるように構成されている。これにより、システムに外部から水を供給する必要がなくなるので、水供給設備を設ける必要がなくシステムの簡略化が可能になるとともに、システムの設備コストおよび運転コストを削減することができる。また、水回収器において回収された凝縮水が、不純物分離装置に流入可能に構成されているので、例えば、改質器の改質触媒の担体から発生した微粒子、改質触媒や燃料電池における触媒または電極触媒から発生した微粒子、および、凝縮水に混入した気泡が、その不純物分離装置によって分離されるので、その下流側に設けられた精密ポンプに不純物が流入することはない。よって、水回収器において回収した凝縮水を改質器または改質器に接続された蒸気発生器に供給しつつ、システム内で水を安定して循環させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る燃料電池システムの概略図。
【図2】本実施形態に係る不純物分離装置およびポンプの横断面図。
【図3】本実施形態に係る不純物分離装置の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面を参照して本願発明に係る燃料電池システムについて説明する。
図1に示すのは、本願発明に係る燃料電池システム1の実施形態を示す図である。この燃料電池システム1は、凝縮水W1に含まれる不純物Mを分離する不純物分離装置2と、都市ガスなどの原料ガスFを水蒸気改質して改質ガスGを生成する改質器3と、改質器3を加熱するための改質器バーナ3aと、その改質器3にて生成した改質ガスGによって発電を行う燃料電池4と、改質器バーナ3aの燃焼において発生した燃焼排ガスE2および燃料電池4から排出された排出ガスE1に含まれる水分を凝縮させた凝縮水W1を回収する気液分離器である水回収器5とを備えている。
【0023】
水回収器5として、排出ガス用水回収器51および燃焼排ガス用水回収器52とを備えており、それぞれの水回収器5で回収された凝縮水W1が不純物分離装置2に流入するように構成されて、凝縮水W1を処理対象水として、不純物分離装置2によって不純物Mが分離されるとともに、不純物Mが分離された精製水W2が、水蒸気改質のための水蒸気Vを発生させる水蒸気改質用の水として、精密ポンプ7を介して水消費手段としての改質器3に接続された蒸気発生器8に供給される構成とされている。
【0024】
また、図1に示した燃料電池システム1の実施形態においては、上述の本願発明に係る燃料電池システム1の構成に加えて、原料ガスFの脱硫を行って改質器3に供給する脱硫器9と、改質器3によって改質された改質ガスGに含まれる一酸化炭素を二酸化炭素に変成する一酸化炭素変成器10と、一酸化炭素除去器11を通過した改質ガスG中に微量に含まれる一酸化炭素を選択酸化又は選択メタン化して、改質ガスGに含まれる一酸化炭素濃度を更に低減させる一酸化炭素除去器11とが設けられており、これによって、一酸化炭素濃度が除去された改質ガスGが燃料電池4に供給されている。
【0025】
次に、図2および図3に基づいて本願発明に係る不純物分離装置2について説明する。
図2は、本実施形態に係る不純物分離装置2の横断面図であり、図3は、本実施形態に係る不純物分離装置2の縦断面図である。
不純物分離装置2は、水回収器5で回収された凝縮水W1から、不純物Mを分離して精製水W2を流出する構成とされている。つまり、不純物分離装置2の下流側に備えられる精密ポンプ7により発生される吸引力により、凝縮水W1を水流入口6cから分離容器6a(容器に相当)内に設けられた分離用流路6bに吸引して、分離用流路6bにおいて不純物Mを分離して精製水W2として水流出口6dから流出して、その精製水W2を蒸気発生器8に供給されるように構成されている
【0026】
図2に示すように、精密ポンプ7はプランジャポンプとされおり、その内部において、筒状のシリンダ7cを有し、この一方側からモータ(図示せず)の回転に伴ってシリンダ7c内を往復運動してポンプ室7eの容積を増減させるプランジャ7d(往復移動体に相当)が摺動自在に収納されている。ポンプ室7eは、このシリンダ7cの他方側とプランジャ7dとで形成された空間とされて、このポンプ室7eと連通する吸入口7aと吐出口7bが設けられている。吸入口7aに配置された吸入側バルブ71と、流出口とに配置された吐出側バルブ72とが設けられて、これによって、プランジャ7dがシリンダ7c内を往復運動することで、吸入口7aから吸入された精製水W2がポンプ室7eを経て吐出口7bから吐出されるように構成されている。また、この往復運動によってポンプ室7eの内壁面であるシリンダ表面とポンプ室7eを構成するプランジャ7dの外周面とが摺動する摺動部7fを有する構成とされている。なお、プランジャ7dおよびシリンダ7cの材質は、例えば、セラミック、カーボン、金属合金またはそれらの混合材質とされ、最大吐出量が1×104mm3/min以下である比較的小型の精密ポンプ7とされている。
【0027】
ここで、不純物Mとしての微粒子M1と気泡M2が精密ポンプ7に与える影響について述べる。微粒子M1は、例えば、改質器3の改質触媒のアルミナ担体から発生して凝縮水W1に混入しているアルミナ粒子とされる。アルミナ粒子は硬度が非常に高く、精密ポンプ7のシリンダ7cとプランジャ7dとの間に形成される摺動部7f(シリンダ7cとプランジャ7dとの隙間部分)に入り込んで、微粒子M1としてのアルミナ粒子の硬度と同じかそれよりも低い硬度の材質で構成されたシリンダ7cおよびプランジャ7dにダメージを与える。そして、ダメージを与える微粒子M1の粒子径は、摺動部7fであるシリンダ7cとプランジャ7dとの隙間の大きさによって異なるものとなるが、例えば、直径5μm程度の微粒子M1である場合は、シリンダ7cとプランジャ7dとの摺動部7fに進入して、プランジャ7dの表面やシリンダ7cの表面にダメージを与え、精密ポンプ7に動作不良が発生することとなる。
【0028】
一方、気泡M2は、凝縮水W1中に混入している空気等の気体、および、凝縮水W1に溶存している二酸化炭素などの溶存成分の析出によって発生する気体等で構成されるものである。気泡M2については、比較的大きい気泡M2が精密ポンプ7に流入してポンプ室7e内に滞留すると、プランジャ7dが往復に伴って、ポンプ室7e内に滞留する気泡M2が膨張、圧縮する状態となり、このため凝縮水W1の吸込・吐出が不能になる所謂エアーロックという現象を生じ、精密ポンプ7に動作不良が発生することとなる。
従って、これらの不純物Mが不純物分離装置2によって分離されて、その下流側に設けられた精密ポンプ7に流入されることが防止されている。
【0029】
不純物分離装置2の分離容器6aは円筒状の形状とされている。そして、その分離容器6a内に、不純物Mとしての微粒子M1及び気泡M2を分離する分離用流路6bと、この分離用流路6bに凝縮水W1が流入する水流入口6cと、凝縮水W1から不純物Mが分離された精製水W2が流出する水流出口6dとを備えている。水流入口6cは、分離容器6aの径方向中心部且つ底部6hに近接する分離用流路6bの下部の位置に配設されるとともに、水流出口6dが分離容器6aの外周側面6eに配設されており、分離容器6aの内部において分離用流路6bを形成する流路仕切板6fは、分離容器6aと同心の渦巻き状をなして設けられ、分離用流路6bが渦巻き状を成して構成されている。
【0030】
具体的には、水回収器5から不純物分離装置2に凝縮水W1を供給する凝縮水供給管12が、分離容器6aの上部から上板の径方向中心部を貫通して、分離容器6aの内部において底部6hに近接する分離用流路6bの下部の位置まで下方に延びるようにして設けられて、その凝縮水供給管12の先端に水流入口6cが形成されている。また、分離容器6aの分離用流路6bにおいて、凝縮水供給管12の外側周囲の分離用流路6bにおける流路部分が気泡上昇流路6baとされて、これによって、気泡M2は分離用流路6bの上部に設けられた後述する気泡滞留室61まで導かれる。また、水流出口6dは、分離容器6aの上下方向においては、外周側面6eの底部6hから沈降した微粒子M1が滞留するために必要となる高さより上方の位置に設けられるとともに、周方向においては、渦巻き状の流路仕切板6fの外側先端が分離容器6aの側面内壁に当接しつつ接合されている付近に設けられている。
なお、分離容器6aは、その内部が大気圧以下になっても、大気中の空気が容器内に吸入されることのないように気密性を保つことができる構造とされて、さらに、容器内が大気圧以下になることで、容器が変形することのないように耐圧性を備えた構造とされている。
【0031】
また、分離用流路6bは、分離用流路6bの上側に、気泡滞留室仕切板6gを介して水流入口6cから上昇した不純物Mとしての気泡M2が進入して分離される気泡滞留室61を設け、分離用流路6bを流れる凝縮水W1内を不純物Mとしての微粒子M1が沈降して分離容器6aの底部6hに分離される構成とされる。
【0032】
そして、気泡滞留室61に滞留した気泡M2の滞留量を検知する気泡検知手段61aを備えるとともに、滞留した気泡M2を分離容器6aの外部に排出する気泡排出管61bおよび気泡排出弁61cを備えている。気泡検知手段61aはレベルセンサで構成されて、気泡検知手段61aの制御部61dは気泡M2の滞留量が所定の滞留量となったことを検知すると、気泡排出弁61cを予め定められた所定の期間において開状態として滞留する気泡M2を外部に排出する。
一方、分離容器6aの底部6hに滞留した微粒子M1の滞留量を検知する微粒子検知手段62aを備えるとともに、滞留した微粒子M1を分離容器6aの外部に排出する微粒子排出管62bおよび微粒子排出弁62cを備えている。微粒子検知手段62aはレベルセンサで構成されて、微粒子検知手段62aの制御部62dは気泡M2の滞留量が所定の滞留量となったことを検知すると、微粒子排出弁62cを予め定められた所定の期間において開状態として滞留する微粒子M1を外部に排出する。
【0033】
水流入口6cから流入した凝縮水W1に含まれる気泡M2は水流入口6cの周囲に設けられた気泡上昇流路6baを分離容器6aの上部の気泡滞留室61まで浮上する。一方で、水流入口6cから流入した凝縮水W1に含まれる微粒子M1の一部については、そのまま沈降して分離容器6aの底部6hに沈降するが、その他の微粒子M1については、気泡M2の浮上の際、気泡M2に付着した状態となって気泡上昇流路6baを分離容器6aの上部の気泡滞留室61まで浮上することがある。そして、そのように微粒子M1が浮上すると、気泡滞留室61の気泡滞留室仕切板6gの下面付近において気泡M2と分離して沈降が開始されることがある。
【0034】
本実施形態においては、このように気泡滞留室61まで浮上した微粒子M1についても、沈降させて底部6hに滞留させることを可能とするために、分離用流路6bにおいて、分離用流路6bを凝縮水W1が水流入口6cから水流出口6dに向けて流れる状態で、微粒子M1が気泡滞留室仕切板6gから沈降して分離容器6aの底部6hに到達するまでの沈降時間(時間に相当)において、水流入口6cから水流出口6dへの流れ方向Wdにおいて微粒子M1が到達する微粒子到達位置(到達位置に相当)が、水流出口6dより流れ方向Wdの上流側に設定されている。
【0035】
ここで、この微粒子M1の沈降時間は、微粒子M1の終末沈降速度Vs(沈降速度と呼ぶ)より算出することができる。この沈降速度Vsは、分離用流路6b内で凝縮水W1が水流入口6cから水流出口6dに向けて流れる流速Vwを非常に遅くすることで、分離用流路6b内での微粒子M1の沈降が重力によって自然沈降する状態として扱うことができ、以下に示すストークスの式(式1)より算出できるものである。また、同様に、分離用流路6b内の気泡M2が比重によって自然浮上する終末浮上速度Vr(浮上速度と呼ぶ)についても、以下に示すストークスの式(式2)より算出することができる。
Vs=g(ρs−ρ)d2/18μ・・・(式1)
−Vr=g(ρs−ρ)d2/18μ・・・(式2)
ここで、Vsは微粒子M1の沈降速度(m/s)、Vrは気泡M2の浮上速度(m/s)、ρsは微粒子M1(気泡M2)の密度(kg/m3)、ρ(kg/m3)は水の密度、d(m)は微粒子M1(気泡M2)の直径、g(m/S2)は重力加速度、μ(Pa・S)は凝縮水W1の粘度である。
【0036】
そして、例えば、直径が比較的小さい5μmのアルミナ粒子の微粒子M1および直径が比較的大きい0.1mmとされる空気の気泡M2が精密ポンプ7の作動に悪影響を及ぼすとして、その微粒子M1の沈降速度Vs、および、その気泡M2の浮上速度Vrを算出すると、微粒子M1の密度ρsを4,000kg/m3(アルミナ相当)、凝縮水密度ρを1,000kg/m3、凝縮水粘度μを0.001Pa・sとして、(式1)より、微粒子M1の沈降速度Vsは約4×10-5m/sとなる。一方、気泡M2の密度ρsを1.2kg/m3(空気相当)とすると、(式2)より、気泡M2の浮上速度Vrは約4.9×10-3m/sとなる。
よって、精密ポンプ7の作動に悪影響を及ぼす直径0.1mmの空気の気泡M2の浮上速度Vrと直径5μmのアルミナ粒子の微粒子M1の沈降速度Vsとを比較すると浮上速度Vrは沈降速度Vsより非常に速く、上述の如く、気泡M2は水流入口6cの周囲に設けられた気泡上昇流路6baを分離容器6aの上部の気泡滞留室61まで浮上する。
【0037】
そして、気泡滞留室61まで浮上した微粒子M1について、気泡滞留室仕切板6gから沈降して分離容器6aの底部6hに到達するまでの沈降時間は、気泡滞留室仕切板6gの下面から底部6hまでの鉛直方向高さL(図2参照)を沈降速度Vsで除することで求められる。従って、例えば、鉛直方向高さLが60mmに設計されていると、沈降時間は約25分となる。
【0038】
また、流れ方向Wdにおいて微粒子M1が到達する微粒子到達位置は、流れ方向Wdの流速Vwと沈降時間を乗ずることで求められる。従って、例えば、分離用流路6bの流路幅Lwを10mmとすると、分離用流路6bの断面積は約600mm2となる。そして、例えば、精密ポンプ7による吸引流量を1×104mm3/minとすると、分離用流路6b内における凝縮水W1の流れ方向Wdの流速Vwは、約17mm/minとなる。従って、微粒子到達位置は、流れ方向Wdの流速Vw(17mm/min)に沈降時間(25分)を乗じた約425mmの位置となる。つまり、微粒子到達位置を、分離用流路6b内において水流入口6cから流れ方向Wdの下流側に約425mmの位置として求め、その微粒子到達位置を、水流出口6dより流れ方向Wdの上流側に設定することで、水流入口6cから流入してそのまま分離容器6aの底部6hに沈降した微粒子M1はもちろんのこと、上述のように気泡滞留室61まで気泡M2とともに浮上した微粒子M1についても分離容器6aの底部6hまで沈降するので、水流出口6dより流出する精製水W2に上記(式1)において沈降速度Vsを求める条件とされた5μmより粒子の直径が大きいアルミナ粒子が含まれていることはない。
【0039】
ここで、精密ポンプ7による吸引流量、分離用流路6bの断容積などが変わると流れ方向Wdの流速Vwが変化し、また、鉛直方向高さLおよび凝縮水W1から分離する微粒子M1の粒子径が変わる(沈降速度Vsが変わる)と沈降時間が変化するので、微粒子到達位置が変化するが、上述の如く求められた微粒子到達位置が、水流出口6dより流れ方向Wdの上流側に設定されることで、分離対象とする粒子径以上の微粒子M1を、特定の分離用流路6b内において、分離容器6aの底部6hに滞留させることができる。
【0040】
以上のように、不純物分離装置2によって、精密ポンプ7の機能を阻害する原因となる凝縮水W1に含まれる不純物Mである水より比重の大きい微粒子M1、および、水より比重の小さい気泡M2を、重力および浮力のみを利用して他の動力を必要とせずに、同時に分離させて除去することができる。即ち、不純物分離装置2において、特別な動力源なしに微粒子M1及び気泡M2が含有される凝縮水W1の精製を行うことができる。
【0041】
また、図1に示すように、精密ポンプ7の下流側に設けられた蒸気発生器8は、精密ポンプ7によって供給された精製水W2を加熱して水蒸気Vを発生させる。改質器3における改質器バーナ3aからの燃焼排ガスE2を蒸気発生器8に供給可能に構成されており、蒸気発生器8において燃焼排ガスE2と精製水W2との熱交換により精製水W2を加熱して水蒸気Vを発生させている。そして、このようにして発生した水蒸気Vを改質器3に流入する原料ガスFの原料ガス流路中に混合するように構成されている。
【0042】
改質器3は改質器バーナ3aの燃焼が行われるバーナ燃焼室3bが設けられており、改質器バーナ3aによる燃焼によって発生する熱によって、改質器3が原料ガスFの水蒸気改質を行なう改質温度にまで加熱される。また、改質器バーナ3aには、燃焼用の燃料および空気を供給する燃料供給管3cおよび空気供給管3dが設けられており、燃料供給管3cには、原料ガスFが供給可能に構成されるとともに、燃料電池4の排出ガスE1を燃焼用の燃料として使用するオフガス供給管13が接続されている。また、図示しない制御部によって、燃料供給管3cに設けられた燃料ガスバルブV1およびオフガス供給管13に設けられたオフガスバルブV2の開度が調整されることで燃焼用の燃料としての原料ガスFおよび排出ガスE1aの流量が調整されるとともに、空気供給管3dに設けられた空気バルブV3の開度を調整されることで、空気供給手段14によって供給される空気(酸素)の流量が調整されて、改質器3の温度調整が可能に構成されている。
【0043】
燃料電池4は、PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)を備えた固体高分子形燃料電池とされる。固体高分子形の燃料電池4は、一酸化炭素除去器11からの一酸化炭素が除去された後の改質ガスGと空気に含まれる酸素とを反応させて電力を発生させるものであり、この燃料電池4はアノード(燃料極)4aと、カソード(空気極)4bと、固体高分子電解質膜4cとを備えている。ここで、固体高分子電解質膜4cは、例えば、プロトン伝導性を有するパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーをはじめとする陽イオン交換樹脂で構成されている。また、燃料極4aおよび空気極4bはその電極材料として、例えば、多孔質状のカーボンを担体として、白金及び白金合金触媒を担持して構成されている。
【0044】
また、図1に示すように、水回収器5として、燃料電池4の燃料極4aおよび空気極4bから排出された排出ガスE1から水分を凝縮させて凝縮水W1を回収する排出ガス用水回収器51と、改質器3のバーナ燃焼室3bから排出された燃焼排ガスE2から水分を凝縮させて凝縮水W1を回収する燃焼排ガス用水回収器52が設けられている。
さらに、排出ガス用水回収器51として、燃料電池4の燃料極4aからの排出ガスE1aの出口から凝縮水W1を回収する排出ガス用水回収器51aと、空気極4bからの排出ガスE1bから凝縮水W1を回収する排出ガス用水回収器51bとがそれぞれ設けられている。
【0045】
そして、排出ガス用水回収器51aは、燃料電池4の燃料極4a側から排出された排出ガスE1aの水分を凝縮させて凝縮水W1を回収するとともに、凝縮水W1が凝縮した後の排出ガスE1aを、上述の如く、改質器バーナ3aの燃料用の燃料ガスとするために、オフガス供給管13を介して改質器バーナ3aに供給するように構成されている。一方、排出ガス用水回収器51bは、燃料電池4の空気極4b側から排出された排出ガスE1bの水分を凝縮させて凝縮水W1を回収するとともに、凝縮水W1が凝縮した後の排出ガスE1bを外部に排出するように構成されている。
また、排出ガス用水回収器51は、排出ガスE1を冷却して水分を凝縮させるための冷却手段5aを備えている。この冷却手段5aは、例えば、外部から冷媒Rを管内に流動させる熱交換器とされている。これによって凝縮された凝縮水W1は、凝縮水供給管12を経由して不純物分離装置2に流入する。
なお、凝縮水供給管12には、燃料電池システム1において、水量が不足した時に外部から水を供給可能な水供給口12aと、水量が過剰となった時に外部へ水を排水可能な水排水口12bが設けられている。
【0046】
そして、燃焼排ガス用水回収器52は、改質器3のバーナ燃焼室3bから排出された燃焼排ガスE2から水分を凝縮させて凝縮水W1を回収するとともに、凝縮水W1が凝縮した後の燃焼排ガスE2を外部に排出するように構成されている。
ここで、燃焼排ガスE2は、上述如く、燃焼排ガス用水回収器5bの燃焼排ガスE2の流路上流側に設けられている蒸気発生器8において精製水W2との間で熱交換されて冷却され、燃焼排ガスE2に含まれる水分が凝縮して凝縮水W1が生成する。この凝縮水W1が、燃焼排ガスE2の流路下流側に設けられた燃焼排ガス用水回収器52に流入する構成とされている。
そして、燃焼排ガス用水回収器52には、凝縮水供給管12と接続されている凝縮水連絡管15が設けられており、凝縮水W1が、凝縮水連絡管15および凝縮水供給管12を経由して不純物分離装置2に流入する構成とされている。
【0047】
このように、燃料電池4のアノード4a側から排出される排出ガスE1aの凝縮水W1を排出ガス用水回収器51aによって回収するとともに、その凝縮水W1を不純物分離装置2に供給して、水分を燃料電池システム1内で循環させるように構成されている。
また、排出ガス用水回収器51bにおいて排出ガスE1bの凝縮水W1、および、燃焼排ガス用水回収器52において燃焼排ガスE2の凝縮水W1についても不純物分離装置2に供給されるように構成されており、これにより、燃焼排ガスE2等とともに、システムの外部に排出される水分が補われ、燃料電池システム1において水自立運転を実施することが可能に構成されている。
【0048】
〔別実施形態〕
(A)上記実施形態においては、燃料電池4として固体高分子形燃料電池を用いた燃料電池システム1としたが、これに限らず、燃料電池4として固体酸化物形燃料電池など、その他の種類の燃料電池4を用いた燃料電池システム1であってもよい。
【0049】
(B)上記実施形態においては、精製水W2を改質器3に接続された蒸気発生器8に供給したが、精製水W2が改質器3に供給されるように構成されて、改質器3内で水蒸気Vが生成される構成としてもかまわない。
【0050】
(C)上記実施形態においては、水回収器5として、燃料電池4から排出された排出ガスE1の凝縮水W1を回収する排出ガス用水回収器51と、改質器3から排出された燃焼排ガスE2の凝縮水W1を回収する燃焼排ガス用水回収器52とが設けられたが、これに加えて、一酸化炭素変成器10と一酸化炭素除去器11との間に水回収器5を設けて、改質ガスGから凝縮水W1が回収される構成としてもかまわない。
【0051】
(D)上記特徴構成によれば、分離容器6aは円筒状の形状として、その内部において渦巻き状の分離用流路6bが設けられたが、これに限らず、分離容器6aを直方体状の形状等としてその内部において直線状の分離用流路6bを設けても構わない。また、分離容器6aが設置される設置部の形状に合わせて分離容器6aを変形させてもかまわない。
【0052】
(E)上記特徴構成によれば、ポンプ室7eに往復移動体としてプランジャ7dを備えた精密ポンプ7としたが、これに限らず、ポンプ室7eに往復移動体としてピストンを備えた精密ポンプ7としてもよい。また、ポンプ室7eに歯車等の回転体を備えた精密ポンプ7であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明したように、それ自体としては、動力を必要とせず、不純物としての微粒子及び気泡を効果的且つ経済的に除去して、例えば、自立型の燃料電池システムにおける水の循環回路に使用できる不純物分離装置およびこの不純物分離装置を備えた燃料電池システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 燃料電池システム
2 不純物分離装置
3 改質器
3a 改質器バーナ
4 燃料電池
5 水回収器
6a 容器(分離容器)
6b 分離用流路
6c 水流入口
6d 水流出口
6f 流路仕切板
6g 気泡滞留室仕切板
6h 底部
7 精密ポンプ
7d 往復移動体
7e ポンプ室
7f 摺動部
8 蒸気発生器
61 気泡滞留室
61a 気泡検知手段
61c 気泡排出弁
62a 微粒子検知手段
62c 微粒子排出弁
E1 排出ガス
E2 燃焼排ガス
F 原料ガス
G 改質ガス
M 不純物
M1 微粒子
M2 気泡
W1 処理対象水(凝縮水)
W2 精製水
Wd 流れ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下流側に備えられるポンプにより発生される吸引力により、処理対象水を水流入口から容器内に設けられた分離用流路に吸引して、当該分離用流路において不純物を分離して精製水として水流出口から流出する不純物分離装置であって、
前記ポンプが、ポンプ室の容積を増減させる回転体または往復移動体と当該ポンプ室の内壁面とが摺動する摺動部を有する精密ポンプであり、
前記分離用流路の下部に、前記水流入口が設けられるとともに、
前記分離用流路の上側に、気泡滞留室仕切板を介して前記水流入口から上昇した気泡が進入して分離される気泡滞留室を設け、
前記分離用流路を流れる処理対象水内を微粒子が沈降して容器の底部に分離されるように構成され、
前記分離用流路を処理対象水が前記水流入口から前記水流出口に向けて流れる状態で、
前記微粒子が前記気泡滞留室仕切板から沈降して前記容器の底部に到達する時間において、前記水流入口から前記水流出口への流れ方向において前記微粒子が到達する到達位置が、前記水流出口より前記流れ方向の上流側に設定されている不純物分離装置。
【請求項2】
前記容器は円筒状の形状とされ、前記容器の径方向中心部に前記水流入口が配設されるとともに、前記容器の外周側面に前記水流出口が配設され、
前記容器の内部において前記分離用流路を形成する流路仕切板は、前記容器と同心の渦巻き状を成して設けられ、前記分離用流路が渦巻き状を成す請求項1に記載の不純物分離装置。
【請求項3】
前記気泡滞留室に滞留する前記気泡の滞留量を検知する気泡検知手段を備え、前記気泡の滞留量が所定の滞留量となると、前記滞留した前記気泡を前記容器の外部に排出する気泡排出弁を備えた請求項1または2に記載の不純物分離装置。
【請求項4】
前記容器の底部に沈降して滞留する前記微粒子の滞留量を検知する微粒子検知手段を備え、前記微粒子の滞留量が所定の滞留量となると、前記滞留した前記微粒子を前記容器の外部に排出する微粒子排出弁を備えた請求項1〜3の何れか一項に記載の不純物分離装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の不純物分離装置と、原料ガスを水蒸気改質して改質ガスを生成する改質器と、当該改質器を加熱するための改質バーナと、前記改質ガスによって発電を行う燃料電池と、前記改質バーナの燃焼において発生した燃焼排ガスおよび前記燃料電池から排出された排出ガスの少なくとも一方に含まれる水分を凝縮させた凝縮水を回収する水回収器とを備え、
前記凝縮水が前記不純物分離装置に流入可能に構成されて、前記凝縮水を前記処理対象水として、前記不純物分離装置によって前記不純物が分離されるとともに、前記不純物が分離された前記精製水が、前記水蒸気改質のための水蒸気を発生させる水蒸気改質用の水として、前記精密ポンプを介して水消費手段としての前記改質器または前記改質器に接続された蒸気発生器に供給される燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−85985(P2013−85985A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226099(P2011−226099)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】