説明

不織布およびその製造方法、並びに拭き取り材

【課題】高い意匠性と良好な機能性とを兼ね備えた不織布およびその製造方法、ならびに当該不織布を用いた拭き取り材を提供する。
【解決手段】本発明の不織布は、繊維集合物の構成繊維の一部が水流交絡により再配列されて形成され、規則的な模様を有し且つ相互に離間したストライプを複数有することにより、ストライプ模様を呈している不織布であり、ストライプAとストライプBとが交互に並んだストライプ群を有し、前記ストライプ群は複数有しており、前記ストライプ群は相互に離間し、隣り合う一対のストライプ群間にはストライプCを有し、ストライプA、ストライプB、及びストライプCは、隣り合うストライプの模様と異なる模様を有し、ストライプA及び/又はストライプBが規則的な模様を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布およびその製造方法、並びに拭き取り材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、不織布に様々な機能を与えるために、用途に応じた模様等が与えられた不織布が提案されている。また、その中でも前記模様が相互に離間したストライプ状を呈している不織布についても、様々な提案がされている。例えば特許文献1には、小面積の開孔を有する領域Aと、大面積の開孔を有する領域Bとが、不織布中の一方向に交互に付与された不織布が開示されている。また、特許文献2には、貫通した開孔が連続的に連なった1〜4個の開孔列と、非開孔列が交互に存在している不織布が開示されている。また、特許文献3には、実質的に平坦な部分と縞状部とが交互に存在する不織布からなる不織布ワイパーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−199459号公報
【特許文献2】特開2000−45161号公報
【特許文献3】特開2003−508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された不織布は、領域Aと領域Bのストライプの幅が各々一定に形成されており、拭き取り材として用いた場合に、不織布の縁部分で集中して拭き取り対象が拭き取られ、不織布の中央部分での拭き取り能力を十分に発揮しないままに、廃棄される場合がある。
【0005】
また、特許文献2に開示された不織布も、開孔列と非開孔列のストライプの幅が各々一定に形成されており、拭き取り材として用いた場合に、不織布の縁部分で集中して拭き取り対象が拭き取られ、不織布の中央部分での拭き取り能力を十分に発揮しないままに、廃棄される場合がある。
【0006】
また、特許文献3に開示された不織布は、縞状部が水流交絡によるノズル筋を凹部として明瞭に形成されたものに過ぎず、ストライプ模様としての意匠性や拭き取り性が十分ではなかった。また、縞状部を形成する凸部が5個/cm以上存在するため、各々の凸部及び凹部の幅は、1mm程度であり、見た目で判別できるように凹凸部を形成すること自体も、困難であった。
【0007】
本発明では、高い意匠性と良好な機能性(例えば、拭き取り性など)を兼ね備えた不織布およびその製造方法、並びに当該不織布を用いた拭き取り材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の不織布は、繊維集合物の構成繊維の一部が水流交絡により再配列されて形成され、規則的な模様を有し且つ相互に離間したストライプを複数有することにより、ストライプ模様を呈している不織布であり、ストライプAとストライプBとが交互に並んだストライプ群を有し、前記ストライプ群は相互に離間し、隣り合う一対のストライプ群間にはストライプCを有し、前記ストライプ群は複数有しており、ストライプA、ストライプB、及びストライプCは、隣り合うストライプの模様と異なる模様を有し、ストライプA及び/又はストライプBが規則的な模様を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の不織布の製造方法は、繊維集合物の構成繊維の一部を、規則的な模様を有する所定の支持体上で水流交絡させることにより、前記構成繊維の一部が再配列された複数のストライプを発現させて、ストライプAとストライプBとが交互に並んだストライプ群と、相互に離間した複数の前記ストライプ群の間にストライプCとを、ストライプA、ストライプB、及びストライプCが隣り合うストライプの模様と異なる模様を有し、且つ、ストライプA及び/又はストライプBが規則的な模様を有するストライプ模様を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の拭き取り材は、本発明の不織布を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高い意匠性と良好な機能性(例えば、拭き取り性など)特性とを兼ね備えた不織布およびその製造方法を提供できる。
【0012】
また、当該不織布を用いた拭き取り材は、異なる模様を有するストライプを所定の配列で含むので、良好な拭き取り性が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の不織布の一例を示す概念図である。
【図2】図2は、本発明の不織布の他の一例を示す概念図である。
【図3】図3は、本発明の不織布の他の一例を示す概念図である。
【図4】図4は、本発明の不織布の規則的な模様の一例を示す拡大模式図である。
【図5】図5は、本発明の不織布の規則的な模様の他の一例を示す拡大模式図である。
【図6】図6は、本発明の不織布の規則的な模様の他の一例を示す拡大模式図である。
【図7】図7は、本発明の不織布の製造方法に用いるオリフィスの配列の一例を示す概念図である。
【図8】図8は、本発明の不織布の他の一例を示す概念図である。
【図9】図9は、本発明の不織布の他の一例を示す概念図である。
【図10】図10は、本発明の不織布の製造方法に用いるオリフィスの配列の他の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の不織布は、繊維集合物の構成繊維の一部が水流交絡により再配列されて形成され、規則的な模様を有し且つ相互に離間したストライプを複数有することにより、ストライプ模様を呈している不織布であり、ストライプAとストライプBとが交互に並んだストライプ群を有し、前記ストライプ群は複数有しており、前記ストライプ群は相互に離間し、隣り合う一対のストライプ群間にはストライプCを有し、ストライプA、ストライプB、及びストライプCは、隣り合うストライプの模様と異なる模様を有し、ストライプA及び/又はストライプBが規則的な模様を有する。
【0015】
本発明において、ストライプとは、ストライプ模様を構成する構成単位である。本発明の不織布では、ストライプAと、ストライプAとは異なる模様を有するストライプBとが交互に並んだストライプ群を形成しており、複数のストライプ群が相互に離間して存在している。1個のストライプ群に含まれるストライプAとストライプBは、各々1本以上含んでいる。1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数とストライプBの本数は、同じ本数でも良いし、ストライプAの本数がストライプBの本数よりも多い場合でも良いし、少ない場合でも良い。1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数及び/又はストライプBの本数をn本としたとき、2≦n≦7であることが好ましい。ストライプA及び/又はストライプBの本数nのより好ましい上限値は、5である。ストライプA及び/又はストライプBの本数nの上限値が7を超えると、ストライプAとストライプBが交互に並んだだけの不織布と意匠性または拭き取り性の点で区別がつかなくなることがある。1個のストライプ群に含まれるストライプA及び/又はストライプBの本数は、多ければ、拭き取り性が向上する場合があるため、好ましい。また、ストライプA及び/又はストライプBの本数がn(2≦n≦7)を満たす限りでは、不織布内に存在する各々のストライプ群が、ストライプA及び/又はストライプBを同じ本数を有していても良いし、異なる本数を有していても良い。不織布内に存在する各々のストライプ群が、同じ本数のストライプA及び/又はストライプBを有していると、均一な意匠性及び機能性を有する不織布が得られるので、好ましい。
【0016】
例えば、1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数がストライプBの本数よりも多い場合は、ストライプAの本数を2本、ストライプBの本数を1本としたときは、ストライプA/ストライプB/ストライプAの順番でストライプAとストライプBとが交互に並んでストライプ群を形成している。
【0017】
前記ストライプ群の幅は、6〜75mmであることが好ましい。より好ましい下限は9mmであり、さらに好ましい下限は12mmである。また、より好ましい上限は60mmであり、さらに好ましい上限は45mmであり、さらにより好ましい上限は25mmである。ストライプ群の幅が6mm未満であると、ストライプAまたはストライプBがはっきりと判別しにくくなることや、ストライプが有する規則的な模様が判別しにくいことがあり、意匠性に劣る場合がある。また、ストライプ群の幅が6mm未満であると、十分な拭き取り性が得られなくなる場合がある。ストライプ群の幅が75mmを超えると、実際の使用形態で、ストライプ群が不織布の大勢を占めてしまい、ストライプ群の個数、及びストライプCの本数が僅かとなり、ストライプが等間隔に形成されている不織布と意匠性または拭き取り性の点で区別がつかなくなることがある。また、不織布に含まれる各々のストライプ群の幅は、6〜75mmの範囲を満たす限りでは、同じ幅でも良いし、異なる幅でも良い。不織布に含まれる各々のストライプ群の幅が同じ幅であると、均一な意匠性及び機能性を有する不織布が得られるので、好ましい。
【0018】
本発明の不織布では、ストライプA及び/又はストライプBの幅は、2〜25mmであることが好ましい。より好ましい下限は3mmであり、さらに好ましい下限は4mmである。また、より好ましい上限は20mmであり、さらに好ましい上限は15mmであり、さらにより好ましい上限は10mmである。ストライプA及び/又はストライプBの幅が2mm未満であると、ストライプ模様として判別しにくくなることや、ストライプが有する規則的な模様が判別しにくくなるため、意匠性に劣る場合がある。また、ストライプA及び/又はストライプBの幅が2mm未満であると、十分な拭き取り性が得られなくなるという場合がある。ストライプA及び/又はストライプBの幅が25mmを超えると、使用する不織布の面積が小さい場合、意匠性や拭き取り性が十分に機能しない場合がある。また、ストライプ群を構成するストライプA及び/又はストライプBの幅は、2〜25mmの範囲を満たす限りでは、同じ幅でも良いし、異なる幅でも良い。ストライプ群を構成するストライプA及び/又はストライプBの幅が同じ幅であると、均一な意匠性及び機能性を有する不織布が得られるので、好ましい。
【0019】
本発明の不織布では、隣り合う一対のストライプ群間には、ストライプCを有する。ストライプCの幅は、任意の幅で良いが、前記ストライプA及び/又はストライプBの幅と異なる幅であることが好ましく、ストライプA及びストライプBの幅と異なる幅であることがより好ましい。また、ストライプCの幅は、ストライプA及び/又はストライプBの幅よりも大きくても小さくても良いが、ストライプA及び/又はストライプBの幅よりも大きい幅であることが好ましく、ストライプA及びストライプBの幅よりも大きい幅であることがさらに好ましい。なお、ストライプCの幅がストライプA及び/又はストライプBの幅と異なる幅である、というのは、ストライプCのすぐ隣に位置するストライプ群に含まれるストライプA及び/又はストライプBと比べて異なる幅であれば良く、好ましいのは、不織布に含まれるすべてのストライプA及び/又はストライプBの幅と比べてすべてのストライプCの幅が異なることである。また、1個のストライプ群に含まれるストライプA及び/又はストライプBの本数が複数である場合は、ストライプCに最も近い位置にあるストライプA及び/又はストライプBの幅が、ストライプCの幅と異なればよい。ストライプCの幅は、好ましい下限は2mmであり、より好ましい下限は4mmであり、さらに好ましい下限は6mmであり、さらにより好ましい下限は10mmである。また、ストライプCの幅は、好ましい上限は90mmであり、より好ましい上限は75mmであり、さらに好ましい上限は50mmであり、さらにより好ましい上限は30mmであり、その上さらに好ましい上限は20mmである。ストライプCの幅が2mm未満であると、ストライプ模様として判別しにくくなることや、拭き取り性が劣る場合がある。ストライプCの幅が90mmを超えると、実際の使用形態で、ストライプCが大勢を占めてしまい、ストライプ群の個数、及びストライプCの本数が僅かとなり、ストライプが等間隔に形成されている不織布と意匠性または拭き取り性の点で区別がつかなくなることがある。ストライプCの幅がストライプA及び/又はストライプBの幅よりも大きい幅である場合は、ストライプCの幅が4〜75mmであることが好ましい。この場合、ストライプCの幅が4mm未満であると、ストライプA及び/又はストライプBの幅との差が少なくなり、ストライプAとストライプBが交互に並んだだけの不織布と意匠性または拭き取り性の点で区別がつかなくなることがある。例えば、1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数がストライプBの本数よりも多く、ストライプBとストライプCの模様が同じである場合は、ストライプCの幅が4mm未満であると、ストライプBの幅とストライプCの幅との差が少なくなるため、ストライプAとストライプBが交互に並んだだけの不織布と意匠性または拭き取り性の点で区別がつきにくい可能性が高い。ストライプCの幅が75mmを超えると、実際の使用形態で、ストライプCが大勢を占めてしまい、ストライプ群の個数、及びストライプCの本数が僅かとなり、ストライプが等間隔に形成されている不織布と意匠性または拭き取り性の点で区別がつかなくなることがある。また、ストライプCの幅が2〜90mmを満たす限りでは、不織布内に存在する各々のストライプCの幅は、同じ幅でも良いし、異なる幅でも良い。不織布内に存在する各々のストライプCの幅が同じ幅であると、均一な意匠性及び機能性を有する不織布が得られるので好ましい。1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数がストライプBの本数よりも多い場合で、不織布内に存在する各々のストライプCの幅が異なる場合は、ストライプCの最小幅が不織布内に存在する各々のストライプ群に含まれるストライプBの最大幅よりも大きいと、意匠性及び拭き取り性の点で、ストライプが等間隔に並んだ不織布よりも優れているため、好ましい。
【0020】
ストライプCは、隣り合う一対のストライプ群間に存在するが、このストライプCは、1本のストライプから構成されていても良いし、ストライプCの幅として2〜90mmである限りは、2本以上の複数のストライプから構成されていても良い。好ましくは1本のストライプである。ストライプCが2本以上の複数のストライプから構成されている場合は、隣り合うストライプは異なる模様(規則的な模様または無地の模様)を有している。これらのストライプCを構成するストライプは、各々ストライプA及びストライプBとは異なる幅であることが好ましい。より好ましくはストライプA及び/又はストライプBよりも大きい幅であることが好ましく、さらに好ましくは、ストライプA及びストライプBよりも大きい幅であることが好ましい。
【0021】
本発明の不織布は、上述したストライプAとストライプBとが交互に並んだストライプ群を有し、前記ストライプ群は複数有しており、前記ストライプ群は相互に離間し、隣り合う一対のストライプ群間にはストライプCを有することで、従来の等間隔に並んだストライプ模様を有する不織布とは異なる、高度な意匠性を有し、また、優れた拭き取り特性を示す。
【0022】
上述したような、ストライプ群、ストライプA、ストライプB、及び/又は、ストライプCの幅や、ストライプ群が有するストライプA及び/又はストライプBの本数が異なる場合においては、不織布として、優れた意匠性が得られる。別の効果としては、このような不織布を拭き取り材として用いた場合に、各々の幅や本数に応じて捕捉されやすいダストの粒径やダストの種類が異なることから、様々な種類のダストを捕集できるという効果もある。また、さらに別の効果としては、不織布を拭き取り材として使用した場合に、各々の幅や本数に応じて捕捉されやすいダストの粒径やダストの種類が異なることから、拭き取りの際に、床等の被拭き取り面と接する拭き取り面の縁部でダストが集中的に捕集されずに、不織布の中央部までダストが移行しやすくなり、結果として、不織布の全面を効果的に使用できるという効果がある。また、本発明の不織布の一例として、ストライプ群、ストライプA、ストライプB、及び/又は、ストライプCの幅や、ストライプ群が有するストライプA及び/又はストライプBの本数は、各々がストライプの長手方向と直交する方向に向かって順次大きくなる繰り返し単位が、複数回繰り返されて形成されたものであってもよい。
【0023】
隣り合うストライプAの幅とストライプBの幅との比は、0.25〜3.0であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜2.0である。さらに好ましくは、0.7〜1.5である。比が0.25未満であると、ストライプ群におけるストライプAの割合が少なくなり、ストライプAの判別がつきにくくなり、意匠性や拭き取り性が劣る場合がある。比が3.0を超えると、意匠性が良くない場合や、拭き取り性が良くない場合がある。
【0024】
隣り合うストライプ群の幅とストライプCの幅との比は、0.2〜8.0であることが好ましい。より好ましくは、0.3〜5.0である。比が0.2未満であると、不織布におけるストライプCの割合が大きくなり、意匠性や拭き取り性が劣る場合がある。比が8.0を超えると、ストライプAとストライプBが交互に並んだだけの不織布と意匠性または拭き取り性の点で区別がつかなくなることがある。
【0025】
1個のストライプ群と、その隣にある1本のストライプCを1つの集合とした場合に、その集合に含まれるストライプBとストライプCの幅の合計値と、ストライプAの幅の合計値との比は、1.0〜9.0であることが好ましい。より好ましくは、1.0〜7.0である。さらに好ましくは、1.0〜5.0である。比が1.0未満であると、ストライプCの幅が小さくなり、ストライプAとストライプBが交互に並んだだけの不織布と意匠性または拭き取り性の点で区別がつかなくなることがある。比が9.0を超えると、不織布におけるストライプCの割合が大きくなり、意匠性や拭き取り性が劣る場合がある。
【0026】
本発明の不織布は、繊維集合物の構成繊維の一部が水流交絡により再配列されて形成され、規則的な模様を有し且つ相互に離間したストライプを複数有することにより、ストライプ模様を呈している不織布であり、上記規則的な模様を構成する構成単位としては、例えば、凹凸及び開孔からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。上記模様は、例えば、ドット(円、楕円、三角形、多角形等)模様、杉綾模様、市松模様、格子模様、千鳥模様、スパイラルネット模様、およびジグザグ模様等があげられる。ただし、単なる水流によるノズル筋については、規則的な模様には含まれない。
【0027】
各規則的な模様には様々な機能や効果がある。例えば、開孔が所定の間隔で形成されたドット模様などは掻き取り性の向上に寄与し、皮膚と接触させた時などは接触面積が小さくなるため皮膚に貼り付きにくくなるという効果をもたらす。杉綾模様やスパイラルネット模様では、繊維の密度が相対的に高い部分と低い部分とが小さい周期で繰り返されているので、毛細管現象などを起こしやすく、不織布の吸水性を向上させる。また、杉綾模様やスパイラルネット模様では、ストライプを形成する方向に対して斜めの方向に形成される模様であるため、拭き取り材として使用した際に、拭き取り対象のダスト等が、不織布の縁部から中央部へと移行しやすくなり、不織布の中央部を有効に活用することができるといった効果をもたらす。したがって、複数種の模様を付与すれば、複数の機能を有する不織布を提供できる。
【0028】
本発明の不織布に含まれるストライプA及び/又はストライプBは、前記規則的な模様を有している。ストライプAとストライプBは、各々が異なる前記規則的な模様を有しても良い。
【0029】
本発明の不織布に含まれるストライプA、ストライプB、及びストライプCは、隣り合うストライプの模様と異なる模様を有している。少なくとも、ストライプAとストライプBは交互に並んでいるため、ストライプAとストライプBとは異なる模様を有していることになる。
【0030】
本発明の不織布に含まれるストライプは、ストライプA及び/又はストライプBが前記規則的な模様を有している限りは、その他のストライプの模様が無地であってもよい。ストライプAの模様が規則的な模様である場合は、ストライプBの模様はストライプAの模様とは異なる模様であれば良く、つまり、ストライプBの模様が無地であってもよいし、ストライプAの模様とは異なる規則的な模様であってもよい。また、ストライプBの模様が規則的な模様である場合は、ストライプAの模様が無地であってもよいし、ストライプBの模様とは異なる規則的な模様であってもよい。例えば、1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数が2本であり、ストライプBの本数が1本であり、ストライプAの模様が規則的な模様を有する場合、ストライプAの模様/ストライプBの模様/ストライプAの模様/ストライプCの模様が、順番に、規則的な模様/無地/規則的な模様/ストライプAとは異なる規則的な模様、となっていても良いし、規則的な模様/ストライプAとは異なる規則的な模様/規則的な模様/無地、となっていても良いし、規則的な模様/無地/規則的な模様/無地、となっていても良い。
【0031】
例えば、1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数がストライプBの本数よりも多い場合(1本多い場合)、ストライプBとストライプCの模様は、同じ模様でも良いし、異なる模様でも良い。ストライプBとストライプCの模様が同じであると、製造時のコストが少なくて済む。ストライプBとストライプCの模様が異なると、意匠性や拭き取り性に優れた不織布が得られる。
【0032】
本発明の不織布において、ストライプが有する模様は、規則的な模様と無地の模様に大別される。本件において、無地の模様とは、意図的に規則的な模様を付与された模様以外の模様のことである。ただし、生産上不可抗力的なノズル筋や地合いムラは本発明の規則的な模様とは区別され無地の範疇に入る。具体的には、肉眼において意匠性を感じない模様、より具体的には、凸部、凹部、開孔等について一番長い所を測定した場合に、その長さが0.2mm以下である場合は無地の範疇に入る。なお、色模様を有していても、構成繊維の一部が水流交絡により再配列されて形成された規則的な模様を有しない場合は無地である。
【0033】
上記規則的な模様の構成単位が開孔である場合、開孔の面積および開孔間距離w(図4および図5参照)が下記範囲にあると、ダスト捕集性の優れた拭き取り材に好適な不織布を提供できる。開孔の面積は0.5mm2〜6.0mm2であると好ましく、3.0mm2〜5.5mm2であるとより好ましい。相互に最も近接した開孔間の距離については1.0mm〜3.0mmであると好ましく、1.5mm〜3.0mmであるとより好ましい。
【0034】
本発明の不織布における上記ストライプの長手方向は、MD方向およびCD方向のうちのいずれと平行であってもよいが、MD方向と平行であると好ましい。通常、不織布の製造過程において繊維集合物にはMD方向のテンションがかかっているので、ストライプをMD方向に沿って形成する場合、所望の模様を安定して形成できる。
【0035】
上記ストライプAの厚みとストライプBの厚みとの比の値(ストライプAの厚み/ストライプBの厚み)は、その値が大きいとダスト捕集性能がより向上するという理由から、ストライプAの厚みが大きい場合は1.03以上であると好ましく、1.08以上であるとより好ましく、1.15以上であると更に好ましい。また、ストライプBの厚みが大きい場合は、ストライプAの厚みとストライプBの厚みとの比の値は、0.97以下であると好ましく、0.92以下であるとより好ましく、0.87以下であると更に好ましい。また、ストライプAの厚みが大きい場合の比の値(ストライプAの厚み/ストライプBの厚み)の上限について特に制限はないが、製造の容易性の観点から、4.0以下であると好ましく、3.0以下であるとより好ましく、2.0以下であると更に好ましい。ストライプBの厚みが大きい場合の比の値の下限についても、同様に製造の容易性の観点から、0.25以上であると好ましく、0.33以上であるとより好ましく、0.50以上であると更に好ましい。
【0036】
本発明の不織布の一例では、構成繊維が熱融着繊維を含んでおり、それらが隣り合う繊維と熱融着していると好ましい。この場合、不織布の形状安定性が向上し、使用に伴う厚みの低下も抑制される。このような不織布は、伸びにくいのでワイパーに適しており、よって、構成繊維が熱融着繊維を含む本発明の不織布の一例を用いれば、拭き易く、力を加えずに軽く拭けるワイパーを提供できる。このような不織布は、所定の規則的な模様を有するストライプを発現させる工程後に、繊維集合物を熱処理することにより構成繊維の少なくとも一部を融着して構成維同士を融着させることにより得られる。構成繊維には、熱融着繊維が5質量%〜40質量%含まれていると好ましい。熱融着繊維の含有量が上記範囲内にあると、形状安定性が良好であり、かつ、毛羽立ちが少なくよれにくい不織布を提供できる。
【0037】
不織布は単層にかぎらず、2または3層以上の積層構造をしていてもよい。例えば、分割型複合繊維を主として含む層を拭き取り面の層(表面層)とし、親水性繊維を主として含む層を、薬液等を保持させる層として積層すると、分割型複合繊維が持つ特有の性質、たとえば優れた掻き取り性および柔軟性等を最大限に発揮できる高品質のウェットワイパー、ウェットティッシュ、または使い捨ておしぼりなどの湿潤性拭き取り材を提供できる。特に、不織布が3層以上の積層構造をしており、パルプなどの親水性繊維を主として含む層を中間層として含む場合は、親水性繊維を主として含む層が保液層となり、液を表面に徐々に出すことが出来るので、好ましい。また、パルプなどの親水性繊維を主として含む層を中間層として含む場合は、ストライプAの模様が鮮明になるので、好ましい。ここで、「主として」とは、分割型複合繊維を主として含む層において、分割型複合繊維が主成分として50質量%以上含まれ、親水性繊維を主として含む層において、親水性繊維が主成分として50質量%以上含まれることを意味する。また、2層以上の積層構造である場合、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド(SMS)不織布、経緯直交型不織布、樹脂製などのネット、スクリムなどの織物を積層すると、不織布の形態保持性が高くなるため、好ましい。特に3層以上の積層構造で、上記のような織物を中間層として含む場合が好ましい。このようなスパンボンド不織布やネットとしては、新日石プラスト株式会社製の経緯直交型不織布(商品名“ミライフ”)、同社製の経緯直交型ネット(商品名“コンウェッドネット”)などが挙げられる。特に、コンウェッドネットなどの経緯直交型ネットによれば、交絡度合いが低くても不織布の形態保持性が高いため、好ましい。
【0038】
本発明の不織布の一例では、上記のとおりストライプAが規則的な模様を有する場合、ストライプAと異なる模様を有するストライプB及び/又はストライプCは、いわゆる無地であってもよいし、ストライプAの模様とは異なる規則的な模様を有していてもよい。すわなち、本発明の不織布の一例のストライプ模様は、模様が異なるストライプを2種以上有していてもよい。この場合、より意匠性及び機能性の優れた不織布を提供できる。
【0039】
1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数がストライプBの本数よりも多く、ストライプAの模様が規則的な模様を有し、ストライプB及びストライプCの模様が無地である場合の不織布は、例えば下記のようにして形成できる。
【0040】
まず、繊維集合物の構成繊維を交絡させる(以下、「第1交絡」と称する場合もある。この第1交絡は水流交絡(第2交絡)により繊維を再配列させて規則的な模様を有するストライプAを複数形成することによりストライプ模様を形成する前に行われる。)。この第1交絡は、交絡後の繊維集合物が、いわゆる無地模様になるように行う。そして、第1交絡後に、繊維集合物の構成繊維の一部を所定の模様を有する支持体上で水流交絡(第2交絡)させることにより、例えば、支持体の模様に対応する所定の模様(規則的な模様)を有する複数のストライプAを発現させ、ストライプ模様を形成する。この第2交絡は、交絡後のストライプA以外の部分が、ストライプB及びストライプCを形成するように行われる。このようにして、所定の模様を有するストライプAと、前記所定の模様とは異なる無地模様を有するストライプB及びストライプCを含む不織布が得られる。この方法によれば、従来の等間隔にならんだストライプ状の不織布とは異なる、意匠性及び拭き取り性に優れた不織布を、1度の交絡処理(第2交絡)により得ることができる。
【0041】
また、1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数がストライプBの本数よりも多く、ストライプAの模様が規則的な模様を有し、ストライプB及び/又はストライプCの模様が、ストライプAの模様とは異なる規則的な模様である場合の不織布は、例えば、下記のようにして形成できる。
【0042】
まず、繊維集合物の構成繊維を交絡(第1交絡)させた後、当該繊維集合物の構成繊維を、規則的な模様を有する所定の支持体(第1支持体)上で水流交絡(第3交絡)させて、規則的な模様を上記繊維集合物のほぼ全面に形成する。次いで、上記模様がほぼ全面に形成された繊維集合物の構成繊維の一部を、上記所定の支持体(第1支持体)とは異なる支持体(第2支持体)上で水流交絡(第2交絡)させることにより再配列させて、当該一部における規則的な模様を消し、複数の上記とは異なる規則的な模様のストライプAを発現させる。このとき、ストライプA以外の部分が、ストライプBおよびストライプCを形成するようにストライプAを形成する。
【0043】
また、ストライプA、B、及びCを発現するように、第2交絡を行った後、上記工程で用いた支持体とは異なる模様を有する支持体上で繊維集合物の全面を水流交絡(第4交絡)させてもよい。この場合、第4交絡によりストライプA、B、及びCの模様の区別が付かないことのないように、第4交絡は、第2交絡の際に用いた高圧水流よりも低い水圧の水流を用いて行う。すなわち、相対的に交絡が強く所定の規則的な模様を有する繊維交絡部と、相対的に交絡が弱く所定の規則的な模様とは異なる模様を有する繊維交絡部とを各々所定の幅で形成して、ストライプ模様を呈するようにする。
【0044】
また別の方法としては、まず、繊維集合物の構成繊維を交絡(第1交絡)させた後、繊維集合物の構成繊維の一部を所定の模様を有する支持体上で水流交絡(第5交絡)させることにより、例えば、支持体の模様に対応する所定の模様を有する複数のストライプを発現させ、ストライプ模様を形成する。次いで、この工程の後に、繊維集合物の、上記隣り合う所定の模様を有するストライプの間に存在する構成繊維の一部を、上記工程で用いた支持体とは異なる模様を有する支持体上で水流交絡(第2交絡)させて、上記所定の模様とは異なる模様を発現させる。例えば、上記隣り合う所定の模様を有するストライプの間が無地である場合は、所定の模様を有するストライプがストライプC、無地の模様を有するストライプがストライプB、第2交絡により発現された所定の模様とは異なる模様を有するストライプがストライプAとなる。もちろん、第2交絡の際に、所定の模様を有するストライプの一部の構成繊維を交絡させて、ストライプA及びストライプBを形成してもよい。その場合は、最初に所定の模様を有するストライプの間に位置する無地のストライプがストライプCとなる。
【0045】
また、1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数がストライプBの本数よりも多く、ストライプB及び/又はストライプCの模様が規則的な模様を有し、ストライプAの模様が無地の模様である場合の不織布は、例えば、下記のようにして形成できる。
【0046】
まず、繊維集合物の構成繊維を交絡(第1交絡)させた後、繊維集合物の構成繊維の一部を所定の模様を有する支持体上で水流交絡(第2交絡)させることにより、例えば、支持体の模様に対応する所定の模様(規則的な模様)を有する複数のストライプB及びストライプCを発現させ、ストライプ模様を形成する。つまり、上記で説明した規則的な模様を有するストライプAと無地のストライプB及びストライプCを形成したときとは逆の部分を高圧水流で交絡させることでこのような不織布を得る。
【0047】
また、別の方法としては、まず、繊維集合物の構成繊維を交絡(第1交絡)させた後、繊維集合物を規則的な模様を有する所定の支持体(第1支持体)上で水流交絡(第3交絡)させて、規則的な模様を上記繊維集合物のほぼ全面に形成する。その次に、第1交絡で用いたものと同じ支持体、つまり、無地模様を形成可能な支持体上にて、繊維集合物の一部に対して高圧水流を噴射し、その部分の構成繊維同士を水流交絡(第6交絡)させるとともに、構成繊維を再配列させて、ストライプ模様を形成する。このとき、ストライプAが無地模様となり、ストライプB及びストライプCが規則的な模様となる。
【0048】
また、さらに別の方法としては、まず、繊維集合物の構成繊維を交絡(第1交絡)させ、その次に、繊維集合物の構成繊維の一部を所定の模様を有する支持体上で水流交絡(第2交絡)させることにより、前記所定の模様(規則的な模様)を有するストライプAと、無地のストライプB及びストライプCを形成する。その次に、ストライプBの部分と、ストライプCの一部分であり、かつ、ストライプCと隣接するストライプ群の片端に位置するストライプAに隣接する一部分を、前記所定の模様とは異なる規則的な模様を有する支持体上で水流交絡(第7交絡)させることにより、所定の模様を有するストライプAと、前記所定の模様とは異なる規則的な模様を有するストライプBと、無地のストライプCが形成される。このとき、1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数とストライプBの本数が同じ本数になる。
【0049】
また、上記方法において、第5交絡の後に、上記隣り合う所定の模様を有するストライプの間に存在する構成繊維の一部を水流交絡させることに代えて、上記隣り合う所定の模様を有するストライプ内にある構成繊維の一部を、上記工程で用いた支持体とは異なる模様を有する支持体上で水流交絡(第2交絡)させて、上記所定の模様とは異なる模様を発現させる。例えば、上記隣り合う所定の模様を有するストライプの間が無地である場合は、無地の模様を有するストライプがストライプC、所定の模様を有するストライプのうち、第2交絡が行われていない部分がストライプB、第2交絡により発現された所定の模様とは異なる模様を有するストライプがストライプAとなる。
【0050】
本発明の不織布の製造方法の一例では、ノズルに形成された複数のオリフィスから噴射された高圧水流によって水流交絡を行う。この場合、オリフィスの孔径が、0.05〜0.5mmであり、オリフィスと繊維集合物との距離が7mm〜30mmであり、さらに好ましくは10〜25mmであると、不織布の地合いの均一性が良好でかつ鮮明な模様を有するストライプを形成可能であるので好ましい。
【0051】
また、複数のオリフィスが、図7のように複数のオリフィス群a9と、オリフィス群aの中にさらに複数に分かれているオリフィス群b10に分かれているノズルを用いると、1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数がストライプBの本数よりも多く、ストライプAが規則的な模様を有し、ストライプB及びストライプCの模様が無地である不織布を得ることができる。各群の長手方向の長さ(例えば、CD方向と同方向の長さ)は、オリフィス群aが6〜75mmが適切であり、9〜60mmであると好ましく、12〜45mmであるとより好ましく、さらに好ましい上限は25mmである。また、隣り合うオリフィス群a間の距離は、2〜90mmが適切であり、4〜75mmが好ましく、6〜50mmであるとより好ましく、10〜30mmであるとさらに好ましく、さらにより好ましい上限は20mmである。また、オリフィス群bの長手方向の長さは、2〜25mmが適切であり、3〜20mmであると好ましく、4〜15mmであるとより好ましく、さらに好ましい上限は10mmである。また、隣り合うオリフィス群b間の距離は、2〜25mmが適切であり、3〜20mmであると好ましく、4〜15mmであるとより好ましく、さらに好ましい上限は10mmである。なお、オリフィス群bを構成する個々のオリフィスは、長手方向に直線上に並んでいても良いし、千鳥状に並んでいても良い。
【0052】
以下、本発明の一例についてより詳細に説明する。
【0053】
本発明の不織布の一例の模式図を図1、図2、および図3に示す。図1に示された不織布1は、規則的な模様を有するストライプA2と無地のストライプB3とが交互に配置されることにより、ストライプ群4を形成しており、個々のストライプ群4の間には、ストライプA2及びストライプB3の幅とは異なる幅、この場合はより大きい幅を有する無地のストライプC5が配置されている。図2に示された不織布11は、規則的な模様からなるストライプA12と、上記所定の模様とは異なる、無地のストライプB13とが交互に配置されることにより、ストライプ群14を形成しており、個々のストライプ群の間には、上記所定の模様とは異なる模様であり、且つ、ストライプA12及びストライプB13の幅とは異なる幅、この場合はより大きい幅を有するストライプC15が配置されている。図3に示された不織布21は、規則的な模様を有するストライプA22が5本と、無地のストライプB23が4本とが交互に配置されることにより、ストライプ群24を形成しており、個々のストライプ群24の間には、ストライプA22及びストライプB23の幅とは異なる幅、この場合はより大きい幅を有する無地のストライプC25が配置されている。
【0054】
図1に示された不織布1は、例えば、以下のようにして作製できる。まず、繊維集合物の構成繊維を第1交絡させる。次いで、繊維集合物を所定のパターン(模様)を有する支持体上に配置した後、繊維集合物の一部に対して高圧水流を噴射し、その部分の構成繊維同士を第2交絡させるとともに、構成繊維を再配列させて、ストライプ模様を形成する。繊維集合物の高圧水流を受けた部分が、規則的な模様からなるストライプA2となる。この時、ストライプA2以外の部分は、ストライプB3及びストライプC5が形成されるように、且つ、ストライプ群4が形成されるようにノズルに形成されるオリフィスを配列させて第2交絡を行う。
【0055】
図2に示した不織布11は、例えば、以下のようにして作製できる。まず、繊維集合物の構成繊維を第1交絡させる。次いで、繊維集合物を所定のパターン(模様)を有する支持体上に配置した後、繊維集合物の一部に対して高圧水流を噴射し、その部分の構成繊維同士を第5交絡させることで、構成繊維を再配列させて、ストライプ模様を形成する。その次に、上記隣り合う所定の模様を有するストライプの間に存在する構成繊維の一部を、上記工程で用いた支持体とは異なる模様を有する支持体上で第2交絡させて、上記所定の模様とは異なる模様であるストライプA12を発現させる。そして第2交絡の際に交絡されなかった上記隣り合う所定の模様を有するストライプの間に存在する部分はストライプB13となり、第5交絡で形成されたストライプがストライプC15となる。
【0056】
図3に示された不織布21は、例えば、図1の不織布を作製する場合において、第2交絡の際に、1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数が5本となるように、第2交絡を行うことで、作製できる。
【0057】
また、発明の不織布の別の一例の模式図を図8、図9に示す。図8に示された不織布41は、規則的な模様を有する1本のストライプB43と2本の無地のストライプA42とが交互に配置されることにより、ストライプ群44を形成しており、個々のストライプ群44の間には、ストライプA42及びストライプB43の幅とは異なる幅、この場合はより大きい幅を有するストライプBと同じ規則的な模様を有するストライプC45が配置されている。図9に示された不織布51は、規則的な模様を有する2本のストライプA52と2本のストライプAとは異なる規則的な模様を有する2本のストライプB53とが交互に配置されることにより、ストライプ群54を形成しており、個々のストライプ群54の間には、ストライプA52及びストライプB53の幅とは異なる幅、この場合はより大きい幅を有する無地のストライプC55が配置されている。
【0058】
図8に示された不織布41は、例えば、以下のようにして作製できる。まず、繊維集合物の構成繊維を第1交絡させる。次いで、繊維集合物を所定のパターン(模様)を有する支持体上に配置した後、繊維集合物の一部に対して高圧水流を噴射し、その部分の構成繊維同士を第2交絡させるとともに、構成繊維を再配列させて、ストライプ模様を形成する。繊維集合物の高圧水流を受けた部分が、規則的な模様からなるストライプB43及びストライプC45となる。この時、ストライプB43及びストライプC45以外の部分は、ストライプA42が形成されるように、且つ、ストライプ群44が形成されるようにノズルに形成されるオリフィスを配列させて第2交絡を行う。
【0059】
また、図8示された不織布41は、別の方法として、以下のようにして作製できる。まず、繊維集合物の構成繊維を第1交絡させる。次いで、繊維集合物を所定のパターン(模様)を有する支持体上に配置した後、繊維集合物の全面に対して高圧水流を噴射し、全面の構成繊維同士を第3交絡させるとともに、構成繊維を再配列させる。その次に、第1交絡で用いたものと同じ支持体、つまり、無地模様を形成可能な支持体上にて、繊維集合物の一部に対して高圧水流を噴射し、その部分の構成繊維同士を第6交絡させるとともに、構成繊維を再配列させて、ストライプ模様を形成する。第6交絡の際に繊維集合物の高圧水流を受けた部分が、無地の模様からなるストライプA42となる。この時、ストライプA42以外の部分は、規則的な模様を有するストライプB43及びストライプC45が形成されるように、且つ、ストライプ群44が形成されるようにノズルに形成されるオリフィスを配列させて第6交絡を行う。
【0060】
図9に示された不織布51は、例えば、以下のようにして作製できる。まず、図1に示された不織布と同様の不織布を作製する。その後、無地の模様からなるストライプB3の部分と、同じく無地の模様からなるストライプC5の一部分であり、かつ、ストライプC5と隣接するストライプ群4の片端に位置するストライプA2に隣接する一部分を、第2交絡の際に使用した支持体の所定の模様とは異なる規則的な模様を有する支持体上で水流交絡(第7交絡)させる。この時、第7交絡の際に繊維集合物の高圧水流を受けた部分がストライプB53となり、当初のストライプA2がそのままストライプA52となり、このストライプA52とストライプB53とが同じ本数で交互に並んでストライプ群54を形成する。また、第7交絡の際に高圧水流を受けなかったストライプC5の部分がストライプC55となる。
【0061】
支持体の形態について、特に制限はないが、モノフィラメントまたは金属線が織成されて形成されたパターンネットや、突起物が設けられたロール等、汎用されているものを任意に使用できる。具体的には、平織り、杉綾織り、綾織り、スパイラル織りなどのパターンネットや、開口プレート、開口ロールなどが挙げられる。
【0062】
図1〜図3に示されるように、本発明の不織布の一例は、その長手方向がMD方向と同方向であり、ストライプAとストライプBとが交互に並んだストライプ群を有し、前記ストライプ群は相互に離間し、隣り合う一対のストライプ群間にはストライプCを有し、前記ストライプ群は複数有しており、ストライプA、ストライプB、及びストライプCは、隣り合うストライプの模様と異なる模様を有し、ストライプA及び/又はストライプBが規則的な模様を有することでストライプ模様を呈しているので、意匠性が優れている。特に図1〜3の不織布は、ストライプCの幅がストライプA及びストライプBの幅よりも大きい幅を有しているため、より意匠性が優れている。また、規則的な模様を変えたり、或いはストライプ群の幅や本数を変えたりすることで、目的にあった拭き取り性能や使用感を与えることが出来る。また、使用形態が湿潤状態の場合は、各ストライプの幅や本数を変えることで、拭き取り性の重さを調整することができる。
【0063】
規則的な模様の構成単位は、上記のとおり、凹凸及び開孔からなる群から選ばれる少なくとも1種等が挙げられる。模様の態様について、特に制限はないが、凹凸及び開孔からなる群から選ばれる少なくとも1種が多数形成されることにより得られる、例えば、ドット模様(例えば、図4、図5参照)、杉綾模様(例えば、図6参照)、市松模様、格子模様、千鳥模様、スパイラルネット模様、およびジグザグ模様等のあらゆる模様が挙げられる。
【0064】
ここで、凹凸とは、例えば、図6に示すように、凸部を肉眼で見た場合に繊維が存在しない部分がなく、凸部7における厚みをT1と、凹部8における厚みT2とすると、T1/T2が1.3以上であるものをいう。ただし、凹部に開孔(ここでの開孔の面積は0.5mm2以上である場合もあるし、0.5mm2未満である場合もある。)がある場合は、繊維が存在する部分の厚みをT2とする。また、厚みムラが大きい不織布に関しては(具体的には、T1av10/T2av10が2を超える不織布、ただし、T1av10、T2av10は、T1、T2の10点の平均値)、凸凹は、T1av5/T2av5が1.3以上(T1av5、T2av5は、T1、T2の5点の平均値)であるものをいう。
【0065】
T1およびT2は、不織布を剃刀で厚み方向に切断して得られる断面から電子顕微鏡を用いて測定される。厚みの決定に際して不織布の毛羽などは考慮にいれない。
【0066】
開孔6は、例えば、図4および図5に示すように、不織布の表面から裏面にかけて繊維の存在しない部分が一部でもある貫通した開孔であり、肉眼でみることができ、より具体的には、面積が0.5mm2以上であれば開孔とみなされる。
【0067】
ジグザグ模様とは、上記凸凹の凸の部分が連なって畝のようになり、さらに、その畝が、ジグザグに周期的に角度を変えたことによって形成された模様である。
【0068】
例えば、模様が、多数の開孔が千鳥状に配置されたドット模様(図5参照)である場合、拭き取り方向に対して、前列の開孔で捕捉されずに通過したダストを後列で捕捉できるので、拭き取り性の優れた不織布を得ることができる。このような、ドット模様は、例えば、支持体として、ナックル部が千鳥状に配列された平織りネットや、千鳥状に配列された複数の突起を有する板状体等を用いれば容易に得られる。
【0069】
例えば、模様が、杉綾模様やスパイラルネット模様である場合、繊維の密度が相対的に高い部分と低い部分とが小さい周期で繰り返されているので、毛細管現象を利用した吸水性に優れる不織布を得ることが出来る。また、斜め方向に凹凸が走っているので、拭き取り時は、より拭き取り面の中央部までダストを取り込むことができ、拭き取り面全体でダストを捕らえることができ、好ましい。杉綾模様は、例えば、支持体として、綾織ネットを用いれば容易に得られる。また、スパイラルネット模様は、例えば、支持体として、スパイラルネットを用いれば得られる。
【0070】
例えば、図6に示すように、杉綾模様では、MD方向に対して所定の角度に傾斜した線条aと、この線条aと線対称な線条bとが、CD方向沿って交互に繰り返されている。この場合、上記所定の角度θが5〜60°であると、不織布を清拭布として用いた場合のダストの捕集性、および滑り性が良くなるので好ましい。
【0071】
スパイラルネット模様は、例えば、スパイラルネットを支持体とした場合に得られる模様であり、繊維集合体のうちのスパイラル線上およびロット線上に配置された部分が凹部となり、繊維集合体のうちの隣り合うスパイラル線間の空間上に配置された部分が凸部となることにより形成された、杉綾模様に近似した凹凸模様である。例えば、図6で説明すると、線条aと線対称な線条bに関して、線条aが凸部7のとき、すぐ隣に接している線条bが凹部8になっているような模様である。
【0072】
例えば、模様が、ジグザグ模様である場合は、ジグザグ模様の凸部の高さを大きくすれば、その凸部に水分や薬液などを比較的たくさん蓄えることができ、好ましい。ジグザグ模様は、例えば、支持体として、経糸が2本引きそろえられた平織りネットを用い、または、ジグザグの模様が付与されたパンチングプレート等を用いれば容易に得られる。
【0073】
開孔の形状について、特に制限はないが、例えば、円状、楕円状、長方形状、菱形状等が挙げられる。規則的な模様が、例えば、複数の開孔から形成される場合、複数の開孔の、大きさは同一であってもよいし異なっていてもよい。開孔の大きさが大小異なっていると種々の大きさの汚れを補捉できるので好ましい。
【0074】
本発明の不織布の製造に用いられる繊維集合物の構成繊維の形状については、特に限定されず、単一繊維、鞘芯型複合繊維、分割型複合繊維あるいは異形断面を有する繊維等が挙げられる。
【0075】
繊維集合物の構成繊維の材料は、1種または2種以上の材料を含む。構成繊維が2種以上の材料からなる場合(繊維集合物が1種の構成繊維からなりその構成繊維自体が2種以上の材料からなる場合と繊維集合物が材料の異なる2種以上の構成繊維からなる場合とを含む。)、2種以上の材料のうちの少なくとも1種については、他の材料よりも相対的に融点が低い材料を含んでいると、規則的な模様を良好に保持しながら構成繊維同士を融着させることができ好ましい。
【0076】
構成繊維の繊度は、繊維に悪影響をもたらすことなく鮮明な模様を形成可能であるという理由から、1×10−4dtex以上6.6dtex以下が好ましく、0.1dtex以上4.4dtex以下がより好ましく、0.25dtex以上3.3dtex以下がさらに好ましい。
【0077】
構成繊維の材料としては、例えば、コットン、絹、パルプ等の天然繊維、レーヨン(溶剤紡糸型やビスコースレーヨン等)等の再生繊維、アセテート、アクリル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン等が挙げられる。
【0078】
本発明の不織布を拭き取り材として使用する場合、拭き取り材の用途によって、使用する繊維の種類や繊度、不織布の目付などは適宜設定すればよいが、例えば、本発明の不織布が、細かな埃、ごみなどを拭き取ることを目的とするフローリング用ワイパーや精密ワイパーなどの乾式拭き取り材として使用される場合には、不織布は、非相溶性の2成分からなり、繊維断面において少なくとも1成分が2個以上に分割されてなる分割型複合繊維を50質量%以上含んでいると好ましく、70質量%以上含んでいるとより好ましい。2成分の組み合わせとしては、例えば、ナイロン/ポリエステル、ポリエステル/ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリプロピレン、ポリエステル/ポリエチレン等が挙げられる。これらの繊維の繊度は、拭き取り性が良く、液のこり性が少なくなるという理由から水流交絡性がよく、模様が出やすい傾向にあるという理由から、3.5dtex以下であると好ましい。
【0079】
分割型複合繊維の他に不織布に含まれる繊維としては、単一成分からなる合成繊維が挙げられるが、なかでも、繊度が6.6dtex以下のポリエステル繊維やレーヨン繊維が好ましい。
【0080】
本発明において、繊維集合物とは、構成繊維が水流交絡により再配列が可能であればよく、例えば、繊維ウェブ、交絡ウェブ、結合ウェブ、織編物などの一つまたはそれらの積層体が使用できる。
【0081】
繊維ウェブとしては、カードウェブ、エアレイウェブ、湿式抄紙ウェブ、長繊維ウェブ(例えばスパンボンドウェブ)、メルトブローンウェブなどが挙げられ、水流交絡により再配列が可能なウェブ形態であれば特に限定されない。
【0082】
交絡ウェブとは、繊維集合物、特に繊維ウェブが第1交絡された状態のものであり、繊維ウェブの第1交絡は、例えば、生産性の観点からニードルパンチング法、水流交絡法、水蒸気流(スチームジェット)交絡法等のいずれの方法により行われてもよいが、構成繊維の一部を水流交絡により再配列して、ストライプ模様を形成するために行われる第2交絡が水流交絡法により行われるため、水流交絡法により行われると好ましい。
【0083】
結合ウェブとしては、繊維集合物、特に繊維ウェブの構成繊維同士の一部が結合したものであり、例えば、エンボス処理法、エアースルー法、ケミカルボンド法などが挙げられる。
【0084】
本発明の不織布の用途が、ウェットワイパー、ウェットティッシュ、あるいは使い捨ておしぼりなどの湿潤性拭き取り材等である場合には、不織布は、綿、絹、パルプ等の天然繊維、レーヨン(溶剤紡糸型やビスコースレーヨン等)等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、アクリル系繊維などの親水性繊維を含んでいると好ましい。特に、親水性繊維が、レーヨン、パルプおよびコットンからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース繊維を含んでいると、例えば、不織布が、ポリエステルやポリプロピレン等の吸水性が無いか無いに等しい合成繊維のみからなる場合よりも、不織布の吸水性が高く、好ましい。構成繊維は、親水性繊維を30質量%以上含んでいると好ましく、50質量%以上含んでいるとより好ましい。親水性繊維を含んでいると鮮明な模様が形成され易い点でも好ましい。親水性繊維の含有量の上限は、十分な破断強力を確保するという理由から90質量%以下が好ましい。
【0085】
第1交絡された繊維集合物の目付け量は、鮮明な模様が形成可能であるという理由から、20〜300g/m2であると好ましく、20〜100g/m2であるとより好ましい。
【0086】
第1交絡を水流交絡にて行う場合、その際に使用される支持体の形態について、特に制限はなく、従来から知られた支持体を用いればよいが、例えば、経糸の線径が0.05mm〜1.5mm、緯糸の線径が0.05mm〜1.5mm、メッシュ数が15〜110メッシュの平織りネットが適当である。第1交絡により無地の繊維集合物を得るためには、例えば、経糸の線径が0.05mm〜0.2mm、緯糸の線径が0.05mm〜0.2mm、メッシュ数が70〜110メッシュの平織りネットを用いると好ましい。
【0087】
繊維集合物の構成繊維を再配列させる際に用いられる水流の圧力(水供給器の設定値、以下、いずれの水流の圧力にいても同様。)は、通常、1〜14MPaが好ましく、2〜10MPaがより好ましい。
【0088】
第1交絡を行う際の水流の圧力は、例えば、20〜300g/m2の繊維集合物を処理する場合、繊維の交絡性および交絡の均一性を向上させる観点から、1〜12MPaが好ましく、2〜9MPaがより好ましい。
【0089】
本発明の不織布の一例の製造過程で第3交絡が行われる場合、第3交絡を行う際の水流の圧力は、処理する繊維集合物の目付や、形成される模様等に応じて設定すればよいが、例えば、20〜300g/m2の繊維集合物を処理する場合、1〜14MPaが好ましく、2〜10MPaがより好ましい。
【0090】
上述のとおり、本発明の不織布の製造方法の一例では、第1交絡および/または第3交絡された繊維集合物の一部に対して高圧水流を噴射する。高圧水流の噴射は、繊維集合物の構成繊維が再配列されて不織布に開孔や凹凸などが形成されるような条件で行う。
【0091】
本発明の不織布の一例の製造過程で第2交絡が行われる場合、第2交絡を行う際の水流の圧力は、処理する繊維集合物の目付や、形成される模様等に応じて設定すればよいが、例えば、20〜300g/m2の繊維集合物を処理する場合、支持体を損傷させることなく鮮明な模様を形成可能であるという理由から、1〜14MPaが好ましく、2〜10MPaがより好ましい。
【0092】
本発明の不織布の一例の製造過程で第4交絡が行われる場合、第4交絡を行う際の水流の圧力は、処理する繊維集合物の目付や、形成される模様等に応じて設定すればよいが、例えば、20〜300g/m2の繊維集合物を処理する場合、1〜12MPaが好ましく、2〜9MPaがより好ましい。
【0093】
本発明の不織布の一例の製造過程で第5交絡が行われる場合、第5交絡を行う際の水流の圧力は、処理する繊維集合物の目付や、形成される模様等に応じて設定すればよいが、例えば、20〜300g/m2の繊維集合物を処理する場合、1〜14MPaが好ましく、2〜10MPaがより好ましい。
【0094】
高圧水流の供給には、例えば、その長手方向が、繊維集合物の進行方向と直交するように配置され、複数のオリフィス(開口)を有するノズルを1個以上用いることができる。オリフィスの口径は、鮮明な模様を形成可能であるという理由から、0.05mm以上であると好ましく、繊維集合物を乱すことなく地合いを整えることが可能であるという理由から0.5mm以下であると好ましい。第1交絡や第3交絡を行う場合、隣り合うオリフィスの間隔は0.3mm〜1.5mmが適当である。なお、個々のオリフィスは、長手方向に直線上に並んでいても良いし、千鳥状に並んでいても良い。
【0095】
ノズルにおけるオリフィスの形成場所、隣り合うオリフィスの間隔等については、繊維集合物に形成される模様に応じて、適宜設定されるが、1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数がストライプBの本数よりも多く、ストライプAが規則的な模様を有し、ストライプB及びストライプCの模様が無地である不織布を得る場合、複数のオリフィスは、図7のような複数のオリフィス群に分かれて形成される。オリフィス群は、複数のオリフィス群a9に分かれており、各々のオリフィス群aの幅は、6〜75mmであることが好ましい。隣り合うオリフィス群a間の距離は2〜90mmが好ましく、4〜75mmがより好ましい。また、各オリフィス群aの中は、さらに複数のオリフィス群b10に分かれている。隣り合うオリフィス群b間の距離は2〜25mmであることが好ましく、また、オリフィス群bそのものの幅は、2〜25mmであることが好ましい。オリフィス群bにおける隣り合うオリフィス間の距離は、0.3〜1.5mmであると、模様を鮮明に出すことが出来るため、好ましい。また、各オリフィス群aの中に存在するオリフィス群bの個数は、2〜7個であることが好ましい。なお、オリフィス群bを構成する個々のオリフィスは、長手方向に直線上に並んでいても良いし、千鳥状に並んでいても良い。
【0096】
また、1個のストライプ群に含まれるストライプAの本数がストライプBの本数よりも多く、ストライプB及びストライプCが同じ規則的な模様を有し、ストライプAの模様がストライプB及びストライプBとは異なる模様(例えば無地の模様)である不織布を得る場合、複数のオリフィスは、図10のような複数のオリフィス群に分かれて形成される。オリフィス群は、複数のオリフィス群c31オリフィス群d32とに分かれており、各々のオリフィス群dの幅は、2〜90mmが好ましく、4〜75mmがより好ましく、6〜50mmであるとさらに好ましく、10〜30mmであるとさらにより好ましく、その上さらに好ましい上限は20mmである。一対のオリフィス群dの間にはオリフィス群cが1又は2以上存在し、各々のオリフィス群cの幅は2〜25mmであることが好ましく、3〜20mmであるとより好ましく、4〜15mmであるとさらに好ましく、さらにより好ましい上限は10mmである。また、オリフィス群dとオリフィス群cとの距離xまたはオリフィス群cが複数存在する場合の隣り合うオリフィス群cの距離xは2〜25mmであることが好ましく、3〜20mmであるとより好ましく、4〜15mmであるとさらに好ましく、さらにより好ましい上限は10mmである。また、オリフィス群d同士の間隔は6〜75mmが好ましく、9〜60mmであるとより好ましく、12〜45mmであるとさらに好ましく、さらにより好ましい上限は25mmである。
【0097】
また、上記オリフィスと、繊維集合物との距離は、鮮明な模様が形成可能であるという理由から、7〜30mmが好ましく、10〜25mmがより好ましい。
【実施例】
【0098】
以下、本発明の内容について実施例を挙げて説明する。なお、得られた不織布の厚み、破断強力、破断伸度、および10%、20%伸長時応力は、以下の通り測定した。
【0099】
[厚み]
不織布の厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデル CR-60A 株式会社大栄科学精器製作所製)を用い、JIS L 1096に準じて試料1cm2あたり3gの荷重を加えた状態で測定した。
【0100】
[破断強力、破断伸度]
JIS L 1096に準じ、幅5cm、長さ15cmの試料片をチャックの間隔が10cmとなるように把持し、定速伸長型引張試験機(商品名:テンシロン UCT−1T オリエンテック株式会社製)を用いて引張速度30cm/分で試料片を伸長し、破断時の荷重値および伸長率をそれぞれ破断強力、破断伸度として測定した。
【0101】
[10%、20%伸長時応力]
破断強力測定時の10%伸長時における荷重値、すなわち、測定開始地点から1cm伸長させたときの荷重値(チャック間の間隔(10cm)が11cmになったときの荷重値)を10%伸長時応力として測定した。20%伸長時応力についても、同様にして、測定開始地点から2cm伸長させたときの荷重値を20%伸長時応力として測定した。
【0102】
[実施例1〜14]
溶剤紡糸型レーヨン繊維(繊度1.5dtex、繊維長40mm、商品名:リヨセル レンチング社製)80質量%と、第1成分をポリエチレンテレフタレート(融点253℃)とし、第2成分を高密度ポリエチレン(融点132℃)とした放射状に8分割された断面形状を有する分割型複合繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm、商品名:DFS(SH) ダイワボウポリテック(株)製)10質量%と、鞘成分をポリエチレン(融点132℃)、芯成分をポリプロピレン(融点160℃)とする芯鞘型複合繊維(繊度1.7dtex、繊維長51mm、商品名:NBF(H) ダイワボウポリテック(株)製)10質量%とを混綿し、得られた結果物に対して、ローラー型パラレルカードを用いてカードして、目付けが約50g/m2のカードウェブを作製した。
【0103】
次いで、カードウェブを第1交絡用のネット上に載置し、速度4m/minで進行させながら、カードウェブの表面に対して、ノズルに孔径0.13mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられている水供給器を用いて、水圧2.5MPaの柱状水流を噴射した後、裏面に対して、同様の水供給器を用いて、水圧2.5MPaの柱状水流を噴射した。カードウェブの表面とオリフィスとの距離は15mmとした。以上のようにして第1交絡された繊維ウェブ(交絡ウェブ)を得た。上記第1交絡用のネットには、経糸の線径が0.132mm、緯糸の線径が0.132mm、メッシュ数が90メッシュの平織りPETネットを用いた。
【0104】
次に、下記のネットA〜Cを支持体として用いて、繊維ウェブ(交絡ウェブ)の表面側から第2交絡を行い、規則的な模様を有し、MD方向と平行なストライプAを複数形成した。次いで、雰囲気温度が100℃の乾燥機内で乾燥及び熱処理し、その後、雰囲気温度を135℃にして10秒間乾燥及び熱処理して、表1に示した実施例1〜14の不織布を得た。得られた不織布の物性を表2に示す。
【0105】
第2交絡を行う際、第1交絡を行う時に用いた水供給器を用いたが、複数のオリフィスのうちの一部のオリフィスについては水流がでないように塞いで用いた。進行速度は4m/minとし、第2交絡を行う際の水圧は3.5MPaとし、繊維ウェブ(交絡ウェブ)の表面とオリフィスとの距離は15mmとした。水供給器における複数のオリフィスの配置は、これを用いて第2交絡の際に形成される規則的な模様を有するストライプAの幅と本数、ストライプAの規則的な模様とは異なる模様(無地)を有するストライプBの幅と本数、及び、ストライプCの幅が、表1に示す値となるようにオリフィスの配置を決めた。
【0106】
[ネットA]経糸の線径が0.132mm、緯糸の線径が0.132mm、メッシュ数が25メッシュの平織りネット
[ネットB]経糸の線径が0.4mm、緯糸の線径が0.8mm、織り密度68/18本/インチの3/1杉綾織りネット
[ネットC]スパイラル線の線径が0.92mm、ロット線の線径が0.85mm、ロットピッチが5mm、スパイラル線の1インチ当たりの本数が11本のポリエステルモノフィラメント製のスパイラルネット
【0107】
[比較例1]
実施例1〜14と同様にして、カードウェブを第1交絡させて繊維ウェブ(交絡ウェブ)を得た。得られた繊維ウェブ(交絡ウェブ)の裏面に対して、第1交絡と同じ支持体を用い、ノズルに、孔径0.13mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられている水供給器を用いて、水圧2.5MPaの柱状水流をいずれのオリフィスをふさぐことなく全面に噴射した。繊維ウェブ(交絡ウェブ)の表面とオリフィスとの距離は15mmとした。次いで、実施例1と同様に、乾燥機内で乾燥及び熱処理して比較例1の不織布を得た。得られた不織布の物性を表2に示す。
【0108】
[比較例2〜4]
実施例1〜14と同様にして、カードウェブを第1交絡させて繊維ウェブ(交絡ウェブ)を得た。得られた繊維ウェブ(交絡ウェブ)を、ネットA〜Cの上に配置し、繊維ウェブ(交絡ウェブ)の全面に対して、ノズルに、口径0.13mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられている水供給器を用いて、水圧3.5MPaの柱状水流をいずれのオリフィスをふさぐことなく噴射した。繊維ウェブ(交絡ウェブ)の表面とオリフィスとの距離は15mmとした。次いで、実施例1と同様に、乾燥機内で乾燥及び熱処理して比較例2〜4の不織布を得た。得られた不織布の物性を表2に示す。
【0109】
[比較例5〜7]
第2交絡を行う際に、ノズルに、孔径0.15mmのオリフィスが1mm間隔で2個設けられたオリフィス群であり、かつ、オリフィス群間の間隔が10mmであるオリフィスが設けられている水供給器を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ネットA〜Cを支持体とした不織布を製造した。実際に得られた不織布は、ストライプAとストライプBがそれぞれはっきりと判別できるものではなく、幅が2mmのストライプAと、幅が10mmのストライプCとが、交互に1本ずつ並んでいる不織布が得られた。得られた不織布の物性を表2に示す。
【0110】
[比較例8]
第2交絡を行う際に、ノズルに、孔径0.15mmのオリフィスが1mm間隔で2個設けられたオリフィス群であり、かつ、オリフィス群間の間隔が10mmであるオリフィスが設けられている水供給器を用い、ネットとして、第1交絡の際に用いたネットを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、不織布を得た。得られた不織布は、単なる水流交絡によるノズル筋が形成されたのみの模様が形成されていた。
【0111】
[実施例15〜41]
実施例1〜14と同様にして、カードウェブを第1交絡させて繊維ウェブ(交絡ウェブ)を得た。得られた繊維ウェブ(交絡ウェブ)を、ネットA〜Cの上に配置し、繊維ウェブ(交絡ウェブ)の表面側から第2交絡を行い、規則的な模様を有し、MD方向と平行なストライプB及びストライプCを複数形成した。次いで、実施例1と同様に、乾燥機内で乾燥及び熱処理して実施例15〜41の不織布を得た。得られた不織布の物性を表4に示す。
【0112】
第2交絡を行う際、第1交絡を行う時に用いた水供給器を用いたが、複数のオリフィスのうちの一部のオリフィスについては水流がでないように塞いで用いた。進行速度は4m/minとし、第2交絡を行う際の水圧は3.5MPaとし、繊維ウェブ(交絡ウェブ)の表面とオリフィスとの距離は15mmとした。水供給器における複数のオリフィスの配置は、これを用いて第2交絡の際に形成される規則的な模様を有するストライプBの幅と本数、ストライプBの規則的な模様とは異なる模様(無地)を有するストライプAの幅と本数、及び、ストライプCの幅が、表3に示す値となるようにオリフィスの配置を決めた。
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【0116】
【表4】

【0117】
ある一定の範囲で規則的な模様を有するストライプAの幅の合計が同じ場合は、ストライプ群に含まれるストライプAの本数を多くした方が、及び/又は、ストライプ群に含まれるストライプA及びストライプBの幅が小さい方が、強力が大きい場合があった。例えば、実施例1〜6を比較すると、実施例1と実施例6の不織布では、ストライプA及びストライプBの幅が小さい実施例1の方が、特にMD方向の10%及び20%伸長時応力で大きな値を示した。これは、ある一定の範囲でのストライプAの合計本数が多くなることで、水流交絡の際の柱状水流がすぐ隣の柱状水流と干渉して(例えば、鉛直方向から逸れたりすることにより)、エネルギーロスする確率が減少するため、無地よりも強力が大きくなる模様においては、不織布全体での強力が大きくなるためであると思われる。また、この場合には、上述したようにエネルギーロスが減少するため、製造コストが減少する。
【0118】
また、ストライプB及びストライプCが規則的な模様を有し、ストライプAが無地の模様を有する実施例15〜41の不織布については、実施例1〜14の不織布であって、ストライプの各々の幅が同じで、規則的な模様と無地の模様とが入れ替わっている不織布と比べると、MD方向及びCD方向の破断強力の値が、上回っていた。実施例16の不織布と、対応する実施例1の不織布はその一例である。
【0119】
次に、実施例1〜41および比較例1〜7の不織布について、下記に示す方法で拭き取り特性を評価した。
【0120】
[拭き取り特性]
ガラス面上にJISダスト7種を7×20cmの広さに均一に0.50g分散し、あらかじめ質量を測定しておいた、実施例1〜14および比較例1〜7の不織布(縦7cm、横12cm)で、上記ダストを拭き取った。拭き取りは、拭き取りに寄与する面積が35cm2となるように不織布をスポンジに取付け、500gの加重をかけた状態で行った。ストライプの長手方向と垂直の方向に2往復させた後の不織布の質量を測定し、下記(式1)によりダスト吸着率を算出し、下記基準に従った拭き取り特性について評価した。その結果を、実施例1〜14及び比較例1〜7については表5に、実施例15〜41については表6に示している。
【0121】
ダスト吸着率(%)=(拭き取り後質量−拭き取り前質量)/0.5×100(式1)
[拭き取り特性評価基準]
×:ダスト吸着率が10%未満
○:ダスト吸着率が10%〜14%
◎:ダスト吸着率が15%以上
【0122】
【表5】

【0123】
【表6】

【0124】
表5及び表6に記載の結果から分かるように、実施例1〜14及び実施例15〜41のストライプが形成された不織布のダスト吸着率は、比較例1の全面が無地の不織布のダスト吸着率の値以上の数値を示している。特に、1個のストライプ群に含まれる規則的な模様を有するストライプAの本数が多いと、より高いダスト吸着率を示している。また、比較例5〜7の従来のストライプ模様が等間隔に並んだ不織布と比べると、ストライプA及びストライプBと異なる幅をもつストライプCを有する本願の実施例1〜14及び実施例15〜41の不織布の方が、高いダスト吸着率を示している。また、各々のネットA、B、及びCを比べると、ネットBが比較的より良い拭き取り性を示した。これは、ネットBによる杉綾模様の不織布が、拭き取り面のより奥にダストを送り込みやすい構造になっているためと思われる。また、同じネットを用いた不織布同士で比較すると、ある一定の範囲で規則的な模様を有するストライプAの幅の合計が同じ場合は、ストライプ群に含まれるストライプAの本数を多くした方が、及び/又は、ストライプ群に含まれるストライプA及びストライプBの幅が小さい方が、より良い拭き取り性を示した。これは、同じ幅の規則的な模様を有するストライプAを有している条件では、ストライプAの本数が多い方が、及び/又は、ストライプAの幅が小さい方が、ストライプAとストライプBによる凹凸の変化が多くなるためと思われる。これは、ストライプB及びストライプCが規則的な模様を有し、ストライプAが無地の模様を有する不織布にも同様の傾向が見られ、ストライプA、ストライプB、及びストライプCの幅が細い方(実施例15〜17、22〜26、31〜35、40、41)が、ダスト吸着率の値は上回っていた。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明の不織布は、吸収性物品の表面シート、ガーゼなどのメディカル資材、テーブルクロス等にも有用であり、特に精密ワイパー、清掃用ワイパー、対人・対物用のウェットワイパー、ふきんなどの拭き取り材に好適である。本発明の不織布は、構成繊維が親水性繊維を30質量%含む場合は、対人・対物用のウェットワイパー、ウェットティッシュ、あるいは使い捨ておしぼりなどの湿潤性拭き取り材に好適である。また、非相溶性の2成分の樹脂からなり、繊維断面において少なくとも1成分が2個以上に分割されてなる分割型複合繊維を50質量%以上含む場合、本発明の不織布は、OA機器用ワイパー、精密ワイパーなどの高性能拭き取り材に好適である。
【符号の説明】
【0126】
1、11、21、41、51 不織布
2、12、22、42、52 ストライプA
3、13、23、43、53 ストライプB
4、14、24、44、54 ストライプ群
5、15、25、45、55 ストライプC
6 開孔
7 凸部
8 凹部
9 オリフィス群a
10 オリフィス群b
30 オリフィス
31 オリフィス群c
32 オリフィス群d

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維集合物の構成繊維の一部が水流交絡により再配列されて形成され、規則的な模様を有し且つ相互に離間したストライプを複数有することにより、ストライプ模様を呈している不織布であり、
ストライプAとストライプBとが交互に並んだストライプ群を有し、
前記ストライプ群は複数有しており、前記ストライプ群は相互に離間し、隣り合う一対のストライプ群間にはストライプCを有し、
ストライプA、ストライプB、及びストライプCは、隣り合うストライプの模様と異なる模様を有し、
ストライプA及び/又はストライプBが規則的な模様を有する不織布。
【請求項2】
前記ストライプの長手方向は、前記不織布のMD方向(縦方向)と平行である請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
前記ストライプAの幅は2〜25mmであり、前記ストライプBの幅は2〜25mmである請求項1又は2に記載の不織布。
【請求項4】
前記ストライプCの幅が、前記ストライプA及び前記ストライプBの幅よりも大きい幅である請求項1〜3のいずれかの項に記載の不織布。
【請求項5】
繊維集合物の構成繊維の一部を、規則的な模様を有する所定の支持体上で水流交絡させることにより、前記構成繊維の一部が再配列された複数のストライプを発現させて、ストライプAとストライプBとが交互に並んだストライプ群と、相互に離間した複数の前記ストライプ群の間にストライプCとを、ストライプA、ストライプB、及びストライプCが隣り合うストライプの模様と異なる模様を有し、且つ、ストライプA及び/又はストライプBが規則的な模様を有するストライプ模様を形成する工程を含む不織布の製造方法。
【請求項6】
前記水流交絡に使用するノズルのオリフィスが、複数のオリフィス群aと、前記オリフィス群aの中でさらに複数に分かれて存在するオリフィス群bを含む請求項5に記載の不織布の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかの項に記載の不織布を含む拭き取り材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−21310(P2011−21310A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138788(P2010−138788)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000002923)ダイワボウホールディングス株式会社 (173)
【出願人】(300049578)ダイワボウポリテック株式会社 (120)
【Fターム(参考)】