不織布及びこれを用いた吸収性物品
【課題】液体の引き込み性が良く、柔らかなクッション性を有し押圧したときの戻りが良く、特に排泄物の捕集性に優れた、表面シート等として好適に利用することができる不織布を提供する。
【手段】第1面側に突出する第1突出部と第2面側に突出する第2突出部とが面内の第1方向と第2方向との2つの方向に向け壁部を介して複数交互に広がり連続した不織布であって、前記壁部は環状構造を形成しており、前記第1突出部の繊維密度(r1)は第2突出部の繊維密度(r2)よりも低い不織布。
【手段】第1面側に突出する第1突出部と第2面側に突出する第2突出部とが面内の第1方向と第2方向との2つの方向に向け壁部を介して複数交互に広がり連続した不織布であって、前記壁部は環状構造を形成しており、前記第1突出部の繊維密度(r1)は第2突出部の繊維密度(r2)よりも低い不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不織布及びこれを用いた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、パンティーライナー、及び使い捨ておむつ等といった吸収性物品において、その機能に応じて、シート材の片面に突出した部分を設けたものや、筋状に隆起した部分を設けたもの、多数の小さな孔をあけたものなどが開発されている。例えば、特許文献1に開示されたものは、シートの片面側に突出した円錐台状の突出部が多数設けられている。これにより、表面シートに適したクッション性を有するシート材とすることができるとされる。特許文献2,3には凹凸ないし起伏のあるシート材において、多数の小孔が設けられたものが開示されている。これにより、表面シートとしての諸物性が良化するとされる。また、特許文献4にはシート材の片面が筋状に延びる突出部であり、その断面がかまぼこ(略半円)形状にされた積層シートが開示されている。これにより、例えばクッション性のある表面シートとして用いることができるとされる。
【0003】
【特許文献1】特開2008−289662号公報
【特許文献2】特開平03−137258号公報
【特許文献3】特開平08−246321号公報
【特許文献4】特開2008−25081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、上述のようなものとは異なる形態を有し、従来とは異なる性質やより良化した機能を付与しうる不織布の提供を目的に鋭意研究開発を行った。具体的には、シート材の片面側のみではなく、表裏両面に突出した部分を有し、しかも面内に孔がなく連続した不織布の作製を検討した。
上記の点に鑑み本願発明は、液体の引き込み性が良く、柔らかなクッション性を有し押圧したときの戻りが良く、特に排泄物の捕集性に優れた、表面シート等として好適に利用することができる不織布の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1面側に突出する第1突出部と第2面側に突出する第2突出部とが面内の第1方向と第2方向との2つの方向に向け壁部を介して複数交互に広がり連続した不織布であって、前記壁部は環状構造を形成しており、前記第1突出部の繊維密度(r1)は第2突出部の繊維密度(r2)よりも低い不織布。
【発明の効果】
【0006】
本発明の不織布は、液体の引き込み性が良く、柔らかなクッション性を有し押圧したときの戻りが良く、特に排泄物の捕集性に優れ、表面シート等として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の不織布の一実施形態(実施形態1)における表面シートを一部断面により模式的に示す斜視図である。
【図2】図1の不織布における領域IIを拡大して示す断面図である。
【図3】図1の不織布におけるIII−III線断面を拡大して示す断面図である。
【図4】図1の不織布におけるIV−IV線断面を拡大して示す断面図である。
【図5】第1突出部と第2突出部との関係を平面視により模式的に示す説明図である。
【図6】壁部の繊維配向の状態を展開して模式的に示す説明図である。
【図7】第2突出部の繊維配向の状態を平面視により模式的に示す説明図である。
【図8】実施例で作製したシートの図2に示した模式図と対応した断面を撮像した図面代用写真である。
【図9】図8に示したシートを厚み(T)方向に押圧したときの状態の断面を撮像した図面代用写真である。
【図10】実施例で作製したシートの第1面側から撮像した図面代用写真である。
【図11】本発明の一実施形態のおむつを模式的に表す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の不織布の好ましい実施形態(実施形態1)である吸収性物品の表面シートの要部を模式的に示す一部断面斜視図である。図2は図1の不織布における領域IIを拡大して示し、図3及び図4はそれぞれそのIII−III線断面及びIV−IV線断面を示す拡大断面図である。この不織布10は例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の表面シートに適用することが好ましく、第1面側z1(図2参照)を着用者の肌面側に向けて用い、第2面側z2を物品内部の吸収体(図示せず)側に配置して用いることが好ましい。以下、上記図面に示した不織布10の上記のとおり第1面側を着用者の肌面に向けて用いる実施態様を考慮して説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
【0009】
本実施形態の不織布10は面方向に連続した構造を有している。この「連続」とは、断続した部分や小孔がないことを意味する。ただし、繊維間細孔のような微細孔は前記小孔には含まれない。これを区別していうときには、例えば小孔をその円相当直径で1mm以上のものと定義することができる。上記の「連続」の語には、積層シートであることも含まれるが、本実施形態においては積層していない単層のシートをその好ましい実施形態として示している。また、この「連続」という語の意味を、不織布の第1面側z1の面と第2面側z2の面とが実質的に連なっていると表現することもできる。ここでの実質的に連なるとは、上記のとおりに、本発明の効果を損なわない範囲で小孔を有さずそれより小さな微細孔を有していてもよい意味である。
【0010】
本実施形態の不織布10の第1面側には、多数の第1突出部1が縦横の2つの方向に面内で斜交する関係で延び配列されている(以下、この配列を斜交格子状配列ということがある。)。この格子状配列が直交(90°)する関係でもよく、そのときには直交格子状の配列として区別していうことがある。本実施形態においては、その面内における第1方向(x)と第2方向(y)(図5参照)が、30°〜90°の角度で交差していることが好ましい。さらに本実施形態においては、不織布の第2面側に突出する多数の第2突出部2が形成されている。この第2突出部2も斜交格子状配列になっているが、直交格子状配列であってよい。その交差角度の好ましい範囲は、第1突出部1に伴って定まるため、上記と同様である。この第1突出部1と第2突出部2とは、シート面に対して互いに反対方向に突出している。そして、平面視においても側面視においても同一位置にない、つまり重なりのない関係で両者が交互に配置するようにされている。
【0011】
上記のようにして面内の第1方向(x方向)及び第2方向(y方向)にそれぞれ延び配列された第1突出部1と第2突出部2とは、面状に矛盾無く連続し、不織布10を構成している。ここで、矛盾無く連続するとは、特定の形状部分が連なって面状になるとき、屈折したり不連続になったりせず、緩やかな曲面で全体が連続した状態になることをいう。なお、上記第1突出部と第2突出部との配列形態は上記に限定されず、矛盾無く連続しうる配列で配置しうる形態であればよく、例えば、第1突出部を中心に6角形の頂点に6つの第2突出部が配置し、そのパターンが面内に広がる配列であってもよい。なお、この場合、第2突出部の数が第1突出部の数を上回るため、第2突出部同士が隣接する状態が生じるが、全体において連続したシート状態が構成される限りにおいて、このような形態の配列も第1突出部と第2突出部とが「交互」に配列したという意味に含まれる。
【0012】
本実施形態において第1突出部1及び第2突出部2は頂部に丸みをもった円錐台形状もしくは半球状にされている。より詳細にみれば、第1突出部の突出形状は尖鋭ではなくどちらかというと半球状であり、他方、第2突出部の突出形状はより尖鋭であり頂部に丸みのある円錐ないし円錐台形状になっている。なお、本実施形態において突出部は上記形状に限定されず、どのような突出形態でもよく、例えば、様々な錐体形状(本明細書において錐体形状とは、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等を広く含む意味である。)であることが実際的である。本実施形態において第1突出部及び第2突出部はその外径と相似する頂部に丸みのある円錐台形状もしくは半球状の内部空間1k、2kを保持している。それぞれの内部空間1k及び2kは、尾根部6を介して隔てられており実質的に連続しない空間として形成されている。他方、第1突出部1と第2突出部2のシート厚み方向における間には、壁部3が構成されており、この壁部3ないし上記尾根部6を介して両突出部が連続するシート構造とされている。
【0013】
ここで上述した本実施形態の不織布の基本構造に基づく作用について説明する。
・クッション性
本実施形態の不織布は表裏の片面だけではなく、両面において突出した部分を有するため、その構造に特有のクッション性を発現する。例えば筋状の突起や片面の突起ではどうしても線ないし面としての弾力性を発現することとなるが、本実施形態によれば三次元的な動きに対してもよく追従して両面において点(圧力変化によって面で接触しその接触面積が増減する)で支持された立体的なクッション性を奏する。また、詳細については後述するが、壁部3においてはその壁の起立する方向に向け配向した繊維の配向性を有する。そのため、ここにしっかりとしたコシが生まれ、繊維が厚み方向に潰れてしまうことのない適度のクッション性を実現する。さらに、上述した壁部の繊維配向性により、押圧力を受けて不織布が潰されても、その形状復元力が大きく、梱包状態や着用が継続されても初期のクッション性を喪失しにくい。
・肌触り
本実施形態の不織布には両面方向に第1及び第2の突出部があり、その頂部は丸みを帯びている。そのため、そのどちらの面を肌面側にしても、表面シートが肌に対して点で柔らかく接触する良好な肌触りが実現される。また、装着時の圧力に対しても接触する点が面状に増減することで肌触りを良好としながら、圧力に対する表面シート全体の形状変形を少なく抑えることができ、また、圧力変形からの形状復元も容易とすることができる。上記の良好なクッション性に起因する作用もあり、点接触による動的な作用と相俟って、独特の良好な肌触りが得られる。また、排泄等を受けたときにも、上述した点接触が効果を奏し、サラッとした肌触りが実現される。
・排泄物の捕集性
本実施形態の不織布10においては、その両面に突出する第1突出部1及び第2突出部2がある。そしてそのそれぞれに、内部に形成された第1内部空間1k及び第2内部空間2kがある。したがって、排泄液や排泄物の物性に応じて多様な形態でこれらを捕集し対応することができる。例えば、図1の不織布10の第1面側z1を肌面側としたと想定して説明すると、粘度が高く浸透性の低い排泄物であれば、表面シートを透過せずに、内部空間2kに一時その排泄物がストックされる。一方、粘度が低く透過しやすい排泄液であれば、表面シートを透過したのち、内部空間1kに、あるいはその下方に下層シートがある場合にはその上にこれが捕集される。このいずれの場合にも、肌面にまず当たる部分が第1突出部の頂部11であり、上記捕集された排泄液ないし排泄物は肌に接触しにくくされている。これにより、尿や便、経血やおりものの排泄ののちにも、幅広く対応して極めて良好なサラッと感じが持続される。
【0014】
さらに本実施形態の特徴である排泄物の捕集性について説明する。本実施形態の不織布は、使い捨ておむつの表面シートとして用いたときに特に効果的であり、高粘性ないしスラリー状の軟便の捕集及び拡散防止性に優れる。これは、上述したように第2突出部の内部空間2kが特に機能し捕集性を発揮するが、このとき内部空間2kが後述のように連結部(尾根部)6で隔てられ独立で存在し、かつ加圧時に第2突出部2が変形し難いので隣接する内部空間に軟便が流出しにくいという作用による。その結果、軟便の拡散が抑制され、例えば軟便がおむつから漏れ出してしまうような事態を防ぐことができる。また、柔軟に変形する第1突出部が肌に対する支持部として機能し、また壁部のコシが耐圧縮性の独立した内部空間2kを維持する働きをする。これにより、第2突出部の内部空間2kに一度捕集された軟便は、そのカップ状構造の空間に捕集されたままとなり、乳幼児等の動きやおしりを付いてお座りをしたときにも軟便の過度の拡散が抑制される。また、本実施形態の不織布にかけられた圧力は、まず肌と接する第1突出部の接触点が面形状に広がる変形により面で分散(圧力緩和面)し、その後、さらにカップ状構造の上面部分が一気に接することによる圧力緩和面が加わることになり、その形状が保持されやすい。また、柔らかく肌にやさしい触り心地であり、第1突出部及び壁部支持作用により一度排泄された軟便も肌に付着しにくく、べた付きのない着用感があり、肌荒れが好適に防止される。軟便の拡散抑制効果と肌への付着しにくさは、後に記載の軟便肌付着量と軟便拡散面積の評価で表される。
【0015】
本実施形態における繊維配向性を含め本実施形態の不織布のより詳細な特徴について、その形状をモデルとして簡略化して示した図5〜7に基づいて説明する。本実施形態の不織布には第1突出部1と第2突出部2(破線で示した)とがあり、図5ではそれらがそれぞれ単純な円として示されている。それらの円の大きさは、区別のため若干異なるものとしており、図1等に示した形態とその寸法等において一致するものではない。本実施形態の不織布においては、第1突出部1と第2突出部2とが格子状配列になって配置されている。これを、別の言い方で示すと、所定方向に第1列k1、第2列k2、第3列k3、としてみたとき、各列の第1突出部1と第2突出部2とは交互に配置されており、各列の突出部をシート面内で各列に斜交する方向(y方向)に投影したときに、隣接する列において第1突出部と第2突出部とが重なる関係となる。さらに言うと、第n列と第n+2列において、第1突出部1と第2突出部2とがそれぞれ重なる状態とされている。つまり、本実施形態においては、列k1の第1突出部及び第2突出部がy方向に平行移動したとき、列k3の第1突出部及び第2突出部と重なる関係とされている。ただし、本発明がこれに限定して解釈されるものではなく、上記隣接する第1突出部と第2突出部とにずれがあってもよい。
【0016】
第1突出部1と第2突出部2との間には、壁部3が形成されている。図5に示した中央の第1突出部1でみると、四方の第2突出部2から連続してくる4つの壁部部分31、32、33、34が形成されている。そして、その4つの壁部部分31〜34はシート面内方向で壁部部分31’、32’、33’、34’で連繋されており、一連になり環状の壁部3が構成されている。前記壁部部分31’、32’、33’、34’の第1面側で隣接する第1突出部との間には馬の背になった稜線部分が存在し、その部分が尾根部(連結部)6となり上記壁部部分31’〜34’のそれぞれに対応して、尾根部61〜64が形成されている。なお、本発明において「環状」とは平面視において無端の一連の形状をなしていれば特に限定されず、平面視において円、楕円、矩形、多角形など、どのような形状であってもよい。シートの連続状態を好適に維持する上では円又は楕円が好ましい。さらに、「環状」を立体形状としていえば、円柱状、斜円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭斜円錐状、切頭楕円錐状、切頭四角錐状、切頭斜四角錐状など任意の環構造が挙げられ、連続したシート状態を実現する上では、円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭楕円錐状が好ましい。
【0017】
上記の尾根部(連結部)6により第1突出部同士は繋がっており、第2突出部同士は隔てられている。図5に基づいて具体的にいうと、尾根部(連結部)61〜64により第1突出部同士は繋がっていて、独立したカップ状構造である内部空間2kを形成する。他方、尾根部(連結部)61〜64により第2突出部同士はそれぞれ隔てられ、連続した内部空間1kを形成する。これにより、圧力への変動追従性が向上し良好な着用感を実現するとともに、排泄物を捕集した後の閉塞性に優れ、その拡散を効果的に抑制・防止することができる。つまり、無加圧時においては、内部空間2kが連結部(尾根部)で隔てられ独立に存在することにより、便注入時の拡散抑制効果に優れ、加圧時には、第1突出部は変形するものの、尾根部で変形がとどまるため、排泄物を捕集した後の閉塞性に優れ、その拡散をより効果的に防ぐことができる。なお、本発明において尾根もしくは尾根状とは第1突出部の内部空間1kもしくは第2突出部の内部空間2kを谷としてみたときに、谷と谷との間の山地突起状部の連続した部分をいい、通常不織布シートの面方向とほぼ同一方向の面を有している。
【0018】
本実施形態の不織布においては、第1突出部における繊維密度が第2突出部における繊維密度よりも小さい。これにより、第1突出部においては押圧に対して適度に潰れ肌に刺すような感じを与えず良好な肌当たりを実現することができる。一方、第2突出部は潰れにくく、排泄物を捕集した後の保形成に優れ、型崩れせずに良好なクッション性と捕集物の拡散防止性に優れる。繊維密度は、1mm2辺りの繊維本数を計測することで評価した。つまり、1mm2辺りの繊維本数が多いほど繊維密度は高いことになる。
第1突出部における繊維密度は上記理由から、30本/mm2〜130本/mm2が好ましく、50本/mm2〜100本/mm2がより好ましい。第2突出部における繊維密度は上記理由から、250本/mm2〜500本/mm2が好ましく、300本/mm2〜450本/mm2がより好ましい。また、第1突出部における繊維密度と第2突出部における繊維密度の差は、150本/mm2以上であることが好ましい。
【0019】
本実施形態において、3.5×103Paの加圧条件下の厚さ(Tp)は微小加圧時(0.05×103Pa)の厚さ(T)の20〜70%であることが好ましく、30〜60%であることがより好ましい。加圧条件下の厚さ(Tp)が微小加圧時の厚さ(T)の上記上限値以下であると、着用者の動きや着座をしたときに柔軟に変形し、硬さを感じ難いため好ましい。また、上記下限値以上では不織布が完全につぶれてしまうことがなく、その立体形状が保持できるため、排泄物の捕集性を十分に発揮できる。すなわち、本実施形態においては、加圧条件においても不織布が完全につぶれてしまうことがなく、その立体形状が維持されるため、上述のようなクッション性及び排泄物の捕集性・拡散防止性を示す。シート厚さ(T)の好ましい範囲は後述する。
【0020】
図6(a)は図5に示した壁部3を展開して長方形のモデルで示したものであり、そこに図示された線g1a、g1bは繊維の配向方向を示している。壁部部分の位置を表すために、さらに、上記環状の壁部を円柱として、その母船に直交する面で切断した横断面でみたときに中心からみて90°ごとに異なる位置として31〜34の符号を加入して示している。図6(a)に示したように、本実施形態の壁部3は前記第1方向と第2方向とで定義される面方向の実質的にいずれの箇所においても壁部の起立方向(第1突出部と第2突出部とを結ぶ方向)に配向している。ここで実質的にとしたのは、一部において配向性のないところを含んでいてもよく、上述したような各作用を好適に示す範囲で全体におよんでいればよいことを示す。典型的には、後述する従来例のように、MD方向とCD方向とで異なる配向性を有するものではないことをいい、少なくともMD方向とCD方向とで上記所定の繊維配向性を有することが好ましい。なお、「MD」は不織布等のシート材が製造時に流れる方向をいい、「Machine Direction」の略語である。流れ方向ともいう。「CD」は上記MDに直交する方向であり、「Cross Direction」の略語である。
なお、本実施形態においては、0°位置(壁部部分31)と180°位置(壁部部分33)は第2面側(z2)側に偏倚した状態でその強い配向性(線g1b)を示す部分が位置しており、他方、90°位置(壁部部分32)と270°位置(壁部部分34)は第1面側(z1)側に偏倚した状態でその強い配向性(線g1a)を示す部分が位置している。同図では図が混み合うため図示していないが、壁部部分31’〜34’においても同様であり、全面的に同様の繊維配向性を有している。ただし、強い配向性を示す壁部部分は31、32、33、34と変化するその中間位置で全体において漸次変化する環状の壁部の配向性の構造を構成している。これにより本実施形態において特有のクッション性を生じることは前述のとおりである。
一方、例えば、繊維ウェブを賦形する前に融着し所定の配向性が与えられた不織布にエンボス加工等によりくぼみを与えた場合は、くぼみを与えるときにはすでに繊維同士が融着しているため、繊維の配向性に変化が生じず、通常図6(b)のように環状の壁部を平面視において90°ごとに分割してみると、融着された時のシートの繊維配向性が残り、その分割位置ごとに繊維配向性が変わることとなる。具体的には同図に示したとおり壁部部分31、33ではその起立方向(線g1c)に繊維が配向するが、壁部部分32、34ではそれと直交する方向(線g2)に繊維が配向する。これは、通常不織布を製造するときに、そのMD方向に繊維が配向しそのまま融着されるため、MD方向断面における壁部の繊維はその起立方向に繊維が配向するものの、CD方向断面においては、起立方向とは直行する方向に繊維が配向することとなる。
【0021】
本実施形態においては上述のように壁部の繊維は前記第1突出部と第2突出部とを結ぶ方向に沿った繊維配向性を有する。つまり、壁部においては、厚さ方向に繊維が配向性を有している。本発明において、厚さ方向に繊維が配向性を有するとは、厚さ方向に、繊維が並びそろった状態を有していることをいい、具体的には、後述する測定方法において、配向角50°〜130°、且つ配向強度1.05以上であることをいう。
【0022】
図7は図5に示した第2突出部2を1つ取り出した状態で繊維の配向方向(線g3)をモデル的に示している。その位置を特定するために壁部部分の符号をその対応する位置に付している。同図に示したとおり、本実施形態においては、第2突出部2の頂部21に向かって収束する放射状の繊維配向性を有している。このことはつまり、上記壁部との関係を併せていうと、壁部3から第2突出部2にわたってそのシート面の面方向に沿って第2突出部の頂部21に向かって収束するように繊維が配向していることを示している。このように、第2突出部頂部21に放射上の繊維配向性があることで、シートにコシが生まれ、加圧条件において立体が保持されるため、上述のようなクッション性及び排泄物の捕集性、拡散防止性を奏する。
【0023】
本実施形態において、前記第2突出部頂部における厚さ方向の繊維配向性(q21)は、前記壁部の厚さ方向の繊維配向性(q3)よりも小さくされており、一般的な不織布と同程度の値をとる。これにより、不織布シートのMD方向及びCD方向の引張強度を高く保つことが出来、製造時にシートが破断したり、引き伸ばされたりするのを防ぐことが出来る。かかる観点から、配向角q3は50°〜130°であり、配向強度1.05以上であることが好ましい。配向角q21は0°以上50°未満又は130°超180°以下であることが好ましく、また、配向強度1.05未満であることが好ましい。
【0024】
本実施形態においては、前記第1突出部の繊維量(u1)と前記第2突出部の繊維量(u2)とが実質的に等しいものとされている。本発明において繊維量の測定方法は特に断らない限り下記に示した方法によるものである。これにより、圧力等による変形時に座屈しにくくなり、圧力開放時の形状復元が起こりやすく好ましい。また、不織布における上記繊維量が略等しいことによって、不織布の強度等の物性値が安定し、繊維ムラによる感触の変化や破れが起こりにくく好ましい。
なお、繊維量が実質的に等しいとは機能上有意な差が生じない程度であればよい。なお、繊維量とは坪量ないし目付けと同義であり、特に断らない限り、下記の方法で測定した方法による。
【0025】
本実施形態の不織布においては、第1突出部における繊維融着点数(n1)が第2突出部における繊維融着点数(n2)よりも少ない。これにより、第1突出部においては押圧に対して適度に潰れ肌に刺すような感じを与えず良好な肌当たりを実現することができる。一方、第2突出部は潰れにくく、排泄物を捕集した後の保形成に優れ、型崩れせずに良好なクッション性と捕集物の拡散防止性に優れる。繊維融着点数は、1mm2辺りの繊維の融着点数を数えることで導いた。繊維融着点数n1は上記理由から、30個/mm2〜130個/mm2が好ましく、50個/mm2〜100個/mm2がより好ましい。繊維融着点数n2は上記理由から、250個/mm2〜500個/mm2が好ましく、300個/mm2〜450個/mm2がより好ましい。
【0026】
本実施形態の不織布における寸法諸元について以下に説明する。
シートの厚さについては、不織布10の全体としてみたときの微小加圧時(0.05×103Pa)の厚さをシート厚み(T)といい、その凹凸に湾曲したシートの局部的な厚さを層厚み(S)として区別する(図2参照)。シート厚み(T)は用途によって適宜調節すればよいが、おむつや生理用品等の表面シートとして用いることを考慮すると、2mm〜6mmが好ましく、3mm〜5mmがより好ましい。その範囲とすることにより、着用者に適度なクッション性を与え、排泄物の捕集性に優れ、吸収体からの液戻りを防ぐことができる。層厚みは、シート内の各部位において異なっていてよく、用途によって適宜調節すればよい。おむつや生理用品等の表面シートとして用いることを考慮すると、第1突出部頂部の層厚み(S1)は0.2mm〜3mmであることが好ましく、0.6mm〜2mmがより好ましい。好ましい層厚みの範囲としては第2突出部頂部の層厚み(S2)及び壁部の層厚み(S3)も同様である。各層厚み(S1)、(S2)、(S3)の関係は、S1>S3>S2であることが好ましい。これにより、第1突出部においては繊維密度が低く、繊維融着点数が少なくなり、押圧に対して適度に潰れ肌に刺すような感じを与えず良好な肌当たりを実現することができる。一方、壁部、第2突出部は繊維密度が高く、繊維融着点数が多くなり、潰れにくく、排泄物を捕集した後の保形成に優れ、型崩れせずに良好なクッション性と捕集物の拡散防止性に優れる。
【0027】
本実施形態においては、第1突出部1、第2突出部2、壁部3がシート厚み(T)において3等分されており、各部の区分は特に断らない限りこのようにして定義する。したがって、これらの厚みはシート厚み(T)によって自ずと定まる(P1=P2=P3)。ただし、第1突出部1と第2突出部2との頂部の尖度ないし曲率が異なるときには、断面において直線状になった比較的狭い部分を壁部3とし、そこから湾曲しし丸みを帯びいく領域をそれぞれ第1突出部1及び第2突出部2としてもよい(P1,P’2,P’3参照)。後者の定義によるなら、本実施形態の不織布10においては、第2突出部2の厚み(P’2)が第1突出部1の厚み(P1)より大きく、全体において厚み方向に偏倚のある形態とされている。換言すれば、本実施形態においては、第1突出部頂部1の頂部11の曲率半径が第2突出部頂部2の頂部21の曲率半径より大きくされている。
【0028】
第1面側の半身厚み(t1)及び第2面側の半身厚み(t2)も上記と同様であり、基本的には、シート厚み(T)を2等分した線を中央線(中央面)mとし、両半身厚み(t1,t2)が等しいものとしてみる。ただし、第1突出部1と第2突出部2との頂部における尖度もしくは曲率半径に差がある場合には、壁部の断面直線状部分の中央と評価される位置m’で区分し定義することができる。本実施形態の不織布は、後者の定義によるならば、第1面側の半身厚みt1<第2面側の半身厚みt2とされている。
【0029】
第1突出部1及び第2突出部2がなす列の間隔n(図5参照)は、用途によって適宜調節すればよいが、おむつや生理用品等の表面シートとして用いることを考慮すると、1mm〜15mmが好ましく、3mm〜10mmがより好ましい。
【0030】
本実施形態の不織布のもつ坪量は特に限定されないが、シート全体の平均値でいうと、15〜50g/m2であることが好ましく、20〜40g/m2であることがより好ましい。
【0031】
本実施形態の不織布10の製造方法はこの種の製品に一般的な方法を適宜採用すればよい。一例を挙げると、下記のような態様が挙げられる。融着する前の繊維ウェブを、所定の厚みとなるようカード機からウェブ賦形装置に供給する。ウェブ賦形装置では、多数の突起9(図2参照)を有し通気性を有する台座(図示せず)の上に上記繊維ウェブを定着させる。次いで、その台座上の繊維ウェブに熱風h(図2参照)を各繊維が適度に融着可能な温度で吹きつけて、前記台座上の突起9にそって繊維ウェブを賦形するとともに、各繊維を融着させる。このときの熱風の温度は、繊維ウェブを構成する熱可塑性繊維の融点に対して0〜70℃高いことが好ましく、5〜50℃高いことがより好ましい。熱可塑性繊維としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系、ポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系、ポリアクリルニトリル系等、またはこれら2種類以上からなる芯鞘型、サイドバイサイド型の複合繊維等を挙げることができる。熱可塑性繊維として、低融点成分及び高融点成分を含む複合繊維を用いる場合、繊維ウェブに吹き付ける熱風の温度は、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満であることが好ましい。繊維ウェブに吹き付ける熱風の温度は、低融点成分の融点+0℃〜高融点成分の融点−10℃であることがより好ましく、低融点成分の融点+5℃〜高融点成分の融点−20℃であることが更に好ましい。繊維ウェブ及び不織布は、熱可塑性繊維を、30〜100質量%含んでいることが好ましく、より好ましくは40〜80質量%である。繊維ウェブ及び不織布は、本来的に熱融着性を有さない繊維(例えばコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維など)を含んでいてもよい。
繊維ウェブを賦形する際の熱風の風速は、賦形性と風合いの観点から20〜130m/秒とすることがより好ましく、より好ましくは30〜100m/秒である。風速がこの下限値以上であると立体感が十分となり、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮され好ましい。風速がこの上限値以下であるとシートが開孔せず、耐圧縮性が良好に維持されるため、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮でき好ましい。
連続生産を考慮すると、上記台座を搬送可能なコンベア式またはドラム式のものとし、搬送されてくる型付けされた不織布を、ロールで巻き取っていく態様が挙げられる。なお、本実施形態の不織布についてMD方向及びCD方向をどちらに向けてもよいが、図5に示したモデル図でいうと縦方向をMD方向とすることが好ましい。
【0032】
本発明の不織布に用いることができる繊維材料は特に限定されない。具体的には、下記の繊維などが挙げられる。ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等のポリオレフィン繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を単独で用いてなる繊維;芯鞘型、サイドバイサイド型等の構造の複合繊維、例えば鞘成分がポリエチレン又は低融点ポリプロピレンである芯鞘構造の繊維が好ましく挙げられ、該芯/鞘構造の繊維の代表例としては、PET(芯)/PE(鞘)、PP(芯)/PE(鞘)、PP(芯)/低融点PP(鞘)等の芯鞘構造の繊維。更に具体的には、上記構成繊維は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン複合繊維を含むのが好ましい。ここで、該ポリエチレン複合繊維の複合組成は、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンであり、該ポリプロピレン複合繊維の複合組成が、ポリエチレンテレフタレート/低融点ポリプロピレンであるのが好ましく、より具体的には、PET(芯)/PE(鞘)、PET(芯)/低融点PP(鞘)が挙げられる。また、これらの繊維は、単独で用いて不織布を構成してもよいが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
図14は本実施形態1の表面シート10を適用した使い捨ておむつを一部切欠して模式的に示す斜視図である。同図に示したおむつはテープ型の乳幼児用使い捨ておむつであり、平面に展開した状態のおむつを多少曲げて内側(肌当接面側)からみた状態で示している。なお、本実施形態の使い捨ておむつ100に、表面シート10(本実施形態1)に替え、表面シート20、30、40(本実施形態2、3、4)を適用しうることは言うまでもない。
【0033】
本実施形態の使い捨ておむつ100は、肌当接面側に配置される液透過性の表面シート(不織布)10と、非肌当接面側に配置される液不透過性のバックシート71と、これらの間に介在する吸収体73とを有する(図11参照)。表面シートとしては上記実施形態の不織布10が適用され、その第1突出面側が肌当接面とされている。本実施形態においては、バックシート71と表面シート10との間に吸収体73が介在配置されている。バックシート71は展開状態で、その両側縁が長手方向中央部cにおいて内側に括れた略砂時計形の形状を有しており、1枚のシートからなるものであっても、複数のシートからなるものであってもよい。本実施形態においては、サイドシート75がなす横漏れ防止ギャザー72が設けられており、これにより乳幼児の運動等による股関節部分における液体等の横漏れを効果的に防止しうる。本実施形態のおむつにおいては、さらに機能的な構造部やシート材等を設けてもよい。なお、図11においては各部材の配置関係や境界を厳密には図示しておらず、この種のおむつの一般的な形態とされていれば特にその構造は限定されない。
【0034】
本実施形態のおむつはテープ型のものとして示しており、背側rのフラップ部にはファスニングテープ76が設けられている。このテープ76を腹側fのフラップ部に設けたテープ貼付部(図示せず)に貼付して、おむつを装着固定することができる。このとき、おむつ中央cを緩やかに内側に折り曲げて、吸収体73が乳幼児の臀部から下腹部にわたって沿わされるように着用する。これにより排泄物が的確に吸収体73に吸収保持される。このような形態で用いることにより、特に本実施形態の不織布10を表面シートとして適用したことによる良好な肌触り、クッション性、排泄物の捕集性を示す。特に、排泄物の捕集性については、従来の線状の突出物の表面シートや小孔の開いたものでは達成できない極めて高い性能を実現することができ、例えば、乳幼児の肌を下痢便や軟便等による肌荒れから好適に保護することできる。
【0035】
本発明の不織布は、その他、各種用途に用いることができる。例えば、上述した使い捨ておむつや、生理用ナプキン、パンティーライナー、尿取りパッド等の吸収性物品の表面シートとして好適に使用することができる。その他、おしり拭きシート、清掃シート、フィルターとして利用する形態も挙げられる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定して解釈されるものではない。
【0037】
(実施例1)
(1) 表面シートの作製
芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維を坪量27g/m2となるようカード機からウェブ賦形装置に供給した。ウェブ賦形装置では、多数の突起を有し通気性を有する台座(MD方向ピッチ10mm、CD方向ピッチ5mm)の上に上記繊維ウェブを定着させた。次いで、その台座上の繊維ウェブに熱風(温度160℃、風速40m/秒)を吹きつけて、前記台座上の突起にそって繊維ウェブを賦形するとともに、各芯鞘構造の繊維を融着させた。このように熱融着して賦形した不織布を取り出し、不織布試験体1とした。微小加圧下(0.05×103Pa)での不織布試験体1の断面をキーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000により20倍で撮像した図面代用写真を図8に載せる。図9に示したのは、3.5×103Paで押圧したときのシート断面の形状である。またこの試験体1を第1面側より撮影した写真を図10に示した。図8の写真中、上方が第1突出部側であり、下方が第2突出部側となる。なお、本実例においては、MD方向を図5に示したxの方向に向けて試験体1を製造した。
(2)おむつの作製
花王株式会社の市販のベビー用おむつ(商品名「メリーズさらさらエアスルーMサイズ」)から表面シートを取り除き、その代わりに、不織布試験体1を積層し、その周囲を固定して評価用のベビー用おむつを得た。
【0038】
(実施例2)
坪量を25g/m2にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体2とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体2を用いて作製した。
【0039】
(実施例3)
坪量を30g/m2にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体3とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体3を用いて作製した。
【0040】
(実施例4)
熱風の条件を温度140℃、風速40m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体4とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体4を用いて作製した。
【0041】
(実施例5)
熱風の条件を温度180℃、風速40m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体5とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体5を用いて作製した。
【0042】
(実施例6)
熱風の条件を温度160℃、風速20m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体6とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体6を用いて作製した。
【0043】
(実施例7)
熱風の条件を温度160℃、風速80m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体7とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体7を用いて作製した。
【0044】
(実施例8)
熱風の条件を温度160℃、風速100m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体8とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体8を用いて作製した。
【0045】
(実施例9)
熱風の条件を温度200℃、風速80m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体9とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体9を用いて作製した。
【0046】
(参考例1)
熱風の条件を温度160℃、風速10m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体s1とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体s1を用いて作製した。
【0047】
(参考例2)
熱風の条件を温度160℃、風速150m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体s2とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体s2を用いて作製した。
【0048】
(比較例1)
実施例1に対して、突起のついた台座を用いず平坦な不織布試験体c1とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体c1を用いて作製した。
【0049】
(比較例2)
特開平03−137258号公報の実施例1と同様にして、独立凹部を有し、開孔を有し、第1突出部の繊維密度(r1)が第2突出部の繊維密度(r2)よりも高いことを特徴とする立体不織布を作製した。具体的には以下のとおりである。
芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維からなるウェブを定法のカード機で形成した。次いで、該ウェブを通気性を有する凹凸ネット及び平織りネットの間に挟持し、該平織りネット側から空気を噴射した。そして前記凹凸ネットの凹部にウェブを押し込むことにより、繊維の粗密部分が所定のピッチで形成されたウェブを作製した。その後、この状態のウェブを140℃の加熱空気中に通し、ポリエチレン部分を溶着し、該ウェブを一体化させた。これにより、凹凸状態が所定のピッチで形成され、凹状部分に開孔した不織布試験体c2を作製した。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体c2を用いて作製した。
【0050】
(比較例3)
不織布試験体c3は、特開平08−246321号公報に記載の方法により作製した不織布であり、独立凹部を有し、開孔を有する不織布である。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体c3を用いて作製した。
【0051】
(比較例4)
特開2008−25081号公報実施例1記載の方法に準じ、坪量を調整して不織布試験体c4を作成した。不織布試験体c4は、筋状の凹凸形状を有するため、独立凹部を持たず、開孔を有することを特徴とする。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体c4を用いて作製した。
【0052】
上記のおむつを用い、下記の測定試験を行った。
【0053】
【表1A】
【表1B】
【0054】
上記の結果より、本発明の好ましい実施形態に係る不織布(試験体1〜9)は、カップ状の空間が軟便を的確に捕集し、その拡散を効果的に抑制した。また、肌に面で接触せずに肌触りが良好であり、しかも排泄物を受けた後にも点で接触してべたついた感じを与えず、極めて良好な履き心地を実現しうることが分かる。参考例1,2は製造条件を大きく振った場合の状況を示すものである。試験体s1は、立体感が不足し、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮できない。試験体s2はシートが開孔し、耐圧縮性が悪化するため、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮できないことが分かる。
一方、比較例についてみると、試験体c1は、平坦であるため、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮できない。試験体c2、試験体c3は、開孔し、耐圧縮性が悪化するため、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮できない。試験体c4は、筋状の凹凸形状を有し、独立凹部を持たないため、軟便の拡散を抑制できず、排泄物の捕集性の効果が十分に発揮できないことが分かる。
【0055】
上記実施例で行ったものを含め各評価項目の測定方法は下記のとおりである。
【0056】
<凹凸形状>
上記不織布を水平に置き、不織布表面に凹凸がないか判定した。
○:凹凸形状あり
×:凹凸形状なし
【0057】
<独立凹部>
上記不織布を水平に置き、不織布凹部が隣接する凹部と隔てられ、独立で存在するか判定した。
○: 独立凹部あり
×: 独立凹部なし
【0058】
<開孔>
上記不織布を水平に置き、不織布凹部に開孔を有しないか判定した。
○: 開孔あり
×: 開孔なし
【0059】
<シート厚み(T)及び加圧時のシート厚み(Tp)の測定>
KES圧縮試験機(カトーテック(株)製KES FB−3)を用い、不織布について、通常モードで5.0×103Paまでの圧縮特性評価を行い、微小加圧時(0.05×103Pa)の厚み(T)と3.5×103Pa加圧時の厚み(Tp)をチャートから読み取った。
【0060】
<評価方法>
ベビー用おむつ(試験体)を水平に置き、無加圧で中央部(排尿ポイント)に、擬似軟便(ベントナイト:グリセリン:水:エマルゲン130K(商品名、花王株式会社製 界面活性剤)=28:14:114:14の比率で混合し、粘度300mPa・sに調整)を2g/秒の速度で10g注入し、5分静置した。その後、透明PET性シートを表面シートの表面上に静かに乗せ、更に透明PET性シートの上から3.5×103Paになるように重りを載せて5分間加圧した。その後、重りを取り外し、透明PET性シートを取り出し、加圧前後の透明PET性シートの重さを測定することで、透明PET性シートに付着した擬似軟便の重量を算出し、軟便肌付着量とした。また、加圧後の擬似軟便が広がった面積を測定し、軟便拡散面積とした。
【0061】
<繊維密度の測定>
不織布部分の切断面を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維断面が30から60本計測できる倍率(150〜500倍)に調整(本実施例については150倍とした)し、繊維の断面数を測定し、繊維断面数を測定した視野部分の面積を求めた。次に1mm2辺りの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度(本/mm2)とした。測定は3ヶ所行い、平均してそのサンプルの繊維密度とした。また、観察部の中心は、第1突出部及び第2突出部頂部において、図2に示した11a、11bの中点あるいは21a、21bの中点を中心部とした。
・走査電子顕微鏡;日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)
なお、第1突出部頂部第1面側11aと第1突出部頂部第2面側11b、第2突出部頂部第1面側21aと第2突出部頂部第2面側21bとは発明の構成においては機能的に区分されればよい。上記のような測定において厳密に定義するときには、該当する箇所のシート厚みTの方向にみてその厚みの半分(中点)を両者の中点とし、その第1面側が11a,21aであり、第2面側が11b,21bと区分される。
【0062】
<繊維配向性の測定>
日本電子(株)社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、図1におけるz軸方向が上下となるようにサンプルを静置し、サンプルの測定する面に対して垂直の方向から撮影した画像(測定する繊維が30から60本計測できる倍率に調整;50〜300倍)を印刷し、透明PET性上に繊維をなぞった。前記の画像をパソコン内に取り込み、株式会社ネクサス社製のnexusNewQube[商品名](スタンドアロン版)画像処理ソフトウエアを使用し、前記画像を二値化した。次いで、維配向解析プログラムである、Fiber Orientation Analysis 8.13 Single(ソフト名)を用い、前記二値化した画像から、配向角と配向強度を得た。配向角は繊維が最も配向している角度を示し、配向強度はその配向角における強度を示している。壁部の測定においては、配向角が90°に近い値ほど、起立方向に繊維が配向していることを示す。また、配向強度の値が大きいほど繊維の向きがそろっていることをあらわす。配向強度が1.05以上の場合を配向しているとする。測定は3ヶ所行い、平均してそのサンプルの配向角と配向強度とした。
【0063】
<繊維量の測定>
・キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさ(10〜100倍)に拡大し、図2に示した第1突出部頂部の厚み(S1)および第2突出部頂部の厚み(S2)を測定する。測定は、5回行い、その平均をそのサンプルの第1突出部頂部、及び第2突出部頂部の厚み(mm)とする。
・前述した繊維密度の測定方法により、1mm2辺りの繊維本数を計測する。
・繊維量は、厚み(mm)×1mm2辺りの繊維本数(本)を計測することで評価した。つまり、第1突出部頂部、及び第2突出部頂部の厚み×1mm2辺りの繊維本数がほぼ等しければ、繊維量(本/mm3)も等しいと判断した。ほぼ等しいとは、測定誤差範囲の違いを含む意味である。
【0064】
<繊維融着点数の測定>
不織布部分の切断面を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維の融着点が30から60本計測できる大きさに調整;150〜500倍)し、一定面積辺りの繊維の融着点数を数えた。また、観察部の中心は、第1突出部及び第2突出部頂部において、図2に示した11a、11bの中点あるいは21a、21bの中点を中心部とした。次に1mm2辺りの繊維の融着点数に換算し、これを繊維融着点数(個/mm2)とした。測定は、3ヶ所行い、平均してそのサンプルの繊維融着点数とした。
・走査電子顕微鏡;日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)
【符号の説明】
【0065】
1 第1突出部
11 第1突出部頂部
11a 第1突出部頂部 第1面側
11b 第1突出部頂部 第2面側
1k 第1突出部 内部空間
2 第2突出部
21 第2突出部頂部
21a 第2突出部頂部 第1面側
21b 第2突出部頂部 第2面側
2k 第2突出部 内部空間
3 壁部
6 尾根部
9 突起
10 不織布
T シート厚み
S(S1,S2,S3) 層厚み
71 バックシート
72 サイドギャザー
73 吸収体
75 サイドシート
76 ファスニングテープ
100 使い捨ておむつ
【技術分野】
【0001】
本発明は不織布及びこれを用いた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、パンティーライナー、及び使い捨ておむつ等といった吸収性物品において、その機能に応じて、シート材の片面に突出した部分を設けたものや、筋状に隆起した部分を設けたもの、多数の小さな孔をあけたものなどが開発されている。例えば、特許文献1に開示されたものは、シートの片面側に突出した円錐台状の突出部が多数設けられている。これにより、表面シートに適したクッション性を有するシート材とすることができるとされる。特許文献2,3には凹凸ないし起伏のあるシート材において、多数の小孔が設けられたものが開示されている。これにより、表面シートとしての諸物性が良化するとされる。また、特許文献4にはシート材の片面が筋状に延びる突出部であり、その断面がかまぼこ(略半円)形状にされた積層シートが開示されている。これにより、例えばクッション性のある表面シートとして用いることができるとされる。
【0003】
【特許文献1】特開2008−289662号公報
【特許文献2】特開平03−137258号公報
【特許文献3】特開平08−246321号公報
【特許文献4】特開2008−25081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、上述のようなものとは異なる形態を有し、従来とは異なる性質やより良化した機能を付与しうる不織布の提供を目的に鋭意研究開発を行った。具体的には、シート材の片面側のみではなく、表裏両面に突出した部分を有し、しかも面内に孔がなく連続した不織布の作製を検討した。
上記の点に鑑み本願発明は、液体の引き込み性が良く、柔らかなクッション性を有し押圧したときの戻りが良く、特に排泄物の捕集性に優れた、表面シート等として好適に利用することができる不織布の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1面側に突出する第1突出部と第2面側に突出する第2突出部とが面内の第1方向と第2方向との2つの方向に向け壁部を介して複数交互に広がり連続した不織布であって、前記壁部は環状構造を形成しており、前記第1突出部の繊維密度(r1)は第2突出部の繊維密度(r2)よりも低い不織布。
【発明の効果】
【0006】
本発明の不織布は、液体の引き込み性が良く、柔らかなクッション性を有し押圧したときの戻りが良く、特に排泄物の捕集性に優れ、表面シート等として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の不織布の一実施形態(実施形態1)における表面シートを一部断面により模式的に示す斜視図である。
【図2】図1の不織布における領域IIを拡大して示す断面図である。
【図3】図1の不織布におけるIII−III線断面を拡大して示す断面図である。
【図4】図1の不織布におけるIV−IV線断面を拡大して示す断面図である。
【図5】第1突出部と第2突出部との関係を平面視により模式的に示す説明図である。
【図6】壁部の繊維配向の状態を展開して模式的に示す説明図である。
【図7】第2突出部の繊維配向の状態を平面視により模式的に示す説明図である。
【図8】実施例で作製したシートの図2に示した模式図と対応した断面を撮像した図面代用写真である。
【図9】図8に示したシートを厚み(T)方向に押圧したときの状態の断面を撮像した図面代用写真である。
【図10】実施例で作製したシートの第1面側から撮像した図面代用写真である。
【図11】本発明の一実施形態のおむつを模式的に表す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の不織布の好ましい実施形態(実施形態1)である吸収性物品の表面シートの要部を模式的に示す一部断面斜視図である。図2は図1の不織布における領域IIを拡大して示し、図3及び図4はそれぞれそのIII−III線断面及びIV−IV線断面を示す拡大断面図である。この不織布10は例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の表面シートに適用することが好ましく、第1面側z1(図2参照)を着用者の肌面側に向けて用い、第2面側z2を物品内部の吸収体(図示せず)側に配置して用いることが好ましい。以下、上記図面に示した不織布10の上記のとおり第1面側を着用者の肌面に向けて用いる実施態様を考慮して説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
【0009】
本実施形態の不織布10は面方向に連続した構造を有している。この「連続」とは、断続した部分や小孔がないことを意味する。ただし、繊維間細孔のような微細孔は前記小孔には含まれない。これを区別していうときには、例えば小孔をその円相当直径で1mm以上のものと定義することができる。上記の「連続」の語には、積層シートであることも含まれるが、本実施形態においては積層していない単層のシートをその好ましい実施形態として示している。また、この「連続」という語の意味を、不織布の第1面側z1の面と第2面側z2の面とが実質的に連なっていると表現することもできる。ここでの実質的に連なるとは、上記のとおりに、本発明の効果を損なわない範囲で小孔を有さずそれより小さな微細孔を有していてもよい意味である。
【0010】
本実施形態の不織布10の第1面側には、多数の第1突出部1が縦横の2つの方向に面内で斜交する関係で延び配列されている(以下、この配列を斜交格子状配列ということがある。)。この格子状配列が直交(90°)する関係でもよく、そのときには直交格子状の配列として区別していうことがある。本実施形態においては、その面内における第1方向(x)と第2方向(y)(図5参照)が、30°〜90°の角度で交差していることが好ましい。さらに本実施形態においては、不織布の第2面側に突出する多数の第2突出部2が形成されている。この第2突出部2も斜交格子状配列になっているが、直交格子状配列であってよい。その交差角度の好ましい範囲は、第1突出部1に伴って定まるため、上記と同様である。この第1突出部1と第2突出部2とは、シート面に対して互いに反対方向に突出している。そして、平面視においても側面視においても同一位置にない、つまり重なりのない関係で両者が交互に配置するようにされている。
【0011】
上記のようにして面内の第1方向(x方向)及び第2方向(y方向)にそれぞれ延び配列された第1突出部1と第2突出部2とは、面状に矛盾無く連続し、不織布10を構成している。ここで、矛盾無く連続するとは、特定の形状部分が連なって面状になるとき、屈折したり不連続になったりせず、緩やかな曲面で全体が連続した状態になることをいう。なお、上記第1突出部と第2突出部との配列形態は上記に限定されず、矛盾無く連続しうる配列で配置しうる形態であればよく、例えば、第1突出部を中心に6角形の頂点に6つの第2突出部が配置し、そのパターンが面内に広がる配列であってもよい。なお、この場合、第2突出部の数が第1突出部の数を上回るため、第2突出部同士が隣接する状態が生じるが、全体において連続したシート状態が構成される限りにおいて、このような形態の配列も第1突出部と第2突出部とが「交互」に配列したという意味に含まれる。
【0012】
本実施形態において第1突出部1及び第2突出部2は頂部に丸みをもった円錐台形状もしくは半球状にされている。より詳細にみれば、第1突出部の突出形状は尖鋭ではなくどちらかというと半球状であり、他方、第2突出部の突出形状はより尖鋭であり頂部に丸みのある円錐ないし円錐台形状になっている。なお、本実施形態において突出部は上記形状に限定されず、どのような突出形態でもよく、例えば、様々な錐体形状(本明細書において錐体形状とは、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等を広く含む意味である。)であることが実際的である。本実施形態において第1突出部及び第2突出部はその外径と相似する頂部に丸みのある円錐台形状もしくは半球状の内部空間1k、2kを保持している。それぞれの内部空間1k及び2kは、尾根部6を介して隔てられており実質的に連続しない空間として形成されている。他方、第1突出部1と第2突出部2のシート厚み方向における間には、壁部3が構成されており、この壁部3ないし上記尾根部6を介して両突出部が連続するシート構造とされている。
【0013】
ここで上述した本実施形態の不織布の基本構造に基づく作用について説明する。
・クッション性
本実施形態の不織布は表裏の片面だけではなく、両面において突出した部分を有するため、その構造に特有のクッション性を発現する。例えば筋状の突起や片面の突起ではどうしても線ないし面としての弾力性を発現することとなるが、本実施形態によれば三次元的な動きに対してもよく追従して両面において点(圧力変化によって面で接触しその接触面積が増減する)で支持された立体的なクッション性を奏する。また、詳細については後述するが、壁部3においてはその壁の起立する方向に向け配向した繊維の配向性を有する。そのため、ここにしっかりとしたコシが生まれ、繊維が厚み方向に潰れてしまうことのない適度のクッション性を実現する。さらに、上述した壁部の繊維配向性により、押圧力を受けて不織布が潰されても、その形状復元力が大きく、梱包状態や着用が継続されても初期のクッション性を喪失しにくい。
・肌触り
本実施形態の不織布には両面方向に第1及び第2の突出部があり、その頂部は丸みを帯びている。そのため、そのどちらの面を肌面側にしても、表面シートが肌に対して点で柔らかく接触する良好な肌触りが実現される。また、装着時の圧力に対しても接触する点が面状に増減することで肌触りを良好としながら、圧力に対する表面シート全体の形状変形を少なく抑えることができ、また、圧力変形からの形状復元も容易とすることができる。上記の良好なクッション性に起因する作用もあり、点接触による動的な作用と相俟って、独特の良好な肌触りが得られる。また、排泄等を受けたときにも、上述した点接触が効果を奏し、サラッとした肌触りが実現される。
・排泄物の捕集性
本実施形態の不織布10においては、その両面に突出する第1突出部1及び第2突出部2がある。そしてそのそれぞれに、内部に形成された第1内部空間1k及び第2内部空間2kがある。したがって、排泄液や排泄物の物性に応じて多様な形態でこれらを捕集し対応することができる。例えば、図1の不織布10の第1面側z1を肌面側としたと想定して説明すると、粘度が高く浸透性の低い排泄物であれば、表面シートを透過せずに、内部空間2kに一時その排泄物がストックされる。一方、粘度が低く透過しやすい排泄液であれば、表面シートを透過したのち、内部空間1kに、あるいはその下方に下層シートがある場合にはその上にこれが捕集される。このいずれの場合にも、肌面にまず当たる部分が第1突出部の頂部11であり、上記捕集された排泄液ないし排泄物は肌に接触しにくくされている。これにより、尿や便、経血やおりものの排泄ののちにも、幅広く対応して極めて良好なサラッと感じが持続される。
【0014】
さらに本実施形態の特徴である排泄物の捕集性について説明する。本実施形態の不織布は、使い捨ておむつの表面シートとして用いたときに特に効果的であり、高粘性ないしスラリー状の軟便の捕集及び拡散防止性に優れる。これは、上述したように第2突出部の内部空間2kが特に機能し捕集性を発揮するが、このとき内部空間2kが後述のように連結部(尾根部)6で隔てられ独立で存在し、かつ加圧時に第2突出部2が変形し難いので隣接する内部空間に軟便が流出しにくいという作用による。その結果、軟便の拡散が抑制され、例えば軟便がおむつから漏れ出してしまうような事態を防ぐことができる。また、柔軟に変形する第1突出部が肌に対する支持部として機能し、また壁部のコシが耐圧縮性の独立した内部空間2kを維持する働きをする。これにより、第2突出部の内部空間2kに一度捕集された軟便は、そのカップ状構造の空間に捕集されたままとなり、乳幼児等の動きやおしりを付いてお座りをしたときにも軟便の過度の拡散が抑制される。また、本実施形態の不織布にかけられた圧力は、まず肌と接する第1突出部の接触点が面形状に広がる変形により面で分散(圧力緩和面)し、その後、さらにカップ状構造の上面部分が一気に接することによる圧力緩和面が加わることになり、その形状が保持されやすい。また、柔らかく肌にやさしい触り心地であり、第1突出部及び壁部支持作用により一度排泄された軟便も肌に付着しにくく、べた付きのない着用感があり、肌荒れが好適に防止される。軟便の拡散抑制効果と肌への付着しにくさは、後に記載の軟便肌付着量と軟便拡散面積の評価で表される。
【0015】
本実施形態における繊維配向性を含め本実施形態の不織布のより詳細な特徴について、その形状をモデルとして簡略化して示した図5〜7に基づいて説明する。本実施形態の不織布には第1突出部1と第2突出部2(破線で示した)とがあり、図5ではそれらがそれぞれ単純な円として示されている。それらの円の大きさは、区別のため若干異なるものとしており、図1等に示した形態とその寸法等において一致するものではない。本実施形態の不織布においては、第1突出部1と第2突出部2とが格子状配列になって配置されている。これを、別の言い方で示すと、所定方向に第1列k1、第2列k2、第3列k3、としてみたとき、各列の第1突出部1と第2突出部2とは交互に配置されており、各列の突出部をシート面内で各列に斜交する方向(y方向)に投影したときに、隣接する列において第1突出部と第2突出部とが重なる関係となる。さらに言うと、第n列と第n+2列において、第1突出部1と第2突出部2とがそれぞれ重なる状態とされている。つまり、本実施形態においては、列k1の第1突出部及び第2突出部がy方向に平行移動したとき、列k3の第1突出部及び第2突出部と重なる関係とされている。ただし、本発明がこれに限定して解釈されるものではなく、上記隣接する第1突出部と第2突出部とにずれがあってもよい。
【0016】
第1突出部1と第2突出部2との間には、壁部3が形成されている。図5に示した中央の第1突出部1でみると、四方の第2突出部2から連続してくる4つの壁部部分31、32、33、34が形成されている。そして、その4つの壁部部分31〜34はシート面内方向で壁部部分31’、32’、33’、34’で連繋されており、一連になり環状の壁部3が構成されている。前記壁部部分31’、32’、33’、34’の第1面側で隣接する第1突出部との間には馬の背になった稜線部分が存在し、その部分が尾根部(連結部)6となり上記壁部部分31’〜34’のそれぞれに対応して、尾根部61〜64が形成されている。なお、本発明において「環状」とは平面視において無端の一連の形状をなしていれば特に限定されず、平面視において円、楕円、矩形、多角形など、どのような形状であってもよい。シートの連続状態を好適に維持する上では円又は楕円が好ましい。さらに、「環状」を立体形状としていえば、円柱状、斜円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭斜円錐状、切頭楕円錐状、切頭四角錐状、切頭斜四角錐状など任意の環構造が挙げられ、連続したシート状態を実現する上では、円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭楕円錐状が好ましい。
【0017】
上記の尾根部(連結部)6により第1突出部同士は繋がっており、第2突出部同士は隔てられている。図5に基づいて具体的にいうと、尾根部(連結部)61〜64により第1突出部同士は繋がっていて、独立したカップ状構造である内部空間2kを形成する。他方、尾根部(連結部)61〜64により第2突出部同士はそれぞれ隔てられ、連続した内部空間1kを形成する。これにより、圧力への変動追従性が向上し良好な着用感を実現するとともに、排泄物を捕集した後の閉塞性に優れ、その拡散を効果的に抑制・防止することができる。つまり、無加圧時においては、内部空間2kが連結部(尾根部)で隔てられ独立に存在することにより、便注入時の拡散抑制効果に優れ、加圧時には、第1突出部は変形するものの、尾根部で変形がとどまるため、排泄物を捕集した後の閉塞性に優れ、その拡散をより効果的に防ぐことができる。なお、本発明において尾根もしくは尾根状とは第1突出部の内部空間1kもしくは第2突出部の内部空間2kを谷としてみたときに、谷と谷との間の山地突起状部の連続した部分をいい、通常不織布シートの面方向とほぼ同一方向の面を有している。
【0018】
本実施形態の不織布においては、第1突出部における繊維密度が第2突出部における繊維密度よりも小さい。これにより、第1突出部においては押圧に対して適度に潰れ肌に刺すような感じを与えず良好な肌当たりを実現することができる。一方、第2突出部は潰れにくく、排泄物を捕集した後の保形成に優れ、型崩れせずに良好なクッション性と捕集物の拡散防止性に優れる。繊維密度は、1mm2辺りの繊維本数を計測することで評価した。つまり、1mm2辺りの繊維本数が多いほど繊維密度は高いことになる。
第1突出部における繊維密度は上記理由から、30本/mm2〜130本/mm2が好ましく、50本/mm2〜100本/mm2がより好ましい。第2突出部における繊維密度は上記理由から、250本/mm2〜500本/mm2が好ましく、300本/mm2〜450本/mm2がより好ましい。また、第1突出部における繊維密度と第2突出部における繊維密度の差は、150本/mm2以上であることが好ましい。
【0019】
本実施形態において、3.5×103Paの加圧条件下の厚さ(Tp)は微小加圧時(0.05×103Pa)の厚さ(T)の20〜70%であることが好ましく、30〜60%であることがより好ましい。加圧条件下の厚さ(Tp)が微小加圧時の厚さ(T)の上記上限値以下であると、着用者の動きや着座をしたときに柔軟に変形し、硬さを感じ難いため好ましい。また、上記下限値以上では不織布が完全につぶれてしまうことがなく、その立体形状が保持できるため、排泄物の捕集性を十分に発揮できる。すなわち、本実施形態においては、加圧条件においても不織布が完全につぶれてしまうことがなく、その立体形状が維持されるため、上述のようなクッション性及び排泄物の捕集性・拡散防止性を示す。シート厚さ(T)の好ましい範囲は後述する。
【0020】
図6(a)は図5に示した壁部3を展開して長方形のモデルで示したものであり、そこに図示された線g1a、g1bは繊維の配向方向を示している。壁部部分の位置を表すために、さらに、上記環状の壁部を円柱として、その母船に直交する面で切断した横断面でみたときに中心からみて90°ごとに異なる位置として31〜34の符号を加入して示している。図6(a)に示したように、本実施形態の壁部3は前記第1方向と第2方向とで定義される面方向の実質的にいずれの箇所においても壁部の起立方向(第1突出部と第2突出部とを結ぶ方向)に配向している。ここで実質的にとしたのは、一部において配向性のないところを含んでいてもよく、上述したような各作用を好適に示す範囲で全体におよんでいればよいことを示す。典型的には、後述する従来例のように、MD方向とCD方向とで異なる配向性を有するものではないことをいい、少なくともMD方向とCD方向とで上記所定の繊維配向性を有することが好ましい。なお、「MD」は不織布等のシート材が製造時に流れる方向をいい、「Machine Direction」の略語である。流れ方向ともいう。「CD」は上記MDに直交する方向であり、「Cross Direction」の略語である。
なお、本実施形態においては、0°位置(壁部部分31)と180°位置(壁部部分33)は第2面側(z2)側に偏倚した状態でその強い配向性(線g1b)を示す部分が位置しており、他方、90°位置(壁部部分32)と270°位置(壁部部分34)は第1面側(z1)側に偏倚した状態でその強い配向性(線g1a)を示す部分が位置している。同図では図が混み合うため図示していないが、壁部部分31’〜34’においても同様であり、全面的に同様の繊維配向性を有している。ただし、強い配向性を示す壁部部分は31、32、33、34と変化するその中間位置で全体において漸次変化する環状の壁部の配向性の構造を構成している。これにより本実施形態において特有のクッション性を生じることは前述のとおりである。
一方、例えば、繊維ウェブを賦形する前に融着し所定の配向性が与えられた不織布にエンボス加工等によりくぼみを与えた場合は、くぼみを与えるときにはすでに繊維同士が融着しているため、繊維の配向性に変化が生じず、通常図6(b)のように環状の壁部を平面視において90°ごとに分割してみると、融着された時のシートの繊維配向性が残り、その分割位置ごとに繊維配向性が変わることとなる。具体的には同図に示したとおり壁部部分31、33ではその起立方向(線g1c)に繊維が配向するが、壁部部分32、34ではそれと直交する方向(線g2)に繊維が配向する。これは、通常不織布を製造するときに、そのMD方向に繊維が配向しそのまま融着されるため、MD方向断面における壁部の繊維はその起立方向に繊維が配向するものの、CD方向断面においては、起立方向とは直行する方向に繊維が配向することとなる。
【0021】
本実施形態においては上述のように壁部の繊維は前記第1突出部と第2突出部とを結ぶ方向に沿った繊維配向性を有する。つまり、壁部においては、厚さ方向に繊維が配向性を有している。本発明において、厚さ方向に繊維が配向性を有するとは、厚さ方向に、繊維が並びそろった状態を有していることをいい、具体的には、後述する測定方法において、配向角50°〜130°、且つ配向強度1.05以上であることをいう。
【0022】
図7は図5に示した第2突出部2を1つ取り出した状態で繊維の配向方向(線g3)をモデル的に示している。その位置を特定するために壁部部分の符号をその対応する位置に付している。同図に示したとおり、本実施形態においては、第2突出部2の頂部21に向かって収束する放射状の繊維配向性を有している。このことはつまり、上記壁部との関係を併せていうと、壁部3から第2突出部2にわたってそのシート面の面方向に沿って第2突出部の頂部21に向かって収束するように繊維が配向していることを示している。このように、第2突出部頂部21に放射上の繊維配向性があることで、シートにコシが生まれ、加圧条件において立体が保持されるため、上述のようなクッション性及び排泄物の捕集性、拡散防止性を奏する。
【0023】
本実施形態において、前記第2突出部頂部における厚さ方向の繊維配向性(q21)は、前記壁部の厚さ方向の繊維配向性(q3)よりも小さくされており、一般的な不織布と同程度の値をとる。これにより、不織布シートのMD方向及びCD方向の引張強度を高く保つことが出来、製造時にシートが破断したり、引き伸ばされたりするのを防ぐことが出来る。かかる観点から、配向角q3は50°〜130°であり、配向強度1.05以上であることが好ましい。配向角q21は0°以上50°未満又は130°超180°以下であることが好ましく、また、配向強度1.05未満であることが好ましい。
【0024】
本実施形態においては、前記第1突出部の繊維量(u1)と前記第2突出部の繊維量(u2)とが実質的に等しいものとされている。本発明において繊維量の測定方法は特に断らない限り下記に示した方法によるものである。これにより、圧力等による変形時に座屈しにくくなり、圧力開放時の形状復元が起こりやすく好ましい。また、不織布における上記繊維量が略等しいことによって、不織布の強度等の物性値が安定し、繊維ムラによる感触の変化や破れが起こりにくく好ましい。
なお、繊維量が実質的に等しいとは機能上有意な差が生じない程度であればよい。なお、繊維量とは坪量ないし目付けと同義であり、特に断らない限り、下記の方法で測定した方法による。
【0025】
本実施形態の不織布においては、第1突出部における繊維融着点数(n1)が第2突出部における繊維融着点数(n2)よりも少ない。これにより、第1突出部においては押圧に対して適度に潰れ肌に刺すような感じを与えず良好な肌当たりを実現することができる。一方、第2突出部は潰れにくく、排泄物を捕集した後の保形成に優れ、型崩れせずに良好なクッション性と捕集物の拡散防止性に優れる。繊維融着点数は、1mm2辺りの繊維の融着点数を数えることで導いた。繊維融着点数n1は上記理由から、30個/mm2〜130個/mm2が好ましく、50個/mm2〜100個/mm2がより好ましい。繊維融着点数n2は上記理由から、250個/mm2〜500個/mm2が好ましく、300個/mm2〜450個/mm2がより好ましい。
【0026】
本実施形態の不織布における寸法諸元について以下に説明する。
シートの厚さについては、不織布10の全体としてみたときの微小加圧時(0.05×103Pa)の厚さをシート厚み(T)といい、その凹凸に湾曲したシートの局部的な厚さを層厚み(S)として区別する(図2参照)。シート厚み(T)は用途によって適宜調節すればよいが、おむつや生理用品等の表面シートとして用いることを考慮すると、2mm〜6mmが好ましく、3mm〜5mmがより好ましい。その範囲とすることにより、着用者に適度なクッション性を与え、排泄物の捕集性に優れ、吸収体からの液戻りを防ぐことができる。層厚みは、シート内の各部位において異なっていてよく、用途によって適宜調節すればよい。おむつや生理用品等の表面シートとして用いることを考慮すると、第1突出部頂部の層厚み(S1)は0.2mm〜3mmであることが好ましく、0.6mm〜2mmがより好ましい。好ましい層厚みの範囲としては第2突出部頂部の層厚み(S2)及び壁部の層厚み(S3)も同様である。各層厚み(S1)、(S2)、(S3)の関係は、S1>S3>S2であることが好ましい。これにより、第1突出部においては繊維密度が低く、繊維融着点数が少なくなり、押圧に対して適度に潰れ肌に刺すような感じを与えず良好な肌当たりを実現することができる。一方、壁部、第2突出部は繊維密度が高く、繊維融着点数が多くなり、潰れにくく、排泄物を捕集した後の保形成に優れ、型崩れせずに良好なクッション性と捕集物の拡散防止性に優れる。
【0027】
本実施形態においては、第1突出部1、第2突出部2、壁部3がシート厚み(T)において3等分されており、各部の区分は特に断らない限りこのようにして定義する。したがって、これらの厚みはシート厚み(T)によって自ずと定まる(P1=P2=P3)。ただし、第1突出部1と第2突出部2との頂部の尖度ないし曲率が異なるときには、断面において直線状になった比較的狭い部分を壁部3とし、そこから湾曲しし丸みを帯びいく領域をそれぞれ第1突出部1及び第2突出部2としてもよい(P1,P’2,P’3参照)。後者の定義によるなら、本実施形態の不織布10においては、第2突出部2の厚み(P’2)が第1突出部1の厚み(P1)より大きく、全体において厚み方向に偏倚のある形態とされている。換言すれば、本実施形態においては、第1突出部頂部1の頂部11の曲率半径が第2突出部頂部2の頂部21の曲率半径より大きくされている。
【0028】
第1面側の半身厚み(t1)及び第2面側の半身厚み(t2)も上記と同様であり、基本的には、シート厚み(T)を2等分した線を中央線(中央面)mとし、両半身厚み(t1,t2)が等しいものとしてみる。ただし、第1突出部1と第2突出部2との頂部における尖度もしくは曲率半径に差がある場合には、壁部の断面直線状部分の中央と評価される位置m’で区分し定義することができる。本実施形態の不織布は、後者の定義によるならば、第1面側の半身厚みt1<第2面側の半身厚みt2とされている。
【0029】
第1突出部1及び第2突出部2がなす列の間隔n(図5参照)は、用途によって適宜調節すればよいが、おむつや生理用品等の表面シートとして用いることを考慮すると、1mm〜15mmが好ましく、3mm〜10mmがより好ましい。
【0030】
本実施形態の不織布のもつ坪量は特に限定されないが、シート全体の平均値でいうと、15〜50g/m2であることが好ましく、20〜40g/m2であることがより好ましい。
【0031】
本実施形態の不織布10の製造方法はこの種の製品に一般的な方法を適宜採用すればよい。一例を挙げると、下記のような態様が挙げられる。融着する前の繊維ウェブを、所定の厚みとなるようカード機からウェブ賦形装置に供給する。ウェブ賦形装置では、多数の突起9(図2参照)を有し通気性を有する台座(図示せず)の上に上記繊維ウェブを定着させる。次いで、その台座上の繊維ウェブに熱風h(図2参照)を各繊維が適度に融着可能な温度で吹きつけて、前記台座上の突起9にそって繊維ウェブを賦形するとともに、各繊維を融着させる。このときの熱風の温度は、繊維ウェブを構成する熱可塑性繊維の融点に対して0〜70℃高いことが好ましく、5〜50℃高いことがより好ましい。熱可塑性繊維としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系、ポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系、ポリアクリルニトリル系等、またはこれら2種類以上からなる芯鞘型、サイドバイサイド型の複合繊維等を挙げることができる。熱可塑性繊維として、低融点成分及び高融点成分を含む複合繊維を用いる場合、繊維ウェブに吹き付ける熱風の温度は、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満であることが好ましい。繊維ウェブに吹き付ける熱風の温度は、低融点成分の融点+0℃〜高融点成分の融点−10℃であることがより好ましく、低融点成分の融点+5℃〜高融点成分の融点−20℃であることが更に好ましい。繊維ウェブ及び不織布は、熱可塑性繊維を、30〜100質量%含んでいることが好ましく、より好ましくは40〜80質量%である。繊維ウェブ及び不織布は、本来的に熱融着性を有さない繊維(例えばコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維など)を含んでいてもよい。
繊維ウェブを賦形する際の熱風の風速は、賦形性と風合いの観点から20〜130m/秒とすることがより好ましく、より好ましくは30〜100m/秒である。風速がこの下限値以上であると立体感が十分となり、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮され好ましい。風速がこの上限値以下であるとシートが開孔せず、耐圧縮性が良好に維持されるため、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮でき好ましい。
連続生産を考慮すると、上記台座を搬送可能なコンベア式またはドラム式のものとし、搬送されてくる型付けされた不織布を、ロールで巻き取っていく態様が挙げられる。なお、本実施形態の不織布についてMD方向及びCD方向をどちらに向けてもよいが、図5に示したモデル図でいうと縦方向をMD方向とすることが好ましい。
【0032】
本発明の不織布に用いることができる繊維材料は特に限定されない。具体的には、下記の繊維などが挙げられる。ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等のポリオレフィン繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を単独で用いてなる繊維;芯鞘型、サイドバイサイド型等の構造の複合繊維、例えば鞘成分がポリエチレン又は低融点ポリプロピレンである芯鞘構造の繊維が好ましく挙げられ、該芯/鞘構造の繊維の代表例としては、PET(芯)/PE(鞘)、PP(芯)/PE(鞘)、PP(芯)/低融点PP(鞘)等の芯鞘構造の繊維。更に具体的には、上記構成繊維は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン複合繊維を含むのが好ましい。ここで、該ポリエチレン複合繊維の複合組成は、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンであり、該ポリプロピレン複合繊維の複合組成が、ポリエチレンテレフタレート/低融点ポリプロピレンであるのが好ましく、より具体的には、PET(芯)/PE(鞘)、PET(芯)/低融点PP(鞘)が挙げられる。また、これらの繊維は、単独で用いて不織布を構成してもよいが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
図14は本実施形態1の表面シート10を適用した使い捨ておむつを一部切欠して模式的に示す斜視図である。同図に示したおむつはテープ型の乳幼児用使い捨ておむつであり、平面に展開した状態のおむつを多少曲げて内側(肌当接面側)からみた状態で示している。なお、本実施形態の使い捨ておむつ100に、表面シート10(本実施形態1)に替え、表面シート20、30、40(本実施形態2、3、4)を適用しうることは言うまでもない。
【0033】
本実施形態の使い捨ておむつ100は、肌当接面側に配置される液透過性の表面シート(不織布)10と、非肌当接面側に配置される液不透過性のバックシート71と、これらの間に介在する吸収体73とを有する(図11参照)。表面シートとしては上記実施形態の不織布10が適用され、その第1突出面側が肌当接面とされている。本実施形態においては、バックシート71と表面シート10との間に吸収体73が介在配置されている。バックシート71は展開状態で、その両側縁が長手方向中央部cにおいて内側に括れた略砂時計形の形状を有しており、1枚のシートからなるものであっても、複数のシートからなるものであってもよい。本実施形態においては、サイドシート75がなす横漏れ防止ギャザー72が設けられており、これにより乳幼児の運動等による股関節部分における液体等の横漏れを効果的に防止しうる。本実施形態のおむつにおいては、さらに機能的な構造部やシート材等を設けてもよい。なお、図11においては各部材の配置関係や境界を厳密には図示しておらず、この種のおむつの一般的な形態とされていれば特にその構造は限定されない。
【0034】
本実施形態のおむつはテープ型のものとして示しており、背側rのフラップ部にはファスニングテープ76が設けられている。このテープ76を腹側fのフラップ部に設けたテープ貼付部(図示せず)に貼付して、おむつを装着固定することができる。このとき、おむつ中央cを緩やかに内側に折り曲げて、吸収体73が乳幼児の臀部から下腹部にわたって沿わされるように着用する。これにより排泄物が的確に吸収体73に吸収保持される。このような形態で用いることにより、特に本実施形態の不織布10を表面シートとして適用したことによる良好な肌触り、クッション性、排泄物の捕集性を示す。特に、排泄物の捕集性については、従来の線状の突出物の表面シートや小孔の開いたものでは達成できない極めて高い性能を実現することができ、例えば、乳幼児の肌を下痢便や軟便等による肌荒れから好適に保護することできる。
【0035】
本発明の不織布は、その他、各種用途に用いることができる。例えば、上述した使い捨ておむつや、生理用ナプキン、パンティーライナー、尿取りパッド等の吸収性物品の表面シートとして好適に使用することができる。その他、おしり拭きシート、清掃シート、フィルターとして利用する形態も挙げられる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定して解釈されるものではない。
【0037】
(実施例1)
(1) 表面シートの作製
芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維を坪量27g/m2となるようカード機からウェブ賦形装置に供給した。ウェブ賦形装置では、多数の突起を有し通気性を有する台座(MD方向ピッチ10mm、CD方向ピッチ5mm)の上に上記繊維ウェブを定着させた。次いで、その台座上の繊維ウェブに熱風(温度160℃、風速40m/秒)を吹きつけて、前記台座上の突起にそって繊維ウェブを賦形するとともに、各芯鞘構造の繊維を融着させた。このように熱融着して賦形した不織布を取り出し、不織布試験体1とした。微小加圧下(0.05×103Pa)での不織布試験体1の断面をキーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000により20倍で撮像した図面代用写真を図8に載せる。図9に示したのは、3.5×103Paで押圧したときのシート断面の形状である。またこの試験体1を第1面側より撮影した写真を図10に示した。図8の写真中、上方が第1突出部側であり、下方が第2突出部側となる。なお、本実例においては、MD方向を図5に示したxの方向に向けて試験体1を製造した。
(2)おむつの作製
花王株式会社の市販のベビー用おむつ(商品名「メリーズさらさらエアスルーMサイズ」)から表面シートを取り除き、その代わりに、不織布試験体1を積層し、その周囲を固定して評価用のベビー用おむつを得た。
【0038】
(実施例2)
坪量を25g/m2にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体2とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体2を用いて作製した。
【0039】
(実施例3)
坪量を30g/m2にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体3とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体3を用いて作製した。
【0040】
(実施例4)
熱風の条件を温度140℃、風速40m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体4とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体4を用いて作製した。
【0041】
(実施例5)
熱風の条件を温度180℃、風速40m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体5とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体5を用いて作製した。
【0042】
(実施例6)
熱風の条件を温度160℃、風速20m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体6とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体6を用いて作製した。
【0043】
(実施例7)
熱風の条件を温度160℃、風速80m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体7とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体7を用いて作製した。
【0044】
(実施例8)
熱風の条件を温度160℃、風速100m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体8とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体8を用いて作製した。
【0045】
(実施例9)
熱風の条件を温度200℃、風速80m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体9とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体9を用いて作製した。
【0046】
(参考例1)
熱風の条件を温度160℃、風速10m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体s1とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体s1を用いて作製した。
【0047】
(参考例2)
熱風の条件を温度160℃、風速150m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体s2とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体s2を用いて作製した。
【0048】
(比較例1)
実施例1に対して、突起のついた台座を用いず平坦な不織布試験体c1とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体c1を用いて作製した。
【0049】
(比較例2)
特開平03−137258号公報の実施例1と同様にして、独立凹部を有し、開孔を有し、第1突出部の繊維密度(r1)が第2突出部の繊維密度(r2)よりも高いことを特徴とする立体不織布を作製した。具体的には以下のとおりである。
芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維からなるウェブを定法のカード機で形成した。次いで、該ウェブを通気性を有する凹凸ネット及び平織りネットの間に挟持し、該平織りネット側から空気を噴射した。そして前記凹凸ネットの凹部にウェブを押し込むことにより、繊維の粗密部分が所定のピッチで形成されたウェブを作製した。その後、この状態のウェブを140℃の加熱空気中に通し、ポリエチレン部分を溶着し、該ウェブを一体化させた。これにより、凹凸状態が所定のピッチで形成され、凹状部分に開孔した不織布試験体c2を作製した。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体c2を用いて作製した。
【0050】
(比較例3)
不織布試験体c3は、特開平08−246321号公報に記載の方法により作製した不織布であり、独立凹部を有し、開孔を有する不織布である。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体c3を用いて作製した。
【0051】
(比較例4)
特開2008−25081号公報実施例1記載の方法に準じ、坪量を調整して不織布試験体c4を作成した。不織布試験体c4は、筋状の凹凸形状を有するため、独立凹部を持たず、開孔を有することを特徴とする。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体c4を用いて作製した。
【0052】
上記のおむつを用い、下記の測定試験を行った。
【0053】
【表1A】
【表1B】
【0054】
上記の結果より、本発明の好ましい実施形態に係る不織布(試験体1〜9)は、カップ状の空間が軟便を的確に捕集し、その拡散を効果的に抑制した。また、肌に面で接触せずに肌触りが良好であり、しかも排泄物を受けた後にも点で接触してべたついた感じを与えず、極めて良好な履き心地を実現しうることが分かる。参考例1,2は製造条件を大きく振った場合の状況を示すものである。試験体s1は、立体感が不足し、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮できない。試験体s2はシートが開孔し、耐圧縮性が悪化するため、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮できないことが分かる。
一方、比較例についてみると、試験体c1は、平坦であるため、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮できない。試験体c2、試験体c3は、開孔し、耐圧縮性が悪化するため、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮できない。試験体c4は、筋状の凹凸形状を有し、独立凹部を持たないため、軟便の拡散を抑制できず、排泄物の捕集性の効果が十分に発揮できないことが分かる。
【0055】
上記実施例で行ったものを含め各評価項目の測定方法は下記のとおりである。
【0056】
<凹凸形状>
上記不織布を水平に置き、不織布表面に凹凸がないか判定した。
○:凹凸形状あり
×:凹凸形状なし
【0057】
<独立凹部>
上記不織布を水平に置き、不織布凹部が隣接する凹部と隔てられ、独立で存在するか判定した。
○: 独立凹部あり
×: 独立凹部なし
【0058】
<開孔>
上記不織布を水平に置き、不織布凹部に開孔を有しないか判定した。
○: 開孔あり
×: 開孔なし
【0059】
<シート厚み(T)及び加圧時のシート厚み(Tp)の測定>
KES圧縮試験機(カトーテック(株)製KES FB−3)を用い、不織布について、通常モードで5.0×103Paまでの圧縮特性評価を行い、微小加圧時(0.05×103Pa)の厚み(T)と3.5×103Pa加圧時の厚み(Tp)をチャートから読み取った。
【0060】
<評価方法>
ベビー用おむつ(試験体)を水平に置き、無加圧で中央部(排尿ポイント)に、擬似軟便(ベントナイト:グリセリン:水:エマルゲン130K(商品名、花王株式会社製 界面活性剤)=28:14:114:14の比率で混合し、粘度300mPa・sに調整)を2g/秒の速度で10g注入し、5分静置した。その後、透明PET性シートを表面シートの表面上に静かに乗せ、更に透明PET性シートの上から3.5×103Paになるように重りを載せて5分間加圧した。その後、重りを取り外し、透明PET性シートを取り出し、加圧前後の透明PET性シートの重さを測定することで、透明PET性シートに付着した擬似軟便の重量を算出し、軟便肌付着量とした。また、加圧後の擬似軟便が広がった面積を測定し、軟便拡散面積とした。
【0061】
<繊維密度の測定>
不織布部分の切断面を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維断面が30から60本計測できる倍率(150〜500倍)に調整(本実施例については150倍とした)し、繊維の断面数を測定し、繊維断面数を測定した視野部分の面積を求めた。次に1mm2辺りの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度(本/mm2)とした。測定は3ヶ所行い、平均してそのサンプルの繊維密度とした。また、観察部の中心は、第1突出部及び第2突出部頂部において、図2に示した11a、11bの中点あるいは21a、21bの中点を中心部とした。
・走査電子顕微鏡;日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)
なお、第1突出部頂部第1面側11aと第1突出部頂部第2面側11b、第2突出部頂部第1面側21aと第2突出部頂部第2面側21bとは発明の構成においては機能的に区分されればよい。上記のような測定において厳密に定義するときには、該当する箇所のシート厚みTの方向にみてその厚みの半分(中点)を両者の中点とし、その第1面側が11a,21aであり、第2面側が11b,21bと区分される。
【0062】
<繊維配向性の測定>
日本電子(株)社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、図1におけるz軸方向が上下となるようにサンプルを静置し、サンプルの測定する面に対して垂直の方向から撮影した画像(測定する繊維が30から60本計測できる倍率に調整;50〜300倍)を印刷し、透明PET性上に繊維をなぞった。前記の画像をパソコン内に取り込み、株式会社ネクサス社製のnexusNewQube[商品名](スタンドアロン版)画像処理ソフトウエアを使用し、前記画像を二値化した。次いで、維配向解析プログラムである、Fiber Orientation Analysis 8.13 Single(ソフト名)を用い、前記二値化した画像から、配向角と配向強度を得た。配向角は繊維が最も配向している角度を示し、配向強度はその配向角における強度を示している。壁部の測定においては、配向角が90°に近い値ほど、起立方向に繊維が配向していることを示す。また、配向強度の値が大きいほど繊維の向きがそろっていることをあらわす。配向強度が1.05以上の場合を配向しているとする。測定は3ヶ所行い、平均してそのサンプルの配向角と配向強度とした。
【0063】
<繊維量の測定>
・キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさ(10〜100倍)に拡大し、図2に示した第1突出部頂部の厚み(S1)および第2突出部頂部の厚み(S2)を測定する。測定は、5回行い、その平均をそのサンプルの第1突出部頂部、及び第2突出部頂部の厚み(mm)とする。
・前述した繊維密度の測定方法により、1mm2辺りの繊維本数を計測する。
・繊維量は、厚み(mm)×1mm2辺りの繊維本数(本)を計測することで評価した。つまり、第1突出部頂部、及び第2突出部頂部の厚み×1mm2辺りの繊維本数がほぼ等しければ、繊維量(本/mm3)も等しいと判断した。ほぼ等しいとは、測定誤差範囲の違いを含む意味である。
【0064】
<繊維融着点数の測定>
不織布部分の切断面を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維の融着点が30から60本計測できる大きさに調整;150〜500倍)し、一定面積辺りの繊維の融着点数を数えた。また、観察部の中心は、第1突出部及び第2突出部頂部において、図2に示した11a、11bの中点あるいは21a、21bの中点を中心部とした。次に1mm2辺りの繊維の融着点数に換算し、これを繊維融着点数(個/mm2)とした。測定は、3ヶ所行い、平均してそのサンプルの繊維融着点数とした。
・走査電子顕微鏡;日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)
【符号の説明】
【0065】
1 第1突出部
11 第1突出部頂部
11a 第1突出部頂部 第1面側
11b 第1突出部頂部 第2面側
1k 第1突出部 内部空間
2 第2突出部
21 第2突出部頂部
21a 第2突出部頂部 第1面側
21b 第2突出部頂部 第2面側
2k 第2突出部 内部空間
3 壁部
6 尾根部
9 突起
10 不織布
T シート厚み
S(S1,S2,S3) 層厚み
71 バックシート
72 サイドギャザー
73 吸収体
75 サイドシート
76 ファスニングテープ
100 使い捨ておむつ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面側に突出する第1突出部と第2面側に突出する第2突出部とが面内の第1方向と第2方向との2つの方向に向け壁部を介して複数交互に広がり連続した不織布であって、前記壁部は環状構造を形成しており、前記第1突出部の繊維密度(r1)は第2突出部の繊維密度(r2)よりも低い不織布。
【請求項2】
隣接する前記第1突出部どうし、及び隣接する前記第2突出部どうしは、それぞれ尾根状の連結部で繋がっている請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
微小加圧時(0.05×103Pa)の不織布のシート厚さ(T)について、圧力3.5×103Paの加圧条件下の厚さ(Tp)が加圧前の厚さ(T)の20〜70%である請求項1又は2に記載の不織布。
【請求項4】
前記第2突出部の頂部における厚さ方向の繊維配向性(r21)は、壁部における厚さ方向の繊維配向性(r3)よりも小さい請求項1〜3のいずれかに記載の不織布。
【請求項5】
前記第1突出部の繊維融着点数(n1)は、前記第2突出部における繊維融着点数(n2)よりも小さい請求項1〜4のいずれかに記載の不織布。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の不織布を、その第1突出部を肌面側とし、表面シートとして適用した吸収性物品。
【請求項1】
第1面側に突出する第1突出部と第2面側に突出する第2突出部とが面内の第1方向と第2方向との2つの方向に向け壁部を介して複数交互に広がり連続した不織布であって、前記壁部は環状構造を形成しており、前記第1突出部の繊維密度(r1)は第2突出部の繊維密度(r2)よりも低い不織布。
【請求項2】
隣接する前記第1突出部どうし、及び隣接する前記第2突出部どうしは、それぞれ尾根状の連結部で繋がっている請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
微小加圧時(0.05×103Pa)の不織布のシート厚さ(T)について、圧力3.5×103Paの加圧条件下の厚さ(Tp)が加圧前の厚さ(T)の20〜70%である請求項1又は2に記載の不織布。
【請求項4】
前記第2突出部の頂部における厚さ方向の繊維配向性(r21)は、壁部における厚さ方向の繊維配向性(r3)よりも小さい請求項1〜3のいずれかに記載の不織布。
【請求項5】
前記第1突出部の繊維融着点数(n1)は、前記第2突出部における繊維融着点数(n2)よりも小さい請求項1〜4のいずれかに記載の不織布。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の不織布を、その第1突出部を肌面側とし、表面シートとして適用した吸収性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−136791(P2012−136791A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288537(P2010−288537)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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