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不織布及び不織布の製造方法
説明

不織布及び不織布の製造方法

【課題】 玄武岩繊維の難燃性、耐熱性、引張り強さ等の性質を有効に利用することのできる、薄く、従来適用できなかった用途に適用できる不織布、及び不織布の製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の不織布は、玄武岩繊維がポリビニルアルコール樹脂によって結合したものである。この不織布は、玄武岩繊維とポリビニルアルコール繊維とを水に投入して、玄武岩繊維を分散させるとともにポリビニルアルコール繊維を溶解又は膨潤させたスラリーを形成した後、前記スラリーを抄き上げ、乾燥して製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不織布及び不織布の製造方法に関する。より具体的には、玄武岩繊維を含む、難燃性、耐熱性及び引張強さ等の強度の優れる不織布、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
玄武岩繊維はガラス繊維に比べて難燃性、耐熱性、引張り強さ等に優れており、また、焼却炉内において液化せず、結晶化することから焼却炉を損傷しない、環境に優しい繊維として注目を集めている。そのため、玄武岩繊維の耐熱性等を利用したマット等が提案されている。例えば、「ポリフェニレンベンツビスオキサゾール等の有機短繊維と、玄武岩短繊維とから構成される繊維基材に、熱硬化性樹脂が含浸・硬化された耐熱成形体」が提案されている(特許文献1)。この耐熱成形体においては、熱硬化性樹脂の含浸量の調整や、圧縮比のコントロールによる繊維密度の調整によって、ハードタイプの耐熱成形体であっても、表面がビロード様の柔軟性を有するソフトタイプの耐熱成形体であっても作りわけできるように、また、熱硬化性樹脂の含浸量が少ない場合であっても高い強度を保持できるように、繊維基材として厚手のフェルトが用いられている。より具体的には、実施例において、厚さ10mm、目付4.2kg/mのフェルトが繊維基材として使用されている。
【0003】
しかしながら、このような繊維基材はフェルト、つまりニードルにより絡合させたものであるため、製造上、ある程度の量の繊維を必要とし、重く、厚いものであり、使用用途が限定されるものであった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−234949号公報(特許請求の範囲、段落番号0018、実施例1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、玄武岩繊維の難燃性、耐熱性、引張り強さ等の性質を有効に利用することのできる、薄く、従来適用できなかった用途に適用できる不織布、及び不織布の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1にかかる発明は、「玄武岩繊維がポリビニルアルコール樹脂によって結合していることを特徴とする不織布。」である。
【0007】
本発明の請求項2にかかる発明は、「玄武岩繊維の繊維長が20mm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の不織布。」である。
【0008】
本発明の請求項3にかかる発明は、「玄武岩繊維の不織布における質量比率が90%を超えることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の不織布。」である。
【0009】
本発明の請求項4にかかる発明は、「湿式法により製造された不織布であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の不織布。」である。
【0010】
本発明の請求項5にかかる発明は、「目付が30〜200g/mであることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の不織布。」である。
【0011】
本発明の請求項6にかかる発明は、「厚さが0.2〜1mmであることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の不織布。」である。
【0012】
本発明の請求項7にかかる発明は、「玄武岩繊維とポリビニルアルコール繊維とを水に投入して、玄武岩繊維を分散させるとともにポリビニルアルコール繊維を溶解又は膨潤させたスラリーを形成した後、前記スラリーを抄き上げ、乾燥する、玄武岩繊維がポリビニルアルコール樹脂によって結合した不織布の製造方法。」である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1にかかる発明は、玄武岩繊維がポリビニルアルコール樹脂によって結合しているため、薄いものであることができ、従来適用できなかった用途に適用できるものである。
【0014】
本発明の請求項2にかかる発明は、玄武岩繊維の繊維長が20mm未満の比較的自由度の高い繊維であるため、玄武岩繊維が均一に分散した状態にあることのできる不織布である。
【0015】
本発明の請求項3にかかる発明は、玄武岩繊維の比率が高いため、玄武岩繊維の難燃性、耐熱性、引張り強さなどの性能を十分に発揮できる不織布である。
【0016】
本発明の請求項4にかかる発明は、湿式法により製造された不織布であるため、玄武岩繊維が均一に分散した状態の不織布である。
【0017】
本発明の請求項5にかかる発明は、目付が30〜200g/mの軽い不織布である。
【0018】
本発明の請求項6にかかる発明は、厚さが0.2〜1mmと薄く、今まで適用できなかった用途にも適用できるものである。
【0019】
本発明の請求項7にかかる発明は、請求項1にかかる不織布、つまり薄い不織布を製造できる方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の不織布は難燃性、耐熱性、引張り強さなどの諸性能に優れているように、玄武岩繊維を含んでいる。この玄武岩繊維は天然の玄武岩を溶融炉で溶かして紡糸した繊維であり、市場で入手可能である。
【0021】
この玄武岩繊維の平均繊維径は特に限定するものではないが、薄く、軽い不織布の地合いが均一であるように、3〜23μmであるのが好ましく、9〜15μmであるのがより好ましい。本発明における「繊維径」は、顕微鏡で繊維又は不織布の拡大写真(500倍)をとり、その拡大写真から計測した値を意味し、「平均繊維径」は繊維10本の繊維径の算術平均値をいう。
【0022】
また、玄武岩繊維の繊維長は比較的自由度が高く、玄武岩繊維が均一に分散した状態にあることができるように、20mm未満であるのが好ましく、15mm以下であるのがより好ましく、13mm以下であるのが更に好ましい。なお、玄武岩繊維の繊維長の下限は特に限定するものではないが、不織布の引張り強さなどの強度が低下しないように、3mm以上であるのが好ましい。本発明における「繊維長」は、JIS L 1015の8.4.1(直接法(C法))に規定する方法で測定した平均繊維長をいう。
【0023】
このような玄武岩繊維の不織布中における質量比率は、玄武岩繊維の難燃性、耐熱性、引張り強さなどの性能を十分に発揮できるように、90%を超えているのが好ましい。より好ましくは93%以上である。なお、玄武岩繊維を結合して不織布形態を保持することができるように、ポリビニルアルコール樹脂(以下、「PVA樹脂」と表記することがある)を含んでいるため、玄武岩繊維の不織布中における質量比率は97%以下であるのが好ましい。
【0024】
本発明の不織布は玄武岩繊維を結合して不織布形態を保持できるように、PVA樹脂を含んでいる。このPVA樹脂は難燃性で、溶融点を示さないなど比較的耐熱性に優れ、しかも玄武岩繊維の接着性に優れている。
【0025】
このPVA樹脂の不織布中における質量比率は、玄武岩繊維の性能を損なわないように、10%未満であるのが好ましく、7%以下であるのがより好ましい。他方で、不織布形態を保持できるように、3%以上含まれているのが好ましい。
【0026】
本発明の不織布は前述のような玄武岩繊維とポリビニルアルコール樹脂を含むものであるが、玄武岩繊維の性能とPVA樹脂の結合力を損なわない範囲内で、その他の繊維(例えば、天然繊維のパルプ、合成繊維のパルプ等)を含んでいることができる。しかしながら、玄武岩繊維とPVA樹脂のみからなるのが最も好ましい。
【0027】
本発明の不織布は湿式法で製造されたものであるのが好ましい。湿式法によれば、玄武岩繊維を均一に分散させることができるためである。この湿式法により製造する場合、常法の湿式抄紙機を用いることにより製造できる。例えば、抄き網として円網、短網、或いは長網等を用いて、抄き網を単独で、又は抄き網を組み合せて抄き合わせて抄造することができる。抄き合わせることによって、玄武岩繊維がより均一に分散した地合いの優れる不織布とすることができる。
【0028】
本発明の不織布は軽量で取り扱い性に優れ、しかも従来適用できなかった用途にも適用できるように、目付は30〜200g/mであるのが好ましい。目付が30g/m未満では不織布形態を維持するのが難しく、200g/mを超えると重くなるためで、50〜150g/mであるのがより好ましい。本発明における目付は、JIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定方法)に規定する方法に基いて得られる坪量をいう。
【0029】
また、本発明の不織布は従来適用できなかった用途にも適用できるように、厚さは0.2〜1mmであるのが好ましい。厚さが0.2mm未満では不織布形態を維持するのが難しく、1mmを超えると剛性が高くなり、所望形状に変形させることが困難になったり、巻き取ることができなくなる場合があるためで、0.4〜0.8mmであるのがより好ましい。本発明における「厚さ」は、JIS B 7502に規定する方法による測定値、すなわち、5N荷重時の外側マイクロメーターによる測定値をいう。
【0030】
このような本発明の不織布は、例えば、玄武岩繊維とポリビニルアルコール繊維とを水に投入して、玄武岩繊維を分散させるとともにポリビニルアルコール繊維を溶解又は膨潤させたスラリーを形成した後、前記スラリーを抄き上げ、乾燥することによって製造することができる。
【0031】
玄武岩繊維は前述の通りの繊維径、繊維長のものを使用するのが好ましい。また、ポリビニルアルコール繊維(以下、「PVA繊維」と表記することがある)は、平均繊維径、繊維長は特に限定するものではないが、10〜26μmの平均繊維径で、3〜10mmの繊維長であるのが好ましい。なお、必要に応じて、これら繊維以外の繊維(例えば、天然繊維のパルプ、合成繊維のパルプ等)を使用する。
【0032】
次いで、これら繊維を水に投入して、玄武岩繊維を分散させるとともにPVA繊維を溶解又は膨潤させたスラリーを形成する。PVA繊維は水溶性であるため水に容易に溶解するが、溶解しにくい場合には水温などを調節する。また、PVA繊維を膨潤させた場合には、乾燥時に溶けて接着して結合する。なお、これら繊維の水への投入割合は前述の通りの質量比率の不織布となるように、玄武岩繊維が90%超、97%以下で、PVA繊維が3%以上、10%未満であるのが好ましい。
【0033】
次いで、このスラリーを公知の抄き網、例えば、円網、短網、或いは長網等を単独で、又は組み合せて抄き上げる。抄き網を組み合わせて抄き合わせることによって、玄武岩繊維がより均一に分散した地合いの優れる不織布を製造することができる。そして、スラリーを抄き上げた後にヤンキー型乾燥機等で乾燥することによって、本発明の玄武岩繊維がポリビニルアルコール樹脂によって結合した不織布を製造することができる。なお、必要に応じて熱プレス加工等を更に行うこともできる。
【0034】
以上、玄武岩繊維とPVA繊維とを水に投入してスラリーを形成する方法について説明したが、本発明の不織布はこの方法に限らず、玄武岩繊維のみを水に投入してスラリーを形成して抄き上げた後に、PVA樹脂を水に溶解又は膨潤させたバインダーをスプレーして付与した後に乾燥することによっても、本発明の不織布を製造することができる。
【0035】
本発明の不織布は玄武岩繊維の難燃性、耐熱性、耐薬品性等の性質を有効に利用することができ、しかも薄いものであるため、従来適用できなかった用途、例えば、FRP用強化材(自動車外板、船体、引抜き成型品、高温高圧パイプ)、土壌安定剤、アスファルト路面強化材、カバー材、スピーカーコーン用基材、マフラー用消音シート、ブレーキパッド材、ブレーキライニング材、遮熱材、電磁波シールド材、断熱材、プリント基板、研磨材として使用できるものである。
【実施例】
【0036】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
(実施例1)
玄武岩繊維(Sudaglass Fiber Technology社製、溶融温度:1450℃、密度:2.7g/cc、平均繊維径:14μm、平均繊維長:13mm)と、ポリビニルアルコール繊維(登録商標:ソルブロン NL2003、(株)ニチビ製、平均繊維径:14μm、繊維長:3mm)を用意した。
【0038】
次いで、玄武岩繊維とポリビニルアルコール繊維とを91:9の質量比率で水に投入して、玄武岩繊維を分散させるとともにポリビニルアルコール繊維を膨潤させたスラリーを形成した後、短網傾斜方式により湿式繊維ウエブを形成した。
【0039】
次いで、湿式繊維ウエブを温度120℃に設定した熱風循環式乾燥機により、乾燥すると同時にポリビニルアルコール繊維で接着結合して、目付50g/m、厚さ0.7mmの湿式不織布を製造した。この湿式不織布を温度260℃で10分間熱処理したが、湿式不織布の長手方向及びよこ方向に熱収縮は全く認められず、また、温度260℃で10分間熱処理した前後において、引っ張り強度に変化のない、耐熱性の優れるものであった。また、湿式不織布の燃焼試験を実施したところ、UL−94 V−0(サンプルを垂直に固定し、プロパンガスバーナーの炎をサンプルの下端に10秒間あて、炎を取り去った後の残炎・残じんが無い)に適合する、難燃性の優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄武岩繊維がポリビニルアルコール樹脂によって結合していることを特徴とする不織布。
【請求項2】
玄武岩繊維の繊維長が20mm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
玄武岩繊維の不織布における質量比率が90%を超えることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の不織布。
【請求項4】
湿式法により製造された不織布であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の不織布。
【請求項5】
目付が30〜200g/mであることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の不織布。
【請求項6】
厚さが0.2〜1mmであることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の不織布。
【請求項7】
玄武岩繊維とポリビニルアルコール繊維とを水に投入して、玄武岩繊維を分散させるとともにポリビニルアルコール繊維を溶解又は膨潤させたスラリーを形成した後、前記スラリーを抄き上げ、乾燥する、玄武岩繊維がポリビニルアルコール樹脂によって結合した不織布の製造方法。

【公開番号】特開2008−45229(P2008−45229A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220540(P2006−220540)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000229542)日本バイリーン株式会社 (378)
【Fターム(参考)】