説明

不織布積層体/エラストマー/不織布

【課題】エラストマー基材、特に熱可塑性を有する少なくとも1枚の弾性フィルムと、少なくとも1層の不織布とを含む積層体の提供。
【解決手段】ある幅を有する少なくとも1枚の弾性フィルムと、固着剤、特に接着剤の間挿によって少なくとも前記幅の上でこのフィルムに固着される少なくとも1層の不織布とを含み、この少なくとも1層の不織布がフィルムから距離を置いた外面を有する積層体であって、この少なくとも1層の不織布の外面(25)には、積層体の延伸状態で、隆起領域(22)およびへこみ領域(23)を含むしわが寄せられており、それによって固着剤(20)が隆起領域と弾性フィルムとの間に設けられることを特徴とする積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的にはエラストマー基材、特に熱可塑性物質を有する少なくとも1枚の弾性フィルムと、少なくとも1層の不織布とを含む積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
こうした積層体は、具体的には、衣類分野、特に、トレーニングパンツや成人用の失禁用デバイスなど使い捨ての分野、または弾性包帯の形態での医学分野での用途で使用される。トレーニングパンツの分野では、こうした積層体は、慣用的には、赤ん坊のウエスト周りのウエストバンドを形成する部分で使用される。トレーニングパンツへの特に有利な適用の場合では、こうした積層体は、おむつが赤ん坊に身につけられたままであることを保証し、とりわけ自己把持(self−gripping)要素を支持する弾性フラップを実現するのに使用される。
【0003】
【特許文献1】米国特許第4834741号明細書
【非特許文献1】"Lexique des fils et des etoffes", ISBN: 2-9509924-1-2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この積層体は、赤ん坊のウエスト周りにトレーニングパンツを十分に保持することができるように、少なくとも横断方向(すなわち一方のフラップからもう一方のフラップに延びる方向)に弾性を有することが望ましい。現行の積層体は、一般に、2層の不織布間に通常挟装される弾性またはエラストマー材料からなるフィルムによって構成されている。トレーニングパンツの大規模製造を可能にするためには、現時点においては、このエラストマーフィルムをリールから巻きほどいて、それを2層の不織布間に導き、例えばラミネーションによって、例えば接着剤を用いて2層の不織布を互いに固着させることが必要とされている。しかし、この方法には、フィルムの構成において、外皮を形成する少なくとも1層の外層、好ましくは2層の外層を設ける必要があるという欠点がある。その外層は、エラストマーフィルムおよび2枚の不織布によって構成される積層体の製造中に、エラストマーフィルムを容易に巻きほどけるように、比較的に非弾性な材料から作製され、とりわけ非粘着または非接着特性を有する。したがって、今日知られる積層体は、実質的に非弾性の材料からなる少なくとも1層の外層、および前記少なくとも1層の外層に固着される1枚または1層の不織布を有する弾性フィルムによって構成されている。
【0005】
先行技術のこのタイプの積層体は、製造が複雑である。その理由は、外皮を形成する層が存在すること、および、この外皮の材料が、外皮によって囲まれたフィルムのリール上への巻付け、次いでその容易な巻きほどきが可能になるよう十分に低い接着特性を有するように選択される事実である。すなわち、積層体の組立て中、その後この外皮を外側不織布に貼り付けるために、いわゆる工業用接着剤、特に高い粘着性付与力を有する接着剤を使用すること、および/または、それを高い坪量、例えば12g/mより大きい坪量で使用することを必要とする。一般に、コロナ処理やプラズマトーチ処理などの表面処理を行うことが必要である。
【0006】
積層体の形成後、次いで、「活性化」と呼ばれる特別な機械的処理を設けることが必要である。「活性化」は、外皮および不織布用に選択される材料が比較的非弾性であるにもかかわらず、エラストマーフィルム、外皮、および不織布によって構成された積層体全体が十分な弾性を有すること、例えば、赤ん坊のウエスト周りにトレーニングパンツのウエストバンドを合わせることを可能にするのに必要とされるような十分な弾性を有することを可能にする
【0007】
この活性化処理は、外皮および不織布を弾性限界を超えて延伸させることによって、積層体を流れ方向に横断的に延伸させることにある。延伸後、この弾性フィルムおよび積層体は全体として延伸前以上の幅を取り戻すが、その外皮および不織布は回復不可能な方法で引っ張られており、その結果、積層体は全体として横弾性を有し、および少なくともこの外皮および不織布が不可逆的に延伸された幅まで延伸することができる。
【0008】
また、先行技術において、不織布上への弾性フィルムの直接押出しによって形成される積層体が知られており、それによれば、固着は、不織布の繊維上の弾性材料を硬化させることによって実現される。この場合にもまた、不織布にはあまり向いていない「活性化」を実現する必要があり、この不織布は、活性化後に、トレーニングパンツの着用者、特に赤ん坊の皮膚を刺激する傾向がある荒い肌触りを示す。さらに、この直接押出しは実施が困難であり、特に、熱い粘着性材料の形態の押出し弾性フィルムは、不織布の繊維が溶融して不織布の表面を硬くし、この弾性フィルム中に沈み込むという所まで不織布を傷つける傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、弾性またはエラストマー材料の少なくとも1枚のフィルムと、少なくとも1層の不織布、好ましくはそのフィルムの両側に2層の不織布とを含む積層体を得ること、そして、製造プロセス中にリールから巻きほどくことを可能にするための外皮の存在を不要にすること、活性化後に不織布が極上の肌触りを示すこと、具体的には、触れると柔らかく、おむつの着用者、特に赤ん坊の皮膚に刺激を引き起こさないことと同時に、現在の方法と同程度にすばやく製造され得る積層体を得ることを目指して先行技術の欠点を克服することである。
【0010】
本発明によれば、この積層体は、冷却後に実質的に固体のフィルムを得るために、押出しダイから押し出すことによって弾性フィルムを準備する工程、この実質的に固体のフィルムを固着剤を間に間挿して不織布の層上に積層する工程、次いで積層体を横方向に延伸させて、不織布の繊維および/またはそれらの間の結着を分断する工程によって製造される。
【0011】
したがって、一方では、リールからフィルムを巻きほどくこと、それゆえ保護外皮を設けることはもはや必要ではなく、もう一方では、不織布上にフィルムを直接押し出す必要はなく、その結果、不織布は傷つけられない。外皮はもはや不要なので、その結果として弾性フィルムはより薄くなる。
【0012】
好ましくは、この積層体は、不織布の活性化後に、最初の幅の100%の延伸に対して15%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満のレマネンス(remanence)を有する。
【0013】
好ましくは、固着剤、具体的には接着剤は、互いに分離されている、具体的には、実質的に接続状態である(jointive)複数の横バンドを介して付与される。
【0014】
したがって、横延伸中に、この不織布の繊維は、延伸によって互いに離間されるように分断された後に接着剤のバンド上に凝集(agglutinate)する傾向があり、その結果、この不織布は、積層体の延伸状態で、不織布の最初の厚さ(積層体の延伸前)以上の第1の厚さからなる第1領域、および不織布の最初の厚さより小さい第2の厚さからなる第2領域を有するようになる。
【0015】
本発明はまた、ある幅を有する、少なくとも1枚の弾性フィルムと、固着剤、具体的には接着剤の直接間挿によって少なくとも前記幅の上でこのフィルムに固着される少なくとも1層の不織布とを含み、この少なくとも1層の不織布がフィルムから距離を置いた外面を有する積層体であって、この少なくとも1層の不織布の外面は、積層体の延伸状態で波形であり、隆起領域およびへこみ領域を含み、それによって固着剤が隆起領域と弾性フィルムとの間に設けられることを特徴とする積層体に関する。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、このへこみ領域は、延伸状態での不織布には実質的に存在しない。
【0017】
今や、積層体は全体として、延伸状態と非延伸状態のどちらにおいても非常に柔らかな手触りを有する。さらに、この積層体は、使用感がより心地よく、伸長の可能性はより顕著であり、具体的には不織布または外皮による制限がほとんどないか、または制限がなく、その結果、使用者はより大きい弾性「余量(reserve)」を有するようになる。したがって、例えば、トレーニングパンツのウエストバンドを固定するとき、後者は、赤ん坊のウエスト周りで可能な最良の方法で配置されることができ、それによってこれは赤ん坊にとってより心地がよい。最後に、この不織布は、それ自体がより分断されやすくなっており、触感は柔らかく、具体的には皮膚を刺激しない。本発明によれば、「固着剤が隆起領域とフィルムとの間に設けられる」は、フィルムの表面に対して垂直に線を引いた場合、これがフィルムから不織布の隆起に向かって固着剤を通過して延びることを意味する。
【0018】
本発明によれば、前記固着剤または接着剤と弾性フィルムとの間にいずれの変形可能な非弾性皮膜もいずれのワニスも存在せず、これにより、一方では、積層体の組立てが単純化され、もう一方では、特に良好な弾性を有し、着用および使用が心地よい積層体を得ることが可能になる。
【0019】
好ましい実施形態によれば、この固着剤、具体的には接着剤は、一方では、互いに分離されており、好ましくは平行であり、第1坪量を有する第1バンドの形態で付与され、ならびにもう一方では、第1バンド間に配置される第2バンドの形態で付与される。ここで、第2バンドは、第1坪量より低い第2坪量を有し、第2坪量は、好ましくは第1坪量の50%未満である。その結果、横断方向の延伸の後、不織布は分断され、この不織布の繊維は、第1バンド上に蓄積し、一方、第2バンドについては、積層体の延伸状態で、不織布の繊維がより少量である。
【0020】
さらに好ましい実施形態によれば、この固着剤は、固着剤を含まない(すなわち接着剤を含まない)中間領域によって互いに分離されているバンドの形態で付与されており、それによって、このバンドは、具体的には接続状態となっており、その結果、隆起領域は、固着剤のバンド上に存在し、一方、へこみ領域は、中間領域上に存在する。
【0021】
本発明の開発によれば、活性化後、この積層体は、最初の幅の100%の伸長後に、15%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満のレマネンスを有する。
【0022】
好ましい実施形態によれば、この少なくとも1層の外面は、非延伸状態の積層体では実質的に平面である。
【0023】
好ましい実施形態によれば、この隆起領域は、一定の厚さのものである。
【0024】
好ましい実施形態によれば、このへこみ領域は、一定の厚さ、具体的にはゼロである。
【0025】
本発明の開発によれば、この弾性フィルムは、少なくともその厚さの方向において、均一である。これは、フィルムの表面上の任意の点で、このフィルムが、この所与の点のその厚さ全体にわたり同一の処方を有し、同一の特性を有することを意味する。
【0026】
本発明のさらなる開発によれば、この弾性フィルムは、複数の弾性材料の層を有する。
【0027】
本発明の開発によれば、この弾性フィルムの厚さは、具体的には、所与の形に従って切り離されるフラップの特定の場合において規則的に延びる伸長を得る目的で、あるいは積層体の弾性を領域ごとに管理する目的で、積層体の延伸方向(横断方向)において変えることができる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によれば、この少なくとも1枚の弾性フィルムは、この少なくとも1層の側に、長手方向断面において、すなわち前記幅の方向に対して垂直に、線、具体的には直線の形態である面を有し、この少なくとも1枚の不織布の繊維はすべて、その線の弾性フィルムの反対側にある。
【0029】
本発明はまた、具体的には赤ん坊のウエストを取り巻くためのものであるウエストバンドに本発明による積層体を備えるトレーニングパンツに関する。
【0030】
好ましくは、不織布の各層とフィルムとの間に挿入される固着剤は接着剤であり、好ましくはエラストマーフィルムの材料に類似した化学的性質のものであり、具体的にはSIS、SBS、SEBS、SIBS、またはSEPSの基材を含み、弾性フィルムへの付着を促進する。さらに可能な実施形態によれば、この接着剤は、架橋性PUのような反応性接着剤であり、それによってより良い耐熱性が得られる(生じる)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
例として、次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0032】
図1は、流れ方向(X方向)に対して横断方向、すなわち積層体が本発明に従って延伸するY方向の断面図を示す。この積層体は、大きな幅、例えば、ここでは幅350mmを有する2枚または2層の不織布1および2によって構成されている。小さな幅、例えば35から40mmの2枚のエラストマーフィルム3および4は、2枚の不織布の間に挟まれている。接着剤の2つの層5は、各不織布をエラストマーフィルムの面の一方に固着させ、エラストマーフィルムがない場合は、中央領域で別の不織布に固着させる。
【0033】
この接着剤の層は、互いに平行であり、互いに距離を置いたバンドの形態であり、この距離は、例えば、ゼロ、および0mmから2mmの間であることができる。
【0034】
積層体の形成後、この2層の不織布は、少なくとも1枚のエラストマーフィルム上で、活性化ローラー間の通路を通ることによって活性化される。すなわち、少なくとも1枚のエラストマーフィルムを被覆する部分におけるこれらの2枚の不織布は、横方向(または横断方向)に優先的に分断されて、横断方向にある種の溝を形成し、その結果、2つのエラストマーのレベルで、この積層体は、横断方向にこれらのエラストマーフィルムの弾性に実質的に対応する弾性を有するようになる。
【0035】
この分断を実現するために、積層体は、溝を形成しようとするその中央区画で保持されながら、その積層体を被覆する弾性バンドの付着過程を経る。次いで積層体と、それに接触している弾性バンドとを延伸させて、積層体の不織布の繊維を互いに分断するようにそれらを変形させ、そして不織布を分断する。それによって、弾性フィルムおよび弾性バンドは、変形によるこの延伸の間、弾性的にのみ延伸されることになる。変形が完了した後、この弾性フィルムおよび弾性バンドは、それらの変形していない最初の位置に戻されるが、不織布は恒久的に分断されている。
【0036】
分断(繊維を互いに結着分離した(de−cohesion))後、不織布の繊維は、接着剤のバンド上に再び集まって不織布の小隆起(monticule)を形成する傾向がある。しかしながら、接着剤のバンド間では、不織布の繊維は、分断のためにより希であり、よりまばらであり、もはや存在すらしない場合さえある。したがって、不織布が中間領域(接着剤が存在しない)すなわちへこみ領域23でよりも大きな厚さを有する隆起領域22(接着剤のバンド上)が存在する。へこみ領域23においては、おそらく極端な場合には、いかなる不織布も存在しないことができる。積層体の非延伸状態では、最も大きな厚さの領域は、(横断方向と平行なそれらの縁端を介して)互いに側面が接触する状態になり、積層体が引っ張られたとき、最も大きな厚さの領域は、互いから離間され、それによって、不織布が存在しないか、またはより小さな厚さの不織布が存在する中間領域が現れることになる。したがって、非延伸状態では、分断または破断での離散的なラインを除いて、不織布の層の外面25は、接着剤を含まない領域で実現する分断に対応する離散的なライン23を除いて、実質的に平面である。
【0037】
したがって、図5では、接着剤のバンド20は、互いに離れていることを確認することができ、不織布2は、(分断前の不織布の厚さに対して)より大きな厚さを有する隆起領域22および(分断前の不織布の厚さに対して)より小さな厚さのへこみ領域23を備え、それらは、積層体を延伸させたときによりよく確認することができる(図6)。
【0038】
この弾性フィルムは、不織布のシート上の適用の方向に対して垂直な幅Iを有する。これは、不織布2の側に平面の形態の表面を有する。長手方向断面では、この表面は、直線24の形態を有する。この不織布の繊維は、弾性フィルムの材料中に沈み込むことはなく、この繊維はすべて、直線24の同じ側にあり、これは長手方向断面に関係ない。非延伸状態では、この不織布はまた、実質的に平面である内面(フィルム側)を有する。
【0039】
延伸状態時にへこみ部分によって互いに分離される隆起部分の上部外縁27、28は、非延伸状態では基本的には互いに接触しており、その結果、使用者は、隆起領域のアセンブリおよびへこみ領域のアセンブリからなる不織布の上部表面は実質的に平らで滑らかであるという印象を受ける。
【0040】
図7および8では、前記へこみ部分に不織布の繊維が基本的にもはや存在せず、不織布全体が接着剤部分の上にそれ自体を凝集させて隆起部分を形成する実施形態を示す。延伸状態では、この隆起部分は、不織布の繊維および接着剤からなり、基本的に不織布も接着剤も有さないへこみ部分によって、互いに分離されている。非延伸状態では、この隆起部分は、基本的に側部が互いに接触して、使用者にほぼ平らで滑らかである上部表面の印象を与える。図7および8に示される部分は、図5および6の実施形態の部分と同等であり、同じ参照番号を有する。
【0041】
特に求められるのは横断方向の弾性である。
【0042】
本明細書では、不織布の大きな幅に対して2枚のエラストマーフィルムは小さな幅を有する事実を記載している。しかし、2枚の不織布と同じ長さの単一のエラストマーフィルム、または累積幅が不織布の幅以下である3枚以上のエラストマーフィルムを設けることもまた可能である。
【0043】
本明細書において、エラストマーフィルムの厚さ(Z方向に測定)は、Y方向(横方向または横断方向)に沿って一定である。しかし、この横断方向に可変である厚さを提供することもできる。
【0044】
この弾性材料は、熱伸縮自在の特性を有しても有さなくてもよい。これは、具体的には、様々なタイプのデザインのモノマーからなるコポリマーのようなポリマー、例えばA−Bのような交互のもの、または例えばA−A−A−B−B−Bの順になっているもの、または例えばA−A−B−A−B−B−A−A−A−B−Aの統計的(statistical)なものから形成されてもよい。それによって、得られるネットワーク全体は、様々な構造、すなわち、A−B−Aタイプの直線状、または(A−B)nタイプの放射状(指数nは、n>2)のどちらか一方、またはA−Bタイプのジブロックを有することができ、これらは、エラストマー、例えば、スチレン/イソプレン(SI)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)、またはSIBSコポリマーである。また、こうしたエラストマーの、互いとの混合物、または弾性以外の特定の特性を改変する非エラストマーとの混合物を考慮に入れることができる。スチレンポリビニル、ポリスチレンまたはポリα−メチルスチレン、エポキシポリエステル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、またはある種のエチレン/酢酸ビニル、好ましくは高分子量のもののようなポリマーを、例えば最高で50重量%、但し好ましくは30重量%未満で添加して、基材材料の特定の特性(弾性、耐熱性、加工性、UV耐性、着色剤など)を改変することができる。
【0045】
この弾性材料は、具体的には、スチレン−イソプレン−スチレンであることができ、例えば、名称KRATON D(登録商標)としてKraton Polymersから、または名称VECTOR SBC 4211(登録商標)としてDEXCO POLYMERS LPから市販されている。また、ポリウレタンの熱可塑性エラストマー、具体的には、The Dow Chemical CompanyのPELLATHANE(登録商標)2102−75Aを使用することができる。また、スチレン−ブタジエン−スチレン、具体的には、Kraton PolymersのKRATON D−2122(登録商標)、またはDexco Polymers LPのVECTOR SBC 4461(登録商標)を使用することができる。また、スチレン−エチレン−ブチレン、具体的には、Kraton PolymersのKRATON G−2832(登録商標)を使用することができ、あるいはまた、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)を順に配列させたコポリマー、具体的には、KRATON(登録商標)G2703を使用することができる。また、アクリル酸イソオクチルとアクリル酸のコポリマーを、90/10のモノマー比に従って使用することができる。また、ポリエーテル、ポリアミドを順に配列させたコポリマーである、ArkemaのPEBAX(登録商標)2533を使用することができる。
【0046】
その他の可能な材料は、ポリオレフィンポリマー、具体的には、エラストマー特性を有し、具体的にはメタロセン触媒作用から誘導される、Exxon Mobil Chemicalから市販されるVISTAMAXX VM−1120(登録商標)またはSantopreneタイプのEPDMを付加されたポリマーのような、エチレンおよび/またはプロピレンコポリマーである。
【0047】
本発明によれば、非反応性のホットメルト接着剤(例えばBostickのH2511)、または反応性PU接着剤(具体的にはBostickのAX75E)のような接着剤を使用することが可能である。好ましくは、これらの接着剤は、上述のエラストマーフィルムに類似する化学的性質を有する。例えば、これらの接着剤のうちの1つを、赤外分光計で分析して化学的機能を同定し、または液体クロマトグラフで分析して物質を分離かつ定量する場合、エラストマーフィルムの1種または複数の材料の1種または複数の成分、またはそれらの誘導体の痕跡が、好ましくは検出される。
【0048】
好ましくは、これらの接着剤は、SIS、SBS、SEBS、およびSEPS基材を有し、類似する化学材料によってフィルムとの良好な親和性を可能にする。
【0049】
好ましくは、接着剤の層は、坪量が、15g/m未満、特に12g/m未満、より好ましくは8g/m未満である。
【0050】
固着剤としての接着剤の代りに、超音波または溶融による接着がその上に実現されるバンドを備えることができる。したがって、溶融した中間材料は、本発明の意義の範囲内で固着剤として働く。
【0051】
不織布に関しては、ポリプロピレン、ポリエステル、および当分野で一般的な任意の他の材料を使用することができる。また、不織布の横向きの破断に関する伸長を利用して、活性化を最大にすることが可能である。
【0052】
本発明の別の可能な実施形態によれば、不織布は、一方向に高い伸長性を有するようであることができる。こうした不織布を得るのに、主要な不織布の繊維をすべて実質的に同一の流れ方向に配置し、点接着法または水流交絡法のどちらかによって、他から距離を置いているそれらを接着する。その結果、この不織布は、一方向に延伸される能力を有する。不織布を弾性フィルムに接着剤のバンドで固着したとき、繊維がすべて実質的に同一の方向に配向される静止状態と繊維すべてが最初の方向に延伸しない延伸状態との間に弾性を有する積層体を得る。一方向への200%の伸長性が好ましい。
【0053】
第1の可能な不織布は、100%ポリプロピレン繊維、またはポリプロピレンとポリエチレンとの混合物の、坪量が25から30g/mのスパンレース不織布であり、この不織布の繊維は、水流交絡法によって接着されている。この繊維は、流れ方向に整然と配向されており、その結果、この不織布は、この流れ方向には耐伸長性(resistant)があり、横方向には伸長性がある。こうした不織布は、Sandler Companyから参照品番Sawatex(登録商標)2628として市販されている。
【0054】
別の可能な不織布は、100%ポリプロピレン繊維の、22から27g/mの坪量の、梳毛不織布である。繊維は、他から距離を置いている小寸法の点を接着(溶融)することによって接着されている。この繊維は、流れ方向に整然と配向されており、その結果、この不織布は、この流れ方向には耐伸長性があり、横方向には伸長性がある。こうした不織布は、BBA Fiberweb Companyから参照品番FPN 571Dとして市販されている。
【0055】
図2は、本発明による積層体用の製造装置を示す。この装置は、2個の押出機101および102を備え、これらの押出機は、押出し成形によってエラストマーフィルムの2本の細いウェブ201および202を形成する。ウェブ201および202は、中間冷却ユニット2000内での冷却後、温度調節を備えたベルト203およびローラー204を有するシステムを通って2個のローラーに向かって搬送される。これら2個のローラーは、2層の不織布301および401を同時に受けて、固着ユニット500においてこれらの不織布間にエラストマー材料を接着させることによって、それらを固着させる。不織布301は、リール302から巻きほどかれる。第2の不織布401は、リール402から巻きほどかれる。次いで、不織布301および401、ならびに弾性フィルム201、202によって構成される複合体ユニット、すなわち複合体ユニット601は、円形ナイフ701を備える切断システム700で正確な幅に切断され、次いで、接着ユニット800中に移動して、長手縁部が接着される。活性化させる必要がある不織布を使用する場合は、これを、例えば、活性化ユニット900で行うことができ、そこで積層体は、流れ方向に対して横断方向に延伸され、その結果、接着剤のバンドは、その上の不織布領域と共に互いから離れて移動する傾向があり、一方、2本の接着剤のバンドの間の領域上の繊維は、分断されて、バンドが離れて移動することを促進する傾向がある。最終的に、2タイプの領域、すなわち、不織布の繊維がほとんどない極めて弾性が高い領域(接着剤のバンドの間)、および不織布の多くを有する弾性が限定された領域(接着剤のバンド上)を有する積層体が得られる。また、活性化は、積層体が2個の対向するローラーの歯の間を通過し、この2つの歯が互いに係合して延伸を実現する歯付きローラーを使用して実現され得る(特許文献1参照)。しかし、この場合、不織布がほとんどない溝の形態の弾性部分がこの歯に由来するものではなく、接着剤のバンドの最初の位置決めに由来することに留意されたい。
【0056】
活性化ユニット900を離れた直後に、この積層体は全体として、ケーブルドラム1000上のローラー1001に巻きとられ、次いで、トレーニングパンツ上での適用のために、トレーニングパンツ製造ユニットに直接に導かれる。
【0057】
フィルムが押し出され、まだ積層されていないとき、ラインスピードを増大させ、坪量を減少させるために、ある温度において延伸を適用することができる。ラインスピードは、250から500m/mnの範囲であることができる。
【0058】
さらに、2枚の側面に沿って配置されたフィルムの間の中央区画(長手方向の意味で)に、フィンガーリフトと呼ばれるプラスチック材料の追加区画を実現したい場合、第3押出機を備えて、熱可塑性フィルムの第3バンドを形成することができる。このフィンガーリフトバンドは、必ずしも弾性材料からできているわけではない。これは、具体的には、ポリプロピレン製であることができる。その機能は、自己把持システムのフラップの表面開口部を可能にし、それを強固にすることである。
【0059】
レマネンスまたはSETを決定するために、以下の方法が使用される。
【0060】
サンプルを、ASTDM5170標準で定義される23℃±2℃の温度、50%±5%の相対湿度のような通常大気中でコンディショニングする。
【0061】
装置としては、ダイナノメーターを、EN 10002標準に従って、具体的には、MTS Systems Corp(米国)から市販されるSynergie 200H、1カラムを、TESTWORKS 4.04 B利用ソフトウェアと一緒に使用する。
【0062】
弾性製品(例えば本発明の積層体)を、カッターまたはハサミで、流れ方向(MD)(図1の平面図に対して垂直)に幅45mmおよび横方向(CD)(横断方向、図1において水平方向)に長さ60mmのサンプルに切断することによって、このサンプルを作製する。
【0063】
図3に概略的に示されるように、(滑り止め)補強物、例えば不織布の層を、サンプルの滑りおよび分断リーダーを避けるために、ジョーの間に配置し、試験する弾性領域の両側および各側上の両面でそれらを固定する。
【0064】
パラメーターを以下の通りに選択する。
ジョー間距離:20mm
機械速度:254mm/mn
サイクル数:2
製品の伸長率:一定速度で100%
【0065】
製品を上側ジョーの垂直移動によって100%延伸させ、下側ジョーを固定し、次いでこの製品を30秒間その位置で保持し、次いで一定速度で最初の位置に戻し、そこで60秒間放置する(1回目サイクルの終了)。次いで、それを再度100%延伸させ、30秒間保持し、次いで最初の位置に戻す(2回目サイクルの終了)。このようにして伸長(%)の関数として延伸力を与える曲線が得られ、これはヒステリシスを示し、それによって以下の計算式からSetを決定することが可能になる。
【0066】
SET=L1−L0
式中、
L0:試験の開始、すなわち1回目サイクルの開始時のX軸との交点(伸長%)。
L1:最初の位置に戻り、60秒間待機した後の2回目サイクルの開始時のX軸との交点(伸長%)。
【0067】
不織布は、バット内に配置され布地繊維を機械的および/または化学的および/または熱的に接着することによって得られる布地面であり、織物または編み物を除く(非特許文献1参照)。
【0068】
したがって、不織布は、機械的成形によって、接着材料との混合によって、または不織布の部分的な融解によって互いに結合する小寸法の繊維の塊である。この不織布を本発明に従って延伸させて活性化する場合、小さく密集した繊維は、互いに分離されて、それらが互いに間隔を置くように分断される。この結着分離は、不織布の分断を引き起こす。繊維は、必ずしも延伸されておらず、さらに、概して、それらの大きさを考慮すると、実際に延伸されていない。それらを延伸させたい場合、いわゆる「インクリメント」活性化システムを場合によっては使用することができる。しかし、このシステムは、互いに係合する歯付きローラーを備えた複合装置を必要とし、本発明によればこれを省くことができる。
【0069】
弾性フィルムは、先の試験によれば、その最初の幅の100%の延伸に対して15%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満であるレマネンスまたはSETを有するフィルムであることが本発明に従って理解され、これは、その最初の幅の100%に延伸させた後に、それが延伸前に有した形と実質的に同一の形に戻る。具体的には、弾性フィルムは、しわも他の領域より大きな厚さの領域も有さず、具体的には実質的に滑らかである外面を有し、すなわちミクロンオーダーよりも大きい高さの伸長の凸凹を含まず、具体的には5ミクロンより高い高さの寸法の凸凹を有さない。具体的には、この弾性フィルムは、ミクロテクスチャ加工されていない。
【0070】
弾性材料は、弾性であるこの材料によってのみ構成されるフィルムのような材料であることを理解されたい。弾性とは、応力の抑制後にその最初の形を回復する物体の物理的特性である。
【0071】
本発明によれば、「固着剤の直接間挿」は、前記固着剤が弾性フィルムと片方で直接接していることを意味することを理解されたい。好ましくは、これはまた、不織布シートまたは層と直接接してもいる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明による積層体の、その流れ方向(すなわち巻きほどき方向)に対して横断方向の断面図である。
【図2】本発明による積層体用の製造装置の斜視図である。
【図3】ヒステリシス試験の実現のために作製され、それによって弾性材料のSETを決定することができるエラストマーまたは弾性材料のサンプルを示す図である。
【図4】試験を行うと得られ、計算によってSETを決定することができるヒステリシス曲線の形を示す図である。
【図5】非延伸状態での分断後の本発明による積層体を示す図である。
【図6】延伸状態での図5の積層体を示す図である。
【図7】非延伸状態での分断後の本発明による積層体の別の実施形態を示す図である。
【図8】延伸状態での図7の積層体を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある幅を有する少なくとも1枚の弾性フィルム(3、4)と、固着剤、特に接着剤の直接間挿によって少なくとも前記幅の上で前記フィルムに固着される少なくとも1層の不織布(1、2)とを含む積層体であって、前記少なくとも1層の不織布はフィルムから距離を置く外面(25)を有し、前記少なくとも1層の不織布の外面(25)は、積層体の延伸状態で波形であり、隆起領域(22)およびへこみ領域(23)を含み、それによって固着剤(20)が隆起領域と弾性フィルムとの間に設けられることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記外面(25)は、積層体の非延伸状態において実質的に平面であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記固着剤、具体的には接着剤は、一方では、互いに分離されており、好ましくは平行であり、および第1坪量を有する第1バンドの形態で、ならびにもう一方では、前記第1バンド間に配置される第2バンドの形態で付与され、前記第2バンドは第1坪量より低い第2坪量を有し、前記第2坪量は、好ましくは前記第1坪量の50%未満であり、その結果、横断方向の延伸後、不織布は、分断され、前記不織布の繊維は、第1バンド上に蓄積して隆起領域を形成し、一方、第2バンド上では、積層体の延伸状態で、前記不織布の繊維はより少量でありへこみ領域を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記固着剤は、固着剤も接着剤も含まない中間領域によって互いに分離されているバンドの形態で付与されており、それによって前記バンドは具体的には接続状態となっており、その結果、前記隆起領域は、固着剤のバンド上にあり、一方、前記へこみ領域は、中間領域上にあることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
【請求項5】
前記積層体は、前記少なくとも1枚の不織布を活性化した後、最初の幅の100%の伸長後のレマネンスが15%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満であることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記隆起領域は、一定の厚さであることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記固着剤は、接着、具体的には超音波によって溶融されたフィルムの側に面する不織布の表面の材料の層によって構成されることを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
前記少なくとも1枚の不織布と前記フィルムとの間に間挿される前記固着剤は、坪量が12g/m未満、具体的には8g/m未満の接着剤であることを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の積層体。
【請求項9】
前記少なくとも1枚の不織布の繊維は、前記少なくとも1枚の弾性フィルムの材料に部分的にさえ沈み込んでいないことを特徴とする請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の積層体。
【請求項10】
前記少なくとも1枚の弾性フィルムは、少なくとも1枚のシートの側上に、長手方向断面、すなわち前記幅の方向に対して垂直に、線、特に直線の形態を有する面を有し、前記少なくとも1枚の不織布の繊維すべてはその線の前記弾性フィルムの反対側に存在することを特徴とする請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の積層体。
【請求項11】
補強物が、前記不織布の領域を強固にするのに前記弾性フィルムと平行に実現され、前記補強物は、前記弾性フィルムに隣接することを特徴とする請求項1から10のうちのいずれか一項に記載の積層体。
【請求項12】
弾性フィルムを押出しダイから押し出して、冷却後に実質的に固形状態であるフィルムを得ることによって前記弾性フィルムを作製する工程と、実質的に固形状態である前記フィルムを1枚の不織布上に固着剤を間挿することによって積層する工程と、前記積層体を横断方向に切断し、その結果前記不織布の繊維が互いに間隔を置くように分断する工程とを含むことを特徴とする請求項1から11のうちのいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項13】
前記固着剤、具体的には接着剤は、互いに分離されている、特に、接続状態になっている横バンドで付与されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記延伸は、前記不織布の繊維を分断して互いに間隔を置くように、前記弾性フィルムのレベル、特に、前記弾性フィルムの頂部上に維持して行われることを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
【請求項15】
デザインつきの冷却マットが設けられ、これは、押し出された弾性フィルムに冷却中に転写されることを特徴とする請求項12、13、または14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−131002(P2007−131002A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−302700(P2006−302700)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(596170996)
【氏名又は名称原語表記】APLIX
【Fターム(参考)】