説明

不織布複合軟質発泡シート

【課題】伸縮性があり、シート状であっても引張り強度に優れ、表皮材、クッション材等として、車両、寝具・家具、医療材料等の用途に好適に利用できる軟質発泡シートを提供する。
【解決手段】シート状の変成シリコーン樹脂軟質発泡体に熱可塑性弾性繊維からなる不織布を積層し、変成シリコーン樹脂軟質発泡体に前記不織布を埋設した不織布複合軟質発泡シートは、伸縮性に優れ、さらにシート状であっても引張り強度に優れる軟質発泡シートが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、表皮材、クッション材等として、車両、寝具・家具、医療材料等の用途に好適に利用できる軟質発泡シートに関する。
【背景技術】
【0002】
変成シリコーン樹脂発泡体は、低毒性の原料を使用しており、かつ、耐候性、塗装性、接着性などに優れることから、土木建築におけるシーリング材、内外装材などに使用できるとされている(例えば、特許文献1、2参照)。しかし、前記変成シリコーン樹脂発泡体は、概ね硬質であり、柔軟性を要する用途への適用は困難であった。そこで、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、柔軟性が高く、触感に優れる軟質の変成シリコーン樹脂発泡体を得た。この変成シリコーン樹脂軟質発泡体は、各種クッション材などに好適に使用できることが期待されるが、特にシート状とした場合、引張り強度が必要となる部分への適用は困難である。
【0003】
一方、弾性繊維からなる不織布は、伸縮性にすぐれ、かつ、引張り強度も高いことから各種テープ素材等に使用されている。しかし、弾性繊維からなる不織布は、厚みが必要となる部分への適用は困難であった。
【特許文献1】特開平10−87995号公報
【特許文献2】国際公開第96/015194号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、伸縮性に優れ、シート状であっても引張り強度に優れる軟質発泡シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題の解決のため鋭意研究を重ねた結果、変成シリコーン樹脂軟質発泡体に、熱可塑性弾性繊維からなる不織布を一体化することにより、伸縮性に優れ、さらにシート状であっても引張り強度に優れる軟質発泡シートが得られることを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、次のような構成である。
(1) 変成シリコーン樹脂軟質発泡体と、熱可塑性弾性繊維か変成シリコーン樹脂軟質発泡体と、熱可塑性弾性繊維からなる不織布とが一体化された不織布複合軟質発泡シート。
(2) 前記変成シリコーン樹脂軟質発泡体がシート状であり、該変成シリコーン樹脂軟質発泡シートと前記不織布とが積層され、または該変成シリコーン樹脂軟質発泡シートに前記不織布が埋設されて一体化されている(1)の不織布複合軟質発泡シート。
(3) 引張り破断伸度が50%以上であり、引張り破断強度が2.0N/10mm以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の不織布複合軟質発泡シート。
(4) 前記不織布の引張り破断伸度が250%以上であり、かつ目付が25g/m2以上400g/m2以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の不織布複合軟質発泡シート。
(5) 前記不織布を構成する熱可塑性弾性繊維が、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタンから選ばれる少なくとも一つのエラストマーからなる(1)〜(4)のいずれかに記載の不織布複合軟質発泡シート。
(6) 不織布を構成する熱可塑性弾性繊維がポリウレタンであり、前記不織布が、溶融紡糸されたポリウレタン弾性フィラメントが実質的に集束されずに積層され、積層されたフィラメントの接触点が該フィラメント相互の熱融着により接合されてなる(5)記載の不織布複合軟質発泡シート。
(7) 前記変成シリコーン樹脂軟質発泡体が、ヒドロシリル基を有する化合物、アルケニル基を有する化合物およびヒドロシリル化触媒を含有する付加型変成シリコーン樹脂を硬化してなる(1)〜(6)のいずれかに記載の不織布複合軟質発泡シート。
(8) 軟質発泡体が、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、を含んでなる液状樹脂組成物を硬化してなる(7)に記載の不織布複合軟質発泡シート。
(9)前記変成シリコーン樹脂軟質発泡体が、前記液状樹脂組成物に発泡剤(D)を添加した発泡性樹脂組成物を発泡、硬化させたものである(8)記載の不織布複合軟質発泡シート。
(10) 厚みが1mm以上30mm以下である(1)〜(5)の何れかに記載の不織布複合軟質発泡シート。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、伸縮性に優れ、かつシート状であっても引張り強度に優れ、表皮材、クッション材等として、車両、寝具・家具、医療材料等の用途に好適に利用できる不織布複合軟質発泡シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明につき、詳細に説明する。本発明の不織布複合軟質発泡シートは、変成シリコーン樹脂軟質発泡体と、熱可塑性弾性繊維からなる不織布とを一体化してなる。この不織布複合軟質発泡シートは、伸縮性に優れ、かつ不織布を一体化してなるので、シート状であっても引張り強度に優れる。
【0009】
本発明の不織布複合軟質発泡シートの引張り破断伸度、および引張り破断強度は、JIS K6400−5に基づいて測定した値において、引張り破断伸度が50%以上、引張り破断強度が2.0N/10mm以上であり、より好ましくは引張り破断伸度が100%以上、引張り破断強度が2.5N/10mm以上、さらに好ましくは引張り破断伸度が200%以上、引張り破断強度が3.0N/10mm以上である。
【0010】
本発明の不織布複合軟質発泡シートの伸縮性は、JIS L1096に準拠して測定した100%伸張後の伸長回復率において、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。
【0011】
また、本発明の不織布複合軟質発泡シートの厚みは、1mm以上30mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mm以上25mm以下、さらに好ましくは2mm以上20mm以下である。1mmより薄いと発泡による厚み向上効果が得られず、30mmより厚いとシートとしての用途に使用できなくなる場合がある。
【0012】
また、本発明の不織布複合軟質発泡シートの密度は、特に限定するところではないが、10kg/m3以上1500kg/m3以下であることが好ましく、より好ましくは20kg/m3以上1200kg/m3以下、さらに好ましくは30kg/m3以上1000kg/m3以下である。
【0013】
本発明の不織布複合軟質発泡シートは、その軟質発泡体の素材として、変成シリコーン樹脂を基材樹脂とする軟質発泡体を使用する。ここでいう「軟質」とは、JIS K6400−2に準じた硬さ試験において、25%圧縮時1000N以下であることを意味する。
【0014】
本発明の変成シリコーン樹脂軟質発泡体の厚みは、不織布複合軟質発泡シートとした際に上記厚み範囲にあれば特に限定されるものではないが、1mm以上30mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mm以上25mm以下、さらに好ましくは2mm以上20mm以下である。
【0015】
本発明の変成シリコーン樹脂軟質発泡体の密度は、特に限定するところではないが、10kg/m3以上1000kg/m3以下であることが好ましく、より好ましくは20kg/m3以上750kg/m3以下、さらに好ましくは30kg/m3以上500kg/m3以下である。
【0016】
本発明の軟質発泡体の素材である変成シリコーン樹脂としては、有機系重合体からなる主鎖をシリコーンで架橋した構造を持つ樹脂であれば特に限定するものではないが、付加型変成シリコーン樹脂と呼ばれる、ヒドロシリル基を有する化合物、アルケニル基を有する化合物、ヒドロシリル化触媒を含有する混合物を硬化してなる樹脂を使用することが、発泡成形性や機械物性のバランスに優れることから好ましい。ここでいう「硬化」とは、液状の樹脂組成物が固体化することを意味し、特に硬度が高いことを意味するものではない。
【0017】
とりわけ、ヒドロシリル基を有する化合物として、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、アルケニル基を有する化合物として、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位からなる重合体(B)を使用することが、柔軟性のある軟質発泡体が得られるため好ましい。
【0018】
本発明の変成シリコーン樹脂軟質発泡体は、前記硬化剤(A)、重合体(B)およびヒドロシリル化触媒(C)からなる基材樹脂と発泡剤(D)を含んでなる樹脂組成物からなる。前記基材樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、気泡調整剤、充填材、貯蔵安定剤、増粘剤などを必要に応じて添加してもよい。
【0019】
前記硬化剤(A)は、分子鎖中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のヒドロシリル基を有する。ヒドロシリル基の上限は、好ましくは100個、より好ましくは70個、さらに好ましくは50個である。このように分子鎖中にヒドロシリル基を有するため、それぞれのヒドロシリル基が、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位からなる重合体(B)の分子鎖中に存在するアルケニル基と反応して硬化する。前記ヒドロシリル基の数が2個より少ないと、硬化剤(A)、重合体(B)およびヒドロシリル化触媒(C)を含む樹脂組成物をヒドロシリル化反応により硬化させる場合の硬化速度が遅くなり、硬化不良を起こす。また、前記ヒドロシリル基の個数が100個より多くなると、硬化剤(A)の安定性、前記樹脂組成物の安定性が悪くなる場合があり、その上、硬化後も多量のヒドロシリル基が硬化樹脂組成物中に残存しやすくなり、クラックの原因となる場合がある。
【0020】
なお、本発明において、ヒドロシリル基を1個有するとは、SiH結合を1個有することを言い、SiH2の場合にはヒドロシリル基を2個有することになるが、1つのSiに結合するHの数は、1つである方が硬化性は良くなり、また、柔軟性の点からも好ましい。
【0021】
硬化剤(A)の分子量は、後述する発泡剤(D)成分の分散性や得られる軟質発泡体の加工性などの点から、数平均分子量(Mn)の上限値は30000であることが好ましく、20000がより好ましく、15000であることがさらに好ましい。重合体(B)との反応性や相溶性まで考慮すると、硬化剤(A)の数平均分子量は、300以上10000以下が特に好ましい。
【0022】
硬化剤(A)の構造は、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有していれば特に制限はないが、例えば、炭化水素系硬化剤やポリシロキサン系硬化剤が例示できる。
【0023】
炭化水素系硬化剤とは、一般式(1)
1a (1)
(X:少なくとも1個のヒドロシリル基を含む基、R1:炭素数2〜150の1〜4価の炭化水素基、a:1〜4から選ばれる整数、但しXに1個のヒドロシリル基しか含まれない場合のaは2以上)
で示され、好適な具体例として、数平均分子量が30000以下であるヒドロシリル基を含有する炭化水素系硬化剤が挙げられる。
【0024】
前記Xの具体例としては、例えば、―SiHn(CH33-n、―SiHn(C253-n、―SiHn(C653-n(以上のn=1〜3)、―SiH2(C613)などのケイ素原子を1個だけ含有するヒドロシリル基、下記化1で示されるケイ素原子を2個以上含むヒドロシリル基、
【0025】
【化1】

【0026】
下記化2〜化4などで示される鎖状、枝分かれ状、環状の各種の多価ハイドロジェンシロキサンより誘導されたヒドロシリル基などが挙げられる。
【0027】
【化2】

【0028】
【化3】

【0029】
【化4】

【0030】
なお、化2〜化4では、式中、m個の単位とp個の単位、n個の単位とq個の単位、m個の単位とp個の単位とx個の単位、n個の単位とq個の単位とy個の単位、m個の単位とn個の単位、さらにはm個の単位とn個の単位とp個の単位とq個の単位がブロック結合で結合しているように記載されているが、これらはブロック結合でもランダム結合でもよい。以下の記載においても同様である。
【0031】
前記各種のヒドロシリル基のうち、硬化剤(A)である炭化水素系硬化剤が他の有機重合体との相溶性を損なう可能性が少ないという点から、一般式(1)のXaの部分の分子量が500以下であるのが好ましく、さらにヒドロシリル基の反応性も考慮すれば、下記化5で示されるヒドロキシル基が好ましい。
【0032】
【化5】

また、一般式(1)中、R1は炭素数2〜150で1〜4価の炭化水素基を表すが、重合体からなる基であってもよい。
【0033】
重合体でないR1の具体例としては、下記化6、化7に示すもの(これらは特開平3−95266号公報などに記載されている)などが挙げられる。
【0034】
【化6】

【0035】
【化7】

【0036】
また、重合体からなるR1基の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数2〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させたもので、結合手を1〜4個有するもの、ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させたり、前記オレフィン系化合物とジエン系化合物とを共重合させたりした後、水素添加したもので、結合手を1〜4個有するものなどが挙げられる。
【0037】
前記炭化水素系硬化剤の中でも、R1が炭素数5〜20の炭化水素基で、Xが化5で示される基の組み合わせが、反応性を上げ、良好な網目構造を取らせる点および重合体(B)との相溶性の点から好ましい。また、原料が容易に入手できる点からは、これらのなかでもR1の炭素数が5〜12の炭化水素基であることがより好ましく、重合体(B)との相溶性が特に良くなる点からは、Xが化5で示される基の中でも環状ポリシロキサン化合物であることがより好ましい。この組み合わせによって得られる化合物が、炭化水素系硬化剤としては好ましい。その具体例としては、例えば、化8に示すものなどが挙げられる。
【0038】
【化8】

【0039】
炭化水素系硬化剤の製法については特に制限はなく、任意の方法で製造すればよい。例えば、(i)分子中にSiCl基を持つ炭化水素系化合物を、LiAlH4、NaBH4などの還元剤で処理して該化合物中のSiCl基をSiH基に還元する方法、(ii)分子内に官能基X1を持つ炭化水素系化合物と、分子内に前記官能基X1と反応する官能基Y1およびヒドロシリル基の両者を有する化合物とを反応させる方法、(iii)アルケニル基を含有する炭化水素系化合物に対して少なくとも2個のヒドロシリル基を持つポリヒドロシラン化合物を選択ヒドロシリル化することにより、反応後もヒドロシリル基を該炭化水素系化合物の分子中に残存させる方法、などが例示される。前記方法のうち、製造工程が一般に簡便なことから(iii)の方法が好適に用いられる。この場合、一部のポリヒドロシラン化合物に含まれるヒドロシリル基の2個以上が、炭化水素系化合物中のアルケニル基と反応して分子量が増大することがあるが、このように、分子量が増大したものを含むものを硬化剤(A)として用いても何ら差し支えない。
【0040】
硬化剤(A)として、ポリシロキサン系硬化剤も使用することができる。具体例としては、ポリオキシアルキレン変性体、スチレン類変性体、オレフィン変性体などを含む化9〜化11に示すような鎖状、環状のポリオルガノハイドロジェンシロキサンが挙げられる。
【0041】
【化9】

(m、n:2≦m+n≦100、2≦m、0≦nを満たす整数、R:メチル基、分子量が100〜10000のポリオキシアルキレン基または炭素数2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有していてもよく、Rが複数個含まれる場合、これらは同じでなくともよい。)
【0042】
【化10】

(m、n:2≦m+n≦100、0≦m、0≦nを満たす整数、R:メチル基、分子量が100〜10000のポリオキシアルキレン基または炭素数2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有していてもよく、Rが複数個含まれる場合、これらは同じでなくともよい。)
【0043】
【化11】

(m、n:3≦m+n≦20、2≦m≦19、0≦n≦18を満たす整数、R:メチル基、分子量が100〜10000のポリオキシアルキレン基または炭素数2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有していてもよく、Rが複数個含まれる場合、これらは同じでなくともよい。)
【0044】
重合体(B)との相溶性をより良くするためには、化9〜化11の内、Rがフェニル基を含有しているものが好ましい。さらに入手のしやすさからRは、―CH2―CH2―C65、―CH2―CH(CH3)―C65、また、貯蔵安定性の点から―CH2―CH(CH3)―C65であることが好ましい。
【0045】
分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン系単位である重合体(B)は、硬化剤(A)とヒドロシリル化反応して硬化する成分であり、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有するため、ヒドロシリル化反応が起こって高分子状となり、硬化する。重合体(B)に含まれるアルケニル基の数は、硬化剤(A)とヒドロシリル化反応するという点から少なくとも1個必要であるが、硬化性、柔軟性の点からは分子鎖の両末端にアルケニル基が存在するのが好ましい。
【0046】
重合体(B)の構造としては、直鎖状であっても分岐していても良いが、直鎖状であるほうが、柔軟性の観点から好ましい。ここで、直鎖状とは、分子構造が直鎖状であるか、ある程度分岐していても分岐が主鎖の分子量よりも少なければ、直鎖状重合体であるとする。
【0047】
重合体(B)の分子量としては、柔軟性・触感、および反応性のバランスの点から、数平均分子量(Mn)が好ましくは10000以上であり、より好ましくは12000以上であり、さらに好ましくは15000以上である。上限値には特に限定はないが、50000以下が好ましく、30000以下がより好ましく、25000がさらに好ましい。
【0048】
重合体(B)の主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位である場合、主鎖を形成する出発物質として、活性水素を2個以上有する化合物、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノール化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールなどを用い、C2〜C4のアルキレンオキシドを重合させることにより製造される。
【0049】
主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位である重合体(B)の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドの2種以上のランダムまたはブロック共重合体などが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種の末端にアルケニル基を導入する方が好ましい。
【0050】
前記主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位である重合体(B)の具体例としては、柔軟性および触感の点から、主鎖の繰返し単位がオキシプロピレンであることが好ましい。
【0051】
本発明の変成シリコーン樹脂軟質発泡体において、硬化剤(A)および重合体(B)の含有割合は、硬化剤(A)中のヒドロシリル基および重合体(B)中のアルケニル基の数にもよるが、柔軟性および触感の点から、重合体(B)に対し、硬化剤(A)を、モル比率で1/2以上含有することが好ましく、3/4以上含有することがより好ましく、4/5以上含有することがさらに好ましい。
【0052】
さらに、硬化剤(A)中のヒドロシリル基の含有量が、重合体(B)中のアルケニル基1モル当り0.1〜50モルとなるようにすることが好ましく、0.2〜30モルとなるようにすることがより好ましい。
【0053】
本発明のヒドロシリル化触媒(C)としては、ヒドロシリル化触媒として使用し得るものである限り、特に制限はなく、任意のものを使用し得る。ヒドロシリル化触媒(C)の具体例としては、白金の担体;アルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの担体に固体白金を担持させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトンなどとの錯体;例えば、Pt(CH2=CH22(PPh32、Pt(CH2=CH22Cl2などの白金−オレフィン錯体;例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)m、Pt[(MeViSiO)4]mなどの白金−ビニルシロキサン錯体;例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34などの白金−ホスフィン錯体;例えば、Pt[P(OPh)34、Pt[P(OBu)34などの白金−ホスファイト錯体;ジカルボニルジクロロ白金などが挙げられる(なお、以上の式中、Me:メチル基、Bu:ブチル基、Vi:ビニル基、Ph:フェニル基、m、n:1以上の整数を表す。)。
【0054】
また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3,159,601号明細書および米国特許第3,159,662号明細書に記載された白金−炭化水素複合体、ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3,220,972号明細書に記載された白金アルコラート触媒、モディック(Modic)の米国特許第3,516,946号明細書に記載された塩化白金酸−オレフィン複合体なども本発明に有用に使用し得る。さらに、白金化合物以外の触媒も使用することができ、その具体例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl2など(Phはフェニル基を表す)が挙げられる。上記で挙げられたヒドロシリル化触媒群より選ばれる少なくとも1種が、ヒドロシリル化触媒(C)として用いることが好ましい。それらの中でも、触媒活性および安全性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体が好ましい。
【0055】
ヒドロシリル化触媒(C)の含有量としては、重合体(B)のアルケニル基1モルに対して10-8〜10-1モルが好ましく、10-6〜10-3モルがより好ましい。前記含有量が10-8モルより少ないと十分に硬化が進行しない場合がある。また10-1モルよりも多いと、樹脂組成物の硬化の制御が困難であったり、得られた軟質発泡体が着色する場合がある。
【0056】
本発明の発泡剤(D)としては、特に限定するものではないが、常温(23℃)において性状が、気体、液体、固体の発泡剤が挙げられる。また、別の側面で発泡剤を分類すると、例えば、通常、ポリウレタン、フェノール、ポリスチレン、ポリオレフィン等の有機発泡体に用いられる、揮発性液体や気体の物理発泡剤、加熱分解もしくは化学反応により気体を発生させる化学発泡剤、ヒドロシリル基と反応して水素を発生させる活性水素基含有化合物などが挙げられる。発泡剤(D)としては、前記物理発泡剤、化学発泡剤、活性水素化合物より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。これらの内でも、活性水素基含有化合物が、連続気泡率の向上や柔軟性等の物性発現に寄与するため、好ましく用いられる。
【0057】
前記物理発泡剤としては、ヒドロシリル化反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、発泡性、および作業性と安全性の点から、物理発泡剤の沸点は、100℃以下であることが好ましく、50℃以下がより好ましい。具体的には、炭化水素、フロン、塩化アルキル、エーテルなどの有機化合物、二酸化炭素、窒素、空気などの無機化合物が挙げられるが、環境適合性の観点から、炭化水素、エーテル、二酸化炭素、窒素、空気から選ばれる化合物を用いることが好ましい。このうち、炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタンクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、エーテル類としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、1,1−ジメチルプロピルメチルエーテル等が挙げられる。なお、軟質発泡体製造時に、空気中で機械的な攪拌を行う場合は、攪拌に伴って巻き込まれた空気により気泡が形成される場合があり、これもまた物理発泡剤のひとつであると考える。ただし、これら物理発泡剤を使用する場合、残存物による発泡体成形後の物性変化が懸念されることなどから、軟質発泡体製造後、使用した物理発泡剤の沸点以上の温度で加熱養生することにより、残留発泡剤を取り除いておくことが好ましい。
【0058】
前記化学発泡剤としては、ヒドロシリル化反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、NaHCO3などの無機系化学発泡剤や有機系化学発泡剤などが挙げられる。
【0059】
前記活性水素基含有化合物としては、ヒドロシリル基と反応して水素を発生する活性水素基を含有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、以下のものが例示できる。
【0060】
即ち、活性水素含有化合物としては、アルコール類、カルボン酸類、フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物、水が例示できる。
【0061】
アルコール類の具体例としては、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルなどの1価のアルコール;
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,9−ノナメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グリセリンモノアリルエーテルなどの多価アルコール;
ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、これらの共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、スクロース、テトラエチレンジアミン、エチレンジアミン等を開始剤とした1分子内にヒドロキシル基を3個以上含むものも含むなどのポリエーテルポリオール;
アジペート系ポリオール、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールなどのポリエステルポリオール;
エポキシ変性ポリオール;ポリエーテルエステルポリオール;ベンジリックエーテル型フェノールポリオールなどのフェノール系ポリオール;ルミフロン(旭硝子社製)などのフッ素ポリオール;ポリブタジエンポリオール;水添ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ハロゲン含有難燃性ポリオール;リン含有難燃性ポリオール;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、東亜合成化学工業(株)製「アロニクス5700」、4−ヒドロキシスチレン、日本触媒化学工業(株)製「HE−10」、「HE−20」、「HP−10」および「HP−20」[いずれも末端にヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルオリゴマー]、日本油脂(株)製のブレンマーシリーズとして、PPシリーズ[ポリプロピレングリコールメタクリレート]、ブレンマーPEシリーズ[ポリエチレングリコールモノメタクリレート]、ブレンマーPEPシリーズ[ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート]、ブレンマーAP−400[ポリプロピレングリコールモノアクリレート]、ブレンマーAE−350[ポリエチレングリコールモノアクリレート]、ブレンマーNKH−5050[ポリプロピレングリコールポリトリメチレンモノアクリレート]およびブレンマーGLM[グリセロールモノメタクリレート]、ヒドロキシル基含有ビニル系化合物とε−カプロラクトンとの反応により得られるε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニル系モノマーなどのヒドロキシル基含有ビニル系モノマー(なお、ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーは、硬化剤(A)成分と発泡剤(D)の何れとしても利用できる);前記ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーとアクリル酸、メタクリル酸、それらの誘導体などとの共重合により得ることが可能なヒドロキシル基を有するアクリル樹脂;その他アルキド樹脂、エポキシ樹脂などのヒドロキシル基を有する樹脂;
などが挙げられる。
【0062】
カルボン酸類の具体例としては、酢酸、プロピオン酸等の一価の飽和カルボン酸などが挙げられる。
【0063】
フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールS、フェノール樹脂などが挙げられる。
等が挙げられる。
【0064】
これらの活性水素基含有化合物の中でも、反応性や取り扱い性の点からは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの1級飽和炭化水素アルコール、ポリエーテルポリオール、水よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、また、柔軟性や透湿性付与の観点からは、酸素が直接炭素に結合している化合物または水が好ましい。とりわけ、水、エタノール、ポリエチレングリコールのいずれかが好ましい。
【0065】
本発明における活性水素基含有化合物中の水酸基当量は、該水酸基当量が小さくなると、添加する活性水素基含有化合物の体積が大きくなり、発泡倍率が上がりにくくなるため、0.1mmol/g以上が好ましく、さらに反応性の点から0.5mmol/g以上がより好ましい。
【0066】
なお、発泡剤(D)として、ポリエチレングリコールやポリエチレングリコールモノアリルエーテルのような1分子内に2個以上のヒドロキシル基、もしくはヒドロキシル基とアルケニル基を有する活性水素化合物を用いた場合は、ヒドロシリル基を有する硬化剤(A)中のヒドロシリル基と、発泡剤(D)中の活性水素化合物中のヒドロキシル基との反応により、水素ガスを発生すると共に架橋構造を形成するため、発泡性の低下や軟質発泡体の機械強度が低下する場合があるので、下記のように配合に注意を要する。
【0067】
本発明において発泡剤(D)として、1分子内に2個以上のヒドロキシル基、もしくはヒドロキシル基とアルケニル基を有する活性水素基含有化合物を用いる場合、硬化剤(A)、重合体(B)および発泡剤(D)の配合割合は、各化合物の構造、目的とする発泡倍率、目的とする物性により適宜選択されるものであって特に限定はされないが、硬化剤(A)中のヒドロシリル基のモル数:xと、重合体(B)中のアルケニル基のモル数:yおよび発泡剤(D)中のヒドロキシル基のモル数:zの和との比率が、x/(y+z)=1/10〜50/1であることが好ましく、x/(y+z)=1/5〜30/1であることがより好ましく、x/(y+z)=1/2〜20/1であることがさらに好ましい。x/(y+z)が50/1を越えると、架橋密度が低くなり、十分な機械的強度が得られない場合があり、x/(y+z)が1/10未満であると、十分な発泡、硬化が起こらない場合がある。
【0068】
また、重合体(B)のアルケニル基のモル数:yと発泡剤(D)のヒドロキシル基のモル数:zとの比率には特に限定はなく、目的とする発泡倍率、目的とする物性、硬化剤(A)の骨格、発泡剤(D)の種類により、適宜選定することが出来るが、一般的には、y:z=100:1〜1:100が好ましく、y:z=10:1〜1:20がより好ましい。
【0069】
本発明の、変成シリコーン樹脂軟質発泡体には、必要に応じて、さらに、充填剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、ポリジメチルシロキサン―ポリアルキレンオキシド系界面活性剤あるいは有機界面活性剤(ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル等)などの整泡剤、酸あるいは塩基性化合物(ヒドロシリル基とヒドロキシル基との反応調整のための添加剤であり、酸で縮合反応を抑制し、塩基で加速する。)、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、抗菌剤、物性調整剤などを、本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
【0070】
また、変成シリコーン樹脂軟質発泡体の整泡性や、硬化剤(A)、重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、発泡剤(D)を含んでなる発泡性樹脂組成物の相溶性を向上する目的で、界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤の種類としては特に限定されるものではないが、具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエ一テル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルコキシプロピルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム液、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0071】
さらには、硬化剤(A)、重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、発泡剤(D)成分を含んでなる本発明の発泡性樹脂組成物に、必要であれば貯蔵安定性改良剤を添加してもよい。貯蔵安定性改良剤としては、硬化剤(A)の貯蔵安定剤として知られている通常の安定剤で所期の目的を達成するものであれば使用することができる。このような貯蔵安定性改良剤の好ましい例としては、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、チッ素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物などが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。具体例としては、例えばベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、ジメチルアセチレンジカルボキシレート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン、キノリンなどが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができるが、これらに限定されるわけではない。これらの中では、ポットライフおよび速硬化性の両立という点から、チアゾール、ベンゾチアゾール、ジメチルマレートが特に好ましい。
【0072】
前記貯蔵安定性改良剤の使用量は、硬化剤(A)および重合体(B)に均一に分散するかぎりほぼ任意に選ぶことができるが、硬化剤(A)中、SiH基1モルに対し、10-6〜10-1モルの範囲で用いるのが好ましい。前記使用量が10-6モル未満では硬化剤(A)の貯蔵安定性が充分に改良されず、また10-1モルを超えると硬化性が不充分になる場合がある。
【0073】
さらには、本発明の変成シリコーン樹脂軟質発泡体には、必要であれば、気泡調整剤を添加しても良い。該気泡調整剤の種類には特に限定はなく、通常使用される、例えばタルク、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、シリカなどの無機固体粉末や、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどのシリコーンオイル系化合物、フッ素系化合物などが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種用いることができる。気泡調整剤の使用量は、通常使用される量でよい。具体的には、硬化剤(A)、重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)の合計量を100重量部としたときに、0.1〜100重量部が好ましく、0.5〜50重量部がより好ましい。
【0074】
本発明の変成シリコーン樹脂軟質発泡体の製造方法は、特に限定はないが、例えば以下のように製造できる。
【0075】
硬化剤(A)、重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、発泡剤(D)および気泡調整剤などの任意成分の混合液を攪拌混合して調整し、発泡性樹脂組成物とする。この発泡性樹脂組成物を型枠に注入して、もしくは、ベルトコンベア上の基材に垂らすなどして、硬化させて軟質発泡シートを得る。
【0076】
発泡剤(D)として液体や固体を用いる場合には、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、発泡剤(D)、および、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、必要に応じてその他の任意成分を加えて混合した後、型枠内に注入し、もしくは、ベルトコンベア上の基材に垂らすなどして、適当な条件で加熱硬化させることにより本発明の変成シリコーン樹脂軟質発泡体が得られる。
【0077】
発泡剤(D)として気体を用いる場合には、まず、硬化剤(A)、重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)および気泡調整剤などの任意成分の混合液を撹拌混合して調整し、樹脂原料とする。次に、この樹脂原料と気体である発泡剤(D)とを密閉状態で共存させてから、好ましくは0.001〜50MPa程度の範囲内、より好ましくは0.01〜40MPa程度の範囲で圧縮する。直ちに圧縮された樹脂原料をミキサーに移送し、高速撹拌する。このとき、気体は樹脂原料中に分散する。次に、気体が分散した樹脂原料を加圧する。加圧後に得られた樹脂原料を型枠内に、圧入などの手段によって入れ、またはベルトコンベア上の基材に垂らすなどして、加熱することにより本発明の変成シリコーン樹脂軟質発泡体が得られる。加圧条件、加熱条件は発泡倍率や粘度により変わるので、適宜調整する。泡立ち(分散させる気体量)と泡立ち後の気泡の維持の点から、例えば室温(23℃)でB型粘度計を用い4rpmで測定した発泡剤添加前の樹脂組成物の粘度は、100〜3000P(ポイズ)が好ましく、300〜1500Pであることがより好ましい。粘度が100Pより低いと、破泡して好適な軟質発泡体が得られない場合があり、3000Pよりも高いと、気体の分散不良を起こす場合がある。
【0078】
本発明の変成シリコーン樹脂軟質発泡体は、後述の不織布と複合したシート状として用いる。軟質発泡体をシート状とする方法としては、特に限定するものではないが、例えば上記ベルトコンベア上に垂らす際にシート状となるようにTダイ等からの押出しやコーター等で成形する方法、あるいはシート状の金型に注入する方法など、はじめからシート状に成形してもよく、もしくは、スラブやブロック状に注入成形したものをシート状にスライスしてもよい。
【0079】
本発明に用いる不織布は、熱可塑性弾性繊維からなる不織布であれば特に限定するものではないが、引張り破断伸度が250%以上、目付けが25g/m2以上400g/m2以下であることが、軟質発泡体の伸びや柔軟性を阻害しないで破断強度を向上できる点で好ましく、より好ましくは引張り破断伸度が270%以上、目付けが30g/m2以上350g/m2以下、さらに好ましくは引張り破断伸度が300%以上、目付けが40g/m2以上300g/m2以下である。
【0080】
不織布を形成する熱可塑性弾性繊維に関しては、特に限定するものではないが、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレンなどのエラストマーが挙げられる。このうち、特にポリウレタン骨格を有するものが、引張り破断伸度および引張り破断強度が大きいことから、より好ましく用いられる。
【0081】
本発明に用いる不織布を構成するポリウレタンエラストマーとしては、公知の溶融紡糸可能な熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いることができる。この熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、通常、分子量500〜6000の低融点ポリオール、たとえばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、たとえばジフエニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化ジフエニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、たとえばグリコール、アミノアルコールまたはトリオールとの反応により得られるポリマーである。これらのポリマーのうち、特に良好なものはポリオールとしてポリテトラメチレングリコール、ポリε−カプロラクトンまたはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。ポリオールとしてポリエチレングリコールを用いると親水性が向上するため特殊の用途に用いられる。また有機ジイソシアネートとしてはP,P′−ジフエニルメタンジイソシアネートが好適である。また鎖伸長剤としては、P,P′−ビスヒドロキシエトキシベンゼンまたは1,4−ブタンジオールが好適である。
【0082】
ポリウレタンエラストマーは、上記の如くポリオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤とから合成されるものであるが、本発明において好適に使用されるのは、ポリオール成分が全体の65重量%以上であり、特に好ましいのは68重量%以上である。ポリオール成分の含有量が少ない場合は、得られる不織布の伸度および伸長回復性が低いものとなる。これらのポリウレタンエラストマーが可塑剤顔料、安定剤等を含有することは差支えない。
【0083】
本発明に用いる不織布は、構成する弾性フィラメントが実質的に集束されず、モノフィラメントが糸条の全長に亘って接合することなく、開繊して積層されたものである。モノフィラメントが開繊されずに集束された状態で接合されていると、不織布の柔軟性が著しく損なわれる。また、このモノフィラメントの直径は、通常平均30μm以下、好ましくは20μm以下である。モノフィラメントの直径はバラツキがあることが考えられるが、最大の場合でも50μm以下が望ましい。モノフィラメントの繊径が大きくなると不織布が粗剛になる。
【0084】
本発明に用いる不織布を構成する熱可塑性弾性繊維の断面形状は、円形、異形、中空等の各種形状をとり得るが、不織布としての後加工性、シート形成性及び伸縮性の面から円形断面のものが好ましい。
【0085】
本発明に用いる不織布は、上記エラストマーを用い、メルトブローン法やスパンボンド法により製造される。
【0086】
本発明に用いる不織布は、弾性フィラメントが積層され、この積層体を構成する繊維相互の接触点が繊維自体により接合されたものである。このような接合状態は熱可塑性弾性繊維相互を熱により融着させることにより達成できる。
【0087】
本発明の不織布複合軟質発泡シートは、前記変成シリコーン樹脂軟質発泡体と前記不織布とを一体化して複合したものである。複合する形態としては、特に限定するものではないが、シート状の変成シリコーン樹脂軟質発泡体と不織布が概略面並行であることが、不織布複合軟質発泡シートに柔軟性と伸び・引張り強度を発現させる上で好ましい。具体的には、変成シリコーン樹脂軟質発泡シートの表面(片面もしくは両面)に不織布を接着したものや、変成シリコーン樹脂軟質発泡シート中に不織布を埋設したものが挙げられる。これらの製造方法も、特に限定するものではないが、例えば、変成シリコーン樹脂軟質発泡体をシート状に成形し、完全に硬化する前に不織布を積層して一体化させる方法、変成シリコーン樹脂軟質発泡シートに接着剤で不織布を接着させる方法、不織布上で変成シリコーン樹脂軟質発泡体をシート状に一体成形する方法などが挙げられる。
【0088】
また、本発明の不織布複合軟質発泡シートは、熱可塑性弾性繊維からなる不織布の面において、布帛などとの熱圧着成形が可能であり、また、変成シリコーン樹脂軟質発泡体単体では困難であった縫製も可能となるなど、加工性に優れる。
【0089】
以上のようにして得られた本発明の不織布複合軟質発泡シートは、柔軟性が高く、触感がよい上、伸縮性、引張り強度に優れることから、このような物性を有効に発揮できる様々な用途に使用することが可能である。この不織布複合軟質発泡シートは、例えば、表皮材、クッション材等として、車両、寝具・家具、医療材料等の用途に好適に利用できる。また、身体に触れるもの、もしくはそれに準じるものに特に好適に利用することができる。
【0090】
その具体例としては、輸送機器用途として、自動車・建築機械・鉄道車両・船舶・航空機等の座席、チャイルドシート、ヘッドレスト、アームレスト、フットレスト、ヘッドライナー、バイク・自転車等のサドル・ライダークッション、カスタムカー用のベッドマット、キャンピングカー用クッションなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、
天井材、ハンドル、ドアトリム、インストルメントパネル、ダッシュボード、ドアパネルなどの芯材や表皮材・表皮裏打ち材、
ヘルメット内張りなどの緩衝材など、
寝具・寝装品用途として、枕、掛け布団、敷布団、ベッド、マットレス、ベッドマット、ベッドパッド、クッション、ベビーベッド、ベビー用首まくらなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材など、
家具用途として、椅子、座イス、座布団、ソファー、ソファークッション・シートクッションなどの各種クッション、カーペット・マット類、コタツ敷・掛け布団、便座マットなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材など、
ロボットの皮膚、
履物用途として、靴の裏打ち、中敷、靴擦れ防止パッド、各種靴パッド、インナブーツ、スリッパ、サンダル、サンダル中敷など、
各種雑貨用途として、バスピロー等の風呂用品、マッサージ用パフ、マウスパッド、キーボード用アームレスト、文具(ペングリップ)、デスク用小まくら、ホットパック用シート、コールドパック用シート、湿布、めがねパッド、水中眼鏡用パッド、顔面プロテクター、腕時計パッド、氷枕カバー、折りたたみまくらなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、
衣料用途として、肩・ブラジャーなど下着のパッド材やサポーターなど、
スポーツ用途として、スポーツ用プロテクター類、サポーター類、ボルダリング(2〜3mの岩を登るクライミング・ミニ岩登り)マット、高飛び用のクッション材、体操競技や運動用の着地マット、キッズマットなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、スキーブーツ、スノーボードブーツなどのライナーなど、
玩具・遊具用途として、ハンドエクササイザー、ヒーリンググッズ、キーホルダー、ぬいぐるみ、マネキンボデイー、ボール、マッサージボールなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、
医療・介護用途として、人工皮膚、薬液染み出しパッド、止血パッド、貼布剤、医療用液体吸収用具、マスク、圧迫パッド、手術用ディスポ製品、低周波治療器用電極パッド、床ずれ予防マットレス、体位変換クッション、車椅子用クッション、車椅子の座面、シャワー椅子等の介護用品、入浴介護用枕、拘縮用手のひらプロテクター、テーピング、ギブス用ライナー、義肢・義足用ライナー、衝撃吸収パッド、ヒッププロテクター、肘・膝用プロテクター、創傷被覆材などにも利用できるものである。
【0091】
また、本発明の不織布複合軟質発泡シートは、それ単独で使用してもよいが、特徴を生かす範囲であれば、さらに、未発泡体であるプラスチック、発泡倍率の異なる発泡体、フィルム、布、紙、繊維等の素材と一体成形して用いても良く、不織布複合軟質発泡シートの表面に、さらに綿、アクリル繊維、毛、ポリエステル繊維等でできた織布を、張り合わす、縫合する等して組み合わせて使用しても良い。
【0092】
本発明の不織布複合軟質発泡シートの使用時の形状としては、特に限定されるものではないが、長方形、正方形、円形、楕円形、ひし形などの多角形や、短冊状やドーナツ型の内部がくりぬいてあるもの、表面に任意の凹凸を付けたもの等が挙げられる。
【実施例】
【0093】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例および比較例中の測定、評価は、次の条件・方法により行った。なお、特にことわりがない場合、実施例および比較例の部や%は重量基準である。
【0094】
<引張り破断伸度・強度>
サンプルから1号形ダンベル状試験片を打ち抜き、JIS K6400−5に基づいて測定した。
【0095】
<伸縮性>
JIS L1096に準拠して100%伸張後の伸長回復率を測定した。
【0096】
<硬さ>
JIS K6400−2に準じた硬さ試験において、25%圧縮時の応力を測定した。
【0097】
<触感評価>
不織布複合軟質発泡シートを20人のパネラーに実際触ってもらい、触感を評価した。押したり、擦ったりしたときの触感が良いものを○、良くも悪くもないものを△、触感が悪いものを×とした。ここで、「触感が良い」とは、押したときに軟らかく、跳ね返りが弱いため、押している間は包み込まれるような感覚を言う。一方、触感が悪いものは跳ね返りが強く抵抗を感じるような感覚を言う。
【0098】
<使用感評価>
試作した膝用サポーターを20人のパネラーに装着してもらい、使用感を評価した。伸縮性がよく肌触りがやわらかい等、使用感が良いものを○、良くも悪くもないものを△、使用感が悪いものを×とした。
【0099】
<使用時耐久性評価>
上記、使用感評価後、8時間連続して装着してもらった。8時間後の状態を目視で評価した。破れや汚れが目立たず、初期と変化がないものを○、一部にひび割れ程度の破れや汚れが見えるものを△、破れが生じ、装着状態から脱落してしまったものを×とした。
【0100】
<使用化合物>
実施例・比較例においては、表1に示す化合物を用いた。
【0101】
【表1】

【0102】
(実施例1)
100部の重合体Bに対して、発泡剤Dを7.5部、触媒Cを0.08部加えて十分に混合し、さらに、硬化剤Aを13部添加してすばやく混合した。この混合物をシート型枠に注入し、室温で10分経過した時点でポリウレタン熱可塑性弾性繊維不織布(KBセーレン製:エスパンシオーネ(登録商標) 破断伸度:300%、目付:75g/m2)を片面に積層し、その後、40℃に設定したオーブンで60分加熱硬化し、不織布複合軟質発泡シートを得た。得られた不織布複合軟質発泡シートの厚みは10mm、密度は181kg/m3、硬さは50Nであった。得られた不織布複合軟質発泡シートの評価結果は表2に示す。
【0103】
(実施例2)
100部の重合体Bに対して、発泡剤Dを7.5部、触媒Cを0.08部加えて十分に混合し、さらに、硬化剤Aを13部添加してすばやく混合した。この混合物をシート型枠に適当量注入後、ポリウレタン熱可塑性弾性繊維不織布(KBセーレン製:エスパンシオーネ(登録商標) 破断伸度:300%、目付:75g/m2)を積層し、さらにその上から上記混合物を注入した。その後、40℃に設定したオーブンで60分加熱硬化し、不織布複合軟質発泡シートを得た。得られた不織布複合軟質発泡シートの厚みは10mm、密度は190kg/m3、硬さは45Nであった。得られた不織布複合軟質発泡シートの評価結果は表2に示す。
【0104】
(比較例1)
ポリウレタン熱可塑性弾性繊維不織布(KBセーレン製:エスパンシオーネ(登録商標) 破断伸度:300%、目付:75g/m2)を実施例1と同様に評価し、結果を表2に示した。
【0105】
(比較例2)
100部の重合体Bに対して、発泡剤Dを7.5部、触媒Cを0.08部加えて十分に混合し、さらに、硬化剤Aを13部添加してすばやく混合した。この混合物をシート型枠に注入した。その後、40℃に設定したオーブンで60分加熱硬化し、軟質発泡シートを得た。得られた軟質発泡シートの厚みは10mm、密度は171kg/m3、硬さは30Nであった。評価結果は表2に示す。
【0106】
【表2】

【0107】
以上の実施例1、2および比較例1、2の結果より、本発明の不織布複合軟質発泡シートは、伸縮性に優れ、シート状であっても引張り強度に優れ、また、柔軟性が高く、触感に優れることが理解される。
【0108】
(実施例3)
実施例1で得られた不織布複合軟質発泡シートを用い、ゴム糸を編んだサポーター本体の適切な部位に、不織布複合軟質発泡シートの発泡体面がサポーター本体に接するように載置し、ミシン縫製にて取り付けた。次いで、サポーター本体を筒状にして両端部を重ね合わせ、その部分をミシン縫製し、膝用サポーターとした。得られた膝用サポーターを着用評価した。評価結果は表3に示す。
【0109】
(実施例4)
実施例2で得られた不織布複合軟質発泡シートを用いる他は、実施例3と同様にして膝用サポーターを得た。得られた膝用サポーターを着用評価した。評価結果は表3に示す。
【0110】
(比較例3)
ポリウレタン熱可塑性弾性繊維不織布(KBセーレン製:エスパンシオーネ 破断伸度:300%、目付:75g/m2)を、実施例3と同様にして、膝用サポーターの適切な部位にミシン縫製にて取り付け、着用評価した。評価結果は表3に示す。
【0111】
(比較例4)
比較例2で得られた軟質発泡シートを用い、実施例3と同様にしてミシン縫製しようと試みたが、縫製作業時に部分的に破れた。この状態で、着用評価した。評価結果は表3に示す。
【0112】
【表3】

【0113】
以上の実施例3、4および比較例3、4の結果より、本発明の不織布複合軟質発泡シートはミシン縫製が可能であり、かつこれを使用したサポーターは、使用感および耐久性に優れることが理解される。
【0114】
(実施例5)
実施例1で得られた不織布複合軟質発泡シートを用い、下着内面の大腿骨頚部被覆部に、不織布複合軟質発泡シートの不織布面が下着内面に接するように載置し、熱圧着することにより、パッドつき下着を得た。得られたパッドつき下着は、伸縮性を保持している為、着用感に優れていた。使用後の家庭洗濯を繰り返しても、着用感に変化はなく快適であった。
【0115】
(比較例5)
比較例2で得られた軟質発泡シートを下着に熱圧着したが、良好な接着性が得られず、パッドつき下着とすることができなかった。
【0116】
以上の実施例5および比較例5の結果より、本発明の不織布複合軟質発泡シートは熱圧着可能であり、加工性に優れることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変成シリコーン樹脂軟質発泡体と、熱可塑性弾性繊維からなる不織布とが一体化された不織布複合軟質発泡シート。
【請求項2】
前記変成シリコーン樹脂軟質発泡体がシート状であり、該変成シリコーン樹脂軟質発泡シートと前記不織布とが積層され、または該変成シリコーン樹脂軟質発泡シートに前記不織布が埋設されて一体化されている請求項1記載の不織布複合軟質発泡シート。
【請求項3】
引張り破断伸度が50%以上であり、引張り破断強度が2.0N/10mm以上である請求項1または2に記載の不織布複合軟質発泡シート。
【請求項4】
前記不織布の引張り破断伸度が250%以上であり、かつ目付が25g/m2以上400g/m2以下である請求項1〜3のいずれかに記載の不織布複合軟質発泡シート。
【請求項5】
前記不織布を構成する熱可塑性弾性繊維が、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタンから選ばれる少なくとも一つのエラストマーからなる請求項1〜4のいずれかに記載の不織布複合軟質発泡シート。
【請求項6】
前記熱可塑性弾性繊維がポリウレタンであり、前記不織布が、溶融紡糸されたポリウレタン弾性フィラメントが実質的に集束されずに積層され、積層されたフィラメントの接触点が該フィラメント相互の熱融着により接合されてなる請求項5記載の不織布複合軟質発泡シート。
【請求項7】
前記変成シリコーン樹脂軟質発泡体が、ヒドロシリル基を有する化合物、アルケニル基を有する化合物およびヒドロシリル化触媒を含有する付加型変成シリコーン樹脂を硬化してなる請求項1〜6のいずれかに記載の不織布複合軟質発泡シート。
【請求項8】
前記変成シリコーン樹脂軟質発泡体が、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、およびヒドロシリル化触媒(C)を含んでなる液状樹脂組成物を硬化してなる請求項7に記載の不織布複合軟質発泡シート。
【請求項9】
前記変成シリコーン樹脂軟質発泡体が、前記液状樹脂組成物に発泡剤(D)を添加した発泡性樹脂組成物を発泡、硬化させたものである請求項8記載の不織布複合軟質発泡シート。
【請求項10】
厚みが1mm以上30mm以下である請求項1〜9のいずれかに記載の不織布複合軟質発泡シート。

【公開番号】特開2010−42539(P2010−42539A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206713(P2008−206713)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(305037123)KBセーレン株式会社 (97)
【Fターム(参考)】