説明

不織布複合高分子固体電解質シート

【課題】高分子固体電解質の薄膜化を可能にし、ポリマーの密着性に優れた特徴を活かした不織布複合高分子固体電解質シートを提供する。
【解決手段】(A)式(I)


で表わされる繰り返し単位を有するブロック鎖A、及び、−[−C(R)(R)−C(R)(R)−]−なるブロック鎖Bを有するブロック共重合体、及び、式(III)式X〔B−Y(AB)n1n2(III)〔式中、ABは上記式(I)で表わされる繰り返し単位A、及び、繰り返し単位Bを有するランダム共重合体を表す。〕で表される多分岐共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種、及び(B)電解質塩を含有する高分子電解質を不織布に担持させてなる不織布複合高分子固体電解質シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子電解質を不織布に担持させた、二次電池に有用な不織布複合高分子固体電解質シートに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池が使用される機器の高性能化に伴い、電池容量の高容量化や長期信頼性の確保だけでなく、形状多様性に対する要求が顕在化してきている。さらに薄く大面積化された電池や積層化された電池、曲面形成された電池等が例として挙げられる。また、近年のハイブリッドカーや電気自動車の車載用途、風力発電や太陽光発電による電力安定化のための電源貯蔵設備に使用される大容量リチウム二次電池の需要が見込まれている。
電池の高容量化、高エネルギー密度化のため、含有活物質の増加やより高電圧の活物質材料を使用するようになり、電池の発熱や発火の危険性が指摘されている。また、電池の薄膜化やフレキシブル化に対し電池筐体のラミネート化が検討されているが、電解液を用いる限り液漏れの心配から逃れられない。
このことから、リチウム二次電池の薄膜化や形状加工性の向上には、電解液を含まない固体電解質に置き換えた電池の研究がなされている。固体電解質のタイプには、高分子固体電解質と無機固体電解質が挙げられる。
【0003】
しかしながら、無機固体電解質は一般に粉末であるため成型加工性が乏しく、さらにイオン伝導は粒子間での界面接触による。従って、大面積での粉末成型シートの作成や粒子間の界面抵抗を制御し品質の均一性を保つことは、非常に困難を伴う。また無機固体電解質は密着性が全くない。よって、電極等の電池部材との界面抵抗が高くなり、さらには電池作成や輸送の際に正極や負極とのずり移動が生じることでの不良品発生や短絡発生、さらには擦れによる電極活物質や成型された固体電解質の欠落の恐れが生じる。
【0004】
それに対して、高分子固体電解質は、例えばポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシドのエチレンオキシドユニットを有するポリエーテル系ポリマーを含有する電解質が挙げられる。ポリマー中のエチレンオキシドユニットがリチウムイオンを配位し、ポリマーのセグメント運動にてリチウムイオンが運ばれてイオン導電性が発現される。しかしながら、一般に高分子固体電解質のイオン導電率は低い。
このような高分子固体電解質を有するリチウム二次電池は、正極と負極との電極間距離を近くし電池内部抵抗を低減させる、すなわち固体電解質層を薄くする必要がある。だが、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシドといった高分子を有する高分子固体電解質は機械的強度が十分でないため、電解質層の厚さを薄くすると内部短絡の発生頻度が高くなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明者らは、ポリアルキレンオキシド鎖をエステル部位に有するアクリル酸エステル誘導体の重合体とポリスチレンとの狭分散ブロック共重合体ポリマーを主骨格とし、ミクロ相分離構造を発現させることで、高イオン導電率と膜強度とを兼ね備えたポリマー(MESポリマー)を開発した(特許文献1及び2)。
MESポリマーを用いることで、膜厚50μm程度の固体電解質層からなるリチウム二次電池が得られる。だが、膜厚50μm以下のさらなる薄膜化には困難が伴うこと、そして、電池作成には当該ポリマーとリチウム塩とを有機溶剤に溶解させた混合溶液を正極もしくは負極上にキャストしての成膜を行う必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/009663号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/016665号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は高分子固体電解質のさらなる薄膜化を可能にし、密着性に優れているという特徴を有する不織布複合高分子固体電解質シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、不織布に高分子電解質を担持させることにより、イオン導電率と密着性に優れた薄膜の不織布複合高分子固体電解質シートを得ることができ、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は
(1)不織布に、
(A)式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、RとRは結合して環を形成してもよい。R4a及びR4bはそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアシル基又は炭素数3〜20のトリ置換シリル基を表し、mは2〜100のいずれかの整数を表し、mが2以上のとき、R4a同士及びR4b同士は、同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる繰り返し単位を有するブロック鎖A、及び、式(II)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは、アリール基を表す。)で表わされる繰り返し単位を有するブロック鎖Bを有するブロック共重合体、及び、式(III)
式 X〔B−Y(A)n1n2 (III)
〔式中、Xは3以上の結合手を有する有機基を表す。Aは、式(I)
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、R〜R及びmは前記定義と同じ)で表わされる繰り返し単位、及び、式(II)
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、R〜Rは前記定義と同じ)で表わされる繰り返し単位を有するランダム共重合体を表す。Bは式(IV)
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、R13はアリール基またはヘテロアリール基を表す)で表わされる繰り返し単位を含む重合体を表す。
Yは、A部とB部を連結する基であり、活性ハロゲン原子を有することができる構造の官能基を表す。
n1は1又は2を、n2は2〜16のいずれかの整数を表す。〕で表される多分岐共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種、及び、
(B)電解質塩
を含有する高分子電解質を担持させてなる不織布複合高分子固体電解質シート、
(2)ブロック共重合体の、式(I)で表される繰り返し単位と、式(II)で表される繰り返し単位の合計のモル比((I)/(II))が1/30〜30/1の範囲であることを特徴とする上記(1)に記載の不織布複合高分子固体電解質シート、
(3)ブロック共重合体の、標準としてポリスチレンを用いたGPCによる数平均分子量が、5,000〜1,000,000であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の不織布複合高分子固体電解質シート、
(4)多分岐共重合体の、Aのランダム共重合体における繰り返し単位(I)及び(II)の重合度が、いずれも30〜2,000であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の不織布複合高分子固体電解質シート、及び、
(5)多分岐共重合体の、GPC−MALLS法による重量平均分子量(Mw)が、10,000〜2,000,000であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の不織布複合高分子固体電解質シートに関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、イオン導電率と密着性に優れた薄膜の不織布複合高分子固体電解質シートが得られ、電極間距離を短くした全固体リチウム二次電池を提供することができる。さらには、高分子電解質に用いるポリマーが有する密着性のため、電極との間でのずり移動が生じないことから、効率よく電池を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】60℃〜−20℃の範囲での不織布複合高分子固体電解質シート(1)、(2)のイオン導電率を示す図である。
【図2】不織布複合高分子固体電解質シート(1)を用いたリチウム二次電池のサイクリックボルタンメトリー測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の不織布複合高分子固体電解質シートは、不織布に以下に記載の高分子電解質を担持させたものである。
【0023】
1 高分子電解質
高分子電解質は、以下の重合体と電解質塩を含有する。
1)重合体
重合体としては、以下に記載のブロック共重合体及び多分岐共重合体の少なくとも1種を使用する。
【0024】
1−1)ブロック共重合体
本発明において使用されるブロック共重合体は、式(I)
【0025】
【化6】

【0026】
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、RとRは結合して環を形成してもよい。R4a及びR4bはそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアシル基又は炭素数3〜20のトリ置換シリル基を表し、mは2〜100のいずれかの整数を表し、mが2以上のとき、R4a同士及びR4b同士は、同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる繰り返し単位を有するブロック鎖A、及び、式(II)
【0027】
【化7】

【0028】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは、アリール基を表す。)で表わされる繰り返し単位を有するブロック鎖Bを有するブロック共重合体である。
【0029】
上記共重合体は、式(I)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖Aと式(II)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖Bを、それぞれ少なくとも一つ有する。本発明の共重合体は、たとえば、A−B、B−A、A−B−A、B−A−B等の配列を有する共重合体が例示される。
【0030】
ここで、「式(I)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖A」とは、ブロック鎖Aが式(I)で表される繰り返し単位の一種又は二種以上の繰り返し単位を含むこと、及び、それら以外の他の繰り返し単位を含んでいてもよいことを意味する。「式(II)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖B」も同様である。
また、二種以上の式(I)で表される繰り返し単位を含む場合、及び、他の繰り返し単位を構成単位として含む場合、各繰り返し単位の重合形式は特に制限されず、ランダム重合、ブロック重合、交互重合等のいずれの重合形式であっても構わない。
【0031】
また、各ブロック鎖がA−B、B−A、A−B−A、B−A−B等の配列を有するとは、各ブロック鎖が、直接結合していても、連結基、重合鎖等の他の構成単位をはさんで結合していてもよいことを意味する。ここで、連結基は、酸素原子、アルキレン基等の低分子の連結基が挙げられ、重合鎖は、ホモポリマーでも、2元以上の共重合体であってもよく、共重合体の場合には、その中の結合状態は特に制限されず、ランダム、ブロック、又は徐々に成分比が変化するグラジエントであってもよい。
【0032】
式(I)で表される繰り返し単位中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。
ここで、炭素数1〜10の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基等を表し、具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等のアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基等のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−ヘプチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基等のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等アリールアルキル基等が挙げられる。
また、RとRは結合して環を形成してもよい。
【0033】
4a、及びR4bは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、mは、2〜100のいずれかの整数を表し、5〜100のいずれかの整数が好ましく、さらに10〜100のいずれかの整数が好ましい。各繰り返し単位におけるmの値は、同一でも相異なっていてもよく、R4a同士及びR4b同士は、同一でも、相異なっていてもよい。
【0034】
は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアシル基又は炭素数3〜20のトリ置換シリル基を表す。
ここで、炭素数1〜10の炭化水素基とは、上記式R〜Rと同様の基が挙げられる。
炭素数1〜10のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、へプタノイル基、オクタノイル基等が挙げられ、炭素数3〜20のトリ置換シリル基としては、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
【0035】
〜Rにおいて、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよく、そのような置換基として具体的には、フッ素原子、クロル原子、又はブロム原子等ハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ニトリル基、ニトロ基、メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基等を例示することができる。
【0036】
式(I)で表される繰り返し単位の重合度は、mの値にもよるが、10以上が好ましく、さらに20以上が好ましい。
式(I)で表される繰り返し単位の原料となるモノマーとしては、具体的には以下の化合物を例示することができる。また、これらの繰り返し単位は、一種単独でも、2種以上を混合していても構わない。
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(エチレングリコールの単位数は2〜100)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの単位数は2〜100)(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、「ブレンマーPMEシリーズ」〔式(I)においてR=R=水素原子、R=メチル基、m=2〜90に相当する単量体〕(日本油脂製)、アセチルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンゾイルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチルシリルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−ブチルジメチチルシリルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールシクロヘキセン−1−カルボキシレート、メトキシポリエチレングリコール−シンナメート。
【0037】
式(II)で表される繰り返し単位中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、炭素数1〜10の炭化水素としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等のアリール基又はアリールアルキル基等が挙げられる。Rは、フェニル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などの炭素数6〜14のアリール基を表す。
【0038】
また、R〜Rは、適当な炭素原子上に、置換基を有していてもよく、そのような置換基として、具体的にはフッ素原子、クロル原子、又はブロム原子等ハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、ニトリル基、ニトロ基、メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基、メチルチオ基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基等を例示することができる。
【0039】
式(II)で表される繰り返し単位の重合度は、5以上が好ましく、さらに10以上であるのが好ましい。式(II)で表される繰り返し単位の原料となるモノマーとして、具体的には以下の化合物を例示することができる。また、これらの繰り返し単位は、1種単独でも、2種以上を混合していても構わない。
スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、4−カルボキシスチレン、ビニルアニソール、ビニル安息香酸、ビニルアニリン、ビニルナフタリン、9−ビニルアントラセン等のアリール化合物。
【0040】
本発明において使用されるブロック共重合体は、式(I)〜(II)で表される繰り返し単位と異なる繰り返し単位を構成単位として含むことができ、そのような繰り返し単位の原料となるモノマーとして以下の化合物を例示することができる。これらの繰り返し単位は、ブロック鎖A及びB中において、あるいは、ブロック鎖A及びB以外のブロック鎖として用いることができる。これらの繰り返し単位は、1種単独でも、2種以上を混合していても構わない。
【0041】
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸1−メチレンアダマンチル、(メタ)アクリル酸1−エチレンアダマンチル、(メタ)アクリル酸3,7−ジメチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ノルボルナン、(メタ)アクリル酸メンチル 、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラニル、(メタ)アクリル酸3−オキソシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ブチロラクトン、(メタ)アクリル酸メバロニックラクトンなどの(メタ)アクリル酸、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレンなどの共役ジエン類、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のα,β−不飽和カルボン酸イミド類、(メタ)アクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル類等。
【0042】
式(I)で表される繰り返し単位と、式(II)で表される繰り返し単位の合計のモル比((I)/(II))は、1/30〜30/1の範囲であるのが好ましい。式(I)で表される繰り返し単位が1/30未満では、充分な導電性が得られず、30/1より多い場合には、充分な熱的特性、物理的特性が得られない。式(II)で表される繰り返し単位が1/30未満では、充分な熱的特性、物理的特性が得られず、30/1より多い場合には、充分な導電性が得られない。
【0043】
また、標準としてポリスチレンを用いたGPCによる、本発明において使用されるブロック共重合体の数平均分子量は、特に限定されないが、5,000〜1,000,000の範囲が好ましい。数平均分子量が5,000より小さい場合には、熱的特性、物理的特性が低下し、1,000,000より大きい場合には、成形性、又は成膜性が低下する。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、特に制限されないが、後述するミクロ相分離構造を形成するために、1.01〜2.50、さらに1.01〜1.50の範囲が好ましい。
【0044】
本発明の共重合体は、不織布複合高分子固体電解質シートとして高いイオン導電性を保持するために膜構造中において、ミクロ相分離構造を発現する構成とすることが好ましく、特に、ネットワーク型のミクロ相分離構造を発現する構成とすることが好ましい。
【0045】
(ブロック共重合体の製造方法)
本発明において用いられるブロック共重合体は、公知の製造法、例えば、特開2004−107641号公報に記載された方法等により製造することができる。
例えば、以下の様にして製造することができる。
下記式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、及び必要に応じて他の共重合しうる化合物を用い、遷移金属錯体を触媒、ハロゲン原子を1又は複数含む有機ハロゲン化合物を重合開始剤とするリビングラジカル重合法、安定ラジカルによるリビングラジカル重合法、リビングアニオン重合法等の公知の方法を用いて製造することができ、中でも、遷移金属錯体を触媒、ハロゲン原子を1又は複数含む有機ハロゲン化合物を重合開始剤とするリビングラジカル重合法を好ましく例示することができる。
【0046】
【化8】

【0047】
ここで、式(V)及び(VI)中のR〜R及びmは、前記と同じ意味を表す。
さらに具体的に説明すると、
(イ)まず、式(V)で表される化合物を、リビングラジカル重合法において、2官能開始剤を用いて反応させることにより得られる2官能ブロック鎖等の各ブロック鎖を含むマクロ開始剤に、さらに他のブロック鎖を構成する単量体を反応させて遂次にブロック鎖を伸長して製造する方法、
(ロ)式(V)の代わりに式(VI)で表される化合物を用い、単官能開始剤を用い、他は(イ)と同様に行い、端から順次ブロック鎖を伸長して製造する方法、
(ハ)各ブロック鎖、又は、各ブロック鎖の一部を所定の配列で重合した後、カップリング反応により製造する方法、
等を例示することができる。
【0048】
リビングラジカル重合は、触媒として遷移金属錯体を用い、開始剤としてハロゲン原子を分子内に1つ以上有する有機ハロゲン化合物を用いて行うことができる。
【0049】
遷移金属錯体として、例えば、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム又はクロロインデニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドロテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化ルテニウム(II)等のルテニウム錯体;ジカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化鉄(I)、ジ(トリフェニルホスフィン)二塩化鉄、ジ(トリブチルアミノ)二塩化鉄、トリフェニルホスフィン三塩化鉄、(1−ブロモ)エチルベンゼン−トリエトキシホスフィン−二臭化鉄等の鉄錯体;カルボニルシクロペンタジエニルヨウ化ニッケル(II)、カルボニルシクロペンタジエニル臭化ニッケル(II)、カルボニルシクロペンタジエニル塩化ニッケル(II)、カルボニルインデニルヨウ化ニッケル(II)、カルボニルインデニル臭化ニッケル(II)等のニッケル錯体;トリカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化モリブデン(II)、トリカルボニルシクロペンタジエニル臭化モリブデン(II)、トリカルボニルシクロペンタジエニル塩化モリブデン(II)、ジNアリール−ジ(2−ジメチルアミノメチルフェニル)リチウムモリブデン等のモリブデン錯体等が挙げられる。これらの遷移金属錯体は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0050】
有機ハロゲン化合物は、1〜4個又はそれ以上のハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を含み、遷移金属錯体と作用してラジカル種を発生させることにより重合を開始させる開始剤として用いられる。このような有機ハロゲン化合物は1種又は2種以上組み合わせて使用できる。有機ハロゲン化合物としては、特に制限されず種々の化合物が使用できるが、例えば、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化エステル(ハロゲン含有エステル)、ハロゲン化ケトン(ハロゲン含有ケトン)、スルホニルハライド(ハロゲン化スルホニル化合物)などが含まれる。
【0051】
リビングラジカル重合法においては、さらに、金属錯体に作用することにより、ラジカル重合を促進させる活性化剤として、ルイス酸及び/又はアミン類を使用することが出来る。
【0052】
ルイス酸としては、例えば、アルミニウムアルコキシド(アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリs−ブトキシド、アルミニウムトリt−ブトキシドなど)、スカンジウムアルコキシド(スカンジウムトリイソプロポキシドなど)、チタンアルコキシド(チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラt−ブトキシド、チタンテトラフェノキシドなど)、ジルコニウムアルコキシド(ジルコニウムテトライソプロポキシドなど)、スズアルコキシド(スズテトライソプロポキシドなど)などが挙げられる。
【0053】
また、アミン類としては、2級アミン、3級アミン、含窒素芳香族複素環化合物等、含窒素化合物であれば、特に制限されないが、特に、2級アミン、3級アミンを好ましく例示することができる。
【0054】
リビングラジカル重合法による共重合体の製造方法として、具体的には、
[1]例えば、第一の単量体の転化率が100%に達した後、第二の単量体を添加して重合を完結させ、これを繰り返すことによりブロック共重合体を得る単量体を逐次的に添加する方法、
[2]第一の単量体の転化率が100%に達しなくとも目標の重合度又は分子量に達した段階で第二の単量体を加えて重合を継続し、ブロック鎖間にランダム部分が存在するグラジエント共重合体を得る方法、
[3]第一の単量体の転化率が100%に達しなくとも目標の重合度又は分子量に達した段階で一旦反応を停止、系外に重合体を取り出し、得られた重合体をマクロ開始剤として他の単量体を加えて共重合を断続的に進め、ブロック共重合体を得る方法、
等を例示することができる。
【0055】
重合方法は、特に制限されず、慣用の方法、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、又は乳化重合などが採用できるが、溶液重合が特に好ましい。溶液重合を行う場合、溶媒としては特に制限されず、慣用の溶媒、たとえば、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂環族炭化水素類(シクロヘキサンなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、オクタンなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アルコール類(メタノール、エタノールなど)、多価アルコール誘導体類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)などが使用できる。このような溶媒は単独又は2種以上混合して使用できる。重合は、通常、真空又は窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、温度0〜200℃、好ましくは40〜150℃、常圧又は加圧下において行うことができる。
【0056】
一方、リビングアニオン重合法においては、アルカリ金属又は有機アルカリ金属を重合開始剤として、通常、真空又は窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、有機溶媒中において、−100〜50℃、好ましくは−100〜−20℃において行う事が出来る。アルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウムなどを例示することができ、有機アルカリ金属としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物などを使用する事ができ、具体的には、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、α−メチルスチレンジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウムなどをあげることができる。
【0057】
用いる有機溶媒としては、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、オクタンなど)、脂環族炭化水素類(シクロヘキサン、シクロペンタンなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなど)、アニソール、ヘキサメチルホスホルアミドなどのアニオン重合において通常使用される有機溶媒をあげることができる。また、共重合反応を制御することを目的として、公知の添加剤、例えば、塩化リチウムなどの鉱酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を用いてもよい。
【0058】
なお、リビングアニオン重合法を用い、分子内に水酸基、カルボキシル基等の活性水素を有する化合物を用いる場合には、シリル化、アセタール化、BOC化等公知の保護化反応により活性水素を保護してから重合反応に供し、重合後、酸、アルカリ等により脱保護化反応を行うことにより製造することができる。
【0059】
共重合反応過程の追跡及び反応終了の確認は、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、膜浸透圧法、NMRなどにより容易に行うことができる。共重合反応終了後は、カラム精製、又は、例えば、水や貧溶媒中に投入して析出したポリマー分を濾過、乾燥させるなど、通常の分離精製方法を適用することにより共重合体を得ることができる。
【0060】
1−2)多分岐共重合体
本発明において使用される多分岐共重合体は、式(III)
X〔B−Y(A)n1n2 (III)
〔式中、
Xは3以上の結合手を有する有機基を表す。
Aは式(I)
【0061】
【化9】

【0062】
(式中、R〜R及びmは前記定義と同じ)で表わされる繰り返し単位、及び、式(II)
【0063】
【化10】

【0064】
(式中、R〜Rは前記定義と同じ)で表わされる繰り返し単位を有するランダム共重合体を表す。
Bは式(IV)
【0065】
【化11】

【0066】
(式中、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、R13はアリール基またはヘテロアリール基を表す)で表わされる繰り返し単位を含む重合体を表す。
Yは、A部とB部を連結する基であり、活性ハロゲン原子を有することができる構造の官能基を表す。
n1は1又は2を、n2は2〜16のいずれかの整数を表す。〕で表される重合体である。
【0067】
以下に、前記式中の各部について説明する。
(X)
式中、Xは3以上の結合手を有する有機基を表す。
Xの具体例としては、
(i)4個の分岐鎖を有する炭素原子、4個の分岐鎖を有する炭素原子とアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン基又はこれらの2種以上の基との組み合わせ、等の炭素原子を中心とする有機基;
(ii)3個の分岐鎖を有する炭素原子、3個の分岐鎖を有する炭素原子とアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン基又はこれらの2種以上の基との組み合わせ、等の炭素原子を中心とする有機基;
(iii)3個の分岐鎖を有する窒素原子、3個の分岐鎖を有する窒素原子とアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン基又はこれらの2種以上の基との組み合わせ、等の窒素原子を中心とする有機基;
(iv)3個以上の分岐鎖を有するフェニル基、3個以上の分岐鎖を有するフェニル基とアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン基又はこれらの2種以上の基との組み合わせ、等のベンゼン環を中心とする有機基;等が挙げられる。
【0068】
また、前記「アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン基又はこれらの2種以上の基」は、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−NH−、−NHC(=O)−、−NHC(=S)−、−OC(=O)NH−の1種又は2種以上の基を、任意の位置にさらに有していてもよい。
【0069】
(A)
式中、Aは、式(I)
【0070】
【化12】

【0071】
(式中、R〜R及びmは前記定義と同じ)で表わされる繰り返し単位、及び、式(II)
【0072】
【化13】

【0073】
(式中、R〜Rは前記定義と同じ)で表わされる繰り返し単位を有するランダム共重合体であり、複数のA同士は同一でも相異なっていてもよい。
前記Aは、上述した繰り返し単位以外に、これらと共重合しうる他の繰り返し単位を有していてもよい。
このような共重合しうる他の繰り返し単位を与える重合性単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等の共役ジエン類;N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のα,β−不飽和カルボン酸イミド類;(メタ)アクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル類;等が挙げられる。
【0074】
繰り返し単位(I)及び(II)中におけるR〜R及びmは、リニア型共重合体における繰り返し単位(I)及び(II)中におけるR〜R及びmと同様の基を例示することができる。
【0075】
上記ランダム共重合体における繰り返し単位(I)及び(II)の重合度は、いずれも30〜2,000であることが好ましく、特に、50〜1,000が好ましい。
また、上記ランダム共重合体における繰り返し単位(I)の割合は、30〜60重量%の範囲であることが好ましく、繰り返し単位(II)の割合は、40〜70重量%の範囲であることが好ましい。
繰り返し単位(I)において、以下の式(VII)で表わされる繰り返し単位部分が30〜60重量%であることが好ましい。
【0076】
【化14】

【0077】
(式中、R4a、R4b、及びmは前記定義と同じ。)
【0078】
(B)
Bは式(IV)
【0079】
【化15】

【0080】
で表わされる繰り返し単位を含む重合体を表す。
式中、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、R13はアリール基またはヘテロアリール基を表す。
ここで、R10、R11及びR12における炭素数1〜10の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基等を表し、具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等のアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基等のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−ヘプチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基等のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。
また、R13におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、炭素数6−10のアリール基である。
また、R13におけるヘテロアリール基としては、例えば、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル等が挙げられる。
上記重合体における繰り返し単位(IV)の重合度は、10〜500であることが好ましく、特に、50〜200が好ましい。
前記Bは、上述した繰り返し単位以外に、他の重合性単量体から誘導される繰り返し単位を有していてもよい。
このような共重合しうる他の重合性単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等の共役ジエン類;N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のα,β−不飽和カルボン酸イミド類;(メタ)アクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル類;等が挙げられる。
【0081】
(n1及びn2)
上記A部の1又は2個が、Yを介してB部と結合している。また、B−Y(A)n1の2〜16個、好ましくは4〜8個が、Bを介してXと結合している。
【0082】
(Y)
Yは、A部とB部を連結する基であり、活性ハロゲン原子を有することができる構造の官能基を表す。
ここで、「活性ハロゲン原子を有することができる構造を有する官能基」とは、ハロゲン原子が結合したとするならば、そのハロゲン原子は活性ハロゲン原子となるような構造を有する反応性を有する原子団をいう。
【0083】
本発明の多分岐共重合体においては、前記Yの活性ハロゲン原子を有することができる構造の官能基が、下記の式(VIII)、(IX)又は(X)のいずれかであるのが好ましい。
【0084】
【化16】

【0085】
式(VIII)中、Tは2価の電子吸引性基を表し、R20は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のエステル基又は炭素数1〜10のアシル基を表し、R21は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のエステル基又は炭素数1〜10のアシル基を表す。
式中、*はB部との結合位置を、**はA部との結合位置を示す。式(VIII)、(IX)及び(X)において、活性ハロゲン原子を有することができる位置とは**の付された炭素原子であり、言い換えれば、このことは、A部と結合する前のYの**の炭素原子に活性ハロゲン原子が結合していたことを意味する。
【0086】
前記式(IX)中、R22は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のエステル基又は炭素数1〜10のアシル基を表し、R23は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のエステル基又は炭素数1〜10のアシル基を表す。
前記式(X)中、R24は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のエステル基又は炭素数1〜10のアシル基を表し、R25は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のエステル基又は炭素数1〜10のアシル基を表す。R26は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のエステル基又は炭素数1〜10のアシル基を表す。
20、R21、R22、R23、R24及びR25において、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。
炭素数7〜12のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基等が挙げられる。
炭素数1〜10のエステル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;シクロプロピルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基等のシクロアルキルオキシカルボニル基;フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基等を挙げることができ、
炭素数1〜10のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、へプタノイル基、オクタノイル基、アクリロイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0087】
前記式(VIII)中のTとしては、式(t11)又は(t21)で表される基が好ましく、式(t11)で表される基がさらに好ましい。
【0088】
【化17】

【0089】
上記式(t11)中、Z11は、酸素原子、硫黄原子、又はNr71(r71は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいフェニルカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基もしくは置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基を表す。)で表される基を表す。
ここで、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。
炭素数1〜10のアルキルカルボニル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、へプタノイル基、オクタノイル基等が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、s−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有していてもよいフェニルカルボニル基及び置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基等が挙げられる。
【0090】
(多分岐共重合体の例)
本発明において使用する多分岐共重合体を例示すると以下のものが挙げられる。
【0091】
【化18】

【0092】
【化19】

【0093】
【化20】

【0094】
【化21】

【0095】
式中、A、B、Y、n1は前記と同じ定義であり、d1〜d4は、各々独立して任意の自然数を表す。
【0096】
特に、本発明の多分岐共重合体としては、下記式(XI)で表されるものが好ましい。
【0097】
【化22】

【0098】
式中、Zは(CH2)q又はp−フェニレン基を表し、qは0〜3の整数を表し、各Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシル基を表し、各n3は、それぞれ独立して0〜3のいずれかの整数を表し、各n4は、それぞれ独立して1〜3のいずれかの整数を表す。
ここで、(CH)qとしては、単結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基が挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
炭素数1〜6のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基等により置換されていてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0099】
本発明の多分岐共重合体のGPC−MALLS法による重量平均分子量(Mw)は、10,000〜2,000,000、好ましくは50,000〜1,000,000の範囲であり、本発明の多分岐共重合体は分子量が制御されたポリマーである。
【0100】
(多分岐共重合体の製造方法)
本発明において使用する多分岐共重合体の製造方法は、国際公開第2006/016665号パンフレットに記載された方法と同様に製造することができるが、簡単に記載すると以下の通りである。
式 X’[B’−Y’]n2’
で表される化合物と、重合性不飽和結合を有する化合物とを、リビングラジカル重合条件下で重合させる。
【0101】
前記式X’[B’−Y’]n2’中、X’、B’及びn2’は、各々、前記式X〔B−Y(A)n1n2中のX、B及びn2と同様である。
Y’は、下記に示す式(XII)、式(XIII)又は式(XIV)で表される官能基を表す。
【0102】
【化23】

【0103】
上記式(XII)中、Tは前記式(VIII)のTと同様であり、R210、R211は、それぞれ式(VIII)のR20、R21と同様である。
は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表す。
前記式(XIII)中、 R212、R213は、前記式(IX)のR22、R23と同様である。
は前記Gと同様のハロゲン原子を表す。
前記式(XIV)中、 R214、R215は、前記式(X)のR24、R25と同様である。
は前記Gと同様のハロゲン原子を表す。
【0104】
前記式X’[B’−Y’]n2’で表される化合物と、重合性不飽和結合を有する化合物との重合方法としては、前記式X’[B’−Y’]n2’で表される化合物と、重合性不飽和結合を有する化合物、所望により共重合可能な他の単量体及び反応溶媒を含むモノマー液を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、窒素やアルゴン等不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイド等)を用いて重合を行うラジカル重合法;前記式X’[B’−Y’]n2’で表される化合物と、重合性不飽和結合を有する化合物、所望により共重合可能な他の単量体及び反応溶媒を含むモノマー液を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、窒素やアルゴン等不活性ガス雰囲気で、攪拌しながら、アニオン重合開始剤を滴下して重合を行うアニオン重合法;及びリビングラジカル重合法等が挙げられ、狭分散で、分子量が制御された多分岐ポリマーが効率よく得られる点で、リビングラジカル重合法が好ましい。
【0105】
前記式X’[B’−Y’]n2’で表される化合物と、前記重合性不飽和結合を有する化合物とをリビングラジカル重合条件下で重合させる方法としては、
(A)前記式X’[B’−Y’]n2で表される化合物を重合開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として重合反応を行うリビングラジカル重合法や、(B)安定ラジカル系開始剤を用いるリビングラジカル重合法、等が挙げられる。なかでも、より効率よく目的とする多分岐共重合体を得ることができる観点から、(A)のリビングラジカル重合法が好ましい。
【0106】
リビングラジカル重合法によりアーム部を形成する方法としては、
(1)一種のリビングラジカル重合性不飽和結合を有する化合物を用いて、単独重合体からなるアーム部を形成する方法、
(2)複数のリビングラジカル重合性不飽和結合を有する化合物を反応系に同時に添加して、ランダム共重合体からなるアーム部を形成する方法、
(3)複数のリビングラジカル重合性不飽和結合を有する化合物を反応系へ逐次的に添加して、ブロック共重合体からなるアーム部を形成する方法、
(4)複数のリビングラジカル重合性不飽和結合を有する化合物の組成比を経時的に変化させて、グラジエント共重合体からなるアーム部を形成する方法、
等が挙げられる。
【0107】
なかでも、より狭分散の多分岐共重合体を得ることができることから、(3)のブロック単位で結合したブロック共重合体からなるアーム部を形成する方法が好ましい。この方法によれば、分子内に官能基を有する化合物を重合する場合においても、リビングアニオン重合法のように官能基を保護する必要がなく有利である。
【0108】
2)電解質塩
本発明において使用する電解質塩としては、特に限定されるものではなく、電荷でキャリアーとしたいイオンを含んだ電解質塩を用いればよいが、硬化して得られる高分子固体電解質中での解離定数が大きいことが望ましく、アルカリ金属塩、(CHNBF等の4級アンモニウム塩、(CHPBF等の4級ホスホニウム塩、AgClO等の遷移金属塩あるいは塩酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸等のプロトン酸が使用出来、アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩又は遷移金属塩の使用が好ましい。
【0109】
使用しうる電解質塩の具体例としては、例えば、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC(CH)(CFSO、LiCH(CFSO、LiCH(CFSO)、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)、LiB(CFSO、LiPF、LiSbF、LiClO、LiI、LiBF、LiSCN、LiAsF、NaCFSO、NaPF、NaClO、NaI、NaBF、NaAsF、KCFSO、KPF、KI、LiCFCO、NaClO、NaSCN、KBF、KPF、Mg(ClO、Mg(BF等の公知のアルカリ金属塩を例示することができ、これら電解質塩は、単独又は2種以上混合して使用してもよく、中でもリチウム塩が好ましい。
これら電解質塩の添加量は、共重合体中のアルキレンオキサイドユニットに対して、0.005〜80モル%、好ましくは0.01〜50モル%の範囲である。
【0110】
3)高分子電解質
上記した共重合体及び電解質塩、必要に応じて他の成分、例えば無機フィラーを混合(複合)させることにより製造することができるが、混合させる方法には特に制限なく、例えば、共重合体、電解質塩(及び他の成分)をテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、エタノール、ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒に溶解させる方法、共重合体、電解質塩(及び他の成分)を常温又は加熱下に機械的に混合する方法等が挙げられる。
【0111】
2 不織布
不織布の材質としては、有機系繊維及び無機系繊維が挙げられる。
有機系繊維として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリイミド、アクリル、ナイロン、レーヨン、セルロース等の誘導体;またはこれらを混合したものが好適に用いられる。
無機系繊維としては、ガラス、金属、金属酸化物、セラミクス、炭素等が挙げられる。
特に、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポレオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレンからなる単独繊維や複合繊維、もしくはポリプロピレンを芯にポリエチレンを鞘部からなる芯鞘繊維)が望ましい。
不織布の形態としては、スパンボンド、メルトブロー、スパンレース、ニードルパンチ、カードまたはエアーレイ等の各種乾式不織布、湿式不織布、または縦糸と横糸を織って作製される織布が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
不織布の厚さは、0.5μm〜100μmが好ましい。より好ましくは10〜50μmである。0.5μmより薄いものでは強度的に弱く、高分子固体電解質と複合化させ強度を担保させる役割を果たせない。また、100μmより厚いものでは、高分子固体電解質と複合化させた不織布複合型高分子固体電解質シートの膜厚も厚くなり、電池電極間距離が開きすぎるため抵抗値が高くなり、電池特性の低下を招く。
不織布の多孔性を示す通気度(フラジール型)は、1cm/cm・s〜400cm/cm・sが好ましい。より好ましくは5cm/cm・s〜300cm/cm・sである。
不織布のフラジール通気度が1cm/cm・s未満であると、不織布繊維間に十分な量の固体電解質が存在できず、イオン導電率の低下を招く。また、400cm/cm・sより大きい場合には、不織布繊維同士の絡み合いが少ないため強度が低下する。
【0112】
3 不織布複合高分子固体電解質シート
本発明の不織布複合高分子固体電解質シートは、上記の高分子電解質を不織布に担持させることにより、製造することができる。
高分子電解質を不織布に担持させる方法としては、公知の方法により行うことができるが、例えば、高分子電解質を溶媒に溶解又は分散させた高分子電解質含有液を、不織布に塗布し、常圧下又は減圧下、加熱乾燥することにより行うことができる。塗布する方法としては、特に制限されず、例えば、ロールコーター法、グラビアコーター法、ナイフコーター法、キスコーター法、ダイコーター法、スクリーンコーティング法、ドクターブレード法、バーコーティング法、カーテンコーター法、スピンコート法、ディップ法、キャスト法、スプレー塗工法、押出コーター法等の各種コーティング手段が挙げられる。
【実施例】
【0113】
本発明を実施例により説明するが、本発明の技術的範囲はこれにより限定されることはない。
なお、以下において、「PME」はメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートを、「DPE−(m−OTBDMS)」は1,1-bis-[(3-tert-butyldimethylsilyloxy)methylphenyl]-ethyleneを、「TBAF」はtetrabutylammonium fluorideを意味する。
【0114】
1 共重合体の製造
〔参考製造例1〕 ブロック共重合体
ブレンマーPME−1000(日油株式会社製)840.0g(754.5mmol)、トルエン1960gをフラスコに採取し、均一に混合後、脱気した。この混合溶液にジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム1.4g(1.5mmol)、ジ−n−ブチルアミン0.78g(6.0mmol)、2,2−ジクロロアセトフェノン0.57g(3.0mmol)を加えた。得られた混合物を80℃に加温することにより重合反応を開始させた。重合反応を開始して67時間後に、反応溶液を0℃に冷却することにより、重合反応を停止させた。NMRより転化率を求めたところ、PME−1000の重合率は81%であった。反応液をカラムにかけ、金属錯体と未反応モノマーを除去した。ポリマー濃度が40%になるまで溶媒を留去し、得られた溶液をそのまま次の反応に用いた。溶液の一部を計り取り、減圧乾燥することにより収量を求めたところ、転化率より求めた理論量に対する回収率は90%であった。また、GPC−MALLSにより分子量を求めたところ、Mw=218,800であった。
先に得られた溶液に、スチレン282.5g(2.7mol)、トルエン1154.1gを加え、均一に混合後、脱気した。この混合溶液にジ−n−ブチルアミン0.73g(5.7mmol)、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム1.4g(1.5mmol)を加え、100℃に加温することにより重合反応を開始させた。重合反応を開始して71時間後に、反応溶液を0℃に冷却することにより、重合反応を停止させた。NMRより転化率を求めたところ、スチレンの重合率は30%であった。反応液をカラムにかけ、金属錯体を除去した。溶媒を減圧濃縮し得られた粘稠な残渣を60℃で5時間減圧乾燥することにより、696.4gのブロックポリマーを得た。転化率より求めた理論量に対する回収率は98%であった。また、GPC−MALLSにより分子量を求めたところ、Mw=252,200であった。
【0115】
〔参考製造例2〕 多分岐共重合体
1)アームの合成
窒素置換した2000mL四つ口フラスコに、脱水テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)113g、脱水トルエン1020g、DPE−(m−OTBDMS)13.75g(29.3mmol)を加えて撹拌下反応系を−40℃に保持した。反応系にn−ブチルリチウム/ヘキサン1.6mol/L溶液(以下、NBLと略す)11.35g(26.7mmol)を加え、30分間撹拌した。その後、反応系にスチレン200g(1920.3mmol)を加えて重合を行った。滴下が終了して20分後にサンプリングを行い、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと略す)により重合完結を確認した。
このポリマー溶液をゲルろ過クロマトグラフィー(以下、GPCと略す)により分析したところ、分子量Mn=9400、分散度Mw/Mn=1.049の単峰性ポリマーであった。
【0116】
2)スター化反応
この反応系内に脱水THF25mlに溶解させた1,1,2,2-tetrakis-(4-ethoxycarbonylphenyl)ethane1.56g(2.5mmol)を添加し、30分反応を継続した後、メタノールを用いて反応を停止させた。この重合溶液を大量のメタノール中に投じてポリマーを析出させ、ろ過・洗浄後、真空下50℃で5時間乾燥させることにより、白色粉末状のポリマー205g(収率97%)を得た。
分取GPCを用いて、過剰量のアームポリマーを除去することにより、白色粉末状スターポリマーを得た。このポリマーをGPCにより分析したところ、分子量Mn=46,800、分散度Mw/Mn=1.021の単峰性ポリマーであった。また、多角度光散乱検出器(以下、GPC−MALLSと略す)で測定したところ、分子量Mw=81,100、分散度Mw/Mn=1.013であった。
【0117】
3)官能基変換 〔OTBDMS基 ⇒ OH基〕
窒素置換した2000mLフラスコに、脱水THF1500ml、8armスターポリマー200g、TBAF100ml(1.0M in THF)を加えて、室温下で一晩撹拌した。溶媒を半分まで濃縮し、この溶液を大量のメタノール中に投じてポリマーを析出させ、ろ過・洗浄後、真空下50℃で5時間乾燥させることにより、白色粉末状のポリマー195g(収率98%)を得た。
【0118】
4)官能基変換 〔OH基 ⇒ OBiB基〕
窒素置換した2000mL四つ口フラスコに、脱水THF1200ml、8armスターポリマー(OH基)190g(2.3mmol)、トリエチルアミン5.70g(56.3mmol)を加えて、撹拌下反応系を0℃に保持した。反応系にブロモイソブチリルブロミド11.2g(48.7mmol)を徐々に加え、滴下が終了後、室温に戻して一晩撹拌を行った。ろ過によりTEA臭酸塩を除去後、溶媒を半分まで濃縮し、この溶液を大量のメタノール中に投じてポリマーを析出させ、ろ過・洗浄した。得られたポリマーをTHF/MeOHで分別精製を行った後、大量のMeOHで再沈後、真空下50℃で5時間乾燥させることにより、白色粉末状のポリマー140g(収率74%)を得た。
このポリマー溶液をGPCにより分析したところ、分子量Mn=45,700、分散度Mw/Mn=1.026の単峰性ポリマーであった。また、GPC−MALLSで測定したところ、分子量Mw=82,500、分散度Mw/Mn=1.020であった。
【0119】
5)リビングラジカル重合
100mlフラスコに、先に合成したスターポリマー10.0g、PME−10009.0g(8.1mmol)、トルエン30gを仕込み、脱気した。ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.5g(0.5mmol)を加えて、均一に溶解した後、トリブチルアミン0.4g(2.2mmol)を加え、80℃に加温することにより重合反応を開始させた。重合反応を開始して8時間後に、反応溶液を0℃に冷却することにより、重合反応を停止させた。NMRより転化率を求めたところ、PME−1000の転化率は75%であった。反応液をカラムにかけ、金属錯体と未反応モノマーを除去した。溶媒を減圧乾燥することにより、粘性体を得た。このポリマー溶液をGPC−MALLSで測定したところ、分子量Mw=595,100、PEO含有量79.6%であった。
【0120】
2.不織布複合高分子固体電解質シートの作製
〔実施例1〕
操作はアルゴン雰囲気下のグローボックス内で行った。
不織布として、ポリエチレンテレフタレート繊維からなる目付け量7.7g/m、厚さ18μm、通気度37cm/cm・s(フラジール型)のポリエチレンテレフタレート製不織布を用いた。
参考製造例1で得たMESポリマー(Mw.252,000、PEO含有量81.7%) 5.7gをジメトキシエタン溶媒24.3g中に添加し室温下にて溶解させ、ポリマー濃度が18wt%の溶液を得た。次にリチウム塩としてLiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を1.54g添加し溶解させ混合溶液を得た。このとき、電解質塩のLiとポリマー中のエチレンオキシドユニット(EO)のモル比、すなわち[Li]/[EO]は0.05であった。
シャーレ上に展開した混合溶液中に10cm角に裁断した上記不織布を浸漬させ引き上げるディップコートを行い、軽はく離フィルム上に敷いた。ジメトキシエタン溶媒を除去すべく70℃で1時間、続いて90℃で3時間の加熱真空乾燥を行うことで膜厚36μmの均一な不織布複合高分子固体電解質シート(1)を得た。
【0121】
〔実施例2〕
参考製造例2で得たMESポリマー(Mw.595,000、PEO含有量79.6%) 5.4gをジメトキシエタン溶媒24.3g中に添加し室温下にて溶解させた。[Li]/[EO]比が0.05となるべく、LiTFSIを1.42g添加し溶解させて混合溶液を得た後、実施例1と同様の操作を行うことで膜厚42μmの均一な不織布複合高分子固体電解質シート(2)を得た。
【0122】
〔比較例1〜5〕
以下のポリエチレンオキシド系材料に、[Li]/[EO]比が0.05となるべくLiTFSIを添加し溶解させた混合溶液を作製し、他は実施例1と同様にして不織布複合高分子固体電解質シートを作製した。
(比較例1)
ポリエチレングリコール(Mw.1,000) 10.3gをジメトキシエタン溶媒10.5g中に添加し室温下にて溶解させた。[Li]/[EO]比が0.05となるべくLiTFSIを2.08g添加し溶解させて混合溶液を得た後、実施例1と同様の操作を行うことで膜厚36μmの比較例サンプル(1)を得た。
(比較例2)
ポリエチレングリコール(Mw.20,000) 1.1gをエタノール溶媒24.3g中に添加し室温下にて溶解させた。[Li]/[EO]比が0.05となるべくLiTFSIを0.24g添加し溶解させて混合溶液を得た後、実施例1と同様の操作を行うことで膜厚27μmの比較例サンプル(2)を得た。
(比較例3)
ポリエチレングリコール(Mw.500,000) 0.8gをエタノール溶媒27.0g中に添加し室温下にて溶解させた。[Li]/[EO]比が0.05となるべくLiTFSIを0.19g添加し溶解させて混合溶液を得た後、実施例1と同様の操作を行うことで膜厚22μmの比較例(3)サンプルを得た。
(比較例4)
ポリエチレングリコールジメチルエーテル(Mw.2,000) 10.0gをエタノール溶媒15.3g中に添加し室温下にて溶解させた。[Li]/[EO]比が0.05となるべくLiTFSIを2.30g添加し溶解させて混合溶液を得た後、実施例1と同様の操作を行うことで膜厚41μmの比較例サンプル(4)を得た。
(比較例5)
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート重合体(Mw.180,000,エチレンオキシドユニットの重合度 n≒9) 5.0gをジメトキシエタン溶媒20.2g中に添加し室温下にて溶解させた。[Li]/[EO]比が0.05となるべくLiTFSIを1.30g添加し溶解させて混合溶液を得た後、実施例1と同様の操作を行うことで膜厚38μmの比較例サンプル(5)を得た。
【0123】
3 試験
[1] 成膜性の確認
不織布複合高分子固体電解質シートの成膜状況の確認を行った。成膜と乾燥後、はく離フィルム基材上から不織布複合高分子固体電解質シートをはく離させ、自立膜形成の可否や膜質、そしてはく離フィルムへのポリマーの残留の有無を確認した。
表1には、得られた不織布複合高分子固体電解質シートの膜厚と膜質、そして自立膜形成の可非とはく離フィルムへのポリマーの残留を○×で示した。
自立膜が形成でき、作製プロセスで用いるはく離フィルムからのはく離性がよく、かつ密着性を有するものは、実施例(1)、(2)より得られた不織布複合高分子固体電解質シートのみであった。
比較例のサンプルは全て上記目的となる特性を満たすものはなかった。
【0124】
【表1】

【0125】
[2]シート膜強度
実施例の不織布複合高分子固体電解質シート(1)、(2)から引張り試験片(100mm×25mm)を作製し、25℃における200mm/minの速度にて卓上形精密万能試験機(オートグラフAGS−J、(株)島津製作所)を用いて引張試験を行った。膜強度には、試験片が破断したときの破断力を用いた。表.2に示す。
表2の結果からわかるとおり、不織布複合高分子固体電解質シート(1)、(2)は不織布単独よりも高い引張膜強度を示した。高分子固体電解質と不織布の複合化の効果が現れている。特に、不織布複合高分子固体電解質シート(1)が高い膜強度を示した。
【0126】
【表2】

【0127】
[3]シートの密着性
不織布複合高分子固体電解質シート(1)、(2)について、基材に対する180度引きはがし粘着力(JIS Z 0237)を求め、シートの密着性の指標とした。
試験片(250mm×25mm、試験片長さは縦方向)を作製し基材に圧着させ、JIS Z 0237記載の測定ジグを作製した。25℃における300mm/minの速度にて卓上形精密万能試験機(オートグラフAGS−J、(株)島津製作所)を用いて引きはがし試験をいった。基材には、電池用正極集電体であるアルミ箔(膜厚18μm,日本製箔(株)製)、電池用負極集電体の圧延銅箔(膜厚18μm,日本製箔(株)製)、そしてPETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム,膜厚100μm,東レ(株)製)を用いた。
各種基材に対する粘着力測定結果を表3に示す。
【0128】
【表3】

【0129】
表3からの結果からわかるとおり、不織布複合高分子固体電解質シート(1)、(2)は、各種基材に対し良好な粘着力を示した。
【0130】
[4]イオン導電率
不織布複合高分子固体電解質シート(1)、(2)についてイオン導電率測定を行った。
不織布複合高分子固体電解質シートを直径1cmφの白金電極で挟み測定セルを組んだ。測定セルの作製はアルゴン雰囲気下のグローブボックス内で行った。周波数100〜10MHzの範囲でインピーダンスアナライザー(Solartron−1260型、(株)東陽テクニカ)を用いて複素インピーダンス解析によりイオン導電率を測定した。結果を表.2に、イオン導電率のグラフを図1に示す。
表4の結果からもわかるとおり、膜厚が36μmの不織布複合高分子固体電解質シート(1)、並びに膜厚が42μmの不織布複合高分子固体電解質シート(2)は、膜厚が薄いのにも関わらず短絡は起こすことなく良好なイオン導電率が得られていることが注目される。
【0131】
【表4】

【0132】
[5]電池試験
不織布複合高分子固体電解質シート(1)を用いたリチウム二次電池についてコイン電池を作製し、電池作動評価をサイクリックボルタンメトリー測定より行った。
(正極電極の作製)
燐酸鉄リチウムとケッチェンブラックとポリフッ化ビニリデンとを重量比80:10:10で、N−メチル−2−ピロリドンに十分に分散させて正極合剤スラリーとした。
つぎに、正極合剤スラリーを正極集電体のアルミ箔(膜厚18μm)上に塗布し、N−メチル−2−ピロリドンを加熱真空乾燥にて除去した後、一定圧力で圧縮成型して正極シート(膜厚38μm)を作製した。
【0133】
(コイン電池の作製)
コイン電池の作製はアルゴン雰囲気下のグローボックス内で行った。上記正極シート、負極のリチウムシート(膜厚250μm)、及び不織布複合高分子固体電解質シート(1)を円形状に打ち抜き、正極と負極の間に不織布複合高分子固体電解質シートを挟み、2016型コイン電池を作製した。
【0134】
(サイクリックボルタンメトリー測定)
この試験セルの自然電位(開回路電圧)が安定した後、自然電位をスタートとし、25℃にて+4.0V〜+2.0V(vs.Li/Li)の範囲でサイクリックボルタンメトリー測定(CV測定)をオートマチック ポラリゼーションシステム(HSV−110、北斗電工(株))を用いて行った。スイープ速度:10mV/で行い、CV曲線を得た。結果を図2に示す。
図2の結果からわかるとおり、不織布複合高分子固体電解質シート(1)を用いた電池は短絡することなく、良好に電池作動することを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布に、
(A)式(I)
【化1】


(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、RとRは結合して環を形成してもよい。R4a及びR4bはそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアシル基又は炭素数3〜20のトリ置換シリル基を表し、mは2〜100のいずれかの整数を表し、mが2以上のとき、R4a同士及びR4b同士は、同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる繰り返し単位を有するブロック鎖A、及び、式(II)
【化2】


(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは、アリール基を表す。)で表わされる繰り返し単位を有するブロック鎖Bを有するブロック共重合体、及び、式(III)
式 X〔B−Y(A)n1n2 (III)
〔式中、Xは3以上の結合手を有する有機基を表す。Aは、式(I)
【化3】


(式中、R〜R及びmは前記定義と同じ)で表わされる繰り返し単位、及び、式(II)
【化4】


(式中、R〜Rは前記定義と同じ)で表わされる繰り返し単位を有するランダム共重合体を表す。Bは式(IV)
【化5】


(式中、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、R13はアリール基またはヘテロアリール基を表す)で表わされる繰り返し単位を含む重合体を表す。
Yは、A部とB部を連結する基であり、活性ハロゲン原子を有することができる構造の官能基を表す。
n1は1又は2を、n2は2〜16のいずれかの整数を表す。〕で表される多分岐共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種、及び
(B)電解質塩
を含有する高分子電解質を担持させてなる不織布複合高分子固体電解質シート。
【請求項2】
ブロック共重合体の、式(I)で表される繰り返し単位と、式(II)で表される繰り返し単位の合計のモル比((I)/(II))が1/30〜30/1の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の不織布複合高分子固体電解質シート。
【請求項3】
ブロック共重合体の、標準としてポリスチレンを用いたGPCによる数平均分子量が、5,000〜1,000,000であることを特徴とする請求項1又は2に記載の不織布複合高分子固体電解質シート。
【請求項4】
多分岐共重合体の、Aのランダム共重合体における繰り返し単位(I)及び(II)の重合度が、いずれも30〜2,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の不織布複合高分子固体電解質シート。
【請求項5】
多分岐共重合体の、GPC−MALLS法による重量平均分子量(Mw)が、10,000〜2,000,000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の不織布複合高分子固体電解質シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−238599(P2011−238599A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85055(P2011−85055)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】