Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
不織布
説明

不織布

【課題】フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物に起因するブルーミングが抑制され、かつ柔らかく風合いの良好な不織布を提供すること。
【解決手段】本発明の不織布は、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物を含有した第1の繊維と、フォトクロミック化合物及びサーモクロミック化合物のいずれも含有しない第2の繊維とを含んで構成されている。第2の繊維が、熱融着性複合繊維であることが好適である。第2の繊維を含みかつ第1の繊維を含まない一対の外層と、両外層間に位置しかつ第1の繊維を含む内層とを有する多層構造からなることも好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物を含む不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトクロミック化合物は、フォトクロミズムを利用して、光の照射によって変色が可能な物質である。フォトクロミズムとは、ある単一の化学種が、区別可能な異なる吸収スペクトルを有する2つの状態の間を可逆的に変化し、電磁放射線の作用によって少なくとも一方向が誘発される現象である。フォトクロミズムを示す化合物は、一般に紫外線の照射によって無色から有色へと色が変化する場合が多い。フォトクロミズムには、熱不可逆的であり、光の作用によってのみ色の変化が生じるものと、熱可逆的であり、一方の変化が光の作用によって生じ、かつ他方の変化が熱の作用によって生じるものとがある。
【0003】
フォトクロミック化合物を繊維に含有させた従来の技術として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。同文献には、芯鞘型複合繊維における芯成分にフォトクロミック化合物を含有させ、かつ鞘成分にはフォトクロミック化合物を含有させないことが記載されている。このような芯鞘型複合繊維は、表面が平滑で力学的及び繊維的特性に優れたものであり、摩擦や選択、及び熱によってフォトクロミック機能が全く劣化しないと、同文献には記載されている。
【0004】
フォトクロミック化合物とは別に、熱の付与によって変色が可能な物質であるサーモクロミック化合物も知られている。特許文献2には、フォトクロミック化合物やサーモクロミック化合物を、生理用ナプキン等の吸収性物品に適用することが提案されている。例えばこれらの化合物を、トップシートを通して色の変化が認識可能であるような態様でトップシート上に又はトップシートの下に配置することが同文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−202811号公報
【特許文献2】特表2007−533417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の芯鞘型複合繊維では、鞘を構成する樹脂が、ナイロン−6、ナイロン−66、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートなどの硬い樹脂なので、繊維が硬い風合いを呈してしまうという欠点がある。また、このような繊維を用い、融着により不織布にしようとすると、前記鞘成分の融点が高いために、でき上がった不織布が硬くなってしまい、特に身体周りの用途には不向きなものとなる。特許文献2に記載の技術に関しては、フォトクロミック化合物やサーモクロミック化合物をトップシートや他の部材に単に塗布しただけでは、これらの化合物をしっかりと定着させることができない。一方、これらの化合物をインキとして使用するためには、ベース樹脂などに混合して粘着性を付与する必要があるところ、そのようにするとそれに伴うべたつき感が生じてしまったり、逆に硬めのベース樹脂ではゴワゴワしたりして、いずれも不織布の風合いを損ない、使用感の悪いものとなってしまう。これらの化合物を繊維の樹脂に練り込んで使用したとしても、ブルーミングによって表面に出てきてしまい、前記化合物が直接肌と擦れ合うことで脱落したり肌へ移行したりする。更には、このような不織布を用いて商品を製造すると、製造ラインにおいて前記化合物の脱落や移行、接着剤の接着不良などの問題が生じてしまう。
【0007】
したがって本発明の課題は、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物を含む不織布において、前述した従来技術が有する欠点を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物を含有した第1の繊維と、フォトクロミック化合物及びサーモクロミック化合物のいずれも含有しない第2の繊維とを含んで構成されている不織布を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の不織布は、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物を不織布中に安定的に保持させることができるので、その脱落が防止されるとともに、印刷インキとして用いないのでべたつき感が抑制され、かつ柔らかく風合いの良好なものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の不織布は、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物(以下、これらの化合物を総称して「フォトクロミック化合物等」ともいう。)を含有した繊維を含んでいる。本発明において、フォトクロミック化合物とは、単一の化学種が光の作用により分子量を変えることなく、閉環・開環反応などを引き起こし、吸収スペクトルの異なる状態間を可逆的に異性化し、黄色、赤色、青色など様々な色を発現する化合物を意味する。フォトクロミック化合物は、光、特に紫外光の照射によって、例えば無色から有色に変化する化合物であり、光の作用によってのみ色変化を示す化合物と、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性の化合物とに大別される。光の作用によってのみ色変化を示すフォトクロミック化合物は、日常生活における色の変化が、紫外光を最初に照射した際にのみ起こる化合物である。また、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物は、日常生活における色の変化が、紫外光を照射した際のみならず紫外光の照射を除いた際にも起こり、繰り返し性を有する化合物である。
【0011】
光の作用によってのみ色変化を示すフォトクロミック化合物としては、ジアリールエテン類及びフルギド類(特表2010−516375記載)等が挙げられる。一方、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物としては、ヘキサアリールビスイミダゾール(HABI)類、スピロオキサジン類、スピロピラン類(特表2010−516375、特開平4−202811記載)等が挙げられる。フォトクロミック化合物としては、これらの化合物を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0012】
光の作用によってのみ色変化を示すフォトクロミック化合物を用いると、不織布の製造時や販売時に色が変化しないように遮光する必要がある。そのため、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を用いることが好ましい。また、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を用いると、色の変化(出現と消失)を何回も楽しむことができ、また簡易的に紫外線をチェックすることもできる。
【0013】
フォトクロミック化合物に対して、サーモクロミック化合物とは、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化する化合物の総称を意味する。サーモクロミック化合物としては、例えば特公昭51−44706号に記載の呈色性有機化合物、フェノール類とアルコール類の三成分で構成されたものを用いることができる。サーモクロミック化合物としては、これらの化合物を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0014】
本発明の不織布は、異なる2種の繊維である第1の繊維及び第2の繊維を少なくとも含むものである。第1の繊維は、フォトクロミック化合物等及び繊維形成性の樹脂を含んで構成されている。一方、第2の繊維は、フォトクロミック化合物等を含有せず、かつ第1の繊維に含まれる繊維形成性の樹脂と同種又は異種の樹脂を含んで構成されている。第1の繊維は、フォトクロミック化合物等を利用して本発明の不織布を着色する目的で用いられる。第2の繊維は、第1の繊維に含まれるフォトクロミック化合物等に起因する種々の問題、例えば不織布からのフォトクロミック化合物等の脱落や移行を防止する目的や、不織布を構成する柔軟な層などとして不織布全体の柔らかさや風合いを向上させる目的で用いられる。また第2の繊維は、第1の繊維の接着を柔軟な樹脂で行う目的で熱融着性繊維としても用いられる。従来、フォトクロミック化合物等が練り込まれた繊維からの該フォトクロミック化合物等のブルーミングやフォトクロミック化合物等の熱分解に起因する種々の問題を低減させるためには、先に述べた特許文献1に記載されているとおり、芯鞘型複合繊維の芯部に比較的融点の低い樹脂を用いて加工温度を下げるとともに、芯部にフォトクロミック化合物等を練り込み、鞘部にブルーミングしにくい樹脂を用いることが行われていた。このように、繊維に用いる樹脂をフォトクロミック化合物等が安定するように調整することで、従来は繊維を得ていた。しかしこの方法を採用すると、鞘部に用いられている樹脂の硬さに起因して繊維が硬くなり不織布自体も硬くなってしまう傾向にあった。更には、不織布に加工する際に熱接着すると、全体として一層硬くなる傾向にあった。従来は、不織布の用途に応じて繊維の樹脂を設計していたが、フォトクロミック化合物等が安定するように設計すると、不織布の用途に応じた繊維設計の自由度がかなり制限される問題がある。これに対して本発明者らは、フォトクロミック化合物等を含有した第1の繊維に加えて、フォトクロミック化合物等を含有しない第2の繊維を用いることで、フォトクロミック化合物等のブルーミングに起因する種々の問題を低減できることや、不織布の風合い向上のための不織布設計の自由度を高くできることを知見した。また、第1の繊維にフォトクロミック化合物等を含有させることに起因して、該第1の繊維の構成樹脂には制約があるが(例えばブルーミングの少ない樹脂を使用する等)、第1の繊維に加えて、フォトクロミック化合物等を含有していない第2の繊維を併用することで、前記の制約を解消できることも知見した。これらの知見に基づき本発明の完成に至った。
【0015】
上述のとおり、第1の繊維はフォトクロミック化合物等を含有している。ここで、「フォトクロミック化合物等を含有している」とは、第1の繊維を構成している樹脂とフォトクロミック化合物等とが混ざり合っていることを意味する。したがって、繊維の表面にフォトクロミック化合物等が付着しているだけの状態は、「フォトクロミック化合物等を含有している」には当たらない。一方、第2の繊維に関し「フォトクロミック化合物等を含有しない」とは、第2の繊維のどの部分にもフォトクロミック化合物等が存在していないことをいう。したがって、第2の繊維においては、第2の繊維を構成している樹脂とフォトクロミック化合物等とは混ざり合っておらず、しかも第2の繊維の表面にフォトクロミック化合物等は意図的に付着していない。ただし、第1の繊維に含有されているフォトクロミック化合物等が、意図せずに第2の繊維へ付着した場合は「フォトクロミック化合物等を含有しない」に該当する。
【0016】
第1の繊維に関し、該繊維を構成している樹脂とフォトクロミック化合物等とを混ざり合わせるには、一般には溶融混練を行うことが簡便である。溶融混練は、所定温度に加熱された押し出し機に、樹脂及びフォトクロミック化合物等を供給して該樹脂の溶融状態下に、両者を混練する方法である。溶融混練を行う温度は、樹脂の融点やフォトクロミック化合物等の耐熱性を考慮して適切に決定される。
【0017】
フォトクロミック化合物等を含有している第1の繊維に関し、該第1の繊維に含有されるフォトクロミック化合物等の割合は、本発明の不織布の具体的な用途や、フォトクロミック化合物等の種類にもよるが、第1の繊維を基準として好ましくは0.001〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%であれば、満足すべき着色を不織布に付与することができる。
【0018】
フォトクロミック化合物等を含有している第1の繊維は、本発明の不織布の平面方向の全域にわたって存在していてもよく、あるいは平面方向における一部にのみ存在していてもよい。前者の場合、不織布は、平面方向の全域が、フォトクロミック化合物等によって着色される。後者の場合、不織布は、その平面方向における第1の繊維が存在している部位のみが、フォトクロミック化合物等によって着色される。
【0019】
第1の繊維としては、単一樹脂から構成される単繊維や、2種以上の樹脂のブレンド物から構成される単繊維を用いることができる。また、2種以上の樹脂からなる複合繊維を用いることもできる。そのような複合繊維としては、同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維や、サイド・バイ・サイド型複合繊維を用いることができる。更に、2種以上の樹脂からなる分割繊維を用いることもできる。
【0020】
第1の繊維が単繊維から構成される場合、その構成樹脂としては、フォトクロミック化合物等と相溶性の良好なものを好適に用いることができる。また、フォトクロミック化合物等のブルーミングの少ない樹脂を用いることも好ましい。これらの特性を有する樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、アクリロニトリル重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上をブレンドして用いてもよい。ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンは極性が強くフォトクロミック化合物等を含有させるには有利であるが、使い捨ての製品用途には不向きである。また、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン66、アクリロニトリル重合体のように融点が高い樹脂は、フォトクロミック化合物等を溶融混練する際にフォトクロミック化合物等の熱分解を生じやすい場合がある。コスト面で不利になることがあるが、湿式紡糸であればこれらの樹脂でも熱分解の問題は少なくなる。また、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミドは、樹脂自体が黄変する場合があるため初期の色の設定を考慮する必要がある。
【0021】
第1の繊維が複合繊維から構成される場合、例えば芯鞘型複合繊維から構成される場合には、芯部の構成樹脂として、フォトクロミック化合物等と相溶性の良好なものを好適に用いることができる。そのような樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、アクリロニトリル重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上をブレンドして用いてもよい。これらの樹脂を用いる場合には、基本的には前記単繊維と同じ課題があるが、芯鞘構造をとることで鞘成分の熱接着機能などを付与することができる。芯部で前記フォトクロミック化合物等を充分に保持できるため、鞘部の構成樹脂としては、繊維性形成(曳糸性)が良好なものから選択して組み合わせればよい。具体的には、芯部の構成樹脂よりも融点が低いことを条件として、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0022】
一方、フォトクロミック化合物等の熱分解を抑えるために、融点の低いポリエチレンなどを芯部に用いる場合には、鞘部に前記フォトクロミック化合物等と相溶性の良好なものから適宜選択して用いることで、ブルーミングを防止することができる。そのような樹脂としては例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルが挙げられる。ただし芯が前記ポリオレフィンで、鞘が前記ポリエステルの芯鞘型複合繊維の場合には、接着性は付与されていない。また、鞘部が硬くなると、芯が硬いものより繊維自体の硬さが増すこととなる。
【0023】
第1の繊維として、このようなブルーミングを抑える繊維設計を施した単繊維や複合繊維を用いる場合には、第2の繊維の混綿によって、主に不織布の柔軟性が改善される。
【0024】
第1の繊維が単繊維から構成される場合及び複合繊維から構成される場合のいずれの場合であっても、第1の繊維に熱可塑性エラストマー樹脂を含有させることができる。熱可塑性エラストマー樹脂を含有させることで、第1の繊維に伸縮性を付与することができ、ひいては本発明の不織布に伸縮性を付与することができる。また、熱可塑性エラストマー樹脂の非晶部は、フォトクロミック化合物等を安定的に保持することが可能なので、第1の繊維に熱可塑性エラストマー樹脂を用いることで、フォトクロミック化合物等のブルーミングを効果的に抑制することができる。熱可塑性エラストマー樹脂を用いる場合、第1の繊維の全体が熱可塑性エラストマー樹脂から構成されていてもよく、あるいは第1の繊維はその一部に熱可塑性エラストマー樹脂を含んでいてもよい。
【0025】
熱可塑性エラストマー樹脂としては、例えばSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)、SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー(エチレン系のα−オレフィンエラストマー、エチレン・ブテン・オクテン等を共重合したプロピレン系エラストマー)、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーを挙げることができる。これらは、一種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
前記熱可塑性エラストマー樹脂は、フォトクロミック化合物等を安定的に保持することが可能であるものの、手触り感がべたついて良くなくそのままでは用途が限られる問題がある。そこで第2の繊維の併用によって、不織布表面の改質を行うことで、肌触りが良好で柔軟な不織布を提供することができる。また、エラストマーを伸縮させた際に不安定になったフォトクロミック化合物等が発生したとしても、エラストマー表面を第2の繊維で取り巻くことで、フォトクロミック化合物等の不織布外への脱落を防止することができる。
【0027】
第2の繊維としては、単一樹脂から構成される単繊維や、2種以上の樹脂のブレンド物から構成される単繊維を用いることができる。また、2種以上の樹脂からなる複合繊維を用いることもできる。そのような複合繊維としては、同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維や、サイド・バイ・サイド型複合繊維を用いることができる。更に、2種以上の樹脂からなる分割繊維を用いることもできる。
【0028】
第2の繊維が単繊維から構成される場合、その構成樹脂としては、剛性の低い樹脂を用いることができる。第1の繊維として選択したものが硬い場合には、充分に剛性の低い樹脂を用いた第2の繊維を混綿することで、不織布全体のドレープ性を向上させることができるため好ましい。この場合の剛性の低い樹脂としては、ポリオレフィン系の樹脂、特にポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を用いることがよい。第2の繊維を第1の繊維と混綿して不織布を形成する際には、第2の繊維を構成する樹脂に、熱融着性を有する樹脂を用いることができる。その際に、第1の繊維の融点が比較的高い場合には、第2の繊維の接着性で不織布を形成できるようにすべきである。そのようにすることにより、熱接着温度を低くすることができ、柔軟な不織布を得ることができる。これらの特性を有する樹脂としては、例えば 第1の繊維としての単繊維成分又は鞘成分が、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド、又はアクリロニトリル重合体である場合には、第2の繊維としての単繊維成分又は鞘成分が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合物、エチレン−メタクリル酸メチル共重合物などのエチレン共重合体から選ばれたものであることが好ましい。これらのエチレン共重合体は、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンとブレンドして好ましく用いることができる。その際に、前記ポリオレフィン樹脂に対してブレンドする前記エチレン共重合体の割合は、接着性と繊維の成形性を考慮すると、両者の合計量に対して3〜40質量%であることが好ましい。3質量%以上とすることで、充分な低温接着性が得られ、40質量%以下とすることで、前記ポリオレフィンの良好な繊維形成性を引き出しやすくなる。
【0029】
第2の繊維が複合繊維から構成される場合、例えば芯鞘型複合繊維から構成される場合には、芯部の構成樹脂として、相対的に剛性の高い樹脂を用いることができ、鞘部の構成樹脂として、相対的に剛性の低い樹脂を用いることができる。また、鞘部の構成樹脂としては、熱融着性を有する樹脂を用いることも好ましい。芯部の構成樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどが挙げられる。これらの芯部の構成樹脂は、特に使い捨ておむつ用部材や生理用品部材などの衛生用品としての用途においては、使用感や樹脂自体が黄変しないとの観点から好ましいものである。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上をブレンドして用いてもよい。鞘部の構成樹脂としては、芯部の構成樹脂よりも融点が低いことを条件として、例えばポリエチレンテレフタレートで芯部を構成させた場合には、鞘部の構成樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体などを用いることができる。また、ポリプロピレン(特にホモタイプ)の芯部を構成した場合には、鞘部の構成樹脂として、ランダムタイプのポリプロピレン、ポリエチレンなどを用いることができる。特に第1の繊維がポリエステルやポリアミドの場合には、上述したエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合物、エチレン−メタクリル酸メチル共重合物などのエチレン共重合体なども、前記芯部の構成樹脂に対して用いることができる。特にポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂とブレンドして好ましく用いることができる。その際に、前記ポリオレフィン樹脂に対してブレンドする前記エチレン共重合体の割合は、接着性と繊維の成形性を考慮すると、両者の合計量に対して3〜40質量%であることが好ましい。3質量%以上とすることで、充分な低温接着性が得られやすい。
【0030】
第2の繊維が単繊維から構成される場合及び複合繊維から構成される場合のいずれの場合であっても、第2の繊維に熱可塑性エラストマー樹脂を含有させることができる。熱可塑性エラストマー樹脂を含有させることで、第2の繊維に伸縮性を付与することができ、ひいては本発明の不織布に伸縮性を付与することができる。熱可塑性エラストマー樹脂を用いる場合、第2の繊維の全体が熱可塑性エラストマー樹脂から構成されていてもよく、あるいは第2の繊維はその一部に熱可塑性エラストマー樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性エラストマー樹脂としては、第1の繊維に用いられるものと同様のものを用いることができる。
【0031】
第1の繊維及び第2の繊維の形態は、本発明の不織布の製造方法や、本発明の不織布の具体的な用途等に応じて適切に選択される。第1の繊維及び第2の繊維は一般に、繊維長51mm以下の短繊維の形態で用いられる。あるいは繊維長51mm超でかつ無限長までの長さをとり得る長繊維(連続フィラメント)の形態で用いられる。この場合、例えば第1の繊維が短繊維であり、第2の繊維が長繊維であってもよく、逆に第1の繊維が長繊維であり、第2の繊維が短繊維であってもよい。
【0032】
第1の繊維及び第2の繊維の太さも、本発明の不織布の製造方法や、本発明の不織布の具体的な用途等に応じて適切に選択される。これらの繊維の太さは、例えば、用いる繊維が不織布を構成するためには0.01〜50dtexであることが好ましく、0.1〜20dtexであることが更に好ましい。特に使い捨ておむつ用部材や、生理用品部材などの衛生用品としての用途においては、肌触りや柔軟性の観点から0.1〜10dtex、特に好ましくは0.1〜5dtexであることが好ましい。また後で述べるフィラメント含有伸縮性不織布のフィラメントとして用いる際には、直径が10〜200μm、特に20〜130μmであることが好ましい。第1の繊維及び第2の繊維の横断面形状も、本発明の不織布の製造方法や、本発明の不織布の具体的な用途等に応じて適切に選択される。典型的な横断面形状は円形であるが、これ以外にも様々な異形断面形状、例えば星形などを採用することができる。このような異形断面形状を有する繊維は、前記フォトクロミック化合物等のブルーミングを擦れから保護する役割を果たす。したがって多層構造の不織布の中間層側に第1の繊維を用いた場合などは直接外部との接触がないので、仮に前記フォトクロミック化合物等がブルーミングしたとしても、その脱落を効果的防止できる。例えば星型の異形断面形状の場合は、該フォトクロミック化合物等を星形断面の谷部に抱え込むことができ、その脱落を低減させられるので好ましい形状である。更に、中空繊維の場合には内部にブルーミングした分は脱落することがないので、積極的な中空内部へのブルーミングを行うことで安定的に前記フォトクロミック化合物等を保持させることができる。例えば中空繊維の外側に用いる樹脂と内側に用いる樹脂との前記フォトクロミック化合物等の馴染みやすさが少々異なるものどうしを組み合わせることで、ブルーミングの方向を決定付けることができる。具体的には、中空繊維の外側にポリプロピレンを用い、かつ内側にポリエチレンを用いることによって、ブルーミングの内側へのドライビングフォースを生み出すことができる。また、分割繊維を用いた場合、分割後の細かな繊維間の隙間にブルーミングしたフォトクロミック化合物等を挟み込むことができるので、その脱落の危険を抑えることができる。
【0033】
本発明の不織布は、その製造方法に応じて、例えばスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、エアスルー不織布、ヒートボンド不織布、レジンボンド不織布若しくはニードルパンチ不織布又はそれらの組み合わせ(例えばスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布)などから構成される。カード機を用いて不織布を製造する場合、長繊維を製造する工程、それに捲縮をかけた後に短繊維に切断する工程、繊維を解す工程、カード機にかけて繊維ウエブを作る工程のそれぞれの工程において繊維にストレスが加わる場合が多く、前記フォトクロミック化合物等をしっかりと繊維内部に閉じ込めておける繊維を用いる必要がある。更に、製造工程中に熱接着工程が存在する不織布では、熱的に安定な繊維を選択する必要がある。また、製造工程中に高圧水流による交絡工程が存在する不織布では、ブルーミングしたフォトクロミック化合物等が殆ど洗い流されてしまう結果となる。そのような工程負荷を考慮することで、前記繊維の中から適切なものを選択することになる。これらのことを総合的に考慮すると、前記不織布のうち、溶融紡糸から直接不織布が得られるスパンボンド不織布やメルトブローン不織布は、工程負荷が比較的少なく繊維樹脂の選定の幅が広いメリットを有している。
【0034】
本発明の不織布は、単層構造又は多層構造のものであり得る。本発明の不織布が単層構造のものである場合、第1の繊維及び第2の繊維を混合状態とすることができる。両繊維を混合状態で存在させることで、第1の繊維からブルーミングしてきたフォトクロミック化合物等が、不織布を加工する際にロールなどによって、あるいは不織布の表面を触ることによって他のところに移行することが、第2の繊維によって妨げられるので、不織布に存在するフォトクロミック化合物等が脱落しにくくなるという利点がある。この場合、第1の繊維と第2の繊維との合計量に対する第1の繊維の割合は5〜90質量%とすることが好ましく、5〜50質量%とすることが更に好ましい。一方、第1の繊維と第2の繊維との合計量に対する第2の繊維の割合は95〜10質量%とすることが好ましく、95〜50質量%とすることが更に好ましい。第1及び第2の繊維の割合をこの範囲に設定することで、フォトクロミック化合物等によって本発明の不織布を充分に着色することができ、かつフォトクロミック化合物等の脱落に起因する発色の低下を効果的に低減させることができる。特に、単純な混綿において混合状態とするのであれば、第1の繊維を50質量%より少なくすることで、第2の繊維による第1の繊維まわりの取り巻き効果が高くなるので好ましい。また、第1の繊維を10〜30質量%とすることによって、第2繊維の取り巻き効果を更に高めることができるので好ましい。
【0035】
本発明の不織布が単層構造である場合、該不織布は例えば、ともに短繊維からなる第1の繊維及び第2の繊維を、カード機を用いて混綿してウエブを形成した後、該ウエブをエアスルー法で熱融着させることで製造することができる。あるいは、該ウエブに高圧水流を吹き付けて繊維を交絡させるスパンレース法によって製造することもできる。更に、短繊維に代えて長繊維を用いて単層構造の不織布を製造することもできる。この場合にはスパンボンド法を用いればよい。そして、スパンボンド法で不織布を製造するときに、第1の繊維を形成するための紡糸口金と、第2の繊維を形成するための紡糸口金とを用い、各紡糸口金から各繊維を紡糸すればよい。スパンボンド法によって製造する場合には紡糸口金の位置において、不織布の最表面となる紡糸口金の外郭位置を避けて第1の繊維を紡糸することによって、得られるスパンボンド不織布の比較的外部を構成する繊維に第2の繊維が多く含まれることになり、その一方で、内部に第1の繊維が多く含まれることになるので、フォトクロミック化合物等がブルーミングした際に不織布からの脱落を低下させることができる。この場合、第1の繊維と第2の繊維との合計量に対する第1の繊維の割合は、5〜50質量%とすることが好ましく、5〜30質量%とすることが更に好ましい。一方、第1の繊維と第2の繊維との合計量に対する第2の繊維の割合は95〜50質量%とすることが好ましく、95〜70質量%とすることが更に好ましい。例えばポリプロピレンにフォトクロミック化合物等を溶融ブレンドしたものを第1の繊維の樹脂として用い、かつポリプロピレンのみを第2の繊維の樹脂として用いて、前記方法によりポリプロピレンスパンボンド不織布を得ることで、柔軟でかつフォトクロミック化合物等の脱落の少ない不織布とすることができる。また、第1の樹脂ブレンドを作る際に油性成分を加えることで、ブルーミング自体を抑えることが可能になるか、又はブルーミングしたフォトクロミック化合物等の脱落を抑えることが可能になる。添加する油性成分としては、例えば流動パラフィン、シリコーン、ポリブテンなどが挙げられる。これらは繊維全体に対して0.1〜3質量%の範囲で用いることができる。
【0036】
本発明の不織布が多層構造のものである場合、該不織布は2層又は3層以上の構造のものとすることができる。本発明の不織布が2層構造である場合、該不織布は、第2の繊維を含みかつ第1の繊維を含まない第1層と、第1の繊維を含む第2層とが積層された構造のものとすることができる。この場合、第2層には、第2の繊維が含まれていてもよく、あるいは含まれていなくてもよい。また、第1の繊維は、熱可塑性エラストマー樹脂を含む弾性繊維であってもよく、あるいは熱可塑性エラストマー樹脂を含まない非弾性繊維であってもよい。第2の繊維についても同様であり、該繊維は、熱可塑性エラストマー樹脂を含む弾性繊維であってもよく、あるいは熱可塑性エラストマー樹脂を含まない非弾性繊維であってもよい。このような層構造を採用し、第1層の側を使用面ないし外面とすることで、第2層の第1の繊維に含まれるフォトクロミック化合物等がブルーミングしても、第1層によって不織布の表面への移行が効果的に阻止されるので、脱落を低減させることができる。
【0037】
更に、2層構造の別の形態として、それぞれの層が、先に述べた単層で説明した不織布からなり、それらを重ね合わせた形態のものが挙げられる。具体的には、2層構成にする場合には、上述したスパンボンド法により製造された不織布を用い、紡糸口金の内側にフォトクロミック化合物等を含有する第1の繊維を配し、外側には第2の繊維を配したものを積層一体化することができる。その際に、2層のうちの1層にはフォトクロミック化合物等としてフォトクロミック化合物を、他の1層にはフォトクロミック化合物等としてサーモクロミック化合物を用いることで、それぞれ違った刺激で発色効果が得られる不織布を得ることができる。このような不織布を得る方法としては、製造装置における上流側に配置された第1紡糸ヘッドに第1及び第2押し出し機を備え、下流側に配置された第2紡糸ヘッドに第3及び第4押し出し機を備えた装置を用い、それぞれコンベア上にウエブ形成させた後、一体化させることで、前記の2層不織布を得ることができる。具体的には、第1及び第3押し出し機によってポリプロピレン樹脂を溶融させた後に第1及び第2紡糸ヘッドの外側寄りに配された紡糸口金で紡糸する。一方、第2押し出し機ではポリプロピレンとフォトクロミック化合物とを溶融混練し、第4押し出し機ではポリプロピレンとサーモクロミック化合物とを溶融混練する。その後、第1及び第2紡糸ヘッドの内側寄りに配された紡糸口金で紡糸する。まず第1層をコンベア上に形成し、次いで第2層のウエブをその上に形成し、下流に備え付けられたエンボスユニットによって両層を溶着させて一体化する。
【0038】
本発明の不織布が2層構造である場合、第1の繊維と第2の繊維との合計量に対する第1の繊維の割合は5〜90質量%とすることが好ましく、5〜50質量%とすることが更に好ましい。一方、第1の繊維と第2の繊維との合計量に対する第2の繊維の割合は95〜10質量%とすることが好ましく、95〜50質量%とすることが更に好ましい。上述したフォトクロミック化合物を含有する繊維を含む不織布層と、サーモクロミック化合物を含有する繊維を含む不織布層とからなる2層不織布の場合、第1の繊維と第2の繊維との合計量に対する第1の繊維の割合は、5〜50質量%とすることが好ましく、5〜30質量%とすることが更に好ましい。一方、第1の繊維と第2の繊維との合計量に対する第2の繊維の割合は95〜50質量%とすることが好ましく、95〜70質量%とすることが更に好ましい。
【0039】
本発明の不織布が3層構造又は4層以上の構造である場合、該不織布は、第2の繊維を含み、かつ第1の繊維を含まない一対の外層と、両外層間に位置しかつ第1の繊維を含む少なくとも1層の内層とを有している。一対の外層は、同一のものであってもよく、あるいは異なるものであってもよい。また、内層には第2の繊維が含まれていてもよく、あるいは含まれていなくてもよい。このような層構造を採用することで、内層の第1の繊維に含まれるフォトクロミック化合物等がブルーミングしても、外層によって不織布の表面への移行が効果的に阻止されるので、フォトクロミック化合物等の脱落を低減させることができる。
【0040】
本発明の不織布が3層構造又は4層以上の構造である場合、第1の繊維と第2の繊維との合計量に対する第1の繊維の割合は5〜90質量%とすることが好ましく、10〜60質量%とすることが更に好ましい。一方、第1の繊維と第2の繊維との合計量に対する第2の繊維の割合は10〜95質量%とすることが好ましく、40〜90質量%とすることが更に好ましい。内層に第1の繊維を用いることによって、比較的ブルーミングしやすい樹脂組成であっても両外層によってフォトクロミック化合物等のブルーミングがカバーされるので、その脱落が極めて少なくなる。そのため、内層に第1繊維による層を構成して、発色の程度や繊維配置のむらによる濃淡などの状況を調整し、その内層を外的刺激から守る目的で、又はブルーミングしたフォトクロミック化合物等を外部に通過させない目的で、外層によるカバーを行うとよい。外層に用いる第2の繊維の太さ、外層自体の繊維密度(繊維間空隙)、厚みなどは、内層に選定した繊維に応じて適宜選定すればよい。例えば、内層に用いた繊維が比較的太い場合には、外層の繊維を細めにして繊維の空隙を少なくして、フォトクロミック化合物等の通過を防止するようにする。逆に内層の繊維が比較的細い場合には、外層に用いる繊維は内層と同レベルか幾分太くても構わない。特に内層の繊維が極めて細く繊維間空隙が小さい場合には、外層は外部からの物理的な摩擦力を内層に伝えないような構成になっていればよい。このような多層不織布において、比較的高めの力学強度が要求される場合、多層不織布全体の強度を調整するために、全体として厚くすると外層の繊維密度や厚みも向上して、内層の発色の視認性を左右することになる。前記多層不織布としての表面と裏面とが決定できる場合において、表面側の坪量を裏面側に対して小さくして、繊維密度や厚みなどを小さくすることで、内層の視認性を高めることができる。このようにすることで、裏面部分で不織布強度を充足させながら、表面では充分な視認性を与えることができる。
【0041】
本発明の不織布が3層構造又は4層以上の構造である場合、外層に含まれる第2の繊維は、例えばスパンボンド法によって製造することができる。この場合、第2の繊維は連続フィラメントから構成される。第2の繊維を短繊維から構成する場合には、例えばカード機を用いて形成されたウエブを原料として製造すればよい。第2の繊維は、熱可塑性エラストマー樹脂を含む弾性繊維であってもよく、あるいは熱可塑性エラストマー樹脂を含まない非弾性繊維であってもよい。
【0042】
一方、内層に含まれる第1の繊維は、例えばメルトブローン法によって製造することができる。メルトブローン法によって製造された繊維は細く、太さのむらが少ないものなので、該繊維がフォトクロミック化合物等を含有していることで、内層の色むらを小さくすることができるという利点がある。しかも、メルトブローン法によって製造された繊維は細く、かつ繊維間距離が小さいので、ブルーミングしてきたフォトクロミック化合物等を繊維間に首尾良く保持することができるという利点もある。メルトブローン法を採用することに代えて、内層に含まれる第1の繊維は、スパンボンド法によって製造することもできる。メルトブローン法やスパンボンド法で製造された第1の繊維は、熱可塑性エラストマー樹脂を含む弾性繊維であってもよく、あるいは熱可塑性エラストマー樹脂を含まない非弾性繊維であってもよい。メルトブローン法やスパンボンド法では、第1の繊維の樹脂にフォトクロミック化合物等を溶融混練した後に、第1の繊維を直接溶融紡糸することで、フォトクロミック化合物等に熱的ストレスを少なくすることができる。またポリプロピレンなどのポリオレフィンを用いることで加工温度を低くすることができるので、フォトクロミック化合物等の熱分解を抑えることができる。一般にポリオレフィンはフォトクロミック化合物等と余り馴染みがよくないのでブルーミングが生ずるものの、メルトブローン不織布を用いた場合には、繊維間空隙が小さいことと、分子量の小さなポリオレフィンを用いることに起因して、繊維間空隙にブルーミングしたフォトクロミック化合物等を保持できるとともに、樹脂中に含まれる低分子量成分による粘着作用で、フォトクロミック化合物等が脱落しにくくなる。一方、第1の繊維の樹脂として熱可塑性エラストマーを用いた場合、スチレン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系の各種エラストマー自体は、フォトクロミック化合物等と馴染みが良好なのでブルーミングが少なく良好である。またブルーミングが発生した場合においても、エラストマー樹脂自体が有する粘着作用で、フォトクロミック化合物等を脱落させにくくする作用を発現させることができる。一方、熱可塑性エラストマーは溶融粘度が小さく、更にブロッキングをおこすために、単独では繊維加工を行いにくいが、メルトブローン法及びスパンボンド法であれば、前記熱可塑性エラストマーも不織布としやすいので、本発明の不織布における中間層として好適である。
【0043】
本発明の不織布が多層構造のものである場合、その多層構造の具体例としては、メルトブローン−メルトブローン−メルトブローン(MMM)不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布、スパンボンド−スパンボンド−スパンボンド(SSS)不織布、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMS)不織布、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMMS)不織布などが挙げられる。層間の接合は、例えばエンボスによる接合、接着剤を用いた接合、エアスルー法を用いた熱融着による接合などが挙げられる。
【0044】
メルトブローン法で得られる中間層では、上述したように、繊維間空隙にブルーミングしたフォトクロミック化合物等を保持できるので、その脱落を少なくすることができる。更に、この不織布層の外側に、第2の繊維で作られるメルトブローン層を積層することで、ブルーミングしたフォトクロミック化合物等を外部に通過させなくする効果を付与することができる。このタイプの不織布としては、例えばMMM及びSMMMSを挙げることができ、これらは、中心のメルトブローン層の両側に位置するメルトブローン層ともに、フォトクロミック化合物等の通過を防止するものである。これらの3層構造のメルトブローン層のうち、中心層に、第1の繊維からなるメルトブローン層(M層)を配置し、両外層に第2の繊維で構成されるメルトブローン層を積層することによって、中心層の繊維からブルーミングしたフォトクロミック化合物等を、外部に通過させなくする効果を付与することができる。一方SMMSは、片側にこの機能を付与したものである。フォトクロミック化合物等を含有しない熱可塑性エラストマーをメルトブローン法で不織布にしたものを外側層に用いて、その内側層に第1の繊維からなるメルトブローン層(M層)を配置して、MMMやSMMMSを構成することができる。同様な第2の繊維からなる不織布と、第1の繊維のM層とを貼り合わせてSMMSを構成することもできる。一方、第1の繊維として熱可塑性エラストマーを選択したM層を、上述した構成に入れることもできる。本発明の不織布が、熱可塑性エラストマーからなる繊維層を含む多層構造を有する場合、該不織布を構成する層のすべてが熱可塑性エラストマーで組み合わされているものを除き、延伸加工をすることで、伸縮性の不織布を得ることができる。この延伸加工については例えば特開2007−138374号公報に記載されている方法を用いることができる。
【0045】
本発明の不織布が多層構造のものである場合の他の具体例として、熱可塑性エラストマー樹脂を含有し、弾性を有する第1の繊維を含む内層と、該内層の片面又は両面に配置された、実質的に非弾性の第2の繊維を含む外層とを有する伸縮性不織布が挙げられる。この伸縮性不織布においては、内層及び外層は、それらの構成繊維が繊維形態を保った状態で、繊維交点の熱融着によって全面接合されていることが好ましい。このような形態の不織布においては、弾性を有する第1の繊維を含む内層は、スピニングブローン法、スパンボンド法又はメルトブローン法で形成されたものであることが好ましい。実質的に非弾性の第2の繊維を含む外層は、短繊維を原料とし、カード機を用いて製造されたウエブを原料として形成されていることが好ましい。このような伸縮性不織布の具体例は、例えば特開2007−138374号公報に記載されている。この伸縮性不織布を製造する場合には、製造の最後の工程で、不織布を延伸することが必要である。この延伸によって外層が塑性変形し、不織布全体として伸縮性が付与される。
【0046】
本発明の不織布が多層構造のものである場合の更に他の具体例として、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した、弾性を有する第1の繊維からなる複数のフィラメントが、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、第2の繊維を含みかつ第1の繊維を含まない伸長可能な不織布に接合されている伸縮性不織布(以下、この伸縮性不織布を「フィラメント含有伸縮性不織布A」という。)が挙げられる。フィラメント含有伸縮性不織布Aにおいては、ハッチングをかけたような変色部位を付与することができるので、不織布の外観を柔らかなイメージにすることができる。特に、濃い色に変色するフォトクロミック化合物等を用いることで、不織布全体として少量のフォトクロミック化合物等の使用で色付けが可能になるという利点がある。更に、伸縮可能な繊維である第1の繊維に着色がなされるので、不織布の伸縮性の程度を視覚的に使用者に訴求することができるという利点もある。この不織布は、弾性を有する第1の繊維からなる複数のフィラメントの延びる方向と同方向に伸縮が可能になっている。フィラメント含有伸縮性不織布Aを製造する場合には、製造の最後の工程で、不織布を延伸することが必要である。この延伸によって外側に位置する不織布に含まれる第2の繊維が塑性変形し、不織布全体として伸縮性が付与される。
【0047】
フィラメント含有伸縮性不織布Aの変形例として、一方向に延び、弾性を有する第1の繊維からなる複数のフィラメントが、ランダムな波線を描くように蛇行して、それらの交点で結合しランダムな網目構造を形成して、第2の繊維を含みかつ第1の繊維を含まない伸長可能な不織布に接合されている伸縮性不織布(以下、この伸縮性不織布を「フィラメント含有伸縮性不織布B」という。)も挙げられる。フィラメント含有伸縮性不織布Bは、上述したフィラメント含有伸縮性不織布Aが一方向にのみ伸縮可能であったのに対して、前記フィラメントの延びる方向と直交する方向にも伸縮性を発現する。したがって、フィラメント含有伸縮性不織布Bは、縦横に伸縮性が発現し、伸縮性のバランスが良好になる。
【0048】
フィラメント含有伸縮性不織布Aの詳細は、例えば特開2008−179128号公報に記載されている。一方、フィラメント含有伸縮性不織布Bの詳細は、例えば特開2010−007205号公報に記載されている。
【0049】
上述したフィラメント含有伸縮性不織布Aにおいては、フォトクロミック化合物等を含有するフィラメントから第1の繊維が構成されており、第2の繊維は、第1の繊維の両側に配置されていたが、これに代えて、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した、弾性を有する第2の繊維からなる複数のフィラメントが、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、第1の繊維を含む伸長可能な不織布に接合されている伸縮性不織布を用いることもできる。同様に、上述したフィラメント含有伸縮性不織布Bにおいて、第1の繊維と第2の繊維の配置状態を逆転させた伸縮性不織布を用いることもできる。すなわち、一方向に延び、弾性を有する第2の繊維からなる複数のフィラメントが、ランダムな波線を描くように蛇行して、それらの交点で結合しランダムな網目構造を形成して、第1の繊維を含む伸長可能な不織布に接合されている伸縮性不織布を用いることもできる。これらの伸縮性不織布によれば、不織布の種類によらず弾性を付与することが可能になる。更に様々な色彩を付与することも可能になるので、本発明の不織布の用途が一層広くなる。
【0050】
弾性を有する第1の繊維からなるフィラメント(以下、「弾性第1フィラメント」ともいう。)は、その断面が扁平形状であることが好ましい。この場合、伸縮性不織布A及びB中において、弾性第1フィラメントは、扁平形状の長軸が伸縮性不織布の平面方向と略同方向になり、かつ短軸が伸縮性不織布の厚さ方向と略同方向になるように配置されることが好ましい。このように弾性第1フィラメント配することによって、フォトクロミック化合物等が変色したときに、不織布の表面からの視認性を高めることができる。
【0051】
弾性第1フィラメントの断面を扁平形状にする場合、長軸/短軸の比率(平均扁平率)は1.0〜7.0、特に1.1〜3.0であることが、伸縮特性及び弾性第1フィラメントが変色したときの視認性が高く、更には伸縮性不織布全体として視認性が増す点から好ましい。なお、弾性第1フィラメントの断面が扁平形状である場合、該フィラメントの直径とは、長軸径と短軸径を平均したものを意味する。扁平形状を有する弾性第1フィラメントにおける長軸とは、顕微鏡観察によって抽出された該フィラメントの外周における最も長い横断線の長さをいう。一方、短軸とは、前記のようにして決定した長軸に平行な二辺を有し、かつ前記の外周に外接する長方形を描いたときの短辺の長さをいう。これらを任意のフィラメント5点について測定し、扁平率の平均を平均扁平率とし、直径の値の平均を、弾性第1フィラメントの直径の値とする。
【0052】
上述したフィラメント含有伸縮性不織布A及びフィラメント含有伸縮性不織布Bにおいて、弾性第1フィラメント間を特に2mm以下、とりわけ1mm以下の距離で配置することで、該不織布A及びBをやや離れてみた場合に、不織布全体が着色されたように見えるようにすることができる。更に、不織布の平面視において、弾性第1フィラメントが占める面積率を5〜20%の範囲とすることで、通気性、伸縮性、及び不織布全体としての視認性などのバランスをとることができる。
【0053】
また、フィラメント含有伸縮性不織布A及びフィラメント含有伸縮性不織布Bの製造過程において、溶融した弾性第1フィラメントが、第2の繊維を含みかつ第1の繊維を含まない伸長可能な不織布に必要以上に含浸されると、該不織布A及びBの伸縮性が阻害される場合がある。その場合には、弾性第1フィラメントを接合するときの温度を低めに設定することで対応することができるが、その反面、弾性第1フィラメントの接着性を増す必要がある。そこで、弾性第1フィラメントに粘着付与剤を含有させて、該フィラメントの接着性を増加させることが好ましい。粘着付与剤を用いる場合には、フォトクロミック化合物等に余り影響を及ぼさないものがよく、その観点から、石油樹脂からなる粘着付与剤を用いることが好ましい。例えば荒川化学工業の水素化石油樹脂アルコンなどを用いることができる。弾性第1フィラメント中に0.1〜5質量%の粘着付与剤を含有させることで、該フィラメントは、第2の繊維を含みかつ第1の繊維を含まない伸長可能な不織布に良好に接合し、その結果、伸縮性が阻害されることがなく、良好な変色性を有する不織布A及びBを得ることができる。
【0054】
以上、これまでに説明してきた各種の不織布は、用途にもよるが、その坪量が5〜200g/m2であることが好ましく、10〜100g/m2であることが更に好ましい。また、厚みは、0.5kPa荷重下において、0.05〜5mm、特に0.1〜3mmであることが好ましい。
【0055】
本発明の不織布は、様々な分野に用いることができる。具体的には、 使い捨ておむつ用部材、おむつカバー用部材、生理用品部材、絆創膏用基材、衣料用、帽子、マスク、手袋、サポーター、包帯、湿布剤用基布、包装材料、玩具用部材、インテリア用部材、文房具用部材、スポーツ用品部材、レジャー用品部材、自動車用部材、靴用部材、かばん用部材、ワイピング材及びシーツなどを挙げることができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0057】
〔実施例1〕
第1の繊維は、芯にフォトクロミック化合物を含有させた高密度ポリエチレン(MI=7g/10分、密度=0.97cm3、融点=134℃)を用い、鞘にフォトクロミック化合物を含有しないポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=0.64、ガラス転移温度=67℃、融点=256℃)を用いた芯鞘型複合繊維とした。フォトクロミック化合物として、1,3,3−トリメチルインドリノ−6’−ニトロベンゾピリロスピランを用いた。前記フォトクロミック化合物1%と高密度ポリエチレン99%とを溶融混練し芯部樹脂とした。ポリエチレンテレフタレートが鞘部を形成するように溶融紡糸し、3dtexの芯鞘型複合繊維とした後、44mmの長さに切断してステープルファイバーを得た。
【0058】
第2の繊維としては、芯にポリエチレンテレフタレート(第1の繊維と同じ)を用い、鞘にポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(テレフタル酸/イソフタル酸モル比=6/4、極限粘度[η]=0.56、ガラス転移温度=64℃、融点=110℃)を用いた芯鞘型複合繊維からなる3dtex44mmのステープルファイバーを用いた。
【0059】
第1の繊維50%と第2の繊維50%とを混綿し、カード機でウエブ形成した。ウエブをエアスルー加工し、温風で第2の繊維の鞘成分を溶融することで、繊維どうしを結合一体化して坪量20g/m2の不織布を得た。得られた不織布は柔軟であり太陽光により発色を得ることができた。また、表面を手で触ってもフォトクロミック化合物の脱落は見られなかった。
【0060】
〔実施例2〕
第1の繊維として、実施例1と同じものを用いた。第2の繊維としては、芯にポリプロピレン(MFR=30g/10分、密度=0.91g/cm3、融点=160℃)を用い、鞘に高密度ポリエチレン(第1の繊維の構成樹脂と同じ)80%と、エチレン−酢酸ビニル共重合体(VA含有量=25%、MFR=2、融点=77℃)20%との混合物を用いた芯鞘型複合繊維(3dtex)からなるステープルファイバー(44mm)を用いた。
【0061】
第1の繊維50%と第2の繊維50%とを混綿し、カード機でウエブ形成した。ウエブをエアスルー加工し、温風で第2の繊維の鞘成分を溶融することで、繊維どうしを結合一体化して坪量20g/m2の不織布を得た。得られた不織布は柔軟であり太陽光により発色を得ることができた。また、表面を手で触ってもフォトクロミック化合物の脱落は見られなかった。
【0062】
〔実施例3〕
第1の繊維として、フォトクロミック化合物を含有させたポリプロピレン(MFR=60g/10分、密度=0.91g/cm3、融点=160℃)を用いた。第2の繊維としては、フォトクロミック化合物を含有しないポリプロピレン(第1の繊維の構成樹脂と同じ)を用いた。フォトクロミック化合物としては、1,1’−ジ−n−オクチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミドを用いた。前記フォトクロミック化合物0.5%と、ポリプロピレン99.5%とを溶融混練し、第1の繊維の構成樹脂とした。これらの繊維の構成樹脂を用い、複数のスパンボンド紡糸口金群から溶融紡糸を行い、それぞれの樹脂からなる繊維が混合された混合繊維からなるスパンボンド不織布を得た。このとき、内側紡糸口金から第1の繊維を吐出し、外周紡糸口金から第2の繊維を吐出してフィラメントを形成した。紡糸されたフィラメントを、高速のエア流によって冷却・延伸させ、捕集コンベアに堆積させて不織布ウエブを形成した。その後、ウエブを熱エンボス加工で一体化した。熱エンボス加工は、エンボス凸ロールとフラット金属ロールとを備えたエンボス装置を用いて行った。エンボス凸ロールとして、MD及びCD方向のピッチが2.0mmである多数の凸部を有し、面積率10%のドット状凸ロールを用いた。得られたスパンボンド不織布は、第1の繊維と第2の繊維が不織布に占める割合がそれぞれ40%と60%であり、それぞれの繊維の太さは2dtex、不織布のトータル坪量は30g/m2であった。得られた不織布は柔軟であり太陽光により発色を得ることができた。また、表面を手で触ってもフォトクロミック化合物の脱落は見られなかった。
【0063】
〔実施例4〕
第1の繊維として、フォトクロミック化合物を含有させたポリプロピレン(MFR=900g/10分、密度=0.91g/cm3、融点=160℃)を用いた。第2の繊維としては、フォトクロミック化合物を含有しないポリプロピレン(MFR=60g/10分、密度=0.91g/cm3、融点=160℃)を用いた。フォトクロミック化合物として、1,3,3−トリメチルインドリノ−8’−メトキシベンゾピリロスピランを用いた。前記フォトクロミック化合物0.5%と、ポリプロピレン99.5%とを溶融混練し、第1の繊維の構成樹脂とした。そして、第1の繊維を中間層のメルトブローンとし、第2の繊維を外層のスパンボンドとするSMS不織布とした。それぞれを積層して実施例3と同様の熱エンボス加工を施し、中間層の繊維の太さが0.3dtex、坪量が5g/m2、外層の繊維の太さが2dtex、それぞれの層の坪量が10g/m2であるトータル坪量25g/m2のSMS不織布を得た。得られた不織布は柔軟であり太陽光により発色を得ることができた。また、表面を手で触ってもフォトクロミック化合物の脱落は見られなかった。
【0064】
〔実施例5〕
実施例4の第1の繊維に用いた樹脂を、スチレン系熱可塑性エラストマーに変更し、同実施例と同様にしてSMS不織布を得た。第1の繊維では、樹脂としてSEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン)(スチレン割合=30%、MFR=150g/10分、密度=0.91g/cm3)を用いた。フォトクロミック化合物としては、1,3,3−トリメチルインドリノ−8’−メトキシベンゾピリロスピランを用いた。前記フォトクロミック化合物1%とSEBSを99%とを溶融混練し、第1の繊維の構成樹脂とした。そして、第1の繊維を中間層のメルトブローンとし、実施例4と同様の第2の繊維を外層のスパンボンドとするSMS不織布とした。それぞれを積層して実施例3と同様の熱エンボス加工を施し、中間層の繊維の太さが0.3dtex、坪量が15g/m2、外層の繊維の太さが2dtex、それぞれの層の坪量が10g/m2のトータル坪量35g/m2のSMS不織布を得た。得られたSMS不織布に対して延伸加工を施した。延伸加工は、軸線方向に延びかつ互いに噛み合う歯溝を周面部に有している一対の歯溝ロールを備えた延伸装置を用いて行った。歯溝ロールのピッチは2mm、歯の噛み合い深さは2.5mmとし、3.5倍の延伸率で不織布をMDに延伸させた。これによりMDに伸縮するSMS不織布が得られた。得られた不織布は柔軟で伸縮性を有しており、太陽光により発色を得ることができた。また、表面を手で触っても、伸縮を繰り返すことによってもフォトクロミック化合物の脱落は見られなかった。
【0065】
〔実施例6〕
第1の繊維として、フォトクロミック化合物を含有させたポリプロピレン(MFR=60g/10分、密度=0.91g/cm3、融点=160℃)を用いた。第2の繊維としては、フォトクロミック化合物を含有しないポリプロピレン(第1の繊維と同じ)を用いた。フォトクロミック化合物として、1,3,3−トリメチルインドリノ−β−ナフトピリロスピランを用いた。前記フォトクロミック化合物0.2%と、ポリプロピレン99.5%とを溶融混練し、第1の繊維の構成樹脂とした。第2の繊維の樹脂からなるフィラメントをスパンボンド法によって形成し、該フィラメントを高速のエア流によって冷却・延伸し、捕集コンベアに堆積させて外層不織布ウエブを形成した。その上に、第1の繊維からなる内層不織布ウエブを、同様にスパンボンド法によって形成した。更にその上に、第2の繊維からなる外層不織布ウエブを、同様にスパンボンド法によって形成した。その後、実施例3と同様の熱エンボス加工を施してSSS不織布を得た。それぞれの繊維の太さは2dtexであった。各層不織布の坪量はいずれも7g/m2、トータル坪量は21g/m2であった。得られた不織布は柔軟であり太陽光により発色を得ることができた。また、表面を手で触ってもフォトクロミック化合物の脱落は見られなかった。
【0066】
〔実施例7〕
第2の繊維として、鞘に高密度ポリエチレン(MFR=7g/10分、密度=0.97g/cm3、融点=134℃)を用い、芯にポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=0.64、ガラス転移温度=67℃、融点=256℃)を用いた太さ2dtex、繊維長44mmの芯鞘型複合繊維を用いた。この繊維を用いてエアスルー不織布を形成し(坪量15g/m2)、これを外層として用いた。第1の繊維を構成する樹脂としては、SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン)(スチレン割合=15%、MFR=30g/10分、密度=0.91g/cm3)を用いた。フォトクロミック化合物としては、3,3−ジフェニル−3H−ナフト[2,1−b]ピランを用いた。前記フォトクロミック化合物0.5%とSEBS99.5%とを溶融混練して、第1の繊維を構成する樹脂とした。該樹脂を溶融紡糸した弾性フィラメント(直径120μm、ピッチ1mm、フィラメントのみかけ坪量10g/m2)を、第2の繊維からなるエアスルー不織布上に、一方向に延びるように押し出した。この弾性フィラメントを中間層として用い、第2の繊維からなる一対のエアスルー不織布を外層として用いて、これらを積層一体化した。こうして得られた積層不織布に延伸加工を施した。延伸加工は、歯と歯底が軸長方向に交互に形成された一対の歯溝ロールを用いて行った。歯間及び歯底間のピッチはそれぞれ2.0mmであった(噛み合った状態での歯間のピッチPは1.0mmとなる)。上下の歯溝ロールの押し込み量を調整し、前記積層不織布に、弾性フィラメントの延びる方向に延伸倍率3.0倍で弾性発現処理を施した。これによって弾性フィラメントの延びる方向に伸縮する坪量40g/m2の不織布が得られた。得られた不織布は、不織布越しにフォトクロミック化合物の発色による弾性フィラメントが縞模様を呈していた。得られた不織布は柔軟で伸縮性を有しており、太陽光により発色を得ることができた。また、表面を手で触ってもフォトクロミック化合物の脱落は見られなかった。
【0067】
〔実施例8〕
第2の繊維樹脂としてSEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン)(スチレン割合=15%、MFR=30g/10分、密度=0.91g/cm3)からなる弾性フィラメント(直径120μm、ピッチ1mm、フィラメントのみかけ坪量10g/m2)を用いた。この弾性フィラメントを、実施例6で得られたSSS不織布上に一方向に延びるように溶融して押し出した。そして、この弾性フィラメントを中間層に用い、かつ実施例6で得られたSSS不織布を一対の外層として用いて積層一体化した。こうして得られた積層不織布に延伸加工を施した。延伸加工は、歯と歯底が軸長方向に交互に形成された一対の歯溝ロールを用いて延伸加工を行った。歯間及び歯底間のピッチはそれぞれ2.0mmであった(噛み合った状態での歯間のピッチPは1.0mmとなる)。上下の歯溝ロールの押し込み量を調整し、積層不織布に、弾性フィラメントの延びる方向に延伸倍率3.0倍にて弾性発現処理を施した。これによって弾性フィラメントの延びる方向に伸縮する坪量31g/m2の不織布が得られた。得られた不織布は、不織布越しにフォトクロミック化合物の発色による弾性フィラメントが縞模様を呈していた。得られた不織布は柔軟で伸縮性を有しており、太陽光により発色を得ることができた。また、表面を手で触ってもフォトクロミック化合物の脱落は見られなかった
【0068】
〔実施例9〕
本実施例は、実施例3において、フォトクロミック化合物に代えて、サーモクロミック化合物を用いた例である。第1の繊維として、サーモクロミック化合物を含有させたポリプロピレン(MFR=60g/10分、密度=0.91g/cm3、融点=160℃)を用いた。第2の繊維としては、サーモクロミック化合物を含有しないポリプロピレン(第1の繊維の構成樹脂と同じ)を用いた。サーモクロミック化合物としては、クリスタルバイオレットラクトン3%、ハイドロキノン32%、及びミリスチルアルコール65%の混合物を用いた。前記サーモクロミック化合物1%と、ポリプロピレン99%とを溶融混練し、第1の繊維の構成樹脂とした。これらの繊維の構成樹脂を用い、複数のスパンボンド紡糸口金群から溶融紡糸を行い、それぞれの樹脂からなる繊維が混合された混合繊維からなるスパンボンド不織布を得た。このとき、内側紡糸口金から第1の繊維を吐出し、外周紡糸口金から第2の繊維を吐出してフィラメントを形成した。紡糸されたフィラメントを、高速のエア流によって冷却・延伸させ、捕集コンベアに堆積させて不織布ウエブを形成した。その後、ウエブを熱エンボス加工で一体化した。熱エンボス加工は、エンボス凸ロールとフラット金属ロールとを備えたエンボス装置を用いて行った。エンボス凸ロールとして、MD及びCD方向のピッチが2.0mmである多数の凸部を有し、面積率10%のドット状凸ロールを用いた。得られたスパンボンド不織布は、第1の繊維と第2の繊維が不織布に占める割合がそれぞれ40%と60%であり、それぞれの繊維の太さは2dtex、不織布のトータル坪量は30g/m2であった。得られた不織布は柔軟であり体温により発色を得ることができた。また、表面を手で触ってもサーモクロミック化合物の脱落は見られなかった。
【0069】
〔実施例10〕
本実施例は、実施例4において、フォトクロミック化合物に代えて、サーモクロミック化合物を用いた例である。第1の繊維として、サーモクロミック化合物を含有させたポリプロピレン(MFR=900g/10分、密度=0.91g/cm3、融点=160℃)を用いた。第2の繊維としては、サーモクロミック化合物を含有しないポリプロピレン(MFR=60g/10分、密度=0.91g/cm3、融点=160℃)を用いた。サーモクロミック化合物として、ローダミンBラクタム3%、没食子酸n−ドデシルエステル28%、及びミリスチルアルコール69%の混合物を用いた。前記サーモクロミック化合物1%と、ポリプロピレン99%とを溶融混練し、第1の繊維の構成樹脂とした。そして、第1の繊維を中間層のメルトブローンとし、第2の繊維を外層のスパンボンドとするSMS不織布とした。それぞれを積層して実施例3と同様の熱エンボス加工を施し、中間層の繊維の太さが0.3dtex、坪量が5g/m2、外層の繊維の太さが2dtex、それぞれの層の坪量が10g/m2であるトータル坪量25g/m2のSMS不織布を得た。得られた不織布は柔軟であり体温により発色を得ることができた。また、表面を手で触ってもサーモクロミック化合物の脱落は見られなかった。
【0070】
〔比較例1〕
実施例1の第1の繊維のみをカード機でウエブ形成した後に実施例3と同様の熱エンボス加工を施し、繊維どうしを結合一体化して坪量20g/m2の不織布を得た。得られた不織布は太陽光により発色を得ることができ、表面を手で触ってもフォトクロミック化合物の脱落は見られなかった。しかし、非常に硬くドレープ性に欠けるものとなった。
【0071】
〔比較例2〕
第1の繊維として、フォトクロミック化合物を含有させたポリプロピレン(MFR=60g/10分、密度=0.91g/cm3、融点=160℃)を用いた。フォトクロミック化合物として、1,3,3−トリメチルインドリノ−β−ナフトピリロスピランを用いた。前記フォトクロミック化合物1%とポリプロピレン99%とを溶融混練し、第1の繊維樹脂とした。第1の繊維樹脂を用い、スパンボンド法によってフィラメントを形成し、該フィラメントを高速のエア流によって冷却・延伸させ、捕集コンベアに堆積させて不織布ウエブを形成した。その後、実施例3と同様の熱エンボス加工を施し、スパンボンド不織布を得た。繊維の太さは2dtexであり、坪量は30g/m2であった。得られた不織布は柔軟であり太陽光により発色を得ることができた。しかしながら、表面を手で触るとブルーミングしたフォトクロミック化合物が不織布外に脱落するのが見られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物を含有した第1の繊維と、フォトクロミック化合物及びサーモクロミック化合物のいずれも含有しない第2の繊維とを含んで構成されている不織布。
【請求項2】
第2の繊維が、熱融着性複合繊維である請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
第2の繊維を含みかつ第1の繊維を含まない一対の外層と、両外層間に位置しかつ第1の繊維を含む内層とを有する多層構造からなる請求項1に記載の不織布。
【請求項4】
第1の繊維が、メルトブローン法で紡糸された繊維からなる請求項3に記載の不織布。
【請求項5】
メルトブローン法で紡糸された第1の繊維が、熱可塑性エラストマー樹脂を含む繊維である請求項4に記載の不織布。
【請求項6】
スパンボンド法によって製造され、第2の繊維を含みかつ第1の繊維を含まない一対の外層と、両外層間に位置しかつスパンボンド法によって製造された第1の繊維を含む内層とを有する多層構造からなる請求項1に記載の不織布。
【請求項7】
スパンボンド法によって製造され、第1の繊維と第2の繊維とが混合状態になっている請求項1に記載の不織布。
【請求項8】
第1の繊維又は第2の繊維が熱可塑性エラストマー樹脂を含む繊維である請求項7に記載の不織布。
【請求項9】
互いに交差せずに一方向に延びるように配列した、弾性を有する第1の繊維からなる複数のフィラメントが、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、第2の繊維を含みかつ第1の繊維を含まない伸長可能な不織布に接合されている請求項1に記載の不織布。
【請求項10】
一方向に延び、弾性を有する第1の繊維からなる複数のフィラメントが、ランダムな波線を描くように蛇行して、それらの交点で結合しランダムな網目構造を形成して、第2の繊維を含みかつ第1の繊維を含まない伸長可能な不織布に接合されている請求項1に記載の不織布。
【請求項11】
互いに交差せずに一方向に延びるように配列した、弾性を有する第2の繊維からなる複数のフィラメントが、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、第1の繊維を含む伸長可能な不織布に接合されている請求項1に記載の不織布。
【請求項12】
一方向に延び、弾性を有する第2の繊維からなる複数のフィラメントが、ランダムな波線を描くように蛇行して、それらの交点で結合しランダムな網目構造を形成して、第1の繊維を含む伸長可能な不織布に接合されている請求項1に記載の不織布。

【公開番号】特開2013−72151(P2013−72151A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211835(P2011−211835)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】