説明

不良溶解性の薬物に対する改良された医薬組成物

【課題】多くの不溶性の薬物が食物と共にのみ投与されなければならない投与剤形で処方されるが、食物と共に又は食物を伴なわないで投与することができる、実際的に不溶性の薬物の医薬組成物の提供、更には、空腹時状態下の薬物血中濃度時間曲線下面積(AUC)の80%ないし125%である満腹時状態下のAUCを有する組成物の提供。
【解決手段】in vitroで懸濁液を形成する、実質的に不溶性の薬物及び酸性官能基を有するポリマーの固体分散物の形態の医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性媒体に実際的に不溶である薬物の改良された医薬組成物に関する。本発明は、更にこの組成物を調製するための方法に関する。更に、本発明は、この組成物の投与に対する改良された投与剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
完全に水不溶性であるか、又は少なくとも水に不良溶解性である薬物は、通常低い吸収及び不良な生体利用性によって特徴付けられ、そしてそのために投与剤形に処方された場合、特別な問題が存在する。本明細書の目的において、このような薬物は、“実際的に不溶性の”と呼ばれるものである。
【0003】
実際に、多くの実際的に不溶性の薬物の生体利用性は、その溶解速度及び溶解度によって制約され、これは、次にこれらが溶解に対して示す表面積によって制御されていると了解されていることが報告されている。このように、これらの実際的に不溶性の薬物の生体利用性を改良するための試みは、しばしば粒子サイズを減じることに集中されてきた。
【0004】
このような薬物の生体利用性を改良するための試みの例は、両方ともJanssen Pharmaceutica N.V.による国際特許出願PCT/EP93/02327及びPCT/EP98/01773に例示されている。これらの出願は、両者とも水に非常に僅かに可溶性であると言われているイトラコナゾール及びサペルコナゾールのようなアゾール系抗真菌薬の投与剤形に関し、そして両者とも、薬物の水溶性のポリマーとの組み合わせ及び混合物のその後の小さいビーズ上への被覆について記載している。PCT/EP93/02327において、ビーズは、直径600ないし700マイクロメートルであり、一方PCT/EP98/01773においては、ビーズは直径250ないし355マイクロメートルである。
【0005】
両方の出願における投与剤形は、経口投与に適した形態で良好な生体利用性を有し、そして両者とも胃における溶解に対して設計されたと記載されている。
Janssenは、国際特許出願PCT/EP97/02507において、再びイトラコナゾール及びサペルコナゾールのようなアゾール系抗真菌薬に対して異なった方法を適用している。この特許出願において、生体利用性の問題に対する提案されている解答は、必要な生体利用性を得ることを確実にするために薬物を溶解することを意図した薬物とポリマーとの比を持つ、実際的に不溶性の薬物及び水溶性ポリマーの固体分散物を形成することである。
【0006】
もう一つの方法は、“Oral Absorption Improvement of Poorly Soluble Drug Using Solid Dispersion Technique”by T.Kai et al(Chem.Pharm.Bull.44(3)568−571(1996))の文献中に、再び低い溶解性であると言われ、そして不良な経口吸収特質を示す、もう一つの抗真菌剤に関して報告されている。この文献において、薬物の固体分散物は、腸溶性ポリマーと共に形成され、そして固体分散物の溶解特質は、薬物の溶解状態を決定する観点から、pH1.2及びpH6.8の適当な媒体中で試験されている。文献は、薬物がpH6.8で完全に溶解(過飽和)し、そして従って生体利用可能であり、一方pH1.2において腸溶性ポリマーは溶解せず、薬物の溶解を防止することを証明している。従って文献は、充分な生体利用性を確実にするために薬物の過飽和(完全な溶解)が重要なことであると推奨している。
【0007】
例示される最後の試みは、Pfizer Products Inc.による欧州特許出願98305960.1のものである。この出願は、再びグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン阻害剤及び抗神経病剤のような低溶解性薬物の生体利用性の改良を目標としている。
【0008】
Pfizerの特許出願は、再びin vivoで過飽和溶液を生成して、充分な生体利用性を確実にする、腸溶性ポリマー(即ち、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース[HPMCAS])と低溶解性薬物との固体分散物に使用を示唆している。実際に、この出願は、投与後の可能な限り長い時間薬物の溶解を維持するために、薬物の過飽和溶液を製造することを特定的に目標としている。
【0009】
更に、実際的に不溶性の薬物に関して、多くのこのような薬物が、食物と共にのみ投与されなければならない投与剤形で処方されることが報告されている。例えば、商業的に入手可能なイトラコナゾールの投与剤形(SporanoxTM)は、空腹時状態下で投与された場合の比較的不良な生体利用性の結果のために、食物と共に使用するためにのみ処方される。
【0010】
実際的に不溶性であると考えられる薬物に対して、改良された生体利用性を持つ医薬組成物を提供することが本発明の目標の一つである。
然しながら、本発明の検討に戻る前に、文書、行為、材料、装置、物品等の上記の検討は、単に本発明に対する前後関係を提供する目的で本明細書中に含まれていることは認識されるべきである。これらのことのいずれか又は全てが、本出願の特許請求項のそれぞれの優先権の日付け以前にオーストラリア又はその他の場所において存在した本発明に関係する分野において、従来の技術の基礎を形成し、或いは通常の一般的知識であったことを示唆或いは意味するものではない。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、実際的に不溶性の薬物の医薬組成物を提供し、ここにおいて組成物は食物と共に又は食物を伴なわないで投与することができる。本発明のこの態様において、組成物は、実際的に不溶性の薬物及び酸性官能基を有するポリマーの固体分散物の形態であることができ、そして組成物は、in vitroで懸濁液を形成することができる。
【0012】
本発明は、更に実際的に不溶性の薬物の医薬組成物を提供し、組成物は、組成物の空腹時状態下のAUCの80%ないし125%である満腹時状態下のAUCを有する。本発明のこの態様において、組成物は、実際的に不溶性の薬物及び酸性官能基を有するポリマーの固体分散物の形態であることができ、そして組成物は、in vitroで懸濁液を形成することができる。
【0013】
更に、本発明は、実際的に不溶性の薬物の医薬組成物を提供し、組成物はin vitroで懸濁液を形成する。好ましい態様において、組成物は、実際的に不溶性の薬物及び酸性官能基を有するポリマーの固体分散物の形態であることができる。
【0014】
もちろん、本発明の全ての態様において、そして以下に説明されるものであるように、医薬組成物が、その中に崩壊剤、希釈剤、充填剤等のような他の成分を含むことができることは認識されるものである。
【0015】
本明細書を通じて使用されるものである各種の用語は、当業者によって充分に理解されるものである意味を有する。然しながら、照合の容易さのために、いくつかのこれらの用語をここに定義するものである。
【0016】
本明細書中で使用される“実際的に不溶性の”の用語は、本質的に完全に水不溶性であるか又は少なくとも水に不良に溶解性である薬物に適用される。更に特定的には、この用語は、100mlより大きい投与量(mg)と水に対する溶解度(mg/ml)の比を有するいかなる薬物にも適用され、ここで、薬物の溶解度は、緩衝されていない水中の、中性(例えば、遊離塩基又は遊離酸)の形態のものである。この意味は、制約されるものではないが、本質的に水に対する溶解度を有しない(1.0mg/mlより低い)薬物を含む。
【0017】
“薬物”の用語は、広く理解されるものであり、そして例えばヒトに投与した場合、利益のある予防及び/又は治療的特性を有する化合物を指す。更に、“薬物それ自体”の用語は、本明細書を通して比較の目的で使用され、そしていかなる賦形剤の添加も含まない水性溶液/懸濁液中にある場合の薬物を意味する。
【0018】
“固体分散物”の用語は、一般的に一つの成分が、他の成分又は複数の成分中に殆んど平均的に分散している、少なくとも二つの成分を含む固体状態の系を意味する。特に、そして1970年代初期から広く受け入れられている定義によれば、“固体分散物”は、溶融、溶媒、又は溶融−溶媒法によって調製された、固体状態における不活性の担体又は基質中の一つ又はそれ以上の活性成分の分散物である。
【0019】
“in vivo”の用語は、一般的に植物又は動物の生体内を意味し、一方“in vitro”の用語は、一般的に生体外で、そして人工的環境内を意味する。
【0020】
本明細書を通して、満腹時状態又は空腹時状態下の医薬組成物の投与についての言及が行われるものである。ある種の組成物の薬物動力学的性能が、胃腸管系中の食物の存在又は存在しないことによって影響されることは、当技術において充分に了解されることである。他の組成物はこのようには影響されない。従って、これらの言及は、当技術において‘満腹時’又は‘空腹時’として呼ばれる通常受容されている投与環境に関係する。
【0021】
薬物動力学的変数AUCに対する言及も更に行われるものである。これは、実際の又は理論的血漿中の分布のグラフ化した表示(濃度対時間)から決定される広く受け入れられた変数であり、そしてこのような分布の曲線下面積(AUC)を示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例2で調製したイトラコナゾールを含有するゼラチンカプセルと市販のイトラコナゾールカプセル(Sporanox)とについての実施例2の試験における、イトラコナゾールの平均血中濃度をプロットしたグラフである。
【図2】実施例2の空腹時試験(空腹時試験CM4799)及び実施例3の満腹時試験(満腹時試験CM6000)におけるイトラコナゾールの平均血液中濃度をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の一般的説明
ここで本発明の一般的な説明に戻って、本発明の一つの態様において、医薬組成物は、投与した場合in vivoで懸濁液を形成するようなものである。好ましくは、懸濁液は、粒子(薬物を含む)の均質な分散物であり、粒子は少なくとも、in vitroで、懸濁液が濁った懸濁液として存在するように、これらが光を回折する大きさである。従って、このような濁った懸濁液の存在の証拠が、進歩性を有する組成物の固体分散物のin vitro溶解試験中に見ることができる。
【0024】
in vitroの濁った懸濁液中の粒子は、一般的に約1nmより大きく、しかし約10マイクロメートルより小さい大きさの粒子であるものである。本発明のこの態様による医薬組成物のin vitro溶解試験は、この大きさの範囲の粒子が、5.5ないし7.5の範囲のpHで試験された場合に存在することを明らかにする。更に、酸性のpH(即ち、約1.2のpHの溶解媒体中に約20分間懸濁された場合)で前処理された場合、本発明のこの態様による医薬組成物のin vitro溶解試験は、再びこの大きさの範囲の粒子が5.5ないし7.5の範囲のpHにおいてその後に試験した場合に存在することを明らかにする。この前処理は、in vivoの条件を模倣して行うことができる。
【0025】
本発明の一つの態様において、粒子の一部分が、1nmないし450nmの範囲のようなナノ粒子の形態であり、そして一部がマイクロ粒子の形態(0.45マイクロメートルないし10マイクロメートルの範囲のような)で存在することが好ましいことであることができる。このようなin vivoのナノ粒子の存在は、濁った懸濁液を450nmのフィルターを通し、そして濁ったままの懸濁液を有することによるような、これらに対するin vitroの試験によって測定することができる。このようなナノ粒子は、好ましくは、先に記載した酸性の前処理工程が、試験方法において使用されたか否かに関わらず存在する。
【0026】
従って、本発明は、更に実際的に不溶性の薬物の医薬組成物を提供し、ここにおいて組成物は、酸性のpHにおける前処理を伴なって又は伴なわずに、5.5ないし7.5の範囲のpHにおいてin vitroで懸濁液を形成し、懸濁液は1nmないし10マイクロメートルの大きさの範囲の粒子を有する。好ましくは、懸濁液は、再び酸性のpHにおける前処理を伴なって又は伴なわずに、5.5ないし7.5の範囲のpHにおいてin vitroでその粒子の少なくとも一部を1nmないし450nmの範囲の大きさで有する。
【0027】
従って、この好ましい態様において、医薬組成物は、実際的の不溶性の薬物の、pHが5.5ないし7.5の範囲であると予測される腸内における受容可能な吸収(ここにおいて、受容可能な吸収は、薬物それ自体の結晶化された形態のそれより大きい吸収の程度によって示される)を提供する。
【0028】
本発明のもう一つの態様において(先に記載したように)、医薬組成物は、食物と共に又は食物を伴なわないで投与される。これは、多くの実際的に不溶性の薬物、特に典型的には固体の投与剤形で処方されるものが、食物を伴なわずに投与することを可能にする方法で処方することが不可能であるために、利益のあることである。これは、これらの投与剤形の投与を患者にとって煩わしく、そして極めて融通性のないものにする。実際に、本発明の医薬組成物は、好ましくは満腹時状態下で投与した場合、空腹時状態下の投与と比較して生体内利用率等価性である。特に、満腹時状態下で投与された組成物のAUCは、好ましくは満腹時値と空腹時値の比に対する信頼区間を90%と考えた場合(自然対数転換データを使用して)、空腹時状態下のAUCの80ないし125%の範囲である。
【0029】
いかなる実際的に不溶性の薬物も本発明の医薬組成物中に利益を伴なって使用することができる。これに関連して、本明細書は、典型的には実際的に不溶性と考えられる各種の薬物をここに記載するが、多くの薬物(実際的に不溶性と考えるか又は考えられない)は、事実、実際的に不溶性である形態(結晶形態、多形体、等)を有するものであることは認識されるべきである。更に、実際的に不溶性であると更に考えられる、将来開発される薬物も更に本発明の範囲に含まれることは認識されるべきである。
【0030】
本発明の医薬組成物の特定の利益は、イトラコナゾール及びサペルコナゾールのようなアゾール系抗真菌薬に対して本発明人によって確立されたが、同様な利益は、抗高血圧剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、利尿剤、抗癲癇剤、コレステロール低下薬、ホルモン剤、血糖降下剤、抗ウイルス薬、鼻充血抑制剤、抗細菌剤、不整脈治療剤、鎮痛剤、抗癌薬、駆虫剤、タンパク質、ペプチド、CNS刺激剤、CNS抑制剤、5HT阻害剤、抗精神分裂病剤、抗アルツハイマー病薬、抗疥癬剤、ステロイド剤、オリゴヌクレオチド、抗潰瘍薬、プロトンポンプ阻害剤、抗喘息剤、血栓融解剤及びビタミンのような薬物の他の群に対して利用可能であるものである。
【0031】
実際に、以下の説明は、主としてアゾール系抗真菌薬に関する本発明の態様を記載するものであるが、本発明がこのように制約されるものではないことは認識されるべきである。
【0032】
本発明の医薬組成物の固体分散物を形成するために有用なポリマーは、酸性官能基を有するものである。好ましい態様において、このようなポリマーは、ポリカルボン酸であるものである。このようなポリカルボン酸は、実際的に不溶性の薬物との固体分散物中にある場合、理想的には好ましいpHの範囲で、先に記載した懸濁液を形成することとなり、そして好ましくは腸内で受容可能な吸収を与えるいかなるポリカルボン酸であることもできる。
【0033】
このようなポリマーは、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、アルギン酸塩、カルボマー、カルボキシメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、セラック、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、グリコール酸デンプン、ポラクリリン、酢酸フタル酸メチルセルロース、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸テレフタル酸セルロース、酢酸イソフタル酸セルロース及び酢酸トリメリト酸セルロースを含む群の一つ又はそれ以上であることができ、そしてHPMCAS−LF、HPMCAS−MF及びHPMCAS−HGのようなそれぞれのポリマーの各種の品種を含む。
【0034】
本発明の特に好ましい態様において、ポリマーはShin−Etsu Chemical Industry Co LtdからHP−50、HP−55又はHP−55Sとして入手可能なようなフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなポリカルボン酸である。然しながら、分散物Eudragit L30Dのような水基剤の腸溶性ポリマー、又はアンモニア又はアルカリ薬剤の添加を伴なう水に溶解した腸溶性ポリマーの使用のような別の方法が有用であることができることが考えられる。
【0035】
固体分散物中の薬物及びポリマーの量に関連して、薬物とポリマーの比は、3:1ないし1:20の範囲であることができる。然しながら、3:1ないし1:5のより狭い範囲の比が好ましい。なお更に好ましい範囲は、1:1ないし1:3であり、最も好ましい比は、約1:1.5(又は2:3)である。
【0036】
本発明の組成物の固体分散物は、適当な固体分散物が、同時粉砕、溶融押出し、凍結乾燥、回転蒸発又はいかなる溶媒除去法のような他の慣用的な技術を使用して当業者によって形成することができることは了解されるものであるが、好ましくは噴霧乾燥技術によって形成される。
【0037】
好ましい噴霧乾燥技術において、固体分散物は、薬物及びポリマーを適当な溶媒中に分散又は溶解し、そしてその後噴霧乾燥して、粉末の形態の固体分散物を形成することによって形成される。適当な溶媒又は分散媒体は、塩化メチレン、クロロホルム、エタノール、メタノール、プロパン−2−オール、酢酸エチル、アセトン、水又はこれらの混合物を含む。
【0038】
次いで他の賦形剤を粉末に混合(微粉砕又は粉砕を伴なって又は伴なわないで)して、錠剤又はカプセルのような投与剤形に使用するために適した組成物を形成することができる。
【0039】
従って、本発明は、更に実際的に不溶性の薬物の医薬組成物を調製するための方法を提供し、この方法は、溶媒中に薬物及び酸性官能基を有するポリマーを分散し、そして分散物を噴霧乾燥して、固体分散物を形成することを含む。
【0040】
従って本発明は、実際的に不溶性の薬物の医薬組成物を調製するための方法を提供し、ここにおいてこの方法は:
(a)酸性官能基を有するポリマーを溶媒に加えて、分散物を形成し;
(b)薬物を分散物中に加えて、懸濁液又は溶液を形成し;
そして
(c)懸濁液又は溶液を噴霧乾燥して、固体分散物の形態の医薬組成物を形成すること;
の工程を含む。
【0041】
別の方法として、本発明は、実際的に不溶性の薬物の医薬組成物を調製するための方法提供することができ、ここにおいてこの方法は:
(a)薬物を溶媒に加えて、分散物を形成し;
(b)酸性官能基を有するポリマーを分散物中に加えて、懸濁液又は溶液を形成し;そして
(c)懸濁液又は溶液を噴霧乾燥して、固体分散物の形態の医薬組成物を形成すること;
の工程を含む。
【0042】
本発明の組成物は、治療的に有効な量の組成物を含む医薬的投与剤形に処方することができる。錠剤又はカプセルのような経口投与に対する医薬的投与剤形が考えられるが、本発明の組成物は、更に直腸、膣、眼又は口内投与用等のような他の医薬的投与剤形を調製するために使用することができる。本発明の組成物の固体分散物を、芯に噴霧被覆(等)して、これらの投与剤形のいずれにも使用するために適した粒子を製造することができることは更に認識されるべきである。
【0043】
各種のこれらの投与剤形が、崩壊剤、希釈剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、着色料及び芳香剤のような範囲の慣例的な賦形剤を含むことができることは更に認識されるものである。
【0044】
例えば、適当な崩壊剤は、大きい膨張係数を有するものであることができ、そして例は、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、クロスカルメロース(架橋カルボキシメチルセルルースナトリウム)、及びグリコール酸デンプンナトリウムのような架橋ポリマーを含むことができる。
【0045】
更に、投与剤形に希釈剤又は充填剤のような不活性物質を加えることは好都合であることができることは認識されるものである。各種の物質を希釈剤又は充填剤として使用することができ、そして例は、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、微結晶性セルロース、及び当技術において既知のその他のもの、並びにこれらの混合物であることができる。
【0046】
潤滑剤及び滑剤は、ある種の投与剤形の製造に使用することができ、そして通常は錠剤を製造する場合に使用されるものである。潤滑剤及び滑剤の例は、水素化された植物油、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、コロイド状シリカ、タルク、これらの混合物及び当技術において既知のその他のものである。好ましい潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸マグネシウム及びコロイド状シリカの混合物である。
【0047】
着色剤及び顔料のような賦形剤も、更に本発明による投与剤形に加えることができ、そして適当な着色剤及び顔料は、二酸化チタン及び食品に適した染料を含むことができる。
【0048】
香味料は、合成香味料油及び香味料芳香族又は天然油、植物、葉、花、果実等からの抽出物等、並びにこれらの混合物から選択することができる。これらは、シナモン油、冬緑油、ハッカ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油を含むことができる。更に香味料として有用なものは、バニラ、レモン、オレンジ、ブドウ、ライム及びグレープフルーツを含む柑橘油、並びにリンゴ、バナナ、ナシ、桃、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、スモモ、パイナップル、アンズ等を含む果実エキスである。
【0049】
本発明による医薬組成物の薬物動力学的性能に関して、処方のin vivoの性能(又は生体利用性)を記述するために当技術において通常使用される変数は、Cmax(血液中の活性物質の最大濃度)及び先に記載したようにAUC(曲線下面積−患者によって吸収された薬物の全量の程度)であることは認識されるものである。これらはまた、異なった処方の生体内利用率等価性を評価するために世界中の監督官庁によって使用されている変数である。例えば、生体内利用率等価であると考えられるには、Cmax及びAUCの試験産物と参照産物の比(自然対数転換データを使用して)の90%信頼範囲は、80ないし125%の範囲である。
【0050】
本発明による組成物を使用することによって、生体利用性の問題を与えると以前に考えられていた薬物が、優れた生体利用性を持つ投与剤形で与えられることが見出された。例えば、そして二つの実施例に関して以下で更に詳細に記載されるものであるように、薬物がイトラコナゾールである場合、進歩性を有する組成物は、商業的に入手可能なイトラコナゾール製品(SporanoxTM)と生体内利用率等価とは考えられない、しかし少なくとも二倍の生体利用性を有する製剤に製造された。更に、そして再びSporanoxTMとの比較において、進歩性を有する組成物は、減少した食物効果を有し、そして従って食物を伴なって投与する必要のない(SporanoxTMとは異なり)製剤に製造された。
【0051】
更に、本発明は、更に組成物がin vitroで懸濁液を形成する、酸性官能基を持つポリマー(好ましくはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなポリカルボン酸)及びアゾール系抗真菌薬(イトラコナゾールのような)の固体分散物の形態の医薬組成物を提供する。好ましくは、組成物は、投与された場合、4.0ないし8.0の範囲、しかし更に好ましくは5.5ないし7.5の範囲のpHにおいて懸濁液を形成し、そして腸内で受容可能な吸収を提供することができる。
【0052】
本発明は、更にフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び実際的に不溶性の薬物の固体分散物の形態の医薬組成物を提供し、ここにおいて組成物は、4.0ないし8.0(好ましくは5.5ないし7.5)の範囲のpHのin vitroで懸濁液を形成し、そして好ましくは腸内で受容可能な吸収を与える。
【0053】
最後に、本発明の好ましい態様では、100mgのイトラコナゾールの投与量が空腹時状態で与えられた場合、少なくとも100ng/mlの平均Cmaxを与えるイトラコナゾールの固体分散物の形態の医薬組成物である。更に好ましい態様は、100mgのイトラコナゾールの投与量が空腹時状態で与えられた場合、150ないし250ng/mlの平均Cmaxを与えるようなイトラコナゾールの製剤である。
【0054】
本発明の更なる態様は、100mgのイトラコナゾールの投与量が空腹時状態で与えられた場合、少なくとも800ng・時/mlの平均AUCを与えるイトラコナゾールの固体分散物の形態の医薬組成物である。更に好ましい態様は、100mgのイトラコナゾールの投与量が空腹時状態で与えられた場合、1300ないし2300ng・時/mlの平均AUCを与えるようなイトラコナゾールの固体分散物である。
【0055】
イトラコナゾール以外の薬物を含む本発明による製剤において、薬物の生体利用性が、薬物それ自体と比較して、AUCに関して、少なくとも50%、そして更に好ましくは100%改良されることが好ましい。
【実施例】
【0056】
好ましい態様の説明
本発明の上記の一般的原理を具体化する実施例に対する言及がこれから行われる。然しながら、以下の記載が、上記の説明の一般性を制約するものではないことは了解されるべきである。
【0057】
実施例1
分散物を製造するために、HP−50(60g)を塩化メチレン(1200g)に分散し、そして次いでイトラコナゾール(40g)を加え、そして撹拌して、淡褐色の溶液を形成することによって溶液を調製した。次いでこの溶液を噴霧乾燥して、粉末を形成した。
【0058】
次いでこの噴霧乾燥した粉末の一部(38.96g)を、グリコール酸デンプンナトリウム(14.87g)及びコロイド状の二酸化ケイ素(Aerosil 200)(0.75g)と乳鉢中で混合し、そして5分間乳棒でこねた。ステアリン酸マグネシウム(1.11g)を乳鉢からの混合物に加え、そして混合物を均質になるまでタンブルブレンドした。
【0059】
次いでこの粉末混合物を、サイズ0のゼラチンカプセルに手で充填した。それぞれのカプセルを、名目上98ないし102mgのイトラコナゾールを含む、364ないし378mgの粉末で満たした。
【0060】
これらのカプセルを、標準的なUSPタイプII溶解浴(パドル法)で試験した。カプセルにステンレス鋼の針金で重しをつけ、そして次いでpH6.0に調節された0.05Mのリン酸緩衝溶液からなる900mlの溶解媒体中に落とした。この媒体の試料を適当な時間間隔で10マイクロメートルのフィルターを通して取り出し、そして試料中のイトラコナゾールの含有率をHPLC法を使用して分析した。溶解浴中の媒体及び取り出され、そして濾過された試料の両方とも、外観は濁っていた。この試験を、更に900mlの塩酸の酸性媒体(pH1.2、0.06MのHCl)を使用して行った。この場合、媒体及び試料の両方は透明であった。
【0061】
先に記載した試験中の各種の時間後の、全体の可能性にある量のパーセントとしての試料中に存在したイトラコナゾールの測定された量を、以下の表に示す。比較のために、市販のイトラコナゾールカプセル(SporanoxTM)について行った同じ試験の結果を更に表に示す。SporanoxTMは、両方の媒体において透明な溶液を生じた。
【0062】
【表1】

【0063】
実施例2
分散物を製造するために、HP−50(420g)を塩化メチレン(8400g)に分散し、そして次いでイトラコナゾール(280g)を加え、そして撹拌して、淡褐色の溶液を形成することによって溶液を調製した。次いでこの溶液を噴霧乾燥して、粉末を形成した。
【0064】
次いでこの噴霧乾燥した粉末の一部(292g)を、グリコール酸デンプンナトリウム(93.6g)及びコロイド状の二酸化ケイ素(Aerosil 200)(5.6g)とColletteミキサー中で高速で5分間混合した。ステアリン酸マグネシウム(8.8g)をColletteミキサーからの混合物に加え、そして混合物を均質になるまでタンブルブレンドした。
【0065】
次いでこの粉末混合物を、サイズ0のゼラチンカプセルに手で充填した。それぞれのカプセルを、名目上98ないし102mgのイトラコナゾールを含む、345ないし359mgの粉末で満たした。
【0066】
これらの試験カプセルを、薬物動力学的試験に使用した。8人の男性のボランティアーに、一晩(10時間)の絶食後、1個の100mgのカプセルを投与した。カプセルは、240mlの水と共に投与した。適当な時間間隔に、血液の試料を対象から採取し、そして血漿中のイトラコナゾールの濃度を測定した。試験は、100mgのイトラコナゾールを、市販のカプセル(SporanoxTM)として、又は上記の実施例2に記載した試験製剤として受けた対象により、無作為化2方向交差様式で行った。別の投与は、2週間のウオッシュアウト期間後に行われた。
【0067】
測定された平均血中濃度のプロットは、図1に示す通りである。
データを分析し、そして以下の標準平均薬物動力学的変数を得た。
【0068】
【表2】

【0069】
これらの結果から、これらの条件下で、実施例に記載した製剤から、市販のカプセルの形態より有意に高い血漿中のイトラコナゾール濃度が得られることを知ることができる。
【0070】
実際に、本発明のイトラコナゾール製剤が、胃を通過する後まで溶解すべきでない腸溶性ポリマーを使用したために、SporanoxTMより遅いTmax(活性物質の最大血液中濃度までの時間)を有するものであることが予期された。これは、胃で溶解するものであるSporanoxTMで使用されている水溶性ポリマーとの比較した場合である。然しながら、上記のデータから、本発明の製剤のTmaxが、SporanoxTMのTmaxより短くなくとも、少なくともそれと同じであることを知ることができる。大幅に増加したCmaxと共に、この結果は驚くべきことであった。
【0071】
実施例3
100mgのイトラコナゾールを含む実施例2の試験カプセルを、主として実施例2の薬物動力学的結果と比較して、何らかの食物効果が存在するかを測定するのために、更に満腹時状態下の薬物動力学的試験に使用した。
【0072】
研究は、再び一回投与の交差研究として8人の健康な男子成人の対象に対して、しかし満腹時条件下で行った。対象は、それに先立ち少なくとも10時間絶食し、投与の20分前に標準的な高脂肪の朝食を食べ始めた。
【0073】
2週間のウオッシュアウト期間を、2回の処置のそれぞれの投与量の投与の間に再び使用し、そして比較製品は、再びSporanoxTMとして市販されている100mgのイトラコナゾールのカプセルであった。
【0074】
適当な間隔で血液試料を対象から採取し、そして血漿中のイトラコナゾール濃度を測定した。
実施例2の空腹時試験(空腹時試験CM4799)及び実施例3の満腹時試験(満腹時試験CM6000)からの平均血液中濃度のプロットは、図2に示す通りである。
【0075】
実施例3の満腹時試験からのデータを分析し、そして以下の平均標準薬物動力学変数を得た。
【0076】
【表3】

【0077】
これらの結果から、実施例の製剤が、満腹時条件下のAUCが、空腹時条件下のAUCの約102%であり、これは充分に80ないし120%の範囲に入るために、空腹時及び満腹時条件下でAUCに関して生体内利用率等価と考えられる血漿中の分布を生じたことを知ることができる。これは、時間をかけて吸収された薬物の全量が、満腹時及び空腹時の条件下で本質的に等価であることの表示である。
【0078】
最後に、本明細書中に記載された組成物に対して他の変更及び改変が存在することができ、これらは、更に本発明の範囲に含まれることは認識されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物が、in vitroで懸濁液を形成する、実質的に不溶性の薬物及び酸性官能基を有するポリマーの固体分散物の形態の医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物が、投与された場合in vivoで懸濁液を形成し、懸濁液が粒子の均質な分散物であるようなものである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
in vitroで形成される懸濁液の粒子が、少なくともこれらがin vitroで、前記懸濁液が濁った懸濁液として存在するように光線を回折するような大きさである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記懸濁液の粒子が、10マイクロメートルより小さいが、しかし1nmより大きい大きさである、請求項2又は3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記粒子の一部が、マイクロ粒子の形態であり、そして前記粒子の一部がナノ粒子の形態である、請求項2又は3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記懸濁液の前記粒子の少なくとも一部が、前記濁った懸濁液を450nmのフィルターを通過させた後、懸濁液が濁ったままであるように、450nmより小さいがしかし1nmより大きい大きさである、請求項2又は3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記懸濁液が、4.0ないし8.0の範囲のpHにおけるin vitro溶解試験中で存在する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記懸濁液が、5.5ないし7.5の範囲のpHにおけるin vitro溶解試験中で存在する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記in vitro溶解試験が、酸性の前処理工程を含む、請求項7又は8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記酸性の前処理工程が、約1.2のpHの溶解媒体に約20分間懸濁することである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記薬物が、アゾール系抗真菌薬である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記アゾール系抗真菌薬が、イトラコナゾール(itraconazole)である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記アゾール系抗真菌薬が、サペルコナゾール(saperconazole)である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ポリマーが、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸塩、カルボマー、カルボキシメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、セラック、酢酸フタル酸セルロース、グリコール酸デンプン、ポラクリリン(polacrylin)、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸メチルセルロース、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸テレフタル酸セルロース、酢酸イソフタル酸セルロース及び酢酸トリメリト酸セルロースの群の一つ又はそれ以上である、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ポリマーがフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
薬物とポリマーの比が、3:1ないし1:20の範囲である、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記薬物とポリマーの比が、1:1ないし1:3である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記固体分散物が、噴霧乾燥技術によって形成される、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記ポリマーが、前記薬物の分散に先立って溶媒中に分散され、前記溶媒が、塩化メチレン、クロロホルム、エタノール、メタノール、プロパン−2−オール、酢酸エチル、アセトン及び水を含む群の一つ又はそれ以上である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記医薬組成物中の前記薬物の生体利用性が、前記薬物それ自体の生態利用率の少なくとも2倍である、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記組成物が、前記組成物の空腹時状態下のAUCの80ないし125%である満腹時状態下のAUCを有する、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記組成物が、薬物それ自体と比較して、減少された食物効果を有する、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の医薬投与剤形。
【請求項23】
治療的に有効な量の、請求項1ないし22のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む、医薬投与剤形。
【請求項24】
一つ又はそれ以上の崩壊剤、希釈剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、着色料及び芳香剤のような賦形剤を含む、請求項23に記載の投与剤形。
【請求項25】
前記投与剤形が、カプセル又は錠剤である、請求項23又は24のいずれか1項に記載の投与剤形。
【請求項26】
組成物が、in vitroで懸濁液を形成する、アゾール系抗真菌薬及び酸性官能基を有するポリマーの固体分散物の形態の医薬組成物。
【請求項27】
前記懸濁液が、4.0ないし8.0の範囲のpHにおけるin vitro溶解試験中で存在する、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記懸濁液が、5.5ないし7.5の範囲のpHにおけるin vitro溶解試験中で存在する、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記ポリマーがフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項26ないし28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記薬物が、イトラコナゾールである、請求項26ないし29のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記組成物が、空腹時状態で100mgの投与量のアゾール系抗真菌薬を投与した後、in vivoにおいて、少なくとも100ng/mlの平均Cmaxを与える、請求項26ないし30のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が、空腹時状態で100mgの投与量のアゾール系抗真菌薬を投与した後、in vivoにおいて、少なくとも150ないし250ng/mlの平均Cmaxを与える、請求項26ないし30のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記組成物が、空腹時状態で100mgの投与量のアゾール系抗真菌薬を投与した後、少なくとも800ng・時/mlの平均AUCを与える、請求項26ないし32のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記組成物が、空腹時状態で100mgの投与量のアゾール系抗真菌薬を投与した後、1300ないし2300ng・時/mlの平均AUCを与える、請求項26ないし32のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記組成物が、薬物それ自体と比較して、減少された食物効果を有する、請求項26ないし34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
組成物が、空腹時状態で投与した後、in vivoにおいて、少なくとも100ng/mlの平均Cmaxを与える、約100mgのアゾール系抗真菌薬を含む医薬組成物。
【請求項37】
前記組成物が、空腹時状態でアゾール系抗真菌薬を投与した後、in vivoにおいて、少なくとも150ないし250ng/mlの平均Cmaxを与える、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
組成物が、空腹時状態で投与した後、少なくとも800ng・時/mlの平均AUCを与える、約100mgのアゾール系抗真菌薬を含む医薬組成物。
【請求項39】
前記組成物が、空腹時状態でアゾール系抗真菌薬を投与した後、1300ないし2300ng・時/mlの平均AUCを与える、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記アゾール系抗真菌薬が、イトラコナゾールである、請求項34ないし37のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
組成物が、in vitroで4.0ないし8.0の範囲のpHで懸濁液を形成し、そして腸で受容可能な吸収を与える、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び実際的に不溶性の薬物の固体分散物の形態の医薬組成物。
【請求項42】
前記薬物がイトラコナゾールである、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記懸濁液が、5.5ないし7.5の範囲のpHにおけるin vitro溶解試験中で存在する、請求項41又は42のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記組成物が、薬物それ自体と比較して、減少された食物効果を有する、請求項36ないし43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
実際的に不溶性の薬物の医薬組成物を調製する方法であって:
(a)酸性官能基を有するポリマーを溶媒に加えて、分散物を形成し;
(b)薬物を分散物中に加えて、懸濁液又は溶液を形成し;
そして
(c)懸濁液又は溶液を噴霧乾燥して、固体分散物の形態の医薬組成物を形成すること;
の工程を含む、前記方法。
【請求項46】
工程(a)が、ポリマー酸を溶解しないように行われる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ポリマーが、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項45又は46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記溶媒が、塩化メチレンである、請求項45ないし47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記薬物が、イトラコナゾールである、請求項45ないし48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記固体分散物が、その後一つ又はそれ以上の賦形剤と混合されて、医薬投与剤形中に使用される粉末に製造される、請求項45ないし49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記混合が、粉砕によって行われる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
実際的に不溶性の薬物の医薬組成物を調製する方法であって、溶媒中に薬物及び酸性官能基を有するポリマーを分散し、そして分散物を噴霧乾燥して固体分散物を形成することを含む、前記方法。
【請求項53】
実際的に不溶性の薬物の医薬組成物であって、前記組成物の空腹時状態下のAUCの80ないし125%である満腹時状態下のAUCを有する、前記組成物。
【請求項54】
前記組成物が、実際的に不溶性の薬物及び酸性官能基を有するポリマーの固体分散物である、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記ポリマーがフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記組成物が、in vitroにおいて懸濁液を形成する、請求項54又は55のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記薬物が、アゾール系抗真菌薬である、請求項53又は56のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記薬物が、イトラコナゾールである、請求項57に記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記薬物が、サペルコナゾールである、請求項57に記載の医薬組成物。
【請求項60】
組成物が、in vitroで懸濁液を形成する、実際的に不溶性の薬物の医薬組成物。
【請求項61】
前記薬物が、アゾール系抗真菌薬である、請求項57に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記薬物が、イトラコナゾールである、請求項58に記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記薬物が、サペルコナゾールである、請求項58に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記組成物が、薬物それ自体と比較して、減少された食物効果を有する、請求項53ないし63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項65】
実際的に不溶性の薬物の医薬組成物を調製する方法であって:
(a)薬物を溶媒に加えて、分散物を形成し;
(b)酸性官能基を有するポリマーを分散物中に加えて、懸濁液又は溶液を形成し;そして
(c)懸濁液又は溶液を噴霧乾燥して、固体分散物の形態の医薬組成物を形成すること;
の工程を含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−236837(P2012−236837A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−158751(P2012−158751)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【分割の表示】特願2001−548087(P2001−548087)の分割
【原出願日】平成12年12月22日(2000.12.22)
【出願人】(500441895)メイン・ファ−マ・インタ−ナショナル・プロプライエタリ−・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】