説明

不透明な有色顔料着色されたコーティング

【課題】薄層に使用でき高い要件を満たす有色仕上とすることのできるコーティングの提供。
【解決手段】、高分子量有機材料と有色顔料5〜9g/m2とを含む厚さ5〜25μmのコーティングであって、ここで、有色顔料の総量に基づいて、(a)比表面積が20〜50m2/gである3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオン30〜90重量%及び(b)キナクリドン、ジケト−ピロロ[3,4−c]−ピロール、ジオキサジン,インダントロン、ペリレン、フタロシアニン及び3−アミノ−1H−イソインドール−1−オン−オキシマト−金属錯体顔料並びにこれらの固溶体及びこれらの混合物よりなる系列から選択されるさらなる有機有色顔料10〜70重量%が存在するコーティングに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
たとえば自動車業界における有色仕上、特に赤色仕上は、乾燥膜厚さ35〜40μmの層として塗布される。経済的理由からより薄い層が原則的に望ましいが、着色が強く、魅力的な色特性、十分な隠蔽力及び良好な表面被覆特性を同時に有する薄層をうまく製造することができないので、それは不可能である。たとえば、単位面積当たり同じ量の顔料を用いて層の厚さの低減を試みると、表面コーティング剤のレオロジーのために失敗し、不満足な光沢となる。
【0002】
本発明の目的は、薄層に使用でき高い要件を満たす有色仕上を提供することである。驚くべきことには、幅の狭く、かつ低い濃度の範囲において種々の顔料の組合せを用いることにより、この目的をうまく達成した。
【0003】
US 5 476 949には、微細分散ジケトピロロピロール顔料が開示されており、これらのうちで3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオンは、厚さ1mmのPVC射出成形品中1%濃度での彩度C*が15.8である。ストークス相当径D84が0.21μm未満であり、Dmax値が0.11μmである。この顔料は顕著な透明度を有する。
【0004】
US 5 492 564には、3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオンは、隠蔽力が高く、DIN 53775/Part2により生成した厚さ1mmのPVC射出成形品中、1%濃度での彩度C*が異例に高く、45以上であることが開示されている。実施例4及び5によれば、その彩度は顔料16.4重量%を含むアクリルワニス中でも得られる。しかし、他の有色顔料は言及されておらず、また層の厚さも言及されていない。
【0005】
高品質な赤色仕上の現在の技術水準は、不透明なカラーインデックスピグメントレッド254(Irgazin(登録商標)DPP Red BO又はBOX、Ciba Spezialitaetenchemie AG)を透明度の高い顔料、たとえば、ピグメントレッド177(Cromophtal(登録商標)Red A2B、Ciba Spezialitaetenchemie AG)などと組み合わせたものに基づく。しかし、乾燥膜厚さ約30μm以下の層として塗布した場合、このような仕上の特性は、望まれる特性のいずれかがもれる。
【0006】
本発明は、高分子量有機材料と有色顔料5〜9g/m2とを含む厚さ5〜25μmのコーティングであって、ここで有色顔料の総量に基づいて、
(a)比表面積が20〜50m2/gである3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオン30〜90重量%及び
(b)キナクリドン、ジケト−ピロロ[3,4−c]−ピロール、ジオキサジン,インダントロン、ペリレン、フタロシアニン及び3−アミノ−1H−イソインドール−1−オン−オキシマト−金属錯体顔料並びにこれらの固溶体及びこれらの混合物よりなる系列シリーズから選択されるさらなる有機有色顔料10〜70重量%が存在するコーティングに関する。
【0007】
コーティングは合計6〜8g/m2の有色顔料を含有することが好ましい。さらに、コーティング厚さは約15〜25μmであることが好ましい。
【0008】
ピグメントレッド264として知られる、3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオンが、有色顔料混合物の40〜80重量%を占めることが好ましい。その比表面積は30〜40m2/gであることが好ましく、その量は、本発明による全塗料に基づいて、特に5〜15重量%、最も好ましくは8〜12重量%である。
【0009】
全てのデータは乾燥した完全硬化コーティングに関してのものである。
【0010】
さらなる、キナクリドン、ジケト−ピロロ[3,4−c]−ピロール、ジオキサジン、インダントロン、ペリレン、フタロシアニン及び3−アミノ−1H−イソインドール−1−オン−オキシマト−金属錯体顔料(b)は、たとえば、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントブルー60、ピグメントブルー64、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン37、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド149、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179、ピグメントレッド190、ピグメントレッド202、ピグメントレッド224、ピグメントレッド254、ピグメントレッド255、ピグメントレッド257、ピグメントレッド270、ピグメントレッド272、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントバイオレット29又はピグメントバイオレット37、好ましくはキナクリドン、ジケト−ピロロ[3,4−c]−ピロール、ジオキサジン、インダントロン又はペリレン顔料、特に好ましくはピグメントバイオレット19、ピグメントレッド202又はピグメントレッド254である。これらのさらなる有機有色顔料は、比表面積が10〜40m2/gであるものが好ましく、キナクリドン又はジケト−ピロロ[3,4−c]−ピロール顔料の場合は、特に10〜25m2/g、ジオキサジン、インダントロン又はペリレン顔料の場合は、特に20〜40m2/gであるものが好ましい。
【0011】
有色顔料の成分(b)は、適切な場合には数種類(たとえば2〜5種類)の有色顔料(b)の混合物又は固溶体からなるものでもよい。有色顔料混合物には、(a)及び(b)の2成分に加えて、さらに任意の所望の有色顔料、好ましくは無機顔料、たとえば黄色又は赤色酸化鉄、モリブデンオレンジ又はクロム酸鉛、特にピグメントレッド101などを追加の成分として含有してもよい。物質が有色顔料であるかどうかについて疑いがある場合、その物質0.5重量%、酸化チタンホワイト(ピグメントホワイト6)0.5重量%及び安定化軟質PVC99重量%から、ロールミルで厚さ35μmのフィルムを製造し、そのフィルムの反射色を測定する。鏡面部品を含めたd/8ジオメトリー、D65光及び10°の測定角度の下で、CIE 1976 L*C*h* 色座標システムにおいて有色顔料は少なくとも5の彩度C*を有する。
【0012】
さらに、他の色影響成分、たとえば白色顔料、黒色顔料又はエフェクト顔料を用いることもできる。しかし、これらを有色顔料との混合物の形態で用いたとしても、これらの顔料は有色顔料の量に含めるべきではない。
【0013】
高分子量有機材料は天然由来でも合成品でもよく、分子量が通常103〜108g/molの範囲にある。たとえば、天然樹脂又は乾性油、ゴムもしくはカゼイン、又は変性天然物質、たとえば塩素化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルもしくはエステル(酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースアセトブチレート、ニトロセルロースなど)が挙げられるが、特に、重合、重縮合又は重付加により得られるような全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチック又は熱可塑性プラスチック)、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレンなど)、置換ポリオレフィン、たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のエステル又はブタジエンの重合生成物ならびに前記モノマーの共重合生成物、特にABS又はEVAが挙げられる。
【0014】
重付加樹脂及び重縮合樹脂の系列から、ホルムアルデヒドとフェノール類の縮合物(いわゆるフェノプラスト)及びホルムアルデヒドと尿素、チオウレア又はメラミンとの縮合物(いわゆるアミノプラスト)及び表面コーティング樹脂として用いるポリエステル、アルキド樹脂などの飽和樹脂又はマレエート樹脂などの不飽和樹脂、さらに直鎖状ポリエステル及びポリアミド又はシリコーンを挙げることができる。
【0015】
高分子量有機材料には、さらに表面コーティング又は印刷インク用のバインダー、たとえば、ボイルアマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂がある。
【0016】
前記高分子量化合物は単独又は混合物で、プラスチックマス又は溶融物の形で含有できる。同業者は、自らが知る表面コーティング組成物、たとえば公開特許出願の出願を形成するもの又は市販されているものを、その正確な組成を知らなくても、全て試すことを勧められる。
【0017】
表面コーティングの顔料着色において、本発明による高分子量有機材料及び顔料を、適切な場合には添加剤、たとえば安定剤、分散剤、光沢向上剤、充填剤、他の顔料、乾燥剤は可塑剤と共に、有機及び/又は水性溶剤又は溶剤混合物に通常通り微細に分散又は溶解し、個々の成分を別々に分散又は溶解させるか、多数の成分を一緒に分散又は溶解させ、その後初めて全成分を合わせることができる。表面コーティングをたとえば、浸漬、ナイフコート、塗布又はスプレー噴霧により適用し、乾燥し、完全硬化した後、本発明のコーティングが生成する。
【0018】
本発明のコーティングをもたらす他の使用方法は、粉末被覆及びコイル被覆法であり、そのものの詳細は全て当業者に公知である。
【0019】
本発明による特徴に準拠している限り、本発明のコーティングを製造する方法は通常重要ではない。したがって、選択するバインダー及び被覆方法は、用途及び所望する結果に依存する。当業者は当然、各被覆方法の利点と欠点を精通しているが、それでも通常の手順として、既知の範囲内で全てのパラメータを大きく変えながら全ての公知方法を試みるものである。
【0020】
複数のコーティングも可能であり、ここで本発明のコーティングは数層のコーティング層のうちの1層だけである。複数の層は、個々に乾燥及び/又は完全硬化してもよいし、いわゆる「ウェット・オン・ウェット」プロセスで、次の層を塗布する前に乾燥を始めさせるだけでもよい。本発明によるコーティングは、全てを一度に塗布してもよいし、いくつかを逐次工程で塗布してもよく、この場合、全体としてコーティングの厚さ及び組成だけが重要である。このような場合、本発明によるコーティングの個々の有色顔料成分(a)及び(b)は隣接層に存在するように個々に連続して塗布してもよい。しかし、通常は、表面塗料の調製時には遅くとも有色顔料成分の全てを予備混合し、その混合物を塗布する。
【0021】
したがって、本発明はまた、材料をコーティングで覆う方法に関し、この方法では、3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオンを全不揮発分(固形分)に基づいて5〜15重量%含む表面コーティング組成物であって、ここで、有色顔料の総量に基づいて、
(a)比表面積が20〜50m2/gである3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオン30〜90重量%及び
(b)キナクリドン、ジケト−ピロロ[3,4−c]−ピロール、ジオキサジン、インダントロン、ペリレン、フタロシアニン及び3−アミノ−1H−イソインドール−1−オン−オキシマト−金属錯体顔料並びにこれらの固溶体及びこれらの混合物よりなる系列から選択されるさらなる有機有色顔料10〜70重量%が存在する表面コーティング組成物を使用する。
【0022】
同じく新規であるもの、したがって本発明の一部であるものは、3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオンを全不揮発分に基づいて5〜15重量%含む表面コーティング組成物であって、ここで、有色顔料の総量に基づいて、
(a)比表面積が20〜50m2/gである3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオン30〜90重量%及び
(b)キナクリドン、ジケト−ピロロ[3,4−c]−ピロール、ジオキサジン、インダントロン、ペリレン、フタロシアニン及び3−アミノ−1H−イソインドール−1−オン−オキシマト−金属錯体顔料並びにこれらの固溶体及びこれらの混合物よりなる系列から選択されるさらなる有機有色顔料10〜70重量%が存在する表面コーティング組成物である。
【0023】
本発明のコーティングは、金属又はプラスチック材料からなる基板に塗布することが好ましく、金属又はプラスチック材料からなる厚さ0.1〜100mmの板、シート、異形材又は成形品、特に自動車ボディ部品に適用することが好ましい。当然、相当な厚さを有する物体に、たとえば石材もしくはコンクリート部材、又は船、たとえば砕氷船の厚い船体に本発明のコーティングを設けることも可能である。
【0024】
したがって、本発明はまた、本発明のコーティングが覆う、金属又はプラスチック材料からなる厚さ0.1〜100mmの板、シート、異形材(profiled element)又は成形品に関する。プラスチック材料は合成由来の高分子量有機材料、たとえば上述した種類のものである。
【0025】
本発明のコーティングには、保護としてたとえば1種以上のUV吸収剤を含む、又は透明な有色顔料で着色された、又はエフェクト顔料を含む通常の厚さの透明ワニスをさらに設けることが好ましい。本発明のコーティングが金属基板上にある場合、後者は下塗りした基板であるのが好ましい。これに関連して、驚くべきことにプライマーの色は重要でないことが見出された。従来の塗料とは対照的に、白色、黒色又は灰色のプライマー上での色の結果が非常に良好であり、赤色のプライマーを塗布する必要がないことが特に有利である。したがって、実用的な理由から通常は灰色のプライマーが好まれる。
【0026】
本発明のコーティングは、良好な彩度と共に驚くほど高い色の濃さを提供する。隠蔽力に優れ、比較的顔料濃度が低いにもかかわらず、白色プライマー上のコーティングと黒色プライマー上のコーティングとの間の色差ΔE*は、好ましくは≦2.5、特に好ましくは≦1.5である。成分及びその濃度を変えることにより、ミッドレッドから赤紫を経て紫までの豊富な色合いで色相を得ることができる。光安定性、耐候安定性及び熱安定性に優れ、表面被覆特性、たとえば高い光沢などにも優れている。
【0027】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。(特記しない限り、「%」は常に重量%を意味する):
【0028】
実施例1: Irgazin(登録商標)DPP Red BOX(ピグメントレッド254)3.4重量部、Bayferrox(登録商標)Red 105 M(ピグメントレッド101)0.9重量部及びUS 5 492 564の実施例1a)による顔料(ピグメントレッド264)3.5重量部よりなる有色顔料混合物7.8重量部、Alkydal(登録商標)F 310(Bayer、SolventnaphthaTM100中、濃度60%)45.4重量部、Disperbyk(登録商標)161(Byk Chemie、酢酸n−ブチル/酢酸1−メトキシ−2−プロピル1:6中、濃度30%)4重量部、キシレン中の1%シリコーン油0.8重量部、1−メトキシ−2−プロパノール3.3重量部、n−ブタノール3.3重量部、キシレン15.4重量部、Maprenal(登録商標)MF 650(Solutia Inc.、イソブタノール/1−ブタノール/キシレン40:2:2中、最大濃度30%)19.4重量部及びTinuvin(登録商標)123 0.6重量部を含む配合物100重量部を、分散装置中でガラスビーズ230重量部を用いて約40℃で2時間分散した。ガラスビーズを除去した後、半分を白色で半分を黒色で下塗りしたアルミニウム板上に、有色表面塗料を目的の層厚さでスプレーした。板1板当りの塗布量は、それぞれ約10、20、30及び40g/m2である。次に、表面塗料を約25℃で30分間蒸発させ、さらに130℃で30分間ベークした。層の厚さはそれぞれ5〜6、10〜12、15〜18及び20〜25μmであり、顔料対バインダーの比(P:B)は1:5.48であった。白色下塗り領域と黒色下塗り領域の間の色差として測定した隠蔽力は、層の厚さに依存して、満足ないし優良であった。
【0029】
実施例2: 層の厚さが20〜25μmで、実施例1と同様の手順であるが、まずBayferrox(登録商標)Red 105 M及びUS 5 492 564の実施例1a)による3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオン顔料の全量を含む厚さ10〜12μmの層をスプレーし、次いで、Irgazin(登録商標)DPP Red BOXの全量を含む10〜12μmの層をスプレーした。コーティング厚さが同じ場合、隠蔽力は実施例1の隠蔽力と匹敵するものであった。表面コーティングの表面を種々の視角から種々の光入射角で見た結果、魅力的なエフェクトを得た。
【0030】
以下の比較例の有色顔料配合物は、顔料含有量の合計が同じで色合いが実施例1のものとできるだけ一致するように設計した。
【0031】
比較例1: 手順は実施例1と同じであるが、ただし、Irgazin(登録商標)DPP Ruby TR(ピグメントレッド264)1.5重量部、Irgazin(登録商標)DPP Red BOX 5.2重量部、Bayferrox(登録商標)Red 105 M 1.0重量部及びKronos(登録商標)二酸化チタン2310(ピグメントホワイト6)0.1重量部よりなる有色顔料混合物7.8重量部を用いた。同じコーティング厚さでの隠蔽力は、いずれの場合も実施例1よりも著しく低かった。
【0032】
比較例2: 手順は実施例1と同じであるが、ただし、Cromophtal(登録商標)Red A2B(ピグメントレッド177)1.9重量部、Irgazin(登録商標)DPP Red BOX4.9重量部、Bayferrox(登録商標)Red 105 M 0.9重量部及びKronos(登録商標)二酸化チタン2310 0.1重量部よりなる有色顔料混合物7.8重量部を用いた。同じコーティング厚さでの隠蔽力は、いずれの場合も実施例1よりも著しく低かった。
【0033】
比較例3: 手順は実施例1と同じであるが、Cinquasia(登録商標)Magenta B RT-343 D(ピグメントレッド202)1.8重量部、Irgazin(登録商標)DPP Red BOX 5.4重量部及びBayferrox(登録商標)Red 105 M 0.6重量部よりなる有色顔料混合物7.8重量部を用いた。同じコーティング厚さでの隠蔽力は、いずれの場合も実施例1よりも著しく低い。
【0034】
比較例4: 手順は実施例1と同じであるが、ただし、Cinquasia(登録商標)Magenta RT 355 D(キナクリドン)2.1重量部、Irgazin(登録商標)DPP Red BOX 5.1重量部及びBayferrox(登録商標)Red 105 M 0.6重量部よりなる有色顔料混合物7.8重量部を用いた。同じコーティング厚さでの隠蔽力は、いずれの場合も実施例1よりも著しく低かった。
【0035】
示した実施例はアルキド/メラミン表面塗料系の具体例である。現在一般的な任意の他の表面塗料系において、適当な方法を用いて、溶剤系に関係なくかなりの程度まで同じ結果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子量有機材料と有色顔料5〜9g/m2とを含む、厚さ5〜25μmのコーティングであって、ここで、有色顔料の総量に基づいて、
(a)比表面積が20〜50m2/gである3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオン30〜90重量%及び
(b)キナクリドン、ジケト−ピロロ[3,4−c]−ピロール、ジオキサジン、インダントロン、ペリレン、フタロシアニン及び3−アミノ−1H−イソインドール−1−オン−オキシマト−金属錯体顔料並びにこれらの固溶体及びこれらの混合物よりなる系列から選択されるさらなる有機有色顔料10〜70重量%が存在するコーティング。
【請求項2】
成分(b)の表面積が、10〜40m2/gである、請求項1記載のコーティング。
【請求項3】
成分(b)が、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントブルー60、ピグメントブルー64、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン37、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド149、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179、ピグメントレッド190、ピグメントレッド202、ピグメントレッド224、ピグメントレッド254、ピグメントレッド255、ピグメントレッド257、ピグメントレッド270、ピグメントレッド272、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントバイオレット29又はピグメントバイオレット37である、請求項1又は請求項2記載のコーティング。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載のコーティングで覆われた、金属又はプラスチック材料からなる厚さ0.1〜100mmを有する、板、シート、異形材又は成形品。
【請求項5】
請求項1記載のコーティングが白色、黒色又は灰色のプライマー上を覆う、請求項4記載の板、シート、異形材又は成形品。
【請求項6】
透明ワニスを設けた、請求項4又は5記載の板、シート、異形材又は成形品。
【請求項7】
材料をコーティングで覆う方法であって、3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオンを全不揮発分に基づいて5〜15重量%含む表面コーティング組成物であって、ここで、有色顔料の総量に基づいて、
(a)比表面積が20〜50m2/gである3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオン30〜90重量%及び
(b)キナクリドン、ジケト−ピロロ[3,4−c]−ピロール、ジオキサジン、インダントロン、ペリレン、フタロシアニン及び3−アミノ−1H−イソインドール−1−オン−オキシマト−金属錯体顔料並びにこれらの固溶体及びこれらの混合物よりなる系列から選択されるさらなる有機有色顔料10〜70重量%が存在する表面コーティング組成物を用いる方法。
【請求項8】
3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオンを全不揮発分に基づいて5〜15重量%含む表面コーティング組成物、ここで、有色顔料の総量に基づいて、
(a)比表面積が20〜50m2/gである3,6−ジ(4'−ビフェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオン30〜90重量%及び
(b)キナクリドン、ジケト−ピロロ[3,4−c]−ピロール、ジオキサジン、インダントロン、ペリレン、フタロシアニン及び3−アミノ−1H−イソインドール−1−オン−オキシマト−金属錯体顔料並びにこれらの固溶体及びこれらの混合物よりなる系列から選択されるさらなる有機有色顔料10〜70重量%が存在する表面コーティング組成物。

【公開番号】特開2011−225891(P2011−225891A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−148976(P2011−148976)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【分割の表示】特願2004−540750(P2004−540750)の分割
【原出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】