両替処理装置
【課題】
両替処理装置の運用に際して、カード無しでの両替手数料の徴収とカード有りでの両替手数料の徴収を可能にし、さらに両替利用する顧客の優遇度合いに応じた両替手数料の徴収を可能にする。
【解決手段】
入金された貨幣を顧客が希望する特定の金種に交換して払い出す両替処理装置であって、両替利用する顧客の識別情報を取得し、この取得した識別情報に基づいて顧客別の優遇度を決定することにより、顧客に相応しい両替取引の規制や両替手数料を徴収することができる。
両替処理装置の運用に際して、カード無しでの両替手数料の徴収とカード有りでの両替手数料の徴収を可能にし、さらに両替利用する顧客の優遇度合いに応じた両替手数料の徴収を可能にする。
【解決手段】
入金された貨幣を顧客が希望する特定の金種に交換して払い出す両替処理装置であって、両替利用する顧客の識別情報を取得し、この取得した識別情報に基づいて顧客別の優遇度を決定することにより、顧客に相応しい両替取引の規制や両替手数料を徴収することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば銀行、信用金庫等の金融機関に設置されるような両替処理装置に関し、さらに詳しくは金融機関にとって貢献度が高い優遇顧客へのサービス性を高めた両替処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金融機関では顧客へのサービスの一貫として、両替処理装置の使用を無料扱いにしていた。しかしながら、近年、金融機関独自に採算性の向上を模索して、両替取引を有料化することが望まれている。この有料化の実現に向けて両替処理装置に対する両替手数料の徴収が試みられている。
【0003】
ところが、自行の顧客に対してまでも両替手数料を徴収することは顧客へのサービス低下につながり、顧客減少の原因になるおそれがあるため、顧客の優遇措置をとることが要望されている。例えば、預金口座の有無、種類、残高などによって貢献度のある優遇顧客と他の客とを差別化して手数料を徴収するものが知られている(先行出願の特許文献1参照)。しかし、この種の両替処理装置では両替手数料を徴収する際に、本人の口座情報を特定して照合確認させるための記憶媒体を必要としていた。
【0004】
このほかにも、本人を特定するためにカードを用い、このカードの識別情報を両替処理装置に投入させて読取り、この読取り結果に基づいて優遇顧客と他の客とを差別化し、優遇顧客は無料にし、他の客は有料にするものが知られている(先行出願の特許文献2参照)。この場合も、両替手数料を徴収する際には、本人を特定するためにカードを必要としていた。
【0005】
ところで、このような両替手数料の徴収に際してはオフラインでの徴収とオンラインでの徴収がある。
オフラインでの両替手数料の徴収方法としては、次に示すような3通りの徴収方法がある。
(1)カードを用いた従量制課金による両替手数料の徴収
両替時にプリペイド式の両替カードを使用させて、該両替カードから使用量に応じて両替手数料を徴収する。
(2)カードを用いた期間制課金による両替手数料の徴収
両替時に有効期限を設定した両替カードを使用させて、カードの発行、カードの更新時に両替手数料を徴収する。
(3)貨幣による両替手数料の徴収
両替時に両替利用に必要な貨幣を投入させて、その投入された貨幣から両替手数料を徴収する。
【0006】
しかし、前記(1)(2)のカードによる両替手数料の徴収では、カードを発行しないと両替ができないため、使用頻度の低い顧客に対しても両替カードを発行する必要があり、両替カードの管理負担が増える。前記(3)の貨幣による両替手数料の徴収では、優遇顧客であっても他の客と同等の両替手数料を支払う必要があり、優遇顧客への優遇措置がとれない。
【0007】
一方、オンラインでの両替手数料の徴収方法としては、両替処理装置を金融機関のホストコンピュータに接続し、両替利用する顧客の取引口座から両替手数料を引落す徴収方法である。
【0008】
しかし、この場合は金融機関のホストコンピュータ側での制御が複雑で運用コストが高くなる。それゆえ適用し難い問題を有していた。
【0009】
【特許文献1】特許第2560720号
【特許文献2】特許第2629763号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこでこの発明は、両替処理装置の運用に際して、カード無しでの徴収とカード有りでの徴収を可能にするとともに、両替利用する顧客の優遇度に応じて両替取引の規制や手数料を変更することにより、優遇顧客へのサービスや信頼性を確保することができる両替処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、入金された貨幣を顧客が希望する特定の金種に交換して払い出す両替処理装置であって、両替利用する顧客の識別情報を取得する識別情報取得手段と、カード等の記憶媒体の受入があったかどうかを判定する判定手段と、前記取得した識別情報あるいは前記判定手段に基づいて顧客の優遇度を決定する決定手段と、前記決定手段で決定した顧客の優遇度に基づいて両替の運用を規制する規制手段あるいは両替手数料を徴収する徴収手段の少なくとも一つを実施する実施手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、識別情報取得手段とは両替利用する顧客を特定するための識別情報を取得するものであって、顧客に予め配布されたカードなどの記憶媒体を用いて顧客の識別情報を取得してもよく、顧客が入力操作する口座情報などの特定の入力情報により顧客の識別情報を取得してもよい。
【0013】
前記徴収手段が徴収する両替手数料は、顧客が投入した貨幣から両替手数料を徴収してもよく、ICカードやプリペイドカードから両替手数料を減額して徴収してもよく、預金口座から両替手数料を引落して徴収することもできる。
【0014】
この発明によると、両替時に顧客の識別情報やカード有無の判定情報を取得できるため、これらの情報から顧客の優遇度を決定することができる。この優遇度により顧客を差別化して両替利用可否などの運用を規制することができる。
【0015】
例えば、定期預金などの取引口座を有している自行にとって貢献度のある顧客と認められる識別情報を取得した場合は、その顧客の両替手数料を割引いたり、無料に設定したりすることができる。一方、取引口座のない他の客の場合は両替取引を規制したり、有料に設定したりすることができる。このため、優遇すべき顧客へのサービス提供と取引信頼性を高めることができる。さらに、一般の顧客からは貨幣を用いて両替手数料を徴収するように設定し、優遇顧客からは記憶媒体を利用させて無料あるいは低額で両替取引を許容できるように運用することができる。このため、全利用者に対してカードなどの記憶媒体を発行しなくても済み、記憶媒体の発行・管理の手間が不要になる。
【0016】
この発明の別の識別情報取得手段では、予め配布された顧客の識別情報およびカード種別情報を記憶する記憶媒体、もしくは顧客が契約している契約情報から顧客の識別情報およびカード種別情報を取得することができる。
【0017】
この発明によると、顧客の識別情報およびカード種別情報を取得する際に、顧客の口座情報、暗証番号などを入力させてもよく、両替カード、キャッシュカードなどの記憶媒体を用いてもよい。従って、記憶媒体有り無しで両替取引の可否を設定したり、両替手数料の有料・無料を設定することができる。
【0018】
例えば、貢献度のある顧客にのみ記憶媒体を発行すれば、貢献度のない他の客との差別化ができる。さらに、発行済みのキャッシュカードなどの登録情報を用いれば、両替カードに兼用できるため両替カードを新規に発行、管理せずに対処できる。
【0019】
この発明の別の徴収手段では、優遇顧客度合いを識別する識別情報に基づいて両替手数料を顧客の優遇度別に徴収することができる。
【0020】
この発明によると、顧客が両替利用する際に、優遇顧客度合いを識別できるため、その優遇顧客度合いに応じた両替手数料を設定することができる。例えば、金融機関の自行にとって貢献度の高い取引契約をしている優遇顧客と、貢献度の低い取引契約をしている顧客と、貢献度のない一般客とを差別化して両替手数料を数段階に分けて設定することができる。このため、貢献度に応じた公平な両替手数料を設定することができる。
【0021】
この発明の別の徴収手段では、両替利用する顧客が両替する料金に応じて両替手数料を顧客の優遇度別に徴収することができる。
【0022】
この発明によると、金融機関側での両替金の準備や管理は手間と労力を要するため、有料化していない場合は両替量は極力少なく利用されるのが好ましい。それゆえ、両替手数料は両替量の増減に比例して両替手数料を設定するのが望ましい。このため、両替量が多くなるほど両替手数料が高額になるので両替利用を抑制する一手段として有効である。さらに、これに加えて両替手数料の割引有効期間や無料有効期間を顧客別に設定することもできる。
【0023】
この発明の別の徴収手段では、両替利用する顧客の両替利用回数に応じて両替手数料を顧客の優遇度別に徴収することができる。
【0024】
この発明によると、両替利用する顧客が頻繁に両替するのを制限する手段の1つとして、両替利用回数に応じて両替手数料を高く設定することができる。この場合も、両替利用回数が増えるほど両替手数料が高額になるので両替利用を抑制する一手段として有効である。例えば、1日だけ無料、あるいは1ヶ月何回まで無料、それ以上になれば有料扱いにしてもよく、また両替回数が予め定められた制限回数を超えると、これに比例して両替手数料が増えるように設定することもできる。
【0025】
この発明の別の規制手段では、両替利用する顧客の優遇度別の両替金種に応じて両替の運用を顧客の優遇度別に規制することができる。
【0026】
この発明によると、両替利用する顧客が頻繁に両替するのを制限する手段の1つとして、優遇度の低い顧客に対しては紙幣や硬貨などの両替金種に応じて両替利用を規制することができる。このため、優遇度の高い顧客だけ両替利用を可能にして優遇度別に顧客の差別化を明確にすることができる。例えば、優良顧客に対しては、全ての金種(硬貨、筒硬貨、紙幣)の両替を許可し、一般の顧客に対しては、紙幣の両替のみ許可するように設定することができる。
【0027】
この発明の別の規制手段では、両替利用する顧客の優遇度別に両替量に応じて両替の運用を顧客の優遇度別に規制することができる。
【0028】
この発明によると、両替利用する顧客が頻繁に両替するのを制限する手段の1つとして、優遇度の低い顧客に対してはバラ硬貨や包装硬貨などの両替量に応じて両替利用を規制することができる。このため、優遇度の高い顧客だけ両替利用を可能にして優遇度別の顧客の差別化を明確にすることができる。例えば、優良顧客に対しては、両替量の制限を無くした両替を許可し、一般の顧客に対しては、両替量の制限を含めた両替を許可するように設定することができる。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、両替時に顧客の識別情報やカード種別情報を取得できるため、顧客に相応しい両替手数料や取引規制を定めることができる。例えば、定期預金を取引契約している金融機関にとって貢献度のある優遇顧客と認められる場合は両替手数料を無料にし、取引契約のない貢献度のない他の客の場合は有料に設定することができる。このため、優遇顧客へのサービス提供と信頼性を高めることができる。
【0030】
さらに、カードを利用しない顧客は一般顧客として扱い、カードを利用する顧客は優良顧客として扱い、さらには両替専用カードを利用する顧客を最優良顧客として扱い、その他のキャッシュカード等を利用する顧客を優良顧客として扱うなど顧客の差別化が可能である。
【実施例】
【0031】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
図面は銀行等の店舗に設置される両替機を示し、図1において、この両替機11は両替機本体11aの上部前面にカード挿入口12と、硬貨取出口13と、紙幣取扱口14と、トレー15と、タッチ入力兼用の表示器(CRT)16等を備えて紙幣および硬貨の両替取引を許容している。さらに、両替機本体11aの下部前面には硬貨を投入させて両替手数料を徴収するための料金徴収装置17を備えている。
【0032】
前記料金徴収装置17は、両替機本体11a側で扱う貨幣とは別に処理して、有料化された両替取引の両替手数料を受付けて両替手数料だけを独自に徴収する専用の料金徴収機能を有している。このため、両替機本体11a側で扱われる両替金額と料金徴収装置17で扱われる両替手数料とを混同せずに管理している。このため独立した貨幣の管理が可能になり、該料金徴収装置17を薄型の長方板形状にして、両替機本体11aの前面下部に一体的に設置している。
【0033】
そして、料金徴収装置17の前面には顧客を検知する顧客検知センサSと、硬貨を返却する返却口18を有し、上面には手数料徴収用の接客操作面として、図2にも示すように、横長に設けられた一側(図2では左側)から順に手数料表示部19と、受付金種表示部20と、投入口21と、返却ボタン22と、返却表示部23とを有している。
【0034】
この場合、手数料表示部19では両替取引額あるいは両替枚数などの両替取引する量が決定されたとき、その量に応じて必要な両替手数料を表示案内する。また、両替手数料の取引過程で顧客が投入口21に硬貨を1枚数ずつ投入操作したとき、その都度、この手数料表示部19によって両替手数料の残金を表示案内する入金操作のガイド機能を有している。
【0035】
さらに、受付金種表示部20では流通硬貨に用いられている500円、100円、50円、10円、5円、1円の6金種に応じた個々の硬貨表示部(金種別の表示マーク)を有し、これらの表示マークを金種別に個々に点灯・消灯して、受付可否の金種を金種別に表示案内して、入金時にお釣を生じさせない金種だけを受付ける入金操作のガイド機能を有している。
【0036】
前記投入口21は硬貨を1枚ずつ受入れる開口部を有し、ここに前記6金種のそれぞれの硬貨が共通して投入利用される。硬貨を投入した後に返却ボタン22が押された場合は、顧客により取引が強制的に中止されて投入された硬貨は返却口18に返却される。さらに、返却口18に硬貨を返却する場合は、返却表示部23を点灯、あるいは点滅させて返却する旨を顧客に知らせる。
【0037】
図3は両替機11の制御回路ブロック図を示し、両替機本体11aに備えられる主制御部31はROM32に格納されたプログラムに沿って各回路装置を制御し、その制御情報をRAM33で読出し可能に記憶する。
【0038】
この主制御部31は、貨幣入出金部34、カード処理部35、硬貨処理部36、紙幣処理部37、帳票処理部38、顧客操作部39、係員操作部40、音声案内処理部41、通信処理部42とを接続して制御する。
【0039】
前記貨幣入出金部34は入出金時に硬貨取出口13と紙幣取扱口14とを開閉して硬貨と紙幣とを入出金処理する。
【0040】
カード処理部35はカード挿入口12に挿入された取引可能な両替カード、キャッシュカード等のカードを受付けて取引情報を読取り、また更新情報を書込み処理し、取引終了および取消し時にカードをカード挿入口12に放出する。
【0041】
硬貨処理部36は両替時に硬貨または包装硬貨を硬貨取出口13に放出する。
紙幣処理部37は、紙幣取扱口14に投入された紙幣を内部に取込んで受付け処理し、両替時に指定された金種の紙幣を紙幣取扱口14に放出する。
【0042】
帳票処理部38は両替取引した取引情報を記載した明細票を取引毎に発行する。また、明細票を発行する毎に同記録内容の控え伝票を装置内部に保存する。
【0043】
顧客操作部39に該当する表示器16には、両替取引の表示案内と、その操作手順を表示案内し、また画面上に表示した表示部分と対応させてタッチ入力させるタッチ入力機能を有している。
【0044】
係員操作部40は両替機本体11aの内部に備えられる係員パネルを用いて障害復旧操作や保守点検等の係員操作を実行させる。
【0045】
音声案内処理部41はスピーカから両替取引操作時の適切な取引情報を音声案内する。
通信処理部42は料金徴収装置17との通信接続に用いられる。
【0046】
前記料金徴収装置17に備えられる制御部43は両替手数料を徴収制御するためROM44に格納されたプログラムに沿って各回路装置を制御し、その制御情報をRAM45で読出し可能に記憶する。
【0047】
この料金徴収装置17の制御部43は、硬貨処理部46、金額表示部47、通信処理部48とを接続しており、硬貨処理部46では硬貨が投入口21に投入されたとき、この投入された硬貨を受付けて回収処理し、両替手数料としての受付けに不適な硬貨や入金取消し時には返却口18に返却する。
【0048】
金額表示部47に該当する手数料表示部19と受付金種表示部20では両替手数料に必要な料金の投入を表示案内する。また、返却時には返却表示部23で返却する旨を表示案内する。
【0049】
通信処理部48では前記両替機本体11aの通信処理部42と通信接続し、料金徴収装置17で受付けた両替手数料の情報を主制御部31に送信する。
【0050】
このほか、主制御部31は両替時に顧客の照合情報をセンタに送信し、センタから送られてきた顧客情報、取引回答情報等を受信する。
【0051】
ところで、この両替機11は両替する際に、自行にとって貢献度が異なる顧客が存在することから貢献度に応じた公平な優遇措置をとる必要がある。このため、主制御部31は両替を行う顧客を特定するための識別情報を取得し、取得した識別情報から貢献度合いを表す優遇顧客度合いを求め、この優遇顧客度合いに相応しい両替取引の規制および両替手数料を決定する機能を有している。
【0052】
前記両替取引の規制および両替手数料の決定に際しては、カード利用の有無、取引口座の有無、取引口座の種類、取引額などの契約内容によって顧客の自行に対する貢献度を求めることができ、明確に貢献度の異なる顧客を識別することができる。
【運用例1】
【0053】
例えば、優遇顧客度合いの順位(貢献度レベル)を一般客と、優遇顧客1と、優遇顧客2との3通りに分ける。このうち、一般客の両替利用の場合は預金口座などの取引契約がなく自行にとって貢献度がないため優遇せず、両替時に両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させて支払わせる。
【0054】
これに対し、定期預金などの取引口座を有している自行にとって貢献度がある優遇顧客1と、同様の理由で貢献度が大きいと認められる優遇顧客2に対しては優遇情報を記録した両替カードを配布しておいて、両替時に両替カードを使用させることにより割引、あるいは無料扱いにする。
【0055】
図4に両替課金図表の一例を示す。この課金例では両替枚数に比例して両替手数料を設定している。具体的には、両替枚数が1〜50枚と少ない場合の両替手数料は無料に設定している。また、両替枚数が51〜500枚と少し増えた場合の両替手数料は一般客では200円、優遇顧客1では100円、優遇顧客2では無料に設定している。さらに、両替枚数が501〜1000枚とやや多い場合の両替手数料は一般客では400円、優遇顧客1では200円、優遇顧客2では無料に設定している。最後に、両替枚数が1001枚以上と多い場合の両替手数料は一般客では600円、優遇顧客1では300円、優遇顧客2では無料に設定している。このように、両替手数料は優遇顧客度合いに応じて差別化し、さらに両替枚数に比例した金額に設定している。
【0056】
この結果、一般客は優遇措置が与えられず、優遇顧客1は一般客に比べて両替手数料が少し割引かれる優遇措置が与えられる。優遇顧客2は両替手数料が不要であり、両替枚数に関係なく全て無料になるという優遇措置の特典が与えられる。
【0057】
前記両替手数料の設定に際しては、このほか両替手数料の割引有効期間や無料有効期間を顧客別に設定することもできる。
【0058】
次に、両替機11を用いた運用例1の両替処理動作を図5のフローチャートを参照して説明する。
顧客が両替機11を利用して両替取引する際、顧客は表示器16に表示された両替利用案内に従って入力操作を行う。このとき、顧客が予め配布された両替カードを用いれば、その両替カードがカード挿入口12に挿入されて両替カードを用いた両替が開始される。両替カードがなければ開始キーを入力操作させる(ステップn1)。
【0059】
このとき、顧客が開始キーを入力操作すると、主制御部31は一般客の両替利用と判定する(ステップn2)。
【0060】
主制御部31が一般客の両替利用と判定した時点で両替手数料は有料になり、その一般客から両替手数料を徴収した後、両替取引(図6のフローチャート参照)を実行させる(ステップn3)。
【0061】
両替時に両替カードがカード挿入口12に挿入されると、その両替カードから顧客の識別情報を読取って主制御部31は優遇顧客1か、優遇顧客2かを判定する(ステップn4)。
【0062】
主制御部31が優遇顧客1の両替利用であると識別した場合は、優遇顧客1に相応しい両替手数料の徴収を行った後、優遇顧客1による両替取引(図7のフローチャート参照)を実行する(ステップn5)。
【0063】
前記ステップn4で主制御部31が優遇顧客2の両替利用であると識別した場合は、無料に設定されているため両替手数料を徴収せず、優遇顧客2による両替取引(図8のフローチャート参照)を実行する(ステップn6)。
【0064】
次に、前記ステップn3での具体的な一般客の両替処理動作を図6のフローチャートを参照して説明する。
一般客は表示器16の両替利用案内に従って両替金を入金し(ステップn11)、続いて両替取引する両替枚数を入力操作すると(ステップn12)、これらの両替操作に応じて主制御部31は両替枚数および優遇対象でない一般客に応じた両替手数料を算出する(ステップn13)。
【0065】
この両替取引するときの両替枚数が50枚以下と少ない場合はサービス領域内なので両替手数料を無料に設定して、両替手数料を徴収せずに両替金の出金に移る(ステップn14)。
【0066】
ところが、両替枚数が51枚以上の場合はサービス領域外なので両替手数料が有料化されている。このため、両替枚数および一般客に応じて設定されている両替手数料の徴収を実行する(ステップn15)。
【0067】
両替手数料の徴収が完了すると、両替金の出金動作に移り、両替指定された金種および両替枚数の両替金を硬貨取出口13および紙幣取扱口14に払い出す(ステップn16)。
【0068】
一方、主制御部31は入金された両替金と両替手数料を内部に収納した後(ステップn17)、出金された両替金が取出されたことを確認して、一般客による一両替処理が終了する(ステップn18)。
【0069】
次に、前記ステップn5での具体的な優遇顧客1の両替処理動作を図7のフローチャートを参照して説明する。
優遇顧客1は表示器16の両替利用案内に従って両替金を入金し(ステップn21)、続いて両替取引する両替枚数を入力操作すると(ステップn22)、これらの両替操作に応じて主制御部31は両替枚数および優遇顧客1に応じた両替手数料を算出する(ステップn23)。
【0070】
この両替取引するときの両替枚数が50枚以下と少ない場合はサービス領域内なので両替手数料を無料に設定して、両替手数料を徴収せずに両替金の出金に移る(ステップn24)。
【0071】
ところが、両替枚数が51枚以上の場合はサービス領域外なので両替手数料が有料化されているため、両替枚数および優遇顧客1に応じて設定されている両替手数料の徴収を実行する(ステップn25)。
【0072】
両替手数料の徴収が完了すると、両替金の出金動作に移り、両替指定された金種および両替枚数の両替金を硬貨取出口13および紙幣取扱口14に払い出す(ステップn26)。
【0073】
一方、主制御部31は入金された両替金と両替手数料を内部に収納し(ステップn27)、先に取り込んでいた両替カードをカード挿入口12より返却する(ステップn28)。
【0074】
そして、出金された両替金が取出されたことを確認すると、優遇顧客1による一両替処理が終了する(ステップn29)。
【0075】
次に、前記ステップn6での具体的な優遇顧客2の両替処理動作を図8のフローチャートを参照して説明する。
優遇顧客2は表示器16の両替利用案内に従って両替金を入金し(ステップn31)、続いて両替取引する両替枚数を入力操作すると(ステップn32)、これらの両替操作に応じて主制御部31は優遇顧客2が貢献度の高い顧客であることから両替手数料は全て無料であり、両替手数料は徴収しない。このため、主制御部31は直ちに両替金の出金動作に移り、両替指定された金種および両替枚数の両替金を硬貨取出口13および紙幣取扱口14に払い出す(ステップn33)。
【0076】
一方、主制御部31は入金された両替金を内部に収納し(ステップn34)、先に取り込んでいた両替カードをカード挿入口12より返却する(ステップn35)。
【0077】
そして、出金された両替金が取出されたことを確認すると、優遇顧客2による一両替処理が終了する(ステップn36)。
【運用例2】
【0078】
次に、優遇顧客度合いを一般客と、優遇顧客との2通りに分けた運用例を示す。このうち、一般客の両替利用の場合は預金口座などの取引契約がなく自行にとって貢献度がないため優遇せず、両替時に両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させて支払わせる。
【0079】
これに対し、定期預金などの取引口座を有している自行にとって貢献度がある優遇顧客に対しては一定期間有効な優遇情報を記録した両替カードを配布しておいて、両替時に両替カードを使用させることにより割引、あるいは無料扱いにする。このように一定期間有効な優遇情報を記録した両替カードを用いた場合は、一定期間毎に優遇顧客度合いの見直しが可能になるため両替手数料を、きめ細かく設定することができる。この両替手数料は両替カードの配布時に徴収してもよく、また無料で配布してもよい。このような両替カードを利用することで、優遇顧客は両替取引の度に両替手数料をいちいち入金操作しなくても済み、円滑に両替取引ができる。
【0080】
図9に両替課金図表の一例を示す。この課金例では両替枚数に比例して両替手数料を設定している。具体的には、両替枚数が1〜50枚と少ない場合の両替手数料は無料に設定している。また、両替枚数が51〜500枚と少し増えた場合の両替手数料は一般客では200円、優遇顧客では無料に設定している。さらに、両替枚数が501〜1000枚とやや多い場合の両替手数料は一般客では400円、優遇顧客では無料に設定している。最後に、両替枚数が1001枚以上と多い場合の両替手数料は一般客では600円、優遇顧客では無料に設定している。
【0081】
このように、優遇顧客に両替カードを配布しておいて両替手数料を事前に徴収しておくように設定した場合も、一般客は優遇措置が得られないのに対し、優遇顧客は両替手数料が全て無料になる優遇措置が得られる。
【0082】
次に、両替機11を用いた運用例2の両替処理動作を図10のフローチャートを参照して説明する。
顧客が両替機11を利用して両替取引する際、顧客は表示器16に表示された両替利用案内に従って入力操作を行う。このとき、顧客が予め配布された両替カードを用いれば、その両替カードがカード挿入口12に挿入されて両替カードを用いた両替が開始される。両替カードがなければ開始キーを入力操作させる(ステップn41)。
【0083】
このとき、顧客が開始キーを入力操作すると、主制御部31は一般客の両替利用と判定する(ステップn42)。
【0084】
主制御部31が一般客の両替利用と判定した時点で両替手数料は有料になり、その一般客から両替手数料を徴収した後、両替取引(図6のフローチャート参照)を実行させる(ステップn43)。
【0085】
両替時に両替カードがカード挿入口12に挿入されると、その両替カードから顧客の識別情報を読取って主制御部31は優遇顧客であることを確認する。そして、主制御部31が優遇顧客の両替利用であることを確認した場合は、無料に設定されているため両替手数料を徴収せず、両替取引(図8のフローチャート参照)を実行する(ステップn44)。
【運用例3】
【0086】
次に、優遇顧客度合いの順位を一般客と、優遇顧客1と、優遇顧客2との3通りに分けた他の運用例を示す。このうち、一般客は優遇せず、両替時に両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させて支払わせる。
【0087】
これに対し、優遇顧客1は両替時に割引いた残りの両替手数料を入金させて両替取引を行うか、あるいは優遇情報を記録した両替カードに予め入金(プリペイドカード方式)させておいて両替時に該両替カードから両替手数料を減額するかを選択するものである。
【0088】
また、優遇顧客2は無料の優遇情報を記録した両替カードを用いる。これにより、両替時には両替手数料が全て無料になる。
【0089】
図11に両替課金図表の一例を示す。この課金例では両替枚数に比例して両替手数料を設定している。具体的には、両替枚数が1〜50枚と少ない場合の両替手数料は全ての顧客に対して無料に設定している。
【0090】
両替枚数が51〜500枚と少し増えた場合の両替手数料は一般客では200円、優遇顧客1では100円もしくは1度数(カードの減額数)、優遇顧客2では無料に設定している。さらに、両替枚数が501〜1000枚とやや多い場合の両替手数料は一般客では400円、優遇顧客1では200円もしくは2度数(カードの減額数)、優遇顧客2では無料に設定している。最後に、両替枚数が1001枚以上と多い場合の両替手数料は一般客では600円、優遇顧客1では300円もしくは3度数(カードの減額数)、優遇顧客2では無料に設定している。
【0091】
この結果、一般客は両替の度に貨幣にて両替手数料の支払いを必要とする。これに対し、優遇顧客1は貨幣もしくは両替カードのいずれかを用いて両替手数料を支払うことができる。さらに、優遇顧客2は両替手数料が両替枚数に関係なく全て無料で両替利用できる。
【0092】
この運用例3を用いた場合の両替処理動作は、運用例1に示した図5の両替処理動作のフローチャートとは、優遇顧客1の両替時(ステップn5)に、優遇顧客1が貨幣を使用して両替手数料を支払うか、両替カードを使用して両替手数料を支払うかの点が異なるだけで他は同じ処理である。このため、同一の両替処理動作の説明は省略する。
【運用例4】
【0093】
次に、優遇顧客度合いの順位を一般客と、優遇顧客1と、優遇顧客2と、優遇顧客3との4通りに分けた運用例を示す。このうち、一般客は優遇対象外であるため両替時には両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させて支払わせる。
【0094】
これに対し、優遇顧客1は自行から発行されているキャッシュカードを両替カードに兼用する。このキャッシュカードの番号や口座種別などの特定情報を顧客の識別情報に用いて、両替時には両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させる。
【0095】
優遇顧客2は前記優遇顧客1よりも自行にとって貢献度の高い顧客であり、同様に自行のキャッシュカードを両替カードに兼用する。そして、キャッシュカードの番号や口座種別などの特定情報を顧客の識別情報に用いて、両替時には両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させる。
【0096】
優遇顧客3は自行にとって最も貢献度の高い顧客である。このため、優遇顧客3が無料の優遇情報を記録した自行のキャッシュカードを用いると、両替時には両替手数料が全て無料になる。
【0097】
図12に両替課金図表の一例を示す。この課金例では両替枚数に比例して両替手数料を設定しており、両替枚数が1〜50枚と少ない場合の両替手数料は一般客のみ200円、優遇顧客1と優遇顧客2と優遇顧客3はそれぞれ無料に設定している。
【0098】
両替枚数が51〜500枚と少し増えた場合の両替手数料は一般客では200円、優遇顧客1では200円、優遇顧客2では100円、優遇顧客3では無料に設定している。さらに、両替枚数が501〜1000枚とやや多い場合の両替手数料は一般客では400円、優遇顧客1では400円、優遇顧客2では200円、優遇顧客3では無料に設定している。最後に、両替枚数が1001枚以上と多い場合の両替手数料は一般客では600円、優遇顧客1では600円、優遇顧客2では300円、優遇顧客3では無料に設定している。
【0099】
このように、予め登録されている発行済みのキャッシュカードの登録情報から優遇顧客を容易に識別することができ、このキャッシュカードを両替カードに兼用することにより、自行の顧客は優遇措置を受けた両替取引ができる。このため、両替カードを新規に発行、管理せずに済み、能率のよい運用ができる。
【0100】
次に、両替機11を用いた運用例4の両替処理動作を図13のフローチャートを参照して説明する。
顧客が両替機11を利用して両替取引する際、顧客は表示器16に表示された両替利用案内に従って入力操作を行う。このとき、顧客が自行のキャッシュカードを両替カード代りに用いれば、そのキャッシュカードがカード挿入口12に挿入されてキャッシュカードを用いた両替が開始される。キャッシュカードがなければ開始キーを入力操作させる(ステップn51)。
【0101】
このとき、顧客が開始キーを入力操作すると、主制御部31は一般客の両替利用と判定する(ステップn52)。
【0102】
主制御部31が一般客の両替利用と判定した時点で両替手数料は有料になり、その一般客から両替手数料を徴収した後、両替取引を実行させる(ステップn53)。
【0103】
両替時にキャッシュカードがカード挿入口12に挿入されると、そのキャッシュカードから顧客の識別情報を読取って主制御部31は優遇顧客1か否かを判定する(ステップn54)。
【0104】
主制御部31が優遇顧客1の両替利用であると識別した場合は、優遇顧客1に相応しい両替手数料の徴収を行った後、優遇顧客1による両替取引を実行する(ステップn55)。
【0105】
前記ステップn54において、優遇顧客1でないと識別した場合は(ステップn56)、続いて優遇顧客2か否かを判定し、主制御部31が優遇顧客2の両替利用であると識別した場合は、優遇顧客2に応じた両替手数料の徴収を行った後、優遇顧客2による両替取引を実行する(ステップn57)。
【0106】
前記ステップn56で主制御部31が優遇顧客2でないと識別した場合は優遇顧客3の両替利用であると識別できる。この場合は、無料に設定されているため両替手数料を徴収せず、優遇顧客3による両替取引を実行する(ステップn58)。
【運用例5】
【0107】
次に、優遇顧客度合いを一般客と、優遇顧客との2通りに分けた運用例を示す。このうち、一般客の両替利用の場合は預金口座などの取引契約がなく自行にとって貢献度がないため優遇せず、両替時に両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させて支払わせる。
【0108】
これに対し、定期預金などの取引口座を有している自行にとって貢献度がある優遇顧客に対しては、自行から発行されているキャッシュカードまたは優遇情報を記録した両替カードを予め配布して、両替時にいずれかのカードを使用させることにより両替手数料を割引、あるいは無料扱いにする。これらのカードの使用に際しては、カードを使用する度に使用履歴を記憶しておき、一定期間毎に使用履歴に従って顧客の口座から後日両替手数料を引落して徴収する運用形態である。
【0109】
このうち、キャッシュカードを用いた場合は、発行済みのキャッシュカードを有効利用することができ、予め登録されているキャッシュカードの登録情報から両替カードに兼用して両替取引ができる。また、両替カードを用いた場合は、両替手数料の支払口座の名義人と商店の店員などの両替利用者とが同一人物でなくても両替を許可する運用に適用できる。
【0110】
このような運用を実行すれば、一定期間毎に自行での取引内容が漸次変化する顧客毎の優遇顧客度合いの見直しが可能になる。このようにキャッシュカードまたは両替カードを利用することで、優遇顧客は取引の度に両替手数料をいちいち入金操作しなくても済み、円滑な両替利用ができる利点が得られる。
【0111】
図14に両替課金図表の一例を示す。この課金例では両替枚数に比例して両替手数料を設定している。具体的には、両替枚数が1〜50枚と少ない場合の両替手数料は無料に設定している。また、両替枚数が51〜500枚と少し増えた場合の両替手数料は一般客では200円、優遇顧客では後日まとめて口座から引落すように設定している。さらに、両替枚数が501〜1000枚とやや多い場合の両替手数料は一般客では400円、優遇顧客では後日まとめて口座から引落すように設定している。最後に、両替枚数が1001枚以上と多い場合の両替手数料は一般客では600円、優遇顧客では後日まとめて口座から引落すように設定している。
【0112】
このように、優遇顧客のキャッシュカードや両替カードの使用履歴に従って顧客の口座から両替手数料を引落して徴収するように設定した場合も、一般客は優遇措置が得られないのに対し、優遇顧客は両替手数料が割引かれたり、両替取引の度に両替手数料をいちいち入金操作しなくても済むという優遇措置が得られる。
【0113】
さらに、両替手数料を設定する際、優遇顧客の1ヶ月の最大両替手数料を予め設定しておくこともできる。このように設定した場合は、優遇顧客から両替手数料を取り過ぎないように優遇措置がとれる。
【0114】
この運用例5を用いた場合の両替処理動作は、運用例2に示した図10の両替処理動作のフローチャートとは、優遇顧客の両替時(ステップn5、ステップn6)に、後日引落しするためのキャッシュカードや両替カードを用いるか、否かの点が異なるだけで他は同じ処理である。このため、同一の両替処理動作の説明は省略する。
【運用例6】
【0115】
前記運用例1〜5では両替枚数に比例して両替手数料が高額になるように設定したが、この運用例6では両替利用回数に比例して両替手数料を高額に設定できる。
【0116】
例えば、1日だけ無料、あるいは1ヶ月何回まで無料、それ以上になれば有料に設定する。また、両替回数が予め定められた制限回数を超えると、これに比例して両替手数料が増えるように設定することもできる。
【0117】
この運用例では優遇顧客度合いを一般客と、優遇顧客1と、優遇顧客2との3通りに分けた場合を示す。このうち、一般客が両替利用する場合は預金口座などの取引契約がなく自行にとって貢献度が認められないため優遇せず、両替時に両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させて支払わせる。
【0118】
これに対し、定期預金などの取引口座を有している自行にとって貢献度がある優遇顧客1と、同様の理由で貢献度が大きいと認められる優遇顧客2に対しては優遇情報を記録した両替カードを配布しておいて、両替時に両替カードを使用させることにより割引、あるいは無料扱いにする。
【0119】
図15に両替課金図表の一例を示す。この課金例では両替回数に比例して両替手数料を設定している。具体的には、一般客は優遇対象外のため両替回数に関係なく両替する度に一律に600円を徴収する。これに対し、ある程度、貢献度のある優遇顧客1の場合は両替回数が1ヶ月間に1回程度であれば、サービス領域内なので両替手数料を無料に設定する。また、両替回数が2〜5回/月と少し増えた場合の両替手数料は100円に設定している。さらに、両替回数が6〜10回とやや多い場合の両替手数料は200円に設定している。最後に、両替回数が10回以上と多い場合の両替手数料は300円に設定している。さらに、最も貢献度のある優遇顧客2では両替回数に関係なく両替手数料を全て無料に設定している。このように、両替手数料は顧客の優遇度合いに応じて差別化し、さらに両替回数に比例した金額に設定している。
【0120】
この結果、一般客は優遇措置が得られず、優遇顧客1は一般客に比べて両替手数料が少し割引かれる優遇措置が得られる。優遇顧客2は両替手数料が一切不要であり、両替回数に関係なく全て無料になるという優遇措置の特典が得られる。
【0121】
この運用例6を用いた場合の両替処理動作は、運用例1に示した図5の両替処理動作のフローチャートとは、一般客は全て有料にし、優遇顧客2は全て無料に運用し、その中間の優遇顧客1の運用に際して、両替時(ステップn5)に両替枚数(量)に応じて課金される両替手数料に代えて、両替回数(頻度)に応じて課金される両替手数料を用いる点が異なるだけで、他は同じ処理である。このため、同一の両替処理動作の説明は省略する。
【運用例7】
【0122】
この運用例では両替利用される紙幣、バラ硬貨、筒硬貨などの両替金種や両替量の両替内容に応じて両替取引を許可するか否かの運用を定めている。このため、優遇度が異なる顧客別に両替内容に応じた両替取引の可否を設定している。
【0123】
図16に両替取引の運用可否を表す運用規制図表の一例を示す。この運用規制例では一般客は優遇対象外のため両替金種が紙幣の場合のみ両替を許可し、その他のバラ硬貨と筒硬貨の両替は規制している。
【0124】
これに対し、ある程度貢献度のある優遇顧客の場合は、紙幣とバラ硬貨の両替を許可し、筒硬貨の両替は規制している。さらに、最優遇顧客の場合は、両替の内容に関係なく全て両替取引を許可している。このように、顧客の優遇度に応じた両替規制を施すことができるため、自行の貢献度に応じた顧客別の公平な両替運用が図れる。
【0125】
上述のように、顧客が両替利用する際に、その両替利用する顧客の優遇顧客度合いを求め、自行にとって貢献度が認められる優遇顧客の場合は両替手数料を割引あるいは無料にし、貢献度が認められない一般客の場合は両替手数料を徴収するものである。このため、自行への貢献度に応じた公平な両替手数料を設定することができ、優遇顧客は優遇すべきサービス提供を受けることができ、両替取引の信頼性を高めることができる。
【0126】
この発明の構成と、上述の一実施例の構成との対応において、
この発明の識別情報取得手段および判定手段は、実施例のタッチ入力可能な表示器16、カード情報を読取るカード処理部35およびカード情報を照合確認する主制御部31に対応し、
以下同様に、
貨幣は、紙幣および硬貨に対応し、
決定手段と規制手段および実施手段は、主制御部31に対応し、
徴収手段は、料金徴収装置17に対応し、
両替処理装置は、両替機11に対応し、
記憶媒体は、両替カードおよびキャッシュカードに対応し、
優遇顧客度合いは、自行に対する貢献度に対応するも、この発明は上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができる。
【0127】
例えば、上述の実施例では流通貨幣を両替する両替機の運用例を示したが、これに限らず外貨を両替する両替機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】両替機の外観斜視図。
【図2】料金徴収装置の接客操作面を示す要部平面図。
【図3】両替機の制御回路ブロック図。
【図4】運用例1の両替手数料を示す両替課金図表。
【図5】運用例1の両替処理動作を示すフローチャート。
【図6】運用例1の一般客の両替処理動作を示すフローチャート。
【図7】運用例1の優遇顧客1の両替処理動作を示すフローチャート。
【図8】運用例1の優遇顧客2の両替処理動作を示すフローチャート。
【図9】運用例2の両替手数料を示す両替課金図表。
【図10】運用例2の両替処理動作を示すフローチャート。
【図11】運用例3の両替手数料を示す両替課金図表。
【図12】運用例4の両替手数料を示す両替課金図表。
【図13】運用例4の両替処理動作を示すフローチャート。
【図14】運用例5の両替手数料を示す両替課金図表。
【図15】運用例6の両替手数料を示す両替課金図表。
【図16】運用例7の両替運用の規制例を示す運用規制図表。
【符号の説明】
【0129】
11…両替機
16…表示器
17…料金徴収装置
31…主制御部
35…カード処理部
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば銀行、信用金庫等の金融機関に設置されるような両替処理装置に関し、さらに詳しくは金融機関にとって貢献度が高い優遇顧客へのサービス性を高めた両替処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金融機関では顧客へのサービスの一貫として、両替処理装置の使用を無料扱いにしていた。しかしながら、近年、金融機関独自に採算性の向上を模索して、両替取引を有料化することが望まれている。この有料化の実現に向けて両替処理装置に対する両替手数料の徴収が試みられている。
【0003】
ところが、自行の顧客に対してまでも両替手数料を徴収することは顧客へのサービス低下につながり、顧客減少の原因になるおそれがあるため、顧客の優遇措置をとることが要望されている。例えば、預金口座の有無、種類、残高などによって貢献度のある優遇顧客と他の客とを差別化して手数料を徴収するものが知られている(先行出願の特許文献1参照)。しかし、この種の両替処理装置では両替手数料を徴収する際に、本人の口座情報を特定して照合確認させるための記憶媒体を必要としていた。
【0004】
このほかにも、本人を特定するためにカードを用い、このカードの識別情報を両替処理装置に投入させて読取り、この読取り結果に基づいて優遇顧客と他の客とを差別化し、優遇顧客は無料にし、他の客は有料にするものが知られている(先行出願の特許文献2参照)。この場合も、両替手数料を徴収する際には、本人を特定するためにカードを必要としていた。
【0005】
ところで、このような両替手数料の徴収に際してはオフラインでの徴収とオンラインでの徴収がある。
オフラインでの両替手数料の徴収方法としては、次に示すような3通りの徴収方法がある。
(1)カードを用いた従量制課金による両替手数料の徴収
両替時にプリペイド式の両替カードを使用させて、該両替カードから使用量に応じて両替手数料を徴収する。
(2)カードを用いた期間制課金による両替手数料の徴収
両替時に有効期限を設定した両替カードを使用させて、カードの発行、カードの更新時に両替手数料を徴収する。
(3)貨幣による両替手数料の徴収
両替時に両替利用に必要な貨幣を投入させて、その投入された貨幣から両替手数料を徴収する。
【0006】
しかし、前記(1)(2)のカードによる両替手数料の徴収では、カードを発行しないと両替ができないため、使用頻度の低い顧客に対しても両替カードを発行する必要があり、両替カードの管理負担が増える。前記(3)の貨幣による両替手数料の徴収では、優遇顧客であっても他の客と同等の両替手数料を支払う必要があり、優遇顧客への優遇措置がとれない。
【0007】
一方、オンラインでの両替手数料の徴収方法としては、両替処理装置を金融機関のホストコンピュータに接続し、両替利用する顧客の取引口座から両替手数料を引落す徴収方法である。
【0008】
しかし、この場合は金融機関のホストコンピュータ側での制御が複雑で運用コストが高くなる。それゆえ適用し難い問題を有していた。
【0009】
【特許文献1】特許第2560720号
【特許文献2】特許第2629763号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこでこの発明は、両替処理装置の運用に際して、カード無しでの徴収とカード有りでの徴収を可能にするとともに、両替利用する顧客の優遇度に応じて両替取引の規制や手数料を変更することにより、優遇顧客へのサービスや信頼性を確保することができる両替処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、入金された貨幣を顧客が希望する特定の金種に交換して払い出す両替処理装置であって、両替利用する顧客の識別情報を取得する識別情報取得手段と、カード等の記憶媒体の受入があったかどうかを判定する判定手段と、前記取得した識別情報あるいは前記判定手段に基づいて顧客の優遇度を決定する決定手段と、前記決定手段で決定した顧客の優遇度に基づいて両替の運用を規制する規制手段あるいは両替手数料を徴収する徴収手段の少なくとも一つを実施する実施手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、識別情報取得手段とは両替利用する顧客を特定するための識別情報を取得するものであって、顧客に予め配布されたカードなどの記憶媒体を用いて顧客の識別情報を取得してもよく、顧客が入力操作する口座情報などの特定の入力情報により顧客の識別情報を取得してもよい。
【0013】
前記徴収手段が徴収する両替手数料は、顧客が投入した貨幣から両替手数料を徴収してもよく、ICカードやプリペイドカードから両替手数料を減額して徴収してもよく、預金口座から両替手数料を引落して徴収することもできる。
【0014】
この発明によると、両替時に顧客の識別情報やカード有無の判定情報を取得できるため、これらの情報から顧客の優遇度を決定することができる。この優遇度により顧客を差別化して両替利用可否などの運用を規制することができる。
【0015】
例えば、定期預金などの取引口座を有している自行にとって貢献度のある顧客と認められる識別情報を取得した場合は、その顧客の両替手数料を割引いたり、無料に設定したりすることができる。一方、取引口座のない他の客の場合は両替取引を規制したり、有料に設定したりすることができる。このため、優遇すべき顧客へのサービス提供と取引信頼性を高めることができる。さらに、一般の顧客からは貨幣を用いて両替手数料を徴収するように設定し、優遇顧客からは記憶媒体を利用させて無料あるいは低額で両替取引を許容できるように運用することができる。このため、全利用者に対してカードなどの記憶媒体を発行しなくても済み、記憶媒体の発行・管理の手間が不要になる。
【0016】
この発明の別の識別情報取得手段では、予め配布された顧客の識別情報およびカード種別情報を記憶する記憶媒体、もしくは顧客が契約している契約情報から顧客の識別情報およびカード種別情報を取得することができる。
【0017】
この発明によると、顧客の識別情報およびカード種別情報を取得する際に、顧客の口座情報、暗証番号などを入力させてもよく、両替カード、キャッシュカードなどの記憶媒体を用いてもよい。従って、記憶媒体有り無しで両替取引の可否を設定したり、両替手数料の有料・無料を設定することができる。
【0018】
例えば、貢献度のある顧客にのみ記憶媒体を発行すれば、貢献度のない他の客との差別化ができる。さらに、発行済みのキャッシュカードなどの登録情報を用いれば、両替カードに兼用できるため両替カードを新規に発行、管理せずに対処できる。
【0019】
この発明の別の徴収手段では、優遇顧客度合いを識別する識別情報に基づいて両替手数料を顧客の優遇度別に徴収することができる。
【0020】
この発明によると、顧客が両替利用する際に、優遇顧客度合いを識別できるため、その優遇顧客度合いに応じた両替手数料を設定することができる。例えば、金融機関の自行にとって貢献度の高い取引契約をしている優遇顧客と、貢献度の低い取引契約をしている顧客と、貢献度のない一般客とを差別化して両替手数料を数段階に分けて設定することができる。このため、貢献度に応じた公平な両替手数料を設定することができる。
【0021】
この発明の別の徴収手段では、両替利用する顧客が両替する料金に応じて両替手数料を顧客の優遇度別に徴収することができる。
【0022】
この発明によると、金融機関側での両替金の準備や管理は手間と労力を要するため、有料化していない場合は両替量は極力少なく利用されるのが好ましい。それゆえ、両替手数料は両替量の増減に比例して両替手数料を設定するのが望ましい。このため、両替量が多くなるほど両替手数料が高額になるので両替利用を抑制する一手段として有効である。さらに、これに加えて両替手数料の割引有効期間や無料有効期間を顧客別に設定することもできる。
【0023】
この発明の別の徴収手段では、両替利用する顧客の両替利用回数に応じて両替手数料を顧客の優遇度別に徴収することができる。
【0024】
この発明によると、両替利用する顧客が頻繁に両替するのを制限する手段の1つとして、両替利用回数に応じて両替手数料を高く設定することができる。この場合も、両替利用回数が増えるほど両替手数料が高額になるので両替利用を抑制する一手段として有効である。例えば、1日だけ無料、あるいは1ヶ月何回まで無料、それ以上になれば有料扱いにしてもよく、また両替回数が予め定められた制限回数を超えると、これに比例して両替手数料が増えるように設定することもできる。
【0025】
この発明の別の規制手段では、両替利用する顧客の優遇度別の両替金種に応じて両替の運用を顧客の優遇度別に規制することができる。
【0026】
この発明によると、両替利用する顧客が頻繁に両替するのを制限する手段の1つとして、優遇度の低い顧客に対しては紙幣や硬貨などの両替金種に応じて両替利用を規制することができる。このため、優遇度の高い顧客だけ両替利用を可能にして優遇度別に顧客の差別化を明確にすることができる。例えば、優良顧客に対しては、全ての金種(硬貨、筒硬貨、紙幣)の両替を許可し、一般の顧客に対しては、紙幣の両替のみ許可するように設定することができる。
【0027】
この発明の別の規制手段では、両替利用する顧客の優遇度別に両替量に応じて両替の運用を顧客の優遇度別に規制することができる。
【0028】
この発明によると、両替利用する顧客が頻繁に両替するのを制限する手段の1つとして、優遇度の低い顧客に対してはバラ硬貨や包装硬貨などの両替量に応じて両替利用を規制することができる。このため、優遇度の高い顧客だけ両替利用を可能にして優遇度別の顧客の差別化を明確にすることができる。例えば、優良顧客に対しては、両替量の制限を無くした両替を許可し、一般の顧客に対しては、両替量の制限を含めた両替を許可するように設定することができる。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、両替時に顧客の識別情報やカード種別情報を取得できるため、顧客に相応しい両替手数料や取引規制を定めることができる。例えば、定期預金を取引契約している金融機関にとって貢献度のある優遇顧客と認められる場合は両替手数料を無料にし、取引契約のない貢献度のない他の客の場合は有料に設定することができる。このため、優遇顧客へのサービス提供と信頼性を高めることができる。
【0030】
さらに、カードを利用しない顧客は一般顧客として扱い、カードを利用する顧客は優良顧客として扱い、さらには両替専用カードを利用する顧客を最優良顧客として扱い、その他のキャッシュカード等を利用する顧客を優良顧客として扱うなど顧客の差別化が可能である。
【実施例】
【0031】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
図面は銀行等の店舗に設置される両替機を示し、図1において、この両替機11は両替機本体11aの上部前面にカード挿入口12と、硬貨取出口13と、紙幣取扱口14と、トレー15と、タッチ入力兼用の表示器(CRT)16等を備えて紙幣および硬貨の両替取引を許容している。さらに、両替機本体11aの下部前面には硬貨を投入させて両替手数料を徴収するための料金徴収装置17を備えている。
【0032】
前記料金徴収装置17は、両替機本体11a側で扱う貨幣とは別に処理して、有料化された両替取引の両替手数料を受付けて両替手数料だけを独自に徴収する専用の料金徴収機能を有している。このため、両替機本体11a側で扱われる両替金額と料金徴収装置17で扱われる両替手数料とを混同せずに管理している。このため独立した貨幣の管理が可能になり、該料金徴収装置17を薄型の長方板形状にして、両替機本体11aの前面下部に一体的に設置している。
【0033】
そして、料金徴収装置17の前面には顧客を検知する顧客検知センサSと、硬貨を返却する返却口18を有し、上面には手数料徴収用の接客操作面として、図2にも示すように、横長に設けられた一側(図2では左側)から順に手数料表示部19と、受付金種表示部20と、投入口21と、返却ボタン22と、返却表示部23とを有している。
【0034】
この場合、手数料表示部19では両替取引額あるいは両替枚数などの両替取引する量が決定されたとき、その量に応じて必要な両替手数料を表示案内する。また、両替手数料の取引過程で顧客が投入口21に硬貨を1枚数ずつ投入操作したとき、その都度、この手数料表示部19によって両替手数料の残金を表示案内する入金操作のガイド機能を有している。
【0035】
さらに、受付金種表示部20では流通硬貨に用いられている500円、100円、50円、10円、5円、1円の6金種に応じた個々の硬貨表示部(金種別の表示マーク)を有し、これらの表示マークを金種別に個々に点灯・消灯して、受付可否の金種を金種別に表示案内して、入金時にお釣を生じさせない金種だけを受付ける入金操作のガイド機能を有している。
【0036】
前記投入口21は硬貨を1枚ずつ受入れる開口部を有し、ここに前記6金種のそれぞれの硬貨が共通して投入利用される。硬貨を投入した後に返却ボタン22が押された場合は、顧客により取引が強制的に中止されて投入された硬貨は返却口18に返却される。さらに、返却口18に硬貨を返却する場合は、返却表示部23を点灯、あるいは点滅させて返却する旨を顧客に知らせる。
【0037】
図3は両替機11の制御回路ブロック図を示し、両替機本体11aに備えられる主制御部31はROM32に格納されたプログラムに沿って各回路装置を制御し、その制御情報をRAM33で読出し可能に記憶する。
【0038】
この主制御部31は、貨幣入出金部34、カード処理部35、硬貨処理部36、紙幣処理部37、帳票処理部38、顧客操作部39、係員操作部40、音声案内処理部41、通信処理部42とを接続して制御する。
【0039】
前記貨幣入出金部34は入出金時に硬貨取出口13と紙幣取扱口14とを開閉して硬貨と紙幣とを入出金処理する。
【0040】
カード処理部35はカード挿入口12に挿入された取引可能な両替カード、キャッシュカード等のカードを受付けて取引情報を読取り、また更新情報を書込み処理し、取引終了および取消し時にカードをカード挿入口12に放出する。
【0041】
硬貨処理部36は両替時に硬貨または包装硬貨を硬貨取出口13に放出する。
紙幣処理部37は、紙幣取扱口14に投入された紙幣を内部に取込んで受付け処理し、両替時に指定された金種の紙幣を紙幣取扱口14に放出する。
【0042】
帳票処理部38は両替取引した取引情報を記載した明細票を取引毎に発行する。また、明細票を発行する毎に同記録内容の控え伝票を装置内部に保存する。
【0043】
顧客操作部39に該当する表示器16には、両替取引の表示案内と、その操作手順を表示案内し、また画面上に表示した表示部分と対応させてタッチ入力させるタッチ入力機能を有している。
【0044】
係員操作部40は両替機本体11aの内部に備えられる係員パネルを用いて障害復旧操作や保守点検等の係員操作を実行させる。
【0045】
音声案内処理部41はスピーカから両替取引操作時の適切な取引情報を音声案内する。
通信処理部42は料金徴収装置17との通信接続に用いられる。
【0046】
前記料金徴収装置17に備えられる制御部43は両替手数料を徴収制御するためROM44に格納されたプログラムに沿って各回路装置を制御し、その制御情報をRAM45で読出し可能に記憶する。
【0047】
この料金徴収装置17の制御部43は、硬貨処理部46、金額表示部47、通信処理部48とを接続しており、硬貨処理部46では硬貨が投入口21に投入されたとき、この投入された硬貨を受付けて回収処理し、両替手数料としての受付けに不適な硬貨や入金取消し時には返却口18に返却する。
【0048】
金額表示部47に該当する手数料表示部19と受付金種表示部20では両替手数料に必要な料金の投入を表示案内する。また、返却時には返却表示部23で返却する旨を表示案内する。
【0049】
通信処理部48では前記両替機本体11aの通信処理部42と通信接続し、料金徴収装置17で受付けた両替手数料の情報を主制御部31に送信する。
【0050】
このほか、主制御部31は両替時に顧客の照合情報をセンタに送信し、センタから送られてきた顧客情報、取引回答情報等を受信する。
【0051】
ところで、この両替機11は両替する際に、自行にとって貢献度が異なる顧客が存在することから貢献度に応じた公平な優遇措置をとる必要がある。このため、主制御部31は両替を行う顧客を特定するための識別情報を取得し、取得した識別情報から貢献度合いを表す優遇顧客度合いを求め、この優遇顧客度合いに相応しい両替取引の規制および両替手数料を決定する機能を有している。
【0052】
前記両替取引の規制および両替手数料の決定に際しては、カード利用の有無、取引口座の有無、取引口座の種類、取引額などの契約内容によって顧客の自行に対する貢献度を求めることができ、明確に貢献度の異なる顧客を識別することができる。
【運用例1】
【0053】
例えば、優遇顧客度合いの順位(貢献度レベル)を一般客と、優遇顧客1と、優遇顧客2との3通りに分ける。このうち、一般客の両替利用の場合は預金口座などの取引契約がなく自行にとって貢献度がないため優遇せず、両替時に両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させて支払わせる。
【0054】
これに対し、定期預金などの取引口座を有している自行にとって貢献度がある優遇顧客1と、同様の理由で貢献度が大きいと認められる優遇顧客2に対しては優遇情報を記録した両替カードを配布しておいて、両替時に両替カードを使用させることにより割引、あるいは無料扱いにする。
【0055】
図4に両替課金図表の一例を示す。この課金例では両替枚数に比例して両替手数料を設定している。具体的には、両替枚数が1〜50枚と少ない場合の両替手数料は無料に設定している。また、両替枚数が51〜500枚と少し増えた場合の両替手数料は一般客では200円、優遇顧客1では100円、優遇顧客2では無料に設定している。さらに、両替枚数が501〜1000枚とやや多い場合の両替手数料は一般客では400円、優遇顧客1では200円、優遇顧客2では無料に設定している。最後に、両替枚数が1001枚以上と多い場合の両替手数料は一般客では600円、優遇顧客1では300円、優遇顧客2では無料に設定している。このように、両替手数料は優遇顧客度合いに応じて差別化し、さらに両替枚数に比例した金額に設定している。
【0056】
この結果、一般客は優遇措置が与えられず、優遇顧客1は一般客に比べて両替手数料が少し割引かれる優遇措置が与えられる。優遇顧客2は両替手数料が不要であり、両替枚数に関係なく全て無料になるという優遇措置の特典が与えられる。
【0057】
前記両替手数料の設定に際しては、このほか両替手数料の割引有効期間や無料有効期間を顧客別に設定することもできる。
【0058】
次に、両替機11を用いた運用例1の両替処理動作を図5のフローチャートを参照して説明する。
顧客が両替機11を利用して両替取引する際、顧客は表示器16に表示された両替利用案内に従って入力操作を行う。このとき、顧客が予め配布された両替カードを用いれば、その両替カードがカード挿入口12に挿入されて両替カードを用いた両替が開始される。両替カードがなければ開始キーを入力操作させる(ステップn1)。
【0059】
このとき、顧客が開始キーを入力操作すると、主制御部31は一般客の両替利用と判定する(ステップn2)。
【0060】
主制御部31が一般客の両替利用と判定した時点で両替手数料は有料になり、その一般客から両替手数料を徴収した後、両替取引(図6のフローチャート参照)を実行させる(ステップn3)。
【0061】
両替時に両替カードがカード挿入口12に挿入されると、その両替カードから顧客の識別情報を読取って主制御部31は優遇顧客1か、優遇顧客2かを判定する(ステップn4)。
【0062】
主制御部31が優遇顧客1の両替利用であると識別した場合は、優遇顧客1に相応しい両替手数料の徴収を行った後、優遇顧客1による両替取引(図7のフローチャート参照)を実行する(ステップn5)。
【0063】
前記ステップn4で主制御部31が優遇顧客2の両替利用であると識別した場合は、無料に設定されているため両替手数料を徴収せず、優遇顧客2による両替取引(図8のフローチャート参照)を実行する(ステップn6)。
【0064】
次に、前記ステップn3での具体的な一般客の両替処理動作を図6のフローチャートを参照して説明する。
一般客は表示器16の両替利用案内に従って両替金を入金し(ステップn11)、続いて両替取引する両替枚数を入力操作すると(ステップn12)、これらの両替操作に応じて主制御部31は両替枚数および優遇対象でない一般客に応じた両替手数料を算出する(ステップn13)。
【0065】
この両替取引するときの両替枚数が50枚以下と少ない場合はサービス領域内なので両替手数料を無料に設定して、両替手数料を徴収せずに両替金の出金に移る(ステップn14)。
【0066】
ところが、両替枚数が51枚以上の場合はサービス領域外なので両替手数料が有料化されている。このため、両替枚数および一般客に応じて設定されている両替手数料の徴収を実行する(ステップn15)。
【0067】
両替手数料の徴収が完了すると、両替金の出金動作に移り、両替指定された金種および両替枚数の両替金を硬貨取出口13および紙幣取扱口14に払い出す(ステップn16)。
【0068】
一方、主制御部31は入金された両替金と両替手数料を内部に収納した後(ステップn17)、出金された両替金が取出されたことを確認して、一般客による一両替処理が終了する(ステップn18)。
【0069】
次に、前記ステップn5での具体的な優遇顧客1の両替処理動作を図7のフローチャートを参照して説明する。
優遇顧客1は表示器16の両替利用案内に従って両替金を入金し(ステップn21)、続いて両替取引する両替枚数を入力操作すると(ステップn22)、これらの両替操作に応じて主制御部31は両替枚数および優遇顧客1に応じた両替手数料を算出する(ステップn23)。
【0070】
この両替取引するときの両替枚数が50枚以下と少ない場合はサービス領域内なので両替手数料を無料に設定して、両替手数料を徴収せずに両替金の出金に移る(ステップn24)。
【0071】
ところが、両替枚数が51枚以上の場合はサービス領域外なので両替手数料が有料化されているため、両替枚数および優遇顧客1に応じて設定されている両替手数料の徴収を実行する(ステップn25)。
【0072】
両替手数料の徴収が完了すると、両替金の出金動作に移り、両替指定された金種および両替枚数の両替金を硬貨取出口13および紙幣取扱口14に払い出す(ステップn26)。
【0073】
一方、主制御部31は入金された両替金と両替手数料を内部に収納し(ステップn27)、先に取り込んでいた両替カードをカード挿入口12より返却する(ステップn28)。
【0074】
そして、出金された両替金が取出されたことを確認すると、優遇顧客1による一両替処理が終了する(ステップn29)。
【0075】
次に、前記ステップn6での具体的な優遇顧客2の両替処理動作を図8のフローチャートを参照して説明する。
優遇顧客2は表示器16の両替利用案内に従って両替金を入金し(ステップn31)、続いて両替取引する両替枚数を入力操作すると(ステップn32)、これらの両替操作に応じて主制御部31は優遇顧客2が貢献度の高い顧客であることから両替手数料は全て無料であり、両替手数料は徴収しない。このため、主制御部31は直ちに両替金の出金動作に移り、両替指定された金種および両替枚数の両替金を硬貨取出口13および紙幣取扱口14に払い出す(ステップn33)。
【0076】
一方、主制御部31は入金された両替金を内部に収納し(ステップn34)、先に取り込んでいた両替カードをカード挿入口12より返却する(ステップn35)。
【0077】
そして、出金された両替金が取出されたことを確認すると、優遇顧客2による一両替処理が終了する(ステップn36)。
【運用例2】
【0078】
次に、優遇顧客度合いを一般客と、優遇顧客との2通りに分けた運用例を示す。このうち、一般客の両替利用の場合は預金口座などの取引契約がなく自行にとって貢献度がないため優遇せず、両替時に両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させて支払わせる。
【0079】
これに対し、定期預金などの取引口座を有している自行にとって貢献度がある優遇顧客に対しては一定期間有効な優遇情報を記録した両替カードを配布しておいて、両替時に両替カードを使用させることにより割引、あるいは無料扱いにする。このように一定期間有効な優遇情報を記録した両替カードを用いた場合は、一定期間毎に優遇顧客度合いの見直しが可能になるため両替手数料を、きめ細かく設定することができる。この両替手数料は両替カードの配布時に徴収してもよく、また無料で配布してもよい。このような両替カードを利用することで、優遇顧客は両替取引の度に両替手数料をいちいち入金操作しなくても済み、円滑に両替取引ができる。
【0080】
図9に両替課金図表の一例を示す。この課金例では両替枚数に比例して両替手数料を設定している。具体的には、両替枚数が1〜50枚と少ない場合の両替手数料は無料に設定している。また、両替枚数が51〜500枚と少し増えた場合の両替手数料は一般客では200円、優遇顧客では無料に設定している。さらに、両替枚数が501〜1000枚とやや多い場合の両替手数料は一般客では400円、優遇顧客では無料に設定している。最後に、両替枚数が1001枚以上と多い場合の両替手数料は一般客では600円、優遇顧客では無料に設定している。
【0081】
このように、優遇顧客に両替カードを配布しておいて両替手数料を事前に徴収しておくように設定した場合も、一般客は優遇措置が得られないのに対し、優遇顧客は両替手数料が全て無料になる優遇措置が得られる。
【0082】
次に、両替機11を用いた運用例2の両替処理動作を図10のフローチャートを参照して説明する。
顧客が両替機11を利用して両替取引する際、顧客は表示器16に表示された両替利用案内に従って入力操作を行う。このとき、顧客が予め配布された両替カードを用いれば、その両替カードがカード挿入口12に挿入されて両替カードを用いた両替が開始される。両替カードがなければ開始キーを入力操作させる(ステップn41)。
【0083】
このとき、顧客が開始キーを入力操作すると、主制御部31は一般客の両替利用と判定する(ステップn42)。
【0084】
主制御部31が一般客の両替利用と判定した時点で両替手数料は有料になり、その一般客から両替手数料を徴収した後、両替取引(図6のフローチャート参照)を実行させる(ステップn43)。
【0085】
両替時に両替カードがカード挿入口12に挿入されると、その両替カードから顧客の識別情報を読取って主制御部31は優遇顧客であることを確認する。そして、主制御部31が優遇顧客の両替利用であることを確認した場合は、無料に設定されているため両替手数料を徴収せず、両替取引(図8のフローチャート参照)を実行する(ステップn44)。
【運用例3】
【0086】
次に、優遇顧客度合いの順位を一般客と、優遇顧客1と、優遇顧客2との3通りに分けた他の運用例を示す。このうち、一般客は優遇せず、両替時に両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させて支払わせる。
【0087】
これに対し、優遇顧客1は両替時に割引いた残りの両替手数料を入金させて両替取引を行うか、あるいは優遇情報を記録した両替カードに予め入金(プリペイドカード方式)させておいて両替時に該両替カードから両替手数料を減額するかを選択するものである。
【0088】
また、優遇顧客2は無料の優遇情報を記録した両替カードを用いる。これにより、両替時には両替手数料が全て無料になる。
【0089】
図11に両替課金図表の一例を示す。この課金例では両替枚数に比例して両替手数料を設定している。具体的には、両替枚数が1〜50枚と少ない場合の両替手数料は全ての顧客に対して無料に設定している。
【0090】
両替枚数が51〜500枚と少し増えた場合の両替手数料は一般客では200円、優遇顧客1では100円もしくは1度数(カードの減額数)、優遇顧客2では無料に設定している。さらに、両替枚数が501〜1000枚とやや多い場合の両替手数料は一般客では400円、優遇顧客1では200円もしくは2度数(カードの減額数)、優遇顧客2では無料に設定している。最後に、両替枚数が1001枚以上と多い場合の両替手数料は一般客では600円、優遇顧客1では300円もしくは3度数(カードの減額数)、優遇顧客2では無料に設定している。
【0091】
この結果、一般客は両替の度に貨幣にて両替手数料の支払いを必要とする。これに対し、優遇顧客1は貨幣もしくは両替カードのいずれかを用いて両替手数料を支払うことができる。さらに、優遇顧客2は両替手数料が両替枚数に関係なく全て無料で両替利用できる。
【0092】
この運用例3を用いた場合の両替処理動作は、運用例1に示した図5の両替処理動作のフローチャートとは、優遇顧客1の両替時(ステップn5)に、優遇顧客1が貨幣を使用して両替手数料を支払うか、両替カードを使用して両替手数料を支払うかの点が異なるだけで他は同じ処理である。このため、同一の両替処理動作の説明は省略する。
【運用例4】
【0093】
次に、優遇顧客度合いの順位を一般客と、優遇顧客1と、優遇顧客2と、優遇顧客3との4通りに分けた運用例を示す。このうち、一般客は優遇対象外であるため両替時には両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させて支払わせる。
【0094】
これに対し、優遇顧客1は自行から発行されているキャッシュカードを両替カードに兼用する。このキャッシュカードの番号や口座種別などの特定情報を顧客の識別情報に用いて、両替時には両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させる。
【0095】
優遇顧客2は前記優遇顧客1よりも自行にとって貢献度の高い顧客であり、同様に自行のキャッシュカードを両替カードに兼用する。そして、キャッシュカードの番号や口座種別などの特定情報を顧客の識別情報に用いて、両替時には両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させる。
【0096】
優遇顧客3は自行にとって最も貢献度の高い顧客である。このため、優遇顧客3が無料の優遇情報を記録した自行のキャッシュカードを用いると、両替時には両替手数料が全て無料になる。
【0097】
図12に両替課金図表の一例を示す。この課金例では両替枚数に比例して両替手数料を設定しており、両替枚数が1〜50枚と少ない場合の両替手数料は一般客のみ200円、優遇顧客1と優遇顧客2と優遇顧客3はそれぞれ無料に設定している。
【0098】
両替枚数が51〜500枚と少し増えた場合の両替手数料は一般客では200円、優遇顧客1では200円、優遇顧客2では100円、優遇顧客3では無料に設定している。さらに、両替枚数が501〜1000枚とやや多い場合の両替手数料は一般客では400円、優遇顧客1では400円、優遇顧客2では200円、優遇顧客3では無料に設定している。最後に、両替枚数が1001枚以上と多い場合の両替手数料は一般客では600円、優遇顧客1では600円、優遇顧客2では300円、優遇顧客3では無料に設定している。
【0099】
このように、予め登録されている発行済みのキャッシュカードの登録情報から優遇顧客を容易に識別することができ、このキャッシュカードを両替カードに兼用することにより、自行の顧客は優遇措置を受けた両替取引ができる。このため、両替カードを新規に発行、管理せずに済み、能率のよい運用ができる。
【0100】
次に、両替機11を用いた運用例4の両替処理動作を図13のフローチャートを参照して説明する。
顧客が両替機11を利用して両替取引する際、顧客は表示器16に表示された両替利用案内に従って入力操作を行う。このとき、顧客が自行のキャッシュカードを両替カード代りに用いれば、そのキャッシュカードがカード挿入口12に挿入されてキャッシュカードを用いた両替が開始される。キャッシュカードがなければ開始キーを入力操作させる(ステップn51)。
【0101】
このとき、顧客が開始キーを入力操作すると、主制御部31は一般客の両替利用と判定する(ステップn52)。
【0102】
主制御部31が一般客の両替利用と判定した時点で両替手数料は有料になり、その一般客から両替手数料を徴収した後、両替取引を実行させる(ステップn53)。
【0103】
両替時にキャッシュカードがカード挿入口12に挿入されると、そのキャッシュカードから顧客の識別情報を読取って主制御部31は優遇顧客1か否かを判定する(ステップn54)。
【0104】
主制御部31が優遇顧客1の両替利用であると識別した場合は、優遇顧客1に相応しい両替手数料の徴収を行った後、優遇顧客1による両替取引を実行する(ステップn55)。
【0105】
前記ステップn54において、優遇顧客1でないと識別した場合は(ステップn56)、続いて優遇顧客2か否かを判定し、主制御部31が優遇顧客2の両替利用であると識別した場合は、優遇顧客2に応じた両替手数料の徴収を行った後、優遇顧客2による両替取引を実行する(ステップn57)。
【0106】
前記ステップn56で主制御部31が優遇顧客2でないと識別した場合は優遇顧客3の両替利用であると識別できる。この場合は、無料に設定されているため両替手数料を徴収せず、優遇顧客3による両替取引を実行する(ステップn58)。
【運用例5】
【0107】
次に、優遇顧客度合いを一般客と、優遇顧客との2通りに分けた運用例を示す。このうち、一般客の両替利用の場合は預金口座などの取引契約がなく自行にとって貢献度がないため優遇せず、両替時に両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させて支払わせる。
【0108】
これに対し、定期預金などの取引口座を有している自行にとって貢献度がある優遇顧客に対しては、自行から発行されているキャッシュカードまたは優遇情報を記録した両替カードを予め配布して、両替時にいずれかのカードを使用させることにより両替手数料を割引、あるいは無料扱いにする。これらのカードの使用に際しては、カードを使用する度に使用履歴を記憶しておき、一定期間毎に使用履歴に従って顧客の口座から後日両替手数料を引落して徴収する運用形態である。
【0109】
このうち、キャッシュカードを用いた場合は、発行済みのキャッシュカードを有効利用することができ、予め登録されているキャッシュカードの登録情報から両替カードに兼用して両替取引ができる。また、両替カードを用いた場合は、両替手数料の支払口座の名義人と商店の店員などの両替利用者とが同一人物でなくても両替を許可する運用に適用できる。
【0110】
このような運用を実行すれば、一定期間毎に自行での取引内容が漸次変化する顧客毎の優遇顧客度合いの見直しが可能になる。このようにキャッシュカードまたは両替カードを利用することで、優遇顧客は取引の度に両替手数料をいちいち入金操作しなくても済み、円滑な両替利用ができる利点が得られる。
【0111】
図14に両替課金図表の一例を示す。この課金例では両替枚数に比例して両替手数料を設定している。具体的には、両替枚数が1〜50枚と少ない場合の両替手数料は無料に設定している。また、両替枚数が51〜500枚と少し増えた場合の両替手数料は一般客では200円、優遇顧客では後日まとめて口座から引落すように設定している。さらに、両替枚数が501〜1000枚とやや多い場合の両替手数料は一般客では400円、優遇顧客では後日まとめて口座から引落すように設定している。最後に、両替枚数が1001枚以上と多い場合の両替手数料は一般客では600円、優遇顧客では後日まとめて口座から引落すように設定している。
【0112】
このように、優遇顧客のキャッシュカードや両替カードの使用履歴に従って顧客の口座から両替手数料を引落して徴収するように設定した場合も、一般客は優遇措置が得られないのに対し、優遇顧客は両替手数料が割引かれたり、両替取引の度に両替手数料をいちいち入金操作しなくても済むという優遇措置が得られる。
【0113】
さらに、両替手数料を設定する際、優遇顧客の1ヶ月の最大両替手数料を予め設定しておくこともできる。このように設定した場合は、優遇顧客から両替手数料を取り過ぎないように優遇措置がとれる。
【0114】
この運用例5を用いた場合の両替処理動作は、運用例2に示した図10の両替処理動作のフローチャートとは、優遇顧客の両替時(ステップn5、ステップn6)に、後日引落しするためのキャッシュカードや両替カードを用いるか、否かの点が異なるだけで他は同じ処理である。このため、同一の両替処理動作の説明は省略する。
【運用例6】
【0115】
前記運用例1〜5では両替枚数に比例して両替手数料が高額になるように設定したが、この運用例6では両替利用回数に比例して両替手数料を高額に設定できる。
【0116】
例えば、1日だけ無料、あるいは1ヶ月何回まで無料、それ以上になれば有料に設定する。また、両替回数が予め定められた制限回数を超えると、これに比例して両替手数料が増えるように設定することもできる。
【0117】
この運用例では優遇顧客度合いを一般客と、優遇顧客1と、優遇顧客2との3通りに分けた場合を示す。このうち、一般客が両替利用する場合は預金口座などの取引契約がなく自行にとって貢献度が認められないため優遇せず、両替時に両替手数料として料金徴収装置17に硬貨を投入させて支払わせる。
【0118】
これに対し、定期預金などの取引口座を有している自行にとって貢献度がある優遇顧客1と、同様の理由で貢献度が大きいと認められる優遇顧客2に対しては優遇情報を記録した両替カードを配布しておいて、両替時に両替カードを使用させることにより割引、あるいは無料扱いにする。
【0119】
図15に両替課金図表の一例を示す。この課金例では両替回数に比例して両替手数料を設定している。具体的には、一般客は優遇対象外のため両替回数に関係なく両替する度に一律に600円を徴収する。これに対し、ある程度、貢献度のある優遇顧客1の場合は両替回数が1ヶ月間に1回程度であれば、サービス領域内なので両替手数料を無料に設定する。また、両替回数が2〜5回/月と少し増えた場合の両替手数料は100円に設定している。さらに、両替回数が6〜10回とやや多い場合の両替手数料は200円に設定している。最後に、両替回数が10回以上と多い場合の両替手数料は300円に設定している。さらに、最も貢献度のある優遇顧客2では両替回数に関係なく両替手数料を全て無料に設定している。このように、両替手数料は顧客の優遇度合いに応じて差別化し、さらに両替回数に比例した金額に設定している。
【0120】
この結果、一般客は優遇措置が得られず、優遇顧客1は一般客に比べて両替手数料が少し割引かれる優遇措置が得られる。優遇顧客2は両替手数料が一切不要であり、両替回数に関係なく全て無料になるという優遇措置の特典が得られる。
【0121】
この運用例6を用いた場合の両替処理動作は、運用例1に示した図5の両替処理動作のフローチャートとは、一般客は全て有料にし、優遇顧客2は全て無料に運用し、その中間の優遇顧客1の運用に際して、両替時(ステップn5)に両替枚数(量)に応じて課金される両替手数料に代えて、両替回数(頻度)に応じて課金される両替手数料を用いる点が異なるだけで、他は同じ処理である。このため、同一の両替処理動作の説明は省略する。
【運用例7】
【0122】
この運用例では両替利用される紙幣、バラ硬貨、筒硬貨などの両替金種や両替量の両替内容に応じて両替取引を許可するか否かの運用を定めている。このため、優遇度が異なる顧客別に両替内容に応じた両替取引の可否を設定している。
【0123】
図16に両替取引の運用可否を表す運用規制図表の一例を示す。この運用規制例では一般客は優遇対象外のため両替金種が紙幣の場合のみ両替を許可し、その他のバラ硬貨と筒硬貨の両替は規制している。
【0124】
これに対し、ある程度貢献度のある優遇顧客の場合は、紙幣とバラ硬貨の両替を許可し、筒硬貨の両替は規制している。さらに、最優遇顧客の場合は、両替の内容に関係なく全て両替取引を許可している。このように、顧客の優遇度に応じた両替規制を施すことができるため、自行の貢献度に応じた顧客別の公平な両替運用が図れる。
【0125】
上述のように、顧客が両替利用する際に、その両替利用する顧客の優遇顧客度合いを求め、自行にとって貢献度が認められる優遇顧客の場合は両替手数料を割引あるいは無料にし、貢献度が認められない一般客の場合は両替手数料を徴収するものである。このため、自行への貢献度に応じた公平な両替手数料を設定することができ、優遇顧客は優遇すべきサービス提供を受けることができ、両替取引の信頼性を高めることができる。
【0126】
この発明の構成と、上述の一実施例の構成との対応において、
この発明の識別情報取得手段および判定手段は、実施例のタッチ入力可能な表示器16、カード情報を読取るカード処理部35およびカード情報を照合確認する主制御部31に対応し、
以下同様に、
貨幣は、紙幣および硬貨に対応し、
決定手段と規制手段および実施手段は、主制御部31に対応し、
徴収手段は、料金徴収装置17に対応し、
両替処理装置は、両替機11に対応し、
記憶媒体は、両替カードおよびキャッシュカードに対応し、
優遇顧客度合いは、自行に対する貢献度に対応するも、この発明は上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができる。
【0127】
例えば、上述の実施例では流通貨幣を両替する両替機の運用例を示したが、これに限らず外貨を両替する両替機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】両替機の外観斜視図。
【図2】料金徴収装置の接客操作面を示す要部平面図。
【図3】両替機の制御回路ブロック図。
【図4】運用例1の両替手数料を示す両替課金図表。
【図5】運用例1の両替処理動作を示すフローチャート。
【図6】運用例1の一般客の両替処理動作を示すフローチャート。
【図7】運用例1の優遇顧客1の両替処理動作を示すフローチャート。
【図8】運用例1の優遇顧客2の両替処理動作を示すフローチャート。
【図9】運用例2の両替手数料を示す両替課金図表。
【図10】運用例2の両替処理動作を示すフローチャート。
【図11】運用例3の両替手数料を示す両替課金図表。
【図12】運用例4の両替手数料を示す両替課金図表。
【図13】運用例4の両替処理動作を示すフローチャート。
【図14】運用例5の両替手数料を示す両替課金図表。
【図15】運用例6の両替手数料を示す両替課金図表。
【図16】運用例7の両替運用の規制例を示す運用規制図表。
【符号の説明】
【0129】
11…両替機
16…表示器
17…料金徴収装置
31…主制御部
35…カード処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金された貨幣を顧客が希望する特定の金種に交換して払い出す両替処理装置であって、
両替利用する顧客の識別情報を取得する識別情報取得手段と、
カード等の記憶媒体の受入があったかどうかを判定する判定手段と、
前記取得した識別情報あるいは前記判定手段に基づいて顧客の優遇度を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定した顧客の優遇度に基づいて両替の運用を規制する規制手段あるいは両替手数料を徴収する徴収手段の少なくとも一つを実施する実施手段と、を備えた両替処理装置。
【請求項2】
前記識別情報取得手段は予め配布された顧客の識別情報およびカード種別情報を記憶する記憶媒体、もしくは顧客が契約している契約情報から顧客の識別情報およびカード種別情報を取得する請求項1記載の両替処理装置。
【請求項3】
前記徴収手段は優遇顧客度合いを識別する識別情報に基づいて両替手数料を顧客の優遇度別に徴収する請求項1または2記載の両替処理装置。
【請求項4】
前記徴収手段は両替利用する顧客が両替する料金に応じて両替手数料を顧客の優遇度別に徴収する請求項1〜3記載のいずれかの両替処理装置。
【請求項5】
前記徴収手段は両替利用する顧客の両替利用回数に応じて両替手数料を顧客の優遇度別に徴収する請求項1〜4記載のいずれかの両替処理装置。
【請求項6】
前記規制手段は両替利用する顧客の両替金種に応じて両替の運用を顧客の優遇度別に規制する請求項1〜5記載のいずれかの両替処理装置。
【請求項7】
前記規制手段は両替利用する顧客の両替量に応じて両替の運用を顧客の優遇度別に規制する請求項1〜6記載のいずれかの両替処理装置。
【請求項1】
入金された貨幣を顧客が希望する特定の金種に交換して払い出す両替処理装置であって、
両替利用する顧客の識別情報を取得する識別情報取得手段と、
カード等の記憶媒体の受入があったかどうかを判定する判定手段と、
前記取得した識別情報あるいは前記判定手段に基づいて顧客の優遇度を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定した顧客の優遇度に基づいて両替の運用を規制する規制手段あるいは両替手数料を徴収する徴収手段の少なくとも一つを実施する実施手段と、を備えた両替処理装置。
【請求項2】
前記識別情報取得手段は予め配布された顧客の識別情報およびカード種別情報を記憶する記憶媒体、もしくは顧客が契約している契約情報から顧客の識別情報およびカード種別情報を取得する請求項1記載の両替処理装置。
【請求項3】
前記徴収手段は優遇顧客度合いを識別する識別情報に基づいて両替手数料を顧客の優遇度別に徴収する請求項1または2記載の両替処理装置。
【請求項4】
前記徴収手段は両替利用する顧客が両替する料金に応じて両替手数料を顧客の優遇度別に徴収する請求項1〜3記載のいずれかの両替処理装置。
【請求項5】
前記徴収手段は両替利用する顧客の両替利用回数に応じて両替手数料を顧客の優遇度別に徴収する請求項1〜4記載のいずれかの両替処理装置。
【請求項6】
前記規制手段は両替利用する顧客の両替金種に応じて両替の運用を顧客の優遇度別に規制する請求項1〜5記載のいずれかの両替処理装置。
【請求項7】
前記規制手段は両替利用する顧客の両替量に応じて両替の運用を顧客の優遇度別に規制する請求項1〜6記載のいずれかの両替処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−48515(P2006−48515A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231140(P2004−231140)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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