説明

両軸受リール

【課題】制動つまみがハンドル装着側と逆側に配置された両軸受リールにおいて、パーミングを行いやすくする。
【解決手段】両軸受リールは、リール本体1と、ハンドル2と、スプール軸16と、スプール12と、キャスティングコントロール機構22と、を備えている。リール本体1は、凹部6cを有しフレーム5の第1側を覆う第1側カバー6aを有する。ハンドル2は、第2側カバー6b側でリール本体1に回転自在に支持される。キャスティングコントロール機構22は、制動つまみ42、第1プレート41a、及び第2プレート42b、を有する。制動つまみ42は、軸支持部7に螺合し凹部6cに第1側カバー6aから突出しないように配置され。第1プレート41aは、制動つまみ42とスプール軸16の第1端面16aとに接触可能に配置される。第2プレート41bは、スプール軸16の第2端面16bに接触可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両軸受リール、特に、ハンドル装着側と逆側にキャスティングコントロール機構の制動つまみが設けられた両軸受リールに関する。
【背景技術】
【0002】
両軸受リールにおいて、キャスティングコントロール機構の制動つまみは、通常はハンドル装着側に配置される。これに対して、制動つまみがハンドル装着側と逆側に配置された両軸受リールが従来知られている(例えば、特許文献1参照)。従来の両軸受リールでは、制動つまみは、つまみ部材とねじ部材とを有している。ねじ部材は、つまみ部材に一体回転可能かつ軸方向移動自在に装着されている。これにより、つまみ部材を回すとねじ部材が進退し、制動プレートを押圧してスプール軸を制動する。つまみ部材は、回動によっても進退せず、ハンドル装着側でリール本体に対して軸方向に移動しない。これにより、リール本体とつまみ部材との隙間が一定になり、つまみ部材の内部への異物の侵入を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−44990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の両軸受リールでは、つまみ部材への異物の侵入を防止できる。しかし、制動つまみがリール本体のハンドル装着側から突出している。両軸受リールでは、ハンドル装着側と逆側でリール本体を握る、パーミングしながらスプールまたは釣り竿の操作を行うことがある。パーミング時は、ハンドルを持つ手と反対の手(右ハンドルの両軸受リールの場合は左手)でリール本体を釣り竿とともに握る。このパーミングを行うとき、従来の両軸受リールでは、制動つまみが握った手の掌に当たってパーミングを行いにくい。
【0005】
本発明の課題は、制動つまみがハンドル装着側と逆側に配置された両軸受リールにおいて、パーミングを行いやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係る両軸受リールは、リール本体と、ハンドルと、スプール軸と、スプールと、キャスティングコントロール機構と、を備えている。リール本体は、フレーム、凹部を有しフレームの第1側を覆う第1カバー、フレームの第2側を覆う第2カバー、及び第1カバー側でフレームに設けられる軸支持部、を有する。ハンドルは、第2カバー側でリール本体に回転自在に支持される。スプール軸は、軸支持部に一端が回転自在に支持される。スプールは、スプール軸に装着されハンドルの回転により回転する。キャスティングコントロール機構は、制動つまみ、第1プレート、及び第2プレート、を有する。制動つまみは、軸支持部に回転可能に支持され、凹部に第1カバーから突出しないように配置される。第1プレートは、制動つまみとスプール軸の一端面とに接触可能に配置され、制動つまみの回転により押圧される。第2プレートは、スプール軸の他端面に接触可能である。
【0007】
この両軸受リールでは、リール本体のハンドル装着側と逆側に配置される第1カバーが凹部を有しており、制動つまみが凹部に第1カバーから突出しないように配置される。このため、第1カバー側をパーミングしても、制動つまみがてのひらに当たらない。これにより、ハンドル装着側と逆側でパーミングを行いやすくなる。
【0008】
発明2に係る両軸受リールは、発明1に記載の両軸受リールにおいて、制動つまみは円形の部材であり、制動つまみの外周面は凹部との間に操作用の隙間をあけて配置される。この場合には、制動つまみの外周面側に凹部との間に隙間が設けられるので、制動つまみの外周面で制動操作を行える。このため、制動つまみを回しやすくなる。
【0009】
発明3に係る両軸受リールは、発明1又は2に記載の両軸受リールにおいて、軸支持部は、フレームに着脱自在に装着される。この場合には、軸支持部がフレームに着脱自在に装着されるので、軸支持部を外すことにより、スプールを外部に取り出すことができる。
【0010】
発明4に係る両軸受リールは、発明3に記載の両軸受リールにおいて、軸支持部は、制動つまみの外周側に配置される着脱操作部を有する。この場合には、軸支持部の着脱操作が容易である。
【0011】
発明5に係る両軸受リールは、発明1又は2に記載の両軸受リールにおいて、軸支持部は、フレームに一体形成される。この場合には、フレームと軸支持部とが一体形成されるので、スプール軸を精度良く支持できる。
【0012】
発明6に係る両軸受リールは、発明3から5のいずれかに記載の両軸受リールにおいて、制動つまみは、円形の操作部、操作部より小径のシール装着部、及びシール装着部より小径の雄ねじ部、を有する。軸支持部は、シール装着部が内周側に配置されるシール配置部、雄ねじ部が螺合する雌ねじ部、及び第1プレートが装着される底部、を有する。両軸受リールは、シール配置部とシール装着部との間に両者に接触して配置されるシール部材をさらに備える。
【0013】
この場合には、シール装着部とシール配置部との間にシール部材が配置されるので、制動つまみと軸支持部との隙間から液体が軸受側に浸入しにくくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、制動つまみがハンドル装着側と逆側の第1カバーの凹部に第1カバーから突出しないように配置される。このため、第1カバー側をパーミングしても、制動つまみがてのひらに当たらない。これにより、ハンドル装着側と逆側でパーミングを行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態による両軸受リールの斜視図。
【図2】そのハンドル装着側の側面図。
【図3】図2の切断線III−IIIによる断面図。
【図4】図2の切断線IV−IVによる断面図。
【図5】第1側カバー側の断面部分図。
【図6】第1ギア装着部分のハンドル軸の断面図。
【図7】図6の切断線VII−VIIによる断面部分図。
【図8】第2実施形態の図5に相当する図。
【図9】第3実施形態の図5に相当する図。
【図10】他の実施形態の図5に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
<両軸受リールの構成>
図1において、本発明の第1実施形態による両軸受リールは、ロープロフィール型のリールである。両軸受リールは、リール本体1と、リール本体1の側方(たとえば左方)に配置されたスプール回転用ハンドル2と、リール本体1の内部に回転自在かつ着脱自在に装着された糸巻用のスプール12とを備えている。ハンドル2のリール本体1側には、ドラグ調整用のドラグ調整部材3が設けられている。
【0017】
ハンドル2は、たとえば金属製の板状のハンドルアーム2aと、ハンドルアーム2aの両端に回転自在に装着された2つの把手部2bとを有するダブルハンドル形のものである。ハンドルアーム2aは、図2に示すように、ナット2dによりハンドル軸30の先端に回転不能に固定されている。このナット2dは、ハンドルアーム2aの外側面にねじ止めされたリテーナ2cにより回り止めされている。
【0018】
リール本体1は、図3及び図4に示すように、フレーム5と、フレーム5の両側方に装着されフレーム5の両側方を覆う第1側カバー6a及び第2側カバー6bと、フレーム5の側部に着脱自在に装着された軸支持部7と、を有している。第1側カバー6a(第1カバーの一例)はハンドル2と逆側に配置され、第2側カバー6b(第2カバーの一例)はハンドル2の装着側に配置されている。
【0019】
フレーム5は、たとえば、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽金属製の部材であり、所定の間隔をあけて互いに対向するように配置された第1側板5a及び第2側板5bと、第1側板5a及び第2側板5bを連結する複数の連結部5cと、を有している。このハンドル装着側と逆側の第1側板5aに軸支持部7が着脱自在に装着されている。第1側板5aには、スプール12が通過可能な円形の開口5dが形成されている。開口5dに、スプール12を開口5d側から取り出すための軸支持部7が、たとえばバヨネット機構23により着脱自在に装着されている。下側の2つの連結部5cには、リールを釣り竿に装着するための前後に長い竿装着脚部4が一体形成されている。
【0020】
第1側カバー6aは、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽金属製の部材であり、第1側板5aの外方を覆っている。第1側カバー6aは、円形の凹部6cを中心部に有している。凹部6cは複数段階に凹んで形成されている。凹部6cの中心部には、円形のつまみ開口6dが形成されている。つまみ開口6dでは、軸支持部7が露出している。第1側カバー6aは、軸支持部7により挟持され、軸支持部7とともにフレーム5に対して着脱自在である。軸支持部7の周囲において、第1側カバー6aの開口6dの内周部には、軸支持部7の非操作時の回り止めと、軸支持部7の操作時の位置決めと、を行うための位置決め機構60が配置されている。
【0021】
第2側カバー6bは、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽金属製の部材であり、フレーム5の第2側板5bにねじ止め固定されている。第2側カバー6bは、スプール軸16の配置部分に設けられたボス部8と、ボス部8の開口を塞ぐ蓋部材9と、が設けられる。ボス部8は、第2側カバー6bに、例えばかしめ固定されている。蓋部材9は、第2側カバー6bにビス止めされている。ボス部8の内径は、後述するピニオンギア32のギア部32aの外径よりわずかに大きく、ギア部32aが内周側に侵入可能である。
【0022】
軸支持部7は、第1側カバー6aを挟持した状態で第1側カバー6aに回動自在に装着されている。したがって、軸支持部7は、第1側カバー6aに対して抜け止めされている。また、図3に示すように、軸支持部7は、バヨネット機構23により第1側板5aに着脱自在に装着されている。バヨネット機構23は、軸支持部7の外周部に周方向に間隔を隔てて配置され径方向外方に突出する板状の複数(たとえば3つ)の突起部23aと、突起部23aに係合するように第1側板5aの開口5dの外側に形成された溝状の複数(たとえば3つ)の係合凹部23bと、を有している。軸支持部7を回してバヨネット機構23により第1側板5aに軸支持部7を装着することにより、第1側カバー6aも第1側板5aに装着される。
【0023】
軸支持部7は、図5に示すように、第1軸受24aが装着される軸受装着部33と、軸受装着部33とで第1側カバー6aを相対回動自在に挟持する着脱操作部34と、を有している。軸受装着部33は、皿状の部材であり、外周部33aが開口5dに嵌合している。また、外周部33aには、外周部33aから径方向外方に突出する、前述したバヨネット機構23の複数の突起部23aがスプール12の軸芯を中心に周方向に間隔を隔てて形成されている。軸受装着部33の中心部には、第1軸受24aを収納する筒状の軸受収納部33bがスプール12に向けて筒状に突出して形成されている。軸受収納部33bには、第1軸受24aが内周面に装着される段付き筒状の装着空間33cが形成されている。装着空間33cの底部33dには、後述するキャスティングコントロール機構22を構成する円板状の第1プレート41aが装着されている。底部33dには後述する制動つまみ42が螺合する雌ねじ部33eが形成されている。軸受装着部33の着脱操作部34と接触する面には、スプール12の軸芯と平行な方向に突出した複数(例えば、2つ)の位置決め凸部33fがスプール軸16の軸芯を中心に周方向に間隔を隔てて形成されている。軸受装着部33の外側面には、軸方向外方に突出する筒状のシール配置部33gが形成されている。
【0024】
着脱操作部34は、図5に示すように、段付き円筒形状の部材であり、図示しないねじ部材により軸受装着部33に固定されている。着脱操作部34は、軸支持部7を着脱操作するためのものである。着脱操作部34の外側面は、第1側カバー6aの外側面より僅かに凹んでいる。着脱操作部34には、直径上に配置される着脱操作用のリブ34aが形成される。リブ34aは、他の部分より径方向内方及び軸方向外方に突出して形成される。着脱操作部34の中心部には、シール配置部33gが突出する開口34bが形成されている。着脱操作部34の軸受装着部33側の壁面には、位置決め凸部33fに係合する複数(例えば、2つ)の位置決め凹部34cが形成されている。
【0025】
フレーム5内には、図3及び図4に示すように、釣り竿と食い違う方向に配置可能な糸巻用のスプール12と、スプール12内に均一に釣り糸を巻くためのレベルワインド機構15と、サミングを行う場合の親指の当てとなる、クラッチ操作部材17とが配置されている。またフレーム5と第2側カバー6bとの間には、ハンドル2からの回転力をスプール12及びレベルワインド機構15に伝えるためのギア機構18と、クラッチ機構13と、クラッチ機構13をオンオフ制御するためのクラッチ制御機構19と、スプール12の糸繰り出し方向の回転を制動するドラグ機構21と、スプール12の回転時の抵抗力を調整するためのキャスティングコントロール機構22とが配置されている。
【0026】
スプール12は、図4に示すように、両側部に皿状のフランジ部12aを有しており、両フランジ部12aの間に筒状の糸巻き胴部12bを有している。また、スプール12は、糸巻き胴部12bの内周側の軸方向の実質的に中央部に一体で形成された筒状のボス部12cを有しており、ボス部12cを貫通するスプール軸16に、たとえばセレーション結合により回転不能に固定されている。この固定方法はセレーション結合に限定されず、キー結合やスプライン結合等の種々の結合方法を用いることができる。
【0027】
スプール軸16は、第2側板5bを貫通して第2側カバー6bに延びている。スプール12のボス部12cの両側でスプール軸16は第1軸受24a及び第2軸受24bによりリール本体1に回転自在に支持されている。第1軸受24aは軸支持部7に装着され、第2軸受24bは、第2側板5bに装着されている。スプール軸16の第1端面16a(一端面の一例)および第2端面16b(他端面の一例)は、山形又は円弧状に突出して形成されている。スプール軸16の第1端16a及び第2端16bがキャスティングコントロール機構22に接触可能である。
【0028】
スプール軸16の第2側板5bの貫通部部分にはクラッチ機構13を構成する係合ピン13aが固定されている。係合ピン13aは、直径に沿ってスプール軸16を貫通しており、その両端が径方向に突出している。この両端の突出部分に後述するピニオンギア32の先端(図2右端)が係合可能である。
【0029】
レベルワインド機構15は、図3に示すように、後述するギア機構18の第1ギア28に噛み合う第2ギア25と、トラバースカム軸26と、釣り糸ガイド27と、を有している。トラバースカム軸26は、交差する螺旋状溝26aが外周面に形成された軸部材である。釣り糸ガイド27は、螺旋状溝26aに係合し、トラバースカム軸26の回転により、スプール12の前方でスプール12と平行に往復移動する。
【0030】
ギア機構18は、ハンドル軸30と、ハンドル軸30に回転自在に装着されるドライブギア31と、ドライブギア31に噛み合う筒状のピニオンギア32と、ハンドル軸30に装着され、第2ギア25に噛み合う第1ギア28とを有している。ハンドル軸30は、ローラ型のワンウェイクラッチ40により糸繰り出し方向の回転か禁止され、糸巻取方向だけに回転可能である。ワンウェイクラッチ40は、第2側カバー6bに装着される。ハンドル軸30は、基端が第2側板5bに軸受20により回転自在に支持されている。ドライブギア31の奥側(図3左側)にはラチェットホイール36がハンドル軸30に一体回転可能に装着されている。ラチェットホイール36の奥側に第1ギア28が配置される。ハンドル軸30のラチェットホイール36装着部と第1ギア28装着部の間には、大径の当接部30bが形成されている。ドライブギア31には、ドラグ機構21を介してハンドル軸30の回転が伝達される。
【0031】
ピニオンギア32は、図4に示すように、第2側板5bから軸方向外方に延びている。ピニオンギア32は、中心にスプール軸16が貫通する筒状部材である。ピニオンギア32は、スプール軸16に軸方向に移動自在に装着されている。ピニオンギア32は、基端に形成されたギア部32aと、先端に形成され係合ピン13aに係合可能な噛み合い部32bと、ギア部32aと噛み合い部32bとの間に配置されたくびれ部32cと、を有している。ギア部32aにはドライブギア31が噛み合う。噛み合い部32bには、係合ピン13aが係合する。くびれ部32cには、クラッチ制御機構19のクラッチヨーク35が係合する。ピニオンギア32は、図3の中心線Cの上側に示すクラッチオン位置と、下側に示すクラックオフ位置とに、クラッチ操作部材17の操作またはハンドル2の糸巻取方向の回転により移動する。ピニオンギア32は、軸受29により第2側板5bに回転自在かつ軸方向移動自在に支持されている。
【0032】
第1ギア28は、図4に示すように、トルクリミッタ39を介してハンドル軸30に連結される。第1ギア28は、図3に示すように、レベルワインド機構15のトラバースカム軸26に装着された第2ギア25に噛み合う。
【0033】
<トルクリミッタの構成>
トルクリミッタ39は、レベルワインド機構15が故障したときに、第1ギア28及び第2ギア25に無理な力が作用しないようにするために設けられている。トルクリミッタ39は、図6及び図7に示すように、ハンドル軸30に配置される一対のピン部材51と、付勢部材52と、少なくとも一つの係止凹部53と、を有する。付勢部材52は、例えばコイルバネであり、一対のピン部材51を第1ギア28に向けて付勢する。係止凹部53は、第1ギア28の内周面に形成されている。この実施形態では、係止凹部53は、周方向に間隔を隔てて4つ設けられている。
【0034】
ハンドル軸30には、ピン部材51を進退自在に装着可能な貫通孔30aが直径方向に貫通して形成されている。ピン部材51は、半球砲弾形状の曲面を有する頭部51aと頭部51aより小径の軸部51bと、を有する。ピン部材51は、貫通孔30aに51内において、頭部51aが係止凹部53に向けて配置される。付勢部材52は、一対のピン部材51の軸部51bの外周側に配置され、一対の頭部51aの間に圧縮状態で配置される。係止凹部53は、第1ギア28の矢符Rで示す糸巻取方向の回転方向下流側に直線的な斜面53aを有し、回転方向上流側に円筒面53bを有する。したがって、通常は、斜面53aをピン部材51が押圧してハンドル軸30の回転が第1ギア28に伝達される。これにより、レベルワインド機構15に異物が挟まったときに、ハンドル2を強く回して、第1ギア28に無理な力が作用すると、ピン部材51が貫通孔30a内に退入し、ハンドル軸30が空転し、第1ギア28が破損しにくくなる。頭部51aと接触する係止凹部53の円筒面53bは、図7に示すように、ハンドル軸30の軸芯に対して交差する傾斜面53cを有している。傾斜面53cは、ドライブギア31側に向かってハンドル軸30の軸芯に徐々に近づくように傾いている。これにより、ピン部材51が第1ギア28を付勢するときに、ハンドル2側に第1ギア28を押圧する力が発生し、第1ギア28が当接部30b側に付勢され、回転時に第1ギア28ががたつきにくくなる。
【0035】
クラッチ機構13は、係合ピン13aと、ピニオンギア32の噛み合い部32bとで構成される。クラッチ機構13は、クラッチ操作部材17の操作により、クラッチオン状態と、クラッチオフ状態とをとり得る。クラッチオン状態でハンドル2の回転がスプール12に伝達される。クラッチオフ状態では、スプール12が自由回転可能な状態になる。
【0036】
クラッチ操作部材17は、図1及び図3に示すように、第1側板5aと第2側板5bの間の後部でスプール12の後方に配置されている。フレーム5の第1側板5a及び第2側板5bには長孔(図示せず)が形成されており、クラッチ操作部材17がこの長孔に回転自在に支持されている。このため、クラッチ操作部材17は長孔に沿って上下方向にスライド可能である。
【0037】
クラッチ制御機構19は、クラッチヨーク35を有している。クラッチヨーク35は、スプール軸16の外周側に配置されており、2本のピン(図示せず)によってスプール軸16の軸心と平行に移動可能に支持されている。なお、スプール軸16はクラッチヨーク35に対して相対回転が可能である。すなわち、スプール軸16が回転してもクラッチヨーク35は回転しないようになっている。またクラッチヨーク35はその中央部がピニオンギア32のくびれ部32cに係合して図3左右に移動可能である。クラッチヨーク35は図示しないスプリングによって常に内方(図3左側)のクラッチオン方向に付勢されている。
【0038】
このような構成では、通常状態では、ピニオンギア32は内方のクラッチオン位置に位置しており、ピニオンギア32とスプール軸16の係合ピン13aとが係合してクラッチオン状態となっている。一方、クラッチヨーク35によってピニオンギア32が外方に移動した場合には、ピニオンギア32と係合ピン13aとの係合が外れクラッチオフ状態となる。このときピニオンギア32のギア部32aは,図3の軸芯Cの下側に示すようにボス部8の内周側に配置される。これにより、クラッチオフ状態のときに、ピニオンギア32ががたつきにくくなる。
【0039】
ドラグ機構21は、図4に示すように、ドラグ力を調整操作するためのドラグ調整部材3と、ハンドル軸30に一体回転可能に装着された押圧プレート38と、ハンドル軸30の周囲で第2側カバー6b装着されたワンウェイクラッチ40と、を有している。押圧プレート38は、ワンウェイクラッチ40の内輪40aに一体回転可能に連結されている。ドラグ調整部材3の回転操作によって押圧プレート38をドライブギア31に向けて押圧することにより、押圧プレート38とドライブギア31との間で滑りを生じさせ、ドラグ機構21はスプール12を制動する。ワンウェイクラッチ40は、ドラグ機構21を作動させるために、ハンドル軸30の糸繰り出し方向の回転を禁止する。
【0040】
<キャスティングコントロール機構の構成>
キャスティングコントロール機構22は、図3及び図4に示すように、スプール軸16の両端を挟むように配置された第1プレート41a及び第2プレート41bと、第1プレート41a及び第2プレート41bによるスプール軸16の挟持力を調節するための制動つまみ42と、を有している。
【0041】
図3左側の第1プレート41aは、1枚設けられ、前述したように、軸受装着部33の装着空間33cの底部33dに装着され、スプール軸16の第1端16aに接触可能である。2枚の第2プレート41bは、第2側カバー6bのボス部8内に装着されている。
【0042】
制動つまみ42は、図5に示すように、円形の操作部42a、操作部42aより小径のシール装着部42b、及びシール装着部42bより小径の雄ねじ部42c、を有している。操作部42aは、この実施形態では、円錐台形状である。操作部42aの外周側は、着脱操作部34と操作用の隙間を開けて配置されている。制動つまみ42は、第1側カバー6aの凹部6cに第1側カバー6aの外側面から突出しないように配置されている。この実施形態では、凹部6cに着脱操作部34も配置されているため、着脱操作部34とも隙間をあけて配置されている。シール装着部42bは、環状のシール装着溝42dが形成されている。シール装着溝42dには、Oリング43(シール部材の一例)が装着されている、Oリング43は、シール配置部33gの内周面とシール装着溝42dに接触して配置されている。雄ねじ部42cは、軸受装着部33の雌ねじ部33eに螺合している。雄ねじ部42cは、第1プレート41aに接触可能である。
【0043】
<両軸受リールの操作方法>
通常の状態では、クラッチヨーク35は内方(図3右方)に押されており、これによりピニオンギア32は、係合位置に移動させられている。この状態ではピニオンギア32とスプール軸16の係合ピン13aとが噛み合ってクラッチオン状態となっており、ハンドル2からの回転力は、ハンドル軸30、ドライブギア31、ピニオンギア32及びスプール軸16を介してスプール12に伝達され、スプール12が糸巻き取り方向に回転する。
【0044】
釣りを行う場合には、バックラッシュを抑えるためにキャスティングコントロール機構22で制動力を調整する。キャスティングコントロール機構22で制動力を調整する際には、制動つまみ42を、例えば時計回りに回転させる。すると、制動つまみ42が図5右側に前進し、第1プレート41aと第2プレート41bの間隔が狭くなりスプール軸16への制動力が強くなる。また、逆に制動つまみ42を反時計回りに回転させると制動力が弱くなる。
【0045】
制動力を調整し終わると、クラッチ操作部材17を下方に押す。ここでは、クラッチ操作部材17は、下方の離脱位置に移動する。そしてクラッチ操作部材17の移動により、クラッチヨーク35が外方に移動し、クラッチヨーク35に係合したピニオンギア32も同方向に移動させられる。この結果、ピニオンギア32とスプール軸16の係合ピン13aとの噛み合いが外れ、クラッチオフ状態となる。このクラッチオフ状態では、ハンドル軸30からの回転はスプール12及びスプール軸16に伝達されず、スプール12は自由回転状態になる。クラッチオフ状態にして、第1側カバー6aを握ってパーミングした手の親指でスプール12をサミングしながらスプール軸16が鉛直面に沿うようにリールを傾けて釣り糸を垂らす。すると、仕掛けの重さにより、スプール12が糸繰り出し方向に回転し、釣り糸が繰り出される。
【0046】
ここでは、制動つまみ42がハンドル2装着側と逆側の第1側カバー6aの凹部6cに第1側カバー6aから突出しないように配置される。このため、第1側カバー6a側をパーミングしても、制動つまみ42がてのひらに当たらない。これにより、ハンドル2装着側と逆側でパーミングを行いやすくなる。
【0047】
また、釣り糸の繰り出し後に当たりがあると、ハンドル2を糸巻取方向に回転させる。すると、第1ドギア28から第2ギア25に回転が伝達され、レベルワインド機構15の釣り糸ガイド27がスプール12の前方でスプール軸方向に往復移動する。これにより、釣り糸がスプール12に均等に巻き付けられる。レベルワインド機構15の作動時に、トラバースカム軸26に異物が付着するなどの要因により、釣り糸ガイド27が移動不能になることがある。この場合、無理にハンドル2を回すと、第1ギア28と第2ギア25との間に大きなトルクが作用する。第1ギア28に許容トルクを超えるトルクが作用すると、ピン部材51が付勢部材52の付勢力に抗して、貫通孔30aの内部に後退し、ハンドル軸30が第1ギア28に対して回転する。これにより、伝達されるトルクが制限される。ここでは、伝達トルクを制限するためのピン部材51及び付勢部材52がハンドル軸30に配置され、第1ギア28には凹部53を形成するだけでよいので、第1ギア28をコンパクト化できる。
【0048】
<第2実施形態>
第2実施形態以降の説明では、第1実施形態と同様な構成部材の説明及び動作については説明を省略する。
【0049】
キャスティングコントロール機構122は、制動つまみ142と、第1プレートと41a及び第2プレート41bと、制動つまみ142が操作されると発音する発音機構145を有している。第1実施形態では、制動つまみ42が、回転操作により軸方向に移動したが、第2実施形態では、図8に示すように、制動つまみ142は、軸方向に移動しない。
【0050】
軸支持部107の軸受装着部133は、底部133dに固定されたつまみ装着部170を有している。つまみ装着部170は、例えば金属製の筒状の部材であり、一端内周面に形成され制動つまみ142が螺合する第1雌ねじ部170aと、他端外周面に形成された第1雄ねじ部170bと、第1雌ねじ部170aと第1雄ねじ部170bとの間に形成された大径の第1鍔部170cと、を有している。第1雄ねじ部170bは、左ねじである。つまみ装着部170には、制動つまみ142を抜け止めするための抜け止め部材144が装着されている。
【0051】
制動つまみ142は、つまみ装着部170に一体回転可能かつ軸方向移動自在に係合するものである。制動つまみ142は、第1側カバー6aの凹部6cに第1側カバー6aから突出しないように配置されている。制動つまみ142は、ねじ部材143と、ねじ部材143に係合する有底筒状の第1つまみ部146と、第1つまみ部146との間に空間が形成されるように第1つまみ部146に固定された第2つまみ部147と、を有している。
【0052】
第1つまみ部146は、有底筒状のつまみ本体155と、つまみ本体155内に一体回転可能に装着されねじ部材143に係合する係合部材156と、係合部材156をつまみ本体155に対して抜け止めする抜け止めばね157と、を有している。つまみ本体155は、たとえば、アルミニウム合金等の軽合金製の有底筒状の部材である。つまみ本体155の底部には、係合部材156を一体回転可能に連結するための連結穴155aが周方向に間隔を隔てて複数(たとえば4つ)設けられている。また、つまみ本体155の底部には、係合部材156の後述するボス部156aが収納される筒状の収納凹部155bが形成されている。つまみ本体155の内周面には、第2つまみ部147に螺合する第2雌ねじ部155cが形成され、第2雌ねじ部155cの底部側には、抜け止めばね157を引っ掛けるための環状の係止溝155dが形成されている。
【0053】
係合部材156は、ポリアセタールやポリアミド樹脂等の合成樹脂製の鍔付き円筒形状の部材である。係合部材156の中心には、つまみ本体155側に突出するボス部156aが形成され、ボス部156aには、ねじ部材143の頭部143aに一体回転可能かつ軸方向移動自在に係合する長円形の係合孔156bが形成されている。係合部材156のつまみ本体155の底部に対向する背面(図8右側面)には、連結穴155aに嵌合する連結突起156cが突出してして形成されている。係合部材156の表面(図8左側面)には、発音機構145を構成する多数の音出し凹部156dが周方向に間隔を隔てて形成されている。
【0054】
抜け止めばね157は、たとえば、ステンレス合金製の弾性線材を6角形に折り曲げて形成されたばね部材である。
【0055】
第2つまみ部147は、つまみ装着部170の第1鍔部170cに回転自在に支持される。第2つまみ部147は、大径の第2鍔部147aと、第2鍔部147aより小径の筒状部147bとを有する鍔付き筒状の部材である。第2つまみ部147は、たとえば、アルミニウム合金等の軽合金製であり、筒状部147bの内周面には、抜け止め部材144を収納可能な筒状の収納空間147cが形成されている。第2鍔部147aの内周面には、つまみ装着部170の第1鍔部170cが貫通可能な開口147dが形成されている。第1鍔部170cの外周側では、第2鍔部147aの厚みは、第1鍔部170cより薄く形成されている。筒状部147bの外周面には、つまみ本体155の第2雌ねじ部155cに螺合する第2雄ねじ部147eが形成されている。
【0056】
ねじ部材143は、大径の頭部143aと、頭部143aから突出するねじ軸部143bとを有するボルト部材である。頭部143aは、円の一部を互いに平行に切り欠いた長円形の断面を有している。頭部143aは、係合部材156の係合孔156bに一体回転可能かつ軸方向移動自在に係合する。頭部143aのねじ軸部143b側の面には、円弧状の係止溝143cが形成されている。係止溝143cには、コイルばね149の一端が係止されている。コイルばね149の他端は、つまみ装着部170の先端面に係止される。コイルばね149は、ねじ軸部143bの外周側で頭部143aとつまみ装着部170との間に圧縮状態で装着されている。このコイルばね149によりねじ部材143のがたつきを抑えることができる。ねじ軸部143bの先端側の外周面には、第1雌ねじ部170aに螺合する第3雄ねじ部143dが形成されている。ねじ軸部143bの先端部は、第1プレート41aに接触可能である。
【0057】
抜け止め部材144は、たとえば、アルミニウム合金等の軽金属製の厚肉円筒状の部材であり、第2つまみ部147をつまみ装着部170に回転自在かつ軸方向移動不能に抜け止めするためのナット部材である。抜け止め部材144は、つまみ装着部170の第1雄ねじ部170bに螺合する第3雌ねじ部144aを有している。第3雌ねじ部144aは、第1雄ねじ部170bと同様に左ねじである。抜け止め部材144は、第2つまみ部147の収納空間147cに配置される。これにより、抜け止め部材144は、収納空間147cに装着された状態でつまみ装着部170に固定可能である。なお、抜け止め部材144がつまみ装着部170に固定されたとき、第2鍔部147aの厚みが第1鍔部170cより薄いので、第2つまみ部147が回転しやすくなっている。また、抜け止め部材144には、発音機構145を収納するための取付穴144bが係合部材156に面して形成されている。
【0058】
発音機構145は、前述した係合部材156に形成された音出し凹部156dと、取付穴144bに進退自在に装着された打撃ピン145aと、打撃ピン145aを音出し凹部156dに向けて付勢するコイルばね145bと、を有している。したがって、打撃ピン145aは、コイルばね145bにより係合部材156をつまみ本体155に向けて付勢している。この結果、制動つまみ142全体がコイルばね145bにより、つまみ装着部170から離反する方向に付勢される。このため、図8に示すように、制動つまみ142において、第2つまみ部147の第2鍔部147aの厚みとつまみ装着部170の第1鍔部170cの厚みとの差だけ、コイルばね145bの付勢力により制動つまみ142とつまみ装着部170との間に隙間が形成される。したがって、制動つまみ142が軸方向にがたつかなくなる。
【0059】
このような第2実施形態のキャスティングコントロール機構122でも、制動つまみ142の第1つまみ部146を、例えば時計回りに回転させる。すると、ねじ部材143が図8右側に前進し、第1プレート41aと第2プレート41bの間隔が狭くなりスプール軸16への制動力が強くなる。また、逆に第1つまみ部146を反時計回りに回転させると、ねじ部材制動力が弱くなる。
【0060】
このような構成の第2実施形態でも第1実施形態と同様な作用効果を奏する。さらに、制動つまみ142の第1つまみ部146を回動操作しても第1つまみ部146が軸方向に移動しないので、異物等が内部に侵入しにくくなる。
【0061】
<第3実施形態>
第1実施形態及び第2実施形態では、軸支持部が第1側板に対して着脱自在であったが、図9に示すように第3実施形態では、軸支持部207が第1側板205aに一体形成されている。このため軸支持部207は着脱操作部を有していない。また、軸支持部207の外側面に筒状のつまみ装着部270が形成されている。
【0062】
キャスティングコントロール機構222は、制動つまみ242と、第1プレートと41a及び第2プレート41bと、を有している。制動つまみ242は、第1側カバー6aの凹部6cに第1側カバー6aから突出しないように配置されている。制動つまみ242は、軸部材243と、軸部材243に係合する有底筒状のつまみ部246と、を有している。
【0063】
つまみ部246の底部246aの中心部には、軸部材243の頭部243aに一体回転可能かつ軸方向移動自在に係合する長円形の係合孔246bが形成されている。また、つまみ部246の筒部246cの内周面には雄ねじ部243eに螺合する雌ねじ部243dが形成されている。
【0064】
軸部材243は、大径の頭部243aと、頭部243aから突出する軸部243bとを有している。頭部243aは、円の一部を互いに平行に切り欠いた長円形の断面を有している。頭部243aは、つまみ部246の係合孔246bに一体回転可能かつ軸方向移動自在に係合する。軸部243bの先端部は第1プレート41aに接触可能である。
【0065】
第3実施形態では、スプールの着脱を、第2側カバー6bを着脱可能にすることにより行ってもよい。
【0066】
このような構成の第3実施形態でも第1実施形態と同様な作用効果を奏する。
【0067】
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0068】
(A)両軸受リールは、リール本体1と、ハンドル2と、スプール軸16と、スプール12と、キャスティングコントロール機構22と、を備えている。リール本体1は、フレーム5、凹部6cを有しフレーム5の第1側を覆う第1側カバー6a、フレーム5の第2側を覆う第2側カバー6b、及び第1側カバー6a側でフレーム5に設けられる軸支持部7、を有する。ハンドル2は、第2側カバー6b側でリール本体1に回転自在に支持される。スプール軸16は、軸支持部7に一端が回転自在に支持される。スプール12は、スプール軸16に装着されハンドル2の回転により回転する。キャスティングコントロール機構22は、制動つまみ42、第1プレート41a、及び第2プレート41b、を有する。制動つまみ42は、軸支持部7に回転可能に支持され、凹部6cに第1側カバー6aから突出しないように配置される。第1プレート41aは、制動つまみ42とスプール軸16の第1端面16aとに接触可能に配置され、制動つまみ42の回転により押圧される。第2プレート41bは、スプール軸16の第2端面16bに接触可能である。
【0069】
この両軸受リールでは、リール本体1のハンドル2装着側と逆側に配置される第1側カバー6aが凹部6cを有しており、制動つまみ42が凹部6cに第1側カバー6aから突出しないように配置される。このため、第1側カバー6a側をパーミングしても、制動つまみ42が掌に当たらない。これにより、ハンドル2装着側と逆側でパーミングを行いやすくなる。
【0070】
(B)両軸受リールにおいて、制動つまみ42は円形の部材であり、制動つまみ42の外周面は凹部6cとの間に操作用の隙間をあけて配置される。この場合には、制動つまみ42の外周面側に凹部6cとの間に隙間が設けられるので、制動つまみ42の外周面で制動操作を行える。このため、制動つまみ42を回しやすくなる。
【0071】
(C)両軸受リールにおいて、軸支持部7は、フレーム5に着脱自在に装着される。この場合には、軸支持部7がフレーム5に着脱自在に装着されるので、軸支持部7を外すことにより、スプール12を外部に取り出すことができる。
【0072】
(D)両軸受リールにおいて、軸支持部7は、制動つまみ42の外周側に配置される着脱操作部34を有する。この場合には、軸支持部7の着脱操作が容易である。
【0073】
発明5に係る両軸受リールは、発明1又は2に記載の両軸受リールにおいて、軸支持部は、フレームに一体形成される。この場合には、フレームと軸支持部とが一体形成されるので、スプール軸を精度良く支持できる。
【0074】
(E)両軸受リールにおいて、制動つまみ42は、円形の操作部42a、操作部42aより小径のシール装着部42b、及びシール装着部42bより小径の雄ねじ部42c、を有する。軸支持部7は、シール装着部42bが内周側に配置されるシール配置部33g、雄ねじ部42cが螺合する雌ねじ部33e、及び第1プレート41aが装着される底部33d、を有する。両軸受リールは、シール配置部33gとシール装着部42bとの間に両者に接触して配置されるOリング43をさらに備える。
【0075】
この場合には、シール装着部42bとシール配置部33gとの間にOリング43が配置されるので、制動つまみ42と軸支持部7との隙間から液体が軸受側に浸入しにくくなる。
【0076】
<他の実施形態>
(a)前記実施形態では、手動の両軸受リールを例に説明したが、電動の両軸受リールにも本発明を適用できる。また、ハンドルが糸繰り出し方向に回転する両軸受リールにも本発明を適用できる。さらに、右ハンドルの両軸受リールを例に説明したが、左ハンドルの両軸受リールにも本発明を適用できる。
【0077】
(b)着脱操作用のリブを延ばして、制動つまみ42を覆うように構成してもよい。これにより、制動つまみの脱落を防止できる。この際、第1カバーの表面をパーミングする掌に沿う曲面に形成し、着脱操作用のリブの表面をこの曲面に連続する曲面とすることが望ましい。これにより、制動つまみ自体は第1カバーの仮想表面である曲面から突出せず、パーミングを行ない易い形状を維持しつつ、制動つまみ自体の露出面を増やして操作をしやすくすることができる。
【0078】
(c)前記実施形態では、制動つまみ42を軸支持部7に螺合させているが、本発明はこれに限定されない。制動つまみは、軸支持部に回転可能に支持され、第1プレート41aを押圧可能であればどのような構成でもよい。例えば、図10に示すように、制動つまみを342の軸部を軸支持部307に回転自在に装着し、かつ制動つまみ342に回転により軸方向に移動可能な、傾斜面を有するカム部346を設ける。このカム部346によって制動つまみ342の回転を軸方向の移動に変換し、第1プレート41aを押圧するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 リール本体
2 ハンドル
5 フレーム
6a 第1側カバー
6b 第2側カバー
6c 凹部
7,107,207 軸支持部
12 スプール
16 スプール軸
22,122,222 キャスティングコントロール機構
25 第2ギア
33 軸受装着部
33d,133d 底部
33g シール配置部
34 着脱操作部
41a 第1プレート
41b 第2プレート
42,142,242 制動つまみ
42a 操作部
42b シール装着部
42c 雄ねじ部
43 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム、凹部を有し前記フレームの第1側を覆う第1カバー、前記フレームの第2側を覆う第2カバー、及び前記第1カバー側で前記フレームに設けられる軸支持部、を有するリール本体と、
前記第2カバー側で前記リール本体に回転自在に支持されるハンドルと、
前記軸支持部に一端が回転自在に支持されるスプール軸と、
前記スプール軸に装着され前記ハンドルの回転により回転するスプールと、
前記軸支持部に回転可能に支持され、前記凹部に前記第1カバーから突出しないように配置される制動つまみ、前記制動つまみと前記スプール軸の一端面とに接触可能に配置され、前記制動つまみの回転により押圧される第1プレート、及び前記スプール軸の他端面に接触可能な第2プレート、を有するキャスティングコントロール機構と、
を備える両軸受リール。
【請求項2】
前記制動つまみは円形の部材であり、前記制動つまみの外周面は前記凹部との間に操作用の隙間をあけて配置される、請求項1に記載の両軸受リール。
【請求項3】
前記軸支持部は、前記フレームに着脱自在に装着される、請求項1又は2に記載の両軸受リール。
【請求項4】
前記軸支持部は、前記制動つまみの外周側に配置される着脱操作部を有する、請求項3に記載の両軸受リール。
【請求項5】
前記軸支持部は、前記フレームに一体形成される、請求項1又は2に記載の両軸受リール。
【請求項6】
前記制動つまみは、円形の操作部、前記操作部より小径のシール装着部、及び前記シール装着部より小径の雄ネジ部、を有し、
前記軸支持部は、前記シール装着部が内周側に配置されるシール配置部、前記雄ネジ部が螺合する雌ネジ部、及び前記第1プレートが装着される底部、を有し、
前記シール装着部と前記シール凹部との間に両者に接触して配置されるシール部材をさらに備える、請求項3から5のいずれか1項に記載の両軸受リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−70651(P2013−70651A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211081(P2011−211081)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】