説明

両面ディスプレイおよびその製造方法

【課題】製造効率を高める両面ディスプレイおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】この両面ディスプレイにおいては、双方のディスプレイパネル2,3を電気的に接続する電気的接続手段として異方性導電材5が用いられている。この異方性導電材5を用いて双方のディスプレイパネル2,3を電気的に接続するには、一方の接続端子212に、液体状態の異方性導電材5を塗布し、この異方性導電材5を介して一方の接続端子212に他方の接続端子312を押しつけて接着させる。このときに、異方性導電材5は双方の接続端子212、312で圧せられた領域が外側へ押し出され、内部の導電性粒子52が移動して互いに接触することで電気経路が形成される。その後、異方性導電材5に熱を加えることによりこの電気経路が確定し、これによって双方のディスプレイパネル2、3が電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面ディスプレイおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話等のモバイル機器にはディスプレイパネルが設けられているのが一般的になっている。また近年においては、例えば携帯電話の上側の筺体両面にディスプレイパネルが設けられたものがある。この場合、双方のディスプレイパネルは筺体裏面に設けられた大型のものと、筺体表面に設けられた小型のものとから構成されているのが一般的であり、大型のものは各種表示に用いられ、小型のものは着信情報および時刻の表示に用いられている。
【0003】
一方、有機発光ダイオード(OLED)は、フラットディスプレイ、照明設備、バックライトモジュール等に用いられることが益々多くなってきている。この有機発光ダイオードは周知のように軽量で且つ薄型であるため、両面ディスプレイの表示に使用されている。
【0004】
図10は、有機発光ダイオードを使用した従来の両面ディスプレイ101の縦断面図である。この両面ディスプレイ101は、背面を向き合わせて配置された一対のディスプレイパネル102,103と、一方のディスプレイパネル102に設けられた駆動回路104と、双方のディスプレイパネル102,103を電気的に接続するリボンコネクタ105とを備えている。
【0005】
一方のディスプレイパネル102は、透明基板121と、透明基板121の背面121aに設けられたディスプレイユニット122と、ディスプレイユニット122を保護するように透明基板121の背面121aに設けられたカバー123とを備えている。
【0006】
前記透明基板121には、背面121aにおいてディスプレイユニット122の上方と下方とに導電性の接続端子121bが複数設けられている。一方、ディスプレイユニット122は、透明基板121の背面121aと面接する側の面に回路が形成されており、この回路に前記複数の接続端子121bが電気的に接続されている。またこのディスプレイユニット122はOLEDを備えており、外部からの電気信号により、このOLEDを発光させて表示を行うように構成されている。
【0007】
また他方のディスプレイパネル103は、透明基板131と、透明基板131の背面131aに設けられたディスプレイユニット132と、ディスプレイユニット132を保護するように透明基板131の背面131aに設けられたカバー133とを備えている。
【0008】
透明基板131には、背面131aにおいて一方の接続端子121aと相対向するようにディスプレイユニット132の上方に導電性の接続端子121bが複数設けられている。一方、ディスプレイユニット132は、またこのディスプレイユニット132はOLEDを備えており、外部からの電気信号により、このOLEDを発光させて表示を行うように構成されている。
【0009】
また前記駆動回路104は、一方の基板121の下側の接続端子121bに電気的に接続されたコネクタ141と、このコネクタ141に設けられた駆動回路本体142とを備えている。この駆動回路本体142はコネクタ141を介して外部から電気信号が入力されるとともに、入力された電気信号を利用して双方のディスプレイユニット122,132を駆動するように構成されている。
【0010】
また前記リボンコネクタ105は可撓性の平面基板から形成されており、内側へ円弧状に曲げた状態で両端が双方の接続端子121b,131bに溶接して接続されている。またこのリボンコネクタ105上には、複数の回路(図示せず)がリボンコネクタ105の長さ方向にそれぞれ平行にプリントされている。
【0011】
そして、両面ディスプレイ101は、駆動回路104から出力した電気信号が一方のディスプレイユニット122からリボンコネクタ105の回路を通って他方のディスプレイユニット132へ流れることにより双方のディスプレイユニット122,132が駆動する。したがってこの両面ディスプレイ101は、複数の導電線を用いなくても双方のディスプレイパネル102,103を完全に電気的に接続して駆動させることが可能になっている。
【特許文献1】米国公開第2004/0075628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながらリボンコネクタ105は可撓性の平板状に形成されているため、その両端を双方の接続端子121b,131bに緊密に接続することは難しい。したがって、このような両面ディスプレイ101は製造効率が良くなかった。
【0013】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、製造効率を高めることができる両面ディスプレイおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために本発明の両面ディスプレイにおいては、背面を向き合あわせて配置され、導電性の接続端子が双方の背面側に相対向して設けられた一対のディスプレイパネルと、この一対のディスプレイパネルの一方側に設けられ、双方の前記ディスプレイパネルを駆動する駆動回路と、双方の前記ディスプレイパネルの前記接続端子を電気的に接続する電気的接続手段とを備え、前記一対のディスプレイパネルは一方または他方が、前記駆動回路から出力された電気信号を前記電気的接続手段を介して他方または一方へ送るように構成された両面ディスプレイにおいて、前記電気的接続手段を、異方性導電材により構成したことを特徴としている。
【0015】
また本発明の両面ディスプレイにおいては、前記一対のディスプレイパネルはそれぞれ、透光性の基板と、この基板の背面に設けられて表示を行うディスプレイユニットとを備えているとともに、前記接続端子はそれぞれ前記基板の背面において前記ディスプレイユニットの周囲に設けられて、前記ディスプレイユニットに電気的に接続されたことを特徴としている。
【0016】
また本発明の両面ディスプレイにおいては、前記駆動回路は、前記異方性導電材に接続される一方の前記接続端子に電気的に接続して一方の前記ディスプレイパネルに設けられたことを特徴としている。
【0017】
また本発明の両面ディスプレイにおいては、双方の前記接続端子が前記異方性導電材により電気的に接続された状態で、双方の前記接続端子および双方の前記ディスプレイユニットを囲むようにして双方の前記基板の間を塞ぐ密封材を設けたことを特徴としている。
【0018】
また本発明の両面ディスプレイにおいては、前記一対のディスプレイパネルは、双方の前記基板の大きさが等しく形成されたことを特徴としている。
【0019】
また本発明の両面ディスプレイにおいては、前記一対のディスプレイパネルは、双方の前記ディスプレイユニットの表示部の大きさが等しく形成されたことを特徴としている。
【0020】
また本発明の両面ディスプレイにおいては、前記一対のディスプレイパネルは、双方の前記基板の大きさが異なるように形成されたことを特徴としている。
【0021】
また本発明の両面ディスプレイにおいては、前記一対のディスプレイパネルは、双方の前記ディスプレイユニットの表示部の大きさが異なるように形成されたことを特徴としている。
【0022】
また本発明の両面ディスプレイにおいては、前記一対のディスプレイパネルは、双方の前記ディスプレイユニットがLEDを備え、外部からの電気信号により、このLEDを発光させて表示を行うように構成されたものであることを特徴としている。
【0023】
また本発明の両面ディスプレイにおいては、前記一対のディスプレイパネルは、双方の前記ディスプレイユニットがOLEDを備え、外部からの電気信号により、このOLEDを発光させて表示を行うように構成されたものであることを特徴としている。
【0024】
また本発明の両面ディスプレイの製造方法においては、透光性を有する一方の基板の背面に一方のディスプレイユニットを設置し、前記一方の基板の背面に設けられた接続端子にこのディスプレイユニットを電気的に接続する第一ディスプレイユニット接続工程と、透光性を有する他方の基板の背面に他方のディスプレイユニットを設置し、前記一方の基板の前記接続端子と対向するように前記他方の基板の背面に設けられた接続端子にこのディスプレイユニットを電気的に接続する第二ディスプレイユニット接続工程と、双方の前記接続端子を電気的接続手段を介して電気的に接続するディスプレイ接続工程とを備えた両面ディスプレイの製造方法において、前記電気的接続手段に異方性導電材を用いたことを特徴としている。
【0025】
また本発明の両面ディスプレイの製造方法においては、前記ディスプレイ接続工程において、前記異方性導電材および双方の前記ディスプレイユニットを囲むようにして双方の前記基板の間を密封させる工程を含めたことを特徴としている。
【0026】
また本発明の両面ディスプレイの製造方法においては、前記ディスプレイ接続工程よりも前に、前記一方の基板または前記他方の基板に双方の前記ディスプレイユニットを駆動する駆動回路を設置して、設置した側の前記接続端子にこの駆動回路を電気的に接続する駆動回路接続工程を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明の両面ディスプレイおよびその製造方法においては、電気的接続手段として異方性導電材を使用した。これにより双方のディスプレイパネルの接続端子を電気的に接続するには、一方の接続端子に異方性導電材を接着させた後、この異方性導電材を介して前記接続端子に他方の接続端子を押しつけて接着させれば電気経路が容易に確保されるので、電気的接続作業性を高めることができる。よって、製造効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明についての目的、特徴、長所が一層明確に理解されるよう、以下に実施の形態を例示し、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
第1の実施の形態:
図1は本発明の第1の実施の形態を示す両面ディスプレイ1の縦断面図である。この両面ディスプレイ1は、背面を向き合わせて配置された一対のディスプレイパネル2,3と、一方のディスプレイパネル2に設けられた駆動回路4と、双方のディスプレイパネル2,3を電気的に接続する本発明の電気的接続手段である異方性導電材5と、双方のディスプレイパネル2,3の間を密封する密封材6、6とを備えている。
【0030】
一方のディスプレイパネル2は、図2にも示すように、透明基板21と、透明基板21の背面211の中央部分に設けられたディスプレイユニット22とを備えている。
【0031】
透明基板21には、背面211においてディスプレイユニット22の周囲全体にわたって導電性の接続端子212が複数設けられており、これらの接続端子212はディスプレイユニット22に電気的に接続されている。一方、ディスプレイユニット22はOLEDを備えており、外部からの電気信号により、このOLEDを発光させて表示を行うように構成されている。
【0032】
また図1に示すように他方のディスプレイパネル3は前記一方のディスプレイパネル2と同じ大きさに形成されており、図3にも示すように透明基板31と、透明基板31の背面311に設けられたディスプレイユニット32とを備えている。
【0033】
透明基板31は一方の透明基板21と同じ大きさに形成されている。またこの透明基板31には、背面311においてディスプレイユニットの周囲全体に、一方の各接続端子212と相対向するように複数の導電性の接続端子312が設けられている。
【0034】
一方、ディスプレイユニット32は、表示部321と、表示部321の周縁に結合された基板322とを備えている。この基板322には回路が設けられており、この回路は接続端子312と表示部321とを電気的に接続するとともに、接続端子312、312同士を電気的に接続するように形成されている。したがって、他方のディスプレイパネル3は、接続端子312から入力された外部の電気信号を基板322を介して表示部321へ送るとともに、基板322と他方の接続端子312と異方性導電材5とを介して一方のディスプレイパネル2へ送るように構成されている。
【0035】
一方、表示部321は、一方のディスプレイパネル2のディスプレイユニット(表示部)22よりも大きさが小さく設定されている。さらにこの表示部321はOLEDを備えており、基板322の回路から送られた電気信号に基づき、このOLEDを発光させて表示を行うように構成されている。
【0036】
また図1に示すように駆動回路4は、一方のディスプレイパネル2の接続端子212に電気的に接続されたコネクタ41と、このコネクタ41に電気的に接続して設けられた駆動回路本体42とを備えている。この駆動回路本体42はチップオンフィルムの方式で形成されたフレキシブルプリント回路板から成り、コネクタ41を介して外部から電気信号が入力されるとともに、入力された電気信号により、双方のディスプレイユニット2、3を駆動するように構成されている。
【0037】
また異方性導電材5は、双方のディスプレイユニット2、3の周囲に設けられた複数の接続端子212、312を電気的に接続して設けられている。またこの異方性導電材5は熱硬化性の接着剤であって、図4に示すようにエポキシ樹脂51と、エポキシ樹脂51内に散在した多数の導電性粒子52とから構成されている。エポキシ樹脂51は、導電性粒子52が通常状態で接触して導電材5自体が導電性を帯びるのを防ぐために粘度が設定されている。また導電性粒子52には金やニッケル等が使用されている。
【0038】
そして異方性導電材5は、双方の接続端子212、312を接続した状態では、双方の接続端子212、312によって圧せられた領域が外側へ押し出されて、図4(b)に示すように内部の導電性粒子52が互いに接触して電気経路が形成されており、これによって双方のディスプレイパネル2、3が電気的に接続されている。
【0039】
また密封材6、6は紫外線硬化性の接着剤から構成されている。そして密封材6、6は、図1に示すように双方の複数の接続端子212,312が異方性導電材5で電気的に接続された状態で、双方の接続端子212、312および双方のディスプレイユニット22,32を囲むようにそれぞれ帯状に設けられている。
【0040】
図5は両面ディスプレイ1の製造工程を示すフローチャート400である。以下に各製造工程の内容を説明する。
【0041】
接続端子設置工程(ステップS401):双方の透明基板21,31の周縁部に複数の接続端子212、312をそれぞれ設置する。
【0042】
駆動回路接続工程(ステップS402):駆動回路4のコネクタ41を透明基板21の接続端子212に電気的に接続して、駆動回路4を透明基板21の背面211側に設置する。
【0043】
第1ディスプレイユニット接続工程(ステップS403):一方の透明基板21の背面211の中央部分に一方のディスプレイユニット22を設置し、複数の接続端子212とこのディスプレイユニット22とを電気的に接続する。
【0044】
第2ディスプレイユニット接続工程(ステップS404):他方の透明基板31の背面311の中央部分に他方のディスプレイユニット32を設置し、複数の接続端子312とこのディスプレイユニット32とを電気的に接続する。
【0045】
ディスプレイ接続工程(ステップS405):まず一方の透明基板21に設置された複数の接続端子212に、液状状態の異方性導電材5を塗布する(図4(a)参照)。次に密封材6、6をそれぞれ、一方の複数の接続端子212およびディスプレイユニット22を囲むように透明基板21の背面211に帯状に塗布する。
【0046】
次に、他方のディスプレイパネル3の各接続端子312を、接続位置を合わせながら塗布された異方性導電材5を介して一方のディスプレイパネル2の各接続端子212に押しつけて接着させる(図4(b)参照)。これと同時に、透明基板31の裏面311を、密封材6、6を介して一方のディスプレイパネル2の透明基板21の背面211に押しつけて接着させる。
【0047】
このときに、異方性導電材5は双方の接続端子212,312によって圧せられた領域が外側へ押し出され、これに伴って内部の導電性粒子52が異方性導電材5の中心方向に移動して互いに接触することで電気経路が形成される。その後、異方性導電材5に熱を加えることにより電気経路が確定される。このようにすることで双方のディスプレイパネル2,3は電気的に接続される。
【0048】
最後に、電気的に接続された双方のディスプレイパネル2,3に紫外線を照射して密封材6、6を固化させることにより双方の透明基板21、31を密封する。
【0049】
このように本実施の形態においては、双方ディスプレイパネル2,3を電気的に接続する際に図4で示したように、一方の複数の接続端子212に異方性導電材5を塗布し、この異方性導電材5を介して他方の接続端子312を押しつけて接着させれば電気経路が容易に確保されるので、従来よりも電気的接続作業性を高めることが可能になる。よって、本実施の形態の両面ディスプレイ1およびその製造方法においては製造効率を高めることができる。また密封材6、6を設けたことから、両面ディスプレイ1の内部を保護することができる。
【0050】
第2の実施の形態:
図6は本発明の第2の実施の形態を示す両面ディスプレイ201の縦断面図である。なお本実施の形態では第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0051】
この両面ディスプレイ201は、背面を向き合わせて配置された一対のディスプレイパネル202,203と、一方のディスプレイパネル202に設けられた駆動回路204と、双方のディスプレイパネル202,203を電気的に接続する本発明の異方性導電材500と、双方のディスプレイパネル202,203の間を密封する密封材6、6とを備えている。
【0052】
一方のディスプレイパネル202は、図7にも示すように、透明基板221と、透明基板221の背面221aにおいてやや上側部分に設けられたディスプレイユニット222とを備えている。
【0053】
透明基板221には、背面221aにおいてディスプレイユニット22の上側および左右側に導電性の接続端子212が複数設けられており、これらの接続端子212はディスプレイユニット222に電気的に接続されている。一方、ディスプレイユニット222はOLEDを備えており、外部からの電気信号により、このOLEDを発光させて表示を行うように構成されている。
【0054】
また図6に示すように、他方のディスプレイパネル203は一方のディスプレイパネル202よりも小さく形成されており、図8にも示すように透明基板231と、透明基板231の背面231aの中央部分に設けられたディスプレイユニット232とを備えている。
【0055】
透明基板231には、背面231aにおいてディスプレイユニット232の上側および左右側に、一方の各接続端子212と相対向するように複数の導電性の接続端子312が設けられている。
【0056】
一方、ディスプレイユニット32は、表示部232aと、表示部232aの周縁に結合された基板232bとを備えている。この基板232bには回路が設けられており、この回路は接続端子312と表示部232aとを電気的に接続するとともに、接続端子312、312同士を電気的に接続するように形成されている。したがって、他方のディスプレイパネル203は、接続端子312から入力された外部の電気信号を基板232bを介して表示部232aへ送るとともに、基板232bと他方の接続端子312と異方性導電材500とを介して一方のディスプレイパネル202へ送るように構成されている。
【0057】
またこの表示部232aは一方のディスプレイパネル202のディスプレイユニット(表示部)222よりも大きさが小さく設定されている。さらにこの表示部232aはOLEDを備えており、基板232aの回路から送られた電気信号により、このOLEDを発光させて表示を行うように構成されている。
【0058】
また図6や図7に示すように前記駆動回路204は、透明基板221の背面221aにおいてディスプレイユニット222の下側に設けられ、ディスプレイユニット222に電気的に接続した駆動回路本体42と、この駆動回路本体42の下方に設けられ、駆動回路本体42に電気的に接続して設けられた接続端子212と、この接続端子212に電気的に接続して設けられたコネクタ41とを備えている。
【0059】
また前記異方性導電材500は、双方のディスプレイユニット222、232の三方(上側および左右側)に設けられた複数の接続端子212、312を電気的に接続して設けられている。またこの異方性導電材500は図9に示すように膜状に形成されており、短円柱状の非導電性高分子材501と、非導電性高分子材502内において表面側に設けられた複数の導電層502とから構成されている。
【0060】
そして異方性導電材500は、双方の接続端子212、312を接続した状態では、双方の接続端子212、312で圧せられた領域が外側へ押し出され、図9(b)に示すように導電層502が互いに接触して電気経路が形成されており、これによって双方のディスプレイパネル202,203が電気的に接続されている。
【0061】
一方、前記密封材6は、図6に示すように、双方の複数の接続端子212,312が異方性導電材500で電気的に接続された状態で、双方の接続端子212、312および双方のディスプレイユニット222,232を囲むようにそれぞれ帯状に設けられている。
【0062】
また本実施の形態の両面ディスプレイ201の製造方法は、第1の実施の形態で説明した製造方法と同じ工程(接続端子設置工程、駆動回路接続工程、第1ディスプレイ接続工程、第2ディスプレイ接続工程、ディスプレイ接続工程)を備えている。ここでは、第1の実施の形態と異なるディスプレイ接続工程の内容について説明する。
【0063】
まず一方の透明基板221の複数の接続端子212に異方性導電材500を接着する(図9(a)参照)。次に、密封材6、6をそれぞれ、一方の透明基板221に設置された複数の接続端子212およびディスプレイユニット22を囲むように透明基板221の背面221aに帯状に塗布する。
【0064】
次に、他方のディスプレイパネル203の各接続端子312を、接続位置を合わせながら接着された異方性導電材500を介して一方のディスプレイパネル202の各接続端子212に押しつけて接着させる(図9(b)参照)。これと同時に、透明基板231の背面231aを、密封材6、6を介して一方のディスプレイパネル202の透明基板221の背面221aに押しつけて接着させる。
【0065】
このときに、異方性導電材500は双方の接続端子212,312によって圧せられた領域が外側へ押し出され、これに伴って表面側にある導電層502が異方性導電材5の中心方向に移動して互いに接触することで電気経路が形成される。このようにすることで双方のディスプレイパネル202,203は電気的に接続される。
【0066】
最後に、電気的に接続された双方のディスプレイパネル2,3に紫外線を照射して密封材6、6を固化させることにより、双方のディスプレイパネル2,3間を密封する。
【0067】
このように本実施の形態においては、双方のディスプレイパネル202,203を電気的に接続する際に、一方の複数の接続端子212に異方性導電材500を接着させ、この異方性導電材500を介して他方の接続端子312を押しつけて接着させれば電気経路が容易に確保されるので、従来よりも電気的接続作業性を高めることが可能になる。よって、本実施の形態の両面ディスプレイ201およびその製造方法においては製造効率を高めることができる。また本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に密封材6、6を設けたことから、両面ディスプレイ201の内部を保護することができる。
【0068】
なお各実施の形態では、ディスプレイユニットにOLED方式を用いた両面ディスプレイに本発明を適用した場合について説明したが、LED方式、LTPS方式等、その他の方式を用いた両面ディスプレイに本発明を適用しても良い。
【0069】
以上、本発明の好適な実施の形態を例示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することは可能である。従って、本発明が保護を請求する範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上説明したように本発明の両面ディスプレイおよびその製造方法においては、製造効率を高めることができるので、この技術分野で十分に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す両面ディスプレイの縦断面図である。
【図2】(a)は同実施の形態を示す一方のディスプレイパネルの背面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図3】(a)は同実施の形態を示す他方のディスプレイパネルの背面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図4】同実施の形態において、異方性導電材を用いて双方のディスプレイパネルを電気的に接続する方法を示す図である。
【図5】同実施の実施の形態の両面ディスプレイの製造工程のフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す両面ディスプレイの縦断面図である。
【図7】(a)は同実施の形態を示す一方のディスプレイパネルの背面図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図8】(a)は他方のディスプレイパネルの背面図、(b)は(a)のD−D断面図である。
【図9】同実施の形態において、異方性導電材を用いて双方のディスプレイパネルを電気的に接続する方法を示す図である。
【図10】従来の両面ディスプレイの縦断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 両面ディスプレイ
2 一方のディスプレイ
3 他方のディスプレイ
4 駆動回路
5 異方性導電材
6 密封材
21 透明基板
22 ディスプレイユニット
31 透明基板
32 ディスプレイユニット
201 両面ディスプレイ
202 一方のディスプレイ
203 他方ディスプレイ
204 駆動回路
212 接続端子
222 ディスプレイユニット
232 ディスプレイユニット
232a 表示部
312 接続端子
321 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面を向き合あわせて配置され、導電性の接続端子が双方の背面側に相対向して設けられた一対のディスプレイパネルと、この一対のディスプレイパネルの一方側に設けられ、双方の前記ディスプレイパネルを駆動する駆動回路と、双方の前記ディスプレイパネルの前記接続端子を電気的に接続する電気的接続手段とを備え、前記一対のディスプレイパネルの一方または他方が、前記駆動回路から出力された電気信号を前記電気的接続手段を介して他方または一方へ送るように構成された両面ディスプレイにおいて、
前記電気的接続手段を、異方性導電材により構成したことを特徴とする両面ディスプレイ。
【請求項2】
前記一対のディスプレイパネルはそれぞれ、透光性の基板と、この基板の背面に設けられて表示を行うディスプレイユニットとを備えているとともに、前記接続端子はそれぞれ前記基板の背面において前記ディスプレイユニットの周囲に設けられて、前記ディスプレイユニットに電気的に接続されたことを特徴とする請求項1記載の両面ディスプレイ。
【請求項3】
前記駆動回路は、前記異方性導電材に接続される一方の前記接続端子に電気的に接続して一方の前記ディスプレイパネルに設けられたことを特徴とする請求項2記載の両面ディスプレイ。
【請求項4】
双方の前記接続端子が前記異方性導電材により電気的に接続された状態で、双方の前記接続端子および双方の前記ディスプレイユニットを囲むようにして双方の前記基板の間を塞ぐ密封材を設けたことを特徴とする請求項2記載の両面ディスプレイ。
【請求項5】
前記一対のディスプレイパネルは、双方の前記基板の大きさが等しく形成されたことを特徴とする請求項2記載の両面ディスプレイ。
【請求項6】
前記一対のディスプレイパネルは、双方の前記ディスプレイユニットの表示部の大きさが等しく形成されたことを特徴とする請求項2記載の両面ディスプレイ。
【請求項7】
前記一対のディスプレイパネルは、双方の前記基板の大きさが異なるように形成されたことを特徴とする請求項2記載の両面ディスプレイ。
【請求項8】
前記一対のディスプレイパネルは、双方の前記ディスプレイユニットの表示部の大きさが異なるように形成されたことを特徴とする請求項2記載の両面ディスプレイ。
【請求項9】
前記一対のディスプレイパネルは、双方の前記ディスプレイユニットがLEDを備え、外部からの電気信号により、このLEDを発光させて表示を行うように構成されたものであることを特徴とする請求項1記載の両面ディスプレイ。
【請求項10】
前記一対のディスプレイパネルは、双方の前記ディスプレイユニットがOLEDを備え、外部からの電気信号により、このOLEDを発光させて表示を行うように構成されたものであることを特徴とする請求項1記載の両面ディスプレイ。
【請求項11】
透光性を有する一方の基板の背面に一方のディスプレイユニットを設置し、前記一方の基板の背面に設けられた接続端子にこのディスプレイユニットを電気的に接続する第一ディスプレイユニット基板接続工程と、
透光性を有する他方の基板の背面に他方のディスプレイユニットを設置し、前記一方の基板の前記接続端子と対向するように前記他方の基板の背面に設けられた接続端子にこのディスプレイユニットを電気的に接続する第二ディスプレイユニット基板接続工程と、
双方の前記接続端子を電気的接続手段を介して電気的に接続するディスプレイ接続工程とを備えた両面ディスプレイの製造方法において、
前記電気的接続手段に異方性導電材を用いたことを特徴とする両面ディスプレイの製造方法。
【請求項12】
前記ディスプレイ接続工程において、前記異方性導電材および双方の前記ディスプレイユニットを囲むようにして双方の前記基板の間を密封させる工程を含めたことを特徴とする請求項11記載の両面ディスプレイの製造方法。
【請求項13】
前記ディスプレイ接続工程よりも前に、前記一方の基板または前記他方の基板に双方の前記ディスプレイユニットを駆動する駆動回路を設置して、設置した側の前記接続端子にこの駆動回路を電気的に接続する駆動回路接続工程を備えたことを特徴とする請求項11記載の両面ディスプレイの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−163408(P2006−163408A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351169(P2005−351169)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(304060520)友達光電股▲ふん▼有限公司 (15)
【Fターム(参考)】