説明

両面印刷装置

【課題】1台のデジタル印刷機にて効率的に両面印刷を行うことができるようにする。
【解決手段】デジタル印刷機4の輪転紙3の走行方向両側に、輪転紙の上面をデジタル印刷機の下面に対向させて走行させる送りロール装置6a,6bを順送と逆送可能に設け、上記給紙部2と巻取部5を各送りロール装置と同期して順送と逆送可能にし、給紙部と給紙部側の送りロール装置の間、あるいは巻取部と巻取部側の送りロール装置の間の一方に、走行する輪転紙の上下面を反転する反転装置16を輪転紙がパス可能に設け、デジタル印刷機の輪転紙の走行方向の一方側で、かつデジタル印刷機にて上面に印刷される輪転紙の走行方向上流側に、輪転紙の下面に印刷されているマーク14を検出するマークセンサ15を設け、マークセンサの検出値に応じて輪転紙の下面に印刷された絵柄に対応する絵柄が輪転紙の上面に印刷されるようデジタル印刷機を制御する制御装置7とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタや電子写真印刷機等のデジタル印刷機を用い、輪転紙の表裏を印刷するための両面印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル印刷機にて輪転紙の両面に印刷を行う場合、従来はデジタル印刷機を2台用いて給紙部から給紙された輪転紙を第1のデジタル印刷機にて表側面に印刷した後、輪転紙を表面と裏面とを反転させて、この裏面に第2のデジタル印刷機にて印刷するようにしたもの(例えば特許文献1参照)、あるいは、例えば特許文献2にて示されるように、1台のデジタル印刷機を用い、このデジタル印刷機に輪転紙を反転して2回走行させることにより、これの表面と裏面の両面に印刷するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−99955号公報
【特許文献2】特開2005−335145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の前者にあっては、高価なデジタル印刷機が表面用と裏面用の2台必要となって設備費が高価になると共に装置が大型になるという問題がある。また、このように両面印刷仕様の印刷装置の場合、片面印刷の製品出しの場合には一方のデジタル印刷機しか用いられないことになり、設備に無駄が生じるという問題がある。
【0005】
また1台のデジタル印刷機を用いて片面ずつ印刷しようとする後者の従来例の場合、給紙部から給紙された輪転紙の片面に先の印刷をして巻取部にて巻き取ってから、この巻取紙を巻取スタンドから取り外して再度給紙部に運んで給紙スタンドに未印刷面がインクジェット記録装置のヘッド面に対向するようにして輪転紙が繰り出されるようにセット替えして再度反対面に後の印刷をするようにしている。この場合、印刷データの都合により後の印刷を1番目の絵柄の反対面から印刷する必要がある場合、通常はオフラインの巻き戻し機に掛けて巻き戻しを行うが、巻き戻し機がない場合には、先の印刷が完了してから、これの巻取紙を巻取スタンドから取り外して再度給紙部に運んで給紙スタンドにセットして印刷なしで巻取り装置にて巻き戻して、先の印刷の1番目がロールの最も外側になるように巻き替えてから巻取紙を巻取スタンドから取り外して再度給紙部に運んで給紙スタンドにセットして後の印刷を行わなければならなかった。
【0006】
このため従来技術の後者にあっては、片面印刷仕様の装置にて両面印刷を行う場合には、片面印刷済みロール紙のセット替えのための運搬や、巻き替え機を用いるためのロール紙の運搬作業など作業面での負担が大きく、ロール紙の取り付け、取り外しなど重量物を取り扱うための安全性を確保するために設備的にも作業的にも負担が大きくなる問題があった。
【0007】
本発明は上記のことにかんがみなされたもので、1台のデジタル印刷機を用いて効率的に両面印刷を行うことができるようにした両面印刷装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る両面印刷装置は、給紙部から巻取部にわたって走行する輪転紙の両面に1台のデジタル印刷機にて印刷を行う両面印刷装置において、デジタル印刷機の輪転紙の走行方向両側に、輪転紙の上面をデジタル印刷機の下面に対向させて走行させる送りロール装置を順送と逆送可能にして設けると共に、上記給紙部と巻取部を各送りロール装置と同期して順送と逆送可能にし、給紙部と給紙部側の送りロール装置との間、あるいは巻取部と巻取部側の送りロール装置との間のいずれか一方に、走行する輪転紙の上下面を反転する反転装置を輪転紙がパス可能にして設け、デジタル印刷機の輪転紙の走行方向の少なくとも一方側で、かつデジタル印刷機により上面に印刷される輪転紙の走行方向上流側に、輪転紙の下面に印刷されているタイミングマークを検出するマークセンサを設け、マークセンサの検出値に応じて輪転紙の下面に印刷されている絵柄に対応する絵柄が輪転紙の上面に印刷されるようデジタル印刷機を制御する制御装置とからなる構成になっている。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る両面印刷装置は、給紙部から巻取部にわたって走行する輪転紙の両面に1台のデジタル印刷機にて印刷を行う両面印刷装置において、デジタル印刷機の輪転紙の走行方向両側に、輪転紙の上面をデジタル印刷機の下面に対向させて走行させる送りロール装置を順送と逆送可能にして設けると共に、上記給紙部と巻取部を各送りロール装置と同期して順送と逆送可能にし、給紙部と巻取部のどちらか一方から給紙される輪転紙をデジタル印刷機を迂回して他方側の送りロール装置へ反転して走行させ、この他方側の送りロール装置から一方の送りロール装置側へ上面をデジタル印刷機の下面に対向させ、この一方の送りロール装置から上記給紙部と巻取部のどちらか他方へ再度反転させて紙通しすると共に、輪転紙がパス可能にした反転装置を設け、デジタル印刷機の輪転紙の走行方向の少なくとも一方側で、かつデジタル印刷機により上面に印刷される輪転紙の走行方向上流側に、輪転紙の下面に印刷されているタイミングマークを検出するマークセンサを設け、マークセンサの検出値に応じて輪転紙の下面に印刷されている絵柄に対応する絵柄が輪転紙の上面に印刷されるようデジタル印刷機を制御する制御装置とからなる構成になっている。
【0010】
上記両面印刷装置において、デジタル印刷機に対して走行する輪転紙の走行距離を検出する走行距離検出器を設け、この走行距離検出器による検出値を上記マークセンサからの信号と共に制御装置に入力し、走行距離検出器からの信号により裏面印刷の印刷タイミングを制御するようにした。
【発明の効果】
【0011】
上記した本発明の請求項1に係る両面印刷装置において、図1に示すように給紙部と給紙部側の送りロール装置の間に反転装置を設けた場合には、給紙部から給紙される輪転紙を反転装置をパスさせて順送することにより、輪転紙の上面(表面)にデジタル印刷機にて印刷が行われ、これを巻取部にて巻き取り、ついでこの巻取部に巻き取られた輪転紙を逆送させて給紙部側へ巻き戻し、その後、この給紙部側の輪転紙を反転装置を通して反転させて再度順送することにより、この反転順送時に輪転紙の裏面に印刷することができる。
【0012】
また、上記請求項1に係る両面印刷装置において、図4に示すように巻取部と巻取部側の送りロール装置との間に反転装置を設けた場合には、給紙部から給紙される輪転紙を順送することによりこれの表面に印刷が行われ、これを反転装置を通して反転させて、印刷面を裏側に位置させた状態で巻取部にて巻き取ってからこれの端末から反転装置をパスして未印刷面(裏面)を上側にして給紙部へ向けて逆送させることにより、この逆送する間に輪転紙の裏面にデジタル印刷機にて印刷を行うことができ、給紙部から給紙される輪転紙が順送と逆送を行うことにより、巻取部を経て1往復する間にこの輪転紙の表面と裏面の両面に印刷を行うことができる。
【0013】
本発明の請求項2に係る両面印刷装置にあっては、給紙部からの順送により輪転紙の表面に印刷されて巻取部に巻き取られ、ついでこの巻取部からこれの端末から反転装置を通して給紙部側の送りロール装置に反転して紙通しし、この給紙部側の送りロール装置から順送させることにより輪転紙の裏面に印刷することができ、ついでこれを反転装置にて給紙部にて巻き取ることにより両面印刷を完了することができる。
【0014】
また、この請求項2に係る両面印刷装置にあっては、輪転紙を給紙部から順送してこれの表面に印刷して巻取部にて巻き取り、その後この巻取部の輪転紙を逆走して給紙部にて巻き戻しし、ついでこれの端末を反転装置に紙通しし、巻取部側の送りロール装置から給紙部側の送りロール装置側へ紙通しして反転し、ついで給紙部側の送りロール装置から巻取部に巻き取るように輪転紙を走行させることにより、デジタル印刷機による裏面印刷を表面印刷した輪転紙の始端部側から印刷することができ、印刷データ等による制限があり、裏面印刷を表面印刷の際の第1面から印刷することが必要な場合に対応することができる。
【0015】
請求項3に係る構成によれば、輪転紙の裏面印刷の際に、この裏面印刷の絵柄を表面印刷の絵柄に表面の絵柄を検出するマークセンサからの検出信号と走行する輪転紙の走行距離を検出する走行距離検出器からの検出信号により、この裏面印刷の絵柄を表面印刷の絵柄とのタイミングを合わせることができ、両絵柄がずれることなく印刷することができる。
【0016】
本発明に係る両面印刷装置によれば上記したようになることにより、片面印刷仕様の廉価な1台のデジタル印刷機を用いた印刷システムにて効率的な両面印刷製品の生産を行うことができる。
【0017】
また、両面印刷製品の刷了までロール紙の取り付け、取り外し、及び運搬などの作業が不要となり、設備費の面でコスト効果ばかりでなく、作業効率をも改善することができた。そして準備時間が短縮されて実質的な生産時間と単位時間あたりの生産量が増加して製品コストを改善することができた。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態を概略的に示す説明図である。
【図2】インクジェットプリンタによる印刷状態を示す説明図である。
【図3】ターンバーを用いた反転装置を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を概略的に示す説明図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を概略的に示す説明図である。
【図6】第3の実施の形態の作用説明図である。
【図7】第3の実施の形態の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明の第1の実施の形態の両面印刷装置1を示すもので、この両面印刷装置1は給紙部2から給紙された輪転紙3の上面にデジタル印刷機の一例であるインクジェットプリンタ4にて印刷し、ついで巻取部5にて巻き取る構成を基本構成とするものである。そして給紙部2から巻取部5方向への輪転紙3の走行を順送、その逆を逆送という。
【0020】
インクジェットプリンタ4の上記輪転紙3の順送の走行方向の上流側と下流側に、それぞれ単独に駆動モータM1,M2にて正逆転可能に回転制御される送りロール装置6a,6bが配置されていて、この両送りロール装置6a,6bのそれぞれの駆動モータM1,M2を正転制御あるいは逆転制御することにより、輪転紙3は給紙部2から巻取部5方向への順送、あるいは巻取部5から給紙部2方向への逆送ができるようになっている。
【0021】
また、上記両送りロール装置6a,6bは、これらの送り方向が順逆切り替わっての順送時と逆送時において、それぞれの下流側になる送りロール装置の輪転紙3の送り量が上流側の送りロール装置のそれより僅かに大きくなるように各駆動モータM1,M2の回転が制御されていて、インクジェットプリンタ4の下側を走行する輪転紙3に正常な張力が作用されるようになっている。
【0022】
上記給紙部2と巻取部5は、それぞれロール紙の紙筒を保持固定する給紙軸と巻取軸のそれぞれを回転駆動するものであり、それぞれの軸はそれぞれ単独の駆動モータM3,M4にて正転、逆転可能になっていて、上記送りロール装置6a,6bによるそれぞれの順方向、逆方向への送り量に応じて輪転紙3を繰り出し、あるいは巻き込むようになっている。
【0023】
上記各駆動モータM1,M2,M3,M4は、制御装置7にて回転制御されるようになっている。そして送りロール装置6a,6bを駆動するモータM1,M2のそれぞれの回転はロータリーエンコーダ8a,8bにて検出され、その各検出値は上記制御装置7にフィードバックされるようになっている。
【0024】
また、上記インクジェットプリンタ4の順方向の上流側に輪転紙3の走行に従って回転するフリーロール9が設けられており、このフリーロール9の回転がロータリーエンコーダ8cにて輪転紙3の走行距離として検出され、この検出値が制御装置7にフィードバックされるようになっている。このフリーロール9と、これの回転を検出するロータリーエンコーダ8cにて輪転紙3の走行距離を検出する走行距離検出器を構成している。
【0025】
図1に示した実施の形態においては、給紙部2と給紙部側の送りロール装置6aとの間、及び巻取部5と巻取部側の送りロール装置6bとの間に、それぞれの間の輪転紙3に巻き掛けられてそれぞれに張力を作用させるダンサロール10a,10bが設けてある。この各ダンサロール10a,10bにより上記輪転紙3に作用させる張力は、ダンサロール10a,10bを支持するダンサロール元軸11a,11bに対して所定の回転トルクを付与することで発生し、その回転トルクの発生手段は、上記ダンサロール元軸11a,11bに固定された回動レバー(図示せず)に対してウエイトをかける方法や、ベロフラムシリンダにより一定の力を付与する方法等の各種の方法が選択可能である。
【0026】
ダンサロール10a,10bの偏位は、ダンサロール元軸11a,11bに固定された回動レバーに対向して設けられたダンサ位置検出器12a,12bにて検出されるようになっていて、このダンサ位置検出器12a,12bにより検出されたダンサロール10a,10bの偏位に応じて給紙部2、巻取部5の紙軸が回転制御されるようになっている。
【0027】
すなわち、ダンサ位置検出器12a,12bにてダンサロール10a,10bの動きが検知され、ダンサロール10a,10bが所定の位置に保持されるようにダンサ位置検出器12a,12bからの信号を制御装置7に送り、この制御装置7からの第3・第4の駆動モータM3,M4への制御信号により給紙部2、巻取部5のそれぞれのロール紙の供給方向、巻取方向の回転駆動の制御が行われるようになっている。
【0028】
以上の構成において、両送りロール装置6a,6bの順逆方向への同期送り作動により、給紙部2、巻取部5のそれぞれのロール紙と送りロール装置6a,6b間、及び両送りロール装置6a,6b間の輪転紙3の張力が所定の適正張力に保持されつつ、順逆いずれの方向へでも切り替え搬送ができるようになっている。
【0029】
上記インクジェットプリンタ4では、連続紙3が順送する間に図2に示すように、各面ごとの絵柄13が輪転紙3の表面(上面)に連続して印刷されるようになっている。そしてこの各絵柄13には、これに付随した適当な位置にタイミングマーク14が印刷されるようになっている。
【0030】
給紙側の送りロール装置6aには、この送りロール装置6aを走行する輪転紙3の裏面(下面)に対向するマークセンサ15が設けてあり、このマークセンサ15にて送りロール装置6aの上流側で表裏が反転されて順送されてくる輪転紙3の反転前に印刷された絵柄13のタイミングマーク14を検出するようになっている。
【0031】
インクジェットプリンタ4の上流側のダンサロール10aと送りロール装置6aの間に、この間を走行する輪転紙3の表面と裏面を反転する反転装置16が設けてある。
【0032】
図3は上記反転装置16の一例を示すもので、この反転装置16はターンバー方式となっていて、輪転紙3の走行方向に対して45度傾斜した第1・第2の傾斜ターンバー17,18を直交させて配置すると共に、両傾斜ターンバー17,18の側方に上記輪転紙3の走行方向と平行に配置した平行ターンバー19とからなっていて、例えば順方向に走行する輪転紙3が第1の傾斜ターンバー17に巻き掛けられて90度方向変換し、ついで平行ターンバー18に巻き掛けられて180度方向変換し、さらに第2の傾斜ターンバー18に巻き掛けられて上記順方向の走行方向下流側へ反転した状態で走行されるようになっている。輪転紙3が逆送する場合には、第2の傾斜ターンバー18が上流側になって上記順送の場合と同様に逆送方向下流側へ反転して走行される。
【0033】
なお、この反転装置16は、輪転紙3を各ターンバー17,18,19からなる反転経路に通さないでパスすることができるようになっている。
【0034】
上記のように構成された両面印刷装置1にて輪転紙3に両面印刷する作用を以下に説明する。
【0035】
図1において、給紙部2からの輪転紙3を反転装置16の反転経路を通さずに、すなわちこれをパスする状態で紙通しし、給紙部側と巻取部側の両送りロール装置6a,6bを同期駆動して輪転紙3を順送走行させ、輪転紙3の表面(印刷部において上面)に図2に示すように、インクジェットプリンタ4にて1面ごとの絵柄13とこの各絵柄に付随するタイミングマーク14を連続印刷する。
【0036】
表面印刷が完了して印刷済み部が巻取部5に巻き取り完了された後に、インクジェットプリンタ4による印刷を停止した状態で両送りロール装置6a,6b及び給紙部2、巻取部5を逆送作動させて表面の印刷済みの部分を給紙部2に巻き戻しする。ついで、給紙部2と給紙部側の送りロール装置6a間にて輪転紙3を切断して、これの給紙部2側からの先端から反転装置16に通して表側と裏側を反転させて上流側及び下流側の送りロール装置6a,6bに紙通しして巻取部5側の輪転紙3に紙継ぎする。
【0037】
ついで順送走行することにより、反転装置16を通過する輪転紙3は裏面(未印刷面)が上側を向いた状態になって走行され、この裏面が上側になってインクジェットプリンタ4の下側を通ることにより、この裏面に上記先の表面印刷と同様の絵柄13とタイミングマーク14が印刷され、その後、巻取部5にて巻き取られる。
【0038】
このとき、上記先の表面印刷された印刷面は下側になって順送され、このときの先の表面印刷された絵柄13のタイミングマーク14は給紙部側の送りロール装置6aに設けたマークセンサ15にて検出される。このマークセンサ15からの検出信号とフリーロール9のロータリーエンコーダ8cからの信号が制御装置7に入力され、これらの信号に基づいた演算によるインクジェットプリンタ4への制御信号により、輪転紙3の裏面へは表側の印刷面位置を合わせながら印刷される。すなわち、例えば表側に印刷された絵柄の1番目からの絵柄の裏側に裏側の絵柄の1番目から順に印刷データを合わせた状態で印刷することができる。
【0039】
なお、このときフリーロール9のロータリーエンコーダ8cからの信号を受けることなく、マークセンサ15の検出値によるタイミングにより裏面印刷側の絵柄を表面の絵柄に合わせることもできる。
【0040】
このようにしてこの実施の形態によれば、輪転紙3の裏面に印刷される絵柄は、先に印刷された表面の絵柄に対応して、すなわち裏面の印刷を表面の印刷と同じ順番に印刷することができる。
【0041】
なお、このときの図1において、給紙部2と巻取部5の各ロールの回転方向の順逆方向を示す矢印は、実線の矢印はロールに巻かれている輪転紙3の外側面に印刷する場合であり、点線の矢印はこれの内側面に印刷する場合をそれぞれ示すものである。
【0042】
上記した実施の形態において、各絵柄13に付随して印刷されるタイミングマーク14は、各絵柄13の一部にマークセンサ15による検出が可能な共通した絵柄部分がある場合には、必ずしも絵柄13と別に印刷することはない。
【0043】
また、マークセンサ15の配置位置は、インクジェットプリンタ4の上流側であればインクジェットプリンタ4の上流側にある送りロール装置6aのさらに上流側でもよいし、これの下流側に設けてもよい。
【0044】
また、上記送りロール装置6a,6bは、図に示した実施の形態ではそれぞれ駆動モータM1,M2にて駆動される2個のロールを用い、これに連続紙3をS字状に巻き掛ける例を示したが、ニップロールと組み合わせた1本ロールの構成であってもよい。
【0045】
さらに、給紙部2及び巻取部5の紙軸を駆動する駆動モータM3,M4は、サーボモータ、ステッピングモータなどが使用可能であるが、正逆回転制御可能なものであれば各種選択可能である。
【0046】
図4は本発明の第2の実施の形態を示し、表側と裏側との相互の絵柄に印字データ等による制限が存在しない場合で、インクジェットプリンタ4に対して輪転紙3を往復走行する間に輪転紙3を反転して、これの表面と裏面に印刷するようにした例を示す。
【0047】
この第2の実施の形態にあっては、図4に示すように巻取部側の送りロール装置6bと巻取部5との間に反転装置16が介装されている。また、巻取部側の送りロール装置6bの位置に、ここを通る輪転紙3の下側面のタイミングマーク14を検出するマークセンサ15が設けてある。
【0048】
以下にこの第2の実施の形態の作用を説明する。
【0049】
給紙部2からの輪転紙3を反転装置16を通して反転させて巻取部5まで紙通しして両送りロール装置6a,6bの順送作用により、輪転紙3の表面(上面)にインクジェットプリンタ4にて1面ごとの絵柄13とタイミングマーク14を連続印刷し、ついで反転装置16にて反転して印刷面が下側になるようにして巻取部5にて巻き取る。
【0050】
表面印刷が完了して印刷済み部が下側になる状態で巻取部5に巻き取り完了された後に、巻き取り終端側を切断してこれの端末側を反転装置16をパスしてに紙通しして、これの先端を上流側の輪転紙3に紙継ぎする。この状態で輪転紙3を逆送させることにより、未印刷面である輪転紙3の裏面が上側になって逆送され、この間にこの裏面にインクジェットプリンタ4にて印刷され、逆転している給紙部2にて巻き取られる。
【0051】
このとき先に印刷された表側の絵柄のタイミングマークがマークセンサ15にて検出されると共に、フリーロール9のロータリーエンコーダ8cにて走行距離が検出され、これらの検出値とインクジェットプリンタ4による印刷が同調することにより、輪転紙3の裏側への印刷が表側の印刷面と同一位置に印刷される。この場合、表側と裏側の絵柄が印字データ等による制限が存在しない場合であり、表側の印刷順序と裏側の印刷順序が逆になる。
【0052】
また、この図4に示した第2の実施の形態において、給紙部2から順送により輪転紙3の表面に印刷を行った後に、この輪転紙3を反転装置16にて反転して未印刷面である裏面を上側にて巻取部5に巻き取り、ついでこの輪転紙3を反転装置16をパスした状態で、かつインクジェットプリンタ4による印刷を行わないで巻取部5から逆走して給紙部2にて巻戻しし、その後、この輪転紙3を給紙部2から巻取部5に向けて順送し、その間にこれの未印刷面である裏面(上面)にインクジェットプリンタ4にて印刷することにより、この裏面印刷を上記表面印刷に対して絵柄の1番から順に印刷データを合わせた状態で印刷することができる。
【0053】
図5、図6は、本発明の第3の実施の形態を示すもので、この実施の形態はターンバー構成の反転装置16の代りに迂回通路構成の反転装置16aを用いたものである。
【0054】
反転装置16aは、インクジェットプリンタ4による印刷部の上側と下側のそれぞれに輪転紙3の走行方向に離隔して設けた2本ずつのガイドロール17a,17b,18a,18bとからなっている。
【0055】
この第3の実施の形態にあっては、まず図5に示すように反転装置16aを通さないで紙通しして輪転紙3の表面に印刷を行う。このときは、給紙部2からの輪転紙3は順送され、その間にインクジェットプリンタ4にてこれの表面(上面)に印刷され、巻取部5にて巻き取られる。
【0056】
次にこのようにして表面印刷が終了して巻取部5に巻き取られた輪転紙3の裏面に印刷が行われるが、以下に表面印刷に対して裏面印刷が印字データ等による制限がない場合、すなわち1枚の枚葉紙としたときに裏面印刷を表面印刷の絵柄と対応する位置に印刷するようにした場合の裏面印刷作動を図6を用いて説明する。
【0057】
巻取部5に巻き取られた表面印刷の輪転紙3の終端部を反転装置16aの上側のガイドロール17a,17bに巻き掛けて、給紙部側の送りロール装置6aの給紙部側へ紙通しする。この状態で輪転紙3は反転され、給紙部側の送りロール装置6aから巻取部側の送りロール装置6bへ順送方向に紙通しされる輪転紙3は、未印刷の裏面が上側となってインクジェットプリンタ4に対向される。ついでこの輪転紙3を巻取部側の送りロール装置6bより反転装置16aの下側のガイドロール18a,18bに巻き掛けて逆送方向に紙通しして給紙部2に巻き取るようにする。
【0058】
この状態で輪転紙3の裏面にインクジェットプリンタ4にて印刷される。このときの給紙部2と巻取部5は、上記表面印刷時に対して逆転されて輪転紙3は巻取部5から繰り出され、給紙部2に巻き取られる。
【0059】
このとき給紙部側の送りロール装置6aを通る輪転紙3の表面の絵柄(タイミングマーク)は、この位置に配置したマークセンサ15にて検出され、このマークセンサ15から検出値に応じて、さらにフリーロール9のロータリーエンコーダ8cからの検出値により裏面印刷のインクジェットプリンタ4による印刷タイミングが制御されて、1枚の枚葉紙として表面の印刷に対応する位置に裏面印刷が行われる。
【0060】
図5に示される紙通しにて表面が印刷された後、この輪転紙3の表面に、表面印刷に対して印字データ等の制限があって表面に印刷された絵柄の印刷順序に裏面印刷の絵柄の印刷順序を合わせる、いわゆる印字データ等による制限が存在する場合の両面印刷を以下に説明する。
【0061】
まず、図5に示すように輪転紙3の表面の印刷が完了した後に、巻取部5に巻き取られた輪転紙3をそのまま逆走して給紙部2に巻き戻す。ついで、給紙部2と給紙部側の送りロール装置6a間にて輪転紙3を切断して、この輪転紙3を給紙部側から図7に示すように紙通しして裏面印刷を行う。
【0062】
すなわち、この裏面印刷時には給紙部2に巻き取った表面印刷済みの輪転紙3を給紙部側のダンサローラ装置10aから反転装置16aの下側のガイドロール18b,18aに巻き掛け、巻取部側の送りロール装置6bから給紙部側の送りロール装置6aへ通し、ついで反転装置16aの上側のガイドロール17b,17aに巻き掛けて巻取部5へ巻き取るように紙通しし、この状態で巻取部側の送りロール装置6bから給紙部側の送りロール装置6a側へ走行させることにより、両送りロール装置6a,6b間でインクジェットプリンタ4にて裏面印刷が行われる。このときの裏面印刷は、表面の絵柄(タイミングマーク)を検出するマークセンサ15とフリーロール9の回転を検出するロータリーエンコーダ8cからの検出値にて制御されて、この裏面印刷を表面の絵柄に印刷データを合わせることができる。
【0063】
なお、このときのインクジェットプリンタ4に対する輪転紙3の走行方向が表面と裏面の印刷で逆になるが、この両印刷はインクジェットプリンタ4の印刷制御により印字データを合わせることができる。
【0064】
上記した第1・第2の実施の形態を示す図1、図4において、第1の実施の形態での反転装置16は、給紙部2と給紙部側の送りロール装置6aの間に配置し、第2の実施の形態での反転装置16は、巻取部5と巻取部側の送りロール装置6bの間に配置した例を示したが、この第1・第2の実施の形態を随時実行することができるように、上記反転装置16を上記両位置にあらかじめ配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…両面印刷装置、2…給紙部、3…連続紙、4…インクジェットプリンタ(デジタル印刷機)、5…巻取部、6a,6b…送りロール装置、7…制御装置、8a,8b,8c…ロータリーエンコーダ、9…フリーロール、10a,10b…ダンサロール、11a,11b…ダンサロール元軸、12a,12b…ダンサ位置検出器、13…絵柄、14…タイミングマーク、15,15a…マークセンサ、16,16a…反転装置、17a,17b,18a,18b…ターンバー、M1,M2,M3,M4…駆動モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙部から巻取部にわたって走行する輪転紙の両面に1台のデジタル印刷機にて印刷を行う両面印刷装置において、
デジタル印刷機の輪転紙の走行方向両側に、輪転紙の上面をデジタル印刷機の下面に対向させて走行させる送りロール装置を順送と逆送可能にして設けると共に、上記給紙部と巻取部を各送りロール装置と同期して順送と逆送可能にし、
給紙部と給紙部側の送りロール装置との間、あるいは巻取部と巻取部側の送りロール装置との間のいずれか一方に、走行する輪転紙の上下面を反転する反転装置を輪転紙がパス可能にして設け、
デジタル印刷機の輪転紙の走行方向の少なくとも一方側で、かつデジタル印刷機により上面に印刷される輪転紙の走行方向上流側に、輪転紙の下面に印刷されているタイミングマークを検出するマークセンサを設け、
マークセンサの検出値に応じて輪転紙の下面に印刷されている絵柄に対応する絵柄が輪転紙の上面に印刷されるようデジタル印刷機を制御する制御装置と
からなることを特徴とする両面印刷装置。
【請求項2】
給紙部から巻取部にわたって走行する輪転紙の両面に1台のデジタル印刷機にて印刷を行う両面印刷装置において、
デジタル印刷機の輪転紙の走行方向両側に、輪転紙の上面をデジタル印刷機の下面に対向させて走行させる送りロール装置を順送と逆送可能にして設けると共に、上記給紙部と巻取部を各送りロール装置と同期して順送と逆送可能にし、
給紙部と巻取部のどちらか一方から給紙される輪転紙をデジタル印刷機を迂回して他方側の送りロール装置へ反転して走行させ、この他方側の送りロール装置から一方の送りロール装置側へ上面をデジタル印刷機の下面に対向させ、この一方の送りロール装置から上記給紙部と巻取部のどちらか他方へ再度反転させて紙通しすると共に、輪転紙がパス可能にした反転装置を設け、
デジタル印刷機の輪転紙の走行方向の少なくとも一方側で、かつデジタル印刷機により上面に印刷される輪転紙の走行方向上流側に、輪転紙の下面に印刷されているタイミングマークを検出するマークセンサを設け、
マークセンサの検出値に応じて輪転紙の下面に印刷されている絵柄に対応する絵柄が輪転紙の上面に印刷されるようデジタル印刷機を制御する制御装置と
からなることを特徴とする両面印刷装置。
【請求項3】
デジタル印刷装置に対して走行する輪転紙の走行距離を検出する走行距離検出器を設け、この走行距離検出器による検出値を上記マークセンサからの信号と共に制御装置に入力し、走行距離検出器からの信号により裏面印刷の印刷タイミングを制御するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の両面印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−206265(P2012−206265A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71677(P2011−71677)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000161057)株式会社ミヤコシ (122)
【Fターム(参考)】