説明

両面熱印刷

両面画像形成ダイレクト・サーマル・プリンタは、両面印刷機能の作動および停止を可能にするスイッチを含む。プリンタは、プリンタを通るフィード・パスに沿って移動するレシートまたは他のシート媒体の両面での印刷を可能にするように構成され、媒体フィード・パスの各面上にプリント・ヘッドを備える。関連するプリント・ヘッドの向かいのフィード・パスの各面上に、対向プラテンが配置される。記載されたスイッチは、シンプレックス・モード・ソフトウェアを使用して両面プリンタの利点を実行可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面2色熱印刷を行うサーマル・プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
取引文書またはレシートの2重または両面直接熱印刷については、米国特許第6,784,906号公報および第6,759,366号公報に記載されている。プリンタは、プリンタを通るフィード・パスに沿って移動する熱媒体の両面に印刷することが可能なように構成される。こうしたプリンタでは、ダイレクト・サーマル・プリント・ヘッドが、媒体フィード・パスの両側に配置される。サーマル・プリント・ヘッドは、プリント・ヘッドからのフィード・パスを横切る対向プラテンと向かい合う。
【0003】
直接熱印刷では、プリント・ヘッドは、紙、または感熱コーティングが施された基材を含む他のシート媒体に選択的に熱を加える。コーティングは、熱が加えられると変色し、これによりコーティングされた基材に「印刷」が提供される。両面直接熱印刷の場合、シート媒体基材は、両面をコーティングすることができる。
【特許文献1】米国特許第6,784,906号公報
【特許文献2】米国特許第6,759,366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2重または両面直接熱印刷について、材料を節約するため、および顧客に情報を提供する際の柔軟性を与えるために、紙のレシートの両面に可変情報を提供することに関して説明してきた。印刷は、電子的に、または両面印刷を指示するコンピュータ・アプリケーション・プログラムを使用するコンピュータによって、実行することができる。しかし、両面ダイレクト・サーマル・プリンタは、レシートまたは他の文書を印刷するためにシンプレックス・モード・プログラムと共に使用することもできることが望ましい。これにより、既存のアプリケーションまたは他のプログラムを置き換える必要なしに、またはこれを停止する必要なしに、プリンタのシンプレックス・モード機能のみを使用して両面サーマル・プリンタを使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
両面画像形成ダイレクト・サーマル・プリンタは、両面印刷機能の作動および停止を可能にする、例えば、ハードウェアまたはソフトウェア、またはその2つの組み合わせで実施されるスイッチを含む。このプリンタは、プリンタを通るフィード・パスに沿って移動する紙のレシート、文書、ラベル、または他の熱媒体の両面に印刷できるように構成され、媒体フィード・パスの各面上にプリント・ヘッドを備える。関連するプリント・ヘッドの向かいのフィード・パスの各面上に対向プラテンが配置される。上記スイッチは、レガシー・シンプレックス・モード・ソフトウェアを使用して両面プリンタの利点を実行可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
例を挙げると、本明細書では、本発明の様々な実施形態について、含まれる図面を参照しながら説明する。変形も適合可能である。
【0007】
図1は、発行時に取引レシートまたはチケットの両面シングルパス印刷に使用可能な両面画像形成ダイレクト・サーマル・プリンタ10を示す概略図である。プリンタ10は、米国特許第6,784,906号公報(特許文献1)および第6,759,366号公報(特許文献2)に記載されているような、感熱性染料で各面がコーティングされたセルロース系またはポリマー基材シートを含む両面感熱紙である印刷媒体20上で動作する。マルチカラー印刷が望ましい面で2つ以上の染料を使用することによって、レシートの両面にマルチカラー印刷機能を提供することができる。基材および直接熱印刷媒体に対する感熱変色コーティングは、通常、当業者であれば周知のものである。両面直接熱印刷は、媒体20の対向面に染料を含む媒体20と、媒体20の片面の熱印刷が媒体20の対向面の着色に影響しないように十分な耐熱性のある基材とによって容易に行うことができる。
【0008】
熱印刷媒体20は、グラフィックスまたはテキストあるいはその両方などの印刷が媒体20の両面に印刷可能な、例えば、バウチャー、クーポン、レシート、チケット、あるいは他の記事または文書などを提供するためのロール紙またはシートの形で供給することができる。
【0009】
図1に示されるように、プリンタ10は、印刷される熱媒体20の対向面に、回転プラテン30および40と、対向するサーマル・プリント・ヘッド50および60とを有する。媒体20の両面直接熱印刷は、取引時に、あるいはレシートまたはチケットの発行時に、シングルパスで実行される。媒体20は、通常、印刷完了時に、個々のレシートまたはチケット文書を提供するために切断または切り離すことができる。
【0010】
図2Aは、レシート80の表面に印刷された発行者識別、時間、日付、ライン・アイテム・エントリ、および取引合計金額などの取引の詳細70を示す。図2Bは、例えば、レシート80の裏面に印刷された、取引時に確認された受領者識別または取引の詳細に基づく顧客情報90を示す。例えば、顧客情報90は、別のまたは複製の取引情報、図に示されたようなクーポン、割り戻しまたはコンテスト情報、連載漫画、販売条件、文書画像、広告、セキュリティ機能、チケット情報、あるいは例えば受領者識別または取引のデータまたは詳細に基づく顧客情報などの他の情報を含むことができる。
【0011】
両面画像形成ダイレクト・サーマル・プリンタ10は、1つまたは複数の両面印刷機能の作動および停止を可能にするスイッチを含む。両面プリンタ10は、媒体フィード・パス25の対向面上にプリント・ヘッド50および60を備えたプリンタ10を通るフィード・パス25に沿って移動するレシートまたは他のシート媒体20の両面に印刷できるように構成される。プリント・ヘッド50および60は、対向プラテン30および40に関連付けられる。
【0012】
両面印刷機能スイッチは、プリンタ10上の機械的に作動されるスイッチ、または関連するホスト・コンピュータ上のプリンタ・ドライバによって、あるいはプリンタ10に常駐するファームウェアまたはソフトウェアによって動作する電子作動スイッチとすることができる。例えば、このスイッチは、プリンタ10に伝送されるコマンド・メッセージまたはエスケープ・シーケンスに応答して電子的に動作することができる。プリンタ制御言語またはジョブ言語(「PCL/PJL」)コマンドを使用することができる。例えば、関連するホスト・コンピュータで実施されるソフトウェア制御ユーティリティ・ページによって構成されるプリンタ・セットアップ構成設定も、両面またはデュプレックス・プリンタ10用の機能スイッチを電子的に作動させることができる。
【0013】
機能上、両面印刷機能スイッチは、データが印刷される印刷シート媒体20の面、または印刷シート媒体20上でデータが印刷される方向、または、プリンタ10が、シンプレックス片面印刷モード、またはデュプレックス両面印刷モードのどちらで動作するかを決定するように構成することができる。例えば、両面印刷機能スイッチの設定は、印刷されるデータ・ブロックの一部、例えば半分を、媒体20の一方の面に、および印刷される他の部分、例えば半分を、媒体20の裏面に整列させることができるか、あるいは他の設定は、データのそれぞれの部分が印刷される媒体の面を逆にすることができる。このようにして、関連する取引データの一部がレシートの一方の面に印刷され、取引データの残りの部分がレシートの他方の面に印刷される取引レシートを生成し、レシートの印刷に必要な媒体20の量を節約することができる。したがって両面印刷機能スイッチは、例えば、プリンタ10に伝送される制御コマンド・メッセージによって、媒体のある面上に印刷されるデータまたはデータ・ブロックの部分または量を決定するように構成することができる。別の方法としては、スイッチによって異なるデータ・ブロックを選択することができる。
【0014】
図3Aは、レシート100の表面110に関連する取引の詳細の一部が印刷された2面レシート100を示す。図3Bは、レシート100の裏面120に印刷された関連する取引データの残りの部分を示す、図3Aに示されたレシート100の裏面120を示す。レシート100の2面性、または表示されているレシート100のそれぞれの面を示すために、「表面」、「裏面」、「面1」、「面2」などの証印を、図に示されるように、レシート100の2つの面に含めることができる。レシートまたは取引番号、端末番号、店舗識別子、日付、時刻などの識別証印は、2つの面の複写された画像の関連付けを可能にするために、レシートの両面に印刷することができる。
【0015】
事前印刷データ格納機構を有する両面画像形成ダイレクト・サーマル・プリンタ10は、媒体20の一方の面にそれぞれ印刷され、例えば、媒体の他方の面にアプリケーション・ソフトウェアによって提出されたデータが印刷される1つまたは複数のデータ・ブロックを格納することができる。複数のデータ・ブロックがプリンタ・ストレージに格納された場合、印刷場所の選定が可能なように、ブロックを印刷のためのスイッチで択一的に選択することができる。
【0016】
上記両面画像形成ダイレクト・サーマル・プリンタ10は、シンプレックス・モードまたは他の片面の熱媒体印刷を可能にするレガシー・アプリケーション・プログラムまたは他のアプリケーション・プログラム・ソフトウェアで動作可能である。上記シンプレックス・モードまたは片面アプリケーション・プログラム・ソフトウェアの場合、両面印刷機能スイッチを使用して、デュプレックス・モードまたは他の両面熱媒体印刷が可能となる。シンプレックス・モード・アプリケーション・ソフトウェアは、従来、媒体の1面上に提示されたデータの印刷を制御するが、このスイッチは、手動設定、あるいはプリンタ10に伝送されるコマンド・メッセージまたはエスケープ・シーケンス、あるいは上記ドライバまたはユーティリティ・インタフェースを介した構成設定に応答して、1つまたは複数の両面印刷機能の作動および停止を可能にする。この機能により、カスタム・デュプレックス・モード・アプリケーションまたは他の新しいアプリケーション・プログラム・ソフトウェアに投資する前に、またはこれらに投資する必要なしに、レガシー・ソフトウェアによる両面ダイレクト・サーマル・プリンタの利点を実現することができる。
【0017】
それ故、シンプレックス・モードまたは片面印刷アプリケーション・プログラムは、媒体シート20の一方の面での直接熱印刷を制御することができ、両面印刷機能スイッチは、媒体の他方の面上での熱印刷を制御するように構成される。機能スイッチの制御下で印刷されるデータは、上記反復印刷のためにプリンタ10に格納されたデータ・ブロックとすることができる。例えば、印刷されるデータ・ブロックは、上記のようにコマンド・メッセージまたはエスケープ・メッセージによって選択することができる。
【0018】
片面印刷アプリケーション・プログラムによる媒体シート20の片面での印刷の制御を可能にすること、および、両面直接熱印刷機能を作動および停止する機能スイッチの動作によるシートの対向面上での印刷の制御を可能にすることによって、アプリケーション・プログラム・ソフトウェアに関する要件を簡略化することができる。両面直接熱印刷機能を動作させないシンプレックス・モードまたは他の片面印刷用のアプリケーション・プログラム・ソフトウェアを使用して、片面印刷アプリケーション・プログラムの制御下で、シート媒体20の対向面での印刷とは無関係に、格納済みデータをシート媒体20の片面上に印刷することを可能にする。それ故、この機能スイッチは、使用可能な既存のレガシー・プログラムまたは他の片面印刷アプリケーション・プログラム・ソフトウェアの制御下でシート媒体20上への両面印刷を可能にするように動作することができる。
【0019】
上記説明は、より広範囲にわたる発明のいくつかの特定の実施形態または実施例を示す。本発明は、本明細書に記載されていない多種多彩な他の代替方法でも実施することができる。本発明の多くの他の実施形態または変形形態も、添付の特許請求の範囲の範囲内で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】取引レシートまたはチケットなどの熱媒体の両面シングルパス印刷に使用可能な両面画像形成ダイレクト・サーマル・プリンタを示す概略図である。
【図2A】表面に取引の詳細が印刷されたレシートを示す図である。
【図2B】取引時に決定された可変格納情報などの補足情報が裏面に印刷されたレシートを示す図である。
【図3A】レシートの表面に関連する取引の詳細の一部が印刷された2面レシートを示す図である。
【図3B】関連する取引データの残りの部分が印刷された、図3Aに示されたレシートの裏面を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタを通るフィード・パスに沿って移動する熱媒体の両面での印刷を可能にするように構成される両面画像形成ダイレクト・サーマル・プリンタであって、前記フィード・パスの各面上のプリント・ヘッドと、前記フィード・パスの各面上の対向プラテンと、両面印刷機能の作動および停止を可能にするスイッチとを備えるサーマル・プリンタ。
【請求項2】
前記スイッチが、前記機能を作動または停止するために、前記プリンタに伝送される制御コマンド・メッセージによって動作される、請求項1に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項3】
前記制御コマンド・メッセージが、印刷されるデータと共に前記プリンタに伝送されるエスケープ・シーケンスの形である、請求項2に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項4】
前記スイッチが、ソフトウェア制御されるプリンタ・セットアップ構成設定によって動作される、請求項1に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項5】
前記スイッチが、機械的な手動ハードウェア・デバイスである、請求項1に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項6】
前記スイッチを動作させない片面印刷アプリケーション・プログラムによって、前記プリンタに、印刷されるデータが提供される、請求項1に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項7】
前記スイッチが、前記片面印刷アプリケーション・プログラムの制御下で、前記熱媒体上の両面印刷を可能にするように動作される、請求項6に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項8】
前記スイッチが、データが印刷される前記熱媒体の面を決定する、請求項1に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項9】
前記スイッチが、前記プリンタが、シンプレックス片面印刷モードまたはデュプレックス両面印刷モードのいずれで動作するかを決定する、請求項1に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項10】
前記スイッチが、前記熱媒体上にデータが印刷される方向を決定する、請求項1に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項11】
前記スイッチの1つの設定下で、印刷されるデータ・ブロックの半分が、前記熱媒体の一方の面に印刷され、前記データの他方の半分が、前記熱媒体の反対側の面に印刷される、請求項9に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項12】
前記スイッチの他の設定下で、データが印刷される熱媒体の面が逆にされる、請求項10に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項13】
前記プリンタに伝送される制御コマンド・メッセージが、前記熱媒体の一方の面に印刷されるデータの量を決定する、請求項1に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項14】
制御コマンド・メッセージが、前記熱媒体の一方の面に印刷されるデータ・ブロックを選択する、請求項1に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項15】
前記プリンタが、前記熱媒体のある面に反復的に印刷されるデータ・ブロックを格納するための記憶装置を含む、請求項1に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項16】
前記熱媒体の他方の面上での印刷が、片面印刷アプリケーション・プログラムによって制御される、請求項14に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項17】
前記熱媒体の前記一方の面上での前記データ・ブロックの印刷が、前記スイッチによって制御される、請求項15に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項18】
前記プリンタが、前記熱媒体の一方の面での印刷のために、複数の択一的に選択可能なデータ・ブロックを格納するための記憶装置を含む、請求項1に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項19】
前記プリンタに伝送される制御コマンド・メッセージによって、印刷のためのデータ・ブロックが選択される、請求項1に記載のサーマル・プリンタ。
【請求項20】
関連する取引データが印刷される取引レシートであって、前記取引データの一部が前記レシートの一方の面に印刷され、前記取引データの残りの部分が前記レシートの裏面に印刷される取引レシート。
【請求項21】
表示が印刷されるレシートの特定の面を識別するレシートの一方の面に印刷された表示を備える、請求項20に記載の取引レシート。
【請求項22】
前記レシートの両面に印刷があることを示すレシートの一方の面に印刷された表示を備える、請求項20に記載の取引レシート。
【請求項23】
印刷がある前記レシートの他方の面に注意を向けさせるレシートの一方の面に印刷された表示を備える、請求項20に記載の取引レシート。
【請求項24】
2つの面のコピーされた画像の関連付けを可能にするためのレシートまたは取引番号、端末番号、格納識別子、日付、時刻などの前記レシートの両方の面に印刷された識別表示を備える、請求項20に記載の取引レシート。
【請求項25】
片面印刷アプリケーション・プログラムによって媒体シートの一方の面での印刷の制御を可能にするステップと、両面印刷機能を作動および停止するスイッチの動作によって、前記媒体シートの反対の面での印刷の制御を可能にするステップとを含むダイレクト・サーマル・プリンタを使用する両面画像形成の方法。
【請求項26】
前記プリンタが、前記片面印刷アプリケーション・プログラムの制御下で、前記シートの反対側の印刷とは無関係に、前記シートの片面上に印刷されるデータの格納を可能にするメモリを含む、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2009−518211(P2009−518211A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550309(P2008−550309)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/043220
【国際公開番号】WO2008/076093
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】