説明

両面画像形成方法およびトナー

【課題】 両面に同等の平滑性を有する画像が形成された両面プリント物を形成することができる両面画像形成方法およびこれに用いるトナーの提供。
【解決手段】 特定の平滑処理装置を用いて、記録材の第1面上にトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却する第1面の平滑処理を行った後、記録材の第2面上にトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱して平滑処理を行う両面画像形成方法であって、DSC測定から求められる融解エネルギーΔHが0.2〜30J/g、120℃における貯蔵弾性率G´が1×103 〜3×105 、150℃における貯蔵弾性率G´が1×102 〜3×104 であるトナーを用いることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成方法を用いた両面画像形成方法およびこれに用いるトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
写真やポスターなどに代表されるプリント物は、従来から用いられている銀塩写真方式やグラビヤ印刷などの印刷方式に加え、最近では、デジタル処理技術などの発展により、インクジェット装置や電子写真方式の画像形成装置を用いて作製することもできるようになってきた。このような画像形成装置で作製された写真やポスターなどのプリント物の中には、記録材の全面が均一な光沢面とされた仕上がりの高光沢画像のものが求められることもある。
高光沢画像とは、いわゆる写真画質のような画像であり、具体的には60°光沢度が50以上であるような画像をいう。なお、60°光沢度が80以上であるような更なる高光沢画像については、20°光沢法を適用して測定された20°光沢度によってその光沢度が示される。
このような高光沢画像を形成するための方法として、加熱加圧ローラと、平滑面を有し当該平滑面が外周面となるよう加熱加圧ローラと支持ローラとに張架された無端状のベルトと、このベルトを加熱加圧ローラに対して押圧し、これにより当該ベルトとの間にニップ部が形成されるよう配置された加熱加圧ローラとを備え、ベルトの移動方向における加熱加圧ローラの下流側に冷却機構が配設された平滑処理装置を用いて、記録材上に形成されたトナー層をベルトの平滑面に密着させた状態で加熱、冷却を行う方法が提案されている(特許文献1)。
この方法によっては両面に同等の高光沢画像を形成することができないが、両面に同等の高光沢画像を形成する方法としては、表面(第1面)と裏面(第2面)とにおいて光沢処理時の装置の構成を変更させる方法(特許文献2)などが提案されている。
【0003】
しかしながら、特許文献2に開示された方法においては、用いる装置構成が複雑になり、その操作も非常に煩雑である、という問題がある。また、押圧力を均一にすることが困難であるために、面内における光沢度の均一性が得られず、光沢度にムラが生じるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−341619号公報
【特許文献2】特開2009−14823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、電子写真法によってその両面に同等の平滑性を有する画像が形成された両面プリント物を形成することができる両面画像形成方法およびこれに用いるトナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の両面画像形成方法は、加熱ローラと支持ローラとに張架された無端状の平滑処理用ベルトと、この平滑処理用ベルトを前記加熱ローラに対して押圧し、これにより当該平滑処理用ベルトとの間にニップ部が形成されるよう配置された加圧ローラとを備え、前記平面処理用ベルトの移動方向における加熱ローラの下流側に冷却機構が配設された冷却剥離システムを備えた平滑処理装置を用いて、
記録材の第1面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却することにより、前記トナー層の表面を平滑化する第1面の平滑処理を行い、
その後、記録材の第2面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱し、前記トナー層の平滑処理を行う両面画像形成方法において、
前記平滑処理装置のニップ部の温度が120℃以上であり、
少なくとも前記記録材の第1面上に担持されるトナー層を形成するトナーが、スチレン−アクリル系樹脂を含有する結着樹脂およびワックスを含有するトナー粒子よりなり、
当該トナーのDSC測定によって取得されるワックスの吸熱ピークから得られる融解ピーク面積から求められる融解エネルギーΔHが0.2〜30J/gであり、
120℃における貯蔵弾性率G´(120)が1×103 〜3×105 であり、かつ、150℃における貯蔵弾性率G´(150)が1×102 〜3×104 であるトナーを用いることを特徴とする。
【0007】
本発明の両面画像形成方法においては、前記記録材の第2面上に担持されるトナー層を形成するトナーが、第1面上に担持されるトナー層を形成するトナーと同一のものであることが好ましい。
【0008】
本発明の両面画像形成方法においては、前記被処理体上におけるトナー層が、少なくとも最表層がクリアトナーから構成されたものであることが好ましい。
【0009】
本発明の両面画像形成方法においては、前記トナーを構成する結着樹脂におけるスチレン−アクリル系樹脂の含有量が、全結着樹脂に対して50〜95質量%であり、
当該結着樹脂がポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
【0010】
本発明の両面画像形成方法においては、前記トナーが、120℃における貯蔵弾性率G´(120)が2×104 〜1×105 であり、かつ、150℃における貯蔵弾性率G´(150)が7×102 〜2×103 であるものであることが好ましい。
【0011】
本発明のトナーは、加熱ローラと支持ローラとに張架された無端状の平滑処理用ベルトと、この平滑処理用ベルトを前記加熱ローラに対して押圧し、これにより当該平滑処理用ベルトとの間にニップ部が形成されるよう配置された加圧ローラとを備え、前記平面処理用ベルトの移動方向における加熱ローラの下流側に冷却機構が配設された冷却剥離システムを備えた平滑処理装置を用いて、
前記平滑処理装置のニップ部の温度が120℃以上であり、
記録材の第1面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却することにより、前記トナー層の表面を平滑化する第1面の平滑処理を行い、
その後、記録材の第2面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱し、前記トナー層の平滑処理を行う両面画像形成方法において、少なくとも前記記録材の第1面上に担持されるトナー層を形成するトナーとして使用されるトナーであって、
スチレン−アクリル系樹脂を含有する結着樹脂およびワックスを含有するトナー粒子よりなり、
当該トナーのDSC測定によって取得されるワックスの吸熱ピークから得られる融解ピーク面積から求められる融解エネルギーΔHが0.2〜30J/gであり、
120℃における貯蔵弾性率G´(120)が1×103 〜3×105 であり、かつ、150℃における貯蔵弾性率G´(150)が1×102 〜3×104 であることを特徴とする。
【0012】
本発明のトナーにおいては、前記記録材の第2面上に担持されるトナー層を形成するトナーとして使用されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の両面画像形成方法によれば、第1面の平滑処理を経て得られる表面に平滑性を有する光沢トナー画像層が特定の貯蔵弾性率を有するトナーによって形成されているために、第2面に係る定着処理時または第2面の平滑処理時に熱を受けても、トナーの弾性回復が生じることが抑制され、従って、光沢トナー画像層の表面の平滑性が低下することが抑制されると共に、当該トナーがワックスの含有量が特定範囲内にあるためにワックスが加熱されて再結晶化することにより生じる平滑性の低下が抑制され、その結果、記録材の両面に同等の平滑性を有する光沢トナー画像層が形成された両面プリント物を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の両面画像形成方法に供される被処理体を説明するための模式断面図である。
【図2】本発明の両面画像形成方法に用いられる平滑処理装置が内蔵された画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
【図3】図2の平滑処理装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
【図4】本発明の両面画像形成方法に用いるトナーの温度に対する貯蔵弾性率G´の変化を示す曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0016】
図1は、本発明の両面画像形成方法に供される被処理体を説明するための模式断面図である。
本発明の両面画像形成方法は、下記に詳述する光沢処理装置1(図2参照)からなる特定の平滑処理装置を用いて、記録材Pの第1面上に電子写真法によって形成されたトナー層Taが担持されてなる被処理体W(図3参照)を加熱、冷却することにより、トナー層Taの表面を平滑化して光沢トナー画像層を形成する第1面の平滑処理(光沢処理)を行い、その後、第1の平滑処理がなされた記録材Pの第2面上に電子写真法によって形成されたトナー層Tbが担持されてなる被処理体W’を、光沢処理装置1を用いて加熱、冷却することにより、第2面に係るトナー層Tbの表面を平滑化して光沢トナー画像層を形成する第2面の平滑処理(光沢処理)を行い、これにより、その両面に光沢トナー画像層を有する両面プリント物を得る両面画像形成方法において、少なくとも第1面に係るトナー層Taを形成するトナーとして、下記に詳述する特定の貯蔵弾性率を有するトナーを用いることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の両面画像形成方法において、光沢処理に供される被処理体W,W’におけるトナー層Ta,Tbは、記録材P上に有彩色トナーまたはクリアトナーのうち少なくとも1種が供給されて形成された層をいい、具体的には、(1)全て粉体状の未定着トナーによって形成された層、(2)全て固化された定着トナーによって形成された層、(3)固化された定着トナーによって形成された層上に粉体状の未定着トナーによって形成された層が積層された層などを含む。
以下に説明する両面画像形成方法においては、光沢処理に供される被処理体W,W’におけるトナー層Ta,Tbが(2)全て固化された定着トナーによって形成された層とされる。
【0018】
トナー層Ta,Tbは、具体的には、有彩色トナーによって形成された単色画像によるトナー層、有彩色トナーの重ね合わせによって形成された多色画像によるトナー層、クリアトナーのみによるトナー層、有彩色トナーとクリアトナーによる重ね合わせによるトナー層のいずれからなっていてもよいが、トナー層Ta,Tbの最上層、すなわち光沢処理装置1の光沢処理用ベルト2からなる平滑処理用ベルトに接触されるべき層が、クリアトナーによる層とされることが好ましい。
トナー層Ta,Tbがクリアトナーによる層を含む場合、トナー層Ta,Tbの最上層に設けられることが好ましいが、これに限定されるものではない。
さらに、トナー層Ta,Tbの面積は特に限定されないが、トナー層Ta,Tbまたはその最上層がクリアトナーによる層とされる場合においては、当該クリアトナーによる層が記録材Pの全面に形成されていることが好ましい。クリアトナーによる層が記録材Pの全面に形成されることにより、例えば有彩色トナーによる画像が形成されない非画像部も平滑化して記録材Pに係る全面を平滑化する、すなわち全面に光沢を発現させることができる。
【0019】
図2は、本発明の両面画像形成方法に用いられる光沢処理装置が内蔵された画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
この画像形成装置は、画像形成処理とトナー層の光沢処理とを連続的に実行することのできるタンデム型のカラー画像形成装置である。
【0020】
この画像形成装置は、光沢処理に供されて光沢処理用ベルト2に直接接触されるトナー層の最上層となるクリアトナー像を形成するクリアトナー像形成部20Hと、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンまたは黒色の有彩色トナー像を形成する有彩色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkと、これらのクリアトナー像形成部20Hおよび有彩色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkにおいて形成されたトナー像を記録材P上に転写する中間転写部10と、記録材Pに対して加熱しながら加圧してトナー像を定着させてトナー層を得る定着処理を行う定着装置26と、当該トナー層の表面を平滑化する光沢処理装置1とを有する。
【0021】
有彩色トナー像形成部20Yにおいてはイエローのトナー像形成が行われ、有彩色トナー像形成部20Mにおいてはマゼンタ色のトナー像形成が行われ、有彩色トナー像形成部20Cにおいてはシアン色のトナー像形成が行われ、有彩色トナー像形成部20Bkにおいては黒色のトナー像形成が行われる。
【0022】
クリアトナー像形成部20Hは、静電潜像担持体である感光体11Hと、当該感光体11Hの表面に一様な電位を与える帯電手段23Hと、一様に帯電された感光体11H上に所望の形状の静電潜像を形成する露光手段22Hと、クリアトナーを感光体11H上に搬送して静電潜像を顕像化する現像手段21Hと、一次転写後に感光体11H上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段25Hとを備えるものである。
【0023】
また、有彩色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkは、静電潜像担持体である感光体11Y,11M,11C,11Bkと、当該感光体11Y,11M,11C,11Bkの表面に一様な電位を与える帯電手段23Y,23M,23C,23Bkと、一様に帯電された感光体11Y,11M,11C,11Bk上に所望の形状の静電潜像を形成する露光手段22Y,22M,22C,22Bkと、有彩色トナーを感光体11Y,11M,11C,11Bk上に搬送して静電潜像を顕像化する現像手段21Y,21M,21C,21Bkと、一次転写後に感光体11Y,11M,11C,11Bk上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段25Y,25M,25C,25Bkとを備えるものである。
【0024】
中間転写部10は、中間転写体16と、クリアトナー像形成部20Hによって形成されたクリアトナー像を中間転写体16に転写するための一次転写ローラ13Hと、有彩色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkによって形成された有彩色トナー像を中間転写体16に転写するための一次転写ローラ13Y,13M,13C,13Bkと、一次転写ローラ13Hによって中間転写体16上に転写されたクリアトナー像および一次転写ローラ13Y,13M,13C,13Bkによって中間転写体16上に転写された有彩色トナー像を記録材P上に転写する二次転写ローラ13Aと、中間転写体16上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段12とを有する。
中間転写体16は、複数の支持ローラ16a〜16dにより張架され、回動可能に支持された無端ベルト状のものである。
【0025】
定着装置26は、一対の加熱加圧ローラ27,28が互いに圧接されてその圧接部にニップ部N2が形成された状態に設けられてなるものである。
【0026】
〔光沢処理装置〕
光沢処理装置1は、記録材P上にトナー層Ta,Tbが形成されてなる被処理体W,W’について、加熱および加圧を施し、さらに冷却した後、光沢処理用ベルト2から剥離するまでの工程を一連に行うことができる。
【0027】
光沢処理装置1は、具体的には、一定速度で駆動される加熱ローラ3aと、平滑面を有し、当該平滑面が外周面となるよう加熱ローラ3a、剥離ローラ5aおよび支持ローラ6に張架された無端状の光沢処理用ベルト2と、この光沢処理用ベルト2を加熱ローラ3aに対して押圧し、これにより当該光沢処理用ベルト2との間にニップ部Nが形成されるよう配置された加圧ローラ3bとを備え、さらに、光沢処理用ベルト2の移動方向における加熱ローラ3aの下流側であって剥離ローラ5aの上流側に設けられた冷却機構4と、当該冷却機構4の下流側における剥離ローラ5aの付近に設けられた剥離機構5とを有する、冷却剥離システムを備えたものである。
【0028】
本発明の両面画像形成方法に使用される光沢処理用ベルト2は、その一面(外周面)が平滑面とされたものである。
この光沢処理用ベルト2の材料としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを基材として形成されたものが好適であり、継ぎ目のないシームレスベルトであっても、シート状のフィルムを継いでベルト状に加工した物であってもよい。
この光沢処理用ベルト2は、上記材料による基材上に離型層が形成されて、その外周面が当該離型層により構成されるものであってもよい。
【0029】
この光沢処理用ベルト2は、トナー層Ta,Tbに接触する側の表面(外周面)のナノインデンテーション法により測定される表面硬度が、0.35〜2GPaであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1GPaである。
ナノインデンテーション法により測定される表面硬度が0.35GPa以上であることにより、光沢処理用ベルト2に高い離型性が発現され、また、2GPa以下であることにより、トナー層Ta,Tbへの優れた追随性が得られる。
表面硬度は、ナノインデンテーション法によって測定され、具体的には、先端形状がダイヤモンドチップからなる圧子を光沢処理用ベルト2の外周面に押し込み、その時の圧子にかかる荷重Pと圧子の下の射影面積Aから求められるものである。
【0030】
また、この光沢処理用ベルト2は、トナー層Ta,Tbに接触する側の表面(外周面)の接触角が80〜130°であることが好ましく、接触角90〜110°であることがより好ましい。
接触角とは、光沢処理用ベルト2の純水に対する接触角をいう。本発明においては、接触角計「CA−DT−A型」(協和界面科学社製)を用いて、温度20℃、湿度50%RHの環境下で、任意の10箇所について測定したものの平均値である。
【0031】
光沢処理用ベルト2の厚さは、20〜250μmであることが好ましい。光沢処理用ベルト2の厚さがこの範囲にあることにより、搬送などの操作性、および熱伝導性の両方に優れる。
【0032】
光沢処理用ベルト2が離型層が形成された構成を有する場合において、当該離型層の厚さは、0.1〜50μmであることが好ましく、特に0.5〜10μmであることが好ましい。
離型層の材料としては、その外周面に低表面エネルギー性(例えば接触角が80〜130°)を得るために、例えばフッ素樹脂やポリシロキサンなどの材料が好適に用いられる。また、その外周面に適当な表面硬度を得るために、その他の化合物を併用することができ、例えばアクリル化合物などと共重合して得られた材料を用いることが好ましい。具体的には、フッ素樹脂、ポリシロキサン、およびフッ素樹脂/ポリシロキサン共重合体の中の少なくとも1種(以下、Xと称する)と、アクリル化合物(以下、Yと称する)とを、ラジカル重合により共重合させたものを用いることが好ましい。中でも、フッ素樹脂/ポリシロキサン共重合体と、アクリル化合物とをラジカル重合により共重合させたものを用いることがさらに好ましい。また、(X)と(Y)の共重合における(Y)の共重合比率は、5〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量%である。
【0033】
加熱ローラ3aおよび加圧ローラ3bが光沢処理用ベルト2を介して互いに圧接された状態に配置されている。具体的には、加熱ローラ3aおよび加圧ローラ3bの一方または両方が、その表面にシリコーンゴム層またはフッ素ゴム層が設けられたものとされ、これにより、加熱ローラ3a、加圧ローラ3bの圧接部にニップ部Nが形成される。このニップ部Nの幅は、例えば1〜8mm程度の範囲とされることが好ましい。
【0034】
加熱ローラ3aは、例えば、アルミニウムなどの金属製の基体表面に、シリコーンゴムなどからなる弾性体層が被覆されてなり、所定の外径に形成されたものとすることができる。加熱ローラ3aは、その内部に、加熱源3cとして例えば300〜350Wのハロゲンランプが配設されており、当該加熱ローラ3aの表面温度が所定温度となるように内部から加熱する構成とされている。
【0035】
加圧ローラ3bは、例えば、アルミニウムなどの金属製の基体表面に、シリコーンゴムなどからなる弾性体層が被覆されてなり、さらに、当該弾性体層表面にPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製のチューブなどによる離型層が被覆されて、所定の外径に形成されたものとすることができる。加圧ローラ3bは、加熱源を備えないものとして構成されている。この加圧ローラ3bには、所望により、冷却装置が設置されていてもよい。
【0036】
冷却機構4は、光沢処理用ベルト2の内周面側に存在してこれを張架している加熱ローラ3aと剥離ローラ5aとの間の領域に、当該光沢処理用ベルト2と非接触状態に配設され、当該領域に向かって冷却用のエアーを供給する冷却ファン4aと、光沢処理用ベルト2の外周面側の加圧ローラ3bと搬送補助ローラ5bとの間の領域に、当該光沢処理用ベルト2と非接触状態に配設され、当該領域に向かって冷却用のエアーを供給する2つの冷却ファン4b、4cおよびこれらにそれぞれヒートシンク4dが連接された冷却機構とよりなるものである。このような構成を有することにより、冷却機構4において、光沢処理用ベルト2の外周面側における加熱ローラ3aと剥離ローラ5aとの間の領域に、冷却領域Coが形成される。
【0037】
剥離機構5は、剥離ローラ5aと、加熱ローラ3aおよび支持ローラ6が剥離ローラ5aを支点として鋭角を形成する位置関係で配置されていることによって形成される、光沢処理用ベルト2の循環移動方向が大きく変化する光沢処理用ベルト2の屈曲部と、剥離ローラ5aに対向して、記録材P上にトナー層Taが形成されてなる被処理体Wの厚みと同等の離間距離または僅かに大きい離間距離を介して設けられた搬送補助ローラ5bとにより構成されるものである。
剥離ローラ5aのローラ径は、その曲率が記録材Pの剛性に対して制御されて剥離機構5において被処理体Wが光沢処理用ベルト2から剥離される径であればよく、例えばφ10〜40mmであることが好ましい。
【0038】
〔第1面に係る画像形成処理〕
以上のような画像形成装置においては、まず、クリアトナー像形成部20Hおよび有彩色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkにおいて、感光体11H,11Y,11M,11C,11Bk上に帯電手段23H,23Y,23M,23C,23Bkにより帯電され、露光手段22H,23Y,23M,23C,23Bkにより露光されることにより静電潜像が形成され、当該静電潜像が現像手段21H,21Y,21M,21C,21Bkにおいてトナーによって現像されることによりクリアトナー像および各色の有彩色トナー像が形成され、一次転写ローラ13H,13Y,13M,13C,13Bkにより中間転写体16上にクリアトナー像および各色の有彩色トナー像が順次に転写され、中間転写体16上において重ね合わされて未定着トナーによるトナー粉体層が形成される。一方、給紙カセット41内に収容された記録材Pが、給紙搬送手段42により給紙され、複数の給紙ローラ44a,44b,44c,44dおよびレジストローラ46によって搬送され、二次転写ローラ13Aにおいて当該記録材Pの第1面上に中間転写体16上のトナー粉体層が一括して転写される。その後、記録材Pの第1面上に転写されたトナー粉体層が定着装置26において加圧および加熱により定着されることにより、トナー層Taが形成される。
【0039】
記録材Pの第1面上に転写されたトナー粉体層は、記録材Pの第1面上において、記録材P側から黒色のトナー像、シアンのトナー像、マゼンタのトナー層、イエローのトナー層、クリアトナー層がこの順に重ねられたものであり、定着装置26において定着されて得られたトナー層Taは、その最上層がクリアトナーによる層である構成を有するものとなる。
トナー層Taにおけるクリアトナーによる層の厚みは、例えば2〜50μmとされることが好ましい。
【0040】
〔第1面に係る定着処理条件〕
定着装置26による定着処理条件は、加熱温度が150〜230℃、好ましくは160〜190℃であり、かつ、ニップ時間が10〜300msec、好ましくは20〜70msecであることが好ましい。
定着装置26における加熱温度とは、記録材P上に転写されたトナー粉体層が接触する加熱加圧ローラ27の表面温度をいう。
また、ニップ時間とは、ニップ部N2の搬送方向長さ(mm)/線速(mm/sec)×1000から算出されるものである。
【0041】
クリアトナー像または各色の有彩色トナー像を中間転写体16に転写させた後の感光体11H,11Y,11M,11C,11Bkは、クリーニング手段25H,25Y,25M,25C,25Bkにより当該感光体11H,11Y,11M,11C,11Bkに残留したトナーを除去した後に、次のクリアトナー像または各色の有彩色トナー像の形成に供される。
一方、二次転写ローラ13Aにより記録材P上にクリアトナー像および各色の有彩色トナー像を転写した後の中間転写体16は、クリーニング手段12により当該中間転写体16上に残留したトナーを除去した後に、次のクリアトナー像および各色の有彩色トナー像の中間転写に供される。
【0042】
〔第1面の光沢処理〕
以上のように第1面に係る画像形成処理を経て記録材Pの第1面上にトナー層Taが形成された被処理体Wに対して、光沢処理が行われる。
すなわち、被処理体Wが、当該被処理体Wのトナー層Taが光沢処理用ベルト2の平滑面に接触する状態でニップ部Nにおいて加熱ローラ3aおよび加圧ローラ3bの駆動によって挟持搬送される。ニップ部Nにおいては、トナー層Taが加熱されて溶融されると同時に加圧されて光沢処理用ベルト2の外周面の平滑面形状にならって均一な厚みを有する層となった状態に融着する(加熱加圧工程)。
この融着によって光沢処理用ベルト2の外周面に被処理体Wが密着した状態とされ、当該光沢処理用ベルト2が矢印方向に循環移動することによって被処理体Wが冷却領域Coに移動される。
被処理体Wは、冷却機構4を通過する間に冷却ファン4a〜4cから供給されるエアーによって強制的に冷却されてトナー層Taの固化が促進され、これにより、トナー層Taの表面が平滑化されて光沢トナー画像層が形成される(冷却工程)。
そして、剥離機構5に搬送された被処理体Wは、その裏面(第2面)が搬送補助ローラ5bに接触して保持され、この状態において光沢処理用ベルト2の屈曲部に到達し、当該屈曲部において光沢処理用ベルト2の循環移動方向が大きく変化するときに、被処理体Wを構成する記録材P自身の剛性(腰)によって光沢処理用ベルト2から剥離される。そして、搬送補助ローラ5bに重心が移動することにより光沢処理用ベルト2からの剥離が促進され、記録材Pの第1面上に光沢トナー画像層を有する片面プリント物が得られる(剥離工程)。剥離する際の線速は、20〜200mm/secとされることが好ましく、さらに好ましくは20〜100mm/secである。
【0043】
加熱加圧工程における加熱温度は、例えば120〜200℃とされ、特に140〜180℃とされることが好ましい。
加熱加圧工程における加熱温度は、被処理体Wがニップ部Nを通過する間にトナー層Taのクリアトナーによる最上層が溶融され、他の有彩色トナーによる層が溶融されない温度とされることが好ましい。
加熱加圧工程における加熱温度とは、被処理体Wをニップ部Nにおいて加熱加圧したときの、光沢処理用ベルト2の平滑面と反対側の面(内側面)における表面温度をいい、具体的には、赤外線放射温度計「IR0510」(ミノルタ社製)を用いて当該光沢処理用ベルト2の内側面について、ニップ部Nの出口から5〜10cmの位置の表面温度を測定したものとされる。加熱加圧工程における加熱温度は、具体的には、加熱ローラ3aのローラ表面温度を制御することにより、調整することができる。
【0044】
加熱加圧工程における加圧の大きさは、例えば0.80MPa以下とされることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.70MPaである。
加圧の大きさが0.80MPaを超える場合は、トナー層Taの厚みが小さい場合に記録材Pが損傷するおそれがある。
【0045】
このような加熱加圧工程の時間、すなわち加熱および加圧がなされる時間は、トナー層Taを構成するトナーの熱特性や加熱温度および加圧の大きさによっても異なるが、例えば0.03〜0.4secとされることが好ましく、より好ましくは0.08〜0.35secである。
【0046】
冷却工程においては、トナー層Taを構成するトナーの熱特性によっても異なるが、例えば冷却温度が30〜90℃、好ましくは40〜60℃となるまで冷却が行われる。
ここに、冷却温度とは、剥離されるときの光沢処理用ベルト2のトナー層Taと接触している平滑面と反対側の面の表面温度をいい、具体的には、赤外線放射温度計「IR0510」(ミノルタ社製)を用いて当該光沢処理用ベルト2の面について、冷却領域Coにおける表面温度を測定したものとされる。例えば、剥離ローラ5aによって剥離される位置の手前5〜10cmの位置の表面温度とされる。
【0047】
〔第2面に係る画像形成処理〕
以上のように光沢処理装置1を通過し、記録材Pの第1面上に光沢トナー画像層を有する被処理体Wは、一度排紙ローラ47を有する排紙搬送路に一旦搬送された後、逆方向に搬送されて分岐板29により排紙搬送路より分岐させて搬送路48a,48bを経由して反転機構(図示せず)によって反転搬送され、二次転写ローラ13Aに搬送される。
一方、クリアトナー像形成部20Hおよび有彩色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkにおいては、第1面に係る画像形成処理と同様にしてトナー粉体層が形成され、このトナー粉体層が二次転写ローラ13Aに搬送された記録材Pの第2面上に転写される。
その後、記録材Pの第2面上に転写されたトナー粉体層が定着装置26において加圧および加熱により定着されることにより、トナー層Tbが形成される。
【0048】
第2面に係る定着処理条件は、第1面に係る定着処理条件と同じとすることができる。
定着装置26における加熱時間が過度に高い、または、ニップ時間が過度に長い場合は、定着装置26において付与された熱によって記録材Pの第1面上に形成された光沢トナー画像層を構成するトナーに弾性回復が強く生じるおそれがあり、これにより、当該光沢トナー画像層の平滑性が低下し、得られた両面プリント物における第1面に所期の平滑性が得られないおそれがある。
【0049】
〔第2面の光沢処理〕
以上のように第2面に係る画像形成処理を経て記録材Pの第2面上にトナー層Tbが形成された被処理体W’に対して、光沢処理が行われる。具体的には第1面の光沢処理と同様にして行うことができる。
第2面の光沢処理を経て得られた記録材Pの両面に光沢トナー画像層を有する両面プリント物は、排紙ローラ47によって機外に排出されて排紙トレイ40上に載置される。
【0050】
〔トナー〕
本発明の両面画像形成方法に用いるトナーは、静電荷像現像用のトナー粒子よりなり、少なくとも記録材Pの第1面上に形成されたトナー層Taを形成するトナーについては、下記の条件を満たすものである。第2面上に形成されたトナー層Tbを形成するトナーとしても、同じものを用いることが好ましい。
(1)スチレン−アクリル系樹脂を含有する結着樹脂およびワックスを含有する。
(2)トナー粒子におけるワックスの吸熱ピークから得られる融解ピーク面積から求められる融解エネルギーΔHが特定範囲内にある。
(3)特定の貯蔵弾性率G´を有する。
【0051】
トナーとしては、有彩色トナーやクリアトナーが挙げられる。
ここに、有彩色トナーとは、光吸収や光散乱による着色を目的とした着色剤を含有するトナーのことをいい、また、クリアトナーとは、光吸収や光散乱の作用により色が認識されないトナーのことをいう。クリアトナーは実質的に無色透明であればよく、例えば、顔料、染料などの着色剤を含まないトナーや、顔料、染料などの着色剤を色認識できない程度に含むトナー、結着樹脂やワックス、外添剤の種類や添加量により透明度が若干低くなっているトナーなどが挙げられる。
クリアトナーは、例えば有彩色トナーによって形成されたトナー像上に当該クリアトナーによる層を重ねることによって、得られる光沢トナー画像層において高い平滑性、すなわち高い光沢性を得るために用いられる。
【0052】
〔結着樹脂〕
本発明の両面画像形成方法に用いるトナーを構成する結着樹脂は、少なくともスチレン−アクリル系樹脂を含むものである。
結着樹脂におけるスチレン−アクリル系樹脂の割合は、50〜95質量%であることが好ましい。
結着樹脂におけるスチレン−アクリル系樹脂の割合が50質量%未満である場合は、トナー層Ta,Tbを確実に平滑化することができないおそれがある。
【0053】
結着樹脂を構成するスチレン−アクリル系樹脂以外の樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などを挙げることができ、特にポリエステル樹脂を用いることが好ましい。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
結着樹脂を構成するスチレン−アクリル系樹脂以外の樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合は、結着樹脂におけるポリエステル樹脂の割合が例えば1〜70質量%とされることが好ましい。
【0054】
〔ワックス〕
トナーに含有されるワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
これらの中でも、溶融状態から固化する結晶化に際して異方性を有さないことにより光沢トナー画像層内における透明性の向上が図られることから、結晶化度が低いものを用いることが好ましく、例えば、パラフィンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜蝋ワックスなどを用いることが好ましい。
【0055】
トナー粒子中のワックスの含有量は、トナーのDSC測定によって取得されるワックスの吸熱ピークから得られる融解ピーク面積から求められる融解エネルギーΔHによって示され、本発明に係るトナーにおいては、当該ΔHが0.2〜30J/gとなる量であり、好ましくはΔHが0.4〜13J/gとなる量である。
トナー粒子中のワックスの含有量が過少である場合は、定着装置26の加熱加圧ローラ27,28からの分離が困難になるおそれがあり、また、トナー粒子中のワックスの含有量が過多である場合は、第2面の光沢処理時の記録材Pの第1面上に形成された光沢トナー画像層におけるワックスの溶融・再結晶化による平滑性の低下が大きいために、記録材Pの第1面上に所期の平滑性を有する光沢トナー画像層を形成することができないおそれがある。
【0056】
トナーのDSC測定は、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて、以下のように行われる。
具体的には、測定手順としては、トナー3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行った。
そして、融解エネルギーΔH(J/g)は、その2nd.Heatにおけるワックス由来の吸熱ピークから単位質量当たりの熱量を算出することによって得られた値である。
【0057】
〔着色剤〕
トナーが有彩色トナーである場合、当該トナーに含有される着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
カラーのトナーを得るための着色剤としては、具体的には、顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ13、同31、同43、C.I.ピグメントブルー15:3、同60、同76などを挙げることができ、染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
これら着色剤のトナー粒子中における数平均一次粒子径は、着色剤の種類などにより異なるが、概ね10〜200nm程度であることが好ましい。
【0059】
着色剤の含有量は、トナー中に1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜8質量%である。着色剤の含有量がトナー中に1質量%未満である場合は、得られるトナーが着色力の不足したものとなるおそれがあり、一方、着色剤の含有量がトナー中の10質量%を超える場合は、着色剤の遊離やキャリアなどへの付着が発生し、帯電性に影響を与える場合がある。
【0060】
〔トナーの貯蔵弾性率〕
本発明の両面画像形成方法に用いるトナーの貯蔵弾性率G´は、120℃における貯蔵弾性率G´(120)が1×103 〜3×105 であり、かつ、150℃における貯蔵弾性率G´(150)が1×102 〜3×104 であり、好ましくは120℃における貯蔵弾性率G´(120)が2×104 〜1×105 であり、かつ、150℃における貯蔵弾性率G´(150)が7×102 〜2×103 である。
光沢処理装置1のニップ部Nの温度が120℃以上、すなわち光沢処理用ベルト2の内側面の表面温度が120℃以上とされるとき、当該ニップ部Nを通過するトナーの粘弾性状態は、当該トナーが120〜150℃である場合の粘弾性状態に近いと推定される。
従って、トナーが上記の貯蔵弾性率G´を有するものであることにより、第1面の光沢処理を経て得られる光沢トナー画像層が、第2面の光沢処理時に熱を受けても、トナーの弾性回復が生じることが抑制され、従って、第1面に係る光沢トナー画像層の表面の平滑性が低下されることを抑制することができるものと推測される。貯蔵弾性率G´(120)または貯蔵弾性率G´(150)が規定範囲より高い場合は、第1面の光沢処理時にトナーの溶融が十分に得られず、第2面の光沢処理時に第1面に係る光沢トナー画像層のトナーの弾性回復が生じて当該光沢トナー画像層の平滑性が低下する。また、貯蔵弾性率G´(120)または貯蔵弾性率G´(150)が規定範囲よりも低い場合は、ホットオフセット現象が発生する。
本発明の両面画像形成方法に用いるトナーの温度に対する貯蔵弾性率G´の変化を示す曲線の一例を図4に示す。
【0061】
トナーの貯蔵弾性率G´は、「MR−500型ソリキッドメータ」(レオロジ社製)を用いて、以下の手順(1)〜(4)に従って測定された複素弾性率G* から算出されるものである。
(1)トナーを温度20±1℃、相対湿度50±5%RHの環境下において、測定試料シャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、0.6gを圧縮成型器に装填し、3tの荷重を30秒間加えることにより、直径1cmのペレットを作製する。
(2)ペレットを直径0.977cmのパラレルプレートに装填する。
(3)測定部温度をトナーの軟化点−20℃、パラレルプレートギャップを3mmに設定する。この設定により、測定部はトナーの軟化点−20℃に加熱され、ギャップが3mmになるまでペレットは圧縮される。その後、35℃まで放冷する。
(4)測定部温度を35℃に設定した後、周波数1.0Hzの正弦波振動を加えながら、測定部を毎分5℃の昇温速度で200℃まで昇温し、120℃から150℃における複素弾性率G* を測定する。ひずみ角は自動ひずみ制御にて行う。
トナーの貯蔵弾性率G´は、例えば結着樹脂を構成する高分子成分の分子量や、用いる単量体の種類、組成比などを制御することにより、調整することができる。
【0062】
また、トナーの軟化点は、トナーの定着性の観点から、80〜140℃であることが好ましく、より好ましくは90〜120℃である。
トナーの軟化点は、下記に示すフローテスターによって測定されるものである。
具体的には、まず、20℃、50%RHの環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、トナーの軟化点とされる。
【0063】
また、トナーに含有される結着樹脂全体の分子量としては、数平均分子量(Mn)が好ましくは3,000〜6,000、より好ましくは3,500〜5,500、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2.0〜6.0、好ましくは2.5〜5.5である。
【0064】
トナーに含有される結着樹脂の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定試料をトナーとして測定されるものであり、具体的には、以下のように行われる。
すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料(トナー)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102 、2.1×103 、4×103 、1.75×104 、5.1×104 、1.1×105 、3.9×105 、8.6×105 、2×106 、4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。また、検出器には屈折率検出器を用いる。
【0065】
〔トナーの平均粒径〕
以上のようなトナーは、その平均粒径が体積基準のメディアン径で3〜10μmであることが好ましく、より好ましくは6〜9μmである。このトナーの平均粒径は、例えば、使用する凝集剤(塩析剤)の濃度や凝集停止剤の添加のタイミング、凝集時の温度、重合体の組成によって制御することができる。体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
【0066】
トナーの体積基準のメディアン径は、「コールターカウンターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定・算出したものである。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の電解液「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。測定装置において、測定粒子カウント数を25,000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径(体積D50%径)を体積基準のメディアン径とする。
【0067】
〔トナーの平均円形度〕
また、以上のようなトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.850〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.900〜0.995である。
この平均円形度が0.850〜1.000の範囲にあることにより、記録材Pに転写されたトナー層におけるトナー粒子の充填密度が高くなって定着性が向上し、定着オフセットが発生しにくくなる。また、個々のトナー粒子が破砕しにくくなって摩擦帯電付与部材の汚染が減少し、トナーの帯電性が安定する。
【0068】
トナーの平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。具体的には、トナーを界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出した値である。HPF検出数が上記の範囲であれば、再現性が得られる。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
【0069】
〔トナーの製造方法〕
以上のようなトナーを製造する方法としては、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法などが挙げられる。
これらの中でも、高画質化、高安定性に有利となる粒子径の均一性、形状の制御性、コアシェル構造形成の容易性の観点より、乳化凝集法を採用することが好ましい。
乳化凝集法は、界面活性剤や分散安定剤によって分散された樹脂微粒子の分散液を、必要に応じて着色剤微粒子などのトナー粒子構成成分の分散液と混合し、凝集剤を添加することによって所望のトナーの粒子径となるまで凝集させ、その後または凝集と同時に、樹脂微粒子間の融着を行い、形状制御を行うことにより、トナー粒子を製造する方法である。
ここで、樹脂微粒子を、任意に離型剤、荷電制御剤などの内添剤を含有したものとしてもよく、組成の異なる樹脂によりなる2層以上の構成とする複数層で形成された複合粒子とすることもできる。
また、凝集時に、異種の樹脂微粒子を添加し、コアシェル構造のトナー粒子とすることもトナー構造設計の観点から好ましい。
樹脂微粒子は、例えば、乳化重合法、ミニエマルション重合法、転相乳化法などにより製造、またはいくつかの製法を組み合わせて製造することができる。樹脂微粒子に内添剤を含有させる場合には、中でもミニエマルション重合法を用いることが好ましい。
【0070】
〔外添剤〕
上記のトナー粒子は、そのままで本発明に係るトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して本発明に係るトナーを構成してもよい。
【0071】
後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、光沢処理が行われていることが好ましい。
【0072】
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0073】
〔現像剤〕
以上のようなトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
【0074】
キャリアの体積基準のメジアン径としては20〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは20〜60μmとされる。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0075】
〔記録材〕
本発明の両面画像形成方法に用いる記録材Pとしては、光沢トナー画像層を保持することができるものであればよく、具体的には、例えば薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙などの各種の印刷用紙などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
以上のような両面画像形成方法によれば、第1面の光沢処理を経て得られる表面に平滑性を有する光沢トナー画像層が特定の貯蔵弾性率を有するトナーによって形成されているために、第2面の光沢処理時に熱を受けても、トナーの弾性回復が生じることが抑制され、従って、光沢トナー画像層の表面の平滑性が低下することが抑制されると共に、当該トナーがワックスの含有量が低いものであるためにワックスが加熱されて再結晶化することにより生じる平滑性の低下が抑制され、その結果、記録材Pの両面に同等の平滑性を有する光沢トナー画像層が形成された両面プリント物を容易に形成することができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、上述の光沢処理装置からなる平滑処理装置は、画像形成装置に内蔵された構成とされることに限定されず、例えば適宜の画像形成装置に接続させてフィニッシャーとして使用する構成のものとしてもよい。
このような構成の画像形成装置および光沢処理装置を用いる両面画像形成方法においては、記録材の第1面に係る画像形成処理および第1面の光沢処理を行った後、当該記録材の第2面に係る画像形成処理のみを行って両面プリント物を得る場合も、第2面に係る画像形成処理の定着処理時に第1面上に形成された光沢トナー画像層に熱が不可避的に付与されるが、第1面の光沢処理を経て得られる光沢トナー画像層が、特定の貯蔵弾性率を有するトナーによって形成されているので、トナーの弾性回復が生じることが抑制され、従って、当該光沢トナー画像層の表面の平滑性が低下することが抑制されてると共に、当該トナーがワックスの含有量が低いものであるためにワックスが加熱されて再結晶化することにより生じる平滑性の低下が抑制され、その結果、第1面の光沢処理を経て得られた光沢トナー画像層の所期の平滑性が維持される。
【0078】
また例えば、本発明の両面画像形成方法は、記録材上にトナー層を担持させるまでの工程を行う画像形成装置と、光沢処理装置とを別個に設置し、順に使用して行うこともできる。
【0079】
また例えば、上述の例の両面画像形成方法においては、各トナー層が、記録材上に有彩色トナー像およびクリアトナー像がこの順に重ねられたトナー粉体層に対して、同時に定着処理を施して得られるものとして説明したが、これに限定されず、例えば、まず、記録材上に有彩色トナー像によるトナー粉体層に対して定着処理を施し、次いで、得られた有彩色トナー層上にクリアトナー像を転写して当該クリアトナー像からなるトナー粉体層に対して定着処理を施すことにより、有彩色トナー層上にクリアトナーによる層が積層されてなるトナー層を得てもよい。複数種類のトナーを用いてトナー層を得る場合、複数種類のトナーからなるトナー粉体層に対して同時に定着処理を施す方式によってトナー層を得ることが好ましい。
【0080】
また例えば、上述の両面画像形成方法においては、光沢処理に供される被処理体におけるトナー層は全て固化された定着トナーによって形成された層であるが、全て粉体状の未定着トナーによって形成された層としてもよく、また、固化された定着トナーによって形成された層上に粉体状の未定着トナーによって形成された層が積層された層としてもよい。
全て粉体状の未定着トナーによって形成された層とする場合は、例えば上記の画像形成装置において定着装置を有さない構成の画像形成装置を用いて、光沢処理装置において定着と光沢処理とを同時に行えばよい。
また、固化された定着トナーによって形成された層上に粉体状の未定着トナーによって形成された層が積層された層とする場合は、上記の画像形成装置において、まず、有彩色トナーによる定着トナー層を形成し、次いでクリアトナーによる未定着トナーによる層を形成し、これを被処理体として光沢処理装置において光沢処理を行えばよい。
【0081】
さらに例えば、上述の両面画像形成方法において、光沢処理の剥離工程の具体的な実施方法は、剥離ローラ5aの曲率と記録材Pの剛性を利用する方法に限定されず、例えばエアーを吹き付ける方法や、分離爪を設ける方法を採用することもできる。
【実施例】
【0082】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、クリアトナーの貯蔵弾性率G´および融解エネルギーΔHは、上述の通りに測定した。
【0083】
〔樹脂微粒子分散液の調製例1〕
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)4質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を75℃とした後、
スチレン 567質量部
n−ブチルアクリレート 165質量部
メタクリル酸 68質量部
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃で2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合(第1段重合)反応を行うことにより、樹脂微粒子〔A1〕が分散された分散液〔A1〕を調製した。樹脂微粒子〔A1〕の重量平均分子量を測定したところ、300,000であった。
【0084】
(2)第2段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1270質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、80℃に加熱した後、上記の分散液〔A1〕を固形分換算で40質量部投入し、さらに、
スチレン 129質量部
n−ブチルアクリレート 47質量部
メタクリル酸 15質量部
n−オクチルメルカプタン 0.5質量部
ワックス「HNP−57」(日本精鑞社製) 80質量部
からなる単量体混合液を80℃で溶解させた単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、1時間混合分散させ、乳化粒子を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃で1時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第2段重合)反応を行うことにより、樹脂微粒子〔A2〕が分散された分散液〔A2〕を調製した。
【0085】
(3)第3段重合
上記の分散液〔A2〕に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、
スチレン 417質量部
n−ブチルアクリレート 131質量部
メタクリル酸 23質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第3段重合)反応を行った後、28℃まで冷却することにより、複合樹脂微粒子よりなる樹脂微粒子〔1〕が分散された樹脂微粒子分散液〔1〕を得た。
【0086】
〔クリアトナーの作製例1〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、樹脂微粒子分散液〔1〕を固形換算分で450質量部、イオン交換水1100質量部およびドデシル硫酸ナトリウム2質量部を投入して撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整した後、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物70質量部をイオン交換水75質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃で10分間かけて添加し、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温させ、85℃に保特させたまま樹脂微粒子〔1〕の凝集、融着を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて形成されている凝集粒子の粒径を測定し、凝集粒子の体積基準のメディアン径が6.7μmになった時点で、塩化ナトリウム200質量部をイオン交換水860質量部に溶解させた水溶液を添加して凝集を停止させた。
凝集停止後、熟成処理として液温を98℃にして加熱撹拌を8時間行って凝集粒子の微粒子間の融着を進行させてトナー母体粒子〔1〕を形成した。熟成処理の後、液温を30℃に冷却し、塩酸を使用して液中のpHを2に調整して撹拌を停止した。
得られたトナー母体粒子〔1〕をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械(株)製)を用いて固液分離し、トナー母体粒子〔1〕のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄した後、「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業(株)製)に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行うことにより、トナー母体粒子〔1〕を得た。
このトナー母体粒子〔1〕100質量部に対してヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm、疎水化度68)1.0質量部およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm、疎水化度63)0.3質量部からなる外添剤を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)で外添処理を行うことにより、クリアトナー〔1〕を作製した。なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
このクリアトナー〔1〕の120℃における貯蔵弾性率G´(120)、150℃における貯蔵弾性率G´(150)、および融解エネルギーΔHを表1に示す。
【0087】
〔クリアトナーの作製例2〕
トナーの製造例1において、第2段重合工程におけるワックス「HNP−57」の添加量を141質量部に変更したことの他は同様にして、クリアトナー〔2〕を作製した。
【0088】
〔クリアトナーの作製例3〕
トナーの製造例1において、第2段重合工程におけるワックス「HNP−57」の添加量を8質量部に変更したことの他は同様にして、クリアトナー〔3〕を作製した。
【0089】
〔クリアトナーの作製例4〕
トナーの製造例1において、第3段重合工程における単量体混合液として下記の処方からなるものを用いたことの他は同様にして、クリアトナー〔4〕を作製した。
スチレン 386質量部
n−ブチルアクリレート 141質量部
メタクリル酸 45質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
【0090】
〔クリアトナーの作製例5〕
トナーの製造例1において、第3段重合工程における単量体混合液として下記の処方からなるものを用いたことの他は同様にして、クリアトナー〔5〕を作製した。
スチレン 423質量部
n−ブチルアクリレート 143質量部
メタクリル酸 6質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
【0091】
〔クリアトナーの作製例6〕
トナーの製造例1において、第2段重合工程におけるワックス「HNP−57」の添加量を62質量部に変更したことの他は同様にして、クリアトナー〔6〕を作製した。
【0092】
〔クリアトナーの作製例7〕
トナーの製造例1において、第2段重合工程におけるワックス「HNP−57」の添加量を31質量部に変更したことの他は同様にして、クリアトナー〔7〕を作製した。
【0093】
〔クリアトナーの作製例8〕
トナーの製造例1において、第3段重合工程における単量体混合液として下記の処方からなるものを用いたことの他は同様にして、クリアトナー〔8〕を作製した。
スチレン 411質量部
n−ブチルアクリレート 126質量部
メタクリル酸 34質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
【0094】
〔クリアトナーの作製例9〕
トナーの製造例1において、第3段重合工程における単量体混合液として下記の処方からなるものを用いたことの他は同様にして、クリアトナー〔9〕を作製した。
スチレン 423質量部
n−ブチルアクリレート 137質量部
メタクリル酸 11質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
【0095】
〔シアントナーの作製例1〕
クリアトナーの作製例1において、樹脂微粒子〔1〕を凝集させる工程において、樹脂微粒子分散液〔1〕と共に下記のように調製した着色剤微粒子分散液〔1〕145質量部を添加したことの他は同様にして、カラートナー〔10〕を作製した。
(着色剤微粒子分散液の調製例1)
n−ドデシル硫酸ナトリウム27質量部をイオン交換水500質量部に撹拌溶解し、撹拌を継続しながら、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3を10質量部、徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散された着色剤微粒子分散液〔1〕を調製した。この着色剤分散液〔1〕における着色剤微粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、体積基準のメジアン径で98nmであった。
【0096】
〔クリアトナーの作製例11〕
(1)ポリエステル樹脂の作製
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物316質量部、テレフタル酸80質量部、無水マレイン酸34質量部、および重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2質量部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂のガラス転移点は65℃、数平均分子量は4,500、重量平均分子量は13,500であった。
(2)スチレン−アクリルグラフト変性ポリエステル樹脂の作製
温度計および撹拌装置を取り付けたオートクレーブ反応槽中に、キシレン430質量部、上記のポリエステル樹脂430質量部を入れて溶解させ、窒素置換後、スチレン86.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル21.5質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.16質量部、およびキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、スチレン−アクリルグラフト変性ポリエステル樹脂を得た。
(3)スチレン−アクリルグラフト変性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製
得られたスチレン−アクリルグラフト変性ポリエステル樹脂100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)によってV−LEVEL 300μAで30分間超音波分散した後、40℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去することにより、体積基準のメディアン径(D50)が160nm、固形分が13.5質量%の「スチレン−アクリルグラフト変性ポリエステル樹脂粒子分散液」を得た。
【0097】
(4)クリアトナー粒子の形成
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、樹脂微粒子〔1〕450質量部と、「スチレン−アクリルグラフト変性ポリエステル樹脂粒子分散液」15質量部(固形分換算)と、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部とイオン交換水900質量部とを仕込み、液温を25℃に調整した後、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム70質量部をイオン交換水105質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて30分間かけて添加し、3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。
この状態で、「コールターMultisizer3」にて凝集粒子の粒径を測定し、所望の粒子径になった時点で、塩化ナトリウム75質量部をイオン交換水290質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。
さらに、熟成工程として液温度88℃にて加熱撹拌することにより、「FPIA−2100」による測定で平均円形度0.960になるまで、粒子間の融着を進行させつつ、トナー粒子を形成させ、その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。
上記の工程にて生成したトナー粒子をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械(株)製)で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が1.0質量%となるまで乾燥してクリアトナー母体粒子〔11〕を得た。
このトナー母体粒子〔11〕100質量部に対してヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm、疎水化度68)1.0質量部およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm、疎水化度63)0.3質量部からなる外添剤を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)を用いて外添処理を行うことにより、クリアトナー〔11〕を作製した。
【0098】
〔クリアトナーの作製例12〕
トナーの製造例1において、第2段重合工程におけるワックス「HNP−57」の添加量を250質量部に変更したことの他は同様にして、クリアトナー〔12〕を作製した。
【0099】
〔クリアトナーの作製例13〕
トナーの製造例1において、第2段重合工程におけるワックス「HNP−57」の添加量を5質量部に変更したことの他は同様にして、クリアトナー〔13〕を作製した。
【0100】
〔クリアトナーの作製例14〕
トナーの製造例1において、第3段重合工程における単量体混合液として下記の処方からなるものを用いたことの他は同様にして、クリアトナー〔14〕を作製した。
スチレン 417質量部
n−ブチルアクリレート 69質量部
メタクリル酸 86質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
【0101】
〔クリアトナーの作製例15〕
トナーの製造例1において、第3段重合工程における単量体混合液として下記の処方からなるものを用いたことの他は同様にして、クリアトナー〔15〕を作製した。
スチレン 440質量部
n−ブチルアクリレート 131質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
【0102】
以上のトナー〔2〕〜〔15〕の120℃における貯蔵弾性率G´(120)、150℃における貯蔵弾性率G´(150)、および融解エネルギーΔHを表1に示す。
【0103】
〔現像剤の作製例1〜15〕
このトナー〔1〕〜〔15〕の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメジアン径60μmのフェライトキャリアを、V型混合機を用いて、トナー濃度が6質量%になるよう混合することによって、現像剤〔1〕〜〔15〕を作製した。
【0104】
〔実施例1〜11、比較例1〜4〕
デジタル複写機「bizhub C 353」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用いて記録材「OKトップコート+(坪量157g/m2 、紙厚131μm)」(王子製紙社製)の両面上に各々フルカラー画像を定着させたテスト画像プリント物を形成した。
このテスト画像プリント物の第1面上の全面に、常温常温環境(温度20℃、相対湿度50%RH)下において、図1で示される画像形成装置によって現像剤〔1〕〜〔15〕を用いてトナー付着量4g/m2 の条件でクリアトナー層(現像剤〔10〕を用いた場合はカラートナー層)を形成し、これを被処理体として図3で示される光沢処理装置によって第1面の光沢処理を行い、次いで、同様にして第2面上の全面にクリアトナー層(現像剤〔10〕を用いた場合はカラートナー層)を形成し、これを被処理体として同様に第2面の光沢処理を行うことにより、両面プリント物〔1〕〜〔15〕を得た。
光沢処理装置の条件は以下の通りである。
【0105】
−構成条件−
(a)光沢処理用ベルトの材質:ポリイミドフィルム(厚さ50μm)上にPFA層(厚さ10μm)が形成されたもの
(b)光沢処理用ベルトの表面粗さ:初期表面粗さRa=0.4μm
(c)加熱ローラ:外径100mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体の内部に、サーミスタにより温度制御されるハロゲンランプ(加熱源)が配置されたもの
(d)加圧ローラ:外径80mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体の表面が、厚さ3mmのシリコーンゴム層によって被覆されたもの
(e)ニップ部の搬送方向長さ:11mm
(f)ニップ部と剥離ローラとの距離:620mm
−制御条件−
(g)加熱温度:原則155℃となるよう制御
(h)加圧の大きさ:0.29MPa
(i)冷却温度:原則50℃となるよう制御(比較例4については35℃となるよう制御)
(j)被処理体の搬送速度:220mm/sec
(k)被処理体の搬送方向:縦方向に搬送させる
【0106】
〔評価:光沢度〕
以上のようにして得られた両面プリント物〔1〕〜〔15〕の表面および裏面の光沢度を、表面および裏面それぞれの光沢度、および表面の光沢度と裏面の光沢度の差によって評価を行った。
光沢度は、具体的には、グロスメーター「GMX−203」(村上色彩技術研究所社製)を用い、測定角度を20°に設定し、「JIS Z8741 1983方法2」に基づいて測定し、両面プリント物の表面および裏面それぞれの中央部と四隅の5点の測定値の平均値とした。
表面および裏面の光沢度の値がいずれも60以上であり、かつ、その光沢度差が10以下である場合を合格とした。表面および裏面の光沢度の値がいずれも80以上であり、かつ、その光沢度差が10以下であると、特に優れているとされる。
結果を表1に示す。
【0107】
【表1】

【符号の説明】
【0108】
1 光沢処理装置
2 光沢処理用ベルト
3a 加熱ローラ
3b 加圧ローラ
3c 加熱源
4 冷却機構
4a,4b,4c 冷却ファン
4d ヒートシンク
5 剥離機構
5a 剥離ローラ
5b 搬送補助ローラ
6 支持ローラ
10 中間転写部
11H,11Y,11M,11C,11Bk 感光体
12 クリーニング手段
13H,13Y,13M,13C,13Bk 一次転写ローラ
13A 二次転写ローラ
16 中間転写体
16a〜16d 支持ローラ
20H クリアトナー像形成部
20Y,20M,20C,20Bk 有彩色トナー像形成部
21H,21Y,21M,21C,21Bk 現像手段
22H,22Y,22M,22C,22Bk 露光手段
23H,23Y,23M,23C,23Bk 帯電手段
25H,25Y,25M,25C,25Bk クリーニング手段
26 定着装置
27,28 加熱加圧ローラ
29 分岐板
40 排紙トレイ
41 給紙カセット
42 給紙搬送手段
44a,44b,44c,44d 給紙ローラ
46 レジストローラ
47 排紙ローラ
48a,48b 搬送路
N,N2 ニップ部
P 記録材
Ta,Tb トナー層
W,W’ 被処理体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱ローラと支持ローラとに張架された無端状の平滑処理用ベルトと、この平滑処理用ベルトを前記加熱ローラに対して押圧し、これにより当該平滑処理用ベルトとの間にニップ部が形成されるよう配置された加圧ローラとを備え、前記平面処理用ベルトの移動方向における加熱ローラの下流側に冷却機構が配設された冷却剥離システムを備えた平滑処理装置を用いて、
記録材の第1面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却することにより、前記トナー層の表面を平滑化する第1面の平滑処理を行い、
その後、記録材の第2面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱し、前記トナー層の平滑処理を行う両面画像形成方法において、
前記平滑処理装置のニップ部の温度が120℃以上であり、
少なくとも前記記録材の第1面上に担持されるトナー層を形成するトナーが、スチレン−アクリル系樹脂を含有する結着樹脂およびワックスを含有するトナー粒子よりなり、
当該トナーのDSC測定によって取得されるワックスの吸熱ピークから得られる融解ピーク面積から求められる融解エネルギーΔHが0.2〜30J/gであり、
120℃における貯蔵弾性率G´(120)が1×103 〜3×105 であり、かつ、150℃における貯蔵弾性率G´(150)が1×102 〜3×104 であるトナーを用いることを特徴とする両面画像形成方法。
【請求項2】
前記記録材の第2面上に担持されるトナー層を形成するトナーが、第1面上に担持されるトナー層を形成するトナーと同一のものであることを特徴とする請求項1に記載の両面画像形成方法。
【請求項3】
前記被処理体上におけるトナー層が、少なくとも最表層がクリアトナーから構成されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の両面画像形成方法。
【請求項4】
前記トナーを構成する結着樹脂におけるスチレン−アクリル系樹脂の含有量が、全結着樹脂に対して50〜95質量%であり、
当該結着樹脂がポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の両面画像形成方法。
【請求項5】
前記トナーが、120℃における貯蔵弾性率G´(120)が2×104 〜1×105 であり、かつ、150℃における貯蔵弾性率G´(150)が7×102 〜2×103 であるものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の両面画像形成方法。
【請求項6】
加熱ローラと支持ローラとに張架された無端状の平滑処理用ベルトと、この平滑処理用ベルトを前記加熱ローラに対して押圧し、これにより当該平滑処理用ベルトとの間にニップ部が形成されるよう配置された加圧ローラとを備え、前記平面処理用ベルトの移動方向における加熱ローラの下流側に冷却機構が配設された冷却剥離システムを備えた平滑処理装置を用いて、
前記平滑処理装置のニップ部の温度が120℃以上であり、
記録材の第1面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却することにより、前記トナー層の表面を平滑化する第1面の平滑処理を行い、
その後、記録材の第2面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱し、前記トナー層の平滑処理を行う両面画像形成方法において、少なくとも前記記録材の第1面上に担持されるトナー層を形成するトナーとして使用されるトナーであって、
スチレン−アクリル系樹脂を含有する結着樹脂およびワックスを含有するトナー粒子よりなり、
当該トナーのDSC測定によって取得されるワックスの吸熱ピークから得られる融解ピーク面積から求められる融解エネルギーΔHが0.2〜30J/gであり、
120℃における貯蔵弾性率G´(120)が1×103 〜3×105 であり、かつ、150℃における貯蔵弾性率G´(150)が1×102 〜3×104 であることを特徴とするトナー。
【請求項7】
前記記録材の第2面上に担持されるトナー層を形成するトナーとして使用されることを特徴とする請求項6に記載のトナー。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−109288(P2013−109288A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256204(P2011−256204)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】