説明

両面発光表示装置

【課題】2枚の面発光パネル部材を用いても、発光表示部分の厚み寸法をあまり大きくすることなく、放熱性能を改善することができる両面発光表示装置を提供する。
【解決手段】 第1の面発光パネル部材13の放熱板27と第2の面発光パネル部材19の放熱板29との間に所定の間隔Lを開けて、2枚の面発光パネル部材13及び15どうしで熱の授受がないようにする。枠状構造体17を構成する金属製の第1乃至第4のフレーム材35〜41のうち、少なくとも発熱源に最も近い第1のフレーム材35及び第1のフレーム材35と対向する第2のフレーム材37に、第1の面発光パネル部材13の放熱板27と第2の面発光パネル部材15の放熱板2を接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠状構造体の前面と背面の両面に発光表示面を有する両面発光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実用新案登録第3101018号公報[特許文献1]には、複数の発光ダイオードからなる光源と、この光源からの光を導光する透明プラスチックからなる表示板と、表示板の一辺を厚み方向から保持する保持部及び保持した表示板の一辺の側面に沿って複数の発光ダイオードを並べた状態で保持する光源保持部を有する器具本体とを備えた誘導灯(両面発光表示装置)が示されている。
【0003】
また特開2006−11101号公報[特許文献2]には、両面が反射面となった反射シートの両面に透明板が重ねて配置された状態で一体化されて構成された導光板と、この導光板の一辺の側面に沿って配置された光源として用いられる複数の発光ダイオード(LED)と、導光板の前面と背面側に配置された乳白色のアクリル樹脂からなる透光性を有する前面板及び背面板と、前面板と背面板との間に全周にわたって設けられた止水材(シーリング材)とから構成された面発光表示板を、金属製の枠体で保持した両面発光表示装置が開示されている。この装置では、光源から発生する熱を熱伝導性の高い金属製のアングル材から構成された枠体から放熱している。
【0004】
さらに特開2004−271734号公報[特許文献3]には、複数の発光ダイオードからなる光源を保持するアルミニューム合金の押し出し成型品からなる発光体取付部材で、透光性のパネルの一辺を保持した両面発光表示装置が開示されている。この公報には、発光ダイオードの温度が上昇すると発光ダイオードの寿命が短くなるため、発光ダイオードの放熱を促進できる発光体取付部材を用いることが有効であることが開示されている。
【0005】
また特開2007−258089号公報[特許文献4]には、放熱性の高い部材を面発光パネルを収納する筐体の一部として用いて、発光ダイオードからの熱を放熱する技術が開示されている。
【0006】
さらに特開2005−38771号公報[特許文献5]及び特開2006−269140号公報[特許文献6]には、面発光表示装置の光源として用いられる発光ダイオードから出る熱を、伝熱部材を用いて放熱する技術が開示さている。
【0007】
また特開2006−331960号公報[特許文献7]には、発光ダイオードが収納された光源カバー内部の熱を効率良く放熱するために、光源カバー部材に放熱用通気孔を形成する技術が開示されている。前述の特許文献6にも、発光ダイオードを収納する蓋体に通気孔を形成することが開示されている。
【0008】
さらに特開2004−325604号公報[特許文献8]には、片面発光表示装置において、表示器本体内に電源、非常用電源及び表示ユニットを係止する表示ユニットホルダと複数の発光ダイオードを備えた回路基板とを収納し、表示ユニットホルダ及び回路基板に放熱板を接続して、電源及び発光ダイオードからの熱を表示器本体の外部に放熱する構造が開示されている。
【0009】
また特開2002−216525号公報[特許文献9]には、発光ダイオードを実装する回路基板として熱伝導性の高い金属製基板を用いた面照明装置が開示されている。
【特許文献1】実用新案登録第3101018号公報
【特許文献2】特開2006−11101号公報
【特許文献3】特開2004−271734号公報
【特許文献4】特開2007−258089号公報
【特許文献5】特開2005−38771号公報
【特許文献6】特開2006−269140号公報
【特許文献7】特開2006−331960号公報
【特許文献8】特開2004−325604号公報
【特許文献9】特開2002−216525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1乃至3の両面発光表示装置では、それぞれ1枚の面発光パネル部材を用いて、両面発光表示を得ている。これは両面発光表示装置の発光表示部分の厚み寸法をできるだけ薄くしたいとの要望があるためである。しかながら従来の装置では、厚み寸法を薄くできるものの、発光表示面から放射される光量が十分ではないという問題がある。そこで光量を多くするために、前面発光表示用の面発光パネル部材と背面発光表示用の面発光パネル部材とを別に設けることが考えられる。しかしながら2枚の面発光パネル部材を用いると、発光ダイオードが多くなる分だけ、発熱量が増大する上、発光表示部分の厚み寸法が厚くなる問題が生じる。
【0011】
本発明の目的は、2枚の面発光パネル部材を用いても、発光表示部分の厚み寸法をあまり大きくすることなく、放熱性能を改善することができる両面発光表示装置を提供することにある。
【0012】
上記目的に加えて、本発明の他の目的は、電源部からの熱の影響を小さくすることができる両面発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の両面発光表示装置は、前面発光表示用と背面発光表示用のために、第1及び第2の面発光パネル部材と、第1及び第2の透光板と、枠状構造体とを用いる。第1及び第2の面発光パネル部材は、複数の発光ダイオードと、導光板と、放熱板と、光拡散パターンとを備えている。導光板は、前面、前面と対向する背面及び前面と背面との間に位置する外周面とを備えて、複数の発光ダイオードから放射された光を外周面から内部に導光するとともに前面から放射する。放熱板は、導光板の背面と間隙を介して対向するように配置されて複数の発光ダイオードから出る熱を放熱する熱伝導性の高い材料から形成されている。また光拡散パターンは、導光板の背面または放熱板の導光板と対向する面の一方に形成されて導光板に入射した光を拡散する。光拡散パターンは、導光板の背面または放熱板の導光板と対向する面の一方に印刷によって形成されてもよいし、機械加工によって形成されてもよいし、また光拡散用のパターンが印刷されたシートを導光板の背面または放熱板の導光板と対向する面の一方に貼り付けることによって構成されてもよい。
【0014】
また第1及び第2の透光板は、光透過性を有しており、第1及び第2の面発光パネル部材のそれぞれの導光板の前面の前方側に配置される。
【0015】
枠状構造体は、第1の面発光パネル部材の放熱板と第2の面発光パネル部材の放熱板とを所定の間隔をあけて対向させた状態で第1の面発光パネル部材及び第2の面発光パネル部材を位置決めし、第1の面発光パネル部材の導光板の前面の前方側に第1の透光板を位置決めし且つ第2の面発光パネル部材の導光板の前面の前方側に第2の透光板を位置決めした状態で、第1及び第2の面発光パネル部材並びに第1及び第2の透光板の外周部を囲む構造を有している。そして枠状構造体は、複数の発光ダイオードに沿って延びる金属製の第1のフレーム材と、第1のフレーム材と対向する金属製の第2のフレーム材と、第1及び第2のフレーム材のそれぞれの一端を連結する金属製の第3のフレーム材と、第1及び第2のフレーム材のそれぞれの他端を連結する金属製の第4のフレーム材とを備えている。そして4つのフレーム材のうち、少なくとも第1及び第2のフレーム材は、第1の面発光パネル部材の放熱板と第2の面発光パネル部材の放熱板とに熱伝達可能に接触するように構成されている。
【0016】
本発明の両面発光表示装置では、使用する第1及び第2の面発光パネル部材が導光板と対向する光拡散パターンを備えた放熱板を備えているため、面発光パネル部材自体で発光ダイオードからの発熱を放熱することができる。特に本発明では、第1の面発光パネル部材の放熱板と第2の面発光パネル部材の放熱板との間に所定の間隔を開けてあるため、2枚の面発光パネル部材どうしで熱の授受を行うことがない。さらに、本発明では、枠状構造体を構成する金属製の第1乃至第4のフレーム材のうち、少なくとも発熱源に最も近い第1のフレーム材及び第1のフレーム材と対向する第2のフレーム材に、第1の面発光パネル部材の放熱板と第2の面発光パネル部材の放熱板を接触させている。その結果、発熱源からの熱は第1のフレーム材を通して枠状構造体全体から放熱される。同時に、第1のフレーム材側から第2のフレーム材側に向かって放熱板を通して熱勾配が作られるため、第1の面発光パネル部材の放熱板と第2の面発光パネル部材の放熱板との間の間隔を小さくしても、第1の面発光パネル部材及び第2の面発光パネル部材から積極的に熱を放熱することができる。したがって本発明によれば、2枚の面発光パネル部材を用いても、発光表示部分の厚み寸法をあまり大きくすることなく、放熱性能を改善することができる利点が得られる。なお第1乃至第4のフレーム材の全てを、第1の面発光パネル部材の放熱板と第2の面発光パネル部材の放熱板と熱伝達可能に接触するように構成すると、放熱性能をさらに向上させることができる。
【0017】
第1のフレーム材及び第2のフレーム材は、フレーム本体部と、中央壁部と、第1及び第2の起立壁部とを備えた構造とすることができる。第1のフレーム材のフレーム本体部は、第1及び第2の面発光パネル部材の導光板の前面と直交する方向に延びる。中央壁部は、フレーム本体部の中央部に一体に形成され且つ第1の面発光パネル部材の放熱板及び第2の面発光パネル部材の放熱板と熱伝達可能に接触する第1及び第2の壁面を備えている。第1の起立壁部は、フレーム本体部と一体に形成されて中央壁部の第1の壁面との間に、第1の面発光パネル部材の第1のパネル部材縁部及び第1の透光板の第1の透光板縁部が入る第1の溝部を形成する。また第2の起立壁部は、フレーム本体部と一体に形成されて中央壁部の第2の壁面との間に、第2の面発光パネル部材の第1のパネル部材縁部及び第2の透光板の第1の透光板縁部が入る第2の溝部を形成する。第2のフレーム材のフレーム本体部は、第1及び第2の面発光パネル部材の導光板の前面と直交する方向に延びる。中央壁部は、フレーム本体部の中央部に一体に形成され且つ第1の面発光パネル部材の放熱板及び第2の面発光パネル部材の放熱板と熱伝達可能に接触する第1及び第2の壁面を備えている。第1の起立壁部は、フレーム本体部と一体に形成されて中央壁部の第1の壁面との間に、第1の面発光パネル部材における第1のパネル部材縁部と対向する第2のパネル部材縁部及び第1の透光板における第1の透光板縁部と対向する第2の透光板縁部が入る第1の溝部を形成する。また第2の起立壁部は、フレーム本体部と一体に形成されて中央壁部の第2の壁面との間に、第2の面発光パネル部材における第1のパネル部材縁部と対向する第2のパネル部材縁部及び第2の透光板における第1の透光板縁部と対向する第2の透光板縁部が入る第2の溝部を形成する。
【0018】
このような第1及び第2のフレーム材を用いると、第1及び第2の面発光パネル部材の放熱板からの熱伝達を良好なものとして、しかも第1及び第2の面発光パネル部材及び第1及び第2の透光板の保持とを簡単に行うことができる。
【0019】
また第3及び第4のフレーム材も、第1及び第2のフレーム材と同様に、フレーム本体部と、中央壁部と、第1及び第2の起立壁部とを備えた構造とすることができる。第3のフレーム材の場合、フレーム本体部は、第1及び第2の面発光パネル部材の導光板の前面と直交する方向に延びる。中央壁部は、フレーム本体部の中央部に一体に形成され、第1及び第2のフレーム材の中央壁部の一端と当接し且つ第1の面発光パネル部材の放熱板及び第2の面発光パネル部材の放熱板と熱伝達可能に接触する第1及び第2の壁面を備えている。第1の起立壁部は、フレーム本体部と一体に形成されて中央壁部の第1の壁面との間に、第1の面発光パネル部材の第1のパネル部材縁部の一端及び第2のパネル部材縁部の一端との間に位置する第1の面発光パネル部材の第3のパネル部材縁部及び第1の透光板の第1の透光板縁部の一端及び第2の透光板縁部の一端との間に位置する第3の透光板縁部が入る第1の溝部を形成する。また第2の起立壁部は、フレーム本体部と一体に形成されて中央壁部の第2の壁面との間に、第2の面発光パネル部材の第1のパネル部材縁部の一端及び第2のパネル部材縁部の一端との間に位置する第2の面発光パネル部材の第3のパネル部材縁部及び第2の透光板の第1の透光板縁部の一端及び第2の透光板縁部の一端との間に位置する第3の透光板縁部が入る第2の溝部を形成する。
【0020】
また第4のフレーム材の場合も、フレーム本体部は第1及び第2の面発光パネル部材の導光板の前面と直交する方向に延びる。また中央壁部は、フレーム本体部の中央部に一体に形成され、第1及び第2のフレーム材の中央壁部の他端と当接し且つ第1の面発光パネル部材の放熱板及び第2の面発光パネル部材の放熱板と熱伝達可能に接触する第1及び第2の壁面を備える。そして第1の起立壁部は、フレーム本体部と一体に形成されて中央壁部の第1の壁面との間に、第1の面発光パネル部材の第1のパネル部材縁部の他端及び第2のパネル部材縁部の他端との間に位置する第1の面発光パネル部材の第4のパネル部材縁部及び第1の透光板の第1の透光板縁部の他端及び第2の透光板縁部の他端との間に位置する第4の透光板縁部が入る第1の溝部を形成する。また第2の起立壁部は、フレーム本体部と一体に形成されて中央壁部の第2の壁面との間に、第2の面発光パネル部材の第1のパネル部材縁部の他端及び第2のパネル部材縁部の他端との間に位置する第2の面発光パネル部材の第4のパネル部材縁部及び第2の透光板の第1の透光板縁部の他端及び第2の透光板縁部の他端との間に位置する第4の透光板縁部が入る第2の溝部を形成する。
【0021】
第1乃至第4のフレーム材を上記のように構成すると、各フレーム材の中央壁部を介して、第1及び第2の面発光パネル部材の放熱板から枠状構造体に熱が良好に伝達する。また第1及び第2の面発光パネル部材及び第1及び第2の透光板を簡単な構造で保持することができる。
【0022】
さらに枠状構造体は、第3のフレーム材と第4のフレーム材との間に配置されて、第1及び第2のフレーム材の中央壁部に熱伝達可能に連結され且つ第1及び第2の面発光パネル部材のそれぞれの放熱板と熱伝達可能に接触する1本以上の中間フレーム材を更に備えているのが好ましい。このような中間フレーム材を設けると、枠状構造体の機械的強度を高めることができるうえ、第1及び第2の面発光パネル部材からの放熱をさらに良好なものとすることができる。
【0023】
複数の発光ダイオードを駆動するための電力を発生する変圧器を含む電源部は、別に設けられていてもよい。しかしながら、電源部を一緒に設ける場合には、第1のフレーム材のフレーム本体部で、複数の発光ダイオードに電力を供給するための変圧器を含む電源部を収納する電源収納用筐体の一つの壁部を構成するのが好ましい。このようにすると部品点数を減らすことができるだけでなく、電源部と発光ダイオードとの間の距離が短くなって、両者間の電気的接続が容易になる。また第1のフレーム材のフレーム本体部は、電源部で発生した熱が発光ダイオード側に直接影響を与えるのを阻止するバリアとして機能する。
【0024】
また電源収納用筐体を構成する複数の壁部のうちフレーム本体部により構成される壁部を除いた他の少なくとも一つの壁部を、電源部の点検を行う際に開放状態になるように構成するのが好ましい。このようにすると定期的な点検作業が容易になる。
【0025】
さらに電源収納用筐体を構成する複数の壁部のうちフレーム本体部に連結される4つの壁部の外壁部には、放熱用の複数のリブが一体に形成されていてもよい。このような放熱用の複数のリブを設けると、第1のフレーム材のフレーム本体部から伝熱された熱と電源部で発生した熱を電源収納用筐体から積極的に外気へ放熱することができる。
【0026】
また第2乃至第4のフレーム材の外壁部にも放熱用の複数のリブを一体に形成するのが好ましい。このようにすると枠状構造体からの放熱を更に良好なものとすることができる。
【0027】
さらに電源収納用筐体を構成する複数の壁部のうち2以上の壁部に通気孔を形成してもよい。このような通気孔を形成すると、電源収納用筐体が内部に熱気がこもりやすい構造であっても、通気孔を通して電源収納用筐体の内部の熱気を外部に排出することができる。
【0028】
電源収納用筐体は、第1のフレーム材のフレーム本体部により構成される壁部と対向する部分に開口部を有する構造にすることができる。そして第1のフレーム材のフレーム本体部に、枠状構造体の内部と電源収納用筐体の内部とを連通する複数の通気孔が形成し、第2のフレーム材のフレーム本体部に、枠状構造体の内部と外部とを連通する複数の通気孔を形成することができる。このようにすると第2のフレーム材に形成された複数の通気孔を通って枠状構造体の内部に入った外気が、第1のフレーム材に形成された複数の通気孔を通って電源収納用筐体内に入り、開口部を通して外部に抜け出ることによって、冷却性能を高めることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の両面発光表示装置によれば、使用する第1及び第2の面発光パネル部材が導光板と対向する放熱板を備えているため、面発光パネル部材自体で発光ダイオードからの発熱を放熱することができる。特に本発明によれば、第1の面発光パネル部材の放熱板と第2の面発光パネル部材の放熱板との間に所定の間隔を開けてあるため、2枚の面発光パネル部材どうしで熱の授受を行うことがない。さらに、本発明によれば、枠状構造体を構成する金属製の第1乃至第4のフレーム材のうち、少なくとも発熱源に最も近い第1のフレーム材及び第1のフレーム材と対向する第2のフレーム材に、第1の面発光パネル部材の放熱板と第2の面発光パネル部材の放熱板を接触させているので、発熱源からの熱は第1のフレーム材を通して枠状構造体全体から放熱される。同時に、第1のフレーム材側から第2のフレーム材側に向かって放熱板を通して熱勾配が作られるため、第1の面発光パネル部材の放熱板と第2の面発光パネル部材の放熱板との間の間隔を小さくしても、第1の面発光パネル部材及び第2の面発光パネル部材から積極的に熱を放熱することができる。したがって本発明によれば、2枚の面発光パネル部材を用いても、発光表示部分の厚み寸法をあまり大きくすることなく、放熱性能を改善することができる利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下図面を参照して本発明の両面発光表示装置の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1(A)は、本発明の実施の形態の両面発光表示装置1を駅構内で使用する案内表示装置に適用した実施の形態の正面図であり、図1(B)は底面図、図1(C)及び(D)は左側面図及び右側面図である。この両面発光表示装置1は、天井に3カ所の取付具3を用いて取り付けられている。両面発光表示装置1は、電源収納用筺体5と、表示装置構造部7とを備えている。なお図1(A)には示していないが、両面発光表示装置1は背面側にも情報を記載した表示パネルが装着されている。
【0031】
図2(A)は、前面側及び背面側の2枚の表示パネル(後述する第1及び第2の透光板9及び11)及び2枚の面発光パネル部材13及び15を取り外した状態の正面図であり、図2(B)は電源収納用筺体5の前方壁部をさらに除いた状態の正面図を示している。また図3は、図1のA−A線断面図を示しており、図4は面発光パネル部材の構造を概略的に説明するために用いる図である。なお図2(A)及び(B)は構造を概略的に示すもので、寸法は正確なものではない。また図3及び図4には、断面部に特にハッチングを付していない。
【0032】
両面発光表示装置1は、前面発光表示用と背面発光表示用のために、第1及び第2の透光板9及び11と、第1及び第2の面発光パネル部材13及び15と、枠状構造体17とを用いる。第1及び第2の透光板9及び11は、光透過性を有する板材又はシートにより構成することができる。例えば、材料はアクリルやポリカ等の透明や乳白色の板やシートで、その表面に印刷を施したり、文字やデザインを貼付するなどして構成される。第1及び第2の透光板9及び11は、第1及び第2の面発光パネル部材13及び15の前方側に配置される。第1及び第2の面発光パネル部材13及び15は、図4に概略的に示すように、それぞれ図4の紙面と直交する方向に直線的に並ぶ複数の発光ダイオード19及び21と、導光板23及び25と、放熱板27及び29と、光拡散パターン31及び33とを備えている。理解を容易にするために、図4においては、光拡散パターン31及び33と放熱板27及び29との間のギャップGを大きく描いてある。ギャップを維持するように構成された所定の保持構造を用いて第1及び第2の面発光パネル部材13及び15は一体構造として構成されている。導光板23及び25は、それぞれ前面23A及び25A、前面23A及び25Aと対向する背面23B及び25B、前面23A及び25Aと背面23B及び25Bとの間に位置する外周面23C及び25Cとを備えている。複数の発光ダイオード19及び21から放射された光は、導光板23及び25の外周面23C及び25Cの一部から内部に導光され、導光板23及び25の背面23B及び25Bに印刷された光拡散パターン31及び33の存在により拡散されて、導光板23及び25の前面23A及び25Aから放射される。
【0033】
放熱板27及び29は、それぞれ導光板23及び25の背面23B及び25Bと間隙Gを介して対向するように配置されている。放熱板27及び29は、複数の発光ダイオード19及び21から出る熱を放熱するアルミニュームや銅のように熱伝導性の高い材料から形成されている。また光拡散パターン31及び33は、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写等の印刷技術により形成された複数のドットDにより構成されている。なお光拡散パターン31及び33は、導光板23及び25の背面23B及び25Bに機械加工を施して形成してもよい。またドットが印刷された独立したシート材料として光拡散パターンを構成し、導光板23及び25の背面23B及び25Bまたは放熱板27及び29の導光板23及び25と対向する面上に貼り付けるようにしてもよいのは勿論である。なお本実施の形態では、放熱板27及び29の上端側に発光ダイオード19及び21を実装した回路基板20及び22が熱伝達可能に装着されている。本実施の形態では図示しないスペーサを介して重ね合わされた導光板23及び25と放熱板27及び29の重合体は回路基板20及び22が配置される領域を除く外周部の主要部分にテーピング部材等の固定材料を用いて固定されている。
【0034】
枠状構造体17は、第1の面発光パネル部材13の放熱板27と第2の面発光パネル部材15の放熱板29とを所定の間隔Lをあけて対向させた状態で第1の面発光パネル部材13及び第2の面発光パネル部材15を位置決めし、第1の面発光パネル部材13の導光板23の前面23Aの前方側に第1の透光板9を位置決めし且つ第2の面発光パネル部材15の導光板25の前面25Aの前方側に第2の透光板11を位置決めした状態で、第1及び第2の面発光パネル部材13及び15並びに第1及び第2の透光板9及び11の外周部を囲む構造を有している。放熱板27と放熱板29との間隔Lは、相互に電熱しないよう空気層を設けるためのものであり、少なくとも数mmが必要である。実用的には、両面発光表示装置を大きくすると、枠体17の機械的強度が必要となるため、後述する中間フレーム材43乃至51は構造体としての強度が上がるように断面寸法を大きくする必要がある。本実施例の駅内両面発光表示装置では、間隔Lは10mmである。枠状構造体17は、複数の発光ダイオード19及び21に沿って延びる金属製の第1のフレーム材35と、第1のフレーム材35と対向する金属製の第2のフレーム材37と、第1及び第2のフレーム材35及び37のそれぞれの一端を連結する金属製の第3のフレーム材39と、第1及び第2のフレーム材35及び37のそれぞれの他端を連結する金属製の第4のフレーム材41とを備えている。具体的には、第1乃至第4のフレーム材35乃至41は、アルミニュームの押し出し成形品によって構成されている。そして本実施の形態では、4つのフレーム材35乃至41のうち、第1及び第2のフレーム材35及び37は、第1の面発光パネル部材13の放熱板27と第2の面発光パネル部材15の放熱板29とに熱伝達可能に接触するように構成されている。
【0035】
図5に示すように、第1のフレーム材35及び第2のフレーム材37は、フレーム本体部35A及び37Aと、中央壁部35B及び37Bと、第1及び第2の起立壁部35C及び35D並びに37C及び37Dとを備えている。なお図5には、第1及び第2の面発光パネル部材13及び15並びに第1及び第2の透光板9及び11は想像線(破線)で示してある。第1のフレーム材35のフレーム本体部35Aは、第1及び第2の面発光パネル部材13及び15の導光板23及び25の前面23A及び25Aと直交する方向(水平方向)に延びる。中央壁部35Bは、フレーム本体部35Aの中央部に一体に形成され且つ第1の面発光パネル部材13の放熱板27及び第2の面発光パネル部材15の放熱板29と熱伝達可能に接触する第1及び第2の壁面36A及び36Bを備えている。第1の起立壁部35Cは、フレーム本体部35Aと一体に形成されて中央壁部35Bの第1の壁面36Aとの間に、第1の面発光パネル部材13の第1のパネル部材縁部13A及び第1の透光板9の第1の透光板縁部9Aが入る第1の溝部S1を形成する。また第2の起立壁部35Dは、フレーム本体部35Aと一体に形成されて中央壁部35Bの第2の壁面36Bとの間に、第2の面発光パネル部材15の第1のパネル部材縁部15A及び第2の透光板11の第1の透光板縁部11Aが入る第2の溝部S2を形成する。
【0036】
第2のフレーム材37のフレーム本体部37Aは、第1及び第2の面発光パネル部材13及び15の導光板23及び25の前面23A及び25Aと直交する方向(水平方向)に延びる。中央壁部37Bは、フレーム本体部37Aの中央部に一体に形成され且つ第1の面発光パネル部材13の放熱板27及び第2の面発光パネル部材15の放熱板29と熱伝達可能に接触する第1及び第2の壁面38A及び38Bを備えている。第1の起立壁部37Cは、フレーム本体部37Aと一体に形成されて中央壁部37Bの第1の壁面38Aとの間に、第1の面発光パネル部材13における第1のパネル部材縁部13Aと対向する第2のパネル部材縁部13B及び第1の透光板9における第1の透光板縁部9Aと対向する第2の透光板縁部9Bが入る第1の溝部S3を形成する。また第2の起立壁部37Dは、フレーム本体部37Aと一体に形成されて中央壁部37Bの第2の壁面38Bとの間に、第2の面発光パネル部材15における第1のパネル部材縁部15Aと対向する第2のパネル部材縁部15B及び第2の透光板11における第1の透光板縁11Aと対向する第2の透光板縁部11Bが入る第2の溝部S4を形成する。
【0037】
このような第1及び第2のフレーム材35及び37を用いると、第1及び第2の面発光パネル部材13及び15の放熱板からの熱伝達を良好なものとして、しかも第1及び第2の面発光パネル部材13及び15及び第1及び第2の透光板9及び11の保持とを簡単に行うことができる。
【0038】
図6に示すように、第3及び第4のフレーム材39及び41も、第1及び第2のフレーム材35及び37と同様に、フレーム本体部39A及び41Aと、中央壁部39B及び41Bと、第1及び第2の起立壁部39C及び41C並びに39D及び41Dとを備えた構造とすることができる。第3のフレーム材39の場合、フレーム本体部39Aは、第1及び第2の面発光パネル部材13及び15の導光板23及び25の前面23A及び25Aと直交する方向(垂直方向)に延びる。中央壁部39Bは、フレーム本体部39Aの中央部に一体に形成され、第1及び第2のフレーム材35及び37の中央壁部35B及び37Bの一端と当接し且つ第1の面発光パネル部材13の放熱板27及び第2の面発光パネル部材15の放熱板29と熱伝達可能に接触する第1及び第2の壁面40A及び40Bを備えている。第1の起立壁部39Cは、フレーム本体部39Aと一体に形成されて中央壁部39Bの第1の壁面40Aとの間に、第1のパネル部材縁部13Aの一端及び第2のパネル部材縁部13Bの一端との間に位置する第1の面発光パネル部材13の第3のパネル部材縁部13C及び第1の透光板縁部9Aの一端及び第2の透光板縁部9Bの一端との間に位置する第3の透光板縁部9Cが入る第1の溝部S5を形成する。また第2の起立壁部39Dは、フレーム本体部39Aと一体に形成されて中央壁部39Bの第2の壁面40Bとの間に、第2の面発光パネル部材15の第1のパネル部材縁部15Aの一端及び第2のパネル部材縁部15Bの一端との間に位置する第2の面発光パネル部材15の第3のパネル部材縁部15C及び第2の透光板11の第1の透光板縁部11Aの一端及び第2の透光板縁部11Bの一端との間に位置する第3の透光板縁部11Cが入る第2の溝部S6を形成する。
【0039】
また第4のフレーム材41も、フレーム本体部41Aは第1及び第2の面発光パネル部材13及び15の導光板23及び25の前面23A及び25Aと直交する方向(垂直方向)に延びる。また中央壁部41Bは、フレーム本体部41Aの中央部に一体に形成され、第1及び第2のフレーム材35及び37の中央壁部35B及び37Bの他端と当接し且つ第1の面発光パネル部材13の放熱板27及び第2の面発光パネル部材15の放熱板29と熱伝達可能に接触する第1及び第2の壁面42A及び42Bを備えている。第1の起立壁部41Cは、フレーム本体部41Aと一体に形成されて中央壁部41Bの第1の壁面42Aとの間に、第1の面発光パネル部材13の第1のパネル部材縁部13Aの他端及び第2のパネル部材縁部13Bの他端との間に位置する第4のパネル部材縁部13D及び第1の透光板9の第1の透光板縁部9Aの他端及び第2の透光板縁部9Bの他端との間に位置する第4の透光板縁部9Dが入る第1の溝部S7を形成する。また第2の起立壁部41Dは、フレーム本体部41Aと一体に形成されて中央壁部41Bの第2の壁面42Bとの間に、第2の面発光パネル部材15の第1のパネル部材縁部15Aの他端及び第2のパネル部材縁部15Bの他端との間に位置する第2の面発光パネル部材15の第4のパネル部材縁部15D及び第2の透光板11の第1の透光板縁部11Aの他端及び第2の透光板縁部11Bの他端との間に位置する第4の透光板縁部11Dが入る第2の溝部S8を形成する。
【0040】
第1乃至第4のフレーム材35乃至41を上記のように構成すると、各フレーム材の中央壁部35B乃至41Bを介して、第1及び第2の面発光パネル部材13及び15の放熱板27及び29から枠状構造体17に熱が良好に伝達する。また第1及び第2の面発光パネル部材13及び15及び第1及び第2の透光板9及び11を簡単な構造で保持することができる。
【0041】
さらに本実施の形態では、枠状構造体17が、第3のフレーム材39と第4のフレーム材41との間に配置されて、第1及び第2のフレーム材35及び37の中央壁部35B及び37Bに熱伝達可能に連結され且つ第1及び第2の面発光パネル部材13及び15のそれぞれの放熱板27及び29と熱伝達可能に接触する5本の中間フレーム材43乃至51を備えている。中間フレーム材43乃至51の主たる目的は、枠状構造体17の機械的強度を増すことと、図4に示した放熱板27及び29間の間隔Lを維持することであるが、本実施の形態では、中間フレーム材43乃至51を放熱板27及び29からの放熱の用途にも用いている。本実施の形態では、これらの中間フレーム材43乃至51を、機械的強度の高い鋼材によって形成している。なお第1乃至第4のフレーム材と同様にアルミニュームや銅などのような熱伝導性の良い材料によって形成してもよいのは勿論である。図7には、1つの中間フレーム材47の取付構造を拡大して示してある。中間フレーム材47は、長手方向と直交する方向に切断した断面がコの字状になる形材によって構成されている。そして中間フレーム材47は、長手方向の両端に一体に設けられたフランジ部47A及び47BがボルトBを用いて、第1及び第2のフレーム材35及び37の中央壁部35B及び37Bに固定されている。第1のフレーム材35の上には、天井UPに装置を固定するための取付具3の取付構造体53が固定されている。取付構造体53は、電源収納用筺体5内に収納される。取付構造体53は、長手方向と直交する方向の断面形状がC字状を呈する形材によって構成されている。取付構造体53は、中間フレーム材47を第1のフレーム材35に固定するための4本のボルトBによって、その下側壁部53Aが第1のフレーム材35のフレーム本体部35Aに固定されている。また取付構造体53の上側壁部53Bには、取付具3のボルトB1が取り付けられている。中間フレーム45,47及び49は、図7に示す取付構造で第1及び第2のフレーム材35及び37にそれぞれ固定されている。そして中間フレーム材43及び51も、それぞれボルトを用いた取付構造により第1及び第2のフレーム材35及び37に固定されている。このような中間フレーム材43乃至51を設けると、枠状構造体17の機械的強度を高めることができる上、第1及び第2の面発光パネル部材13及び15からの放熱をさらに良好なものとすることができる。
【0042】
図2(B)に示すように、複数の発光ダイオード19及び21を駆動するための電力を発生する変圧器を含む2つの電源部PW1及びPW2が第1のフレーム材35のフレーム本体部35Aの上に固定されている。これは、本実施の形態では、表示装置の長さが長いために、第1及び第2の面発光パネル部材13及び15がそれぞれ二組の分割面発光パネル部材によって構成されているためである。すなわち第1の面発光パネル部材13が2つの分割面発光パネル部材によって構成され、第2の面発光パネル部材15が2つの分割面発光パネル部材によって構成されている。そこで、対向して配置される1組の分割面発光パネル部材に対して第1の電源部PW1が設けられ、他の1組の分割面発光パネル部材に対して第2の電源部PW2が設けられている。本実施の形態では2つの電源部PW1及びPW2を第1のフレーム材35のフレーム本体部35A上に設けているので、フレーム本体部35Aが複数の発光ダイオード19及び21に電力を供給するための変圧器を含む電源部PW1及びPW2を収納する電源収納用筐体5の一つの壁部を構成している。このようにすると、電源収納用筐体5を構成するための部品点数を減らすことができるだけでなく、電源部PW1及びPW2と発光ダイオード19及び21との間の距離が短くなって、両者間の電気的接続が容易になる。また第1のフレーム材35のフレーム本体部35Aは、電源部PW1及びPW2で発生した熱が発光ダイオード19及び21側に直接影響を与えるのを阻止するバリアとして機能している。
【0043】
本実施の形態では、図2(A)及び図3に示すように、電源収納用筐体5を、第1のフレーム材35のフレーム本体部35Aの周縁部から上方に延び得る4つの壁部53,55,57及び59とから構成している。本実施の形態では、図8に示すように、壁部53及び55の下側端部がフレーム本体部35Aに対してヒンジ機構H1及びH2を介して前方側及び後方側に開閉するように構成されている。このようにすると電源部の定期的な点検作業が容易になる。そして側面側の壁部57及び59は、第3及び第4のフレーム材39及び41と組み合わせて一体化されている。図9(A)及び(B)には、壁部59と第4のフレーム材41とが組み合わされて一体化された状態を拡大して示してある。図9に示すように壁部59と第4のフレーム材41とが一体化された一体化部材61は、壁部59の上側端部側に設けたヒンジ機構H3を介して開閉する。一体化部材61の自由端部は、図9(B)に示すように、第2のフレーム材37に固定したL字金具に設けたネジ孔(図示せず)を利用して、取付ネジ65を用いて第2のフレーム材37に固定される。このような構造を採用することにより、一体化部材61を開いて第1及び第2の透光板9及び11の交換をすることが可能になる。なお壁部59と対向する壁部57と第3のフレーム材39も、壁部59と第4のフレーム材41と同様に一体化されている。なお実施の形態では、壁部57と第3のフレーム材39とを一体化した一体化部材は、特に開閉する構造になっていない。しかしこの一体化部材を一体化部材61と同様に上側端部を中心にして開閉するように構成してもよいのは勿論である。
【0044】
本実施の形態では、電源収納用筐体5を構成する複数の壁部のうちフレーム本体部35Aに連結される4つの壁部53〜59の外壁部には、放熱用の複数のリブ63が一体に形成されている。また本実施の形態では、第2乃至第4のフレーム材37〜41の外壁部にも放熱用の複数のリブ63を一体に設けてある。その結果、第1のフレーム材35のフレーム本体部35Aから伝熱された熱と電源部PW1及びPW2で発生した熱を電源収納用筐体5から積極的に外気へ放熱することができる上、枠状構造体17の主要な外壁部からも熱を積極的に放熱することができる。
【0045】
本実施の形態では、電源収納用筐体5の天井部分に開口部が設けられていて開放状態にある。したがって電源収納用筐体5内に熱がこもることがない。しかし電源収納用筐体5が内部に熱気がこもりやすい構造の場合には、電源収納用筐体5を構成する複数の壁部53〜59のうち2以上の壁部に通気孔を形成してもよい。このような通気孔を形成すると、通気孔を通して電源収納用筐体の内部の熱気を外部に排出することができる。
【0046】
また電源収納用筐体5として、第1のフレーム材35のフレーム本体部35Aにより構成される壁部と対向する天井部分に開口部を有する構造を採用する場合には、図10に示すように、第1のフレーム材35のフレーム本体部35Aに、枠状構造体17の内部と電源収納用筐体5の内部とを連通する複数の通気孔TH1をフレーム本体部35Aの長手方向に沿って所定の間隔をあけて形成する。この例では、中央壁部35B内に設けた補強用の隔壁部35Eに複数の貫通孔TH2を形成してある。また第2のフレーム材37のフレーム本体部37Aにも、枠状構造体17の内部と外部とを連通する複数の通気孔TH3をフレーム本体部37Aの長手方向に沿って所定の間隔あけて形成してある。さらに中央壁部37B内に設けた補強用の隔壁部37Eには複数の貫通孔TH4を形成してある。このようにすると第2のフレーム材37に形成された複数の通気孔TH3及び隔壁部37Eに設けた貫通孔TH4を通って枠状構造体17の内部で、特に2枚の面発光パネル部材13及び15の間に形成された空間に入った外気は、第1のフレーム材35の隔壁部35Eに設けた貫通孔TH2及び第1のフレーム材35のフレーム本体部35Aに形成された複数の通気孔TH1を通って電源収納用筐体5内に入り、天井部分に形成した開口部を通して外部に抜け出る。このような通気路が形成されることによって、冷却性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(A)は本発明の実施の形態の両面発光表示装置を駅構内で使用する案内表示装置に適用した実施の形態の正面図であり、(B)は底面図であり、(C)及び(D)は左側面図及び右側面図である。
【図2】(A)は前面側及び背面側の2枚の表示パネルを取り外した状態の正面図であり、(B)は電源収納用筺体の前方壁部をさらに除いた状態の正面図を示している。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】面発光パネル部材の構造を概略的に説明するために用いる図である。
【図5】第1及び第2のフレーム材の構造を説明するために用いる図である。
【図6】第3及び第4のフレーム材の構造を説明するために用いる図である。
【図7】中間フレーム材の取付構造を説明するために用いる図である。
【図8】電源収納用筺体の壁部の構造を説明するために用いる図である。
【図9】(A)及び(B)は、それぞれ両面発光表示装置の側面構造を説明するために用いる図である。
【図10】第1及び第2のフレーム材の変形例を示すために用いる図である。
【符号の説明】
【0048】
1 両面発光表示装置
3 取付具
5 電源収納用筺体
7 表示装置構造部
9,11 第1及び第2の透光板
13,15 第1及び第2の面発光パネル部材
17 枠状構造体
19,21 発光ダイオード
23,25 導光板
27,29 放熱板
31,33 光拡散パターン
35〜41 第1乃至第4のフレーム材
43〜51 中間フレーム材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ダイオードと、前面、前記前面と対向する背面及び前記前面と前記背面との間に位置する外周面を備えて、前記複数の発光ダイオードから放射された光を前記外周面から内部に導光するとともに前記前面から放射する導光板と、前記導光板の前記背面と間隙を介して対向するように配置されて前記複数の発光ダイオードから出る熱を放熱する熱伝導性の高い材料から形成された放熱板と、前記導光板の前記背面または前記放熱板の前記導光板と対向する面の一方に形成されて前記導光板に入射した光を拡散する光拡散パターンとをそれぞれ備えて構成された第1及び第2の面発光パネル部材と、
前記第1及び第2の面発光パネル部材のそれぞれの前記導光板の前記前面の前方側に配置される光透過性を有する第1及び第2の透光板と、
前記第1の面発光パネル部材の前記放熱板と前記第2の面発光パネル部材の前記放熱板とを所定の間隔をあけて対向させた状態で前記第1の面発光パネル部材及び前記第2の面発光パネル部材を位置決めし、前記第1の面発光パネル部材の前記導光板の前記前面の前方側に前記第1の透光板を位置決めし且つ前記第2の面発光パネル部材の前記導光板の前記前面の前方側に前記第2の透光板を位置決めした状態で、前記第1及び第2の面発光パネル部材並びに前記第1及び第2の透光板の外周部を囲む枠状構造体とを備えており、
前記枠状構造体は、前記複数の発光ダイオードに沿って延びる金属製の第1のフレーム材と、前記第1のフレーム材と対向する金属製の第2のフレーム材と、前記第1及び第2のフレーム材のそれぞれの一端を連結する金属製の第3のフレーム材と、前記第1及び第2のフレーム材のそれぞれの他端を連結する金属製の第4のフレーム材とを備え、少なくとも前記第1及び第2のフレーム材が前記第1の面発光パネル部材の前記放熱板と前記第2の面発光パネル部材の前記放熱板と熱伝達可能に接触するように構成されていることを特徴とする両面発光表示装置。
【請求項2】
前記第1のフレーム材は、前記第1及び第2の面発光パネル部材のそれぞれの前記導光板の前記前面と直交する方向に延びるフレーム本体部と、前記フレーム本体部の中央部に一体に形成され且つ前記第1の面発光パネル部材の前記放熱板及び前記第2の面発光パネル部材の前記放熱板と熱伝達可能に接触する第1及び第2の壁面を備えた中央壁部と、前記フレーム本体部と一体に形成されて前記中央壁部の前記第1の壁面との間に、前記第1の面発光パネル部材における第1のパネル部材縁部及び前記第1の透光板における第1の透光板縁部が入る第1の溝部を形成する第1の起立壁部と、前記フレーム本体部と一体に形成されて前記中央壁部の前記第2の壁面との間に、前記第2の面発光パネル部材における第1のパネル部材縁部及び前記第2の透光板における第1の透光板縁部が入る第2の溝部を形成する第2の起立壁部を備え、
前記第2のフレーム材は、前記第1及び第2の面発光パネル部材のそれぞれの前記導光板の前記前面と直交する方向に延びるフレーム本体部と、前記フレーム本体部の中央部に一体に形成され且つ前記第1の面発光パネル部材の前記放熱板及び前記第2の面発光パネル部材の前記放熱板と熱伝達可能に接触する第1及び第2の壁面を備えた中央壁部と、前記フレーム本体部と一体に形成されて前記中央壁部の前記第1の壁面との間に、前記第1の面発光パネル部材における前記第1のパネル部材縁部と対向する第2のパネル部材縁部及び前記第1の透光板における前記第1の透光板縁部と対向する第2の透光板縁部が入る第1の溝部を形成する第1の起立壁部と、前記フレーム本体部と一体に形成されて前記中央壁部の前記第2の壁面との間に、前記第2の面発光パネル部材における前記第1のパネル部材縁部と対向する第2のパネル部材縁部及び前記第2の透光板における前記第1の透光板縁部と対向する第2の透光板縁部が入る第2の溝部を形成する第2の起立壁部とをそれぞれ備えている請求項1に記載の両面発光表示装置。
【請求項3】
前記第3のフレーム材は、前記第1及び第2の面発光パネル部材の前記導光板の前記前面と直交する方向に延びるフレーム本体部と、前記フレーム本体部の中央部に一体に形成され、前記第1及び第2のフレーム材の前記中央壁部の一端と当接し且つ前記第1の面発光パネル部材の前記放熱板及び前記第2の面発光パネル部材の前記放熱板と熱伝達可能に接触する第1及び第2の壁面を備えた中央壁部と、前記フレーム本体部と一体に形成されて前記中央壁部の前記第1の壁面との間に、前記第1の面発光パネル部材の前記第1のパネル部材縁部の一端及び前記第2のパネル部材縁部の一端との間に位置する前記第1の面発光パネル部材の第3のパネル部材縁部及び前記第1の透光板の前記第1の透光板縁部の一端及び前記第2の透光板縁部の一端との間に位置する第3の透光板縁部が入る第1の溝部を形成する第1の起立壁部と、前記フレーム本体部と一体に形成されて前記中央壁部の前記第2の壁面との間に、前記第2の面発光パネル部材の前記第1のパネル部材縁部の一端及び前記第2のパネル部材縁部の一端との間に位置する前記第2の面発光パネル部材の第3のパネル部材縁部及び前記第2の透光板の前記第1の透光板縁部の一端及び前記第2の透光板縁部の一端との間に位置する第3の透光板縁部が入る第2の溝部を形成する第2の起立壁部とを備えており、
前記第4のフレーム材は、前記第1及び第2の面発光パネル部材の前記導光板の前記前面と直交する方向に延びるフレーム本体部と、前記フレーム本体部の中央部に一体に形成され、前記第1及び第2のフレーム材の前記中央壁部の他端と当接し且つ前記第1の面発光パネル部材の前記放熱板及び前記第2の面発光パネル部材の前記放熱板と熱伝達可能に接触する第1及び第2の壁面を備えた中央壁部と、前記フレーム本体部と一体に形成されて前記中央壁部の前記第1の壁面との間に、前記第1の面発光パネル部材の前記第1のパネル部材縁部の他端及び第2のパネル部材縁部の他端との間に位置する前記第1の面発光パネル部材の第4のパネル部材縁部及び前記第1の透光板の前記第1の透光板縁部の他端及び前記第2の透光板縁部の他端との間に位置する第4の透光板縁部が入る第1の溝部を形成する第1の起立壁部と、前記フレーム本体部と一体に形成されて前記中央壁部の前記第2の壁面との間に、前記第2の面発光パネル部材の前記第1のパネル部材縁部の他端及び前記第2のパネル部材縁部の他端との間に位置する前記第2の面発光パネル部材の第4のパネル部材縁部及び前記第2の透光板の前記第1の透光板縁部の他端及び前記第2の透光板縁部の他端との間に位置する第4の透光板縁部が入る第2の溝部を形成する第2の起立壁部とを備えている請求項2に記載の両面発光表示装置。
【請求項4】
前記枠状構造体は、前記第3のフレーム材と前記第4のフレーム材との間に配置されて、前記第1及び第2のフレーム材の前記中央壁部に熱伝達可能に連結され且つ前記第1及び第2の面発光パネル部材のそれぞれの前記放熱板と熱伝達可能に接触する1本以上の中間フレーム材を更に備えている請求項1,2または3に記載の面状発光表示装置。
【請求項5】
前記第1のフレーム材の前記フレーム本体部が、前記複数の発光ダイオードに電力を供給するための変圧器を含む電源部を収納する電源収納用筐体の一つの壁部を構成している請求項2に記載の両面発光表示装置。
【請求項6】
前記電源収納用筐体を構成する複数の壁部のうち前記フレーム本体部により構成される前記壁部を除いた他の少なくとも一つの壁部が、前記電源部の点検を行う際に開放状態になるように構成されている請求項5に記載の両面発光表示装置。
【請求項7】
前記電源収納用筐体を構成する複数の壁部のうち前記フレーム本体部に連結される4つの壁部の外壁部には放熱用の複数のリブが一体に形成されている請求項5または6に記載の両面発光表示装置。
【請求項8】
前記第2乃至第4のフレーム材の外壁部には放熱用の複数のリブが一体に形成されている請求項5または7に記載の両面発光表示装置。
【請求項9】
前記電源収納用筐体を構成する複数の壁部のうち2以上の壁部には通気孔が形成されている請求項5に記載の両面発光表示装置。
【請求項10】
前記電源収納用筐体は、前記フレーム本体部により構成される前記壁部と対向する部分に開口部を有しており、
前記第1のフレーム材の前記フレーム本体部には、前記枠状構造体の内部と前記電源収納用筐体の内部とを連通する複数の通気孔が形成されており、
前記第2のフレーム材の前記フレーム本体部には、前記枠状構造体の内部と外部とを連通する複数の通気孔が形成されている請求項5に記載の両面発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−244501(P2009−244501A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89692(P2008−89692)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】