説明

両面白色コーティング基板としての不透明ポリエステルフィルム

【課題】印画用白色ポリエステルフィルムの隠蔽性を改善し、画像形成後の視認性に優れた白色ポリエステルフィルム及びその製造法を提供する。
【解決手段】2.0より大きい透過光学濃度を持つ不透明コア層1を含み、その両面に白色外層2,4を有するポリエステルフィルムであって、(i)白色外層2,4が、白色外層2,4ポリエステルの重量に対して15重量%から25重量%の範囲の無機充填剤を含み、(ii)ポリエステルフィルムが80から120単位の範囲の白色度を示し、(iii)ポリエステルフィルムが90から100の範囲のL*値を示し、(iv)ポリエステルフィルムが少なくとも4.0の透過光学濃度を示す、前記フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルフィルムに関し、特に画像形成(imaging)に適した白色ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルムは、広範囲の画像形成適用業務に使用されてきた。白色ポリエステルフィルムは、場合によっては紙の代替物として、写真画像の印画のため、筆記のため、熱およびレーザ転写印刷、インクジェット印刷、写真複写などの印刷業務で使用されてきた。残念ながら、既存の白色ポリエステルフィルムは、不透明度が比較的低いので、多少の光がフィルムを透過し、そこに印画される画像の可視化を妨害することがある。これは、白色ポリエステルフィルムの両面の画像形成が必要なときに、特に問題になり得る。すなわち、フィルムの一方の面に印画した画像が、しばしば、フィルムの他方の面から透けて見える。したがって、周知の白色ポリエステルフィルムは、一方の画像が他方の画像と干渉せずにフィルムの両面に画像を印画できるようにするために必要な不透明度を備えていない。フィルムの不透明度は、フィルムの増白剤または不透明剤、すなわち充填剤の濃度を増加することによって、またはフィルムの厚さを増加することによって、高めることができる。しかし、充填剤をフィルムにどれだけ添合できるかについては実際的な制限があり、またフィルムの厚さを増加すると、それに対応してフィルムの原価が増大し、かつ特定の意図された適用業務に適さなくなるかもしれない。
白色ポリエステルフィルムへの両面の画像形成に関連する別の問題は、既存の白色フィルムの二つの表面が異なることであり、例えば、表面の粗さ、白色度、および/または光沢度が著しく異なることがあり、一つのフィルムの二つの表面に印画された同じ画像が異なる外観を持つことがあるので、これは最終消費者にとって審美的に不快になる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明者等は、今回、前述の問題の少なくとも一つを排除または克服するポリエステルフィルムを考案した。
したがって、本発明は、2.0を超える光学濃度を持つ不透明コア層を含み、その両面に白色外層を持つポリエステルフィルムを提供する。
本発明は、また、2.0を超える光学濃度を持つ不透明コア層の形成およびその両面において白色外層を施すことを含むポリエステルフィルムの製造法をも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】不透明コア層および二つの白色外層を有するポリエステルフィルムの正しい縮尺比によらない略断面図である。
【図2】二つの白色外層の各々の表面に接着促進層を設けた図1に示すフィルムの同様の略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明に係るポリエステルフィルムのコア層および/または白色外層は、任意のフィルム形成ポリエステル材料から形成することができる。適切な熱可塑性ポリエステル材料は、一つ以上のジカルボン酸またはそれらの低級アルキル(最高6個までの炭素原子)ジエステル、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−または2,7−ナフタレンジカルボン酸、こはく酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、へキサヒドロテレフタル酸、または1,2−ビス−p−カルボキシフェノキシエタン(任意選択的にピバル酸などのモノカルボン酸を持つ)を一つ以上のグリコール、特に脂肪族グリコール、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールにより縮合することにより得ることができる合成線状ポリエステルを含む。ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルム、特に一般的に70から125℃の範囲内の温度で二つの相互に直交する方向に順次延伸することよって二軸に配向し、好ましくは一般的に150から250℃の範囲内の温度で熱硬化させた、例えばGB−A−838,708に記載されているようなフィルムが、特に好ましい。
【0006】
本発明の好適な実施形熊では、ポリエステルフィルムのコア層および白色外層は、同一ポリエステル材料、さらに好ましくはポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート、特にポリエチレンテレフタレートを含む。また、コア層および/または白色外層は、結晶性および/または半結晶性ポリエステル材料を含むことが好ましい。
本発明に係るポリエステルフィルムの不透明コア層および/または白色外層は、一軸方向に配向することができるが、機械的および物理的特性の満足のいく組合せを達成するために、フィルムの平面内で二つの相互に直交する方向に延伸することによって、二軸方向に配向することが好ましい。フィルムの形成は、配向ポリエステルフィルムを製造するための技術上周知の任意のプロセス、例えばインフレーション法またはフラットフィルム法によって、実施することができる。
インフレーション法では、熱可塑性ポリエステルチューブを押し出し、その後これを急冷し、再加熱し、次いで、内部ガス圧によってふくらませて横方向の配向を誘導し、かつ、縦方向の配向を誘導する速度で引き出すことによって、同時二軸配向を達成することができる。
【0007】
好適なフラットフィルム法では、フィルム形成ポリエステルをスロットダイから押し出し、ポリエステルが無定形状態にまで急冷されることを確実にするために、冷却された注型ドラム上で急冷する。次いで、急冷した押出物を、ポリエステルのガラス転移温度より高い温度で少なくとも一方向に延伸することによって、配向を達成する。急冷した偏平押出物を最初に一方向、通常は縦方向、すなわちフィルム延伸機から順方向に延伸し、次いで、横方向に延伸することによって、順次配向を達成することができる。押出物の順方向延伸を一組の回転ロール上で、または2対のニップロール間で実施し、次いで、縦方向延伸を幅出機で実施すると、便利である。延伸は、フィルム形成ポリエステルの性質によって決定される程度に行う。例えば、ポリエチレンテレフタレートは、通常、配向フィルムの寸法が延伸の方向または各方向におけるその原寸の2から5倍、さらに好ましくは2.5から4.5倍になるように延伸する。
延伸したフィルムは、ポリエステルの結晶化を誘導するために、フィルム形成ポリエステルのガラス転移温度より高いけれど、その融点より低い温度で、寸法抑制状態で、熱硬化することによって、寸法的に安定させることができ、そうすることが好ましい。
【0008】
本発明に係るポリエステルフィルムの形成は、従来の技術により、例えば予備成形した不透明コア層と予備成形した白色外層とを重ね合わせることにより、または予備成形した不透明のコア層上に白色外層を流し込むかまたはその逆により、実施することができる。しかし、本発明による複合ポリエステルフィルムの形成は、マルチ・オリフィス・ダイの個々のオリフィスからのそれぞれのフィルム形成層の同時共押出し、その後の静止溶融層の結合によるか、または好ましくは、それぞれのポリエステルの溶融流をダイ・マニホルド内に導くチャネル内で最初に結合し、その後、相互混合せずに層流の条件下でダイ・オリフィスからそれらを一緒に押し出し、それによって多層フィルムを生成する単チャネル共押出しによるかのいずれかの三層(外/コア/外)の共押出しにより、達成することが便利である。
コア層は不透明であり、これは、本明細書に記載するように測定したとき、2.0を超え、好ましくは2.5から10、さらに好ましくは3.0から7.0、特に4.0から6.0、とりわけ4.5から5.5の範囲内の透過光学濃度(TOD)を示すことを、意味する。上述のTOD範囲は、特に、厚さ60μmのコア層に適用される。コア層は、そこに有効量のカーボンブラックなどの不透明剤、またはアルミニウム粉末などの金属充填剤を混和することによって不透明にすると、便利である。カーボンブラック、とりわけファーナス型カーボンブラックとして知られるカーボンブラックは、特に好ましい不透明剤である。
【0009】
不透明コア層は、コア層のポリエステルの重量に対して重量で0.05%から10%、さらに好ましくは0.1%から5%、特に0.2%から4%、とりわけ0.3%から1%の不透明剤を含むことが好ましい。好ましくはカーボンブラックの不透明剤は、0.005から10μm、さらに好ましくは0.01から1.5μm、特に0.015から0.1μm、とりわけ0.02から0.05μmの範囲内の平均粒径を持つことが適切である。
不透明剤は、本明細書に記載するように測定したときに、20から300、さらに好ましくは50から200、特に110から160m2gm-1の範囲内のBET表面積を持つことが好ましい。
不透明コア層は、灰色または黒色であることが適切であり、本明細書に記載するように測定したとき、10から60、より好ましくは15から50、特に20から40、とりわけ25から35の範囲内のCIE実験室色座標L*値を示すことが好ましい。
本発明の好適な実施形態では、不透明コア層は、さらに、以下で述べるように、少なくとも一つの増白剤を含む。不透明コア層は、白色外層に存在するのと同一の増白剤を含むこと、すなわち、不透明コア層および白色外層は、少なくとも一つの共通する増白剤を含むことが、特に好ましい。不透明コア層は、白色外層に存在する増白剤の重量に対して、重量で5%から99%、好ましくは25%から97%、さらに好ましくは60%から95%、特に70%から90%、とりわけ75%から85%の範囲内の増白剤を含むことが適切である。
不透明コア層の厚さは、0.5から150μm、さらに好ましくは5から100μm、特に30から80μm、とりわけ50から70μmの範囲であることが好ましい。
【0010】
白色外層は、0.4から1.75、さらに好ましくは0.5から1.2、特に0.6から1.0、とりわけ0.7から0.9の範囲内の透過光学濃度(TOD)を示すことが好ましい。上述のTOD範囲は、特に、厚さが45μmの外層に適用される。外層は、有効量の増白剤をそこに混和することにより白くすることが便利である。適切な増白剤は、微粒子無機充填剤、非相溶性樹脂充填剤、または二つ以上のそうした充填剤の混合物を含む。
白色外層を生成するのに適した微粒子無機充填剤は、従来の無機顔料および充填剤、特にアルミナ、シリカ、およびチタニアなどの金属酸化物または半金属酸化物、ならびにカルシウムおよびバリウムの炭酸塩または硫酸塩などのアルカリ金属塩を含む。適切な無機充填剤は、均質とし、基本的に二酸化チタンまたは硫酸バリウムだけのように単一充填物質または化合物で構成することができる。代替的に、充填剤の少なくとも一部分を不均質とし、一次充填剤材料に追加変性成分を結合することができる。例えば、一次充填剤粒子を、顔料、石鹸、界面活性結合剤などの表面編成材、またはその他の編成材で処理し、充填剤と外層ポリエステルとの相溶性の程度を増進または変化させることができる。
適切な微粒子無機充填剤は非空隙型または空隙型とすることができる。つまり、空隙型とは、少なくとも離散した独立セルの部分を含むセルラ構造を含むことを意味する。硫酸バリウムは、結果的に空隙を形成する充填剤の一例である。二酸化チタンは、使用する二酸化チタンの粒子の種類によって、空隙型または非空隙型のどちらにもなり得る。本発明の好適な実施形態では、白色外層は二酸化チタンまたは硫酸バリウムまたはそれらの混合物を含む。
【0011】
白色外層に混和する無機充填剤の量は、白色外層ポリエステルの重量に対して、重量で1%以上、50%未満とすることが望ましい。特に充分な白色度は、充填剤の濃度が白色外層ポリエステルの重量に対して、重量で好ましくは5%から30%、さらに好ましくは15%から25%、特に18%から22%の範囲内であるときに達成される。本発明の一実施形態では、白色外層は、好ましくは3〜0.4:1、さらに好ましくは2〜0.8:1、特に1.5〜1:1の範囲内の重量比で存在する二酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子の混合物を含む。
二酸化チタン充填剤粒子は、アナターゼまたはルチル結晶の形態を取ることができる。二酸化チタンは、ルチルを主要部として含むことが好ましく、さらに好ましくは重量で少なくとも60%、特に少なくとも80%、とりわけ約100%のルチルを含む。粒子は、塩化物法を使用するなどの標準的方法により、好ましくは硫酸法により作成することができる。
【0012】
本発明の一実施形態では、二酸化チタン粒子を、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、またはこれらの混合物などの無機酸化物により被覆することが好ましい。この被覆剤は、その他に、適切には8から30個、好ましくは12から24個の炭素原子を有する脂肪酸および好ましくはアルカノルなどの有機化合物を含むことが好ましい。ポリジメチルシロキサンまたはポリメチルヒドロゲンシロキサンなどのポリジオルガノシロキサンまたはポリオルガノヒドロゲンシロキサンは、適切な有機化合物である。
前記被覆は、水性懸濁液中で二酸化チタン粒子に対して、施すことが適切である。無機酸化物を、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、ケイ酸、またはケイ酸ナトリウムなどの水溶性化合物から水性懸濁液に滴定する。
個々または一次二酸化チタン粒子は、電子顕微鏡で決定したとき、0.05から0.4μm、好ましくは0.1から0.3μm、さらに好ましくは0.2から0.25μmの範囲内の平均結晶サイズであることが適切である。本発明の好適な実施形態では、一次二酸化チタン粒子は、凝集して、複数の二酸化チタン粒子を含むクラスタまたは集塊を形成する。一次二酸化チタン粒子の凝集プロセスは、二酸化チタンの実際の合成中および/またはポリエステルおよび/またはポリエステルフィルム形成プロセス中に発生する。
【0013】
適切に凝集した二酸化チタンおよび/または硫酸バリウムの無機充填剤は、体積分散中央粒径(体積%対粒子の直径に関する累積分散曲線上で読み取る全粒子の体積の50%に相当する等価球径であり、しばしば「D(v,0.5)」値と呼ばれる)が、0.1から1.5μm、さらに好ましくは0.2から1.2μm、特に0.4から1.0μm、とりわけ0.6から0.9μmの範囲内であることが好ましい。
本発明に係る外層に混和する充填剤粒子は、どれも、実際の粒径が20μmを超えないことが好ましい。そのような粒径を超える粒子は、技術上周知のふるい分け法によって除去することができる。しかし、ふるい分け操作は、選択された粒径より大きい全ての粒子を除去するのに常に完全に成功するとは限らない。したがって、実際には、粒子の数で99.9%の粒径が20μmを超えないようにしなければならない。さらに好ましくは、粒子の99.9%の粒径が10μmを超えないようにしなければならない。好ましくは、少なくとも90%、さらに好ましくは、少なくとも95%の充填剤粒子は、±0.5μm、特に±0.3μmの体積分散中央粒径の範囲内である。
本明細書に記載する充填剤粒子の粒径は、電子顕微鏡、クールタ計数器、沈降分析、および静的または動的光散乱によって測定することができる。レーザ光回折に基づく技術が好ましい。中央粒径は、選択した粒径より低い粒子体積の百分率を表す累積分散曲線を描画し、第50百分位数(percentile)を測定することによって決定することができる。充填剤粒子の体積分散中央粒径は、高剪断(例えばChemcoll)ミキサで充填剤をエチレングリコールに分散した後、Malvem Instruments MastersizerのMS 15 Particle Sizerを使用して、適切に測定される。
【0014】
「非相溶性樹脂」とは、白色外層の押出および成形中に遭遇する最高温度で、ポリエステルを溶融しない樹脂、またはポリエステルと実質的に混和しない樹脂を意味する。そのような樹脂は、ポリエステルフィルムに結合するためにポリアミドおよびオレフィンポリマ、特にその分子に最高6個の炭素原子を含むモノアルファオレフィンのホモポリマまたはコポリマを含む。特にポリエチレンテレフタレート外層に結台するための好適な材料は、低密度または高密度のホモポリマ、特にポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリ−4−メチルペンテン−1などのオレフィンポリマ、オレフィンコポリマ、特にエチレンプロピレンコポリマ、またはこれらのうち二つ以上の混合物を含む。
白色外層における上述のオレフィンポリマの分散性は、望みの特性を得るためには適さない。したがって、オレフィンポリマ軟化剤と一緒に分散剤を混和することが好ましい。分散剤は、カルボキシル化ポリオレフィン、特にカルボキシル化ポリエチレンを含むと便利である。適切なカルボキシル化ポリオレフィンは、150〜100000cps(好ましくは150〜50000cps)の範囲内のブルックフィールド粘度(140℃)、および5〜200mgKOH/g(好ましくは5〜50mgKOH/g)の範囲内の酸価を持つものを含む。酸価とは、1gのポリマを中和するために必要なKOHのmg数である。
【0015】
分散剤の量は、必要な分散度が得られるように選択することができるが、従来は、オレフィンポリマの重量に対して、重量で0.05%から50%、好ましくは0.5%から20%の範囲内である。
白色外層に存在する非相溶性樹脂の量は、白色外層ポリエステルの重量に対して、重量で好ましくは2%から30%、さらに好ましくは3%から20%、特に4%から15%、とりわけ5%から10%の範囲内である。
本発明の一実施形態では、白色外層は光学的光沢剤を含む。光学的光沢剤は、ポリエステルまたはポリエステルフィルム製造のどの段階でも含めることができる。好ましくは光学的光沢剤はグリコールに添加し、あるいは代替的にその後に、例えば、射出によってポリエステルフィルムを成形する前に、押出中にポリエステルに添加する。光学的光沢剤は、白色外層ポリエステルの重量に対して、重量で50から1500ppm、さらに好ましくは100から1000ppm、特に200から300ppmの範囲内の量を添加することが好ましい。適切な光学的光沢剤は、「Uvitex」MES、「Uvitex」B、「Leucopur」EGM、および「Eastobrite」OB−1などの商品名で市販されているものを含む。
不透明コア層および/または白色外層の組成物の成分は、従来の方法で、例えば、ポリエステルが誘導される単量体反応物と混合することにより、一緒に混合することができ、あるいは、成分は混転または乾燥配合によって、または、押出機内で配合することによって、ポリエステルと混合され、その後で冷却され、通常、顆粒またはチップ状に粉砕される。代替的にマスタバッチング技術を使用することもできる。
【0016】
白色外層の外表面は、本明細書に記載するように測定したとき、30%から60%、より好ましくは35%から55%、特に40%から50%、とりわけ42%から46%の範囲内の60°光沢値を示すことが好ましい。
白色外層の外表面は、本明細書に記載するように測定したとき、100から1000nm、さらに詳しくは120から700nm、特に130から600nm、とりわけ150から500nmの範囲内の二乗平均表面粗さ(Rq)を示すことが好ましい。
白色外層の厚さは、5から150μm、さらに好ましくは10から100μm、特に15から50μm、とりわけ20から30μmの範囲内であることが好ましい。
本発明に係るポリエステルフィルムは、本明細書に記載するように測定したとき、L*、a*、およびb*について以下のCIE実験室色座標値を持つことが好ましい。L*値は、90から100、さらに好ましくは93から99、特に96から98の範囲内であることが好ましい。a*値は、−3から2、さらに好ましくは−2から1、特に−1から0.5、とりわけ−0.8から0.2の範囲内であることが好ましい。b*値は、−10から5、さらに好ましくは−5から3、特に−3から1、とりわけ−2から0の範囲内であることが好ましい。
【0017】
ポリエステルフィルムは、本明細書に記載するように測定したとき、80から120、さらに好ましくは85から110、特に90から105、とりわけ95から100単位の範囲内の白色度を示すことが好ましい。
ポリエステルフィルムは、2.5から10、さらに好ましくは3.0から8.0、特に4.0から7.0、とりわけ5.0から6.0の範囲内の透過光学濃度(TDO)を示すことが好ましい。
本発明に係るポリエステルフィルムは、順番に白色外層/不透明コア層/白色外層を含む多層構造である。二つの白色外層は、化学組成、厚さ等に関して異なってもよいが、同一である方が適切である。すなわち、対称な構造が好ましい。
本発明の特に好ましい実施形態では、二つの白色外層の各々の外表面は、同様、または実質的に同一である。これは、二つの表面の85°の光沢値の相違が、0から3%、さらに好ましくは0から2%、特に0から1%、とりわけ0から0.5%の範囲内であることを意味する。また、二つの表面の白色度の相違は、0から3、さらに好ましくは0から2、特に0から1、とりわけ0から0.5単位の範囲内であることが好ましい。さらに、二つの表面の二乗平均表面粗さ(Rq)の相違は、0から100nm、さらに好ましくは0から50nm、特に0から20nm、とりわけ0から5nmの範囲内であることが好ましい。
本発明に係るポリエステルフィルムの総厚さは、12から350μm、さらに好ましくは50から250μm、特に100から200μm、とりわけ100から175μmの範囲内であることが好ましい。不透明コア層の厚さは、ポリエステルフィルムの厚さの10%から80%、さらに好ましくは20%から65%、特に30%から60%、とりわけ40%から50%の範囲内であることが好ましい。
【0018】
本発明に係るポリエステルフィルムは、一方または両方の表面を、例えば、非被覆フィルムに比較して、取扱適性、静電気防止または接着性の増進などの性質の改善を示す被覆フィルムを形成するために、一つ以上の追加コーティング、インク、および/またはラッカー層で被覆することができる。適切なコーティング材は、アクリル樹脂、コポリエステル、スチレンコポリマ、アクリルコポリマ、機能化ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアリールアミン、ニトロセルロース、エチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース材などのフィルム成形ポリマー樹脂を含む。上述のポリマー樹脂の中のどれかの配合物または混合物を使用することもできる。
特に好適なコーティング層は、35から60モル%のアクリル酸エチル/30から55モル%のメタクリル酸メチル/2から20モル%のメタクリルアミドを有し、特にそれぞれ46/46/8%の概算モル比のアクリル酸エチル/メタクリル酸メチル/アクリルアミドまたはメタクリルアミドを有するアクリル酸コポリマを含み、後者のポリマは、例えば約25重量%のメチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂の存在下で熱硬化するときに、特に有効である。
【0019】
ポリエステルフィルムにコーティング媒体を堆積する前に、その露出表面に、その表面とその後で塗布するコーティング層との間の接着性を向上するために、化学的または物理的表面変性処理を施したければ、そうすることができる。好適な処理はコロナ放電である。代替的に、ポリエステルフィルムの表面を、それに対する溶媒または膨潤作用を有することが技術上知られている薬剤で前処理することができる。ポリエステルフィルムの場合、適切な材料は、共通有機溶剤に溶解するハロゲン化フェノール、例えばp−クロロ−m−クレゾール、2,4−ジクロロフェノール、2,4,5−または2,4,6−トリクロロフェノールまたは4−クロロレゾルシノールのアセトンまたはメタノール溶液を含む。
コーティング媒体は、すでに配向されたポリエステルフィルム表面に塗布することができるが、コーティング媒体の塗布は、延伸作業前または作業中に行うことが好ましい。特に、コーティング媒体は、二段階(縦方向と横方向)の二軸延伸作業の間にポリエステルフィルム表面に塗布することが好ましい。
【0020】
本発明に係るポリエステルフィルムの層は、ポリマフィルムの製造で従来使用される任意の添加物を含めたければ、そうすることができる。したがって、染料、顔料、空隙剤、潤滑剤、酸化防止剤、粘着防止剤、表面活性剤、滑り補助剤、光沢増進剤、プロデグラダント(prodegradants)、紫外線安定剤、粘度調整剤、および分散安定剤などの薬剤を適宜混和することができる。
本明細書に記載するポリエステルフィルムは、広範囲の適用業務に、特に高い光学濃度が要求される適用業務に使用することができる。このポリエステルフィルムは、熱転写およびレーザ転写印刷、インクジェット印刷、デジタルオフセットリトグラフ印刷を含むリトグラフ印刷、写真複写などの印刷業務で、写真画像の形成、書込み用などの業務で使用するのに特に適する。特に好ましい適用業務はインクジェット印刷である。既知の任意のインク受容層を本発明のポリエステルフィルムの表面に塗布して、インクジェット印刷に適したインク使用可能なシートを形成することができる。
【0021】
上述のインク受容層は技術上周知であり、一般的に親水性で吸収性の高い材料であり、アクリル、ポリエステル、セルロース樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、またはこれらの混合物など、広範囲のポリマー材料から形成することができる。
本発明を、以下の図面に関連して説明する。
図1は、不透明コア層および二つの白色外層を有するポリエステルフィルムの正しい縮尺比によらない略断面図である。
図2は、二つの白色外層の各々の表面に接着促進層を設けた図1に示すフィルムの同様の略断面図である。
図面のうち図1を参照すると、ポリエステルフィルムは不透明コア層(1)を含み、コア層の第一表面(3)に第一白色外層(2)を接着し、コア層(1)の第二表面(5)に第二白色外層(4)を備えている。
図2のフィルムは、第一白色外層(2)のコア層(1)から離れた表面(7)上の第一接着促進層(6)、および第二白色外層(4)のコア層(1)から離れた表面(9)上の第二接着促進層(8)を追加的に含む。
【0022】
本明細書では、以下の試験法を使用して、ポリエステルフィルムの特定の性質を決定した。
(i)フィルムの透過光学濃度(TOD)は、マクベス濃度計TR927(英国BasingstokeのDent and Woods社から入手)を透過モードで使用して測定した。
(ii)L*、a*、およびb*色座標値(CIE(1976))および白色度は、ASTM D313に記載された原則に基づき、Colorgard System 2000,Model/45(Pacific Scientlfic製造)を用いて測定した。
(iii)フィルム表面の60°光沢値は、DIN67530に従ってDr Lange反射率計REFO3(ドイツ、デュッセルドルフのDr BrunoLange,GmbHから入手)を用いて測定した。
(iv)フィルム表面の二乗平均粗さ(Rq)は、0.9×1.2mmの視野でWyko Optical Profilerを用いて測定した。
本発明をさらに、以下の例に関連して説明する。
【実施例】
【0023】
例1
(i)平均粒径が23nmであり150m2gm-1のBET比表面積(Micrometritics ASAP 2400(英国ダンスタブルのMicrometritics社)を使用して多点窒素吸着により測定した)を有するファーナス型カーボンブラックをポリエチレンテレフタレートの重量に対して3重量%含むポリエチレンテレフタレートのコア層ポリマと、(ii)0.7μmの体積分散中央粒径を有するルチル型二酸化チタンをポリエチレンテレフタレートの重量に対して15重量%含む二層の外層ポリマとの別個の流れを、別個の押出機から単一チャネル共押出し組立体に供給した。ポリエステル層をフィルム成形ダイから水冷式回転急冷ドラムに押し出し、無定形キャスト複合押出成形物を生成した。キャスト押出成形物を約80℃の温度に加熱し、次に2.9:1の前方延伸比で縦方向に延伸した。フィルムを幅出炉に渡し、そこでフィルムを乾燥し、横方向にその原寸の約3.4倍に延伸した。二軸延伸したポリエステルフィルムを約220℃の温度で熱硬化した。最終フィルム厚さは100μmであった。不透明コア層は厚さ15μmであり、二つの白色外層はどちらも厚さ42.5μmであった。
ポリエステルフィルムに本明細書に記載する試験を行ったところ、以下の性質を示した。
(i)透過光学濃度(TOD)=4.1
(ii)L*=94.06(二つの白色外層表面間の差=0.3)a*=−1.65 b*=−0.43 白色度=87.76単位(二つの白色外層表面間の差=0.91単位)
(iii)60°光沢値=53.0%(二つの白色外層表面間の差=0.1%)
(iv)二乗平均表面粗さ(Rq)=175nm(二つの白色外層表面間の差=7nm)
このフィルムは、その両面に画像形成するのに適していた。黒のマーカーぺンを用いてフィルムに書込みを行ったところ、書込みは、フィルムを窓の高さに持ち上げるか、あるいは明るい人工光例えばオーバヘッドプロジェクタに当てても、フィルムの反対側の表面から透けては見えなかった。
【0024】
例2
コア層が2%のカーボンブラックを含み、最終フィルム厚さが175μmであり、不透明コア層が厚さ18μmであり、二つの白色外層が両方とも厚さ78.5μmであることを除き、例1の手順を繰り返した。
このポリエステルフィルムに本明細書に記載する試験を行ったところ、以下の特性を示した。
(i)透過光学濃度(TOD)=4.9
(ii)L*=96.38(二つの白色外層表面間の差=0.02)a*=−1.50 b*=−1.96 白色度=80.02単位(二つの白色外層表面間の差=0.97単位)
(iii)60°光沢値=53.1%(二つの白色外層表面間の差=0.1%)
このフィルムも、その両面に画像形成するのに適していた。
【0025】
例3
コア層が2%のカーボンブラックを含み、白色外層が0.8μmの体積分散中央粒径を持つ硫酸バリウムをポリエチレンテレフタレートの重量に対して18重量%含む点を除いて、例1の方法を繰り返した。不透明コア層は厚さ10μmであり、二つの白色外層は両方とも厚さ45μmであった。
このポリエステルフィルムに本明細書に記載する試験を行ったところ、以下の性質を示した。
(i)透過光学濃度(TOD)=2.6
(ii)L*=93.61(二つの白色外層表面間の差=0.07)a*=−0.27 b*=−3.23 白色度=101.96単位(二つの白色外層表面間の差=0.04単位)
(iii)60°光沢値=52.15%(二つの白色外層表面間の差=1.1%)
(iv)二乗平均表面粗さ(Rq)=335nm(二つの白色外層表面間の差=70nm)
このフィルムも、その両面に画像形成するのに適していた。
【0026】
例4
コア層が0.3%のカーボンブラックおよび16%のルチル型二酸化チタンを含み、二つの白色外層が20%のルチル型二酸化チタンを含むことを除いて、例1の方法を繰り返した。最終フィルム厚さは100μmであり、不透明コア層は厚さ50μmであり、二つの白色外層は両方とも厚さ25μmであった。
このポリエステルフィルムに本明細書に記載する試験を行ったところ、以下の特性を示した。
(i)透過光学濃度(TOD)=6.2
(ii)L*=95.85 a*=−0.70 b*=−1.80 白色度=99.80単位
(iii)60°光沢値=43.6%
(iv)二乗平均表面粗さ(Rq)=257nm
このフィルムも、その両面に画像形成するのに適していた。
【0027】
例5
最終フィルム厚さが175μmであり、不透明コア層は厚さ87.5μmであり、二つの白色外層は両方とも厚さ43.8μmであったことを除いて、例4の方法を繰り返した。
このポリエステルフィルムに本明細書に記載する試験を行ったところ、以下の特性を示した。
(i)透過光学濃度(TOD)=6.5
(ii)L*=97.12 a*=−0.57 b*=−1.04 白色度=98.66単位
(iii)60°光沢値=49.0%
このフィルムも、その両面に画像形成するのに適していた。
【0028】
例6
コア層が0.25%のカーボンブラックを含み、二つの白色外層が15%の二酸化アナターゼチタンを含むことを除いて、例1の方法を繰り返した。最終フィルム厚さは100μmであり、不透明コア層は厚さ50μmであり、二つの白色外層は両方とも厚さ25μmであった。
このポリエステルフィルムに本明細書に記載する試験を行ったところ、以下の性質を示した。
(i)透過光学濃度(TOD)=5.55
(ii)L*=87.74 a*=−1.00 b*=−6.97 白色度=106.29単位
(iii)60°光沢値=47.5%
このフィルムも、その両面に画像形成するのに適していた。
【0029】
例7
コア層が0.2%のカーボンブラックおよび12.5%のルチル型二酸化チタンを含み、二つの白色外層が15%のルチル型二酸化チタンおよび1000ppmの光学光沢剤を含むことを除いて、例1の方法を繰り返した。最終フィルム厚さは100μmであり、不透明コア層は厚さ50μmであり、二つの白色外層は両方とも厚さ25μmであった。
このポリエステルフィルムに本明細書に記載する試験を行ったところ、以下の性質を示した。
(i)透過光学濃度(TOD)=5.03
(ii)L*=93.0 a*=−0.60 b*=−3.70 白色度=103.00単位
(iii)60°光沢値=41.7%
このフィルムも、その両面に画像形成するのに適していた。
【0030】
例8
二つの外層が光学光沢剤を含まないことを除いて、例7の方法を繰り返した。
このポリエステルフィルムに本明細書に記載する試験を行ったところ、以下の性質を示した。
(i)透過光学濃度(TOD)=5.03
(ii)L*=93.8 a*=−1.10 b*=−1.80 白色度=94.6単位
このフィルムも、その両面に画像形成するのに適していた。
【0031】
例9
これは、本発明に係らない比較例である。ポリエチレンテレフタレートの重量に対して18重量%の硫酸バリウムを含むポリエチレンテレフタレートモノフィルムを、例1で記載した一般的なフィルム作成法に従って作成した。最終フィルム厚さは100μmであった。
このポリエステルフィルムに本明細書に記載する試験を行ったところ、以下の特性を示した。
(i)透過光学濃度(TOD)=1.05
(ii)L*=96.90 a*=0.28 b*=−1.08 白色度=98.34単位
(iii)60°光沢値=43.9%
このフィルムは、その両面に画像形成するのに適さなかった。このフィルムの片面に黒のマーカーペンで書いた画像は、フィルムを光に当てた時に、フィルムの反対側の表面から透けて見えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2.0より大きい透過光学濃度を持つ不透明コア層を含み、その両面に白色外層を有するポリエステルフィルムであって、
(i)白色外層が、白色外層ポリエステルの重量に対して15重量%から25重量%の範囲の無機充填剤を含み、
(ii)ポリエステルフィルムが80から120単位の範囲の白色度を示し、
(iii)ポリエステルフィルムが90から100の範囲のL*値を示し、
(iv)ポリエステルフィルムが少なくとも4.0の透過光学濃度を示す、前記フィルム。
【請求項2】
前記コア層が、コア層ポリエステルの重量に対して0.25重量%以下の不透明剤を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記不透明剤がカーボンブラックを含む、請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記コア層が増白剤を含む、請求項1から3のいずれかに記載のフィルム。
【請求項5】
コア層および外層の両方に同一増白剤が存在する、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
不透明コア層の厚さがポリエステルフィルムの厚さの65%〜80%の範囲内である、請求項1から5のいずれかに記載のフィルム。
【請求項7】
二つの外層の白色度の相違が0から3%の範囲内である、請求項6に記載のフィルム。
【請求項8】
ポリエステルフィルムが4.0〜7.0の範囲の透過光学濃度を示す、請求項1から7のいずれかに記載のフィルム。
【請求項9】
無機充填剤が硫酸バリウムである、請求項1から8のいずれかに記載のフィルム。
【請求項10】
ポリエステルフィルムの総厚さが12μm〜350μmの範囲内である、請求項1から9のいずれかに記載のフィルム。
【請求項11】
2.0より大きい透過光学濃度を持つ不透明コア層を形成すること、およびその両面に白色外層を塗布することを含むポリエステルフィルムの製造法であって、
(i)白色外層が、白色外層ポリエステルの重量に対して15重量%から25重量%の範囲の無機充填剤を含み、
(ii)ポリエステルフィルムが80から120単位の範囲の白色度を示し、
(iii)ポリエステルフィルムが90から100の範囲のL*値を示し、
(iv)ポリエステルフィルムが少なくとも4.0の透過光学濃度を示す、前記製造法。
【請求項12】
ポリエステルフィルムが不透明コア層および白色外層の共押出しによって生成される、請求項11に記載の製造法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−136568(P2011−136568A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20894(P2011−20894)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【分割の表示】特願平10−509507の分割
【原出願日】平成9年8月12日(1997.8.12)
【出願人】(300038826)デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ (36)
【Fターム(参考)】