説明

両面粘着シート

【課題】防水性(止水性)と耐衝撃性の両特性に優れた両面粘着シートを提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系発泡体基材の両面側にアクリル系粘着剤層を有する両面粘着シートであって、前記ポリオレフィン系発泡体基材は、独立気泡率が70%以上、架橋度が3〜60重量%であり、前記アクリル系粘着剤層は、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマーと粘着付与樹脂とを含む粘着剤組成物から形成されたアクリル系粘着剤層であることを特徴とする両面粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着シートに関する。より詳しくは、ポリオレフィン系発泡体基材を有し、防水性と耐衝撃性の両特性に優れた両面粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材の両面に粘着剤層(感圧性接着剤層)を有する基材付き両面粘着シート(両面感圧性接着シート)は、例えば、部材の組み付けや部材同士の接合手段等の信頼性の高い接合手段や固定手段として各種産業分野で利用されている。このような基材付き両面粘着シートとしては、例えば、基材として不織布を用いたもの(特許文献1参照)や紙を用いたもの、また、基材としてプラスチックフィルムを用いたもの等が知られている。
【0003】
近年、携帯電話などの電子機器には防水機能が求められてきており、このため、このような電子機器用途における部品固定用の基材付き両面粘着シートにも該電子機器の内部に水を浸入させない機能(当該機能を「防水性」又は「止水性」と称する場合がある)が求められてきている。しかし、基材の素材として、不織布や紙を用いた両面粘着シートでは、不織布や紙が水を含浸するため、防水性の点で問題を生じていた。一方、基材としてプラスチックフィルムを用いた両面粘着シートでは、プラスチックフィルムの剛性により、凹凸に対する追従性が低く、段差部分に貼付した場合に浮きが生じることによって、良好な防水性を得ることは困難であった。
【0004】
また、近年の携帯電話やスマートフォン等の電子機器の高性能化に伴い、両面粘着シートによって固定されるレンズ等の部材の重量が、より重くなってきている。このため、電子機器に使用される両面粘着シートには、このような電子機器に落下等による強い衝撃が加わった場合であっても剥離することなく、部材を強固に固定・保持できる機能(当該機能を「耐衝撃性」と称する場合がある)が求められてきている。特に、電子機器が使用される態様や環境が拡大するにつれ、両面粘着シートには、より厳しい環境条件下(特に、低温環境下)においても優れた耐衝撃性を発揮することが求められてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−152111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さらに、両面粘着シートを用いた製品の製造においては、製造中や製造後の検査において不具合が判明した場合に、製品中の部材を再利用するために当該部材から両面粘着シートを剥離(再剥離)する、いわゆる「リワーク」を実施する場合がある。また、使用後の製品を解体したり、当該製品から部材を回収する際には、当該部材から両面粘着シートを剥離する場合がある。このようなリワークや、製品の解体、部材の回収の場面においては、両面粘着シートの剥離時に粘着剤層や基材が破損したり、剥離後の部材(被着体)に粘着剤層の一部が残存する(当該現象を「糊残り」と称する場合がある)等の不具合が生じ、再剥離性(リワーク性)が低下する等の問題が生じていた。このような再剥離性の低下は、経時による被着体に対する両面粘着シートの粘着力の上昇や、両面粘着シートの基材に対する粘着剤層の投錨性の不足等が主な原因であった。
【0007】
従って、本発明の目的は、防水性(止水性)と耐衝撃性の両特性に優れた両面粘着シートを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、被着体に対する経時による粘着力上昇が抑制され、かつ基材に対する粘着剤層の投錨性が高い、再剥離性に優れた両面粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、独立気泡率及び架橋度が特定範囲に制御されたポリオレフィン系発泡体基材を基材として有し、かつ特定のアクリル系ポリマー及び粘着付与樹脂を少なくとも含む粘着剤組成物から形成されたアクリル系粘着剤層を上記基材の両面側に有する両面粘着シートが、防水性と耐衝撃性の両特性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、ポリオレフィン系発泡体基材の両面側にアクリル系粘着剤層を有する両面粘着シートであって、前記ポリオレフィン系発泡体基材は、独立気泡率が70%以上、架橋度が3〜60重量%であり、前記アクリル系粘着剤層は、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマーと粘着付与樹脂とを含む粘着剤組成物から形成されたアクリル系粘着剤層であることを特徴とする両面粘着シートを提供する。
【0010】
さらに、前記アクリル系粘着剤層は、ゲル分率が10〜50重量%であることが好ましい。
【0011】
さらに、前記アクリル系ポリマーは、分散度[(重量平均分子量)/(数平均分子量)]が3〜10であることが好ましい。
【0012】
さらに、前記アクリル系ポリマーは、前記アクリル系ポリマー中の分子量が10万以下の成分の割合が10〜30重量%であることが好ましい。
【0013】
さらに、前記アクリル系粘着剤層は、ヘイズが3〜30%であることが好ましい。
【0014】
さらに、前記アクリル系ポリマーは、前記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対するアクリル酸ブチルの含有量が60重量%以上のモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。
【0015】
さらに、前記アクリル系ポリマーは、前記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対するアクリル酸の含有量が1〜5重量%のモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。
【0016】
さらに、前記粘着剤組成物は、前記アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記粘着付与樹脂を5〜60重量部含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の両面粘着シートは上記構成を有しているため、防水性(止水性)と耐衝撃性の両特性に優れる。また、本発明の両面粘着シートは、アクリル系ポリマーの分散度や分子量が10万以下の成分の割合を特定範囲に制御した場合には、特に、ポリオレフィン系発泡体基材に対するアクリル系粘着剤層の投錨性が向上し、優れた再剥離性を発揮する。さらに、本発明の両面粘着シートは、アクリル系粘着剤層を構成する粘着剤組成物を特定組成とすることにより、経時による被着体に対する粘着力の上昇が抑制されるため、いっそう優れた再剥離性を発揮する。なお、本明細書において「再剥離性」とは、被着体から両面粘着シートを剥離する際に、アクリル系粘着剤層やポリオレフィン系発泡体基材が破損しにくく、剥離後には、被着体表面にアクリル系粘着剤層やポリオレフィン系発泡体基材が残存しにくい特性をいう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、デント試験において用いられる、評価用板に固定した状態の評価用サンプル(ポリオレフィン系発泡体基材)を表す概略図(平面図)である。
【図2】図2は、デント試験の方法を説明する概略図(斜視図)である。
【図3】図3は、デント試験において用いた錘を表す概略図(正面図)である。
【図4】図4は、デント試験において用いた錘を表す概略図(側面図)である。
【図5】図5は、デント試験において、錘を用いてポリオレフィン系発泡体基材(評価用サンプル)に対して荷重を加えている状態の一例を表す概略図(正面図)である。
【図6】図6は、デント試験において、錘を用いてポリオレフィン系発泡体基材に荷重を加えた後のポリオレフィン系発泡体基材(評価用サンプル)の状態の一例を表す概略図(正面図)である。
【図7】図7は、層間剥離強度の測定、及び投錨性の評価に用いる評価用サンプルの概略図(断面図)である。
【図8】図8は、層間剥離強度の測定方法、及び投錨性の評価方法を説明する概略図(断面図)である。
【図9】図9は、耐衝撃性の評価に用いる錘付きの評価用サンプルを表す概略図であって、(a)は平面図であり、(b)は(a)におけるY−Y断面図である。
【図10】図10は、防水性の評価に用いる評価用サンプルを表す概略図であって、(a)は平面図であり、(b)は(a)におけるZ−Z断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の両面粘着シートは、ポリオレフィン系発泡体基材の両面側にアクリル系粘着剤層を有する両面粘着シートである。なお、本明細書において、「粘着シート」という場合には、テープ状のもの、即ち、「粘着テープ」も含まれるものとする。また、両面粘着シートにおけるアクリル系粘着剤層の表面を「粘着面」と称する場合がある。また、本明細書において長手方向(MD)とは、両面粘着シートの製造工程における製造ライン方向(流れ方向)を指し、一般に、長尺状のシートの場合には長さ方向を表す。また、幅方向(TD)は、長手方向に対し直交する方向を指す。
【0020】
[ポリオレフィン系発泡体基材]
本発明の両面粘着シートにおけるポリオレフィン系発泡体基材は、ポリオレフィン系樹脂の発泡体より形成された気泡(気泡構造)を有する基材(発泡体基材)である。上記ポリオレフィン系発泡体基材は、単層の形態を有していてもよいし、複層(多層)の形態を有していてもよい。本発明の両面粘着シートは、ポリオレフィン系発泡体基材を有することにより、凹凸面への追従性、防水性、耐衝撃性に優れるという利点を有する。
【0021】
上記ポリオレフィン系発泡体基材を構成するポリオレフィン系樹脂としては、公知乃至慣用のポリオレフィン系樹脂を用いることができ、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。上記ポリオレフィン系樹脂は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、より好ましくはポリエチレンである。即ち、上記ポリオレフィン系発泡体基材としては、特に、ポリエチレン系発泡体基材、ポリプロピレン系発泡体基材が好ましく、より好ましくはポリエチレン系発泡体基材である。
【0022】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の独立気泡率は、70%以上(例えば、70〜100%)であり、好ましくは80〜100%である。独立気泡率を70%以上とすることにより、両面粘着シートの防水性(止水性)が向上する。なお、上記「独立気泡率」とは、ポリオレフィン系発泡体基材を用いて下記の方法により測定される値をいう。
【0023】
(独立気泡率の測定方法)
まず、ポリオレフィン系発泡体基材から一辺が5cmの平面正方形状でかつ一定厚さの試験片を切り出す。そして、上記試験片の厚さを測定して試験片の見掛け体積V1(cm3)を算出するとともに、試験片の重量W1(g)を測定する。
次に、上記試験片の、気泡が占める見掛け体積V2(cm3)を下記式に基づいて算出する(なお、上記試験片を構成する樹脂の密度を1g/cm3として計算している)。
気泡の占める見掛け体積V2=V1−W1
続いて、上記試験片を23℃の蒸留水中に水面から100mmの深さに沈めて、上記試験片に15kPaの圧力を3分間に亘って加える。しかる後、上記試験片を水中から取り出して試験片の表面に付着した水分を除去して該試験片の重量W2(g)を測定し、下記式に基づいて独立気泡率を算出する。
独立気泡率(%)=100−{100×(W2−W1)/V2
【0024】
上記独立気泡率は、発泡体基材中に存在する気泡(気泡構造)(通常、独立気泡(独立気泡構造)及び/又は連続気泡(連続気泡構造)が存在する)のうち、独立気泡の割合を表す指標となる値である。なお、「独立気泡」とは壁によって囲まれ、他の気泡とは連結されていない気泡をいう。一方、「連続気泡」とは、他の気泡と連結されている気泡をいう。従って、上記ポリオレフィン系発泡体基材の独立気泡率の値が大きいほど、ポリオレフィン系発泡体基材中に存在する気泡の中でも独立気泡の割合が高いことを示し、このような場合、該発泡体基材には水が浸入しにくく、高い防水性(止水性)を発揮できる。
【0025】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の架橋度は、3〜60重量%であり、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜35重量%である。架橋度を3重量%以上とすることにより、ポリオレフィン系発泡体基材の延伸時に、表面近傍に存在する気泡が破れにくく、このような気泡の破れによる表面のあれが抑制され、アクリル系粘着剤層の密着性が向上する。一方、架橋度を60重量%以下とすることにより、発泡体基材が硬くなり過ぎず適度な柔軟性を有するため、両面粘着シートの耐衝撃性が向上する。なお、上記「架橋度」とは、ポリオレフィン系発泡体基材を用い、下記の方法により測定される値をいう。
【0026】
(架橋度の測定方法)
まず、ポリオレフィン系発泡体基材から重さ約100mgの試験片を採取し、該試験片の重量A(mg)を精秤する。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm3中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網でろ過して金網上の不溶解成分を採取して真空乾燥し、不溶解成分の重量B(mg)を精秤する。得られた重量A及び重量Bに基づいて、下記式により、ポリオレフィン系発泡体基材の架橋度(単位:重量%)を算出する。
架橋度(重量%)=100×(B/A)
【0027】
上記架橋度は、ポリオレフィン系発泡体基材を構成するポリマー(ポリオレフィン系樹脂)が架橋している度合いを表す指標となる値である。即ち、上記ポリオレフィン系発泡体基材の架橋度が大きいほど、上記基材を構成するポリオレフィン系樹脂の架橋構造が密であることを示す。特に、本発明の両面粘着シートにおいては、ポリオレフィン系発泡体基材の架橋度が60重量%以下に制御されていることにより、優れた耐衝撃性を発揮できる。
【0028】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の平均気泡径は、特に限定されないが、基材強度の観点で、10〜1000μmが好ましく、より好ましくは20〜600μmである。平均気泡径を10μm以上とすることにより、耐衝撃性が向上する傾向がある。一方、平均気泡径を1000μm以下とすることにより、防水性(止水性)が向上する傾向がある。なお、平均気泡径は、例えば、光学顕微鏡により測定することができる。
【0029】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の密度(見掛け密度)は、特に限定されないが、再剥離性の観点で、0.1〜0.5g/cm3が好ましく、より好ましくは0.2〜0.4g/cm3である。密度を0.1g/cm3以上とすることにより、両面粘着シートの強度(特に、層間剥離強度)が向上し、耐衝撃性及び再剥離性が向上する傾向がある。一方、密度を0.5g/cm3以下とすることにより、柔軟性が低下し過ぎず、段差追従性が向上する傾向がある。両面粘着シートの段差追従性が良好であると、一般に、段差を有する被着体に貼り合わせた場合でも、被着体表面との間に隙間を生じにくく、防水性が向上する。なお、密度(見掛け密度)は、例えば、JIS K6767に準拠する方法により測定することができる。
【0030】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の発泡倍率は、特に限定されないが、2〜10cc/gが好ましく、より好ましくは2.5〜5cc/gである。発泡倍率を2cc/g以上とすることにより、柔軟性が向上し、段差追従性が向上する傾向がある。一方、発泡倍率を10cc/g以下とすることにより、両面粘着シートの強度(特に、層間剥離強度)が向上し、耐衝撃性及び再剥離性が向上する傾向がある。なお、本明細書において、上記ポリオレフィン系発泡体基材の発泡倍率は、JIS K6767に準拠して測定される見掛け密度の逆数として定義される。
【0031】
上記ポリオレフィン系発泡体基材は、公知乃至慣用の形成方法(例えば、発泡剤による形成方法など)を利用して形成することができる。また、上記ポリオレフィン系発泡体基材として、市販品を用いることもできる。
【0032】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の表面には、公知の表面処理が施されていてもよい。例えば、下塗り処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などの化学的又は物理的な表面処理が施されていてもよい。より具体的には、アクリル系粘着剤層等との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、コロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤や剥離剤などによるコーティング処理等が施されていてもよい。
【0033】
また、上記ポリオレフィン系発泡体基材には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤など)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、界面活性剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0034】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の厚さは、強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜選択でき、特に限定されないが、30〜1500μmが好ましく、より好ましくは50〜1200μmである。厚さを30μm以上とすることにより、強度が向上し、耐衝撃性及び再剥離性が向上する傾向がある。一方、厚さを1500μm以下とすることにより、製品の小型化や軽量化等に有利となる。
【0035】
特に、本発明の両面粘着シートを重量が重い製品、例えば、パソコン、テレビなどの大型フラットパネルディスプレイなどの用途に使用する場合、上記ポリオレフィン系発泡体基材の厚さは、例えば、200〜1500μm(より好ましくは300〜1200μm)が好ましい。一方、本発明の両面粘着シートを携帯用の電子機器、例えば、携帯電話、スマートフォンなどの用途に使用する場合、上記ポリオレフィン系発泡体基材の厚さは、例えば、30〜400μm(より好ましくは50〜300μm)が好ましい。
【0036】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の、下記のデント試験(Dent試験)により測定される、くさび型の先端形状を有する錘によって1kgfの荷重を15秒間加えた後の厚さの、もとの厚さに対する割合(「デント特性」と称する)は、特に限定されないが、20%以上が好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上である。上記デント特性は、荷重に対するポリオレフィン系発泡体基材の凹みにくさ(変形しにくさ)を表す物性である。上記ポリオレフィン発泡体基材のデント特性を20%以上とすることにより、適度な硬さを有し、破壊しにくくなるため、両面粘着シートが優れた再剥離性を発揮する。
【0037】
ポリオレフィン系発泡体基材のデント特性は、下記のデント試験により測定することができる。
[デント試験]
(評価用サンプルの作製)
図1は、デント試験において用いられる、評価用板に固定した状態のポリオレフィン系発泡体基材(評価用サンプル)を表す概略図(平面図)である。図1において、11はポリオレフィン系発泡体基材、12は評価用板を表す。
まず、ポリオレフィン系発泡体基材を、幅2mm×長さ50mmのサイズに切り出し、評価用サンプルを作製する。次に、上記ポリオレフィン系発泡体基材11(評価用サンプル)を評価用板12(アクリル板、サイズ:幅25mm×長さ50mm、厚さ5mm)に貼り付ける(図1参照)。
(デント特性の測定)
図2は、デント試験の方法を説明する概略図(斜視図)である。図2において、13は錘を表す。また、図3はデント試験において使用する錘を表す正面図(概略図)であり、図4は上記錘を表す側面図(概略図)である。図3及び図4において、14で囲んだ部分は錘13の先端部分を表す。図3及び図4に示すように、錘13の先端部分14はくさび型の形状を有している。
図2に示すように、ポリオレフィン系発泡体基材11を貼り付けた評価用板12を水平な台上に置き、動かないように固定する。次いで、上記ポリオレフィン系発泡体基材11に対して、鉛直方向上方から1kgの錘13を載せて荷重を加える。なお、この際、ポリオレフィン系発泡体基材11の長さ方向と錘の先端部分14の長手方向とが直交するように、また、錘の先端部分14の長手方向と鉛直方向とが直交するようにして、錘13をポリオレフィン系発泡体基材11に載せる(図2参照)。図5は、錘13を用いてポリオレフィン系発泡体基材11に対して荷重を加えている状態の一例を表す概略図(正面図)である。
ポリオレフィン系発泡体基材11に錘13を15秒間載せた後、錘13を取り外す。図6には、錘を用いてポリオレフィン系発泡体基材に荷重を加えた後の、ポリオレフィン系発泡体基材11の状態の一例を表す概略図(正面図)を示す。錘13を取り外してから1分以内に、ポリオレフィン系発泡体基材11の最も凹んだ部分の厚さ16(「Y2」と称する)と、凹んでいない部分の厚さ15(「Y1」と称する)を測定する(図6参照)。なお、Y1は、錘13により荷重を加える前のポリオレフィン系発泡体基材11の厚さ(もとの厚さ)に等しい。そして、下記式よりデント特性を算出する。
デント特性(%)= Y2/Y1 ×100
なお、Y1及びY2は、特に限定されないが、例えば、光学顕微鏡(商品名「デジタルマイクロスコープ VHX−1000」、((株)キーエンス製)を用い、測定倍率を100倍として観察した画像を処理する(例えば、付帯する画像処理ソフトを用いることができる)ことによって、測定できる。
【0038】
上記ポリオレフィン系発泡体基材のデント特性は、例えば、ポリオレフィン系発泡体基材の発泡倍率、組成などにより制御することができる。
【0039】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の長手方向(MD)の伸びは、特に限定されないが、200〜800%が好ましく、より好ましくは400〜600%である。長手方向の伸びを200%以上とすることにより、耐衝撃性や凹凸に対する追従性が向上する。一方、長手方向の伸びを800%以下とすることにより、基材強度が向上し、落下特性が向上する。
【0040】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の幅方向(TD)の伸びは、特に限定されないが、50〜800%が好ましく、より好ましくは100〜600%である。幅方向の伸びを50%以上とすることにより、耐衝撃性や凹凸に対する追従性が向上する。一方、幅方向の伸びを800%以下とすることにより、基材強度が向上し、落下特性が向上する。なお、上記ポリオレフィン系発泡体基材の伸び(長手方向の伸び、幅方向の伸び)は、JIS K6767に準拠して測定される。
【0041】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の伸びは、例えば、架橋度や発泡倍率などにより制御することができる。
【0042】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の長手方向(MD)の引張強さ(引張強度)は、特に限定されないが、0.5〜20MPaが好ましく、より好ましくは1〜15MPaである。長手方向の引張強さを0.5MPa以上とすることにより、再剥離性が向上する。一方、長手方向の引張強さを20MPa以下とすることにより、耐衝撃性や凹凸に対する追従性が向上する。
【0043】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の幅方向(TD)の引張強さ(引張強度)は、特に限定されないが、0.2〜20MPaが好ましく、より好ましくは0.5〜15MPaである。幅方向の引張強さを0.2MPa以上とすることにより、再剥離性が向上する。一方、幅方向の引張強さを20MPa以下とすることにより、耐衝撃性や凹凸に対する追従性が向上する。なお、上記ポリオレフィン系発泡体基材の引張強さ(長手方向の引張強さ、幅方向の引張強さ)は、JIS K6767に準拠して測定される。
【0044】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の引張強さは、例えば、架橋度や発泡倍率などにより制御することができる。
【0045】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の圧縮硬さは、特に限定されないが、約25mmの厚さとなるように積み重ねたポリオレフィン系発泡体基材を平板で挟み込み、はじめの厚さの25%圧縮した時の荷重で10〜300kPaが好ましく、より好ましくは30〜200kPaである。圧縮硬さを10kPa以上とすることにより、再剥離性が向上する。一方、圧縮硬さを300kPa以下とすることにより、凹凸に対する追従性が向上する。なお、上記ポリオレフィン系発泡体基材の圧縮硬さは、JIS K6767に準拠して測定される。
【0046】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の圧縮硬さは、例えば、架橋度や発泡倍率などにより制御することができる。
【0047】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の、環境条件:23℃、50%RH、圧縮条件:初めの厚さから50%歪んだ状態、圧縮時間:1日(24時間)で測定される圧縮永久歪み(「圧縮永久歪み(23℃、50%RH)」と称する場合がある)は、特に限定されないが、10%以下が好ましい。圧縮永久歪み(23℃、50%RH)を10%以下とすることにより、圧縮復元性が良好になり、段差追従性が向上する。
【0048】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の、環境条件:85℃、90%RH、圧縮条件:初めの厚さから50%歪んだ状態、圧縮時間:1日(24時間)で測定される圧縮永久歪み(「圧縮永久歪み(85℃、90%RH)」と称する場合がある)は、特に限定されないが、50%以下が好ましい。圧縮永久歪み(85℃、90%RH)を50%以下とすることにより、圧縮復元性が良好になり、段差追従性が向上する。
【0049】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の、環境条件:−40℃、圧縮条件:初めの厚さから50%歪んだ状態、圧縮時間:1日(24時間)で測定される圧縮永久歪み(「圧縮永久歪み(−40℃)」と称する場合がある)は、特に限定されないが、10%以下が好ましい。圧縮永久歪み(−40℃)を10%以下とすることにより、圧縮復元性が良好になり、段差追従性が向上する。なお、上記圧縮永久歪み(圧縮永久歪み(23℃、50%RH)、圧縮永久歪み(85℃、90%RH)、及び圧縮永久歪み(−40℃))は、JIS K6767に準拠し、圧縮終了後1分以内のポリオレフィン系発泡体基材の厚さを測定することにより算出することができる。
【0050】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の圧縮永久歪みは、例えば、発泡倍率、組成などによって制御することができる。
【0051】
また、上記ポリオレフィン系発泡体基材は、本発明の両面粘着シートにおいて意匠性や光学特性(遮光性、光反射性等)を発現させるために、着色されていてもよい。
【0052】
例えば、本発明の両面粘着シートを遮光用途に用いる場合、上記ポリオレフィン系発泡体基材の可視光透過率は、特に限定されないが、後述の両面粘着シートの可視光透過率と同様に、15%以下(例えば0〜15%)が好ましく、より好ましくは10%以下(例えば0〜10%)である。
【0053】
上記ポリオレフィン系発泡体基材の着色には、着色剤が用いられる。なお、上記着色剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0054】
本発明の両面粘着シートを遮光用途に用いる場合、上記ポリオレフィン系発泡体基材は黒色に着色されることが好ましい。黒色としては、L***表色系で規定されるL*(明度)で、35以下(例えば、0〜35)が好ましく、より好ましくは30以下(例えば、0〜30)である。なお、L***表色系で規定されるa*やb*は、それぞれ、L*の値に応じて適宜選択することができる。a*やb*としては、特に限定されないが、両方とも−10〜10(より好ましくは−5〜5、さらに好ましくは−2.5〜2.5)の範囲であることが好ましく、特に、両方とも0又はほぼ0であることが好ましい。
【0055】
なお、本明細書における、L***表色系で規定されるL*、a*、b*は、色彩色差計(商品名「CR−200」ミノルタ社製;色彩色差計)を用いて測定することにより求められる。なお、L***表色系は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した色空間であり、CIE1976(L***)表色系と称される色空間のことを意味している。また、L***表色系は、日本工業規格では、JIS Z8729に規定されている。
【0056】
上記ポリオレフィン系発泡体基材を黒色に着色する際に用いられる黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなど)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライトなど)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素などを用いることができる。中でも、コスト、入手性の観点から、カーボンブラックが好ましい。
【0057】
黒色着色剤の使用量は、特に限定されず、本発明の両面粘着シートに対し所望の光学特性を付与できるように適宜調整した量とすることができる。
【0058】
一方、両面粘着シートを光反射用途に用いる場合、ポリオレフィン系発泡体基材は白色に着色されることが好ましい。白色としては、L***表色系で規定されるL*(明度)で、87以上(例えば、87〜100)が好ましく、より好ましくは90以上(例えば、90〜100)である。なお、L***表色系で規定されるa*やb*は、それぞれ、L*の値に応じて適宜選択することができる。a*やb*としては、例えば、両方とも−10〜10(より好ましくは−5〜5、さらに好ましくは−2.5〜2.5)の範囲であることが好ましく、特に、両方とも0又はほぼ0であることが好ましい。
【0059】
白色に着色する際に用いられる白色着色剤としては、例えば、酸化チタン(ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタンなどの二酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムなど)、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、硫化亜鉛、タルク、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、燐酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、加水ハロイサイト等の無機系白色着色剤や、アクリル系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、アミド系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、尿素−ホルマリン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子等の有機系白色着色剤などが挙げられる。
【0060】
白色着色剤の使用量としては、特に限定されず、本発明の両面粘着シートに対し所望の光学特性を付与できるように適宜調整した量とすることができる。
【0061】
[アクリル系粘着剤層]
本発明の両面粘着シートにおけるアクリル系粘着剤層は、アクリル系ポリマーと粘着付与樹脂とを少なくとも含む粘着剤組成物(アクリル系粘着剤組成物)から形成された粘着剤層である。即ち、上記アクリル系粘着剤層は、アクリル系ポリマーと粘着付与樹脂とを少なくとも含む。上記アクリル系粘着剤層におけるアクリル系ポリマーの含有量は、特に限定されないが、アクリル系粘着剤層(100重量%)に対し、40〜98重量%が好ましく、より好ましくは50〜80重量%である。なお、本明細書において「粘着剤組成物」には、「粘着剤層を形成するための組成物」という意味も含むものとする。
【0062】
(アクリル系ポリマー)
上記アクリル系ポリマーは、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須のモノマー成分(単量体成分)として構成された重合体(アクリル系重合体)である。なお、上記「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち、いずれか一方又は両方)を表し、他も同様である。
【0063】
上記アクリル系ポリマーを構成する直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(単に「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」と称する場合がある)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル((メタ)アクリル酸n−ブチル)、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、さらに好ましくはアルキル基の炭素数が4〜9の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、特に好ましくはアクリル酸2−エチルヘキシル及び/又はアクリル酸ブチル、さらに好ましくは、接着性、再剥離性の観点からアクリル酸ブチル(BA)である。
【0064】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(特に、アクリル酸ブチル)の含有量は、特に限定されないが、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、60重量%以上(例えば、60〜99重量%)が好ましく、より好ましくは80重量%以上(例えば、80〜95重量%)である。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルの両方を含有する場合には、上記「(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量」とは、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルの含有量の合計(合計含有量)を意味するものとする。
【0065】
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分としては、特に限定されないが、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加え、さらに、下記の極性基含有モノマーを含有することが好ましい。極性基含有モノマーを含有することにより、例えば、被着体への接着力を向上させたり、アクリル系粘着剤層の凝集力を高めたりすることができる。
【0066】
上記極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー(無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマーも含むものとする);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどの水酸基(ヒドロキシル基)含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾールなどの複素環含有ビニル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。なお、極性基含有モノマーは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、極性基含有モノマーとしては、被着体への接着性向上の観点で、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマーが好ましく、より好ましくはカルボキシル基含有モノマー、さらに好ましくはアクリル酸(AA)である。
【0067】
上記極性基含有モノマーの含有量は、特に限定されないが、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、30重量%以下(例えば、0.1〜30重量%)が好ましく、より好ましくは0.1〜15重量%である。含有量を0.1重量%以上とすることにより、アクリル系粘着剤層の凝集力が高くなってせん断力が向上するため、再剥離性が向上する傾向がある。一方、含有量を30重量%以下とすることにより、アクリル系粘着剤層の凝集力が大きくなり過ぎないため、耐衝撃性が向上する傾向がある。また、接着性が向上する傾向がある。
【0068】
上記極性基含有モノマーの中でも、カルボキシル基含有モノマー(特に、アクリル酸)の含有量は、特に限定されないが、ポリプロピレン等の非極性被着体への接着性の観点で、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対し、1〜5重量%が好ましく、より好ましくは1〜3重量%、さらに好ましくは1〜2重量%である。
【0069】
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分としては、上述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、極性基含有モノマーのほか、多官能性モノマーが含まれていてもよい。上記多官能性モノマーとは、一分子中に2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーをいう。上記エチレン性不飽和基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ビニルエーテル基(ビニルオキシ基)、アリルエーテル基(アリルオキシ基)などのラジカル重合性官能基が挙げられる。
【0070】
上記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。なお、多官能性モノマーは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0071】
上記多官能性モノマーの含有量は、特に限定されないが、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、2重量%以下(例えば、0〜2重量%)が好ましく、より好ましくは0.02〜1重量%である。含有量を2重量%以下とすることにより、アクリル系粘着剤層の凝集力が高くなり過ぎず、耐衝撃性及び接着性が向上する傾向がある。なお、架橋剤を用いる場合には多官能性モノマーを用いなくてもよいが、架橋剤を用いない場合、上記多官能性モノマーの含有量は、0.001〜0.5重量%が好ましく、より好ましくは0.002〜0.1重量%である。
【0072】
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分には、上述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、極性基含有モノマー、及び多官能性モノマー以外の重合(共重合)可能なモノマー(「その他の共重合性モノマー」と称する場合がある)が含まれていてもよい。
【0073】
上記その他の共重合性モノマーとしては、例えば、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル[例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等]、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル[例えば、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等]、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチル等]などの、上述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、極性基含有モノマー、及び多官能性モノマー以外の(メタ)アクリル酸エステル;ビニルエステル類[例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等];芳香族ビニル化合物[例えば、スチレン、ビニルトルエン等];オレフィン類又はジエン類[例えば、エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等];ビニルエーテル類[例えば、ビニルアルキルエーテル等];塩化ビニルなどが挙げられる。
【0074】
上記アクリル系ポリマーは、上記モノマー成分を公知乃至慣用の重合方法により重合することにより得られる。上記アクリル系ポリマーの重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法や活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。中でも、粘着特性の点で、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましく、多くの種類の粘着付与樹脂を選択できるという観点から、より好ましくは溶液重合方法である。
【0075】
上記溶液重合に際しては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。上記溶剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0076】
上記アクリル系ポリマーの重合に際しては、重合開始剤を用いることができる。このような重合開始剤としては、特に限定されず、公知乃至慣用のものの中から適宜選択して使用することができる。具体的には、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス−4−シアノバレリアン酸等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の過酸化物系重合開始剤などの油溶性重合開始剤などが挙げられる。なお、上記重合開始剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量としては、特に限定されず、従来、重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。
【0077】
上記アクリル系ポリマーの製造方法としては、特に、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分を重合開始剤を用いて有機溶剤中で重合させる工程を含むアクリル系ポリマーの製造方法において、重合前段の主反応と重合後段の熟成反応のうち、重合後段の熟成反応がそれぞれ異なる温度で二回以上行われる方法であることが好ましい。このような方法により上記アクリル系ポリマーを製造することにより、アクリル系ポリマーの重量平均分子量、分散度(Mw/Mn)、アクリル系ポリマー中の分子量が10万以下の成分の割合を後述の特定範囲に制御しやすく、その結果、ポリオレフィン系発泡体基材に対するアクリル系粘着剤層の投錨性を向上させ、両面粘着シートの再剥離性を向上させることができる。
【0078】
上記アクリル系ポリマーの製造方法は、重合前段の主反応と重合後段の熟成反応とを有し、重合後段の熟成反応がそれぞれ異なる温度で二回以上行われるに際して、熟成反応の温度(熟成温度)が主反応の温度(主反応温度)よりも高いことが好ましく、2回目の熟成温度は1回目の熟成温度よりも高いことが好ましい。さらに、1回目の熟成温度が主反応温度よりも5℃以上高く、かつ2回目の熟成温度が1回目の熟成温度よりも5℃以上高いことがより好ましい。
【0079】
上記主反応は、重合初期の段階における低分子量成分の生成を抑制する観点で、以下に示す温度(主反応温度)で行うことが特に好ましい。
重合開始剤の10時間半減期温度−11[℃]≦主反応温度[℃]≦重合開始剤の10時間半減期温度−3[℃]
本明細書における主反応とは、重合開始後に重合率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上となるまでの反応のことをいう。主反応を終了させた時点での重合率を80%以上とすることにより、主反応よりも高い温度で実施される熟成反応において重合する残存モノマーの量が少なく、低分子量成分が少なくなり、耐熱性や耐反発性が向上する。上記重合率は、以下の方法により測定される。
(重合率の測定方法)
アクリル系ポリマーを含む溶液約1gを正確に秤量し、乾燥機を用いて130℃で3時間乾燥させた後、再度秤量する。この乾燥重量を溶液重量で除して求めた固形分測定値(%)[=(乾燥後の重量)/(乾燥前の重量)]と、重合前の仕込み比から求めた固形分計算値(%)から、以下の式により重合率を算出する。
重合率(%)=固形分測定値(%)/固形分計算値(%)×100
【0080】
上記「重合開始剤の10時間半減期温度」とは、ベンゼン中の重合開始剤が分解し、半減するまでに10時間かかる場合の温度を指し、重合開始剤の熱に対する特性を示す指標である。なお、複数の重合開始剤を用いた場合には、複数の重合開始剤の中で最も添加部数が多い重合開始剤の10時間半減期温度を、本明細書における「10時間半減期温度」と定義する。また、複数の重合開始剤の中で最も添加部数が多い重合開始剤が2種以上である場合には、その中で10時間半減期温度が最も高い重合開始剤の10時間半減期温度を、本明細書における「10時間半減期温度」と定義する。
【0081】
上記に挙げた重合開始剤の10時間半減期温度は、例えば、以下の通りである。
・2,2'−アゾビスイソブチロニトリル:65℃
・2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル):67℃
・ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート):67℃
・4,4'−アゾビス−4−シアノバレリアン酸:68℃
・ベンゾイルパーオキサイド:74℃
【0082】
上記アクリル系ポリマーの製造方法においては、重合前段の主反応と重合後段の熟成反応のうち、重合後段の熟成反応がそれぞれ異なる温度で二回以上行われる。まず、主反応が行われ、主反応終了後に温度を上昇させ、温度一定で一回目の熟成反応を行い、その後さらに温度を上昇させ、温度一定で二回目の熟成反応を行う。各熟成反応は、温度一定に保っている時間が1時間以上であることが好ましい。各熟成反応において温度を一定に保持する時間を1時間以上とし、熟成反応を明確に2回(二段階)以上に分けることにより、アクリル系ポリマーの分散度を後述の範囲に制御しやすく、かつ残存モノマー量を少なくすることもできる。
【0083】
また、重合開始剤の10時間半減期温度、主反応温度、及び二回の熟成温度が、以下の関係にあることが好ましい。
a)重合開始剤の10時間半減期温度−11[℃]≦主反応温度[℃]≦重合開始剤の10時間半減期温度−3[℃]
b)重合開始剤の10時間半減期温度−2[℃]≦1回目の熟成温度[℃]≦重合開始剤の10時間半減期温度+4[℃]
c)重合開始剤の10時間半減期温度+5[℃]≦2回目の熟成温度[℃]≦重合開始剤の10時間半減期温度+9[℃]
【0084】
より好ましい主反応温度及び熟成温度は、以下の関係にある。
a)重合開始剤の10時間半減期温度−11[℃]≦主反応温度[℃]≦重合開始剤の10時間半減期温度−1[℃]
b)重合開始剤の10時間半減期温度−2[℃]≦1回目の熟成温度[℃]≦重合開始剤の10時間半減期温度+2[℃]
c)重合開始剤の10時間半減期温度+5[℃]≦2回目の熟成温度[℃]≦重合開始剤の10時間半減期温度+9[℃]
【0085】
上記主反応は、上式の温度において少なくとも4時間以上実施することが好ましい。なお、熟成反応を3回(三段階)以上とする場合には、例えば、上記の1回目の熟成反応を上記b)の温度範囲で2種以上の温度で行ったり、2回目の熟成反応を上記c)の温度範囲で2種以上の温度で行ったりすればよい。
【0086】
上記主反応を重合開始剤の10時間半減期温度−11[℃]以上の温度(主反応温度)で実施することにより、アクリル系ポリマーの重量平均分子量が大きくなり過ぎず、初期粘着力が向上する。一方、主反応を重合開始剤の10時間半減期温度−3[℃]以下の温度(主反応温度)で実施することにより、アクリル系ポリマーの重量平均分子量が小さくなり過ぎず、耐熱性が向上する。
【0087】
また、1回目の熟成温度を重合開始剤の10時間半減期温度−2[℃]以上として、主反応温度との差を大きくすることにより、残存モノマー量を減らすことができる。一方、1回目の熟成温度を重合開始剤の10時間半減期温度+4[℃]以下とすることにより、低分子量成分を生成させ過ぎず、耐熱性を向上させることができる。
【0088】
最後に、一定量の低分子量成分を生成させるために、2回目の熟成温度を重合開始剤の10時間半減期温度+5[℃]以上とすることが好ましい。2回目の熟成温度を重合開始剤の10時間半減期温度+5[℃]以上とすることにより、重合率を高めることができ、さらに、低分子量成分をある程度生成させることができるため、アクリル系ポリマーの分散度を後述の範囲に制御させることが容易となる。一方、2回目の熟成温度を重合開始剤の10時間半減期温度+9[℃]以下とすることにより、一気に大量の低分子量成分を生成させ過ぎず、アクリル系粘着剤層の耐熱性を向上させることができる。このように、熟成反応を異なる温度で少なくとも2回(二段階)行うのは、低分子量成分の生成を少な過ぎず、多過ぎずといった具合にコントロールするためである。
【0089】
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、30万〜100万が好ましく、より好ましくは30万〜80万、さらに好ましくは40万〜70万である。重量平均分子量を30万以上とすることにより、凝集力が向上する傾向がある。一方、重量平均分子量を100万以下とすることにより、初期粘着力が向上する傾向がある。
【0090】
上記アクリル系ポリマーの分散度(多分散度;[(重量平均分子量)/(数平均分子量)]、Mw/Mn)は、特に限定されないが、3〜10が好ましく、より好ましくは4〜8、さらに好ましくは5〜7である。分散度を3以上とすることにより、ある一定量の(適度な)低分子量成分が存在することで初期粘着力が向上するため、ポリオレフィン系発泡体基材に対するアクリル系粘着剤層の投錨性が向上して再剥離性が向上する。一方、分散度を10以下とすることにより、両面粘着シートの耐熱性、再剥離性が向上する。なお、「分散度」とは、数平均分子量に対する重量平均分子量の割合[=(重量平均分子量)/(数平均分子量)]で表され、アクリル系ポリマーの分子量分布の指標となる値である。
【0091】
上記アクリル系ポリマー中の分子量が10万以下の成分の割合(含有量)は、特に限定されないが、アクリル系ポリマー(100重量%)に対して、10〜30重量%が好ましく、より好ましくは15〜30重量%、さらに好ましくは20〜30重量%である。分子量が10万以下の成分の割合を10重量%以上とすることにより、ある一定量の(適度な)低分子量成分が存在することで初期粘着力が向上するため、ポリオレフィン系発泡体基材に対するアクリル系粘着剤層の投錨性が向上して再剥離性が向上する。一方、分子量が10万以下の成分の割合を30重量%以下とすることにより、両面粘着シートの耐熱性及び再剥離性が向上する。
【0092】
なお、上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量、分散度[(重量平均分子量)/(数平均分子量)]、及び分子量が10万以下の成分の割合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により、上記アクリル系ポリマーの標準ポリスチレン換算の分子量を測定することによって求めることができる。上記分子量は、例えば、以下の装置、条件により測定することができる。
・装置:HLC8120GPC(東ソー(株)製)
・カラム:6.0mmI.D.×150mmのTSKgel superHM−H/H4000/H3000/H2000
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:0.6mL/分
・カラム温度:40℃
・注入量:20μL
・検出器:屈折率計(RI)
・測定サンプル:アクリル系ポリマーをTHFに溶解させ、アクリル系ポリマーの濃度が0.1重量%の溶液を作製し、フィルターによるろ過でゴミを除去したもの。
【0093】
(粘着付与樹脂)
本発明の両面粘着シートのアクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、上述のように、粘着付与樹脂(粘着付与剤)を少なくとも含む。粘着付与樹脂を含むことにより、本発明の両面粘着シートは高い接着性を発揮する。
【0094】
上記粘着付与樹脂としては、特に限定されないが、例えば、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、石油系粘着付与樹脂などが挙げられる。なお、粘着付与樹脂は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0095】
上記テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂や、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性など)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂など)などが挙げられる。
【0096】
上記フェノール系粘着付与樹脂としては、例えば、各種フェノール類(例えば、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなど)とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、アルキルフェノール系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂など)、上記フェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒で付加反応させたレゾールや、上記フェノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させて得られるノボラックの他、ロジン類(未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体など)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。
【0097】
上記ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)や、これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合などにより変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの他、その他の化学的に修飾されたロジンなど)の他、各種のロジン誘導体などが挙げられる。なお、上記ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物や、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなどの変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物などのロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)、不飽和脂肪酸変性ロジン類や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩などが挙げられる。
【0098】
上記石油系粘着付与樹脂としては、例えば、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂(脂肪族環状石油樹脂)、脂肪族・芳香族系石油樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加石油樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の公知の石油樹脂を用いることができる。具体的には、上記芳香族系石油樹脂としては、例えば、炭素数が8〜10であるビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、インデン、メチルインデンなど)が1種のみ又は2種以上用いられた重合体などが挙げられる。中でも、上記芳香族系石油樹脂としては、ビニルトルエンやインデン等の留分(いわゆる「C9石油留分」)から得られる芳香族系石油樹脂(いわゆる「C9系石油樹脂」)が好ましい。また、上記脂肪族系石油樹脂としては、例えば、炭素数4〜5のオレフィンやジエン[ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1等のオレフィン;ブタジエン、ピペリレン(1,3−ペンタジエン)、イソプレン等のジエンなど]が1種のみ又は2種以上用いられた重合体などが挙げられる。上記脂肪族系石油樹脂としては、ブタジエン、ピペリレンやイソプレン等の留分(いわゆる「C4石油留分」や「C5石油留分」など)から得られる脂肪族系石油樹脂(いわゆる「C4系石油樹脂」や「C5系石油樹脂」など)が好ましい。上記脂環族系石油樹脂としては、例えば、上記脂肪族系石油樹脂(いわゆる「C4系石油樹脂」や「C5系石油樹脂」など)を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン、エチリデンビシクロヘプテン、ビニルシクロヘプテン、テトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、リモネンなど)の重合体又はその水素添加物、上記の芳香族系炭化水素樹脂や、下記の脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂などが挙げられる。上記脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、スチレン−オレフィン系共重合体などが挙げられる。上記脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、いわゆる「C5/C9共重合系石油樹脂」などを用いることができる。
【0099】
また、上記粘着付与樹脂としては、例えば、商品名「スミライトレジン PR−12603」(住友ベークライト(株)製)、商品名「ペンセルD125」(荒川化学工業(株)製)などの市販品を用いることもできる。
【0100】
中でも、上記粘着付与樹脂としては、粘着特性と再剥離性とをより高度なレベルで両立させる点から、ロジン系粘着付与樹脂が好ましく、特に重合ロジンエステル(重合ロジンをアルコール類によりエステル化した重合ロジンのエステル化合物)が好ましい。
【0101】
また、上記粘着付与樹脂としては、粘着特性と再剥離性とをより高度なレベルで両立させる点から、特に、80〜180℃の軟化点を有する粘着付与樹脂が好ましく、85〜160℃の軟化点を有する粘着付与樹脂がより好ましい。特に、150℃未満(例えば、90℃を超えて150℃未満の範囲)の軟化点を有する粘着付与樹脂が好ましい。即ち、粘着付与樹脂としては、軟化点が90℃を超えて150℃未満である重合ロジンエステルが特に好ましい。なお、粘着付与樹脂の軟化点は、環球法(例えば、JIS K5902に規定される環球法)によって測定された値として定義される。
【0102】
本発明の両面粘着シートのアクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物における、上記粘着付与樹脂の含有量は、特に限定されないが、アクリル系ポリマー100重量部に対して、5〜60重量部が好ましく、より好ましくは10〜50重量部、さらに好ましくは20〜40重量部である。含有量を5重量部以上とすることにより、再剥離性が向上する。この再剥離性向上の理由は明らかになっていないが、発明者が推測するには、粘着付与樹脂の含有量を増量することで、特定組成のアクリル系ポリマー(特に、特定量のアクリル酸ブチルやアクリル酸を必須のモノマー成分とするアクリル系ポリマー)と粘着付与樹脂との相溶性を適度に低下させることにより、被着体に対する粘着力の経時上昇が抑制されたことによるものと推測される。一方、含有量を60重量部以下とすることにより、アクリル系粘着剤層が硬くなり過ぎず、接着性が向上する。
【0103】
上記粘着剤組成物には、上述のアクリル系ポリマーと粘着付与樹脂のほか、必要に応じて、架橋剤、架橋促進剤、シランカップリング剤、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を、本発明の特性を損なわない範囲で含有させてもよい。また、上記アクリル系粘着剤層を形成する際には、各種の一般的な溶剤を用いることもできる。溶剤の種類としては、特に限定されず、上述の溶液重合に際して用いられる溶剤として例示したものなどを用いることができる。
【0104】
上記粘着剤組成物に架橋剤を含有させることによって、アクリル系ポリマーを架橋してアクリル系粘着剤層の凝集力を向上させることができ、かつポリオレフィン系発泡体基材に対するアクリル系粘着剤層の投錨性を高め、両面粘着シートの再剥離性を向上させることができる。上記架橋剤は、アクリル系ポリマーが有する官能基と反応して架橋構造を形成することができる、2以上の官能基を有する多官能性の化合物である。
【0105】
上記架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤のほか、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。なお、架橋剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、アクリル系粘着剤層の凝集力向上とポリオレフィン系発泡体基材に対する投錨性向上の観点で、イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)が好ましい。
【0106】
上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、特に限定されないが、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられる。上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物[三井化学(株)製、商品名「タケネート110N」]などの市販品を用いることもできる。
【0107】
上記架橋剤の含有量は、特に限定されないが、接着性、再剥離性、及び耐衝撃性の観点から、アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜7重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部、特に好ましくは0.5〜3重量部である。架橋剤の含有量を0.001重量部以上とすることにより、凝集力及び再剥離性が向上する。一方、架橋剤の含有量を10重量部以下とすることにより、初期粘着力、耐衝撃性、耐反発性が向上する。
【0108】
上記粘着剤組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、上述のアクリル系ポリマー、粘着付与樹脂、架橋剤、及び必要に応じて溶剤やその他の添加剤などを混合する方法等が挙げられる。
【0109】
本発明の両面粘着シートのアクリル系粘着剤層は、特に限定されないが、上記粘着剤組成物を所定の基材(例えば、セパレータやポリオレフィン系発泡体基材など)の表面に塗布(塗工)し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化させることによって形成することができる。なお、上記粘着剤組成物の塗布(塗工)には、公知乃至慣用のコーティング法を利用することができ、例えば、慣用のコーター(グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーターなど)を用いることができる。
【0110】
上記アクリル系粘着剤層は、特に、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対し、アクリル酸ブチル80重量%以上、アクリル酸1〜3重量%を含むモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーと、該アクリル系ポリマー100重量部に対し10〜30重量部の重合ロジンエステルとを少なくとも含む粘着剤組成物から形成されたアクリル系粘着剤層であることが好ましい。上記アクリル系粘着剤層が上記成分の組み合わせにより構成された場合には、特に、経時による粘着力の上昇が抑制され、再剥離性が向上するため好ましい。このような粘着力の経時上昇の抑制は、アクリル系ポリマーと粘着付与樹脂の相溶性を適度に低下させることにより奏される効果であると推測される。但し、本発明の両面粘着シートにおけるアクリル系粘着剤層は、これに限定されるものではない。
【0111】
上記アクリル系粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、10〜300μmが好ましく、より好ましくは10〜250μm、さらに好ましくは30〜230μmである。厚さを10μm以上とすることにより、接着性及び耐衝撃性が向上する。一方、厚さを300μm以下とすることにより、再剥離性が向上する。なお、本発明の両面粘着シートにおいては、ポリオレフィン系発泡体基材の両面側に形成されたそれぞれのアクリル系粘着剤層の厚さが上記範囲を満たすことが好ましく、それぞれのアクリル系粘着剤層の厚さは同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、上記アクリル系粘着剤層は、単層の形態を有していてもよいし、2以上の層(例えば、組成の異なる2以上のアクリル系粘着剤層)が積層された複層の形態を有していてもよい。
【0112】
上記アクリル系粘着剤層のゲル分率は、特に限定されないが、10〜50重量%が好ましく、より好ましくは15〜45重量%、さらに好ましくは20〜40重量%である。ゲル分率を10重量%以上とすることにより、アクリル系粘着剤層の凝集破壊が抑制されるため、再剥離性が向上する。一方、ゲル分率を50重量%以下とすることにより、初期粘着力、耐衝撃性が向上する。
【0113】
上記アクリル系粘着剤層のゲル分率は、酢酸エチル不溶分として求めることができ、具体的には、アクリル系粘着剤層を酢酸エチル中に23℃で7日間浸漬した後の不溶成分の、浸漬前の試料に対する重量分率(単位:重量%)として求められる。具体的には、以下の「ゲル分率の測定方法」により算出される値である。
(ゲル分率の測定方法)
本発明の両面粘着シートからアクリル系粘着剤層:約0.1gを採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工(株)製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とする。なお、該浸漬前重量は、アクリル系粘着剤層とテトラフルオロエチレンシートと凧糸との総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸との合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とする。
次に、アクリル系粘着剤層をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置する。その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とする。
そして、下記の式からゲル分率を算出する。
ゲル分率(重量%)=(C−D)/(E−D) ×100
(上記式において、Cは浸漬後重量であり、Dは包袋重量であり、Eは浸漬前重量である。)
【0114】
上記アクリル系粘着剤層のゲル分率は、例えば、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分の組成、架橋剤の含有量等により制御することができる。
【0115】
上記アクリル系粘着剤層のヘイズ(JIS K7136に準ずる)は、特に限定されないが、3〜30%が好ましく、より好ましくは5〜20%、さらに好ましくは5〜15%である。ヘイズを3%以上とすることにより、経時による被着体に対する粘着力の上昇が抑制され、再剥離性が向上する傾向がある。一方、ヘイズを30%以下とすることにより、良好なタック感が得られる。なお、上記アクリル系粘着剤層のヘイズは、例えば、アクリル系粘着剤層をスライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)に貼り合わせ、JIS K7136に準じ、ヘイズメータ(商品名「HM−150」、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定できる。
【0116】
上記アクリル系粘着剤層のヘイズは、例えば、アクリル系ポリマーの組成、粘着付与樹脂の種類、粘着付与樹脂の含有量などによって制御することができる。
【0117】
上記アクリル系粘着剤層のヘイズを上記範囲にすることは、被着体への糊残りを抑制する観点から好ましい。さらに、アクリル系粘着剤層を構成する特定材料の相溶性をコントロールすることでヘイズが上記範囲を満たすようにすると、特に、糊残り性(糊残り抑止性)と接着性の両立の点で著しく顕著な効果を示す。具体的には、特定材料の相溶性とは、アクリル酸ブチルを80重量%以上(例えば、80〜95重量%)含むモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーと重合ロジンエステル、アクリル酸を1〜5重量%含むモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーと重合ロジンエステルの各相溶性である。即ち、最も好ましい実施形態は、上記特定量のアクリル酸ブチルとアクリル酸を共重合したアクリル系ポリマーと重合ロジンエステルを含む粘着剤組成物より形成したアクリル系粘着剤層のヘイズを上記範囲内とすることである。これにより、接着性を維持したまま糊残り性が良くなり、即ち、再剥離性も向上する。
【0118】
[両面粘着シート]
本発明の両面粘着シートは、ポリオレフィン系発泡体基材の両面側に上記アクリル系粘着剤層を有する両面粘着シートである。なお、本発明の両面粘着シートにおいて、ポリオレフィン系発泡体基材の両面側に形成されたそれぞれのアクリル系粘着剤層は、同一の組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。中でも、生産性の観点から、上記それぞれのアクリル系粘着剤層は、同一の組成を有することが好ましい。
【0119】
また、本発明の両面粘着シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、上述のポリオレフィン系発泡体基材、アクリル系粘着剤層以外にも他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
【0120】
本発明の両面粘着シートは、使用時までは粘着面がセパレータ(剥離ライナー)により保護されていてもよい。なお、両面粘着シートの各粘着面は、2枚のセパレータによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっている1枚のセパレータによりロール状に巻回される形態で保護されていてもよい。セパレータは粘着面の保護材として用いられ、被着体に貼付する際には剥離される。上記セパレータとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材、無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。上記剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等が挙げられる。上記フッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。上記無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等が挙げられる。なお、セパレータは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、セパレータの厚さ等も特に限定されない。
【0121】
本発明の両面粘着シートは、公知乃至慣用の製造方法により製造することができる。具体的には、例えば、ポリオレフィン系発泡体基材の表面にアクリル系粘着剤層を直接形成する方法(直写法)や、セパレータ上にアクリル系粘着剤層を形成した後、ポリオレフィン系発泡体基材に転写する(貼り合わせる)ことで、ポリオレフィン系発泡体基材の表面にアクリル系粘着剤層を形成する方法(転写法)などにより製造することができる。中でも、糊面(粘着剤層表面)平滑性の観点で、本発明の両面粘着シートは、セパレータ上にアクリル系粘着剤層を形成し、該アクリル系粘着剤層をポリオレフィン系発泡体基材の両表面に貼り合わせる方法(転写法)により製造することが好ましい。
【0122】
本発明の両面粘着シートの厚さ(総厚さ)は、特に限定されないが、50〜2000μmが好ましく、より好ましくは80〜1700μm、さらに好ましくは100〜1500μmである。厚さを50μm以上とすることにより、耐衝撃性が向上する。なお、上記「両面粘着シートの厚さ(総厚さ)」とは、一方の粘着面から他方の粘着面までの厚さをいい、セパレータを有する場合であっても該セパレータの厚さは含めないものとする。
【0123】
特に、本発明の両面粘着シートの厚さが比較的薄い場合、具体的には、例えば、厚さが50〜600μm(好ましくは100〜500μm)の範囲にある場合、防水性と耐衝撃性に優れることに加え、かつ製品の軽量化、小型化、薄膜化などに有効であるため、携帯用の電子機器、例えば、携帯電話、スマートフォンなどの用途に好ましく使用することができる。
【0124】
一方、本発明の両面粘着シートの厚さが比較的厚い場合、具体的には、例えば、厚さが300〜2000μm(好ましくは400〜1500μm)の範囲にある場合は、製品中で特に高度な耐衝撃性を発揮することができるため、重量が重い製品、例えば、パソコンやテレビなどの大型フラットパネルディスプレイなどの用途に好ましく使用することができる。
【0125】
本発明の両面粘着シートの層間剥離強度は、特に限定されないが、8N/20mm以上が好ましく、より好ましくは12N/20mm以上である。層間剥離強度を8N/20mm以上とすることにより、被着体から両面粘着シートを剥離する際に生じ得るポリオレフィン系発泡体基材の裂けが抑制されるため、再剥離性が向上する。
【0126】
上記層間剥離強度とは、両面粘着シートの両側の粘着面にそれぞれアルミホイルを貼り合わせ、それぞれのアルミホイルを500mm/分の引張速度でT形剥離した時の剥離接着強さをいう。上記層間剥離強度は、JIS K6854−3に準拠し、たわみ性被着材としてアルミホイルを、接着剤層として両面粘着シートを用いて作製したT形剥離試験片を評価用サンプルとして用いることにより測定できる。より詳しくは、以下の方法により測定することができる。
[層間剥離強度の測定方法]
(評価用サンプルの作製)
図7は、層間剥離強度の測定に用いる評価用サンプルの概略図(断面図)である。図7において、21は両面粘着シート、22及び23はアルミホイルを表す。
まず、両面粘着シート21(幅20mm×長さ150mm)の両側の粘着面に、アルミホイル22(幅30mm×長さ200mm、厚さ:0.13mm)及びアルミホイル23(幅30mm×長さ200mm、厚さ:0.13mm)を2kgのゴムローラーを1往復の条件で貼り合わせ、評価用サンプルを作製する(図7参照)。なお、上記評価用サンプルは、図7に示すように、アルミホイル22とアルミホイル23のそれぞれの一端部から50mm分が両面粘着シート21とは接していない構造を有する(このように、アルミホイルの両面粘着シートとは接していない部分のことを、「突出部分」と称する場合がある)。次いで、上記評価用サンプルを、23℃、50%RHの雰囲気下で0.5時間エージングする。
(層間剥離強度の測定)
図8は、層間剥離強度の測定方法を表す概略図(断面図)である。図8において、24及び25は評価用サンプルにおけるアルミホイルの突出部分を表す。
次いで、23℃、50%RHの雰囲気下、引張試験機を使用し、上記評価用サンプルのアルミホイルの突出部分の一方24を固定し、アルミホイルの突出部分の他方25を掴み、図8に示す方向に、引張速度500mm/分の速度で引っ張る。そして、アルミホイル22と23とを剥離(T形剥離)した際の剥離接着強さを、層間剥離強度(N/20mm)とする。試験回数(n数)は、例えば、3回とし、平均値を算出することが好ましい。
【0127】
上記層間剥離強度の測定において、上記評価用サンプルは、主に、両面粘着シートのポリオレフィン系発泡体基材の裂けや破損を生じることによりT形剥離される。即ち、上記層間剥離強度は、本発明の両面粘着シートを被着体から剥離する際の、ポリオレフィン系発泡体基材の裂けや破損等の起こりやすさを表す指標となる。従って、層間剥離強度が大きい場合には、両面粘着シートの剥離時にポリオレフィン系発泡体基材の裂けや破損等が生じにくいため、再剥離性が向上する。本発明の両面粘着シートは、層間剥離強度が上記範囲に制御されることにより、優れた再剥離性を発揮できる。
【0128】
なお、本発明の両面粘着シートの層間剥離強度は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系発泡体基材の架橋密度、発泡倍率などによって制御することができる。
【0129】
本発明の両面粘着シートの、2kgのローラー1往復の圧着条件でポリカーボネート板とアクリル板を貼り合わせた際の押圧接着力は、特に限定されないが、10N/cm2以上が好ましく、より好ましくは15N/cm2以上である。押圧接着力を10N/cm2以上とすることにより、両面粘着シートを用いて部材を貼り合わせた場合、内部応力による剥がれが生じにくく、接着信頼性が向上する。このような場合、本発明の両面粘着シートは、貼り付け時に加える力(圧力)を大きくすることが困難な被着体(例えば、壊れやすい被着体、柔らかい被着体、表面に凹凸のある被着体など)に対して好ましく使用できる。
【0130】
上記押圧接着力は、縦60mm×横40mm、幅1mmの窓枠状(「額縁状」ともいう)の両面粘着シートにより、ポリカーボネート板とアクリル板とを2kgのローラーを1往復の圧着条件で貼り合わせることによって作製した評価用サンプルを、アクリル板を10mm/分の負荷速度で内部から外部に向かってアクリル板の厚さ(厚み)方向に押圧して、アクリル板とポリカーボネート板とが分離するまでの最大応力として定義される。上記押圧接着力は、より詳しくは、例えば、以下の手順により測定できる。
(押圧接着力の測定方法)
まず、両面粘着シートを、幅1mmの窓枠状(額縁状)(縦60mm×横40mm)の窓枠状(額縁状)に切断し、窓枠状両面粘着シートを得る。
次に、上記窓枠状両面粘着シートを用いて、アクリル板(縦60mm×横40mm、厚み1mm)と、中央部に直径15mmの貫通孔を有するポリカーボネート板(PC板)(縦80mm×横70mm、厚み2mm)とを、2kgのローラー1往復の条件で圧着することで貼り合わせて、評価用サンプルを作製する。
続いて、常温で、上記評価用サンプルを万能引張圧縮試験機(装置名「引張圧縮試験機、TG−1kN」、ミネベア(株)製)にセットして、丸棒をポリカーボネート板の貫通孔に通過させて、上記丸棒でアクリル板を10mm/分の負荷速度で押圧し、アクリル板とポリカーボネート板が分離するまでの最大応力を押圧接着力とする。
【0131】
本発明の両面粘着シートの押圧接着力は、例えば、ポリオレフィン系発泡体基材、粘着剤層の厚さや組成、ポリオレフィン系発泡体基材の発泡倍率などによって制御することができる。
【0132】
また、本発明の両面粘着シートにおいては、ポリオレフィン系発泡体基材を着色すること等により、両面粘着シートの透過率や反射率等の光学特性を制御することができる。
【0133】
例えば、本発明の両面粘着シートを遮光用途に用いる場合、ポリオレフィン系発泡体基材を黒色に着色することによって、可視光透過率を15%以下(例えば、0〜15%)とすることが好ましく、より好ましくは10%以下(例えば、0〜10%)である。また、両面粘着シートを光反射用途に用いる場合、ポリオレフィン系発泡体基材を白色に着色することにより、可視光反射率を20%以上(例えば、20〜100%)とすることが好ましく、より好ましくは25%以上(例えば、25〜100%)である。このように光学特性を制御した場合には、本発明の両面粘着シートを、例えば、光拡散部材、散乱素子部材、集光部材などの光学部材として用いることができる。
【0134】
本発明の両面粘着シートは、上記のように、防水性と耐衝撃性の両特性に優れるポリオレフィン系基材を有する両面粘着シートである。このため、このような防水性と耐衝撃性とが特に必要とされる電子機器用途、例えば、携帯電話のレンズ固定用、携帯電話のキーモジュール部材固定用、電子機器の衝撃材、テレビのデコレーションパネル固定用、パソコンのバッテリーパック保護用途、デジタルビデオカメラのレンズ防水等の用途に好ましく使用できる。より詳しくは、本発明の両面粘着シートは、携帯用の電子機器、特に、液晶表示装置を内蔵する携帯用の電子機器(例えば、携帯電話、スマートフォンなど)に好ましく使用できる。
【0135】
さらに、本発明の両面粘着シートは、例えば、特に、アクリル系ポリマーの分散度、分子量が10万以下の成分の割合を上記範囲に制御した場合には、ポリオレフィン系発泡体基材に対するアクリル系粘着剤層の投錨性が向上し、優れた再剥離性を発揮することができる。さらに、本発明の両面粘着シートは、アクリル系粘着剤層を構成する粘着剤組成物を特定組成とすることにより、経時による被着体に対する粘着力の上昇が抑制されるため、いっそう優れた再剥離性を発揮することができる。このような場合、本発明の両面粘着シートは、特に、部材(部品、パーツ)の回収や易解体を目的として当該部材等を固定する用途(特に、電子機器における部材等の固定をする用途)にも好ましく使用できる。
【0136】
なお、本発明の両面粘着シートは、特に限定されないが、ステンレス、アルミニウムなどの金属;ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチック(樹脂)、及びこれらの複合素材などからなる被着体に対して用いることができる。
【実施例】
【0137】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0138】
製造例1(アクリル系ポリマーの製造)
冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロート、及び攪拌装置を備えた反応容器で、n−ブチルアクリレート100重量部、アクリル酸2重量部、酢酸ビニル8重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1重量部、及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(10時間半減期温度:65℃)0.2重量部を、トルエンと酢酸エチルの混合溶媒(トルエン/酢酸エチル=5/5重量比)172重量部に対して添加した。次いで、室温で1時間窒素還流を行った後、昇温し、主反応として58℃で6時間重合反応を行った。さらに、その後昇温し、1回目の熟成反応を65℃で2時間行い、続いてさらに昇温して、2回目の熟成反応を72℃で2時間行った。その後放冷して、アクリル系ポリマー溶液(「アクリル系ポリマー溶液A」と称する)を得た。上記アクリル系ポリマー溶液A中のアクリル系ポリマー(「アクリル系ポリマーA」と称する)の重量平均分子量は60万、重量平均分子量/数平均分子量(分散度)は5.0、分子量10万以下の重合体の割合(含有量)は、全体の20重量%であった。
【0139】
製造例2(アクリル系ポリマーの製造)
溶媒(有機溶媒)を、トルエンと酢酸エチルの混合溶媒(トルエン/酢酸エチル=8/2重量比)に変更し、主反応を56℃で6時間行い、その後、1回目の熟成反応を64℃で2時間行い、続いてさらに昇温し、2回目の熟成反応を73℃で3時間行ったこと以外は製造例1と同様にして、アクリル系ポリマー溶液(「アクリル系ポリマー溶液B」と称する)を得た。上記アクリル系ポリマー溶液B中のアクリル系ポリマー(「アクリル系ポリマーB」と称する)の重量平均分子量は55万、重量平均分子量/数平均分子量は6.2、分子量10万以下の重合体の割合(含有量)は、全体の22重量%であった。
【0140】
製造例3(アクリル系ポリマーの製造)
溶媒(有機溶媒)をトルエンと酢酸エチルの混合溶媒(トルエン/酢酸エチル=9/1重量比)に変更し、主反応を60℃で6時間行い、その後、1回目の熟成反応を66℃で3時間行い、続いてさらに昇温し、2回目の熟成反応を74℃で1時間行った以外は製造例1と同様にして、アクリル系ポリマー溶液(「アクリル系ポリマー溶液C」と称する)を得た。上記アクリル系ポリマー溶液C中のアクリル系ポリマー(「アクリル系ポリマーC」と称する)の重量平均分子量は52万、重量平均分子量/数平均分子量は6.9、分子量10万以下の重合体の割合(含有量)は、全体の27重量%であった。
【0141】
製造例4(アクリル系ポリマーの製造)
冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロート、及び攪拌装置を備えた反応容器で、n−ブチルアクリレート100重量部、アクリル酸7重量部、酢酸ビニル8重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1重量部、及び重合開始剤としてAIBN(10時間半減期温度:65℃)0.2重量部を、トルエンと酢酸エチルの混合溶媒(トルエン/酢酸エチル=7/3重量比)172重量部に添加した。次いで、室温で1時間窒素還流を行った後、昇温し、主反応として58℃で6時間重合反応を行った。さらに、その後昇温し、1回目の熟成反応を65℃で2時間行い、続いてさらに昇温し、2回目の熟成反応を72℃で2時間行った。その後放冷して、アクリル系ポリマー溶液(「アクリル系ポリマー溶液D」と称する)を得た。上記アクリル系ポリマー溶液D中のアクリル系ポリマー(「アクリル系ポリマーD」と称する)の重量平均分子量は55万、重量平均分子量/数平均分子量は5.6、分子量10万以下の重合体の割合(含有量)は、全体の24重量%であった。
【0142】
製造例5(アクリル系ポリマーの製造)
熟成反応(1回目の熟成反応及び2回目の熟成反応)を行わずに、57℃で12時間の主反応のみを行ったこと以外は製造例1と同様にして、アクリル系ポリマー溶液(「アクリル系ポリマー溶液E」と称する)を得た。上記アクリル系ポリマー溶液E中のアクリル系ポリマー(「アクリル系ポリマーE」と称する)の重量平均分子量は65万、重量平均分子量/数平均分子量は2.8、分子量10万以下の重合体の割合(含有量)は、全体の9重量%であった。
【0143】
製造例6(アクリル系ポリマーの製造)
熟成反応を2回に分けずに77℃で3時間行ったこと以外は製造例3と同様にして、アクリル系ポリマー溶液(「アクリル系ポリマー溶液F」と称する)を得た。上記アクリル系ポリマー溶液F中のアクリル系ポリマー(「アクリル系ポリマーF」と称する)の重量平均分子量は50万、重量平均分子量/数平均分子量は11.2、分子量10万以下の重合体の割合(含有量)は、全体の35重量%であった。
【0144】
製造例7(アクリル系粘着剤組成物の製造)
製造例1で得られたアクリル系ポリマー溶液Aに、アクリル系ポリマーA100重量部に対して、粘着付与樹脂として商品名「タマノル803」(ロジンフェノール樹脂、荒川化学工業(株)製)10重量部、商品名「エステルガムH」(水添ロジングリセリンエステル、荒川化学工業(株)製)10重量部、及び、商品名「ペンセルD125」(重合ロジンペンタエリスリトールエステル、荒川化学工業(株)製)15重量部を配合し、さらに架橋剤として商品名「コロネートL」(イソシアネート系架橋剤、日本ポリウレタン工業(株)製)2重量部(固形分換算)を加え、アクリル系粘着剤組成物(「粘着剤1」と称する)を製造した。
【0145】
製造例8(アクリル系粘着剤組成物の製造)
アクリル系ポリマー溶液Aの代わりに、製造例2で得られたアクリル系ポリマー溶液Bを使用したこと以外は製造例7と同様にして、アクリル系粘着剤組成物(「粘着剤2」と称する)を製造した。
【0146】
製造例9(アクリル系粘着剤組成物の製造)
アクリル系ポリマー溶液Aの代わりに、製造例3で得られたアクリル系ポリマー溶液Cを使用したこと以外は製造例7と同様にして、アクリル系粘着剤組成物(「粘着剤3」と称する)を製造した。
【0147】
製造例10(アクリル系粘着剤組成物の製造)
アクリル系ポリマー溶液Aの代わりに、製造例4で得られたアクリル系ポリマー溶液Dを使用したこと以外は製造例7と同様にして、アクリル系粘着剤組成物(「粘着剤4」と称する)を製造した。
【0148】
製造例11(アクリル系粘着剤組成物の製造)
アクリル系ポリマー溶液Aの代わりに、製造例5で得られたアクリル系ポリマー溶液Eを使用したこと以外は製造例7と同様にして、アクリル系粘着剤組成物(「粘着剤5」と称する)を製造した。
【0149】
製造例12(アクリル系粘着剤組成物の製造)
アクリル系ポリマー溶液Aの代わりに、製造例6で得られたアクリル系ポリマー溶液Fを使用したこと以外は製造例7と同様にして、アクリル系粘着剤組成物(「粘着剤6」と称する)を製造した。
【0150】
製造例13(アクリル系粘着剤組成物の製造)
製造例1で得られたアクリル系ポリマー溶液Aに、アクリル系ポリマーA100重量部に対して、粘着付与樹脂として商品名「タマノル803」(ロジンフェノール樹脂、荒川化学工業(株)製)10重量部、商品名「エステルガムH」(水添ロジングリセリンエステル、荒川化学工業(株)製)10重量部、及び、商品名「ペンセルD125」(重合ロジンペンタエリスリトールエステル、荒川化学工業(株)製)15重量部を配合し、さらに架橋剤として商品名「コロネートL」(イソシアネート系架橋剤、日本ポリウレタン工業(株)製)5重量部(固形分換算)を加えて、アクリル系粘着剤組成物(「粘着剤7」と称する)を製造した。
【0151】
製造例14(アクリル系粘着剤組成物の製造)
製造例1で得られたアクリル系ポリマー溶液Aに、アクリル系ポリマーA100重量部に対して、粘着付与樹脂として商品名「タマノル803」(ロジンフェノール樹脂、荒川化学工業(株)製)10重量部、商品名「エステルガムH」(水添ロジングリセリンエステル、荒川化学工業(株)製)10重量部、及び、商品名「ペンセルD125」(重合ロジンペンタエリスリトールエステル、荒川化学工業(株)製)15重量部を配合し、さらに架橋剤として商品名「コロネートL」(イソシアネート系架橋剤、日本ポリウレタン工業(株)製)0.5重量部(固形分換算)を加えて、アクリル系粘着剤組成物(「粘着剤8」と称する)を製造した。
【0152】
実施例1
粘着剤1を、市販のセパレータ(商品名「SLB−80W3D」、住化加工紙(株)製)の一方の面に乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、100℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成した。次に、上記粘着剤層表面を、ポリエチレン樹脂からなる架橋度30重量%、独立気泡率85%、厚み150μm(デント特性:72%、引張強度(MD):12.0MPa、引張強度(TD):7.5MPa)の発泡体基材(「基材1」と称する)の一方の表面に貼り合わせ、片面粘着シートを得た。
次いで、粘着剤1をセパレータ(商品名「SLB−80W3D」、住化加工紙(株)製)の一方の面に乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、100℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成し、該粘着剤層表面を上記片面粘着シートにおける発泡体基材の他方の表面に貼り合わせた。その後、得られた構造体を80℃のラミネータ(0.3MPa、速度0.5m/分)を1回通過させた後、50℃のオーブン中で3日間養生した。このようにして「セパレータ/粘着剤層/発泡体基材/粘着剤層/セパレータ」の構成を有する厚み250μmの両面粘着シートを得た。
【0153】
実施例2
粘着剤1の代わりに粘着剤2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み250μmの両面粘着シートを得た。
【0154】
実施例3
粘着剤1の代わりに粘着剤3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み250μmの両面粘着シートを得た。
【0155】
実施例4
粘着剤1の代わりに粘着剤4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み250μmの両面粘着シートを得た。
【0156】
実施例5
粘着剤1の代わりに粘着剤5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み250μmの両面粘着シートを得た。
【0157】
実施例6
粘着剤1の代わりに粘着剤6を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み250μmの両面粘着シートを得た。
【0158】
実施例7
粘着剤1の代わりに粘着剤7を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み250μmの両面粘着シートを得た。
【0159】
実施例8
粘着剤1の代わりに粘着剤8を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み250μmの両面粘着シートを得た。
【0160】
実施例9
基材1の代わりに、ポリエチレン樹脂からなる架橋度3重量%、独立気泡率85%、厚み100μm(デント特性:15%、引張強度(MD):1.0MPa、引張強度(TD):0.5MPa)の発泡体基材(「基材4」と称する)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み200μmの両面粘着シートを得た。
【0161】
比較例1
基材1の代わりに、ポリエチレン樹脂からなる架橋度30重量%、独立気泡率35%、厚み200μm(デント特性:67%、引張強度(MD):10.3MPa、引張強度(TD):6.4MPa)の発泡体基材(「基材2」と称する)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み300μmの両面粘着シートを得た。
【0162】
比較例2
基材1の代わりに、ポリエチレン樹脂からなる架橋度90重量%、独立気泡率85%、厚み200μm(デント特性:76%、引張強度(MD):14.0MPa、引張強度(TD):9.1MPa)の発泡体基材(「基材3」と称する)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み300μmの両面粘着シートを得た。
【0163】
表1には、実施例及び比較例で用いた発泡体基材(基材1〜4)の架橋度、独立気泡率、厚み、引張強度(MD及びTD)、及びデント特性を示す。
【0164】
【表1】

【0165】
(評価)
実施例及び比較例で得られた両面粘着シートについて、粘着剤層のヘイズ、粘着剤層のゲル分率、防水性、耐衝撃性、タック、投錨性(粘着剤層の発泡体基材に対する投錨性)、再剥離性、及び粘着力(180°ピール粘着力)を測定又は評価した。なお、粘着剤層のゲル分率は、上述の方法により測定した。
【0166】
(1)粘着剤層のヘイズ
実施例及び比較例で得られた両面粘着シートの粘着剤層のヘイズを、以下の手順で測定した。
製造例7〜14で得られた粘着剤1〜8を、セパレータ(商品名「SLB−80W3D」、住化加工紙(株)製)の一方の面に乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、100℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成した。次いで、該粘着剤層をスライドガラス(全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%)に貼り合わせ、セパレータを剥離して、評価用サンプルを作製した。上記評価用サンプルのヘイズを、JIS K7136に準じ、ヘイズメータ(商品名「HM−150」、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定し、粘着剤層のヘイズとした。結果を表2の「ヘイズ」の欄に示した。
【0167】
(2)防水性(防水特性)(図10参照)
図10は、防水性を評価する際に用いる評価用サンプルの概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のZ−Z断面図を示す。図10において、41はポリカーボネート板、42は段差テープ、43は窓枠状両面粘着シート、44はアクリル板(アクリルレンズ)、45は不織布を示す。以下、防水性の評価手順を示す。
まず、実施例及び比較例で得られた両面粘着シートを幅1mmの窓枠状(額縁状)(横:60mm、縦:40mm)に切断し、窓枠状両面粘着シートを得た。
次に、4つのアクリル板(アクリルレンズ、横:60mm、縦:40mm、厚さ:1mm)に上記窓枠状両面粘着シートを貼り合わせてから、図10に示すように、上記窓枠状両面粘着シートが貼付されている4つのアクリル板を、2本の段差テープ(幅:5mm)が貼付されたポリカーボネート板(PC板)に、2kgローラー1往復の条件で圧着することにより、各凹凸高さ(10μm、20μm、30μm、50μm、70μm、及び100μm)に対する評価用サンプルを得た(図10参照)。
なお、段差テープは、ポリカーボネート板に凹凸を設ける目的で貼付されており、目的とする凹凸高さを得るために用いられている。
また、上記と同様の手順で、窓枠状両面粘着シートが貼付されている4つのアクリル板を、ポリカーボネート板(2本の段差テープが貼付されておらず、表面が平滑なもの)に、2kgローラー1往復の条件で圧着することにより、凹凸高さが0μm(段差なし)の評価用サンプルも得た。
なお、不織布(幅:35mm、長さ55mm、厚さ:0.05mm)は、吸水すると変色する性質を有するので、内部に浸水した際における目視での評価のために、アクリル板とポリカーボネート板との間に入れた。不織布は、防水性の評価試験に何ら影響を及ぼすことはない。
防水性の評価試験は、IPX7規格(JIS C0920/IEC60529)に基づいて、標準状態(温度:23℃、湿度:50%RH)で、各凹凸高さに対する評価用サンプルを、水深1mの水槽に30分間沈め、内部への浸水の有無を確認することにより行った。なお、評価用サンプルは、標準状態(温度:23℃、湿度:50%RH)で30分エージングしたものを用いた。
両面粘着シートの防水性の評価は、4つのアクリル板が貼付されている評価用サンプル(図10(a)、(b)参照)を、凹凸高さごとに2つずつ用意し、8サンプル(8つのアクリル板貼付部分)に対する浸水の有無を目視で観察することにより行った。評価結果を表2の「防水性」の欄に示す。表2における数値は、上記評価試験において内部への浸水が認められず、「防水性良好」と評価できたサンプルの数を示す。例えば、表2中の数字が8である場合には、全てのサンプルにつき防水性良好であったことを示し、数字が1である場合には、8サンプル中1サンプルのみが防水性良好であったことを示す。数字が0である場合には、8つ全てのサンプルで浸水が確認されたことを示す。
【0168】
(3)耐衝撃性(図9参照)
図9は、耐衝撃性を評価する際に用いる評価用サンプルの概略図であって、(a)は平面図であり、(b)は(a)のY−Y断面図である。図9において、31はポリカーボネート筺体、32は窓枠状両面粘着シート、33はポリカーボネートレンズ、34は錘を表す。以下、耐衝撃性の評価手順を示す。
実施例及び比較例で得られた両面粘着シートを幅1mmの窓枠状(額縁状)(横48.5mm×縦66.5mm)に切断し、窓枠状両面粘着シート32を得た。
上記窓枠状両面粘着シート32を用いて、ポリカーボネートレンズ33(幅48.5mm×長さ66.5mm、厚さ2mm、重量:8g)と、ポリカーボネート筺体31(PC筺体)とを、2kgローラー1往復の条件で圧着することにより貼り合わせた(図9の(a)(b)参照)。
次に、上記構造体のポリカーボネートレンズ33に対し、10gの錘34(SUS板)を取り付けて(図9参照)、評価用サンプル(総重量:85g)を作製した。
耐衝撃性の評価(低温での耐衝撃性)は、上記評価用サンプルを−5℃の雰囲気下において、1.5mの高さからコンクリート板に自由落下させ、該自由落下を繰り返すことにより、以下の基準にて評価した。結果は表2に示した。
○(耐衝撃性良好) : 上記自由落下を40回繰り返してもポリカーボネートレンズが剥離しなかった
×(耐衝撃性不良) : 上記自由落下を繰り返した際、40回以内の自由落下によりポリカーボネートレンズが剥離した
【0169】
(4)タック
実施例及び比較例で得られた両面粘着シートから、一方のセパレータを剥離し、粘着面を露出させた。そして、上記粘着面を指で触った際の粘着感の強さを確認し、以下の基準でタックの強弱を評価した。結果を表2に示す。
◎(タックが強い) : 粘着感が強い
○(タックが中程度である) : ◎と△の間くらいの粘着感がある
△(タックが弱い) : 粘着感が弱い
【0170】
(5)投錨性(図7、図8参照)
図7は、投錨性の評価に用いる評価用サンプルの概略図(断面図)であり、図8は、投錨性の評価方法を説明する概略図(断面図)である。図7、図8において、21は両面粘着シート、22及び23はアルミホイル、24及び25はアルミホイルの突出部分を表す。以下、投錨性の評価手順を示す。
実施例及び比較例で得られた両面粘着シート(幅20mm×長さ150mm)からセパレータを剥離して、図7に示すように、両側の粘着面にそれぞれアルミホイル(幅30mm×長さ200mm、厚さ0.13mm)を2kgのゴムローラーを1往復の条件で貼り合わせ、評価用サンプルを作製した。次いで、上記評価用サンプルを、23℃、50%RHの雰囲気下で0.5時間エージングした。
次に、23℃、50%RHの雰囲気下、引張試験機を使用し、上記評価用サンプルのアルミホイルの突出部分(図8における24及び25)の一方を固定した。そして、他方の突出部分を掴み、図8に示す方向に、引張速度500mm/分で引っ張り、剥離(T形剥離)した。T形剥離後の評価用サンプルを目視で観察し、以下の基準で投錨性(発泡体基材に対する粘着剤層の投錨性)を評価し、結果を表2に示した。
○(投錨性が高い) : 発泡体基材が破壊されている
△(投錨性が低い) : 発泡体基材が破壊されることなく、評価用サンプルの両側のアルミホイルのいずれかに粘着剤層のみが残っている
【0171】
(6)180°ピール粘着力(対SUS304BA)
実施例及び比較例で得られた両面粘着シートを幅20mm×長さ100mmのサイズに切り出し、一方の粘着面にPETフィルム(厚さ:25μm)を貼り合わせ(裏打ちし)、評価用サンプルを作製した。次いで、上記評価用サンプルの他方の粘着面(測定面)を、2kgのローラーを1往復させてSUS304BA板に圧着し、23℃、50%RHの雰囲気下で30分間エージングした。
その後、万能引張圧縮試験機(装置名「引張圧縮試験機TG−1kN」、ミネベア(株)製)を使用し、23℃、50%RHの雰囲気下、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、SUS304BA板から評価用サンプルを引き剥がし、180°ピール粘着力(N/20mm)を測定した。なお、試験回数(n数)は3回とし、平均値を算出して、表2の「粘着力」の欄に示した。
【0172】
(7)再剥離性
上記「(6)180°ピール粘着力」測定後のSUS304BA板の表面を目視で観察し、実施例及び比較例で得られた両面粘着シートの再剥離性を評価した。
上記両面粘着シート剥離後のSUS304BA板の表面に、発泡体及び/又は粘着剤層の一部が残らなかった場合(界面剥離の場合)を「○」(再剥離性良好)、ポリオレフィン系発泡体基材や粘着剤層の一部が残った場合(層間剥離又は凝集剥離の場合)を「△」(再剥離性不良)として評価し、表2に結果を示した。なお、上記「層間剥離」とは、SUS304BA板の表面に基材(発泡体)の一部が残る剥離の形態をいい、上記「凝集剥離」とは、SUS304BA板の表面にアクリル系粘着剤層のみが残る剥離の形態をいう。
【0173】
【表2】

【符号の説明】
【0174】
11 ポリオレフィン系発泡体基材
12 評価用板
13 錘
14 錘の先端部分
15 凹んでいない部分の厚さ(Y1)
16 最も凹んだ部分の厚さ(Y2)
21 両面粘着シート
22 アルミホイル
23 アルミホイル
24 アルミホイルの突出部分
25 アルミホイルの突出部分
31 ポリカーボネート筺体
32 窓枠状両面粘着シート
33 ポリカーボネートレンズ
34 錘(SUS板)
35 窓枠状両面粘着シートの厚み
41 ポリカーボネート板
42 段差テープ
43 窓枠状両面粘着シート
44 アクリル板
45 不織布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系発泡体基材の両面側にアクリル系粘着剤層を有する両面粘着シートであって、
前記ポリオレフィン系発泡体基材は、独立気泡率が70%以上、架橋度が3〜60重量%であり、
前記アクリル系粘着剤層は、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマーと粘着付与樹脂とを含む粘着剤組成物から形成されたアクリル系粘着剤層であることを特徴とする両面粘着シート。
【請求項2】
前記アクリル系粘着剤層は、ゲル分率が10〜50重量%である請求項1に記載の両面粘着シート。
【請求項3】
前記アクリル系ポリマーは、分散度[(重量平均分子量)/(数平均分子量)]が3〜10である請求項1又は2に記載の両面粘着シート。
【請求項4】
前記アクリル系ポリマーは、前記アクリル系ポリマー中の分子量が10万以下の成分の割合が10〜30重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の両面粘着シート。
【請求項5】
前記アクリル系粘着剤層は、ヘイズが3〜30%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の両面粘着シート。
【請求項6】
前記アクリル系ポリマーは、前記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対するアクリル酸ブチルの含有量が60重量%以上のモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーである請求項1〜5のいずれか1項に記載の両面粘着シート。
【請求項7】
前記アクリル系ポリマーは、前記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対するアクリル酸の含有量が1〜5重量%のモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーである請求項1〜6のいずれか1項に記載の両面粘着シート。
【請求項8】
前記粘着剤組成物は、前記アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記粘着付与樹脂を5〜60重量部含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の両面粘着シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−40329(P2013−40329A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−156188(P2012−156188)
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】