説明

両面粘着テープの使用方法、並びに両面粘着テープとその製造方法

【課題】 従来の両面粘着テープを被着体に貼着した後に、離型紙を粘着剤層から剥がす際に離型紙の紙切れが生じない両面粘着テープの使用方法、並びに離型紙の紙切れが生じない両面貼着テープとその製造方法を提供する。
【解決手段】 幅広の離型紙の片面に粘着剤層を設けて巻芯に巻回したマスターテープ材を、前記巻芯の外周側から巻芯の中心側へと所定幅に切断して製造される両面粘着テープの使用方法であって、前記粘着剤層は前記巻芯側の離型紙とともに巻解いて被着体に貼着して使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築用防水シート等を貼着するために用いるのに好適な両面粘着テープの使用方法、並びに両面貼着テープとその製造方法に関する。更に、詳細には、粘着剤層の片面に離型紙を添設して巻回保持してなる両面粘着テープを巻き解いて、所定長さ分を被着体に貼着し、その後、離型紙を粘着剤層から剥がす際に離型紙の紙切れが生じない両面粘着テープの使用方法、並びに離型紙の紙切れの生じない両面粘着テープとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の両面粘着テープは、幅広の離型紙の片面に粘着剤層を設け、これを粘着剤層側を巻芯側にして巻回したマスターテープ材を用意して、これを巻芯の外周側から巻芯の中心側へ所定幅に切断して製造されていた。より、詳細には、例えば、図4に示すように、巻回状態の幅広のマスターテープ材20を巻芯を中心として回転させながら、このマスターテープ材20の巻芯の外周側から巻心の中心側へと所定幅に切断して両面粘着テープ13としていた。尚、図4中、12は紙管からなる巻芯を示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の巻回状態にある両面粘着テープを巻き解いて、所定長さ分の両面粘着テープを被着体に貼着し、離型紙を剥がすと、離型紙が破れて被着面に残るという問題があった。これは、両面粘着テープがその製造時にマスターテープ材から切断される際に、離型紙の紙層が粘着剤に付着するために生じるものである。詳細に説明すると、通常、剥離紙10は、図5に示すように、シリコン処理したポリエチレン層10a/紙層10b/シリコン処理したポリエチレン層10aの3層構造とされており、マスターテープ材から所定の幅に切断される際に、図5(a)に示すように、離型紙10は下方に折り曲げられ、粘着剤層11に没入する。この結果、切断された両面粘着テープの端縁は、図5(b)に示すように粘着剤層11の粘着剤に離型紙10bが付着することになる。このようにして得られた両面粘着テープを、図6に示すように被着体50に貼着すると、上記離型紙10の紙層と粘着剤層11とが付着したままの状態であるため、離型紙10は粘着剤層から剥がれにくくなり、離型紙を剥がす際に離型紙の紙切れが生じる場合がある。そこで、本発明は、従来の両面粘着テープを被着体に貼着した後に、離型紙を粘着剤層から剥がす際に離型紙の紙切れが生じない両面粘着テープの使用方法、並びに離型紙の紙切れが生じない両面貼着テープとその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の両面粘着テープの使用方法は前記目的を達成するべく、請求項1に記載の通り、幅広の離型紙の片面に粘着剤層を設けて巻芯に巻回したマスターテープ材を、前記巻芯の外周側から巻芯の中心側へと所定幅に切断して製造される両面粘着テープの使用方法であって、前記粘着剤層は前記巻芯側の離型紙とともに巻解いて被着体に貼着して使用することを特徴とする。また、本発明の両面貼着テープは、請求項2に記載の通り、長尺テープ状の離型紙の片面に粘着剤層を設けた両面粘着テープにおいて、前記粘着テープの長手方向に沿った両端縁は、前記離型紙側に反るようにしたものであることを特徴とする。また、本発明の両面粘着テープの製造方法は、請求項3記載の通り、離型紙の片面に粘着剤層を設けて巻回保持してなる両面粘着テープの製造方法であって、幅広の離型紙の片面に粘着材層を設け、これを離型紙側を巻芯側にして巻回したマスターテープ材を用意して、前記巻芯の外周側から巻芯の中心側へと所定幅に切断して製造されることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】前記マスターテープ材を構成する離型紙としては、例えば、ポリエチレン層/紙層/ポリエチレン層の3層構造のものが使用され、幅100〜130cm、長さ20〜100m、厚味0.3mm程度に形成される。
【0006】また、前記マスターテープ材を構成する幅広の粘着剤層は、幅100〜130cm、長さ20〜100m、厚味0.1〜0.5mm程度に形成され、前記離型紙とともに直径15〜30cm程度の円筒状に巻回されている。前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル、ブチル、ウレタン、シリコン、天然ゴム、酢酸ビニル、SBS、SIS等が用いられる。
【0007】前記マスターテープ材は幅広の離型紙の片面に粘着剤層を設けたものを、粘着剤層側を巻芯側にして紙管等の巻芯に巻回されており、これをロールカッター等の所望のカッティング手段で、0.5〜30cm等の所定幅に切断して、両面粘着テープとして完成するものである。上記のように完成された両面貼着テープは、上記したように、最外周の離型紙の紙層がその下側に位置する粘着剤層に付着した状態となっている。本発明の使用方法をこのような従来の両面貼着テープに用いるには、最外周の離型紙の紙層と粘着剤層との粘着状態を断つ必要がある。その方法は、両面貼着テープの最外周の離型紙だけを粘着剤層からまず1周分剥がし、下側の離型紙の外周側に前記粘着剤層がのるようにすることである。このようにして、従来の両面貼着テープを、最外周の粘着剤層を巻芯側の離型紙とともに巻解いて使用することで、離型紙は紙切れしなくなる。しかし、上記の使用方法では、巻解いて使用する粘着剤層とこの下側の離型紙の他に、更に、その離型紙の下側の粘着剤層も離型紙に付着して剥がれてきてしまうことがある。この結果、剥がれた粘着剤層を元の状態に巻き戻す手間が生じる場合もあるため、更に、作業性のよい両面貼着テープが望まれる。このため、マスターテープ材として幅広の粘着剤層の片面に離型紙を添設したものを、離型紙側を巻芯側にして紙等の芯材に巻回し、離型紙の巻芯とは反対側に粘着剤層を添設するようにすれば、このようなマスターテープから得られる両面粘着テープは、上記のような不都合が生じることなく最後まで効率よく巻解くことができるようになる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の両面粘着テープの使用方法、並びに両面粘着テープとその製造方法の具体的実施例につき図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)本実施例では、両面粘着テープの使用方法について説明する。図4は、本実施例の説明のために用いられるマスターテープ材を示すもので、幅2cm、厚味0.3mm、長さ100mの離型紙の片面の全面に粘着剤層を設けるようにして形成され、粘着剤層側を巻芯側にして、直径27cmの円筒状に巻回されている。
【0009】離型紙10としては、図5に示したシリコン処理したポリエチレン層10a/紙層10b/シリコン処理したポリエチレン層10aの3層構造のものを用いた。
【0010】また、粘着剤層は、ブチル粘着剤によって形成されており、図5に示すように、前記離型紙10の片面にコンマロール若しくはドクターナイフによって厚味0.15mmに塗工形成されている。
【0011】このマスターテープ材を、図4に示すように、巻芯12を中心に回転させながらロールカッター40によって巻芯12の外周側から巻芯12の中心側へ幅2cmに切断することにより、両面粘着テープ13を作製した。尚、この両面粘着テープは、図5(a)に示した従来の両面粘着テープと同様の断面構造を有しており、粘着剤層11の上側の離型紙10の切断面に沿った端縁は、下方へ折り曲げられ、粘着剤層11に没入するとともにその紙層10bは粘着剤層11に付着していた。また、粘着剤層11の下側の離型紙10’の切断面に沿った端縁は、上側の粘着剤層11とともに巻芯12側に折り曲げられることになり、粘着剤層11に付着することはなかった。このようにして得られた従来と同様の構造の両面粘着テープ13の最外周の離型紙10を1周分剥がしてから、粘着剤層11とその下側の離型紙10’とを、両面粘着テープ13とし巻き解いて、被着体50である建築用防水ゴムシートに貼着して貼着部を形成し、その後、離型紙10’を剥がしてみた。粘着剤層11の粘着剤が最外周の離型紙10の紙層10bに付着していた部分は、最外周の離型紙10を剥がす際に粘着状態が断たれており、また、粘着剤層11とその下側の離型紙10’とは粘着状態にはなかったため、離型紙10’は紙切れを生じることなく簡単に剥がすことができた。尚、本実施例の使用方法においては、両面貼着テープとして使用する粘着剤層11とその下側の離型紙10’とを巻解く際に、図5(b)に示す離型紙10’の下側の粘着剤層11’が一緒に剥がれてきてしまうことがあった。
【0012】(実施例2)次ぎに、本実施例では、本発明の両面粘着テープと、その製造方法及びその使用方法を説明する。図1は、本実施例の製造方法に使用されるマスターテープ材を示すもので、離型紙側を巻芯12側として巻回した以外は実施例1と同様のものを使用した。
【0013】このようにして得られたマスターテープ材を、図1に示すように、巻芯12を中心に回転させながらロールカッター40によって、巻芯12の外周側から巻芯12の中心側へと幅2cmに切断することにより、両面粘着テープ13を完成した。図2(a)に示すように、粘着剤層11’の上側の離型紙10の切断面に沿った端縁は下方へ折り曲げられるとともに、粘着剤層11’に没入し、離型紙10の紙層10bは粘着剤層11’に付着していた。これとは反対に、離型紙10の切断面に沿った端縁は、上側の粘着剤層11とともに巻芯12側に折り曲げられることになり、粘着剤層11に付着することはなかった。このようにして得られた両面粘着テープ13の切断面は、図2(b)に示すように、離型紙10,10’側に反った構造となっており、この製造方法によれば、最外周の粘着剤層11とその下側の離型紙10とは粘着状態にないので、これらをともに巻解くだけで、そのまま本発明の両面粘着テープとして使用でき、しかも、実施例1のように使い始めに離型紙を剥がす手間がないものであった。
【0014】前記両面粘着テープ13を100cm巻き解いて、図3に示すように、被着体50である建築用防水ゴムシートに貼着して貼着部51を形成し、その後、離型紙10を剥がしてみたところ、図2(b)中の離型紙10の紙層10bと下側の粘着剤層11’とが付着している部分は、両面貼着テープを巻解く際に断たれており、また、被着体50への貼着前においては、両面粘着テープの切断面に沿った端縁全体が離型紙側に反っており、被着体50への貼着後においては、粘着剤層11は被着体50に対して、その全面において貼着状態となり、離型紙10のみが元の反った状態となるため、離型紙10の切断面に反った端縁は、粘着剤層11と離間状態となる。そのため、離型紙10は紙切れを生じることなく簡単に剥がすことができた。
【0015】
【発明の効果】このように、本発明の両面粘着テープの使用方法によれば、粘着剤層を巻芯側の離型紙とともに巻解いて被着体に貼着して使用するので、両面粘着テープの離型紙と粘着剤層とが付着しない状態で被着体に貼着でき、紙切れを生じることなく離型紙を剥がすことができる。また、本発明の両面粘着テープによれば、長尺テープ状の離型紙の片面に粘着剤層を設け、前記離型紙の長手方向に沿った両端縁を、前記離型紙側に反るようにしたことで、被着体に粘着剤層を貼着した後、離型紙の両端縁は粘着剤層からわずかに離間状態となり、離型紙の紙切れを確実に防止できる。また、本発明の両面粘着テープの製造方法によれば、幅広の離型紙の片面に粘着材層を設け、これを離型紙側を巻芯側にして巻回したマスターテープ材を用意して、前記巻芯の外周側から巻芯の中心側へ所定幅に切断するようにしたので、得られた両面粘着テープの両端縁は離型紙側に反ったものとなるため、離型紙の紙切れのない両面粘着テープを極めて簡単な方法で製造することができる。また、得られた両面粘着テープは、被着体に貼着する際に粘着剤層に皺が寄ったりせず、また、巻解く際に剥がれた粘着剤層をもとに戻すための手間等を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明両面粘着テープの作製に係わるマスターテープ材の切断工程を示す斜視図
【図2】 本発明両面粘着テープの断面図
【図3】 従来の両面粘着テープの作製に係わるマスターテープ材の断面図
【図4】 従来の両面粘着テープの作製に係わるマスターテープ材の切断行程を示す斜視図
【図5】 従来の両面粘着テープの断面図
【図6】 従来の両面粘着テープの断面図
【符号の説明】
10 離型紙
10a 離型紙のコート層
10b 離型紙の紙層
11 粘着剤層
11’ 粘着剤層
12 紙管
13 粘着剤層
20 マスターテープ材
40 ロールカッター
50 被着体
51 貼着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 幅広の離型紙の片面に粘着剤層を設けて巻芯に巻回したマスターテープ材を、前記巻芯の外周側から巻芯の中心側へと所定幅に切断して製造される両面粘着テープの使用方法であって、前記粘着剤層は前記巻芯側の離型紙とともに巻解いて被着体に貼着して使用することを特徴とする両面粘着テープの使用方法。
【請求項2】 長尺テープ状の離型紙の片面に粘着剤層を設けた両面粘着テープにおいて、前記粘着テープの長手方向に沿った両端縁は、前記離型紙側に反るようにしたものであることを特徴とする両面粘着テープ。
【請求項3】 離型紙の片面に粘着剤層を設けて巻回保持してなる両面粘着テープの製造方法であって、幅広の離型紙の片面に粘着材層を設け、これを離型紙側を巻芯側にして巻回したマスターテープ材を用意して、前記巻芯の外周側から巻芯の中心側へと所定幅に切断して製造されることを特徴とする両面粘着テープの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−27013(P2003−27013A)
【公開日】平成15年1月29日(2003.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−216754(P2001−216754)
【出願日】平成13年7月17日(2001.7.17)
【出願人】(598109187)アサヒゴム株式会社 (27)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】