説明

両面表示パネル及びその製造方法、電子機器

【課題】 支持基板の端部に形成された引出配線部を駆動回路部品又は配線基板等と容易に接続できるようにする。
【解決手段】 一対の支持基板10A,10B間に自発光素子部11A,11Bを封止する封止空間12を形成し、封止空間12から信号配線が引き出された引出配線14を一対の支持基板10A,10Bの少なくとも一方に形成すると共に、一対の支持基板10A,10Bのそれぞれに形成された信号配線を接続する信号接続部材15を一対の支持基板10A,10B間に形成し、引出配線14が形成された一方の支持基板10A側から他方の支持基板10Bに形成された自発光素子部11Bに信号接続部材15を介して電気的な信号を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面表示パネル及びその製造方法、並びにこの両面表示パネルを搭載した電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL(electroluminescence)表示装置、プラズマディスプレイ装置(PDP:Plasma Display Panel)、電界放射表示装置(FED:Field Emission Display)等の自発光型のフラットパネル表示装置が各種開発されている。これらの表示装置は、支持基板上に自発光素子を配列することで表示部を形成するものであり、バックライトを要する液晶ディスプレイに対して低消費電力且つ薄型化が可能な表示装置として注目を集めている。
【0003】
また、これらの自発光型のフラットパネル表示装置は、発光面を互いに外側に向けて支持基板を貼り合わせることで、表裏両面表示が可能な両面表示パネルを形成することが可能になる。下記特許文献1には、有機EL表示装置からなる両面表示パネルが開示されている。有機EL表示装置の場合には、支持基板上に形成された有機EL素子が湿気等を含む外気に曝されると表示性能が劣化する性質を有することから、この有機EL素子を外気から遮断する封止構造を採用する必要があるが、前述の従来技術によると、有機EL素子が形成された透明基板からなる支持基板を、有機EL素子が形成された面を互いに向き合わせて貼り合わせ、一対の支持基板間に有機EL素子を封止して、両支持基板の各底面側に互いに反対方向に向いた表示面を形成することで両面表示を可能にしている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−14316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した有機EL表示装置のような自発光型の表示装置では、自発光素子部に駆動信号を供給する駆動回路部品或いは配線基板を接続するために、封止構造内の自発光素子部から信号配線を引き出して引出配線部を形成し、この引出配線部と駆動回路部品又は配線基板等の接続部とを電気的に接続する構造が採用されている。
【0006】
一方、前述した従来技術のように、自発光素子部が形成された支持基板を自発光素子部が形成された面を互いに向き合わせて貼り合わせた両面表示パネルでは、一方の支持基板の引出配線部と他方の支持基板の引出配線部とが重ならないように、引出配線部を異なる方向に向けて貼り合わせることがなされているが、これによると、引出配線部が異なる方向に張り出すことになるので、全体のパネル面積が大きくなって表示パネルの設置専有スペースが広くなってしまい、小型化された電子機器内に搭載する際に求められる省スペース化の要求に合致しないという問題が生じる。
【0007】
また、引出配線部が2枚の支持基板で異なる方向に張り出す構成では、それに接続される駆動回路部品や配線基板等もそれに対応して複数必要になるか又は異なる方向に対応した大きな配線基板が必要になるので、この複数の駆動回路部品や配線基板等によっても電子機器内のスペースが過剰に占有されることになり、これによっても省スペース化の要求を満足することができないという問題が生じる。
【0008】
一方、支持基板端部に形成される引出配線部を同方向に形成すると、一方の引出配線部と駆動回路部品又は配線基板等とを接続する際に他方の引出配線部が干渉して接続作業が困難になるという問題が生じる。特に、2枚の支持基板はかなり狭い間隔で貼り合わせがなされるので、向かい合った支持基板の面に形成された引出配線部に駆動回路部品又は回線基板等を接続する作業は非常に困難な作業に成らざるを得ない。
【0009】
また、基本的に、各支持基板に形成された2つの引出配線部はそれぞれ向き合った異なる面に形成されているので、それぞれの引出配線部に電気的な接続を図るためには2つの駆動回路部品又は回線基板等が必要になるか、或いは一般的に高価な両面接続が可能な配線基板が必要になり、これらはいずれも部品コストアップの要因になる。また、2つの引出配線部がそれぞれ向き合った異なる面に形成されていることで、それぞれの引出配線部に電気的な接続を図るためには、熱圧着などの接続工程が複数回必要になり、これによると工程コストがアップする要因になる。
【0010】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、支持基板の一方の面に自発光素子部を形成し、該支持基板を通して光を取り出すことで該支持基板の他方の面側に表示面を形成した一対の支持基板を、前記表示面が互いに反対方向に向くように貼り合わせて、前記一対の支持基板間に前記自発光素子部を封止する封止空間を形成する両面表示パネルにおいて、支持基板の端部に形成された引出配線部を駆動回路部品又は配線基板等と容易に接続できるようにすること、両面表示パネルのパネル設置スペース又は駆動回路部品や配線基板等を含めたモジュール全体の設置スペースの省スペース化が可能であること、引出配線部分に接続する駆動回路部品又は回線基板等の接続対象を一つにすることを可能にして、部品コスト及び工程コストの低減化を図ること等が、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明による両面表示パネル及びその製造方法、或いはこの両面表示パネルを搭載した電子機器は、以下の各独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
【0012】
[請求項1]支持基板の一方の面に自発光素子部を形成し、該支持基板を通して光を取り出すことで該支持基板の他方の面側に表示面を形成した一対の支持基板を、前記表示面が互いに反対方向に向くように貼り合わせて、前記一対の支持基板間に前記自発光素子部を封止する封止空間を形成する両面表示パネルにおいて、前記封止空間から信号配線が引き出された引出配線を前記一対の支持基板の少なくとも一方に形成すると共に、前記一対の支持基板のそれぞれに形成された信号配線を接続する信号接続部材を前記一対の支持基板間に形成し、前記引出配線が形成された一方の支持基板側から他方の支持基板に形成された前記自発光素子部に前記信号接続部材を介して電気的な信号を供給することを特徴とする両面表示パネル。
【0013】
[請求項12]支持基板の一方の面に自発光素子部を形成し、該支持基板を通して光を取り出すことで該支持基板の他方の面側に表示面を形成した一対の支持基板を、前記表示面が互いに反対方向に向くように貼り合わせて、前記一対の支持基板間に前記自発光素子部を封止する封止空間を形成する両面表示パネルの製造方法において、前記封止空間から信号配線が引き出された引出配線を前記一対の支持基板の少なくとも一方に形成すると共に、前記一対の支持基板のそれぞれに形成された信号配線を接続する信号接続部材を前記一対の支持基板間に形成し、前記引出配線が形成された一方の支持基板側から他方の支持基板に形成された前記自発光素子部に前記信号接続部材を介して電気的な信号を供給するように、前記貼り合わせ時に前記一対の支持基板間に前記信号接続部材を圧着させることを特徴とする両面表示パネルの製造方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る両面表示パネル及びその製造方法を説明する説明図である。両面表示パネル1は、支持基板10A(10B)の一方の面に自発光素子部11A(11B)を形成し、支持基板10A(10B)を通して光を取り出すことで支持基板10A(10B)の他方の面側に表示面D(D)を形成した一対の支持基板10A,10Bを、表示面D,Dが互いに反対方向に向くように貼り合わせて、一対の支持基板10A,10B間に自発光素子部11A,11Bを封止する封止空間12を形成するものである。封止空間12は、支持基板10A,10Bの間に封止部材13を介在させて両者を貼り合わせ、支持基板10A,10Bとその周縁部付近に形成された封止部材13によって囲まれた空間として形成され、その封止空間12内には必要に応じて乾燥剤16が配備されている。
【0015】
そして、封止空間12から信号配線が引き出された引出配線14を一対の支持基板10A,10Bの少なくとも一方に形成すると共に、一対の支持基板10A,10Bのそれぞれに形成された信号配線を接続する信号接続部材15を一対の支持基板10A,10B間に形成し、引出配線14が形成された一方の支持基板10A側から他方の支持基板10Bに形成された自発光素子部11Bに信号接続部材15を介して電気的な信号を供給するものである。すなわち、図示の例では、支持基板10A上に形成された引出配線14等の信号配線にフレキシブル配線基板21の接続部が圧着されており、このフレキシブル配線基板21を介して回路基板20からの信号が支持基板10B側の自発光素子部11Bに供給されるようになっている。
【0016】
図2は図1に示した実施形態の引出配線部の一例を示す説明図である(同図(a)が平面図であり、同図(b)がx−x断面図を示している)。この例では、自発光素子部11Aと導通した引出配線14が形成された支持基板10A側には、自発光素子部11Aとは導通しない信号配線17が形成されており、信号接続部材15によって信号配線17と支持基板10B側で自発光素子部11Bに導通している引出配線18とが接続されるようになっている。これによって、フレキシブル配線基板21から供給される信号が、引出配線14を介して自発光素子部11Aに供給されると共に、信号配線17から信号接続部材15を経由して引出配線18を介して自発光素子部11Bに供給されるようになっている。
【0017】
信号接続部材15は、例えば図2(b)に示すように、多数の導電体15aが特定方向に整列されて弾性体15b中に埋め込まれている異方性導電弾性体(より具体的には、異方性導電ゴム)からなり、一対の支持基板10A,10Bの貼り合わせによって両支持基板間に圧着することで、信号配線17と引出配線18とを個別に接続することができるものである。
【0018】
図3は図1に示した実施形態の引出配線部の他の例を示す説明図である(同図(a)が平面図であり、同図(b)がx−x断面図を示している)。この例では、一対の支持基板10A,10Bにはそれぞれ自発光素子部に導通する信号配線(引出配線14,18)が形成され、信号接続部材15を介して信号配線間の一部が導通している。すなわち、一方の支持基板10Aに形成された自発光素子部11Aの引出配線14と他方の支持基板10Bに形成された自発光素子部11Bの引出配線18とが信号接続部材15を介して接続されており、フレキシブル配線基板21からの共通の信号を自発光素子部11A,11Bの両方に供給できるようになっている。
【0019】
このような実施形態に係る両面表示パネル1の製造方法を説明すると、両支持基板10A,10Bのそれぞれに引出配線14,18又は信号配線17の形成を含む前処理工程を施し、その各支持基板10A,10B上に自発光素子部11A,11Bを形成する。その後、一方又は両方の支持基板10A(10B)上に自発光素子部11A(11B)を囲むように封止部材13を塗布すると共に、一方の支持基板10A(10B)上における所定の接続箇所に信号接続部材15を配置する。
【0020】
そして、両支持基板10A,10Bを貼り合わせて、封止部材13によって封止空間12を形成すると共に、引出配線14が形成された一方の支持基板10A側から他方の支持基板10Bに形成された自発光素子部11Bに信号接続部材15を介して電気的な信号を供給するように、貼り合わせ時に一対の支持基板10A,10B間に信号接続部材15を圧着させる。
【0021】
このような実施形態に係る両面表示パネル1によると、2つの自発光素子部11A,11Bによって形成される表示面D,Dによって、両面表示が可能になるが、2つの自発光素子部11A,11Bは支持基板10A,10B間に形成される一つの封止空間12内に封止されるので、それぞれの自発光素子部11A,11Bに個別の封止空間を形成する場合と比較して厚さ方向の省スペース化が可能になる。
【0022】
そして、封止空間12から信号配線が引き出された引出配線14を一対の支持基板10A,10Bの少なくとも一方に形成すると共に、一対の支持基板10A,10Bのそれぞれに形成された信号配線を接続する信号接続部材15を一対の支持基板10A,10B間に形成し、引出配線14が形成された一方の支持基板10A側から他方の支持基板10Bに形成された自発光素子部11Bに信号接続部材15を介して電気的な信号を供給するので、一方の支持基板10A側から2つの自発光素子部11A,11Bに信号供給を行うことができるようになる。
【0023】
これによって、自発光素子部11A,11Bに信号供給を行うための引出配線部分は一つの支持基板10Aに設けるだけで済むことになり、2つの引出配線部分を異なる方向に張り出させる場合と比較すると、パネル全体の平面的な占有面積を減らすことが可能になる。また、一つの自発光素子部を有する表示パネルと同様に引出配線部分と回路基板等との接続を一回の圧着で行うことができるので、回路基板等の実装工程を簡略化した両面表示パネルの実現が可能になる。更には、2つの自発光素子部11A,11Bへの信号供給を行うために接続される回路基板等を一つにすることができるので、部品コストの低減化が可能であると共に、回路基板等の実装部品を含めたパネル設置占有面積を減少させることが可能になる。また、引出配線部分へ回路基板等を接続する工程も一回で済むので、工程コストの低減化、生産性の向上が実現できる。
【0024】
特に、図3に示すように、一対の支持基板10A,10Bのそれぞれに自発光素子部11A,11Bに導通する信号配線(引出配線14,18)を形成し、この引出配線14,18の一部を信号接続部材15を介して接続する場合には、単一の回路基板等から供給される信号をそれぞれの自発光素子部11A,11Bの両方に供給することが可能になる。これによると、関連のある表示内容を両面の2つの表示面D,Dに高い信頼性で表示させることができる。
【0025】
また、信号接続部材15として、多数の導電体15aが特定方向に整列されて弾性体15b中に埋め込まれている異方性導電弾性部材を用い、一対の支持基板10A,10Bの貼り合わせによって両支持基板に圧着するものでは、封止空間12を形成する際の貼合わせ工程を利用して、信号接続部材15の圧着を行うことができ、特に工程を増やすことなく簡易に信号接続部材15の取り付けを行うことができる。
【0026】
前述した信号接続部材15における導電体15aの一部又は前述した信号配線の一つは金(Au)で形成することが好ましい。金を用いることで、接触抵抗が小さく、経年変化の影響を受けない接続が可能になる。また、信号配線に関しては、ITOにクロム等の低抵抗金属又は金属合金を積層したものであっても良い。ITOに金を積層する場合には、ITOと金の密着性があまり良くないので、ITOと金膜の間にニッケル薄膜等を挟むことが好ましい。
【0027】
図4は、本発明の他の実施形態に係る両面表示パネルを示す説明図である(前述の実施形態と同一部分には同一符号を付して重複した説明は一部省略する)。この実施形態では、信号接続部材15が封止空間12内に配置されている。これによると、前述の作用に加えて、封止空間12内を水分と酸素がほとんど無い状態にできるので、信号接続部材15の腐食や酸化のおそれが少なく、信頼性が高い両支持基板間の導通状態を実現することができる。
【0028】
図5は、本発明の他の実施形態に係る両面表示パネルを示す説明図である(前述の実施形態と同一部分には同一符号を付して重複した説明は一部省略する)。この実施形態では、信号接続部材15が封止空間12外の別の封止空間12A内に配置されている。すなわち、封止空間12の外に封止部材13によって別の封止空間12Aが形成され、この封止空間12A内に信号接続部材15が配置されている。これによると、信号接続部材15を封止してその腐食や酸化を防止すると共に、この信号接続部材15を自発光素子部11A,11Bと隔離することができる。
【0029】
以下に、本発明の更に具体的な実施形態を説明する。図6は、その実施形態に係る両面表示パネル100の外観的な構造を示す説明図である(同図(a)が平面図、同図(b)がY−Y断面図、同図(c)側面図)。両面表示パネル100は、前述した実施形態と同様に、支持基板100A(100B)の一方の面に自発光素子部101A(101B)を形成し、支持基板100A(100B)を通して光を取り出すことで支持基板100A(100B)の他方の面側に表示面100a(100b)を形成した一対の支持基板100Aを、表示面100a(100b)が互いに反対方向に向くように封止部材103で貼り合わせて、一対の支持基板100A,100B間に自発光素子部101A,101Bを封止する封止空間102を形成する構造を前提構成としている。
【0030】
そして、図示省略した引出配線が形成された支持基板100Aにフレキシブル配線基板121の接続部を接続して、支持基板100A,100Bのそれぞれに形成された図示省略の信号配線を接続する信号接続部材105を支持基板100A,100B間に形成している。この実施形態では、信号接続部材105をフレキシブル配線基板121が接続された支持基板100Aの辺とは異なる辺に沿って形成している(信号接続部材105の幅は接続される信号配線の状況に応じて適宜設定される)が、これに限らず、前述の実施形態のように、フレキシブル配線基板121が接続された支持基板100Aの辺に沿って信号接続部材105を形成してもよい。また、ここでは、信号接続部材105が封止部材103の内側に形成された例を示しているが、これに限らず、信号接続部材105は封止部材103の外側に形成してもよい。
【0031】
そして、この例は、フレキシブル配線基板121にドライバICチップ(ドライバを含む半導体回路チップ)120が実装された構造(COF(Chip On Film))になっており、このドライバICチップ120によって自発光素子部101A,101Bの駆動がなされる構造になっている。
【0032】
図7,図8は、このような実施形態に係る両面表示パネル100の信号配線形態の一例を模式的に示す説明図である。図7の例では、支持基板100A上の自発光素子部101Aに対して、x方向に並ぶ電極にフレキシブル配線基板121上のドライバICチップ120からデータドライブ信号Sを供給する信号配線が形成される。このデータドライブ信号Sは、前述の信号配線を介して自発光素子部101Aに供給されると共に、自発光素子部101Aから信号接続部材105を経由するように形成された信号配線を介して、支持基板100B側における自発光素子部101Bのx方向に並ぶ電極にも供給される。
【0033】
また、自発光素子部101Aに対して、y方向に並ぶ電極にドライバICチップ120から走査選択ドライブ信号Sを供給する信号配線が形成される。この走査選択ドライブ信号Sは、前述の信号配線を介して自発光素子部101Aに供給されると共に、前述の信号配線から分岐して信号接続部材105を経由するように形成された信号配線を介して、自発光素子部101Bのy方向に並ぶ電極にも供給される。
【0034】
この図7に示した信号配線形態によると、一つのドライバICチップから出力される一組のデータドライブ信号Sと走査選択ドライブ信号Sを2つの自発光素子部101A,101Bに供給することができる。
【0035】
図8は、前述の実施形態に係る両面表示パネル100の信号配線形態の他の例を模式的に示す説明図である。この例では、支持基板100A上の自発光素子部101Aに対して、x方向に並ぶ電極にフレキシブル配線基板121上のドライバICチップ120からデータドライブ信号S1aを供給する信号配線と、支持基板100B上の自発光素子部101Bに対して、x方向に並ぶ電極にドライバICチップ120から信号接続部材105を介して別のデータドライブ信号S1bを供給する信号配線が形成されている。
【0036】
また、自発光素子部101Aに対して、y方向に並ぶ電極にドライバICチップ120から走査選択ドライブ信号Sを供給する信号配線が形成される。この走査選択ドライブ信号Sは、前述の信号配線を介して自発光素子部101Aに供給されると共に、前述の信号配線から分岐して信号接続部材105を経由するように形成された信号配線を介して、自発光素子部101Bにおいてy方向に並ぶ電極にも供給される。
【0037】
この図8に示した信号配線形態によると、一つのドライバICチップ120から出力される2種類のデータドライブ信号S1a,S1bをそれぞれ2つの自発光素子部101A,101Bに供給し、共通の走査選択ドライブ信号Sを2つの自発光素子部101A,101Bに供給することができる。
【0038】
図9は、図7に示す例の変形例であって、一つのドライバICチップ120が支持基板100A上に実装された構造(COG(Chip On Glass))になっている。この例では、フレキシブル配線基板121を介してドライバICチップ120にデータ・走査制御信号Sが入力され、このデータ・走査制御信号Sに応じてドライバICチップ120からデータドライブ信号Sと走査選択ドライブ信号Sが出力される。
【0039】
これによっても、図7の例と同様に、自発光素子部101Aに対して、x方向に並ぶ電極にドライバICチップ120からデータドライブ信号Sを供給する信号配線が形成される。このデータドライブ信号Sは、前述の信号配線を介して自発光素子部101Aに供給されると共に、自発光素子部101Aから信号接続部材105を経由するように形成された信号配線を介して、支持基板100B側における自発光素子部101Bのx方向に並ぶ電極にも供給される。また、自発光素子部101Aに対して、y方向に並ぶ電極にドライバICチップ120から走査選択ドライブ信号Sを供給する信号配線が形成される。この走査選択ドライブ信号Sは、前述の信号配線を介して自発光素子部101Aに供給されると共に、前述の信号配線から分岐して信号接続部材105を経由するように形成された信号配線を介して、自発光素子部101Bのy方向に並ぶ電極にも供給される。
【0040】
図10は、支持基板100A,100BのそれぞれにドライバICチップ120A,120Bを実装したCOGの例を示している。これによると、フレキシブル配線基板121を介して供給される一つのデータ・走査制御信号S3aが支持基板100A側のドライバICチップ120Aに入力される信号配線が形成されると共に、他のデータ・走査制御信号S3bが信号接続部材105を介して支持基板100B側のドライバICチップ120Bに入力される信号配線が形成される。そして、ドライバICチップ120Aから出力されるデータドライブ信号S1aと走査選択ドライブ信号S2aによって自発光素子部101Aが駆動され、ドライバICチップ120Bから出力されるデータドライブ信号S1bと走査選択ドライブ信号S2bによって自発光素子部101Bが駆動される。
【0041】
図11は、本発明の他の実施形態に係る両面表示パネル100の外観的な構造を示す説明図である(同図(a)が平面図、同図(b)がY−Y断面図)。前述した図6の実施形態と同様の箇所には同じ符号を付して重複した説明は省略する。この実施形態では、引出配線が形成された支持基板100Aに、自発光素子部101Aを駆動するドライバを含む電子回路(例えば、TFTによって形成される走査ドライバ201a,データドライバ202)が形成されており、支持基板100B側にも自発光素子部101Bを駆動するための電子回路(TFTによって形成される走査ドライバ201a等)が形成されている。
【0042】
図12,図13は、このような実施形態に係る両面表示パネル100の信号配線形態の例を模式的に示す説明図である。図12の例では、支持基板100A上の自発光素子部101Aに対して、フレキシブル配線基板121を介してデータ制御信号Sと走査選択信号Sが供給され、データ制御信号Sがデータドライバ202に入力され、走査選択信号Sが走査ドライバ201aに入力される信号配線が形成される。そして、自発光素子部101Aのx方向に並ぶ電極にデータドライバ202からデータドライブ信号Sを供給する信号配線が形成され、自発光素子部101Aのy方向に並ぶ電極に走査ドライバ201aから走査選択ドライブ信号Sを供給する信号配線が形成される。
【0043】
一方、走査選択信号Sが供給される信号配線は支持基板101A上で分岐されて、信号接続部材105を介して支持基板100B側の走査ドライバ201bに走査選択信号Sを入力する信号配線を形成しており、自発光素子部101Bのy方向に並ぶ電極に走査ドライバ201bから走査選択ドライブ信号Sを供給する信号配線が形成されている。
【0044】
また、データドライブ信号Sは、前述の信号配線を介して自発光素子部101Aに供給されると共に、自発光素子部101Aから信号接続部材105を経由するように形成された信号配線を介して、支持基板100B側の自発光素子部101Bにおいてx方向に並ぶ電極にも供給される。そして、このデータドライブ信号Sと走査ドライバ201a,201bから出力される走査選択ドライブ信号Sとによって各自発光素子部101A,101Bが駆動される。
【0045】
図13の例は、図12の例とほぼ同様であるが、支持基板100A側の自発光素子部101Aに供給されるデータドライブ信号S1aと支持基板100B側の自発光素子部101Bに供給されるデータドライブ信号S1bとを独立に供給する信号配線を形成したものである。すなわち、フレキシブル配線基板121を介して供給されたデータ制御信号S4aが支持基板100A上に形成されたデータドライバ202aに入力される信号配線が形成され、また、フレキシブル配線基板121を介して支持基板100A側に供給されたデータ制御信号S4bが支持基板100Aから信号接続部材105を経由して支持基板100B上に形成されたデータドライバ202bに入力される信号配線が形成されている。これによって、データドライバ202a,202bのそれぞれからデータドライブ信号S1a,S1bが自発光素子部101A,101Bのそれぞれに供給されることになる。走査選択ドライブ信号Sに関しては図12の例と同様である。
【0046】
図14は、本発明に係る両面表示パネルの実施例であって、前述の自発光素子部11A,11B,101A,101Bが少なくとも一層の有機発光機能層を有する有機EL素子によって形成された例を示す説明図(断面図)である(前述の説明と同一箇所には同一符号を付して一部重複説明を省略している。)。
【0047】
図において、この両面表示パネル100は、有機EL素子からなる自発光素子部によって形成された表示面100a,100bが互いに反対方向に向くように、自発光素子部を互いに向き合わせて支持基板100A,100Bを封止部材103を介して貼り合わせたものである。
【0048】
自発光素子部は、第1電極31と第2電極32との間に有機発光機能層を含む有機材料層33を挟持して支持基板100A,100B上に複数の有機EL素子を形成したものである。図示の例では、有機EL素子は、支持基板100A,100B上にシリコン被覆層110を形成しており、その上に形成される第1電極31をITO等の透明電極からなる陽極に設定し、第1電極31上に発光領域30R,30G,30Bを開放するように絶縁膜34を形成して、発光領域30R,30G,30Bにおける第1電極31上に、正孔輸送層33a,発光層33b,電子輸送層33cを積層させ、その上にAl等の金属材料からなる第2電極32を形成して、これを陰極に設定している。すなわち、この有機EL素子は、支持基板100A,100Bを封止部材103を介して貼り合わせることによって形成された封止空間102内に形成されると共に、支持基板100A,100Bを介して光を取り出すボトムエミッション方式を構成している。
【0049】
そして、封止空間102内で第2電極32の端部32aが引出配線41又は信号配線51に接続されている。引出配線41又は信号配線51は、第1電極31と同材料,同工程で形成される第1の電極層41a,51aが第1電極31とは絶縁層34で絶縁された状態でパターン形成されており、第1の電極層41a,51aの上には、金又は銀等を含む低抵抗配線部分を形成する第2の電極層41b,51bが形成されている。ここでは、パッシブ駆動方式を前提にした自発光素子部を示しているが、これに限らずアクティブ駆動方式によって自発光素子部を構成することもできる。
【0050】
そして、引出配線41と信号配線51とを接続する信号接続部材105が支持基板100A,100B間に圧着されて形成されており、これによって、支持基板100A側の引出配線41に接続される回路基板等(図示省略)から供給される電気信号が信号接続部材105を介して支持基板100B側の自発光素子部に供給されるようになっている。
【0051】
このような実施例においては、支持基板100A,100Bとしては、透明性を有する平板状、フィルム状のものが好ましく、材質としてはガラス又はプラスチック等を用いることができる。
【0052】
有機材料層33は、前述したように、正孔輸送層33a,発光層33b,電子輸送層33cの組み合わせが一般的であるが、正孔輸送層33a,発光層33b,電子輸送層33cはそれぞれ1層だけでなく複数層積層して設けても良く、正孔輸送層33a,電子輸送層33bについてはどちらかの層を省略しても、両方の層を省略しても構わない。また、正孔注入層,電子注入層,ホールブロッキング層等の有機材料層を用途に応じて挿入することも可能である。正孔輸送層33a,発光層33b,電子輸送層33cは従来の使用されている材料(高分子材料、低分子材料を問わない)を適宜選択可能である。
【0053】
また、発光層33bを形成する発光材料としては、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)を呈するもの、三重項励起状態から一重項励起状態を経由して基底状態に戻る際の発光(りん光)を呈するもののいずれであっても構わない。
【0054】
封止部材103を形成する接着剤は、熱硬化型,化学硬化型(2液混合),光(紫外線)硬化型等を使用することができ、材料としてアクリル樹脂,エポキシ樹脂,ポリエステル,ポリオレフィン等を用いることができる。特には、加熱処理を要さず即硬化性の高い紫外線硬化型のエポキシ樹脂製接着剤の使用が好ましい。
【0055】
また、この実施例では、有機EL素子からなる自発光素子部は、単色表示であっても複数色表示であっても良く、複数色表示を実現するためには、塗り分け方式を含むことは勿論のこと、白色や青色等の単色の発光機能層にカラーフィルタや蛍光材料による色変換層を組み合わせた方式(CF方式、CCM方式)、単色の発光機能層の発光エリアに電磁波を照射する等して複数発光を実現する方式(フォトブリーチング方式)、2色以上の単位表示領域を縦に積層し一つの単位表示領域を形成した方式(SOLED(transparent Stacked OLED)方式)等を採用することができる。
【0056】
このような実施形態又は実施例によると、一対の支持基板間に自発光素子部を封止する封止空間を形成する両面表示パネルにおいて、支持基板の端部に形成された引出配線部を駆動回路部品又は配線基板等と容易に接続することができる。また、両面表示パネルのパネル設置スペース又は駆動回路部品や配線基板等を含めたモジュール全体の設置スペースの省スペース化が可能である。更には、引出配線部分に接続する駆動回路部品又は回線基板等の接続対象を一つにすることを可能にして、部品コスト及び工程コストの低減化を図ることができる。
【0057】
そして、このような実施形態又は実施例に係る両面表示パネルは、携帯電話,PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯情報端末や、各種の表示装置を含む電子機器に搭載することで、電子機器の小型・軽量化或いは低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係る両面表示パネル及びその製造方法を説明する説明図である。
【図2】図1に示した実施形態の引出配線部の一例を示す説明図である(同図(a)が平面図、同図(b)がx−x断面図)。
【図3】図1に示した実施形態の引出配線部の他の例を示す説明図である(同図(a)が平面図、同図(b)がx−x断面図)。
【図4】本発明の他の実施形態に係る両面表示パネルを示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る両面表示パネルを示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る両面表示パネルの外観的な構造を示す説明図である(同図(a)が平面図、同図(b)がY−Y断面図、同図(c)側面図)。
【図7】本発明の実施形態に係る両面表示パネルの信号配線形態の一例を模式的示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る両面表示パネルの信号配線形態の一例を模式的示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係る両面表示パネルの信号配線形態の一例を模式的示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係る両面表示パネルの信号配線形態の一例を模式的示す説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る両面表示パネルの外観的な構造を示す説明図である(同図(a)が平面図、同図(b)がY−Y断面図)。
【図12】本発明の実施形態に係る両面表示パネルの信号配線形態の例を模式的に示す説明図である。
【図13】本発明の実施形態に係る両面表示パネルの信号配線形態の例を模式的に示す説明図である。
【図14】本発明に係る両面表示パネルの実施例を示す説明図(断面図)である。
【符号の説明】
【0059】
1,100 両面表示パネル
10A,10B,100A,100B 支持基板
11A,11B,101A,101B 自発光素子部
12,102 封止空間
13,103 封止部材
14 引出配線
15,105 信号接続部材
15a 導電体
15b 弾性体
16 乾燥剤
17,18 信号配線
20 回路基板
21,121 フレキシブル配線基板
100a,100b 表示面
120 ドライバICチップ
,S1a,S1b データドライブ信号
,S2a,S2b 走査選択ドライブ信号
,S3a,S3b 走査制御信号
201a,201b 走査ドライバ(電子回路)
202 データドライバ(電子回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板の一方の面に自発光素子部を形成し、該支持基板を通して光を取り出すことで該支持基板の他方の面側に表示面を形成した一対の支持基板を、前記表示面が互いに反対方向に向くように貼り合わせて、前記一対の支持基板間に前記自発光素子部を封止する封止空間を形成する両面表示パネルにおいて、
前記封止空間から信号配線が引き出された引出配線を前記一対の支持基板の少なくとも一方に形成すると共に、前記一対の支持基板のそれぞれに形成された信号配線を接続する信号接続部材を前記一対の支持基板間に形成し、前記引出配線が形成された一方の支持基板側から他方の支持基板に形成された前記自発光素子部に前記信号接続部材を介して電気的な信号を供給することを特徴とする両面表示パネル。
【請求項2】
前記一対の支持基板にはそれぞれ前記自発光素子部に導通する信号配線が形成され、前記信号接続部材を介して前記信号配線間の一部が導通していることを特徴とする請求項1に記載された両面表示パネル。
【請求項3】
前記信号配線の少なくとも一部は金(Au)を含むことを特徴とする請求項2に記載された両面表示パネル。
【請求項4】
前記信号接続部材は、多数の導電体が特定方向に整列されて弾性体中に埋め込まれている異方性導電弾性部材からなり、前記一対の支持基板の貼り合わせによって両支持基板に圧着されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された両面表示パネル。
【請求項5】
前記導電体の少なくとも一部は金(Au)から成ることを特徴とする請求項4に記載された両面表示パネル。
【請求項6】
前記信号接続部材は、前記封止空間内に配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された両面表示パネル。
【請求項7】
前記信号接続部材は、前記封止空間外の別の封止空間内に配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された両面表示パネル。
【請求項8】
前記引出配線が形成された支持基板には、前記自発光素子部を駆動するドライバを含む半導体回路チップが直接又は配線基板を介して実装されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載された両面表示パネル。
【請求項9】
前記引出配線が形成された支持基板には、前記自発光素子部を駆動するドライバを含む電子回路が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載された両面表示パネル。
【請求項10】
前記自発光素子部は、少なくとも一層の有機発光機能層を有する有機EL素子によって形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載された両面表示パネル。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載された両面表示パネルが搭載された電子機器。
【請求項12】
支持基板の一方の面に自発光素子部を形成し、該支持基板を通して光を取り出すことで該支持基板の他方の面側に表示面を形成した一対の支持基板を、前記表示面が互いに反対方向に向くように貼り合わせて、前記一対の支持基板間に前記自発光素子部を封止する封止空間を形成する両面表示パネルの製造方法において、
前記封止空間から信号配線が引き出された引出配線を前記一対の支持基板の少なくとも一方に形成すると共に、前記一対の支持基板のそれぞれに形成された信号配線を接続する信号接続部材を前記一対の支持基板間に形成し、前記引出配線が形成された一方の支持基板側から他方の支持基板に形成された前記自発光素子部に前記信号接続部材を介して電気的な信号を供給するように、前記貼り合わせ時に前記一対の支持基板間に前記信号接続部材を圧着させることを特徴とする両面表示パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−92908(P2006−92908A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277012(P2004−277012)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000221926)東北パイオニア株式会社 (474)
【Fターム(参考)】