説明

中 敷

【目的】 歩行によって足裏をマッサージし健康増進に寄与し得る中敷を提供する。
【構成】 インソール状に形成された2枚のポリウレタンシート2,3を合わせて外周部1dが融着されたシート状袋体1内に、局方グリセリンからなるジェルJを封入した。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、靴底に敷きこまれる中敷に係り、特に、健康増進に好適な中敷に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
靴の中敷には、従来より革製や合成樹脂製のものが広く使用されているが、最近では全体をメッシュ状としたり、多数の小孔を開けることによって通風性を良くし防臭性を高めるものや、防菌性を有する素材を使用した中敷が主流となっている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、この種の中敷は、防臭性や防菌性に主眼を置いているが、基本的な形状は従来からの中敷と何ら変わることなく、全体が偏平となっている。このため、土踏まずがあるために凹凸状となっている足裏に対してマッサージ効果や快い刺激を与えるといったことはできず、足を通して健康を増進することもできなかった。
本考案は、上記課題に鑑みてなされたもので、歩行によって足裏をマッサージし健康増進に寄与し得る中敷を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本考案の中敷は、インソール状に形成されたポリウレタンシートを2枚合わせて外周部が融着されたシート状袋体内に、局方グリセリンからなるジェルを封入してなるものである。
また、上記構成において、シート状袋体のトウ側に延出部を一体形成し、この延出部に靴の複数サイズに対応する寸法に設定された複数の切り取り線を設けてなる。
さらに、上記構成において、シート状袋体の略中央に流体の流れを抑制する流体制止部を設けてなる。
【0005】
【作用】
この考案は、シート状袋体内に、局方グリセリンからなるジェルを封入して中敷を形成しているので、この中敷を靴底に敷いて歩行すると、踏みつけによってシート状袋体に加えられる押圧力を内部のジェルが吸収する。このとき、ジェルはゼラチン状であるため押圧力に応じてシート状袋体内を流動し、足裏の凹凸に合わせてシート状袋体を変形させる。この変形によって、足裏を揉む力が作用し足をマッサージする。
また、シート状袋体のトウ側に一体形成した延出部が、複数の切り取り線を有しているので、この切り取り線から先を靴のサイズに合わせて切り取ることにより、支障なく靴にシート状袋体を挿入して靴底に敷くことができる。
さらに、シート状袋体の略中央に設けた流体制止部が、ジェルの流れを抑制するので、シート状袋体に加わる押圧力を均等化しつつシート状袋体の急激な変形を防止する。
【0006】
【実施例】
以下、本考案の一実施例について、図を参照しながら説明する。
図1は、本実施例に係る中敷の全体構成を示す正面図、図2は、同中敷の縦断面図である。
この中敷は、シート状袋体1内にジェルJを封入したもので、各種の靴サイズに対応できるように調節用の延出部6を一体形成している。
前記シート状袋体1は、靴底を構成するインソールの形状にカットしたポリウレタンシートを2枚用いて袋状に形成する。本例では、右足用の中敷について説明するが、サイズを問わず上面側ポリウレタンシート2を彎曲状とし、下面側ポリウレタンシート3を略偏平として、上面側2の自由変形が可能なように、下面側3よりも若干大きめとしてある。
【0007】
なお、上面側および下面側ポリウレタンシート2,3には、土踏まず部1cを中心として長さ方向に延びる左右の長孔4,5を形成している。また、上面側ポリウレタンシート2のヒール1b側には、予めジェルJ注入用の小孔(図示省略)を開けてある。
これら上面側および下面側ポリウレタンシート2,3は、外周縁および各長孔4,5の周縁を接合させた状態で高周波ウエルダーをかけると、外周部1dが融着されるとともに、両長孔4,5の周縁部が融着されて略中央に2つの流体制止部4a,5aを有するシート状袋体1が形成される。この際、足の小指球側Aと母指球側Bとを結ぶ彎曲線上より先のヒール1b側を全面融着することによって、偏平な延出部6を一体形成する。
【0008】
そして、この延出部6における彎曲状の基端を基準に、先端までの間に3種の靴のサイズに対応する間隔をあけて上面側ポリウレタンシート2から下面側3に向けて彎曲線状に加熱溶融すると、延出部6に3本の凹溝が形成され、切り離しの容易な切り取り線6a,6b,6cが設けられる。
この後、前記上面側ポリウレタンシート2のヒール1b側に設けた小孔にジェルJを注入し、この小孔周囲に高周波ウエルダーをかけて密封することによりジェルJを封入する。なお、このジェルJは、日本薬局法に基づく局方グリセリンで、日本油脂社製を用いている。
【0009】
このようにして形成された中敷は、使用に際して切り取り線6a〜6cを靴のサイズに合わせて切り取ることにより、支障なく靴に挿入して靴底に敷くことができる。
そして、この中敷を敷いた靴を履いて歩行すると、中敷の踏みつけによってシート状袋体1に加えられる押圧力を内部のジェルJが吸収する。よって、靴の履き心地がよく、着地時の感触もよくなる。
また、ジェルJはゼラチン状であるため押圧力に応じてシート状袋体1内を流動し、足裏の凹凸に合わせてシート状袋体1を変形させる。このような変形により、歩く度に足裏を揉む力が作用するため、足がマッサージされる。
【0010】
さらに、シート状袋体1の略中央に設けた2つの細長い流体制止部4a,5aがジェルJの流れを抑制するので、シート状袋体1に加わる押圧力を均等化しつつシート状袋体1の急激な変形を抑制する。このため、足裏にシート状袋体1がフィットし足の自然な形を守りながら快い刺激を与えるとともに、爪先のトリミングも可能となる。
なお、この中敷は、シート状袋体1がポリウレタンシート2,3により形成されているので、靴に特有の臭いが付かず防臭性にも優れている。また、簡単に洗えるので、清潔に保つこともでき防菌効果も有している。
【0011】
【考案の効果】
以上説明したように本考案は、靴底に中敷を敷いて歩行すると、踏みつけによる押圧力を内部のジェルが吸収して衝撃を緩和するとともに、ジェルが流動してシート状袋体を変形させるので、足裏を揉む力が作用して足をマッサージするから、健康増進に役立つ効果を奏する。
また、シート状袋体の延出部に設けた切り取り線から先を靴のサイズに合わせて切り取ることで、靴底に敷くことができるから、1枚の中敷によって各種の靴サイズに対応することができる利点もある。
さらに、流体制止部によってジェルの流れを抑制し、シート状袋体に加わる押圧力を均等化しつつシート状袋体の急激な変形を抑制するので、足裏にシート状袋体がフィットし足の自然な形を守りながら快い刺激を与えることができるといった効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る中敷の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った中敷の縦断面図である。
【符号の説明】
1 シート状袋体
1d 外周部
2,3 ポリウレタンシート
J ジェル

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 インソール状に形成されたポリウレタンシートを2枚合わせて外周部が融着されたシート状袋体内に、局方グリセリンからなるジェルを封入してなる中敷。
【請求項2】 シート状袋体のトウ側に延出部を一体形成し、この延出部に靴の複数サイズに対応する寸法に設定された複数の切り取り線を設けてなることを特徴とする請求項1項記載の中敷。
【請求項3】 シート状袋体の略中央に流体の流れを抑制する流体制止部を設けてなることを特徴とする請求項1項または2項記載の中敷。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3007720号
【登録日】平成6年(1994)11月30日
【発行日】平成7年(1995)2月28日
【考案の名称】中 敷
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−11060
【出願日】平成6年(1994)8月11日
【出願人】(394014397)