説明

中和された酸基含有ポリマーおよびその使用

本発明は、1種のポリマーまたは複数の異なるポリマーからなり、少なくとも1種のポリウレタンを含むポリマー成分であって、その1種のポリマーまたは複数のポリマーの少なくとも1種が少なくとも1種の無機塩基で部分的に中和されており、かつ少なくとも1種の有機塩基で部分的に中和されている酸基を有するポリマー成分に関する。本発明は、そうしたポリマー成分を含む化粧品または薬剤、および、中和するために少なくとも1種の無機塩基および少なくとも1種の有機塩基を用いて、そうしたポリマー成分の機械的特性を改変するための方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種のポリマーまたは複数の異なるポリマーからなり、少なくとも1種のポリウレタンを含むポリマー成分であって、その1種のポリマーまたは複数のポリマーの少なくとも1種が少なくとも1種の無機塩基で部分的に中和され、少なくとも1種の有機塩基で部分的に中和された酸基を有するポリマー成分に関し、かつ、そうしたポリマー成分を含む化粧品または医薬組成物、および、中和のために、少なくとも1種の無機塩基と少なくとも1種の有機塩基を用いるそうしたポリマー成分の機械的特性の改変方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品および薬剤として許容される水溶性または水分散性のポリマーは化粧品や医薬品に広く用いられる。これらは、例えば、ジェル剤、クリーム剤および乳剤などの多様な種類の配合品のための増粘剤として非常に一般的に用いられる。こうした用途のためには、例えば架橋ポリアクリル酸などのアニオン官能基を有する水溶性ポリマーがしばしば用いられる。特に毛髪用化粧品のためには、皮膜形成特性を有する架橋ポリマーを、乾燥および湿潤への適合性、触感および毛髪の光沢および/または見掛けを改善するため、および毛髪に帯電防止特性を付与するためのコンディショナーとして使用する。
【0003】
複雑な特性プロファイルを有する製品を提供する場合にはしばしば困難が生じる。したがって、良好な皮膜形成特性を有し、得られる膜の柔軟性を望むように調節できる化粧品および医薬組成物用のポリマーが必要である。さらに、そのポリマーは以下の特性をできるだけ多く組み合わせたものでなければならない。すなわち、
- 得られる膜の柔軟な特性のほかに、それらは毛髪のセッティングにも寄与するものでなければならない、
- それらはケラチン表面、特に毛髪への良好な付着性を有していなければならない、
- それらは良好な洗い落とし性を有していなければならない、
- それらは溶媒との良好な相溶性、特にスプレー製剤を作製するための噴射剤との良好な適合性を有していなければならない、
- それらはできるだけ多くの異なる化粧品および薬剤活性成分ならびに助剤との良好な適合性を有していなければならない(得られる製品は安定性、透明性および/または良好なレオロジー特性を有していなければならない)、
- これらのポリマーをベースとしたヘアトリートメント組成物は「フレーキング」作用を示してはならない、
- それらはコンディショニング特性を有し、かつ、毛髪の官能特性を改善する、例えば、毛髪に柔軟さと光沢を付与し、乾燥した後、粘つくことがないかまたはわずかしか粘着しないものでなければならない。
【0004】
WO94/03510は、
少なくとも15℃のガラス転移温度および12〜150の酸価を有する、
a)分子当たり2個以上の活性水素原子を含む少なくとも1種の化合物、
b)酸または塩の基を含む少なくとも1種のジオール、および
c)少なくとも1種のジイソシアネート
からなるポリウレタン、またはこれらのポリウレタンの塩の化粧品製剤における使用、また医薬製剤における結合剤またはコーティングとしての使用を記載している。
【0005】
欧州特許出願公開第619111号は、毛髪固定組成物における、有機ジイソシアネート、ジオールおよび次式の2,2-ヒドロキシメチル置換カルボキシレート
【化1】

【0006】
(式中、Aは水素原子またはC1〜C20-アルキル基である)
をベースとしたポリウレタンの使用を記載している。そのカルボン酸基の少なくともいくらかは、有機塩基または無機塩基で中和されている。そのジオールは300〜20000の範囲の分子量を有しており、とりわけ、ポリテトラヒドロフランも適切なジオール成分として特定されている。
【0007】
WO94/13724は、少なくとも25℃のガラス転移温度および50〜200のアミン価を有する、非四級化またはプロトン化化合物をベースとした、
(a)分子当たり2個以上の活性水素原子を含む1種または複数の化合物と予め反応しておいてよい少なくとも1種のジイソシアネート、および
(b)1つまたは複数の第三、第四もしくはプロトン化した第三アミン窒素原子、第一もしくは第二アミノアルコール、第一もしくは第二ジアミンまたは第一もしくは第二トリアミンを含む少なくとも1種のジオール
からなるカチオン性ポリウレタンおよびポリ尿素、またはこれらのポリウレタンおよびポリ尿素の塩の化粧品製剤および医薬製剤における助剤としての使用を記載している。
【0008】
WO01/16200は、
A)少なくとも1種のジイソシアネート、
B)
B1)脂肪族および脂環式のポリオール、ポリアミンおよび/またはアミノアルコール、
B2)ポリエーテロールおよび/またはジアミノポリエーテル、
B3)分子当たり少なくとも2個の活性水素原子を有するポリシロキサン、
B4)ポリエステルポリオール、および
その混合物
から選択される、イソシアネート基に対して反応性である少なくとも2つの基を有する少なくとも1種の化合物、ならびに
C)適切な場合、少なくとも1種のジカルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸
からなるオリゴマーまたはポリマーの水溶性または水分散性ポリウレタンを含む化粧品組成物であって、上記オリゴマーが、分子当たり、少なくとも2個のウレタンおよび/または尿素基と、さらに、ヒドロキシル基または第一および/または第二アミノ基から選択される少なくとも2個の他の官能基を含む化粧品組成物を記載している。
【0009】
欧州特許出願公開第1543819号は、弾性のあるカチオン性ポリウレタンをベースとしたヘアトリートメント組成物を記載している。
【0010】
欧州特許出願公開第938889号は、
a)ポリテトラヒドロフラン、ポリシロキサンおよびその混合物から選択される、分子当たり2個の活性水素原子を有する少なくとも1種のポリマー、
b)少なくとも1種のポリエステルジオール、
c)56〜300の範囲の分子量を有する、分子当たり2個の活性水素原子を含む少なくとも1種の化合物、
d)分子当たり2個の活性水素原子および少なくとも1つのアニオン生成基またはアニオン基を有する少なくとも1種の化合物、
e)少なくとも1種のジイソシアネート
からなる少なくとも1種の水溶性または水分散性のポリウレタンまたはその塩であって、そのポリウレタンが、イオン生成基またはイオン基を有する第一または第二アミン由来の単位を含まないポリウレタンまたはその塩を含む化粧品組成物を記載している。
【0011】
WO99/58100は、末端イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー、およびイソシアネート基に対して反応性である基を有する少なくとも1種のポリマーからなる少なくとも1種の架橋した水溶性または水分散性のポリウレタンを含む化粧品組成物であって、その成分の少なくとも1種がシロキサン基を含む組成物を記載している。
【0012】
ドイツ特許公開第10259036号は、共重合した形態でそれらを含むポリマーであるアリル基を含むポリエーテルウレタン、およびそうしたポリマーをベースとした化粧品または医薬組成物を記載している。
【0013】
PCT/EP2005/013927は、アミン含有ポリシロキサンウレタンオリゴマーを記載している。
【0014】
PCT/EP2005/008040は、架橋ポリテトラヒドロフラン含有ポリウレタンを記載している。
【0015】
欧州特許出願公開第957119号は、
A)56〜300の範囲の分子量を有する、分子当たり2個の活性水素原子を含む少なくとも1種の化合物、
分子当たり2個の活性水素原子を有する少なくとも1種のポリマー、
分子当たり2個の活性水素原子および少なくとも1つのイオン生成基またはイオン基を有する少なくとも1種の化合物、および
少なくとも1種のジイソシアネート
からなる末端イソシアネート基を有する少なくとも1種の水溶性または水分散性のポリウレタンプレポリマー、
B)ヒドロキシル基、第一および第二アミノ基および/またはカルボキシル基から選択される、イソシアネート基に対して反応性である基を有する少なくとも1種のポリマー
からなる架橋した水溶性または水分散性のポリウレタンまたはその塩、および化粧品における助剤としてのこれらのポリウレタンの使用を記載している。
【0016】
WO03/085019は、ポリテトラヒドロフランをベースとした架橋ポリウレタン、ならびに化粧品および医薬組成物におけるその使用を記載している。
【0017】
欧州特許出願公開第0937451号は、共重合した形態で2,2-ヒドロキシメチル置換カルボン酸ジオールを含み、かつ化粧品として許容される有機塩基または無機塩基で中和されている水溶性または水分散性のポリウレタンをベースとしたヘアセット用組成物を記載している。
【0018】
WO01/85821は、分子当たり2個の活性水素原子を有する少なくとも1つのポリエーテルをベースとしたポリウレタン、およびレオロジー特性を改変するためのその使用を記載している。
【0019】
WO01/10393、WO01/10394およびWO01/10397は両性ウレタン樹脂をベースとした化粧品を記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、化粧および/または医薬組成物を製造するのに適した新規な皮膜形成ポリマーを提供することである。この分野での使用のための上記のような全体的に良好な適用プロファイルのほかに、これらのポリマーは特に、良好な皮膜形成特性を有していなければならない。これらは、好ましくは、機械的特性、特に弾性、具体的には硬さと弾性の比を、特定の使用目的に適合させることができるようにするものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
驚くべきことに、1種のポリマーまたは複数の異なるポリマーからなり、少なくとも1種のポリウレタンを含むポリマー成分であって、その1種のポリマーまたは複数のポリマーの少なくとも1種が少なくとも1種の無機塩基で部分的に中和され、かつ少なくとも1種の有機塩基で部分的に中和された酸基を有するポリマー成分によって、この目的が達成されることを見出した。
【0022】
したがって、本発明は、
A)1種のポリマーまたは複数の異なるポリマーからなり、少なくとも1種のポリウレタンを含むポリマー成分であって、その1種のポリマーまたは複数のポリマーの少なくとも1種が少なくとも1種の無機塩基で部分的に中和されており、かつ少なくとも1種の有機塩基で部分的に中和された酸基を有するポリマー成分、および
B)少なくとも1種の化粧品または薬剤として許容される活性成分または助剤
を含む化粧品組成物を提供する。
【0023】
本発明は、1種のポリマーまたは複数の異なるポリマーからなり、少なくとも1種のポリウレタンを含むポリマー成分であって、その1種のポリマーまたは複数のポリマーの少なくとも1種が少なくとも1種の無機塩基で部分的に中和され、かつ少なくとも1種の有機塩基で部分的に中和された酸基を有するポリマー成分も提供する。このポリマー成分は好ましくは、
- 少なくとも1種の無機塩基で部分的に中和され、かつ少なくとも1種の有機塩基で部分的に中和された酸基を有する少なくとも1種のポリウレタンか、または
- 少なくとも1種の無機塩基で少なくとも部分的に中和された酸基を有する少なくとも1種のポリウレタンと、少なくとも1種の有機塩基で少なくとも部分的に中和された酸基を有する少なくとも1種のポリウレタンとの混合物
を含む。
【0024】
本発明は、1種のポリマーまたは複数の異なるポリマーからなり、少なくとも1種のポリウレタンを含むポリマー成分の機械的特性を改変する方法であって、その1種のポリマーまたは複数のポリマーの少なくとも1種が酸基を有しており、中和のために少なくとも1種の無機塩基と少なくとも1種の有機塩基を用いる方法をさらに提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明のためには、アルキルという表現は、直鎖および分岐鎖のアルキル基を含む。適切な短鎖アルキル基は、例えば直鎖または分岐鎖C1〜C8-アルキル基、好ましくはC1〜C6-アルキル基、特にC1〜C4-アルキル基である。これらには、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、2-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、2-エチルペンチル、1-プロピルブチル、オクチル等が含まれる。適切なより長鎖のC8〜C30-アルキルおよびC8〜C30-アルケニル基は、直鎖および分岐鎖のアルキルならびにアルケニル基である。これらは好ましくは、主に直鎖アルキル基であり、それらは、天然または合成由来の脂肪酸および脂肪アルコールならびにオキソアルコールでみられるようなものであってよく、また適切な場合、それらはさらにモノ-、ジ-またはポリ不飽和であってもよい。これらには、例えばn-ヘキシル(ヘキセニル)、n-ヘプチル(ヘプテニル)、n-オクチル(オクテニル)、n-ノニル(ノネニル)、n-デシル(デセニル)、n-ウンデシル(ウンデセニル)、n-ドデシル(ドデセニル)、n-トリデシル(トリデセニル)、n-テトラデシル(テトラデセニル)、n-ペンタデシル(ペンタデセニル)、n-ヘキサデシル(ヘキサデセニル)、n-ヘプタデシル(ヘプタデセニル)、n-オクタデシル(オクタデセニル)、n-ノナデシル(ノナデセニル)等が含まれる。
【0026】
「アルキル」という表現は、好ましくは基シクロアルキル、アリール、ヘタリール、アシル、NE1E2、NE1E2E3+、COOH、カルボキシレート、-SO3H、スルホネートおよびアルキルアミノカルボニルから選択される1、2、3、4、5個または6個以上の置換基を一般に有することができる置換アルキル基も含む。
【0027】
本発明のためには、「シクロアルキル」という表現は、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルなどの非置換および置換シクロアルキル基、好ましくはC3〜C8-シクロアルキル基を含む。置換されている場合、これらの基は、好ましくはアルキルの場合に指定した置換基から選択される、1、2、3、4または5個、好ましくは1、2または3個、特に好ましくは1個の置換基を一般に有することができる。
【0028】
「ビシクロアルキル」という表現は好ましくは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-1-イル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル、ビシクロ[2.2.2]オクタ-1-イル、ビシクロ[2.2.2]オクタ-2-イル、ビシクロ[3.3.0]オクチル、ビシクロ[4.4.0]デシルなどの5〜10個の炭素原子を有する二環式炭化水素基である。
【0029】
本発明のためには、「ヘテロシクロアルキル」という表現は、その環炭素原子のうちの1個または2個が好ましくは元素の酸素、窒素およびイオウから選択されるヘテロ原子によって置き換えられており、かつ任意選択で置換されていてよい通常4〜7個、好ましくは5または6個の環原子を有する飽和脂環基を含む。置換されている場合、これらのヘテロ脂環基は、アルキル、アリール、COOR、COO-M+およびNE1E2、好ましくはアルキルから選択される1、2または3個、好ましくは1または2個、特に好ましくは1個の置換基を有することができる。そうしたヘテロ脂環基の例としては、ピロリジニル、ピペリジニル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、モルホリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニルを挙げることができる。
【0030】
本発明のためには、「アリール」という表現は、非置換および置換アリール基、好ましくはフェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニルまたはナフタセニル、特に好ましくはフェニルまたはナフチルを含み、置換されている場合、これらのアリール基は、基アルキル、アルコキシ、カルボキシル、カルボキシレート、-SO3H、スルホネート、NE1E2、アルキレン-NE1E2、ニトロ、シアノまたはハロゲンから選択される1、2、3、4または5個、好ましくは1、2または3個、特に好ましくは1個の置換基を一般に有することができる。
【0031】
本発明のためには、「ヘタリール」という表現は、非置換または置換、ヘテロシクロ芳香族基、好ましくは基ピリジル、キノリニル、アクリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリルおよびカルバゾリルを含み、置換されている場合、これらのヘテロシクロ芳香族基は、基アルキル、アルコキシ、アシル、カルボキシル、カルボキシレート、-SO3H、スルホネート、NE1E2、アルキレン-NE1E2またはハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を一般に有することができる。
【0032】
「アルキル」、「シクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロシクロアルキル」および「ヘタリール」という表現の上記説明は、それぞれ対応して「アルコキシカルボニル」、「アルキルアミノカルボニル」、「ヒドロキシアルキル」、「アルコキシ」等の表現に適用される。
【0033】
本発明のためには、「アシル」という表現は、通常2〜11個、好ましくは2〜8個の炭素原子を有するアルカノイルまたはアロイル基、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、2-エチルヘキサノイル、2-プロピルヘプタノイル、ベンゾイルまたはナフトイル基である。
【0034】
基NE1E2は、好ましくはN,N-ジメチルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、N,N-ジプロピルアミノ、N,N-ジイソプロピルアミノ、N,N-ジ-n-ブチルアミノ、N,N-ジ-t-ブチルアミノ、N,N-ジシクロヘキシルアミノまたはN,N-ジフェニルアミノである。
【0035】
本発明により、かつ本発明で用いるポリマー成分は、1種または複数のポリマーからなっていてよい。ポリマー成分が1種のポリマーのみからなる場合、それは、少なくとも1種の無機塩基で部分的に中和され、かつ少なくとも1種の有機塩基で部分的に中和された酸基を有するポリウレタンである。ポリマー成分が複数のポリマーからなる場合、これらのポリマーの少なくとも1種はポリウレタンである。ポリマー成分が複数のポリマーからなる場合、これらのポリマーの少なくとも1種は酸基を有する。酸基を有するポリマーはポリウレタンかまたはポリウレタンとは異なるポリマーであってよい。酸基を有する少なくとも1種のポリウレタンを含む複数のポリマーからなるポリマー成分が好ましい。
【0036】
本発明により、かつ本発明で用いるポリマー成分は、酸基を有する1種または複数のポリマーからなってよい。ポリマー成分が酸基を含む1種のポリマーのみからなる場合、この1種のポリマーの酸基は少なくとも1種の無機塩基で部分的に中和され、かつ少なくとも1種の有機塩基で部分的に中和されている。ポリマー成分が酸基を含む複数のポリマーからなる場合、これらのポリマーの(少なくとも)1種は少なくとも1種の無機塩基で部分的に中和され、かつ少なくとも1種の有機塩基で部分的に中和されていてよい。ポリマー成分が酸基を含む複数のポリマーからなる場合、他の一実施形態では、これらのポリマーの(少なくとも)1種は、少なくとも1種の無機塩基で部分的かまたは完全に中和されていてよく、(少なくとも)1種の他のポリマーは少なくとも1種の有機塩基で部分的かまたは完全に中和されていてよい。
【0037】
ポリマー成分は12〜150、好ましくは30〜90の範囲の酸価を有する少なくとも1種の酸基を含むポリマーを有することが好ましい。
【0038】
本発明により、かつ本発明で用いるポリマー成分は、上記条件を満たせば、任意の他のポリマーを含むことができる。
【0039】
酸基は好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基およびその組合せであってよい。カルボン酸基が特に好ましい。
【0040】
ポリマー成分の酸基は部分的かまたは完全に中和されていてよい。ポリマー成分の酸基はその少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも95%が中和されていることが好ましい。特定の一実施形態では、ポリマー成分の酸基は完全に中和されている。
【0041】
有機塩基は有機アミンから選択されることが好ましい。
【0042】
適切なアミンは、例えば、
- 式1.aの第一アミン、
R1-NH2 (1.a)
(式中、R1
a)好ましくは互いに独立に、ヒドロキシ、アシル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘタリールから選択される1、2、3、4個または5個以上の基で置換されていてよいアルキルであるか、かつ/または、好ましくはOおよびSから選択されるヘテロ原子を含む1、2、3、4個または5個以上の非隣接ヘテロ原子または基で中断されていてよいアルキル基、
b)好ましくは互いに独立に、以下の基、すなわちアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルまたは-CORb(Rbはアルキル、アルコキシまたはNRcRdであり、RcおよびRdは互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである)から選択される1、2、3、4個または5個以上によって置換されていてよいシクロアルキル基、
c)シクロアルキルの置換基としてb)に示した基の1、2、3、4個または5個以上によって置換されていてよいビシクロアルキル基、
d)好ましくはO、SおよびNRa(Raは水素、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘタリールである)から選択され、
適切な場合、好ましくは互いに独立にアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキルから選択される1、2、3、4個または5個以上の置換基を有することができる1、2、3、4個または5個以上のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を、その環の大きさに応じて有することができる4〜8員の飽和複素環
である)
- 式1.bの第二アミン、
R2-NH-R3 (1.b)
(式中、
R2およびR3は互いに独立に、R1で与えられた意味を有することができるか、または、
R2およびR3は、それと結合している窒素原子と一緒になって4〜8員の飽和または不飽和複素環を形成しており、その複素環は、好ましくはO、SおよびNRa(Raは水素、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘタリールである)から選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有することができ、かつ、適切な場合、好ましくは互いに独立に、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキルから選択される1、2、3、4個または5個以上の置換基を有することができる)
- 式1.cの第三アミン、
NR5R6R7(1.c)
(式中、
R5、R6およびR7は互いに独立に、R1で与えられた意味を有することができるか、または、
R5およびR6は、それと結合している窒素原子と一緒になって4〜8員の飽和または不飽和複素環を形成しており、その複素環はO、SおよびNRa(Raはアルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘタリールである)から選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有することができ、かつ、好ましくは互いに独立に、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキルから選択される1、2、3、4個または5個以上の置換基を任意選択で有することができる)
- 式1.dのジアミン、
【化2】

【0043】
(式中、
mは1〜8の整数であり、
R8、R9、R10およびR11は互いに独立に、水素であるかもしくはR1で与えられた意味を有するか、または
R8およびR9は、それと結合している窒素原子と一緒になって4〜8員の飽和または不飽和複素環を形成しており、その複素環は、好ましくはO、SおよびNRa(Raは水素、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘタリールである)から選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有することができ、かつ、適切な場合、好ましくは互いに独立に、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキルから選択される1、2、3、4個または5個以上の置換基を有することができる)
- 式1.eのポリアミン、
【化3】

【0044】
(式中、
mは1〜100、好ましくは1〜10の整数であり、
R12、R13、R14およびR15は互いに独立に、水素であるかまたはR1で与えられた意味を有し、
R16およびR18はC2〜C6-アルキレン基であり、ただし、n>1である場合、その基R18はC2〜C6-アルキレン基から互いに独立に選択され、
R17はアルキル、アシル、シクロアルキル、アリールまたはアリールアルキルである)
- 式1.fのジアミノポリエーテル、
【化4】

【0045】
(式中、
アルキレンオキシド単位の順序は任意であり、
o、pおよびqは互いに独立に0〜100の整数であり、oとpとqの合計は>0であり、
R19、R20、R21およびR22は互いに独立に、水素であるかまたはR1で与えられた意味を有し、
R23およびR24はC2〜C6-アルキレン基であり、n>1である場合、基R18はC2〜C6-アルキレン基から互いに独立に選択される)
- 式1.gのアルコキシ化アミン、
【化5】

【0046】
(式中、
mは1〜8の整数であり、
R26、R27、R28およびR29は互いに独立に、水素であるかまたはR1で与えられた意味を有し、基R26、R27、R28およびR29の1つ、2つ、3つまたは4つは式-(OCH2CH2)r(OCH(CH3)CH2)s(O(CH2)4)t-の基(アルキレンオキシド単位の順序は任意であり、r、sおよびtは互いに独立に0〜100の整数であり、rとsとtの合計は>0である)である)
である。
【0047】
上記アミンの少なくとも1つは、式1.a)の第一アミン(R1はアルキルまたはシクロアルキルである)であることが好ましい。アルキルは好ましくはC6〜C30-アルキル、特に好ましくはC8〜C18-アルキルである。適切なアミンは、例えば1-ヘキシルアミン、1-ヘプチルアミン、1-オクチルアミン、1-ノニルアミン、1-デシルアミン、1-ウンデシルアミン、1-ウンデカ-10-エニルアミン、1-トリデシルアミン、1-テトラデシルアミン、1-ペンタデシルアミン、1-ヘキサデシルアミン、1-ヘプタデシルアミン、1-オクタデシルアミン、1-オクタデカ-9,12-ジエニルアミン、1-ノナデシルアミン、1-エイコシルアミン、1-エイコサ-9-エニルアミン、1-ヘネイコシルアミン、1-ドコシルアミンであり、特に1-ドデシルアミンまたは天然由来の脂肪酸から調製されるアミン混合物、例えば、飽和および不飽和C14-、C16-およびC18-アルキルアミンを主に含む獣脂脂肪アミン、または飽和、モノ-およびジ不飽和C6〜C22-、好ましくはC12〜C14-アルキルアミンを含むココアミンである。適切なアミン混合物は、例えばAKZO Chemie社の種々のArmeen(登録商標)グレード、またはCeca社のNoram(登録商標)グレードである。R1がシクロアルキルである式1.a)の適切な第一アミンは、例えばシクロペンチルアミンおよびシクロヘキシルアミンである。
【0048】
R1がシクロアルキルアルキルまたはアリールアルキルである式1.a)のアミンも好ましい。これらには、例えばシクロペンチルメチルアミン、シクロヘキシルメチルアミンまたはベンジルアミンが含まれる。
【0049】
R1がアルコキシカルボニルアルキル基である式1.a)のアミンも好ましい。これらには、例えばエチル、プロピル、ブチル、tert-ブチルアラニネート、エチル、プロピル、ブチル、tert-ブチルバリネート、エチル、プロピル、ブチル、tert-ブチルロイシネート、エチル、プロピル、ブチルグリシネート、特にtert-ブチルグリシネートが含まれる。
【0050】
R1がアルキルアミノカルボニルアルキル基である式1.a)のアミンも好ましい。これらには、例えばアミノ酸のグリシン、アラニン、バリン、ロイシンまたはイソロイシンのエチル-、プロピル-、ブチル-またはtert-ブチルカルボキサミドが含まれる。
【0051】
R2およびR3が互いに独立にアルキルおよびシクロアルキルである式1.b)のアミンも好ましい。
【0052】
R2およびR3が、それらが結合している窒素原子と共に5〜7員の飽和複素環であって、好ましくはO、SおよびNRa(Raは水素、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘタリールである)から選択される他のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有することができ、かつ、適切な場合、好ましくは互いに独立に、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキルから選択される1、2、3、4個または5個以上の置換基を有することができる飽和複素環を形成している式1.b)のアミンも好ましい。少なくとも1つの第二アミノ官能基を有する式1.b)の適切な環状アミンは、例えばピロリジン、イミダゾリジン、N-アルキルイミダゾリジン、N-アシルイミダゾリジン、ピペリジン、4-メチルピペリジン、3-ピペリジノール、4-ピペリジノール、モルホリン、2,6-ジメチルモルホリン、オキサゾリジン、ピペラジン、1-アルキルピペラジン、例えば1-メチルピペラジンおよび1-エチルピペラジン、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、N-アシルピペラジン等である。
【0053】
式1.c)の適切な第三アミンは、例えばN,N-ジメチル-1-ヘキシルアミン、N,N-ジエチルヘキシルアミン等である。具体的には、1.c)はジアルキル化脂肪族アミン、例えばジアルキル化獣脂脂肪族アミン、ジアルキル化された水素化獣脂脂肪族アミンおよびジアルキル化ココアミン、例えばN,N-ジメチル-C12〜C14-アルキルアミンである。適切なアミンは、例えばCeca社のNoram(登録商標)DMである。
【0054】
第三アミノ官能基だけを有する式1.c)の適切な環状アミンは、例えばN-メチルピロリジンなどのN-アルキルピロリジン、N-メチルピペリジンなどのN-アルキルピペリジン、N,N'-ジメチルピペラジンなどのN,N'-ジアルキルピペラジン等である。
【0055】
式1.d)の適切なジアミンは、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン等である。少なくとも1つのより長鎖のC8〜C30-アルキル基を有するジアミン1.d)も適している。化合物1.d)は、例えば、獣脂脂肪酸またはココナツ脂肪酸から誘導されるアルキル基を有する、N-オレイル-1,3-ジアミノプロパン、N-ドデシル-1,3-ジアミノプロパンまたはN-アルキル化1,3-ジアミノプロパンである。適切なアミンは、例えばCeca社のDinoram(登録商標)グレード、Akzo社のDuomeen(登録商標)グレードならびにFina社のタイプ6540、6560、6570および6572である。
【0056】
式1.e)の適切なポリアミンは、ジエチレントリアミン、N-メチルジエチレントリアミン、N-エチルジエチレントリアミン、N,N,N',N'-テトラメチルジエチレントリアミン、N,N,N',N'-テトラエチルジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、N-メチルジプロピレントリアミン、N-エチルジプロピレントリアミン、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンおよびその混合物である。
【0057】
式1.f)の適切な化合物は、ポリアルキレンオキシドをアンモニアでアミノ化することによって製造することができるα,ω-ジアミノポリエーテルである。この種のポリエーテルおよびその調製方法は当業者に周知である。
【0058】
式1.g)の適切なアルコキシ化アミンは、例えばCeca社のDinoramox(登録商標)グレード、特にDinoramox(登録商標)S3またはS7、すなわち、3個または7個のエチレンオキシド単位を有するエトキシ化されたn-獣脂プロピレンジアミンである。3〜7個、特に5個のエチレンオキシド単位を有するヒドロキシエチル化されるかまたはエトキシ化されたオレイルプロピレンジアミンも適している。
【0059】
有機塩基は、特に好ましくは少なくとも1つのヒドロキシル基含有アミンを含む。適切なヒドロキシル基含有アミンは、アルカノールアミン、例えば2-アミノ-2-メチルプロパノール、エタノールアミン、n-プロパノールアミン、イソ-プロパノールアミン、n-ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン、ヘプタノールアミンまたはオクタノールアミン、N-アルキルアルカノールアミン、例えばN-メチルエタノールアミン、N-メチルイソプロパノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-エチルイソプロパノールアミン、N,N-ジアルキルアルカノールアミン、例えばN,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、ジアルカノールアミン、例えばジエタノールアミン、ジ-n-プロパノールアミンまたは2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、N-アルキルジアルカノールアミン、例えばN-メチル-ジエタノールアミンから選択され、好ましくはC8〜C18-アルキルジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン、例えばトリエタノールアミンまたはトリ-n-プロパノールアミンおよびその混合物から選択される。C8〜C18-アルキル-ジアルカノールアミンでは、アルキル基は好ましくはn-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシルおよびn-オクタデシルから選択される。これらには、n-オクチルジエタノールアミン、n-ノニルジエタノールアミン、n-デシルジエタノールアミン、n-ウンデシルジエタノールアミン、n-ドデシルジエタノールアミン、n-トリデシル-ジエタノールアミン、n-テトラデシルジエタノールアミン、n-ペンタデシルジエタノールアミン、n-ヘキサデシルジエタノールアミン、n-ヘプタデシルジエタノールアミンまたはn-オクタデシルジエタノールアミンが含まれる。
【0060】
有機塩基は、特に好ましくは、モノアルカノールアミン、N,N-ジアルキルエタノールアミン、N-アルキルジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびその混合物から選択される少なくとも1つのヒドロキシル基含有アミンを含む。
【0061】
具体的には、有機塩基は、2-アミノ-2-メチルプロパノール、N-メチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、C8〜C18-アルキルジエタノールアミンおよびその混合物から選択される少なくとも1つのヒドロキシル基含有アミンを含む。
【0062】
無機塩基は、アルカリ金属水酸化物、特に好ましくはNaOH、KOHおよびその混合物から選択されることが好ましい。特定の一実施形態では、用いられる無機塩基はKOHである。
【0063】
好ましい一実施形態では、用いられる無機塩基はKOHであり、用いられる有機塩基は2-アミノ-2-メチルプロパノールである。
【0064】
他の好ましい実施形態では、用いられる無機塩基はKOHであり、用いられる有機塩基はトリエタノールアミンである。
【0065】
他の好ましい実施形態では、用いられる無機塩基はKOHであり、用いられる有機塩基は少なくとも1つのC8〜C18-アルキルジエタノールアミンである。
【0066】
ポリマー成分の酸基の少なくとも40%、特に好ましくは少なくとも50%、特に少なくとも70%、特に少なくとも80%が、少なくとも1種の無機塩基で中和されていることが好ましい(遊離酸基、すなわち中和に使用されるポリマー成分のアニオン生成基をベースにして)。
【0067】
ポリマー成分の酸基の少なくとも1%、特に好ましくは少なくとも3%、特に少なくとも5%が、少なくとも1種の有機塩基で中和されていることが好ましい。
【0068】
ポリマー成分A)は直鎖、分岐鎖および架橋ポリウレタンから選択される少なくとも1種のポリウレタンを含む。好ましい一実施形態では、成分A)は、少なくとも1種の水溶性または水分散性カルボン酸基含有の(適切な場合、架橋した)ポリウレタンを含む。
【0069】
適切なカルボン酸基含有ポリウレタンは好ましくは、12〜150、特に好ましくは30〜90の範囲の酸価を有する。ポリウレタンは、少なくとも15℃の少なくとも1つのガラス転移温度TGを有することが好ましい。このTGは、例えば最大で120℃の値を有することができ、好ましくは30〜90℃の範囲である。
【0070】
成分A)は、
a)280超の数平均分子量を有する、イソシアネート基に対して反応性である基を分子当たり少なくとも2つ含む少なくとも1種のポリマーと、
b)分子当たり2個の活性水素原子と少なくとも1つのアニオン生成基またはアニオン基を有する少なくとも1種の化合物と、
c)適切な場合、分子当たり2個の活性水素原子と少なくとも1つのカチオン生成基またはカチオン基を有する少なくとも1種の化合物と、
d)適切な場合、56〜280g/モルの範囲の分子量を有する、イソシアネート基に対して反応性である基を分子当たり少なくとも2つ含む少なくとも1種の化合物と、
e)少なくとも1種のポリイソシアネート
を取り込んだ形で含む少なくとも1種のポリウレタンを含むことが好ましい。
【0071】
成分a)
成分a)は、好ましくは約300〜50000、特に好ましくは約400〜40000、特に500〜30000の範囲の数平均分子量を有するポリマーである。使用できるポリマーa)は、例えばポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエーテロール、ポリシロキサン、α,β-エチレン性不飽和モノマーをベースとしたポリマーおよびその混合物である。
【0072】
好ましいポリエーテロールa)は、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン等、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、またはランダム分布でもしくはブロックの形で共重合したアルキレンオキシド単位を含むエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドのブロックコポリマーである。適切なポリテトラヒドロフランa)は、例えば硫酸またはフルオロ硫酸などの酸性触媒の存在下で、テトラヒドロフランをカチオン重合させて製造することができる。そうした調製方法は当業者に周知である。アンモニアを用いたポリアルキレンオキシドのアミノ化によって製造できるα,ω-ジアミノポリエーテルも適切な化合物a)である。
【0073】
成分a)としては、ポリテトラヒドロフランおよびこれらを含む混合物を用いることが好ましい。成分a)は次の一般式のポリテトラヒドロフランおよびその混合物から選択されることが好ましい:
【化6】

【0074】
(式中、k=4〜40、好ましくは6〜35である)。
【0075】
これらのポリテトラヒドロフランは、好ましくは650〜2000、好ましくは750〜1800、特に800〜1500の範囲の数平均分子量を有する。
【0076】
適切なポリエステルジオールa)は、好ましくは約400〜5000、好ましくは500〜3000、特に600〜2000の範囲の数平均分子量を有する。
【0077】
適切なポリエステルジオールa)は、ポリウレタンを製造するのに通常用いられるものすべて、特に、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、NaまたはKスルホイソフタル酸等、脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸またはコハク酸等、および脂環式ジカルボン酸、例えば1,2-、1,3-または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸をベースとしたものである。適切なジオールは、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4-ジメチロールシクロヘキサンなどの脂肪族ジオールである。
【0078】
芳香族および脂肪族ジカルボン酸ならびに脂肪族ジオールをベースとしたポリエステルジオールa)が好ましく、その中で、特に芳香族ジカルボン酸が、全ジカルボン酸画分の10〜95モル%、特に40〜90モル%(残りは脂肪族ジカルボン酸)を構成するものが好ましい。
【0079】
特に好ましいポリエステルジオールa)は、フタル酸/ジエチレングリコール、イソフタル酸/1,4-ブタンジオール、イソフタル酸/アジピン酸/1,6-ヘキサンジオール、5-NaSO3-イソフタル酸/フタル酸/アジピン酸/1,6-ヘキサンジオール、アジピン酸/エチレングリコール、イソフタル酸/アジピン酸/ネオペンチルグリコール、イソフタル酸/アジピン酸/ネオペンチルグリコール/ジエチレングリコール/ジメチロールシクロヘキサンおよび5-NaSO3-イソフタル酸/イソフタル酸/アジピン酸/ネオペンチルグリコール/ジエチレングリコール/ジメタノールシクロヘキサン、イソフタル酸/アジピン酸、ネオペンチルグリコール/ジメチロールシクロヘキサンの反応生成物である。
【0080】
成分a)としては、直鎖または分岐鎖のC8〜C30-ジ-またはポリカルボン酸およびC8〜C30-ヒドロキシカルボン酸をベースとしたポリエステルジオールも好ましい。好ましいカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸は、例えばアゼライン酸、ドデカン二酸、スベリン酸、ピメリン酸、セバシン酸、テトラデカン二酸、クエン酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸およびその混合物である。これらのポリエステルジオールを作製するためのジオール成分としては、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、ジエチレングリコールおよびその混合物を用いることが好ましい。
【0081】
ポリカーボネートジオールも成分a)として適している。ポリカーボネートジオールは、例えば、ホスゲンまたは炭酸ジフェニルもしくは炭酸ジメチルなどの炭酸エステルをジヒドロキシ化合物と縮合させることによって形成させる。適切なジヒドロキシ化合物は脂肪族または芳香族ジヒドロキシ化合物である。適切な脂肪族ジヒドロキシ化合物は、ポリエステルジオールについて先に挙げたものである。挙げられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、テトラアルキルビスフェノールA、4,4-(メタ-フェニレンジイソプロピル)ジフェノール(ビスフェノールM)、4,4-(パラ-フェニレンジイソプロピル)ジフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(BP-TMC)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)などのビスフェノールであり、適切な場合その混合物である。ポリカーボネートは、少量の分岐剤を用いて分鎖させることができる。適切な分岐剤には、フロログルシン、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ(4-ヒドロキシフェニル)ヘプテン-2、4,6-ジメチル2,4,6-トリ(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン;1,3,5-トリ(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン;1,1,1-トリ(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン;1,3,5-トリ(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン;1,1,1-トリ(4-ヒドロキシフェニル)エタン;トリ(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス[4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン;2,4-ビス(4-ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール;2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-4-メチルフェノール;2-(4-ヒドロキシフェノール)-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン;ヘキサ(4-(4-ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェニル)オルトテレフタル酸エステル;テトラ(4-ヒドロキシフェノール)メタン;テトラ(4-(4-ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ)メタン;a,a',a''-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼ
ン;2,4-ジヒドロキシ安息香酸;トリメシン酸;塩化シアヌル;3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロインドール、1,4-ビス(4',4''-ジヒドロキシトリフェニル)メチル)ベンゼンが含まれ、特に1,1,1-トリ(4-ヒドロキシフェニル)エタンおよびビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロインドールが含まれる。
【0082】
適切なポリシロキサンa)は、好ましくは約300〜50000、特に好ましくは400〜30000の範囲の数平均分子量を有する。
【0083】
成分a)の好ましい化合物は一般式I.1のポリシロキサンである:
【化7】

【0084】
(式中、
aおよびbは互いに独立に1〜8であり、
cは2〜1000であり、
RIおよびRIIは互いに独立にアルキル、シクロアルキルまたはアリールであり、
Z1およびZ2は互いに独立に式IIの基であり、
-(OCH2CH2)u(OCH(CH3)CH2)v(O(CH2)4)w-X1-H (II)
ただし、
式IIにおいて、アルキレンオキシド単位の順序は任意であり、
u、vおよびwは互いに独立に0〜500の整数であり、uとvとwの合計は>0であり、
X1はOまたはNRIIIであり、そのRIIIは水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである)。
【0085】
式I.1においてuとvとwの合計は、ポリシロキサンa)の分子量が約300〜30000の範囲となるように選択されることが好ましい。
【0086】
ポリシロキサンa)中のアルキレンオキシド単位の合計数、すなわちuとvとwの合計は約3〜200、好ましくは5〜180の範囲であることが好ましい。
【0087】
式Iの化合物では、基RIおよびRIIは互いに独立に、メチル、エチル、シクロヘキシル、フェニルおよびベンジルから選択されることが好ましい。RIとRIIはどちらもメチルであることが特に好ましい。
【0088】
式I.1の適切な化合物の1つの例は、一般式I.1aのビス(ポリエチレングリコール)ジメチコンである:
【化8】

【0089】
(式中、
cは3〜500、好ましくは5〜250の整数であり、
u1およびu2は互いに独立に2〜500、特に3〜250、特に5〜100である)。
【0090】
好ましくは、成分a)の化合物は一般式I.2のポリシロキサンおよびその混合物からも選択される:
【化9】

【0091】
(式中、
シロキサン単位の順序は任意であり、
基R4はそれぞれ互いに独立にアルキル、シクロアルキルまたはアリールであり、
dは2〜1000の整数であり、
eは2〜100の整数であり、
fは2〜8の整数であり、
Z3は上記で定義した式IIの基である)。
【0092】
式I.2の適切な化合物の1つの例は、一般式I.2aのエトキシ化および/またはプロポキシ化ポリジメチルシロキサンである:
【化10】

【0093】
(式中、
シロキサン単位の順序は任意であり、
dは2〜1000、好ましくは3〜500、特に5〜100の整数であり、
eは2〜100、好ましくは3〜50、特に4〜20の整数であり、
uおよびvは互いに独立に0〜500、好ましくは0〜250の整数であり、uおよびvの合計は≧1、好ましくは≧5、特に≧10である)。
【0094】
式I.1の適切な化合物は、Wacker-Belsil(登録商標)DMC6031およびPluriol(登録商標)ST4005(BASF Aktiengesellschaft)という商品名で市販されている。
【0095】
成分a)の適切な化合物は、末端OH基を有する少なくとも2つのポリエーテル鎖を有する非常に一般的なシロキサン誘導体である。これらには、INCI名称でジメチコンコポリオールとして知られている化合物またはシリコーン界面活性剤が含まれ、例えば、Abil(登録商標)、Degussa-Goldschmidt、Alkasil(登録商標)(Rhone Poulenc)、Silicone Polyol Copolyol(登録商標)(Genesee Polymers Corporation)、Belsil(登録商標)(Wacker)、Silwet(登録商標)(OSI)、Dow Corning(Dow Corning)またはTecopren(Degussa-Goldschmidt)という商品名で市販されているような化合物が含まれる。
【0096】
NCO基に対して反応性である少なくとも2つの基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマーをベースとしたポリマーも成分a)として適している。NCO基に対して反応性である基は好ましくはヒドロキシル基、第一および第二アミノ基から選択される。そうしたポリマーは以下では略してポリアクリレートとも称する。アクリル酸またはメタクリル酸から誘導される化合物は、アクリル酸から誘導される化合物に「(メタ)」という音節を加えて略して称することもある。
【0097】
ポリアクリレートa)を調製するためには、ヒドロキシル基、第一もしくは第二アミン基またはそうしたアミン基に転換させることができる基から選択される少なくとも1つの官能基を有する少なくとも1種のα,β-エチレン性不飽和モノマーを用いることが好ましい。このモノマーは、α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸と少なくとも1つの第一もしくは第二アミノ基を有するアミノアルコールのエステル、α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸と少なくとも1つの第一もしくは第二アミノ基を有するジアミンのアミド、α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸とジオールのエステル、α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸と第一もしくは第二アミノ基を有するアミノアルコールのアミド、N,N-ジアリルアミン(=モノマーα))およびその混合物から選択されることが好ましい。
【0098】
ポリアクリレートは、共重合した形態で、重合に用いるモノマーの全重量に対して好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.3〜10重量%、特に0.5〜7重量%、具体的には多くて4重量%の少なくとも1種のモノマーα)を含む。
【0099】
適切な化合物α)は、例えばα,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸とアミノアルコール、好ましくはC2〜C12-アミノアルコールのエステルである。これらは、好ましくはアミン窒素上でC1〜C8-モノアルキル化されていてよい。これらのエステルの酸成分に適したものは、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノブチルおよびその混合物である。アクリル酸、メタクリル酸およびその混合物を用いることが好ましい。N-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-(n-プロピル)アミノエチル(メタ)アクリレート、N-(n-ブチル)アミノエチル(メタ)アクリレート、tert-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。N-tert-ブチルアミノエチルメタクリレートが特に好ましい。
【0100】
上記α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸と少なくとも1つの第一または第二アミノ基を有するジアミンのアミドも適切なモノマーα)である。
【0101】
適切なモノマーα)は、例えばN-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-(n-プロピル)アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブチル)アミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびN-tert-ブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドである。
【0102】
2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルエタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート、6-ヒドロキシヘキシルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルアクリレートおよび3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルメタクリレートも適切なモノマーα)である。
【0103】
2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2-ヒドロキシエチルエタクリルアミド、2-ヒドロキシプロピルアクリルアミド、2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、3-ヒドロキシプロピルアクリルアミド、3-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、3-ヒドロキシブチルアクリルアミド、3-ヒドロキシブチルメタクリルアミド、4-ヒドロキシブチルアクリルアミド、4-ヒドロキシブチルメタクリルアミド、6-ヒドロキシヘキシルアクリルアミド、6-ヒドロキシヘキシルメタクリルアミド、3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルアクリルアミドおよび3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルメタクリルアミドは他の適切なモノマーα)である。
【0104】
N,N-ジアリルアミンも好ましいモノマーα)である。
【0105】
好ましいモノマーα)はtert-ブチルアミノエチルメタクリレート、ジアリルアミンおよびその混合物である。
【0106】
アミン基および/またはヒドロキシル基を含むポリアクリレートa)は、共重合した形態で、上記モノマーα)とは異なり、かつそれと共重合可能な少なくとも1種の他の非イオン性、アミド基含有のα,β-エチレン性不飽和モノマー(=モノマーβ))をさらに含むことができる。これらは、好ましくは水溶性モノマーである。
【0107】
ポリアクリレートa)は、共重合した形態で、重合に用いるモノマーの全重量に対して0〜80重量%、特に好ましくは1〜75重量%、特に10〜70重量%の少なくとも1種のモノマーβ)を含むことが好ましい。
【0108】
この成分β)は、N-ビニルラクタム、飽和C1〜C8-モノカルボン酸のN-ビニルアミド、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸の第一アミドならびにそのN-アルキルおよびN,N-ジアルキル誘導体、ならびにその混合物から選択されることが好ましい。
【0109】
ポリアクリレートa)は、共重合した形態で少なくとも1つのN-ビニルラクタムβ)をさらに含むことが好ましい。適切なモノマーβ)は、例えば1つまたは複数のC1〜C6-アルキル置換基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等を含むことができる非置換N-ビニルラクタムおよびN-ビニルラクタム誘導体である。これらには、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム等が含まれる。N-ビニルピロリドンおよび/またはN-ビニルカプロラクタムを用いることが好ましい。
【0110】
モノマーβ)として適した開鎖N-ビニルアミド化合物は、例えばN-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミドおよびN-ビニルブチラミドである。
【0111】
アクリルアミドおよびメタクリルアミドも適切なモノマーβ)である。
【0112】
α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸のN-C1〜C8-アルキル-およびN,N-ジ(C1〜C8-)アルキルアミドも適切なモノマーβ)である。これらには、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(tert-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、ピペリジニル(メタ)アクリルアミドおよびモルホリニル(メタ)アクリルアミドが含まれる。
【0113】
N-(n-オクチル)(メタ)アクリルアミド、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)(メタ)アクリルアミド、N-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ノニル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-デシル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-ウンデシル)(メタ)アクリルアミド、N-トリデシル(メタ)アクリルアミド、N-ミリスチル(メタ)アクリルアミド、N-ペンタデシル(メタ)アクリルアミド、N-パルミチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘプタデシル(メタ)アクリルアミド、N-ノナデシル(メタ)アクリルアミド、N-アラキニル(メタ)アクリルアミド、N-ベヘニル(メタ)アクリルアミド、N-リグノセレニル(メタ)アクリルアミド、N-セロチニル(メタ)アクリルアミド、N-メリシニル(メタ)アクリルアミド、N-パルミトレイニル(メタ)アクリルアミド、N-オレイル(メタ)アクリルアミド、N-リノリル(メタ)アクリルアミド、N-リノレニル(メタ)アクリルアミド、N-ステアリル(メタ)アクリルアミド、N-ラウリル(メタ)アクリルアミドも適切なモノマーβ)である。
【0114】
ポリアクリレートa)は、共重合した形態で、アニオン生成基および/またはアニオン基を有するα,β-エチレン性不飽和化合物(=モノマーγ))から選択される少なくとも1つの好ましくは水溶性のモノマーをさらに含むことができる。ポリアクリレートa)は、共重合した形態で、重合に用いるモノマーの全重量に対して0〜30重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%、特に0.5〜15重量%の少なくとも1種のモノマーγ)を含むことが好ましい。
【0115】
ポリウレタンにおいて、共重合した形態で、遊離酸の形態の少なくとも1種のモノマーγ)を含むポリアクリレートa)を用いる場合、成分a)は、成分b)を部分的かまたは完全に置き換えることができる。
【0116】
アニオン生成基/アニオン性モノマーγ)は、モノエチレン性不飽和カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸およびその混合物から選択されることが好ましい。
【0117】
モノマーγ)には、その塩または無水物の形態でも用いることができる、3〜25個、好ましくは3〜6個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸が含まれる。その例は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α-クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸およびフマル酸である。モノマーγ)には、4〜10個、好ましくは4〜6個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸の半エステル、例えばマレイン酸モノメチルも含まれる。モノマーγ)には、モノエチレン性不飽和スルホン酸およびホスホン酸、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリルオキシプロピルスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸およびアリルホスホン酸も含まれる。モノマーγ)には、上記酸の塩、具体的にはナトリウム、カリウムおよびアンモニウムの塩ならびに上記アミンとの塩も含まれる。
【0118】
モノマーγ)はそのままでも、またお互いの混合物としても用いることができる。説明してきた重量部はすべて遊離塩基の形態または遊離酸の形態によるものである。
【0119】
モノマーγ)としては、アクリル酸、メタクリル酸およびその混合物が特に好ましい。
【0120】
ポリアクリレートa)は、共重合した形態で、カチオン生成基および/またはカチオン基(=モノマーδ))を有するα,β-エチレン性不飽和化合物から選択される、アミン基含有モノマーα)とは異なる少なくとも1種の他のモノマーをさらに含むことができる。モノマーδは、本発明によるポリウレタンが、カチオン生成基/カチオン基よりも過剰なアニオン生成基/アニオン基を有するだけの量で用いられる。ポリマーは、共重合した形態で、重合に用いるモノマーの全重量に対して0〜30重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%、特に0.5〜15重量%の少なくとも1種のモノマーδ)を含むことが好ましい。
【0121】
成分δ)のカチオン生成基および/またはカチオン基は、第三アミノ基および四級アンモニウム基などの窒素含有基であることが好ましい。荷電したカチオン基は、アミン窒素から、例えば、乳酸などのカルボン酸またはリン酸、硫酸および塩酸などの鉱酸を用いたプロトン化によって、あるいは、例えば、C1〜C4-アルキルハライドまたはサルフェートなどのアルキル化剤を用いた四級化によって生成させることができる。そうしたアルキル化剤の例は、塩化エチル、臭化エチル、塩化メチル、臭化メチル、ジメチル硫酸およびジエチル硫酸である。
【0122】
適切なモノマーδ)は、例えばN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、例えばN,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノシクロヘキシル(メタ)アクリレート等である。
【0123】
N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN-[2-(ジメチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)ブチル]アクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)ブチル]メタクリルアミド、N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]アクリルアミドおよびN-[4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]メタクリルアミドもモノマーδ)として適している。N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドおよびN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドが好ましい。
【0124】
ビニルおよびアリル置換窒素複素環、例えばビニルイミダゾール、N-ビニル-2-アルキルイミダゾール、例えばN-ビニル-2-メチルイミダゾール、ならびに2-および4-ビニルピリジン、2-および4-アリルピリジンならびにその塩も適切なモノマーδ)である。
【0125】
さらに、適切なモノマーδ)はアルキルアリルアミンおよびアリルアンモニウム塩、例えばジアリルメチルアミンおよびジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)である。
【0126】
N-ビニルイミダゾールはモノマーδ)として好ましい。
【0127】
ポリアクリレートa)は、共重合した形態で、好ましくはα,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸とC1〜C30-アルカノールのエステル、ビニルアルコールおよびアリルアルコールとC1〜C30-モノカルボン酸のエステル、ビニルエーテル、ビニル芳香族、ビニルハライド、ビニリデンハライド、C1〜C8-モノオレフィン、少なくとも2つの共役二重結合を有する非芳香族炭化水素およびその混合物から選択される少なくとも1種の他のモノマーε)をさらに含むことができる。
【0128】
ポリアクリレートa)は、共重合した形態で、重合に用いるモノマーの全重量に対して最大で50重量%、特に好ましくは最大で30重量%、特に好ましくは最大で15重量%の少なくとも1種のモノマーε)を含むことが好ましい。少なくとも1種のモノマーε)を重合に用いる場合、少なくとも0.1重量%、特に好ましくは少なくとも1重量%の量で用いることが好ましい。
【0129】
適切なモノマーε)は、メチル(メタ)アクリレート、メチルエタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチルエタクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチルエタクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、1,1,3,3-テトラメチルブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、アラキニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセレニル(メタ)アクリレート、セロチニル(メタ)アクリレート、メリシニル(メタ)アクリレート、パルミトレイニル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、リノリル(メタ)アクリレート、リノレニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートおよびその混合物である。好ましいモノマーe)はα,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸とC1〜C4-アルカノールのエステルである。
【0130】
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルおよびその混合物も適切なモノマーε)である。
【0131】
エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、スチレン,α-メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンおよびその混合物も適切なモノマーε)である。
【0132】
上記モノマーε)は個別に用いても、また任意の混合物の形態で用いてもよい。
【0133】
ポリアクリレートa)は当業者に知られている慣用の方法、例えば溶液重合、沈殿重合、懸濁重合または乳化重合で調製される。溶液重合または沈殿重合で調製することが好ましい。
【0134】
溶液重合に好ましい溶媒は、水などの水性溶媒、水混和性溶媒ならびに水と水混和性溶媒の混合物、例えばアセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ヘキサノールおよびシクロヘキサノールなどのアルコール、ならびにエチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコールなどのグリコール、ならびに二価アルコールのメチルまたはエチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、最大で約3000の数平均分子量を有するポリエチレングリコール、グリセロールならびにジオキサンである。
【0135】
沈殿重合は、例えば、溶媒としての酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル中で実施する。得られたポリマー粒子は反応液から析出し、これを、減圧によるろ過などの慣用的方法によって単離することができる。一般に、沈殿重合では、溶液重合より大きな分子量のポリマーが得られる。
【0136】
重合温度は好ましくは約30〜120℃、特に好ましくは40〜100℃の範囲である。重合は通常大気圧下で実施されるが、減圧下または加圧下で行うこともできる。適切な圧力範囲は1〜5バールである。
【0137】
これらのポリマーを調製するためには、フリーラジカルを生成する開始剤の助けを得て、モノマーを重合させることができる。
【0138】
使用できるフリーラジカル重合のための開始剤は、このために慣用的なペルオキソおよび/またはアゾ化合物、例えばアルカリ金属またはアンモニウムペルオキシジサルフェート、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、スクシニルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルピバレート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルマレエート、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルバメート、ビス(o-トリル)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルイソブチラート、tert-ブチルペルアセテート、ジ-tert-アミルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ヒドロクロリド(Wako Pure Chemicals Industries, Ltd.社のV50)または2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)である。例えば、アスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ナトリウムペルオキソジサルフェート、tert-ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫酸ナトリウム、tert-ブチルヒドロペルオキシド/ナトリウムヒドロキシメタンスルフィネート、H2O2/CuIなどの開始剤混合物またはレドックス開始剤系も適している。
【0139】
分子量を調節するために、少なくとも1種の分子量調節剤の存在下で重合を実施することができる。使用できる分子量調節剤は、例えばイオウ化合物、例えばメルカプトエタノール、2-エチルヘキシルチオグリコレート、チオグリコール酸もしくはドデシルメルカプタンおよびトリブロモクロロメタン、または得られるポリマーの分子量の調節効果を有する他の化合物などの当業者に知られている通常の化合物である。好ましい分子量調節剤はシステインである。
【0140】
成分a)として他の適したポリマーは、少なくとも1000の数平均分子量を有し、かつ少なくとも0.1gのKOH/gのヒドロキシル価および/または少なくとも0.1gのKOH/gのアミン価を有するポリマーである。これらは、好ましくは0.3〜60、特に好ましくは0.9〜30、特に1.5〜21の範囲のOH価を有するヒドロキシル基含有ポリマーを含む。これらは、0.3〜60、特に好ましくは0.9〜30、特に1.5〜21の範囲のアミン価を有するアミン基含有ポリマーも含む。これらは、ヒドロキシル価とアミン価の合計が0.3〜60、好ましくは0.9〜30、特に1.5〜21の範囲であるヒドロキシル-およびアミン基含有ポリマーも含む。
【0141】
成分b)
分子当たり2個の活性水素原子および少なくとも1つのアニオン生成基および/またはアニオン基を有する好ましい化合物b)は、例えばカルボキシレート、スルホネートおよび/またはホスフェート基を有する化合物である。成分b)としては、ジメチロールプロパン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、およびジメチロールプロパン酸および/または2,2-ジメチロールブタン酸などの2,2-ヒドロキシメチルアルキルカルボン酸を含む混合物などの2,2-ヒドロキシメチルアルキルカルボン酸が特に好ましい。
【0142】
アニオン生成基またはアニオン基を有する適切なジアミンおよび/またはジオールb)は次式の化合物である:
【化11】

【0143】
(式中、
Rはそれぞれの場合、C2〜C18-アルキレン基であり、MeはNaまたはKである)。
【0144】
成分b)としては、次式の化合物、
H2N(CH2)w-NH-(CH2)x-COO-M+
H2N(CH2)w-NH-(CH2)x-SO3-M+
(式中、wおよびxは互いに独立に1〜8、特に1〜6の整数であり、MはLi、NaまたはKである)
および次式の化合物、
H2N(CH2CH2O)y(CH2CH(CH3)O)z(CH2)w-NH-(CH2)x-SO3-M+
(式中、wおよびxは上記の意味を有し、yおよびzは互いに独立に0〜50の整数であり、2つの変数yまたはzのうちの少なくとも1つは>0である)
を用いることもできる。アルキレンオキシド単位の順序は任意である。最後に挙げた化合物は好ましくは約400〜3000の範囲の数平均分子量を有する。この種の適切な化合物は、例えばRaschig社のPoly ESP520である。
【0145】
成分c)
好ましい化合物c)は、分子当たり2個の活性水素原子と少なくとも1つの第三アミノ基および/または四級アンモニウム基を有する化合物である。使用できる化合物c)は、例えば、次の一般式の化合物である:
【化12】

【0146】
(式中、
- RaおよびRbは、C2〜C8-アルキレンであり、それらは同一であっても異なっていてもよく、
- Rc、RfおよびRgは、C1〜C6-アルキル、フェニルまたはフェニル-C1〜C4-アルキルであり、それらは同一であっても異なっていてもよく、
RdおよびReは、HまたはC1〜C6-アルキルであり、それらは同一であっても異なっていてもよく、
oは1、2または3であり、
Xθはクロリド、ブロミド、アイオダイド、C1〜C6-アルキルサルフェートまたはSO42-/2である)。メチルジエタノールアミンなどのN-(C1〜C6-アルキル)ジエタノールアミンが特に好ましい。
【0147】
ポリウレタンA)は、カチオン生成基/カチオン基に対してアニオン生成基/アニオン基をかなり過剰に有することが好ましい。特定の一実施形態では、ポリウレタンを調製するために、イオン生成基またはイオン基を有する化合物は、ポリウレタンA)がカチオン生成基/カチオン基に対して2:1超、好ましくは少なくとも5:1のモル過剰のアニオン生成基/アニオン基を有するような量で用いられる。
【0148】
成分d)
適切な化合物d)は、例えばジオール、ジアミン、アミノアルコールおよびその混合物である。
【0149】
成分d)としては、その分子量が約62〜286g/モルの範囲であるジオールを用いることが好ましい。これらには、例えば、2〜18個の炭素原子、好ましくは2〜10個の炭素原子を有するジオール、例えば1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,10-デカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-およびヘキサエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメチロールならびにその混合物が含まれる。ネオペンチルグリコールが特に好ましい。
【0150】
好ましいアミノアルコールd)は、例えば2-アミノエタノール、2-(N-メチルアミノ)エタノール、3-アミノプロパノール、4-アミノブタノール、1-エチルアミノブタン-2-オール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、4-メチル-4-アミノペンタン-2-オール等である。
【0151】
好ましいジアミンd)は、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタンおよび1,6-ジアミノヘキサンである。
【0152】
成分d)として指定された化合物は、個別にかまたは混合物で用いることができる。1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメチロールおよびその混合物を用いることが特に好ましい。
【0153】
好ましい一実施形態では、本発明により用いるポリウレタンは架橋ポリウレタンである。これらは一般に、組み込まれた形で、分子当たり2個を超える活性水素原子を含む少なくとも1種の化合物d)を含む。成分d)として適しているものは、好ましくはヒドロキシル基、第一および第二アミン基から選択される、NCO基に対して反応性である2つを超える基を有する化合物である。
【0154】
これらの成分d)の化合物は、好ましくは、トリオール、3つを超えるヒドロキシル基を有するポリオール、トリアミン、3つを超える第一もしくは第二アミノ基を有するポリアミン、アミンおよび/またはヒドロキシル基含有ポリマーおよびその混合物から選択される。
【0155】
成分d)として適しているものは、NCO基に対して反応性である基を2つ有する化合物とそうした基を3つ有する化合物を有し、かつその分子量が80〜280g/モルの範囲である混合物であることが好ましい。
【0156】
成分d)の化合物はトリオールおよび多価ポリオールから選択されることが好ましい。好ましいトリオールは、例えばグリセロールおよびトリメチロールプロパンである。ヒドロキシカルボン酸と三価アルコールのトリエステルも好ましいトリオールd)である。これらは、好ましくは、例えば乳酸、ヒドロキシステアリン酸およびリシノール酸などのヒドロキシカルボン酸のトリグリセリドである。ヒドロキシカルボン酸トリグリセリドを含む天然由来の混合物、特にヒマシ油も適している。好ましい多価ポリオールc)は、例えばエリトリトール、ペンタエリトリトールおよびソルビトールである。
【0157】
好ましいトリアミンd)は、例えばジエチレントリアミン、N,N'-ジエチルジエチレントリアミン等である。好ましい多価ポリアミンは、例えばトリエチレンテトラミン等およびポリアルキレンオキシドをアンモニアでアミノ化して調製できるα,ω-ジアミノポリエーテルである。
【0158】
ポリイソシアネートe)
適切なポリイソシアネートe)は、2〜5個のイソシアネート基を有する化合物、2〜5の平均個数のイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマーおよびその混合物から選択される。これらには、例えば脂肪族、脂環式ならびに芳香族ジ-、トリ-およびポリイソシアネートが含まれる。適切なジイソシアネートe)は、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,3,3-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および2,6-トリレンジイソシアネートならびにその異性体混合物(例えば80%の2,4異性体および20%の2,6異性体)、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4-および4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)ならびに4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)である。適切なトリイソシアネートは、例えばトリフェニルメタン4,4',4''-トリイソシアネートである。上記イソシアネートを多官能ヒドロキシルまたはアミン基含有化合物に付加して得られるイソシアネートプレポリマーおよびポリイソシアネートも適している。ビウレット、アロファネートまたはイソシアヌレート形成によって得られるポリイソシアネートも適している。
【0159】
成分e)はHDI、IPDI、MDI、HMDIおよびその混合物から選択されることが好ましい。成分e)は、異なった反応性を有する2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のジイソシアネートを含むことが好ましい。その成分は、特に好ましくは、イソホロンジイソシアネートおよびそのビウレット、アロファネートおよび/またはイソシアヌレートを含む。特定の一実施形態では、成分e)はイソホロンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートを含むか、またはイソホロンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートの混合物からなる。
【0160】
本発明による組成物で用いるポリウレタンは、成分a)、b)およびe)、ならびに適切な場合、c)および/またはd)の化合物を反応させることによって調製する。その温度は約30〜140℃、好ましくは約40〜100℃の範囲である。反応は、溶媒なしで行うことも、また適切な不活性溶媒もしくは溶媒混合物中で行うこともできる。適切な溶媒は、非プロトン性極性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、酢酸エチル、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドであり、好ましくはアセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトンである。反応は不活性ガス雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で実施することが好ましい。その成分は、成分e)の化合物のNCO当量と、成分a)、b)、c)、d)の活性水素原子の当量の比が約0.8:1〜1.25:1、好ましくは0.85:1〜1.2:1、特に1.05:1〜1.15:1の範囲となるような量で用いる。得られたポリウレタンが遊離のイソシアネート基を依然として有している場合、最終的には塩基を加えてそれを不活性化させる。適切な塩基は、中和剤として本発明で用いられるものである。
【0161】
ポリウレタンの調製の際に水混和性有機溶媒を用いる場合、それを、当業者に知られている慣用的方法、例えば減圧蒸留によって後で除去することができる。溶媒を分離する前に、水をポリウレタンにさらに加えることができる。溶媒を水で置き換えると、ポリマーの溶液または分散液が得られ、望むなら、それから一般的な方法、例えばスプレー乾燥によってポリマーを得ることができる。
【0162】
少なくとも1種の酸基含有ポリウレタンの代わりかまたはそれに加えて、成分A)は、少なくとも1種の他の酸基含有ポリマーS)を含むことができる。適切な酸基含有ポリマーS)は、例えばα,β-エチレン性不飽和モノマーのフリーラジカル重合によって得ることができる。ここでは、分子当たりに少なくとも1つのフリーラジカル的に重合可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合および少なくとも1つのアニオン生成基および/またはアニオン基を含むモノマーS.1)を用いる。
【0163】
モノマーS.1)は、モノエチレン性不飽和カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸およびその混合物から選択されることが好ましい。
【0164】
モノマーS.1)には、3〜25個、好ましくは3〜6個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸が含まれる。これらは、その塩または無水物の形態でも用いることができる。その例は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α-クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸およびフマル酸である。モノマーS.1)には、マレイン酸モノメチルなどの、4〜10個、好ましくは4〜6個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸の半エステルも含まれる。モノマーS.1)には、モノエチレン性不飽和スルホン酸およびホスホン酸、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリルオキシプロピルスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸およびアリルホスホン酸も含まれる。モノマーS.1)には、上記酸の塩、特にナトリウム、カリウムおよびアンモニウムの塩ならびに上記アミンとの塩も含まれる。モノマーS.1)はそのままでも、またお互いの混合物としても用いることができる。説明してきた重量部はすべて酸の形態によるものである。
【0165】
成分S.1)は好ましくはアクリル酸、メタクリル酸およびその混合物から選択される。
【0166】
ポリマーS)を製造するために適したコモノマーは、原則として、モノマーS.1)と共重合可能なすべてのα,β-エチレン性不飽和化合物である。
【0167】
特定の一実施形態では、ポリマーS)は共重合した形態で少なくとも1種の架橋性モノマーS.2)を含む。適切な架橋剤S.2)は2つ以上のエチレン性不飽和、非共役二重結合を有する化合物である。架橋剤S.2)は、ポリマーS)の重合に用いるモノマーの全重量に対して0.01〜3重量%、特に好ましくは0.1〜2重量%の量で用いることが好ましい。
【0168】
適切な架橋剤S.2)は、例えば少なくとも二価アルコールのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アリルエーテルまたはビニルエーテルである。親アルコールのOH基は完全にまたは部分的にエーテル化またはエステル化されていてよいが、架橋剤は少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含む。
【0169】
他の適切な架橋剤S.2)は、一価の不飽和アルコールと、エチレン性不飽和C3-C6-カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸のビニルエステルまたはエステルである。そうしたアルコールの例は、アリルアルコール、1-ブテン-3-オール、5-ヘキセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、9-デセン-1-オール、ジシクロペンテニルアルコール、10-ウンデセン-1-オール、シンナミルアルコール、シトロネロール、クロチルアルコールまたはシス-9-オクタデセン-1-オールである。他の適切な架橋剤S.2)は不飽和カルボン酸と多価アルコールのエステルである。さらに、適切な架橋剤S.2)は、少なくとも2つの二重結合を有する直鎖もしくは分岐鎖、線状もしくは環状の脂肪族または芳香族炭化水素(脂肪族炭化水素の場合、共役形であってはならない)、例えばジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、4-ビニル-1-シクロヘキセン、トリビニルシクロヘキサンまたは200〜20000の分子量を有するポリブタジエンである。他の適切な架橋剤S.2)は、少なくとも二官能性アミンのアクリルアミド、メタクリルアミドおよびN-アリルアミンである。そうしたアミンは、例えば1,2-ジアミノメタン、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,12-ドデカンジアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミンまたはイソホロンジアミンである。アリルアミンと、不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸または上記したような少なくとも二塩基のカルボン酸のアミドも同様に適している。トリアリルアミンおよびトリアリルモノアルキルアンモニウム塩、例えばトリアリルメチルアンモニウムクロリドまたは硫酸メチルも架橋剤S.2)として適している。
【0170】
例えば尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素または酒石酸アミドの尿素誘導体、少なくとも二官能性のアミド、シアヌレートまたはウレタンのN-ビニル化合物、例えばN,N'-ジビニルエチレン尿素またはN,N'-ジビニルプロピレン尿素も適している。他の適切な架橋剤S.2)はジビニルジオキサン、テトラアリルシランまたはテトラビニルシランである。特に好ましくは用いられる架橋剤S.2)は、例えばメチレンビスアクリルアミド、トリアリルアミンおよびトリアリルアルキルアンモニウム塩、ジビニルイミダゾール、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、N,N'-ジビニルエチレン尿素、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸の反応生成物、ポリアルキレンオキシドまたはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと反応した多価アルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、および/またはエピクロルヒドリンである。
【0171】
さらに、ポリマーS)は、好ましくは、共重合した形態で、一般式III)の化合物から選択される少なくとも1種のモノマーS.3)を含む:
【化13】

【0172】
(式中、
Raは水素またはC1〜C8-アルキルであり、
Y1はO、NHまたはNRcであり、
RbおよびRcは互いに独立に、C1〜C30-アルキルまたはC5〜C8-シクロアルキルであり、そのアルキル基はO、SおよびNHから選択される最大で4個の非隣接ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で中断されていてよい)。
【0173】
式IIIのRaが水素またはC1〜C4-アルキル、特に水素、メチルまたはエチルであることが好ましい。
【0174】
式IIIのRbはC1〜C8-アルキル、好ましくはメチル、エチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルまたは式-CH2-CH2-NH-C(CH3)3の基であることが好ましい。
【0175】
Rcがアルキルである場合、それは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチルおよびtert-ブチルなどのC1〜C4-アルキルであることが好ましい。
【0176】
適切なモノマーS.3)はメチル(メタ)アクリレート、メチルエタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチルエタクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチルエタクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート,エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等およびその混合物である。
【0177】
アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(tert-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、ピペリジニル(メタ)アクリルアミドおよびモルホリニル(メタ)アクリルアミド、N-(n-オクチル)(メタ)アクリルアミド、N-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-ステアリル(メタ)アクリルアミド、N-ラウリル(メタ)アクリルアミド等ならびにその混合物も適切なモノマーS.3)である。
【0178】
さらに、ポリマーは、共重合した形態で、一般式IVの化合物から選択される少なくとも1種のモノマーS.4)を含むことが好ましい:
【化14】

【0179】
(式中、
アルキレンオキシド単位の順序は任意であり、
kおよびlは互いに独立に0〜1000の整数であり、kとlの合計は少なくとも5であり、
Rdは水素、C1〜C30-アルキルまたはC5〜C8-シクロアルキルであり、
Reは水素またはC1〜C8-アルキルであり、
Y2はOまたはNRfであり、ただしRfは水素、C1〜C30-アルキルまたはC5〜C8-シクロアルキルである)。
【0180】
式IVのkは1〜500、特に3〜250の整数であることが好ましい。lは0〜100の整数であることが好ましい。
【0181】
Reは水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルまたはn-ヘキシル、特に水素、メチルまたはエチルであることが好ましい。
【0182】
式IVのRdは水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、オクチル、2-エチルヘキシル、デシル、ラウリル、パルミチルまたはステアリルであることが好ましい。
【0183】
式IVのY2はOまたはNHであることが好ましい。
【0184】
酸基含有ポリマーS)は、共重合した形態で、
- アクリル酸および/またはメタクリル酸、
- 好ましくはメチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレートおよびその混合物から選択される少なくとも1種のC1〜C4-アルキル(メタ)アクリレート、
- 少なくとも1種のC1〜C4-アルキル(メタ)アクリルアミド、および
- 適切な場合、少なくとも1種の架橋剤
を含むことが好ましい。
【0185】
さらに、酸基含有ポリマーS)は、好ましくは、共重合した形態で、
- アクリル酸および/またはメタクリル酸、
- C1〜C4-アルキル(メタ)アクリレート、C1〜C4-アルキル(メタ)アクリルアミドおよびその混合物から選択される少なくとも1種のモノマー、
- 少なくとも1種のポリエーテルアクリレート、および
- 適切な場合、少なくとも1種の架橋剤
を含む。
【0186】
さらに、酸基含有ポリマーS)は、好ましくは、共重合した形態で、
- t-ブチルアクリレートおよび/またはエチルアクリレート、および
- アクリル酸および/またはメタクリル酸
を含む。
【0187】
さらに、酸基含有ポリマーS)は、好ましくは、共重合した形態で、
- 少なくとも1種のC1〜C4-アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはt-ブチルアクリレート、
- ビニルピロリドンおよび/またはビニルカプロラクタム、および
- アクリル酸および/またはメタクリル酸
を含む。
【0188】
ポリマーS)として好ましいアニオン性ポリマーは、例えばアクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーならびにその塩である。これらは、INCI名のCarbomerとして得られるアクリル酸の架橋ポリマーも含む。そうしたアクリル酸の架橋ホモポリマーは、例えば、BF GOODRICH社からCarbopol(登録商標)という商品名で市販されている。Noveon社のCarbopol(登録商標)Ultrez21などの疎水性的に改変された架橋ポリアクリレートポリマーも好ましい。
【0189】
アクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーをベースとした組成物は有利なことに、ジェル剤としての配合品、例えばセット用ジェル剤、また泡状の配合品に適している。
【0190】
適切なアニオン性ポリマーの他の例は、アクリル酸とアクリルアミドおよびその塩のコポリマー;ポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩、水溶性または水分散性のポリエステル、ポリウレタンおよびポリ尿素である。特に適切なポリマーは、そのポリエーテル鎖の末端がC8〜C30-アルキル基である、(メタ)アクリル酸とポリエーテルアクリレートのコポリマーである。これらには、例えば、Rohm und Haas社からAculyn(登録商標)という商品名というで市販されているアクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマーが含まれる。t-ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリル酸のコポリマー(例えばLuvimer(登録商標)100P)、エチルアクリレートとメタクリル酸のコポリマー(例えばLuvimer(登録商標)MAE)、N-tert-ブチルアクリルアミド、エチルアクリレート、アクリル酸のコポリマー(Ultrahold(登録商標)8,strong)、酢酸ビニル、クロトン酸、および適切な場合他のビニルエステルのコポリマー(例えばLuviset(登録商標)グレード)、適切な場合、アルコール、アニオン性ポリシロキサン、例えばカルボキシ官能性ポリシロキサン、t-ブチルアクリレート、メタクリル酸と反応させた無水マレイン酸コポリマー(例えばLuviskol(登録商標)VBM)、アクリル酸およびメタクリル酸と、例えば(メタ)アクリル酸のC4〜C30-アルキルエステル、C4〜C30-アルキルビニルエステル、C4〜C30-アルキルビニルエーテルおよびヒアルロン酸などの疎水性モノマーのコポリマーも特に適切なポリマーである。例えばResyn(登録商標)(National Starch)およびGafset(登録商標)(GAF)という商品名で市販されている酢酸ビニル/クロトン酸コポリマーや、例えばLuviflex(登録商標)(BASF)という商品名で市販されているビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマーもアニオン性ポリマーの例である。他の適切なポリマーはLuviflex(登録商標)VBM-35(BASF)という商品名で市販されているビニルピロリドン/アクリレートターポリマーおよびスルホン酸ナトリウムを含むポリアミドまたはスルホン酸ナトリウムを含むポリエステルである。
【0191】
適切なアニオン性ポリマーの群には、例えばBalance(登録商標)CR(National Starch;アクリレートコポリマー)、Balance(登録商標)0/55(National Starch;アクリレートコポリマー)、Balance(登録商標)47(National Starch;オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、Aquaflex(登録商標)FX64(ISP;イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー)、Aquaflex(登録商標)SF-40(ISP/National Starch;VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマー)、Allianz(登録商標)LT-120(ISP/Rohm & Haas;アクリレート/C1-2スクシネート/ヒドロキシアクリレートコポリマー)、Aquarez(登録商標)HS(Eastman;ポリエステル-1)、Diaformer(登録商標)Z-400(Clariant;メタクリロイルエチルベタイン/メタクリレートコポリマー)、Diaformer(登録商標)Z-711(Clariant;メタクリロイルエチルN-オキシド/メタクリレートコポリマー)、Diaformer(登録商標)Z-712(Clariant;メタクリロイルエチルN-オキシド/メタクリレートコポリマー)、Omnirez(登録商標)2000(ISP;エタノール中の(ポリメチルビニルエーテル/マレイン酸のモノエチルエステル)、Amphomer(登録商標)HC(National Starch;アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー)、Amphomer(登録商標)28-4910(National Starch;オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、Advantage(登録商標)HC37(ISP;ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのターポリマー)、Advantage(登録商標)LC55およびLC80またはLC AおよびLC E、Advantage(登録商標)Plus(ISP;VA/マレイン酸ブチル/イソボルニルアクリレートコポリマー)、Acudyne(登録商標)258(Rohm & Haas;アクリレート/ヒドロキシエステルアクリレートコポリマー)、Luviset(登録商標)P.U.R.(BASF、ポリウレタン-1)、Luviflex(登録商標)Silk(BASF)、Eastman(登録商標)AQ48(Eastman)、Styleze(登録商標)CC-10(ISP;VP/DMAPAアクリレートコポリマー)、Styleze(登録商標)2000(ISP;VP/アクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー)、DynamX(National Starch;ポリウレタン-14AMP-アクリレートコポリマー)、Resyn XP(National Starch;アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー)、Fixomer A-30(Ondeo Nalco;ポリメタクリル酸(および)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、FixateG-100(Noveon;AMP-アクリレート/アリルメタクリレートコポリマー)も含まれる。
【0192】
米国特許第3,405,084号に記載されている、ビニルピロリドン、C1〜C10-アルキル、シクロアルキルおよびアリール(メタ)アクリレートならびにアクリル酸のターポリマーも適切なコポリマーS)である。欧州特許出願公開第0257444号および欧州特許出願公開第0480280号に記載されている、ビニルピロリドン、tert-ブチル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸のターポリマーも適切なコポリマーS)である。ドイツ特許出願公開第4223066号に記載されている、共重合した形態で少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸およびN-ビニルピロリドンおよび/またはN-ビニルカプロラクタムを含むコポリマーも適切なコポリマーS)である。これらの文献の開示を参照されたい。
【0193】
上記ポリマーS)は、周知の方法、例えば溶液重合、沈殿重合、懸濁重合または乳化重合によって調製される。
【0194】
本発明で用いるポリウレタンは15〜90、好ましくは20〜60の範囲のK値(E.Fikentscher, Celluose-Chemie 13(1932年)、58〜64頁によって、N-メチルピロリドン中に1%の濃度の溶液で測定して)を有することが好ましい。
【0195】
ポリマー成分A)を調製するためには、遊離の酸基(アニオン生成基)を有する対応ポリマー成分を、少なくとも1種の無機塩基および少なくとも1種の有機塩基で中和させる。酸基の中和は、それぞれの場合、単一の塩基または2つ以上の塩基の混合物を用いて、あるいは中和に用いられるこれらの塩基のすべての混合物を用いて連続的に行うことができる。中和は、塩基強度に従って、最初に最も強い塩基を用い、それぞれの場合、続いて、より弱い塩基を用いて連続的に行う。中和のために、無機塩基は、水性媒体中の溶液の形態で用いることが好ましい。適切な水性媒体は水、ならびに水と少なくとも1種の水混和性溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルカノールとの混合物である。通常の状態で液体である有機塩基は、中和のための希釈剤なしで使用することができる。一般に、有機塩基も、中和用に水性媒体中で使用される。
【0196】
本発明によるポリマー成分をベースとした化粧品および医薬組成物は、成分B)として、少なくとも1種の化粧品または薬剤として許容される活性成分または助剤を有する。
【0197】
成分B)は組成物の所望の使用分野に従って選択される。使用分野の典型的な成分(例えばある種の薬剤活性成分)のほかに、それらは、担体、賦形剤、乳化剤、界面活性剤、保存剤、芳香剤、成分A)とは異なるポリマー、ゲル形成剤、染料、顔料、光保護剤、粘ちゅう度調節剤(consistency regulator)、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、樹脂、溶媒、溶解促進剤、安定剤、滅菌剤、噴射剤、乾燥剤、乳白剤等から選択される。
【0198】
組成物は、水、親水性成分、疎水性成分およびその混合物から選択される担体成分B)を有することが好ましい。
【0199】
適切な親水性担体B)は、例えば水、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するモノ-、ジ-または多価アルコール、例えばエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール等である。用いる親水性担体は、水、または水と少なくとも1種の水混和性有機溶媒、好ましくは少なくとも1種のC2〜C4-アルカノール、特にエタノールとの混合物であることが好ましい。
【0200】
適切な疎水性担体B)は、例えば
i)オイル、脂肪、ワックス、
ii)C6〜C30-モノカルボン酸と、i)とは異なるモノ-、ジ-または三価アルコールのエステル、
iii)飽和非環状および環状炭化水素、
iv)脂肪酸、
v)脂肪アルコール、
vi)噴射用ガス、
ならびにその混合物から選択される。
【0201】
本発明による組成物は、例えば:鉱油などの低極性の炭化水素;テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の好ましくは9個以上の炭素原子を有する直鎖飽和炭化水素;デカヒドロナフタレンなどの環状炭化水素;分岐鎖炭化水素;動物油および植物油;ワックス;ワックスエステル;ワセリン;エステル、好ましくは、例えば、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸n-プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸n-プロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキサコサニル、パルミチン酸オクタコサニル、パルミチン酸トリアコンタニル、パルミチン酸ドトリアコンタニル、テトラトリアコンタニル、ステアリン酸ヘキサコサニル、ステアリン酸オクタコサニル、ステアリン酸トリアコンタニル、ステアリン酸ドトリアコンタニル、ステアリン酸テトラトリアコンタニルなどのC1〜C24-モノアルコールとC1〜C22-モノカルボン酸のエステルなどの脂肪酸のエステル;C1〜C10-サリチル酸エステル、例えばサリチル酸オクチルなどのサリチル酸エステル;安息香酸C10〜C15-アルキル、安息香酸ベンジルなどの安息香酸エステル;脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、C10〜C15-アルキルラクテート等の他の化粧品エステル、ならびにその混合物から選択される油脂成分B)を有する。
【0202】
適切なシリコーンオイルB)は、例えば直鎖ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、環状シロキサンおよびその混合物である。ポリジメチルシロキサンおよびポリ(メチルフェニルシロキサン)の数平均分子量は約1000〜150000g/モルの範囲である。好ましい環状シロキサンは4〜8員の環を有する。適切な環状シロキサンは、例えばシクロメチコンという名称で市販されている。
【0203】
好ましい油脂成分B)は、パラフィン油およびパラフィン油;ワセリン;ヒマシ油、大豆油、ピーナッツ油、オリーブ油、ひまわり油、ゴマ油、アボカド油、ココアバター、アーモンドオイル、杏仁油、ヒマシ油、肝油、豚のグリース(pig grease)、鯨ろう、鯨脳油、マッコウクジラ油、小麦胚種油、マカダミアナッツオイル、月見草油、ホホバ油などの天然脂肪およびオイル;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコール;ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびそれらとは異なる飽和、不飽和および置換脂肪酸などの脂肪酸;蜜ろう、カルナバワックス、カンデリラワックス、鯨ろうなどのワックス、ならびに上記オイルおよび/または脂肪成分の混合物から選択される。
【0204】
化粧品としてかつ薬剤として適合する適切なオイルおよび脂肪成分B)は、Karl-Heinz Schrader, Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika [Fundamentals and formulations of cosmetics], 2nd Edition, Verlag Huthig, Heidelberg、319〜355頁に記載されている。本明細書ではそれらを参照する。
【0205】
本発明による化粧品組成物は、毛髪用化粧品組成物、皮膚用化粧品組成物、皮膚用組成物、衛生用組成物または医薬組成物であってよい。その皮膜形成特性および柔軟な特性のため、上記の架橋ポリウレタンは、特に好ましくは、毛髪および皮膚用化粧品用、特に毛髪用化粧品のための添加剤として、特にヘアセット用組成物として適している。
【0206】
本発明による組成物は、スプレー剤、ジェル、フォーム、軟膏、クリーム、乳剤、懸濁剤、ローション、乳液またはペーストの形態であることが好ましい。望むなら、リポソームまたはミクロスフェアも用いることができる。
【0207】
本発明による化粧品および薬剤として活性な組成物は、化粧品としてかつ/または皮膚科学的に活性な成分および助剤B)をさらに含むことができる。
【0208】
本発明による化粧品組成物は、少なくとも1種の上記架橋ポリウレタン、少なくとも1種の上記担体、および、それらとは異なる、化粧品として活性成分、乳化剤、界面活性剤、保存剤、香油、増粘剤、毛髪用ポリマー、毛髪用およびスキンコンディショナー、グラフトポリマー、水溶性または分散性シリコーン含有ポリマー、光保護剤、漂白剤、ゲル形成剤、ケア剤(care agent)、着色剤、毛髪染料(tinting agent)、タンニング剤、染料、顔料、粘ちゅう度調節剤、湿潤剤、再脂肪化剤(refatting agent)、コラーゲン、タンパク質加水分解物、脂質、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、皮膚軟化剤ならびに柔軟剤から選択される少なくとも1種の成分を含むことが好ましい。
【0209】
そうした配合品における慣用的な増粘剤は、架橋ポリアクリル酸およびその誘導体(成分A)としてすでに存在していない場合)、キサンタンゴム、寒天、アルギン酸塩またはチロースなどの多糖類およびその誘導体、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシカルボキシメチルセルロース、脂肪族アルコール、モノグリセリドおよび脂肪酸、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンである。
【0210】
化粧品としてかつ/または皮膚科学的に活性な適切な成分は、例えば着色活性成分、皮膚および毛髪の着色剤、毛髪用染料、タンニング剤、漂白剤、ケラチン硬化性物質、抗菌活性成分、光線フィルター活性成分、忌避活性成分、充血性物質、角質溶解性および角質軟化性物質、フケ防止活性成分、消炎薬、角質化物質、抗酸化作用を有するかまたはフリーラジカル捕捉剤として作用する活性成分、皮膚保湿物質または湿潤物質、再脂肪化(refatting)活性成分、脱臭活性成分、セボスタチック(sebostatic)活性成分、植物抽出物、抗紅斑性または抗アレルギー活性成分およびその混合物である。
【0211】
天然でまたは人工的に紫外線で照射することなく、皮膚をタンニングするのに適した人工的な皮膚タンニング活性成分は、例えばジヒドロキシアセトン、アロキサンおよびクルミ殻抽出物である。適切なケラチン硬化性物質は、例えば硫酸アルミニウムカリウム、アルミニウムヒドロキシクロリド、乳酸アルミニウム等の制汗剤においても用いられる一般に活性な成分である。抗菌活性成分は、微生物を破壊するかまたはその成長を阻害するために用いられ、したがって、保存剤と体臭の発生またはその強さを低減させる脱臭物質との両方として作用する。これらには、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、イミダゾリジニル尿素、ホルムアルデヒ、ソルビン酸、安息香酸、サリチル酸等の当業者に知られている慣用的な保存剤が含まれる。そうした脱臭物質は、例えばリシノール酸亜鉛、トリクロサン、ウンデシレン酸アルキロールアミド、クエン酸トリエチル、クロルヘキシジン等である。適切な光線フィルター活性成分は、UV-Bおよび/またはUV-A領域で紫外線を吸収する物質である。適切なUVフィルターは、例えば、アリール基がそれぞれ、好ましくはヒドロキシ、アルコキシ、特にメトキシ、アルコキシカルボニル、特にメトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルおよびその混合物から選択される少なくとも1つの置換基を有することができる2,4,6-トリアリール-1,3,5-トリアジンである。p-アミノ安息香酸エステル、桂皮酸エステル、ベンゾフェノン、ショウノウ誘導体、ならびに二酸化チタン、タルクおよび酸化亜鉛などの紫外線を防止する顔料も適している。適切な忌避活性成分は、特定の動物、特に昆虫を人々から撃退するかまたは追い払うことができる化合物である。これらには、例えば2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、N,N-ジエチル-m-トルアミド等が含まれる。皮膚を通して血流を刺激する適切な充血性物質は、例えば、パイン、ラベンダー、ローズマリー、ジュニパーベリー、セイヨウトチノキ抽出物、カバノキの葉(birch leaf)抽出物、ヘイフラワー(hay flower)抽出物、酢酸エチル、ショウノウ、メントール、ペパーミント油、ローズマリー抽出物、ユーカリ油等などのエッセンシャルオイルである。適切な角質溶解性および角質軟化性物質は、例えばサリチル酸、カルシウムチオグリコレート、チオグリコール酸およびその塩、イオウ等である。適切なフケ防止活性成分は、例えばイオウ、イオウポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、イオウリシノールポリエトキシレート、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオン等である。皮膚のかぶれに対抗する適切な消炎薬は、例えばアラントイン、ビサボロール、ドラゴサントール(dragosantol)、カモミール抽出物、パンテノール等である。
【0212】
本発明による化粧品組成物は、化粧品および/または薬剤活性成分として(また、適切な場合、助剤としても)、ポリマー成分A)中に存在するポリマーとは異なる少なくとも1種の化粧品または薬剤として許容されるポリマーを含むことができる。これらには、非常に一般的にはアニオン性、カチオン性、両性および中性のポリマーが含まれる。
【0213】
アニオン性ポリマーの例は、成分A)について上記で指定したポリマーである。ただし、それらは塩の形態で用いられる。
【0214】
適切なカチオン性ポリマーは、例えばINCI名称ポリクオタニウムを有するカチオン性ポリマー、例えば、ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)FC、Luviquat(登録商標)HM、Luviquat(登録商標)MS、Luviquat(登録商標)Care)、ジエチル硫酸で四級化されたN-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Luviquat(登録商標)PQ11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)Hold);カチオン性セルロース誘導体(ポリクオタニウム-4および-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクオタニウム-7)およびキトサンである。Merquat(登録商標)(ジメチルジアリルアンモニウムクロリドをベースとしたポリマー)、Gafquat(登録商標)(ポリビニルピロリドンと四級アンモニウム化合物の反応によって形成される四級ポリマー)、ポリマーJR(カチオン基を有するヒドロキシエチルセルロース)および植物ベースのカチオン性ポリマー、例えばRhodia社のJaguar(登録商標)グレードなどのグアーポリマーも適切なカチオン性(四級化された)ポリマーである。
【0215】
ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルおよび/またはプロピオン酸ビニルのコポリマー、ポリシロキサン、ポリビニルカプロラクタム、およびN-ビニルピロリドンとの他のコポリマー、ポリエチレンイミンおよびその塩、ポリビニルアミンおよびその塩、セルロース誘導体、ポリアスパラギン酸塩および誘導体などの中性ポリマーも他の適切なポリマーである。これらには、例えばLuviflex(登録商標)Swing(ポリ酢酸ビニルとポリエチレングリコールの部分的にけん化されたコポリマー、BASF)が含まれる。
【0216】
ポリビニルカプロラクタム、例えばLuviskol(登録商標)Plus(BASF)、またはポリビニルピロリドン、および特に酢酸ビニルなどのビニルエステルとのそのコポリマー、例えばLuviskol(登録商標)VA37(BASF);例えばドイツ特許第A-4333238号に記載されている、例えばイタコン酸および脂肪族ジアミンをベースとしたポリアミドなどの非イオン性、水溶性または水分散性のポリマーまたはオリゴマーも適切なポリマーである。
【0217】
Amphomer(登録商標)(National Starch)という商品名で市販されている、オクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/tert-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマーなどの両性または双性イオンポリマー、および、例えばドイツ特許出願第3929973号、同第2150557号、同第2817369号および同第3708451号に開示されているような双性イオンポリマーも適切なポリマーである。アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーおよびそのアルカリ金属およびアンモニウム塩は好ましい双性イオンポリマーである。他の適切な双性イオンポリマーは、Amersette(登録商標)(AMERCHOL)という商品名で市販されているメタクロイルエチルベタイン/メタクリレートコポリマー、およびヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびアクリル酸のコポリマー(Jordapon(登録商標))である。
【0218】
非イオン性、シロキサン含有の水溶性または分散性ポリマー、例えばTegopren(登録商標)(Goldschmidt)またはBelsil(登録商標)(Wacker)などのポリエーテルシロキサンも適切なポリマーである。
【0219】
本発明による医薬組成物の配合品ベースは、薬剤として許容される助剤を含むことが好ましい。薬剤として許容されるものは、製剤、食品技術の分野および関連分野で使用するのに知られている助剤、特に関連薬局方(例えばDAB Ph.Eur.BP NF)に挙げられている助剤、ならびにその特性が生理学的応用を排除しない他の助剤である。
【0220】
適切な助剤は、流動促進剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、保存剤、酸化防止剤、抗刺激物質、キレート剤、乳液安定剤、被膜形成剤、ゲル形成剤、臭気マスキング剤、樹脂、親水コロイド、溶媒、溶解促進剤、中和剤、浸透促進剤、顔料、四級アンモニウム化合物、再脂肪化剤および過脂肪剤、軟膏、クリームまたはオイルベース、シリコーン誘導体、安定剤、滅菌剤、噴射剤、乾燥剤、乳白剤、増粘剤、ワックス、柔軟剤、ホワイトオイルであってよい。これに関する実施形態は、例えばFiedler, H. P. Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete [Lexicon of auxiliaries for pharmacy, cosmetics and related fields], 4th edition, Aulendorf: ECV-Editio-Kantor-Verlag, 1996年によって示されているような専門的知見に基づいている。
【0221】
本発明による皮膚用組成物を作製するためには、活性成分を、適切な助剤(賦形剤)と混合するかまたはそれで希釈することができる。賦形剤は、活性成分のためのビヒクル、担体または媒体として作用することができる固体、半固体または液体材料であってよい。望むなら、当業者に周知の方法で、他の成分との混合を行う。さらに、本発明によって用いられるポリマー成分は、医薬品の助剤として、好ましくは固体薬物形態用のコーティング組成物または結合剤として、またはそうした組成物または結合剤中に導入するのに適している。そのポリマー成分は、クリーム剤中に導入しても、また錠剤コーティング物および錠剤結合剤としても用いることができる。
【0222】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は皮膚クレンジング用組成物である。
【0223】
好ましい皮膚クレンジング用組成物は、透明せっけん、高級せっけん、脱臭用せっけん、クリームせっけん、ベビーせっけん、皮膚保護用せっけん、研磨性せっけんおよび合成洗剤、ペーストせっけん、ソフトせっけんなどの液体からジェル様の粘ちゅう度のせっけん、ならびに洗浄用ペースト、液体洗浄用、シャワーリング用および浴用調製品、例えば洗浄用ローション、シャワー浴用剤およびジェル、泡状浴用剤、オイル浴用剤、ならびにスクラブ用調製品、髭剃り用フォーム、ローションおよびクリームである。
【0224】
他の好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、皮膚のケア用および保護用の化粧品組成物、ネイルケア組成物または装飾用(decorative)化粧品のための調製品である。
【0225】
適切な皮膚用化粧品組成物は、例えばフェーストニック、フェースマスク、脱臭用および他の化粧品ローションである。装飾用化粧品に用いる組成物は、例えばコンシーリングスティック、ステージメークアップ、マスカラおよびアイシャドウ、口紅、コールペンシル、アイライナー、ブラッシャー、パウダーおよびアイブローペンシルを含む。
【0226】
さらに、本発明によるポリマー成分は、毛穴クレンジング用のノーズストリップ、にきび抑制組成物、忌避剤、髭剃り用組成物、脱毛用組成物、インティメイトケア組成物、フットケア組成物およびベビーケア用に用いることができる。
【0227】
本発明によるスキンケア組成物は、具体的には、W/O型またはO/W型のスキンクリーム、デイクリームおよびナイトクリーム、アイクリーム、フェースクリーム、しわ取り(antiwrinkle)クリーム、保湿用クリーム、漂白剤用クリーム、ビタミンクリーム、スキンローション、ケアローションおよび保湿用ローションである。
【0228】
上記した本発明によるポリマー成分をベースとした皮膚用化粧品および皮膚用組成物は有利な効能を示す。このポリマーは、とりわけ、皮膚の保湿やコンディショニング、および皮膚の感触の改善に寄与することができる。ポリマーは配合品における増粘剤としても作用することができる。本発明によるポリマーを加えることによって、特定の配合品での皮膚適合性の大幅な向上が実現される。
【0229】
皮膚用化粧品および皮膚用組成物は好ましくは、少なくとも1種の本発明によるポリマー成分を、組成物の全重量に対して約0.001〜30重量%、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜12重量%の量で含む。
【0230】
本発明によるポリマー成分をベースとした特定の光保護組成物は、ポリビニルピロリドンなどの慣用的な助剤と比べて紫外線吸収成分の滞留時間をより長くする特性を有する。
【0231】
使用分野に応じて、本発明による組成物は、スキンケアに適した形態、例えばクリーム、フォーム、ジェル、スティック、ムース、乳液、スプレー(ポンプスプレーまたは噴射剤含有スプレー)またはローションとして塗布することができる。
【0232】
本発明によるポリマー成分および適切な担体のほかに、皮膚用化粧品調製品は、上記したような皮膚用化粧品において慣用的な他の活性成分および助剤も含むことができる。これらには、好ましくは乳化剤、保存剤、香油、化粧品活性成分、例えばフィタントリオール、ビタミンA、EおよびC、レチノール、ビサボロール、パンテノール、光保護剤、漂白剤、着色剤、毛髪染料、タンニング剤、コラーゲン、タンパク質加水分解物、安定剤、pH調節剤、染料、塩類、増粘剤、ゲル形成剤、粘ちゅう度調節剤、シリコーン、湿潤剤、再脂肪化剤および他の慣用的な添加剤が含まれる。
【0233】
皮膚用化粧品および皮膚用組成物の好ましい油脂成分は、例えばパラフィン、シリコーンオイルおよび9個以上の炭素原子を有する脂肪族炭化水素などの上記鉱油および合成油、例えばひまわり油、ココナツオイル、アボカド油、オリーブ油などの動物油および植物油、ラノリンまたはワックス、脂肪酸、C6〜C30-脂肪酸のトリグリセリドなどの脂肪酸エステル、ホホバ油、脂肪族アルコール、ワセリン、水素化ラノリンおよびアセチル化ラノリンなどのワックスエステル、ならびにその混合物である。
【0234】
具体的な特性が確立されるのであれば、本発明によるポリマー成分は従来のポリマーと混合することもできる。
【0235】
例えば、触感の向上、展延挙動(spreading behavior)、耐水性、および/または活性成分と顔料などの助剤の結合などの特定の特性を確立するために、皮膚用化粧品および皮膚用調製品は、シリコーン化合物をベースとしたコンディショニング物質をさらに含むこともできる。適切なシリコーン化合物は、例えばポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサンまたはシリコーン樹脂である。
【0236】
化粧品または皮膚用調製品は当業者に知られている慣用的方法によって調製される。
【0237】
化粧品および皮膚用組成物は、乳剤の形態、特に油中水型(W/O型)または水中油型(O/W型)乳剤の形態であることが好ましい。しかし、他のタイプの配合品、例えば水系分散液、ジェル、オイル、オレオジェル、例えばW/O/W型またはO/W/O型乳剤の形態の多重乳剤、無水の軟膏または軟膏ベース等を選択することもできる。
【0238】
乳剤の調製は既知の方法によって行われる。少なくとも1種の本発明によるポリマー成分のほかに、乳剤は通常、水の存在下で、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、特に脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸、ラノリンおよびその誘導体、天然もしくは合成のオイルまたはワックスおよび乳化剤などの慣用的な成分を含む。乳剤の種類に特有の添加剤の選択および適切な乳剤の調製法は、例えばin Schrader, Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika [Fundamentals and formulations of cosmetics], Huthig Buch Verlag, Heidelberg, 2nd edition, 1989年、third partに記載されている。この文献を参照により本明細書に明確に組み込む。
【0239】
例えばスキンクリーム等のための適切な乳剤は通常、適切な乳化剤系によって油脂相中に乳化された水相を含む。水相を提供するために、本発明によるポリマー成分を用いることができる。
【0240】
乳剤の脂肪相中に存在してよい好ましい脂肪成分は:パラフィン油、ピュアセリンオイル(purcellin oil)、ペルヒドロスクアレンおよびこれらのオイル中の微結晶性ワックス溶液などの炭化水素油;甘扁桃油、アボカド油、カロフィラムオイル、ラノリンおよびその誘導体、ヒマシ油、ゴマ油、オリーブ油、ホホバ油、カリテオイル、ホプロステタス油などの動物油または植物油;大気圧下での初留点が約250℃であり、その蒸留終点が410℃である鉱油、例えばワセリンオイル;例えばミリスチン酸イソプロピル、ブチルもしくはセチルなどのミリスチン酸アルキル、ステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸エチルまたはイソプロピル、オクタン酸もしくはデカン酸トリグリセリドおよびリシノール酸セチルなどの飽和もしくは不飽和脂肪酸のエステルである。
【0241】
脂肪相は、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンおよびシリコーングリコールコポリマーなどの他のオイル中で溶解性であるシリコーンオイル、脂肪酸および脂肪アルコールも含むことができる。
【0242】
本発明によるポリマー成分のほかに、例えばカルナバワックス、カンデリラワックス、蜜ろう、微結晶性ワックス、オゾケライトワックスなどのワックス、ならびにオレイン酸、ミリスチン酸、リノール酸およびステアリン酸のCa、MgおよびAl塩も用いることができる。
【0243】
さらに、本発明による組成物はO/W型乳剤の形態であってよい。そうしたタイプの乳剤は一般に、オイル相と、水相中のオイル相を安定化させる乳化剤と、通常濃厚な形態(thickened form)である水相を含む。適切な乳化剤は、好ましくはポリグリセロールエステル、ソルビタンエステルまたは部分エステル化グリセリドなどのO/W型乳化剤である。
【0244】
他の好ましい実施形態によれば、本発明による組成物はシャワー用ジェル、シャンプー配合品または浴用調製品である。
【0245】
そうした配合品は、少なくとも1種の本発明によるポリマー成分、ベース界面活性剤としての通常アニオン性の界面活性剤、および共界面活性剤としての両性および/または非イオン性界面活性剤を含む。他の適切な活性成分および/または助剤は通常、脂質、香油、染料、有機酸、保存剤および酸化防止剤、ならびに増粘剤/ゲル形成剤、スキンコンディショナーおよび湿潤剤から選択される。
【0246】
これらの配合品は、配合品の全重量に対して2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは8〜30重量%の界面活性剤を含むことが好ましい。
【0247】
ボディクレンジング用組成物に慣用的に用いられるアニオン性、中性、両性またはカチオン性の界面活性剤はすべて、洗浄用、シャワーリング用および浴用調製品に用いることができる。
【0248】
適切なアニオン性界面活性剤は、例えばアルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイソチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、α-オレフィンスルホネート、特にそのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩ならびにアンモニウムおよびトリエタノールアミン塩である。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボキシレートは、分子中に1〜10個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位、好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有することができる。
【0249】
これらには、例えばナトリウムラウリルサルフェート、アンモニウムラウリルサルフェート、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート、アンモニウムラウリルエーテルサルフェート、ナトリウムラウリルサルコシネート、ナトリウムオレイルスクシネート、アンモニウムラウリルスルホスクシネート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネートが含まれる。
【0250】
適切な両性界面活性剤は、例えばアルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテートまたはプロピオネート、アルキルアンホジアセテートまたはジプロピオネートである。
【0251】
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインまたはナトリウムコカンホプロピオネートを用いることができる。
【0252】
適切な非イオン性界面活性剤は、例えば、アルキル鎖中に直鎖もしくは分岐鎖であってよい6〜20個の炭素原子を有する脂肪アルコールまたはアルキルフェノールと、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの反応生成物である。アルキレンオキシドの量はアルコールのモル当たり約6〜60モルである。アルキルアミンオキシド、モノ-もしくはジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、エトキシ化脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシドまたはソルビタンエーテルエステルも適している。
【0253】
さらに、洗浄用、シャワーリング用および浴用調製品は、慣用的なカチオン性界面活性剤、例えば四級アンモニウム化合物、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリドを含むことができる。
【0254】
さらに、シャワー用ジェル/シャンプー配合品は、例えば塩化ナトリウム、PEG-55、プロピレングリコールオレエート、PEG-120メチルグルコースジオレエートその他などの増粘剤を含むことができ、また保存剤、他の活性成分や助剤および水を含むことができる。
【0255】
特に好ましい実施形態によれば、本発明による組成物はヘアトリートメント組成物である。
【0256】
本発明によるヘアトリートメント組成物は、組成物の全重量に対して約0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲の量の少なくとも1種の本発明によるポリマー成分を含むことが好ましい。
【0257】
本発明によるヘアトリートメント組成物は、ヘアスプレー、セット用フォーム、毛髪ムース、整髪用ジェル、シャンプー、毛髪フォーム、仕上げ用液(end fluid)、パーマネントウェーブ用のニュートラライザー、毛髪着色剤および漂白剤またはホットオイルトリートメントの形態であることが好ましい。使用用途に応じて、毛髪用化粧品調製品は、(エアロゾル)スプレー、(エアロゾル)フォーム、ジェル、ジェルスプレー、クリーム、ローションまたはワックスの形態で施用することができる。ヘアスプレーは、エアロゾルスプレーと、噴射用ガスを伴わないポンプスプレーの両方を含む。毛髪フォームは、エアロゾルフォームと、噴射用ガスを伴わないポンプフォームの両方を含む。ヘアスプレーおよび毛髪フォームは、主としてまたはもっぱら水溶性または水分散性の成分を含むことが好ましい。本発明によるヘアスプレーおよび毛髪フォームに使用する化合物が水分散性である場合、それらは一般に1〜350nm、好ましくは1〜250nmの粒子径を有する水性微粒分散液の形態で施用することができる。これらの調製品の固形分含量は通常約0.5〜20重量%の範囲である。これらの微粒分散液は通常、安定化させるための乳化剤または界面活性剤を必要としない。
【0258】
好ましい実施形態では、本発明による毛髪化粧品配合品は、
- 0.2〜10重量%の少なくとも1種の本発明によるポリマー成分、
- 40〜99重量%の水および/またはアルコール、
- 0〜45重量%の少なくとも1種の噴射用ガス、
- 0〜20重量%の少なくとも1種の表面活性化合物、
- 0〜3重量%の少なくとも1種のUV吸収剤、および
- 最大で5重量%の他の成分
を含む。
【0259】
アルコールは、化粧品で通常用いられるアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、n-プロパノールを意味するものと理解されたい。
【0260】
他の成分は、化粧品で通常用いられる添加剤、例えば噴射剤、消泡剤、界面活性化合物、すなわち界面活性剤、乳化剤、泡形成剤および可溶化剤を意味するものと理解されたい。用いる界面活性化合物はアニオン性、カチオン性、両性または中性であってよい。他の慣用的な成分は、例えば保存剤、香油、乳白剤、活性成分、UVフィルター、パンテノールなどのケア用物質、コラーゲン、ビタミン、タンパク質加水分解物、α-およびβ-ヒドロキシカルボン酸、安定剤、pH調節剤、染料、粘度調節剤、ゲル形成剤、塩類、湿潤剤、再脂肪化剤、錯化剤および他の慣用的な添加剤であってもよい。
【0261】
非常に具体的な特性が確立されるならば、化粧品において知られているすべてのスタイリングおよびコンディショナー用ポリマーも、本発明によるポリマーと組み合わせて用いることができる。
【0262】
適切な従来の毛髪化粧品ポリマーは、例えば上記カチオン性、アニオン性、中性、非イオン性および両性ポリマーであり、本明細書ではそれらを参照する。
【0263】
具体的な特性を確立するためには、調製品は、シリコーン化合物をベースとしたコンディショニング物質も追加的に含むことができる。適切なシリコーン化合物は、例えばポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン、シリコーン樹脂またはジメチコンコポリオール(ETFA)およびアモジメチコン(CTFA)などのアミノ官能性シリコーン化合物である。
【0264】
本発明によるポリマーは特に、毛髪スタイリング用調製品、特にヘアスプレー(エアロゾルスプレー、および噴射用ガスを伴わないポンプスプレー)および毛髪フォーム(エアロゾルフォーム、および噴射用ガスを伴わないポンプフォーム)におけるセッティング剤として適している。
【0265】
好ましい一実施形態では、スプレー調製品は、
a)0.1〜10重量%の少なくとも1種の本発明によるポリマー成分、
b)20〜99.9重量%の水および/またはアルコール、
c)0〜70重量%の少なくとも1種の噴射剤、および
d)0〜20重量%の他の成分
を含む。
【0266】
噴射剤は、ヘアスプレーまたはエアロゾルフォームに慣用的に用いられる噴射剤である。プロパン/ブタン、ペンタン、ジメチルエーテル、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、二酸化炭素、窒素または圧縮空気の混合物が好ましい。
【0267】
エアロゾル毛髪フォーム用の本発明による好ましい配合品は、
a)0.1〜10重量%の少なくとも1種の本発明によるポリマー成分、
b)55〜99.8重量%の水および/またはアルコール、
c)5〜20重量%の噴射剤、
d)0.1〜5重量%の乳化剤、および
e)0〜10重量%の他の成分
を含む。
【0268】
使用できる乳化剤は、毛髪フォームに慣用的に用いられるすべての乳化剤である。適切な乳化剤は非イオン性、カチオン性またはアニオン性または両性の乳化剤であってよい。
【0269】
非イオン性乳化剤(INCI命名法)の例は、ラウレス類、例えばラウレス-4;セテス類、例えばセテス-1、ポリエチレングリコールセチルエーテル;セテアレス類、例えばセテアレス-25、ポリグリコール脂肪酸グリセリド、水酸化レシチン、脂肪酸のラクチルエステル、アルキルポリグリコシドである。
【0270】
カチオン性乳化剤の例は、セチルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムジヒドロリン酸塩、セチルトリモニウムクロリド、セチルトリモニウムブロミド、ココトリモニウムメチルサルフェート、クオタニウム-1〜x(INCI)である。
【0271】
アニオン性乳化剤は、例えばアルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイソチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、α-オレフィンスルホネート、特にそのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩ならびにアンモニウムおよびトリエタノールアミン塩からなる群から選択することができる。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボキシレートは、分子中に1〜10個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位、好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有することができる。
【0272】
スタイリングジェル用の本発明に適した調製品は、例えば、以下の組成を有することができる。
【0273】
a)0.1〜10重量%の少なくとも1種の本発明によるポリマー成分、
b)80〜99.85重量%の水、
c)0〜30重量%の少なくとも1種のアルコール、特にエタノール、
d)0〜3重量%、好ましくは0.05〜2重量%のゲル形成剤、および
e)0〜20重量%の他の成分。
【0274】
本発明によるポリマー成分をベースとしたジェルの調製の際、例えば、ジェルの特定のレオロジーまたは他の用途関連特性を確立するために、慣用的なゲル形成剤を用いることができる。使用できるゲル形成剤は、すべて化粧品で慣用的なゲル形成剤である。これらには、若干架橋したポリアクリル酸、例えばカルボマー(INCI)、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン改変セルロース、多糖類、例えばキサンタンゴム、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ナトリウムアクリレートコポリマー、ポリクオタニウム-32(および)鉱物油(INCI)、ナトリウムアクリレートコポリマー(および)鉱物油(および)PPG-1トリデセス-6、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、ステアレス-10アリルエーテルアクリレートコポリマー、ポリクオタニウム-37(および)鉱物油(および)PPG-1トリデセス-6、ポリクオタニウム37(および)プロピレングリコールジ(カプリル/カプリン酸)(および)PPG-1トリデセス-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-44が含まれる。ゲル形成剤として適しているアクリル酸の架橋ホモポリマーは、例えばBF GOODRICH社からCarbopol(登録商標)という商品名で市販されているものである。Noveon社のCarbopol(登録商標)Ultrez21などの疎水性的に改変された架橋ポリアクリレートポリマーも好ましい。ゲル形成剤として適しているアニオン性ポリマーの他の例は、アクリル酸とアクリルアミドのコポリマーおよびその塩;ポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩、水溶性または水分散性のポリエステル、ポリウレタンおよびポリ尿素である。特に適切なポリマーは、ポリエーテル鎖の末端がC8〜C30-アルキル基である(メタ)アクリル酸とポリエーテルアクリレートのコポリマーである。これらには、例えば、Rohm und Haas社からAculyn(登録商標)という商品名で市販されているアクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマーが含まれる。
【0275】
本発明によるポリマー成分は、コンディショナーとして化粧品調製品に用いることができる。
【0276】
本発明によるポリマー成分は、セッティング剤および/またはコンディショナーとして、シャンプー配合品に用いることが好ましい。好ましいシャンプー配合品は、
a)0.05〜10重量%の少なくとも1種の本発明によるポリマー成分、
b)25〜94.95重量%の水、
c)5〜50重量%の界面活性剤、
d)0〜5重量%の他のコンディショナー、および
e)0〜10重量%の他の化粧品成分
を含む。
【0277】
シャンプーで慣用的に用いられるアニオン性、中性、両性またはカチオン性界面活性剤はすべてシャンプー配合品に用いることができる。
【0278】
適切なアニオン性界面活性剤は、例えばアルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイソチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、α-オレフィンスルホネート、特にそのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムならびにアンモニウムおよびトリエタノールアミン塩である。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボキシレートは、分子中に1〜10個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位、好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有することができる。
【0279】
例えば、ナトリウムラウリルサルフェート、アンモニウムラウリルサルフェート、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート、アンモニウムラウリルエーテルサルフェート、ナトリウムラウリルサルコシネート、ナトリウムオレイルスクシネート、アンモニウムラウリルスルホスクシネート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネートが適している。
【0280】
適切な両性界面活性剤は、例えばアルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテートまたはプロピオネート、アルキルアンホジアセテートまたはジプロピオネートである。
【0281】
例えばココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインまたはナトリウムコカンホプロピオネートを用いることができる。
【0282】
適切な非イオン性界面活性剤は、例えば、直鎖または分岐鎖であってよいアルキル鎖中に6〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコールまたはアルキルフェノールと、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの反応生成物である。アルキレンオキシドの量はアルコールのモル当たり約6〜60モルである。さらに、アルキルアミンオキシド、モノ-もしくはジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシドまたはソルビタンエーテルエステルが適している。
【0283】
さらに、シャンプー配合品は、例えば四級アンモニウム化合物、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリドなどの慣用的なカチオン性界面活性剤を含むことができる。
【0284】
シャンプー配合品において、特定の効果を実現するために、慣用的なコンディショナーを架橋ポリウレタンと組み合わせて用いることができる。これらには、例えばINCI名ポリクオタニウムを有する上記カチオン性ポリマー、特にビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)FC、Luviquat(登録商標)HM、Luviquat(登録商標)MS、Luviquat(登録商標)Care)、ジエチル硫酸で四級化されたN-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Luviquat(登録商標)PQ11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)Hold);カチオン性セルロース誘導体(ポリクオタニウム-4および-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクオタニウム-7)が含まれる。さらに、タンパク質加水分解物を、シリコーン化合物、例えばポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサンまたはシリコーン樹脂をベースとしたコンディショニング物質として用いることができる。他の適切なシリコーン化合物はジメチコンコポリオール(CTFA)およびアミノ官能性シリコーン化合物、例えばアモジメチコン(CTFA)である。さらに、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(INCI)などのカチオン性グアー誘導体を用いることができる。
【0285】
本発明は、上記したように、医薬品の助剤として、好ましくは、レオロジー特性を改変するための固体剤形用のコーティング物中かまたはコーティング物として、織物、紙、印刷および皮革工業のための、表面活性化合物として、接着剤中かまたは接着剤として、ならびにコーティング物中かまたはコーティング物としての本発明によるポリマー成分の使用をさらに提供する。
【0286】
以下の非限定的実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0287】
I.ポリウレタンの調製
直鎖ポリウレタンPU1
攪拌機、滴下漏斗、温度計、還流冷却器および窒素雰囲気下で作業するための装置を備えた4ッ口フラスコ中で、690gのメチルエチルケトン中の1モルのポリエステルジオール(Mn=1000g/モル)、2.5モルのジメチロールプロパン酸、1.2モルのネオペンチルグリコールおよび0.85gのDABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)を約60℃の温度まで加熱し、攪拌しながら溶解させた。次いで攪拌しながらこの温度で、反応温度が90℃未満に保持されるようにして、5モルのイソホロンジイソシアネートを計り込んだ。次いで、NCO含量が実質的に一定になるまで、反応混合物を約80℃でさらに約3時間後攪拌し、次いで混合物を温度40℃まで放冷した。得られたポリウレタンを表2の中和剤で中和した。次いで溶媒を減圧下、40℃で留去させた。スプレー乾燥によって粉末状の生成物が得られる。
【0288】
直鎖ポリウレタンPU2を同様にして調製した(表1を参照されたい)。
【0289】
架橋ポリウレタンPU3
攪拌機、滴下漏斗、温度計、還流冷却器および窒素雰囲気下で作業するための装置を備えた4ッ口フラスコ中で、0.5モルのポリテトラヒドロフラン(Mn=1000g/モル)、0.3モルのトリメチロールプロパン、2.7モルのジメチロールプロパン酸、1.5モルのネオペンチルグリコールおよび0.85gのDABCOを、690gのメチルエチルケトン中で約60℃の温度で攪拌しながら加熱して溶解させた。すべての成分が溶解したら直ちに、1モルのヘキサメチレンジイソシアネートと4モルのイソホロンジイソシアネートの混合物を、反応温度が90℃未満に保持されるようにして、攪拌しながらこの温度で計り込んだ。次いで、NCO含量が実質的に一定になるまで、反応混合物を約80℃でさらに約3時間後攪拌し、次いで混合物を温度40℃まで放冷した。得られたポリウレタンを表2の中和剤で中和した。次いで溶媒を減圧下、40℃で留去させた。スプレー乾燥によって粉末状の生成物が得られる。
【0290】
架橋ポリウレタンPU4を同様にして調製した(表1を参照されたい)。
【表1】

【0291】
II.応用特性
表1に記載のポリウレタンを表2の中和剤で中和した。これらは表2にまとめた以下の機械的特性を有している。
【0292】
試験は以下の評価尺度に基づいている。
【表2】

【表3】

【0293】
III.適用例
適用例1
VOC80エアロゾルヘアスプレー [%]
実施例番号4のポリマー成分(25%濃度の溶液) 12.00
水 8.00
ジメチルエーテル 40.00
エタノール 40.00
他の添加剤:シリコーン、香料、消泡剤...
この適用例は、実施例番号6、8、9、12、13、14および15のポリマー成分を用いて繰り返すことができる。それぞれの場合、良好な特性を有するVOC80エアロゾルヘアスプレーが得られる。
【0294】
適用例2
VOC55エアロゾルヘアスプレー [%]
実施例番号4のポリマー成分(25%濃度の溶液) 12.00
水 33.00
ジメチルエーテル 40.00
エタノール 15.00
他の添加剤:シリコーン、香料、消泡剤...
この適用例は、実施例番号6、8、9、12、13、14および15のポリマー成分を用いて繰り返すことができる。それぞれの場合、良好な特性を有するVOC55エアロゾルヘアスプレーが得られる。
【0295】
適用例3
VOC55エアロゾルヘアスプレー [%]
実施例番号4のポリマー成分(25%濃度の溶液) 10.00
Ultrahold Strong(BASF) 1.00
水 34.00
ジメチルエーテル 40.00
エタノール 15.00
+AMP pH8.3まで
他の添加剤:シリコーン、香料、消泡剤...
この適用例は、実施例番号6、8、9、12、13、14および15のポリマー成分を用いて繰り返すことができる。それぞれの場合、良好な特性を有するVOC55エアロゾルヘアスプレーが得られる。
【0296】
適用例4
VOC55エアロゾルヘアスプレー [%]
実施例番号4のポリマー成分(25%濃度の溶液) 8.00
Stepanhold R-1*)(Stepan Chemical Co.) 1.00
水 36.00
ジメチルエーテル 40.00
エタノール 15.00
+AMP pH8.3まで
他の添加剤:シリコーン、香料、消泡剤...
*)Stepanhold R-1=ポリ(ビニルピロリドン/エチルメタクリレート/メタクリル酸)
この適用例は、実施例番号6、8、9、12、13、14および15のポリマー成分を用いて繰り返すことができる。それぞれの場合、良好な特性を有するVOC55エアロゾルヘアスプレーが得られる。
【0297】
適用例5
VOC55ハンドポンプスプレー [%]
実施例番号4のポリマー成分(25%濃度の溶液) 12.00
水 33.00
エタノール 55.00
他の添加剤:シリコーン、香料、消泡剤...
この適用例は、実施例番号6、8、9、12、13、14および15のポリマー成分を用いて繰り返すことができる。それぞれの場合、良好な特性を有するVOC55ハンドポンプスプレーが得られる。
【0298】
適用例6
水性ハンドポンプスプレー [%]
実施例番号4のポリマー成分(25%濃度の溶液) 10.00
Luviset Clear *)(20%濃度の溶液) 5.00
水 85.00
他の添加剤:水溶性シリコーン、香料、消泡剤...
*)Luviset Clear:ポリ(ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール)、BASF
この適用例は、実施例番号6、8、9、12、13、14および15のポリマー成分を用いて繰り返すことができる。それぞれの場合、良好な特性を有する水性ハンドポンプスプレーが得られる。
【0299】
適用例7
フォームコンディショナー [%]
実施例番号4のポリマー成分(25%濃度水溶液) 20.00
Cremophor A25(セテアレス25/BASF) 0.2
Comperlan KD(コアミドDEA/Henkel) 0.1
水 69.7
プロパン/ブタン 10.0
他の添加剤:香料、保存剤....
調製:攪拌しながら計り込み、溶解させる。瓶に詰め、噴射用ガスを加える。
【0300】
この適用例は、実施例番号6、8、9、12、13、14および15のポリマー成分を用いて繰り返すことができる。それぞれの場合、良好な特性を有するフォームコンディショナーが得られる。
【0301】
適用例8
Aculyn28を用いた毛髪ジェル: [%]
相1:
実施例番号4のポリマー成分(25%濃度水溶液) 12.00
蒸留水 37.00
アミノメチルプロパノール(38%濃度の溶液) 1.0
他の添加剤:保存剤、可溶性エトキシ化シリコーン、香料...
相2:
Aculyn28(1%濃度の水性懸濁液) 50.00
調製:
相1および相2を別々に計り込み、ホモジナイズする。次いで相2を相1の中に徐々に混ぜ込む。基本的に透明で安定したジェルが生成する。
【0302】
この適用例は、実施例番号6、8、9、12、13、14および15のポリマー成分を用いて繰り返すことができる。それぞれの場合、良好な特性を有するAculyn28を用いた毛髪ジェルが得られる。
【0303】
適用例9
ヒドロキシエチルセルロースを用いた毛髪ジェル: [%]
相1:
実施例番号4のポリマー成分(25%濃度の溶液) 12.00
蒸留水 30.00
他の添加剤:保存剤、可溶性エトキシ化シリコーン、香料...
相2:
Natrosol HR250(5%濃度の溶液) 50.00
ヒドロキシエチルセルロース(Hercules)
調製:
相1および相2を別々に計り込み、ホモジナイズする。次いで相2を相1の中に徐々に混ぜ込む。基本的に透明で安定したジェルが生成する。
【0304】
この適用例は、実施例番号6、8、9、12、13、14および15のポリマー成分を用いて繰り返すことができる。それぞれの場合、良好な特性を有するヒドロキシエチルセルロースを用いた毛髪ジェルが得られる。
【0305】
適用例10
コンディショナーシャンプー: [%]
A)Texapon NSO28%濃度(ナトリウムラウレスサルフェート/Henkel)
50.00
Comperlan KS(コアミド DEA/Henkel) 1.00
実施例番号4のポリマー成分(25%濃度水溶液) 20.00
十分量の香油
B)水 27.5
塩化ナトリウム 1.5
十分量の保存剤...
調製:
相1および相2を別々に計り込み、ホモジナイズする。次いで相2を相1の中に徐々に混ぜ込む。基本的に透明で安定したジェルが生成する。
【0306】
この適用例は、実施例番号6、8、9、12、13、14および15のポリマー成分を用いて繰り返すことができる。それぞれの場合、良好な特性を有するコンディショナーシャンプーが得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)1種のポリマーまたは複数の異なるポリマーからなり、少なくとも1種のポリウレタンを含むポリマー成分であって、前記1種のポリマーまたは複数のポリマーの少なくとも1種が少なくとも1種の無機塩基で部分的に中和され、かつ少なくとも1種の有機塩基で部分的に中和された酸基を有するポリマー成分、および
B)少なくとも1種の化粧品または薬剤として許容される活性成分または助剤
を含む化粧品組成物。
【請求項2】
前記有機塩基が有機アミンから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有機塩基が、ヒドロキシル基を含む少なくとも1種のアミンを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記有機塩基が、アルカノールアミン、N-アルキルアルカノールアミン、N,N-ジアルキルアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、N-アルキルジアルカノールアミン、トリアルカノールアミンおよびその混合物から選択されるヒドロキシル基を含む少なくとも1種のアミンを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記有機塩基が、モノアルカノールアミン、N,N-ジアルキルエタノールアミン、N-アルキルジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびその混合物から選択されるヒドロキシル基を含む少なくとも1種のアミンを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記有機塩基が、2-アミノ-2-メチルプロパノール、N-メチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、C8〜C18-アルキルジエタノールアミンおよびその混合物から選択されるヒドロキシル基を含む少なくとも1種のアミンを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記無機塩基が、アルカリ金属水酸化物、好ましくはNaOH、KOHおよびその混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
用いられる前記無機塩基がKOHである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
中和のために、アニオン生成基を有するポリマー成分が使用され、前記アニオン生成基が、少なくとも1種の無機塩基を用いてその少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも70%、特に少なくとも80%まで中和されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
中和のために、アニオン生成基を有するポリマー成分が使用され、前記アニオン生成基が、少なくとも1種の有機塩基を用いてその少なくとも1%、好ましくは少なくとも3%、特に好ましくは少なくとも5%まで中和されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリマー成分が、カルボン酸基を含む少なくとも1種のポリウレタンを含むか、またはカルボン酸基を含む少なくとも1種のポリウレタンからなる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
ヘアトリートメント組成物の形態の請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
- 0.2〜10重量%の請求項1〜10のいずれか1項に記載の少なくとも1種のポリマー成分、
- 40〜99重量%の水および/またはアルコール、
- 0〜45重量%の少なくとも1種の噴射用ガス、
- 0〜20重量%の少なくとも1種の表面活性化合物、
- 0〜3重量%の少なくとも1種のUV吸収剤、および
- 最大で5重量%の他の成分
を含む、請求項12に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項14】
1種のポリマーまたは複数の異なるポリマーからなり、かつ少なくとも1種のポリウレタンを含むポリマー成分の機械的特性を改変する方法であって、前記1種のポリマーまたは複数のポリマーの少なくとも1種が酸基を有しており、中和のために、少なくとも1種の無機塩基と少なくとも1種の有機塩基を用いる方法。
【請求項15】
- 少なくとも1種の無機塩基で部分的に中和され、かつ少なくとも1種の有機塩基で部分的に中和された酸基を有する少なくとも1種のポリウレタンか、または、
- 少なくとも1種の無機塩基で少なくとも部分的に中和された酸基を有する少なくとも1種のポリウレタンと、少なくとも1種の有機塩基で少なくとも部分的に中和された酸基を有する少なくとも1種のポリウレタンとの混合物
を含むポリマー成分。

【公表番号】特表2009−535382(P2009−535382A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508351(P2009−508351)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054309
【国際公開番号】WO2007/128776
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】