説明

中和タンク及び燃料電池システム

【課題】中和剤収納部内で中和された液体をより確実に中和タンク外へ排出することができる中和タンクを提供する。
【解決手段】中和剤収納部12より上方に設けられた液体入口13と中和剤収納部12とを接続する入口流路14と、液体入口13より下方に設けられた液体出口16と中和剤収納部12とを接続する出口流路18とを備え、出口流路18は、中和剤収納部12の側壁19に沿って設け、中和剤収納部12の側壁19には、側壁19の上部から下部にわたって、出口流路18と中和剤収納部12の内部とを流体連通する出口貫通孔19aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素を含有する燃料ガスと酸素を含有する酸化剤ガスとを燃料電池で電気化学的に反応させることにより発電する燃料電池システムに関し、特に、当該燃料電池システムに設けられる中和タンクの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃料電池システムは、主要な構成要素として、燃料処理装置と、燃料電池と、凝縮水タンクとを備えている。燃料処理装置は、天然ガスなどの原料ガスから水素リッチな燃料ガスを生成する装置である。燃料処理装置の内部では、原料ガス及び水を反応させて、水素及び二酸化炭素を生成する改質反応を行う。また、燃料処理装置は、改質反応を行うために最適な温度に加熱が必要であり、原料ガス、燃料ガス及び燃料排ガスのうちの少なくともいずれかを燃焼するための燃焼器を有している。燃料電池は、燃料ガス中の水素と酸化剤ガス(例えば、空気)中の酸素とを電気化学的に反応させることにより発電を行う装置である。凝縮水タンクは、燃料電池から排出された燃料排ガス、燃料電池から排出された空気排ガス、及び、燃料処理装置で燃焼された燃焼排ガスのうちの少なくともいずれかのガス中の水分を凝縮することにより得られる回収水を貯めるタンクである。
【0003】
凝縮水タンクに貯められた回収水の一部は、ポンプを用いて燃料電池に供給され、燃料電池の冷却水として利用することができる。また、凝縮水タンクに貯められた回収水の一部は、ポンプを用いて燃料処理装置に供給され、原料ガス及び水を反応させて水素及び二酸化炭素を生成する改質反応に利用することができる。凝縮水タンクにおいて余剰になった回収水(以下、余剰水という)は、燃料電池システムの外部に排出される。ただし、燃料ガスには改質反応で生成した二酸化炭素が含まれるため、燃料排ガスには二酸化炭素が含まれる。また、原料ガス、燃料ガス及び燃料排ガスのうちの少なくともいずれかを燃焼した燃焼排ガスにも、燃焼により生成した二酸化炭素が含まれる。燃料排ガス及び燃焼排ガスには二酸化炭素が含まれるため、当該燃料排ガス及び当該燃焼排ガス中の水分を凝縮して得られた回収水にも二酸化炭素が含まれる。このため、燃料排ガス及び燃焼排ガスのうちの少なくとも一方のガス中の水分を凝縮した水を含む余剰水は、例えば水素イオン濃度pH5程度の酸性を示すことがある。地方自治体で定められる排水基準は、通常pH5.8〜8.6程度であるため、前記余剰水をそのまま排出することはできない。このため、前記余剰水を中和する装置が必要になる。
【0004】
給湯器等の燃焼装置においては、排水を中和するために中和装置(以下、中和タンクという)が設けられている(例えば、特許文献1:特開平9−250818号公報参照)。図4は、従来の中和タンクの概略構成図である。
【0005】
図4に示すように、従来の中和タンクは、炭酸カルシウムなどの複数の粒子で構成される中和剤101と、中和剤101を収納する箱状の中和剤収納部102とを備えている。中和剤収納部102の上方には排水入口103が設けられ、中和剤収納部102の下方には排水出口104が設けられている。排水入口103を通じて中和剤収納部102内に流入した排水は、中和剤101と接触することにより中和された後、排水出口104を通じて中和タンクの外部へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−250818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記構成の中和タンクを燃料電池システムに設けた場合には、凝縮水タンクから流入してくるゴミや凝縮水タンク等で発生する菌などの異物が中和剤101の隙間に詰まる恐れがある。この場合、排水入口103を通じて中和剤収納部102内に流入した排水が、中和剤101を通過できずに、中和剤収納部102内で滞留してしまう。
【0008】
本発明の目的は、前記従来の課題を解決することにあって、中和剤収納部内で中和された液体をより確実に中和タンク外へ排出することができる中和タンク、及び当該中和タンクを備える燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、液体を中和する中和剤と、
前記中和剤を収納する箱状の中和剤収納部と、
前記中和剤収納部より上方に設けられた液体入口と前記中和剤収納部とを接続する入口流路と、
前記液体入口より下方に設けられた液体出口と前記中和剤収納部とを接続する出口流路と、
を備え、
前記出口流路は、前記中和剤収納部の側壁に沿って設けられ、
前記中和剤収納部の側壁には、当該側壁の上部から下部にわたって、前記出口流路と前記中和剤収納部の内部とを流体連通する出口貫通孔が設けられている、
中和タンクを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の中和タンクによれば、中和剤収納部の側壁に沿って出口流路が設けられるともに、当該側壁の上部から下部にわたって出口貫通孔が設けられているので、ゴミ等により中和剤間の隙間が詰まったとしても、中和剤収納部内で中和された液体を前記出口貫通孔及び前記出口流路を通じてより確実に中和タンク外へ排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明の実施形態にかかる中和タンクの概略構成図である。
【図1B】図1Aの中和タンクが備える入口仕切壁の平面図である。
【図1C】図1Aの中和タンクが備える出口仕切壁の側面図である。
【図2】図1Aの中和タンクを備える燃料電池システムの概略構成図である。
【図3A】図1Aの中和タンクの変形例を示す概略構成図である。
【図3B】図3Aの中和タンクが備える出口仕切壁の側面図である。
【図4】従来の中和タンクの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、液体を中和する中和剤と、
前記中和剤を収納する箱状の中和剤収納部と、
前記中和剤収納部より上方に設けられた液体入口と前記中和剤収納部とを接続する入口流路と、
前記液体入口より下方に設けられた液体出口と前記中和剤収納部とを接続する出口流路と、
を備え、
前記出口流路は、前記中和剤収納部の側壁に沿って設けられ、
前記中和剤収納部の側壁には、当該側壁の上部から下部にわたって、前記出口流路と前記中和剤収納部の内部とを流体連通する出口貫通孔が設けられている、
中和タンクを提供する。
ここで、流体連通(fluidly connect)するとは、流体が通ることができるように連通することをいう。
【0013】
本発明の第2態様によれば、前記出口貫通孔は、複数の貫通孔で構成されている、第1態様に記載の中和タンクを提供する。
【0014】
本発明の第3態様によれば、前記中和剤収納部の下面は、前記液体出口に向かって下方に傾斜している、第1又は2態様に記載の中和タンクを提供する。
【0015】
本発明の第4態様によれば、前記出口貫通孔の最上部は、前記中和剤よりも上方に位置している、第1〜3態様のいずれか1つに記載の中和タンクを提供する。
【0016】
本発明の第5態様によれば、前記入口流路は、前記中和剤収納部の上壁に沿って設けられ、
前記中和剤収納部の上壁には、重力方向から見て前記中和剤収納部の中央部分と重なる位置に、前記入口流路と前記中和剤収納部の内部とを流体連通する入口貫通孔が設けられている、
第1〜4態様のいずれか1つに記載の中和タンクを提供する。
【0017】
本発明の第6態様によれば、前記液体入口は、凝縮水タンクと接続され、
前記中和剤は、前記凝縮水タンクから排出された排水を中和する、
第1〜5態様のいずれか1つに記載の中和タンクを提供する。
【0018】
本発明の第7態様によれば、第1〜6態様のいずれか1つに記載の中和タンクを備えた燃料電池システムを提供する。
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
《実施形態》
図1Aは、本発明の実施形態にかかる中和タンクの概略構成図である。
【0021】
図1Aにおいて、本実施形態にかかる中和タンク1は、液体を中和する中和剤11と、中和剤11を収納する箱状の中和剤収納部12とを備えている。
【0022】
中和剤収納部12の上方には、液体入口13が設けられている。この液体入口13と中和剤収納部12とは、入口流路14により接続されている。入口流路14は、液体入口13から流入した液体を中和剤収納部12内に誘導する流路である。入口流路14は、中和剤収納部12の上壁15に沿って設けられている。中和剤収納部12の上壁15は、入口流路14と中和剤収納部12の内部とを仕切る仕切壁として機能する。以下、中和剤収納部12の上壁15を入口仕切壁という。
【0023】
図1Bは、入口仕切壁15の平面図である。図1Bに示すように、入口仕切壁15の中央部には、入口流路14と中和剤収納部12の内部とを流体連通する入口貫通孔15aが設けられている。入口貫通孔15aは、重力方向から見て中和剤収納部12の中央部分と重なる位置に設けられている。また、入口貫通孔15aは、入口仕切壁15の中で最も低い位置に設けられている。入口仕切壁15の上面は、入口貫通孔15aに向かって下方に傾斜するように設けられている。
【0024】
中和剤11は、例えば、炭酸カルシウムなどの複数の粒子で構成されている。中和剤11の材料としては、特に限定されるものではないが、炭酸カルシウムの他、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム等の各種金属系炭酸塩、その他金属系水酸化物等や金属系酸化物等が挙げられる。なお、中和剤11は、例えば、メッシュ状の袋などに入れた状態で中和剤収納部12に収納されてもよい。
【0025】
中和剤収納部12の外部であって液体入口13より下方には、液体出口16が設けられている。液体出口16の下端は、中和剤収納部12の下端と同じ高さ又は下方に設けられている。中和剤収納部12の下面17は、液体出口16に向かって下方に傾斜するように設けられている。液体出口16と中和剤収納部12とは、出口流路18により接続されている。出口流路18は、中和剤収納部12内で中和された液体を液体出口16に誘導する流路である。出口流路18は、中和剤収納部12の側壁19に沿って設けられている。中和剤収納部12の側壁19は、出口流路18と中和剤収納部12の内部とを仕切る仕切壁として機能する。以下、中和剤収納部12の側壁19を出口仕切壁という。
【0026】
図1Cは、出口仕切壁19の側面図である。図1Cに示すように、出口仕切壁19には、上部から下部にわたって延在するようにスリット状の出口貫通孔19aが設けられている。出口貫通孔19aの最下部は、排水出口16の下端と同じ高さ又は上方に位置している。出口貫通孔19aの最上部は、中和剤収納部12内に収納されている中和剤11よりも上方に位置している。
【0027】
次に、中和タンク1を備える燃料電池システムの概略構成を説明する。図2は、中和タンク1を備える燃料電池システムの概略構成図である。
【0028】
図2において、本実施形態にかかる燃料電池システムは、天然ガスなどの原料ガスから水素リッチな燃料ガスを生成する燃料処理装置2を備えている。燃料処理装置2は、燃料電池システムの外部の都市ガス管等と配管などの接続部材で接続されている。燃料処理装置2で生成された燃料ガスは、燃料電池3に供給される。また、燃料電池3には、例えば空気供給装置(図示せず)によって、外部から酸化剤ガスの一例である空気が供給される。
【0029】
燃料電池3は、燃料処理装置2から供給された燃料ガス中の水素と、外部から供給された空気中の酸素とを電気化学的に反応させることにより発電を行う装置である。燃料電池3は、発電に利用されなかった燃料ガス及び空気を、燃料排ガス及び空気排ガスとして凝縮水タンク4に排出する。燃料排ガス及び空気排ガスは、燃料電池3の内部で発生した生成水と接触するなどして、湿度が高くなっている。
【0030】
凝縮水タンク4は、燃料排ガス及び空気排ガス中の水分を熱交換器(図示せず)などによって凝縮することにより得られる回収水を貯めるタンクである。凝縮水タンク4に貯められた回収水の一部は、回収水送出装置の一例であるポンプ5により、冷却水タンク6へ送出される。
【0031】
冷却水タンク6は、ポンプ5から送出された回収水を、燃料電池3の内部を冷却するための冷却水として使用するために貯めるタンクである。冷却水タンク6に貯められた冷却水は、冷却水循環装置の一例であるポンプ7により、燃料電池3へ送出される。
【0032】
また、冷却水タンク6には、オーバーフロー排水口6aが備えられている。冷却水タンク6内で貯められた冷却水の水位がオーバーフロー排水口6aよりも高くなると、オーバーフロー排水口6aを通じて凝縮水タンク4へ冷却水が排出される。
【0033】
凝縮水タンク4には、オーバーフロー排水口4aが備えられている。凝縮水タンク4内に貯められた回収水の水位がオーバーフロー排水口4aよりも高くなると、オーバーフロー排水口4aを通じて中和タンク1の液体入口13へ回収水が排出される。
【0034】
中和タンク1は、凝縮水タンク4から排出される回収水を中和するためのタンクである。中和タンク1は、前述した構造を有している。中和タンク1の液体入口(排水入口ともいう)13は、凝縮水タンク4のオーバーフロー排水口4aと配管などの接続部材で接続されている。中和タンク1の液体出口(排水出口ともいう)16は、本燃料電池システムの排水口と配管などの接続部材で接続されている。
【0035】
以上のように構成された燃料電池システムについて、以下、図2を用いて、その動作及び作用を説明する。
【0036】
まず、燃料処理装置2にメタンなどの原料ガスが供給されると、燃料処理装置2が、原料ガスから水素リッチな燃料ガスを生成する。生成された燃料ガスは、燃料電池3に供給される。また、燃料電池3には、空気供給装置(図示せず)によって、酸化剤ガスとしての空気が供給される。
【0037】
燃料電池3は、供給された空気中の酸素と燃料ガス中の水素とを電気化学的に反応させて発電を行う。当該発電中において、燃料電池3には、冷却水タンク6に貯められた冷却水がポンプ7によって供給される。これにより、燃料電池3が所定の温度に維持される。燃料電池3に供給された冷却水は、燃料電池3の内部配管を通って、再び冷却水タンク6に戻る。
【0038】
燃料電池3にて発電に利用されなかった空気及び燃料ガスは、空気排ガス及び燃料排ガスとして燃料電池3から排出される。空気排ガス及び燃料排ガスには、発電の際に発生する水蒸気及び二酸化炭素が含まれる。空気排ガス及び燃料排ガスの水分は、熱交換器(図示せず)などによって凝縮され、回収水として凝縮水タンク4に貯められる。
【0039】
凝縮水タンク4に貯められた回収水は、ポンプ5によって冷却水として冷却水タンク6に送られる。冷却水タンク6に貯められた冷却水の水位がオーバーフロー排水口6aまで達すると、余剰の冷却水がオーバーフロー排水口6aから凝縮水タンク4へ排出される。
【0040】
一方、凝縮水タンク4に貯められた回収水が、オーバーフロー排水口4aまで達すると、余剰の回収水(以下、余剰水という)がオーバーフロー排水口4aから中和タンク1に排出される。この余剰水には、二酸化炭素が含まれる。このため、凝縮水タンク4から排出された余剰水は酸性を示すことがあるが、中和タンク1で中和された後、燃料電池システムの外部へ排出される。
【0041】
次に、図1を用いて中和タンク1の内部での動作及び作用を説明する。
凝縮水タンク4から排出された余剰水(以下、排水という)は、排水入口13に供給される。排水入口13から供給された排水は、入口流路14を通って入口仕切壁15に流入し、入口貫通孔15aから中和剤収納部12内に滴下される。滴下された排水は、中和剤11と接触しながら中和剤16間の隙間を通って中和剤収納部12の下面17に達する。排水はこの過程で中和され、その後、中和剤収納部12の下面17に沿って出口貫通孔19aを通過して出口流路18に至り、排水出口16から排出される。
【0042】
燃料電池システムでは、凝縮水タンク4等で菌が発生することがあり、この発生した菌やゴミなどの異物が中和タンク1に流入して、異物が中和剤11の間の隙間に貯まり、中和剤11の間の隙間が詰まる可能性がある。異物による中和剤11間の隙間の詰まりが、中和剤収納部12の下方部分で発生した場合には、中和剤収納部12に滴下された排水は、中和剤収納部12の上方部分の詰まりの発生していない中和剤11の隙間を通って中和され、出口貫通孔19aを通じて排水出口16へ流れる。また、異物による中和剤11間の隙間の詰まりが、中和剤11の全体に発生した場合には、中和剤収納部12に滴下された排水は、中和剤11の上面に接触して中和され、出口貫通孔19aを通じて排水出口16へ流れる。従って、中和剤収納部12内で中和された排水は、中和剤収納部12内で滞留することなく、排水出口16から排出される。
【0043】
以上のように、本実施形態においては、燃料電池システムの排水口と凝縮水タンク4との間に中和タンク1を設けているので、凝縮水タンク4から排出された排水を中和した後、燃料電池システムの外部へ排出することができる。
【0044】
また、本実施形態においては、中和剤収納部12の側壁19に沿って出口流路18が設けられるともに、当該側壁19の上部から下部にわたって出口貫通孔19aが設けられているので、ゴミ等により中和剤11間の隙間が詰まったとしても、中和剤収納部12内で中和された液体を出口貫通孔19a及び出口流路18を通じてより確実に中和タンク1外へ排出することができる。
【0045】
また、本実施形態においては、中和剤収納部12の下面17を排水出口16に向かって下方に傾斜するように構成しているので、中和剤収納部12内に流入した排水を中和剤収納部12の下面17の傾斜に沿って排水出口16へ滑らかに流すことができる。従って、中和剤収納部12内に流入した排水が中和剤収納部12内で滞留することを防ぐことができる。
【0046】
また、本実施形態においては、出口貫通孔19aの最上部を中和剤11よりも上方に設けているので、異物による中和剤11間の隙間の詰まりが中和剤11の全体に発生したとしても、中和剤11の上面に接触して中和された排水を、出口貫通孔19aを通じて排水出口16へ流すことができる。従って、中和剤収納部12内に流入した排水が中和剤収納部12内で滞留することをより確実に防ぐことができる。
【0047】
また、本実施形態においては、重力方向から見て中和剤収納部12の中央部分と重なる位置に入口貫通孔15aを設けているので、排水入口13より流入した排水を、中和剤11の中央部上面に滴下させることができる。これにより、前記排水と中和剤11との接触面積を大きくすることができるので、前記排水の中和を安定して行うことができる。
【0048】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、図1Aでは、出口仕切壁19が垂直方向に設けられるように示したが、図3Aに示すように傾斜させてもよい。
【0049】
また、図1Bでは、出口貫通孔19aは、出口仕切壁19の上部から下部にわたって延在するように設けられたスリット状の貫通孔として示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図3Bに示すように、出口仕切壁19の上部から下部にわたって設けられた複数の貫通孔19bで出口貫通孔が構成されてもよい。この場合、複数の貫通孔19bは、異物による中和剤11間の隙間の詰まりがどの高さ位置で発生しても出口流路18へ流すことができるように、出口仕切壁19のどの高さ位置においてもいずれか1以上の貫通孔が存在するように設けられることが好ましい。なお、出口貫通孔19a及び各貫通孔19bは、中和剤11の粒子が通過しないように形成する必要がある。例えば、出口貫通孔19a及び各貫通孔19bの水平方向の幅を中和剤11の粒子の直径よりも小さく設定する必要がある。なお、中和剤11をメッシュ状の袋などに入れた場合には、出口貫通孔19a及び貫通孔19bの大きさは、特に限定されない。また、出口仕切壁19及び出口貫通孔19bの形状は、中和タンク1の金型製作において、製造の容易な形状にすることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明にかかる中和タンクは、中和剤収納部内で中和された液体をより確実に中和タンク外へ排出することができるので、様々な形態の燃料電池システムに有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 中和タンク
2 燃料処理装置
3 燃料電池
4 凝縮水タンク
5 ポンプ(回収水送出装置)
6 冷却水タンク
7 ポンプ(冷却水循環装置)
11 中和剤
12 中和剤収納部
13 液体入口(排水入口)
14 入口流路
15 上壁(入口仕切壁)
15 入口貫通孔
16 液体出口(排水出口)
17 下面
18 出口流路
19 側壁(出口仕切壁)
19a 出口貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を中和する中和剤と、
前記中和剤を収納する箱状の中和剤収納部と、
前記中和剤収納部より上方に設けられた液体入口と前記中和剤収納部とを接続する入口流路と、
前記液体入口より下方に設けられた液体出口と前記中和剤収納部とを接続する出口流路と、
を備え、
前記出口流路は、前記中和剤収納部の側壁に沿って設けられ、
前記中和剤収納部の側壁には、当該側壁の上部から下部にわたって、前記出口流路と前記中和剤収納部の内部とを流体連通する出口貫通孔が設けられている、
中和タンク。
【請求項2】
前記出口貫通孔は、複数の貫通孔で構成されている、請求項1に記載の中和タンク。
【請求項3】
前記中和剤収納部の下面は、前記液体出口に向かって下方に傾斜している、請求項1又は2に記載の中和タンク。
【請求項4】
前記出口貫通孔の最上部は、前記中和剤よりも上方に位置している、請求項1〜3のいずれか1つに記載の中和タンク。
【請求項5】
前記入口流路は、前記中和剤収納部の上壁に沿って設けられ、
前記中和剤収納部の上壁には、重力方向から見て前記中和剤収納部の中央部分と重なる位置に、前記入口流路と前記中和剤収納部の内部とを流体連通する入口貫通孔が設けられている、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の中和タンク。
【請求項6】
前記液体入口は、凝縮水タンクと接続され、
前記中和剤は、前記凝縮水タンクから排出された排水を中和する、
請求項1〜5のいずれか1つに記載の中和タンク。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の中和タンクを備えた燃料電池システム。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−166161(P2012−166161A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30379(P2011−30379)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】