中和器の固定構造、並びに、熱源機
【課題】中和器内部に溜まったドレンの凍結を防止すると共に、小型化された燃焼装置内に取付ける場合であっても容易に取付け可能な中和器の固定構造、並びに、そのような中和器の固定構造によって中和器を取り付けた熱源機を提供する。
【解決手段】
中和器15を配したときに中和器底面の少なくとも一部を筺体内壁79から離反した位置に支持する支持手段20と、押上部材21によって、筺体2内に中和器15を固定する。このとき、押上部材21の少なくとも一部は、中和器底面の端部近傍の下方に位置し、中和器底面を直接又は間接的に上方に押し上げるものとする。そして、中和器15は、支持手段20で支持される状態にあっては、傾斜した姿勢である着脱姿勢をとる。また、押上部材21で押し上げられた状態にあっては、中和器底面が筺体内壁から離反した状態で固定可能な固定姿勢をとる。
【解決手段】
中和器15を配したときに中和器底面の少なくとも一部を筺体内壁79から離反した位置に支持する支持手段20と、押上部材21によって、筺体2内に中和器15を固定する。このとき、押上部材21の少なくとも一部は、中和器底面の端部近傍の下方に位置し、中和器底面を直接又は間接的に上方に押し上げるものとする。そして、中和器15は、支持手段20で支持される状態にあっては、傾斜した姿勢である着脱姿勢をとる。また、押上部材21で押し上げられた状態にあっては、中和器底面が筺体内壁から離反した状態で固定可能な固定姿勢をとる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸性を呈するドレンを中和するための中和器を筺体内部へ取り付けるための中和器の固定構造に関する。また、そのような中和器の固定構造によって中和器を取り付けた熱源機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バーナを燃焼させた際に発生する熱の熱交換効率を向上するべく、燃焼ガスの顕熱だけでなく潜熱まで回収する潜熱回収型の熱源機が市場に普及している。この潜熱回収型の熱源機は、燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器に加え、潜熱を回収する二次熱交換器が具備されており、高い熱交換効率を有している。
【0003】
このような熱源機では、二次熱交換器に燃焼ガスを導入して潜熱を回収する際に、燃焼ガスと二次熱交換器とが接触することで、燃焼ガス中の水蒸気が結露してドレン(結露水)が発生する。このとき、燃焼ガスには、燃焼によって空気中の窒素と酸素とが反応して生成される窒素酸化物(N0x)や、燃焼によって燃料の硫黄分が酸素と反応して生成される硫黄酸化物(S0x)等が含有されている。そのため、発生したドレンは、これら窒素酸化物や硫黄酸化物によって強酸性を呈する。このように、潜熱回収型の熱源機では、構造上、強酸性のドレンが発生してしまう。
【0004】
この酸性のドレンは、処理を行うことなくそのまま外部へ排水すると、環境等に対して悪影響を及ぼす懸念がある。そのため、潜熱回収型の熱源機では、ドレンを外部に導くドレン排出系統を設け、そのドレン排出系統の中途に酸性のドレンを中和する中和器が備えられたものがある。この種の熱源機では、二次熱交換器で発生したドレンを中和器で中和してから外部に排水しているため、環境等に対して悪影響を及ぼすことがない。
【0005】
このような中和器は、中和器内部の内部空間に中和剤を配し、流入したドレンを内部空間に一旦貯留している。そして、ドレンが内部空間へと流入され続け、中和器の内部空間の貯留量を超えると、中和器の内部空間から外部へとドレンが排出される構造となっている。より詳細には、中和器の内部は、仕切壁で各空間に区切られており、各空間に流入したドレンは、所定以上の水位になるまで他の空間へ流れ込まない構造となっている。したがって、所定の空間に流れ込んだドレンは、その空間の水位が所定以上となるまでの時間だけ空間内に貯留され、その後に他の空間へ流れ込む。各空間を順に流れたドレンは、最後に排出口が設けられた空間に流入する。そして、最後に排出口が設けられた空間においても所定以上の水位となったとき、ドレンは排出口から外部へと排出される。このように、中和器の外部から流入したドレンは、各空間を経由するとき、それぞれ所定以上の水位となるまでの間、空間内に留まってから他の空間に流れ込む。このように、ドレンは、中和剤が配された空間に所定の時間だけ留まることにより、中和されている。換言すると、中和器は、その構造上、内部の空間にドレンが溜まることになる。
【0006】
例えば、特許文献1には、このようなドレンを中和する中和器(中和装置)、並びにそのような中和器を備えた熱源機(燃焼装置)が開示されている。特許文献1に開示されている熱源機は、所謂逆燃焼方式と称される熱源機であり、上方から順に、バーナ等を備えた燃焼部と、一次熱交換器と二次熱交換器を内蔵した燃焼ケースと、排気集合部とが連続して設けられている。そして、排気集合部の下方部分と中和器の上方部分とが配管で接続され、排気集合部から中和器へドレンが流入する構成となっている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−34588号公報
【0008】
ところで、特許文献1に開示されているような中和器を擁する熱源機を寒冷地で使用する場合、内部のドレンが凍結してしまうおそれがある。具体的に説明すると、上記したように、中和器の内部空間には、ドレンが溜まる構造となっている。このように、中和器の内部にドレンが留まっている状態において、熱源機の設置場所周辺の温度が低く、且つ、中和器内に新たに流入するドレンの量が少ない場合、中和器内部のドレンが凍結してしまうおそれがある。即ち、設置場所の周辺温度が低い状態では設置した中和器が低温となってしまうことがあり、その状態で中和器内部に一定以上の流速のドレンの流れが形成されないと、中和器内部に貯留されたドレンが凍結してしまうおそれがある。
【0009】
また、近年、狭い場所に設置可能な熱源機が市場から望まれており、そのような要求に応えるべく小型化された熱源機が開発されている。このような熱源機では、熱源機の内部空間が実質的に狭くなるため、熱源機の設置位置の周辺に広い空間が確保できなくなってしまう。すると、中和器を熱源機内部に取付けるとき、作業者が作業するためのスペースが確保できなくなってしまう。
【0010】
具体的に説明すると、中和装置を燃焼装置内部に取付けるとき、作業者は、配管の片側端部を中和装置の上方部分に予め接続した状態で、中和装置を燃焼装置内部へと移動させ、設置予定位置へと設置する。そして、その状態で、中和装置に接続した配管のもう一方の端部を、排気集合部といったドレンの流れ方向上流側の部材の下方部分へと接続する。したがって、中和装置とドレンの流れ方向上流側の部材との間に、十分な空間が確保できないと、このような中和装置の取付け作業が非常に困難となってしまう。
【0011】
このような小型化された燃焼装置に中和器を設置する方法として、中和器本体の小型化することが考えられる。しかしながら、中和器本体を小型化してしまうと、中和剤を収納するのに十分な容積が確保できず、短期間に何度も中和剤を補填する必要が生じるため、不便であるという問題がある。即ち、中和器に中和剤を僅かしか詰め込めないため、中和剤がすぐになくなってしまうという問題である。
【0012】
また、中和器本体を小型化してしまうと、中和器に水封構造を採用しにくいという問題がある。具体的に説明すると、中和器が取り付けられるドレン排出系統は、燃焼ガスの排気流路と連通した関係となる場合がある。その場合、本来、燃焼装置の排気筒(排気流路)を介して外部に排出されるべき燃焼ガスが、ドレン排出系統に流入してしまう可能性がある。そこで、燃焼ガスがドレン排出系統に流入してしまっても、ドレン排出系統から外部へ排出されないように、中和器内の燃焼ガスが通過し得る部分をドレンで所定の水位まで満たし、水封する技術がある。即ち、この水封構造によって、ドレン排出系統に燃焼ガスが流入してしまっても、中和器内で燃焼ガスの流通を強制的に阻止し、中和器より下流側の部分に燃焼ガスが流れないようにする。このことで、ドレン排出系統からの燃焼ガスの排出を防止する。しかしながら、このような水封構造を採用するためには、一定以上の水位を確保する必要となるので、中和器の高さをある程度高くする必要がある。そのため、中和器本体を小型化してしまうと、中和器の高さが確保できないため、水封構造を採用することが困難となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、中和器内部に溜まったドレンの凍結を防止すると共に、小型化された燃焼装置内に取付ける場合であっても、中和器本体の大きさを変更することなく容易に取付け可能な中和器の固定構造、並びに、そのような中和器の固定構造によって中和器を取り付けた熱源機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、内部に中和器を備えた筺体内に前記中和器を固定するための中和器の固定構造であって、前記筺体内に前記中和器を配したときに中和器底面の少なくとも一部を筺体内壁から離反した位置に支持する支持手段と、押上部材とを有し、前記押上部材の少なくとも一部は、中和器底面の端部近傍の下方に位置し、中和器底面を直接又は間接的に上方に押し上げるものであって、支持手段で中和器を支持した状態にあっては、筺体内に中和器が傾斜した状態で設置される着脱姿勢をとることが可能であり、前記着脱姿勢の状態から、押上部材によって中和器底面を押し上げることで、支持手段と押上部材によって中和器底面が筺体内壁から離反し、且つ、筺体内に中和器を固定可能な固定姿勢へと移行可能であることを特徴とする中和器の固定構造である。
【0015】
本発明の中和器の固定構造は、筺体内に前記中和器を配したときに、中和器底面の少なくとも一部を筺体内壁から離反した位置に支持する支持手段により、筺体内に中和器が傾斜した状態で設置される着脱姿勢をとる。
このことにより、中和器の取り付け時に、中和器を傾斜した状態で筺体内に載置することができる。このとき、中和器上部もまた傾斜した状態となるので、中和器上部には、高さ方向の位置が高くなる部分と、低くなる部分とが形成される。ここで、中和器上部の高さ方向の位置が低くなる部分の上方には、広い空間が形成される。つまり、本発明の中和器の固定構造では、中和器を傾斜させることで、中和器上部の所定の一部分の上方に広い空間を確保することができる。このことにより、中和器を小さくしなくても、取付け作業を実施するための広い空間が確保できるので、中和器の取付け作業が容易になる。
【0016】
さらにまた、本発明の中和器の固定構造では、着脱姿勢の状態から押上部材で中和器の一部を押し上げることにより、中和器底面が筺体内壁から離反し、且つ、筺体内に中和器を固定可能な固定姿勢へと移行できる。このことにより、中和器を固定するときに底面が筺体内壁から離反した状態で固定することができるため、中和器内部のドレンの凍結を防止することができる。
具体的に説明すると、筺体設置場所の周辺温度が低い場合、筺体が周囲の冷たい空気に冷やされ、低温となってしまうことがある。このとき、筺体内壁と中和器底面とが面接触した状態で中和器が筺体内に載置されていると、低温となった筺体内壁によって中和器が冷やされてしまう。しかしながら、本発明の固定構造では、中和器底面を筺体内壁から離反した状態で固定できる。このため、周辺温度が低く、筺体の温度が低下している状況下であっても、中和器が冷やされることがないため、中和器内部のドレンが凍結してしまうことがない。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記着脱姿勢においては、中和器底面が前方側へ下り勾配となるように傾斜することを特徴とする請求項1に記載の中和器の固定構造である。
【0018】
かかる構成によると、前面に着脱可能な蓋体等を有し、前側部分を開放された状態とすることができる筺体において、特に中和器の着脱が容易となる。詳説すると、このような筺体では、中和器の取付け時、又は取り外し時において、作業者は筺体の前方から筺体内に中和器を取り付ける作業を行う。ここで、着脱姿勢において、中和器上部の前側部分が低い位置となり、前側部分の上方に広い空間が形成されるので、形成される広い空間は作業者に近い位置となる。このため、中和器の取付け作業が容易となる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記支持手段は、中和器を載置可能な板状部を有し、板状部は前端側が自由端となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の中和器の固定構造である。
【0020】
請求項3に記載の発明では、支持手段が中和器を載置可能であって、前端側が自由端となった板状部を有している。そのため、中和器を支持手段に載置したとき、中和器の自重によって支持手段が中和器を載置したまま傾斜し、それに伴って中和器が傾斜した状態となる。このように、中和器を載置するだけで中和器を傾斜した姿勢へと移行できるので、比較的簡単な構造で中和器の姿勢変更が可能となる。
また、中和器底面を板状体上に載置した状態で、着脱姿勢から固定姿勢へと移行することができる。そのため、中和器の取り付け作業を行う作業者は、着脱姿勢から固定姿勢へ移行するとき、板状体の姿勢を変更するだけで中和器の姿勢を変えることができ、中和器の位置決め作業等を必要としないので、着脱作業が容易になる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、前記押上部材は、前記固定姿勢において、着脱姿勢時から中和器又は支持手段の少なくとも一方を上方へ押し上げ、且つ、中和器を筺体内に一体に固定するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の中和器の固定構造である。
【0022】
かかる構成によると、着脱姿勢から固定姿勢へ移行するときに中和器の姿勢を変更するための押上部材により、筺体と中和器とを一体に取り付けることができる。そのため、姿勢変更のための押上部材と、固定用の固定部材とを別途設ける構成に比べ、部品点数を削減できる。また、中和器を筺体と一体に固定できるので、振動や衝撃に強い中和器の取り付けが可能となる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、前記中和器は鉤状の掛止片を備え、前記押上部材には前記掛止片と係合可能な係合孔部が形成されており、掛止片と係合孔部とが係合した状態で押上部材が中和器に取り付けられるものであって、中和器に押上部材が取り付けられた状態において、押上部材が中和器から前後方向及び上下方向に抜き取り不可能となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の中和器の固定構造である。
【0024】
かかる構成によると、押上部材を中和器から外れにくい状態で取り付けることができる。そのため、固定姿勢時に押上部材で中和器を押し上げた状態において、押上部材が外れにくく、中和器の姿勢をより強力に保持できる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、筺体内に燃料を燃焼するバーナと、バーナが作動して生成される燃焼ガスの主に潜熱を回収する熱交換器とを備えた熱源機であって、前記熱交換器で発生したドレンを中和するための中和器を備えており、請求項1乃至5のいずれかに記載の中和器の固定構造によって前記中和器が筺体内に固定されることを特徴とする熱源機である。
【0026】
本発明の熱源機は上記した請求項1乃至5のいずれかに記載の中和器の固定構造で中和器を固定しているので、中和器内部に溜まったドレンが凍結することなく、中和器の着脱作業が容易となる。このことにより、中和器内部の水抜きといった凍結防止のための動作を頻繁に行う必要がなく、また、設置作業時やメンテナンス時において施工業者の負担を軽減できるため、効率のよい運用が可能となる。さらに、筺体を小型化しても中和器の大きさを不必要に小さくする必要がない。このことにより、短期間に何度も中和剤を補填することなく、中和したドレンを十分に貯留した後で排出可能であるので、ドレンの排出動作を効率よく実施できる。さらに、中和器の高さを十分に確保できるので、中和器に水封構造を採用することが容易である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の中和器の固定構造は、中和器を傾斜した状態で筺体内に載置することで、中和器上部の所定部分の上方に、取付け作業を実施するための広い空間を確保することができる。このため、中和器の取付け作業が容易になるという効果がある。また、中和器を固定するとき、中和器底面が筺体内壁から離反した状態で固定できる。このため、周辺温度が低く、筺体温度が低下してしまった場合であっても、筺体によって中和器が冷やされることがなく、中和器内部に溜まったドレンが凍結しないという効果がある。
また、そのような中和器の固定構造で中和器を取り付けた本発明の熱源機は、中和器内部に溜まったドレンが凍結せず、中和器の着脱作業が容易であるため、効率のよい運用が可能となるという効果がある。さらに、中和器の大きさを不必要に小さくする必要がないので、ドレンの排出動作を効率よく実施でき、水封構造の採用が容易であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃焼装置を示す構成図であり、筺体の前方蓋部を外した状態を示す。
【図2】図1の中和器を示す斜視図である。
【図3】図2の中和器を別方向からみた斜視図である。
【図4】図2の中和器の係止突起の周辺を拡大して示す部分拡大図である。
【図5】図4の係止突起の右側面図である。
【図6】第1の実施形態で採用する中和器載置金具を示す斜視図である。
【図7】図6の中和器載置金具を後側からみた斜視図である。
【図8】第1の実施形態で採用する接続具を示す斜視図である。
【図9】図8の接続具を後側からみた斜視図である。
【図10】図8の接続具の右側面図である。
【図11】図1の筺体の底板部を示す斜視図である。
【図12】図11の底板部に中和器載置金具を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図13】図12のA−A断面図である。
【図14】底板部に中和器載置金具を取り付けた筺体に対して中和器を取り付ける様子を示す斜視図であり、燃焼装置の一部部材を破線で示す。
【図15】中和器載置金具に中和器を載置する様子を示す説明図であり、(a)〜(c)の順で中和器載置金具に中和器が載置される。
【図16】中和器載置金具上に中和器が載置された状態において、中和器及び底板部に対して接続具を取り付ける様子を示す斜視図であり、燃焼装置の一部部材を破線で示す。
【図17】中和器及び底板部に接続具を取り付ける様子を示す説明図であり、(a)〜(c)の順で接続具が取り付けられる。
【図18】中和器に接続具が取り付けられた状態において、上側部分を拡大した一部拡大斜視図である。
【図19】筺体内に中和器が取り付けられた様子を示す斜視図であり、燃焼装置の一部部材を破線で示す。
【図20】本発明の第2の実施形態に係る中和器を下方側からみた斜視図である。
【図21】図20の中和器の右側面図である。
【図22】第2の実施形態に係る筺体の底板部を示す斜視図である。
【図23】第2の実施形態に係る中和器を底板部に載置する様子を示す説明図であり、(a)〜(c)の順で中和器が載置される。
【図24】第2の実施形態に係る筺体の底板部であって、図22とは異なる形態の底板部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の第1の実施形態にかかる燃焼装置1(熱源機)と、この燃焼装置1における中和器15の取り付け構造について詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また以下の説明において、上下左右の位置関係については特に断りのない限り通常の設置状態を基準として説明する。
【0030】
燃焼装置1は、図1に示すように、筺体2の内部に燃焼部3と、主に顕熱を回収する一次熱交換器4と、主に潜熱を回収する二次熱交換器5(熱交換器)とを備えた所謂潜熱回収型と称される燃焼装置である。
【0031】
筺体2は、いずれも長方形板状である天板部10、底板部11、2つの側壁部12,12、前方蓋部(図示せず)、背板部13から構成されている。これらは天板部10、底板部11、2つの側壁部12,12、背板部13で囲われて正面が開放された箱体を形成しており、前方蓋部は正面の開放部分を覆うように取付け可能となっている。
そして、燃焼装置1の使用時においては前方蓋部を装着し、メンテナンス等を行う際には前方蓋部を取り外して使用する。なお前方蓋部を取り外すと、天板部10,底板部11,2つの側壁部12,12、前方蓋部(図示せず)、背板部13によって囲まれた部分に形成される内部空間17と、当該内部空間17に内蔵された各機器が露出した状態となる。
【0032】
燃焼部3は、図示しないバーナによって、下方に向けて火炎を形成可能となっている。即ち、燃焼部3は、所謂逆燃焼式バーナを備えた構成となっている。
【0033】
また、燃焼装置1では、燃焼部3が筺体2の上端よりに位置しており、燃焼部3の下方に一次熱交換器4が位置している。さらに、一次熱交換器4の下方に二次熱交換器5を収納する収納ケース7があり、収納ケース7の上側であって一次熱交換器4の側方に消音部8が位置している。また、消音部8の上方には排気部9が設けられており、排気部9は筺体2の天面から上方に突出している。
そして、燃焼部3の内部から一次熱交換器4、収納ケース7、消音部8、排気部9の各内部を連通する空間が形成され、燃焼部3で発生した燃焼ガスが流動可能となっている。
【0034】
したがって、この燃焼装置1を稼働すると、燃焼部3で発生した燃焼ガスが一次熱交換器4、収納ケース7、消音部8へと流れ、排気部9へと至る。そして、排気部9の上方に形成された排気口から外部へ放出される。その一方、外部から供給されてきた湯水が入水配管(図示せず)を介して二次熱交換器5へと供給される。そして湯水が二次熱交換器5を経て一次熱交換器4に流入する。このとき、二次熱交換器5及び一次熱交換器4で回収した燃焼ガスの熱によって湯水が加熱される。そして、加熱された湯水は一次熱交換器4の出水口から流出し、給湯先となるカランや浴槽等に向けて供給される。
【0035】
ここで前記したように、二次熱交換器5は燃焼ガスの主に潜熱を回収するので、二次熱交換器5では燃焼ガスの温度が一定値以下に低下する。そのことにより、燃焼ガスに含まれる水蒸気が液化してドレンが発生する。そして発生したドレンは、燃焼ガスに晒されることにより、燃焼により生成された窒素酸化物が溶け込んで酸性を呈する。
【0036】
そこで、本実施形態の燃焼装置1は、発生したドレンを中和し、外部に排出するためのドレン排出系統6を備えた構成となっている。
【0037】
ドレン排出系統6は、ドレンの流れ方向上流側から順番に、収納ケース7の底部に形成された図示しないドレン排出部と、ドレンホース14と、中和器15と、下流側配管部材16によって構成されている。
【0038】
ドレンホース14は、合成ゴム、塩化ビニル等の適宜の樹脂によって形成され、可撓性を有する配管部材となっている。
【0039】
そして、ドレン排出系統6では、ドレン排出部(図示せず)から排出されたドレンが、ドレンホース14を介して中和器15に流入する。
【0040】
このとき、中和器15の内部空間は、仕切り壁によって複数の空間に区切られており、少なくとも1つ以上の空間に中和剤が充填されている。そして、流入したドレンは、この複数の空間を順次流れていく。このとき、各空間では、空間内に流れ込んだドレンが一旦留まり、一定以上の水位になると空間外へと流出する。即ち、中和器15内に流入したドレンは、中和器15内のそれぞれの空間に、所定時間留まった後で流出することになる。したがって、中和剤が充填された空間をドレンが通過するとき、時間をかけてゆっくりと通過する。また、ドレンは、空間内に留まっている間に中和剤と反応することで中和される。
【0041】
つまり、中和器15に流入したドレンは、中和器15内に所定時間貯留され、貯留されている間に中和剤と反応して中和される。そして、中和されたドレンは、中和器15の排出口まで流れていき、中和器15の排出口から下流側配管部材16を介して筺体2の外部へ排出される。
【0042】
ここで、中和器15は、中和器載置金具20(支持手段)と接続具21(押上部材)とを介して、筺体2の内部空間に取付けられている。本実施形態の特徴的な部分たる、中和器15の筺体2への取り付け構造について、以下で詳細に説明する。
【0043】
まず、中和器15、中和器載置金具20(図1では図示せず)、接続具21のそれぞれの部材について説明する。
【0044】
中和器15は、図1で示されるように、燃焼装置1の下端近傍であり、収納ケース7よりやや低い位置に設置される。なお、中和器15は、配管、ポンプといった燃焼装置1の運転に関し、水の流れを形成するための機器に周囲を囲まれた位置に配置されている。
【0045】
そして、中和器15は、図2で示されるように、本体部23と蓋部24から形成される箱状の部材であり、内部に液体を貯留可能となっている。より具体的には、底面部25の縁部分に立設された4つの側壁部26(26a,26b,26c,26d)によって、上方が開放された(開放された部分については図示せず)箱体たる本体部23が形成され、本体部23の開放された部分を蓋部24が覆っている。そして、本体部23と蓋部24とは着脱可能に取り付けられている。
【0046】
ここで、中和器15の本体部23の底面部25は、図3で示されるように、中和器15の底面を形成する外形が略台形板状の部材である。ここで、中和器15の底面に注目すると、中和器15の底面から略垂直下方へ突出する2つの水抜栓取付部36,37が、それぞれ中和器15の底面と一体に形成されている。
【0047】
2つの水抜栓取付部36,37は、円筒状の突起であり、径方向の中心に中和器15の本体部23の内外を貫通する貫通孔36a,37aが設けられている。この貫通孔36a,37aの内周面には、ネジ山等の取付け用の機構(図示しない)が形成されており、水抜栓40,41(図1参照)が取り付け可能となっている。
ここで、図3で示されるように、2つの水抜栓取付部36,37は、その一つ(水抜栓取付部36)が中和器15の底面における左右方向(底面部25、中和器15の長手方向)の片側端部よりの部分であって、前端部近傍に形成されている。対して、他の一つ(水抜栓取付部37)は、中和器15の底面における左右方向(底面部25、中和器15の長手方向)の他方側端部よりの部分であって、後端部近傍に形成されている。
【0048】
ところで、本体部23の4つの側壁部26(26a,26b,26c,26d)のうち、前方に位置する側壁部26aに注目すると(図2参照)、この側壁部26aの左右方向(側壁部26aの長手方向)の中心よりやや片側端部よりの位置であって、側壁部26aの上端部分に、前方上側へ突出する掛止突起27が設けられている。
【0049】
掛止突起27は、図4で示されるように、中和器15の側壁部26aから略垂直前方へ突出した平板状の中心板部30と、中心板部30から上方へ突出する立板部31と、中心板部30の下方に形成された2つのリブ板部32,32を有しており、これらが一体となるように形成されている。
【0050】
中心板部30は、掛止突起27全体における高さ方向の略中心部分に位置しており、上記したように、中和器15の側壁部26aから略垂直前方へと突出している。即ち、中心板部30は、突出方向の基端部分(後端部分)で側壁部26aと略垂直に交わっている。
【0051】
立板部31は、図4,図5で示されるように、側壁部26aと対向するように設けられた平板状の部分であり、中心板部30上面の前端側から上方に突出している。より具体的には、図5で示されるように、中心板部30の上面のうち、前端から前後方向の中心よりやや後方までの部分から、上方に突出している。そのため、立板部31の後方側には、立板部31と、中心板部30と、中和器15とによって囲まれた空間34が形成されている。
【0052】
ここで、立板部31の後端面を形成する部分31aは、中心板部30から垂直上方に突出している。そして、立板部31の前端面を形成する部分31bは、中心板部30から後方上側へ突出している。即ち、立板部31の前端面を形成する部分31bは、立板部31の後端側へ突出するものであり、立板部31の厚さは、上部に向かうにつれて薄くなっている。換言すると、立板部31の前後方向の長さは、上部に向かうにつれて短くなっている。
【0053】
そして、図4で示されるように、立板部31の上端部分に注目すると、上端面の左右方向(高さ方向及び前後方向に直交する方向)の略中心部分から、略垂直下方に向かって延びる取付溝35が設けられている。この取付溝35は、立板部31を厚さ方向(前後方向)に貫通するものであり、下端部分は下方に向かって凸となるように丸みを帯びている。
【0054】
2つのリブ板部32,32は、図4で示されるように、中心板部30の下面と中和器15の側壁部26aとに一体に形成された板状の部分であり、それぞれ中心板部30の下面及び中和器15の側壁部26aと略垂直に交わっている。そして、この2つのリブ板部32,32は、左右方向で対向するように設けられ、それぞれ上下方向に延びている。これら2つのリブ板部32,32は、いずれも、掛止突起27の中心板部30と立板部31によって形成される部分、即ち、断面略L字状で左右方向に延びる鉤状の部分の剛性を高めるために形成されている。
【0055】
中和器15の蓋部24には、図2で示されるように、ドレンホース14(図1参照)を取付け可能なドレン導入部43と、内部に湯水を供給するための補水配管を取付け可能な湯水供給部44が形成されている。そして、蓋部24には、図示しない水位検出機構の一部たる、4つの電極45がそれぞれ所定の間隔を空けて一体に取り付けられた電極配置領域46が形成されている。
即ち、本実施形態の中和器15は、電極45によって、本体部23の内部に貯留されたドレンの水位を検知可能な構成となっている。また、本実施形態の中和器15は、外部から内部に湯水を流入可能な構成となっており、内部に湯水を供給することで中和器内の所定の部分を所定の水位まで満たすことで、ドレン排出系統6(図1参照)において中和器15より下流側へ燃焼ガスを流入させない水封構造を形成可能となっている。
【0056】
ドレン導入部43は、図2に示されるように、上下方向に延びる円筒状の挿入部48と、挿入部48を取り囲むように位置する溝部49とを有している。
【0057】
次に、中和器15を筺体2内に設置するとき、中和器15を載置するための中和器載置金具20について、図6,図7を参照しつつ説明する。
【0058】
中和器載置金具20は、金属薄板を打ち抜き加工後に曲げ加工して製されたものであり、略長方形平板状の載置板部52(板状部)と、載置板部52の後端部と連続する4つの支持脚部53を備えている。
【0059】
載置板部52は、その長手方向の片側端部(左右方向における右側端部)が、やや上側へ折り曲げられている。そして、載置板部52の折り曲げられた端部から長手方向のやや中心よりの部分には、載置板部52の前端から後方に向かって延びる、前後に長い溝状の第1の切り欠き54が形成されている。
また、載置板部52の長手方向の他方端部(左右方向における左側端部)は、略長方形状に前後方向に切り欠かれている。そして、切り欠かれた部分の後端が位置する部分A1からさらに後方に向かって延びる、前後に長い溝状の第2の切り欠き55が形成されている。
また、載置板部52の前端には、長手方向の中心からやや第2の切り欠き55が形成されている端部よりの部分に、前方へ突出する突出板部57が設けられている。
【0060】
第1の切り欠き54と第2の切り欠き55は、いずれも載置板部52を上下方向に貫通しており、その開口の後端部分は後方に凸となるように丸みを帯びている。
【0061】
突出板部57は、平面視の外形が略「凸」字状の板状体であり、周辺の部分より前方へ突出している。
【0062】
4つの支持脚部53は、図6,図7で示されるように、それぞれ、その一部が載置板部52の後端側と連続しており、所定の間隔を空けて並列して設けられている。また、4つの支持脚部53は、いずれも、載置板部52の後端側から略垂直下方へと突出する立壁部59と、立壁部59の下端から略垂直後方へ突出する平板状の接地板部60から形成されている。このとき、4つの支持脚部53は、それぞれ立壁部59の左右方向の長さと、接地板部60の形状がそれぞれ異なっている。
【0063】
4つの支持脚部53(53a,53b,53c,53d)につき、それぞれ説明する。なお、説明の便宜上、載置板部52の長手方向の端部のうち、第1の切り欠き54が形成された端部に最も近接した位置に形成される支持脚部53を第1の支持脚部53aとし、以下他方端部側に向かってそれぞれ第2の支持脚部53b、第3の支持脚部53c、第4の支持脚部53dとする。
【0064】
第1の支持脚部53aの接地板部60aは、略長方形平板状となっており、その前端部分は、長手方向(左右方向)の片側端部(左端側)から中心近傍までの部分で立壁部59aと連続している。したがって、接地板部60aは、一部分が立壁部59a下端の後方側に位置し、他の部分が立壁部59a下端の後方側より外側側方(右側)に位置している。
そして、接地板部60aの長手方向の他方端部(右端部側)よりの位置には、前後方向の中心近傍に、接地板部60aの天面から底面までを高さ方向に貫通する、開口形状が円形の貫通孔61が形成されている。
【0065】
第2の支持脚部53bの接地板部60bは、平面視が略「凹」字状の板状の部材であって前端部で立壁部59bと連続している。より詳細には、この接地板部60bには長手方向の略中心部分に、後端部から前方へ向かって延びる略台形状の切り欠き62が設けられている。なおこの切り欠き62の左右方向(接地板部60bの長手方向)の長さは、後端部側が最も広く、前端側に向かうにつれて狭くなり、前端部側が最も狭くなっている。
【0066】
第3の支持脚部53cの接地板部60cは、略長方形平板状となっており、前端部で立壁部59cと連続している。また、この接地板部60cの長手方向と短手方向(前後方向)のそれぞれ略中心に位置する部分には、接地板部60cの天面から底面までを高さ方向に貫通する、開口形状が円形の貫通孔63が形成されている。
【0067】
第4の支持脚部53dの接地板部60dは、略長方形平板状となっており、前端部で立壁部59dと連続している。
【0068】
ここで、4つの支持脚部53(53a,53b,53c,53d)の立壁部59(59a,59b,59c,59d)の左右方向(長手方向)の長さに注目すると、短い順に、第1の支持脚部53aの立壁部59a、第3の支持脚部53cの立壁部59c、第4の支持脚部53dの立壁部59d、第2の支持脚部53bの立壁部59bとなっており、第1の支持脚部53aの立壁部59aが最も短く、第2の支持脚部53bの立壁部59bが最も長い状態となっている。なお、第2の支持脚部53bの立壁部59bの左右方向の長さと、第4の支持脚部53dの立壁部59d左右方向の長さとは、近似している。
【0069】
ところで、特に限定されるものではないが、中和器載置金具20の載置板部52の裏面には、ヒータ装置(図示せず)を取り付ける構成が考えられる。具体的に説明すると、図1で示されるように、燃焼装置1の筺体内において中和器15が載置される部分の周囲には、湯水が流れる配管部材やポンプといった、内部を湯水が流れる部材が配されることが多い。この場合、上部に中和器15を載置する載置板部52の裏面にヒータ装置を取り付けると、載置板部52の上部に位置する空間、即ち、中和器15近傍の空間を温めることができるので、配管部材やポンプといった湯水が内部を流れる部材を昇温することができる。このため、これらの部材内部の湯水の凍結を確実に防止できる。即ち、燃焼装置1を長期間使用しない等の理由により、配管部材やポンプ等の内部に残ってしまった湯水の凍結を阻止できる。
【0070】
また、このとき取り付けるヒータ装置(図示せず)も、特に限定されるものではないが、長尺状の電熱線を、アルミニウム等の金属を略箔状にしたものや、ゴムや合成樹脂等の耐熱性及び可撓性を備えた原料を板状に形成したものを介して、載置板部52の裏面に張り付けるヒータ装置等が好適に採用できる。
【0071】
続いて、接続具21について説明する。
【0072】
接続具21は、図8,図9で示されるように、金属薄板を打ち抜き加工後に曲げ加工して製されたものであり、左右方向に間隔を空けて対向するように位置する2つの脚部66,66と、2つの脚部66,66の間に位置して2つの脚部66,66の前端部分を連続するように設けられる平板状の正面板部67と、2つの脚部66,66及び正面板部67の上方に位置する上方板部69を有している。
【0073】
2つの脚部66,66は、図8,図9で示されるように、それぞれ外形が略「L」板状であり(図10参照)、接続具21全体の左右方向の両端部分にそれぞれ位置して、対向するように設けられている。具体的には、脚部66は、後方へと突出し、高さ方向へ延在するように設けられた略長方形平板状の側壁形成部70と、側壁形成部70の下端部分から後方へと突出する略長方形平板状の押上片部71によって形成されている。このとき、側壁形成部70の上端部分は、後方部分が切り欠かれて前後方向の長さが短くなっている。また、押上片部71の突出端部は、丸みを帯びており、後方へ向かって凸となっている(図10参照)。
【0074】
正面板部67は、図8,図9で示されるように、鉛直姿勢の長方形平板状の部材であって、2つの脚部66,66の上端から下端よりやや上方までの部分と略垂直に交わっている。ここで、図8,図10で示されるように、正面板部67の下端部67aは、前側へ向かって折り曲げられている。そのため、正面板部67の下端部67aは、上側に位置する他の部分から前側下方へと突出し、上下方向及び前後方向に対して傾斜している。ここで、正面板部67の下端部67aには、傾斜方向に略垂直であって、正面板部67の下端部67aを厚さ方向に貫通する貫通孔72が形成されている。
【0075】
上方板部69は、図8で示されるように、正面板部67の上端を略垂直後方へと折り曲げて形成される段差部73と、段差部73の後端部分をさらに略垂直上方へと折り曲げて形成される上側立板部74によって形成されている。
【0076】
段差部73は、後述する係合孔部76によって、左右方向の中心部分が切り欠かれており、左右方向の両端部にそれぞれ長方形平板状の小片が水平に配されている。
【0077】
上側立板部74は、段差部73の後端側から立ち上げられた、長方形平板状の部分である。この上側立板部74は、図10で示されるように、接続具21全体の前後方向の略中心近傍で、上方に突出している。ここで、図8で示されるように、上側立板部74の上端部分よりやや下方の部分であって、左右方向の略中心部分には、上側立板部74を前後方向(厚さ方向)に貫通する開口形状が円形の貫通孔75が設けられている。
【0078】
ここで、接続具21の上方部分に注目すると、図8で示されるように、接続具21を前後方向(厚さ方向)に貫通する貫通孔である係合孔部76が設けられている。この係合孔部76は、正面視が略長方形状であって、上側立板部74の下端近傍から、段差部73を経由し、正面板部67の上端からやや下方側の部分まで延びている。そして、これらの部分を左右方向の両端部分を残して開口している。即ち、接続具21の左右方向(幅方向)の中心と、係合孔部76の開口の左右方向(幅方向)の中心とは、略同一となっている。
【0079】
次に、中和器載置金具20と接続具21によって中和器15を筺体2へ取り付けるときの、取り付け手順を説明する。
【0080】
本実施形態では、中和器15の取り付けに先だって、筺体2の底板部11(図1参照)に中和器載置金具20を取り付ける。
【0081】
まず、筺体2の底板部11の構造について詳細に説明する。
【0082】
筺体2の底板部11は、図11で示されるように、筺体2の内部空間17(図1参照)にあって、下方を閉塞する長方形平板状の底面形成板部79(筺体内壁)と、底面形成板部79の縁部部分から上方に突出し、底面形成板部79の上方を環状に取り囲む4つの立壁部80(80a,80b,80c,80d)を有している。ここで、前方側に位置する立壁部80aには、その上端部分から略前方へ向かって突出する長方形平板状の前方突出板部81が連続している。即ち、底板部11の前端には、立壁部80aと前方突出板部81によって形成される段差が設けられている。
【0083】
この筺体2の底板部11では、底面形成板部79の長手方向(左右方向)の片側端部(左端部)よりの部分が、中和器15を設置するための中和器設置領域82となる。より具体的には、中和器設置領域82は、底面形成板部79の前端よりやや後方の部分から、前後方向の中心よりやや後方の部分までの間であって、且つ、底面形成板部79の長手方向(左右方向)の片側端部(左端部)から、底面形成板部79の長手方向(左右方向)の中心近傍までの間に形成されている。
【0084】
ここで、中和器設置領域82の長手方向(左右方向)の片側端部(左側端部)よりの部分では、その後端近傍に、底面形成板部79の天面から底面までを貫通する開口形状が円形の貫通孔である、水抜栓挿通孔88が形成されている。また、中和器設置領域82の長手方向(左右方向)の他方端部(右側端部)よりの部分であって、その前端近傍にも、同様の貫通孔である水抜栓挿通孔89が形成されている。
【0085】
また、中和器設置領域82の前方側の部分には、底面形成板部79の一部を切り起こして形成される突出片である接続具用固定片83が設けられている。この接続具用固定片83は、長方形平板状の部分が後側上方へ突出するように切り起こされて形成されるものであり、傾斜方向に略垂直な方向に接続具用固定片83を貫通する固定用貫通孔84を有している。
【0086】
そして、中和器設置領域82の後方側の部分には、2つの金具固定用貫通孔85,87と、2つの金具固定用貫通孔85,87の間に位置する金具係止片86とが、所定の間隔を空けて左右方向(底面形成板部79の長手方向)で列状に配されている。
【0087】
金具固定用貫通孔85,87は、底面形成板部79を貫通する開口形状円形の貫通孔である。
【0088】
金具係止片86は、底面形成板部79の一部を長方形平板状の部分が略垂直上方へ突出するように切り起こされて形成される突出片である。
【0089】
以上で、筺体2の底板部11の構造の説明を終了する。
【0090】
そして、この筺体2の底板部11に、図12で示されるように、中和器載置金具20を取り付けた状態とする。
【0091】
このとき、中和器載置金具20の支持脚部53のうちの1つ(支持脚部53c)に形成された切り欠き62に、底面形成板部79の金具係止片86が嵌り込んだ状態となる。このことにより、中和器載置金具20が底板部11に対して位置決めされる。
【0092】
また、中和器載置金具20の支持脚部53のうちの他の2つ(支持脚部53a,支持脚部53c)にそれぞれ1つずつ形成された貫通孔61,63と、底面形成板部79の金具固定用貫通孔85,87とが、それぞれ一体の連通孔を形成する。この一体に形成された連通孔にネジ等の締結要素を挿通して、中和器載置金具20と底面形成板部79とを一体に取り付けた状態とする。
なお、締結要素とは、ネジ、釘、ボルト等の上位概念とし、このことは、以下の説明においても同様であるものとする。
【0093】
このように中和器載置金具20が底面形成板部79に取り付けられると、支持脚部53と連続する載置板部52の後端が固定端となり、対になる載置板部52の前端が自由端となる。
【0094】
また、中和器載置金具20の載置板部52に形成された第1の切り欠き54、第2の切り欠き55の下方に、底面形成板部79の水抜栓挿通孔89,88がそれぞれ位置する。このため、2つの水抜栓挿通孔89,88は、上方に露出した状態となる。また、中和器載置金具20の突出板部57が、底面形成板部79の接続具用固定片83のやや後方に位置した状態となる。
【0095】
このとき、図13で示されるように、中和器載置金具20の載置板部52の高さと、筺体2の底板部11の前方に形成された前方突出板部81の高さとが略同一となっている。換言すると、中和器載置金具20の高さは、底板部11の前方に形成される段差の高さと略同一となっている。また、載置板部52の下方側であって、載置板部52と底面形成板部79の間に空間91が形成される。この空間91の高さは、特に限定されるものではないが、5mm程度(5mm程度とは、例えば、5mmからプラスマイナス2mm程度の誤差を許容する範囲)であることが望ましい。
【0096】
このように、予め筺体2の底板部11に中和器載置金具20を取り付けた状態において、筺体2への中和器15の取付け作業を実施する。
【0097】
中和器15を筺体2へ取り付けるとき、図14,図15(a)で示されるように、筺体2の前方側から後方へ向かって中和器15を水平移動させて、中和器15を中和器載置金具20の載置板部52上へと移動させる。
【0098】
ここで本実施形態では、上記したように、中和器載置金具20の載置板部52の高さが底板部11の前方に形成される段差の高さ(前方突出板部81の高さ)と略同一となっている(図13参照)。そのため、中和器15の下端(図3の水抜栓取付部36,37の下端)が前方突出板部81の高さと略同一(やや高い)となる高さで中和器15を水平移動させれば載置板部52上に載置可能となっている。換言すると、比較的低い位置で中和器15を移動して載置板部52上に載置できる構成となっている。
【0099】
このことにつき、具体的に説明すると、仮に中和器載置金具20の中和器15を載置するための部分が前方突出板部81の高さより高い場合について考えると、この場合、中和器15をより高い位置に大きく持ち上げてから移動させる必要がある。しかし、図1で示されるように、中和器15の設置位置の上方には、他の機器や配管が設けられていることが多く、中和器15をより高い位置に持ち上げてから移動させたのでは、中和器15と他の機器等との距離が近くなり、中和器15を移動させることが困難となる。即ち、他の機器等をよけるために中和器15の姿勢を変更しながら筺体2の奥側(後方側)へ移動する必要が生じたりすることが考えられる。
【0100】
これに対して本実施形態では、筺体2の下面を形成する底板部11において、中和器15の挿入方向の基端となる前方側で最も高い部分と、載置板部52の高さとが略同じであるため、中和器15を大きく持ち上げずに水平移動するだけで載置板部52上に載置できる。つまり、本実施形態では、中和器15を移動させやすい位置で移動させるので、水平移動という比較的簡便な移動方法で中和器15を移動させることが可能となり、その結果、より簡単に中和器15を載置板部52上に載置できる。
【0101】
さらに、図15(b)で示されるように、中和器15を載置板部52上に載置させる。このとき、載置板部52の第1の切り欠き54,第2の切り欠き55(図6参照)に、中和器15の水抜栓取付部36,37(図3参照)が嵌り込んだ状態となる。より具体的には、中和器15が後方へ水平移動していくことで、中和器15の水抜栓取付部36,37が第1の切り欠き54,第2の切り欠き55に入り込んでいき、第1の切り欠き54,第2の切り欠き55のそれぞれの後端部分に中和器15の水抜栓取付部36,37が当接することで、中和器15を後方へ移動できなくなる。この状態で、中和器15を載置板部52上に載置すると、第1の切り欠き54,第2の切り欠き55に、水抜栓取付部36,37が嵌り込む。
このように、本実施形態では、中和器15を水平移動させるだけで中和器15の載置板部52に対する位置決めが可能であり、中和器15の載置板部52上への載置作業が容易に実施できる。このとき、中和器15の底面部25が載置板部52上に載置され、水抜栓取付部36,37が載置板部52の下端部分に位置する。
【0102】
このように、中和器15を載置板部52上に載置させると、図15(c)で示されるように、中和器15の自重によって、片側が自由端となっている載置板部52が前方側に下り勾配となるように傾斜する。このことにより、載置板部52に載置された中和器15もまた、載置板部52と共に傾斜した姿勢(着脱姿勢)となる。すると、中和器15の前端側の上方、即ち、傾斜により下方へと沈んだ部分の上方に、より広い空間が形成される。換言すると、中和器15の前端が下方へと沈んだ分、中和器15の前端上側の部分の空間が広くなる。
【0103】
この中和器15が傾斜した状態で、収納ケース7と中和器15間をドレンホース14によって接続する(図1参照)、湯水供給部44(図2参照)へ配管を取付けるといった、筺体2内部に配された他の機器に対する中和器15の取付け作業を実施する。より具体的には、作業者は、中和器15の前端上側に手や器具を入れてこれらの作業を実施する。このとき、中和器15の前端上側の部分の空間が広くなっているので、作業者は、この取り付け作業をし易くなっている。
【0104】
引き続いて、接続具21によって中和器15を筺体2に対して強固に固定する。
【0105】
具体的には、図16、図17(a)で示されるように、前方上側から接続具21を中和器15へと近接させる。このとき、接続具21は前面(正面板部67の前面)が上方を向くように傾けられて、係合孔部76の後端側(図17(a)においては下方側)に位置する開口から、中和器15の掛止突起27を挿通した状態とする。
【0106】
そして、図17で示されるように、係合孔部76に中和器15の掛止突起27を挿通した状態で、接続具21の姿勢を変更しつつ移動させていく。具体的には、接続具21を縦方向に回動させつつ、筺体2の後方(中和器15へ近接する方向)へ移動させて、接続具21の姿勢を傾けられた状態から元の直立した状態へと移行させていく。そして、図17(c)で示されるように、接続具21を直立した姿勢とし、接続具21の押上片部71を中和器載置金具20の突出板部57の下方へ押し入れた状態とする。
【0107】
なお、このとき、図17(b)で示されるように、載置板部52の前端と底面形成板部79の間にわずかに隙間ができるように載置板部52が傾斜していることが望ましい。すなわち、載置板部52の前端と底面形成板部79の間にわずかに隙間が形成されていると、押上片部71の突出板部57の下方へ押し入れが容易となる。
これに対し、仮に載置板部52の前端と底面形成板部79の間に隙間がなく、両者が密着している構成であってもかまわない。その場合、作業者は手や器具で突出板部57を上方へ押し上げつつ、押上片部71を突出板部57の下方へ挿入する。
【0108】
この状態においては、押上片部71が中和器載置金具20の載置板部52の前端部分を上方へと押し上げることで、載置板部52が上方へ向かって後端部分(支持脚部53と連続する部分)を支点に上方へ回動し、図17(b)、図17(c)で示されるように、載置板部52が傾斜した状態から略水平となる状態へと移行する。換言すると、載置板部52の前端部分が押上片部71によって支持されるので、押上片部71と支持脚部53によってそれぞれ前端部と後端部とを支持された載置板部52が、底面形成板部79から離反した状態となる。これに伴い、載置板部52に載置された中和器15もまた、載置板部52と共に底面が略水平となる姿勢(固定姿勢)となる。このように中和器15を載置する載置板部52を底面形成板部79から離反した状態とすると、中和器15と底面形成板部79の間に空間91が形成される。換言すると、中和器15と底面形成板部79の間に空気の層が形成される。
このため、仮に燃焼装置1の設置位置周辺の温度が低下し、底面形成板部79(筺体2)が低下した大気によって冷やされた場合であっても、中和器15と底面形成板部79(筺体2)の間に形成される空気の層が冷気の伝導を遮断するので、底面形成板部79(筺体2)によって中和器15が冷却されることがない。このことにより、中和器15の内部のドレンの凍結を防止できる。
【0109】
また、この状態においては、接続具21の係合孔部76と中和器15の掛止突起27とが係合することにより、接続具21が中和器15から前後左右方向及び上下方向に外れない状態となっている。
具体的に説明すると、この状態においては、図18で示されるように、掛止突起27の後方側に形成される空間34に、接続具21の上側立板部74が位置した状態となる。そして、掛止突起27の中心板部30とリブ板部32の一部が接続具21の係合孔部76の内側部分に位置し、中心板部30とリブ板部32の前端部近傍と係合孔部76の前端部近傍とが、略同一となる状態となる。また、掛止突起27の中心板部30は、接続具21の段差部73と並列して配された状態となる。
このように取り付けると、接続具21を前後、左右、上下のいずれかの方向へ移動させようとした場合、接続具21は、中和器15の本体部23、蓋部24、掛止突起27のいずれかの部分に当接してその移動を阻止される。即ち、鉤状の掛止突起27を接続具21の係合孔部76に挿通し、掛止することで、接続具21の中和器15に対する相対的な移動を制限して接続具21が中和器15から外れにくい構成としている。
このことにより、接続具21と中和器15とを強固に固定可能となる。
【0110】
さらに、この状態(図17(c)で示される状態)においては、接続具21の正面板部67の後側から接続具用固定片83が接触するので、接続具21の下端部分の後方側への移動が規制される状態となる。このような構成によると、接続具21の位置決めが容易となる。
【0111】
そして、図17(c)で示されるように、接続具21と中和器15、底板部11とをビス等の締結要素で固定する。
【0112】
詳説すると、接続具21を中和器15と係合させ、その一部(押上片部71)を中和器載置金具20の下方へ押し入れた状態で、筺体2の後方へと移動させると、接続具21の上部に位置する貫通孔75と中和器15の掛止突起27に形成された取付溝35とが重なって1つの連通孔を形成する。加えて、接続具21の下部に位置する貫通孔72と、底板部11の接続具用固定片83に形成された固定用貫通孔84とが重なって1つの連通孔を形成する。このとき、上側に形成される連通孔は前方に向かって開口しており、下側に形成される連通孔は前方上側へ向かって開口している。換言すると、形成される連通孔はいずれも前側に向かって開口しており、ビス等の締結要素の取り付け方向は、いずれも前方から後方へと向かう方向となる。このため、作業者は筺体2の前方側で締結要素による固定作業を実施できるので、固定作業が容易になる。
このことにつき、具体的に説明すると、仮に接続具21の側方に連通孔の開口が位置する場合、作業者は、接続具21の側方に手を回し入れた状態で締結要素による固定作業をしなければならない。このとき、手を回し入れる筺体2の内部側の部分は、広く開放された筺体2の前側部分より狭くなるので、固定作業が困難となる。これに対して、本実施形態では、広く開放されている筺体2の前側部分に作業者の手を位置させたままで作業できるため、締結要素の固定作業が容易となる。
【0113】
このようにして、接続具21と中和器15、底板部11とを固定することで、図19で示されるように、中和器15の筺体2への取り付けが完了する。
【0114】
以上で、中和器載置金具20と接続具21によって中和器15を筺体2へ取り付けるときの取り付け手順についての説明を終了する。
【0115】
上記した第1の実施形態では、中和器載置金具20の板状の載置板部52に中和器15を載置し、載置板部52の姿勢を変更することで、中和器15の姿勢を傾斜させた姿勢(着脱姿勢)から、底面が水平となる姿勢(固定姿勢)へと移行する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。即ち、本発明の支持手段は、中和器載置金具20でなくてもよい。
以下で、第1の実施形態とは異なる支持手段を有する第2実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、上記した第1実施形態と同様の部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0116】
第2の実施形態では、図20で示されるように、中和器115の底面部125の後端近傍に2つの脚部120(支持手段)が設けられており、この2つの脚部120(120a,120b)は、中和器15の長手方向(左右方向)に間隔を空けて配されている。
より具体的には、図21で示されるように、脚部120は、中和器115の底面部125に一体に取り付けられる接続部121と、接続部121から下方に離れた位置に形成され、中和器15の底面部125と平行となる接地面122aを形成する接地部122と、接続部121と接地部122の間で両者と一体に連続する立脚部123を備えている。
【0117】
また本実施形態では、図22で示されるように、筺体2の底板部111に、断面略「L」字状で左右方向(底板部111及び底面形成板部179の長手方向)に延びる中和器制止片118が、スポット溶接等の適宜な手段で底面形成板部179と一体に取り付けられている。このとき、中和器制止片118は、長方形平板状の部分が底面形成板部179の上面から上方へ突出するように取り付けられている。
【0118】
続いて、本実施形態の中和器115を筺体2の底板部111に取り付けるときの手順について説明する。
まず、図23(a)で示されるように、筺体2の前方側から後方側(図23の左側から右側)へ向かって、中和器115を水平移動させる。中和器115を水平移動させ続けると、中和器115の後端側に位置する側壁部26cが、中和器制止片118に当接し、中和器115の後方への移動が阻止される。このことにより、中和器115が底板部111に対して位置決めされる。即ち、本実施形態では、中和器115を後方側へ水平移動させるだけで位置決め可能であるため、中和器115の位置決めが容易な構成となっている。
【0119】
そして、図23(b)で示されるように、中和器115を底面形成板部179の上面に載置する。すると、中和器115の底面部125の後端部分にのみ脚部120が設けられているので、中和器115の底面部125の後端部分と底面形成板部179の間に脚部120が位置する。このため、図23(c)で示されるように、中和器115の底面部125の前端部分は底面形成板部179に直接接触し、中和器115の底面部125の後端部分は底面形成板部179と脚部120を介して接触する。換言すると、中和器115の底面部125の後端部分は底面形成板部179と直接接触せず、底面形成板部179の天面から上方に離反した位置にある。このことにより、底面形成板部179の上面に載置された中和器115は、前方側に下り勾配となるように傾斜された姿勢(着脱姿勢)をとる。
【0120】
そして、図23(c)で示される状態から接続具21を取り付ける(図示せず)。なお、このとき、接続具21の押上片部71(図8参照)は、直接中和器115の底面部125を押し上げるように配されるものとする。そして、接続具21を締結要素等を介して中和器115、底板部111に一体に固定する。
【0121】
このことにより、中和器115を筺体2の底板部111に取り付けるときの手順について説明、並びに第2の実施形態についての説明を終了する。
【0122】
上記した第2の実施形態では、中和器の側壁部26cを中和器制止片118に当接させることで、中和器115が底板部111に対して位置決めされる構成の例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、筺体2の底板部112に対し、図24で示されるように、脚部120の接地部122(図21参照)を挿入可能な空間170を形成する突起部171,171を設ける構成であってもよい。即ち、中和器115の脚部120を突起部171,171に嵌め込み、脚部120と突起部171を当接させて、中和器115が底板部112に対して位置決めされる構成であってもよい。即ち、適切な位置で中和器115の後方への移動を阻止できる構成であればよい。
【0123】
なお、この突起部は、図24で示されるように、別途折り曲げ加工等によって形成した部材をスポット溶接といった適宜な方法で底板部112に一体に取り付けて形成するだけでなく、底板部112の一部を加工して形成してもよい。例えば、底板部112の一部を切り起こして突起部としてもよい(図示せず)。このように、底板部112の一部を切り起こして突起部を形成する場合、切り起こしによって形成される孔は、突起部の下部に位置することが望ましい。そして、突起部の下部に中和器115の脚部120を嵌め込んだとき、脚部120によって孔(切り起こしによって形成される孔)が塞がれる構成であることが望ましい。このような構成にすると、切り起こしによって孔が形成されてしまっても、孔からの筺体2内部への冷たい外気の浸入を防止できる。
【0124】
上記した各実施形態では、中和器を上部へ押し上げる機能と、中和器を筺体2に固定する機能を有する接続具21を採用する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、中和器を上部へ押し上げる押上部材と、中和器を筺体2に固定する固定部材は、別途設けてもよい。このとき、押上部材は、中和器を直接押し上げるか、載置板部52といった他の部材を押し上げることで中和器を間接的に押し上げればよい。即ち、押上部材は、中和器の下方に位置して中和器の姿勢を変更できればよい。
【0125】
本発明の支持手段は、上記した中和器載置金具20や、脚部120に限るものではない。例えば、中和器底面の後端側に下方に突出する突起を形成してもよく、底板部11の底面形成板部に上方に突出する突起を形成してもよい。また、支持手段は、中和器や筺体と一体に形成してもよく、中和器や筺体と別途形成して中和器の設置時に中和器と筺体の間に配する構成であってもよい。中和器を底板部11上に傾斜した状態で配置できればよい。
【符号の説明】
【0126】
1 燃焼装置(熱源機)
2 筺体
5 二次熱交換器(熱交換器)
15,115 中和器
20 中和器載置金具(支持手段)
21 接続具(押上部材)
25,125 底面部(中和器底面)
27 掛止突起(掛止片)
52 載置板部(板状部)
76 係合孔部
79,179 底面形成板部(筺体内壁)
120 脚部(支持手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸性を呈するドレンを中和するための中和器を筺体内部へ取り付けるための中和器の固定構造に関する。また、そのような中和器の固定構造によって中和器を取り付けた熱源機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バーナを燃焼させた際に発生する熱の熱交換効率を向上するべく、燃焼ガスの顕熱だけでなく潜熱まで回収する潜熱回収型の熱源機が市場に普及している。この潜熱回収型の熱源機は、燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器に加え、潜熱を回収する二次熱交換器が具備されており、高い熱交換効率を有している。
【0003】
このような熱源機では、二次熱交換器に燃焼ガスを導入して潜熱を回収する際に、燃焼ガスと二次熱交換器とが接触することで、燃焼ガス中の水蒸気が結露してドレン(結露水)が発生する。このとき、燃焼ガスには、燃焼によって空気中の窒素と酸素とが反応して生成される窒素酸化物(N0x)や、燃焼によって燃料の硫黄分が酸素と反応して生成される硫黄酸化物(S0x)等が含有されている。そのため、発生したドレンは、これら窒素酸化物や硫黄酸化物によって強酸性を呈する。このように、潜熱回収型の熱源機では、構造上、強酸性のドレンが発生してしまう。
【0004】
この酸性のドレンは、処理を行うことなくそのまま外部へ排水すると、環境等に対して悪影響を及ぼす懸念がある。そのため、潜熱回収型の熱源機では、ドレンを外部に導くドレン排出系統を設け、そのドレン排出系統の中途に酸性のドレンを中和する中和器が備えられたものがある。この種の熱源機では、二次熱交換器で発生したドレンを中和器で中和してから外部に排水しているため、環境等に対して悪影響を及ぼすことがない。
【0005】
このような中和器は、中和器内部の内部空間に中和剤を配し、流入したドレンを内部空間に一旦貯留している。そして、ドレンが内部空間へと流入され続け、中和器の内部空間の貯留量を超えると、中和器の内部空間から外部へとドレンが排出される構造となっている。より詳細には、中和器の内部は、仕切壁で各空間に区切られており、各空間に流入したドレンは、所定以上の水位になるまで他の空間へ流れ込まない構造となっている。したがって、所定の空間に流れ込んだドレンは、その空間の水位が所定以上となるまでの時間だけ空間内に貯留され、その後に他の空間へ流れ込む。各空間を順に流れたドレンは、最後に排出口が設けられた空間に流入する。そして、最後に排出口が設けられた空間においても所定以上の水位となったとき、ドレンは排出口から外部へと排出される。このように、中和器の外部から流入したドレンは、各空間を経由するとき、それぞれ所定以上の水位となるまでの間、空間内に留まってから他の空間に流れ込む。このように、ドレンは、中和剤が配された空間に所定の時間だけ留まることにより、中和されている。換言すると、中和器は、その構造上、内部の空間にドレンが溜まることになる。
【0006】
例えば、特許文献1には、このようなドレンを中和する中和器(中和装置)、並びにそのような中和器を備えた熱源機(燃焼装置)が開示されている。特許文献1に開示されている熱源機は、所謂逆燃焼方式と称される熱源機であり、上方から順に、バーナ等を備えた燃焼部と、一次熱交換器と二次熱交換器を内蔵した燃焼ケースと、排気集合部とが連続して設けられている。そして、排気集合部の下方部分と中和器の上方部分とが配管で接続され、排気集合部から中和器へドレンが流入する構成となっている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−34588号公報
【0008】
ところで、特許文献1に開示されているような中和器を擁する熱源機を寒冷地で使用する場合、内部のドレンが凍結してしまうおそれがある。具体的に説明すると、上記したように、中和器の内部空間には、ドレンが溜まる構造となっている。このように、中和器の内部にドレンが留まっている状態において、熱源機の設置場所周辺の温度が低く、且つ、中和器内に新たに流入するドレンの量が少ない場合、中和器内部のドレンが凍結してしまうおそれがある。即ち、設置場所の周辺温度が低い状態では設置した中和器が低温となってしまうことがあり、その状態で中和器内部に一定以上の流速のドレンの流れが形成されないと、中和器内部に貯留されたドレンが凍結してしまうおそれがある。
【0009】
また、近年、狭い場所に設置可能な熱源機が市場から望まれており、そのような要求に応えるべく小型化された熱源機が開発されている。このような熱源機では、熱源機の内部空間が実質的に狭くなるため、熱源機の設置位置の周辺に広い空間が確保できなくなってしまう。すると、中和器を熱源機内部に取付けるとき、作業者が作業するためのスペースが確保できなくなってしまう。
【0010】
具体的に説明すると、中和装置を燃焼装置内部に取付けるとき、作業者は、配管の片側端部を中和装置の上方部分に予め接続した状態で、中和装置を燃焼装置内部へと移動させ、設置予定位置へと設置する。そして、その状態で、中和装置に接続した配管のもう一方の端部を、排気集合部といったドレンの流れ方向上流側の部材の下方部分へと接続する。したがって、中和装置とドレンの流れ方向上流側の部材との間に、十分な空間が確保できないと、このような中和装置の取付け作業が非常に困難となってしまう。
【0011】
このような小型化された燃焼装置に中和器を設置する方法として、中和器本体の小型化することが考えられる。しかしながら、中和器本体を小型化してしまうと、中和剤を収納するのに十分な容積が確保できず、短期間に何度も中和剤を補填する必要が生じるため、不便であるという問題がある。即ち、中和器に中和剤を僅かしか詰め込めないため、中和剤がすぐになくなってしまうという問題である。
【0012】
また、中和器本体を小型化してしまうと、中和器に水封構造を採用しにくいという問題がある。具体的に説明すると、中和器が取り付けられるドレン排出系統は、燃焼ガスの排気流路と連通した関係となる場合がある。その場合、本来、燃焼装置の排気筒(排気流路)を介して外部に排出されるべき燃焼ガスが、ドレン排出系統に流入してしまう可能性がある。そこで、燃焼ガスがドレン排出系統に流入してしまっても、ドレン排出系統から外部へ排出されないように、中和器内の燃焼ガスが通過し得る部分をドレンで所定の水位まで満たし、水封する技術がある。即ち、この水封構造によって、ドレン排出系統に燃焼ガスが流入してしまっても、中和器内で燃焼ガスの流通を強制的に阻止し、中和器より下流側の部分に燃焼ガスが流れないようにする。このことで、ドレン排出系統からの燃焼ガスの排出を防止する。しかしながら、このような水封構造を採用するためには、一定以上の水位を確保する必要となるので、中和器の高さをある程度高くする必要がある。そのため、中和器本体を小型化してしまうと、中和器の高さが確保できないため、水封構造を採用することが困難となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、中和器内部に溜まったドレンの凍結を防止すると共に、小型化された燃焼装置内に取付ける場合であっても、中和器本体の大きさを変更することなく容易に取付け可能な中和器の固定構造、並びに、そのような中和器の固定構造によって中和器を取り付けた熱源機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、内部に中和器を備えた筺体内に前記中和器を固定するための中和器の固定構造であって、前記筺体内に前記中和器を配したときに中和器底面の少なくとも一部を筺体内壁から離反した位置に支持する支持手段と、押上部材とを有し、前記押上部材の少なくとも一部は、中和器底面の端部近傍の下方に位置し、中和器底面を直接又は間接的に上方に押し上げるものであって、支持手段で中和器を支持した状態にあっては、筺体内に中和器が傾斜した状態で設置される着脱姿勢をとることが可能であり、前記着脱姿勢の状態から、押上部材によって中和器底面を押し上げることで、支持手段と押上部材によって中和器底面が筺体内壁から離反し、且つ、筺体内に中和器を固定可能な固定姿勢へと移行可能であることを特徴とする中和器の固定構造である。
【0015】
本発明の中和器の固定構造は、筺体内に前記中和器を配したときに、中和器底面の少なくとも一部を筺体内壁から離反した位置に支持する支持手段により、筺体内に中和器が傾斜した状態で設置される着脱姿勢をとる。
このことにより、中和器の取り付け時に、中和器を傾斜した状態で筺体内に載置することができる。このとき、中和器上部もまた傾斜した状態となるので、中和器上部には、高さ方向の位置が高くなる部分と、低くなる部分とが形成される。ここで、中和器上部の高さ方向の位置が低くなる部分の上方には、広い空間が形成される。つまり、本発明の中和器の固定構造では、中和器を傾斜させることで、中和器上部の所定の一部分の上方に広い空間を確保することができる。このことにより、中和器を小さくしなくても、取付け作業を実施するための広い空間が確保できるので、中和器の取付け作業が容易になる。
【0016】
さらにまた、本発明の中和器の固定構造では、着脱姿勢の状態から押上部材で中和器の一部を押し上げることにより、中和器底面が筺体内壁から離反し、且つ、筺体内に中和器を固定可能な固定姿勢へと移行できる。このことにより、中和器を固定するときに底面が筺体内壁から離反した状態で固定することができるため、中和器内部のドレンの凍結を防止することができる。
具体的に説明すると、筺体設置場所の周辺温度が低い場合、筺体が周囲の冷たい空気に冷やされ、低温となってしまうことがある。このとき、筺体内壁と中和器底面とが面接触した状態で中和器が筺体内に載置されていると、低温となった筺体内壁によって中和器が冷やされてしまう。しかしながら、本発明の固定構造では、中和器底面を筺体内壁から離反した状態で固定できる。このため、周辺温度が低く、筺体の温度が低下している状況下であっても、中和器が冷やされることがないため、中和器内部のドレンが凍結してしまうことがない。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記着脱姿勢においては、中和器底面が前方側へ下り勾配となるように傾斜することを特徴とする請求項1に記載の中和器の固定構造である。
【0018】
かかる構成によると、前面に着脱可能な蓋体等を有し、前側部分を開放された状態とすることができる筺体において、特に中和器の着脱が容易となる。詳説すると、このような筺体では、中和器の取付け時、又は取り外し時において、作業者は筺体の前方から筺体内に中和器を取り付ける作業を行う。ここで、着脱姿勢において、中和器上部の前側部分が低い位置となり、前側部分の上方に広い空間が形成されるので、形成される広い空間は作業者に近い位置となる。このため、中和器の取付け作業が容易となる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記支持手段は、中和器を載置可能な板状部を有し、板状部は前端側が自由端となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の中和器の固定構造である。
【0020】
請求項3に記載の発明では、支持手段が中和器を載置可能であって、前端側が自由端となった板状部を有している。そのため、中和器を支持手段に載置したとき、中和器の自重によって支持手段が中和器を載置したまま傾斜し、それに伴って中和器が傾斜した状態となる。このように、中和器を載置するだけで中和器を傾斜した姿勢へと移行できるので、比較的簡単な構造で中和器の姿勢変更が可能となる。
また、中和器底面を板状体上に載置した状態で、着脱姿勢から固定姿勢へと移行することができる。そのため、中和器の取り付け作業を行う作業者は、着脱姿勢から固定姿勢へ移行するとき、板状体の姿勢を変更するだけで中和器の姿勢を変えることができ、中和器の位置決め作業等を必要としないので、着脱作業が容易になる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、前記押上部材は、前記固定姿勢において、着脱姿勢時から中和器又は支持手段の少なくとも一方を上方へ押し上げ、且つ、中和器を筺体内に一体に固定するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の中和器の固定構造である。
【0022】
かかる構成によると、着脱姿勢から固定姿勢へ移行するときに中和器の姿勢を変更するための押上部材により、筺体と中和器とを一体に取り付けることができる。そのため、姿勢変更のための押上部材と、固定用の固定部材とを別途設ける構成に比べ、部品点数を削減できる。また、中和器を筺体と一体に固定できるので、振動や衝撃に強い中和器の取り付けが可能となる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、前記中和器は鉤状の掛止片を備え、前記押上部材には前記掛止片と係合可能な係合孔部が形成されており、掛止片と係合孔部とが係合した状態で押上部材が中和器に取り付けられるものであって、中和器に押上部材が取り付けられた状態において、押上部材が中和器から前後方向及び上下方向に抜き取り不可能となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の中和器の固定構造である。
【0024】
かかる構成によると、押上部材を中和器から外れにくい状態で取り付けることができる。そのため、固定姿勢時に押上部材で中和器を押し上げた状態において、押上部材が外れにくく、中和器の姿勢をより強力に保持できる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、筺体内に燃料を燃焼するバーナと、バーナが作動して生成される燃焼ガスの主に潜熱を回収する熱交換器とを備えた熱源機であって、前記熱交換器で発生したドレンを中和するための中和器を備えており、請求項1乃至5のいずれかに記載の中和器の固定構造によって前記中和器が筺体内に固定されることを特徴とする熱源機である。
【0026】
本発明の熱源機は上記した請求項1乃至5のいずれかに記載の中和器の固定構造で中和器を固定しているので、中和器内部に溜まったドレンが凍結することなく、中和器の着脱作業が容易となる。このことにより、中和器内部の水抜きといった凍結防止のための動作を頻繁に行う必要がなく、また、設置作業時やメンテナンス時において施工業者の負担を軽減できるため、効率のよい運用が可能となる。さらに、筺体を小型化しても中和器の大きさを不必要に小さくする必要がない。このことにより、短期間に何度も中和剤を補填することなく、中和したドレンを十分に貯留した後で排出可能であるので、ドレンの排出動作を効率よく実施できる。さらに、中和器の高さを十分に確保できるので、中和器に水封構造を採用することが容易である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の中和器の固定構造は、中和器を傾斜した状態で筺体内に載置することで、中和器上部の所定部分の上方に、取付け作業を実施するための広い空間を確保することができる。このため、中和器の取付け作業が容易になるという効果がある。また、中和器を固定するとき、中和器底面が筺体内壁から離反した状態で固定できる。このため、周辺温度が低く、筺体温度が低下してしまった場合であっても、筺体によって中和器が冷やされることがなく、中和器内部に溜まったドレンが凍結しないという効果がある。
また、そのような中和器の固定構造で中和器を取り付けた本発明の熱源機は、中和器内部に溜まったドレンが凍結せず、中和器の着脱作業が容易であるため、効率のよい運用が可能となるという効果がある。さらに、中和器の大きさを不必要に小さくする必要がないので、ドレンの排出動作を効率よく実施でき、水封構造の採用が容易であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃焼装置を示す構成図であり、筺体の前方蓋部を外した状態を示す。
【図2】図1の中和器を示す斜視図である。
【図3】図2の中和器を別方向からみた斜視図である。
【図4】図2の中和器の係止突起の周辺を拡大して示す部分拡大図である。
【図5】図4の係止突起の右側面図である。
【図6】第1の実施形態で採用する中和器載置金具を示す斜視図である。
【図7】図6の中和器載置金具を後側からみた斜視図である。
【図8】第1の実施形態で採用する接続具を示す斜視図である。
【図9】図8の接続具を後側からみた斜視図である。
【図10】図8の接続具の右側面図である。
【図11】図1の筺体の底板部を示す斜視図である。
【図12】図11の底板部に中和器載置金具を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図13】図12のA−A断面図である。
【図14】底板部に中和器載置金具を取り付けた筺体に対して中和器を取り付ける様子を示す斜視図であり、燃焼装置の一部部材を破線で示す。
【図15】中和器載置金具に中和器を載置する様子を示す説明図であり、(a)〜(c)の順で中和器載置金具に中和器が載置される。
【図16】中和器載置金具上に中和器が載置された状態において、中和器及び底板部に対して接続具を取り付ける様子を示す斜視図であり、燃焼装置の一部部材を破線で示す。
【図17】中和器及び底板部に接続具を取り付ける様子を示す説明図であり、(a)〜(c)の順で接続具が取り付けられる。
【図18】中和器に接続具が取り付けられた状態において、上側部分を拡大した一部拡大斜視図である。
【図19】筺体内に中和器が取り付けられた様子を示す斜視図であり、燃焼装置の一部部材を破線で示す。
【図20】本発明の第2の実施形態に係る中和器を下方側からみた斜視図である。
【図21】図20の中和器の右側面図である。
【図22】第2の実施形態に係る筺体の底板部を示す斜視図である。
【図23】第2の実施形態に係る中和器を底板部に載置する様子を示す説明図であり、(a)〜(c)の順で中和器が載置される。
【図24】第2の実施形態に係る筺体の底板部であって、図22とは異なる形態の底板部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の第1の実施形態にかかる燃焼装置1(熱源機)と、この燃焼装置1における中和器15の取り付け構造について詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また以下の説明において、上下左右の位置関係については特に断りのない限り通常の設置状態を基準として説明する。
【0030】
燃焼装置1は、図1に示すように、筺体2の内部に燃焼部3と、主に顕熱を回収する一次熱交換器4と、主に潜熱を回収する二次熱交換器5(熱交換器)とを備えた所謂潜熱回収型と称される燃焼装置である。
【0031】
筺体2は、いずれも長方形板状である天板部10、底板部11、2つの側壁部12,12、前方蓋部(図示せず)、背板部13から構成されている。これらは天板部10、底板部11、2つの側壁部12,12、背板部13で囲われて正面が開放された箱体を形成しており、前方蓋部は正面の開放部分を覆うように取付け可能となっている。
そして、燃焼装置1の使用時においては前方蓋部を装着し、メンテナンス等を行う際には前方蓋部を取り外して使用する。なお前方蓋部を取り外すと、天板部10,底板部11,2つの側壁部12,12、前方蓋部(図示せず)、背板部13によって囲まれた部分に形成される内部空間17と、当該内部空間17に内蔵された各機器が露出した状態となる。
【0032】
燃焼部3は、図示しないバーナによって、下方に向けて火炎を形成可能となっている。即ち、燃焼部3は、所謂逆燃焼式バーナを備えた構成となっている。
【0033】
また、燃焼装置1では、燃焼部3が筺体2の上端よりに位置しており、燃焼部3の下方に一次熱交換器4が位置している。さらに、一次熱交換器4の下方に二次熱交換器5を収納する収納ケース7があり、収納ケース7の上側であって一次熱交換器4の側方に消音部8が位置している。また、消音部8の上方には排気部9が設けられており、排気部9は筺体2の天面から上方に突出している。
そして、燃焼部3の内部から一次熱交換器4、収納ケース7、消音部8、排気部9の各内部を連通する空間が形成され、燃焼部3で発生した燃焼ガスが流動可能となっている。
【0034】
したがって、この燃焼装置1を稼働すると、燃焼部3で発生した燃焼ガスが一次熱交換器4、収納ケース7、消音部8へと流れ、排気部9へと至る。そして、排気部9の上方に形成された排気口から外部へ放出される。その一方、外部から供給されてきた湯水が入水配管(図示せず)を介して二次熱交換器5へと供給される。そして湯水が二次熱交換器5を経て一次熱交換器4に流入する。このとき、二次熱交換器5及び一次熱交換器4で回収した燃焼ガスの熱によって湯水が加熱される。そして、加熱された湯水は一次熱交換器4の出水口から流出し、給湯先となるカランや浴槽等に向けて供給される。
【0035】
ここで前記したように、二次熱交換器5は燃焼ガスの主に潜熱を回収するので、二次熱交換器5では燃焼ガスの温度が一定値以下に低下する。そのことにより、燃焼ガスに含まれる水蒸気が液化してドレンが発生する。そして発生したドレンは、燃焼ガスに晒されることにより、燃焼により生成された窒素酸化物が溶け込んで酸性を呈する。
【0036】
そこで、本実施形態の燃焼装置1は、発生したドレンを中和し、外部に排出するためのドレン排出系統6を備えた構成となっている。
【0037】
ドレン排出系統6は、ドレンの流れ方向上流側から順番に、収納ケース7の底部に形成された図示しないドレン排出部と、ドレンホース14と、中和器15と、下流側配管部材16によって構成されている。
【0038】
ドレンホース14は、合成ゴム、塩化ビニル等の適宜の樹脂によって形成され、可撓性を有する配管部材となっている。
【0039】
そして、ドレン排出系統6では、ドレン排出部(図示せず)から排出されたドレンが、ドレンホース14を介して中和器15に流入する。
【0040】
このとき、中和器15の内部空間は、仕切り壁によって複数の空間に区切られており、少なくとも1つ以上の空間に中和剤が充填されている。そして、流入したドレンは、この複数の空間を順次流れていく。このとき、各空間では、空間内に流れ込んだドレンが一旦留まり、一定以上の水位になると空間外へと流出する。即ち、中和器15内に流入したドレンは、中和器15内のそれぞれの空間に、所定時間留まった後で流出することになる。したがって、中和剤が充填された空間をドレンが通過するとき、時間をかけてゆっくりと通過する。また、ドレンは、空間内に留まっている間に中和剤と反応することで中和される。
【0041】
つまり、中和器15に流入したドレンは、中和器15内に所定時間貯留され、貯留されている間に中和剤と反応して中和される。そして、中和されたドレンは、中和器15の排出口まで流れていき、中和器15の排出口から下流側配管部材16を介して筺体2の外部へ排出される。
【0042】
ここで、中和器15は、中和器載置金具20(支持手段)と接続具21(押上部材)とを介して、筺体2の内部空間に取付けられている。本実施形態の特徴的な部分たる、中和器15の筺体2への取り付け構造について、以下で詳細に説明する。
【0043】
まず、中和器15、中和器載置金具20(図1では図示せず)、接続具21のそれぞれの部材について説明する。
【0044】
中和器15は、図1で示されるように、燃焼装置1の下端近傍であり、収納ケース7よりやや低い位置に設置される。なお、中和器15は、配管、ポンプといった燃焼装置1の運転に関し、水の流れを形成するための機器に周囲を囲まれた位置に配置されている。
【0045】
そして、中和器15は、図2で示されるように、本体部23と蓋部24から形成される箱状の部材であり、内部に液体を貯留可能となっている。より具体的には、底面部25の縁部分に立設された4つの側壁部26(26a,26b,26c,26d)によって、上方が開放された(開放された部分については図示せず)箱体たる本体部23が形成され、本体部23の開放された部分を蓋部24が覆っている。そして、本体部23と蓋部24とは着脱可能に取り付けられている。
【0046】
ここで、中和器15の本体部23の底面部25は、図3で示されるように、中和器15の底面を形成する外形が略台形板状の部材である。ここで、中和器15の底面に注目すると、中和器15の底面から略垂直下方へ突出する2つの水抜栓取付部36,37が、それぞれ中和器15の底面と一体に形成されている。
【0047】
2つの水抜栓取付部36,37は、円筒状の突起であり、径方向の中心に中和器15の本体部23の内外を貫通する貫通孔36a,37aが設けられている。この貫通孔36a,37aの内周面には、ネジ山等の取付け用の機構(図示しない)が形成されており、水抜栓40,41(図1参照)が取り付け可能となっている。
ここで、図3で示されるように、2つの水抜栓取付部36,37は、その一つ(水抜栓取付部36)が中和器15の底面における左右方向(底面部25、中和器15の長手方向)の片側端部よりの部分であって、前端部近傍に形成されている。対して、他の一つ(水抜栓取付部37)は、中和器15の底面における左右方向(底面部25、中和器15の長手方向)の他方側端部よりの部分であって、後端部近傍に形成されている。
【0048】
ところで、本体部23の4つの側壁部26(26a,26b,26c,26d)のうち、前方に位置する側壁部26aに注目すると(図2参照)、この側壁部26aの左右方向(側壁部26aの長手方向)の中心よりやや片側端部よりの位置であって、側壁部26aの上端部分に、前方上側へ突出する掛止突起27が設けられている。
【0049】
掛止突起27は、図4で示されるように、中和器15の側壁部26aから略垂直前方へ突出した平板状の中心板部30と、中心板部30から上方へ突出する立板部31と、中心板部30の下方に形成された2つのリブ板部32,32を有しており、これらが一体となるように形成されている。
【0050】
中心板部30は、掛止突起27全体における高さ方向の略中心部分に位置しており、上記したように、中和器15の側壁部26aから略垂直前方へと突出している。即ち、中心板部30は、突出方向の基端部分(後端部分)で側壁部26aと略垂直に交わっている。
【0051】
立板部31は、図4,図5で示されるように、側壁部26aと対向するように設けられた平板状の部分であり、中心板部30上面の前端側から上方に突出している。より具体的には、図5で示されるように、中心板部30の上面のうち、前端から前後方向の中心よりやや後方までの部分から、上方に突出している。そのため、立板部31の後方側には、立板部31と、中心板部30と、中和器15とによって囲まれた空間34が形成されている。
【0052】
ここで、立板部31の後端面を形成する部分31aは、中心板部30から垂直上方に突出している。そして、立板部31の前端面を形成する部分31bは、中心板部30から後方上側へ突出している。即ち、立板部31の前端面を形成する部分31bは、立板部31の後端側へ突出するものであり、立板部31の厚さは、上部に向かうにつれて薄くなっている。換言すると、立板部31の前後方向の長さは、上部に向かうにつれて短くなっている。
【0053】
そして、図4で示されるように、立板部31の上端部分に注目すると、上端面の左右方向(高さ方向及び前後方向に直交する方向)の略中心部分から、略垂直下方に向かって延びる取付溝35が設けられている。この取付溝35は、立板部31を厚さ方向(前後方向)に貫通するものであり、下端部分は下方に向かって凸となるように丸みを帯びている。
【0054】
2つのリブ板部32,32は、図4で示されるように、中心板部30の下面と中和器15の側壁部26aとに一体に形成された板状の部分であり、それぞれ中心板部30の下面及び中和器15の側壁部26aと略垂直に交わっている。そして、この2つのリブ板部32,32は、左右方向で対向するように設けられ、それぞれ上下方向に延びている。これら2つのリブ板部32,32は、いずれも、掛止突起27の中心板部30と立板部31によって形成される部分、即ち、断面略L字状で左右方向に延びる鉤状の部分の剛性を高めるために形成されている。
【0055】
中和器15の蓋部24には、図2で示されるように、ドレンホース14(図1参照)を取付け可能なドレン導入部43と、内部に湯水を供給するための補水配管を取付け可能な湯水供給部44が形成されている。そして、蓋部24には、図示しない水位検出機構の一部たる、4つの電極45がそれぞれ所定の間隔を空けて一体に取り付けられた電極配置領域46が形成されている。
即ち、本実施形態の中和器15は、電極45によって、本体部23の内部に貯留されたドレンの水位を検知可能な構成となっている。また、本実施形態の中和器15は、外部から内部に湯水を流入可能な構成となっており、内部に湯水を供給することで中和器内の所定の部分を所定の水位まで満たすことで、ドレン排出系統6(図1参照)において中和器15より下流側へ燃焼ガスを流入させない水封構造を形成可能となっている。
【0056】
ドレン導入部43は、図2に示されるように、上下方向に延びる円筒状の挿入部48と、挿入部48を取り囲むように位置する溝部49とを有している。
【0057】
次に、中和器15を筺体2内に設置するとき、中和器15を載置するための中和器載置金具20について、図6,図7を参照しつつ説明する。
【0058】
中和器載置金具20は、金属薄板を打ち抜き加工後に曲げ加工して製されたものであり、略長方形平板状の載置板部52(板状部)と、載置板部52の後端部と連続する4つの支持脚部53を備えている。
【0059】
載置板部52は、その長手方向の片側端部(左右方向における右側端部)が、やや上側へ折り曲げられている。そして、載置板部52の折り曲げられた端部から長手方向のやや中心よりの部分には、載置板部52の前端から後方に向かって延びる、前後に長い溝状の第1の切り欠き54が形成されている。
また、載置板部52の長手方向の他方端部(左右方向における左側端部)は、略長方形状に前後方向に切り欠かれている。そして、切り欠かれた部分の後端が位置する部分A1からさらに後方に向かって延びる、前後に長い溝状の第2の切り欠き55が形成されている。
また、載置板部52の前端には、長手方向の中心からやや第2の切り欠き55が形成されている端部よりの部分に、前方へ突出する突出板部57が設けられている。
【0060】
第1の切り欠き54と第2の切り欠き55は、いずれも載置板部52を上下方向に貫通しており、その開口の後端部分は後方に凸となるように丸みを帯びている。
【0061】
突出板部57は、平面視の外形が略「凸」字状の板状体であり、周辺の部分より前方へ突出している。
【0062】
4つの支持脚部53は、図6,図7で示されるように、それぞれ、その一部が載置板部52の後端側と連続しており、所定の間隔を空けて並列して設けられている。また、4つの支持脚部53は、いずれも、載置板部52の後端側から略垂直下方へと突出する立壁部59と、立壁部59の下端から略垂直後方へ突出する平板状の接地板部60から形成されている。このとき、4つの支持脚部53は、それぞれ立壁部59の左右方向の長さと、接地板部60の形状がそれぞれ異なっている。
【0063】
4つの支持脚部53(53a,53b,53c,53d)につき、それぞれ説明する。なお、説明の便宜上、載置板部52の長手方向の端部のうち、第1の切り欠き54が形成された端部に最も近接した位置に形成される支持脚部53を第1の支持脚部53aとし、以下他方端部側に向かってそれぞれ第2の支持脚部53b、第3の支持脚部53c、第4の支持脚部53dとする。
【0064】
第1の支持脚部53aの接地板部60aは、略長方形平板状となっており、その前端部分は、長手方向(左右方向)の片側端部(左端側)から中心近傍までの部分で立壁部59aと連続している。したがって、接地板部60aは、一部分が立壁部59a下端の後方側に位置し、他の部分が立壁部59a下端の後方側より外側側方(右側)に位置している。
そして、接地板部60aの長手方向の他方端部(右端部側)よりの位置には、前後方向の中心近傍に、接地板部60aの天面から底面までを高さ方向に貫通する、開口形状が円形の貫通孔61が形成されている。
【0065】
第2の支持脚部53bの接地板部60bは、平面視が略「凹」字状の板状の部材であって前端部で立壁部59bと連続している。より詳細には、この接地板部60bには長手方向の略中心部分に、後端部から前方へ向かって延びる略台形状の切り欠き62が設けられている。なおこの切り欠き62の左右方向(接地板部60bの長手方向)の長さは、後端部側が最も広く、前端側に向かうにつれて狭くなり、前端部側が最も狭くなっている。
【0066】
第3の支持脚部53cの接地板部60cは、略長方形平板状となっており、前端部で立壁部59cと連続している。また、この接地板部60cの長手方向と短手方向(前後方向)のそれぞれ略中心に位置する部分には、接地板部60cの天面から底面までを高さ方向に貫通する、開口形状が円形の貫通孔63が形成されている。
【0067】
第4の支持脚部53dの接地板部60dは、略長方形平板状となっており、前端部で立壁部59dと連続している。
【0068】
ここで、4つの支持脚部53(53a,53b,53c,53d)の立壁部59(59a,59b,59c,59d)の左右方向(長手方向)の長さに注目すると、短い順に、第1の支持脚部53aの立壁部59a、第3の支持脚部53cの立壁部59c、第4の支持脚部53dの立壁部59d、第2の支持脚部53bの立壁部59bとなっており、第1の支持脚部53aの立壁部59aが最も短く、第2の支持脚部53bの立壁部59bが最も長い状態となっている。なお、第2の支持脚部53bの立壁部59bの左右方向の長さと、第4の支持脚部53dの立壁部59d左右方向の長さとは、近似している。
【0069】
ところで、特に限定されるものではないが、中和器載置金具20の載置板部52の裏面には、ヒータ装置(図示せず)を取り付ける構成が考えられる。具体的に説明すると、図1で示されるように、燃焼装置1の筺体内において中和器15が載置される部分の周囲には、湯水が流れる配管部材やポンプといった、内部を湯水が流れる部材が配されることが多い。この場合、上部に中和器15を載置する載置板部52の裏面にヒータ装置を取り付けると、載置板部52の上部に位置する空間、即ち、中和器15近傍の空間を温めることができるので、配管部材やポンプといった湯水が内部を流れる部材を昇温することができる。このため、これらの部材内部の湯水の凍結を確実に防止できる。即ち、燃焼装置1を長期間使用しない等の理由により、配管部材やポンプ等の内部に残ってしまった湯水の凍結を阻止できる。
【0070】
また、このとき取り付けるヒータ装置(図示せず)も、特に限定されるものではないが、長尺状の電熱線を、アルミニウム等の金属を略箔状にしたものや、ゴムや合成樹脂等の耐熱性及び可撓性を備えた原料を板状に形成したものを介して、載置板部52の裏面に張り付けるヒータ装置等が好適に採用できる。
【0071】
続いて、接続具21について説明する。
【0072】
接続具21は、図8,図9で示されるように、金属薄板を打ち抜き加工後に曲げ加工して製されたものであり、左右方向に間隔を空けて対向するように位置する2つの脚部66,66と、2つの脚部66,66の間に位置して2つの脚部66,66の前端部分を連続するように設けられる平板状の正面板部67と、2つの脚部66,66及び正面板部67の上方に位置する上方板部69を有している。
【0073】
2つの脚部66,66は、図8,図9で示されるように、それぞれ外形が略「L」板状であり(図10参照)、接続具21全体の左右方向の両端部分にそれぞれ位置して、対向するように設けられている。具体的には、脚部66は、後方へと突出し、高さ方向へ延在するように設けられた略長方形平板状の側壁形成部70と、側壁形成部70の下端部分から後方へと突出する略長方形平板状の押上片部71によって形成されている。このとき、側壁形成部70の上端部分は、後方部分が切り欠かれて前後方向の長さが短くなっている。また、押上片部71の突出端部は、丸みを帯びており、後方へ向かって凸となっている(図10参照)。
【0074】
正面板部67は、図8,図9で示されるように、鉛直姿勢の長方形平板状の部材であって、2つの脚部66,66の上端から下端よりやや上方までの部分と略垂直に交わっている。ここで、図8,図10で示されるように、正面板部67の下端部67aは、前側へ向かって折り曲げられている。そのため、正面板部67の下端部67aは、上側に位置する他の部分から前側下方へと突出し、上下方向及び前後方向に対して傾斜している。ここで、正面板部67の下端部67aには、傾斜方向に略垂直であって、正面板部67の下端部67aを厚さ方向に貫通する貫通孔72が形成されている。
【0075】
上方板部69は、図8で示されるように、正面板部67の上端を略垂直後方へと折り曲げて形成される段差部73と、段差部73の後端部分をさらに略垂直上方へと折り曲げて形成される上側立板部74によって形成されている。
【0076】
段差部73は、後述する係合孔部76によって、左右方向の中心部分が切り欠かれており、左右方向の両端部にそれぞれ長方形平板状の小片が水平に配されている。
【0077】
上側立板部74は、段差部73の後端側から立ち上げられた、長方形平板状の部分である。この上側立板部74は、図10で示されるように、接続具21全体の前後方向の略中心近傍で、上方に突出している。ここで、図8で示されるように、上側立板部74の上端部分よりやや下方の部分であって、左右方向の略中心部分には、上側立板部74を前後方向(厚さ方向)に貫通する開口形状が円形の貫通孔75が設けられている。
【0078】
ここで、接続具21の上方部分に注目すると、図8で示されるように、接続具21を前後方向(厚さ方向)に貫通する貫通孔である係合孔部76が設けられている。この係合孔部76は、正面視が略長方形状であって、上側立板部74の下端近傍から、段差部73を経由し、正面板部67の上端からやや下方側の部分まで延びている。そして、これらの部分を左右方向の両端部分を残して開口している。即ち、接続具21の左右方向(幅方向)の中心と、係合孔部76の開口の左右方向(幅方向)の中心とは、略同一となっている。
【0079】
次に、中和器載置金具20と接続具21によって中和器15を筺体2へ取り付けるときの、取り付け手順を説明する。
【0080】
本実施形態では、中和器15の取り付けに先だって、筺体2の底板部11(図1参照)に中和器載置金具20を取り付ける。
【0081】
まず、筺体2の底板部11の構造について詳細に説明する。
【0082】
筺体2の底板部11は、図11で示されるように、筺体2の内部空間17(図1参照)にあって、下方を閉塞する長方形平板状の底面形成板部79(筺体内壁)と、底面形成板部79の縁部部分から上方に突出し、底面形成板部79の上方を環状に取り囲む4つの立壁部80(80a,80b,80c,80d)を有している。ここで、前方側に位置する立壁部80aには、その上端部分から略前方へ向かって突出する長方形平板状の前方突出板部81が連続している。即ち、底板部11の前端には、立壁部80aと前方突出板部81によって形成される段差が設けられている。
【0083】
この筺体2の底板部11では、底面形成板部79の長手方向(左右方向)の片側端部(左端部)よりの部分が、中和器15を設置するための中和器設置領域82となる。より具体的には、中和器設置領域82は、底面形成板部79の前端よりやや後方の部分から、前後方向の中心よりやや後方の部分までの間であって、且つ、底面形成板部79の長手方向(左右方向)の片側端部(左端部)から、底面形成板部79の長手方向(左右方向)の中心近傍までの間に形成されている。
【0084】
ここで、中和器設置領域82の長手方向(左右方向)の片側端部(左側端部)よりの部分では、その後端近傍に、底面形成板部79の天面から底面までを貫通する開口形状が円形の貫通孔である、水抜栓挿通孔88が形成されている。また、中和器設置領域82の長手方向(左右方向)の他方端部(右側端部)よりの部分であって、その前端近傍にも、同様の貫通孔である水抜栓挿通孔89が形成されている。
【0085】
また、中和器設置領域82の前方側の部分には、底面形成板部79の一部を切り起こして形成される突出片である接続具用固定片83が設けられている。この接続具用固定片83は、長方形平板状の部分が後側上方へ突出するように切り起こされて形成されるものであり、傾斜方向に略垂直な方向に接続具用固定片83を貫通する固定用貫通孔84を有している。
【0086】
そして、中和器設置領域82の後方側の部分には、2つの金具固定用貫通孔85,87と、2つの金具固定用貫通孔85,87の間に位置する金具係止片86とが、所定の間隔を空けて左右方向(底面形成板部79の長手方向)で列状に配されている。
【0087】
金具固定用貫通孔85,87は、底面形成板部79を貫通する開口形状円形の貫通孔である。
【0088】
金具係止片86は、底面形成板部79の一部を長方形平板状の部分が略垂直上方へ突出するように切り起こされて形成される突出片である。
【0089】
以上で、筺体2の底板部11の構造の説明を終了する。
【0090】
そして、この筺体2の底板部11に、図12で示されるように、中和器載置金具20を取り付けた状態とする。
【0091】
このとき、中和器載置金具20の支持脚部53のうちの1つ(支持脚部53c)に形成された切り欠き62に、底面形成板部79の金具係止片86が嵌り込んだ状態となる。このことにより、中和器載置金具20が底板部11に対して位置決めされる。
【0092】
また、中和器載置金具20の支持脚部53のうちの他の2つ(支持脚部53a,支持脚部53c)にそれぞれ1つずつ形成された貫通孔61,63と、底面形成板部79の金具固定用貫通孔85,87とが、それぞれ一体の連通孔を形成する。この一体に形成された連通孔にネジ等の締結要素を挿通して、中和器載置金具20と底面形成板部79とを一体に取り付けた状態とする。
なお、締結要素とは、ネジ、釘、ボルト等の上位概念とし、このことは、以下の説明においても同様であるものとする。
【0093】
このように中和器載置金具20が底面形成板部79に取り付けられると、支持脚部53と連続する載置板部52の後端が固定端となり、対になる載置板部52の前端が自由端となる。
【0094】
また、中和器載置金具20の載置板部52に形成された第1の切り欠き54、第2の切り欠き55の下方に、底面形成板部79の水抜栓挿通孔89,88がそれぞれ位置する。このため、2つの水抜栓挿通孔89,88は、上方に露出した状態となる。また、中和器載置金具20の突出板部57が、底面形成板部79の接続具用固定片83のやや後方に位置した状態となる。
【0095】
このとき、図13で示されるように、中和器載置金具20の載置板部52の高さと、筺体2の底板部11の前方に形成された前方突出板部81の高さとが略同一となっている。換言すると、中和器載置金具20の高さは、底板部11の前方に形成される段差の高さと略同一となっている。また、載置板部52の下方側であって、載置板部52と底面形成板部79の間に空間91が形成される。この空間91の高さは、特に限定されるものではないが、5mm程度(5mm程度とは、例えば、5mmからプラスマイナス2mm程度の誤差を許容する範囲)であることが望ましい。
【0096】
このように、予め筺体2の底板部11に中和器載置金具20を取り付けた状態において、筺体2への中和器15の取付け作業を実施する。
【0097】
中和器15を筺体2へ取り付けるとき、図14,図15(a)で示されるように、筺体2の前方側から後方へ向かって中和器15を水平移動させて、中和器15を中和器載置金具20の載置板部52上へと移動させる。
【0098】
ここで本実施形態では、上記したように、中和器載置金具20の載置板部52の高さが底板部11の前方に形成される段差の高さ(前方突出板部81の高さ)と略同一となっている(図13参照)。そのため、中和器15の下端(図3の水抜栓取付部36,37の下端)が前方突出板部81の高さと略同一(やや高い)となる高さで中和器15を水平移動させれば載置板部52上に載置可能となっている。換言すると、比較的低い位置で中和器15を移動して載置板部52上に載置できる構成となっている。
【0099】
このことにつき、具体的に説明すると、仮に中和器載置金具20の中和器15を載置するための部分が前方突出板部81の高さより高い場合について考えると、この場合、中和器15をより高い位置に大きく持ち上げてから移動させる必要がある。しかし、図1で示されるように、中和器15の設置位置の上方には、他の機器や配管が設けられていることが多く、中和器15をより高い位置に持ち上げてから移動させたのでは、中和器15と他の機器等との距離が近くなり、中和器15を移動させることが困難となる。即ち、他の機器等をよけるために中和器15の姿勢を変更しながら筺体2の奥側(後方側)へ移動する必要が生じたりすることが考えられる。
【0100】
これに対して本実施形態では、筺体2の下面を形成する底板部11において、中和器15の挿入方向の基端となる前方側で最も高い部分と、載置板部52の高さとが略同じであるため、中和器15を大きく持ち上げずに水平移動するだけで載置板部52上に載置できる。つまり、本実施形態では、中和器15を移動させやすい位置で移動させるので、水平移動という比較的簡便な移動方法で中和器15を移動させることが可能となり、その結果、より簡単に中和器15を載置板部52上に載置できる。
【0101】
さらに、図15(b)で示されるように、中和器15を載置板部52上に載置させる。このとき、載置板部52の第1の切り欠き54,第2の切り欠き55(図6参照)に、中和器15の水抜栓取付部36,37(図3参照)が嵌り込んだ状態となる。より具体的には、中和器15が後方へ水平移動していくことで、中和器15の水抜栓取付部36,37が第1の切り欠き54,第2の切り欠き55に入り込んでいき、第1の切り欠き54,第2の切り欠き55のそれぞれの後端部分に中和器15の水抜栓取付部36,37が当接することで、中和器15を後方へ移動できなくなる。この状態で、中和器15を載置板部52上に載置すると、第1の切り欠き54,第2の切り欠き55に、水抜栓取付部36,37が嵌り込む。
このように、本実施形態では、中和器15を水平移動させるだけで中和器15の載置板部52に対する位置決めが可能であり、中和器15の載置板部52上への載置作業が容易に実施できる。このとき、中和器15の底面部25が載置板部52上に載置され、水抜栓取付部36,37が載置板部52の下端部分に位置する。
【0102】
このように、中和器15を載置板部52上に載置させると、図15(c)で示されるように、中和器15の自重によって、片側が自由端となっている載置板部52が前方側に下り勾配となるように傾斜する。このことにより、載置板部52に載置された中和器15もまた、載置板部52と共に傾斜した姿勢(着脱姿勢)となる。すると、中和器15の前端側の上方、即ち、傾斜により下方へと沈んだ部分の上方に、より広い空間が形成される。換言すると、中和器15の前端が下方へと沈んだ分、中和器15の前端上側の部分の空間が広くなる。
【0103】
この中和器15が傾斜した状態で、収納ケース7と中和器15間をドレンホース14によって接続する(図1参照)、湯水供給部44(図2参照)へ配管を取付けるといった、筺体2内部に配された他の機器に対する中和器15の取付け作業を実施する。より具体的には、作業者は、中和器15の前端上側に手や器具を入れてこれらの作業を実施する。このとき、中和器15の前端上側の部分の空間が広くなっているので、作業者は、この取り付け作業をし易くなっている。
【0104】
引き続いて、接続具21によって中和器15を筺体2に対して強固に固定する。
【0105】
具体的には、図16、図17(a)で示されるように、前方上側から接続具21を中和器15へと近接させる。このとき、接続具21は前面(正面板部67の前面)が上方を向くように傾けられて、係合孔部76の後端側(図17(a)においては下方側)に位置する開口から、中和器15の掛止突起27を挿通した状態とする。
【0106】
そして、図17で示されるように、係合孔部76に中和器15の掛止突起27を挿通した状態で、接続具21の姿勢を変更しつつ移動させていく。具体的には、接続具21を縦方向に回動させつつ、筺体2の後方(中和器15へ近接する方向)へ移動させて、接続具21の姿勢を傾けられた状態から元の直立した状態へと移行させていく。そして、図17(c)で示されるように、接続具21を直立した姿勢とし、接続具21の押上片部71を中和器載置金具20の突出板部57の下方へ押し入れた状態とする。
【0107】
なお、このとき、図17(b)で示されるように、載置板部52の前端と底面形成板部79の間にわずかに隙間ができるように載置板部52が傾斜していることが望ましい。すなわち、載置板部52の前端と底面形成板部79の間にわずかに隙間が形成されていると、押上片部71の突出板部57の下方へ押し入れが容易となる。
これに対し、仮に載置板部52の前端と底面形成板部79の間に隙間がなく、両者が密着している構成であってもかまわない。その場合、作業者は手や器具で突出板部57を上方へ押し上げつつ、押上片部71を突出板部57の下方へ挿入する。
【0108】
この状態においては、押上片部71が中和器載置金具20の載置板部52の前端部分を上方へと押し上げることで、載置板部52が上方へ向かって後端部分(支持脚部53と連続する部分)を支点に上方へ回動し、図17(b)、図17(c)で示されるように、載置板部52が傾斜した状態から略水平となる状態へと移行する。換言すると、載置板部52の前端部分が押上片部71によって支持されるので、押上片部71と支持脚部53によってそれぞれ前端部と後端部とを支持された載置板部52が、底面形成板部79から離反した状態となる。これに伴い、載置板部52に載置された中和器15もまた、載置板部52と共に底面が略水平となる姿勢(固定姿勢)となる。このように中和器15を載置する載置板部52を底面形成板部79から離反した状態とすると、中和器15と底面形成板部79の間に空間91が形成される。換言すると、中和器15と底面形成板部79の間に空気の層が形成される。
このため、仮に燃焼装置1の設置位置周辺の温度が低下し、底面形成板部79(筺体2)が低下した大気によって冷やされた場合であっても、中和器15と底面形成板部79(筺体2)の間に形成される空気の層が冷気の伝導を遮断するので、底面形成板部79(筺体2)によって中和器15が冷却されることがない。このことにより、中和器15の内部のドレンの凍結を防止できる。
【0109】
また、この状態においては、接続具21の係合孔部76と中和器15の掛止突起27とが係合することにより、接続具21が中和器15から前後左右方向及び上下方向に外れない状態となっている。
具体的に説明すると、この状態においては、図18で示されるように、掛止突起27の後方側に形成される空間34に、接続具21の上側立板部74が位置した状態となる。そして、掛止突起27の中心板部30とリブ板部32の一部が接続具21の係合孔部76の内側部分に位置し、中心板部30とリブ板部32の前端部近傍と係合孔部76の前端部近傍とが、略同一となる状態となる。また、掛止突起27の中心板部30は、接続具21の段差部73と並列して配された状態となる。
このように取り付けると、接続具21を前後、左右、上下のいずれかの方向へ移動させようとした場合、接続具21は、中和器15の本体部23、蓋部24、掛止突起27のいずれかの部分に当接してその移動を阻止される。即ち、鉤状の掛止突起27を接続具21の係合孔部76に挿通し、掛止することで、接続具21の中和器15に対する相対的な移動を制限して接続具21が中和器15から外れにくい構成としている。
このことにより、接続具21と中和器15とを強固に固定可能となる。
【0110】
さらに、この状態(図17(c)で示される状態)においては、接続具21の正面板部67の後側から接続具用固定片83が接触するので、接続具21の下端部分の後方側への移動が規制される状態となる。このような構成によると、接続具21の位置決めが容易となる。
【0111】
そして、図17(c)で示されるように、接続具21と中和器15、底板部11とをビス等の締結要素で固定する。
【0112】
詳説すると、接続具21を中和器15と係合させ、その一部(押上片部71)を中和器載置金具20の下方へ押し入れた状態で、筺体2の後方へと移動させると、接続具21の上部に位置する貫通孔75と中和器15の掛止突起27に形成された取付溝35とが重なって1つの連通孔を形成する。加えて、接続具21の下部に位置する貫通孔72と、底板部11の接続具用固定片83に形成された固定用貫通孔84とが重なって1つの連通孔を形成する。このとき、上側に形成される連通孔は前方に向かって開口しており、下側に形成される連通孔は前方上側へ向かって開口している。換言すると、形成される連通孔はいずれも前側に向かって開口しており、ビス等の締結要素の取り付け方向は、いずれも前方から後方へと向かう方向となる。このため、作業者は筺体2の前方側で締結要素による固定作業を実施できるので、固定作業が容易になる。
このことにつき、具体的に説明すると、仮に接続具21の側方に連通孔の開口が位置する場合、作業者は、接続具21の側方に手を回し入れた状態で締結要素による固定作業をしなければならない。このとき、手を回し入れる筺体2の内部側の部分は、広く開放された筺体2の前側部分より狭くなるので、固定作業が困難となる。これに対して、本実施形態では、広く開放されている筺体2の前側部分に作業者の手を位置させたままで作業できるため、締結要素の固定作業が容易となる。
【0113】
このようにして、接続具21と中和器15、底板部11とを固定することで、図19で示されるように、中和器15の筺体2への取り付けが完了する。
【0114】
以上で、中和器載置金具20と接続具21によって中和器15を筺体2へ取り付けるときの取り付け手順についての説明を終了する。
【0115】
上記した第1の実施形態では、中和器載置金具20の板状の載置板部52に中和器15を載置し、載置板部52の姿勢を変更することで、中和器15の姿勢を傾斜させた姿勢(着脱姿勢)から、底面が水平となる姿勢(固定姿勢)へと移行する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。即ち、本発明の支持手段は、中和器載置金具20でなくてもよい。
以下で、第1の実施形態とは異なる支持手段を有する第2実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、上記した第1実施形態と同様の部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0116】
第2の実施形態では、図20で示されるように、中和器115の底面部125の後端近傍に2つの脚部120(支持手段)が設けられており、この2つの脚部120(120a,120b)は、中和器15の長手方向(左右方向)に間隔を空けて配されている。
より具体的には、図21で示されるように、脚部120は、中和器115の底面部125に一体に取り付けられる接続部121と、接続部121から下方に離れた位置に形成され、中和器15の底面部125と平行となる接地面122aを形成する接地部122と、接続部121と接地部122の間で両者と一体に連続する立脚部123を備えている。
【0117】
また本実施形態では、図22で示されるように、筺体2の底板部111に、断面略「L」字状で左右方向(底板部111及び底面形成板部179の長手方向)に延びる中和器制止片118が、スポット溶接等の適宜な手段で底面形成板部179と一体に取り付けられている。このとき、中和器制止片118は、長方形平板状の部分が底面形成板部179の上面から上方へ突出するように取り付けられている。
【0118】
続いて、本実施形態の中和器115を筺体2の底板部111に取り付けるときの手順について説明する。
まず、図23(a)で示されるように、筺体2の前方側から後方側(図23の左側から右側)へ向かって、中和器115を水平移動させる。中和器115を水平移動させ続けると、中和器115の後端側に位置する側壁部26cが、中和器制止片118に当接し、中和器115の後方への移動が阻止される。このことにより、中和器115が底板部111に対して位置決めされる。即ち、本実施形態では、中和器115を後方側へ水平移動させるだけで位置決め可能であるため、中和器115の位置決めが容易な構成となっている。
【0119】
そして、図23(b)で示されるように、中和器115を底面形成板部179の上面に載置する。すると、中和器115の底面部125の後端部分にのみ脚部120が設けられているので、中和器115の底面部125の後端部分と底面形成板部179の間に脚部120が位置する。このため、図23(c)で示されるように、中和器115の底面部125の前端部分は底面形成板部179に直接接触し、中和器115の底面部125の後端部分は底面形成板部179と脚部120を介して接触する。換言すると、中和器115の底面部125の後端部分は底面形成板部179と直接接触せず、底面形成板部179の天面から上方に離反した位置にある。このことにより、底面形成板部179の上面に載置された中和器115は、前方側に下り勾配となるように傾斜された姿勢(着脱姿勢)をとる。
【0120】
そして、図23(c)で示される状態から接続具21を取り付ける(図示せず)。なお、このとき、接続具21の押上片部71(図8参照)は、直接中和器115の底面部125を押し上げるように配されるものとする。そして、接続具21を締結要素等を介して中和器115、底板部111に一体に固定する。
【0121】
このことにより、中和器115を筺体2の底板部111に取り付けるときの手順について説明、並びに第2の実施形態についての説明を終了する。
【0122】
上記した第2の実施形態では、中和器の側壁部26cを中和器制止片118に当接させることで、中和器115が底板部111に対して位置決めされる構成の例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、筺体2の底板部112に対し、図24で示されるように、脚部120の接地部122(図21参照)を挿入可能な空間170を形成する突起部171,171を設ける構成であってもよい。即ち、中和器115の脚部120を突起部171,171に嵌め込み、脚部120と突起部171を当接させて、中和器115が底板部112に対して位置決めされる構成であってもよい。即ち、適切な位置で中和器115の後方への移動を阻止できる構成であればよい。
【0123】
なお、この突起部は、図24で示されるように、別途折り曲げ加工等によって形成した部材をスポット溶接といった適宜な方法で底板部112に一体に取り付けて形成するだけでなく、底板部112の一部を加工して形成してもよい。例えば、底板部112の一部を切り起こして突起部としてもよい(図示せず)。このように、底板部112の一部を切り起こして突起部を形成する場合、切り起こしによって形成される孔は、突起部の下部に位置することが望ましい。そして、突起部の下部に中和器115の脚部120を嵌め込んだとき、脚部120によって孔(切り起こしによって形成される孔)が塞がれる構成であることが望ましい。このような構成にすると、切り起こしによって孔が形成されてしまっても、孔からの筺体2内部への冷たい外気の浸入を防止できる。
【0124】
上記した各実施形態では、中和器を上部へ押し上げる機能と、中和器を筺体2に固定する機能を有する接続具21を採用する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、中和器を上部へ押し上げる押上部材と、中和器を筺体2に固定する固定部材は、別途設けてもよい。このとき、押上部材は、中和器を直接押し上げるか、載置板部52といった他の部材を押し上げることで中和器を間接的に押し上げればよい。即ち、押上部材は、中和器の下方に位置して中和器の姿勢を変更できればよい。
【0125】
本発明の支持手段は、上記した中和器載置金具20や、脚部120に限るものではない。例えば、中和器底面の後端側に下方に突出する突起を形成してもよく、底板部11の底面形成板部に上方に突出する突起を形成してもよい。また、支持手段は、中和器や筺体と一体に形成してもよく、中和器や筺体と別途形成して中和器の設置時に中和器と筺体の間に配する構成であってもよい。中和器を底板部11上に傾斜した状態で配置できればよい。
【符号の説明】
【0126】
1 燃焼装置(熱源機)
2 筺体
5 二次熱交換器(熱交換器)
15,115 中和器
20 中和器載置金具(支持手段)
21 接続具(押上部材)
25,125 底面部(中和器底面)
27 掛止突起(掛止片)
52 載置板部(板状部)
76 係合孔部
79,179 底面形成板部(筺体内壁)
120 脚部(支持手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中和器を備えた筺体内に前記中和器を固定するための中和器の固定構造であって、
前記筺体内に前記中和器を配したときに中和器底面の少なくとも一部を筺体内壁から離反した位置に支持する支持手段と、押上部材とを有し、
前記押上部材の少なくとも一部は、中和器底面の端部近傍の下方に位置し、中和器底面を直接又は間接的に上方に押し上げるものであって、
支持手段で中和器を支持した状態にあっては、筺体内に中和器が傾斜した状態で設置される着脱姿勢をとることが可能であり、
前記着脱姿勢の状態から、押上部材によって中和器底面を押し上げることで、支持手段と押上部材によって中和器底面が筺体内壁から離反し、且つ、筺体内に中和器を固定可能な固定姿勢へと移行可能であることを特徴とする中和器の固定構造。
【請求項2】
前記着脱姿勢においては、中和器底面が前方側へ下り勾配となるように傾斜することを特徴とする請求項1に記載の中和器の固定構造。
【請求項3】
前記支持手段は、中和器を載置可能な板状部を有し、板状部は前端側が自由端となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の中和器の固定構造。
【請求項4】
前記押上部材は、前記固定姿勢において、着脱姿勢時から中和器又は支持手段の少なくとも一方を上方へ押し上げ、且つ、中和器を筺体内に一体に固定するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の中和器の固定構造。
【請求項5】
前記中和器は鉤状の掛止片を備え、前記押上部材には前記掛止片と係合可能な係合孔部が形成されており、掛止片と係合孔部とが係合した状態で押上部材が中和器に取り付けられるものであって、
中和器に押上部材が取り付けられた状態において、押上部材が中和器から前後方向及び上下方向に抜き取り不可能となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の中和器の固定構造。
【請求項6】
筺体内に燃料を燃焼するバーナと、バーナが作動して生成される燃焼ガスの主に潜熱を回収する熱交換器とを備えた熱源機であって、
前記熱交換器で発生したドレンを中和するための中和器を備えており、
請求項1乃至5のいずれかに記載の中和器の固定構造によって前記中和器が筺体内に固定されることを特徴とする熱源機。
【請求項1】
内部に中和器を備えた筺体内に前記中和器を固定するための中和器の固定構造であって、
前記筺体内に前記中和器を配したときに中和器底面の少なくとも一部を筺体内壁から離反した位置に支持する支持手段と、押上部材とを有し、
前記押上部材の少なくとも一部は、中和器底面の端部近傍の下方に位置し、中和器底面を直接又は間接的に上方に押し上げるものであって、
支持手段で中和器を支持した状態にあっては、筺体内に中和器が傾斜した状態で設置される着脱姿勢をとることが可能であり、
前記着脱姿勢の状態から、押上部材によって中和器底面を押し上げることで、支持手段と押上部材によって中和器底面が筺体内壁から離反し、且つ、筺体内に中和器を固定可能な固定姿勢へと移行可能であることを特徴とする中和器の固定構造。
【請求項2】
前記着脱姿勢においては、中和器底面が前方側へ下り勾配となるように傾斜することを特徴とする請求項1に記載の中和器の固定構造。
【請求項3】
前記支持手段は、中和器を載置可能な板状部を有し、板状部は前端側が自由端となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の中和器の固定構造。
【請求項4】
前記押上部材は、前記固定姿勢において、着脱姿勢時から中和器又は支持手段の少なくとも一方を上方へ押し上げ、且つ、中和器を筺体内に一体に固定するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の中和器の固定構造。
【請求項5】
前記中和器は鉤状の掛止片を備え、前記押上部材には前記掛止片と係合可能な係合孔部が形成されており、掛止片と係合孔部とが係合した状態で押上部材が中和器に取り付けられるものであって、
中和器に押上部材が取り付けられた状態において、押上部材が中和器から前後方向及び上下方向に抜き取り不可能となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の中和器の固定構造。
【請求項6】
筺体内に燃料を燃焼するバーナと、バーナが作動して生成される燃焼ガスの主に潜熱を回収する熱交換器とを備えた熱源機であって、
前記熱交換器で発生したドレンを中和するための中和器を備えており、
請求項1乃至5のいずれかに記載の中和器の固定構造によって前記中和器が筺体内に固定されることを特徴とする熱源機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−113566(P2013−113566A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263020(P2011−263020)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
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