中実円錐状噴射ノズル
【課題】改良された中実円錐状噴射ノズルを提供する。
【解決手段】中実円錐状噴射ノズルが、ノズルハウジングと捩れインサートとを具備し、ノズルハウジングが出口孔を含む出口室を有しており、出口室が捩れインサートの下流側に配設されている。捩れインサートが、その外周に少なくとも一つの捩れ溝型流路を有しており、捩れ溝型流路が、捩れ部において螺旋状に又は捩れインサートの中心縦軸線に対して斜めに延びるように形成されるとともに、捩れ部の端から捩れ溝型流路の下流側の端まで延びる出口部において軸方向に延びている。
【解決手段】中実円錐状噴射ノズルが、ノズルハウジングと捩れインサートとを具備し、ノズルハウジングが出口孔を含む出口室を有しており、出口室が捩れインサートの下流側に配設されている。捩れインサートが、その外周に少なくとも一つの捩れ溝型流路を有しており、捩れ溝型流路が、捩れ部において螺旋状に又は捩れインサートの中心縦軸線に対して斜めに延びるように形成されるとともに、捩れ部の端から捩れ溝型流路の下流側の端まで延びる出口部において軸方向に延びている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングと捩れインサートとを具備する中実円錐状噴射ノズルであって、ハウジングが出口孔を含む出口室を有し、出口室が捩れインサートの下流側に配設されている中実円錐状噴射ノズルに関するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
改良された中実円錐状噴射ノズルを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0003】
このために本発明は、ハウジングとその中の捩れインサートとを具備し、ハウジングが出口孔を含む出口室を有し、出口室が捩れインサートの下流側に配設されている中実円錐状噴射ノズルであって、捩れインサートがその外周に少なくとも一つの捩れ溝型流路を有しており、前記捩れ溝型流路は、捩れ部において、螺旋状に又は捩れインサートの中心縦軸線に対して斜めに延びるように形成されるとともに、捩れ部の端から捩れ溝型流路の下流側の端まで延びる出口部内で軸方向に延びる、中実円錐状噴射ノズルを提供する。
【0004】
円錐状噴霧を生み出すために、ノズルの出口孔の上流で流れの回転を引き起こすことが必要である。これは、噴射されるべき流体を、捩れインサート内の少なくとも一つの捩れ溝型流路をとおして案内することによって達成される。
【0005】
捩れ溝型流路を出るときの流体の回転運動は、出口室内における圧力勾配という結果となり、そこでは静圧が、出口室の壁部から出口室の中心又は出口室の回転軸線の方に向かって低下する。出口室の中心及び従って回転軸線の領域における静圧が低く過ぎるなら、それは中空の円錐状噴霧という結果になる。中実円錐状噴霧が達成されるように出口室の内部の圧力勾配に影響を及ぼすことが、少なくとも一つの捩れ溝型流路の軸方向に延びる出口部によって、本発明により意外にも可能である。出口部の長さは、中実円錐状噴霧内の流体の分布に影響を及ぼす設計パラメータとして役立つ。出口室は、例えば、半球形状であるか、又は平坦な若しくは球状の基部を有する止まり穴の形をしていることが可能である。
【0006】
本発明の発展形では、捩れインサートの下流側端面が凹部を備え、前記凹部は、捩れインサートのほぼ中心に配設されて捩れ溝型流路に部分的に交差している。
【0007】
そのような凹部を設けることは、出口室内の流れの状態の安定性に決定的に寄与することができる。そのような凹部によっても、出口室の内部の圧力勾配は影響を受けるので、一様な流体の分布を有する中実円錐状噴霧が達成され得る。凹部の深さ、及び凹部の、少なくとも一つの捩れ溝型流路との交差平面は、ノズル内の流体の分布に影響を及ぼす設計パラメータを構成する。有利なことには、凹部は出口部の領域内で捩れ溝型流路に交差する。
【0008】
本発明の発展形では、凹部は平らな又は丸い又は円錐状の基部を有する。
【0009】
噴射される中実円錐状噴霧は、凹部の基部の形状によって影響を受けることが可能である。凹部の基部及び捩れ溝型流路の基部の異なる形状によって、捩れインサート内での捩れ溝型流路と凹部との交差平面が変化するので、本発明の中実円錐状噴射ノズルの噴霧パターンがこのように影響を受けることが可能である。
【0010】
本発明の発展形では、複数の捩れ溝型流路が捩れインサートの外周に設けられる。
【0011】
捩れ溝型流路の数を変化させることも、噴霧パターンに影響をおよぼすことを可能にする。捩れ溝型流路の断面は、詰まりに対する感受性の小さいノズルを獲得するために、出口孔の断面に合わせるように調整され得る。
【0012】
本発明の発展形では、捩れインサートの端面における凹部が全ての捩れ溝型流路に部分的に交差する。
【0013】
このようにして、均一な圧力平衡が、出口室の横断平面を横切って見た時にも、出口室の中心で達成され、その結果流体の一様な分布が、得られた中実円錐状噴霧内で達成され得る。
【0014】
本発明の発展形では、少なくとも一つの捩れ溝型流路が、捩れ溝型流路の上流に位置する入口端から始まる入口部において軸方向に延び、次に捩れ部に合流し、最終的に出口部に沿って軸方向に延びている。
【0015】
このようにして、本発明の中実円錐状噴射ノズルの流れ抵抗の低減、及び特に流体が捩れ部の中に軸方向に部分的に流れ込むとき、捩れ部の上流側の流れの状態を安定化することが可能である。
【0016】
本発明の発展形では、捩れインサートの中心縦軸線に対する捩れ溝型流路の傾きが、捩れ部内で変化している。
【0017】
このようにして、本発明の中実円錐状噴射ノズルの噴霧パターン及び流れ抵抗に影響を及ぼすことも可能である。
【0018】
本発明の発展形では、噴射ノズルの最も狭い断面が出口孔によって形成される。
【0019】
このようにして、捩れ溝型流路の詰まりを充分に防止すること、及び全体として詰まりに対する感受性の小さい噴射ノズルを提供することが可能である。
【0020】
本発明の追加の特徴及び利点は、特許請求の範囲及び本発明の好適な実施形態の図面を参照した次に続く説明において明らかになる。示される様々な実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲を越えることなく、必要に応じて任意に互いに組合せが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の中実円錐状噴射ノズルの側面図である。
【図2】図1に示されたH−H切断面による断面図である。
【図3】図1に示される中実円錐状噴射ノズルを斜め上から見た部分断面斜視図である。
【図4】図3に示された中実円錐状噴射ノズルの側面図である。
【図5】図1に示された中実円錐状噴射ノズルの分解斜視図である。
【図6】図5に示された中実円錐状噴射ノズルの捩れインサートの側面図である。
【図7】図6に示された捩れインサートを斜め下から見た斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの側面図である。
【図9】図8に示された捩れインサートを斜め下から見た斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態による中実円錐状噴射ノズルの捩れインサートの側面図である。
【図11】図10に示される捩れインサートを斜め下から見た図である。
【図12】本発明の第4実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの側面図である。
【図13】図12に示される捩れインサートを斜め下から見た図である。
【図14】本発明の第5実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの側面図である。
【図15】図14に示される捩れインサートを斜め下から見た図である。
【図16】本発明の第6実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの平面図である。
【図17】図16に示される捩れインサートを斜め下から見た図である。
【図18】本発明の第7実施形態による中実円錐状噴射ノズルの捩れインサートの平面図である。
【図19】図18に示される捩れインサートを斜め下から見た図である。
【図20】本発明の第8実施形態による中実円錐状噴射ノズルの捩れインサートの平面図である。
【図21】図20に示される捩れインサートを斜め下から見た図である。
【図22】図6に示される捩れインサートの下面図である。
【図23】図22に示されるC−C切断面による断面図である。
【図24】本発明の第9実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの下面図である。
【図25】図24に示されるD−D切断面による断面図である。
【図26】本発明の第10実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの下面図である。
【図27】図26に示されるE−E切断面による断面図である。
【図28】本発明の第11実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの下面図である。
【図29】図28に示されるF−F切断面による断面図である。
【図30】本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの模式図であって、捩れ溝型流路の断面を図示するための模式図である。
【図31】本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートのさらに別の模式図であって、捩れ溝型流路の断面を図示するための模式図である。
【図32】本発明の第12実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの模式図である。
【図33】図32に示される捩れインサートの下面図である。
【図34】図33に示されるB−B切断面による断面図である。
【図35】図33に示されるA−A切断面による断面図である。
【図36】本発明の第13実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの図である。
【図37】図36に示される捩れインサートの下面図である。
【図38】図37に示されるD−D切断面による断面図である。
【図39】図37に示されるC−C切断面による断面図である。
【図40】本発明の第14実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの下面図である。
【図41】本発明の第15実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの下面図である。
【図42】本発明の第16実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の好適な実施形態による中実円錐状噴射ノズル10を示している。中実円錐状噴射ノズル10は、ハウジング12を有しており、前記ハウジング12は、六角形輪郭14と、ハウジングを接続ラインにねじ込むことを可能にする、図示されないねじ山とを備えている。ハウジング12は略円柱状の基本形を有している。
【0023】
図2は、図1に示されるH−H切断面による断面図である。ハウジング12は、出口室16と出口孔18とを有する。捩れインサート20が出口室16の上流のハウジング12内に配設されている。捩れインサート20は、円板状の基本形状を有しており、その外周囲に二つの捩れ溝型流路22,24を備えている。捩れインサートは、出口室16に近接したその端面に、平らな基部と円形断面とを有する止り穴の形をした中心凹部26を備えている。
【0024】
出口室16は、捩れインサート20に隣接するその領域では単純な円筒形状のものである。単純な円筒状部分の下流で、出口室16の断面は出口孔18の方へ向かって縮小する。この先細にされた部分において、出口室16は、ほぼ半球形を有する。出口孔18は、円形横断面の第1円筒部28と、この円筒部28の下流の円錐状拡大部30とを有している。
【0025】
図3は、本発明の中実円錐状噴射ノズル10の、前方より斜めに見た図であり、そこでは中実円錐状噴射ノズル10は部分断面図として示されている。第1の断面部分がハウジング12の外周からノズルの中心縦軸線32へ延びている。第2の断面部分が同様にハウジング12の外周から中心縦軸線32へ、但し第1の横断面部分に直角に延びている。
【0026】
噴射されるべき流体は、矢印34の方向でハウジング12内に入り、次いで二つの捩れ溝型流路22,24をとおって流れる。捩れインサート20の中心凹部26は、捩れ溝型流路22,24に出口室16の直ぐ上流のそれらの領域で交差する。従って流体は中心凹部26内に流入可能である。また、中心縦軸線32を取り囲む出口室16の領域はそれによって流体の圧力を受けるので、出口室16の境界領域と中心縦軸線32を取り囲む領域との間の過大な差圧が回避され得る。このようにして、流体の一様な分布を有する中実円錐状噴霧が出口孔18の下流で形成され得る。出口室16内の圧力条件及び従って放出された噴霧円錐内の流体の分布は、中心凹部26の深さによって、及び凹部26と捩れ溝型流路22,24との交差平面によっても影響される。
【0027】
図4は、図3に示される中実円錐状噴射ノズル10の部分断面側面図である。捩れインサート20の凹部26が平らな基部を有することがこの図から識別されるであろう。さらに、ハウジング12が、出口室の上流に周縁肩部36を備えることが認められ、前記周縁肩部36に接して捩れインサート20が載っている。かくして、捩れインサート20はハウジング12内のその位置に固定される。
【0028】
図5は、図1に示される中実円錐状噴射ノズル10を、斜め前から見た分解図で示している。捩れインサート20は、単純な円筒状円板の形を有している。二つの捩れ溝型流路22,24の各々は、入口部38を有しており、前記入口部38において捩れ溝型流路は中心縦軸線32に平行な方向に延びている。流れの方向で見て入口部38の後に捩れ部40が続き、前記捩れ部40において捩れ溝型流路は中心縦軸線32に対して斜めに延びている。次に、出口部42の各々が、捩れ部40の下流において捩れインサート20の下流側端面の方に向かって延びており、前記出口部42において捩れ溝型流路22,24は、再び中心縦軸線32に対して平行な方向に延びている。捩れインサート20の凹部26は、捩れ溝型流路22,24に、それらの出口部42の各々で交差している。
【0029】
捩れ溝型流路22の形状は、図6に示される側面図から明確に識別できるであろう。軸方向に延びる入口部38の次に斜めに又は螺旋状に延びる捩れ部40が続き、前記捩れ部40の次に再び軸方向に延びる出口部42が続く。示された実施形態では、捩れ溝型流路22,24は、球形フライス工具を使って作り出されるので、入口部38と捩れ部40と出口部42との間の移行部はゆるやかに湾曲して延びている、というのも移行部は捩れ溝型流路22の半円形断面に基いて丸く形成されるからである。
【0030】
軸方向、即ち中心縦軸線32に平行な方向に延びる出口部は、捩れ溝型流路22の捩れ部40内にある流体を出口部42内において少なくとも部分的に軸方向へ偏向させる。これは、出口室16の境界領域(図3参照)と、中心縦軸線32を取り囲む出口室16の中心領域との間の圧力平衡という結果となる。かくして、中実円錐状噴霧が得られる。
【0031】
捩れ溝型流路22,24にそれらの出口部42で交差する凹部26は、そのような圧力平衡にさらに寄与する。これにより、流体は、捩れ溝型流路22,24から凹部26内へ、及び従って出口室16の中心領域内へ流入することができる。これもまた、流体の一様な分布を有する中実円錐状噴霧を達成することに貢献する。
【0032】
図7は、図6に示された捩れインサート20を斜め下から見た図である。
【0033】
図8は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート44を示している。捩れインサート44は、図6で示された捩れインサート20よりも長く、また捩れインサートのこの増大した長さは、伸長した入口部46と伸長した出口部50に好適である。捩れインサート44の捩れ部48は、図6に示された捩れインサート20の捩れ部40と同じ長さである。捩れインサート44の下流側端面54の中心凹部52は、出口部50の全長を実質的に越えて延びるとともに、二つの捩れ溝型流路45,47に交差している。軸方向に延びる伸長した入口部46及び軸方向に延びる伸長した出口部50及び同様に伸長した中心凹部52によって、出口室16の壁部と出口室16の中心との間の圧力差を低減することが可能であるので、より多くの流体が中実円錐状噴霧の中心で放出される。凹部52は、円形に形成されており、また平らな基部を有する。
【0034】
図9は、図8に示された捩れインサート44を斜め下から見た図である。
【0035】
図10は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート56の側面図である。捩れインサート56は、二つの捩れ溝型流路60を有しており、前記捩れ溝型流路60は、捩れインサート56の上流側端面58から直ちに、中心縦軸線32に対して斜めに延びている。従って、捩れ溝型流路60は軸方向に延びる入口部を有さないが、それらは中心縦軸線32に対して斜めに延びる捩れ部62を具備し、前記捩れ部62の次に軸方向に延びる出口部64が続く。捩れ溝型流路60は、それらの出口部64の領域で、捩れインサート56の中心凹部66によって交差される。
【0036】
図11は、捩れインサート56を斜め下から見た図である。捩れ溝型流路60に加えて、部分的にだけ視認可能な第2の捩れ溝型流路67が設けられている。第2の捩れ溝型流路67は、それが捩れインサート56の周縁に沿って延びるとき、その捩れ部の領域上で、捩れ溝型流路60の傾きと同じ傾きを見せている。
【0037】
図12は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート68の側面図である。捩れインサート68は二つの捩れ溝型流路70,71を備えており、そのうちの捩れ溝型流路70だけが図12では視認可能である。捩れ溝型流路70は、捩れインサート68の上流側端面から直ちに、中心縦軸線に対して斜めに延びているので、その捩れ部72が捩れインサート68の上流側端面から始まる。この捩れ部72の次に、軸方向に延びる出口部74が続いており、前記出口部74は、図10で示される捩れインサート56の出口部64よりも細長くされている。中心凹部76も同様に細長くされている。軸方向の出口部74の伸長と、中心凹部76の伸長又は沈降深さは、出口室16の壁部と出口室16の中心領域との間の小さな圧力差という結果に至り、それとともに、放出される中実円錐状噴霧の内部領域におけるより多くの流体という結果に至る。
【0038】
図14は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート80の側面図である。捩れインサート80は二つの捩れ溝型流路82,83を備えており、そのうちの捩れ溝型流路82だけが図14で視認可能である。捩れ溝型流路82は、軸方向に延びる入口部84と、中心縦軸線に対して斜めに延びる捩れ部86と、軸方向に延びる出口部88とを有する。中心凹部90が、捩れインサートの下流側端面に設けられていて、捩れインサート80の捩れ溝型流路82に交差している。中心縦軸線に対する捩れ溝型流路82の傾きは捩れ部86内で変化している。このようにして、入口部84から捩れ部86への漸進的な移行及び捩れ部86から出口部88への漸進的な移行が達成され得る。
【0039】
図15は、捩れインサート80を斜め下から見た図である。
【0040】
図16は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート92の平面図である。捩れインサート92は単一の捩れ溝型流路94だけを有している。このようにして、捩れ溝型流路94の横断面は非常に大きくされ得るので、詰まりに対する感受性の小さい中実円錐状噴射ノズルが獲得される。
【0041】
図17は、捩れインサート92を斜め下から見た図である。単一の捩れ溝型流路94は、軸方向に延びる入口部96と、中心縦軸線に対して斜めに延びる捩れ部98と、中心縦軸線の軸方向に延びる出口部100とを有する。捩れインサート92の下流側端面102には、円形止まり穴104の形をした中心凹部が設けられており、前記中心凹部は、捩れ溝型流路94に、その出口部100の領域及び部分的にはその捩れ部98の領域でも交差している。
【0042】
図18は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート106を示している。捩れインサート106は、互いに正反対に対向する二つの捩れ溝型流路108,110を備えている。
【0043】
図19は捩れインサート106を斜め下から見た図である。
【0044】
図20は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート112の平面図である。捩れインサート112は三つの捩れ溝型流路114,116,118を備えており、それらの各々は、捩れインサート112の外周の回りで120°の角度で互いに離間されている。
【0045】
図21は、捩れインサート112を斜め下から見た図である。
【0046】
図22〜図29は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の複数の捩れインサートを示しており、それらは、捩れインサートの下流側端面におけるそれぞれの中心凹部の形状に関してだけ互いに異なっている。
【0047】
図22は、図6に示された捩れインサート20を下から見た図である。二つの捩れ溝型流路22,24に加えて円形断面の凹部26が識別される。凹部26は、捩れインサート20の下流側端面の直ぐ上の領域で捩れ溝型流路22,24に交差している。
【0048】
図23は、図22に示された切断面C−Cによる断面図である。中心凹部26は、平らな基部120を有しており、また例えばいわゆる180度ドリル刃を使って生み出される。上述したように、凹部26の深さと基部120の形状は、出口室16の内側の圧力分布に、及び従って出口孔18(図16参照)の下流の中実円錐状噴霧内の流体の分布にも影響を及ぼす。
【0049】
図24は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート122を示している。中心凹部124以外は、捩れインサート122は、図22に示される捩れインサート20に同じである。凹部124は、同様に円形であって、その円形と直径は捩れインサート20の凹部26の場合と同じである。捩れインサート20の中心凹部26の平らな基部120とは異なって、凹部124の基部126は、図25に示される切断面D−Dによる断面図から分かるように円錐形をしている。従って、凹部124は、例えば先端角度を有するドリル刃、即ちこの例では118°の先端角度を有するドリル刃を使って生み出すことが可能である。
【0050】
図26は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート128の図であり、前記捩れインサート128は、中心凹部130の形状に関してだけ図22に示される捩れインサート20と異なっている。捩れインサート128の凹部130は、平らな円柱状の側刃カッタを挿入することによって生み出される。円板型の側刃カッタは、中心縦軸線32に平行に延びる方向で捩れインサート128の方へ前進させられる。従って図27から明瞭に識別可能であるように、凹部130は、流れの方向で見たとき、内側に湾曲した平滑な表面によって形成された基部132を与えられている。前記表面の湾曲は円板型側刃カッタの外径の湾曲に一致する。示された実施形態では、凹部130の基部132は、一方向においてだけ湾曲している。基部132のそのような形状は、円柱状のフライスカッタの使用の結果として生じ、従って前記フライスカッタの外周は、回転軸線に平行な方向では平らに形成されている。同様に、例えば、回転軸線に平行に延びる方向にも湾曲を有する円板型側刃カッタを使用することも可能である。
【0051】
図26から分かるように、中心凹部130が捩れ溝型流路134,136に横から交差しており、その結果、捩れインサート128の場合には、流体が、捩れ溝型流路から凹部130内へも流れ、そのようにして出口室16内の圧力分布及び従って噴射された中実円錐状噴霧内の流体の圧力分布にも影響を及ぼす。
【0052】
図28は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート140を示している。捩れインサート140は、図22に示される捩れインサート20とは、その中心凹部142の形状についてだけ異なる。凹部142は、円柱状の円板型側刃カッタを挿入して半径方向に移動させることによって生み出される。円板型側刃カッタの円柱形状に起因して、凹部142は、図29から分かるように平らな基部144を与えられている。
【0053】
図29は、図28に示される切断面F−Fによる断面図である。捩れインサート140の場合における中心凹部142の深さは、捩れ溝型流路146,148が、それらの軸方向に延びる出口部においてだけではなく中心縦軸線に対して斜めに延びるそれらの捩れ部においても中心凹部142によって交差されるように、比較的大きい。中心凹部の深さ及び形状、並びに凹部の基部144の形状も、圧力分布に対して、並びに出口室16内の流体の分布及び従ってノズルによって噴射された中実円錐状噴射ノズル内の流体の分布に対して影響を及ぼす。
【0054】
図30及び図31は、捩れ溝型流路の様々な形状を示すのに役立っており、また単に模式的な図である。図30に示される捩れインサート150は正反対に対向する二つの捩れ溝型流路152,154を有しており、前記捩れ溝型流路152,154の各々は半円形の基部156及び158をそれぞれ有する。捩れ溝型流路152,154は、例えば、球形フライスカッタを挿入して移動させることにより生み出される。
【0055】
図31は、捩れインサート160を模式的に示しており、前記捩れインサート160は、その周囲に一定の間隔で分配された合計で三つの捩れ溝型流路162,164,166を有している。捩れ溝型流路162,164,166の各々は、矩形の横断面を有しており、及び従って平らな基部168を有している。捩れ溝型流路162,164,166は、例えば180度ドリル刃又はフライス刃を挿入して移動させることによって生み出される。
【0056】
図32は、二つの捩れ溝型流路172,174を具備する捩れインサート170の斜視図である。二つの十字形の凹部178,180が、円柱形状を有する円板型側刃カッタを使って捩れインサート170の下流側端面176に形成されている。凹部178,180は捩れインサート170の中心縦軸線182で交差している(図33も参照)。二つの凹部178,180の各々は、円柱状の円板型側刃を中心縦軸線182に平行な方向で捩れインサート170の端面176の中に前進させることにより生み出される。圧力平衡が、凹部178,180によって捩れ室内で生み出される。捩れ室と凹部178,180との間の圧力勾配により、それにより形成される調整流路を通って流体が、捩れ室の中心に流れることができ、そこに圧力平衡を確立することができる。捩れインサート170を具備する中実円錐状噴射ノズルによって噴射された噴霧ジェット内の流体の分布及びこの噴射された噴霧ジェットの角度の制御は、凹部178,180の深さによって実現可能であり、前記凹部の深さは、中心縦軸線182の方向における円板型側刃の沈降深さによって決定される。流体の分布及び噴射された噴霧ジェットの角度は、円柱状円板型側刃の厚さに等しい凹部178,180の幅、つまり凹部178,180の縦軸線に直角に延びる各凹部の寸法によっても影響を及ぼされ得る。
【0057】
凹部178,180の形状は、図34及び図35に示される断面図からも識別可能である。
【0058】
図36は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート190の斜視図である。捩れインサート190は、捩れインサート190の下流側端面196に十字形凹部192,194を単に設けたことによって、図32に示される捩れインサート170とは異なる。凹部192,194の各々は、矩形断面の溝型流路の形をしており、及び前記凹部は捩れインサート190の下流側の端面196内で互いに対して直角に延びている。凹部192,194は、円板型側刃又は180度フライスカッタを中心縦軸線198に対して直角に及び端面196に平行な方向で横に移動させることによって生み出され得る。凹部192,194は中心縦軸線198において交差している(図37参照)。凹部192,194の形状は図38及び図39に示される断面図からも識別可能である。
【0059】
図32に示される捩れインサート170の場合のように、圧力平衡が、二つの凹部192,194によって捩れ室内に確立される、というのも捩れ室と二つの凹部192,194との間の圧力差によって、流体が、捩れ室の中心に流れてそこに圧力平衡を確立できるからである。流体の分布及び噴射された中実噴霧の角度に対する影響が、図32に示される捩れインサート170の場合のように、凹部192,194の深さと幅を介して生じ得る。
【0060】
図40は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート200を下から見た図である。この図は、捩れインサート200の下流側端面202を表現しており、前記下流側端面202の中に二つの捩れ溝型流路204,206が開口しており、前記二つの捩れ溝型流路204,206は、図32に示される捩れインサート170の捩れ溝型流路172,174と同様に形成されたものである。
【0061】
凹部208が、下流側端面202に配設されており、前記凹部208は端面202を横切って延びる溝型流路のように成形されている。凹部208は捩れ溝型流路204,206とは交差しないが、それは二つの捩れ溝型流路204,206を結ぶ線分によって規定される方向に直角に端面202を横切って延びている。凹部208の幅は、捩れ溝型流路204,206が端面202内に開口する領域に凹部208が交差しないことを確実にするのに充分なほど小さく作られている。
【0062】
図41は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート210を下から見た図である。従って図41は、捩れインサート210の下流側端面212の図である。図32に示された捩れインサート170の捩れ溝型流路172,174と同様に形成された二つの捩れ溝型流路214,216がこの端面212内に開口している。
【0063】
下流側端面212は、捩れ溝型流路214,216に交差しない複数の溝型流路の形をした凹部218を有する。より詳しくは、凹部218は、全部で五つの溝型流路220,222,224,226,228のH形構造形を示している。溝型流路220,222はV形の様態で集まり、何れの場合も捩れインサート210の外周から進行して公差点で終了する。捩れ溝型流路220,222は、互いに対する約130°の角度で配設されている。二つの溝型流路226,228は溝型流路220,222の鏡像としてデザインされており、またそれらは従って捩れインサート210の外周から進行して二つの溝型流路226,228の交差点で終わるV形の構造形を同様に形作る。溝型流路220,222の交差点と溝型流路226,228の交差点は、これら交差点の各々で終わる溝型流路224に接続されている。この配置構成は、捩れインサート210の下流側端面212における略H形凹部218という結果となる。
【0064】
図42は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート230の下流側端面232を下から見た図である。互いに直角に延びて中心縦軸線236で交差する二つの溝型流路238,240を有する凹部234が端面232に配設されている。溝型流路状の凹部240は、二つの捩れ溝型流路242,244に接続しており、前記二つの捩れ溝型流路242,244は、図32に示された捩れインサート170の捩れ溝型流路172,174と同じデザインのものである。溝型流路状の凹部238は、凹部240に対して直角に配設されているが、それは捩れインサート230の外周まで延びていない。これは、捩れインサート230の下流側端面232における概ね十字形の凹部234という結果となる。
【符号の説明】
【0065】
12 ハウジング
16 出口室
18 出口孔
20 捩れインサート
22 捩れ溝型流路
24 捩れ溝型流路
26 凹部
28 円筒部
32 中心縦軸線
38 入口部
40 捩れ部
42 出口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングと捩れインサートとを具備する中実円錐状噴射ノズルであって、ハウジングが出口孔を含む出口室を有し、出口室が捩れインサートの下流側に配設されている中実円錐状噴射ノズルに関するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
改良された中実円錐状噴射ノズルを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0003】
このために本発明は、ハウジングとその中の捩れインサートとを具備し、ハウジングが出口孔を含む出口室を有し、出口室が捩れインサートの下流側に配設されている中実円錐状噴射ノズルであって、捩れインサートがその外周に少なくとも一つの捩れ溝型流路を有しており、前記捩れ溝型流路は、捩れ部において、螺旋状に又は捩れインサートの中心縦軸線に対して斜めに延びるように形成されるとともに、捩れ部の端から捩れ溝型流路の下流側の端まで延びる出口部内で軸方向に延びる、中実円錐状噴射ノズルを提供する。
【0004】
円錐状噴霧を生み出すために、ノズルの出口孔の上流で流れの回転を引き起こすことが必要である。これは、噴射されるべき流体を、捩れインサート内の少なくとも一つの捩れ溝型流路をとおして案内することによって達成される。
【0005】
捩れ溝型流路を出るときの流体の回転運動は、出口室内における圧力勾配という結果となり、そこでは静圧が、出口室の壁部から出口室の中心又は出口室の回転軸線の方に向かって低下する。出口室の中心及び従って回転軸線の領域における静圧が低く過ぎるなら、それは中空の円錐状噴霧という結果になる。中実円錐状噴霧が達成されるように出口室の内部の圧力勾配に影響を及ぼすことが、少なくとも一つの捩れ溝型流路の軸方向に延びる出口部によって、本発明により意外にも可能である。出口部の長さは、中実円錐状噴霧内の流体の分布に影響を及ぼす設計パラメータとして役立つ。出口室は、例えば、半球形状であるか、又は平坦な若しくは球状の基部を有する止まり穴の形をしていることが可能である。
【0006】
本発明の発展形では、捩れインサートの下流側端面が凹部を備え、前記凹部は、捩れインサートのほぼ中心に配設されて捩れ溝型流路に部分的に交差している。
【0007】
そのような凹部を設けることは、出口室内の流れの状態の安定性に決定的に寄与することができる。そのような凹部によっても、出口室の内部の圧力勾配は影響を受けるので、一様な流体の分布を有する中実円錐状噴霧が達成され得る。凹部の深さ、及び凹部の、少なくとも一つの捩れ溝型流路との交差平面は、ノズル内の流体の分布に影響を及ぼす設計パラメータを構成する。有利なことには、凹部は出口部の領域内で捩れ溝型流路に交差する。
【0008】
本発明の発展形では、凹部は平らな又は丸い又は円錐状の基部を有する。
【0009】
噴射される中実円錐状噴霧は、凹部の基部の形状によって影響を受けることが可能である。凹部の基部及び捩れ溝型流路の基部の異なる形状によって、捩れインサート内での捩れ溝型流路と凹部との交差平面が変化するので、本発明の中実円錐状噴射ノズルの噴霧パターンがこのように影響を受けることが可能である。
【0010】
本発明の発展形では、複数の捩れ溝型流路が捩れインサートの外周に設けられる。
【0011】
捩れ溝型流路の数を変化させることも、噴霧パターンに影響をおよぼすことを可能にする。捩れ溝型流路の断面は、詰まりに対する感受性の小さいノズルを獲得するために、出口孔の断面に合わせるように調整され得る。
【0012】
本発明の発展形では、捩れインサートの端面における凹部が全ての捩れ溝型流路に部分的に交差する。
【0013】
このようにして、均一な圧力平衡が、出口室の横断平面を横切って見た時にも、出口室の中心で達成され、その結果流体の一様な分布が、得られた中実円錐状噴霧内で達成され得る。
【0014】
本発明の発展形では、少なくとも一つの捩れ溝型流路が、捩れ溝型流路の上流に位置する入口端から始まる入口部において軸方向に延び、次に捩れ部に合流し、最終的に出口部に沿って軸方向に延びている。
【0015】
このようにして、本発明の中実円錐状噴射ノズルの流れ抵抗の低減、及び特に流体が捩れ部の中に軸方向に部分的に流れ込むとき、捩れ部の上流側の流れの状態を安定化することが可能である。
【0016】
本発明の発展形では、捩れインサートの中心縦軸線に対する捩れ溝型流路の傾きが、捩れ部内で変化している。
【0017】
このようにして、本発明の中実円錐状噴射ノズルの噴霧パターン及び流れ抵抗に影響を及ぼすことも可能である。
【0018】
本発明の発展形では、噴射ノズルの最も狭い断面が出口孔によって形成される。
【0019】
このようにして、捩れ溝型流路の詰まりを充分に防止すること、及び全体として詰まりに対する感受性の小さい噴射ノズルを提供することが可能である。
【0020】
本発明の追加の特徴及び利点は、特許請求の範囲及び本発明の好適な実施形態の図面を参照した次に続く説明において明らかになる。示される様々な実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲を越えることなく、必要に応じて任意に互いに組合せが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の中実円錐状噴射ノズルの側面図である。
【図2】図1に示されたH−H切断面による断面図である。
【図3】図1に示される中実円錐状噴射ノズルを斜め上から見た部分断面斜視図である。
【図4】図3に示された中実円錐状噴射ノズルの側面図である。
【図5】図1に示された中実円錐状噴射ノズルの分解斜視図である。
【図6】図5に示された中実円錐状噴射ノズルの捩れインサートの側面図である。
【図7】図6に示された捩れインサートを斜め下から見た斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの側面図である。
【図9】図8に示された捩れインサートを斜め下から見た斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態による中実円錐状噴射ノズルの捩れインサートの側面図である。
【図11】図10に示される捩れインサートを斜め下から見た図である。
【図12】本発明の第4実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの側面図である。
【図13】図12に示される捩れインサートを斜め下から見た図である。
【図14】本発明の第5実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの側面図である。
【図15】図14に示される捩れインサートを斜め下から見た図である。
【図16】本発明の第6実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの平面図である。
【図17】図16に示される捩れインサートを斜め下から見た図である。
【図18】本発明の第7実施形態による中実円錐状噴射ノズルの捩れインサートの平面図である。
【図19】図18に示される捩れインサートを斜め下から見た図である。
【図20】本発明の第8実施形態による中実円錐状噴射ノズルの捩れインサートの平面図である。
【図21】図20に示される捩れインサートを斜め下から見た図である。
【図22】図6に示される捩れインサートの下面図である。
【図23】図22に示されるC−C切断面による断面図である。
【図24】本発明の第9実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの下面図である。
【図25】図24に示されるD−D切断面による断面図である。
【図26】本発明の第10実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの下面図である。
【図27】図26に示されるE−E切断面による断面図である。
【図28】本発明の第11実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの下面図である。
【図29】図28に示されるF−F切断面による断面図である。
【図30】本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの模式図であって、捩れ溝型流路の断面を図示するための模式図である。
【図31】本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートのさらに別の模式図であって、捩れ溝型流路の断面を図示するための模式図である。
【図32】本発明の第12実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの模式図である。
【図33】図32に示される捩れインサートの下面図である。
【図34】図33に示されるB−B切断面による断面図である。
【図35】図33に示されるA−A切断面による断面図である。
【図36】本発明の第13実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの図である。
【図37】図36に示される捩れインサートの下面図である。
【図38】図37に示されるD−D切断面による断面図である。
【図39】図37に示されるC−C切断面による断面図である。
【図40】本発明の第14実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの下面図である。
【図41】本発明の第15実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの下面図である。
【図42】本発明の第16実施形態による中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサートの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の好適な実施形態による中実円錐状噴射ノズル10を示している。中実円錐状噴射ノズル10は、ハウジング12を有しており、前記ハウジング12は、六角形輪郭14と、ハウジングを接続ラインにねじ込むことを可能にする、図示されないねじ山とを備えている。ハウジング12は略円柱状の基本形を有している。
【0023】
図2は、図1に示されるH−H切断面による断面図である。ハウジング12は、出口室16と出口孔18とを有する。捩れインサート20が出口室16の上流のハウジング12内に配設されている。捩れインサート20は、円板状の基本形状を有しており、その外周囲に二つの捩れ溝型流路22,24を備えている。捩れインサートは、出口室16に近接したその端面に、平らな基部と円形断面とを有する止り穴の形をした中心凹部26を備えている。
【0024】
出口室16は、捩れインサート20に隣接するその領域では単純な円筒形状のものである。単純な円筒状部分の下流で、出口室16の断面は出口孔18の方へ向かって縮小する。この先細にされた部分において、出口室16は、ほぼ半球形を有する。出口孔18は、円形横断面の第1円筒部28と、この円筒部28の下流の円錐状拡大部30とを有している。
【0025】
図3は、本発明の中実円錐状噴射ノズル10の、前方より斜めに見た図であり、そこでは中実円錐状噴射ノズル10は部分断面図として示されている。第1の断面部分がハウジング12の外周からノズルの中心縦軸線32へ延びている。第2の断面部分が同様にハウジング12の外周から中心縦軸線32へ、但し第1の横断面部分に直角に延びている。
【0026】
噴射されるべき流体は、矢印34の方向でハウジング12内に入り、次いで二つの捩れ溝型流路22,24をとおって流れる。捩れインサート20の中心凹部26は、捩れ溝型流路22,24に出口室16の直ぐ上流のそれらの領域で交差する。従って流体は中心凹部26内に流入可能である。また、中心縦軸線32を取り囲む出口室16の領域はそれによって流体の圧力を受けるので、出口室16の境界領域と中心縦軸線32を取り囲む領域との間の過大な差圧が回避され得る。このようにして、流体の一様な分布を有する中実円錐状噴霧が出口孔18の下流で形成され得る。出口室16内の圧力条件及び従って放出された噴霧円錐内の流体の分布は、中心凹部26の深さによって、及び凹部26と捩れ溝型流路22,24との交差平面によっても影響される。
【0027】
図4は、図3に示される中実円錐状噴射ノズル10の部分断面側面図である。捩れインサート20の凹部26が平らな基部を有することがこの図から識別されるであろう。さらに、ハウジング12が、出口室の上流に周縁肩部36を備えることが認められ、前記周縁肩部36に接して捩れインサート20が載っている。かくして、捩れインサート20はハウジング12内のその位置に固定される。
【0028】
図5は、図1に示される中実円錐状噴射ノズル10を、斜め前から見た分解図で示している。捩れインサート20は、単純な円筒状円板の形を有している。二つの捩れ溝型流路22,24の各々は、入口部38を有しており、前記入口部38において捩れ溝型流路は中心縦軸線32に平行な方向に延びている。流れの方向で見て入口部38の後に捩れ部40が続き、前記捩れ部40において捩れ溝型流路は中心縦軸線32に対して斜めに延びている。次に、出口部42の各々が、捩れ部40の下流において捩れインサート20の下流側端面の方に向かって延びており、前記出口部42において捩れ溝型流路22,24は、再び中心縦軸線32に対して平行な方向に延びている。捩れインサート20の凹部26は、捩れ溝型流路22,24に、それらの出口部42の各々で交差している。
【0029】
捩れ溝型流路22の形状は、図6に示される側面図から明確に識別できるであろう。軸方向に延びる入口部38の次に斜めに又は螺旋状に延びる捩れ部40が続き、前記捩れ部40の次に再び軸方向に延びる出口部42が続く。示された実施形態では、捩れ溝型流路22,24は、球形フライス工具を使って作り出されるので、入口部38と捩れ部40と出口部42との間の移行部はゆるやかに湾曲して延びている、というのも移行部は捩れ溝型流路22の半円形断面に基いて丸く形成されるからである。
【0030】
軸方向、即ち中心縦軸線32に平行な方向に延びる出口部は、捩れ溝型流路22の捩れ部40内にある流体を出口部42内において少なくとも部分的に軸方向へ偏向させる。これは、出口室16の境界領域(図3参照)と、中心縦軸線32を取り囲む出口室16の中心領域との間の圧力平衡という結果となる。かくして、中実円錐状噴霧が得られる。
【0031】
捩れ溝型流路22,24にそれらの出口部42で交差する凹部26は、そのような圧力平衡にさらに寄与する。これにより、流体は、捩れ溝型流路22,24から凹部26内へ、及び従って出口室16の中心領域内へ流入することができる。これもまた、流体の一様な分布を有する中実円錐状噴霧を達成することに貢献する。
【0032】
図7は、図6に示された捩れインサート20を斜め下から見た図である。
【0033】
図8は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート44を示している。捩れインサート44は、図6で示された捩れインサート20よりも長く、また捩れインサートのこの増大した長さは、伸長した入口部46と伸長した出口部50に好適である。捩れインサート44の捩れ部48は、図6に示された捩れインサート20の捩れ部40と同じ長さである。捩れインサート44の下流側端面54の中心凹部52は、出口部50の全長を実質的に越えて延びるとともに、二つの捩れ溝型流路45,47に交差している。軸方向に延びる伸長した入口部46及び軸方向に延びる伸長した出口部50及び同様に伸長した中心凹部52によって、出口室16の壁部と出口室16の中心との間の圧力差を低減することが可能であるので、より多くの流体が中実円錐状噴霧の中心で放出される。凹部52は、円形に形成されており、また平らな基部を有する。
【0034】
図9は、図8に示された捩れインサート44を斜め下から見た図である。
【0035】
図10は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート56の側面図である。捩れインサート56は、二つの捩れ溝型流路60を有しており、前記捩れ溝型流路60は、捩れインサート56の上流側端面58から直ちに、中心縦軸線32に対して斜めに延びている。従って、捩れ溝型流路60は軸方向に延びる入口部を有さないが、それらは中心縦軸線32に対して斜めに延びる捩れ部62を具備し、前記捩れ部62の次に軸方向に延びる出口部64が続く。捩れ溝型流路60は、それらの出口部64の領域で、捩れインサート56の中心凹部66によって交差される。
【0036】
図11は、捩れインサート56を斜め下から見た図である。捩れ溝型流路60に加えて、部分的にだけ視認可能な第2の捩れ溝型流路67が設けられている。第2の捩れ溝型流路67は、それが捩れインサート56の周縁に沿って延びるとき、その捩れ部の領域上で、捩れ溝型流路60の傾きと同じ傾きを見せている。
【0037】
図12は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート68の側面図である。捩れインサート68は二つの捩れ溝型流路70,71を備えており、そのうちの捩れ溝型流路70だけが図12では視認可能である。捩れ溝型流路70は、捩れインサート68の上流側端面から直ちに、中心縦軸線に対して斜めに延びているので、その捩れ部72が捩れインサート68の上流側端面から始まる。この捩れ部72の次に、軸方向に延びる出口部74が続いており、前記出口部74は、図10で示される捩れインサート56の出口部64よりも細長くされている。中心凹部76も同様に細長くされている。軸方向の出口部74の伸長と、中心凹部76の伸長又は沈降深さは、出口室16の壁部と出口室16の中心領域との間の小さな圧力差という結果に至り、それとともに、放出される中実円錐状噴霧の内部領域におけるより多くの流体という結果に至る。
【0038】
図14は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート80の側面図である。捩れインサート80は二つの捩れ溝型流路82,83を備えており、そのうちの捩れ溝型流路82だけが図14で視認可能である。捩れ溝型流路82は、軸方向に延びる入口部84と、中心縦軸線に対して斜めに延びる捩れ部86と、軸方向に延びる出口部88とを有する。中心凹部90が、捩れインサートの下流側端面に設けられていて、捩れインサート80の捩れ溝型流路82に交差している。中心縦軸線に対する捩れ溝型流路82の傾きは捩れ部86内で変化している。このようにして、入口部84から捩れ部86への漸進的な移行及び捩れ部86から出口部88への漸進的な移行が達成され得る。
【0039】
図15は、捩れインサート80を斜め下から見た図である。
【0040】
図16は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート92の平面図である。捩れインサート92は単一の捩れ溝型流路94だけを有している。このようにして、捩れ溝型流路94の横断面は非常に大きくされ得るので、詰まりに対する感受性の小さい中実円錐状噴射ノズルが獲得される。
【0041】
図17は、捩れインサート92を斜め下から見た図である。単一の捩れ溝型流路94は、軸方向に延びる入口部96と、中心縦軸線に対して斜めに延びる捩れ部98と、中心縦軸線の軸方向に延びる出口部100とを有する。捩れインサート92の下流側端面102には、円形止まり穴104の形をした中心凹部が設けられており、前記中心凹部は、捩れ溝型流路94に、その出口部100の領域及び部分的にはその捩れ部98の領域でも交差している。
【0042】
図18は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート106を示している。捩れインサート106は、互いに正反対に対向する二つの捩れ溝型流路108,110を備えている。
【0043】
図19は捩れインサート106を斜め下から見た図である。
【0044】
図20は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート112の平面図である。捩れインサート112は三つの捩れ溝型流路114,116,118を備えており、それらの各々は、捩れインサート112の外周の回りで120°の角度で互いに離間されている。
【0045】
図21は、捩れインサート112を斜め下から見た図である。
【0046】
図22〜図29は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の複数の捩れインサートを示しており、それらは、捩れインサートの下流側端面におけるそれぞれの中心凹部の形状に関してだけ互いに異なっている。
【0047】
図22は、図6に示された捩れインサート20を下から見た図である。二つの捩れ溝型流路22,24に加えて円形断面の凹部26が識別される。凹部26は、捩れインサート20の下流側端面の直ぐ上の領域で捩れ溝型流路22,24に交差している。
【0048】
図23は、図22に示された切断面C−Cによる断面図である。中心凹部26は、平らな基部120を有しており、また例えばいわゆる180度ドリル刃を使って生み出される。上述したように、凹部26の深さと基部120の形状は、出口室16の内側の圧力分布に、及び従って出口孔18(図16参照)の下流の中実円錐状噴霧内の流体の分布にも影響を及ぼす。
【0049】
図24は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート122を示している。中心凹部124以外は、捩れインサート122は、図22に示される捩れインサート20に同じである。凹部124は、同様に円形であって、その円形と直径は捩れインサート20の凹部26の場合と同じである。捩れインサート20の中心凹部26の平らな基部120とは異なって、凹部124の基部126は、図25に示される切断面D−Dによる断面図から分かるように円錐形をしている。従って、凹部124は、例えば先端角度を有するドリル刃、即ちこの例では118°の先端角度を有するドリル刃を使って生み出すことが可能である。
【0050】
図26は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート128の図であり、前記捩れインサート128は、中心凹部130の形状に関してだけ図22に示される捩れインサート20と異なっている。捩れインサート128の凹部130は、平らな円柱状の側刃カッタを挿入することによって生み出される。円板型の側刃カッタは、中心縦軸線32に平行に延びる方向で捩れインサート128の方へ前進させられる。従って図27から明瞭に識別可能であるように、凹部130は、流れの方向で見たとき、内側に湾曲した平滑な表面によって形成された基部132を与えられている。前記表面の湾曲は円板型側刃カッタの外径の湾曲に一致する。示された実施形態では、凹部130の基部132は、一方向においてだけ湾曲している。基部132のそのような形状は、円柱状のフライスカッタの使用の結果として生じ、従って前記フライスカッタの外周は、回転軸線に平行な方向では平らに形成されている。同様に、例えば、回転軸線に平行に延びる方向にも湾曲を有する円板型側刃カッタを使用することも可能である。
【0051】
図26から分かるように、中心凹部130が捩れ溝型流路134,136に横から交差しており、その結果、捩れインサート128の場合には、流体が、捩れ溝型流路から凹部130内へも流れ、そのようにして出口室16内の圧力分布及び従って噴射された中実円錐状噴霧内の流体の圧力分布にも影響を及ぼす。
【0052】
図28は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート140を示している。捩れインサート140は、図22に示される捩れインサート20とは、その中心凹部142の形状についてだけ異なる。凹部142は、円柱状の円板型側刃カッタを挿入して半径方向に移動させることによって生み出される。円板型側刃カッタの円柱形状に起因して、凹部142は、図29から分かるように平らな基部144を与えられている。
【0053】
図29は、図28に示される切断面F−Fによる断面図である。捩れインサート140の場合における中心凹部142の深さは、捩れ溝型流路146,148が、それらの軸方向に延びる出口部においてだけではなく中心縦軸線に対して斜めに延びるそれらの捩れ部においても中心凹部142によって交差されるように、比較的大きい。中心凹部の深さ及び形状、並びに凹部の基部144の形状も、圧力分布に対して、並びに出口室16内の流体の分布及び従ってノズルによって噴射された中実円錐状噴射ノズル内の流体の分布に対して影響を及ぼす。
【0054】
図30及び図31は、捩れ溝型流路の様々な形状を示すのに役立っており、また単に模式的な図である。図30に示される捩れインサート150は正反対に対向する二つの捩れ溝型流路152,154を有しており、前記捩れ溝型流路152,154の各々は半円形の基部156及び158をそれぞれ有する。捩れ溝型流路152,154は、例えば、球形フライスカッタを挿入して移動させることにより生み出される。
【0055】
図31は、捩れインサート160を模式的に示しており、前記捩れインサート160は、その周囲に一定の間隔で分配された合計で三つの捩れ溝型流路162,164,166を有している。捩れ溝型流路162,164,166の各々は、矩形の横断面を有しており、及び従って平らな基部168を有している。捩れ溝型流路162,164,166は、例えば180度ドリル刃又はフライス刃を挿入して移動させることによって生み出される。
【0056】
図32は、二つの捩れ溝型流路172,174を具備する捩れインサート170の斜視図である。二つの十字形の凹部178,180が、円柱形状を有する円板型側刃カッタを使って捩れインサート170の下流側端面176に形成されている。凹部178,180は捩れインサート170の中心縦軸線182で交差している(図33も参照)。二つの凹部178,180の各々は、円柱状の円板型側刃を中心縦軸線182に平行な方向で捩れインサート170の端面176の中に前進させることにより生み出される。圧力平衡が、凹部178,180によって捩れ室内で生み出される。捩れ室と凹部178,180との間の圧力勾配により、それにより形成される調整流路を通って流体が、捩れ室の中心に流れることができ、そこに圧力平衡を確立することができる。捩れインサート170を具備する中実円錐状噴射ノズルによって噴射された噴霧ジェット内の流体の分布及びこの噴射された噴霧ジェットの角度の制御は、凹部178,180の深さによって実現可能であり、前記凹部の深さは、中心縦軸線182の方向における円板型側刃の沈降深さによって決定される。流体の分布及び噴射された噴霧ジェットの角度は、円柱状円板型側刃の厚さに等しい凹部178,180の幅、つまり凹部178,180の縦軸線に直角に延びる各凹部の寸法によっても影響を及ぼされ得る。
【0057】
凹部178,180の形状は、図34及び図35に示される断面図からも識別可能である。
【0058】
図36は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート190の斜視図である。捩れインサート190は、捩れインサート190の下流側端面196に十字形凹部192,194を単に設けたことによって、図32に示される捩れインサート170とは異なる。凹部192,194の各々は、矩形断面の溝型流路の形をしており、及び前記凹部は捩れインサート190の下流側の端面196内で互いに対して直角に延びている。凹部192,194は、円板型側刃又は180度フライスカッタを中心縦軸線198に対して直角に及び端面196に平行な方向で横に移動させることによって生み出され得る。凹部192,194は中心縦軸線198において交差している(図37参照)。凹部192,194の形状は図38及び図39に示される断面図からも識別可能である。
【0059】
図32に示される捩れインサート170の場合のように、圧力平衡が、二つの凹部192,194によって捩れ室内に確立される、というのも捩れ室と二つの凹部192,194との間の圧力差によって、流体が、捩れ室の中心に流れてそこに圧力平衡を確立できるからである。流体の分布及び噴射された中実噴霧の角度に対する影響が、図32に示される捩れインサート170の場合のように、凹部192,194の深さと幅を介して生じ得る。
【0060】
図40は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート200を下から見た図である。この図は、捩れインサート200の下流側端面202を表現しており、前記下流側端面202の中に二つの捩れ溝型流路204,206が開口しており、前記二つの捩れ溝型流路204,206は、図32に示される捩れインサート170の捩れ溝型流路172,174と同様に形成されたものである。
【0061】
凹部208が、下流側端面202に配設されており、前記凹部208は端面202を横切って延びる溝型流路のように成形されている。凹部208は捩れ溝型流路204,206とは交差しないが、それは二つの捩れ溝型流路204,206を結ぶ線分によって規定される方向に直角に端面202を横切って延びている。凹部208の幅は、捩れ溝型流路204,206が端面202内に開口する領域に凹部208が交差しないことを確実にするのに充分なほど小さく作られている。
【0062】
図41は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート210を下から見た図である。従って図41は、捩れインサート210の下流側端面212の図である。図32に示された捩れインサート170の捩れ溝型流路172,174と同様に形成された二つの捩れ溝型流路214,216がこの端面212内に開口している。
【0063】
下流側端面212は、捩れ溝型流路214,216に交差しない複数の溝型流路の形をした凹部218を有する。より詳しくは、凹部218は、全部で五つの溝型流路220,222,224,226,228のH形構造形を示している。溝型流路220,222はV形の様態で集まり、何れの場合も捩れインサート210の外周から進行して公差点で終了する。捩れ溝型流路220,222は、互いに対する約130°の角度で配設されている。二つの溝型流路226,228は溝型流路220,222の鏡像としてデザインされており、またそれらは従って捩れインサート210の外周から進行して二つの溝型流路226,228の交差点で終わるV形の構造形を同様に形作る。溝型流路220,222の交差点と溝型流路226,228の交差点は、これら交差点の各々で終わる溝型流路224に接続されている。この配置構成は、捩れインサート210の下流側端面212における略H形凹部218という結果となる。
【0064】
図42は、本発明の中実円錐状噴射ノズル用の捩れインサート230の下流側端面232を下から見た図である。互いに直角に延びて中心縦軸線236で交差する二つの溝型流路238,240を有する凹部234が端面232に配設されている。溝型流路状の凹部240は、二つの捩れ溝型流路242,244に接続しており、前記二つの捩れ溝型流路242,244は、図32に示された捩れインサート170の捩れ溝型流路172,174と同じデザインのものである。溝型流路状の凹部238は、凹部240に対して直角に配設されているが、それは捩れインサート230の外周まで延びていない。これは、捩れインサート230の下流側端面232における概ね十字形の凹部234という結果となる。
【符号の説明】
【0065】
12 ハウジング
16 出口室
18 出口孔
20 捩れインサート
22 捩れ溝型流路
24 捩れ溝型流路
26 凹部
28 円筒部
32 中心縦軸線
38 入口部
40 捩れ部
42 出口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルハウジング(12)と捩れインサート(20;44;56;68;82;92;106;112;122;128;140;150;160)とを具備する中実円錐状噴射ノズルであって、
前記ノズルハウジング(12)が出口孔を含む出口室(16)を有しており、前記出口室(16)が前記捩れインサート(20;44;56;68;82;92;106;112;122;128;140;150;160)の下流側に配設されている中実円錐状噴射ノズルにおいて、
前記捩れインサート(20;44;56;68;82;92;106;112;122;128;140;150;160)がその外周に少なくとも一つの捩れ溝型流路(22,24;45,47;60,67;70,71;82,83;94;108,110;114,118,116;134,136;146,148;152,154;162,164,166)を有しており、前記捩れ溝型流路が、捩れ部(40;48;62;72;86)において螺旋状に又は前記捩れインサートの中心縦軸線(32)に対して斜めに延びるように形成されるとともに、前記捩れ部の端から前記捩れ溝型流路の下流側の端まで延びる出口部(42;50;64;74;88)において軸方向に延びることを特徴とする、中実円錐状噴射ノズル。
【請求項2】
前記捩れインサートの下流側端面が、前記捩れインサートの実質的な中心に配設された凹部(26;52;66;76;90;104;124;130;142)を備えており、前記凹部が前記捩れ溝型流路に部分的に交差していることを特徴とする、請求項1に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項3】
前記凹部(26;52;66;76;90;104;124;130;142)が、前記出口部(42;50;64;74;88)の領域において前記捩れ溝型流路と交差していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項4】
前記凹部が、平らな又は丸い又は円錐状の基部(120;126;132;144)を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項5】
複数の捩れ溝型流路が前記捩れインサートの外周に設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項6】
前記捩れインサートの端面における前記凹部(26;52;66;76;90;104;124;130;142)が全ての捩れ溝型流路に部分的に交差していることを特徴とする、請求項5に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項7】
前記少なくとも一つの捩れ溝型流路が、該捩れ溝型流路の上流に位置する入口端から始まる入口部(38;46;84)において軸方向に延びて、次いで前記捩れ部(40;48;86)内で変化して、最終的に前記出口部内で(42;50;88)軸方向に延びることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項8】
前記捩れインサート(80)の前記中心縦軸線(32)に対する前記捩れ溝型流路(82,83)の傾きが、前記捩れ部(86)内で変化していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項9】
該中実円錐状噴射ノズル(10)の最も狭い断面が前記出口孔(18)によって形成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項1】
ノズルハウジング(12)と捩れインサート(20;44;56;68;82;92;106;112;122;128;140;150;160)とを具備する中実円錐状噴射ノズルであって、
前記ノズルハウジング(12)が出口孔を含む出口室(16)を有しており、前記出口室(16)が前記捩れインサート(20;44;56;68;82;92;106;112;122;128;140;150;160)の下流側に配設されている中実円錐状噴射ノズルにおいて、
前記捩れインサート(20;44;56;68;82;92;106;112;122;128;140;150;160)がその外周に少なくとも一つの捩れ溝型流路(22,24;45,47;60,67;70,71;82,83;94;108,110;114,118,116;134,136;146,148;152,154;162,164,166)を有しており、前記捩れ溝型流路が、捩れ部(40;48;62;72;86)において螺旋状に又は前記捩れインサートの中心縦軸線(32)に対して斜めに延びるように形成されるとともに、前記捩れ部の端から前記捩れ溝型流路の下流側の端まで延びる出口部(42;50;64;74;88)において軸方向に延びることを特徴とする、中実円錐状噴射ノズル。
【請求項2】
前記捩れインサートの下流側端面が、前記捩れインサートの実質的な中心に配設された凹部(26;52;66;76;90;104;124;130;142)を備えており、前記凹部が前記捩れ溝型流路に部分的に交差していることを特徴とする、請求項1に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項3】
前記凹部(26;52;66;76;90;104;124;130;142)が、前記出口部(42;50;64;74;88)の領域において前記捩れ溝型流路と交差していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項4】
前記凹部が、平らな又は丸い又は円錐状の基部(120;126;132;144)を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項5】
複数の捩れ溝型流路が前記捩れインサートの外周に設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項6】
前記捩れインサートの端面における前記凹部(26;52;66;76;90;104;124;130;142)が全ての捩れ溝型流路に部分的に交差していることを特徴とする、請求項5に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項7】
前記少なくとも一つの捩れ溝型流路が、該捩れ溝型流路の上流に位置する入口端から始まる入口部(38;46;84)において軸方向に延びて、次いで前記捩れ部(40;48;86)内で変化して、最終的に前記出口部内で(42;50;88)軸方向に延びることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項8】
前記捩れインサート(80)の前記中心縦軸線(32)に対する前記捩れ溝型流路(82,83)の傾きが、前記捩れ部(86)内で変化していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【請求項9】
該中実円錐状噴射ノズル(10)の最も狭い断面が前記出口孔(18)によって形成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の中実円錐状噴射ノズル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
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【図10】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【公開番号】特開2013−13891(P2013−13891A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−146839(P2012−146839)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(500181832)レヒラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(500181832)レヒラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【Fターム(参考)】
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