説明

中性子光学素子

【課題】単色でない中性子線を単純な構成で集光する。
【解決手段】この中性子集光素子10においては、中性子を通過させる円錐形状の貫通孔11が形成されている。この貫通孔11の一端(左側)は、中性子線を入射させる入射側開口部111となっており、他端(右側)は、中性子線を出射させる出射側開口部112となっている。入射側開口部111と出射側開口部112の形状は共に円形であり、出射側開口部112の面積は入射側開口部111の面積よりも小さくなっている。集光する中性子線の光軸100は、入射側開口部111の中心と出射側開口部112の中心とを通る。この中性子集光素子10においては、中性子が貫通孔11の内面で散乱され、その散乱角に広がりがあることを利用して、出射側開口部112における強度を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中性子線を集束(集光)させることのできる中性子光学素子の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
平行光あるいは発散光を集光ミラーやレンズを用いて極狭い領域に集光し、極めて強い強度を得る技術は、様々な分野で広く用いられている。集光ミラーは、反射面における光の反射を利用して光を集束させ、レンズは、物質における光の透過及び屈折を利用して光を集束させる。また、可視光等と比べて困難ではあるが、X線に対しても集光ミラーを用いて同様に集光を行うことができ、これによって極狭い領域で強力なX線を試料に照射することができる。これも用いて高感度の元素分析を行う技術も知られている。また、電子線を光やX線のように屈折・反射させることは困難であるが、電子線は電荷をもつため、電磁場を用いて電子線の軌道を曲げ、これを集束することは可能である。従って、電子線を光やX線と同様に試料上で集束させることも可能であり、これを用いた装置も知られている。
【0003】
一方、中性子線は、X線や電子線と同様に放射線の1種であるが、物質との相互作用が弱く、かつ電荷をもたない。従って、これを集束(集光)することのできるレンズやミラーは知られていない。
【0004】
近年、中性子線を用いた技術として、例えば中性子ラジオグラフィが用いられるようになった。中性子ラジオグラフィにおいては、試料に対する中性子の透過画像が得られるが、中性子は物質との相互作用が弱く、透過力が高いため、X線や可視光の透過画像では得られない情報を得ることができる。この場合の中性子源としては、例えば実験用原子炉、加速器等が用いられるが、試料上での中性子線の強度を充分高くすることがやはり必要である。従って、可視光、X線、電子線等と同様に、中性子線を集光する技術が必要とされる。
【0005】
ところが、中性子に対しては、中性子線の方向を定めるコリメータは用いられているものの、上記の通り、レンズやミラーを用いて中性子線を集光させることはできず、電磁気的にこれを集光させることも困難である。このため中性子線を集光させるためには、可視光や電子線等とは異なる技術が用いられる。その一例として、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術においては、X線を通過させるファイバー状の複数のキャピラリが束ねられ、その出射側でX線が集光することができるが、X線と同様に中性子線も用いられることが記載されている。従って、このキャピラリが束ねられた構造を擬似的に中性子線用のレンズとして用いることができる。
【0006】
また、特許文献2には、複数の開口部(絞り)を配列した構成の中性子光学素子が記載されている。この技術においては、個々の絞りは、特定の進行方向をもつ中性子線を選択的に透過させるコリメータとして機能する。このコリメータの間隔を、中性子のエネルギーに応じて最適化することによって、重力による中性子線の軌道の湾曲を利用し、実質的に中性子線の集光を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−321246号公報
【特許文献2】特開2005−536757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術においては、中性子のエネルギーによらずに中性子線を集光することができるものの、キャピラリ単体での集光能力は全くない。従って、複数のキャピラリを所定の形状に束ねることが重要となるが、その製造工程は煩雑であり、最終的に得られた構造体(疑似中性子レンズ)の信頼性も低くなった。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術においては、中性子のエネルギーによって中性子線の軌道が異なるため、中性子のエネルギーに応じて絞りの間隔を調整する必要がある。従って、集光の効果は単色の中性子線に対してしか得られない。ところが、例えば実験用原子炉等から発せられる中性子線は単色ではなく、スペクトルに広がりをもつ。こうした単色(あるいは順単色)でない中性子線を集光することは困難であった。反射や回折を利用する中性子光学素子においても、反射や回折も中性子のエネルギー依存性をもつため、この状況は同様であった。
【0010】
従って、エネルギーの揃っていない中性子線を単純な構成で集光することは困難であった。
【0011】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の中性子光学素子は、中性子線を入射側開口部から入射させ、出射側開口部から出射させる中性子光学素子であって、中性子散乱体で構成され、一端が前記入射側開口部、他端が前記出射側開口部となった貫通孔を具備し、前記出射側開口部の面積は前記入射側開口部の面積よりも小さいことを特徴とする。
本発明の中性子光学素子において、前記入射側開口部と前記出射側開口部との間の前記貫通孔の内面形状は、前記中性子線の光軸を含んだ断面上において、直線で構成されることを特徴とする。
本発明の中性子光学素子において、前記貫通孔の内面形状は、円錐面の一部で構成されることを特徴とする。
本発明の中性子光学素子において、前記貫通孔の内面形状は、多角形錐面の一部で構成されることを特徴とする。
本発明の中性子光学素子において、前記中性子散乱体は、有機高分子材料を主成分とすることを特徴とする。
本発明の中性子光学素子において、前記有機高分子材料は、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリエチレンテレフタレートのいずれかを主成分とすることを特徴とする。
本発明の中性子光学素子において、前記中性子散乱体は、ベリリウムを主成分とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上のように構成されているので、単色でない中性子線を単純な構成で集光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る中性子集光素子の斜視図(a)及び光軸上の断面図(b)である。
【図2】本発明の実施の形態に係る中性子集光素子における中性子線の集光の状況を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る中性子光学素子について説明する。なお、中性子線は光ではないが、光と同様にふるまうものとして扱うことができるため、中性子線を光線と置き換えた場合に用いられる語句である集光、発散光、平行光等を便宜上用いる。図1は、この中性子光学素子の一例である中性子集光素子10の斜視図(a)及びそのA−A方向(光軸上)における断面図(b)である。
【0016】
この中性子集光素子10は、中性子を散乱する能力が高い材料(中性子散乱体)で構成される。この材料としては、水素を多く含む有機材料であり、かつ図1の形状を実現することが容易である材料として、有機高分子材料であるポリエチレン、ポリイミド等や、軽金属であるベリリウム等が用いられる。
【0017】
この中性子集光素子10においては、中性子を通過させる円錐形状の貫通孔11が形成されている。この貫通孔11の一端(左側)は、中性子線を入射させる入射側開口部111となっており、他端(右側)は、中性子線を出射させる出射側開口部112となっている。入射側開口部111と出射側開口部112の形状は共に円形であり、出射側開口部112の面積は入射側開口部111の面積よりも小さくなっている。集光する中性子線の光軸100は、入射側開口部111の中心と出射側開口部112の中心とを通る。この光軸100を含む断面(図1(b))においては、これら2つの開口部を結ぶ線は直線となっている。従って、貫通孔11の内面は円錐面の一部となっている。
【0018】
出射側開口部112の大きさは、集光点の大きさ(集光サイズ)となるため、中性子線の利用目的に応じて必要とされるサイズや強度等に応じて適宜設定され、例えば直径1μmφ程度とすることができる。入射側開口部111の大きさは、中性子線の特性(例えば発散光であるか平行光であるか等)や集光点において要求される中性子線強度に応じて適宜設定されるが、例えば直径10mm〜100mm程度とすることができる。中性子集光素子10の厚さ(入射側開口部111と出射側開口部112との間の間隔)は、出射側開口部112の大きさや入射側開口部111の大きさ、集光効率等によって適宜設定され、これに応じて円錐形状の頂角θも定まる。
【0019】
この中性子集光素子10に中性子線が入射した場合の中性子線の進む方向の一例を模式的に図2に示す。ここで、中性子線20は中性子源から放射される発散光であり、その一部が貫通孔11に入射するとする。ここで、入射側開口部111を通過するB、C、Dの中性子線20が進む経路について以下に説明する。
【0020】
図2におけるBの中性子線20は、貫通孔内上面113に直線的に入射する。物質との間の相互作用が弱い中性子の一部は、この入射点において、中性子散乱体内部に侵入し、侵入した中性子はこの中性子散乱体内部で吸収されるか、中性子散乱体を透過して中性子集光素子10の外部まで達する。侵入しなかった中性子は、この入射点において反射、もしくは散乱される。ここで、可視光等が物質の表面に入射した場合には、反射される割合が高いが、中性子が物質表面において反射する割合はこれと比べて著しく低い。
【0021】
中性子線20が貫通孔内上面113で反射される場合には、運動量保存則により、貫通孔内上面113に対する中性子線20の入射角と出射角は等しくなる。しかしながら、これが散乱される場合には、ある決まった入射角をもつ中性子線の散乱角は単一ではなく、一般的には広がりをもつ。この散乱角は、例えば貫通孔11の内面の状態や中性子のエネルギー等の影響を受けるため、様々である。従って、例えば、Bの中性子線20は、B、B、B、Bの4つ方向に散乱される。このうち、Bの方向に進んだ中性子線は、出射側開口部112を通過する。B、B、Bの方向に進んだ中性子線は、例えば貫通孔内下面114に達し、そこで中性子散乱体内部に入るか、この入射点において反射又は散乱される。
【0022】
同様に、貫通孔内下面114に直線的に入射したCの中性子線20がC、C、C、Cの方向に散乱された場合、Cの方向に進んだ中性子線は出射側開口部112を通過する。
【0023】
また、光軸100上を進むDの中性子線20は、そのまま出射側開口部112を通過する。あるいは、光軸100付近を通過し、光軸100とのなす角度が小さな方向に進む中性子線20も、同様に出射側開口部112を通過する。この作用は、中性子線に対するコリメータと同様である。
【0024】
従って、出射側開口部112を通過する中性子線は、通常のコリメータにおいて透過するDの成分に対して、散乱成分であるB、C等が加わったものとなる。従って、発散光である中性子線が入射側開口部111を通過した場合には、この構造により、出射側開口部112と同じ開口をもつコリメータを用いた場合よりも、出射側開口部112における中性子線強度を高くすることができる。すなわち、狭い範囲における中性子線の強度を高める、いわゆる中性子線を集光(集束)することができる。
【0025】
なお、図2においては、発散光である中性子線がこの中性子集光素子10(入射側開口部111)に入射した場合について説明した。しかしながら、中性子線が例えば平行光であっても、貫通孔11の内面で散乱された中性子線の一部が出射側開口部112に達することは明らかである。従って、この場合においても、この中性子集光素子10は集光効果をもつ。
【0026】
すなわち、この中性子集光素子10においては、中性子が貫通孔11の内面で散乱され、その散乱角に広がりがあることを利用して、出射側開口部112における強度を高めることができる。この作用は、貫通孔11の内面が円錐面形状である場合に限らず、出射側開口部112の面積を入射側開口部111の面積よりも小さくした場合に実現されることは明らかである。
【0027】
また、この散乱角度の分布には中性子のエネルギー依存性があるが、広がりをもつという点に関しては同様であり、この点は、反射角が一定である反射の場合とは異なる。従って、例えばB〜Bの強度比が中性子のエネルギーによって変わるということはあるものの、図2に示された状況は中性子のエネルギーに依存せずに起こる。従って、中性子のエネルギーによらず、この中性子集光素子10によって中性子線を集光することができる。すなわち、エネルギーの揃っていない中性子線を集光することができる。
【0028】
また、例えば、複数の構成要素を組み合わせて構成される特許文献1、2に記載の素子と比べて、この中性子集光素子10は、図1に示されるような単純な形状をもつ。従って、エネルギーの揃っていない中性子線を単純な構成で集光することができる。
【0029】
一方、例えば、同様の形状を金属で構成し、貫通孔の内面を楕円面や放物面形状とした鏡面とすれば、これを集光ミラーとして用いることができることは周知である。この場合の貫通孔の光軸上の断面における形状は、楕円の一部を構成する曲線、あるいは放物線の形状となる。これにより、貫通孔の内面で可視光やX線等を反射させて、出射側開口部あるいはこれよりも後部に位置する集光点で集光させることができる。この場合には、反射面(貫通孔の内面)に対する光の入射角と反射角が等しいという性質により、こうした集光作用が達成される。
【0030】
これに対して、この中性子集光素子10においては、貫通孔11における図1(b)、図2の断面形状が直線で構成されるため、こうした反射による集光の効果は有さない。しかしながら、一般的には中性子線の散乱角度には広がりがあるため、楕円面や放物面形状でなくとも、散乱された中性子線の一部を出射側開口部112に導くことができる。従って、例えば反射を利用して可視光を集光する集光ミラーと比べると、その集光効率は低くなるものの、中性子線を集光することができる。一方、エネルギーの揃っていない中性子線を一様に高い反射率で反射させることのできる材料は知られていないため、反射を利用して中性子線を集光する集光ミラーを得ることは困難である。同様に、エネルギーの揃っていない中性子線を一様かつ有効に透過、屈折させる材料も知られていないため、屈折によって中性子線を集光するレンズを得ることも困難である。
【0031】
また、集光ミラーにおいて貫通孔の内面を楕円面や放物面形状に加工する機械加工技術としては、多数が知られている。この際に高い反射率を維持するためには、この表面の研磨技術が重要であり、その表面粗さを例えば使用する光の波長以下に小さくすることも要求される。この場合は、加工に要するコストが高くなり、その加工精度を高く維持することも容易ではない。
【0032】
これに対して、この中性子集光素子10においては、貫通孔11の内面は、楕円面や放物面よりも加工が容易な円錐面形状となっている。更に、反射を利用しないため、その表面粗さを集光ミラーほど小さくすることも要求されない。従って、この中性子集光素子10を安価に製造することができる。
【0033】
また、円錐形の頂角θが大きいほど入射側開口部111から入射する中性子線の絶対量を大きくすることができる。しかしながら、この場合には、貫通孔11の内面(例えば貫通孔内上面113、貫通孔内下面114)に中性子線20が入射する入射角が大きくなる(垂直に近くなる)。従って、中性子線の散乱角度(分布)も、θの設定によって変化し、出射側開口部112に達する散乱中性子線の絶対量も、θによって異なる。この特性は、中性子散乱体の材料、中性子線の平均エネルギー等によって異なるため、出射側開口部112における中性子強度を最大にするためのθは、これらの設定によって異なり、実験的に最適値を求めることができる。
【0034】
なお、上記の例においては、貫通孔11の内面を円錐面の一部となる形状としたが、上記の効果を奏する限りにおいて、他の形態をとることもできる。例えば、この内面を多角形錐面(三角錘、四角錐等)の一部となる形状としてもよい。この場合には、この内面は、加工が容易である平面の組み合わせで構成されるため、貫通孔11を形成する工程を特に容易かつ精密に行うことができる。この場合、入射側開口部111、出射側開口部112の形状は、これに応じた多角形(三角形、四角形等)となる。なお、この際の多角形は、必ずしも正多角形(正三角形、正四角形等)である必要はないことは、前記の原理から明らかである。
【0035】
また、円錐面形状や多角形錘面形状以外でも、光軸上の断面において入射側開口部と出射側貫通孔との間の形状が直線であれば、同様の効果を奏することは明らかである。
【0036】
更に、この形状は必ずしも厳密な直線である必要はなく、機械加工が容易である形状を適宜用いることもできる。例えば、光軸100を含んだ断面上において、貫通孔11の内面形状が単純な直線形状となっているような場合(貫通孔11の内面が円錐形状や多角錘形状等である場合)だけでなく、この形状が直線を組み合わせた形状となる形態としてもよい。こうした形態としては、例えば、頂角θが異なる2つの円錐面を組み合わせた形態が考えられる。こうした形態であっても、中性子の集光作用が得られ、かつ、貫通孔11を形成することは容易である。従って、光軸100を含んだ断面上において、貫通孔11の内面形状が、直線で構成される形状であることが好ましい。貫通孔11の内面を、こうした反射による集光能力が得られない形状としても、この中性子集光素子は、中性子に対する集光作用をもつ。
【0037】
また、ここでいう中性子散乱体とは、中性子を散乱する能力が比較的高い材料を意味する。この能力が高いのは、一般には、中性子を散乱する能力が高い水素原子を多く含む材料である。これらのうち、図1に示した形状を容易に実現できる材料として、前記の有機高分子材料であるポリエチレン、ポリイミドの他に、耐摩耗性、耐衝撃性、耐放射線性に優れたポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等も好ましく用いられる。また、同様に機械的特性に優れたアクリル樹脂として、ポリメタクリル酸メチル樹脂や、ポリエチレンの1種であるポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることもできる。ただし、これら以外でも同様に用いることができることは明らかである。機械加工(切削、研磨)以外の方法を用い、これらの材料を図1の形状とすることもできる。軽金属であるベリリウム等も同様である。また、この中性子散乱体は100%純度のこれらの材料で構成される必要はなく、少なくともこれらの材料のいずれかを主成分とすれば充分であり、中性子を散乱させるという効果を奏する限りにおいて、これらの材料に他の物質が添加されてもよい。例えば、図1の形状の成形体を安定して構成する上で有用な材料を適宜添加して用いてもよい。
【0038】
また、通常の光学素子であるレンズや集光ミラー等と同様に、この中性子光学素子を複数個、あるいは複数種類組み合わせて用いることにより、所望のビームサイズ、強度の中性子線を得ることができることは明らかである。
【符号の説明】
【0039】
10 中性子集光素子
11 貫通孔
20 中性子線
100 光軸
111 入射側開口部
112 出射側開口部
113 貫通孔内上面
114 貫通孔内下面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子線を入射側開口部から入射させ、出射側開口部から出射させる中性子光学素子であって、
中性子散乱体で構成され、
一端が前記入射側開口部、他端が前記出射側開口部となった貫通孔を具備し、
前記出射側開口部の面積は前記入射側開口部の面積よりも小さいことを特徴とする中性子光学素子。
【請求項2】
前記入射側開口部と前記出射側開口部との間の前記貫通孔の内面形状は、前記中性子線の光軸を含んだ断面上において、直線で構成されることを特徴とする請求項1に記載の中性子光学素子。
【請求項3】
前記貫通孔の内面形状は、円錐面の一部で構成されることを特徴とする請求項2に記載の中性子光学素子。
【請求項4】
前記貫通孔の内面形状は、多角形錐面の一部で構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の中性子光学素子。
【請求項5】
前記中性子散乱体は、有機高分子材料を主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の中性子光学素子。
【請求項6】
前記有機高分子材料は、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリエチレンテレフタレートのいずれかを主成分とすることを特徴とする請求項5に記載の中性子光学素子。
【請求項7】
前記中性子散乱体は、ベリリウムを主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の中性子光学素子。

【図1】
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【図2】
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