説明

中性子吸収熱量測定ガンマ線検出器での中性子検出用の装置及び方法

本発明は、中性子放射、好ましくは熱中性子を検出するための装置に関する。本装置はガンマ線シンチレータを備える。ガンマ線シンチレータは、ガンマ線シンチレータ内部のエネルギーガンマ線に対する高ガンマ線阻止能を提供するために、5MeVのエネルギーのガンマ線に対して10cm以下、好ましくは5cm以下の減衰長Lを有する無機物質を備える。ガンマ線シンチレータは、0.5cm以上であるが、ガンマ線シンチレータにおける5MeVのガンマ線に対する減衰長Lの五倍以下、好ましくは減衰長Lの二倍以下の熱中性子に対する吸収長Lをもたらす中性子捕獲断面積及び濃度を有する成分を備える。ガンマ線シンチレータの中性子吸収成分は、主にガンマ線を介して中性子捕獲後に励起核に付与されたエネルギーを放出する。ガンマ線シンチレータは、Lの少なくとも50%の、好ましくは少なくともLの直径又は縁長さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接検出用のガンマ線シンチレータを用いて、中性子放射、好ましくは熱(低速)中性子を検出するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中性子検出用に利用可能な多様な方法及びデバイスにも関わらず、一般的なHeチューブが、高効率で安価な中性子計測を必要とする大抵の応用において未だ主流である。しかしながら、Heの不足が予測されていて、代替手段が必要とされている。
【0003】
そのような代替検出器は従来技術において知られている。非特許文献1によると、中性子を検出するのに用いられるありふれた反応は、荷電粒子放出を伴う反応である。より具体的には、検出用に考えられる反応生成物は、反跳核(大抵は陽子)、三重陽子、アルファ粒子、核分裂片である。他方、中性子捕獲反応によるガンマ線が、一部特殊な検出器において用いられるが、こうした応用は比較的稀である。
【0004】
ガンマ線シンチレータを用いた検出器が、Grodzinsの特許文献1に開示されている。Grodzinsは、入射光子に対して不透明で、二つの光ガイドに挟まれた中性子シンチレータを備えた検出器を開示していて、その光ガイドの一方も、ガンマ線シンチレータとして機能する。この検出器は、中性子捕獲による重荷電粒子放出も一般的に用いる。Grodzinsは、中性子捕獲物質としてLi、10B、113Cd、157Gdに言及している。これらは、ZnSシンチレーション成分と組み合わせて用いられて、荷電粒子がエネルギーを放出して、ZnS物質が、1kVのエネルギー損失毎に略50個の光子を放出して輝き、各中性子捕獲後に数十万の光量子がもたらされる。
【0005】
結果として、Grodzinsによって開示された検出器は、中性子シンチレータシートの両面に光量子を放出する。そして、検出器自体は、中性子シンチレータシートの両面に対する光検出を同時に測定する。このような同時測定は、中性子シンチレーションシートの中性子捕獲に対する特徴として見られる。ガンマ量子はガンマ線シンチレータのみによって阻止されて、他の光ガイドから光学的に分離されるので、この検出器はガンマ線を区別する。
【0006】
複雑な設定は別にして、Grodzinsの開示は、宇宙背景放射、及び、両方の光ガイド内への光放射を伴う他のエネルギー荷電粒子放射(中性子吸収物質内部でのシンチレーション又は光ガイド内のチェレンコフ光を生じさせ得る)に対して、中性子事象を区別することができないという欠点を有する。
【0007】
Grodzinsの開示の他の欠点は、中性子捕獲物質として113Cd又は157Gdを用いた場合における不十分な中性子‐ガンマ線の区別である。この場合、検出器は外部ガンマ線にも敏感である。中性子シンチレータにおいて外部ガンマ線を検出することによって生じるパルスは、中性子捕獲反応によって生じたガンマ線によるパルスと区別不能である。
【0008】
Reeder(非特許文献2)は、ガドリニウムオキシオルソシリケート(GSO)製の中性子検出器を提案していて、その中性子検出器は、GSOと同時に全ガンマ線吸収分光計として動作するプラスチックシンチレータによって取り囲まれている。プラスチックシンチレータは、エネルギーガンマ線に対する大きな減衰長によって区別されるので、提案されている全吸収分光計は、極めて不十分なものであるか、又は大量のプラスチックシンチレータを要するもののいずれかである。更なる欠点は、妥当な数の光検出器でプラスチック物質からの光を収集する際の難しさである。更に、大きなプラスチック層は、中性子束の一部を減速させるだけではなくて吸収して、中性子検出器の効率を低下させる。更なる欠点は、散乱ガンマ線とガンマ線検出器との相互作用を伴う中性子検出器内の外部源からのガンマ線のコンプトン散乱による背景放射を排除することができないことである。
【0009】
ガンマ線シンチレータを用いた他の中性子検出器がBellの特許文献2に開示されている。Bellは、中性子受感物質(好ましくはホウ素を有する)によって取り囲まれたガンマ線シンチレータを用いている。中性子捕獲反応は、中性子受感物質をアルファ粒子及びLiに分裂させて、リチウムイオンの第一励起状態が、478keVにおける単一のガンマ線の放射を介して減衰して、これがシンチレーション検出器によって検出される。同時に、Bellによって開示された検出器は、入射放射場に起因するガンマ線に敏感である。何故ならば、中性子受感物質がガンマ線に対するシールドとして機能していないからである。
【0010】
このような検出器の欠点の一つは、Liの第一励起状態の減衰による単一のガンマ線が、多数の他のガンマ線が存在しているエネルギー領域内に存在していることである。従って、少なくとも妥当な結果を得るために、この単一の減衰を非常に正確に測定する必要があり、技術的複雑性及び関連するコストが実質的に増大する。更に、Bellによって開示された検出器で、荷電粒子放射(例えば、宇宙由来のもの)を区別することは不可能ではないにしろ困難である。
【0011】
まとめると、体積当たりの中性子検出効率、コスト当たりの中性子検出効率、ガンマ線抑制因子、単純性、並びに検出器物質の耐久性及び可用性等の決定的パラメータを同時に考慮した場合に、既知の中性子検出器のコンセプトは、Heチューブに匹敵するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第7525101号明細書
【特許文献2】米国特許第6011266号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Knoll著、“Radiation Detection and Measurement”、第3版、2000年、p.506
【非特許文献2】Reeder、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A、第340巻、1994年、p.371
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服して、中性子検出の高い信頼性及び単純な設定を有する効率的な中性子検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、少なくともガンマ線シンチレータを備えた、中性子放射、好ましくは熱中性子を検出するための装置によって解決され、そのシンチレータは、ガンマ線シンチレータ内部のエネルギーガンマ線に対する高ガンマ線阻止能を提供するために、5MeVのエネルギーのガンマ線に対して10cm以下、好ましくは5cm以下の減衰長Lを有する無機物質を備え、ガンマ線シンチレータは、0.5cm以上であるが、そのシンチレータにおける5MeVのガンマ線に対する減衰長Lの五倍以下、好ましくは減衰長Lの二倍以下である熱中性子に対する吸収長Lをもたらす中性子捕獲断面積及び濃度を有する成分を更に備え、ガンマ線シンチレータの中性子吸収成分が、主にガンマ線を介して中性子捕獲後の励起核に付与されたエネルギーを放出し、ガンマ線シンチレータは、シンチレータにおける中性子捕獲後に放出されたガンマ線エネルギーの本質的な部分を吸収するために、Lの少なくとも50%の、好ましくは少なくともLの直径又は縁長さを有する。本装置は、ガンマ線シンチレータにおける光量を検出するためにガンマ線シンチレータに光学的に結合された光検出器と、光検出器に結合された評価デバイスとを更に備え、そのデバイスは、一つのシンチレーション事象に対して光検出器によって検出された光量を求めることができて、その光量は、ガンマ線シンチレータにおいてガンマ線によって付与されたエネルギーと既知の関係にある。評価デバイスは、測定された合計ガンマ線エネルギーが2.614MeV以上の場合に、検出された放射を中性子として分類するように構成される。
【0016】
上述の直径及び縁長さとの用語は、ガンマ線シンチレータのサイズを指称する。シリンダー状シンチレータの場合、直径又は縁長さとの用語は、シリンダーの直径又は高さ(縁長さ)のいずれか小さい方を指称する。
【0017】
好ましくは、評価デバイスは、測定された合計ガンマ線エネルギーが所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下の場合に、検出された放射を中性子として分類するように更に構成される。
【0018】
好ましい実施形態によると、ガンマ線シンチレータは、塩素(Cl)マンガン(Mg)、コバルト(Co)、セレン(Se)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、セシウム(Cs)、プラセオジム(Pr)、ランタン(La)、ホルミウム(Ho)、イッテルビウム(Y)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、又は水銀(W)のうち少なくとも一つを成分として備える。最も好ましくは、ガンマ線シンチレータは、タングステン酸鉛(PWO)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化セシウム(CsI)及び臭化ランタン(LaBr)から成る群から選択される。
【0019】
他の実施形態によると、ガンマ線シンチレータは、カドミウム(Cd)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、イリジウム(Ir)、インジウム(In)、又は水銀(Hg)のうち少なくとも一つを活性剤又はドーパントとして備える。例えば、ガンマ線シンチレータは、ユウロピウムをドープしたヨウ化ストロンチウム(SI)及びフッ化カルシウム(CaF)から成る群から選択され得る。
【0020】
本発明の他の実施形態によると、ガンマ線シンチレータは少なくとも三つの別々の部分に分割され、各部分は、異なる部分からの信号を区別することができるように光検出器に結合され、評価デバイスは、少なくとも二つの異なる部分がガンマ線シンチレータの中性子吸収成分における中性子捕獲によるガンマ線相互作用に起因する信号を検出した場合に、検出された放射を中性子として分類するように構成される。ガンマ線シンチレータの異なる部分からの信号を区別することができる光検出器は、マルチアノード光電子増倍管であり得る。
【0021】
前段落において説明されたガンマ線シンチレータの部分は、単一の検出器の複数の一体部分を多かれ少なかれ形成し得て、又は代替例として、上述のようにその信号が共に評価される少なくとも三つの個別のガンマ線シンチレータを備え得る。
【0022】
更に他の実施形態では、ガンマ線シンチレータは、シールドセクションによって少なくとも部分的に取り囲まれていて、そのシールドセクションはシンチレータを備え、そのシンチレータの放出光は光検出器によって測定されて、光検出器の出力信号は、装置の共通評価デバイスによって評価される。好ましくは、評価デバイスは、所定のシールド閾値以上のエネルギーを有する信号がシールドセクションシンチレータから同じ時間フレームにおいて検出されない場合(反同時の場合)に、検出された放射を中性子として分類するように構成されて、そのシールド閾値は、第三セクションのシンチレータの厚さt(cm単位)を測定するステップと、次に、その厚さにシンチレータ物質の密度(g/cm単位)及びそのシンチレータにおける最小電離粒子のエネルギー損失(MeV/(g/cm)単位)をかけることによって、そのシンチレータにおいて距離tに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するエネルギーEmin(MeV単位)を求めるステップと、最後に、そのエネルギー以下にシールド閾値を設定するステップとに従って求められる。シールドセクションは、好ましくは、ガンマ線シンチレータの光検出器に光学的に結合され、評価デバイスは、好ましくは、ガンマ線シンチレータからの信号とシールドセクションからの信号をそれらの性質によって区別するように構成される。また、波長シフターがシールドセクションのシンチレータと光検出器との間に配置されることが有利である。
【0023】
シールドセクションのシンチレータは、高速中性子に対する中性子減速体として機能する低原子番号Zの成分を備えた物質の群から選択され得る。
【0024】
上述のような装置を用いて、中性子、好ましくは熱中性子を検出するための方法も開示されて、本方法は、ガンマ線シンチレータにおいて中性子を捕獲するステップと、次に、ガンマ線エネルギー損失の結果としてガンマ線シンチレータから放出された光を測定するステップと、装置のガンマ線シンチレータから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、最後に、測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上の場合に、事象を中性子捕獲として分類するステップとを備える。好ましくは、測定された合計エネルギー損失が所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下の場合に、事象を中性子捕獲として分類する。
【0025】
中性子、好ましくは熱中性子を検出するための他の方法によると、上述のように少なくとも三つの部分に分割されたガンマ線シンチレータを備えた装置が以下の方法のために利用される:ガンマ線シンチレータにおいて中性子を捕獲するステップと、次に、ガンマ線エネルギー損失の結果としてガンマ線シンチレータから放出された光を測定するステップと、次に、ガンマ線シンチレータから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、最後に、測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上であり、且つエネルギー損失がガンマ線シンチレータの少なくとも二つの部分において測定された場合に、事象を中性子捕獲として分類するステップ。
【0026】
上述のようなシールド検出器を備えた装置を用いて、中性子、好ましくは熱中性子を検出するための方法も開示され、本方法は、ガンマ線シンチレータにおいて中性子を捕獲するステップと、次に、ガンマ線エネルギー損失の結果としてガンマ線シンチレータから放出された光を測定するステップと、続いて、ガンマ線シンチレータから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上の場合に、事象を中性捕獲として分類するステップとを備える。本方法によると、事象を中性子捕獲によるものとして定性化するために、所定のシールド閾値以上のエネルギーを有する信号がシールドシンチレータから同じ時間フレームにおいて検出されないことが更に要求される(反同時)。そのシールド閾値は、シールドシンチレータの厚さt(cm単位)を測定するステップと、その厚さにシンチレータ物質の密度(g/cm単位)及びそのシンチレータにおける最小電離粒子のエネルギー損失(MeV/(g/cm)単位)をかけることによって、そのシールドシンチレータにおいて距離tに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するエネルギーEmin(MeV単位)を求めるステップと、そのエネルギー以下にシールド閾値を設定するステップとに従って求められる。好ましくは、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失は、ガンマ線シンチレータ及びシールドシンチレータの両方から放出された光から求められる。
【0027】
他の方法によると、シールドを備えた本発明の装置を用いて、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失が所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下の場合にのみ、事象を中性子捕獲として分類する。
【0028】
シールドを備えた本発明の装置を用いた方法が更に開示されて、その方法によると、シールド閾値以下のエネルギー損知るがシールドシンチレータにおいて観測されるが、エネルギー損失がガンマ線シンチレータにおいて観測されない場合に、事象を外部ガンマ線として分類する。
【0029】
添付図面に沿って、本発明の具体的な実施形態をいくつか説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】シリンダー状シンチレータ及び光検出器とを備えた本発明の一実施形態を示す。
【図2】周囲のシールド検出器を備えた本発明の検出器を示す。
【図3】単一の光検出器を用いた同様の検出器を示す。
【図4】異なるシンチレータ物質から放出された信号の多様な減衰時間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、一実施形態の縦断面を示す。検出器100及びその二つの主要セクションが示されている。光検出器103(好ましくは、光電子増倍管、又はガイガーモードアバランシェフォトダイオード(G‐APD)のアレイ)上に取り付けられたガンマ線シンチレータ物質101を見て取ることができる。このガンマ線シンチレータ物質は物質106で封止され得る。好ましい実施形態では、物質106は、高速中性子に対する減速体として機能するのに、十分な厚さのものであるのと同時に、十分な低原子番号Zの物質を備え得る。
【0032】
ガンマ線シンチレータ物質は、検出器に当たる熱中性子の大部分を捕獲するのに十分大きな濃度及び熱(低速)中性子に対する中性子捕獲断面積を有する成分又はドーパントを含むように選択される。
【0033】
中性子捕獲に対して反応するガンマ線シンチレータ101内部の物質は、中性子が捕獲されると分裂又は荷電粒子の放出を実質的にもたらす物質ではなくて、ガンマ線放出を介してその励起エネルギーを主に放出するものである。適切な物質は、例えば、塩素(Cl)、マンガン(Mg)、コバルト(Co)、セレン(Se)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、セシウム(Cs)、プラセオジム(Pr)、ランタン(La)、ホルミウム(Ho)、イッテルビウム(Y)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、又は水銀(W)を含有する物質であり、特に、シンチレータ物質の成分として用いられる。特定の好ましい実施形態では、ガンマ線シンチレータ101は、タングステン酸鉛(PWO)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ素セシウム(CsI)、又は臭化ランタン(LaBr)のいずれか製である。
【0034】
ガンマ線シンチレータ101における中性子捕獲率を増大させる他の方法は、シンチレータに核分裂性物質をドープすることである。このような物質は、ガドリニウム(Gd)、カドミウム(Cd)、ユウロピウム(Eu)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、イリジウム(Ir)、水銀(Hg)、又はインジウム(In)であり得る。これは、ガンマ線シンチレータ101内部におけるドーパントの濃度を増減することによって、熱中性子に対する吸収率の制御を可能にする。
【0035】
全ての中性子捕獲が、捕獲核種に応じて、核内に顕著な量の励起エネルギー(大抵は略5から10MeV)を付与するので、これは、おおまかには、数keVから最大数MeVの範囲のエネルギーを有する複数のガンマ量子として放出されるエネルギーである。これとは対照的に、現状の検出器において用いられる通常の中性子捕獲反応は、大抵は核分裂生成物及び/又は荷電粒子の放出によるエネルギー放出をもたらす。また、こうしたプロセスはガンマ線を伴うことが多いが、全エネルギー放出のより小さな部分に過ぎない。
【0036】
本発明の装置は、5から10MeVの間の全エネルギーを有するガンマ量子の放出を伴う中性子捕獲を利用する。結果として、効率的なガンマ線シンチレータを有する新規検出器のコンセプトは、放出されるガンマ量子の大部分を測定して、放射背景に対して、特に大抵の放射性崩壊によるガンマ線に対して、中性子捕獲による事象を十分に区別することを可能にする。
【0037】
中性子捕獲によるガンマ線カスケードは超高速で放出されるので、単一のガンマ線事象をガンマ線シンチレータ101によって区別することができない点は留意されたい。従って、ガンマ線シンチレータ101自体は、全てのガンマ線エネルギーを足し合わせて、シンチレータ物質に付与された合計エネルギーEsumに大抵は比例する光量を生じさせる。従って、シンチレータは、単一の高エネルギーガンマ線と、同じ時間ウィンドウで吸収された複数の低エネルギーガンマ線とを区別することができない。
【0038】
従って、ガンマ線シンチレータ101は、一種の熱量計として動作するように設計されて、単一の中性子捕獲事象後に付与された全てのエネルギーを足し合わせる。ガンマ線シンチレータ101は、最小コスト及び最小検出器ボリュームで、中性子吸収体における中性子捕獲によりシンチレーション物質内に平均で吸収される合計エネルギーEsumの量を最大化するように構成されて配置される。用いられる具体的な反応に応じて、実際には合計エネルギーEsumの一部のみが吸収されることを考慮して、検出器に適切なウィンドウ、つまり合計エネルギーゲートを設けることが有利である。このウィンドウ内の合計エネルギーEsumの事象のみを、十分な確実性での中性子捕獲として識別する。
【0039】
光検出器103からの信号出力を評価する評価デバイス(図示せず)は、合計エネルギーEsumが2.614MeV以上である場合に中性子捕獲として事象を定義するように設定される。より低い閾値のためにこの条件で、本発明は、自然放射性系列の一つからの最高の単一ガンマ線エネルギーが正確に2.614MeVを有する事実を利用するが、これは208Tlにおけるガンマ崩壊であり、自然トリウム放射性系列の一部である。
【0040】
二つの源からの二つの独立したガンマ線を同時に測定することはほとんどあり得ないので、2.614MeVの閾値は、自然又は他の背景放射を区別するのに十分である。
【0041】
特筆すべきなのは、このようなガンマ線熱量計が、検出器の外側で生成された中性子捕獲ガンマ線に対しても十分な検出器であることである。これは、中性子源を検出するための本発明の装置の感度を改善することができる。これは、中性子源を取り囲む全ての物質が多かれ少なかれ中性子を捕獲して、最終的には源によって生成された全ての中性子を捕獲することに因る。これらのプロセスは大抵、3MeVを優に上回るエネルギーを有すること多いエネルギーガンマ線の放出を伴う。これらのガンマ線は、それらが装置のガンマ線シンチレータにエネルギーの十分な部分を付与する場合に、本発明の検出器の中性子信号に寄与し得る。
【0042】
熱量測定方式でガンマ線シンチレータを動作させるために、中性子捕獲後に放出されるガンマ線の大部分をガンマ線シンチレータ内で阻止できるように、シンチレータ物質に応じて、シンチレータのサイズを選択することが有利である。特に適した物質は、例えばタングステン酸鉛(PWO又はPbWO)である。何故ならば、この物質は、対象のガンマ線エネルギー(最高ガンマ線を含む)に対する顕著な阻止能、及び結晶成分の一つであるタングステン(W)に起因する非常に高い中性子捕獲性能によって区別されるからである。PWOの低い光出力(光子数/MeVの単位)はこの応用において許容可能である。何故ならば、この応用は顕著な分光性能を必要としないからである。また、重要な側面は、この物質は低コストで容易に大量入手可能であることである。
【0043】
装置のガンマ線シンチレータとして直径略5から8センチメートルのPWOシンチレータを用いることが望ましい。このような検出器は、(1)検出器に当たる熱中性子の略50%(又はそれ以上)、及び(2)4MeV以上のエネルギーを有するガンマ線がこの検出器のボリューム内に生じる全ての場合の50%以上において3MeV以上のガンマ線エネルギーを吸収することができる。
【0044】
ガンマ線シンチレータ101用の物質を適切に選択すると、つまり、特に0.5cm以上であるが、5MeVのガンマ線に対する減衰長Lの二倍以下である熱中性子に対する吸収長Lを有するように選択すると、大抵の中性子が、ガンマ線シンチレータ101の表面から十分に離れて捕獲されて、後続のガンマ線放出が大抵はガンマ線シンチレータ101内部で生じるようになる。ガンマ線シンチレータが十分大きい場合、吸収長は、減衰長の二倍以上となり得るが、減衰長の五倍を超えないべきである。結果として、ガンマ線源は、ガンマ線シンチレータによって多かれ少なかれ全体的に取り囲まれて、中性子捕獲後のガンマ線検出効率、つまりは中性子検出効率を劇的に増大させる。
【0045】
また、合計エネルギーEsumに対する上限を略10MeVに設定することも望ましい。中性子捕獲後に放出される全エネルギーは、通常、この値を超えない。しかしながら、特に検出器が比較的大型の場合に、ガンマ線シンチレータを介する宇宙放射(例えば、ミューオン)の通過によって、この閾値以上のエネルギーの特徴を有する信号が生じ得る。こうした事象は、その閾値によって区別及び抑制される。実際には、第二セクション内のエネルギー付与に対する両方の閾値(上限及び下限)は、効果対背景比が対象の計画にとって最適化されるように、最適化されることが望ましい。
【0046】
光検出器103を用いてガンマ線シンチレータに生じた光を収集及び測定して、光検出器からの測定信号を評価することによって、合計エネルギーEsumが、ガンマ線シンチレータ101において通常は測定される。主要な中性子検出器基準の一つは、一般的に、2.614MeV以上の合計エネルギーEsumを要求することである。
【0047】
本発明の他の実施形態200を図2に示す。第一の実施形態で説明したような装置を、中心に見て取ることができて、ガンマ線シンチレータセクション201及び光検出器203で構成される。この検出器は、任意で、物質206で封止可能である。検出器のガンマ線シンチレータ部分は、シールドセクション208によって取り囲まれ、そのシールドセクション208もシンチレータ物質204を備える。このシールドシンチレータ物質において生じた光は、追加の光検出器205によって検出される。
【0048】
この外側検出器208は、好ましくは、背景放射(例えば宇宙放射)に対する反同時シールドとして機能する。シールドセクション208がかなり低原子番号のシンチレータ物質を用いている場合、シールドセクション208は高速中性子に対する減速体としても同時に機能し得て、装置が高速中性子を検出することも可能にする。この場合、検出器の封止物質206も、この物質が中性子減速体として機能するように選択され得るが、留意すべきなのは、このような物質の選択が、周囲のシールドセクション208を備えた実施形態に限られるものではなく、他の実施形態との組み合わせにおいても用いられ得る点である。
【0049】
好ましい実施形態では、第三セクションの外側シンチレータ物質204は、プラスチックシンチレータ物質を備える。このような物質は容易に入手可能であり、取り扱いが容易である。
【0050】
シールドセクションのシンチレータにおける透過性荷電粒子の最小エネルギー付与(MeV単位)は、シンチレータの厚さ(センチメートル単位で与えられる)に、シンチレータの密度(グラム/立方センチメートル単位で与えられる)及び対応するシンチレータ物質における最小電離粒子(mip)のエネルギー損失(MeV/(グラム/平方センチメートル)単位で与えられる)をかけることによって与えられて、このエネルギー損失は、ありふれた物質に対して1MeV/(g/cm)以上であり、全ての軽物質に対して1.5MeV/(g/cm)以上であり、その上限の簡単な見積もりを可能にする。例えば、シールドセクションにおいて2cmのプラスチック(PVT)シンチレータを用いると、シールドセクションにおける透過性荷電粒子に起因する信号に対して、略2×1×1.5MeV、つまり略3MeVの下限となる。こうした信号は、背景放射として拒絶される。この場合、外側のシールドセクションに対する反同時条件は、3MeV以上のエネルギーがシールドセクションにおいて検出されないというものであり得る。
【0051】
結果として、この具体的な例において、装置の外側のシールドセクションにおいて検出される3MeV以下のエネルギーは、エネルギー宇宙放射に由来しないものであると考えられて、ガンマ線シンチレータ201におけるガンマ線と同時に検出される場合には、このような低エネルギー事象を合計エネルギーEsumに加えることができる。何故ならば、これは、その由来を、ガンマ線シンチレータ内部での中性捕獲に有し得るからである。しかしながら、この信号が実際に外部ガンマ線によるものである場合には、合計エネルギーの条件(Esum>2614keV)は、対応する事象を拒絶する。
【0052】
特筆すべきなのは、透過性荷電粒子の最小エネルギー付与よりも小さいエネルギー付与がシールドセクション208で観測されるが、ガンマ線シンチレータ201において同時に信号が観測されない場合、これを、シールドセクション208における外部ガンマ線の検出用の特徴と見なすことができて、(外部)ガンマ線用の検出器(又は分光計)としてシールドシンチレータを平行して使用できる点である。
【0053】
同様に、透過性荷電粒子の最小エネルギー付与以下のシールドセクション208におけるエネルギー付与が、2.614MeV以下の合計エネルギーEsumを有するガンマ線シンチレータ201における信号を伴うと、これを、二次散乱作用又は光吸収を伴うコンプトン散乱により両方のセクションにおいてエネルギーを付与する外部ガンマ線の検出用の特徴と見なすことができる。従って、シールドセクション208及びガンマ線シンチレータ201の組み合わせが、外部ガンマ線用の検出器(又は分光計)として動作し得る一方で、合計エネルギーの基準が、中性子捕獲事象を区別することを可能にする。
【0054】
このシールド検出器の変形例の更なる改善を図3に示す。この場合も、ガンマ線シンチレータ301は、光検出器303上に取り付けられる。この場合も、ガンマ線センチレータは、ある種の封止材306によって取り囲まれ得る。
【0055】
他の実施形態とは異なり、光検出器303の感光面は、ガンマ線検出器301によって覆われたその直径にわたって広がっている。光検出器303のこの外側範囲は、検出器のガンマ線シンチレータ301を取り囲む円形のシールドセクション(この場合も、好ましくはプラスチックシンチレータ304)に光学的に結合される。
【0056】
ガンマ線シンチレータ301に由来する信号を、プラスチックシンチレータ304に由来する信号から適切に区別するため、波長シフター307を追加し得る。このような波長シフターは、好ましくは、ガンマ線シンチレータ301から放出される波長と同様の波長を有する光を放出するプラスチックシンチレータ物質304からの光を吸収し、その光は、同じ検出器303によって適切に測定可能である。プラスチックシンチレータ304からの信号を、ガンマ線シンチレータからの信号から区別するためには、波長シフター307から放出される光が異なる減衰時間を有し、上述のように評価デバイスが二つの信号源を明確に区別できることが有利である。
【0057】
異なる減衰時間での個々の信号の一例を図4に示す。パルス408は、例えば、短い減衰時間のシンチレーション物質で構成されるガンマ線シンチレータに起因する。図4の破線409によって示されるように、シールドシンチレータから放出される光の減衰時間がはるかに大きい場合には、これらの信号は、デジタル信号処理によって、又は光検出器の信号出力に対して単純に二つのタイミングウィンドウ418及び419を設定することによって、容易に区別可能である。同様に、より長い減衰時間を有するガンマ線シンチレータからの信号も、はるかに短い減衰時間を有するシールドシンチレータからの信号から容易に区別可能である。
【0058】
ガンマ線シンチレータが、共通の光検出器で読み出される単一の検出器ブロックに配置された単一のガンマ線シンチレータ物質を備えることは必須ではない。他の実施形態(図示せず)では、熱量計として用いられるガンマ線シンチレータは、異なるシンチレータ物質に基づいていて個別の光検出器によって読み出される複数の個別の部分(検出器)で構成される。この場合、合計エネルギーEsumは、同じ時間フレーム内で(つまり同時に)生じる各検出器の光信号から導出された各検出器のガンマ線エネルギー寄与を足し合わせることによって、得られる。総費用を削減するために、元々他の目的(例えば、外部ガンマ線の検出及び分光)のために設計された検出器を本発明の装置に含めることができる場合には、こうした実施形態が有利なものになる。
【0059】
本発明の更に他の特徴は、中性子捕獲後に放出されるガンマ線の高い多重度を利用できる可能性である。ガンマ線シンチレータが、三つ以上の検出器を備えるように設定される場合、その多重度も評価し得る。例えば、マルチアノード光電子増倍管を用いることによって、四つのガンマ線シンチレータの光が区別可能であるように、光検出器が分割される場合、これを別々に評価することもできる。従って、合計エネルギーEsumを測定することに加えて、測定されたガンマ線事象の所定の多重度を要求することもできる。
【0060】
検出器の限られた効率を考慮すると、このようなガンマ線シンチレータの少なくとも二つの部分がガンマ線事象を検出したを要求することが有利であるとわかっている。特に、2.614MeV以上の合計エネルギーEsumの条件に加えて、この多重度の条件は、本発明の検出器の精度を更に増大させる。
【0061】
上述のことをまとめると、特許請求の範囲の本発明は、周知の安価で在庫のあるシンチレータ物質、及び、周知の安価で在庫のある光検出器に基づいた、低コストで設定が簡単な検出器を提供し、また、現状のHeカウンターに匹敵する効率及び精度で放出信号を評価するための方法を提供する。
【符号の説明】
【0062】
100 検出器
101 ガンマ線シンチレータ
103 光検出器
106 封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子放射、好ましくは熱中性子を検出するための装置であって、
該装置がガンマ線シンチレータを備え、前記ガンマ線シンチレータが、前記ガンマ線シンチレータ内部のエネルギーガンマ線に対する高ガンマ線阻止能を提供するために、5MeVのエネルギーのガンマ線に対して10cm以下、好ましくは5cm以下の減衰長Lを有する無機物質を備え、
前記ガンマ線シンチレータが、0.5cm以上であるが、前記ガンマ線シンチレータにおける5MeVのガンマ線に対する減衰長Lの五倍以下、好ましくは減衰長Lの二倍以下の熱中性子に対する吸収長Lをもたらす中性子捕獲断面積及び濃度を有する成分を備え、前記ガンマ線シンチレータの中性子吸収成分が、主にガンマ線を介して中性子捕獲後に励起核に付与されたエネルギーを放出し、
前記ガンマ線シンチレータが、前記ガンマ線シンチレータにおける中性子捕獲後に放出されたガンマ線エネルギーの本質的な部分を吸収するために、Lの少なくとも50%の、好ましくは少なくともLの直径又は縁長さを有し、
該装置が、前記ガンマ線シンチレータにおける光量を検出するために前記ガンマ線シンチレータに光学的に結合された光検出器を更に備え、該装置が、前記光検出器に結合された評価デバイスを備え、前記評価デバイスが、一つのシンチレーション事象に対して前記光検出器によって検出された光量を求め、前記光量が、前記ガンマ線シンチレータにおいてガンマ線によって付与されたエネルギーと既知の関係にあり、前記評価デバイスが、測定された合計ガンマ線エネルギーEsumが2.614MeV以上の場合に、検出された放射を中性子として分類するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記評価デバイスが、測定された合計ガンマ線エネルギーが所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下の場合に、検出された放射を中性子として分類するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガンマ線シンチレータが、塩素(Cl)マンガン(Mg)、コバルト(Co)、セレン(Se)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、セシウム(Cs)、プラセオジム(Pr)、ランタン(La)、ホルミウム(Ho)、イッテルビウム(Y)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、又は水銀(W)のうち少なくとも一つを成分として備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ガンマ線シンチレータが、タングステン酸鉛(PWO)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化セシウム(CsI)及び臭化ランタン(LaBr)から成る群から選択されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ガンマ線シンチレータが、カドミウム(Cd)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、イリジウム(Ir)、インジウム(In)、又は水銀(Hg)のうち少なくとも一つを活性剤又はドーパントとして備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ガンマ線シンチレータが、ユウロピウムをドープしたヨウ化ストロンチウム(SI)及びフッ化カルシウム(CaF)から成る群から選択されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ガンマ線シンチレータが、少なくとも三つの別々の部分に分割されていて、該部分の各々が、異なる部分からの信号を区別するように光検出器に結合されていて、前記評価デバイスが、少なくとも二つの異なる部分が前記ガンマ線シンチレータの中性子吸収成分における中性子捕獲によるガンマ線相互作用に起因する信号を検出した場合に、検出された放射を中性子として分類するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ガンマ線シンチレータの異なる部分からの信号を区別する光検出器が、マルチアノード光電子増倍管である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ガンマ線シンチレータが、シールドセクションによって少なくとも部分的に取り囲まれていて、前記シールドセクションがシンチレータを備え、該シンチレータの光放出が光検出器によって測定され、前記光検出器の出力信号が、前記装置の共通の評価デバイスによって評価される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記評価デバイスが、所定のシールド閾値以上のエネルギーを有する信号が前記シールドセクションから同じ時間フレームにおいて検出されない場合(反同時の場合)に、検出された放射を中性子と分類するように構成されていて、前記シールド閾値が、
前記シールドセクションのシンチレータのcm単位での厚さtを測定するステップと、
前記厚さに前記シンチレータの物質のg/cm単位での密度及び前記シンチレータにおける最小電離粒子のMeV/(g/cm)単位でのエネルギー損失をかけることによって、前記シンチレータにおいて距離tに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するMeV単位でのエネルギーEminを求めるステップと、
前記エネルギー以下にシールド閾値を設定するステップとに従って求められている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記シールドセクションが前記ガンマ線シンチレータの光検出器に光学的に結合されていて、前記評価デバイスが、前記ガンマ線シンチレータからの信号と前記シールドセクションからの信号を信号の性質によって区別するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
波長シフターが、前記シールドセクションのシンチレータと前記光検出器との間に取り付けられている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記シンチレータが、高速中性子に対する中性子減速体として機能する低原子番号Zの成分を備えた物質から成る群から選択されている、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置を用いて、中性子、好ましくは熱中性子を検出するための方法であって、
前記ガンマ線シンチレータにおいて中性子を捕獲するステップと、
ガンマ線エネルギー損失の結果として前記ガンマ線シンチレータから放出された光を測定するステップと、
前記装置のガンマ線シンチレータから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、
測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上である場合に、事象を中性子捕獲として分類するステップとを備えた方法。
【請求項15】
測定された合計エネルギー損失が所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下の場合にのみ、事象を中性子捕獲として分類する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項7に記載の装置を用いて、中性子、好ましくは熱中性子を検出するための方法であって、
前記ガンマ線シンチレータにおいて中性子を捕獲するステップと、
ガンマ線エネルギー損失の結果として前記ガンマ線シンチレータから放出された光を測定するステップと、
前記ガンマ線シンチレータから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、
測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上であり、且つエネルギー損失が前記ガンマ線シンチレータの少なくとも二つの部分において測定された場合に、事象を中性捕獲として分類するステップとを備えた方法。
【請求項17】
請求項9に記載の装置を用いて、中性子、好ましくは熱中性子を検出するための方法であって、
前記ガンマ線シンチレータにおいて中性子を捕獲するステップと、
ガンマ線エネルギー損失の結果として前記ガンマ線シンチレータから放出された光を測定するステップと、
前記ガンマ線シンチレータから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、
測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上であり、且つ所定のシールド閾値以上のエネルギーを有する信号がシールドシンチレータから同じ時間フレームにおいて検出されない場合(反同時の場合)に、事象を中性子捕獲として分類ステップとを備え、前記シールド閾値が、
前記シールドシンチレータのcm単位の厚さtを測定するステップと、
前記厚さに、前記シールドシンチレータの物質のg/cm単位での密度及び前記シールドシンチレータにおける最小電離粒子のMeV/(g/cm)単位でのエネルギー損失をかけることによって、前記シールドシンチレータにおいて距離tに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するMeV単位でのエネルギーEminを求めるステップと、
前記エネルギー以下にシールド閾値を設定するステップとに従って求められる、方法。
【請求項18】
中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を、前記ガンマ線シンチレータ及び前記シールドシンチレータの両方から放出された光から求める、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失が所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下の場合に、事象を中性子捕獲として分類する、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記シールド閾値以下のエネルギー損失が前記シールドシンチレータにおいて観測されるが、エネルギー損失が前記ガンマ線シンチレータにおいて観測されない場合に、事象を外部ガンマ線として分類する、請求項17又は18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−500481(P2013−500481A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521973(P2012−521973)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059692
【国際公開番号】WO2011/012155
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(512022882)フリール・ラディエーション・ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】