説明

中性粒子ビーム処理装置および帯電電荷の中和方法

【課題】 中性粒子ビームによる被処理物の加工中に中性粒子ビーム中の残留イオンによる被処理物のチャージアップを避けることができる中性粒子ビーム処理装置を提供する。
【解決手段】 中性粒子ビーム処理装置10は、イオン生成室14の内部にイオン70を生成するイオン生成手段と、イオン生成室14の内部のイオン70を引き出す引出手段と、引き出されたイオン70を中性化して中性粒子ビーム72を生成する中性化手段と、中性粒子ビーム72が照射される被処理物18を保持する保持台48とを備えている。中性粒子ビーム処理装置10は、被処理物18に帯電した電荷と反対の極性を持つ荷電粒子76を被処理物18に照射して、被処理物18に帯電した電荷を中和する荷電粒子源60を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中性粒子ビーム源および中性粒子ビーム処理装置に係り、特に中性粒子ビームを生成し、該中性粒子ビームを被処理物に照射してエッチングなどの処理を行う中性粒子ビーム源および中性粒子ビーム処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、中性粒子ビームを利用して、膜の堆積やドーピング、エッチングなどの処理が行われている(例えば、特許文献1参照)。中性粒子ビームとは、進行方向の揃った原子や分子などの電荷を持たない粒子の集団をいう。このような中性粒子ビームを利用した処理によれば、荷電粒子を被処理物に照射しないで処理を行うことができるので、被処理物のチャージアップを避けることができ、被処理物上に形成されたデバイスのチャージアップによる破壊を避けることができる。
【0003】
ここで、チャージアップとは、被処理物の表面における帯電現象であり、電荷が蓄積する被処理物の表面に電荷が蓄積した状態をいう。チャージアップなどにより被処理物の表面に電場が生じた場合でも、中性粒子ビームを利用すれば、軌道が変化せず直進性に優れたビームにより被処理物を加工することができる。したがって、例えば、中性粒子ビームを用いたエッチングは、アスペクト比の大きいトレンチ構造を形成するために垂直にエッチングする必要がある場合に好適である。
【0004】
例えば、中性粒子ビームを利用してエッチングを行う従来の中性粒子ビーム処理装置は、図1に示すように、内部にイオンを生成するプラズマ生成室500と被処理物502の加工を行う処理室504とが形成された真空容器506を有している。プラズマ生成室500の上部には、真空容器506内にプロセスガスを導入するガス供給ポート508が設けられており、このガス供給ポート508はガス供給配管510を介してガス供給源512に接続されている。ガス供給配管510には、真空容器506に供給するプロセスガスの流量を制御する流量制御装置514が設けられている。
【0005】
プラズマ生成室500の外周には、真空容器506の内部にプラズマを発生するための誘導結合型のコイル516が配置されている。このコイル516は、マッチングボックス518および高周波電源520に接続されている。また、プラズマ生成室500の内部の上流側には、導電体で形成された上流電極522が配置されている。また、プラズマ生成室500と処理室504との間には、多数の孔が形成された多孔電極524が配置されている。上流電極522と多孔電極524とはバイアス電源526に接続されている。処理室504内には、被処理物502を保持する保持台528が配置されており、この保持台528の上面に被処理物502が載置される。処理室504にはガスを排出するためのガス排出ポート530が設けられており、このガス排出ポート530はガス排出配管532を介して真空ポンプ534に接続されている。この真空ポンプ534によって処理室504は所定の圧力に維持される。
【0006】
このような従来の中性粒子ビーム処理装置においては、まず、処理室504内の保持台528の上に被処理物502を載置する。そして、真空ポンプ534を作動させることにより、真空容器506内を真空排気し、真空容器506内を所定の圧力にする。これにより、ガス供給源512からプロセスガスを真空容器506の内部に導入する。そして、高周波電源520によって高周波電圧をコイル516に印加し、プラズマ生成室500内に高周波電界を形成する。真空容器506内に導入されたプロセスガスは、加速された電子により電離され、プラズマ生成室500内に高密度プラズマ536が生成される。
【0007】
このとき、バイアス電源526によって上流電極522と多孔電極524との間にバイアス電圧を印加し、プラズマ536中に電場を形成する。これにより、プラズマ536中で発生したイオンは、この電場によってイオンビーム538として引き出される。このイオンビーム538は、多孔電極524を通過する際に、電極524中の孔壁と接触したり、孔中の残留ガスと衝突したりすることにより、電荷を失い中性化され、中性粒子ビーム540として処理室504の内部に放射される。この中性粒子ビーム540は、処理室504の内部を直進して保持台528に載置された被処理物502に照射され、この中性粒子ビームによって被処理物502の表面のエッチングが行われる。
【0008】
ここで、イオンビームを中性化する方法としては、例えば、中性化用の中性化ガスにイオンを衝突させ、中性化ガスとの電荷交換によりイオンを中性化する方法や、オリフィス状の細孔にイオンを通過させ、細孔の壁(すなわち細孔の内面)との接触などによる電荷交換によりイオンを中性化する方法、正イオンビームに電子を照射することにより中性化する方法、負イオンビームに紫外線などの光を照射して電子を解離あるいは脱離させて中性化する方法など、様々な方法が提案されている(例えば、特許文献4,5参照)。
【0009】
処理中に被処理物502のチャージアップを避けるためには、中性粒子ビーム540中の中性化率を向上することが必要である。ここで、中性化率とは、イオンビーム538を中性化して中性粒子ビーム540にする場合に、中性粒子ビーム540に含まれる中性粒子の数を、中性粒子ビーム540を構成するすべての粒子(イオンも含む)の数で割った値である。しかしながら、上述したいずれの中性化方法においても、100%の中性化率を得ることは困難である。
【0010】
また、高速な処理のためには、単位時間に単位面積を通過するビームを構成する粒子の数、つまりビーム強度を向上する必要がある。そのためには、例えばオリフィス状の細孔で中性化を行う場合には、オリフィスの開口率を上げることが1つの方法である。しかしながら、オリフィスの開口率を上げるためにオリフィスの開口面積を大きくすると、イオンがオリフィスの壁などで電荷交換を行って電荷を失う確率が低下する。このため中性化率が低下してしまうという問題があった。
【0011】
したがって、中性化率を向上させるために、電場を用いることにより残留イオンなどの残留荷電粒子が被処理物に入射することを防止するリターディング電極を設けて、中性粒子ビームに残留している荷電粒子を除去することが行われている(例えば、特許文献6,9参照)。より具体的には、リターディング電極は、中性粒子ビームを通過させるための小さな孔が多数形成された多孔電極であり、このリターディング電極に所定の電圧を印加することにより、荷電粒子であるイオンまたは電子を静電的に反発させて除去しつつ、電荷を持たない中性粒子ビームを通過させることができる。
【0012】
一般に、リターディング電極は、基準電極と、基準電極に対して正電位が与えられるイオン除去電極と、基準電極に対して負電位が与えられる電子除去電極という3枚の多孔電極で構成される。リターディング電極を構成する電極の枚数が多いほど残留イオンなどの残留荷電粒子の除去率が高まるという利点がある一方で、電極の枚数が多いほど中性粒子ビームがリターディング電極に衝突する確率が高くなるため、リターディング電極を通過して被処理物に照射される中性粒子ビームの量が減少するという問題が生じる。
【0013】
また、リターディング電極を用いても、中性粒子ビームの中から残留イオンなどの残留荷電粒子を完全に除去することは困難であった。中性粒子ビームに残留イオンなどの残留荷電粒子が含まれたまま、被処理物に照射すると被処理物には電荷が蓄積することとなる。その結果、被処理物に施されていた素子の絶縁破壊等が生じてしまうこととなる。また、被処理物の表面の帯電が一様でない場合には、中性粒子ビーム中に含まれるイオンの軌道が変化してしまうため、被処理物に垂直に入射できなくなる。そのため、深いトレンチ構造の加工を行う場合には、望み通りの加工精度が得られないという問題があった。
【0014】
また、リターディング電極を配置することにより、リターディング電極に衝突するイオンや中性粒子が多数生じてしまうため、被処理物へ入射するビーム強度が低下してしまうという問題がある。また、リターディング電極の動作には、バイアス電圧を印加する必要があり、そのための電源や配線などが必要となるため、これが装置のコストを増加させる要因となっていた。
【0015】
【特許文献1】特開昭63−318058号公報
【特許文献2】特開2004−220935号公報
【特許文献3】特開2004−235407号公報
【特許文献4】特開2002−289585号公報
【特許文献5】特開平8−241877号公報
【特許文献6】特開平4−180621号公報
【特許文献7】特開平7−193047号公報
【特許文献8】特開2001−296398号公報
【特許文献9】特開平6−252096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、中性粒子ビームによる被処理物の加工中に中性粒子ビーム中の残留イオンによる被処理物のチャージアップを避けることができる中性粒子ビーム処理装置を提供することを第1の目的とする。
【0017】
また、本発明は、被処理物の加工中に生じた被処理物の帯電電荷を効果的に中和することができる帯電電荷の中和方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様によれば、中性粒子ビームによる被処理物の加工中に中性粒子ビーム中の残留イオンによる被処理物のチャージアップを避けることができる中性粒子ビーム処理装置が提供される。この中性粒子ビーム処理装置は、イオン生成室の内部にイオンを生成するイオン生成手段と、上記イオン生成室の内部のイオンを引き出す引出手段と、上記引き出されたイオンを中性化して中性粒子ビームを生成する中性化手段と、上記中性粒子ビームが照射される被処理物を保持する保持台とを備えている。また、この中性粒子ビーム処理装置は、上記被処理物に帯電した電荷と反対の極性を持つ荷電粒子を上記被処理物に照射して、該被処理物に帯電した電荷を中和する帯電中和手段を備えている。
【0019】
このような構成により、中性粒子ビーム中にイオンが残留している場合においても、被処理物の表面での帯電を中和することができる。したがって、被処理物のチャージアップを避けることができ、被処理物の表面に既に形成されている素子の破壊の回避、加工精度の向上、ビーム強度の向上による加工速度の向上という課題を解決することができる。
【0020】
上記帯電中和手段としては、荷電粒子源を用いることができ、この荷電粒子源としては、電子源、負イオン源、および正イオン源のうちの少なくとも1つを用いることができる。このような荷電粒子源により、被処理物の帯電の極性にかかわりなく、被処理物の帯電を中和することができる。
【0021】
また、上記中性粒子ビーム処理装置は、上記被処理物の電位を測定する電圧計と、上記電圧計により測定された測定値に基づいて、上記荷電粒子源から照射する荷電粒子の量を制御する制御部とをさらに備えていることが好ましい。このような構成により、被処理物の帯電の程度を帯電電位として測定することができるので、その測定値に応じた量の荷電粒子を帯電した被処理物に照射することができる。したがって、荷電粒子源からの荷電粒子の照射により被処理物が逆の極性に帯電することを避けることができる。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、被処理物の加工中に生じた被処理物の帯電電荷を効果的に中和することができる帯電電荷の中和方法が提供される。この帯電電荷の中和方法によれば、中性粒子ビームが照射される被処理物を載置した保持台の電圧が測定され、上記測定された電圧の時間微分が演算される。上記演算された電圧の時間微分に基づいて、上記被処理物に照射すべき荷電粒子の単位時間あたりの電荷量が演算され、上記演算された電荷量の荷電粒子が単位時間あたりに上記被処理物に到達するように所定の電荷量の荷電粒子が上記被処理物に照射される。
【0023】
このような方法により、中性粒子ビーム中にイオンが残留している場合においても、被処理物の表面での帯電を中和することができる。したがって、被処理物のチャージアップを避けることができ、被処理物の表面に既に形成されている素子の破壊の回避、加工精度の向上、ビーム強度の向上による加工速度の向上という課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、被処理物に均一な密度の中性粒子ビームを照射することができる。したがって、中性粒子ビームを大口径かつ大面積の被処理物に均一に照射することができ、被処理物に対してより高精度な処理が可能となる。この結果、例えば半導体デバイス等に対する微細で高精度かつ高アスペクト比の加工を、チャージアップによって素子にダメージを与えることなく実現することが可能となる。
【0025】
リターディング電極によって残留粒子を除去する方法では、コストが高く、またビーム強度を減少させてしまうという欠点があるが、本発明によれば、このような欠点がなく、被処理物のチャージアップを回避することができる。したがって、本発明によれば、被処理物の表面に既に形成されている素子の破壊の回避、加工精度の向上、ビーム強度の向上による加工速度の向上を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る中性粒子ビーム処理装置の実施形態について図2を参照して詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態における中性粒子ビーム処理装置10の全体構成を示す模式図である。
【0027】
図2に示すように、中性粒子ビーム処理装置10は、石英ガラス、セラミック、金属などから構成される円筒状の真空容器12を備えている。この真空容器12の内部には、イオンを生成するイオン生成室14と、半導体基板、ガラス、有機物、セラミックスなどの被処理物18の加工を行う処理室20とが形成されている。イオン生成室14および処理室20は、真空容器12により外部と隔離されている。図2では、イオン生成室14および処理室20が真空容器12により一体に形成されている例が示されているが、イオン生成室14および処理室20をそれぞれ別個の真空容器により形成し、互いにフランジなどを介して接続してもよい。
【0028】
イオン生成室14の上部には、真空容器12内にプロセスガスを導入するプロセスガス導入ポート22が設けられており、このプロセスガス導入ポート22はガス供給配管24を介してプロセスガス供給源26に接続されている。ガス供給配管24には、真空容器12に供給するプロセスガスの流量を制御する流量制御装置28が設けられている。
【0029】
使用するプロセスガスの種類は、被処理物18に対して行う加工の種類によって異なるが、例えば、エッチング加工を行う場合には、SF,CHF,CF,Cl,Ar,O,N,Cなどのプロセスガスが真空容器12内に供給される。なお、必要に応じて、プロセスガス供給源26を複数設け、複数種類のプロセスガスを同時に真空容器12に供給するような構成にしてもよい。その場合には、ガスの種類ごとに配管および流量制御装置を別々に設ける。
【0030】
イオン生成室14の外周には、イオン生成室14の内部にプラズマを発生する誘導結合型(ICP)のコイル30が配置されている。このコイル30は、マッチングボックス32および高周波電源34に接続されており、例えば、13.56MHzの高周波電圧がコイル30に印加されるようになっている。このコイル30に高周波電流を流すことで、イオン生成室14内に誘導磁場が生じ、磁界の時間変化が電界を誘導し、その電界で原子より電離したプロセスガス中の電子が加速されてイオン生成室14内にプラズマPが生成される。このときに形成されるプラズマPは、主として正イオンと電子とからなるプラズマである。このように、本実施形態においては、コイル30、マッチングボックス32、高周波電源34により、イオン生成室14の内部にイオン(プラズマ)を生成するイオン生成手段が構成されている。
【0031】
なお、プラズマPを発生させるアンテナとしてのコイル30をイオン生成室14に対して適切な位置に配置することにより、イオン生成室14内で発生させるプラズマPを均一にすることができる。また、プラズマPを発生させるために印加される電圧または電流をパルス状に変化させると、大量の負イオンを発生させることができることが知られている。したがって、負イオンを引き出して中性粒子ビームとする場合には、高周波電源34により印加される高周波電流または電圧をパルス状に変化させることが好ましい。
【0032】
イオン生成室14の内部の上流側には、導電体で形成された上流電極42が配置されている。また、イオン生成室14と処理室20との間には、多数の細孔が形成された多孔電極44が配置されている。この多孔電極44も導電体で形成されている。上流電極42および多孔電極44はバイアス電源46に接続されている。本実施形態では、上流電極42、多孔電極44、バイアス電源46により、イオン生成室14内のイオンを引き出す引出手段が構成されている。なお、図2に示す例では、上流電極42に正の電圧、多孔電極44に負の電圧を印加しており、正イオン70が処理室20に向かって加速され引き出される。バイアス電源46の極性を反転させれば、負イオンを引き出すことができる。
【0033】
オリフィス状の細孔をイオンが通過するときに、細孔の壁と接触したり、細孔中の残留ガスと衝突したりすることにより、イオンが電荷を失うことが知られている(例えば、特開2002−289585号公報参照)。例えば、加速されたイオンが細孔の壁とほぼ平行に接触する場合には、イオンはその運動エネルギーをほとんど失わずに電荷交換により電荷だけを失う。したがって、本実施形態では、イオン生成室14から引き出されたイオンが多孔電極44の細孔を通過する際に中性化されるようになっている。このように、本実施形態では、イオンを中性化して中性粒子ビームを生成する中性化手段が多孔電極44により構成されている。なお、多孔電極44の細孔間の壁の厚さを薄くすることによって、多孔電極44の開口率を向上することができ、多孔電極44の開口率を向上することで、より多くの粒子を処理室20に入射することができる。
【0034】
図2に示すように、処理室20内には、被処理物18を保持する保持台48が配置されており、この保持台48の上面に被処理物18が載置されている。多孔電極44により生成された中性粒子ビーム72は、処理室20内に入射され、保持台48上の被処理物18に照射される。なお、必要に応じて、被処理物18の表面のうち処理を行わない部分をレジストなどによって被覆することにより、所望の部分だけを加工することができる。
【0035】
ここで、保持台48は回転機構を備えていることが好ましい。このような回転機構により保持台48を回転させることで、位置によって中性粒子ビームの被処理物18への照射が不均一になる場合であっても、中性粒子ビームの照射を平均化することができ、被処理物18の表面全体をほぼ均一に加工することができる。また、保持台48が、中性粒子ビームの入射方向と垂直な平面上で直線運動または円運動を行う機構を備えていても、回転機構と同様の効果を得ることができる。また、処理の性能は被処理物の温度に依存することが一般的に知られているので、保持台48に付属したヒーターなどで被処理物の温度を制御する機構を設けることが好ましい。
【0036】
処理室20にはガスを排出するためのガス排出ポート50が設けられており、このガス排出ポート50はガス排出配管52を介して真空ポンプ54に接続されている。この真空ポンプ54によって処理室20は所定の圧力に維持される。なお、イオン生成室14を所定の圧力に維持する必要がある場合には、イオン生成室14にも独立した真空排気機構を設け、独立して真空排気を行うことが好ましい。
【0037】
また、被処理物18を処理室20に導入する際に予備排気を行う予備排気室(図示せず)を処理室20に隣接して設け、処理室20と予備排気室とゲートバルブを介して接続してもよい。このような構成にすれば、真空容器12内を大気圧に戻すことなく、被処理物18を保持台48に配置することができる。したがって、真空排気に要する時間が極めて短くなるので、プロセスタイムを短縮することができる。
【0038】
ここで、上述した多孔電極44ではイオンを100%中性化することは困難である。したがって、一般的には、生成された中性粒子ビーム72の中には少なくとも数パーセントの割合で残留イオン74が混入している。このため、中性粒子ビーム72が照射される被処理物18の表面では、電荷を持った残留イオン74の入射により電場を生じることとなる。この電場の発生を防ぐために、処理室20には、図2に示すように、被処理物18に帯電した電荷を中和する帯電中和手段としての荷電粒子源60が設置されている。
【0039】
ここで、荷電粒子源60は、被処理物18に帯電する電荷とは反対の極性、すなわち中性粒子ビーム72中に残留する残留イオン74とは反対の極性を持つ荷電粒子76を被処理物18に照射するものである。荷電粒子源60は制御部62に接続されており、制御部62によって荷電粒子源60から照射される荷電粒子76の量が制御されるようになっている。なお、荷電粒子源60は、処理室20内において中性粒子ビーム72の被処理物18への入射が妨げられないような位置に配置されている。
【0040】
ここで、保持台48は、絶縁物40を介して処理室20内に設置され、基本的に外部との電気的な接触がない構造になっている。ただし、保持台48には、大地電位に対する保持台48の電位を測定する電圧計64が接続されている。この電圧計64により、被処理物18が載置される保持台48の帯電電圧を測定することができるようになっている。電圧計64の電気抵抗は極めて高いために、事実上電圧計64に電流が流れることはないと考えてよい。このため、保持台48は、外部との電気的接触はないとみなすことができる。したがって、保持台48の帯電電圧は、被処理物18の帯電電圧とほぼ同じとみなすことができる。
【0041】
電圧計64は上述した制御部62に接続されており、保持台48の電位を表す信号が電圧計64から制御部62に送られる。電圧計64から信号を受けた制御部62は、保持台48の電位をゼロに近づけるように荷電粒子源60から照射する荷電粒子量を調整する。
【0042】
ここで、制御部62は、保持台48の電位の単位時間あたりの増減、すなわち時間によって微分した電位を演算する時間微分演算回路を有することが好ましい。電位の時間微分が増加しているときは、上記時間微分演算回路を有していない場合よりも多くの電荷を荷電粒子源60から照射するように制御することができ、また、電位の時間微分が減少しているときは、上記時間微分演算回路を有していない場合よりも少ない電荷を荷電粒子源60から照射するように制御することができるので、時間微分演算回路を有していない場合に比べてより早急に被処理物18の帯電状態を中和することができる。
【0043】
荷電粒子源60は、電子源、負イオン源、および正イオン源のうちの少なくとも1つとすることができる。電子源、負イオン源、および正イオン源のうちの少なくとも1つから荷電粒子76を被処理物18に照射することにより、被処理物18のチャージアップを防止することができる。なお、荷電粒子源60として正イオン源または負イオン源を用いる場合には、正イオンまたは負イオンを構成する原子を含むガスを荷電粒子源60に供給するためのガス配管や流量制御機構などのガス供給系(図示せず)を設置する。
【0044】
次に、本実施形態における中性粒子ビーム処理装置10の動作について説明する。まず、処理室20内の保持台48の上に被処理物18を載置する。このとき保持台48に回転機構が設けられている場合には、この回転機構により被処理物18を回転させる。保持台48が、中性粒子ビームの入射方向と垂直な平面上で直線運動または円運動を行う機構を備えているときには必要に応じそれらの機構を作動させる。また、保持台48に温度制御機構が設けられている場合には、被処理物の処理速度などの処理性能を向上させるため、温度制御機構により被処理物18を処理に最適な温度に設定する。
【0045】
そして、真空ポンプ54を作動させることにより、真空容器12内を真空排気し、真空容器12内を所定の圧力、好ましくは1Pa以下、より好ましくは1×10−3Pa以下の高真空にする。このように真空容器12内を高真空にすることによって、真空容器12の内部を大気圧に開放したときの気体が真空容器12内に残留し、不純物となって被処理物18の処理に悪影響を及ぼすのを避けることができる。なお、真空容器12内を真空に保った状態で被処理物18の出し入れができるようなロードロックシステムを設置している場合には、真空ポンプ54を作動させた状態で、被処理物18を処理室20内に導入する。
【0046】
次に、プロセスガス供給源26からSF,CHF,CF,Cl,Ar,O,N,C等などのプロセスガスを真空容器12の内部に導入する。このとき、流量制御装置28によりプロセスガスの流量が制御され、プロセスガスの流量がガスの種類や被処理物の種類などを考慮した最適な値に調整される。この結果、プロセスガス導入ポート22から真空容器12の内部にプロセスガスが導入される。
【0047】
そして、高周波電源34によって例えば13.56MHzの高周波電圧をコイル30に印加する。この高周波電圧の印加によってイオン生成室14内には高周波電界が形成される。真空容器12内に導入されたプロセスガスは、加速された電子により電離され、イオン生成室14内に高密度プラズマPが生成される。
【0048】
バイアス電源46によって上流電極42と多孔電極44との間にバイアス電圧を印加し、プラズマP中に電場を形成する。プラズマP中で発生したイオンは、この電場によって多孔電極44の方向に加速される。図2に示す例では、上流電極42に正電位、多孔電極44に負電位を与えているため、正イオン70が多孔電極44に向かって加速され引き出される。バイアス電源46の極性を反転させれば、負イオンを多孔電極44に向かって引き出すことができる。また、バイアス電源46として交流電源を用い、直流バイアス電圧に代えて交流バイアス電圧を印加すれば、正イオンと負イオンを交互に引き出すこともできる。
【0049】
このようにしてイオン生成室14から多孔電極44に向かって引き出されたイオン70は、多孔電極44内の細孔に入る。イオン70が細孔を通過するときに細孔の壁と接触したり、細孔中に存在する粒子と衝突することにより、電荷を失い中性化される。このようにイオン70を中性化することで、中性粒子ビーム72を生成することができる。
【0050】
この中性粒子ビーム72は、エネルギービームとして処理室20の内部に放射される。この中性粒子ビーム72は、処理室20の内部を直進して保持台48に載置された被処理物18に照射され、この中性粒子ビーム72によってエッチング、クリーニング、窒化処理や酸化処理などの表面改質、成膜などの処理が行われる。この場合において、中性粒子ビーム72は、被処理物18の被処理面に対して垂直な方向から入射させることが好ましい。例えば、保持台48に角度を調整できる機構を設けることにより、中性粒子ビーム72が保持台48上の被処理物18の被処理面に対して垂直に入射するように保持台48の角度を調整することができる。
【0051】
ここで、中性粒子ビーム72の入射と同時に、電圧計64で大地電位に対する保持台48の電位を測定する。上述したように、保持台48は絶縁物40を介して処理室20内に設置され、電圧計64の電気抵抗は極めて高いので、外部に電流が流れることはないとみなすことができる。したがって、被処理物18も保持台48も、大地電位に対してほぼ同じ電位に保たれているといえる。したがって、大地電位に対する保持台48の電位を測定することで、被処理物18の帯電電圧を得ることができる。
【0052】
電圧計64における測定値は、電圧計64から制御部62に電気的信号として伝えられる。この測定値に基づいて、制御部62は、荷電粒子源60から保持台48に照射する荷電粒子76の量を制御する。例えば、荷電粒子源60が正イオン源または負イオン源である場合、イオンを構成する原子を含むガスを供給するためのガス供給系を作動させ、所定のガスが所定量だけ荷電粒子源60に供給されるようにする。
【0053】
次に、制御部62の動作を開始させ、被処理物18の電圧が大地電位と等しくなるように荷電粒子76を被処理物18に対して照射する。このとき、荷電粒子76を被処理物18に向けて電場などにより加速して照射するが、被処理物18の表面に中性粒子ビーム72中に含まれる残留イオン74とは逆の電荷を供給することが目的であるため、加速エネルギーは小さくてよい。したがって、被処理物18の表面をエッチングなどの作用を及ぼさない程度に加速すればよい。使用するイオン種としては、被処理物18との化学的な相互作用をしない希ガスを用いることが好ましいが、場合によっては化学的相互作用を積極的に利用することで、被処理物18に対する処理をアシストすることもできる。
【0054】
この制御においては、基本的には保持台48の電位が大地電位と一致するように制御部62内のフィードバック回路により荷電粒子源60を制御する。制御部62は、必要に応じて荷電粒子源60の荷電粒子照射量のほか、照射角度、照射位置、照射エネルギー、照射エネルギー密度分布などの制御を行ってもよい。また、制御部62は、荷電粒子の照射電荷量などを増減させることにより、被処理物18の帯電中和のために必要な荷電粒子の電荷量を照射するように制御してもよい。
【0055】
また、制御部62に、電圧計64の測定電位の時間微分を演算した演算結果を荷電粒子源60の制御に用いてもよい。この場合には、保持台48の帯電電圧を測定するステップと、保持台48の測定電位の時間微分を演算するステップと、この時間微分の演算結果に基づいて荷電粒子源60から照射する荷電粒子76の単位時間あたりの電荷量を演算するステップと、この電荷量の演算結果に基づいて荷電粒子源60から所望の電荷量を荷電粒子76として被処理物18に到達するように照射するステップとを順次繰り返して、荷電粒子源60から被処理物18に荷電粒子76を照射する。
【0056】
上述したように、本実施形態では、荷電粒子源60を設けたので、イオンによって被処理物18の表面およびその表面近傍にチャージアップが生じても、荷電粒子76の照射により被処理物18の表面およびその表面近傍の電荷を中和することができる。したがって、中性粒子ビーム72中に残留する残留イオン74の悪影響をなくすことができる。すなわち、被処理物18に電荷が蓄積されることがないので、蓄積電荷による電界ないし不均一な電界も発生しない。したがって、中性粒子ビーム72中に残留している残留イオン74もその直進性を妨げられることがない。この結果、高アスペクト比の形状を高精度に加工することができ、チャージアップによる素子の破壊という問題も生じない。さらに、中性粒子ビーム72中の残留イオン74の残存を許容できることから、例えばリターディング電極のように残留イオン74を100%排除するための機構が不要となり、ビーム強度を強く維持できる。したがって、相対的に加工速度も向上する。
【0057】
このように、被処理物18のチャージアップを防ぐことができるので、被処理物18の表面にチャージアップを生じることもなく、中性粒子ビーム72中に残存して飛来する残留イオン74も直進性を失うことがない。このため、中性粒子ビーム72中に残留イオン74の残存を許したとしても、高アスペクト比の加工が可能となる。
【0058】
荷電粒子源60から照射する荷電粒子76の種類は、例えば、中性粒子ビーム72中に残留する残留イオン74が正イオンの場合には、負イオン源あるいは電子源を用いて負イオンあるいは電子を照射することで被処理物18の表面に生じる電荷を中性化すればよい。特に、被処理物18と反応性のある負イオンを照射する場合には、被処理物18の表面での処理速度などの処理性能を向上することができる。また、中性粒子ビーム72中に残留する残留イオン74が負イオンの場合には、正イオン源を用いて正イオンを照射することで被処理物18の表面に生じる電荷を中性化すればよい。特に、被処理物18と反応性のある正イオンを照射する場合には、被処理物18の表面での処理速度などの処理性能を向上することができる。
【0059】
また、負イオンと正イオンを交互に中性化することによって中性粒子ビームを生成する場合には、中性粒子ビーム中に負イオンおよび正イオンが交互に残留する場合がある。この場合には、負イオン源または電子源から負電荷を持つ粒子を、正イオン源から正電荷を持つ粒子を交互に照射することで被処理物18の表面の電荷を中和することができる。すなわち、残留するイオン種とは反対の電荷を有する粒子を照射することで、被処理物18の表面の電荷を中和することができる。この場合も、特に、被処理物18と反応性のある正イオンや負イオンを照射する場合には、被処理物18の表面での処理速度などの処理性能を向上することができる。
【0060】
また、負イオンが中性粒子ビーム中に残留する場合には、被処理物18が負に帯電せず、正に帯電する場合がある。ビームを被処理物18に照射した衝撃で、被処理物18から電子が飛び去る場合があるからである。この場合には、電子源または負イオン源を用いて電子または負イオンを照射することで被処理物18の表面に生じる電荷を中性化すればよい。特に、被処理物18と反応性のある負イオンを照射する場合には、被処理物18の表面での処理速度などの処理性能を向上することができる。
【0061】
このように、被処理物18の帯電の極性にかかわりなく、被処理物18の帯電を中和することが可能となる。したがって、被処理物18の表面のチャージアップを伴わずに中性粒子ビームによる被処理物の表面の垂直加工を行うことができる。
【0062】
上述したように、本実施形態によれば、例えば煩雑な構造を有するリターディング電極などの中性粒子ビーム中の残留イオンなどの残留荷電粒子を完全に除去するための機構を用いることなく、被処理物の中性粒子ビームによる加工中に中性粒子ビーム中の残留イオンによる被処理物のチャージアップを避けるという効果を得ることができる。また、低い中性化率の中性粒子ビームを照射した場合でも、被処理物表面でのチャージアップが生じることなく被処理物の処理を行うことができる。この結果、被処理物表面に既に形成されている素子の破壊の回避、被処理物表面近傍でのイオン入射による電場の発生を回避することによる加工精度の向上、ビーム強度の向上による加工速度の向上という効果を得ることができ、また、装置コストの低下が可能となる。
【0063】
上述した実施形態では、誘導結合型コイル30を用いてプラズマを発生させた例を説明したが、ECR(Electron Cyclotron Resonance)、ヘリコン波プラズマ用コイル、マイクロ波等を用いてプラズマを発生させることとしてもよい。また、上述した実施形態では、プラズマによりイオンを生成した例について説明したが、プラズマを発生させずにイオンを生成してもよい。例えば、電子線照射装置から電子線を照射し、原子に電子を付着させることで負イオンを生成してもよい。すなわち、イオン生成手段は、何らかの手段でイオンを生成できるものであればどのようなものであってもよい。
【0064】
なお、被処理物の処理を高速で行うためには、高密度のイオンビームを生成することが好ましいが、上述した誘導結合型コイル30は、高密度のプラズマを発生させて大量のイオンを生成することができ、高い強度のイオンビームを生成することができるので、被処理物の処理を高速で行う上では、誘導結合型コイルによるプラズマ発生手段を用いることが好ましい。
【0065】
また、上述の実施形態においては、イオン生成室14内のイオンを引き出す引出手段が、上流電極42、多孔電極44、バイアス電源46により構成される例を説明したが、これに限られず、他の方法によりイオンを引き出してもよい。
【0066】
さらに、上述の実施形態では、イオンを中性化する中性化手段として多孔電極44を利用する例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、イオンビームの経路であって、イオン生成室14と処理室20との間に中性化室を設けて、中性化を行うための中性化ガスを中性化ガス供給源から中性化室に導入してもよい。この場合には、イオン生成室14から引き出されたイオンは、中性化室を通過する際に、中性化室の内部に供給された中性化ガスと衝突することにより電荷交換を起こし、結果として電荷を失い中性粒子となる。
【0067】
また、例えば、正イオンビームを中性化する場合には、中性化手段として、イオンビームに電子を照射する装置を設け、電子を正イオンに付着させることにより中性化を行ってもよい。また、負イオンビームを中性化する場合には、中性化手段として、イオンビームに光を照射する装置などのように、何らかの形でエネルギーをイオンビームに与えて電子を解離することで中性化を行う装置を設けることができる。
【0068】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】従来の中性粒子ビーム処理装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態における中性粒子ビーム処理装置の全体構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0070】
10 中性粒子ビーム処理装置
12 真空容器
14 イオン生成室
18 被処理物
20 処理室
26 プロセスガス供給源
30 コイル
32 マッチングボックス
34 高周波電源
40 絶縁物
42 上流電極
44 多孔電極
46 バイアス電源
48 保持台
54 真空ポンプ
60 荷電粒子源
62 制御部
64 電圧計
70 正イオン
72 中性粒子ビーム
74 残留イオン
76 荷電粒子
P プラズマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン生成室の内部にイオンを生成するイオン生成手段と、
前記イオン生成室の内部のイオンを引き出す引出手段と、
前記引き出されたイオンを中性化して中性粒子ビームを生成する中性化手段と、
前記中性粒子ビームが照射される被処理物を保持する保持台と、
前記被処理物に帯電した電荷と反対の極性を持つ荷電粒子を前記被処理物に照射して、該被処理物に帯電した電荷を中和する帯電中和手段と、
を備えたことを特徴とする中性粒子ビーム処理装置。
【請求項2】
前記帯電中和手段は、荷電粒子源であることを特徴とする請求項1に記載の中性粒子ビーム処理装置。
【請求項3】
前記荷電粒子源は、電子源、負イオン源、および正イオン源のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の中性粒子ビーム処理装置。
【請求項4】
前記被処理物の電位を測定する電圧計と、
前記電圧計により測定された測定値に基づいて、前記荷電粒子源から照射する荷電粒子の量を制御する制御部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の中性粒子ビーム処理装置。
【請求項5】
中性粒子ビームが照射される被処理物を載置した保持台の電圧を測定し、
前記測定された電圧の時間微分を演算し、
前記演算された電圧の時間微分に基づいて、前記被処理物に照射すべき荷電粒子の単位時間あたりの電荷量を演算し、
前記演算された電荷量の荷電粒子が単位時間あたりに前記被処理物に到達するように所定の電荷量の荷電粒子を前記被処理物に照射することを特徴とする帯電電荷の中和方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−253190(P2006−253190A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63815(P2005−63815)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】