説明

中敷きならびに中敷き製造のための方法およびシステム

本発明は、中敷き、靴または靴底を製造するための方法、装置およびシステムに関する。足の形状および寸法に関する足情報が測定され、ピンマトリクスが少なくとも部分的に足情報に基づいて形成される。中敷きまたは靴底プレフォームが中敷きプレフォームを成形するためにピンマトリクス上に配置され、ピンマトリクスを用いて、足情報に基づくプレフォームから、中敷きまたは靴底が形成される。少なくとも部分的に足情報に基づくポジティブおよびネガティブピンマトリクスが形成され、ネガティブピンマトリクスはポジティブピンマトリクスに実質的に対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中敷き、特に熱成形可能な履物用特注中敷きを製造するための方法に関し、履物、たとえば靴または靴底を製造することに関する。また、本発明は、特注中敷きおよび靴を製造するシステム、ならびに本発明に従って製造された特注中敷き、靴底および靴に関する。さらに、本発明は、対応する履物、および靴などの履物を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中の人々は多くが、ある種の足の問題に悩まされている。足の動き/歩き方の問題は、足底、足首、膝、臀部、背部などに反映し、そのため、その処置および予防が特に全人類の幸せにとって有益なものとなる。人は毎日15000〜16000歩歩いている。スポーツにおける足への負荷は、体重の数倍である。たとえば、地面への力は、ランニング中では自身の体重の約3倍であり、バスケットボール中では、跳躍や他の不規則な動きのために、自身の体重の約7.5倍である。足の位置が正しければ、負荷は均一に上部関節間に分かれる。
【0003】
回内と呼ばれる一般的な状態は、足(特に、踵および足弓)の内側(すなわちmedial)回転を意味し、足が回転し過ぎたときに過回内になる。一方、過回外は、小さ過ぎる内側回転によって引き起こされる。両方の状態は、足や様々な体の関節において、痛みや摩耗、そしてストレス損傷さえ容易に引き起こす。
【0004】
異なる(足弓)支持中敷きが、足の位置を矯正するために利用可能である。これは、内側および外側縦足弓を支持するように設計されるが、別途接着されたウェッジなしで、実際には足の位置を矯正しない。ウェッジングは、時間のかかる高価なプロセスである。得られる結果は、作業をしている人に依存し、むしろ不正確になりがちである。他の欠点として、ウェッジを足底に接着した後、最初にウェッジを除去することなく新たな型を取ることができない。
【0005】
一般的に、中敷きにおける既製の支持体は、人々が同一の足形状を一般的に有していないので、誰の足にも完全に一致しない。したがって、多くの支持中敷きは、最終的には、ひどい適合のために不便であるとみなされる。足の問題に悩まされている一部の人々だけが問題の少なくとも一部を緩和する中敷きを購入する機会があった。伝統的に、特注の靴および中敷きが、専門の靴屋、理学療法士または足治療医によって製造されてきた。
【0006】
今までのところ、関連する購入プロセスは、むしろ時間がかかり、費用がかかった。足を測定し中敷きを製造することは、高価で特殊な装置を必要とし、製造を行うことができる速度は、まだ限られている。当然ながら、この状況は特注の中敷きの費用をも上昇させ、足の問題に悩まされている人々にとって手頃なものにしない。
【0007】
したがって、中敷きを注文し製造するプロセス全体を改善する解決手段とともに、中敷きの製造技術の改良に関する必要性がある。
【発明の概要】
【0008】
改良された方法および該方法を実施する技術的装置が発明され、これによって上記問題が緩和される。本発明の様々な態様は、方法、装置、システムおよび中敷きを含み、これらは従属請求項で述べられたものによって特徴付けられる。本発明の様々な実施形態は、従属請求項で開示される。
【0009】
第1の態様に従えば、装置で中敷きまたは靴底もしくは靴を製造するための方法であって、足の形状および寸法に関する足情報を測定し、少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスを形成し、中敷きまたは靴底プレフォームを成形するために前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクス上に、中敷きまたは靴底プレフォームを位置付け、前記足情報に基づいて、中敷きまたは靴底プレフォームから中敷きまたは靴底を形成することを含む、方法が提供される。例示の実施形態に従えば、該方法は、少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスを形成することを含む。例示の実施形態に従えば、該方法は、少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスを形成することを含み、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスは、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスに実質的に対応する。例示の実施形態に従えば、該方法は、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスと前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスとの間に中敷きプレフォームを位置付けて、中敷きまたは靴底プレフォームを成形することを含む。例示の実施形態に従えば、該方法は、前記足情報を、足情報のデータベースに、コンピュータにおいて電子的に記憶し、前記中敷きまたは靴底を成形するするために、足情報のデータベースからコンピュータにおいて足の形状および寸法に関する情報を電子的に検索することを含む。例示の実施形態に従えば、該方法は、走査システムを用いて前記足情報を測定することを含む。例示の実施形態に従えば、該方法は、たとえば、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスのピン上を転がるローラヘッドを有するロボットを用いて、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスを形成することを含む。
【0010】
第2の態様に従えば、中敷きまたは靴底を製造するための装置であって、中敷きまたは靴底プレフォームに形をつけるように構成される第1のピンマトリクスを含む装置が提供される。例示の実施形態に従えば、該装置は、前記第1のピンマトリクスに実質的に対応する第2のピンマトリクスを含み、該第2のピンマトリクスは前記中敷きまたは靴底プレフォームに形をつけるように構成され、該装置は、前記第1のピンマトリクスと前記第2のピンマトリクスとの間で前記中敷きまたは靴底を押圧することによって、前記中敷きまたは靴底に形をつけるように構成される。例示の実施形態に従えば、該装置は、足の形状に関する情報を形成または受信するためのモジュールと、前記足の形状に関する情報に従って、前記第1のピンマトリクスおよび第2のピンマトリクスの少なくとも一方を、前記第1のピンマトリクスおよび第2のピンマトリクスの少なくとも一方のピンを動かすことによって前記中敷きプレフォームに形をつけるように構成するためのモジュールとを含む。例示の実施形態に従えば、少なくとも前記第1のピンマトリクスは、前記ピンマトリクスのピンを動かして該ピンを適切な位置に固定することによって足の形状に関する情報に従う形状を形成するように構成される。例示の実施形態に従えば、前記第2のピンマトリクスは、前記第2のピンマトリクスが前記第1のピンマトリクスに対して押圧されているとき、前記第1のピンマトリクスの形状に適応するように構成される。例示の実施形態に従えば、前記第1のピンマトリクスおよび第2のピンマトリクスの一方はポジティブピンマトリクスであり、前記第1のピンマトリクスおよび第2のピンマトリクスの他方はネガティブピンマトリクスである。例示の実施形態に従えば、該装置は、足の形状に関する情報を記憶するメモリと、前記メモリ内の前記足の形状に関する情報に従って前記第1のピンマトリクスを適合させるための処理装置とを含む。例示の実施形態に従えば、該装置は、該装置に、足の形状に関する情報が中敷きまたは靴底プレフォームに形をつけるために検索可能であるデータベースに、足の形状に関する情報を記憶させるコンピュータプログラムコードを含む。例示の実施形態に従えば、該装置は、足の形状に関する情報を測定するためのスキャナを含む。
【0011】
第3の態様に従えば、処理装置と、コンピュータプログラムコードを含むメモリとを含むシステムであって、前記メモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、足の形状および寸法に関する足情報を測定させ、前記足情報に基づいて、中敷きまたは靴底プレフォームから中敷きまたは靴底を形成させ、少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスを形成させ、中敷きまたは靴底プレフォームを成形するために前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクス上に中敷きまたは靴底プレフォームを位置づけさせるように構成される、システムが提供される。例示の実施形態に従えば、該システムは、前記処理装置によって、該システムに、少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスを形成させるコンピュータプログラムコードを少なくとも含む。例示の実施形態によれば、該システムは、前記処理装置によって、該システムに、少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスを形成させるコンピュータプログラムコードを少なくとも含み、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスは、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスに実質的に対応する。例示の実施形態に従えば、該システムは、前記処理装置によって、該システムに、中敷きまたは靴底プレフォームを成形するために、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスと前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスとの間に中敷きまたは靴底プレフォームを位置づけさせるコンピュータプログラムコードを含む。例示の実施形態に従えば、該システムは、前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、前記足情報を、足情報のデータベースに、コンピュータにおいて電子的に記憶させ、前記中敷きまたは靴底を成形するために、足情報のデータベースからコンピュータにおいて足の形状および寸法に関する情報を電子的に検索させるコンピュータプログラムコードを含む。例示の実施形態に従えば、該システムは、前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、走査システムを用いて前記足情報を測定させるコンピュータプログラムコードを含む。例示の実施形態に従えば、該システムは、前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、たとえば、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスのピン上を転がるローラヘッドを有するロボットを用いて、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスを形成させるコンピュータプログラムコードを含む。
【0012】
第4の態様に従えば、本発明の第1の態様に従う方法を用いて製造された中敷きおよび靴底が提供される。第5の態様に従えば、本発明の第1の態様に従う方法によって製造された中敷きを含む靴が提供される。本発明に従って製造された中敷き、靴底または靴は、本発明に従う方法による製造サインを表示してもよく、たとえばピンマトリクスからのピンの圧痕を、中敷きまたは靴底の片面、両面または内側層に示してもよい。中敷きまたは靴底は、本発明に従う方法の加熱または冷却特性によって特に形成されてもよい。このような製造サインは、意図的に作成されてもよく、意図せずに自然に製造プロセスにおいて形成されてもよい。
【0013】
以下、本発明の様々な実施形態が添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1a】本発明の実施形態に従う、足の形状を読取るための光学的手段を備える足走査装置を示す。
【図1b】本発明の実施形態に従う、足の形状を読取るための機械的手段を備える足走査装置を示す。
【図2a】本発明の実施形態に従う、足の形状を読取るための光学的手段を備える足走査装置の動作原理を示す。
【図2b】本発明の実施形態に従う、足の形状を読取るための光学的手段を備える足走査装置の動作原理を示す。
【図3】本発明の実施形態に従う、加熱された中敷きまたは靴底を形成するためのピンマトリクス装置を示す。
【図4a】本発明の実施形態に従う、加熱された中敷きまたは靴底を形成するための二重ピンマトリクス装置を示す。
【図4b】本発明の実施形態に従う、加熱された中敷きまたは靴底を形成するための二重ピンマトリクス装置を示す。
【図4c】本発明の実施形態に従う、加熱された中敷きまたは靴底を形成するための二重ピンマトリクス装置を示す。
【図5】本発明の実施形態に従う中敷き製造装置のブロック図を示す。
【図6】本発明の実施形態に従う中敷きまたは靴底製造方法のフローチャートを示す。
【図7】本発明の実施形態に従う中敷きまたは靴底製造方法のフローチャートを示す。
【図8】本発明の実施形態に従って製造された中敷きまたは靴底を示す。
【図9】既製の中敷きまたは靴底における良好な支持を達成するために足を自然な位置で走査するための装置および配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を中敷きを製造するシステムとの関係おいて説明する。なお、しかしながら、本発明は、このようなシステムだけに限定されない。実際には、別の実施形態が、プレフォームからの特注製造が使用される環境に適用される。特に、靴の製造は、中敷きの製造と同様にして行われてもよい。また、別の種類の足支持履物が本発明の実施形態に従って製造されてもよく、本発明に従って作成された中敷きと同様の特性を有していてもよい。この考えにおいて、靴は、履かれるように意図される、ある種の履物または装置であるように理解され得る。
【0016】
図1aは、本発明の実施形態に従う、足の形状を読取るための光学的手段を備える足走査装置を示す。足走査装置は、たとえばポドスコープ120と、カメラシステム130と、コンピュータ(図示せず)とを含んでよい。ポドスコープとは、足と支持表面との相互作用を分析する装置と定義される。人がポドスコープの透明ガラス上に立つと、その人の足の画像がミラーを介して、手動操作で測定をする人に示され得る。足走査装置、たとえば上述のポドスコープはまた、光学スキャナ122、カメラ130、または光学的および/または電気的に人の足およびその位置(ならびに位置誤差)を撮像するための他の適切な装置などのデータ取得手段を含んでよい。人の足の撮像は、ガラス板の下方のスキャナ122またはカメラを用いて下部から行われてもよい。撮像は、上部からカメラ130を用いてなされてもよく、足底がミラーを用いて撮像されてもよい。この撮像から、足の寸法および形状が測定されてもよい。必要に応じて、装置が正確な測定を保証するために較正されてもよい。このような装置は、将来の利用およびアーカイブ目的のために、人に依存するデータを記憶することを可能にする。必要に応じて、足全体または足の一部に関する情報を記憶することができる。
【0017】
レーザ走査は、足走査のための代替の方法である。レーザ走査において、対象に対する距離の決定、すなわち走査は、飛行時間技術を用いて行われてもよく、ここで、距離は、レーザビームの対象までの往復の飛行時間を測定することによって測定される。足などの小さな物体に対して、位相または干渉検出、三角測量およびマルチカメラなどの他の技術が用いられてもよい。このような技術において、調光の位相が、対象の形状を測定するために用いられてもよく、かつ/またはレーザ送信器と反射レーザ光を検出するカメラとの間の角度が用いられてもよい。レーザに基づく足走査において、撮像解像度は、典型的には1mmのオーダである。0.5mmの解像度を有する3D画像を提供する立体撮像に基づく足底スキャナが用いられてもよい。
【0018】
図1bは、本発明の実施形態に従う、足の形状を読取るための機械的手段を備える足走査装置を示す。機械的足走査装置において、ピンマトリクス装置140が用いられてもよい。ピンマトリクス装置140において、規則的なマトリクス状または不規則なセッティングに配置される複数のピン142が、表面からの足110の距離を測定するために用いられる。ピン142は、ピンが足による圧力で柔らかくへこむようにばね負荷(図示せず)されてもよく、必要とされるときにピンを適所に係止して足の形状をピンマトリクスに保持するように係止機構(図示せず)を有してもよい。ピンマトリクスはまた、個々のピン位置を読取るためのセンサに接続され、または該センサを含んでもよく、これによって足形状のデジタル化を可能にして足の形状および寸法に関するデジタル情報を形成する。ピンマトリクスはまた、足表面が、各ピンが個々に作動されてその場所における表面の位置を測定するシリアル方式で走査されるように機能してもよい。必要に応じて、足全体または足の一部に関する情報を記憶することができ、これによってピンマトリクス全体またはピンマトリクスの一部だけが用いられてもよい。
【0019】
図2aおよび図2bは、本発明の実施形態に従う、足の形状を読取るための光学的手段を備える足走査装置の動作原理を示す。図1に関連して示されるように、足底表面210の形状は、部品および他の表面の寸法および形状の工業的測定に適している3D撮像技術で走査されてもよい。3D撮像は、調光または構造光での光源230による対象照明と、結果として生じる画像のカメラ220での記録とに基づく。走査方法において、表面に投影される正弦波縞模様の照明パターン240が用いられてもよい。縞模様画像は、デジタルスチールカメラおよび/またはビデオカメラで記録されてもよい。表面の3D輪郭は、カメラの視点から見える縞模様パターンの位相を変調する。これによって、黒242から白244に滑らかに変化する放出パターンは、より複雑な構造となる。この構造は、この変調によって生じる位相シフトを計算するために処理されてもよく、これによって、表面の3D形状250が測定可能である。光の変調が対象領域全体を証明するようにシフトされる多重走査が行われてもよい。精度を上昇させるために、異なる変調波長が用いられてもよい。結果として、図2bに輪郭255で示されるように、基平面からの物体の高さに関する情報が足底されてもよい。該方法は、必要に応じて、通常の白黒画像を生成してもよい。
【0020】
足走査システムは、以下の仕様を有していてもよい。足形状は、400mm×400mmのガラス板を通して、ガラス板の上面から0〜50mm、0.5mm、0.1mmまたは1.0mmの精度、もしくは0.01mm〜1cmのいずれかの精度で、測定可能である。両足が同時に走査されてもよく、または一度に一方の足だけが走査されてもよく、走査は、数秒、数十秒または数百秒、もしくは数秒よりも短い時間かかってもよい。フットスキャナからの測定情報は、PC、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、ネットワーク内のコンピュータ、メインフレームコンピュータまたは画像処理用の他のコンピュータなどのコンピュータに収集される。コンピュータは、操作者用のユーザインターフェースを備えてもよく、ユーザインターフェースは、視覚ベース、触覚ベースまたは音声ベースであってもよい。スキャナシステムは、足分析に必要とされ得る前後から、顧客の足から足首まで撮影してもよい。足に加えてまたは足の代わりに、既に存在している中敷き、靴または型が走査されてもよい。これは、足の走査よりも容易であり得、かつ/または走査された中敷き、靴または型が足走査のための基準または対照として用いることができる。
【0021】
図3は、本発明に従う加熱された中敷きまたは靴もしくは靴底を形成するためのピンマトリクス装置を示す。伝統的に、中敷きまたは靴底は、該中敷きまたは靴底、または該中敷きまたは靴底を製造するために用いられる型のいずれかのフライス加工によって作成されてきた。このような方法は、いくつかの加熱成形可能な材料に適していない。フライス加工によって一対の特注の中敷きを製造するのに、約10分〜60分もかかり、これは大量生産のためのこのようなシステムの使用を妨げ得る。本発明に従う実施形態において、ピンマトリクス310は、各ピン320を適切な位置に調整するように、足の形状および寸法に関する情報を用いて、足の形状を保持するように形成される。その後、熱成形可能な中敷きプレフォーム330が、製造ユニットの成形されたピンマトリクス上に配置される。最終的に、形成されたプレフォームは、空気を吹き付けたり、ピンまたは他の手段を通してプレフォームから熱を奪ったりすることによって、受動的にまたは積極的に冷却されてもよい。ピンマトリクスのピン間隔は、数ミリメートル、たとえば1mm、3mm、6mm、8〜12mmまたは10〜20mmであってもよく、ピンに応じたものであってもよい。より小さなピン間隔は、製造プロセスの精度を向上させて足への良好な適合を達成することができ、より大きなピン間隔は、プロセスをより速くし、製造中のより容易な操作を促進することができる。シリコーンのような適切な材料から成る支持シートが、製造中、ピンマトリクスと中敷きプレフォームとの間に用いられてもよい。このような支持シートは、ピンからプレフォーム上の圧力をより均一に分散させることができる。ピンは、六角形、正方形、円形、用途に適した、ボール先端形状または他の形状などの異なる形状を有してもよい。
【0022】
図4a、図4bおよび図4cは、本発明の実施形態に従う、加熱された中敷き、靴または靴底を形成するための二重ピンマトリクス装置を示す。自動中敷きまたは靴底製造システムは、ピンマトリクス410に基づき、該ピンマトリクスは、データベースから足の形状および寸法に関する情報を読込み、または該情報を装置で用いてピンマトリクスを形成することによって、人の足の形状に形成される。ピンマトリクスは、素早いセッティングおよびリセットのために、同時に解除または個別に解除することができるばね負荷自己係止ピン435から成っていてもよい。
【0023】
たとえば6自由度のアームロボットが、人の足表面の形状にマトリクスを成形するように用いられてもよい。最適化された制御ソフトウェアに組み合わされた適切なロボットおよび工具選択が、いくつかの複雑な工具運動とともにマトリクスを設定することを可能にし、これによって、ピンを個別に手で操作する必要性を取除くことができる。ロボットには、ローラヘッドなどのマトリクスを形成するための工具が備えられてもよく、ここで、ロボットはピンの列上を1列づつ転がることができる。ロボットは、プロセスを加速するために、異なる大きさのローラを有してもよい。なぜなら、ほぼ同じ高さで所望のピン位置を有するピンマトリクスの複数の領域があってもよいからである。ローリングは、段階的になされてもよく、ここで、要求される形状に近づけるように複数列における第1の大まかなスイープがまず行われ、次いで、別のステップが正確なピン高さになるように1列づつ行われる。
【0024】
図4bには、中敷きまたは靴底の製造のための二重ピンマトリクスが示され、ここで、図4aの下側ピンマトリクスは、下側ピンマトリクスのピンに少なくとも部分的にかつ実質的に対応するピン425を有する上側ピンマトリクス420で補完される。上側ピンマトリクス420は、ピンマトリクス410と同様に形成されてもよい。あるいは、ピンマトリクス420は、まずピンマトリクス410を形成し、適切な位置にピン415を係止し、他のピンマトリクス420を、形成され係止されるマトリクス410に押圧することによって形成することによって形成されてもよい。ピンマトリクスが形成される順番は、ピンマトリクス420がまず形成されるように、逆であってもよい。このプロセスにおいて、いわゆるポジティブおよびネガティブピンマトリクスが、相互に対応し、中敷きプレフォームが、図4cに示されるように、形成のためにピンマトリクス410,420間に位置付けられるように形成される。このような構成において、個々の対向するピン415,425は、ピンマトリクスにわたって変化するその位置のために、中敷きまたは靴底プレフォームに形状を与える。あるいは、二重ピンマトリクスの他方側は、足情報を用いてその形状を受けてもよいが、該他方側は予め定める形状の履物に従って成形されてもよい。これは、特に、靴底を製造する際に有益であり得る。
【0025】
少なくとも実質的に鏡像のポジティブおよびネガティブ型が、型間で加熱された中敷きブランクまたはプレフォームを押圧するために設置され使用されてもよい。冷却システムが、最終形状への熱成形可能な材料の素早い定置を可能にするシステムに一体化されてもよい。なお、スループット時間要求に応じて、同じロボットが多数の押圧ステーションを操作し、たとえば中敷きプレフォームをマトリクス上に配置し、押圧された中敷きを梱包するための製造ライン上で多数の作業を行ってもよい。自動押圧システムの仕様は、以下のとおりであってよい。ピンは6mm、3mm、1mm、または10mm以上間隔をあけてよく、サイズ48(EUR)以上またはそれ以下の中敷きがピンマトリクスに適合してもよい。各ピンの高さは、0.5mmの精度で調整可能であってもよい。ロボットでのマトリクスの設定時間は、10秒未満であってよく、特注中敷き、靴底または靴の製造時間は10秒未満であってよい。中敷きまたは靴底プレフォームは90〜100℃に加熱され、加圧温度は140〜150℃、圧力は約5バールであってよい。ピンマトリクスのピンは、ピンマトリクス上の異なる箇所で異なるピン密度となるように設けられてもよい。むしろ平坦(爪先領域など)である中敷きの部分に対しては、よりまばらなマトリクスが用いられてもよく、あまり平坦でない領域に対しては、より密集したマトリクスが用いられてもよい。
【0026】
単一のピンマトリクスは、重力および真空ベース製造システムを用いて加熱されたプレフォームに形をつけるために用いられてもよい。製造速度を上昇させるために、両面プレスが用いられてもよい。両面プレスでは、製造されるべき中敷きまたは靴底の片面まは両面に圧縮材料スラブが用いられてもよい。このようなスラブ用材料は、要求されるスループットに関して、適切に選択される必要がある。2つの対向するピンマトリクスを有する二重ピンマトリクスを用いるとき、これらのピンマトリクスは、たとえば同じピン数およびピン位置であってよく、ピンマトリクスのよりコスト効率のよい製造を保証する。
【0027】
形成された中敷きまたは靴底の冷却は、製造ユニットが設定されたスループット仕様を達成するように、加熱されたプレフォームを最終形状に十分に迅速に「固める」ために用いられてもよい。冷却空気をマトリクス/中敷きに吹き付けるなどの構成が使用可能であり、または液体による冷却やピンを介する熱伝導が使用可能である。他の冷却システムが、必要に応じて、型に実施されてもよい。
【0028】
中敷きまたは靴底プレフォームを形成するために必要な力は、相対的に小さく、加熱時に中敷きが柔軟であるので、たとえばマトリクス全体に対して、10または100Nあるいは数百Nのオーダであってもよい。ピンヘッドの形状は、丸くなっていてもよく、あるいは正方形または六角形などの他の形状を有してもよい。ピンヘッドは、ピンステムよりも大きな直径であってもよく、あるいはピンステムよりも小さな直径であってもよい。窪みを残すピンの中敷きへの影響を緩和するために、弾性材料から成るシート/膜がピンマトリクスの前面に用いられてもよい(たとえばシリコーンベース)。これらの種類の一体化材料が用いられる場合、追加のおよび/または代替の冷却装置が必要とされてもよい。
【0029】
図5は、本発明の実施形態に従う中敷き製造システムのブロック図を示す。上述のように、足の形状を測定するためのスキャナまたはリーダモジュール510がある。スキャナまたはリーダ510は、走査シーケンスを実施するためのコンピュータプログラムコード(ソフトウェア)を含んでよく、または走査シーケンスは外部から制御されてもよい。スキャナ510は、データ接続を経由してコンピュータ540に接続され、走査された足形状および寸法をコンピュータ540上のデータベースに記憶してもよい。コンピュータはローカルコンピュータであってもよく、またはネットワーク内のリモートコンピュータであってもよい。スキャナ/リーダおよび/またはコンピュータに関連してユーザインタフェースモジュール(図示せず)があってもよく、該ユーザインタフェースモジュールは、他の足分析ソフトウェアに統合されてもよい。また、足のサイズを測定し、その幅(狭い、中間、または広い)および回内角(アンダー、ニュートラル、またはオーバー)を分類する自動診断ツールがあってもよい。
【0030】
該システムにおいて、異なるサイズの温かい中敷きまたは靴底プレフォームの適切な供給を伴う加熱ステーション520があってもよい。加熱は、オーブン状の装置内で、または赤外線ランプもしくは他の適切な装置によってなされてよい。中敷きまたは靴底を形成するためのプレスおよびピンマトリクス530は、加熱ステーションに関連していてもよく、または別体であってもよい。プレス530はまた、プレス内で中敷きプレフォームを加熱する加熱ユニットを含んでもよい。
【0031】
図6は、本発明の実施形態に中敷きまたは靴底製造方法のフローチャートを示す。ステップ610では、足の形状および寸法に関する足情報が、たとえば上述のスキャナを用いて測定され、または以前に走査がなされたコンピュータのメモリにこの情報を形成することだけによってなされる。ステップ620では、上述のように、少なくとも部分的に該足情報に基づく、少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスが形成される。次いで、ステップ630では、中敷きまたは靴底プレフォームが、中敷きプレフォームを成形するために、少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクス上に配置される。最後に、ステップ640では、足情報に基づいて、中敷きプレフォームから形成される。同様のステップが靴底または靴全体を製造するために用いられてもよい。
【0032】
図7は、本発明の実施形態に従う中敷きまたは靴底製造のための方法のフローチャートを示す。ステップ710では、足の形状および寸法に関する足情報が、たとえば上述のスキャナを用いて測定されてもよい。次いで、ステップ720では、この情報が中敷きの製造を制御するために用いられるように、この情報をコンピュータのメモリに記憶されてもよい。足情報は、コンピュータにおいて、足情報のデータベースに電子的に記憶されてもよい。ステップ730では、足の形状および寸法に関する情報が、製造プロセスで使用するために検索されてもよい。この検索は、情報の形成後、直ちに行われてもよく、またはかなり後、たとえば人が新しい中敷きを必要とする別のときに行われてもよい。ステップ740では、少なくとも部分的に足情報に基づく少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスが、中敷きを作成するために形成されてもよい。ピンマトリクスは、たとえばピンマトリクスのピン上を転がるローラヘッドを有するようなロボットを用いて形成されてもよい。ステップ750では、少なくとも部分的に足情報に基づく少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスが形成され、ネガティブピンマトリクスはステップ740のポジティブピンマトリクスに実質的に対応する。これは、上述のようにピンマトリクスを別個に設定することによって、または第2のピンマトリクスを第1のピンマトリクスに対して押圧することによって第2のピンマトリクスを設定することによって達成可能である。ステップ760では、中敷きまたは靴底プレフォームは、少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスと少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスとの間に位置付けられ、ステップ770で押圧によって中敷きまたは靴底プレフォームを成形してもよい。プレフォームの位置は、たとえばロボットを用いて正確に設定されてもよい。同様のステップが靴底または靴全体を製造するために用いられてもよい。
【0033】
図8は、本発明の実施形態に従って製造された中敷きまたは靴底を示す。プレフォーム(ブランク)中敷きは、熱可塑性材料から成り、対象の人の足の少なくとも踵の下から足底弓の下まで延びる、少なくとも1つの層を有する。有利には、ともに接続された2つ、3つまたは4つの材料層が、快適さのためにプレフォーム中敷きに用いられる。プレフォーム中敷きの上部層810は足に抗して配置され、下部層840は、靴底に抗して配置される。これら2つの層の材料は、中敷きに使用される一般的な材料から選択可能である。たとえば、下部層は、担体としての不織ポリエステルと、押出しコアとしてのアイオノマ樹脂−エチル酢酸ビニル混合物と、接着剤としてのEVAホットメルトとを含むRheluflex(Rhenoflex GmbH Ltdの商標)などの既知の材料から構成されてもよい。
【0034】
中敷きの中間層830(3層の場合)は、熱可塑性材料から成る。使用される熱可塑性材料は、既知の熱可塑性材料の群から選択可能である。熱可塑性材料の重要な特性は、温度、いわゆるガラス転移温度であり、そこで熱可塑性材料は塑性になる一方で、中敷きを成形した後温度が下がると固体状に戻る。ガラス転移温度は、典型的には、ポリマの融点よりも低い。したがって、プレフォームを成形するための1つの良好な温度範囲は、ガラス転移温度と融点との間であってよい。熱可塑性材料が塑性になる可能性のある温度は、好ましくは、およそ95℃以下45℃以上である。有利には、この範囲は50℃〜85℃である。この温度は、150℃程度であってもよい。好ましい温度範囲内で塑性になるまたは塑性である適切な材料は、たとえば熱可塑性ポリエステルA−PET(非晶質ポリエステルテレフタレート)およびPETG(コポリエステルである、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、または実質的に同様の特性を有するものである。また、たとえばABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)などが用いられてもよい。第1の中間層830に加えて、他の中間層820、または3以上の中間層があってもよい。
【0035】
熱可塑性層の厚みは、該層が硬質状態にあるとき、顧客の足に合理的な支持を提供するように選択可能である。たとえば足底弓領域(薄い)よりも爪先領域(厚い)の下でより柔軟性が求められる場合、厚みは該層を通して変化してもよい。熱可塑性材料に対して要求される他の特性は、融点下で硬質であるということを必要とする。暖められたとき、材料は柔軟になり、したがって一様な特性(たとえば一様な押圧力)を有する型が用いられてもよく、またはたとえば変化する厚みを達成するために一様でない特性を有する型が用いられてもよい。
【0036】
図8aに示される実施形態を参照すると、熱可塑性材料から成る中間層830は、中敷きの全領域を横方向に覆ってもよい。代替の実施形態では、該層830は、中敷きの一部だけを横方向に覆う。この場合、熱可塑性材料は、縦方向に少なくとも踵の下から足底弓の下まで延び、横方向に、有利には、中敷きの幅のほぼ全体に延びている必要がある。1つの実現可能な実施として、熱可塑性層は、踵の下から足の中足指節関節まで延びて、横足弓を支持するように設計される。また、中敷きが横足弓を最適な位置に持ち上げるように成形されるとき、プレカットパッドが横足弓の下に配置されてもよい。しかしながら、中敷きが靴内に配置されるときに微調整が必要とされる場合、硬質の熱可塑性材料なしで中敷きの縁である範囲を保持することが有利である。また、中敷きの爪先領域はウォーキングまたはランニング中の足の自然な動きを可能にするために硬質の熱可塑性材料がないままであってもよい。図8に示されるような中敷きを製造する構成要素は、靴または靴底を製造するためにも用いられてもよい。
【0037】
本発明に従って製造された中敷きまたは靴は、現在の「特注」中敷きまたは靴よりも人の足へのより良い適合を示すことができる。なぜなら、現在の中敷きまたは靴は、しばしば足に完全にカスタマイズされておらず、既存のカタログから最も合うものとして選択されているからである。本発明に従う中敷きまたは靴は、マニュアルの説明のように、爪先を上に向けた位置で足を走査することによって、可能性のある回内の問題を矯正するように成形されていてもよい。これによって、人がその足の形状に実質的に完全にカスタマイズされた矯正用中敷きを得ることを可能にする。中敷きまたは靴には、ピンマトリクスを用いた製造方法による意図的なまたは意図しない痕が現れてもよい。
【0038】
上述の技術は靴または靴底を製造するために用いられてもよいことに注目する必要がある。足は、中敷きを製造するのと同様にして走査されてもよく、靴または靴底を作成するための製造方法および装置は、中敷きを作成するための方法および装置と実質的に同様であってもよい。
【0039】
図9は、既製の中敷きまたは履物における良好な支持を達成するために足を自然な位置で走査するための装置および配置を示す。足930の裏を走査するためのフットスキャナ910は、ウェッジ920を含んでよい。ウェッジ920は、たとえばウェッジが爪先932の下に正しく位置付けられるように、フットスキャナに取付けられるレールに沿って移動可能であってもよい。爪先932の下にウェッジ920を位置付けることは、爪先を上に傾斜させ、いわゆるウインドラス効果を生じさせることができる。ウインドラス効果は、足自体の生物力学を用いて、踵骨(踵)、内側足弓および足全体を正しい位置に案内することを可能にし得る。第一中足指節関節(足親指)の背屈は、足底腱膜を引張り、第一中指骨頭と踵骨との間の距離を短くしてもよい。したがって、足の自然な機構(ウインドラス効果)は、中敷きまたは履物を形成するために足を正しい位置で走査するために用いられてもよい。
【0040】
本発明に従う実施形態において、有利には、靴底は、靴底材料の上に位置する、または一体化、たとえば内部に埋め込まれる熱可塑性層を含む少なくともツーピース構造である。熱可塑性層を除く1以上の靴底層は、たとえばEVA(エチル酢酸ビニル)または他の従来技術の材料を含んでもよく、たとえば上述のEVAは、異なる硬度で利用可能である。2以上の層がある場合、熱可塑性層は靴底全体よりも横方向に小さくすることができる。熱可塑性層が、中敷きと同様に、足の少なくとも踵の下から足底弓の下まで延びることが最も重要である。熱可塑性材料は、中敷きと同様に選択可能である。靴底の少なくとも外表面は、耐摩耗性および良好な摩擦特性を有する材料から成ることが有利である。随意に、たとえば、感熱性であってもよい、粘弾性発泡体または他の材料が靴の内部に使用可能であり、これによって、単なる中敷きに加えて、靴内部を再成形し、さらなる快適性/支持を提供する。本実施形態によれば、足および足首の骨構造をしっかりと支持する、非常に快適な個人用の靴を保証することができる。このことは、人が、たとえば糖尿病またはリウマチに罹患している場合に重要であり、靴は足に摩擦または異常な圧力を生じさせない。
【0041】
本発明の様々な実施形態が、メモリ内にあり関連する装置に本発明を実行させるコンピュータプログラムコードを用いて実施可能である。たとえば製造装置および走査装置は、データを取扱い、受信し送信するための回路および電子部品と、メモリ内のコンピュータプログラムコードと、コンピュータプログラムコードを実行しているときに、該装置に本実施形態の特徴を実行させる処理装置とを含んでよい。さらに、リモートコンピュータは、データを取扱い、受信し送信するための回路および電子部品と、メモリ内のコンピュータプログラムコードと、コンピュータプログラムコードを実行しているときに、リモートコンピュータに本実施形態の特徴を実行させる処理装置とを含んでよい。
【0042】
本発明は、上述の実施形態だけに限定されず、添付の特許請求の範囲内で修正可能であることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置において中敷きを製造するための方法であって、
足の形状および寸法に関する足情報を測定し、
前記足情報に基づいて中敷きプレフォームから中敷きを形成することを含む方法において、
少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスを形成し、
中敷きプレフォームを成形するために、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクス上に、中敷きプレフォームを位置付けることをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスを形成することをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスを形成することをさらに含み、該少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスは前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスに実質的に対応することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
中敷きプレフォームを成形するために、中敷きプレフォームを、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスと前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスとの間に位置付けることをさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記足情報を足情報のデータベースを電子的に記憶し、
中敷きを成形するために、前記足情報を、前記足情報のデータベースから電子的に検索することをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記足情報を走査システムを用いて測定することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスのピン上を転がるローラヘッドを有するロボットを用いて、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスを形成することをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
中敷きプレフォームに形をつけるように構成される第1のピンマトリクスを含むことを特徴とする中敷きを製造するための装置。
【請求項9】
前記第1のピンマトリクスに実質的に対応する第2のピンマトリクスをさらに含み、該第2のピンマトリクスは中敷きプレフォームに形をつけるように構成され、
前記第1のピンマトリクスと前記第2のピンマトリクスとの間で中敷きを押圧することによって、中敷きプレフォームに形をつけるように構成されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
足の形状に関する情報を形成または受信するためのモジュールと、前記足の形状に関する情報に従って、前記第1のピンマトリクスおよび第2のピンマトリクスの少なくとも一方を、前記第1のピンマトリクスおよび第2のピンマトリクスの少なくとも一方のピンを動かすことによって前記中敷きプレフォームに形をつけるように構成するためのモジュールとをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも前記第1のピンマトリクスは、前記ピンマトリクスのピンを動かして該ピンを適切な位置に固定することによって、前記足の形状に関する情報に従う形状を形成するように構成されることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第2のピンマトリクスは、前記第2のピンマトリクスが前記第1のピンマトリクスに対して押圧されているとき、前記第1のピンマトリクスの形状に適応するように構成されることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のピンマトリクスおよび第2のピンマトリクスの一方はポジティブピンマトリクスであり、前記第1のピンマトリクスおよび第2のピンマトリクスの他方はネガティブピンマトリクスであることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
足の形状に関する情報を記憶するメモリと、前記メモリ内の前記足の形状に関する情報に従って前記第1のピンマトリクスを適合させるための処理装置とをさらに含むことを特徴とする、請求項8〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
該装置に、前記足の形状に関する情報が中敷きプレフォームに形をつけるために検索可能であるデータベースに、足の形状に関する情報を記憶させるコンピュータプログラムコードをさらに含むことを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
足の形状に関する情報を測定するためのスキャナをさらに含むことを特徴とする、請求項8〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
処理装置と、コンピュータプログラムコードを含むメモリとを含むシステムであって、前記メモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
足の形状および寸法に関する足情報を測定させ、
前記足情報に基づいて、中敷きプレフォームから中敷きを形成させ、
少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスを形成させ、
中敷きプレフォームを成形するために、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクス上に中敷きプレフォームを位置づけさせるように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項18】
前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスを形成させるコンピュータプログラムコードをさらに含むことを特徴とする、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスを形成させるコンピュータプログラムコードをさらに含み、
前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスは、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスに実質的に対応することを特徴とする、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
中敷きプレフォームを成形するために、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスと前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスとの間に中敷きプレフォームを位置づけさせるコンピュータプログラムコードをさらに含むことを特徴とする、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
前記足情報を、足情報のデータベースに電子的に記憶させ、
前記中敷きを成形するために、足情報のデータベースから前記足情報を電子的に検索させるコンピュータプログラムコードをさらに含むことを特徴とする、請求項17〜20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
走査システムを用いて前記足情報を測定させるコンピュータプログラムコードをさらに含むことを特徴とする、請求項17〜21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスのピン上を転がるローラヘッドを有するロボットを用いて、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスを形成させるコンピュータプログラムコードをさらに含むことを特徴とする、請求項17〜22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法によって製造された中敷き。
【請求項25】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法によって製造された中敷きを含む靴。
【請求項26】
装置で靴または靴底を製造するための方法であって、
足の形状および寸法に関する足情報を測定し、
前記足情報に基づいて靴底プレフォームから靴または靴底を形成することを含む方法において、
少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスを形成し、
靴底プレフォームを成形するために、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクス上に、靴底プレフォームを位置付けることをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスを形成することをさらに含むことを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスを形成することをさらに含み、該少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスは前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスに実質的に対応することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
靴底プレフォームを成形するために、靴底プレフォームを、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスと前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスとの間に位置付けることをさらに含むことを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記足情報を足情報のデータベースを電子的に記憶し、
靴底を成形するために、前記足情報を、前記足情報のデータベースから電子的に検索することをさらに含むことを特徴とする、請求項26〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記足情報を走査システムを用いて測定することを特徴とする、請求項26〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスのピン上を転がるローラヘッドを有するロボットを用いて、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスを形成することをさらに含むことを特徴とする、請求項26〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
靴底プレフォームに形をつけるように構成される第1のピンマトリクスを含むことを特徴とする中敷きを製造するための装置。
【請求項34】
前記第1のピンマトリクスに実質的に対応する第2のピンマトリクスをさらに含み、該第2のピンマトリクスは靴底プレフォームに形をつけるように構成され、
前記第1のピンマトリクスと前記第2のピンマトリクスとの間で靴底を押圧することによって、靴底プレフォームに形をつけるように構成されることを特徴とする、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
足の形状に関する情報を形成または受信するためのモジュールと、前記足の形状に関する情報に従って、前記第1のピンマトリクスおよび第2のピンマトリクスの少なくとも一方を、前記第1のピンマトリクスおよび第2のピンマトリクスの少なくとも一方のピンを動かすことによって前記靴底プレフォームに形をつけるように構成するためのモジュールとをさらに含むことを特徴とする、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
少なくとも前記第1のピンマトリクスは、前記ピンマトリクスのピンを動かして該ピンを適切な位置に固定することによって、前記足の形状に関する情報に従う形状を形成するように構成されることを特徴とする、請求項25に記載の装置。
【請求項37】
前記第2のピンマトリクスは、前記第2のピンマトリクスが前記第1のピンマトリクスに対して押圧されているとき、前記第1のピンマトリクスの形状に適応するように構成されることを特徴とする、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記第1のピンマトリクスおよび第2のピンマトリクスの一方はポジティブピンマトリクスであり、前記第1のピンマトリクスおよび第2のピンマトリクスの他方はネガティブピンマトリクスであることを特徴とする、請求項34〜37のいずれか1項に記載の装置。
【請求項39】
足の形状に関する情報を記憶するメモリと、前記メモリ内の前記足の形状に関する情報に従って前記第1のピンマトリクスを適合させるための処理装置とをさらに含むことを特徴とする、請求項33〜38のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
該装置に、前記足の形状に関する情報が靴底プレフォームに形をつけるために検索可能であるデータベースに、足の形状に関する情報を記憶させるコンピュータプログラムコードをさらに含むことを特徴とする、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
足の形状に関する情報を測定するためのスキャナをさらに含むことを特徴とする、請求項33〜40のいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
処理装置と、コンピュータプログラムコードを含むメモリとを含むシステムであって、前記メモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
足の形状および寸法に関する足情報を測定させ、
前記足情報に基づいて、靴底プレフォームから靴底を形成させ、
少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスを形成させ、
靴底プレフォームを成形するために、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクス上に靴底プレフォームを位置づけさせるように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項43】
前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスを形成させるコンピュータプログラムコードをさらに含むことを特徴とする、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
少なくとも部分的に前記足情報に基づいて、少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスを形成させるコンピュータプログラムコードをさらに含み、
前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスは、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスに実質的に対応することを特徴とする、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
靴底プレフォームを成形するために、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なポジティブピンマトリクスと前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なネガティブピンマトリクスとの間に靴底プレフォームを位置づけさせるコンピュータプログラムコードをさらに含むことを特徴とする、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
前記足情報を、足情報のデータベースに電子的に記憶させ、
前記靴底を成形するために、足情報のデータベースから前記足情報を電子的に検索させるコンピュータプログラムコードをさらに含むことを特徴とする、請求項42〜45のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項47】
前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
走査システムを用いて前記足情報を測定させるコンピュータプログラムコードをさらに含むことを特徴とする、請求項42〜46のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項48】
前記処理装置によって、該システムに、少なくとも、
前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスのピン上を転がるローラヘッドを有するロボットを用いて、前記少なくとも1つの、少なくとも部分的なピンマトリクスを形成させるコンピュータプログラムコードをさらに含むことを特徴とする、請求項42〜47のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項49】
請求項26〜32のいずれか1項に記載の方法を用いて製造された靴。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【公表番号】特表2013−509927(P2013−509927A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537427(P2012−537427)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050890
【国際公開番号】WO2011/054999
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(509014412)
【氏名又は名称原語表記】Footbalance System Oy
【Fターム(参考)】