説明

中敷

【課題】革靴、運動靴などに使用して脚力を増強するに好適な中敷に関し、中敷全体が重みを増すので、歩行に伴って脚力に適度な刺激が伝わり、単なる歩行、走行で脚力トレーニングをすることができ、サラリーマンや中高年者の健康維持に最適な中敷を提供する。
【解決手段】液体シリコン樹脂にアルミナ粉体を混入してなる合成樹脂エラストマーシート1Aの表裏面に不織布2または合成樹脂製フィルム3を熱圧着して足型に打ち抜いたことを特徴とする中敷。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、革靴、運動靴などに使用して脚力を増強するに好適な中敷に関し、中敷全体が重みを増すので、歩行に伴って脚力に適度な刺激が伝わり、単なる歩行で脚力トレーニングをすることができ、サラリーマンや中高年者の健康維持に最適な中敷を提供せんとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来の脚力を鍛える中敷は、底地と表地との間の空隙間に多数の金属片が移動自在に施設されたことを特徴とする中敷は特開平8−275806がある。
【0003】
また、ゴム若しくはプラスチックなどの可撓性素材に金属鉛の粉体を混在させて形成したことを特徴とする脚力増強用中敷は、実開昭62−134405がある。
【0004】
さらにまた強靭なシートと多数の重量部材とを接合または密接し、足形を形成した中敷は、特開平8−238107がある。
【0005】
前記のごとく通勤、通学、運動競技やリクリエーションなどのときに使用される革靴、運動靴、カジュアル靴などの履物には、履き心地をよくし、歩行の衝撃を和らげるようにする目的から中敷に金属片を多数施設することによって中敷全体の重みをまし、歩行、競技に伴い脚力をトレーニングする中敷が使用されている。
【0006】
これらの中敷は、底地と表地との間の空隙間に多数の金属片が移動自在に施設されたことを特徴とする構造のもの、強靭なシートと多数の重量部材とを接合または密接し、足形を形成した構成のもの、合成樹脂に鉛粒状の重金属を混入したものなど、種々の中敷が提案され、そして市販されている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−275806、図1、図2、第2頁第13行乃至第17行参照。
【特許文献2】実開昭62−134405、図1乃至4、第2頁第11乃至第13行参照。
【特許文献3】特開平8−238107、図1、第3頁第23乃至第25行参照。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来から歩行と運動競技で脚力をアップする目的の中敷は多数存在する。
例えば、特開平8−275806(特許文献1)の中敷は、底地と表地との間の空隙間に多数の金属片が移動自在に施設されたことを特徴とする中敷であるが、この中敷は、中敷空隙間の多数の金属片が移動すると上方からの大きな加重あるいは瞬間的な大きな圧力により中敷は屈曲、戻りに追従できず金属片が相互に移動してある部分では凹んだり膨らんだりし中敷としての使用ができなくなり、無理に使用すると足を痛めてしまう恐れがある。
【0009】
実開昭62−134405(特許文献2)の中敷は、ゴム若しくはプラスチックなどの可撓性素材に金属鉛の粉体を混在させて形成したことを特徴とする脚力増強用中敷であるが、鉛などの可撓性を有する重金属を用いる場合、繰り返しの曲がり戻りによってその金属鉛が金属疲労破壊して最終的には粒粉状に分離してしまうことがあり、しかも金属破壊は、体重そのものによる加重やジャンプの加重など上方からの大きな繰り返し加重によっても発生し、これに曲がり、戻りが加わって双方が影響しあって金属破壊を起こす恐れがある。そのため中敷自体が破損してしまうことがある。
【0010】
特開平8−238107の中敷は(特許文献3)の中敷は、強靭なシートと多数の重量部材とを接合または密接し、足形を形成した構成で、歩行、走行運動あるいは競技練習に着用すると体重そのものの加重などによって上方あるいは左右に瞬間的に大きな圧力がかかり屈曲、戻りに十分対応することができない。
【0011】
これらの従来技術には何れも中敷にかかる上方からの加重あるいは瞬間的な大きな圧力による中敷の屈曲・戻りには不十分であること、またこれらのものは中敷自身を靴の中に入れると足に馴染まない違和感を受けるものであった。
【0012】
中敷はその使用目的から薄くて中敷が靴内で屈曲の妨げにならないで、しかも重量化されていることが必要で、しかも歩行中この中敷が脚部に負担がかかる必要がある。
【0013】
一方、人間の衰えは脚部の筋力の衰えから始まると言われているので、通常の歩行中に多少なりとも運動不足を補うことができるような中敷が必要となる。
そのためには脚部にとって履物が多少の負荷となることが必要である。
しかし従来の中敷は脚部への負担をかけるために金属鉛の粉粒体の金属重り、あるいは金属片を挿入した中敷は違和感があり中敷が靴内で屈曲し難く、履き心地の悪いものであった。
【0014】
そこで、この発明ではこのような従来の問題を解決したものであって、中敷の屈曲・戻りを妨げないで多少の負荷と歩行時に足腰を鍛えることができる中敷を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載した本件発明に係る中敷は、液体シリコン樹脂に粒径が45〜70ミクロンのアルミナ粉を混入してなる合成樹脂エラストマーシートの表裏面に不織布または合成樹脂製フィルムを熱圧着して足型に打ち抜いたことを特徴とする。
請求項2に記載した本件発明の中敷は、シリコン樹脂エラストマーシートの前底部及び踵部に貫通穴を有する足型に打ち抜き、前記各貫通穴内に液体シリコン樹脂に粒径45〜70ミクロンのアルミナ粉体を混入してなる合成樹脂エラストマーシートを挿着して、該エラストマーシートの表裏面に不織布または合成樹脂製フィルムを熱圧着したことを特徴とする。
請求項3に記載した本件発明に係る中敷は、請求項1乃至2の合成樹脂エラストマーシートまたはシリコン樹脂エラストマーシートの表裏両面及び側周面を不織布または合成樹脂製フィルムで被覆してなることを特徴とする。
請求項4に記載した本件発明は、合成樹脂エラストマーシートの配合割合を重量比が液体シリコン樹脂25%と粉体の粒径が45〜70ミクロンのアルミナ粉体75%からなる請求項1、2または3記載の中敷である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、中敷自身を液体シリコン樹脂とアルミナ粉体である合成樹脂エラストマーシートから構成されているので、中敷の厚さを調整することにより中敷の重さを変更でき、靴内で中敷の屈曲・戻りに対応することができ、中敷使用者の運動量、使用用途に応じた中敷が提供でき、足に負担を持たせて筋肉向上させ、しかも中敷は屈曲性を有し、履き心地は従来の中敷と変わらず、素材が液体シリコン樹脂と粒径が45〜70ミクロンのアルミナ粉体の合成樹脂エラストマーシートであり、不織布または合成樹脂製フィルムで表裏面を熱圧着されているので適度なクッション性と滑り止め効果を有し足に馴染みやすい。
また、必要に応じてこの中敷の厚さを3ミリ乃至5ミリ程度に厚くして重量を上げることも可能である。
さらに、合成樹脂エラストマーシートの中敷の表裏面及び側周面を不織布あるいは合成樹脂製フィルムで被覆することもできる。
また、本件発明の中敷を従来の中敷の下あるいは上に敷いて使用することもでき、運動競技などで中敷に重量を必要とするときは、中敷のシリコン樹脂自体がクッション性と滑り止め効果を有するので、複数枚を重ねて使用することも可能で中敷が靴内でずれることがない。
【0017】
本件発明の場合、合成樹脂の中でも液体シリコン樹脂に約同量の粒径45〜70ミクロンのアルミナ粉体を混入してもクッション性、屈曲性を失うことがなく、従来のゴムと金属鉛の粉粒体を混錬し板状に圧延整形したものは金属破壊などを起こす欠点があった。
また可撓性を有する重金属を中敷に挿入したものは歩行時の足の動作変形に追従すべき柔軟性がないとの欠点があるのに対し、本件発明の中敷は、繰り返し屈曲・戻りによって金属破壊することがない。そのためは着心地が良好でしかも耐久性のある中敷である。
従来の中敷の下あるいは上に本発明の中敷を重ねて使用することもできる。
また、中敷が液体シリコン樹脂と粒径45〜70ミクロンのアルミナ粉体からなる合成樹脂エラストマーシートは硬度デュロメーターA60程度が好ましく、伸縮疲労性に強く、柔らかいので履くと足裏にフィットし靴を脱ぐと元に戻り、この中敷を使用すると足裏面の温度が低くなり足裏の発汗量は少なくなり特に夏場の足が蒸れる事が抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本件発明に係る中敷の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
<第1実施形態>
図1の(1)(2)に示すごとく液体シリコン樹脂に粒径45〜70ミクロンのアルミナ粉体を混入してなる合成樹脂エラストマーシート1Aの表裏面に不織布2または合成樹脂製フィルム3を熱圧着して足型に打ち抜いたことを特徴とする中敷である。
【0020】
前記第1実施形態の合成樹脂エラストマーシート1Aは重量比が液体シリコン樹脂25%と粒径45〜70のアルミナ粉体75%を混入してエラストマーシートは硬度デュロメーターA60程度からなり、シートの厚さは約2ミリ程度であり、容積比は、液体シリコン樹脂40%、粒径45〜70のアルミナ粉末60%、中敷1足(中敷左右足)の25cmサイズもので重量も約180グラム程度である。
通常の中敷は25cmサイズのもので重量が1足で25グラム程度であるから通常の中敷で約3.2倍の重さとなる。
また、本発明の中敷を従来の中敷の上又は下に敷いて使用することも可能であり、さらに運動競技などで中敷に重量を必要とするときは複数枚を重ねて使用することも可能である。
【0021】
<第2実施形態>
本発明における第2実施形態は、図2に示すごとくシリコン樹脂エラストマーシート1Bの前底部分4及び踵部分5に貫通穴6を有する足型に打ち抜き、その後前記各貫通穴6内に液体シリコン樹脂に粒径45〜70ミクロンのアルミナ粉体を混入してなる合成樹脂エラストマーシート打ち抜き片1Cを挿着して、足型全体の表裏面に不織布2または合成樹脂製フィルム3を熱圧着したことを特徴とする中敷である。
【0022】
第2実施形態の中敷は前記のような構成で、中敷の重量はシリコン樹脂エラストマーシートの部分だけ軽くなるが、中敷自体の厚さを厚くすれば前底部分4及び踵部分5に形成した貫通穴6の大きさに応じた液体シリコン樹脂に粒径45〜70のアルミナ粉体を混入してなる合成樹脂エラストマーシート打抜片1Cを挿着して、足型全体の表裏面を不織布2または合成樹脂製フィルム3を熱圧着して一体の中敷にすれば、第1実施態様と同様、伸縮疲労性に強く、柔らかいので履くと足裏にフィットし、靴を脱ぐと中敷は元の形状に戻り、本件発明の中敷を使用すると熱伝導性のよさによる足裏面の温度が低くなり足裏の発汗量は少なくなり足が蒸れる事が抑えられる。
【0023】
<第3実施形態>
本発明における第3実施形態は前記第1実施形態の合成樹脂エラストマーシート1A、第2実施形態のシリコン樹脂エラストマーシート1Bと、液体シリコン樹脂に粒径45〜70のアルミナ粉体を混入してなる合成樹脂エラストマーシート打抜片1Cを挿着したシートからなる各シートの表裏面及びシートの側周面をも不織布または合成樹脂製フィルムで熱圧着しカバーしたことを特徴とする請求項1または2記載の中敷。
【0024】
重量比が液体シリコン樹脂25%で粒径45〜70ミクロンのアルミナ粉体75%である合成樹脂エラストマーシート1Aからなる中敷、及び前記合成樹脂エラストマーシート1Aの打抜片1Cをシリコン樹脂エラストマー1Bの貫通穴6に挿着してこれらのエラストマーシートの表裏面及び側周面を不織布または合成樹脂製フィルムで被覆しあるいは中敷の周囲の不織布又は合成樹脂製フィルムのみを縫着又は熱圧着した中敷でもよい。
【0025】
図1の中敷の一部切欠説明図に示すように、液体シリコン樹脂と粒径45〜70ミクロンのアルミナ粉体からなる合成樹脂エラストマーシート1A又は図2のシリコン樹脂エラストマーシート1Bの表面と裏面は不織布あるいはウレタンフィルムの何れかでもよく、あるいは表面が不織布、裏面がウレタンフィルムでもよく、またその逆でもよい。
【0026】
また中敷は足裏の接する表面、靴底と接する裏面は平面形状をなす通気性、保温性やクッション性に富んだ不織布、ウレタンフィルムなどの材質のものが使用される。
本実施態様では所定の厚み約0.2〜0.5mm位を有する不織布、ウレタンフィルムが使用される。
中敷の表面、裏面は通気性、保温性やクッション性に富んだ材質のものが好ましく、本実施態様では表面に不織布2とし、裏面にウレタンフィルム3を、表面、裏面共不織布あるいは表面裏面共ウレタンフィルムとし、その厚さも前記と同様に0.2〜0.5mm位の厚みを有するものが使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(1)は本発明の第1実施態様における中敷の一部切欠平面図、(2)は中敷の底面図である。
【図2】本発明の第2実施態様における中敷の構成分解斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1、中敷本体
1A、液体シリコン樹脂とアルミナ粉末を混合した合成樹脂エラストマーシート
1B、シリコン樹脂エラストマーシート
1C、液体シリコン樹脂とアルミナ粉末を混合した合成樹脂エラストマーシートの打ち抜き片
2、不織布
3、合成樹脂製フィルム
4、前底部分
5、踵部分
6、貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体シリコン樹脂にアルミナ粉体を混入してなる合成樹脂エラストマーシートの表裏面に不織布または合成樹脂製フィルムを熱圧着して足型に打ち抜いたことを特徴とする中敷。
【請求項2】
シリコン樹脂エラストマーシートの前底部及び踵部に貫通穴を有する足型に打ち抜き、前記各貫通穴内に液体シリコン樹脂にアルミナ粉体を混入してなる合成樹脂エラストマーシートの打抜片を挿着して、前記エラストマーシートの表裏面に不織布または合成樹脂製フィルムを熱圧着したことを特徴とする中敷。
【請求項3】
合成樹脂エラストマーシートの表裏面及び側周面を不織布または合成樹脂製フィルムで被覆してなることを特徴とする請求項1または2記載の中敷。
【請求項4】
重量比が液体シリコン樹脂25%とアルミナ粉体75%である合成樹脂エラストマーシートは硬度デュロメーターA60程度からなる請求項1、2または3記載の中敷。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−291444(P2009−291444A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148718(P2008−148718)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【Fターム(参考)】