説明

中水タンク用ボールタップ自動給水栓

【課題】
本発明では上水の給水口と中水が交わる事無く、タンク水深を十分確保し、水位低下時には確実に給水し、水位上昇時に確実に止水出来、メンテナンスの要らない中水タンクにおいて使用可能なボールタップ式自動給水栓を提供する。
【課題を解決するための手段】
本発明は図1に示す様にボールタップ自動給水栓のシリンダー部と浮き玉を繋ぐ連結バーを長くし、垂直に垂らしボールタップ手前で図1,図3の方向に曲げる。この曲げにより水位上昇時、浮き玉に図3の12に示す方向の浮力が働き自動給水部のシリンダー弁が持ち上がり確実に止水する。曲げる位置は出来るだけ浮き玉に近い方が連結バーの長さに対し大きな水深を得る事が出来き効率がよい。また、より縦長のタンクにも対応が可能となる。曲げる角度は図3の弁シリンダー部のあそびにもよるが5度以上90度以下が角度適当である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中水タンク(貯水槽)へ給水を行うボールタップ自動給水栓に関するものでる。
【背景技術】
【0002】
中水タンク(貯水槽)の水量が一定レベルまで低下した際の給水方法としては電極で水量低下を感知し、リレーを経て電磁弁により上水の開閉を行ったり、ポンプを作動させ給水を行うものが一般的であった。
【0003】
トイレ用のボールタップ自動給水栓を用いてこの様な上水供給を行う方法も考えられたが、上水の汚染防止のため、上水の出口と中水の間に空気の層が無ければならない事により、タンクの水量を確保する為には図2の様な長い連結バーを持ったボールタップ自動給水栓に変えることが考えられた。
【0004】
しかし、実際、図2の様なボールタップ自動給水栓を使用する場合、水量を確保する為、連結バーおよびその先の浮き玉を水面に対し出来るだけ垂直に垂らす必要があるが実際、この様にした場合、水位上昇時に浮き玉が図2、矢印bで示す様に給水の方向にも動き満水にも係わらず給水を継続するリスクが発生した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に中水タンクからポンプ等を用いて中水利用を行う場合、水量が一定レベル以下になった時点で上水を供給し、ポンプの空回りを防止する仕組みが求められる。この場合、電極棒をタンク内に挿入し、水位の低下を電気抵抗で感知し、リレーを経由して電磁弁の開閉で上水を給水する方法がある。しかし、中水に雨水、浴槽水だけでなく、洗濯排水、便器洗浄水など多様な排水を用いた場合、電極棒上に汚濁物質が付着・堆積し誤作動を起こす可能性が指摘された。
【0006】
また、図2の様にボールタップ自動給水栓の連結バーを長く取った場合、浮き玉は図2の矢印b方向に動き水位が上昇しても止水しないという事態が起こることが判明した。
【0007】
本発明では給水口と中水が交わる事無く、タンク水量を確保し、水位低下時には確実に給水し、水位上昇時に確実に止水するだけでなく、長期間に渡りメンテナンスの要らない中水タンクにおいて使用可能なボールタップ式自動給水栓の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は図1に示す様にボールタップ自動給水栓のシリンダー部と浮き玉を繋ぐ連結バーを長くし、斜め下方向ではなくほぼ真下に垂らすのであるが、連結バーの長さは止水と給水がポンプ給水口4より上の水位で、オーバーフロー以下の任意なものとなるが、オーバーフローと止水の間隔が長ければ長いほど大量の中水を貯留出来ることになる。自動給水栓部1は当然、オーバーフローより高い位置に来る。
【0009】
この位置で図1,図3に示す様に連結バーを浮き玉との結合部より上でシリンダーが持ち上がり止水される方向に先が曲がった連結バー3を用いる。この僅かな曲げにより水位上昇時、浮き玉に働く浮力の一部が曲げた方向へ向かい確実に止水する事が出来る。逆にこの曲がりが無い場合、まっすぐ下に垂らした浮き玉は50%の確率でシリンダー弁を下げ、水位に関係なく放水し続ける。
【0010】
曲げる位置は出来るだけ浮き玉に近い方が連結バーの長さに対し大きな水深を採ることが出来きる。また、より縦長のタンクにも対応が可能となる。
【0011】
曲げる角度は図3の弁シリンダー部のあそびにもよるが5度以上90度以下が角度適当である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のボールタップ自動給水栓の連結バーに僅かな改良を加えるだけで機能面で安定した中水タンク用ボールタップ自動給水栓を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は市販のボールタップ自動給水栓を改良することにより実施した。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例に係わる図2,および図1に基づいて説明する。上水の出口である自動給水栓部1を中水タンクの上蓋に取り付ける。図2に於いてはまっすぐな連結バー7が取り付けてある。この場合、タンクが空な状態から給水により水位が上昇していくと浮き玉移動方向は左右両方の何れの方向へも移動する。仮に図面の右方向bに移動した場合、図3の自動給水部の構造により、シリンダー弁8が持ち上がらず給水し続ける事になる事が実験により判明した。この状態はオーバーフロー管6から水が流れ出した後も継続される。
この問題を解決するため、図1、図3の様に先が曲がった連結バー2を用いる。曲げる方向は図3の自動給水栓部における左方向である(図1に於いても自動給水栓部の方向は図3と同じである)。空の状態では浮き玉と連結バーの重量により、接合部11を経由してプレート10が下がりこれと連結したシリンダー弁9も下がり上水の供給が開始される。水位上昇と共に浮き玉は浮力により上昇するが連結バーが曲がっているため左に動きながら上昇し、プレート板10を押し上げシリンダー弁9が上昇し止水する。8はプレート板の支点である。12は連結バーが図面左方向に曲がっている場合の水位上昇により浮き玉に働く浮力の合力方向を表す。
【0015】
本発明は市販のボールタップ自動給水栓の2点を改良することにより容易に可能となる。一つは連結バーがほぼ真下に来るように新たな接合部11を設ける。二つ目は水深に応じ先の曲がった連結バー3を導入することである。水位調整は前述したとおりである。
【0016】
本発明の原理は中水用貯留槽にとどまらず、お互い交わってはいけない液体A,Bがある場合に於いて液体Aの最低量を確保しつつ、液体Bを液体Aの最低量を超えて供給し、液体Aの出口とは交わらない液体管理システムに利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は一般家庭だけでなく、広範囲な建造物における雨水や家庭排水等をトイレの洗浄水に利用する中水管理システムに用いる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のである曲げた連結バーの中水タンクにおける使用状況を示す概念図である。
【図2】先のまっすぐな連結バーの中水タンクにおける浮玉の動きの1部を示した概念図である。
【図3】水位上昇時に浮力が浮玉を経由し、シリンダー弁を閉じる仕組みを示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1 自動給水栓部
2 先が曲がった連結バー
3 浮玉
4 ポンプの吸水口
5 ポンプ
6 オーバーフロー
7 まっすぐな連結バー
8 プレート板の支点
9 シリンダー弁
10 プレート板
11 接合部
12 合力方向
a 水位上昇時の浮玉移動方向(止水方向)
b 水位上昇時の浮玉移動方向(給水方向)







【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールタップ自動給水栓と浮き玉をつなぐ連結バーを図1の様に垂直に配置し、この連結バーを浮玉手前で図1の矢印方向や図3(シリンダー弁が持ち上がり止水する方向)に曲げることを特徴とするボールタップ式自動給水栓。














































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−299758(P2009−299758A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153902(P2008−153902)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(507282288)
【Fターム(参考)】