説明

中温熱溶解式冷凍熱機関蒸発濃縮装置

【課題】溶解式冷凍装置において、スラリーの閉塞や使用燃料による地球環境破壊問題を解決した、太陽熱やゴミ焼却排熱などの再生利用エネルギーや未利用エネルギーを熱源として100℃以下の中温熱を利用する、溶解熱を利用した中温熱低温冷凍装置を提供する。
【解決手段】中温熱を再生工程におけるエネルギー源として採用したこと。エゼクターの吸引力を利用して減圧蒸発方式を採用した。一方エゼクターの駆動蒸気の圧力を高く保つためと前記再生工程における蒸発熱を中温熱による加熱を行うことを採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶質が溶媒に溶解するときの溶解熱を利用した、溶解式冷凍装置に関するものである。より詳細には、太陽熱、ごみ焼却廃熱、地熱、並びに工場排熱などの一つまたは2つ以上の熱源から得られる100℃以下の中温熱を用いる中温熱溶解式冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍を行うための技術は電気動力や化石燃料の消費による高温熱源を利用するものが一般的であった。電気方式の場合には火力発電所からのばい煙や二酸化炭素の発生に加えて、冷媒として用いられるクロロフルオロカーボンなどが地球温暖化やオゾン層に悪影響があるとされ、地球環境保護の立場から今後の利用は困難な状況にある。また、従来用いられていたアンモニアも毒性が強く危険なものとして工場などの特別な場合を除いて今後の利用が困難な状況である。
【0003】
化石燃料消費による100℃以上の高温熱源により冷凍を行う方式として臭化リチウムを利用する吸収式冷凍機が一般的である。ばい煙や二酸化炭素の排出による環境破壊に加え、吸収式冷凍機から発生する冷熱の温度は5〜7℃と高く用途が限定され、さらに機械を常時高真空下に保つ必要があり維持管理においても問題がある。
【0004】
一方、前記従来技術の問題を解決するために前記高温熱を利用する方式の一つとして、溶質が溶媒に溶解するときの負の溶解熱を利用した溶解式冷凍装置として、例えば特許文献1や特許文献2に示す装置として提案されている。
溶解式冷凍装置によれば、臭化リチウムを利用する吸収式冷凍機よりも低温の冷熱が得られることが主な改良点である。
【0005】
しかしながら前記従来方式の溶解式冷凍装置においては、飽和溶液と未溶解の前記溶質から成るスラリーの安定的な輸送が確保されなければならない。また、異常停止時には、前記スラリー中の溶質の沈積や前記飽和溶液の冷却にともなう溶質の再析出による流路の閉塞が発生し問題となることがある。
【0006】
また、前記従来方式の溶解式冷凍装置においても一般的には化石燃料の燃焼熱による200℃以上の高温熱が必要とされ、化石燃料の消費に伴う環境破壊が発生するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平1−26462号公報
【特許文献2】特開2005−326130号公報
【特許文献3】特許第3890475号公報
【特許文献4】特許第4276184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上に述べたように、従来方式の溶解式冷凍装置の実用化を阻害している主な問題点は、化石燃料の消費に伴う環境破壊の問題点と、従来方式の溶解式冷凍装置内各工程間の前記溶質と溶液から成るスラリーの安定的な輸送の確保と異常停止時に発生する溶質結晶の再析出による流路空間の閉塞問題である。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決した地球環境を破壊しない中温熱の利用によるより低温の冷熱を安定的に発生させることに加えて、前記課題の解決のために導入した新たな仕組みが持つ副次的な機能を他の機能と組み合わせ用いることにより、
【0010】
さらに中温熱の利用拡大が図れる、中温熱の持つ熱エネルギーを機械エネルギーや電気エネルギーに変換する中温熱機関、並びに中温熱と前記より低温の冷熱を組み合わせ利用する真空蒸発方式蒸発濃縮機能を併せ備えた中温熱溶解式低温冷凍中温熱機関蒸発濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明の中温熱溶解式低温冷凍装置は、溶解により吸熱現象を示す溶質と溶媒の組み合わせにおいて前記溶質を予め貯留する溶質貯槽を2個以上の複数個設け、各溶質貯槽に予め定めた量の前記溶媒を順次注入するための溶媒注入手段と、前記各溶媒貯槽内で溶質の溶解に伴い発生する冷熱を順次取り出すための冷熱取出手段と、各溶質貯槽内の前記溶解により生成した溶液と未溶解の溶質から成るスラリーを中温熱で順次加熱し溶媒を蒸発乾燥させるための溶質貯槽加熱手段と、前記蒸発乾燥を助長するために加熱により発生した溶媒蒸気を吸引除去するためのエゼクターと、前記溶媒と親和性が低く且つ揮発性の高い単一または2成分以上の物質から成るエゼクター駆動蒸気の供給手段と、前記エゼクター吐出口下流部において前記エゼクター駆動蒸気と親和性が高く前記溶媒とは親和性が低く且つ前記エゼクター駆動蒸気を吸収する単一または2成分以上の物質から成る液状の吸収媒体と前記エゼクター駆動蒸気とを混合接触させて前記エゼクター駆動蒸気を前記吸収媒体に吸収せしめるための混合吸収器と、前記混合吸収器において生成する前記エゼクター駆動蒸気と前記吸収媒体から成る循環作動流体と前記エゼクターにより吸引した前記溶媒蒸気の混合流体を受け入れて密度差により前記混合流体中の循環作動流体と溶媒を分離するための溶媒分離手段と、前記溶媒分離手段において分離されたもう一方の循環作動流体を中温熱により加熱蒸発させて得られる高圧の蒸気をエゼクター駆動蒸気として再びエゼクターに向けて圧送するエゼクター駆動蒸気加熱再生手段と、前記エゼクター駆動蒸気加熱再生手段から液体のまま還流する前記作動流体中の高沸点成分を主成分とする流体を冷却し吸収媒体として再生するための吸収媒体冷却再生手段と、前記溶媒分離手段において分離された循環作動流体を前記エゼクター駆動蒸気加熱再生手段に圧送するための圧送手段と、各溶質貯槽において順次発生した冷熱の一部または全部を用いて各溶質貯槽に順次注入する溶媒を予め冷却することにより各溶質貯槽内で発生する冷熱の温度を低下させるための注入溶媒予冷手段と、前記各手段や構成機器を連携させて順次動作させるための制御装置を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は請求項1に記載の中温熱溶解式低温冷凍装置において、前記中温熱溶解式低温冷凍装置を構成する流路空間であって通常作動時において最高圧力下にある流路空間部分を占めるエゼクター駆動蒸気の一部または全部を、前記中温熱溶解式低温冷凍装置を構成する流路空間であって通常作動時において最低圧力下にある流路空間部分に当該圧力差を用いて直接流動せしめ当該流動蒸気の持つ運動エネルギーをタービンを介して機械エネルギーに変換利用し、さらに発電機を介して電気エネルギーへ変換利用するための中温熱機関を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は請求項1,2に記載の中温熱溶解式低温冷凍装置において、前記各中温熱溶解式低温冷凍装置において発生する低温冷熱を真空発生用冷熱源とし中温熱を被蒸発濃縮液体の加熱源としてそれぞれ用いる真空蒸発方式蒸発濃縮装置を備えたことを特徴とする。
【0014】
なお、請求項1乃至請求項3において「中温熱」とは最終使用場所における温度として100℃以下の温熱であって、高温ほど利用が容易である。
また、その熱源は、太陽熱、地熱、ごみ焼却廃熱、工場排熱などの再生利用可能エネルギーまたは未利用エネルギーの一つまたは2つ以上の熱源から得るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に係る発明によれば、同一の溶質貯槽内において溶解工程、予熱行程、再生工程、予冷行程が順次行われるために、前記溶質の移動、輸送を行う必要がない。従って異常停止時などにおいて結晶の析出による流路閉塞などの問題は起きない。
【0016】
また、溶質を再結晶させる再生工程で流動性を確保する必要はなく、限界まで乾燥させることができるため蓄熱損失が最小となり溶解熱を効率よく取り出し利用できる。
【0017】
また、エゼクターに吸引されて溶質貯槽内の溶媒蒸気が排出されるため通常沸点より低い温度で溶媒を素早く蒸発させることができるために100℃以下の中温熱が利用できる。
このために従来方式のように化石燃料を消費する必要がなく環境破壊の問題が生じない
【0018】
また、前記エゼクター駆動蒸気をエゼクター吐出口直後に配置する混合吸収器において吸収媒体に吸収除去させるためエゼクターの吐出口側の圧力を低く保つことができるためにエゼクターの吸引能力を高くたもてる。これにより溶質貯槽内での溶媒蒸気の蒸発を助長促進できる。
【0019】
また、溶質貯槽を複数個配置することにより溶解工程、予熱行程、再生工程、予冷行程が順次行われる間の冷熱取出しの待ち時間を短縮することができる。
【0020】
また、発生する冷熱を利用して溶質貯槽に供給される溶媒を予め冷却することにより順次発生冷熱の温度を低下させることができる。これをさらに繰り返すことによりさらに発生冷熱の温度を低下させて最終的に取り出す冷熱の温度を従来の溶解式冷凍機より低く保つことが出きる。
【0021】
本発明の請求項2に係る発明における中温熱機関の機能により中温熱が持つ熱エネルギーを機械エネルギーや電気エネルギーに変換する。前者はポンプや送風機や石臼や攪拌機や、工場における工作機械や製造機械などを直接駆動させて使える。後者は本発明の関係設備における制御装置の電源や安全のための照明や安全装置の電源として利用でき、余剰の電気を外部に供給することができる。などにより環境破壊のない中温熱の利用拡大が図れる。
【0022】
本発明の請求項3に係る発明における中温熱溶解式低温冷凍蒸発濃縮装置の機能により地球環境を破壊しない中温熱を主たるエネルギー源とする果汁や砂糖黍のしぼり汁の濃縮が行える。また工場や業務用施設から排出される各種廃液の濃縮減量化が行える。また海水や汚濁河川水や汚濁湖沼水から蒸発方式による淡水製造が行える。その廃液をさらに濃縮減量化して後工程である廃液処理や製塩や化学工場に能率よく輸送することができるものである。
【0023】
本発明の請求項4に係る発明における中温熱溶解式低温冷凍熱機関蒸発濃縮装置により離島などにおいて、太陽熱から海水淡水化による飲料水の製造に利用できる。濃厚海水の製造が併せ出きる。中温熱機関からの電力供給と石臼などを動かす機械力が取り出せる。また溶解式低温冷凍装置からの冷熱による冷房、冷凍、製氷などの冷熱源供給が併せ行えるものである。その装置を動かすのは太陽熱や地熱などの再生可能エネルギーとごみ焼却熱の排熱等の未利用エネルギーから得られる中温熱であり地球環境を破壊することはない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の請求項1に係る実施形態に関する中温熱溶解式低温冷凍装置の構成図である。
【図2】本発明の請求項2に係る実施形態に関する中温熱溶解式低温冷凍熱機関装置の構成図である。
【図3】本発明の請求項3に係る実施形態に関する中温熱溶解式低温冷凍蒸発濃縮装置の構成図である。
【図4】本発明の請求項4に係る実施形態に関する中温熱溶解式低温冷凍熱機関蒸発濃縮装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図4を参照して、本発明の実施形態に係る中温熱溶解式低温冷凍熱機関蒸発濃縮装置について説明する。図4は本発明の実施形態に係る中温熱溶解式低温冷凍熱機関蒸発濃縮装置を示す構成図である。
【0026】
なお、本実施形態においては、一例として溶媒を水、溶質をチオシアン酸カリウムとして、またエゼクター駆動蒸気の主成分としてnブタン、吸収媒体の主成分としてnペンタンをそれぞれ用いる。なお、前記nブタンとnペンタンには物性への影響が軽微な範囲において少量の異性体等や同類の物質が含まれていてもよい。
利用可能な中温熱の温度レベルが低い場合には、前記nブタンの代わりにより沸点の低いプロパンなどの炭化水素を使ってもよい。その時の吸収液はヘキサン等のペンタンよりも沸点の低い炭化水素を使ってもよい。
また、利用する中温熱は太陽熱集熱器により得られる太陽熱とする。
ごみ焼却廃熱などの未利用エネルギーを合わせ使ってもよい。
また、溶質貯槽の設置数は4個とする。
溶質貯留槽の数が多いいほど取り出して利用する冷熱の出力値が安定する。
4基以上が望まし。
【0027】
また、形状が類似して同一の機能や使用目的のものと判断し易い、例えば遠隔開閉弁221や逆流防止弁242などは、仕組みの理解において支障がないと思われる場合にその番号の記入を一部省略する。また、4個の溶質貯槽周辺の管路についても前記と同様の理由でその番号の記入を一部省略する。
図1,2,3は結果的に図4の部分図であり、各部構成要素の番号は一部省略するが、より詳細には図4に準ずるものである。
【0028】
本実施形態に係る中温熱溶解式低温冷凍熱機関蒸発濃縮装置は、主として、溶媒吸引再分配機能部と、冷熱製造取出し機能部と、蒸発濃縮機能部と、中温熱機関機能部の4機能部と付帯機器、設備及び連絡配管から構成されている。
【0029】
より詳細には、溶媒吸引再分配機能部は、エゼクター駆動蒸気加熱再生装置110と、エゼクター120と、ジェット混合器130と溶媒分離装置140と、吸収媒体冷却再生装置150と、エゼクター駆動蒸気を設定する圧力以上の時にだけエゼクター120、に送る間欠噴射弁機構160と、溶媒分離装置140から取り出された循環作動媒体をエゼクター駆動蒸気加熱再生装置110に圧送するための蒸気圧駆動ポンプ170と、配管外壁にフィンを配置した内部流体の大気熱による冷却を目的とする放熱器181,182と、エゼクター駆動蒸気加熱再生装置110の上端部に設けられた気液分離器114内の圧力を設定維持するための圧力調整弁161と、気液分離器114内の非凝縮気体を放散させるための放散管111と、安全弁112と、内部熱交換器113と、気液分離器114内の気液界面の下限を設定するためのブタンやペンタンなどの油分に浮くフロート閉止栓116を利用した気液界面下限設定装置115と、循環作動媒体と溶媒を整流して比重差により上下2層に分離させるための多孔整流版群144と、溶媒分離装置140に上部と下部でそれぞれ連続して配置され内部には水に沈む閉止栓142と水に浮くが前記油分には沈むフロート143が連結鎖141により結ばれて配置されている溶媒定量排出装置145から構成されている。
【0030】
また、冷熱製造取出し機能部において、溶媒定量排出装置145から送出された溶媒は、管路231を経由して溶媒予冷槽232内に一時貯留され、前記蒸発濃縮機能部の蒸留水受け器501から送られてくる低温の蒸留水と熱交換して冷却された後に溶媒供給管寄せ333を経由し遠隔開閉弁225、管路234を順次経由して溶媒貯槽212に注入される。他の溶媒貯槽もこれと同様にそれぞれの遠隔開閉弁の動作に従って順次注入される。
ここで、溶媒予冷槽232における溶媒の予冷の冷熱源として冷熱取出し用熱交換機601から取り出した冷熱を用いてもよい。
【0031】
前記注入された溶媒は、溶質貯槽212内に予め蓄えられている溶質を溶解し冷熱を発生させた後に、温熱媒体供給管寄せ335と管路236と遠隔開閉弁262と凝縮水一時貯留槽302と管路237と温熱媒体戻り管寄せ336を順次経由し循環する温熱媒体加熱用太陽熱集熱器240により加熱された熱媒体により加熱され蒸発し、溶媒蒸気管路252,253と溶媒蒸気戻り管寄せ334と溶媒蒸気管路254を経由してエゼクター120の吸入口に流入する。これに伴い溶解貯槽212は乾燥することとなる。溶媒蒸気管路は、保温処理をしてもよい。他の溶質貯槽においてもこれと同様である。
【0032】
各溶質貯槽への溶媒の注入のタイミングは当該各溶媒貯槽へ溶媒を注入する管路に取り付けた一例では遠隔開閉栓225の動作により制御されるものであり、設定した時間間隔をもって順次行うものである。
前記溶質貯槽加熱用温熱媒体循環管路内には揮発性の熱媒体が、また溶質貯槽内で発生した冷熱を取り出すための循環管路内には揮発性の冷熱媒体がそれぞれ設定された高さの気液界面をなして、封入してある。
冷熱製造取出し機能部は以上のように構成されている。
【0033】
蒸発濃縮機能部は、主として、冷熱取出し用熱交換器602から取り出した冷熱媒体を冷熱源する真空発生用冷却器701と、太陽熱集熱器705からの温熱で加熱した被蒸発濃縮液体散布装置703と、被蒸発濃縮液体から発生する蒸気の上昇管702と、非凝縮性気体の抽気装置707と、濃縮液体中の固形分を分離するための分離装置704とから構成されている。
被蒸発濃縮液体は、充填物を利用した流下方式でもよい。装置や配管は、保温施工を行うものである。
【0034】
中温熱機関機能部は、気液分離器114内の圧力とエゼクター120の吸引口受け入れ容器121内圧力差を利用してエゼクター駆動蒸気の一部または全部によりタービン804を回転させて機械エネルギーを取り出し、さらに発電機802を介して電気エネルギーを取り出すためのエネルギー変換取り出し装置を構成するものである。
バッテリー803などの蓄電手段を介して電気供給の安定化を図ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、その利用において環境破壊のない再生可能エネルギーや未利用エネルギーを熱源とする100℃以下の中温熱により、冷房、冷蔵、製氷、等の冷凍を行うための冷熱を製造するものである。合わせて当該冷熱と中温熱とを組み合わせて真空蒸発方式による蒸発と濃縮を行うものである。
果汁や砂糖黍のしぼり汁の濃縮、各種食品や医薬品の製造過程における蒸発濃縮工程に、その他産業製品の製造過程における蒸発、濃縮工程での利用。また、民生用、業務用、産業用施設からの各種廃液の濃縮減量化や機能の用途は広いと考えます。
さらに、海水や塩水湖、汚濁河川水、汚濁湖沼水からの蒸発方式による淡水や飲料水の製造に有効なものと考える。
また本発明の構成機能の一部を利用して中温熱の持つ熱エネルギーを機械エネルギーに変換し、さらに発電機を介して電気エネルギーに変換するものです。
これらの各機能と前記エネルギーは産業上日常的に必要とされているものであり、例えば、機械エネルギーは変速機や動力伝達装置を介してポンプや送風や石臼や攪拌機や搬送コンベヤーの直接的な駆動に、電気エネルギーは停電対策としてバッテリーを介して各種安全装置の電源や照明用電源、消火設備などの電源として利用が期待される。
離島対策や、災害時の移動支援設備としても有効と考えます。
中温熱利用が環境保護に役立つことと合わせて各方面からの採用、利用が図られるものと考える。
【符号の説明】
【0036】
110 エゼクター駆動蒸気加熱再生装置
111 放散管
112 安全弁
113 内部熱交換器
114 気液分離器
115 気液界面下限設定装置
116 フロート閉止弁
117 作動媒体注入口
120 エゼクター
121 エゼクター吸引受け入れ容器
130 ジェット混合器
140 溶媒分離装置
144 多孔整流板群
145 溶媒定量排出装置
150 吸収媒体冷却再生装置
160 間欠噴射弁機構
161 162 圧力調整弁
170 蒸気圧駆動ポンプ
181 182 放熱器
211 212 213 214 溶媒貯槽
252 253 254602 溶媒蒸気管路
333 溶媒供給管寄せ
334 溶媒蒸気戻り管寄せ
335 温熱媒体供給管寄せ
336 温熱媒体戻り管寄せ
240 温熱媒体加熱用太陽熱集熱器
301 302 303 304 凝縮水一時貯留槽
501 蒸留水受け器
601 602 冷熱取出し用熱交換器
701 真空発生用冷却器
702 蒸気上昇管
703 被蒸発濃縮液体散布装置
703 濃縮液体受け器
704 濃縮液体中の浮遊物や沈積物の分離装置
705 被蒸発濃縮液体の加熱用太陽熱集熱器
706 被蒸発濃縮液体の前処理装置
707 非凝縮性気体の抽気装置
708 被蒸発濃縮液体の注入口
801 直接駆動ポンプ機構
802 発電機
803 バッテリー
804 タービン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解により吸熱現象を示す溶質と溶媒の組み合わせにおいて前記溶質を予め貯留する溶質貯槽11を2個以上の複数個設け、各溶質貯槽に予め定めた量の前記溶媒を順次注入するための溶媒注入手段21と、前記各溶媒貯槽内で溶質の溶解に伴い発生する冷熱を(冷熱媒体封入循環管路41及びまたは冷熱取出し用熱交換器51を介して)順次取り出すための冷熱取出手段31と、各溶質貯槽内の前記溶解により生成した溶液と未溶解の溶質から成るスラリーを中温熱で順次加熱し溶媒を蒸発乾燥させるための溶質貯槽加熱手段71と、前記蒸発乾燥を助長するために加熱により発生した溶媒蒸気を吸引除去するためのエゼクター81と、前記溶媒と親和性が低く且つ揮発性の高い単一または2成分以上の物質から成るエゼクター駆動蒸気の供給手段と、前記エゼクター吐出口下流部において前記エゼクター駆動蒸気と親和性が高く前記溶媒とは親和性が低く且つ前記エゼクター駆動蒸気を吸収する単一または2成分以上の物質から成る液状の吸収媒体と前記エゼクター駆動蒸気とを混合接触させて前記エゼクター駆動蒸気を前記吸収媒体に吸収せしめるための混合吸収器と、前記混合吸収器において生成する前記エゼクター駆動蒸気と前記吸収媒体から成る循環作動流体と前記エゼクターにより吸引した前記溶媒蒸気の混合流体を受け入れて密度差により前記混合流体中の循環作動流体と溶媒を分離するための溶媒分離手段と、前記溶媒分離手段において分離されたもう一方の循環作動流体を中温熱により加熱蒸発させて得られる高圧の蒸気をエゼクター駆動蒸気として再びエゼクターに向けて圧送するエゼクター駆動蒸気加熱再生手段と、前記エゼクター駆動蒸気加熱再生手段から液体のまま還流する前記作動流体中の高沸点成分を主成分とする流体を冷却し吸収媒体として再生するための吸収媒体冷却再生手段と、前記溶媒分離手段において分離された循環作動流体を前記エゼクター駆動蒸気加熱再生手段に圧送するための圧送手段と、各溶質貯槽において順次発生した冷熱の一部または全部を用いて各溶質貯槽に順次注入する溶媒を予め冷却することにより各溶質貯槽内で発生する冷熱の温度を低下させるための注入溶媒予冷手段と、前記各手段や構成機器を連携させて順次動作させるための制御装置を備えたことを特徴とする中温熱溶解式低温冷凍装置
【請求項2】
請求項1に記載の中温熱溶解式低温冷凍装置において、前記中温熱溶解式低温冷凍装置を構成する流路空間であって通常作動時において最高圧力下にある流路空間部分を占めるエゼクター駆動蒸気の一部または全部を、前記中温熱溶解式低温冷凍装置を構成する流路空間であって通常作動時において最低圧力下にある流路空間部分に当該圧力差を用いて直接流動せしめ当該流動蒸気の持つ運動エネルギーをタービンを介して機械エネルギーに変換利用し、さらに発電機を介して電気エネルギーへ変換利用するための中温熱機関を備えたことを特徴とする中温熱溶解式低温冷凍熱機関装置
【請求項3】
請求項1に記載の中温熱溶解式低温冷凍装置において、前記中温熱溶解式低温冷凍装置において発生する低温冷熱を真空発生用冷熱源としまた中温熱を被蒸発濃縮液体の加熱源としてそれぞれ用いる真空蒸発方式蒸発濃縮装置を備えたことを特徴とする中温熱溶解式低温冷凍蒸発濃縮装置
【請求項4】
請求項2に記載の中温熱溶解式低温冷凍熱機関装置において前記中温熱溶解式低温冷凍熱機関装置において発生する低温冷熱を真空発生用冷熱源としまた中温熱を被蒸発濃縮液体の加熱源としてそれぞれ用いる真空蒸発方式蒸発濃縮装置を備えたことを特徴とする中温熱溶解式低温冷凍熱機関蒸発濃縮装置





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−266091(P2010−266091A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115777(P2009−115777)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(306030334)