説明

中空コア共振フィルタのためのシステムおよび方法

【課題】中空コア共振フィルタのためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】1つの実施形態では、中空コアファイバ共振空胴は、第1の端部および第2の端部を有する中空コアファイバと、各々中実コアファイバ材料の第1のピグテイルファイバおよび第2のピグテイルファイバとを含む。第1のピグテイルの先端部は、第1のピグテイルからの光を第1の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバに結合させるように第1の端部に光学的に位置合わせされる。第2のピグテイルの先端部は、第2のピグテイルからの光を第2の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバに結合させるように第2の端部に光学的に位置合わせされる。第2のピグテイルの先端部は、第2の端部から受け取った光を反射して第2の自由空間間隙を横切らせて第2の端部に戻すように被覆される。第1のピグテイルの先端部は、第1の端部から受け取った光を反射して第1の自由空間間隙を横切らせて第1の端部に戻すように被覆される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空コア共振フィルタのためのシステムおよび方法に関する。
政府の権利
[0001]本発明は、DARPAによって与えられたHR0011−08−C−0019の下で政府の援助によりなされた。政府は本発明に一定の権利を有することができる。
【背景技術】
【0002】
[0002]共振光ファイバジャイロ(RFOG)からの回転速度信号の精度は、少なくとも部分的にジャイロ共振空胴(ジャイロ共振キャビティ)中の光の品質の関数である。RFOGで使用される典型的なレーザ光源からの光は狭い帯域幅を有し、位相ノイズおよび強度ノイズの両方を含む。光がRFOG共振空胴に入る前に、光から位相を取り除くことは有利である。位相ノイズを除去する1つの方法は、中実コア(ソリッドコア)単一モードファイバのセグメントの両端に高反射光学被覆を付けることによって共振空胴を形成することである。ファイバの長さおよび被覆の透過率は、設計の帯域幅にわたりレーザ出力から位相ノイズを除去し、RFOG速度信号中のランダム強度ノイズ(RIN)を低減するように選ぶことができる。この技法は十分に機能するが、ジャイロ速度感度を向上させるには、レーザによってもたらされる強度を増加させることによってジャイロ信号の強度を増加させることが有利である。共振フィルタ中で循環する光はフィルタの入力または出力よりもはるかに強いので、共振フィルタ中の循環強度は、中実コア共振フィルタを構成するガラス中に誘発ブリユアン散乱(SBS)を生成するのに必要なだけの十分な大きさに容易になりうる。SBSは、非常に短い時間間隔にわたって10GHz以上だけ光周波数を不規則に変化させ、それが共振フィルタ出力を損ない、位相ノイズの所望の除去を妨げる。約99%の空気と1%のガラスとのハニカムフォトニック構造を包む固体ガラス円筒を含む中空コアファイバは、空気充満コアで光のほとんどすべてを搬送する。空気は中実コアファイバよりも非常に高いSBS閾値を有し、ハニカムフォトニック構造は高パワー共振フィルタで使用するのに十分適する。しかし、中空コアファイバの端面にわたる連続した表面がないために、有効な高反射光学被覆を中空コアファイバのファイバ端部に付けることができない。ファイバ先端部、レンズ、およびエタロンを複雑に構成して、中空コア共振フィルタを生成することができる。しかし、ファイバ先端部、レンズ、およびエタロンごとの3個の自由度のために、共振フィルタは、使用可能な共振フィルタを得るのに24個の自由度を最適化することが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]上述の理由で、および本明細書を読み、理解する際に当業者には明らかになる後述の他の理由で、中空コアファイバ共振フィルタのためのシステムおよび方法が当技術分野では必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本発明の実施形態は中空コアファイバ共振フィルタの方法およびシステムを提供し、以下の明細書を読み、研究することによって理解されるはずである。
[0005]中空コア共振フィルタのためのシステムおよび方法が提供される。1つの実施形態では、中空コアファイバ共振空胴は、第1の端部および第2の端部を有する中空コアファイバと、中実コアファイバ材料の第1のピグテイルファイバと、中実コアファイバ材料の第2のピグテイルファイバとを含む。第1のピグテイルファイバのファイバ先端部は、第1のピグテイルファイバからの光を第1の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバに結合させるように中空コアファイバの第1の端部に光学的に位置合わせされる。第2のピグテイルファイバのファイバ先端部は、第2のピグテイルファイバからの光を第2の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバに結合させるように中空コアファイバの第2の端部に光学的に位置合わせされる。第2のピグテイルファイバのファイバ先端部は、中空コアファイバの第2の端部から受け取った光を反射して第2の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバの第2の端部に戻すように被覆される。さらに、第1の中実コアファイバのファイバ先端部は、中空コアファイバの第1の端部から受け取った光を反射して第1の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバの第1の端部に戻すように被覆される。
【0005】
[0006]好ましい実施形態の説明および以下の図に照らして考えると、本発明の実施形態はより容易に理解することができ、本発明のさらなる利点および使用が明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】[0007]本発明の1つの実施形態の中空コアファイバ共振空胴のブロック図である。
【図2A】[0008]モードフィールド半径を示すグラフである。
【図2B】中実コアファイバのSBS閾値を示すグラフである。
【図3A】[0009]本発明の1つの実施形態のファイバ位置合わせベンチを示す図である。
【図3B】本発明の1つの実施形態のファイバ位置合わせベンチを示す図である。
【図3C】本発明の1つの実施形態のファイバ位置合わせベンチを示す図である。
【図3D】本発明の1つの実施形態のファイバ位置合わせベンチを示す図である。
【図3E】本発明の1つの実施形態のファイバ位置合わせベンチを示す図である。
【図4】[0010]本発明の1つの実施形態の共振光ファイバジャイロスコープを示す図である。
【図5】[0011]本発明の1つの実施形態の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0012]慣例に従って、様々な記載のフィーチャは正しい縮尺で描かれておらず、本発明に関連するフィーチャを強調するように描かれている。参照文字は図および本文の全体を通して同様な要素を示す。
【0008】
[0013]以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、本発明を実施することができる特定の例示的な実施形態のために示される添付図面が参照される。実施形態は当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に説明され、他の実施形態を利用することができること、および本発明の範囲から逸脱することなく論理的、機械的、および電気的改変を行うことができることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味でとらえられるべきではない。
【0009】
[0014]本発明の実施形態は中空コアファイバ共振空胴を可能にし、空胴のミラー化部分は、共振空胴を形成するファイバから切り離されている。代わりに、反射表面(すなわち、所望の透過および反射特性を有するミラー)が中実コアファイバの入力ファイバ先端部および出力ファイバ先端部に置かれ、それはある長さの中空コアファイバ中に光を供給および反射する。これにより、ミラー化被覆を受け入れないはずの中空コアファイバを使用してファイバ共振空胴を形成することができる。アセンブリには、4つの光学要素の位置合わせ、すなわち、各々が1つの自由度±zしかもたないファイバ先端部の位置合わせしか必要としない。本発明の実施形態は、さらに、ミラー化中実コアファイバを中空コアファイバに光学的に結合および位置合わせするためのシリコンファイバ位置合わせベンチをもたらす。
【0010】
[0015]図1は、本発明の1つの実施形態の中空コアファイバ共振空胴装置を100で全体的に示す図である。中空コアファイバ共振空胴100は、入力端部120および出力端部122を有する長さlの中空コアファイバ110を含む。1つの実施形態では、中空コアファイバ110はPZT115に巻きつけられる。中空コアファイバ共振空胴100は第1のピグテイルファイバ130および第2のピグテイルファイバ132をさら含み、それらは共にある長さの中実コアファイバ材料を有する。1つの実施形態では、入力ファイバ130および出力ファイバ132は共にある長さの偏波保持(PM)ファイバである。入力ファイバ130および出力ファイバ132の中実コアファイバ先端部(131および133で示される)は、それぞれ中空コアファイバ110の入力端部120および出力端部122に隣接して位置合わせされる。ファイバ先端部131および133の面は各々低透過率被覆(140および142で示される)で被覆される。すなわち、被覆140および142はミラーとして有効に機能する。この構成により、中空コアファイバ110は、被覆された中実コアファイバ先端部131および133と共に、中実コアピグテイルファイバ130および131の入力先端部および出力先端部の高反射被覆間の中空コアファイバ110に由来する共振空胴を形成する。
【0011】
[0016]動作中の1つの実施形態では、(例えば、レーザダイオードなどの光源からの)光170は、第1のピグテイルファイバ130から中空コアファイバ共振空胴100に入り、低透過率被覆140を透過して中空コアファイバ110に入る。低透過率被覆142において、受け取った光のわずかな割合のみが第2のピグテイルファイバ132を通って出ていく。光の残りは、低透過率被覆142によって反射されて中空コアファイバ110に戻る。反射された光が低透過率被覆140に達した後、光のわずかな割合のみが第1のピグテイルファイバ130に送出されて戻る。光170が依然として光源から入ることに加えて、光の残りは中空コアファイバ110の第1の端部120に再度反射されて戻る。したがって、共振空胴は被覆140および142に由来して機能して、中空コアファイバ110の端部120と122との間で光の反射と次の再反射を繰り返して行う。動作中の1つの実施形態では、光はピグテイルファイバ130または132の一方から空胴100に入り、共振空胴フィルタを形成することができる。動作中の代替の実施形態では、光は、両方のピグテイルファイバ130および132から空胴100に同時に入り、それにより、2つの独立した共振フィルタ空胴を形成することができる。
【0012】
[0017]低透過率被覆140および142を生成するための材料の選択に対する考慮事項には、中空コアファイバ110の長さおよびその屈折率と、空胴100で共振することができる特定の帯域幅の光に対する全体としての中空コアファイバ共振空胴100の所望の透過率とが含まれる。
【0013】
[0018]図1に示した構成において、中実コアファイバ先端部131および133は各々中空コアファイバ110のそれぞれの端部120および122から距離δに位置づけられる。距離δにより、先端部131および133は、光を中空コアファイバ空胴110に効率的に結合するために中空コアファイバ端120および133のレーリー範囲内に配置される。光はファイバから自由空間に出ていくのに際して回折し、それにより、ビームのモードフィールド直径ビームは拡大される。レーリー範囲z、モードフィールド半径ω、およびある長さのファイバを出ていく波長λの光を用いて、出口からの任意の距離のモードフィールド半径ω(δ)は、
【0014】
【数1】

【0015】
の関係式から、および図2Aに示すように、出口における1/e強度半径のモードフィールド半径から見い出される(ここで、ω=ω(0))。理想的には、ファイバ間の離隔はδ≒0である。しかし、δ=0.25μおよび公称5.6μモードフィールド半径の場合でさえ、共振モードで中空コアファイバを出ていく光は、2δ往復を移動して中空コアファイバに戻り、中空コアファイバに再進入する場合モードフィールド半径を5.600170μにしか拡大しない。重なり積分を使用し、最初のパワーと再取り込みパワーとの差を最初のパワーで正規化することによって、モードフィールド半径の増加に起因する公称損失を計算すると、わずか14ppmの損失が示される。この手法の別の有用な特質は、被覆140、142を短い区間のPMファイバに付けてピグテイルファイバ130および132を形成し、ピグテイルファイバ130および132は、次に、ファイバ共振空胴100の外側の接合に関して性能ペナルティを無視できるような低損失接合により他のデバイスのリード線(光源または光検出器のリード線など)に取り付けることができることである。
【0016】
[0019]中実コアファイバと中空コアファイバとの間の間隙125が寄生共振器と考えられる場合、δ<λ/2であると、寄生空洞は共振モードを維持しないことになることは明らかである。
【0017】
[0020]図2Bに示されるプロットは、妥当な長さのPMファイバの入力リード線および出力リード線は、中空コアファイバ共振フィルタを励振するのに使用される事実上任意のレーザ出力パワーについてSBS閾値より下で容易に動作することができることを示している。共振器の出力は常に入力よりも少ないので、出力の中実コアファイバは、やはり、SBS閾値より下で動作する。
【0018】
[0021]共振空胴100の実装は、中実コアファイバの先端部131および133と中空コアファイバの端部120および122との間の機械的位置合わせのための安定な自動調心機械的取付け具から利益を得る。1つのそのような構造体はシリコンにエッチングされたV溝である。シリコンV溝は、同様の直径の中実コアファイバおよび中空コアファイバに十分な位置合わせをもたらす。異なる直径のファイバの収容は並置した異なるV溝により行われる。すなわち、異なる直径のファイバのコア間の位置合わせはV溝幅を変更することによって達成することができる。図1に示した実施形態において、この位置合わせは中空コアファイバ110の端部ごとにファイバ位置合わせベンチ150で達成される。
【0019】
[0022]図3A、図3B、図3C、図3D、および図3Fは、共振空胴100用のファイバ位置合わせベンチ150として使用するためにエッチングされたシリコン結晶基板310から構成されたファイバ位置合わせベンチ300を示す図である。シリコン結晶310では、エッチングされたV溝の幅は、中空コアファイバおよび中実コアファイバの直径から、
【0020】
【数2】

【0021】
を使用して計算され、ここで、yはそれぞれのファイバコアの中心の設計深さであり、r1およびr2はそれぞれのファイバのファイバ半径であり、x1およびx2はシリコンV溝のそれぞれの表面の幅であり、θ=35.3°は、エッチングされていないシリコン表面とエッチングされた溝壁との間の54.7°の角度の余角である。
【0022】
[0023]基板310にエッチングされた大きいV溝312および314はジャケット付きファイバを収容し、一方、大きいV溝312および314と合体する小さいV溝316および318は、結合されるべき2つのファイバコア、すなわち、ジャケットが剥きとられた中空コアファイバおよび中実コアファイバを収容する。コアを位置合わせし、ある距離(すなわち、図1に示されたようなδ)をレーリー範囲内で離してそれぞれのV溝にファイバを固定するために、液体として塗布され、硬化する接着剤を使用して、ファイバは所定位置に保持される。例えば、中空コアファイバ共振空胴100においてファイバ位置合わせベンチ300を利用する1つの実施態様では、ジャケット付きの第1のピグテイルファイバ130はV溝312内に配置され、剥きとりと被覆とが行われている中実コアファイバ先端部131はV溝316内に配置されることになる。同様に、ジャケット付きの中空コアファイバ110の一部はV溝314に配置され、裸にされた端部120はV溝318内に位置づけられることになる。次に、中実コアファイバ先端部131および裸にされた端部120は、レーリー範囲内で互いから距離δであるように精密位置合わせされうる(例えば、顕微鏡を使用して)。次に、位置合わせが維持されるように、接着剤が各ファイバに塗布される。
【0023】
[0024]ファイバ位置合わせベンチ300はV溝316および318を横断する横断V溝(cross-cut V-groove)320をさらに含み、その場所で、中実コアファイバ先端部131と裸にされた端部120は合致する。図3Eに詳しく示されるように、シリコン結晶基板310内のこの位置のエッチングされた横断V溝320は、支持が取り除かれ、ファイバ先端部131および裸にされた端部120は結合点で片持ち梁で残されることになる。これは、製作の間にファイバ先端部を覆うか、または部分的に覆うような接着剤の這い上がりを無効にする。すなわち、横断V溝320は、毛管作用により、中実コアファイバ先端部131および裸にされた端部120に塗布された接着剤が間隙125に入るのを阻止する。
【0024】
[0025]図3Cおよび図3Dにおいて、1つの実施形態におけるファイバ位置合わせベンチ300の一部を形成するファイバ位置合わせベンチカバー350が示される。ファイバ位置合わせベンチカバー350は、塵および凝縮液を間隙125に入れないようにして、設置される2本のファイバ間の光結合を妨害しないように働く。1つの実施形態では、ファイバ位置合わせベンチカバー350は、V溝312および314によって保持されるジャケットファイバを収容するように大きさを合わせられた1組のV溝352および354と、ファイバ位置合わせベンチカバー350が基板310上に封止される(図3Cに示される)ときファイバ位置合わせベンチ300内のファイバ位置合わせが乱されないような空胴356とを含む。
【0025】
[0026]1つの実施形態では、中実コアファイバ先端部133および端部122は、上述と全く同じ方法でファイバ位置合わせベンチ300の第2の実装を使用して一緒に結合されることになる。ファイバ位置合わせベンチ300は、中実コアファイバと中空コアファイバとを結合することによって中空コアファイバ共振空胴を形成することに関連して説明されたが、本開示を検討した当業者は、他の実施形態では、ファイバ位置合わせベンチ300は2つの中実コアファイバフィルタまたは2つの中空コアファイバフィルタを一緒に結合するのにも有用であることを理解されよう。
【0026】
[0027]図4は、図1で上述したような中空コアファイバ共振空胴100の2つの実装形態を含む共振光ファイバジャイロスコープ400の本発明の1つの実施形態の図を示す。これらは、中空コアファイバ共振フィルタ410および中空コアファイバ共振フィルタ420として図4に示される。本開示を検討した後の当業者は、図4が、中空コアファイバ共振空胴をそのようなデバイスに統合する方法を示す目的のための共振光ファイバジャイロスコープの簡単化した図であることを理解されよう。そのため、当業者には既知である強度変調器などの他の構成要素は、簡単にするためこの図から省略されている。
【0027】
[0028]図4において、第1のレーザ光源402は、上述のような共振空胴を形成する第1の中空コアファイバ共振フィルタ410に光を供給する。次に、第1のレーザ光源402からの光は、第1のサーキュレータ412を通ってカプラ414を介して回転速度感知ループ430に進む。この光は回転速度感知ループ430を通過し、第2のサーキュレータ422を通って「右回り光検出器」として指定された光検出器426に出ていき、光検出器426から、時間で変化する強度変動が測定され、回転速度に換算される。
【0028】
[0029]第2のレーザ光源404は、上述のような共振空胴を同様に形成する第2の中空コアファイバ共振フィルタ420に光を供給する。次に、第2のレーザ光源404からの光は、第2のサーキュレータ422を通ってカプラ424を介して回転速度感知ループ430に進む。この光は回転速度感知ループ430を通過し、第1のサーキュレータ412を通って「左回り光検出器」として指定された光検出器416に出ていき、光検出器416から、時間で変化する強度変動が同様に測定され、回転速度に換算される。
【0029】
[0030]この実施形態では、中空コアファイバ共振フィルタ410および420は各々それぞれのレーザからの光の位相ノイズを除去するように機能する。さらに、中空コアファイバ共振フィルタ410および420は中実コアではなく中空コアを利用しているので、レーザ光源402および404の出力の光信号強度は、光強度が増加するとき寄生効果を生ずることなしに、中実コア共振フィルタを利用する先行技術の共振光ファイバジャイロスコープよりも高く設定することができる。そのため、中空コアファイバ共振フィルタ410および420を含むことは、共振光ファイバジャイロスコープ400からの回転速度測定の精度を向上させるように働く。
【0030】
[0031]図5は、中空コア共振フィルタに関する本発明の1つの実施形態の方法である。代替の実施形態において、図5に関して説明する方法が当てはまり、図1〜図4に関して上述した実施形態と全体的にまたは部分的に組み合わせることができる。この方法は500で始まり、第1の中実コアファイバを通して光ビームを送出する。この方法は510に進み、第1の中実コアファイバの端部からの光ビームを第1の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバの第1の端部に光学的に結合させる。第1の中実コアファイバの端部は、中空コアファイバの第1の端部から受け取った光ビームを反射して第1の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバの第1の端部に戻すように被覆される。この方法は520に進み、中空コアファイバの第2の端部からの光ビームを第2の自由空間間隙を横切らせて第2の中実コアファイバの端部に光学的に結合させる。第2の中実コアファイバの端部は、中空コアファイバの第2の端部から受け取った光ビームを反射して第2の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバの第2の端部に戻すように被覆される。
【0031】
[0032]中実コアファイバの中実コアファイバ先端部は、それぞれ、中空コアファイバの第1の端部および第2の端部に隣接して位置合わせされる。ファイバ先端部131および133の面は各々低透過率被覆(140および142で示される)で被覆される。中実コアファイバ先端部の面に付けられる被覆はミラーとして効果的に機能して、光を反射して中空コアファイバに戻す。この構成により、中空コアファイバは、被覆された中実コアファイバ先端部と共に、中実コアピグテイルファイバの入力先端部および出力先端部の高反射被覆間の中空コアファイバに由来する共振空胴を形成する。例えば、1つの実施形態では、(例えば、レーザダイオードなどの光源からの)光は、第1の中実コアファイバから中空コアファイバ共振空胴に入り、低透過率被覆を通って中空コアファイバに入る。第2の中実コアファイバの低透過率被覆に達するのに際して、光のわずかな割合のみが第2の中実コアを通って出ていく。残りは反射されて中空コアファイバに戻る。光は再び中空コアファイバを通って横断し、第1の中実コアファイバに付けられた低透過率被覆に当たるのに際して、光のわずかな割合のみが送出されて第1の中実コアファイバに戻り、残りは再び反射されて中空コアファイバの第1の端部に戻り、光源から入る光に加えられる。したがって、共振空胴は中実コアファイバの先端部の高反射で低透過率の被覆に由来して機能して、中空コアファイバの2つの端部間で光の反射と次の再反射を繰り返して行う。上記で述べたように、1つの実施形態では、第1および第2の自由空間間隙は、レーリー範囲未満である中実コアファイバと中空コアファイバとの間の距離を与える。さらに、1つの実施形態では、中実コアファイバと中空コアファイバとの位置合わせは、図1および図3A〜図3Bに関して上述したものなどのファイバ位置合わせベンチにより達成される。
例示の実施形態
[0033]例1は中空コア共振フィルタのための方法を含み、この方法は、第1の中実コアファイバを通して光ビームを送出するステップと、第1の中実コアファイバの端部からの光ビームを第1の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバの第1の端部に光学的に結合させるステップと、中空コアファイバの第2の端部からの光ビームを第2の自由空間間隙を横切らせて第2の中実コアファイバの端部に光学的に結合させるステップとを含み、第2の中実コアファイバの端部は、中空コアファイバの第2の端部から受け取った光ビームを反射して第2の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバの第2の端部に戻すように被覆され、第1の中実コアファイバの端部は、中空コアファイバの第1の端部から受け取った光ビームを反射して第1の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバの第1の端部に戻すように被覆される。
【0032】
[0034]例2は例1の方法を含み、第1の中実コアファイバの端部および中空コアファイバの第1の端部は、レーリー範囲未満の距離δだけ第1の自由空間間隙によって離隔される。
【0033】
[0035]例3は例1〜例2のいずれかの方法を含み、第2の中実コアファイバの端部および中空コアファイバの第2の端部は、レーリー範囲未満の距離δだけ第2の自由空間間隙によって離隔される。
【0034】
[0036]例4は例1〜例3のいずれかの方法を含み、第1の中実コアファイバをファイバ位置合わせベンチの第1のV溝内に固定し、中空コアファイバの第1の端部をファイバ位置合わせベンチの第2のV溝内に固定することによって第1の中実コアファイバと中空コアファイバの第1の端部とを位置合わせするステップをさらに含み、ファイバ位置合わせベンチはシリコン結晶材料から形成される。
【0035】
[0037]例5は例4の方法を含み、ファイバ位置合わせベンチは第1の中実コアファイバと中空コアファイバの第1の端部との間の結合点に横断V溝を含み、横断V溝は、第1の中実コアファイバの一部および中空コアファイバの端部の一部が結合点で片持ち梁にされるように支持を取り除く。
【0036】
[0038]例6は中空コアファイバ共振空胴を含み、共振空胴は、第1の端部および第2の端部を有する中空コアファイバと、中実コアファイバ材料の第1のピグテイルファイバと、中実コアファイバ材料の第2のピグテイルファイバとを含み、第1のピグテイルファイバのファイバ先端部は、第1のピグテイルファイバからの光を第1の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバに結合させるように中空コアファイバの第1の端部に光学的に位置合わせされ、第2のピグテイルファイバのファイバ先端部は、第2のピグテイルファイバからの光を第2の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバに結合させるように中空コアファイバの第2の端部に光学的に位置合わせされ、第2のピグテイルファイバのファイバ先端部は、中空コアファイバの第2の端部から受け取った光を反射して第2の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバの第2の端部に戻すように被覆され、第1のピグテイルファイバのファイバ先端部は、中空コアファイバの第1の端部から受け取った光を反射して第1の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバの第1の端部に戻すように被覆される。
【0037】
[0039]例7は例6の共振空胴を含み、第1のピグテイルファイバおよび第2のピグテイルファイバの一方または両方は、ある長さの偏波保持ファイバを含む。
[0040]例8は例6〜例7のいずれかの共振空胴を含み、第1のピグテイルファイバのファイバ先端部を第1のV溝内に、および中空コアファイバの第1の端部を第2のV溝内に固定するシリコン材料の第1のファイバ位置合わせベンチをさらに含む。
【0038】
[0041]例9は例8の共振空胴を含み、第1のファイバ位置合わせベンチは、第1の中実コアファイバの一部および中空コアファイバの端部の一部が結合点で片持ち梁にされるように、第1のピグテイルファイバのファイバ先端部と中空コアファイバの第1の端部との間の結合点に横断V溝をさらに含む。
【0039】
[0042]例10は例6〜例9のいずれかの共振空胴を含み、第1のピグテイルファイバのファイバ先端部および中空コアファイバの第1の端部はレーリー範囲未満の距離δだけ第1の自由空間間隙によって離隔される。
【0040】
[0043]例11は例6〜例10のいずれかの共振空胴を含み、第2のピグテイルファイバのファイバ先端部および中空コアファイバの第2の端部はレーリー範囲未満の距離δだけ第2の自由空間間隙によって離隔される。
【0041】
[0044]例12は例6〜例11のいずれかの共振空胴を含み、第1のピグテイルファイバのファイバ先端部に付けられた第1の被覆および第2のピグテイルファイバのファイバ先端部に付けられた第2の被覆は各々第1のピグテイルに入るある帯域幅の光が中空コアファイバ内で共振することになるような透過および反射の性質を有する。
【0042】
[0045]例13は共振光ファイバジャイロスコープを含み、このジャイロスコープは、第1のレーザ光源と、入力端部および出力端部を有する第1の中空コアファイバ共振空胴フィルタであり、第1の中空コアファイバ共振空胴フィルタの第1の端部が第1のレーザ光源に結合される、第1の中空コアファイバ共振空胴フィルタと、第1の端部および第2の端部を有する回転速度感知ループと、第1の中空コアファイバ共振空胴フィルタの出力端部、第1の光検出器、および回転速度感知ループの第1の端部に結合された第1のサーキュレータであり、第1の中空コアファイバ共振空胴フィルタから受け取った光を回転速度感知ループの第1の端部に、および回転速度感知ループの第1の端部から受け取った光を第1の光検出器に渡す、第1のサーキュレータと、第2のレーザ光源と、入力端部および出力端部を有する第2の中空コアファイバ共振空胴フィルタであり、第2の中空コアファイバ共振空胴フィルタの第1の端部が第2のレーザ光源に結合される入力部である、第2の中空コアファイバ共振空胴フィルタと、第2の中空コアファイバ共振空胴フィルタの出力端部、第2の光検出器、および回転速度感知ループの第2の端部に結合された第2のサーキュレータであり、第2の中空コアファイバ共振空胴フィルタから受け取った光を回転速度感知ループの第2の端部に、および回転速度感知ループの第2の端部から受け取った光を第2の光検知器に渡す、第2のサーキュレータとを含み、第1の中空コアファイバ共振空胴フィルタおよび第2の中空コアファイバ共振空胴フィルタは各々第1の端部および第2の端部を有する中空コアファイバと、中実コアファイバ材料の第1のピグテイルファイバと、中実コアファイバ材料の第2のピグテイルファイバとを含み、第1のピグテイルファイバのファイバ先端部は、第1のピグテイルファイバからの光を第1の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバに結合させるように中空コアファイバの第1の端部に光学的に位置合わせされ、第2のピグテイルファイバのファイバ先端部は、第2のピグテイルファイバからの光を第2の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバに結合させるように中空コアファイバの第2の端部に光学的に位置合わせされ、第2のピグテイルファイバのファイバ先端部は、中空コアファイバの第2の端部から受け取った光を反射して第2の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバの第2の端部に戻すように被覆され、第1のピグテイルファイバのファイバ先端部は、中空コアファイバの第1の端部から受け取った光を反射して第1の自由空間間隙を横切らせて中空コアファイバの第1の端部に戻すように被覆される。
【0043】
[0046]例14は例13のジャイロスコープを含み、第1のピグテイルファイバおよび第2のピグテイルファイバの一方または両方は、ある長さの偏波保持ファイバを含む。
[0047]例15は例13〜例14のいずれかのジャイロスコープを含み、第1の中空コアファイバ共振空胴フィルタおよび第2の中空コアファイバ共振空胴フィルタは各々第1のピグテイルファイバのファイバ先端部を第1のV溝内に、および中空コアファイバの第1の端部を第2のV溝内に固定するシリコン材料の第1のファイバ位置合わせベンチと、第2のピグテイルファイバのファイバ先端部を第3のV溝内に、および中空コアファイバの第2の端部を第4のV溝内に固定するシリコン材料の第2のファイバ位置合わせベンチとをさらに含む。
【0044】
[0048]例16は例15のジャイロスコープを含み、第1のファイバ位置合わせベンチおよび第2のファイバ位置合わせベンチは各々横断V溝をさらに含む。
[0049]例17は例13〜例16のいずれかのジャイロスコープを含み、第1のピグテイルファイバのファイバ先端部および中空コアファイバの第1の端部はレーリー範囲未満の距離δだけ第1の自由空間間隙によって離隔される。
【0045】
[0050]例18は例13〜例17のいずれかのジャイロスコープを含み、第2のピグテイルファイバのファイバ先端部および中空コアファイバの第2の端部はレーリー範囲未満の距離δだけ第2の自由空間間隙によって離隔される。
【0046】
[0051]例19は例13〜例18のいずれかのジャイロスコープを含み、第1のピグテイルファイバのファイバ先端部に付けられた第1の被覆および第2のピグテイルファイバのファイバ先端部に付けられた第2の被覆は各々第1のピグテイルに入るある帯域幅の光が中空コアファイバ内で共振することになるような透過および反射の性質を有する。
【0047】
[0052]例20は例13〜例20のいずれかのジャイロスコープを含み、第1の光検知器は、回転速度感知ループを左回りに通って移動する光の時間で変化する強度変動を測定し、第2の光検知器は、回転速度感知ループを右回りに通って移動する光の時間で変化する強度変動を測定する。
【0048】
[0053]特定の実施形態が本明細書で図示および説明されたが、同じ目的を達成するように意図されるいかなる構成も示された特定の実施形態の代わりに用いることができることが当業者なら理解されよう。本出願は本発明の任意の改変形態または変更形態を含むことが意図される。したがって、本出願は、本発明の任意の改変形態または変更形態を含むことが明白に意図される。したがって、本発明は本明細書の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが明白に意図される。
【符号の説明】
【0049】
100 中空コアファイバ共振空胴
110 中空コアファイバ
115 PZT
120 中空コアファイバの入力端部
122 中空コアファイバの出力端部
125 間隙
130 第1のピグテイルファイバ、入力ファイバ
131、133 ファイバ先端部
132 第2のピグテイルファイバ、出力ファイバ
140、142 低透過率被覆
150 ファイバ位置合わせベンチ
170 光
300 ファイバ位置合わせベンチ
310 シリコン結晶基板
312、314 大きいV溝
316、318 小さいV溝
320 横断V溝
350 ファイバ位置合わせベンチカバー
352、354 V溝
356 空胴
400 共振光ファイバジャイロスコープ
402 第1のレーザ光源
404 第2のレーザ光源
410 第1の中空コアファイバ共振フィルタ
412 第1のサーキュレータ
414、424 カプラ
416、426 光検出器
420 第2の中空コアファイバ共振フィルタ
422 第2のサーキュレータ
430 回転速度感知ループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空コア共振フィルタのための方法であって、
第1の中実コアファイバ130を通して光ビームを送出するステップと、
前記第1の中実コアファイバ130の端部131からの前記光ビームを第1の自由空間間隙125を横切らせて中空コアファイバ110の第1の端部120に光学的に結合させるステップと、
前記中空コアファイバ110の第2の端部122からの前記光ビームを第2の自由空間間隙125を横切らせて第2の中実コアファイバの端部133に光学的に結合させるステップと
を含み、
前記第2の中実コアファイバの前記端部133が、前記中空コアファイバ110の前記第2の端部122から受け取った前記光ビームを反射して前記第2の自由空間間隙125を横切らせて前記中空コアファイバ110の前記第2の端部122に戻すように被覆142され、
前記第1の中実コアファイバ130の前記端部131が、前記中空コアファイバ110の前記第1の端部120から受け取った前記光ビームを反射して前記第1の自由空間間隙125を横切らせて前記中空コアファイバ110の前記第1の端部120に戻すように被覆140される方法。
【請求項2】
中空コアファイバ110の共振空胴であって、
第1の端部120および第2の端部122を有する中空コアファイバ110と、
中実コアファイバ材料の第1のピグテイルファイバ130と、
中実コアファイバ材料の第2のピグテイルファイバ132と
を含み、
前記第1のピグテイルファイバのファイバ先端部131が、前記第1のピグテイルファイバ130からの光を第1の自由空間間隙125を横切らせて前記中空コアファイバ110に結合させるように前記中空コアファイバ110の前記第1の端部120に光学的に位置合わせされ、
前記第2のピグテイルファイバのファイバ先端部133が、前記第2のピグテイルファイバからの光を第2の自由空間間隙125を横切らせて前記中空コアファイバ110に結合させるように前記中空コアファイバ110の前記第2の端部122に光学的に位置合わせされ、
前記第2のピグテイルファイバ132の前記ファイバ先端部133が、前記中空コアファイバ110の前記第2の端部122から受け取った光を反射して前記第2の自由空間間隙125を横切らせて前記中空コアファイバ110の前記第2の端部122に戻すように被覆142され、
前記第1のピグテイルファイバ130の前記ファイバ先端部131が、前記中空コアファイバ110の前記第1の端部120から受け取った光を反射して前記第1の自由空間間隙125を横切らせて前記中空コアファイバ110の前記第1の端部120に戻すように被覆140される共振空胴。
【請求項3】
前記ファイバ先端部131および前記中空コアファイバ110の前記第1の端部120がレーリー範囲未満の距離δだけ前記第1の自由空間間隙125によって離隔され、
前記ファイバ先端部133および前記中空コアファイバ110の前記第2の端部122が前記レーリー範囲未満の距離δだけ前記第2の自由空間間隙125によって離隔される請求項1に記載の方法または請求項2に記載の共振空胴。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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