説明

中空コンクリートポール内部モルタル打設工法

【課題】中空のコンクリートポールの補強を側面の穴から行いつつ、側面の穴よりも上方部分の補強も行えるようにすることを課題とする。
【解決手段】中空コンクリートポール側面の穴から挿入できる筒状に形成される高強度繊維シートからなる内壁補強シートを当該穴より中空コンクリートポール内に挿入し内壁に接着するとともに、高強度繊維シートからなる筒状補強部材を当該穴から挿入して上部及び下部を支持し、さらに、筒状かつ袋状の風船からなる内部型枠を当該穴より挿入し中央部に配置した後に、内部にモルタルを注入し硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中空のコンクリートポールを補強する技術に関し、特に、中空コンクリートポールを内部から補強する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱などの中空のコンクリートポールは、長年にわたって野外に晒されるため、風雨等の影響を受け劣化する。このような中空コンクリートポールはそのままにしておくと倒壊など事故が生じるために補強をする必要がある。補強の方法として、広く用いられるのは、特許文献7に例示されるように中空コンクリートポールの外周に補強部材を巻いて固定する方法である。しかし、このように外周を補強する場合、地面に埋まっている部分の補強が困難であり、また、外見も変わってしまい景観を損ねることもある。これに対応するものとして、下記特許文献1、2には、中空コンクリートポールの上面の蓋を取り去り、上方から鉄筋などを挿入してモルタルにより硬化する工法が示され、また、下記特許文献3〜6には、中空コンクリートポールの側面に穴を開け、この穴から棒状の補強部材を挿入して立設し、その後、モルタルにより硬化する工法が示されている。
【特許文献1】特開2005−307479号公報
【特許文献2】特開2006−2543号公報
【特許文献3】特開2005−226337号公報
【特許文献4】特開2005−330676号公報
【特許文献5】特開2005−330677号公報
【特許文献6】特開2005−330678号公報
【特許文献7】特開平5−332031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1、2に記載の工法のように、中空コンクリートポールの上面の開口部を通じて行う作業は、高所作業となり、また、電線類が近くにあることから危険な作業となり、また、高所作業者が必要となるなど作業も大掛かりなものとなってしまう。一方、特許文献3〜6に記載の工法では、中空コンクリートポールの側面に穴を開けて、この穴から作業を行うので、比較的安全であり、また、作業も簡易である。しかし、特許文献3〜6に記載の工法では、穴を開けた位置から下しか補強をすることができず、上方の劣化に対応できないという問題がある。
以上の問題に鑑み、本発明は、中空のコンクリートポールの補強を側面の穴から行いつつ、側面の穴よりも上方部分の補強も行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、中空コンクリートポール内にモルタルを打設する中空コンクリートポール内部モルタル打設工法であって、以下の(101)〜(112)に記載の要件を備える。
(101) 高強度繊維シートを筒状に形成するとともに、上部および下部を封止することで袋状に形成し、内部に連通する管体であるモルタル注入管を設け、さらに、側面に長手方向に沿って複数の内部に貫通する孔であるストレーナ孔を形成した中空コンクリートポール用筒状補強部材を用いる。
(102) 側方に広がる、所定の内径を有する中空コンクリートポールの内側面に係止する突っ張り部を有する中空コンクリートポール用固定装置を用いる。
(103) 中空コンクリートポールの内側上部に前記中空コンクリートポール用固定装置を頭部固定装置として固定し、中空コンクリートポールの内側下部に前記中空コンクリートポール用固定装置を底部固定装置として固定した後に行われる。
(104) 頭部固定装置には、中空コンクリートポールの側方に設けた孔から外部へ連通する管体である第一連通管が固定され、底部固定装置には、中空コンクリートポールの側方に設けた孔から外部へ連通する管体である第二連通管が固定されている。
(105) 前記第一連通管又は前記第二連通管に連通する位置には、前記中空コンクリートポール用筒状補強部材が通ることができる係合孔を有する係合孔部材が設けられる。
(106) 前記中空コンクリートポール用筒状補強部材のモルタル注入管の端部側には前記係合孔部材の係合孔を塞ぐように外方に張り出すフランジ部が形成されている。
(107) 中空コンクリートポール外部より第一連通管内部から前記前記中空コンクリートポール内部を経由し係合孔を通って第二連通管内部から中空コンクリートポール外部に至るワイヤーが予め設けられている。
(108) 前記中空コンクリートポール用筒状補強部材のモルタル注入管が設けられていない側の端部には第二係合部材が設けられる。
(109) 前記中空コンクリートポール用内壁補強シートの内部の前記第一連通管又は前記第二連通管のうちの前記係合孔部材が設けられていない側に連通する位置には前記ワイヤーに引かれて移動する前記第二係合部材に係合する第二被係合部材が設けられる。
(110) 第二係合部材が第二被係合部材に係合した状態で、前記モルタル注入管に設けられるフランジ部が前記係合部材の係合孔を塞ぐような長さを前記中空コンクリートポール用筒状補強部材は有する。
(111) 前記中空コンクリートポール用筒状補強部材の第二係合部材が設けられている部分を前記第二ワイヤーの一部と連結し、第二ワイヤーを引くことで、前記中空コンクリートポール用筒状補強部材を前記係合孔部材を通して、第二係合部材を第二被係合部材に係合固定するとともに、前記中空コンクリートポール用筒状補強部材のモルタル注入管に設けられるフランジ部により前記係合孔部材の係合孔を塞ぐ中空コンクリートポール用筒状補強部材固定工程を有する。
(112) 中空コンクリートポール用筒状補強部材固定工程の後に、前記第一連通管及び前記第二連通管のうち前記係合孔部材が設けられるほうからモルタルを注入して、中空コンクリートポール用筒状補強部材内及び前記中空コンクリートポール用内壁補強シート内部にモルタルを充填させ、その後、硬化させるモルタル硬化工程を有する。
【0005】
請求項2に記載の発明は、前記中空コンクリートポール内部モルタル打設工法は、高強度繊維シートを筒状に形成するとともに、上部および下部を封止することで袋状に形成し、前記第一連通管端部が上端において内部に連通するとともに、前記第二連通管端部が下端において内部に連通する中空コンクリートポール用内壁補強シートが中空コンクリートポール内部に固定された後に行われるものである。
請求項3に記載の発明は、前記中空コンクリートポール内部モルタル打設工法において、さらに、以下の(301)から(305)に記載の要件を備えるものである。
(301) 前記中空コンクリートポール用筒状補強部材は2以上設けられるものである。
(302) 前記中空コンクリートポール用内壁補強シートの少なくとも一端に複数の前記中空コンクリートポール用筒状補強部材を中空コンクリートポールの中心軸に対称に配置するように保持する支持枠を有する支持フレームが設けられる。
(303) 前記第二係合部材及び前記係合孔は前記中空コンクリートポール用筒状補強部材の数だけ設けられる。
(304) 前記ワイヤーは前記中空コンクリートポール用筒状補強部材の数だけ設けられ、それぞれが支持フレームの各支持枠、係合孔部材の各係合孔を通り、各第二被係合部に各第二係合部を導くようにを予め通されている。
(305) 前記中空コンクリートポール用筒状補強部材固定工程がすべての中空コンクリートポール用筒状補強部材に関して完了した後に、前記モルタル硬化工程が行われる。
【0006】
請求項4に記載発明は、請求項3に記載の中空コンクリートポール内部モルタル打設工法において、前記支持フレームは開閉自在であり、前記中空コンクリートポール用筒状補強部材が通ることにより開くように形成されているものである。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の中空コンクリートポール内部モルタル打設工法において、前記支持フレームは、第一係合部材から第二係合部材に至る支持フレームの数だけ設けられる紐体と、前記各紐体を互いに等距離になるように連結する連結体と、紐体に固定される支持枠となるリング体とから形成されるものである。
【0007】
請求項6に記載の発明は、中空コンクリートポール内部モルタル打設工法において、さらに、以下の(601)から(609)に記載の要件を備えるものである。
(601) 筒状に形成されるとともに、上部および下部を封止することで袋状に形成され、端部に内部に連通する管体である気体注入管が設けられた中空コンクリートポール用内部型枠が用いられる。
(602) 前記係合孔部材は、前記中空コンクリートポール用内部型枠が通ることができる第二係合孔を有する。
(603) 前記中空コンクリートポール用内部型枠の空気注入管が設けられる端部には第二係合孔を通ることができない係合突起が設けられる。
(604) 第一連通管内部から前記前記中空コンクリートポール用内壁補強シート内部を経由し第二係合孔を通って第二連通管内部に至る第三ワイヤーが予め設けられている。
(605) 前記中空コンクリートポール用内部型枠の係合突起が設けられていない端部には第三係合部材が設けられる。
(606) 前記中空コンクリートポール用内壁補強シートの内部の前記第二被係合部材が存する位置には第三ワイヤーに引かれて移動する前記第三係合部材に係合する第三被係合部材が設けられる。
(607) 第三係合部材が第三被係合部材に係合した状態で、前記係合突起が第二係合孔に係合するような長さを前記中空コンクリートポール用内部型枠は有する。
(608) 前記モルタル硬化工程前に、前記中空コンクリートポール用内部型枠の第三係合部材が設けられている部分を前記第三ワイヤーの一部と連結し、第三ワイヤーを引くことで、前記中空コンクリートポール用内部型枠を前記第二係合孔部材を通して、第三係合部材を第三被係合部材に固定するとともに、前記中空コンクリートポール用内部型枠の前記係合突起を前記係合孔部材の前記第二係合孔に係合させる内部型枠固定工程を有する。
(609) 内部型枠固定工程の後、モルタル硬化工程前に前記中空コンクリートポール用内部型枠の気体注入管を通じて前記中空コンクリートポール用内部型枠内部に気体を送り込んで前記中空コンクリートポール用内部型枠を膨らませる内部型枠膨張行程を有する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の中空コンクリートポール内部モルタル打設工法において、前記中空コンクリートポール用内部型枠の側面には、高強度繊維シートが巻きつけられているものである。
【0008】
請求項8に記載の発明は、前記中空コンクリートポール内部モルタル打設工法により形成される内部にモルタルを充填した中空コンクリートポールの補強構造である。
請求項9に記載の発明は、高強度繊維シートを筒状に形成するとともに、上部および下部を封止することで袋状に形成し、内部に連通する管体であるモルタル注入管を設け、さらに、側面に長手方向に沿って複数の内部に貫通する孔であるストレーナ孔を形成した中空コンクリートポール用筒状補強部材である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明は、中空コンクリートポールの側面に設けた穴から中空コンクリートポール内に筒状補強部材を上下に敷設し、内部にモルタルを打設することができる。
請求項2に記載の発明は、中空コンクリートポール内部に高強度繊維シートからなる内壁補強部材による補強に加えて、中空コンクリートポール内部にモルタルを打設することができる。
請求項3に記載の発明は、筒状補強部材を複数、対称に配列することができる。
請求項4に記載の発明は、支持フレームが開閉自在であることによりコンクリートポール側面の穴を閉じた状態で通ることができ、内部で広がることで筒状補強部材同士の間隔を広げて配置することができる。
請求項5に記載の発明は、支持フレームが紐体と連結体とリング体とから形成されるので、機械的構造がないため故障する可能性を低減することができる。
請求項6に記載の発明は、内部型枠を内壁補強シート内に設置したのちにモルタルを打設することで、打設するモルタルを少なくすることができる。
請求項7に記載の発明は、内部型枠に高強度繊維シートを巻きつけることで、より補強の強度を高めることができる。
【0010】
請求項8に記載の発明は、中空コンクリートポールをモルタルを打設した補強構造が得られる。
請求項9に記載の発明は、筒状の高強度繊維シートから構成される筒状補強部材も、細くすることができ、かつ、自在に曲がるので、中空コンクリートポールの側面に設けた穴から挿入して、中空コンクリートポール中空部のほぼ全長に渡って設置することができ、補強作業を簡易かつ安全に行うことができる。そして、モルタル注入管からモルタルを注入することで、筒状補強部材の形状を変えることができるとともに、ストレーナ孔からモルタルを流れださせることで、外部にもモルタルを注入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、中空コンクリートポールとして電柱が用いられる。
(実施形態1)
まず、実施形態1に係る中空コンクリートポールの補強工法の概要について説明する。本実施形態に係る中空コンクリートポールの補強工法は、(1)ステップ孔形成工程、(2)頭部固定装置設置工程、(3)底部固定装置設置工程、(4)洗浄工程、(5)接着剤塗布工程、(6)内壁補強シート固定工程、(7)筒状補強部材設置工程、(8)内部型枠設置工程、(9)モルタル打設工程、(10)足場ボルト受け口復旧工程からなる。
(1)ステップ孔形成工程は、補強する中空コンクリートポールの側面の昇降用足場ボルト受け口部分から内部に至る孔を空ける工程である。(2)頭部固定装置設置工程は、中空コンクリートポールの内壁上部に頭部固定装置を設置する工程である。(3)底部固定装置設置工程は中空コンクリートポールの内壁底部に底部固定装置を設置する工程である。(4)洗浄工程は中空コンクリートポール内壁を洗浄する工程である。(5)接着剤塗布工程は中空コンクリートポールの内壁に接着剤を塗布する工程である。(6)内壁補強シート固定工程は中空コンクリートポールの内壁に筒状の内壁補強シートを固定する工程である。(7)筒状補強部材設置工程は内壁補強シートの内側に筒状補強部材を配列し固定する工程である。(8)内部型枠設置工程は内壁補強シートの中心に中空の筒状の型枠を設置する工程である。(9)モルタル打設工程は筒状補強部材および内壁補強シートの内部にモルタルを充填し硬化させる工程である。(10)足場ボルト受け口復旧工程は、足場ボルト受け口を復旧する工程である。以下、各工程について詳述する。
【0012】
(1)ステップ孔形成工程
まず、電柱としてのコンクリートポール側面に形成される昇降用足場ボルト受け口の一箇所を使用して、地面から2.0m以内の地上部に表面から内部に至る貫通孔であるパイロット孔を形成する。具体的には、図1(a)に示すように、コンクリートポールP側面に形成される昇降用足場ボルト受け口Nの位置に電動ドリルDを使用して外径5 m/m程度のキリを上向きに貫通させ、次に、図1(b)に示すようにキリを下向きに貫通させることで、パイロット孔11を2つ形成する。次に、図2(a)(b)に示すように中央先端に、5 m/m程度のキリを取り付けた外径50 m/mの特殊ダイヤモンドコアーを、電動ドリルに取り付け、中央先端のキリをまず上向きのパイロット孔に挿入して、上向きに穿孔を行い貫通させる。次に、図2(c)に示すように下向きのパイロット孔に中央先端のキリを挿入して下向きに穿孔を行い貫通させる。これにより、図3に示すようなステップ孔12が形成される。
【0013】
(2)頭部固定装置設置工程
(2−1)頭部固定装置の構造
図4に頭部固定装置20の正面図を示す。頭部固定装置20は、リンク機構により側方の四方に張り出すように稼動する突っ張り部を形成するジャッキ21と、ジャッキ21を稼動させるようにリンクの一端を下から押し上げる力を供給するピストンシリンダー22と、ピストンシリンダー22に連結され油圧を供給する耐圧ホース23と、ワイヤーを移動可能に保持するワイヤー保持部となる滑車24とから構成される。ピストンシリンダー22の側面にはピン22aが立設されており、ジャッキ21の下端に設けられる筒状の係合筒部21aの下縁に形成されるL型の切り欠き21aaにこのピン22aが係合固定している。これにより、耐圧ホース23を所定方向に回すと、耐圧ホース23に連結されているピストンシリンダー22が回ってピン22aが切り欠き21aaから外れ、ピストンシリンダー22と耐圧ホース23は脱落する。なお、ジャッキ21はピストンシリンダー22が外れても位置を維持するように形成されている。また、ジャッキ21の最も外側に突出する角部には摩擦を強化するためのゴム足21bが設けられている。さらに、係合筒部21aは両側面に長方形状の孔が形成されて下縁側がリング状となっている。そして、滑車24にはワイヤーが脱落しないように弾性体からなる滑落防止部材24aが設けられている。
【0014】
(2−2)頭部固定装置設置工法
まず、地上部で、耐圧ホース23、ピストンシリンダー22をはずした状態で、頭部固定装置20の上部に取り付けられた滑車24に、ピアノ線(親線W1)を掛けて、どちらか一端側を頭部固定装置20の下部に取り付けられた係合筒部21aの下面の孔と側面の孔を通過させる。この親線W1の係合筒部21aに通っている側の端部を上部親線W1a、逆側の端部を底部親線W1bと称する。また、別のピアノ線(帯筋線w)を滑車24に掛ける。この帯筋線wのそれぞれの端部を上部帯筋線wa、下部帯筋線wbと称する。この状態で、ホースドラムに巻かれた耐圧ホース23及びピストンシリンダー22を係合筒部21aに接続する。なお、耐圧ホース23の後端は油圧ポンプと接続されており、また、耐圧ホース23には長さを測定するための目盛がつけてある。そして、図5(a)に示すようにステップ孔12から頭部固定装置20を上方に向って差し入れ、図5(b)に示すように耐圧ホース23を押し込むことで頭部固定装置20を上方へと押し上げる。耐圧ホースの目盛を確認しながら頂上近傍の所定の位置に至った所で挿入をやめ、図5(c)に示すように地上部の油圧ポンプを作動させて、シリンダ内のピストンを押し出しジャッキに連動させて、頭部固定装置20をコンクリートポールPの頭部で固定する。その後、図5(d)に示すように耐圧ホース23を所定方向に回動させてピストンシリンダー22と筒状係合部21aとの係合を解いて取り外し、耐圧ホース23及びピストンシリンダー22をステップ孔12から取り出して作業は完了する。なお、ピアノ線の親線W1の上部親線W1a、底部親線W1b、帯筋線wの上部帯筋線wc、下部帯筋線wdは頭部固定装置20の滑車24を経由してステップ孔12から表出している状態となる。
【0015】
(3)底部固定装置設置工程
(3−1)底部固定装置の構造
図6に底部固定装置30の正面図を示す。底部固定装置30の構造は、頭部固定装置20の構造とほぼ同じであり、頭部固定装置20を上下逆さまにした構造を有する。即ち底部固定装置30は、突っ張り部を構成するジャッキ31と、ピストンシリンダー22と、耐圧ホース23と、ワイヤー保持部を構成する滑車34とから構成され、ピストンシリンダー22はジャッキ31の上端に設けられる筒状の係合筒部31aの上縁に係合するとともに、所定方向の回動により脱落するように形成されている。なお、後述するようにピストンシリンダー22と耐圧ホース23は、頭部固定装置20を構成するものをそのまま利用する。
【0016】
(3−2)底部固定装置設置工法
底部固定装置30の設置方法は頭部固定装置20の設置方法とほぼ同じである。相違するのは、滑車34に掛けるピアノ線が1本である点である。即ち、まず、地上部で、耐圧ホース33、ピストンシリンダー32をはずした状態で、底部固定装置30の下部に取り付けられた滑車34に、頭部固定装置20を経由してステップ孔12から表出している底部親線W1bを掛けて底部固定装置30の上部に取り付けられた係合筒部31aの上面の孔と側面の孔を通過させる。この状態で、頭部固定装置20から取り外した耐圧ホース23に連結されたピストンシリンダー22を係合筒部31aに接続し、ステップ孔から底部固定装置30を下方に向って差し入れ(図7(a))、耐圧ホース23を押し込むことで底部固定装置30を下方へと押し下げる(図7(b))。耐圧ホース23の目盛を確認しながら底面近傍の所定の位置に至った所で挿入をやめ、地上部の油圧ポンプを作動させて、シリンダ内のピストンを押し出しジャッキに連動させて、底部固定装置30をコンクリートポールの底部で固定する(図7(c))。その後、耐圧ホース23を所定方向に回動させて筒状係合部31aとの係合を解いて取り外し(図7(d))、耐圧ホース23及びピストンシリンダー22をステップ孔12から取り出して作業は完了する。なお、ピアノ線の親線W1は、上部親線W1aがステップ孔12から表出し、これが頭部固定装置20の係合筒部21a内から滑車24を経由して、中空コンクリートポールP内を通って底部固定装置30の滑車34から係合筒部31aを通ってステップ孔12から底部親線W1bとして表出する状態となる。
【0017】
(4)洗浄工程
洗浄工程においては、小型の逆噴射ノズルを塗布ノズルとして使用する。逆噴射ノズルは、噴射液の供給方向を前方として後斜め方向の全周に渡って円錐側面を形成するように噴射液を噴射する構造を有する。また、逆噴射ノズルは底部固定装置30の滑車34と弾性体34aを通ることができる程度の大きさである。
まず、図8(a)に示すように液体を供給する管体となるホースhに接続された逆噴射ノズルGの先端をステップ孔12から表出する底部固定装置30を通った底部親線W1bと結束する。そして、図8(b)に示すように頭部固定装置20を通った頭部親線W1aを引っ張って、逆噴射ノズルGを中空コンクリートポール内へ導き、さらに、底部固定装置30の滑車34を通過させ、底部固定装置30と頭部固定装置30との間に逆噴射ノズルGを位置付ける。これにより、逆噴射ノズルGは、親線W1を移動させることで中空コンクリートポール内を上下動することが可能となる。また、ホースhは滑車34に掛かり滑らかに移動する太さを有する。
この状態で、ホースhに水ポンプと、空気を圧縮するためのコンプレッサーを接続して、清水と圧縮空気を送り込む。これにより、逆噴射ノズルGから空気が混合された清水が噴射されることとなる。この状態で、図8(c)に示すように、頭部親線W1aを引っ張ることで、逆噴射ノズルGは中空コンクリートポール内を上昇させ、また、ホースhを引っ張ることで逆噴射ノズルGは中空コンクリートポール内を下降させることで、噴射液を中空コンクリートポール内壁に渡って噴きつけて洗浄を行う。
洗浄が完了した後は、図8(d)に示すように水ポンプを停止させて圧縮空気のみを逆噴射ノズルGから噴射させることにより、中空コンクリートポール内壁を乾燥させる。さらに、図8(e)に示すように、排水ポンプにより底の溜まった先浄水をバキュームポンプBにより排出し、作業を完了する。
【0018】
(5)接着剤塗布工程
接着剤塗布工程は、洗浄工程に用いた逆噴射ノズルGをそのまま利用する。まず、接着剤の塗布を行う前に、下地処理としてプライマーを中空コンクリートポール内壁に噴き付ける。プライマーは、硬化剤と主剤の2液に分かれており、2液を別々に攪拌装置で練り合わされて、2液定量ポンプで圧送され分流器により2液が合流した状態で、ホースhに圧縮空気とともに供給されることで混合される。プライマーはコンクリートポール内壁に付着して流れ落ちないように、粘着性を高めた添加剤が配合されている。このプライマーを図8(f)に示すようにホースhを通じてプライマーが混合され供給される逆噴射ノズルGを上下動させることで中空コンクリート内壁に吹き付ける。
次に、接着剤を吹き付けることで塗布する。接着剤も、プライマーと同様に硬化剤と主剤の2液に分かれており、2液を別々に攪拌装置で練り合わされて、2液定量ポンプで圧送され分流器により2液が合流した状態で、ホースhに圧縮空気とともに供給されることで混合される。接着剤もコンクリートポール内壁に付着して流れ落ちないように、粘着性を高めた添加剤が配合されている。このような接着剤を、プライマーと同様に図8(f)に示すようにホースhを通じて接着剤が混合され供給される逆噴射ノズルGを上下動させることで中空コンクリート内壁に吹き付け作業が完了する。なお、作業完了後は、ホースhを引き抜くことで、噴射ノズルを中空コンクリートポール内から地上部に回収し、さらに、噴射ノズルに連結される底部親線W1bを引き抜いて親線W1を回収する。
【0019】
(6)内壁補強シート固定工程
(6−1)内壁補強シートの構造
図9Aに内壁補強シート40の正面図を示す。内壁補強シートは、高強度繊維シートをコンクリートポール内壁に合致する円筒形状とし、上端部と下端部を閉じての袋状に形成した本体部41と、本体部41の上端部に設けられる合成樹脂性の円筒体から構成される上部係合部材42と、本体部41の下端部に設けられる合成樹脂性の円筒体から構成される下部係合部材43と、上部係合体42の上部の孔から本体10内部に連通するように設けられるフレキシブルな管体から構成される第一連通管となるエアーホース44、下部係合部材43の下部の孔から本体10内部に連通するように設けられるフレキシブルな管体により構成される第二連通管となるサクションホース45とから構成される。図9Bに本体部41の接合部近傍の拡大横断面図を示す。本体部41の接合部は円筒状に形成した端部同士を20cmほど重ねるとともに、内部及び外部に形成される端縁41b1、41b2のそれぞれの位置に、ポリウレタンシートなどの弾性体繊維から形成される帯状体41c1、41c2を縫い合わせることにより固定されている。このように弾性体繊維の帯状体41c1、41c2により固定することで、本体部41に弾性を持たせることができ、これにより、凹凸があるコンクリートポール内壁面に沿ってうまく変形させることができる。本体部41のほぼ中央位置には、10m/m程度のOリング41aが編みこまれている。また、上部係合体42の外径は、前記頭部固定装置20の係合筒部21aの内径にほぼ嵌る大きさであり、上部係合体42の外周には、バネにより外方に付勢される側面外方が上方から下方に広がるような傾斜が設けられた係合凸部42aが設けられており、係合凸部42aが係合筒部21aの下方に形成されるリング状部分に係合するようになっている。即ち、係合筒部21aは上部被係合部を構成する。同じように、下部係合体43の外径は、前記底部固定装置30の係合筒部31aの内径にほぼ嵌る大きさであり、下部係合体43の外周には、バネにより外方に付勢される側面外方が下方から上方に広がるような傾斜が設けられた係合凸部43aが設けられており、この係合凸部43が係合筒部31aの上方に形成されるリング状部分に係合するようになっている。即ち、係合筒部31aは下部被係合部を構成する。なお、内壁補強シート40の内部、上部係合体42の下端側には、後述する頭部配列装置と底部配列装置とからなる筒状補強部材配列装置が設けられるとともに、これらを通る第二ワイヤー及び第三ワイヤーが設けられており、内壁補強シート40の下端側には、底部配列装置が係合する底部配列装置被係合部が設けられているが、これらについては後述する。
【0020】
(6−2)内壁補強シート固定工法
内壁補強シート40は、本体部41がステップ孔12を通ることができるように、幅方向を円筒型に巻いた形状として挿入する。まず、図10(a)に示すように親線W1の頭部固定装置20から底部固定装置30に至る部分を鉤の付いた棒で引っ掛けて、ステップ孔12から引き出し、図10(b)に示すように引き出した部分を切断する。切断したそれぞれの端部について、頭部親線W1aに連結している方を頭部切断線W1aa、底部親線W1bに連結している方を底部切断線W1bbと称する。
次に、図10(b)に示すように頭部親線W1aを、内壁補強シート40のエアーホース44先端と結束して、頭部切断線W1aaを引っ張ることにより、エアーホース44先端を、中空コンクリートポールP内へと挿入する。エアーホース44は、図10(c)に示すように頭部固定装置20の係合筒部21a内を通過して、上部の滑車24で折り返し下降する。また、エアーホースに連結された本体部41も内部へ挿入されて行く。本体部41の中央部に編みこまれたOリング41aを確認して、頭部切断線W1aaを仮固定する。次に、Oリング41a内に、下部帯筋線wbを通し、Oリング41aを中心にして、底部側に、Oリングで引っ掛かるためのピンボール41bを取り付ける。ピンボール41bは、Oリングよりも大きな外径を有する鉛製球体であり、下部帯筋線wbに係合できるような溝が形成されており、溝に下部帯筋線wbが嵌った状態で溝をつぶすことで固定される。この状態で、上部帯筋線waを引っ張ると、ピンボール41bが、Oリング41aに引っ掛かり、図10(d)に示すようにOリング41aが編みこまれた本体部41の中央部が、中空コンクリートポールP内へ挿入されて行く。さらに、ある程度、本体部41が内部に挿入されるとサクションホース45も内部へと挿入される。この挿入の途中で、サクションホース45の先端を確認したら、底部親線W1bとサクションホース45先端とを結束する。この状態で、さらに上部帯筋線waを引っ張ると、底部親線W1bに連結されたサクションホース先端が、中空コンクリートポール内へ引き込まれるので、この状態で上部帯筋線waを仮固定する。
【0021】
次に、仮固定してあった頭部切断線W1aaを引っ張り、エアーホース44の先端をステップ孔12から表出させる。そして、さらにエアホース44を引き出すと図11(e)に示すようにエアーホース44に連結された上部係合部材42が、頭部固定装置20の係合筒部21a内に挿入され、係合凸部42aにより係合筒部21aに係合する。これにより、内壁補強シート40の上端が、中空コンクリートポールP内壁上部に固定されることとなる。
次に、底部切断線W1bbを引っ張ると、サクションホース45の先端が移動し、底部固定装置30の筒状係合部31a内を通り、滑車34で折り返して、上昇しステップ孔12より外部へ引き出される。 サクションホース45をさらに外部へ引張出すと、図11(f)に示すようにサクションホース45に連結された下部係合部材43が、底部固定装置30の係合筒部31a内に挿入され、係合凸部43aにより係合筒部31aに係合する。これにより、内壁補強シート40の下端が、中空コンクリートポールP内壁底部に固定されることとなる。その後、図11(g)に示すように、下部帯筋線wbを引き抜くことにより、本体部41の中央部に付いたピンボール41b及び上部帯筋線waを取り出して回収し、サクションホース45およびエアホース44からピアノ線を取り外す。
内壁補強シート40の上端および下端が固定されたら、サクションホース先端をコンプレッサーから延長した耐圧ホースと接続し、圧縮空気を本体41内に送って、図11(h)に示すように本体41を膨張させ、コンクリートポール内壁に付着した接着剤と本体41の側面とを密着させる。エアーホース44内から圧縮空気が排出されたら、サクションホース45先端と耐圧ホースとを切り離す。これにより、内壁補強シート40の本体41の側面は中空コンクリートポールの内壁に接着固定されることとなる。なお、内壁補強シート40は、長さを調整することが出来るため、補強範囲に合わせて施工が可能であり、コンクリートポールの頭部と底部とが、同じ外径(ノーテーパー型)のコンクリートポールにも適用可能である。
【0022】
(7)筒状補強部材設置工程
(7−1)筒状補強部材配列装置の構造
内壁補強シート40の上部係合体42の下端側には、補強部材固定体となる筒状補強部材配列装置が設けられている。筒状補強部材配列装置は頭部配列装置50と、底部配列装置60とから構成される。図12に現時点の中空コンクリートポール上端の拡大断面図を示す。なお、図において頭部固定装置20、頭部配列装置50、底部配列装置60は便宜上断面ではない。頭部配列装置50は、内壁補強シート40の上部係合体41に固定されており、底部配列装置60は、頭部配列装置50の下部に仮止めされている。
頭部配列装置50は、筒状体で外周に第二被係合部となる円形の係合穴51が8つ設けられている。また、頭部配列装置50の下端側には、線材により形成される、放射状に広がる8つの枠を支持枠とする支持フレームを構成する頭部配列部材52が形成されている。頭部配列部材52を形成する8つの枠は、下方から上方に同じ角度を持って連動するように回動可能に形成されており水平状態まで広がるようになっている。さらに、頭部配列部材52の内側下部には、筒状体の側面に穴を開けることで下縁がリング状に形成された第三被係合部53が形成されている。
【0023】
底部配列装置60は、係合穴部材を構成し、筒状体で外周に円形の係合穴61が8つ設けられている。また、底部配列装置60の上端側には、放射状に広がる棒体の先端に8つの円形の枠が支持枠としてが形成された支持フレームとなる下部配列部材62が形成されている。下部配列部材62を構成する棒体は、下方から上方に回動可能に形成されており水平状態まで広がるようになっている。また、底部配列装置60の上端には頭部配列装置50の底部配列装置固定部53のリング状部分に係合する仮係合片63が設けられている。仮係合片63は、内側に没入可能で内部から外側に向かってバネで付勢されており、外縁が上方から下方に向かって内側に傾斜している。これにより、底部配列装置60を一定以上の力で下方に引っ張ると仮係合片63の係合が解けて、底部配列装置60は頭部配列装置50から脱落することができる。また、底部配列装置60の上端には、円筒体に穴を開けることで上端をリング状に形成した第二被係合部となる内部型枠被係合部66が形成され、さらに、底部配列装置60の下端近傍の側面には、底部配列装置係合片65が出没可能に形成されている。底部配列装置係合片65は、内側からバネで外側に付勢されるとともに、下方に向かって内側に向うように傾斜が形成されている。この底部配列装置係合片65は、内壁補強シート40の下端に形成される底部配列装置被係合部と係合する。底部配列装置被係合部は、底部配列装置60がほぼ収まる大きさの筒状であって、側面に切り欠きが形成されることで、上縁にリング状部分が形成されている。また、後述する底部配列装置60の下端内部にはワイヤー結束具64が設けられている。
【0024】
これらの頭部配列装置50および底部配列装置60には、内壁補強シート40のエアーホース44、サクションホース45より外部に表出する第二ワイヤーW2及び第三ワイヤーW3の2種類のワイヤーが通されている。第三ワイヤーW3は、エアーホース44の端部からエアーホース内を通り頭部配列装置50の中心及び底部配列装置60の中心を抜けて、内壁補強シート40内に至り、内壁補強シートを抜けてサクションホース45内を通り、サクションホース45端部から表出する。第二ワイヤーW2は8本あり、それぞれのワイヤーが、エアーホース44端部からエアーホース44内を通って頭部配列装置50に至り、それぞれが異なる頭部配列装置50の係合穴51を内側から外側に抜け、さらに、それぞれが頭部配列部材52の異なる枠を上方から下方へと通り、それぞれが底部配列装置60の下部配列部材62の異なる枠を上方から下方に抜け、底部配列装置60の係合穴を外側から内側に入り、底部配列装置60内で第三ワイヤーW3と連結されているワイヤー結束具64によって束ねられる。図13にワイヤー結束具64を示す底部配列装置60の下端部分の断面図を示す。ワイヤー結束具64は、下方が開放したコの字状の結束枠64aと、2枚のカムから成る作動片64bとから構成される。結束枠64aの上面は、第二ワイヤーW2の端部が固定されるとともに、第三ワイヤーW3の一部が固定されている。作動片64bは、互いに回動可能に連結されており、下方に結束枠64aの横幅よりも広い接触縁64baと、上方に底部配列装置60の下縁近傍の側面に設けられる穴に係合する係合鉤64bbとを有し、バネ64bcにより係合鉤64bbが係合する方向に付勢されている。そして、結束枠64aがぎりぎり通ることができる大きさの通路を通ると、接触縁64baが内側に押し入れられる結果、係合鉤64bbも移動し、底部配列装置60との係合が解けるようになっている。
【0025】
(7−2)筒状補強部材の構造
筒状補強部材の正面図を図14に示す。筒状補強部材70は、筒状の高強度繊維シートを上部および下部を封止することで袋状に形成したものであり、ここでは補強する長さが補強延長を16mとして、頭部の外径が20m/m程度で、底部の外径が50m/m程度に形成している。筒状補強部材70の上端には筒状補強部材70の内部に連通するゴムチューブ71が設けられる。ゴムチューブ71の先端には、頭部配列装置50の係合穴51に係合する第二係合部71aが設けられている。第二係合部71aは、上端が絞られた円筒体の左右に出没可能に形成されるバネにより外方に付勢される出没片を有し、出没片は上方から下方に向かって外側に広がるような傾斜が設けられることで、係合穴51に入って出没片が入りきったところで広がり係合するようになっている。また、筒状補強部材70の下端は内部に連通するゴムチューブからなるモルタル注入管72が設けられる。モルタル注入管72の下端部には、底部配列装置60の係合穴61を塞ぐ大きさを有する外方に張り出すゴムリングからなるフランジ部72aが設けられている。さらに、筒状補強部材70の側面には、等間隔で、内部に連通する貫通孔であるストレーナ孔73が形成されている。筒状補強部材70のゴムチューブ71の基端部にはリング状の上部リング部材74が設けられ、モルタル注入管72の上端部にもリング状の下部リング部材75が設けられている。上部リング部材74は、底部配列装置60の下部配列部材62の枠を通ることができるが、頭部配列装置50の頭部配列部材52の枠を通ることができない大きさに形成され、下部リング75は下部配列装置62の枠を通ることができない大きさに形成されている。さらに、筒状補強部材70の内部にはゴムチューブ71の端部からモルタル注入管72の端部に至る連結ワイヤー76が通っている。連結ワイヤー76には、ゴムチューブ71の第二係合部71aの上部を抜けることができないピンボール76aが固定されており、これにより、連結ワイヤー76はゴムチューブ71側からは抜けないが、モルタル注入管72側からは抜けるようになっている。なお、連結ワイヤー76はモルタル注入管72から十分な長さ表出しているものとする。
【0026】
(7−3)筒状補強部材配列工法
最初に底部配列装置60を内壁補強シート40の下端側に移動させて固定する。そのために、まず、エアーホース44から表出する第三ワイヤーW3と、第二ワイヤーを構成するピアノ線を接続延長する。次に、図15(a)に示すように、サクションホース内の第三ワイヤーを引っ張ることで、ワイヤー結束器具64に係合している底部固定装置60を下方に引っ張る。一定以上の力で引っ張ると、底部固定装置60と頭部固定装置50との係合が解けて、底部固定装置60のみが図15(b)に示すように下降移動する。この際、ワイヤー結束具64に結束されている第二ワイヤーW2も第三ワイヤーW3とともにエアーホース44内へと繰り入れられる。やがて、底部固定装置60が内壁補助シート40の下端に達すると、底部固定装置60の下端近傍に設けられた底部固定装置係合片65と内壁補助シート40の下端に設けられた底部固定装置被係合部47とが係合する。図16(a)(b)に底部固定装置係合片65と底部固定装置被係合部47とが係合する様子を示す。そして、さらに第三ワイヤーW3を引っ張ると、ワイヤー結束具64が底部固定装置60から外れる。具体的には、図16(a)(b)に示すように、サクションホース45の基端内部に、ワイヤー結束具64の結束枠64aがぎりぎり通ることができる通路が設けられており、これにより、ワイヤー結束具64の作動片64bが作動して、係合鉤64bbが内側に移動し、底部配列装置60との係合が解かれる。これにより、ワイヤー結束具64のみがサクションホース45内を通ることとなる。このまま、第三ワイヤーW3を引っ張ると、図15(c)に示すように、やがてワイヤー結束具64とこれに連なる8本の第二ワイヤーW2の端部がサクションホース45の端部から外部へ排出される。その後、図15(d)に示すように、ワイヤー結束器具64から第二ワイヤーW2および第三ワイヤーW3を取り外して、底部配列装置60の固定が完了する。この状態で、第二ワイヤーW2及び第三ワイヤーW3は、エアーホース、内壁補強シート、サクションホースを通っていることとなる。
【0027】
次に、筒状補強部材70を配置していく。筒状補強部材70はサクションホース45を通ることができるように幅方向にロ−ル状に巻いている。現時点における内壁補強シート40の下端の様子を図17に、同上端の様子を図18に示す。図に示すように、第二ワイヤーW2は、サクションホース内を通って底部配列装置60の係合穴61から内壁補強シート40内に至り下部配列部材62の枠を内側から外側に抜け、内壁補強シート40の本体41内部を通って、頭部配列装置50の頭部配列部材52の枠体を下から上に抜けて、頭部配列装置50の係合穴51を入りエアーホース44に至っている。
そこで、まず、図19(a)に示すように、ステップ孔12から出ているサクションホース45の先端から表出する第二ワイヤーW2の一本を筒状補強部材70のゴムチューブ71先端から表出する連結ワイヤー76の先端と結合し、ステップ孔12から出ているエアーホース44から表出するこの第二ワイヤーW2の他端を引っ張ることで、筒状補強部材70をサクションホース45内へと入れていく。第二ワイヤーW2をさらに引っ張ると図19(b)に示すように筒状補強部材70の先端は底部配列装置60に至り、底部配列装置60の係合穴61から底部配列装置60の下部配列部材62の枠内を通って上昇する。やがて、筒状補強部材70のモルタル注入管72の上端部に設けられる下部リング部材75が下部配列部材62の枠に至ると、当該下部リング部材75はこの枠を抜けることができないので、枠が下部リング部材75により押し上げられる結果、下部配列部材62を構成する棒体が下方から上方に回動し、水平状態にまで広がる。同様に、筒状補強部材70のゴムチューブ71の基端に設けられる上部リング部材74が頭部配列装置50の頭部配列部材52に至ると、当該上部リング部材74は頭部配列部材52の枠を抜けることができないので、枠を押し上げることとなり、頭部配列装置52の枠が下方から上方に向って回動してほぼ水平状態にまで広がる。ゴムチューブ71先端に設けられる第二係合部71aが頭部配列装置50の係合穴51内に入ると、第二係合部71aの出没片が係合穴51に係合して固定される。一方、底部係合装置60側においては、筒状補強部材70のモルタル注入管72下端部に設けられるフランジ部72aが係合穴61に至って係合穴61を塞ぐ状態となる。これにより図19(c)に示すように、筒状補強部材70の上端と下端が固定されるとともに、頭部配列装置50の頭部配列部材52の一つの枠および底部配列装置60の下部配列部材62の一つの枠がほぼ水平状態に広がって筒状補強部材70を保持することとなる。
最後に、図19(d)に示すように筒状補強部材70の連結ワイヤー76をサクションホース45側から引き抜くことで、連結ワイヤー76とこれに連なる第二ワイヤーW2を取り出して一つの筒状補強部材70の固定が完了する。以下、全ての筒状補強部材70に関して同様の作業を行う。図20に、この状態における頭部配列装置50近傍の状態を示し、図21(a)に底部配列装置60部分の横断面図を、図21(b)に頭部配列装置50部分の横断面図を示す。図に示すように、筒状補強部材70は頭部配列装置50、底部配列装置60により、ほぼ対称に中空コンクリートポール内に放射状に配列されることとなる。
【0028】
(8)内部型枠設置工程
(8―1)内部型枠の構造
図22に内部型枠80の正面図を示す。内部型枠80は、円筒柱状の塩化ビニールの上端及び下端を閉じて袋状に加工したものであり、外周部に高強度繊維シート81を巻きつけている。内部型枠80の上端には第三係合部82が設けられている。第三係合部82は基部が円柱状で上部が円錐台状ととなった部材であり内部に上端側に絞られた貫通孔が設けられ、外径が頭部配列装置50の下端に形成される底部配列装置固定部53の内径よりやや小さく形成され、側面に出没可能に形成され外方にバネにより付勢される係合凸部82aが設けられている。係合凸部82aは上方から下方に向かって外方に向かうように傾斜しており、これにより、頭部配列装置50の底部配列装置固定部53に第三係合部82は係合凸部82aが没入しながら挿入できるとともに、係合凸部82aが底部配列装置固定部53のリング状部分を越えたところで拡がり、これにより第三係合部82は頭部配列装置50の底部配列装置固定部53に係合固定される。内部型枠80の下端には下部内部型枠係合部83が形成されている。下部内部型枠係合部83は、円筒体で内部型枠80内部と外部とを連通させており、外径は、底部配列装置60の内部型枠被係合部66の内径よりやや小さく形成されている。下部内部型枠係合部83には側面に出没可能に形成され外方にバネにより付勢される係合突起83aが設けられており、底部配列装置60の内部型枠被係合部66のリング状部分に係合するようになっている。さらに、下部内部型枠係合部83の中心の穴には気体注入管となる耐圧ホース84が連結されており、内部型枠80内部へ圧縮空気を入れることができるようになっている。また、内部型枠80の内部には第三係合部82の端部から耐圧ホース84の端部に至る連結ワイヤー86が通っている。連結ワイヤー86には、第三係合部82の上部を抜けることができないピンボール86aが固定されており、これにより、連結ワイヤー86は第三係合部82側からは抜けないが、耐圧ホース84側からは抜けるようになっている。なお、連結ワイヤー86は耐圧ホース84から十分な長さ表出しているものとする。
【0029】
(8―2)内部型枠設置工法
内部型枠80は、サクションホース45内へ挿入できるように、幅方向をロ−ル状に圧縮縮小しておく。まず、図23(a)に示すように、内部型枠80の先端から表出する連結ワイヤー86とサクションホース45内の第三ワイヤーW3と結合して、次に、エアーホース44の先端から表出する第三ワイヤーW3を引っ張ることにより、内部型枠80を先端からサクションホース45内へと導く。やがて、内部型枠80の先端は図23(b)に示すように、底部配列装置60の内部型枠被係合部66の中心を通過して、頭部配列装置50の底部配列措置固定部53の中心に向って上昇する。内部型枠80が上昇すると、まず下部内部型枠係合部83が底部配列装置60の内部型枠被係合部66のリング状部分に係合する。それから、頭部配列装置50に内部型枠80の先端が至ると、第三係合部82と頭部配列装置50の底部配列装置固定部53とが係合する。これにより、図23(c)に示すように、内部型枠80の上端と下端とが固定されることとなる。その後、サクションホース45から表出する連結ワイヤー86を引き抜くことで、連結ワイヤー
86及び第三ワイヤーW3を取り出す。最後に、サクションホース45の端部から表出する耐圧ホース84を図24に示すような二重管継手に接続し、図25(d)に示すように内部型枠80内に圧縮空気を充填して、エアー型枠を膨張させて作業が完了する。なお、内部型枠80は、適宜補強長と補強厚を設定することができ、ノーテーパー型のコンクリートポールにも適用可能である。
【0030】
(9)モルタル打設工程
補強剤の速硬性樹脂モルタルは、硬化剤と主剤との2液に分かれており、攪拌装置で2液を別々に練り合わせ、2液定量モルタルポンプ(注入ポンプ)で、分流器へ送り図24に示す二重継手によりサクションホース45に連結される注入ホースSへと圧送する。また、エアーホース44先端にコックCを取り付けておく。各液は、サクションホース45内でミキシングされ、底部配列装置60の係合孔61aから各円筒補強部材70内へと充填されて行く。円筒補強部材70には、ストレーナー孔73が形成されているので、ストレーナー孔73から速硬性樹脂モルタルが外部に流出して、内壁補強シート10内部と内部型枠80の外部との間の空隙も埋めながら、上昇して充填されて行く。上端にまでモルタルが達すると、さらに、頭部固定装置50内に入り、エアーホース44を通じて地上部へと流出する。速硬性樹脂モルタルの流出を確認すると、エアーホース44先端に設けたコックCを閉めて、同時に、注入ポンプを停止して、モルタルの充填作業が完了する。充填完了後は、速硬性樹脂モルタルの硬化確認をエアーホース44先端のコックCを開けることで行い、硬化確認後に二重管継手に布設されたエア用のコックを開いて内部型枠80内の圧縮空気を開放する。なお、二重管継手の構造を替えて、硬化時間が長い補強剤の充填も、施工可能であり、ノーテーパー型のコンクリートポールにも適用可能である。
【0031】
(10)足場ボルト受け口復旧工程
まず、図25に(a)に示すステップ孔12からはみ出した3本のホースを、図25(b)に示すようにコンクリートポール側面で、鉛直方向に切断する。なお、モルタルは高強度繊維シートにより構成される内部補強シート40を透過して、ステップ孔12内部に至っている。次に、図25(c)に示すようにステップ孔12の設置時に使用した同型のコアードリルを使用して、水平方向に、奥行き50m/m程度まで削孔を行い、削孔口を形成する。それから、削孔口内を清掃してプライマーを散布し、速硬性接着剤をカートリッジガンにより充填して、図25(d)に示すように、新品の昇降用足場ボルト受け口Nを差込み固定する。接着剤硬化後に、削孔口周囲の清掃行い作業が完了する。
以上の全ての工程の完了により補強工事が完了する。これにより、図26(a)(b)に示すように中空コンクリートポール内壁には、内部補強シート40が接着され、内部補強シート40の内側と内部型枠80の外側との間は、内部補強部材70が均等に配列された状態でモルタルにより補強されることとなる。
【0032】
(補足)車上プラント
上記の工法は、一台のトラックに載置される車上プラントのみで行うことが可能である。車上プラントの荷台寸法は、全長4.300m/m×横幅1.700m/m程度の平ボディートラックを使用して、補強作業で使用する機材を1台のトラックに搭載したものである。図26に車上プラントの概要を表す平面図を示す。車上プラントXは、発電機DM、物置B、モルタル材料置き場M、コンプレッサーCP、ギヤーポンプGP、接着剤主剤槽T1A、接着剤硬化剤相槽T1B、プライマー主剤槽T2A、プライマー硬化剤槽T2B、モルタル主剤攪拌槽MA、モルタル硬化剤攪拌層MB、グラウト流量計F、注水ポンプW、ロッドドラムLR、ホースドラムHRを載置している。車上プラントの後方に載置されるホースドラムには、補強を行うコンクリートポールまで補強材料を圧送するためのホースが、ホースドラムに収納されている。ホースの種類は、水や補強剤などの液体の圧送には、耐圧性能を高めた注入ホースと、圧縮空気を圧送するための耐圧ホースとは別々に、ホースドラムに収納されている。また、補強材料の内壁補強シート40と筒状補強部材70と内部型枠80は、ロール状に圧縮縮小加工されてダクトホース内に内蔵され、ホースドラムに収納されている。補強作業時は、補強を行うコンクリートポールまで、ダクトホースを延長して施工する。グラウト流量計Fは、補強材を充填する際の充填量と充填圧力を管理して、記録に残す形式になっている。さらに、車上プラントXにおいて、コンクリートポール中空部に、超小型カメラを挿入して、地上部と車上プラントで作業状況をモニターで確認しながら施工を行い、記録に残すようにしてもよい。
【0033】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る中空コンクリートポールの補強工法について説明する。実施形態2に係る中空コンクリートポール補強工法の概要は、(1)ステップ孔形成工程、(2)頭部固定装置設置工程、(3)底部固定装置設置工程、(4)洗浄工程、(5)第1接着剤塗布工程、(6)内壁補強シート固定工程、(7)第2接着剤塗布工程、(8)内部型枠設置工程、(9)足場ボルト受け口復旧工程からなる。実施形態2に係る中空コンクリートポール補強工程は、第2接着剤塗布工程が内壁補強シート固定工程の後に行われる点、筒状補強部材接地工程、モルタル打設工程を有しない点において、実施形態1に係る中空コンクリートポール補強工程と異なる。以下、各工程に関し実施形態1に係る中空コンクリートポール補強工法との相違点を中心に説明する。
【0034】
(1)ステップ孔形成工程、(2)頭部固定装置設置工程、(3)底部固定装置設置工程は実施形態1に係るステップ孔形成工程、頭部固定装置設置工程、底部固定装置設置工程とほぼ同様である。ただし、頭部固定装置設置工程および底部固定装置設置工程において使用する頭部固定装置120及び底部固定装置130は、それぞれ、図28、図29に示すようにジャッキに代えてゴム製の風船からなるバルーン121、131が設けられ、耐圧ホースからは油圧でなくエアが供給されるものが使用される。このような構成により、エアにより膨張するバルーン121、131によって中空コンクリートポール内に固定できるようになっている。また、頭部固定装置120の滑車には帯筋線wは掛けられておらず、親線W1のみが掛けられている。
(4)洗浄工程は実施形態1に係る洗浄工程とほぼ同様である。
(5)第1接着剤塗布工程は、実施形態1における接着剤塗布工程において接着剤は塗布しないものであり、逆噴射ノズルGによってプライマー液をのみを内壁に塗布するものである。
【0035】
(6)内壁補強シート固定工程は、内壁補強シート140及び内壁補強シート固定工法が異なる。内壁補強シート140は実施形態1に係る内壁補強シート40とほぼ同様の構成を有し本体部141、上部係合部142、下部係合部143、エアホース144、サクションホース145を有するが、Oリング41aは編み込まれていない。また、内壁補強シート140内には、頭部配列装置と底部配列装置とからなる筒状補強部材配列装置は設けられておらず、第三ワイヤーW3のみが通っている。
また、内壁補強シート固定工法は、実施形態1に係る内壁補強シート固定工法とは異なり、親線W1を切断することなく、図30(a)に示すように、親線W1の底部固定装置130側に繋がる端部W1bに内壁補強シート140のエアーホース144を取り付けて、親線の頭部固定装置120側に繋がる端部W1aを引くことで、内壁補強シート140を中空コンクリートポールP内へ引張り入れる。これにより、図30(b)に示すようにエアホース144は、底部固定装置130の筒状係合部を通って上昇し、頭部固定装置120の係合筒部を通って外部へ表出する。そして、図30(c)に示すように、内壁補強シート140の上部係合部142は頭部固定装置120に係合し、下部係合部143は底部固定装置130に係合することで、内壁補強シート140が固定される。その後、図30(d)に示すようにサクションホース145から空気を送り込み、内壁補強シート140を膨張させる。
【0036】
(7)第2接着剤塗布工程は、内壁補強シート140内に対して行われる。即ち、図30(a)に示すように内壁補強シート140を膨らませた後に、図30(b)に示すように、逆噴射ノズルGを第3ワイヤーW3を利用して内壁補強シート140内に挿入して内壁補強シート内に、逆噴射ノズルGを介してエポキシ樹脂接着剤を塗布する。エポキシ樹脂接着剤は、速硬化型で硬化剤と本剤に分かれたものを使用する。内壁補強シート140は繊維により形成されているので、塗布した接着剤が浸透し、中空コンクリートポール内壁に接する面にまで達することができるので、これにより内壁補強シート140を中空コンクリートポール内壁に接着することができる。また、接着剤の塗布量により、接着剤が硬化のちの強度を上げることができる。
(8)内部型枠設置工程は(7)第2接着剤塗布工程の直ぐ後に行われるものであり、使用される内部型枠180の大きさは内壁補強シート140とほぼ同じ大きさに設定されている。内部型枠180は図30(c)に示すように頭部固定装置120、底部固定装置130に上下を固定された後に、内部に加熱空気を吹き込むことにより、内壁補強シート140を中空コンクリートポール内壁に押し付けるとともに、内壁補強シート140全体に染み込んだエポキシ接着剤を過熱して早期に硬化させる。
以上のような工程により、図31の破断斜視図に示すように中空コンクリートポール内壁に内部補強シート140、高強度繊維シート181を外周に有する内部型枠180が固定されこれより中空コンクリートポールの縦横せん断力が強化されることとなる。
【0037】
(実施形態1に対する変形例)
[1]筒状補強部材配列装置の変形例
[1-1]フレキシブル筒状補強部材配列装置
図33に筒状補強部材配列装置の変形例である、フレキシブル筒状補強部材配列装置250を示す。フレキシブル筒状補強部材配列装置250は、頭部配列部251、底部配列装置252、中間支持枠253とから構成される。頭部配列装置251は、筒状体で外周に第二被係合部となる円形の係合穴251aが8つ設けられている。また、円筒体の下部には側面に穴を開けることで下縁がリング状に形成された第三被係合部251bが形成されている。また、円筒体の上部には、バネにより外方に付勢される側面外方が上方から下方に広がるような傾斜が設けられた内壁補強シート係合部251cが設けられている。また、頭部配列装置251の上面の穴は本体を構成する筒状体の内径よりもやや小さく形成されている。
底部配列装置252は、筒状体で外周に第二被係合部となる円形の係合穴252aが8つ設けられている。また、円筒体の上部には側面に穴を開けることで上縁がリング状に形成された内部型枠被係合部251bが形成されている。また、円筒体の下部には、引張りコイルバネ252cが取り付けられ、引張コイルバネ252c下端には内壁補強シート40内に入れない大きさを有するドーナツ状のフランジ体252dが設けられている。
中間支持枠253は、頭部配列装置251の円形の下縁から底部配列装置252の円形の上縁に両端部を固定される帯紐からなる8本の縦枠253aと、隣接する縦枠253a同士を等距離で連結する紐体からなる複数の横枠253bと、縦枠253aの外面側に一定間隔で配列される筒状補強部材の外周径とほぼ同じ内径をもつリング体からなる筒状補強部材保持リング253cとから構成される。縦枠253aの長さは、頭部配列装置251の内壁補強シート係合部251と、底部配列装置252のフラン自体252dがともに内壁補強シートに係合した状態で、内部型枠の外面にほぼ接する程度の長さに設定される。また、横枠253bの長さは、内部型枠を膨らませた状態で、内部型枠の外面に緊張状態で接する程度の長さに設定される。
【0038】
フレキシブル筒状補強部材配列装置250の内部には第二ワイヤーW2及び仮第三ワイヤーW3aの2種類のワイヤーが通される。仮第三ワイヤーW3は、頭部固定装置251の上面から内部を通って底部固定装置252の上面から内部を通って下面から表出する。仮第三ワイヤーW3の途中、頭部固定装置251上面内部には頭部固定装置の上面の穴を通ることができないピンボールW3aが固定されている。
第二ワイヤーW2は8本あり、それぞれのワイヤーが、頭部配列装置251の上面から内部を通って、それぞれが異なる頭部配列装置251の係合穴251aを内側から外側に抜け、さらに、それぞれが中間支持枠253の異なる縦枠253aに設けられた筒状補強部材保持リング253cを上方から下方へと通り、さらに、それぞれが底部配列装置252の係合穴252aを外側から内側に入り、底部配列装置252の下面から表出する。 第二ワイヤーW2と第三ワイヤーW3とは、上端側及び下端側の位置で結束具により一体となっている。
【0039】
[1-2]フレキシブル筒状補強部材配列装置の固定工法
このような構成を有するフレキシブル筒状補強部材配列装置250は、内壁補強シートを固定した後から挿入固定するものであり、内壁補強シート40内に予め固定されているものではない。フレキシブル筒状補強部材配列装置250を挿入するための内壁補強シート内には第三ワイヤーのみが通っているとともに、内側上部には、フレキシブル筒状補強部材配列装置250の内壁補強シート係合部251cが係合するリング状部材が設けられ、また、下端側には、フレキシブル筒状補強部材配列装置250のフランジ体252cが通ることができない穴が設けられている。
フレキシブル筒状補強部材配列装置250の固定に際しては、内壁補強シートのサクションホース側に繋がる第三ワイヤーの端部に、筒状補強部材配列装置250の上部側に繋がる仮第三ワイヤーW3xを繋げて、内壁補強シートのエアホース側に繋がる第三ワイヤーを引っ張ることで、フレキシブル筒状補強部材配列装置250はピンボールW3xaによって仮第三ワイヤーW3xに引っ張られ、内壁補強シートのサクションホースを通り、内壁補強シート内部を上昇し、やがて、フレキシブル筒状補強部材配列装置250の内壁補強シート係合部251cが内壁補強シートの内側上部に設けられるリング状部材に係合する。この際、中間支持枠253の縦枠253aの長さが適切に定められているので、底部固定装置252のフランジ体252dは内壁補強シートの内側下部のフランジ体252cが通ることができない穴に引っ掛かる。これにより、上下でフレキシブル筒状補強部材配列装置250は内部補強シートに固定されることとなる。この状態において第2ワイヤーW2は、中空コンクリートポールPの外部に表出し、第二ワイヤーW2と仮第三ワイヤーW3xとをまとめる結束具も表出するように長さを設定しておく。これにより、結束具による結束を解いて、第二ワイヤーW2と仮第三ワイヤーW3xとを分離することができる。分離後、第三ワイヤーをサクションホース側から引っ張ると、仮第三ワイヤーW3に固定されているピンボールW3xaは下方側には移動できるので、ピンボールW3aの付いた仮第三ワイヤーW3xを取り出し、第三ワイヤーのみを残すことができる。
その後の工程は、上記実施形態1で示したものと同様となる。フレキシブル筒状補強部材配列装置250の中間支持枠253は内部型枠が膨張した状態において、内部型枠の外周に緊張状態で接する篭状となるのでフレキシブルな素材により形成されているが、安定した位置を保つことができる。
【0040】
[2]その他の変形例
[2-1]頭部固定装置、底部固定装置を実施形態2で使用した頭部固定装置、底部固定装置に代えてもよい。
[2-2]内壁補強シート固定工程において、内壁補強シートを頭部固定装置及び底部固定装置に固定する際に、内壁補強シートを中間部で折りたたむことなく、実施形態2で示したようにエアホースを親線に連結して真直ぐに引っ張り上げることで固定してもよい。
[2-3]内壁補強シート固定工程において、内壁補強シートの接着は、実施形態2に示す方法で接着剤を内部から浸透させるようにすることで行ってもよい。この場合、筒状補強部材配列装置を予め挿入しておくことができないので、上述したフレキシブル筒状補強部材配列装置を利用することとなる。
[2-4]モルタル打設工程において、モルタルをサクションホース45に連通される注入ホースSから注入しているが、筒状内部補強部材を上下逆に挿入するようにし注入ホースSをエアホースに連通してモルタルを上方から筒状内部補強部材内部へ注入するようにしてもよい。
【0041】
(実施形態2に対する変形例)
[1]モルタル塗布工程の追加
第2接着剤塗布工程と、内部型枠設置工程との間にモルタル塗布工程を設けてもよい。モルタル塗布工程では、まず、第2接着剤塗布工程において使用した逆噴射ノズルGを第三ワイヤーを引っ張って外部に取り出し、モルタル液を供給する管体に接続されたモルタル液噴射用の逆噴射ノズルと交換する。そして、再び第三ワイヤーを逆に引っ張って、中空コンクリートポールP内部に位置づけ、第三ワイヤーを操作して逆噴射ノズルを上下させながら管体からモルタル液を供給することで、内壁補強シート140内部にモルタル液を吹き付ける。以上でモルタル塗布工程は完了する。内部型枠設置工程は、モルタル塗布工程完了後直ちに行われる。
[2]その他の変形例
[2-1]第2接着剤塗布工程やモルタル塗布工程の後に、逆噴射ノズルから熱風を送り込むことで接着剤やモルタルの乾燥を促進してもよい。
[2-2]内部型枠設置工程を省略し、内壁補強シートもしくは内壁補強シートとモルタル塗布工程で吹き付けられるモルタル層のみで補強するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(a)(b)ともに中空コンクリートポールの側面にパイロット孔を開ける状態を示す中空コンクリートポールの一部拡大断面図である。
【図2】(a)は中空コンクリートポールの側面にステップ孔を開ける前の状態を示す中空コンクリートポールの一部拡大断面図であり、(b)(c)はステップ孔を開ける工程をを示す中空コンクリートポールの一部拡大断面図である。
【図3】ステップ孔を示す中空コンクリートポールの一部拡大断面図である。
【図4】頭部固定装置の正面図である。
【図5】(a)〜(d)は頭部固定装置設置工程を示す模式図である。
【図6】底部固定装置の正面図である。
【図7】(a)〜(d)は底部固定装置設置工程を示す模式図である。
【図8】(a)〜(f)は洗浄工程及び接着剤塗布工程を示す模式図である。
【0043】
【図9A】内壁補強シートの正面図である。
【図9B】内壁補強シートの本体部の接合部近傍の拡大横断面図である。
【図10】(a)〜(d)は内壁補強シート固定工程の一部を示す模式図である。
【図11】(e)〜(h)は内壁補強シート固定工程の他の一部を示す模式図である。
【図12】内壁補強シート固定工程終了後の中空コンクリートポール上端の拡大断面図である。
【図13】ワイヤー結束具を示す底部配列装置の下端部分の断面図をである。
【0044】
【図14】筒状補強部材の正面図である。
【図15】(a)〜(d)は底部固定装置の固定工程を示す模式図である。
【図16】(a)(b)は底部固定装置係合片と底部固定装置被係合部とが係合する様子を示す底部固定装置周辺の拡大断面図である。
【図17】底部固定装置固定時の内壁補強シートの下端内部の状態を示す正面図である。
【図18】底部固定装置固定時の内壁補強シートの上端内部の状態を示す正面図である。
【図19】(a)〜(d)は筒状補強部材の配列工程を示す模式図である。
【図20】筒状補強部材配列工程完了時の頭部配列装置の様子を示す斜視図である。
【図21】(a)は筒状補強部材配列工程完了時の底部配列装置部分の横断面図であり、(b)は筒状補強部材配列工程完了時の頭部配列装置部分の横断面図を示である。
【図22】内部型枠の正面図である。
【図23】(a)〜(d)は内部型枠設置工程を模式的に示す図である。
【図24】モルタル注入時における二重継手を示すステップ孔近傍の拡大断面図である。
【図25】(a)〜(d)は足場ボルト受け口復旧工程を示すステップ孔近傍の拡大断面図である。
【図26】(a)は補強完了後の中空コンクリートポールの一部破断斜視図であり、(b)は補強完了後の中空コンクリートポールの横端面図である。
【図27】車上プラントの概要を模式的に表す平面図である。
【0045】
【図28】実施形態2に係る頭部固定装置の正面図である。
【図29】実施形態2に係る底部固定装置の正面図である。
【図30】(a)〜(d)は内壁補強シート固定工程の別の例を示す模式的に示す図である。
【図31】(a)〜(d)は第2接着剤塗布工程から内部型枠設置工程まで模式的に示す図である。
【図32】実施形態2に係る中空コンクリートポール補強構造を示す一部破断斜視図である。
【図33】フレキシブル筒状補強部材配列装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0046】
P 中空コンクリートポール
X 車上プラント
W1 親線
W2 第2ワイヤー
W3 第3ワイヤー
12 ステップ孔
20 頭部固定装置
21 ジャッキ
21a 筒状係合部
22 ピストンシリンダー
23 耐圧ホース
24 滑車
30 底部固定装置
31 ジャッキ
31a 筒状係合部
34 滑車
40 内壁補強シート
42 上部係合体
43 下部係合体
44 エアーホース
45 サクションホース
50 頭部配列装置
51 係合孔
52 頭部配列部材
53 底部配列装置固定部
60 底部配列装置
61 係合孔
62 下部配列部材
66 内部型枠被係合部
70 筒状補強部材
71a 第二係合部
72 モルタル注入管
72a フランジ部72a
73 ストレーナー孔
80 内部型枠
81 高強度繊維シート
83a 第三係合部
84 耐圧ホース
120 頭部固定装置
130 底部固定装置
140 内壁補強シート
180 内部型枠
250 フレキシブル筒状補強部材配列装置
253a 縦枠
253b 横枠
253d 筒状補強部材保持リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(101)〜(112)に記載の要件を備える中空コンクリートポール内部モルタル打設工法。
(101) 高強度繊維シートを筒状に形成するとともに、上部および下部を封止することで袋状に形成し、内部に連通する管体であるモルタル注入管を設け、さらに、側面に長手方向に沿って複数の内部に貫通する孔であるストレーナ孔を形成した中空コンクリートポール用筒状補強部材を用いる。
(102) 側方に広がる、所定の内径を有する中空コンクリートポールの内側面に係止する突っ張り部を有する中空コンクリートポール用固定装置を用いる。
(103) 中空コンクリートポールの内側上部に前記中空コンクリートポール用固定装置を頭部固定装置として固定し、中空コンクリートポールの内側下部に前記中空コンクリートポール用固定装置を底部固定装置として固定した後に行われる。
(104) 頭部固定装置には、中空コンクリートポールの側方に設けた孔から外部へ連通する管体である第一連通管が固定され、底部固定装置には、中空コンクリートポールの側方に設けた孔から外部へ連通する管体である第二連通管が固定される。
(105) 前記第一連通管又は前記第二連通管に連通する位置には、前記中空コンクリートポール用筒状補強部材が通ることができる係合孔を有する係合孔部材が設けられる。
(106) 前記中空コンクリートポール用筒状補強部材のモルタル注入管の端部側には前記係合孔部材の係合孔を塞ぐように外方に張り出すフランジ部が形成されている。
(107) 中空コンクリートポール外部より第一連通管内部から前記前記中空コンクリートポール内部を経由し係合孔を通って第二連通管内部から中空コンクリートポール外部に至るワイヤーが予め設けられている。
(108) 前記中空コンクリートポール用筒状補強部材のモルタル注入管が設けられていない側の端部には第二係合部材が設けられる。
(109) 前記中空コンクリートポール用内壁補強シートの内部の前記第一連通管又は前記第二連通管のうちの前記係合孔部材が設けられていない側に連通する位置には前記ワイヤーに引かれて移動する前記第二係合部材に係合する第二被係合部材が設けられる。
(110) 第二係合部材が第二被係合部材に係合した状態で、前記モルタル注入管に設けられるフランジ部が前記係合部材の係合孔を塞ぐような長さを前記中空コンクリートポール用筒状補強部材は有する。
(111) 前記中空コンクリートポール用筒状補強部材の第二係合部材が設けられている部分を前記第二ワイヤーの一部と連結し、第二ワイヤーを引くことで、前記中空コンクリートポール用筒状補強部材を前記係合孔部材を通して、第二係合部材を第二被係合部材に係合固定するとともに、前記中空コンクリートポール用筒状補強部材のモルタル注入管に設けられるフランジ部により前記係合孔部材の係合孔を塞ぐ中空コンクリートポール用筒状補強部材固定工程を有する。
(112) 中空コンクリートポール用筒状補強部材固定工程の後に、前記第一連通管及び前記第二連通管のうち前記係合孔部材が設けられるほうからモルタルを注入して、中空コンクリートポール用筒状補強部材内及び前記中空コンクリートポール用内壁補強シート内部にモルタルを充填させ、その後、硬化させるモルタル硬化工程を有する。
【請求項2】
前記中空コンクリートポール内部モルタル打設工法は、 高強度繊維シートを筒状に形成するとともに、上部および下部を封止することで袋状に形成し、前記第一連通管端部が上端において内部に連通するとともに、前記第二連通管端部が下端において内部に連通する中空コンクリートポール用内壁補強シートが中空コンクリートポール内部に固定された後に行われる請求項1に記載のモルタル打設工法。
【請求項3】
さらに、以下の(301)から(305)に記載の要件を備える請求項1又は2に記載の中空コンクリートポール内部モルタル打設工法。
(301) 前記中空コンクリートポール用筒状補強部材は2以上設けられるものである。
(302) 前記中空コンクリートポール用内壁補強シートの少なくとも一端に複数の前記中空コンクリートポール用筒状補強部材を中空コンクリートポールの中心軸に対称に配置するように保持する支持枠を有する支持フレームが設けられる。
(303) 前記第二係合部材及び前記係合孔は前記中空コンクリートポール用筒状補強部材の数だけ設けられる。
(304) 前記ワイヤーは前記中空コンクリートポール用筒状補強部材の数だけ設けられ、それぞれが支持フレームの各支持枠、係合孔部材の各係合孔を通り、各第二被係合部に各第二係合部を導くようにを予め通されている。
(305) 前記中空コンクリートポール用筒状補強部材固定工程がすべての中空コンクリートポール用筒状補強部材に関して完了した後に、前記モルタル硬化工程が行われる。
【請求項4】
前記支持フレームは開閉自在であり、前記中空コンクリートポール用筒状補強部材が通ることにより開くように形成されている請求項3に記載の中空コンクリートポール内部モルタル打設工法。
【請求項5】
前記支持フレームは、第一係合部材から第二係合部材に至る支持フレームの数だけ設けられる紐体と、前記各紐体を互いに等距離になるように連結する連結体と、紐体に固定される支持枠となるリング体とから形成される請求項3に記載の中空コンクリートポール内部モルタル打設工法。
【請求項6】
さらに、以下の(601)から(609)に記載の要件を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の中空コンクリートポール内部モルタル打設工法。
(601) 筒状に形成されるとともに、上部および下部を封止することで袋状に形成され、端部に内部に連通する管体である気体注入管が設けられた中空コンクリートポール用内部型枠が用いられる。
(602) 前記係合孔部材は、前記中空コンクリートポール用内部型枠が通ることができる第二係合孔を有する。
(603) 前記中空コンクリートポール用内部型枠の空気注入管が設けられる端部には第二係合孔を通ることができない係合突起が設けられる。
(604) 第一連通管内部から前記前記中空コンクリートポール用内壁補強シート内部を経由し第二係合孔を通って第二連通管内部に至る第三ワイヤーが予め設けられている。
(605) 前記中空コンクリートポール用内部型枠の係合突起が設けられていない端部には第三係合部材が設けられる。
(606) 前記中空コンクリートポール用内壁補強シートの内部の前記第二被係合部材が存する位置には第三ワイヤーに引かれて移動する前記第三係合部材に係合する第三被係合部材が設けられる。
(607) 第三係合部材が第三被係合部材に係合した状態で、前記係合突起が第二係合孔に係合するような長さを前記中空コンクリートポール用内部型枠は有する。
(608) 前記モルタル硬化工程前に、前記中空コンクリートポール用内部型枠の第三係合部材が設けられている部分を前記第三ワイヤーの一部と連結し、第三ワイヤーを引くことで、前記中空コンクリートポール用内部型枠を前記第二係合孔部材を通して、第三係合部材を第三被係合部材に固定するとともに、前記中空コンクリートポール用内部型枠の前記係合突起を前記係合孔部材の前記第二係合孔に係合させる内部型枠固定工程を有する。
(609) 内部型枠固定工程の後、モルタル硬化工程前に前記中空コンクリートポール用内部型枠の気体注入管を通じて前記中空コンクリートポール用内部型枠内部に気体を送り込んで前記中空コンクリートポール用内部型枠を膨らませる内部型枠膨張行程を有する。
【請求項7】
前記中空コンクリートポール用内部型枠の側面には、高強度繊維シートが巻きつけられている請求項6に記載の中空コンクリートポール内部モルタル打設工法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の中空コンクリートポール内部モルタル打設工法により形成される内部にモルタルを充填した中空コンクリートポールの補強構造。
【請求項9】
高強度繊維シートを筒状に形成するとともに、上部および下部を封止することで袋状に形成し、内部に連通する管体であるモルタル注入管を設け、さらに、側面に長手方向に沿って複数の内部に貫通する孔であるストレーナ孔を形成した中空コンクリートポール用筒状補強部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2008−285995(P2008−285995A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180219(P2008−180219)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【分割の表示】特願2007−157393(P2007−157393)の分割
【原出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(506225765)
【Fターム(参考)】