説明

中空成形体用ポリエチレン系樹脂およびその樹脂からなる中空成形体

【課題】密度が高く座屈強度に優れ、かつボトルESCRに優れ環境応力亀裂の入りにくい中空成形体用ポリエチレン系樹脂およびその樹脂からなる中空成形体を提供する。
【解決手段】メルトフローレート(MFR;JIS K7210、 190℃、2.16kg荷重、単位g/10分)が0.1〜2.0であり、密度(JISK6922−2、測定サンプル MFR計ストランド 沸水30分アニール、単位kg/m3)が957〜967の範囲にあり、かつMz(Z平均分子量)がMz≧−4×105logMFR+1.2×106の式を満たす中空成形体用ポリエチレン系樹脂を使用する。前記ポリエチレン系樹脂としては、21.6kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR21.6)の値を、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)の値で割った値〔(MFR21.6)/(MFR2.16)〕が、200以下であるポリエチレンが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空成形体用ポリエチレン系樹脂およびその樹脂からなる中空成形体に関し、さらに詳しくは、座屈強度、耐環境負荷(ボトルESCR)および耐落下衝撃性に優れ、かつ優れた外観を有する中空成形体を調製することができる中空成形体用ポリエチレン系樹脂およびその樹脂からなる中空成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来、中空成形体では樹脂使用量を削減することが、資源保護および廃棄物量の削減の面から必要とされている。
【0003】しかしながら、たとえば洗剤等の容器に利用されているポリエチレン、特に高密度ポリエチレンからなる中空成形体は、内容液充填時および輸送時等に必要な座屈強度を確保する為に容器肉厚を厚くし、樹脂使用量が大きくなる傾向があった。容器肉厚を薄くし、樹脂使用量を減らしても座屈強度を確保する為には、密度が高く剛性の高いポリエチレン樹脂を使用することが有効である。しかしながら、ボトルとしての座屈強度に優れる密度が957kg/m3以上のポリエチレン材料を用いた場合、内容液として洗剤や柔軟材、漂白剤を貯蔵すると、ボトルESCRの不足により容器に亀裂が発生し、実用化は困難であった。
【0004】したがって、高密度で薄肉化しても座屈強度に優れ、かつ耐環境応力亀裂に優れるポリエチレン中空成形体を調製することが可能な高密度ポリエチレン系樹脂からなる中空成形体用ポリエチレン系樹脂、およびその樹脂からなる中空成形体の出現が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、密度が高く座屈強度に優れ、かつボトルESCRに優れ環境応力亀裂の入りにくい中空成形体用ポリエチレン系樹脂およびその樹脂からなる中空成形体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決する手段】本発明に係る中空成形体用ポリエチレン系樹脂は、メルトフローレート(MFR;JIS K7210、 190℃、2.16kg荷重、単位g/10分)が0.1〜2.0であり、密度(JIS K6922−2、測定サンプル MFR計ストランド 沸水30分アニール、単位kg/m3)が957〜967の範囲にあり、かつMz(Z平均分子量)がMz≧−4×105logMFR+1.2×106の式を満たすことを特徴としている。
【0007】前記ポリエチレン系樹脂としては、21.6kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR21.6)の値を、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)の値で割った値〔(MFR21.6)/(MFR2.16)〕が、200以下であるポリエチレンが好ましい。
【0008】また、本発明に係るポリエチレン中空成形体は、上記中空成形体用ポリエチレン系樹脂からなる層を少なくとも1層含み、洗剤、漂白剤または柔軟剤等の貯蔵用に好適に用いられる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る中空成形体用ポリエチレン系樹脂およびその樹脂を用いた中空成形体について、具体的に説明する。
【0010】中空成形体用ポリエチレン系樹脂本発明に係る中空成形体用ポリエチレン系樹脂は、メルトフローレート(MFR;JIS K7210、 190℃、2.16kg荷重、単位g/10分)が0.1〜2.0g/10分の範囲、好ましくは0.1〜1.0kg/10分の範囲、さらに好ましくは0.1〜0.7kg/10分の範囲にある。メルトフローレイトがこの範囲にあると、成形性の点で好ましい。
【0011】またその密度(JIS K6922−2、測定サンプル MFR計ストランド沸水30分アニール、単位kg/m3)は957〜967kg/m3、好ましくは957〜963kg/m3 の範囲である。密度がこの範囲にあると、座屈強度の点で好ましい。
【0012】また本発明に係る中空成形体用ポリエチレン系樹脂は、、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いて測定されるMz(Z平均分子量)が、Mz≧−4×105logMFR+1.2×106の式を満たすことを特徴とする。Mzがこの範囲を満たすということは、平均分子量の割に高分子量の成分が存在することを意味し、Mzがこの範囲であるとボトルESCRの点で好ましい。
【0013】Mz(Z平均分子量)は、ウオーターズ社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定される。分離カラムは、東ソー(株)製 TSK GMH 6HTを2本、およびTSKGMH 6HTLを2本の合計4本であり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株)製)を使用し、酸化防止剤としてBHT(3,5−ジ−tブチルヒドロキシトルエン)(武田薬品工業(株)製)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。東ソー(株)製の標準ポリスチレンを用いて標準法によりカラム校正を行い、ポリエチレンに換算を行った。
【0014】また前記ポリエチレン系樹脂としては、21.6kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR21.6kg)と、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16kg)との比〔(MFR21.6)/(MFR2.16)〕が通常200以下、好ましくは190〜30、更に好ましくは180〜40であることにより、充分な衝撃強度、特に落下強度を得ることができる。
【0015】本発明で用いられるポリエチレン系樹脂は、上記のようなMFRと密度とMzの関係式とを有する高密度ポリエチレンであればよく、エチレン単独重合体のみならず、エチレンと少量のα- オレフィン、たとえば10モル%以下のプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1- ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテンなどのα- オレフィンを共重合させた、エチレン・α- オレフィン共重合体を用いることもできる。これらのα- オレフィンは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】上記のような物性を有する高密度ポリエチレンは、チーグラー触媒やメタロセン触媒等による低圧法やフィリップス法等の中圧法で、エチレンまたはエチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとを重合することにより調整することができる。
【0017】本発明では、エチレンとα- オレフィンとの共重合は、気相であるいはスラリー状の液相で、あるいは溶液中で行なわれる。スラリー重合においては、不活性炭化水素を溶媒としてもよいし、オレフィン自体を溶媒とすることもできる。スラリー重合法または溶液重合を実施する際には、重合温度は、通常−50〜250℃の範囲にあり、気相重合法を実施する際には、重合温度は、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲である。 重合圧力は、通常常圧ないし100atmの加圧条件下であり、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式においても行なうことができる。 さらに、重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行なうことも可能であり、予備重合を含め、単段、多段で重合反応を速めることができる。
【0018】また、Mzは高分子量成分の影響を大きくした平均分子量算出法であることから、高分子量成分が存在しつつも流動性が高くすることで、MFRとMzの目標範囲にすることが可能である。具体的には分子量分布を広くすることと、高分子量成分を存在させることで、MFRとMzを請求項の範囲の関係にすることが可能である。また、分子量分布が広く、かつ高分子量成分が存在するポリエチレンを製造するためには、多段重合(二段重合、三段重合などリアクターを連続的に使用して分子量・密度の異なるポリエチレンを連続的に製造する手法)、あるいはメルトブレンドあるいは多段重合とメルトブレンドの併用を行うなどの手法により、低分子量のポリエチレンと高分子量のポリエチレンを2種類以上ブレンドすることで、MzとMFRを目標の範囲をすることが可能である。
【0019】また、本発明のポリエチレン系樹脂に高圧法を用いて製造されたポリエチレンをブレンドして、上記物性を達成することも可能である。このような場合には、密度910〜935kg/m3程度の高圧法ポリエチレンを使用する。本発明のポリエチレン系樹脂と高圧法ポリエチレンとを、重量比で通常100〜65/0〜35、好ましくは100〜80/0〜20の範囲で使用することができる。高圧法ポリエチレンをこのような範囲でブレンドすると、成形性の点で好ましい。
【0020】また、上記ポリエチレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂組成物中に、中空成形体の物性を損なわない範囲で、各種添加剤を配合することもできる。このような添加剤としては、具体的には、充填剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、難燃剤、塩酸吸収剤などを挙げることができる。
【0021】中空成形体本発明に係る中空成形体は、上述したようなポリエチレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂組成物からなる。本発明に係る中空成形体は、単層容器のように単層で形成されていてもよいし、また多層容器のように2層以上の多層で形成されていてもよい。
【0022】たとえば多層容器が2層で形成されている場合、一の層が上述した本発明で好ましく用いられるポリエチレン系樹脂で形成され、他の層が、一の層を形成するポリエチレン系樹脂とは異なる樹脂で形成されるか、あるいは、上述した本発明で好ましく用いられるポリエチレン系樹脂であって、一の層で使用したポリエチレン系樹脂とは異なる物性を有するポリエチレン系樹脂で形成することもできる。
【0023】上記の異なる樹脂としては、たとえばポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロンなど)、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートなど)、変性ポリオレフィンなどが挙げられる。
【0024】本発明に係るポリエチレン中空成形体は、従来公知の中空成形(ブロー成形)法により調製される。ブロー成形法には各種方法があり、押出ブロー成形法、2段ブロー成形法、射出成形法に大別される。本発明においては、特に押出ブロー成形法が好ましく採用される。
【0025】上記のようにして調製される中空成形体は、漂白剤容器、洗剤容器、漂白剤用容器などの用途に適しており、たとえば化粧品、洗剤、柔軟仕上げ剤、シャンプー、リンス、トリートメント等に使用される家庭用・業務用の界面活性剤用容器または漂白剤用容器として好適に用いることができる。
【0026】
【発明の効果】本発明に係る第1の中空成形体用ポリエチレン系樹脂は、メルトフローレート(MFR;JIS K7210、190℃、2.16kg荷重、単位g/10分)が0.1〜2.0であり、密度(JIS K6922−2、測定サンプル MFR計ストランド 沸水30分アニール、単位kg/m3)が957〜967の範囲にあり、かつGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定されるMz(Z平均分子量)がMz≧−4×105logMFR+1.2×106の式を満たすことを特徴とし、薄肉化した容器でも充分な座屈強度と耐環境応力応力亀裂を有する。
【0027】また、本発明に係る中空成形体用ポリエチレン系樹脂は、JIS K 7210に準拠し190℃で測定した、21.6kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR21.6)の値と、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)の値との比〔(MFR21.6)/(MFR2.16)〕が200以下であると、落下強度にも優れる。
【0028】本発明に係る中空成形体用ポリエチレン系樹脂ならびに中空成形体は、洗剤、シャンプー、リンス、漂白剤、柔軟仕上げ剤、化粧品、ワックス、食用油、マヨネーズ、練りわさび等の容器、燃料タンク、工薬缶、ドラム缶、貯水槽などの用途に好適に用いることができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。また、メルトフローレイト(MFR)、密度およびMz(Z平均分子量)、引張衝撃強度および耐環境応力亀裂F50値は、次の方法に準拠して測定した。
【0030】MFR:JIS K7210、190℃、2.16kg荷重密度 :JIS K6922−2、測定サンプル MFR計ストランド 沸水30分アニールMz :ウオーターズ社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、東ソー(株)製 TSK GMH 6HTを2本、およびTSK GMH 6HTLを2本の合計4本であり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株)製)を使用し、酸化防止剤としてBHT(3,5−ジ−tブチルヒドロキシトルエン)(武田薬品工業(株)製)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。東ソー(株)製の標準ポリスチレンを用いて標準法によりカラム校正を行い、ポリエチレンに換算を行った。
引張衝撃強度:JIS K7160に準拠し、JIS K7160 4型の試験片を用いて測定した。
耐環境応力亀裂F50値:ASTM D1693 B法に準拠し、界面活性剤としてアンタロックスCo630 10%水溶液で測定した。
【0031】
【実施例1】エチレンと1−ブテンを共存下で触媒を用い、多段重合により製造した、2.16kg荷重下のMFRが0.8g/10分、21.6kg荷重下のMFRが80g/10分及び密度959kg/m3のポリエチレンと、同じく多段重合により製造した、2.16kg荷重下のMFRが0.04g/10分、 21.6kg荷重下のMFRが7.4g/10分及び密度959kg/m3のポリエチレンを80:20の割合でメルトブレンドした。このメルトブレンドしたポリエチレンの2.16kg荷重下のMFRは0.41g/10分であり、21.6kg荷重下のMFRは50g/10分であり、密度は959kg/m3 、GPCで測定したMzが16.7×105であった。また、引張衝撃強度は130kJ/m2であり、耐環境応力き裂F50値は300hrであった。これらの結果を表1に記載する。
【0032】<単層中空成形体成形条件>次いで、このポリエチレンを、押出ブロー成形機(日本製鋼(株)製、型番:JEB−15)を用い、ポリエチレンの成形温度:200℃、樹脂押出量:50kg/hr、金型温度:20℃の成形条件でブロー成形し、内容量780ml、重量25gおよび35gの円筒瓶(単層中空成形体)および、内容量2.5L、重量130gの把手付き瓶(単層中空成形体)を得た。
【0033】<単層中空成形体繰り返し落下試験法>上記のようにして得られたボトルについて、繰り返し落下試験を下記の方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。内容量780ml、重量25gの単層ボトルを水で満杯にし、このボトルを縦にして0℃の雰囲気下で一定の高さから落下を最大10回繰り返し、落下試験で割れにより水がボトルから外部に漏れる繰り返し落下回数を測定した。この試験をn数10で行い、ボトルが平均で割れに至る落下回数を測定した。ボトルを落下させる床には、厚さ2mm以上の鉄板をコンクリート製の床に水平に置いたものを用いた。
【0034】<単層中空成形体座屈強度試験法>内容量780ml、重量35gの単層ボトルを、イントロン万能試験機を用いて15mm/分、試験温度30℃で圧縮し、得られた最大強度を座屈強度とした。その結果を表1に記載する。
【0035】<単層中空成形体ボトルESCR試験法>内容量780ml、重量35gの円筒瓶では、78ccの下記に示す内容液を、内容量2.5L、重量130gの把手付き瓶では、250ccの下記に示す内容液を充填、密封し、65℃で保管し、ボトルが割れにいたる時間を観察した。測定ボトルのn数は各々10本とし、試験開始後、1本目のボトルが割れに至る時間を記録した。その結果を表1に記載する。
塩素系漂白剤:花王(株)製 キッチンハイター酸素系漂白剤:ライオン(株)製 てまなしブライト柔軟剤 :花王(株)製 ハミングシャンプー :FT資生堂(株)製 スーパーマイルド シャンプー
【0036】<3種5層中空成形体成形法およびボトルESCR試験法>また、このポリエチレンを、押出ブロー成形機(日本製鋼(株)製、型番:JB−105PC)を用い、成形温度:200℃、樹脂押出量:10kg/hr、金型温度:20℃でブロー成形し、内容量500ml、重量25gの円筒瓶を得た。
【0037】各層の厚み構成比は、ポリエチレン:接着樹脂:エチレン・ビニルアルコール共重合体:接着樹脂:ポリエチレン=41:3:2:3:41とした。なお、接着樹脂には三井化学(株)製アドマーNB508を、エチレン・ビニルアルコール共重合体にはクラレ(株)製エバールF101Bを用いた。
【0038】得られたボトルに、塩素系漂白剤(花王(株)製 キッチンハイター)を50cc充填・密閉し、65℃で保管し、ボトルが割れにいたる時間を観察した。測定ボトルのn数は各々10本とし、試験開始後、1本目のボトルが割れに至る時間を記録した。その結果を表1に記載する。
【0039】<2種2層中空成形体成形法およびボトルESCR試験法>また、このポリエチレンを、押出ブロー成形機(プラコー(株)製、型番:プラコー3B−50−40)を用い、成形温度:200℃、樹脂押出量:8kg/hr、金型温度:20℃でブロー成形し、内容量1000ml、重量40gの円筒瓶を得た。外層をポリエチレン、内層を単層中空成形品粉砕物とし、各層の厚み構成比は外層:内層=80:20とした。
【0040】得られたボトルに、塩素系漂白剤(花王(株)製 キッチンハイター)を100cc充填・密閉し、65℃で保管し、ボトルが割れにいたる時間を観察した。測定ボトルのn数は各々10本とし、試験開始後、1本目のボトルが割れに至る時間を記録した。その結果を表1に記載する。
【0041】
【実施例2】実施例1において、実施例1のポリエチレンの代わりに、MFR2.16kgが0.29g/10分、MFR21.6kgが39g/10分、密度が959kg/m3、Mzが16.0×105、引張衝撃強度が170kJ/m2ポリエチレンを用いた以外は、実施例1と同様の検討を行った。その結果を表1に記載する
【0042】
【実施例3】実施例1において、実施例1のポリエチレンの代わりに、メルトブレンドを用いず、多段重合により低分子量成分と高分子量成分を連続的に生産することにより調整したMFR2.16kgが0.38g/10分、MFR21.6kgが57g/10分、密度が959kg/m3、Mzが18.7×105、引張衝撃強度が110kJ/m2のポリエチレンを用いた以外は、実施例1と同様の検討を行った。その結果を表1に記載する
【0043】
【実施例4】実施例1において、実施例1のポリエチレンの代わりに、MFR2.16kgが0.16g/10分、MFR21.6kgが25g/10分、密度が959kg/m3、Mzが20.0×105、引張衝撃強度が220kJ/m2のポリエチレンを用いた以外は、実施例1と同様の検討を行った。その結果を表1に記載する
【0044】
【実施例5】実施例1において、実施例1のポリエチレンの代わりに、MFR2.16kgが0.49g/10分、MFR21.6kgが56g/10分、密度が960kg/m3、Mzが15.4×105、引張衝撃強度が120kJ/m2のポリエチレンを用いた以外は、実施例1と同様の検討を行った。その結果を表1に記載する
【0045】
【実施例6】実施例1において、実施例1のポリエチレンの代わりに、MFR2.16kgが0.29g/10分、MFR21.6kgが30g/10分、密度が961kg/m3、Mzが16.0×105、引張衝撃強度が180kJ/m2のポリエチレンを用いた以外は、実施例1と同様の検討を行った。その結果を表1に記載する
【0046】
【比較例1】実施例1において、実施例1のポリエチレンの代わりに、MFR2.16kgが0.36g/10分、MFR21.6kgが35g/10分、密度が955kg/m3、Mzが12.1×105、引張衝撃強度が210kJ/m2のポリエチレンを用いた以外は、実施例1と同様の検討を行った。その結果を表1に記載する
【0047】
【比較例2】実施例1において、実施例1のポリエチレンの代わりに、MFR2.16kgが0.36g/10分、MFR21.6kgが35g/10分、密度が959kg/m3、Mzが12.5×105、引張衝撃強度が200kJ/m2のポリエチレンを用いた以外は、実施例1と同様の検討を行った。その結果を表1に記載する
【0048】
【比較例3】実施例1において、実施例1のポリエチレンの代わりに、MFR2.16kgが0.40g/10分、MFR21.6kgが84g/10分、密度が959kg/m3、Mzが20.1×105、引張衝撃強度が80kJ/m2のポリエチレンを用いた以外は、実施例1と同様の検討を行った。その結果を表1に記載する。
【0049】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】メルトフローレート(MFR;JIS K7210、190℃、2.16kg荷重、単位g/10分)が0.1〜2.0であり、密度(JISK6922−2、測定サンプル MFR計ストランド 沸水30分アニール、単位kg/m3)が957〜967の範囲にあり、かつGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定されるMz(Z平均分子量)がMz≧−4×105logMFR+1.2×106の式を満たすことを特徴とする中空成形体用ポリエチレン系樹脂。
【請求項2】JIS K 7210に準拠し190℃、21.6kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR21.6)の値と、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)の値との比〔(MFR21.6)/(MFR2.16)〕が、200以下であることを特徴とする請求項1に記載の中空成形体用ポリエチレン系樹脂。
【請求項3】請求項1または2に記載の中空成形体用ポリエチレン系樹脂からなる層を少なくとも1層含む中空成形体。
【請求項4】洗剤、漂白剤及び柔軟剤からなる群の少なくとも1種を入れた、請求項3に記載の中空成形体。

【公開番号】特開2003−292534(P2003−292534A)
【公開日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−366541(P2002−366541)
【出願日】平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】