説明

中空構造の乳化重合体の製造方法

本発明は、中空構造を持つ乳化重合体の製造方法及びそれから製造された乳化重合体に係り、コア重合体を形成する工程と、シェル重合体を形成する工程と、コア重合体をアルカリ膨潤させて中空を形成する工程とを含む乳化重合体の製造方法において、中空形成工程で、アルカリ溶液以外にコア重合体用溶媒とシェル重合体用溶媒とを共に使用することによって、コア膨脹にも拘らず中空が破壊されずに薄くて均一なシェルを持つ乳化重合体を製造できる。このように製造された中空構造を持つ乳化重合体は、二酸化チタン(TiO)または有機顔料であるスチレン高分子プラスチック顔料の代わりに使用でき、水性塗料や紙被覆剤、情報記録紙及び合成樹脂などに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空構造を持つ乳化重合体の製造方法及びそれから製造された乳化重合体に関する。さらに詳細には、アルカリ膨潤性、親水性のコア−疎水性シェル構造の乳化重合体を製造した後、アルカリによりコア重合体を膨潤させて中空構造を持つ乳化重合体を製造する方法において、膨潤時にアルカリ溶液以外にシェル重合体用溶媒及びコア重合体用溶媒を添加することによって、シェルが歪むことを防止すると同時に薄くて均一なシェルを保持する中空構造を持つ乳化重合体を製造する方法及びそれから製造された乳化重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来はペイント及び紙のコーティングに隠蔽力及び色を付与するための顔料として二酸化チタンを多く使用してきた。しかし、このような二酸化チタンは、製造過程中に発生する汚染物質によって深刻な環境問題を惹起させ、これによって生産または供給が不安定な状態になっている。さらに、二酸化チタンは無機物質であるため、紙などのコーティング後に製品をさらに重くする問題点がある。
【0003】
したがって、白色顔料として二酸化チタンを使用していたのを、順次に有機高分子物質に一部代替している実情である。
【0004】
二酸化チタンを代替する顔料として、中空構造を持つプラスチック顔料が開発された。中空構造を持つプラスチック顔料は色々な方法によって製造できるが、代表的な方法としては、粒子内部にアルカリ膨潤性樹脂を持つように多段階連続重合でコアシェル重合体を作った後、アルカリ膨潤及び乾燥によって中空粒子を形成する方法が開発された。
【0005】
中空粒子を白色顔料として使用するためには、大きくて均一な粒径及び薄いシェル厚さが要求されるが、そのためにはコアの膨脹が極大化されねばならない。一般的に、コアのカルボキシル基を持つ単量体(酸単量体)の量が増加するほどコアの膨脹も増加するが、コア重合工程でコア内酸単量体の量が60重量%を超えれば重合安定性が低下する問題が発生して、酸単量体の増加だけでコア膨脹を極大化するには限界がある。
【0006】
またコア膨脹時に発生する浸透圧に耐えられる程度のシェルの強度が必要であるが、もし、シェルの強度が浸透圧に耐えられない程度に弱いならば、膨潤工程で既にシェルが破壊されて中空粒子を形成し難い。また、シェルが浸透圧に耐えられる程の強度は持つが、乾燥過程で外部圧力に耐えられずに歪んでしまう現象が発生しうる。
【0007】
このようなシェルの歪み現象を克服するためにシェルの強度を過度に高める場合、コアが膨脹するときにシェルは膨脹しないので粒径が小さく、シェルが厚くなる現象が発生する。
【0008】
大韓民国特許第177182号明細書は、シード形成、コア重合、外皮重合及び膨潤の順序による多段階乳化重合反応からなる重合体製造方法を開示しており、大韓民国特許出願第2002−49174号は、コア重合体の製造後、セルを構成する成分の一部が重合された重合体成分及びセルを構成する成分の残りの単量体成分でシェル層を形成した後、揮発性塩基によりコア/シェル重合体を膨潤させた後、前記未反応単量体成分を重合させる工程を含む乳化重合体の製造方法を開示しているが、前記方法から製造された乳化重合体は、依然として膨潤工程でシェルが歪むか、または破壊され、中空のサイズが不十分であって薄くて均一なシェルを保持できないという問題点があった。
【特許文献1】大韓民国特許第177182号明細書
【特許文献2】大韓民国特許出願第2002−49174号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする第1の技術的課題は、中空形成によるシェルの歪みを防止すると同時に、薄くて均一なシェルを保持する中空構造を持つ乳化重合体を製造する方法を提供することである。
【0010】
また、本発明が解決しようとする第2の技術的課題は、上記方法で製造された中空構造を持つ乳化重合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記第1の技術的課題を達成するために、アルカリ膨潤性、親水性のコア重合体を製造する工程と、疎水性シェル重合体を製造してコア/シェル構造の重合体を形成する工程と、前記アルカリ膨潤性、親水性のコア重合体を膨潤させて中心部に中空を形成する工程とを含む中空構造の乳化重合体の製造方法において、前記中空形成工程でアルカリ溶液以外にコア重合体用溶媒及びシェル重合体用溶媒を添加して膨潤させることを特徴とする方法を提供する。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、上記アルカリ膨潤性、親水性のコア重合体の形成工程以前に前記重合体のサイズを調節するためのシード粒子の製造工程をさらに含む。
【0013】
また、本発明の他の実施形態によれば、上記シード粒子の製造工程は、カルボキシル基を持つ単量体と親水性非イオン系単量体とを含有する混合物を重合させることを含んでなる。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態によれば、上記アルカリ膨潤性、親水性のコア重合体の製造工程は、カルボキシル基を持つ単量体、親水性非イオン系単量体及び架橋性単量体を含有する混合物を重合させることを含んでなる。
【0015】
本発明のさらに他の実施形態によれば、上記疎水性シェル重合体の製造工程は、共役ジエン系単量体及び3つ以上のビニル基を持つ架橋性単量体を含む架橋性単量体を含有する混合物から重合させることを含んでなる。
【0016】
本発明のさらに他の実施形態によれば、上記疎水性シェル重合体の製造工程は、共役ジエン系単量体及び3個以上のビニル基を持つ架橋性単量体を含む架橋性単量体を含有する混合物から重合させることを含んでなる。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態によれば、上記中空形成工程で添加されるコア重合体用溶媒は、テトラヒドロフラン;ベンゼン、トルエンを含む芳香族化合物;ジクロロメタン、四塩化炭素を含む塩素化された炭化水素;エチルアセテート、ブチルアセテート、安息香酸メチルを含むエステル類;3−ペンタノン、3−シクロへキサノン、メチルエチルケトンを含むケトン類;メタノール、エタノール、プロパノールを含む炭素数1ないし6のアルコール類;及びエチレングリコール、プロピレングリコールを含むジオール類からなる群から選択された1種以上である。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態によれば、上記中空形成工程で添加されるシェル重合体用溶媒は、シクロヘキサン、ベンゼン、エチルベンゼン、メチルエチルケトン、シクロへキサノン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、及びアセトンからなる群から選択された1種以上である。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態によれば、上記中空形成工程で添加されるアルカリ溶液は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液;アンモニア水;トリエチルアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンからなる群から選択された溶液である。
本発明のさらに他の実施形態によれば、上記中空形成工程は、アルカリ溶液、コア重合体用溶媒及びシェル重合体用溶媒を添加してpH6ないし12とし、60℃ないし100℃の温度で0.5ないし4時間コア重合体を膨潤させることを含んでなる。
【0020】
また、本発明は、前記第2の技術的課題を達成するために、上記方法で製造され、0.1ないし5μmの外径、0.05ないし4μmの内径及び0.1ないし0.9の外径に対する内径の比率(内径/外径)を持つ中空を持ち、隠蔽力が65ないし99%である中空構造を持つ乳化重合体を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の製造方法による中空構造を持つ乳化重合体は、アルカリによるコア重合体の膨脹工程でコア重合体用溶媒を使用することによってコア膨潤を極大化させ、また、シェル重合体用溶媒を使用してシェルを可塑化させることによってアルカリ水溶液のコア側への移動を容易にし、コアと共にシェルも膨脹させることによって乾燥後にシェルの歪みなしに薄くて均一なシェルを持つ乳化重合体を製造でき、かかる重合体は、二酸化チタン(TiO)または有機顔料であるスチレン高分子プラスチック顔料の代わりに使用でき、水性塗料や紙被覆剤、情報記録紙及び合成樹脂に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の中空構造を持つ乳化重合体の製造方法は、アルカリ膨潤性、親水性のコア重合体を製造する工程と、疎水性シェル重合体を製造してコア/シェル構造の重合体を形成する工程と、前記アルカリ膨潤性、親水性のコア重合体にアルカリ溶液以外にコア重合体用溶媒及びシェル重合体用溶媒を添加して前記コア重合体を膨潤させて中心部に中空を形成する工程と、を含む。
【0023】
すなわち、従来の製造方法におけるようにコア重合体の膨潤工程でアルカリ溶液のみを使用する場合、中空形成によるシェルの破壊を防止するか、薄くて均一な厚さのシェルを持つ重合体を提供するのに不十分であるため、アルカリ溶液と共にコア膨潤の極大化のためのコア重合体用溶媒、シェルの強度調節を容易にするシェル重合体用溶媒を共に使用するところにその特徴がある。具体的に説明すれば、コア重合体用溶媒をアルカリ膨潤時に添加すれば、コア重合体が溶媒により溶解されるのでアルカリとの反応がさらに容易になってコアを最大限膨潤させ、シェル重合体用溶媒をアルカリ膨潤時に添加すれば、シェルが可塑化されてアルカリ水溶液のコア方向への移動を容易にすると同時にコアと共にシェルも膨脹し、乾燥後にはシェル溶媒が除去されるので元来のシェル強度を保持できるようになって、薄く、かつシェルが歪まない中空粒子の製造が可能である。
【0024】
以下では、本発明の製造方法を各工程別に詳細に説明する。
本発明の製造方法では、まずアルカリ膨潤性、親水性のコア重合体を製造する。前記アルカリ膨潤性、親水性のコア重合体を製造する工程以前に前記重合体のサイズを調節するためのシード粒子の製造工程をさらに含むことができる。
【0025】
上記シード粒子の製造工程は、カルボキシル基を持つ単量体(通常、「エチレン性の不飽和酸単量体」とも呼ばれる)と親水性非イオン系単量体とを含む混合物を重合させることを含んでなりうる。この時、重合開始剤と連鎖移動剤をさらに含んでもよい。前記単量体混合物は、カルボキシル基を持つ単量体0ないし40重量%と親水性非イオン系単量体60ないし100重量%とからなることができる。前記カルボキシル基を持つ単量体は含有しなくてもよいが、含有する場合にさらに良い安定性を保持できる。前記カルボキシル基を持つ単量体の量が40重量%を超えれば、カルボキシル基を持つ単量体のホモポリマーが生成されて重合安定性にかえって悪い影響を及ぼす。
【0026】
上記シード粒子を構成するカルボキシル基を持つ単量体は、不飽和カルボン酸とカルボン酸エステルとからなる群から選択された1種以上であり、具体的にはメタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸;及びイタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステルなどのカルボン酸エステルが挙げられる。
【0027】
上記シード粒子を構成する親水性非イオン系単量体は、不飽和カルボン酸アルキルエステル;不飽和カルボン酸アミド及びその誘導体;ビニルアセテート;及びビニルピリジンからなる群から選択された1種以上であり、具体的には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタアクリレート;β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート;ジメチルアミノエチルメタクリレート;ジエチルアミノエチルメタクリレート;ジメチルアミノプロピルメタクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、イタコンアミド、マレイン酸モノアミド、N−メチロールメタクリルアミド及びこれらの誘導体を挙げられる。
【0028】
上記シード粒子を製造するために添加される連鎖移動剤はチオール系化合物が望ましいが、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのように一つの分子内に1つのチオール基を持つアルキルメルカプタン、2つ以上のチオール基を持つ多官能性チオール系化合物を挙げられる。前記多官能性チオール系化合物の具体的な例には、1,5−ペンタンジチオール、1,6−へキサンジチオール、2−エチルへキシル−3−メルカプトプロピオネート、ブチル3−メルカプトプロピオネート、ドデシル3−メルカプトプロピオネート、エチル2−メルカプトプロピオネート、エチル3−メルカプトプロピオネート、メチル3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、2−エチルへキシルメルカプトアセテート、エチル2−メルカプトアセテート、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)などを挙げることができ、これらから1種以上選択して使用できる。
【0029】
上記シード粒子の製造に使われる重合開始剤は、熱分解、酸化−還元反応に使われる水溶性開始剤を任意に選択して使用できる。前記水溶性開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどを挙げることができ、これらから1種以上選択して使用できるが、このような場合の反応温度は60ないし90℃であることが望ましい。また、前記水溶性開始剤に亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムなどを還元剤として混合して使用してもよいが、このような場合の反応温度は30ないし70℃であることが望ましい。
【0030】
上記シード粒子上に形成されるコア重合体は親水性かつアルカリ膨潤性の重合体であり、アルカリに膨潤されて重合体の内部に中空を形成できる。前記コア重合体は、カルボキシル基を持つ単量体、親水性非イオン系単量体、及び架橋性単量体を含む混合物から重合でき、乳化剤及び重合開始剤をさらに添加できる。前記混合物は、カルボキシル基を持つ単量体5ないし60重量%、親水性非イオン系単量体30ないし94.95重量%及び架橋性単量体0.05ないし10重量%を含むことができる。乳化剤は、前記単量体混合物100重量部に対して0.1ないし10重量部を含むことができる。
【0031】
コア重合時にカルボキシル基を持つ単量体の量が60重量%以上であれば重合安定性に悪い影響を及ぼし、架橋性単量体を10重量%以上使用する時にも重合安定性が劣る。
【0032】
上記コア重合体を構成するカルボキシル基を持つ単量体としては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸及びイタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル及びマレイン酸モノブチルエステルなどの少なくとも1個のカルボキシル基を持つ不飽和カルボン酸エステルを挙げることができ、これらから1種以上選択して使用できる。
【0033】
上記コア重合体を構成する親水性非イオン系単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル;β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル;ジメチルアミノエチルメタクリレート;ジエチルアミノエチルメタクリレート;ジメチルアミノプロピルメタクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、イタコンアミド、マレイン酸モノアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド及びこれらの誘導体;ビニルアセテート;ビニルピリジンを挙げることができ、これらから1種以上選択して使用できる。
【0034】
上記コア重合体を構成する架橋性単量体は2個のビニル基を持つ化合物が望ましいが、具体的には、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジメタクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼンなどを挙げることができ、これらから1種以上選択して使用できる。
【0035】
上記コア重合体を製造するときに使われる乳化剤は、通常的に乳化重合に使用する陰イオン性、非イオン性または陽イオン性の乳化剤を単独または混合して使用できる。
【0036】
上記コア重合体を製造するときに使われる重合開始剤は、上記シード粒子の製造時に使われる重合開始剤を同様に使用できる。
【0037】
上記のようにコア重合体を製造した後、上記コア重合体上にシェル重合体を形成してコアシェル構造の重合体を製造する。
【0038】
上記シェル重合体は疎水性樹脂であって、共役ジエン系単量体(通常、「エチレン性不飽和単量体」とも呼ばれる)、及び3つ以上のビニル基を持つ架橋性多官能単量体を含む架橋性単量体を含む混合物から重合できる。同様に、乳化剤及び重合開始剤の存在下で重合できる。前記混合物は、共役ジエン系単量体90ないし99.95重量%及び3つ以上のビニル基を持つ架橋性多官能単量体を含む架橋性単量体0.05ないし10重量%からなることができる。架橋性単量体が10重量%を超過する場合には反応安定性を低下させる。架橋性単量体が0.05重量%未満であれば、シェルの強度が弱過ぎて正常に中空粒子を製造できない。
【0039】
上記シェル重合体を構成する共役ジエン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル単量体;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル;β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、イタコンアミド、マレイン酸モノアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド及びこれらの誘導体;ビニルアセテート;ビニルピリジンなどを挙げることができ、これらから1種以上選択して使用できる。
【0040】
上記シェル重合体を構成する3つ以上のビニル基を持つ架橋性多官能単量体としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジアリールマレート、トランス−ファルネシルアセテート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどを挙げることができて、これらから1種以上選択して使用できる。
【0041】
上記シェル重合体において架橋性単量体は、上記3つ以上のビニル基を持つ架橋性多官能単量体以外に2個のビニル基を持つ架橋性単量体をさらに含むことができる。前記2個のビニル基を持つ架橋性単量体としては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジメタクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼンなどを挙げることができ、これらから1種以上選択して使用できる。
【0042】
前記コア/シェル構造の重合体を形成した後、コア重合体をアルカリ膨潤させて中空を形成する。
【0043】
前記中空形成工程は、アルカリ溶液以外にコア重合体用溶媒とシェル重合体用溶媒とを添加して行なわれる。前記添加されるアルカリ溶液は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液;アンモニア水;またはトリエチルアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンの揮発性有機塩基からなる群から選択して製造された溶液でありうる。
【0044】
上記コア重合体用溶媒は、テトラヒドロフラン;ベンゼン、トルエンなどの芳香族化合物;ジクロロメタン、四塩化炭素などの塩素化された炭化水素類;エチルアセテート、ブチルアセテート、安息香酸メチルなどのエステル類;3−ペンタノン、3−シクロへキサノン、メチルエチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、プロパノールなどの炭素数1個ないし6個のアルコール類;及びエチレングリコール、プロピレングリコールなどのジオール類からなる群から1種以上選択して使用できる。
【0045】
上記コア重合体用溶媒は、コア重合体100重量部に対して5ないし800重量部の量で使用することが望ましい。5重量部より少なければコアの膨潤にあまり役に立たず、800重量部より多ければコアが過度に膨潤して中空粒子のシェルが破壊されてしまう。
【0046】
また、上記シェル重合体用溶媒は、シクロヘキサン、ベンゼン、エチルベンゼン、メチルエチルケトン、シクロへキサノン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、及びアセトンからなる群から選択された1種以上を選択して使用できる。
【0047】
上記シェル重合体用溶媒は、シェル重合体100重量部に対して1ないし20重量部の量で使用することが望ましい。1重量部より少なければシェルを可塑化できず、20重量部より多ければ過度にシェルを可塑化してシェルが破壊してしまう現象が発生しうる。
【0048】
上記中空形成工程は、アルカリ溶液、コア重合体用溶媒及びシェル重合体用溶媒をコアシェル構造の重合体が製造された反応器に投入してpH6ないし12に調節し、60ないし100℃の温度で0.5ないし4時間膨潤させる工程を含んでなることができる。
【0049】
前記方法で製造された乳化重合体は、0.1ないし5μmの外径、0.05ないし4μmの内径及び0.1ないし0.9の外径に対する内径比率(内径/外径)を持つ単一中空を持つ。外径が0.1μmより小さければ隠蔽の効果が劣り、5μmより大きければ乳化重合で製造し難い。
【0050】
一方、中空の外径に対する内径の比率は中空の大きさを表すのに重要な数値であって、0.1より小さければ中空があまり小さくて隠蔽効果が顕著に低下し、0.9より大きければ製造し難い。
【0051】
中空構造を持つ乳化重合体の隠蔽力は、中空内へ入った光の反射を通じて得られるものであって、中空構造が均一で歪みがないほど隠蔽力に優れ、本発明の乳化重合体は65ないし99%の隠蔽力を持つ。前記隠蔽力は白色及び黒色のベースにコーティングしたコーティング紙の反射率(Reflectance)を測定して下の式により評価し、1%より小さければ所望の隠蔽効果を得られなくなる:
隠蔽率(Paper−backing Opacity)(%)=100*R/R
(R:黒色背景反射率(Black Bg.Reflectance)、R:白色背景反射率(White Bg.Reflectance))
【0052】
上記のような中空構造を持つ乳化重合体は疎水性シェルで取り囲まれて、乾燥時または加工時にも中空が破壊されずに薄くて均一なシェルを保持していることを意味するものであって、これは透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)で観察できる。
【0053】
本発明の製造方法で製造された乳化重合体は、均一な厚さのシェルを持つ中空構造を持つので隠蔽力に優れ、アルカリ及び水に対する耐性が大きいので、顔料、水性塗料、紙被覆剤、情報記録紙、その他の合成樹脂に適用できる。
【0054】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものではない。
【0055】
〔実施例1ないし10:アルカリ膨潤工程で、コア重合体用溶媒及びシェル重合体用溶媒を使用した中空構造を持つ乳化重合体の製造〕
【0056】
[実施例1]
<シード粒子の製造>
攪拌器、温度計、還流コンデンサー、滴下器及び窒素投入管が取り付けられている1Lの4口フラスコにイオン交換水340gを投入した後、窒素置換をしつつ75℃に昇温した。昇温した後、イオン交換水4.41gに重合開始剤である過硫酸カリウム0.09gを溶かした水溶液を投入し、イオン交換水8.82g、親水性非イオン系単量体であるメチルメタクリレート8.37g、カルボキシル基を持つ単量体であるメタクリル酸0.44g及び連鎖移動剤であるペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)0.13gからなる混合物を投入した後、180分間攪拌してシード粒子を製造した。
製造されたシード粒子は固形分が2.5重量%であり、平均粒径が0.25μmであり、単分散性であった。
【0057】
<コア重合体の製造>
上記で製造されたシード粒子が満たされた反応器の温度を75℃に維持した後、5.88gのイオン交換水に重合開始剤である過硫酸カリウム0.12gを溶かした溶液を投入し、イオン交換水30.61g、親水性非イオン系単量体であるメチルメタクリレート21.30gとブチルアクリレート1.70g、カルボキシル基を持つ単量体であるメタクリル酸12.00g、架橋性単量体であるアリルメタクリレート0.26g及び乳化剤であるポリオキシエチレンデシルエーテルスルホン酸ナトリウム0.77gからなる混合物を240分間連続投入しつつ攪拌した後、120分間追加攪拌してコア重合体を製造した。
製造されたコア重合体は、固形分が10.2重量%であり、平均粒径が0.50μmであり、単分散性であった。
【0058】
<コアシェル構造の重合体の製造>
前記工程で製造されたコア重合体246.18gが投入された1Lの4口フラスコにイオン交換水157.6gを満たして75℃まで昇温した。昇温した後、イオン交換水39.2gに重合開始剤である過硫酸カリウム1.0gを溶かした溶液を投入し、イオン交換水52.81g、共役ジエン系単量体であるスチレン160.61g、ブチルアクリレート9.73g、架橋性多官能単量体であるトリメチロールプロパントリアクリレート4.66g、及び乳化剤であるポリオキシエチレンデシルエーテルスルホン酸ナトリウム1.88gからなる混合物を300分間連続投入しつつ攪拌した。攪拌を完了した後、同じ温度で120分間熟成してコア重合体にシェル重合体が被覆されたコアシェル重合体を製造した。
製造されたコアシェル重合体は固形分が28.76重量%であり、平均粒径が0.82μmであり、単分散性であった。
【0059】
<コア重合体の膨潤による中空の形成>
上記工程でコアシェル構造の重合体の熟成を完了した後に90℃に昇温し、コア重合体用溶媒であるエタノール20g、シェル重合体用溶媒であるアセトン5gを添加した後、アンモニア水8.5gを投入してコアシェル構造の重合体のpHが10.8になるようにし、2時間膨潤させて中空が形成された最終重合体を製造した。
製造された最終重合体をTEMで観察した後、結果を表1に表した。
【0060】
[実施例2]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、コア重合体用溶媒であるエタノール40g、シェル重合体用溶媒であるアセトン5gを添加した後、アンモニア水8.7gを投入することを除いては、上記実施例1と同じ方法で最終重合体を製造した。
製造された最終重合体をTEMで観察した後、結果を表1に表した。
【0061】
[実施例3]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、コア重合体用溶媒であるエタノール20g、シェル重合体用溶媒であるアセトン10gを添加した後、アンモニア水8.8gを投入することを除いては上記実施例1と同じ方法で最終重合体を製造した。
製造された最終重合体をTEMで観察した後、結果を表1に表した。
【0062】
[実施例4]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、コア重合体用溶媒であるエタノール40g、シェル重合体用溶媒であるアセトン10gを添加した後、アンモニア水8.5gを投入することを除いては上記実施例1と同じ方法で最終重合体を製造した。
製造された最終重合体をTEMで観察した後、結果を表1に表した。
【0063】
[実施例5]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、コア重合体用溶媒であるエタノール60g、シェル重合体用溶媒であるアセトン10gを添加した後、アンモニア水8.6gを投入することを除いては、上記実施例1と同じ方法で最終重合体を製造した。
製造された最終重合体をTEMで観察した後、結果を表1に表した。
【0064】
[実施例6]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、コア重合体用溶媒であるイソプロパノール/メチルエチルケトン(MEK)(1:1)30g、シェル重合体用溶媒であるアセトン10gを添加した後、アンモニア水8.6gを投入することを除いては、上記実施例1と同じ方法で最終重合体を製造した。
製造された最終重合体をTEMで観察した後、結果を表1に表した。
【0065】
[実施例7]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、コア重合体用溶媒であるイソプロパノール/メチルエチルケトン(1:1)50g、シェル重合体用溶媒であるアセトン10gを添加した後、アンモニア水8.7gを投入することを除いては、上記実施例1と同じ方法で最終重合体を製造した。
製造された最終重合体をTEMで観察した後、結果を表1に表した。
【0066】
[実施例8]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、コア重合体用溶媒であるエタノール60g、シェル重合体用溶媒であるシクロヘキサン2gを添加した後、アンモニア水8.6gを投入することを除いては、上記実施例1と同じ方法で最終重合体を製造した。
製造された最終重合体をTEMで観察した後、結果を表1に表した。
【0067】
[実施例9]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、コア重合体用溶媒であるエタノール60g、シェル重合体用溶媒であるシクロヘキサン5gを添加した後、アンモニア水8.6gを投入することを除いては、上記実施例1と同じ方法で最終重合体を製造した。
製造された最終重合体をTEMで観察した後、結果を表1に表した。
【0068】
[実施例10]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、コア重合体用溶媒であるイソプロパノール/メチルエチルケトン(1:1)50g、シェル重合体用溶媒であるシクロヘキサン5gを添加した後、アンモニア水8.5gを投入することを除いては上記実施例1と同じ方法で最終重合体を製造した。
製造された最終重合体をTEMで観察した後、結果を表1に表した。
【0069】
<比較例1ないし9:アルカリ膨潤工程で、コア重合体用溶媒またはシェル重合体用溶媒を使用していない中空構造を持つ乳化重合体の製造>
[比較例1]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、アルカリ溶液としてアンモニア水8.3gだけを使用したことを除いては実施例1と同様に最終重合体を製造し、製造された最終重合体をTEMで観察した後、その結果を表1に表した。
【0070】
[比較例2]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、アルカリ溶液としてアンモニア水8.7gと、コア重合体用溶媒としてエタノール60gのみを使用したことを除いては、実施例1と同様に最終重合体を製造し、製造された最終重合体をTEMで観察した後、その結果を表1に表した。
【0071】
[比較例3]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、アルカリ溶液としてアンモニア水8.8gとコア重合体用溶媒としてエタノール100gのみを使用したことを除いては、実施例1と同様に最終重合体を製造し、製造された最終重合体をTEMで観察した後、その結果を表1に表した。
【0072】
[比較例4]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、アルカリ溶液としてアンモニア水8.6gと、コア重合体用溶媒としてイソプロパノール/メチルエチルケトン(1:1)50gのみを使用したことを除いては、実施例1と同様に最終重合体を製造し、製造された最終重合体をTEMで観察した後、その結果を表1に表した。
【0073】
[比較例5]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、アルカリ溶液としてアンモニア水8.7gと、コア重合体用溶媒としてイソプロパノール/メチルエチルケトン(1:1)80gのみを使用したことを除いては、実施例1と同様に最終重合体を製造し、製造された最終重合体をTEMで観察した後、その結果を表1に表した。
【0074】
[比較例6]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、アルカリ溶液としてアンモニア水8.3gと、シェル重合体用溶媒としてアセトン10gのみを使用したことを除いては、実施例1と同様に最終重合体を製造し、製造された最終重合体をTEMで観察した後、その結果を表1に表した。
【0075】
[比較例7]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、アルカリ溶液としてアンモニア水8.4gとシェル重合体用溶媒としてアセトン20gのみを使用したことを除いては、実施例1と同様に最終重合体を製造し、製造された最終重合体をTEMで観察した後、その結果を表1に表した。
【0076】
[比較例8]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、アルカリ溶液としてアンモニア水8.3gとシェル重合体用溶媒としてシクロヘキサン5gのみを使用したことを除いては、実施例1と同様に最終重合体を製造し、製造された最終重合体をTEMで観察した後、その結果を表1に表した。
【0077】
[比較例9]
アルカリ膨潤による中空形成工程で、アルカリ溶液としてアンモニア水8.3gと、シェル重合体用溶媒としてシクロヘキサン8gのみを使用したことを除いては、実施例1と同様に最終重合体を製造し、製造された最終重合体をTEMで観察した後、その結果を表1に表した。
<隠蔽力の測定>
実施例及び比較例のラテックスを比較、評価するために下記の処方のように紙コーティング液を製造した:
中空粒子ラテックス 50重量部
炭酸カルシウム 50重量部
スチレン−ブタジエンラテックス 12重量部
蒸溜水は、コーティング液固形分が60%になるように添加した。
上記のとおり製造された紙コーティング液を下記条件でコーティングして、コーティング紙を得た。
紙:白色または黒色
コーティング:ロッド手動コーティング(Rod Coating,No 12)
乾燥:オーブン、105℃、30秒
前記白色と黒色ベースにコーティングしたコーティング紙の反射率を測定して、下の式から隠蔽力(Opacity)を測定し、その結果を表1に表した:
隠蔽率(%)=100*R/R
(R:黒色背景反射率、R:白色背景反射率)
【0078】
【表1】

【0079】
上記表1に表したように、本発明によってコア重合体のアルカリ膨潤による中空形成工程で、コア重合体用溶媒及びシェル重合体用溶媒を使用した実施例1ないし10の乳化重合体は、コア重合体用溶媒及びシェル重合体用溶媒を使用していない比較例1、コア重合体用溶媒のみを使用した比較例2ないし5、そして、シェル重合体用溶媒のみ使用した比較例5ないし8に比べて膨潤後中空粒径及び中空サイズが大きく、かつ、シェルが破壊されたり歪むことなく保持された。
また、隠蔽力においても、実施例1ないし10で製造した乳化重合体は、75ないし93%の優秀な隠蔽力を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ膨潤性、親水性のコア重合体を製造する工程と、
疎水性シェル重合体を製造してコア/シェル構造の重合体を形成する工程と、
前記アルカリ膨潤性、親水性のコア重合体を膨潤させて中心部に中空を形成する工程と、
を含む中空構造の乳化重合体の製造方法において、前記中空形成工程でアルカリ溶液のほかにコア重合体用溶媒及びシェル重合体用溶媒を添加して膨潤させることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アルカリ膨潤性、親水性のコア重合体の形成工程以前に、前記重合体のサイズを調節するためのシード粒子の製造工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項3】
前記シード粒子の製造工程は、カルボキシル基を持つ単量体と親水性非イオン系単量体とを含有する混合物を重合させることを含んでなることを特徴とする請求項2に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項4】
前記シード粒子の製造工程は、カルボキシル基を持つ単量体0ないし40重量%と、親水性非イオン系単量体60ないし100重量%とを含有する混合物を重合させることを含んでなることを特徴とする請求項3に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項5】
前記アルカリ膨潤性、親水性のコア重合体の製造工程は、カルボキシル基を持つ単量体、親水性非イオン系単量体及び架橋性単量体を含有する混合物を重合させることを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項6】
前記アルカリ膨潤性、親水性のコア重合体形成工程は、カルボキシル基を持つ単量体5ないし60重量%、親水性非イオン系単量体30ないし94.95重量%及び架橋性単量体0.05ないし10重量%を含有する混合物を重合させることを含んでなることを特徴とする請求項5に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項7】
前記疎水性シェル重合体の製造工程は、共役ジエン系単量体及び3つ以上のビニル基を持つ架橋性単量体を含む架橋性単量体を含有する混合物から重合させることを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項8】
前記疎水性シェル重合体の製造工程は、共役ジエン系単量体90ないし99.95重量%及び3個以上のビニル基を持つ架橋性単量体を含む架橋性単量体0.05ないし10重量%を含有する混合物から重合させることを含んでなることを特徴とする請求項7に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項9】
前記中空形成工程で添加されるコア重合体用溶媒は、テトラヒドロフラン;ベンゼン、トルエンを含む芳香族化合物;ジクロロメタン、四塩化炭素を含む塩素化された炭化水素;エチルアセテート、ブチルアセテート、安息香酸メチルを含むエステル類;3−ペンタノン、3−シクロへキサノン、メチルエチルケトンを含むケトン類;メタノール、エタノール、プロパノールを含む炭素数1ないし6のアルコール類;及びエチレングリコール、プロピレングリコールを含むジオール類からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項10】
前記中空形成工程で添加されるシェル重合体用溶媒は、シクロヘキサン、ベンゼン、エチルベンゼン、メチルエチルケトン、シクロへキサノン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、及びアセトンからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項11】
前記中空形成工程で添加されるアルカリ溶液は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液;アンモニア水;トリエチルアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンからなる群から選択された溶液であることを特徴とする請求項1に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項12】
前記中空形成工程は、アルカリ溶液、コア重合体用溶媒及びシェル重合体用溶媒を添加してpH6ないし12とし、60℃ないし100℃の温度で0.5ないし4時間膨潤させることを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項13】
前記中空形成工程で、コア重合体100重量部基準にコア重合体用溶媒5ないし800重量部を添加することを特徴とする請求項1に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項14】
前記中空形成工程で、シェル重合体100重量部基準にシェル重合体用溶媒1ないし20重量部を添加することを特徴とする請求項1に記載の乳化重合体の製造方法。
【請求項15】
0.1ないし5μmの外径、0.05ないし4μmの内径及び0.1ないし0.9の外径に対する内径の比率(内径/外径)をもつ中空を有し、隠蔽力が65ないし99%である請求項1ないし14のうちいずれか1項に記載の方法で製造された中空構造をもつ乳化重合体。

【公表番号】特表2007−518550(P2007−518550A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545248(P2006−545248)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【国際出願番号】PCT/KR2005/002148
【国際公開番号】WO2006/004375
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】