説明

中空樹脂板及びその製造方法

【課題】機能部材を中空板材に固着することなく、機能部材の移動を規制可能とし、それに伴う固着工程の削減により製造コストを低減する。
【解決手段】中空部を有する複数枚の中空板材100を積層してなる中空樹脂板1であって、複数枚の中空板材100の間に、緩衝部材210、断熱部材220、遮音部材230、電磁波遮蔽部材240のうち少なくとも一つの機能部材200を固着することなく挟み込むとともに、積層された複数枚の中空板材100及び機能部材200の少なくとも側面を四方向から封止部材400で覆うことにより、複数枚の中空板材100の間における機能部材200の移動を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空部を有する複数枚の中空板材を積層してなる中空樹脂板及びその製造方法に関し、特に、緩衝部材、断熱部材、遮音部材、電磁波遮蔽部材のうち少なくとも一つの機能部材が積層された中空樹脂板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空部を有する中空板材(気泡ボート、プラスチック段ボール、プラスチックハニカムボードなど)からなる各種の中空樹脂板が知られている。これらの中空樹脂板は、軽量でありながらも高い剛性を備えることから、保管又は輸送用の包装箱のほか、建築材料や自動車の内装材など、種々の用途に供されている。
【0003】
中空樹脂板としては、一枚の中空板材で構成されるものだけでなく、複数枚の中空板材を積層して構成されるものも知られている。例えば、特許文献1には、二枚の気泡ボードを積層し、表裏シートの端面どうしを互いが接触するように湾曲させて接合した中空樹脂板が示されている。
【0004】
また、中空樹脂板は、上述のように種々の用途に供されるため、それぞれの用途に応じて、緩衝機能、断熱機能、遮音機能、電磁波遮蔽機能などの各種機能を追加又は強化することが求められる場合がある。このような場合は、中空板材に対して、緩衝部材、断熱部材、遮音部材、電磁波遮蔽部材などの機能部材を積層することにより、各種機能の追加又は強化を実現している。
例えば、特許文献2には、断熱部材としてアルミアルミニウムの蒸着膜を積層した中空樹脂板も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4192138号公報
【特許文献2】特開2001‐65784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような機能部材を備える中空樹脂板では、使用中における機能部材の移動によって、その機能が損なわれる可能性があるので、機能部材を中空板などに融着、接着あるいはビス止めなどによって固着した状態で積層されている。
このため、機能部材を中空板に固着するための工程が必要となり、工程の増加によって製造コストが上昇するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、機能部材と中空板材あるいは機能部材同士を固着(融着、接着、ビス止め等)することなく、機能部材の移動を規制可能とし、それに伴う固着工程の削減により製造コストを低減することができる中空樹脂板及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の中空樹脂板は、中空部を有する複数枚の中空板材を積層してなる中空樹脂板であって、複数枚の前記中空板材の間に機能部材を固着することなく挟み込むとともに、積層された複数枚の前記中空板材及び前記機能部材の側面を封止部材で覆うことにより、複数枚の前記中空板材の間における前記機能部材の移動を規制する構成としてある。
【0009】
また、本発明に係る中空樹脂板の製造方法は、中空部を有する複数枚の中空板材を積層してなる中空樹脂板の製造方法であって、複数枚の前記中空板材の間に機能部材を固着することなく挟み込む工程と、積層された複数枚の前記中空板材及び前記機能部材の側面を封止部材で覆う工程とにより、複数枚の前記中空板材の間における前記機能部材の移動を規制する中空樹脂板を製造する方法としてある。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、機能部材を中空板材に固着することなく、機能部材の移動を規制可能とし、それに伴う固着工程の削減により製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る中空樹脂板の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る中空樹脂板の分解断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る中空樹脂板の分解平面図である。
【図4】(a)は、二層気泡ボードの構造を示す斜視図、(b)は、三層気泡ボードの構造を示す斜視図、(c)は、プラスチック段ボールの構造を示す斜視図である。
【図5(a)(b)】(a)は、二枚の気泡ボードを積層する場合の一例を示す平面図、(b)は、二枚の気泡ボードを積層する場合の一例を示す断面図である。
【図5(c)(d)】(c)は、二枚のプラスチック段ボールを積層する場合の一例を示す平面図、(d)は、二枚のプラスチック段ボールを積層する場合の一例を示す断面図である。
【図5(e)(f)】(e)は、気泡ボードとプラスチック段ボールを積層する場合の一例を示す平面図、(f)は、気泡ボードとプラスチック段ボールを積層する場合の一例を示す断面図である。
【図6】二層気泡ボードを用いた中空樹脂板の分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
[中空樹脂板]
図1は、本発明の一実施形態に係る中空樹脂板の断面図、図2は、本発明の一実施形態に係る中空樹脂板の分解断面図、図3は、本発明の一実施形態に係る中空樹脂板の分解平面図である。
これらの図に示すように、本発明の一実施形態に係る中空樹脂板1は、中空部を有する二枚の中空板材100(三層気泡ボード)と、二枚の中空板材100の間に挟み込まれる機能部材200と、中空樹脂板1の側面を覆う封止部材400と、を備えて構成されている。
【0014】
図4は、中空板材100の例を示しており、(a)は、二層気泡ボードの構造を示す斜視図、(b)は、三層気泡ボードの構造を示す斜視図、(c)は、プラスチック段ボールの構造を示す斜視図である。
また、中空板材100としては、気泡ボード110、プラスチック段ボール120、図示してないがプラスチックハニカムボードなどを用いることができ、同じ種類の中空板材100を積層してもよいし、異なる種類の中空板材100を積層してもよい。
【0015】
図4の(a)及び(b)に示す気泡ボード110は、中空状に膨出する多数のキャップ111aが形成されたキャップシート111を有しており、キャップシート111のキャップ開口側にバックシート112を積層してなる二層気泡ボード110(110A)や、キャップシート111のキャップ上面側にもライナーシート113を積層してなる三層気泡ボード110(110B)が広く用いられている。気泡ボード110の場合、バックシート112が中空樹脂板1の表面部材300を兼用することが多い。
【0016】
プラスチック段ボール120は、図4の(c)に示すように、上下の板材121の間に壁材122を多数列設した断面矩形状の中空部を有する構成となっている。プラスチック段ボール120の場合、上下の板材121の一方が中空樹脂板1の表面部材300を兼用することが多い。
【0017】
樹脂製の中空板材100(気泡ボード、プラスチック段ボール、プラスチックハニカムボードなど)を形成する素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂などを例示することができる。
また、上記の素材は、表面部材300や封止部材400にも用いることができ、特に、熱融着による接合が容易な素材であることが好ましい。
【0018】
上記のような中空板材100を複数枚積層する場合、積層される中空板材100同士は、気泡ボードのキャップ111aやプラスチック段ボール及びプラスチックハニカムボードの壁材122の位置がずれた状態で積層されることが好ましい。このようにすると、二枚の中空板材100の間に挟み込まれる機能部材200の移動を抑制することができる。
すなわち、二枚の中空板材100の間に挟み込まれた機能部材200は、中空板材100から均一な押圧力を受けるのではなく、中空板材100のキャップ111aや壁材122の部分において最も大きな押圧力を受ける。したがって、機能部材200を挟み込むときに、上下の中空板材100のキャップ111aや壁材122の位置がずれるように配置すれば、その部分を他の面より強く押圧することができ、機能部材200を小さな波状に変形させて、その面方向に沿った移動をより一層抑制することが可能になる。
【0019】
また、積層される中空板材100同士をずらした状態で積層すると、キャップシート111のキャップ111aやプラスチック段ボール等の壁材122の位置もずれることになるので、平面的に見て壁部の数を増加させ、中空樹脂板1の剛性も高めることができる。
以下、二枚の気泡ボード110を積層する場合と、二枚のプラスチック段ボール120を積層する場合と、気泡ボード110とプラスチック段ボール120を積層する例について、具体的に説明する。
【0020】
図5の(a)は、二枚の三層気泡ボードを積層する場合の一例を示す平面図、図5の(b)は、二枚の三層気泡ボードを積層する場合の一例を示す断面図である。
これらの図に示すように、二枚の三層気泡ボード110を積層する場合は、キャップシート111のキャップ111aの位置が互いにずれるように二枚の三層気泡ボード110を積層する。これにより、キャップ111aの位置がずれた状態で二枚の気泡ボード110を積層することができる。
【0021】
また、図5の(c)は、二枚のプラスチック段ボールを積層する場合の一例を示す平面図、図5の(d)は、二枚のプラスチック段ボールを積層する場合の一例を示す断面図である。
これらの図に示すように、二枚のプラスチック段ボール120を積層する場合は、壁材122の向きが異なるように、例えば、互いに直交するように二枚のプラスチック段ボール120を積層する。これにより、壁材122の位置がずれた状態で二枚のプラスチック段ボール120を積層することができる。
【0022】
また、図5の(e)は、気泡ボードとプラスチック段ボールを積層する場合の一例を示す平面図、図5の(f)は、気泡ボードとプラスチック段ボールを積層する場合の一例を示す断面図である。
これらの図に示すように、気泡ボード110とプラスチック段ボール120を積層する場合は、特に位置合わせをしなくても、中空部の位置がずれた状態で気泡ボード110とプラスチック段ボール120を積層することができる。
なお、気泡ボードとしては、三層の気泡ボードに替えて二層の気泡ボードを用いることもできる。
【0023】
図2に示す本実施形態の中空樹脂板1では、二枚の三層気泡ボード110を積層するにあたり、二枚の三層気泡ボード110を、キャップシート111のキャップ111aの位置が互いにずれるように積層している。このようにすると、二枚の三層気泡ボード110のキャップ111aがずれた状態で機能部材200をしっかりと挟むので、機能部材200の移動を抑制することができる。
また、本実施形態では、バックシート112側が外側を向き、ライナーシート113が対向するように配置してある。これにより、バックシート112が表面部材300を兼用している。
【0024】
機能部材200は、複数枚の中空板材100の間に挟み込まれることにより、中空樹脂板1に所定の機能を追加したり、所定の機能を強化するための部材であって、例えば、緩衝部材210、断熱部材220、遮音部材230、電磁波遮蔽部材240などのうちの少なくとも一つの機能を有している。
この場合、機能部材200は、融着、接着、ビス止めなどによって、中空板100や他の機能部材200と固着されることなく、二枚の中空板100によって挟み込まれている。
ここで、機能部材200として、緩衝部材210又は弾力性のある断熱部材もしくは遮音部材を必須のものとして用いると、機能部材200を中空板材100で押し込みながら挟んでしっかりと固定することができる。
【0025】
緩衝部材210としては、所定の樹脂材を発泡させた発泡シートや、キャップフィルムにバックフィルムやライナーフィルムを積層した気泡シートなどを例示することができる。
また、断熱部材220としては、熱反射率の高いアルミシート・ガラス繊維・軟質繊維などを例示することができる。
また、遮音(吸音)部材230としては、吸音効果の高いガラス繊維・石膏ボードなどを例示することができる。
また、電磁波遮蔽部材240としては、アルミシート・ステンレスシート・銅シートなどを例示することができる。
【0026】
本実施形態の中空樹脂板1では、二枚の中空板材100(三層気泡ボード110)の間に、緩衝部材210又は遮音部材230が挟まれており、緩衝部材210又は遮音部材230と、少なくとも一方の中空板材100との間に、断熱部材220又は電磁波遮蔽部材240が挟まれている。このようにすると、複数枚の中空板材100の間に、複数種類の機能部材200を挟み込んで、中空樹脂板1に複数種類の機能を付与することができる。
【0027】
中空樹脂板1の上面及び下面を覆う表面部材300は、上記したように気泡ボード110の場合は、通常バックシート112で兼用するが、ライナーシート123を兼用してもよい。また、プラスチック段ボールやプラスチックハニカムボードの場合は、上下板材のうち一方の板材を用いて兼用させることができる。このようにすると、表面部材を別個に積層する必要がないので、コストダウンを図ることができる。
なお、中空樹脂板1の表面に特殊な加工を施す場合には、バックシート112(又はライナーシート123)あるいは板材の表面に、さらに特殊な加工を施してある表面部材300を積層することもできる。
【0028】
また、図6に示すように、キャップシート111のキャップ111aを対向させて二枚の二層気泡ボード110を配置すると、キャップ111aの部分が直接機能部材200に当接するので、当接した部分が機能部材を部分的に強く押圧して食い込んだ状態で挟むことができ、より強固に機能部材を固定する。
なお、キャップシート111とバックシート112が対向するように、二枚の二層気泡ボード110を配置してもよい。このようにすると、機能部材200の片面が平坦状に挟まれ、他の一面をキャップ111aによって部分的に食い込んだ状態で挟むことができる。
また、バックシート112を対向させて配置し、キャップ111a側に表面部材300を積層することも可能である。
【0029】
封止部材400は、中空樹脂板1の側面を覆うテープ材や板材であって、例えば、積層された中空板材100や表面部材300の側面(端面)に熱融着されるが、接着剤による接着などで封止するものであってもよい。図1に示すように、複数枚の中空板材100の間に挟み込まれた機能部材200は、その端面が封止部材400の内側面に接合(融着、接着、突当て等)されることにより、移動が規制される。
【0030】
本発明は、このような封止部材400による機能部材200の移動規制作用を利用し、機能部材200の移動を規制している。すなわち、図3に示すように、複数枚の中空板材100及び機能部材200の側面を四方向から封止部材400で覆うことにより、複数枚の中空板材100の間における機能部材200の移動を規制するようになっている。このようにすると、機能部材200を中空板材100に固着することなく、機能部材200の移動を規制可能とし、それに伴う固着工程の削減により製造コストを低減することができる。
【0031】
なお、側面からの封止部材400による封止は、必ずしも側面全体に対して行う必要はない。すなわち、中空樹脂板1の内部を密封しなくてもよい場合には、側面の一部を覆えばよい。しかし、この場合であっても、内部の機能部材200の移動を阻止できる範囲を封止部材400で覆う必要があることはもちろんのことである。
実施形態では、中空樹脂板の形状を四角形の例で説明しているが、形状は四角形に限られない。また、四角形の場合、四方向から封止部材400によって覆うことが好ましいが、内部の機能部材200の移動を規制できる状態を確保できるのであれば、側面の二方向あるいは三方向から封止部材400で覆うだけでもよい。中空樹脂板が四角形以外の場合も、同様である。
【0032】
上記実施形態では、中空板材100を二枚用いた例について説明したが、本発明の中空樹脂板の用途によっては、中空板材100を三枚以上用いることもできる。このように、中空板材100を複数枚用いる場合は、機能部材200も複数配置することが可能となる。
また、二枚の中空板として、二層の気泡ボードと三層の気泡ボードを組み合わせて用いてもよく、また、プラスチック段ボールとプラスチックハニカムボード、気泡ボードとプラスチックハニカムボードを用いてもよい。
【0033】
[中空樹脂板の製造方法]
つぎに、本発明の実施形態に係る中空樹脂板1の製造方法について、図1〜図3を参照して説明する。
【0034】
本発明の実施形態に係る中空樹脂板1の製造方法は、複数枚の中空板材100の間に、緩衝部材210、断熱部材220、遮音部材230、電磁波遮蔽部材240のうち少なくとも一つの機能部材200を挟み込む工程と、積層された複数枚の中空板材100及び機能部材200の側面を封止部材400で覆う工程と、を備え、前記工程により、複数枚の中空板材100の間における機能部材200の移動を規制する中空樹脂板1を製造する。
【0035】
具体的に説明すると、複数枚の中空板材100の間に機能部材200を挟み込む工程は、中空板材100、機能部材200及び中空部材100を所定の順番で積層することにより行われる。例えば、図1に示す断面構造を備える中空樹脂板1を製造する際には、図2に示すように、下から順番に、三層気泡ボード110、断熱部材220、緩衝部材210、断熱部材220、三層気泡ボード110を積層させる。このとき、機能部材200である緩衝部材210や断熱部材220は、気泡ボード110に対して固着させなくてもよい。
【0036】
積層された複数枚の中空板材100及び機能部材200の側面を封止部材400で覆う工程は、積層された中空板材100、機能部材200及び中空部材100の側面に封止部材400を熱融着することにより行われる。例えば、積層された中空板材100、機能部材200及び中空部材100をクランプして圧着させた状態としておき、その側面と、その対向位置に保持された封止部材400の内側面を加熱する。そして、所定の加熱時間が経過したら、封止部材400と、圧着積層された中空板材100、機能部材200及び中空部材100の側面を押し当て、両者を熱融着させる。その後、必要に応じて、熱融着部分を冷却する冷却工程や、封止部材400の余剰部分を切除する切除工程を行うとともに、中空樹脂板1の四つの側面について同様の工程を繰り返すことにより、側面が四方向から封止部材400で覆われた中空樹脂板1が製造される。
なお、積層された複数枚の中空板材100及び機能部材200の側面を封止部材400で覆う工程は、積層された中空板材100、機能部材200及び中空部材100の側面に封止部材400を接着剤によって接着して行うこともできる。
【0037】
以上のように構成された本実施形態によれば、中空部を有する複数枚の中空板材100を積層してなる中空樹脂板1であって、複数枚の中空板材100の間に、緩衝部材210、断熱部材220、遮音部材230、電磁波遮蔽部材240のうち少なくとも一つの機能部材200を挟み込むとともに、積層された複数枚の中空板材100及び機能部材200の側面を封止部材400で覆うことにより、複数枚の中空板材100の間における機能部材200の移動を規制するので、機能部材200を中空板材100に固着しなくても、機能部材200の移動を規制することが可能となり、その結果、固着工程を削減して中空樹脂板1の製造コストを低減させることができる。
【0038】
また、本実施形態の中空樹脂板1では、積層される中空板材100同士が、キャップや壁材の位置をずらした状態で積層されるので、複数枚の中空板材100の間に挟み込まれる機能部材200を波状に変形させ、その面方向の移動を抑制することができる。また、キャップや壁材の位置もずれるので、平面的に見て壁部の数を増加させ、中空樹脂板1の剛性も高めることができる。
【0039】
また、本実施形態の中空樹脂板1では、複数枚の中空板材100の間に、緩衝部材210又は遮音部材230が挟まれており、緩衝部材210又は遮音部材230と、少なくとも一方の中空板材100との間に、断熱部材220又は電磁波遮蔽部材240が挟まれているので、複数枚の中空板材100の間に、複数種類の機能部材200を挟み込んで、中空樹脂板1に複数種類の機能を付与することができる。特に、緩衝部材210や遮音部材230が弾性を有する場合においては、緩衝部材210や遮音部材230の弾性を利用して、断熱部材220や電磁波遮蔽部材240を弾圧状態で挟持できるので、断熱部材220や電磁波遮蔽部材240の移動を抑制する効果も得られる。
【0040】
以上、本発明について、実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
たとえば、機能部材200として緩衝部材210や遮音部材230が弾性を有するものを用いる場合においては、機能部材200の少なくとも一方向のサイズを中空樹脂板100のサイズよりも小さくしたものであってもよい。これは、機能部材200として緩衝部材210や遮音部材230が弾性を有するものを用いると、緩衝部材210や遮音部材230の弾性を利用して、機能部材200を弾圧状態でしっかりと挟持することが可能となり、機能部材200の少なくとも一方向のサイズを中空樹脂板100のサイズよりも小さくして、機能部材200の周縁の一部が封止部材400に当接しないようにした状態でも、機能部材200の移動を阻止することができるからである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、複数枚の中空板材の間に、緩衝部材、断熱部材、遮音部材、電磁波遮蔽部材などのうち少なくとも一つの機能部材を挟み込んだ中空樹脂板及びその製造方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 中空樹脂板
100 中空板材
110A 二層気泡ボード
110B 三層気泡ボード
111 キャップシート
111a キャップ
112 バックシート
113 ライナーシート
120A プラスチック段ボール
120B 紙段ボール
200 機能部材
200 表面部材
210 緩衝部材
220 断熱部材
230 遮音部材
240 電磁波遮蔽部材
300 表面部材
400 封止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有する複数枚の中空板材を積層してなる中空樹脂板であって、
複数枚の前記中空板材の間に機能部材を固着することなく挟み込むとともに、積層された複数枚の前記中空板材及び前記機能部材の少なくとも側面を封止部材で覆うことにより、複数枚の前記中空板材の間における前記機能部材の移動を規制することを特徴とする中空樹脂板。
【請求項2】
前記中空板材が、気泡ボード、プラスチック段ボール、プラスチックハニカムボードのいずれかである請求項1記載の中空樹脂板。
【請求項3】
前記機能部材が、緩衝部材、断熱部材、遮音部材、電磁波遮蔽部材のうちの少なくとも一つである請求項1又は2記載の中空樹脂板。
【請求項4】
積層される前記中空板材同士が、キャップ又は壁材の位置をずらした状態で積層される請求項1〜3のいずれか一項に記載の中空樹脂板。
【請求項5】
複数枚の前記中空板材の間に、前記緩衝部材又は前記遮音部材が挟まれており、
前記緩衝部材又は前記遮音部材と、少なくとも一方の前記中空板材との間に、前記断熱部材又は前記電磁波遮蔽部材が挟まれている請求項1〜4のいずれか一項に記載の中空樹脂板。
【請求項6】
前記緩衝部材が、発泡シート又は気泡シートである請求項1〜5のいずれか一項に記載の中空樹脂板。
【請求項7】
前記中空部材が気泡ボードであって、前記気泡ボードのバックシート又はライナーシートが、中空樹脂板の表面部材を兼用する請求項1〜6のいずれか一項に記載の中空樹脂板。
【請求項8】
二枚の前記中空板材が、中空状に膨出する多数のキャップが形成されたキャップシートと、前記キャップシートのキャップ開口側に積層されるバックシートとを備える二層の気泡ボードであって、前記気泡ボードのキャップシート側が対向するように配置された請求項1〜6のいずれか一項に記載の中空樹脂板。
【請求項9】
中空部を有する複数枚の中空板材を積層してなる中空樹脂板の製造方法であって、
複数枚の前記中空板材の間に機能部材を固着することなく挟み込む工程と、
積層された複数枚の前記中空板材及び前記機能部材の少なくとも側面を封止部材で覆う工程と、を備え、
前記工程により、複数枚の前記中空板材の間における前記機能部材の移動を規制する中空樹脂板を製造することを特徴とする中空樹脂板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)(b)】
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【図5(c)(d)】
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【図5(e)(f)】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−45717(P2012−45717A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186951(P2010−186951)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】