中空糸膜モジュールの洗浄方法および中空糸膜ろ過装置
【課題】 長期間安定的に連続したろ過運転が可能な膜モジュールの洗浄方法を提供する。
【解決手段】 中空糸膜の外側から原液を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールの物理洗浄工程において、原液側に遊離塩素を含む液体を供給してバブリング洗浄を実施し、その際原液側に供給する液体の遊離塩素濃度を、バブリング洗浄後の原液側液体中の遊離塩素濃度が0.1mg/L以上となるように制御する。
【解決手段】 中空糸膜の外側から原液を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールの物理洗浄工程において、原液側に遊離塩素を含む液体を供給してバブリング洗浄を実施し、その際原液側に供給する液体の遊離塩素濃度を、バブリング洗浄後の原液側液体中の遊離塩素濃度が0.1mg/L以上となるように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中空糸膜モジュールの洗浄方法および中空糸膜ろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、分離膜に関する技術開発が進み、水のろ過をはじめ様々な用途に広く用いられている。分離膜の素材としては有機高分子、セラミック、燒結金属などが提案され、分離膜の形状としては中空糸膜、管状膜、平膜、モノリスなどが提案され、また分離膜の孔径としてはイオン類を分離できる逆浸透膜(RO)、タンパク質、ウイルスなどの高分子成分を分離できる限外ろ過膜(UF)、細菌類などの微粒子を分離できる精密ろ過膜(MF)などが提案され、これらを組み合わせて多種多様の分離膜が提案され、実用化されているものも多い。特に中空糸膜は、単位容積あたりの膜面積を大きく確保でき、さらに種々の素材、孔径およびモジュール形状のものから選択できることから適用範囲が広く、広範な用途で使用されている。
【0003】
しかし、分離膜によるろ過の過程では、目詰まりとよばれる膜表面の汚染や微細孔の詰まりが生じ、経時的に透過流束の低下が生じる。例えば主に微粒子成分の除去を目的とする限外ろ過膜(UF)や精密ろ過膜(MF)では、SSと呼ばれる原液中の懸濁物質等が膜表面に付着し、または微多孔に侵入し、経時的に透過流束の低下が生じる。そこで、安定して長期的にろ過運転を継続するためには、濾過条件の設定と同時に有効な分離膜の洗浄方法の開発が不可欠とされている。
【0004】
従来、分離膜の洗浄方法として、種々の方法が検討されてきたが、これらは物理的洗浄と、化学的洗浄(薬品洗浄ともいう)とに大別できる。物理的洗浄としては、スポンジボール、高圧水流などにより強制的に付着物質をかき取る方法、水、膜ろ過水などの液体をろ液側から原液側へ通過させる液体逆洗法(例えば、特許文献1 参照)、加圧気体をろ液側から原液側へ通過させる気体逆洗法(例えば、特許文献2、3 参照)、原液側に気泡を噴出させるバブリング法、超音波法、電気泳動法などをはじめ、多種多様の方法が提案されている(例えば、非特許文献1 参照)。また、化学的洗浄としては、酸、アルカリ水溶液、洗浄剤などの薬液により、付着物を溶解除去する方法が知られている。これらは分離膜の素材、形状、孔径などの特性や目詰まり物質の特性に応じ、適宜選択して単独または組み合わせて実施される(例えば、非特許文献2 参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭51−110482号公報
【特許文献2】特開昭53−108882号公報
【特許文献3】特表平1−500732号公報
【非特許文献1】化学工学会・膜分離技術ワーキンググループ編、「ユーザーのための実用膜分離技術」、日刊工業新聞社発行、1996年4月30日、P243〜248
【非特許文献2】化学工学会・膜分離技術ワーキンググループ編、「ユーザーのための実用膜分離技術」、日刊工業新聞社発行、1996年4月30日、P251〜261
【0006】
一方、活性汚泥法に代表される生物処理は、下水処理をはじめとして有機物、窒素およびリンを含む排水の浄化方法として広く用いられている。従来は河川や海洋に放流するために処理を行っていたが、近年その処理水の再利用が行われるようになってきた。生物処理水を再利用する場合、通常砂ろ過や膜ろ過により夾雑物を除去した後、必要により活性炭処理、逆浸透膜ろ過、イオン交換などにより再利用に必要な水質まで精製する。一般に生物処理水には多量の微生物が含まれるため、夾雑物除去手法として精密ろ過(MF)膜や限外ろ過(UF)膜などの膜ろ過手法を適用する場合、目詰まりを生じやすいことから、特に効果的な物理洗浄手法の開発が重要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、中空糸膜で生物処理水のろ過を行う場合、目詰まりを回避するために生物処理水にオゾンを溶解させてからろ過する方法や、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を含む液体による液体逆洗を行うことが提案されてきた。ただし生物処理水にオゾンを溶解させてから膜ろ過する方法では、オゾン発生装置が非常に高価かつ大電力を必要とする上、現在実用化されているほとんどの膜モジュールがオゾンにより分解作用を受けて劣化するため、あらかじめ活性炭などによりオゾンを除去してからろ過する必要がある。一方、フッ素系高分子からなる膜のようにオゾンに対して耐性を有する膜モジュールも提案されているが、非常に高価であったり、孔径やモジュールの形状および大きさが限られていたりするため、一般的とはいえない。また次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を含む液体による液体逆洗では、必ずしも満足できる洗浄効果が得られない上に、膜ろ過水側配管や膜モジュールの膜ろ過水側が酸化剤を含む液体により汚染されるため、膜ろ過水を再利用する場合に酸化剤の除去や還元処理が必要となる場合もあり、好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、新規な外圧型中空糸膜モジュールの物理洗浄方法およびそのために用いることのできる中空糸膜ろ過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法は、中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールにおいて、原水側に遊離塩素を含む液体を供給してバブリング洗浄を実施し、その際原水側に供給する液体の遊離塩素濃度を、バブリング洗浄後の原水側液体中の遊離塩素濃度が0.1mg/L以上となるように制御する。
【0010】
また本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法は、中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールと、原水側に遊離塩素を含む液体を供給する手段と、原水側に気体を噴出させる手段とを備え、原水側に遊離塩素を含む液体を供給してバブリング洗浄を行うよう制御する膜ろ過装置を用いて行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法によって、長期間安定的に連続したろ過運転が可能となる。本発明の中空糸膜ろ過装置は、上記本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法のために用いることが有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明で使用される中空糸膜の素材としては特に限定されず、形状、孔径などの要求特性に応じて適宜選択することができる。例えば有機高分子系素材としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、エチレンービニルアルコール共重合体系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリパーフルオロエチレン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられ、他成分を共重合したもの、他の素材をブレンドしたもの、親水化処理などの処理を施したものでもよい。
【0013】
また、製造方法は特に限定されることはなく、素材の特性および所望する分離膜の形状や性能に応じて、公知の方法から適宜選択した方法を採用することができる。
【0014】
本発明で使用される中空糸膜の孔径は特に限定されないが、0.001〜5ミクロンの範囲内であることが、高い透水性を有し、濾過効率が低下するおそれが小さいことから好ましい。なお、ここでいう孔径とは、コロイダルシリカ、エマルジョン、ラテックスなどの粒子径が既知の各種基準物質を中空糸膜で濾過した際に、その90%が排除される基準物質の粒子径をいう。孔径は均一であることが好ましい。限外ろ過膜であれば、上記のような基準物質の粒子径に基づいて、孔径を求めることは不可能であるが、分子量が既知の蛋白質を用いて同様の測定を行ったときに、分画分子量が3000以上であるものが好ましい。
【0015】
本発明において、該中空糸膜はモジュール化されてろ過に使用される。モジュールの形態は、ろ過方法、ろ過条件、洗浄方法などに応じて適宜選択することができ、1本または複数本の膜エレメントを装着して中空糸膜モジュールを構成しても良い。例えば数十本から数十万本の中空糸膜を束ねてモジュール内でU字型にしたもの、中空糸繊維束の一端を適当なシール材により一括封止したもの、中空糸繊維束の一端を適当なシール材により1本ずつ固定されていない状態(フリー状態)で封止したもの、中空糸繊維束の両端を開口したものなどが挙げられる。また、形状も特に限定されることはなく、例えば円筒状であってもスクリーン状であってもよい。特に中空糸繊維束の一端を適当なシール材により1本ずつ固定されていない状態(フリー状態)で封止したもの(片端フリー構造)の中空糸膜モジュールは、バブリング洗浄による膜付着物質の剥離および排出を効果的に行うことができるため好ましい。
【0016】
本発明で使用される中空糸膜モジュールよるろ過の方式としては、外圧全ろ過、外圧循環ろ過の中から所望の処理条件、処理性能に応じて適宜選択することができる。膜寿命の点ではろ過膜表面の洗浄を同時に行うことのできる循環方式が好ましく、設備の単純さ、設置コスト、運転コストの点では全ろ過方式が好ましい。また膜モジュールを原水槽などの槽に浸漬し、吸引または水頭差によりろ過を行うことも可能である。
【0017】
本発明においては、原水側に遊離塩素を含む液体を供給してバブリング洗浄を実施し、その際原水側に供給する液体の遊離塩素濃度を、バブリング洗浄後の原水側液体中の遊離塩素濃度が0.1mg/L以上となるように制御する。以下本発明の実施の態様について、図面を用いて詳しく説明する。
【0018】
図1は上記の洗浄方法を行うために使用することができる外圧型中空糸膜モジュールの一例の概略構成図である。該中空糸膜モジュールは中空糸膜1、ケーシング2および接着樹脂3からなり、ケーシング2の内部は接着樹脂3により原水側Aと膜ろ過水側Bに仕切られている。原液側Aには原水入口4、原水溢出口5、濃縮液排出口6、バブリング用気体注入口7および含遊離塩素液体注入口8を備えており、膜ろ過水側Bには膜ろ過水出口9を備えている。原水入口4から原水側Aに供給された原水は、中空糸膜1の外表面でろ過されて膜ろ過水側Bである中空糸膜内部に移動し、膜ろ過水出口9を通じて系外へ排出される。
【0019】
本発明の洗浄方法の一例を、図2にしたがって説明する。図2は上記の洗浄方法を行うために使用することができる膜ろ過装置の一例の概略構成図である。原水は必要に応じて前処理装置11で前処理が行われた後原水槽12に供給される。ここで前処理とは、ストレーナーなどによる夾雑物除去、硫酸ばん土およびポリ塩化アルミニウムなどの凝集剤による凝集処理、活性炭などによる吸着などが挙げられ、適宜単独または組み合わせて実施することが出来る。次いでろ過工程について説明する。すなわち全てのバルブを閉じた状態から、原水入口バルブ15、原水溢出口バルブ18および膜ろ過水出口バルブ16を開き、原水ポンプ13を作動させて中空糸膜モジュール14に原水を導入し、原水溢出口バルブ18より原水が溢出した後原水溢出口バルブ18を閉じてろ過を開始する。膜ろ過水は膜ろ過水出口バルブ16を通じて系外へ排出される。ただし、ろ過時間の経過に伴い目詰まりが進行してろ過能力が低下するため、続いて本発明の方法により中空糸膜を洗浄する。すなわち、原水ポンプ13を停止した後、ろ過工程で開いている原水入口バルブ15および膜ろ過水出口バルブ16を閉じてろ過を停止し、次いで原水溢出口バルブ18を開いた後逆洗エアー入口バルブ19を開いて中空糸膜モジュール14の膜ろ過水側に加圧空気を注入して逆洗操作を行う。所定時間経過後逆洗エアー入口バルブ19を閉じ、次いで遊離塩素含有液体入口バルブ21を開き、遊離塩素含有液体注入ポンプ22を作動させて遊離塩素液体タンク23に貯留した遊離塩素含有液体を中空糸膜モジュールの原水側に注入し、その後バブリングエアー入口バルブ20を開いて中空膜モジュールの原水側に空気を吹き込み、バブリング洗浄を行う。所定時間バブリング洗浄を行った後、バブリングエアー入口バルブ20を閉じてバブリング洗浄を停止し、濃縮液排出口バルブ17を開いて中空糸膜モジュールの原水側の濃縮液を系外へ排出する。上述した洗浄工程終了後、濃縮液排出口バルブ17を閉じ、ろ過工程へ戻る。
【0020】
遊離塩素を含む液体としては、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、次亜塩素酸カルシウム水溶液、塩素化イソシアヌル酸水溶液などが挙げられる。
【0021】
本発明において、遊離塩素を含む液体の注入量は、バブリング洗浄後の原液側液体中の遊離塩素濃度が0.1mg/L以上となるように制御する。例えば微生物などの有機物や鉄イオンなど、遊離塩素により酸化作用を受けやすい物質を含有する液体をろ過した中空糸膜モジュールを本発明の洗浄方法により洗浄する場合、注入した遊離塩素を含む液体がそれらを酸化する反応で消費されるため、過剰に添加する必要がある。制御の方法としては、例えば定期的にバブリング洗浄後の原液側液体中の遊離塩素濃度を測定して注入量を設定することができるが、遊離塩素濃度測定装置などを使用して自動的に注入量を設定することもできる。なお、バブリング洗浄後の原液側液体中の遊離塩素濃度が0.1mg/L未満の場合、洗浄効果が不十分となるおそれがある。
【0022】
これまでに述べてきた本発明の洗浄方法は、一般に数分から数時間ごとに行われる物理洗浄操作ごとに実施することができるが、数回もしくは数十回の物理洗浄毎に1回、すなわち間欠的に実施することも可能である。
【実施例1】
【0023】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
【0024】
標準活性汚泥法によりBOD除去され、沈殿槽にて自然沈降により固液分離された、浮遊物質約10mg/Lを含む生物処理水を原水とし、ポリスルホン系樹脂からなり、孔径0.1μmである中空糸膜よりなる片端フリー構造で膜面積7m2 の中空糸膜モジュールを使用して、外圧全ろ過方式、ろ過速度350L/時の条件で定流量ろ過を行った。中空糸膜の物理洗浄は、シーケンスコントロールにより30分に1回、中空糸膜モジュールの膜ろ過水側に圧力0.2MPaの空気を導入することにより10秒間加圧操作し、次いで中空膜モジュールの原水側に、濃縮液中の遊離塩素濃度が0.5から2.0mg/Lの範囲内の値となるような量の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入し、その後中空糸膜モジュールの原水側の下部より圧力0.1MPaの空気を1.68Nm3/hrの流量で1分間噴出させて行い、下部濃縮液排出バルブを開いて濃縮液を排出した。次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入量は、濃縮液中の遊離塩素濃度を定期的に測定しながら、0.5から1.0mg/Lの範囲内の値となるよう制御した。濾過運転期間中、膜間差圧を定期的に測定し、膜間差圧が0.15MPaに達するまでの濾過時間を中空糸膜モジュールの濾過寿命とした場合、濾過寿命は138日間であった。
【0025】
比較例1
実施例1において、物理洗浄時に次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入を行わない以外は同様にして、生物処理水のろ過を行った。膜間差圧で評価したろ過寿命は23日間であり、実施例1に比較して明らかに短かった。
【0026】
比較例2
実施例1において、中空糸膜の物理洗浄として、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入した膜ろ過水により液体逆洗浄を20秒間行った後、その後中空糸膜モジュールの原水側の下部より圧力0.1MPaの空気を1.68Nm3/hrの流量で1分間噴出させて行い、下部濃縮液排出バルブを開いて濃縮液を排出した以外は同様にして、生物処理水のろ過を行った。膜間差圧で評価した濾過寿命は88日間であった。またろ過運転再開時には、ろ過水に高濃度の遊離塩素が検出された。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明で使用することができる外圧型中空糸膜モジュールの一例を示す図である。
【図2】本発明の中空糸膜ろ過装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1:中空糸膜
2:ケーシング
3:接着樹脂
4:原水入口
5:原水溢出口
6:濃縮液排出口
7:バブリング用気体注入口
8:含遊離塩素液体注入口
9:膜ろ過水出口
A:原水側
B:膜ろ過水側
11:前処理装置
12:原水槽
13:原水ポンプ
14:中空糸膜モジュール
15:原水入口バルブ
16:膜ろ過水出口バルブ
17:濃縮液排出口バルブ
18:原水溢出口バルブ
19:逆洗エアー入口バルブ
20:バブリングエアー入口バルブ
21:遊離塩素含有液体入口バルブ
22:遊離塩素含有液体注入ポンプ
23:遊離塩素含有液体タンク
24:エアーコンプレッサー
【技術分野】
【0001】
本発明は中空糸膜モジュールの洗浄方法および中空糸膜ろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、分離膜に関する技術開発が進み、水のろ過をはじめ様々な用途に広く用いられている。分離膜の素材としては有機高分子、セラミック、燒結金属などが提案され、分離膜の形状としては中空糸膜、管状膜、平膜、モノリスなどが提案され、また分離膜の孔径としてはイオン類を分離できる逆浸透膜(RO)、タンパク質、ウイルスなどの高分子成分を分離できる限外ろ過膜(UF)、細菌類などの微粒子を分離できる精密ろ過膜(MF)などが提案され、これらを組み合わせて多種多様の分離膜が提案され、実用化されているものも多い。特に中空糸膜は、単位容積あたりの膜面積を大きく確保でき、さらに種々の素材、孔径およびモジュール形状のものから選択できることから適用範囲が広く、広範な用途で使用されている。
【0003】
しかし、分離膜によるろ過の過程では、目詰まりとよばれる膜表面の汚染や微細孔の詰まりが生じ、経時的に透過流束の低下が生じる。例えば主に微粒子成分の除去を目的とする限外ろ過膜(UF)や精密ろ過膜(MF)では、SSと呼ばれる原液中の懸濁物質等が膜表面に付着し、または微多孔に侵入し、経時的に透過流束の低下が生じる。そこで、安定して長期的にろ過運転を継続するためには、濾過条件の設定と同時に有効な分離膜の洗浄方法の開発が不可欠とされている。
【0004】
従来、分離膜の洗浄方法として、種々の方法が検討されてきたが、これらは物理的洗浄と、化学的洗浄(薬品洗浄ともいう)とに大別できる。物理的洗浄としては、スポンジボール、高圧水流などにより強制的に付着物質をかき取る方法、水、膜ろ過水などの液体をろ液側から原液側へ通過させる液体逆洗法(例えば、特許文献1 参照)、加圧気体をろ液側から原液側へ通過させる気体逆洗法(例えば、特許文献2、3 参照)、原液側に気泡を噴出させるバブリング法、超音波法、電気泳動法などをはじめ、多種多様の方法が提案されている(例えば、非特許文献1 参照)。また、化学的洗浄としては、酸、アルカリ水溶液、洗浄剤などの薬液により、付着物を溶解除去する方法が知られている。これらは分離膜の素材、形状、孔径などの特性や目詰まり物質の特性に応じ、適宜選択して単独または組み合わせて実施される(例えば、非特許文献2 参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭51−110482号公報
【特許文献2】特開昭53−108882号公報
【特許文献3】特表平1−500732号公報
【非特許文献1】化学工学会・膜分離技術ワーキンググループ編、「ユーザーのための実用膜分離技術」、日刊工業新聞社発行、1996年4月30日、P243〜248
【非特許文献2】化学工学会・膜分離技術ワーキンググループ編、「ユーザーのための実用膜分離技術」、日刊工業新聞社発行、1996年4月30日、P251〜261
【0006】
一方、活性汚泥法に代表される生物処理は、下水処理をはじめとして有機物、窒素およびリンを含む排水の浄化方法として広く用いられている。従来は河川や海洋に放流するために処理を行っていたが、近年その処理水の再利用が行われるようになってきた。生物処理水を再利用する場合、通常砂ろ過や膜ろ過により夾雑物を除去した後、必要により活性炭処理、逆浸透膜ろ過、イオン交換などにより再利用に必要な水質まで精製する。一般に生物処理水には多量の微生物が含まれるため、夾雑物除去手法として精密ろ過(MF)膜や限外ろ過(UF)膜などの膜ろ過手法を適用する場合、目詰まりを生じやすいことから、特に効果的な物理洗浄手法の開発が重要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、中空糸膜で生物処理水のろ過を行う場合、目詰まりを回避するために生物処理水にオゾンを溶解させてからろ過する方法や、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を含む液体による液体逆洗を行うことが提案されてきた。ただし生物処理水にオゾンを溶解させてから膜ろ過する方法では、オゾン発生装置が非常に高価かつ大電力を必要とする上、現在実用化されているほとんどの膜モジュールがオゾンにより分解作用を受けて劣化するため、あらかじめ活性炭などによりオゾンを除去してからろ過する必要がある。一方、フッ素系高分子からなる膜のようにオゾンに対して耐性を有する膜モジュールも提案されているが、非常に高価であったり、孔径やモジュールの形状および大きさが限られていたりするため、一般的とはいえない。また次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を含む液体による液体逆洗では、必ずしも満足できる洗浄効果が得られない上に、膜ろ過水側配管や膜モジュールの膜ろ過水側が酸化剤を含む液体により汚染されるため、膜ろ過水を再利用する場合に酸化剤の除去や還元処理が必要となる場合もあり、好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、新規な外圧型中空糸膜モジュールの物理洗浄方法およびそのために用いることのできる中空糸膜ろ過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法は、中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールにおいて、原水側に遊離塩素を含む液体を供給してバブリング洗浄を実施し、その際原水側に供給する液体の遊離塩素濃度を、バブリング洗浄後の原水側液体中の遊離塩素濃度が0.1mg/L以上となるように制御する。
【0010】
また本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法は、中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールと、原水側に遊離塩素を含む液体を供給する手段と、原水側に気体を噴出させる手段とを備え、原水側に遊離塩素を含む液体を供給してバブリング洗浄を行うよう制御する膜ろ過装置を用いて行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法によって、長期間安定的に連続したろ過運転が可能となる。本発明の中空糸膜ろ過装置は、上記本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法のために用いることが有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明で使用される中空糸膜の素材としては特に限定されず、形状、孔径などの要求特性に応じて適宜選択することができる。例えば有機高分子系素材としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、エチレンービニルアルコール共重合体系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリパーフルオロエチレン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられ、他成分を共重合したもの、他の素材をブレンドしたもの、親水化処理などの処理を施したものでもよい。
【0013】
また、製造方法は特に限定されることはなく、素材の特性および所望する分離膜の形状や性能に応じて、公知の方法から適宜選択した方法を採用することができる。
【0014】
本発明で使用される中空糸膜の孔径は特に限定されないが、0.001〜5ミクロンの範囲内であることが、高い透水性を有し、濾過効率が低下するおそれが小さいことから好ましい。なお、ここでいう孔径とは、コロイダルシリカ、エマルジョン、ラテックスなどの粒子径が既知の各種基準物質を中空糸膜で濾過した際に、その90%が排除される基準物質の粒子径をいう。孔径は均一であることが好ましい。限外ろ過膜であれば、上記のような基準物質の粒子径に基づいて、孔径を求めることは不可能であるが、分子量が既知の蛋白質を用いて同様の測定を行ったときに、分画分子量が3000以上であるものが好ましい。
【0015】
本発明において、該中空糸膜はモジュール化されてろ過に使用される。モジュールの形態は、ろ過方法、ろ過条件、洗浄方法などに応じて適宜選択することができ、1本または複数本の膜エレメントを装着して中空糸膜モジュールを構成しても良い。例えば数十本から数十万本の中空糸膜を束ねてモジュール内でU字型にしたもの、中空糸繊維束の一端を適当なシール材により一括封止したもの、中空糸繊維束の一端を適当なシール材により1本ずつ固定されていない状態(フリー状態)で封止したもの、中空糸繊維束の両端を開口したものなどが挙げられる。また、形状も特に限定されることはなく、例えば円筒状であってもスクリーン状であってもよい。特に中空糸繊維束の一端を適当なシール材により1本ずつ固定されていない状態(フリー状態)で封止したもの(片端フリー構造)の中空糸膜モジュールは、バブリング洗浄による膜付着物質の剥離および排出を効果的に行うことができるため好ましい。
【0016】
本発明で使用される中空糸膜モジュールよるろ過の方式としては、外圧全ろ過、外圧循環ろ過の中から所望の処理条件、処理性能に応じて適宜選択することができる。膜寿命の点ではろ過膜表面の洗浄を同時に行うことのできる循環方式が好ましく、設備の単純さ、設置コスト、運転コストの点では全ろ過方式が好ましい。また膜モジュールを原水槽などの槽に浸漬し、吸引または水頭差によりろ過を行うことも可能である。
【0017】
本発明においては、原水側に遊離塩素を含む液体を供給してバブリング洗浄を実施し、その際原水側に供給する液体の遊離塩素濃度を、バブリング洗浄後の原水側液体中の遊離塩素濃度が0.1mg/L以上となるように制御する。以下本発明の実施の態様について、図面を用いて詳しく説明する。
【0018】
図1は上記の洗浄方法を行うために使用することができる外圧型中空糸膜モジュールの一例の概略構成図である。該中空糸膜モジュールは中空糸膜1、ケーシング2および接着樹脂3からなり、ケーシング2の内部は接着樹脂3により原水側Aと膜ろ過水側Bに仕切られている。原液側Aには原水入口4、原水溢出口5、濃縮液排出口6、バブリング用気体注入口7および含遊離塩素液体注入口8を備えており、膜ろ過水側Bには膜ろ過水出口9を備えている。原水入口4から原水側Aに供給された原水は、中空糸膜1の外表面でろ過されて膜ろ過水側Bである中空糸膜内部に移動し、膜ろ過水出口9を通じて系外へ排出される。
【0019】
本発明の洗浄方法の一例を、図2にしたがって説明する。図2は上記の洗浄方法を行うために使用することができる膜ろ過装置の一例の概略構成図である。原水は必要に応じて前処理装置11で前処理が行われた後原水槽12に供給される。ここで前処理とは、ストレーナーなどによる夾雑物除去、硫酸ばん土およびポリ塩化アルミニウムなどの凝集剤による凝集処理、活性炭などによる吸着などが挙げられ、適宜単独または組み合わせて実施することが出来る。次いでろ過工程について説明する。すなわち全てのバルブを閉じた状態から、原水入口バルブ15、原水溢出口バルブ18および膜ろ過水出口バルブ16を開き、原水ポンプ13を作動させて中空糸膜モジュール14に原水を導入し、原水溢出口バルブ18より原水が溢出した後原水溢出口バルブ18を閉じてろ過を開始する。膜ろ過水は膜ろ過水出口バルブ16を通じて系外へ排出される。ただし、ろ過時間の経過に伴い目詰まりが進行してろ過能力が低下するため、続いて本発明の方法により中空糸膜を洗浄する。すなわち、原水ポンプ13を停止した後、ろ過工程で開いている原水入口バルブ15および膜ろ過水出口バルブ16を閉じてろ過を停止し、次いで原水溢出口バルブ18を開いた後逆洗エアー入口バルブ19を開いて中空糸膜モジュール14の膜ろ過水側に加圧空気を注入して逆洗操作を行う。所定時間経過後逆洗エアー入口バルブ19を閉じ、次いで遊離塩素含有液体入口バルブ21を開き、遊離塩素含有液体注入ポンプ22を作動させて遊離塩素液体タンク23に貯留した遊離塩素含有液体を中空糸膜モジュールの原水側に注入し、その後バブリングエアー入口バルブ20を開いて中空膜モジュールの原水側に空気を吹き込み、バブリング洗浄を行う。所定時間バブリング洗浄を行った後、バブリングエアー入口バルブ20を閉じてバブリング洗浄を停止し、濃縮液排出口バルブ17を開いて中空糸膜モジュールの原水側の濃縮液を系外へ排出する。上述した洗浄工程終了後、濃縮液排出口バルブ17を閉じ、ろ過工程へ戻る。
【0020】
遊離塩素を含む液体としては、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、次亜塩素酸カルシウム水溶液、塩素化イソシアヌル酸水溶液などが挙げられる。
【0021】
本発明において、遊離塩素を含む液体の注入量は、バブリング洗浄後の原液側液体中の遊離塩素濃度が0.1mg/L以上となるように制御する。例えば微生物などの有機物や鉄イオンなど、遊離塩素により酸化作用を受けやすい物質を含有する液体をろ過した中空糸膜モジュールを本発明の洗浄方法により洗浄する場合、注入した遊離塩素を含む液体がそれらを酸化する反応で消費されるため、過剰に添加する必要がある。制御の方法としては、例えば定期的にバブリング洗浄後の原液側液体中の遊離塩素濃度を測定して注入量を設定することができるが、遊離塩素濃度測定装置などを使用して自動的に注入量を設定することもできる。なお、バブリング洗浄後の原液側液体中の遊離塩素濃度が0.1mg/L未満の場合、洗浄効果が不十分となるおそれがある。
【0022】
これまでに述べてきた本発明の洗浄方法は、一般に数分から数時間ごとに行われる物理洗浄操作ごとに実施することができるが、数回もしくは数十回の物理洗浄毎に1回、すなわち間欠的に実施することも可能である。
【実施例1】
【0023】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
【0024】
標準活性汚泥法によりBOD除去され、沈殿槽にて自然沈降により固液分離された、浮遊物質約10mg/Lを含む生物処理水を原水とし、ポリスルホン系樹脂からなり、孔径0.1μmである中空糸膜よりなる片端フリー構造で膜面積7m2 の中空糸膜モジュールを使用して、外圧全ろ過方式、ろ過速度350L/時の条件で定流量ろ過を行った。中空糸膜の物理洗浄は、シーケンスコントロールにより30分に1回、中空糸膜モジュールの膜ろ過水側に圧力0.2MPaの空気を導入することにより10秒間加圧操作し、次いで中空膜モジュールの原水側に、濃縮液中の遊離塩素濃度が0.5から2.0mg/Lの範囲内の値となるような量の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入し、その後中空糸膜モジュールの原水側の下部より圧力0.1MPaの空気を1.68Nm3/hrの流量で1分間噴出させて行い、下部濃縮液排出バルブを開いて濃縮液を排出した。次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入量は、濃縮液中の遊離塩素濃度を定期的に測定しながら、0.5から1.0mg/Lの範囲内の値となるよう制御した。濾過運転期間中、膜間差圧を定期的に測定し、膜間差圧が0.15MPaに達するまでの濾過時間を中空糸膜モジュールの濾過寿命とした場合、濾過寿命は138日間であった。
【0025】
比較例1
実施例1において、物理洗浄時に次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入を行わない以外は同様にして、生物処理水のろ過を行った。膜間差圧で評価したろ過寿命は23日間であり、実施例1に比較して明らかに短かった。
【0026】
比較例2
実施例1において、中空糸膜の物理洗浄として、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入した膜ろ過水により液体逆洗浄を20秒間行った後、その後中空糸膜モジュールの原水側の下部より圧力0.1MPaの空気を1.68Nm3/hrの流量で1分間噴出させて行い、下部濃縮液排出バルブを開いて濃縮液を排出した以外は同様にして、生物処理水のろ過を行った。膜間差圧で評価した濾過寿命は88日間であった。またろ過運転再開時には、ろ過水に高濃度の遊離塩素が検出された。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明で使用することができる外圧型中空糸膜モジュールの一例を示す図である。
【図2】本発明の中空糸膜ろ過装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1:中空糸膜
2:ケーシング
3:接着樹脂
4:原水入口
5:原水溢出口
6:濃縮液排出口
7:バブリング用気体注入口
8:含遊離塩素液体注入口
9:膜ろ過水出口
A:原水側
B:膜ろ過水側
11:前処理装置
12:原水槽
13:原水ポンプ
14:中空糸膜モジュール
15:原水入口バルブ
16:膜ろ過水出口バルブ
17:濃縮液排出口バルブ
18:原水溢出口バルブ
19:逆洗エアー入口バルブ
20:バブリングエアー入口バルブ
21:遊離塩素含有液体入口バルブ
22:遊離塩素含有液体注入ポンプ
23:遊離塩素含有液体タンク
24:エアーコンプレッサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールにおいて、原水側に遊離塩素を含む液体を供給してバブリング洗浄を実施し、その際原水側に供給する液体の遊離塩素濃度を、バブリング洗浄後の原水側液体中の遊離塩素濃度が0.1mg/L以上となるように制御することを特徴とする中空糸膜モジュールの洗浄方法。
【請求項2】
中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールと、原水側に遊離塩素を含む液体を供給する手段と、原水側に気体を噴出させる手段とを備え、原水側に遊離塩素を含む液体を供給してバブリング洗浄を行うよう制御することを特徴とする膜ろ過装置。
【請求項1】
中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールにおいて、原水側に遊離塩素を含む液体を供給してバブリング洗浄を実施し、その際原水側に供給する液体の遊離塩素濃度を、バブリング洗浄後の原水側液体中の遊離塩素濃度が0.1mg/L以上となるように制御することを特徴とする中空糸膜モジュールの洗浄方法。
【請求項2】
中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールと、原水側に遊離塩素を含む液体を供給する手段と、原水側に気体を噴出させる手段とを備え、原水側に遊離塩素を含む液体を供給してバブリング洗浄を行うよう制御することを特徴とする膜ろ過装置。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2008−246424(P2008−246424A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93115(P2007−93115)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】
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