説明

中空部材引抜装置

【課題】地上部分に肉薄部分があるような支柱であっても確実に引き抜くことができる支柱引抜装置を提供する。
【解決手段】中空部材を引く抜く中空部材引抜装置であって、中空部に挿入して該中空部を内側から押圧してチャックするチャック機構部と、該チャック機構部を引抜方向に引っ張るジャッキ機構部とを備えたものである。また、チャック機構部は、チャック機構部を引抜き方向に引っ張ることによって中空部の内壁を押圧するチャック力が強くなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばガードレールの支柱のような地中等に埋設、打設等された中空部材を引き抜くための中空部材引抜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路脇に設置されているガードレールの支柱は長期間風雨にさらされて老朽化する。そのため、老朽化の進んだ支柱に代えて新たな支柱を設置する必要がある。新たな支柱の設置に際しては既設の支柱を引き抜く必要があり、このための装置として支柱引抜装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に提案された支柱引抜装置は、昇降ロッドを上に向けてジャッキ機構を設置し、この昇降ロッドの上端に昇降板を設け、この昇降板に支柱を外周から組付くように支持する筒状の支持部材を設ける。そして、この支持部材で支柱を支持して、ジャッキ機構の昇降ロッドを延ばすことで昇降板を持ち上げ、支柱を引き抜くというものである。
【0004】
【特許文献1】特開2005−105773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の支柱引抜装置では、支柱の地上部分をその外周から組付くように支持してジャッキ機構によって引き抜くというものである。
しかしながら。ガードレールの支柱は屋外に設置されるものであり、支柱における地面との境目付近に水が溜まり、このため支柱における地面との境界部分が腐食する。
【0006】
発明者が実際の支柱についてその地面との境界部分を観察したところによると、元々4.5mmの厚みが腐食によって1mm程度になっていた。
このように、地面との境界部分が肉薄になっている支柱を、その地面よりも上部を支持して引き抜こうとすると、肉薄になっている部分が引抜時の引張り荷重に耐えられずに破断してしまい、支柱を引き抜くことができず、地中に支柱が残ってしまうという問題がある。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、地上部分に肉薄部分があるような支柱であっても確実に引き抜くことができる支柱引抜装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る中空部材引抜装置は、中空部材を引く抜く中空部材引抜装置であって、中空部に挿入して該中空部を内側から押圧してチャックするチャック機構部と、該チャック機構部を引抜方向に引っ張るジャッキ機構部とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、チャック機構部は、チャック機構部を引抜き方向に引っ張ることによって中空部の内壁を押圧するチャック力が強くなるように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
(3)また、上記(2)に記載のものにおいて、チャック機構部は、中空部の内壁を押圧して前記中空部をチャックするチャック部材と、ジャッキによって引抜方向に引っ張られることにより前記チャック部材に該チャック部材が前記中空部の内壁を押圧する押圧力を付与するブロック部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
(4)また、上記(3)に記載のものにおいて、ブロック部材とチャック部材は引抜方向に向かって縮径するテーパ面を介して接触していることを特徴とするものである。
【0012】
(5)また、上記(4)または(3)に記載のものにおいて、チャック部材を引抜方向と逆方向に押し込むことにより、チャック部材が中空部材の内壁を押圧するように構成したことを特徴とするものである。
【0013】
(6)また、上記(3)〜(5)のいずれかに記載のものにおいて、ブロック部材は、チャック部材に当接するブロック体と、該ブロック体に連結されてジャッキ機構部からの引抜力を前記ブロック体に伝達する軸部材とを備え、該軸部材がその途中で連結及び切離しが自在になっていることを特徴とするものである。
【0014】
(7)また、上記(3)〜(6)のいずれかに記載のものにおいて、ブロック部材の下端部に、チャック部材の下端部に当接可能なストッパ部材を設置し、ブロック部材を引き抜き方向に移動したときに前記ストッパ部材が前記チャック部材の下端部に当接してブロック部材とストッパ部材の相対移動を規制するようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
(8)また、上記(7)に記載のものにおいて、ストッパ部材がチャック部材の下端部に当接したときに、ブロック部材によって拡径されたチャック部材の外径が引抜対象とする中空部材の内径よりも大きく外径よりも小さくなるように設定されていることを特徴とするものである。
【0016】
(9)また、上記(3)〜(8)のいずれかに記載のものにおいて、ブロック部材は複数の部材から構成し、各部材を径方向に移動可能に連結する連結部材によって連結したことを特徴とするものである。
【0017】
(10)また、上記(1)〜(9)のいずれかに記載のものにおいて、ジャッキを、中空部材の引抜方向から平面視したときに前記中空部材が占める領域から外れた位置に配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、中空部材を引く抜く中空部材引抜装置であって、中空部に挿入して該中空部を内側から押圧してチャックするチャック機構部と、該チャック機構部を引抜方向に引っ張るジャッキ機構部とを備えたことにより、地上部分に肉薄部分があるような支柱であっても確実に引き抜くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[実施の形態1]
図1は本発明の一実施の形態に係る中空部材の引抜き装置の一例であるガードレールの支柱引抜き装置の説明図、図2〜図5は図1の部品の一部を説明する説明図である。
本実施の形態に係る支柱引抜装置1は、支柱3内に挿入されて支柱内壁を内側から押圧してチャックする4個のブロック体5からなる分割チャック7(図2参照)と、分割チャック7に係合して分割チャック7を押し広げるテーパブロック体9(図4参照)と、テーパブロック体9に固定された引張軸11と、分割チャック7を支柱内に押し込む初期押込み用ナット13と、引張軸11に係合して引張軸11を引抜方向に引っ張る反力フレーム15と、反力フレーム15を引き抜き方向に移動させる油圧ジャッキ17とを備えている。
以下、各構成を詳細に説明する。
【0020】
<分割チャック>
分割チャック7は、図2に示すように、4個のブロック体5からなり、これら4個のブロック体5を組み合わせることで全体が円柱形状になるように形成されている。図3は、4個のブロック体5のうちの1個を外した状態を示している。図3に示すように、各ブロック体5の内面には円弧状の凹溝19が形成され、4個のブロック体5を円柱形状に組み合わせたときに、各凹溝19がテーパ穴21を形成する。テーパ穴21は引抜方向に縮径しており、テーパの傾斜角度は、この例では約6度である。
【0021】
各ブロック体5の外周面には円周方向に延びる多数の尖り山23が形成されており、支柱引抜時において、この尖り山23が支柱内面に食い込むことで支柱内面を強固にチャックできるようになっている。
また、各ブロックの高さ方向の2箇所には周方向に延びる周溝25が形成され、この周溝25にリング状の形状保持用ゴム27を掛けることで、4個のブロックを円柱形状に保持できるようになっている(図3参照)。
分割チャック7の外径は、引抜の対象となる支柱3の内径より若干だけ小径に設定されている。
【0022】
<テーパブロック体>
テーパブロック体9は、分割チャック7のテーパ穴21に挿入されて、分割チャック7を押し広げる機能を有するものである。
テーパブロック体9は、図4に示すように、周面が引抜方向に縮径するテーパ状に形成された全体形状が円錐台形状からなる。テーパブロック体9の周面は、図4に示すように、テーパ穴21の周面に当接するように形成されている。テーパブロック体9の上端部には引張軸11の端部をねじ込むためのネジ穴が形成されている。
【0023】
<引張軸>
引張軸11は、一端がテーパブロック体9にネジ固定されてテーパブロック体9を引抜方向に引っ張る軸部材である(図4参照)。引張軸11の上端部には反力ナット29が着脱可能に取り付けられるように、第1ネジ部31が形成されている。また、引張軸11の下端部には初期押込み用ナット13を軸方向移動可能に取り付けるための第2ネジ部33が形成されている。
【0024】
上記の分割チャック7、テーパブロック体9及び引張軸11によって本発明のチャック機構部が構成される。
このような構造のチャック機構部においては、引張軸11を引抜方向に引っ張ることにより、テーパブロック体9が分割チャック7のテーパ穴21周面に当接しながら移動し、これによって分割チャック7が押し広げられる。このとき、分割チャック7が引抜対象の支柱3に挿入されていれば、分割チャック7の外周面に形成された尖り山23が支柱3の内周面に食い込む。これによって、分割チャック7と支柱3との一体化が行なわれ、引張軸11を引抜方向に引っ張ることでさらに一体化が強固となり、支柱3は引き抜かれる。
【0025】
<初期押込み用ナット>
初期押込み用ナット13は、支柱3の中空部に挿入された分割チャック7を支柱内に押し込むことによって分割チャック7の周面を支柱3の中空内壁部に押圧して一体化させるためのものである。
【0026】
初期押込み用ナット13は、引張軸11の下端部に螺合して、下端面が分割チャック7の上端面に当接可能になっている。
したがって、初期押込み用ナット13をねじ込むことにより、その下端面が分割チャック7の上端面を押圧し、分割チャック7を支柱内に押し込むことができる。分割チャック7を押し込むことにより、分割チャック7はテーパブロック体9の拡径側に移動するため、これによって押し広げられ、分割チャック7の外周面に形成された尖り山23が支柱3の内周面に食い込む。この結果、分割チャック7と支柱3との一体化が行なわれ、引張軸11を引抜方向に引っ張ったとしても、両者が確実に一体化されており、両者が分離することなく、確実な引抜ができる。
【0027】
<反力フレーム>
反力フレーム15は、油圧ジャッキ17の力を引張軸11に伝達するためのものである。
反力フレーム15は、図1、図5に示すように、平面視の外形が長丸状に形成され、中央部には引張軸11が挿通される引張軸挿通穴35が設けられ、その両側にはジャッキ本体37が挿入される一対のジャッキ本体挿入穴39が設けられている。
ジャッキ本体37はその後端側(伸張ロッドの反対側)からジャッキ本体挿入孔に挿入され、挿入状態では、ジャッキ本体37の本体リング41が反力フレーム15に当接する(図1参照)。
【0028】
反力フレーム15は上板43と下板45と上下板の間に設置された筒状部材47および板部材48から形成されている。反力フレーム15をこのような構造にすることにより、上下の板厚を厚くすることなく剛性を高められ、引き抜きの際に生ずる反力を、反力ナット29を介して引張軸11に確実に伝達できる。
【0029】
<動作説明>
上記のように構成された本実施の形態の動作を、ガードレールの支柱引抜作業手順に従って説明する。
引抜の対象となるガードレールの支柱3における地上へ突出している部分を切断する。切断した支柱3の中空内面のほぼ中央にテーパブロック体9を、その拡径側を下にして挿入する。挿入されたテーパブロック体9に分割チャック7のテーパ穴21を挿入するようにして分割チャック7を支柱内に挿入する。
【0030】
下端部に初期押込み用ナット13を取り付けた引張軸11をテーパブロック体9の上端部にねじ込む。この状態でジャッキ本体37を挿入した反力フレーム15の引張軸挿通穴35に引張軸11を挿入し、油圧ジャッキ17の伸縮ロッドの先端部を地面に当接させる。さらに、引張軸11の上端部に反力ナット29をねじ込みナットと反力フレーム15を当接させる。
【0031】
この状態で初期押込み用ナット13をねじ込む。初期押込み用ナット13をねじ込むことで、前述した作用により分割チャック7の外周面に形成した尖り山23が支柱3の内周面に食い込み、分割チャック7を支柱内周面に固定できる。
この状態で油圧ジャッキ17を駆動して油圧ジャッキ17の伸縮ロッドを伸張させる。これによって、ジャッキ本体37が反力フレーム15を押し上げながら上方に移動し、その結果、引張軸11が反力ナット29を介して引き上げられる。引張軸11が引き上げられると、上述した分割チャック7の動作によって分割チャック7が支柱内面をチャックした状態で上方に移動して、支柱3を引抜く。
【0032】
以上のように、本実施の形態においては、地中にある支柱3をその内面からチャックするようにしているので、従来例の問題点で示したように引抜に際して支柱3が分断することで引抜ができなくなるようなことがなく、確実な引抜が実現できる。
【0033】
また、本実施の形態ではテーパブロック体9を引抜方向に引っ張ることで分割チャック7が支柱内面に押圧される構造なので、引抜力が高くなればそれに従って分割チャック7が支柱3をチャックする力が強くなり、支柱3が強固に埋め込まれていても分割チャック7と支柱3とが滑ることなく確実に引抜きができる。
【0034】
また、引張軸11を反力フレーム15で支持し、引張軸11を挟んで両側に油圧ジャッキ17を配置する構造にしているので、油圧ジャッキ17と支柱3との間に支柱3が上方に移動するスペースを確保する必要がなく省スペースな構造になっている。
さらに、初期押込み用ナット13を設け、これによって引抜前に分割チャック7を支柱内面に押圧して両者を一体化させるようにしたので、引抜初期に分割チャック7が支柱内面を滑ることがなく、確実に引抜ができる。
また、反力フレーム15を、筒状部材を介在した構造にしているので、軽量化が実現できている。
【0035】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2の説明図、図7は図6の軸線に沿った断面図である。
本実施の形態に係る支柱引抜装置50は、分割チャック7と、テーパブロック体9と、引張軸11と、初期押込み用ジャッキ51と、反力フレーム52と、油圧ジャッキ17とを備えている。
【0036】
本実施の形態の支柱引抜装置50を構成する機器は基本的には実施の形態1のものと同様であり同様の部分には同一の符号を付してある。本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、実施の形態1においては油圧ジャッキ17を2本用いていたのに対して、本実施の形態では油圧ジャッキ17が1本である点、および分割チャック7の初期押込みを行なうのに実施の形態1ではナットを用いていたが、本実施の形態ではジャッキを用いている点である。
以下の説明ではこの相違点を中心に説明する。
【0037】
<反力フレーム>
本実施の形態に係る反力フレーム52(ラムチェア)は、図6、図7に示すように、下端部が開口した筒状体からなり、側面には開口部が設けられている。筒状体の空間部が分割チャック7の移動空間となる。
反力フレーム52の上端面はジャッキ本体37の支持部となる。上端面には引張軸11を挿入するための引張軸挿入穴が設けられている。
【0038】
上記のように構成された反力フレーム52は、下端の開口部のエリアに支柱が配置されるように設置する。そして、引張軸11が反力フレーム52の筒状空間を貫通して、さらにジャッキ本体内を貫通して油圧ジャッキ17の先端ロッド側に反力ナット29を介して連結される。
【0039】
<初期押込み用ジャッキ>
初期押込み用ジャッキ51は、実施の形態1における初期押込み用ナット13と同様に、分割チャック7を支柱の中空部に挿入した状態で、分割チャック7を引抜方向と反対の方向に向かって押し込むことによって分割チャック7の周面を支柱の中空部に一体化させるためのものである。
【0040】
図8は初期押込み用ジャッキ51の外形図、図9はその断面図である。以下、図に基づいて初期押込み用ジャッキ51の構造を説明する。
初期押込み用ジャッキ51は、シリンダ53と、シリンダ内に配置されてシリンダ53に対して相対移動可能なピストンロッド55と、シリンダ53とピストンロッド55の間に形成された油注入部57とを備え、ピストンロッド55が引張軸11とネジ固定出来るようになっている。
油注入部57にポート59から油を注入することで、図10に示すように、シリンダ53を下方に移動させ、シリンダ53の下端面が分割チャック7を支柱内に押し込む。
分割チャック7を押し込んだときの作用については実施の形態1で説明したのと同様である。
【0041】
<動作説明>
上記のように構成された本実施の形態の動作を説明する。基本的な動作は実施の形態1と同様なので、異なる点を中心に説明する。
引抜対象の支柱の中空内面のほぼ中央にテーパブロック体9を挿入し、挿入されたテーパブロック体9に挿入するように分割チャック7を支柱内に挿入する。下端部に初期押込み用ジャッキ51を取り付けた引張軸11をテーパブロック体9の上端部にねじ込む。この状態で反力フレーム52を設置し、さらに反力フレーム上に油圧ジャッキ17を設置する。そして、引張軸11の上端に反力ナット29をねじ込み、反力ナット29と油圧ジャッキ17のロッド先端とを当接させる。
【0042】
この状態で初期押込み用ジャッキ51に作動油を供給してシリンダ53を下動させる。初期押込み用ジャッキ51のシリンダ53を下動させることで、初期押込み用ジャッキ51のシリンダ53が分割チャック7の上面を押し下げ、分割チャック7がテーパブロック体9によって押し広げられる。このため、分割チャック7の外周面に形成した尖り山23が支柱の内周面に食い込み、分割チャック7を支柱内周面に固定できる。
この状態で油圧ジャッキ17を駆動して油圧ジャッキ17のロッドを伸張させる。これによって、反力ナット29を介して引張軸11が引抜方向(上方向)に移動して、支柱を引抜く。
【0043】
[実施の形態3]
図11は本発明の実施の形態3の説明図である。本実施の形態は、分割チャック64とテーパブロック体の他の態様に関するものである。
本実施の形態のテーパブロック体60は、円柱形状の円柱ブロック体61の周面4箇所に軸方向に延びるテーパ溝63が形成されたものである。そして、本実施の形態の分割チャック64は、テーパ溝63に挿入できるテーパ面を有し、外側面に多数の尖り山23を形成した4枚の板状体65からなるものである。
【0044】
分割チャック64を構成する各板状体65は、平板状であってもよいし、図12に示すように、平断面がT字状に形成してもよい。一方、テーパブロック体60に設けたテーパ溝63の溝形状は板状体65の形状に合うように形成すればよく、板状体65が平板状の場合には図11に示すような矩形状でよいし、板状体65がT字状の場合には図12に示すようにこれに合うように形成する。もっとも、テーパ溝63に挿入された状態で板状体65がテーパブロック体60の径方法に移動できる必要があるので、板状体65がT字状の場合には、板状体65をテーパ溝63に挿入した状態において両者間には隙間が生ずるように溝形状を設定する。
【0045】
板状体65の形状をT字状にすることで、板状体65のテーパブロック体60への挿入を円滑にできると共に板状体65とテーパブロック体60とがバラバラにならずに保持できる。
なお、板状体65の平断面形状はT字状に限られるものではなく、要するに板状体65をテーパブロック体60に挿入した状態で板状体65がテーパブロック体60の径方向に抜け出さないような形状であればよく、例えば径外方向が上底となる台形であってもよい。
【0046】
上記のように構成された本実施の形態においては、支柱の引抜動作に際して、テーパブロック体60を支柱内に挿入し、テーパブロック体60の各テーパ溝63に板状体65を挿入する。そして、図13に示すように、初期押込み用ナット13の下方に分割チャック64を構成する各板状体65の上面に当接するような脚部材67を設置して、初期の押込みを行なうようにする。
その後の動作は実施の形態1、2と同様である。
【0047】
本実施の形態においては、分割チャック64を板状のものにしたことで、取替えなどを簡易にでき、コストを低減できる。
なお、各板状体65の外側面に形成する尖り山23は、図11、図12に示すようにその全長に亘るものでもよいし、図13に示すように、外側面の一部に形成するものでもよい。
【0048】
[実施の形態4]
図14は本発明の実施の形態4の説明図である。
上記の他の実施の形態では分割チャックとテーパブロック体を別部材で構成し、テーパブロックで分割チャックを押し広げるという構造のものであったが、本実施の形態では、テーパブロック体をなくして分割チャックのみで構成したものである。
【0049】
本実施の形態に係る分割チャックは、図14に示されるように、第1分割チャック部材69と第2分割チャック部材71の2つの部材から構成される。第1分割チャック部材69及び第2分割チャック部材71は周面が円弧状に形成され、一側面に傾斜面が形成されており、両者は傾斜面を合わせることにより、外形が円柱形状になる。
第1分割チャック部材69及び第2分割チャック部材71の周面には周方向に延びる尖り山23が多数形成されている。また、第1分割チャック部材69の上端部には引張軸11がねじ込み可能になっている。
【0050】
上記のように構成された本実施の形態においては、傾斜面を合わせて円柱形状に組み合わせた状態で分割チャックを支柱内に挿入し、第1分割チャック部材69を引き上げようとすると第1分割チャック部材69が第2分割チャック部材71に対して上方に移動し、円柱体の径が拡径することになり、分割チャックが支柱中空内壁に強く押し付けられ、分割チャックを支柱内面に固定できる。
【0051】
なお、初期押込み時においては、第2分割チャック部材71を押し下げるようにすることで、円柱体の径を拡径し、支柱内壁を押圧できる。
【0052】
本実施の形態によれば、部品点数を少なくできることから、コストを低減できるという効果がある。
なお、図15に示すように、第1分割チャック部材69及び第2分割チャック部材71の当接部における側面(図中の斜線部分)を切削して平面にすることで、分割チャックの拡径時においてスムーズな押圧が実現できる。
【0053】
[実施の形態5]
図16は本発明の実施の形態5に係る中空部材の引抜装置の説明図である。本実施の形態は、実施の形態1と同様にガードレールの支柱引抜き装置に関するものであり、図16において、実施の形態1と同一部分には同一の符号を付してある。
【0054】
本実施の形態に係る支柱引抜装置80は、基本的な構成は実施の形態1と同様であり、支柱3内に挿入されて支柱内壁を内側から押圧してチャックする4個のブロック体5からなる分割チャック7(図16、図3参照)と、分割チャック7に係合して分割チャック7を内側から押し広げるテーパブロック体9(図16、図4参照)と、テーパブロック体9に固定された引張軸11と、分割チャック7を支柱内に押し込む初期押込み用ナット13と、引張軸11に係合して引張軸11を引抜方向に引っ張る反力フレーム15と、反力フレーム15を引き抜き方向に移動させる油圧ジャッキ17とを備えている。
以下、各構成を詳細に説明する。
【0055】
<分割チャック>
図17は分割チャック7の説明図であり、分割チャック7の斜視図と平面図が示されている。
分割チャック7の基本的な構成は、図2に示した実施の形態1に示したものと同様であり、4個のブロック体5からなり、これら4個のブロック体5を組み合わせることで全体が円柱形状になるように形成されている。各ブロック体5の内面には円弧状の凹溝が形成され、4個のブロック体5を円柱形状に組み合わせたときに、各凹溝がテーパ穴を形成する点も実施の形態1のものと同様である。
【0056】
もっとも、本実施の形態における分割チャック7には、図17に示すように、その上部に各ブロック体5を連結するブロック体連結部材81が設けられている。ブロック体連結部材81は全体形状がリング状からなり、周方向90度毎の4箇所に径方向に延びる長穴83が形成されている。各長穴83には案内ボルト85が挿入され、案内ボルト85の下端側が各ブロック体5の上面にねじ込まれている。したがって、各ブロック体5は案内ボルト85をガイドとして長穴83に案内されて径方向に移動できるようになっている。
図17(a)は、テーパブロック体9が分割チャック7に対して下方に位置しており、分割チャック7が縮径した状態を示し、図17(b)は図17(a)に示した状態からブロック体5が上方に移動して分割チャック7が拡径した状態を示している。
【0057】
ブロック体連結部材81を設けることにより、分割チャック7を構成している各ブロック体5がバラバラに分離することがなく各ブロック体5を同時に支柱3に挿入できるため作業性に優れると共に、拡径及び縮径の動作をスムーズに行なうことができる。
【0058】
<テーパブロック体>
テーパブロック体9についても、その基本構成は、実施の形態1に示したものと同様である。もっとも、本実施の形態においては、テーパブロック体9の下端部に分割チャック7の下端部に当接してテーパブロック体9と分割チャック7の相対移動を規制するストッパ部材87を設置しているが実施の形態1と相違する。
ストッパ部材87は、テーパブロック体9に着脱可能に設置するエンドストッパ89と、エンドストッパ89の上方に載置される2個の調整リング91から構成される。調整リング91の厚み又は枚数を調整することにより、ストッパ部材87と分割チャック7下端部との隙間93を調整でき、これによってテーパブロック体9の分割チャック7に対する上下方向の移動可能距離を調整できる。
図17に示す例では、厚み10mmの調整リング91を2枚設置したものが示されている。
なお、ストッパ部材87の外径は分割チャック7が縮径した状態の外径より小径に設定されている。
【0059】
図18はストッパ部材87の作用を説明する図であり、図18(a)(b)はそれぞれ図17(a)(b)それぞれの状態の断面を模式的に示してある。
図18(a)に示す状態からテーパブロック体9を上方に引き上げることにより、テーパブロック体9が分割チャック7を押し広げる。そして、ストッパ部材87の上端面すなわち上側の調整リング91の上端面が分割チャック7の下端面に当接すると、テーパブロック体9は分割チャック7に対してそれ以上移動することができず、分割チャック7はそれ以上押し広げられなくなる。このため、分割チャック7が際限なく押し広げられる場合には分割チャック7が支柱3を押し広げすぎ、支柱3が埋められているコンクリートが割れたりすることも考えられるが、ストッパ部材87を設けることでこれを防止できる。
【0060】
ストッパ部材87の上端面が分割チャック7の下端面に当接した状態で、テーパブロック体9をさらに引き上げると、分割チャック7はテーパブロック体9側面の摩擦力に加えてストッパ部材87からの押し上げ力を受けて引き上げられる。
したがって、実施の形態1の場合にはテーパブロック体9側面の摩擦力のみであったが、本実施の形態においては実施の形態1の摩擦力に加えてストッパ部材87からの押し上げ力が付与されるので支柱3をチャックした分割チャック7を確実に引き上げられる。
【0061】
このように、ストッパ部材87は分割チャック7を押し広げる限度を規制し、かつ分割チャック7の引き上げを確実にするという機能を有する。この点、分割チャック7を押し広げる限度を規制するという観点からは、分割チャック7を押し広げる度合いが小さすぎると分割チャック7と支柱3との一体化が弱くなり、また分割チャック7を押し広げる度合いが大きすぎると、前述したように、支柱3を埋設しているコンクリートを割ってしまうことが考えられ、分割チャック7を押し広げる度合いを適切な限度に設定することが好ましい。
この点について、発明者は分割チャック7とテーパブロック体9の相対移動距離を種々設定して実験を行なったところ、分割チャック7を最大拡径したときにその外径が引き抜き対象の支柱3の内径よりも大きく、外径未満になるように設定するのが好ましいことが分かった。
【0062】
<引張軸>
引張軸11は、一端がテーパブロック体9にネジ固定されてテーパブロック体9を引抜方向に引っ張る軸部材である(図16参照)。
実施の形態1においては、引張軸11が一体であったが、本実施の形態の引張軸11は、図19に示すように、途中でカプラ95によって連結される構造になっている。つまり、本実施の形態の引張軸11は、テーパブロック体9と連結される下側の引張軸11aと反力フレーム15に連結される上側の引張軸11bとがカプラ95によって連結され、軸の途中で連結及び切離しが自在にできるようになっている。このため、上側の引張軸11bを反力フレームに連結した状態でテーパブロック体9と切離すことができる。
【0063】
このように、引張軸11をカップラによって連結及び切離しを自在にしたことにより、以下のような効果が得られる。
実施の形態1のように引張軸11が一体の場合には、一つの支柱3の引抜作業が終了すると引張軸11を反力フレーム15から外し、実施の形態1の動作説明で説明したようにテーパブロック体9の支柱内部への挿入、分割チャック7の設置、再び引張軸11の反力フレーム15への設置という作業を行なう必要があり、必ずしも作業性がよくない。
これに対して、本実施の形態のように、引張軸11をその途中で連結及び切離しが自在になるようにしておけば、図19に示すようにカプラ95よりも下側に配置されるチャック機構部97を複数製作して複数の支柱3に予め挿入しておき、引抜が終了した時点でカップラ95によって下側の引張軸11aを切離し、別の引張軸11aと連結して引抜を行なうことが可能となり、作業性が格段に向上する。
【0064】
このように引張軸11をその途中で連結及び切離しが自在にして、図19(b)に示すチャック機構部97を支柱3に先に挿入できるようにすると、挿入状態でチャック機構部97を保持できるようにする必要がある。
そこで、本実施の形態においては、図19(b)に示すように、分割チャック7を支柱3に挿入状態で所定の位置に保持する分割チャック保持部材99を設けている。分割チャック保持部材99は、ブロック体連結部材81の上面2箇所に立設されたポール101と、一端側がポール101に連結されて径外方向に延びるアーム103と、アーム103の他端に上下方向の位置調整可能に設けられた位置調整ボルト105を備えている。
分割チャック保持部材99は、分割チャック7を支柱3に挿入した状態で、位置調整ボルト105の下端を支柱3の周囲のコンクリート面等に当接させることによって分割チャック7を保持する。また、2個の位置調整ボルト105の調整によって支柱3の傾きに応じた分割チャック7の保持が可能になる。
【0065】
なお、引張軸11の上部に、反力ナット29が取り付けられ、また、引張軸11の下端部には初期押込み用ナット13が取り付けられている点は実施の形態1と同様である。
また、分割チャック7、テーパブロック体9及び引張軸11が本発明のチャック機構部97を構成している点も実施の形態1と同様である。
【0066】
<初期押込み用ナット>
初期押込み用ナット13の構造およびその作用については実施の形態1と同様である。
【0067】
<反力フレーム>
反力フレーム15の構造及び作用についても実施の形態1と同様である。なお、本実施の形態においては、図16、図19(a)に示すように、反力フレーム15に油圧配管107が設置され、油圧カプラ109が設けられている。
【0068】
<動作説明>
図20〜図26は上記のように構成された本実施の形態の動作を、ガードレールの支柱引抜作業手順に従って説明する説明図である。以下、図20〜図26に基づいて本実施の形態の動作を説明する。
引抜の対象となるガードレールの支柱3における地上へ突出している部分を切断する。そして、切断した支柱3の中空部にチャック機構部97を挿入する(図20、図21参照)。このチャック機構部97の挿入時においては、分割チャック保持部材99を把持することによって、図20に示すように、テーパブロック体9が分割チャック7に対して下方に移動するので、分割チャック7はテーパブロック体9によって押し広げられることなく縮径状態になり、分割チャック7を支柱3に容易に挿入することができる。
チャック機構部97を挿入した状態では、図21に示すように、位置調整ボルト105の下端をコンクリート面に当接させることによって分割チャック7を保持する。
【0069】
次に、図22に示すように、カプラ95を引き上げることによってテーパブロック体9を分割チャック7に対して上方に移動させ、分割チャック7を拡径させて分割チャック7の外周面を支柱内面に当接させる。
次に、図23に示すように、初期押込み用ナット13を回転させて下方に移動させ、初期押込み用ナット13によってブロック体連結部材81を押し下げ、これによって分割チャック7をテーパブロック体9に対して下方に移動させ分割チャック7をさらに拡径して分割チャック7を支柱3の内面に強く押し付ける。
【0070】
次に、上側の引張軸11b及び油圧ジャッキ17を設置した反力フレーム15を、図24に示すように配置し、カプラ95によって上側の引張軸11bと下側の引張軸11aを連結する。連結後に、図示しない油圧ポンプからの油圧配管107を油圧カプラ109に接続する。
この状態で油圧ジャッキ17を駆動して油圧ジャッキ17の伸縮ロッドを伸張させる。これによって、ジャッキ本体37が反力フレーム15を押し上げながら上方に移動し、その結果、引張軸11が反力ナット29を介して引き上げられる。引張軸11が引き上げられると、上述した分割チャック7の動作によって分割チャック7が支柱内面をチャックした状態で上方に移動して、支柱3を引抜く(図25参照)。
図26に示すように支柱3の引抜が完了すると、上側の引張軸11bをカプラ95から切り離し、ジャッキストロークを戻す。ジャッキストロークを戻した後、これを他の支柱3に設置してあるチャック機構部97と連結して上記と同様の動作によって支柱3の引抜を行なう。
【0071】
以上のように、本実施の形態においては、実施の形態1で説明した効果に加えて以下のような効果が得られている。
分割チャック7の上部にブロック体連結部材81を設けたことにより、分割チャック7を構成している各ブロック体5がバラバラに分離することなくチャック機構部97を一括して支柱内部に挿入でき作業性に優れると共に、分割チャック7の拡径及び縮径の動作をスムーズに行なうことができる。
【0072】
また、テーパブロック体9の下部にストッパ部材87を設けたことにより、分割チャック7の拡径範囲を適正な範囲に制御でき、分割チャック7による支柱3のチャックを適切に行なうことができると共に、分割チャック7によって支柱3をチャックした状態で引き上げる際に分割チャック7に対してストッパ部材87からの押し上げ力を付与できるので分割チャック7を確実に引き上げられる。
【0073】
さらに、カプラ95によって引張軸11の連結及び切離しを自在にできるようにしたことにより、カプラ95よりも下側に配置されるチャック機構部97を複数製作して複数の支柱3に挿入しておき、引抜が終了した時点でチャック機構部97を切離し、別のチャック機構部97の引張軸11aと連結して引抜を行なうことが可能となり、作業性が格段に向上する。
【0074】
上記の実施の形態1〜5においては、中空部材の引抜き装置の一例としてガードレールの支柱引抜き装置について説明したが、本発明の中空部材の引抜き装置はこれに限られるものではなく、地中その他に埋設、打ち込み等された様々な中空部材を引く抜く際に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態1に係る支柱引抜装置の説明図である。
【図2】図1に示した支柱引抜装置の部品の説明図である。
【図3】図1に示した支柱引抜装置の部品の説明図である。
【図4】図1に示した支柱引抜装置の部品の説明図である。
【図5】図1に示した支柱引抜装置の部品の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る支柱引抜装置の説明図である。
【図7】図6の縦断面図である。
【図8】図5に示した支柱引抜装置の部品の説明図である。
【図9】図8に示した部品の断面図である。
【図10】図8に示した部品の断面図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る支柱引抜装置の部品の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る支柱引抜装置の部品の説明図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る支柱引抜装置の部品の説明図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係る支柱引抜装置の部品の説明図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係る支柱引抜装置の部品の説明図である。
【図16】本発明の実施の形態5に係る支柱引抜装置の説明図である。
【図17】本発明の実施の形態5に係る支柱引抜装置の部品の説明図である。
【図18】本発明の実施の形態5の動作説明図である。
【図19】本発明の実施の形態5に係る支柱引抜装置の構造を説明する説明図である。
【図20】本発明の実施の形態5の支柱引抜装置を用いた支柱引抜方法の説明図である。
【図21】本発明の実施の形態5の支柱引抜装置を用いた支柱引抜方法の説明図である。
【図22】本発明の実施の形態5の支柱引抜装置を用いた支柱引抜方法の説明図である。
【図23】本発明の実施の形態5の支柱引抜装置を用いた支柱引抜方法の説明図である。
【図24】本発明の実施の形態5の支柱引抜装置を用いた支柱引抜方法の説明図である。
【図25】本発明の実施の形態5の支柱引抜装置を用いた支柱引抜方法の説明図である。
【図26】本発明の実施の形態5の支柱引抜装置を用いた支柱引抜方法の説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1 支柱引抜装置
3 支柱
5 ブロック体
7 分割チャック
9 テーパブロック体
11 引張軸
13 初期押込み用ナット
15 反力フレーム
17 油圧ジャッキ
19 凹溝
21 テーパ穴
23 尖り山
29 反力ナット
50 支柱引抜装置
51 初期押込み用ジャッキ
52 反力フレーム
60 テーパブロック体
61 円柱ブロック体
63 テーパ溝
64 分割チャック
65 板状体
67 脚部材
69 第1分割チャック部材
71 第2分割チャック部材
80 支柱引抜装置
81 ブロック体連結部材
83 長穴
85 案内ボルト
87 ストッパ部材
89 エンドストッパ
91 調整リング
93 隙間
95 カプラ
97 チャック機構部
99 分割チャック保持部材
101 ポール
103 アーム
105 位置調整ボルト
107 油圧配管
109 油圧カプラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部材を引く抜く中空部材引抜装置であって、中空部に挿入して該中空部を内側から押圧してチャックするチャック機構部と、該チャック機構部を引抜方向に引っ張るジャッキ機構部とを備えたことを特徴とする中空部材引抜装置。
【請求項2】
チャック機構部は、チャック機構部を引抜き方向に引っ張ることによって中空部の内壁を押圧するチャック力が強くなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の中空部材引抜装置。
【請求項3】
チャック機構部は、中空部の内壁を押圧して前記中空部をチャックするチャック部材と、ジャッキによって引抜方向に引っ張られることにより前記チャック部材に該チャック部材が前記中空部の内壁を押圧する押圧力を付与するブロック部材とを備えてなることを特徴とする請求項2に記載の中空部材引抜装置。
【請求項4】
ブロック部材とチャック部材は引抜方向に向かって縮径するテーパ面を介して接触していることを特徴とする請求項3に記載の中空部材引抜装置。
【請求項5】
チャック部材を引抜方向と逆方向に押し込むことにより、チャック部材が中空部材の内壁を押圧するように構成したことを特徴とする請求項3又は4に記載の中空部材引抜装置。
【請求項6】
ブロック部材は、チャック部材に当接するブロック体と、該ブロック体に連結されてジャッキ機構部からの引抜力を前記ブロック体に伝達する軸部材とを備え、該軸部材がその途中で連結及び切離しが自在になっていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の中空部材引抜装置。
【請求項7】
ブロック部材の下端部に、チャック部材の下端部に当接可能なストッパ部材を設置し、ブロック部材を引き抜き方向に移動したときに前記ストッパ部材が前記チャック部材の下端部に当接してブロック部材とストッパ部材の相対移動を規制するようにしたことを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の中空部材引抜装置。
【請求項8】
ストッパ部材がチャック部材の下端部に当接したときに、ブロック部材によって拡径されたチャック部材の外径が引抜対象とする中空部材の内径よりも大きく外径よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項7に記載の中空部材引抜装置。
【請求項9】
ブロック部材は複数の部材から構成し、各部材を径方向に移動可能に連結する連結部材によって連結したことを特徴とする請求項3〜8のいずれか一項に記載の中空部材引抜装置。
【請求項10】
ジャッキを、中空部材の引抜方向から平面視したときに前記中空部材が占める領域から外れた位置に配置したことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の中空部材引抜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−78922(P2009−78922A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210224(P2008−210224)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(507230382)首都高メンテナンス西東京株式会社 (4)
【出願人】(390027513)大瀧ジャッキ株式会社 (26)
【Fターム(参考)】