説明

中継システム及び中継網のコーディック選択方法

【課題】 発着信事業者が利用するコーディックから無駄なコーディック変換を行わない。
【解決手段】 本発明は、中継ネットワークに接続するネットワークで電話番号とコーディックの対応関係をENUMサーバに記憶し、発側SBCは着側SBCの信号経路解決後、コーディック情報を着側ネットワークのENUMサーバに問い合わせ、発側SBCが中継コーディックを決定し、決定したコーディック情報を含むオファーを着側SBCに送信し、呼を確立する。発着SBCは受信したオファー・アンサー間に差分がある場合にコーディック変換を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継システム及び中継網のコーディック選択方法に係り、特に、複数のネットワーク事業者をまたがる場合の中継網のコーディック選択方法および装置に関する。
【0002】
詳しくは、事業者間相互接続ネットワークにおける端末とネットワーク間のセッション確立過程の能力情報交換の仕組みを利用した中継システム及び中継網のコーディック選択方法に関する。
【背景技術】
【0003】
まず、従来の固定・移動通信キャリアのネットワークのIP(Internet Protocol)化技術について説明する。
【0004】
固定通信、移動通信に関する使用を策定するITU-Tで議論している次世代ネットワーク(NGN: Next Generation Network)は、サービスがIPネットワークを経て提供されるネットワークアーキテクチャを想定している。NGNでは第三世代の移動通信ネットワークの標準化団体である3GPPで策定されたIPマルチメディアサブシステム(IMS: IP Multimedia Subsystem)の採用を決めており、このIMSを用いたネットワークサービスが提供されている。IMSはSIP(Session Initiation Protocol)(非特許文献1参照)を用いることで、サービスの実行制御、端末間のセッション制御、登録処理及び課金処理を行うサブシステムである(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
IMSでは、SIPによる制御の過程で、SDP(Session Description Protocol)を利用したオファーアンサーモデルによりセッションを確立する。オファー/アンサーモデルはセッション確立/更新のための一般的モデルとして、非特許文献3で規定されている。
【0006】
次に、通信事業者ネットワーク間の相互接続について説明する。
【0007】
非特許文献2では、事業者間通信の相互接続性確保のための信号仕様であるNNI(Network Network Interface)を規定している。NNIでは異なる事業者間で信号仕様差分を変換する機能として、IBCF(Interconnection Border Control Function)を規定している。また、非特許文献4では、事業者間の音声通信において、コーディックなど音声メディアの仕様差分を変換するIBGF(Interconnection Border Gateway Function)を規定している。
【0008】
次に、通信事業者の接続コーディックについて説明する。
【0009】
事業者毎に利用するコーディックが異なるため、事業者間相互接続では事前に接続に利用するコーディックを規定する必要がある。
【0010】
一方で、海外の通信事業者との接続では、各対地との通信量が少なく、接続仕様を取り決め、接続に必要な装置を個別に用意することに見合う収益が見込めない。そこで、複数の事業者に対する接続を一括して提供する事業者(中継事業者)が中継ネットワークに集約する接続が行われている。これにより、各事業者は海外との接続装置を設置する必要がなく、中継事業者は各事業者と海外との接続を集約するため、大群化効果が得られて、設備を効率的に利用できる。ここでは、G.711を中継に用いるコーディックに統一することで、複数の事業者の接続性を保証している。
【0011】
次に、IPを用いた中継ネットワークについて説明する。
【0012】
移動体通信キャリアやベンダの業界団体であるGSMAでは、IPによるGSM、3Gのデータ通信サービスのインターワークのため、GPRSローミングのトラフィックを交換するexchange point(GRX)を規定している。GRXはサービス事業者間の接続性、ローミングと相互接続のためのend-end間QoS、相互接続課金を提供する。
【0013】
また、GRX上にサービス毎のQoS保証や従量課金、セキュリティ機能を重畳したIPX(IP eXchange)として、以下の機能要件が規定されている。
【0014】
・サービスベース課金モデル(サービスに応じた課金モデルの選択)による相互接続;
・特定IPサービスのための、相互インターワーキング;
・多拠点間のインターワーキング;
上記の他事業者との相互接続には、信号やメディア仕様に以下のような違いがある。
【0015】
信号の違いとしては、利用するSIP信号のシーケンス、メソッド・ヘッダの利用方法、オプションの利用有無等の違いが挙げられる。また、メディアの違いとしては、音声メディアのコーディック、パケット化周期、ビットレート、品質仕様(パケットロス率、遅延、ジッダ)DTMF方式等の違いが挙げられる。
【0016】
このため、通信事業者間の相互接続では、信号・メディア仕様の違いを吸収する仕組みが必要である。この違いを吸収するために、SBC(Session Border Controller)と呼ばれる装置が存在する。SBCは、図1に示すように、SIP信号とメディア信号を予め設定したルールに従って変換することができる。
【0017】
SBCを利用することで、各通信事業者はネットワークの仕様を変更することなく、接続相手の仕様に合わせて、信号・メディアを変換することにより、互いの仕様を維持したままサービスを相互接続することができる。
【0018】
非特許文献3のRFC3264では、オファー/アンサーモデルというセッションを確立する2つのエンドポイントがそれぞれオファー側とアンサー側となり、オファー側から2者間で確立するセッションの提案となるセッション/メディア情報を含むSDP記述文書を送信し、その提案を受けてアンサー側が回答となるセッション/メディア情報を含むSDP記述文書を返信する一連のメッセージ交換によって、セッションを確立するフレームワークである。
【0019】
RFC3261では、SIPを用いてオファー/アンサーの交換を行うための規定が定義されている。図1の例では、オファーには、発信端末及び発側ネットワークがサポートする能力が記述されており、複数のコーディック情報が記載される。また、発信事業者から見た各コーディックの優先度はコーディックの並ぶ順序により表現される。また、アンサーには、着信端末及び着側ネットワークが発信側の能力情報から着信端末及び着側ネットワークがサポートするコーディックでセッションを確立する。
【0020】
GSMAでは、図3に示すように、キャリア間の相互接続時に、電話番号を利用してキャリア間の信号転送先を解決するため、ENUMの利用を規定している。ENUMは、電話番号をキーとしてDNS(Domain Name Service)を検索することにより、その電話番号に対応したアプリケーションをURI形式で得る機構である。
【0021】
図4に、キャリアENUMを用いた番号解決シーケンスを示す。
【0022】
番号解決を実施するためには、以下のような3ステップが必要である。
【0023】
ステップ1)まず、電話番号からURI変換する。ENUMプロトコルにより、SIPサーバからENUM問い合わせ用のFQDNをENUMサーバへ送信し、ENUM変換によりURIを取得する。
【0024】
ステップ2)次に、得られたURIのドメインに対して、NAPTRレコードをDNSに問い合わせ、SRVレコードを検索する。さらに、SRVレコードを問い合わせ、対応するSIPサーバ名とポート番号を得る。
【0025】
ステップ3)DNSに対してAレコードを問い合わせを実施し、対応するSIPサーバのIPアドレスを取得する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】RFC. 3261 SIP: Session Initiation Protcol http://www.left.ora/rfc/rfc3261.txt
【非特許文献2】3GPP TS 24.229, IP multimedia call control protocol based on Session Initiation Protocol (SIP) and Session Description Protocol (SDP) : Stage 3 http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/24229.htm
【非特許文献3】RFC 32264 An Offer/Answer Model with the Session Description Protocol (SDP) http://www.letf.org/rfc/rfc3264.txt
【非特許文献4】ETSI ES 282 001 V3.4.1. "Telecommunications and Internet converged Services and Protocols for Advanced Networking (TISPAN): NGN Functional Architecture", Sep. 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
固定網と携帯網は、それぞれG.711とAMRという異なる音声コーディックを利用している。AMR-WB等の新たな音声コーディックも登場している。従来、図5に示すように、異なるコーディック事業者間の中継では、コーディックをG.711に統一することで相互接続性を確保している。
【0028】
しかし、図6に示すように、発着信事業者間で同一コーディックを使用する場合、本来はコーディック変換が必要なく、事業者間通信が実現できる場合も存在する(例えば、発側事業者のコーディックAMR,着側事業者のコーディックAMR)。
【0029】
携帯電話が普及することで、AMRを利用する端末が普及し、発着信事業者が共にAMRを用いるケースが増加してきている。このため、従来方式では、コーディック変換不要な通信に対してもコーディックを変換して接続する無駄があり、しかも、その無駄な変換量は、携帯電話の普及により増加する傾向にあるといえる。
【0030】
通信で使用するコーディックは、SIP/SDPオファー/アンサーモデルが用いられる。オファー/アンサー方式は、二者間(発着信端末)で通信に使うコーディックをエンドエンドで決定する仕組みのため、発信端末及び事業者がサポートするコーディックの範囲しか選択できない。このため、図7に示すように、発着信事業者が異なるコーディックを用いる場合、コーディック条件が一致しないため通信できない。
【0031】
このため、図8に示すように、SBCでは、別のオファーを着側ネットワークに送信する。これを受けた着側ネットワーク及び着信端末は、自ネットワークが利用するコーディックBを追加したり、SBCでは変換できないコーディックCを削除した、別のオファーを着側ネットワークに送信する。これを受信した着側ネットワーク及び着信端末は、自ネットワークが利用するコーディックBを含むアンサーをSBCに送信する。ここで、SBCは発側のオファーコーディック(A,C)と照らし合わせて、アンサーコーディック(B)が一致しないため、発側に対してコーディックAをアンサーとして送信する。これにより、発信端末−発側ネットワーク−SBC(コーディックA)、SBC−着側ネットワーク−着信端末(コーディックB)でそれぞれ通信が成立し、結果として発信端末の通信が成立する。
【0032】
しかしながら、図9に示すように、以下のような2つの課題がある。
【0033】
課題1)IPXでは、複数の事業者が接続するため、オファー信号をSBCが受信した時点では、着側ネットワークでどのコーディックが用いられているのかを判定できないため、中継ネットワークで利用可能なコーディックの中で通信を成立させるために必要なコーディックをSBCが選択できない。
【0034】
課題2)中継ネットワークでは複数のコーディックによる中継を可能としながらも、中継コーディックの選択は、中継事業者が制御・管理できる必要がある。
【0035】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、無駄なコーディック変換を減らし、設備量の最適化による設備コストの低減、中継ネットワークを介した音声接続品質を改善することが可能な中継システム及び中継網のコーディック選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上記の課題を解決するため、本発明(請求項1)は、発信端末に接続される発側ネットワーク、着信端末に接続される着側ネットワーク、該発側ネットワークと該着側ネットワークに接続される中継ネットワークと、該中継ネットワーク内において、該中継ネットワークに接続される発側ネットワーク及び着側ネットワークで送受信されるオファー信号及びアンサー信号に、当該中継ネットワークで利用可能なコーディックを設定する発側のコーディック選択装置と着側のコーディック選択装置を有する中継システムであって、
前記中継ネットワークは、
前記発信端末及び前記着信端末の番号に対応するドメイン及び発側ネットワーク及び着側ネットワークで利用可能なコーディックを接続保証のレベルのカテゴリ毎に格納したルーティング情報記憶手段を有し、前記発側のコーディック選択装置からの問い合わせに対して応答するENUMサーバを有し、
前記発側のコーディック選択装置は、
前記ENUMサーバに着信端末のドメイン及びコーディックを問い合わせる手段と、
前記発側ネットワークから受信したオファー信号を保持する発側オファー信号記憶手段と、
前記ENUMサーバから取得した着信側のコーディックと該発信事業者が利用するコーディックの組合せに対し、所定の規則に基づいて、オファー信号に記載するコーディックを設定し、該オファー信号を該ENUMサーバから取得した前記着信端末のドメインを宛先として送信する発側コーディック選択手段と、
前記中継ネットワークから受信したアンサー信号のコーディックと前記発側オファー信号記憶手段のコーディックと比較して、一致しない場合は、該発側オファー信号記憶手段のコーディックに変換し、前記発信端末に送出する手段と、
を有し、
前記着側のコーディック選択装置は、
前記中継ネットワークから受信したオファー信号を保持する着側オファー信号記憶手段と、
前記中継ネットワークから受信した前記オファー信号のコーディックと着信事業者のコーディックが一致しない場合には、該着信事業者のコーディックに変換して前記着信端末に送出し、前記着信端末から受信したアンサー信号のコーディックと前記着側オファー信号記憶手段に格納されている前記受信したオファー信号のコーディックが一致しない場合には、該オファー信号のコーディックに変換して前記中継ネットワークに送出する着側コーディック選択手段と、を有する。
【0037】
本発明(請求項2)は、請求項1の前記ENUMサーバの前記ルーティング情報記憶手段において、
前記中継ネットワーク事業者が全ての発着ネットワークとの接続性を保証するコーディックを含む最上位の第1のカテゴリと、
前記発信事業者及び前記着信事業者間で同じ場合のみ接続するコーディックを含む前記第1のカテゴリより下位の第2のカテゴリと、
前記第1のカテゴリ、前記第2のカテゴリに属さず、接続しないコーディックを含む最下位の第3のカテゴリと、を格納し、
前記発側コーディック選択手段は、
前記発信事業者のコーディックAと前記ENUMサーバから取得した着側のコーディックBとを比較し、
A=Bであり、かつ、Aが前記第3のカテゴリに含まれない場合は、該Aを前記オファー信号または前記アンサー信号に設定し、該Aがカテゴリ3に含まれる場合は、前記第1のカテゴリのコーディックを前記オファー信号または前記アンサー信号に設定し、
A≠Bであり、かつ、Aが前記第3のカテゴリに含まれない場合は、該Aを中継コーディックとして、前記オファー信号または前記アンサー信号に設定し、該Aがカテゴリ3に含まれ、該Bが該第3のカテゴリに含まれない場合は、該Bを該オファー信号または該アンサー信号に設定し、該Bが該第3のカテゴリ3に含まれる場合は、前記第1のカテゴリのコーディックを該オファー信号または該アンサー信号に設定する手段を含む。
【0038】
本発明(請求項3)は、発信端末に接続される発側ネットワーク、着信端末に接続される着側ネットワーク、該発側ネットワークと該着側ネットワークに接続される中継ネットワークと、該中継ネットワーク内において、該中継ネットワークに接続される発側ネットワーク及び着側ネットワークで送受信されるオファー信号及びアンサー信号に、当該中継ネットワークで利用可能なコーディックを設定する発側のコーディック選択装置と着側のコーディック選択装置及びENUMサーバと、を有する中継システムにおけるコーディック選択方法であって、
前記発側のコーディック選択装置は、
前記ENUMサーバに対して着信端末のドメインを問い合わせ、
前記ENUMサーバは、
前記発信端末及び前記着信端末の番号に対応するドメイン及び発側ネットワーク及び着側ネットワークで利用可能なコーディックを接続保証のレベルのカテゴリ毎に格納したルーティング情報記憶手段を有し、前記発側のコーディック装置からの問い合わせに対応する着信端末のドメイン及びコーディックを、応答し、
前記発側のコーディック選択装置は、
第1のオファー情報記憶手段が、前記発側ネットワークから受信したオファー信号を保持し、
発側コーディック選択手段が、前記ENUMサーバから取得した着信側のコーディックと該発信事業者が利用するコーディックの組合せについて、所定の規則に基づいて、オファー信号に記載するコーディックを選択し、設定する発側コーディック選択ステップと、
前記ENUMサーバから取得した前記着信端末のドメインに対して前記中継ネットワークを介して前記オファー信号を送信し、
前記着側のコーディック選択装置は、
第2のオファー情報記憶手段が、前記中継ネットワークから受信したオファー信号を保持し、
着側コーディック選択手段が、前記受信したオファー信号のコーディックと前記着信事業者のコーディックが一致しない場合は、該オファー信号のコーディックを該着信事業者のコーディックに変換して前記着信端末に送信し、
前記着信端末から受信したアンサー信号のコーディックが、前記第2のオファー情報記憶手段に格納されている受信したオファー信号のコーディックと一致しない場合は、該オファー信号のコーディックに変換して前記中継ネットワークに送信し、
前記発側のコーディック選択装置は、
前記中継ネットワークから受信した前記アンサー信号と、前記第1のオファー情報記憶手段に格納されている前記オファー信号のコーディックと一致しない場合には、該オファー信号のコーディックに変換して前記発信端末に送信する。
【0039】
また、本発明(請求項4)は、請求項3の中継網のコーディック選択方法において、
前記ENUMサーバのルーティング情報記憶手段に、
前記中継ネットワーク事業者が全ての発着ネットワークとの接続性を保証するコーディックを含む最上位の第1のカテゴリと、
前記中継ネットワークとの接続に必須ではないが、入力可能なコーディックを含む前記第1のカテゴリより下位の第2のカテゴリと、
前記第1のカテゴリ、前記第2のカテゴリに属さないコーディックを含み、最下位の第3のカテゴリと、を格納しておき、
前記発側のコーディック選択装置は、
前記発信事業者のコーディックAと前記ENUMサーバから取得した着側のコーディックBとを比較し、
A=Bであり、かつ、Aが前記第3のカテゴリに含まれない場合は、該Aを前記オファー信号または前記アンサー信号に設定し、該Aがカテゴリ3に含まれる場合は、前記第1のカテゴリのコーディックを前記オファー信号または前記アンサー信号に設定し、
A≠Bであり、かつ、Aが前記第3のカテゴリに含まれない場合は、該Aを中継コーディックとして、前記オファー信号または前記アンサー信号に設定し、該Aがカテゴリ3に含まれ、該Bが該第3のカテゴリに含まれない場合は、該Bを該オファー信号または該アンサー信号に設定し、該Bが該第3のカテゴリ3に含まれる場合は、前記第1のカテゴリのコーディックを該オファー信号または該アンサー信号に設定する。
【発明の効果】
【0040】
上記のように本発明によれば、複数のコーディックで運用されるネットワークにおいて適切なコーディックを選択できるため、従来方式のようにコーディック変換が不要な通信に対するコーディック変換を行う必要がなく、無駄なコーデック変換処理を削減することができる。これにより、設備量の最適化による設備コストの削減、中継ネットワークを介した音声接続品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】通信事業者間のSBCの使用差分吸収の仕組みである。
【図2】SDPオファーアンサーの概要を示す図である。
【図3】ENUMを用いたルーティング処理の流れである。
【図4】キャリアENUMを用いた番号解決シーケンスである。
【図5】従来の中継ネットワークである。
【図6】コーディック変換が不要な接続例である。
【図7】オファーアンサーモデルと通信が成立しない例である。
【図8】SBCを用いたコーディック差分の吸収を示す図である。
【図9】従来技術の課題を示す図である。
【図10】本発明(ルーティング情報と連動したコーディック変換)の概要を示す図である。
【図11】IP相互接続の一般的な処理を示す図である。
【図12】本発明の一実施の形態におけるSBCの機能構成図である。
【図13】本発明の一実施の形態におけるENUMを用いたコーディック情報の取得例(その1)である。
【図14】本発明の一実施の形態におけるENUMを用いたコーディック情報の取得例(その2)である。
【図15】本発明の一実施の形態における発着のコーディック情報を基にした中継コーディックの選択フローである。
【図16】本発明の第1の実施例の処理の流れを示す図である。
【図17】本発明の第2の実施例の処理の流れを示す図である。
【図18】本発明の第3の実施例の処理の流れを示す図である。
【図19】本発明の第4の実施例の処理の流れを示す図である。
【図20】本発明の第5の実施例の処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下図面と共に、本発明の実施の形態を説明する。
【0043】
図10は、本発明の概要を示す。
【0044】
本発明は、中継ネットワーク内での信号ルーティング先の解決処理と連動して、中継事業者のコーディックを解決するものである。
【0045】
通常、事業者または番号帯ごとに利用するコーディックが統一されていることが多い。従って、事業者と対応するコーディックが1対1にマッピングされている。そこで、本発明は、ENUMとコーディックの解決を連携して、宛先番号から着信先事業者を解決するのと同時、または、それに連動して着信先ネットワークのコーディック情報を取得し、発信時に発側のコーディックと比較して、中継に用いるコーディックを適切に選択する。
【0046】
図10に示すように、
1) 予め、各ENUMサーバに電話番号とコーディックの対応関係を保持しておく。
【0047】
2) 発側SBCから中継ネットワークのENUMサーバに対して経路情報の問い合わせを行い、得られた経路情報に基づいて着側ネットワークのENUMサーバに対して、着側ネットワークのコーディック情報を問い合わせる。着側ネットワークのENUMサーバは保持している対応関係に基づいて着側ネットワークのコーディック情報を返却する。
【0048】
3) 発側SBCでは、中継ネットワークのポリシとして、コーディック"A"または"B"となっている場合、設定する中継コーディック(例えば"A")を決定し、2)で得られた着側のドメインを設定して当該SIP信号を中継ネットワークに送信する。
【0049】
4) 中継ネットワークは、発側SBCから送信されたオファーを中継して宛先に指定されている着側ネットワークに送出する。着側ネットワークでは、着側ネットワークのコーディックに変換して着信端末に送信する。着側ネットワークが着信端末からアンサーを受信すると、コーディックを中継ネットワークのコーディック(例えば、"A")に変換したSIP信号を中継ネットワークに送信する。
【0050】
次に本発明の流れを説明する。
【0051】
図11は、IP相互接続の一般的な処理を示す。
【0052】
なお、ここでカテゴリは、以下のように、中継ネットワークの事業者が予め協議し、本システムを一意に決定し、発側SBC及び着側SBCに格納しておく。
【0053】
・カテゴリ1:中継ネットワーク事業者が全ての発着ネットワークとの接続性を保証するコーディック:(このため、発着ネットワークのSBCは本カテゴリに属するコーディックへの変換能力を具備しなければならない。)
・カテゴリ2:発着信事業者間で同じ場合のみ接続するコーディック:(このため、発着ネットワークのSBCは本カテゴリに属するコーディックへの変換能力は必須ではない)
・カテゴリ3:接続しないコーディック:(発着SBCは本カテゴリに属するコーディックは中継接続に使用しない)
ステップ101) 発信端末100から発側SBC300に発信端末100のコーディック情報を含むINVITE信号(オファー信号)を送信する。
【0054】
ステップ102) 発側SBC300からRequest URIの情報から着信ドメイン先ドメインをENUM400に問い合わせる。
【0055】
ステップ103) ENUMサーバ400は着側SBCに着側SBC600のドメインを応答する。
【0056】
ステップ104) 発側SBC300はENUMサーバ400が回答したドメインのSGCに信号(オファー)を送信する。このとき、オファー信号のコーディックをPCMUに指定コーディックを変更する。
【0057】
ステップ105) 着側SBC600は、オファー信号のコーディック(PCMU)を着信端末200がサポートするコーディックに変更し、着側ネットワークにINVITE信号(オファー)を送信する。
【0058】
ステップ106) 着信端末200は、オファーされたコーディックを着信端末200がサポートしていれば、当該コーディックを記載した200OK信号(アンサー信号)を着側SBC600に送信する。
【0059】
ステップ107) 着側SBC600はアンサー信号に記載されたコーディックをPCMUに変換して発側SBC300に送信する。
【0060】
ステップ108) 発側SBC300は、アンサー四号に書かれたコーディックを発側ネットワークで利用するコーディックに変換して発側ネットワークに送信する。
【0061】
本発明は、上記のステップ101〜104を拡張し、事前に着側ネットワークのコーディック情報を解決して、発信時に必要なコーディック選択を行うものである。以下に、当該処理を行う機能及び処理の詳細を説明する。
【0062】
以下に、本発明のSBCの機能を説明する。
【0063】
図12は、本発明の一実施の形態におけるSBCの機能構成を示す。
【0064】
同図では、発側SBCを示すが、着側SBCも同じ機能を有する。
【0065】
SBC300は、信号ルーティング情報参照部310、信号処理部320、中継コーディック選択部330、ENUMサーバ内にデータベース内に、登録部301、信号送受信部340、メディア制御部350、メディア送受信部360から構成される。
【0066】
登録部301は、NAPTRレコード、SRVレコードを拡張する形で規定されたコーディックをENUMサーバ400のルーティング情報記憶部410に登録する。登録する情報は、番号帯、ドメイン、コーディックであり、そのうち、コーディックは、発側ネットワーク及び着側ネットワークにおいて利用可能な複数のコーディックを接続保証のレベル毎にカテゴリに分類されたものを登録する。
【0067】
信号ルーティング情報参照部310は、信号処理部320からのルーティング先解決要求に基づいて、ENUMサーバ400に宛先となる電話番号の対象事業者を解決するための問い合わせを行う。ENUMサーバ400からの応答に基づいて、信号処理部320にルーティング先事業者とSIP、URI、着側ネットワークが利用するコーディック情報を送信する。本機能部は、発信時のみ使用される。
【0068】
信号処理部320は、以下の機能を有する。
【0069】
・SIP信号に記載された情報から呼制御が必要なダイアログ情報を呼制御情報記憶部321に保存し、呼制御を行う。
【0070】
・発着事業者間で信号仕様に差分がある場合の変換を行う。
【0071】
・中継コーディック選択部330からの情報に従って、SIP信号内のSDP部の情報を編集する。
【0072】
・メディア制御部350に対して発側ネットワークから受信したSDPと着側SBC600から受信したSDPに差分がある場合、メディア制御部350で変換処理を行う。
【0073】
中継コーディック選択部330は、発側ネットワーク、着側ネットワークの利用コーディックから中継に適切なコーディックを選択する。
【0074】
メディア制御部350は、信号処理部320からコーディック、パケット化周期等のメディアの変換処理を制御する。
【0075】
メディア送受信部360は、メディア変換処理、メディアパケットの送受信を行う。
【0076】
ENUMサーバ内にデータベース内にコーディックを規定する登録部(図示せず)は、ENUNサーバのルーティング情報記憶部410に、番号帯、ドメイン、コーディックを登録する。
【0077】
次に、図11における点線の枠で囲んである部分の処理について説明する。
【0078】
<第1の方法>
図13は、本発明の一実施の形態におけるENUMを用いたコーディック情報の取得例(その1)である。
【0079】
本例では、キャリアENUM利用時の番号解決シーケンスに沿ったコーディック情報取得について説明する。
【0080】
本例では、番号解決の以下の3つのステップのうち、コーディック情報の解決はステップ201、202のいずれかで可能であるが、本実施例ではステップ201でコーディック情報をSBC300に応答するものとする。
【0081】
なお、ENUMサーバ400は、図12に示すルーティング情報記憶部410に加え、SRVレコード、SIPサーバ名、ポート番号、NAPTRレコードを保持しているものとする。
【0082】
ステップ201)電話番号からURI変換:
SBC300の信号ルーティング情報参照部310は、ENUMプロトコルにより、ENUM問い合わせ用のFQDN(Fully Qualified Domain Name)をENUMサーバ400に送信する。ENUMサーバ400は、図12に示すようなルーティング情報記憶部410を参照して、URIを取得すると同時に、応答するSIP URIの末尾に"codec=PCMU"等の形式で、着信先ドメインのコーディック情報を付加し、SBC300に返却する。
【0083】
ステップ202) URIからホスト(DNS)に変換:
SBC300は、得られたURIのドメインに対して、ドメイン名と電話番号を関連付けるNAPTRレコードをENUMサーバ400に問い合わせ、SRVレコードを検索する。さらに、SRVレコードをENUMサーバ400に問い合わせ、対応するSIPサーバ名とポート番号を取得する。
【0084】
ステップ203) ホストからIPアドレス変換:
SBC300は、ホスト名からIPアドレスを取得するためのAレコードの問い合わせを実施し、対応するSIPサーバのIPアドレスを取得する。
【0085】
図14は、本発明の一実施の形態におけるENUMを用いたコーディック情報の取得例(その2)である。
【0086】
本例では、キャリアENUM利用時の番号解決シーケンスに沿ったコーディック情報取得について説明する。
【0087】
本例では、番号解決の以下の3つのステップのうち、コーディック情報の解決はステップ301、302のいずれかで可能であるが、本例ではステップ301でコーディック情報をSBC300に応答するものとする。
【0088】
なお、ENUMサーバ400が保持する情報は第1の実施例と同様であるとする。
【0089】
ステップ301)電話番号からURI変換(ENUM):
SBC300の信号ルーティング情報参照部310は、ENUMプロトコルにより、ENUM問い合わせ用のFQDNをENUMサーバ400に送信する。ENUMサーバ400は、図12に示すようなルーティング情報記憶部410を参照して、SIP URIを取得し、その末尾に"codec=PCMU"等の形式で、着信先ドメインのコーディック情報を付加し、SBC300に返却する。
【0090】
ステップ302) URIからホスト変換(DNS):
SBC300は、得られたURIのドメインに対してNAPTRレコードをENUMサーバ400に問い合わせ、SRVレコードを検索する。さらに、SRVレコードを問い合わせ、対応するSIPサーバ名とポート番号、及び、着信ネットワークドメインのコーディック情報を取得する。
【0091】
ステップ303) ホストからIPアドレス変換(DNS):
SBC300は、ENUMサーバ400に対し、Aレコードの問い合わせを実施し、対応するSIPサーバのIPアドレスを取得する。
【0092】
次に、中継コーディックの決定方法について説明する。
【0093】
発着のコーディック情報から中継ネットワークの接続ポリシを決定する。このポリシは、発着事業者のコーディックの組合せから、接続可否を判断し、中継コーディックを決定することにより判定される。
【0094】
図15は、本発明の一実施の形態における発着のコーディック情報を基にした中継コーディックの選択フローである。
【0095】
同図の例では、コーディックをいくつかのグループに分け、そのカテゴリに属すか否かを判定することで中継するコーディックを決定している。
【0096】
カテゴリ分けの一例として、優先順位の高い順に、カテゴリ1、カテゴリ2、カテゴリ3、とする。
【0097】
・カテゴリ1:PCMU、AMR
・カテゴリ2:AMR-WB, PCMA, G.729, G726, EVRC, GSM
・カテゴリ3:その他(中継接続使用しない)
発側のコーディックを"A"、着側のコーディックを"B"として説明する。
【0098】
発側のコーディック"A"と着側コーディック"B"が同じコーディックである場合は(ステップ401,Yes)、コーディック"A"(="B")がカテゴリ3に含まれるかを判定し、含まれる場合は(ステップ402、No)、コーディック"A"(="B")を中継コーディックに設定する(ステップ403)。コーディック"A"(="B")がカテゴリ3に含まれない場合は(ステップ402,Yes)は、中継コーディックにカテゴリ1のコーディックを設定する(ステップ404)。
【0099】
"A"と"B"が異なる場合は(ステップ401,No)、"A"が、中継接続に使用されないカテゴリ3に含まれるかを判定し、含まれない場合は(ステップ405,No)、中継コーディックに"A"を設定する(ステップ406)。"A"がカテゴリ3に含まれる場合は(ステップ405,Yes)、"B"がカテゴリ3に含まれるかを判定し、含まれない場合は(ステップ407,No)、中継コーディックに"B"を設定する(ステップ408)。"B"がカテゴリ3に含まれる場合は(ステップ407、Yes)、中継コーディックにカテゴリ1のコーディックを設定する(ステップ409)。
【実施例】
【0100】
以下、図面と共に本発明の実施例を説明する。
【0101】
以下の実施例において、ENUMサーバ400に格納されているカテゴリ情報を、
・カテゴリ1:PCMU, AMR
・カテゴリ2:AMR-WB, PCMA, G729, G.726, EVRC, GSM
・カテゴリ3:iLBC
として説明する。
【0102】
[第1の実施例]
本実施例では、発側ネットワークではカテゴリ1のコーディックPCMUのみを使用し、着側ネットワークではカテゴリ2のAMR-WBのみを使用するものとして説明する。
【0103】
図16は、本発明の第1の実施例の処理の流れを示す。
【0104】
発信側SBC300は、発信端末100からオファー信号が発信側SBC300に送信されると、当該オファーをメモリ(図示せず)に格納すると共に、ENUMサーバ400に着側の電話番号を含めてドメイン、コーディックの問い合わせを行う。
【0105】
ENUMサーバ400は、発側SBC300から取得した電話番号に基づいてルーティング情報記憶部410を参照して対応する着側のドメイン"sip.udp.mnoA.com"とコーディック"AMR-WB"を検索し、発側SBC300に返却する。
【0106】
発側SBC300は、発側のコーディックが"PCMU"であり、着側のコーディックが"AMR-WB"のため、図15のフローに沿って、PCMUで中継することとし、着側でAMR-WBにコーディック変換するようSDPを設定したオファーを生成し、中継ネットワークに送信する。
【0107】
中継ネットワークは発側ネットワークから受信したオファーを着側SBC600に送信する。着側SBC600では、受信したオファーをメモリ(図示せず)に格納すると共に、当該オファーのコーディックを着信事業者のコーディック"AMR-WB"に変換し、着信端末200に送信する。
【0108】
次に、着側SBC600が着信端末200から事業者のコーディック"AMR-WB"が設定されたアンサーを受信すると、メモリ(図示せず)に格納されているオファーのコーディックと異なるため、"PCMU"に変換し、中継ネットワークに送信する。
【0109】
中継ネットワークからアンサーを受信したSBC300は、発信端末100から受信したオファーのコーディックとアンサーのコーディックが一致するため、コーディック変換を行わずに発信端末100に送信する。
【0110】
[第2の実施例]
本実施例では、発側ネットワーク及び着側ネットワーク双方でコーディックとしてカテゴリ2のAMR-WBを使用する場合について説明する。
【0111】
図17は、本発明の第2の実施例の処理の流れを示す。
【0112】
発信側SBC300は、発信端末100からオファー信号が発信側SBC300に送信されると、当該オファーをメモリ(図示せず)に格納すると共に、ENUMサーバ400に着側の電話番号を含めてドメイン、コーディックの問い合わせを行う。
【0113】
ENUMサーバ400は、発側SBC300から取得した電話番号に基づいてルーティング情報記憶部410を参照して対応する着側のドメイン"sip.udp.mnoA.com"とコーディック"AMR-WB"を検索し、発側SBC300に返却する。
【0114】
発側SBC300は、発側のコーディックが"AMR-WB"であり、着側のコーディックが"AMR-WB"のため、図15のフローに沿って、"AMR-WB"で中継するようSDPを設定したオファーを生成し、中継ネットワークに送信する。
【0115】
中継ネットワークは発側ネットワークから受信したオファーを着側SBC600に送信する。着側SBC600では、受信したオファーをメモリ(図示せず)に格納すると共に、当該オファーのコーディックはそのままとし着信端末200に送信する。
【0116】
次に、着側SBC600が着信端末200から事業者のコーディック"AMR-WB"が設定されたアンサーを受信すると、メモリ(図示せず)に格納されているオファーのコーディックと同一であるため、コーディック変換は行わず、中継ネットワークに送信する。
【0117】
中継ネットワークからアンサーを受信したSBC300は、発信端末100から受信したオファーのコーディックとアンサーのコーディックが一致するため、コーディック変換を行わずに発信端末100に送信する。
【0118】
[第3の実施例]
本実施例では、発側ネットワークではコーディックとしてカテゴリ2のEVRCのみを使用し、着側ネットワークではAMR-WBのみを使用するものとして説明する。
【0119】
図18は、本発明の第3の実施例の処理の流れを示す。
【0120】
発信側SBC300は、発信端末100からオファー信号が発信側SBC300に送信されると、当該オファーをメモリ(図示せず)に格納すると共に、ENUMサーバ400に着側の電話番号を含めてドメイン、コーディックの問い合わせを行う。
【0121】
ENUMサーバ400は、発側SBC300から取得した電話番号に基づいてルーティング情報記憶部410を参照して対応する着側のドメイン"sip.udp.mnoA.com"とコーディック"AMR-WB"を検索し、発側SBC300に返却する。
【0122】
発側SBC300は、発側のコーディックが"EVRC"であり、着側のコーディックが"AMR-WB"のため、図15のフローに沿って、カテゴリ1の"AMR"で中継し、着側でAMR-WBにコーディック変換するようSDPを設定したオファーを生成し、中継ネットワークに送信する。
【0123】
中継ネットワークは発側ネットワークから受信したオファーを着側SBC600に送信する。着側SBC600では、受信したオファーをメモリ(図示せず)に格納すると共に、当該オファーのコーディックを着信業者のコーディック"AMR-WB"に変換し、着信端末200に送信する。
【0124】
次に、着側SBC600が着信端末200から事業者のコーディック"AMR-WB"が設定されたアンサーを受信すると、メモリ(図示せず)に格納されているオファーのコーディック"AMR"と異なるため、"AMR"に変換し、中継ネットワークに送信する。
【0125】
中継ネットワークからアンサーを受信したSBC300は、発信端末100から受信したオファーのコーディック"EVRC"とアンサーのコーディック"AMR"が一致しないため、コーディックを"EVRC"に変換して発信端末100に送信する。
【0126】
[第4の実施例]
本実施例では、発信側及び着信側双方で、カテゴリ1のコーディックAMRのみを使用する例を説明する。
【0127】
図19は、本発明の第4の実施例の処理の流れを示す。
【0128】
発信側SBC300は、発信端末100からオファー信号が発信側SBC300に送信されると、当該オファーをメモリ(図示せず)に格納すると共に、ENUMサーバ400に着側の電話番号を含めてドメイン、コーディックの問い合わせを行う。
【0129】
ENUMサーバ400は、発側SBC300から取得した電話番号に基づいてルーティング情報記憶部410を参照して対応する着側のドメイン"sip.udp.mnoC.com"とコーディック"AMR"を検索し、発側SBC300に返却する。
【0130】
発側SBC300は、発側のコーディックが"AMR"であり、着側のコーディックが"AMR"のため、図15のフローに沿って、AMRで中継するオファーを生成し、中継ネットワークに送信する。
【0131】
中継ネットワークは発側ネットワークから受信したオファーを着側SBC600に送信する。着側SBC600では、受信したオファーをメモリ(図示せず)に格納すると共に、当該オファーを着信端末200に送信する。
【0132】
次に、着側SBC600が着信端末200から事業者のコーディック"AMR"が設定されたアンサーを受信すると、メモリ(図示せず)に格納されているオファーのコーディックと一致するためそのまま中継ネットワークに送信する。
【0133】
中継ネットワークからアンサーを受信したSBC300は、発信端末100から受信したオファーのコーディックとアンサーのコーディックが一致するため、コーディック変換を行わずに発信端末100に送信する。
【0134】
[第5の実施例]
本実施例では、発信側がカテゴリ3のiLBCのみを使用し、着信側がカテゴリ1のAMRのみを使用する例を説明する。
【0135】
図20は、本発明の第5の実施例の処理の流れを示す。
【0136】
発信側SBC300は、発信端末100からオファー信号が発信側SBC300に送信されると、当該オファーをメモリ(図示せず)に格納すると共に、ENUMサーバ400に着側の電話番号を含めてドメイン、コーディックの問い合わせを行う。
【0137】
ENUMサーバ400は、発側SBC300から取得した電話番号に基づいてルーティング情報記憶部410を参照して対応する着側のドメイン"sip.udp.mnoC.com"とコーディック"AMR"を検索し、発側SBC300に返却する。
【0138】
発側SBC300は、発側のコーディックがカテゴリ3の"iLBC"であり、着側のコーディックが"AMR"のため、図15のフローに沿って、着側のカテゴリ1のコーディック"AMR"で中継するオファーを生成し、中継ネットワークに送信する。
【0139】
中継ネットワークは発側ネットワークから受信したオファーを着側SBC600に送信する。着側SBC600では、受信したオファーをメモリ(図示せず)に格納すると共に、当該オファーを着信端末200に送信する。
【0140】
次に、着側SBC600が着信端末200から事業者のコーディック"AMR"が設定されたアンサーを受信すると、メモリ(図示せず)に格納されているオファーのコーディックと一致するため、そのまま中継ネットワークに送信する。
【0141】
中継ネットワークからアンサーを受信したSBC300は、発信端末100から受信したオファーのコーディック"iLBC"とアンサーのコーディック"AMR"が一致しないため、"iLBC"にコーディック変換し、発信端末100に送信する。
【0142】
上記のように、本発明では、着信先事業者のコーディック情報を管理するデータベースを中継ネットワークに配置し、コーディック情報を保存している。これによってSIP信号を利用せずにコーディック情報が取得可能となる。これにより、着信先事業者のSIP信号しように依らず、コーディック情報が取得可能となり、接続事業者によらず適切な中継コーディックを選択可能となる。
【0143】
また、本発明では、呼接続に必要な信号を新たに追加するのではなく、通常の中継接続時に必要な経路解決処理(ENUM)に連動してコーディック情報の解決を行うため、新たな信号を使わずにコーディック情報を取得できる。これにより、新たなサーバ設置や信号量の増加を伴わずに、従来方式では不可能であった、着信前のコーディック情報の取得が可能になる。
【0144】
また、カテゴリ分類に沿った中継コーディックを選択し、ポリシを適用するため、本発明では、発信時と発側SBCのアドレス解決に利用するENUMの仕組みと連動して、着側事業者が利用するコーディック情報も付加することにより、1度にルーティング情報とコーディック情報を解決する。本発明は、着側と発側のコーディック情報が発側SBCの発信時で比較できる。発側SBCとENUMサーバの連携だけで課題を解決することができる。これにより、中継ネットワークとそれに隣接する各通信事業者の間のSBCに必要となるコーディック変換機能を削減することが可能となり、収容数の増加または設備投資の節約が可能となる。
【0145】
カテゴリ1の接続性を保証するコーディックを定義して、中継ネットワークに接続する事業者に当該コーディックによる接続を規定することで、発着信事業者間のコーディックが一致しない場合にも接続が可能となる。本発明では、発側SBC内の中継コーディック選択ロジックでカテゴリ2に指定されたコーディックで発側着側が一致しない限り、カテゴリ1を選択する。これによって発着信事業者はカテゴリ1に指定されたコーディックへ変換して接続するため、他事業者との相互接続性が保証される。これにより、中継ネットワークとの接続により多くの通信事業者と接続可能となるため、信頼性の高い音声中継を提供することができる。
【0146】
また、カテゴリ3のような接続を許容しないコーディックを定義することにより、中継ネットワーク事業者が提供しないサービスの接続を制限することができる。このポリシを適用するために、コーディック選択アルゴリズムにおいてカテゴリ3のコーディックが発側または着側で利用するコーディックに含まれる場合は、それらを中継コーディックとして選択しない。これにより、中継ネットワーク事業者が提供するサービスのみにネットワーク利用を制限することができるため、ネットワーク設計・管理が行いやすくなる。また、本来提供しないサービスが利用されることによる中継ネットワークの土管化を防ぐことができる。
【0147】
なお、本発明の実施の形態及び実施例における発側SBC及び着側SBCの構成要素の動作をプログラムとして構築し、発側SBC、着側SBCとして利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0148】
本発明は、上記の実施の形態及び実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0149】
100 発信端末
200 着信端末
300 発側SBC
301 コーディック登録部
310 信号ルーティング情報参照部
320 信号処理部
321 呼制御情報記憶部
330 中継コーディック選択部
340 信号送受信部
350 メディア制御部
360 メディア送受信部
400 ENUMサーバ
500 中継事業者SIPプロキシサーバ
600 着側SBC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信端末に接続される発側ネットワーク、着信端末に接続される着側ネットワーク、該発側ネットワークと該着側ネットワークに接続される中継ネットワークと、該中継ネットワーク内において、該中継ネットワークに接続される発側ネットワーク及び着側ネットワークで送受信されるオファー信号及びアンサー信号に、当該中継ネットワークで利用可能なコーディックを設定する発側のコーディック選択装置と着側のコーディック選択装置を有する中継システムであって、
前記中継ネットワークは、
前記発信端末及び前記着信端末の番号に対応するドメイン及び発側ネットワーク及び着側ネットワークで利用可能なコーディックを接続保証のレベルのカテゴリ毎に格納したルーティング情報記憶手段を有し、前記発側のコーディック選択装置からの問い合わせに対して応答するENUMサーバを有し、
前記発側のコーディック選択装置は、
前記ENUMサーバに着信端末のドメイン及びコーディックを問い合わせる手段と、
前記発側ネットワークから受信したオファー信号を保持する発側オファー信号記憶手段と、
前記ENUMサーバから取得した着信側のコーディックと該発信事業者が利用するコーディックの組合せに対し、所定の規則に基づいて、オファー信号に記載するコーディックを設定し、該オファー信号を該ENUMサーバから取得した前記着信端末のドメインを宛先として送信する発側コーディック選択手段と、
前記中継ネットワークから受信したアンサー信号のコーディックと前記発側オファー信号記憶手段のコーディックと比較して、一致しない場合は、該発側オファー信号記憶手段のコーディックに変換し、前記発信端末に送出する手段と、
を有し、
前記着側のコーディック選択装置は、
前記中継ネットワークから受信したオファー信号を保持する着側オファー信号記憶手段と、
前記中継ネットワークから受信した前記オファー信号のコーディックと着信事業者のコーディックが一致しない場合には、該着信事業者のコーディックに変換して前記着信端末に送出し、前記着信端末から受信したアンサー信号のコーディックと前記着側オファー信号記憶手段に格納されている前記受信したオファー信号のコーディックが一致しない場合には、該オファー信号のコーディックに変換して前記中継ネットワークに送出する着側コーディック選択手段と、
を有することを特徴とする中継システム。
【請求項2】
前記ENUMサーバの前記ルーティング情報記憶手段は、
前記中継ネットワーク事業者が全ての発着ネットワークとの接続性を保証するコーディックを含む最上位の第1のカテゴリと、
前記発信事業者及び前記着信事業者間で同じ場合のみ接続するコーディックを含む前記第1のカテゴリより下位の第2のカテゴリと、
前記第1のカテゴリ、前記第2のカテゴリに属さず、接続しないコーディックを含む最下位の第3のカテゴリと、を格納し、
前記発側コーディック選択手段は、
前記発信事業者のコーディックAと前記ENUMサーバから取得した着側のコーディックBとを比較し、
A=Bであり、かつ、Aが前記第3のカテゴリに含まれない場合は、該Aを前記オファー信号または前記アンサー信号に設定し、該Aがカテゴリ3に含まれる場合は、前記第1のカテゴリのコーディックを前記オファー信号または前記アンサー信号に設定し、
A≠Bであり、かつ、Aが前記第3のカテゴリに含まれない場合は、該Aを中継コーディックとして、前記オファー信号または前記アンサー信号に設定し、該Aがカテゴリ3に含まれ、該Bが該第3のカテゴリに含まれない場合は、該Bを該オファー信号または該アンサー信号に設定し、該Bが該第3のカテゴリ3に含まれる場合は、前記第1のカテゴリのコーディックを該オファー信号または該アンサー信号に設定する手段を含む、
請求項1記載の中継システム。
【請求項3】
発信端末に接続される発側ネットワーク、着信端末に接続される着側ネットワーク、該発側ネットワークと該着側ネットワークに接続される中継ネットワークと、該中継ネットワーク内において、該中継ネットワークに接続される発側ネットワーク及び着側ネットワークで送受信されるオファー信号及びアンサー信号に、当該中継ネットワークで利用可能なコーディックを設定する発側のコーディック選択装置と着側のコーディック選択装置及びENUMサーバと、を有する中継システムにおけるコーディック選択方法であって、
前記発側のコーディック選択装置は、
前記ENUMサーバに対して着信端末のドメインを問い合わせ、
前記ENUMサーバは、
前記発信端末及び前記着信端末の番号に対応するドメイン及び発側ネットワーク及び着側ネットワークで利用可能なコーディックを接続保証のレベルのカテゴリ毎に格納したルーティング情報記憶手段を有し、前記発側のコーディック装置からの問い合わせに対応する着信端末のドメイン及びコーディックを、応答し、
前記発側のコーディック選択装置は、
第1のオファー情報記憶手段が、前記発側ネットワークから受信したオファー信号を保持し、
発側コーディック選択手段が、前記ENUMサーバから取得した着信側のコーディックと該発信事業者が利用するコーディックの組合せについて、所定の規則に基づいて、オファー信号に記載するコーディックを選択し、設定する発側コーディック選択ステップと、
前記ENUMサーバから取得した前記着信端末のドメインに対して前記中継ネットワークを介して前記オファー信号を送信し、
前記着側のコーディック選択装置は、
第2のオファー情報記憶手段が、前記中継ネットワークから受信したオファー信号を保持し、
着側コーディック選択手段が、前記受信したオファー信号のコーディックと前記着信事業者のコーディックが一致しない場合は、該オファー信号のコーディックを該着信事業者のコーディックに変換して前記着信端末に送信し、
前記着信端末から受信したアンサー信号のコーディックが、前記第2のオファー情報記憶手段に格納されている受信したオファー信号のコーディックと一致しない場合は、該オファー信号のコーディックに変換して前記中継ネットワークに送信し、
前記発側のコーディック選択装置は、
前記中継ネットワークから受信した前記アンサー信号と、前記第1のオファー情報記憶手段に格納されている前記オファー信号のコーディックと一致しない場合には、該オファー信号のコーディックに変換して前記発信端末に送信する
ことを特徴とする中継網のコーディック選択方法。
【請求項4】
前記ENUMサーバのルーティング情報記憶手段に、
前記中継ネットワーク事業者が全ての発着ネットワークとの接続性を保証するコーディックを含む最上位の第1のカテゴリと、
前記中継ネットワークとの接続に必須ではないが、入力可能なコーディックを含む前記第1のカテゴリより下位の第2のカテゴリと、
前記第1のカテゴリ、前記第2のカテゴリに属さないコーディックを含み、最下位の第3のカテゴリと、を格納しておき、
前記発側のコーディック選択装置は、
前記発信事業者のコーディックAと前記ENUMサーバから取得した着側のコーディックBとを比較し、
A=Bであり、かつ、Aが前記第3のカテゴリに含まれない場合は、該Aを前記オファー信号または前記アンサー信号に設定し、該Aがカテゴリ3に含まれる場合は、前記第1のカテゴリのコーディックを前記オファー信号または前記アンサー信号に設定し、
A≠Bであり、かつ、Aが前記第3のカテゴリに含まれない場合は、該Aを中継コーディックとして、前記オファー信号または前記アンサー信号に設定し、該Aがカテゴリ3に含まれ、該Bが該第3のカテゴリに含まれない場合は、該Bを該オファー信号または該アンサー信号に設定し、該Bが該第3のカテゴリ3に含まれる場合は、前記第1のカテゴリのコーディックを該オファー信号または該アンサー信号に設定する
請求項3記載の中継網のコーディック選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−12856(P2013−12856A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143437(P2011−143437)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年2月28日 社団法人電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会 2011年総合大会講演論文集(DVD−ROM)」に発表
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】