説明

中継方法及び中継装置

【課題】中継装置のカバーエリア内で使用される無線リソースを、通信品質の向上のために利用する。
【解決手段】中継装置Rは、無線信号を受信する第1受信部(16、17)と、第1受信部(16、17)にて受信した、予め設定された複数の無線リソースに繰り返しマッピングされた同一の第1中継対象信号同士を合成する合成部18と、合成された第1中継対象信号を送信する第1送信部(10、11)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で論じられる実施態様は、無線信号の中継方法及び中継装置、ならびにこれら中継方法及び中継装置を用いて伝送信号が中継される無線通信装置、移動局装置及び基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信の分野では、中継装置を用いて基地局装置と移動局装置の間の無線通信を中継する方法が実用化されている。このような中継装置の例は、例えば再生中継を行わないブースタ装置である。
【0003】
なお、中継先の誤り率特性を改善してスループットを向上させると共に、与干渉電力を軽減して通信システム全体のスループットの低下を防止することができる通信中継装置が提案されている。この通信中継装置では、基地局宛の信号を受信し、復号処理等を行う。また、ビット誤り判定を行い、ビット誤りがない場合は再生中継処理を行う。ビット誤りがある場合は、サブキャリアごとの受信品質を閾値判定する。受信品質が閾値以上の場合、そのサブキャリアは出力され、受信品質が閾値以上でない場合、そのサブキャリアの中継は行われない。いずれかの処理が施された信号が送信される。
【0004】
また、無線通信システムを構成する複数の無線通信装置のうちの1つの無線通信装置から、他の無線通信装置に送信された信号を非再生中継する中継装置が提案されている。この中継装置は、中継する際に、複数の通信用チャネルのうちから通信用チャネルを選択して中継を行う無線通信システムに用いられる。この中継装置は、中継の起点である無線通信装置が使用する通信用チャネルに関する情報を有する中継フレームを受信する受信部と、該中継フレームを送信する送信部とを含む。
【0005】
また、データ収集周期内に子局データ収集タイムスロットと中継局データ収集タイムスロットとを設け、データ収集周期の先頭に親局からデータ要求信号を送信し、又中継局データ収集タイムスロットにより中継局からデータ要求信号を送信するデータ収集方法が提案されている。この方法においてデータ要求信号を受信した子局は、子局データ収集タイムスロットをランダム的に選択してデータを送信する。親局はデータを受信した子局を示す応答確認信号を送信する。子局のデータを受信した中継局は、応答確認信号による子局のデータを削除して、親局が受信していない子局のデータを、中継局データ収集タイムスロットに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/118125号
【特許文献2】特開2008−79023号公報
【特許文献3】特開平6−334581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
中継装置のカバーエリアは通常、基地局装置のカバーエリアに比べて狭い。このため、中継装置のカバーエリア内に位置する移動局装置の数は、基地局装置のカバーエリア内に位置する移動局装置の数よりも少ないと思われる。この結果、中継装置のカバーエリア内では無線リソースが有効に活用されないことがある。例えば時分割多元接続方式を採用する通信システムの場合には未使用のタイムスロットが発生し、例えば周波数多元接続方式を採用する通信システムの場合には未使用の周波数リソースが発生する。
【0008】
実施態様に係る装置及び方法は、通信品質の向上のために、中継装置のカバーエリア内の無線リソースを利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施態様による無線信号の中継方法においては、予め設定された複数の無線リソースに同一の第1中継対象信号が繰り返しマッピングされた無線信号を受信し、繰り返しマッピングされた同一の第1中継対象信号同士を合成し、合成された第1中継対象信号を送信する。
【0010】
他の一実施態様による中継装置は、無線信号を受信する第1受信部と、第1受信部にて受信した複数の無線リソースに繰り返しマッピングされた同一の第1中継対象信号同士を合成する合成部と、合成された第1中継対象信号を送信する第1送信部を備える。
【発明の効果】
【0011】
本件開示の装置又は方法によれば、中継装置のカバーエリア内の無線リソースを、通信品質の向上のために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】無線通信システムにおける第1実施例の構成図である。
【図2】図1に示す中継装置の第1構成例を示す図である。
【図3】図1に示す移動局装置の第1構成例を示す図である。
【図4】ダウンリンクにおける中継処理の説明図である。
【図5】(A)及び(B)は、ダウンリンク信号の第1例の説明図である。
【図6】(A)及び(B)は、ダウンリンク信号の第2例の説明図である。
【図7】アップリンクにおける中継処理の説明図である。
【図8】(A)及び(B)は、アップリンク信号の第1例の説明図である。
【図9】(A)及び(B)は、アップリンク信号の第2例の説明図である。
【図10】図1に示す基地局装置の構成例を示す図である。
【図11】図1に示す中継装置の第2構成例を示す図である。
【図12】図1に示す中継装置の第3構成例を示す図である。
【図13】図1に示す移動局装置の第2構成例を示す図である。
【図14】図1に示す中継装置の第4構成例を示す図である。
【図15】(A)は第1マッパーの構成例を示す図であり、(B)は第2マッパーの構成例を示す図である。
【図16】図1に示す移動局装置の第3構成例を示す図である。
【図17】無線通信システムにおける第2実施例の構成図である。
【図18】図17に示す中継装置の第1構成例を示す図である。
【図19】(A)〜(D)は、ダウンリンク信号の第3例の説明図である。
【図20】図17に示す移動局装置の第1構成例を示す図である。
【図21】(A)〜(D)は、アップリンク信号の第3例の説明図である。
【図22】図17に示す中継装置の第2構成例を示す図である。
【図23】図17に示す移動局装置の第2構成例を示す図である。
【図24】無線通信システムにおける第3実施例の構成図である。
【図25】図24に示す中継装置の構成例を示す図である。
【図26】図24に示す移動局装置の構成例を示す図である。
【図27】図24に示す基地局装置の第1構成例を示す図である。
【図28】(A)〜(C)は、ダウンリンク信号の第4例の説明図である。
【図29】(A)〜(C)は、アップリンク信号の第4例の説明図である。
【図30】指示情報付加部の構成例を示す図である。
【図31】中継判定部の第1構成例を示す図である。
【図32】図24に示す基地局装置の第2構成例を示す図である。
【図33】中継判定部の第2構成例を示す図である。
【図34】無線通信システムにおける第4実施例の構成図である。
【図35】図34に示す基地局装置によるスケジューリング処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1は、無線通信システムにおける第1実施例の構成図である。参照符号1は無線通信システムを示し、参照符号BSは基地局装置を示し、参照符号MS1〜MS3は移動局装置を示し、参照符号Rは中継装置を示す。無線通信システム1は、基地局装置BSと、移動局装置MS1〜MS3と、中継装置Rとを備える。移動局装置MS1〜MS3を総称して移動局装置MSと表記することがある。
【0014】
中継装置Rは、基地局装置BSと移動局装置MSとの間の無線通信を中継する。例えば中継装置Rは、基地局装置BSがカバーするセル内の不感地帯へカバーエリアを拡大するために利用される。中継装置Rは、例えば再生中継を行わないブースタ装置であってよい。本例では、移動局装置MS3が、中継装置Rによって中継されている場合を想定する。
【0015】
中継装置Rのカバーエリアに位置する移動局装置MSの数は、基地局装置BSのカバーエリアに位置する移動局装置MSの数よりも少ない。このため従来の中継装置のカバーエリア内では、使用されない周波数リソースやタイムスロットが発生し、これらの無線リソースの利用効率が低下する場合がある。
【0016】
例えばダウンリンクの場合には、中継装置は基地局装置からの無線信号をそのまま増幅して再送信する。このため中継装置は、中継装置のカバーエリア外の移動局装置宛の無線信号までカバーエリア内に中継している。また、例えばアップリンクの場合には、中継装置のカバーエリア外に位置する移動局装置に割り当てられた無線リソースは使用されないため、中継装置Rのカバーエリア内で使用されない無線リソースが発生する。
【0017】
本実施例では、中継装置Rのカバーエリア内で使用される無線リソースを通信品質の向上のために活用する。このため、中継装置Rのカバーエリア内では、ダウンリンクにおいて中継装置Rが同一の送信対象信号を複数の無線リソースに繰り返しマッピングして移動局装置へ送信する。このとき移動局装置は、複数の無線リソースに繰り返しマッピングされた信号を合成する。一方で中継装置Rのカバーエリア内では、アップリンクにおいて移動局装置が同一の送信対象信号を複数の無線リソースに繰り返しマッピングして中継装置Rへ送信する。このとき中継装置Rは、複数の無線リソースに繰り返しマッピングされた信号を合成する。
【0018】
例えば、複数の無線リソースに繰り返しマッピングする反復数が「n」であるとする。複数の無線リソース同士の伝搬経路特性が同じであると仮定すると、合成された信号成分の振幅の強度は「n」倍になる一方で、ノイズ成分の振幅強度は「√n」倍となることが期待される。本実施例によれば、中継装置Rと移動局装置MSとの間の通信品質が向上する。
【0019】
図2は、図1に示す中継装置Rの第1構成例を示す図である。参照符号10及び17はアンテナを示し、参照符号11及び16はアンテナ共用器(DUP:DUPlexer)を示し、参照符号12は無線リソース情報受信部を示し、参照符号13は無線リソース情報記憶部を示す。参照符号14は同期検出部を示し、参照符号15はマッピング部を示し、参照符号18は合成部を示す。
【0020】
中継装置Rは、アンテナ10及び17と、アンテナ共用器11及び16と、無線リソース情報受信部12と、無線リソース情報記憶部13と、同期検出部14と、マッピング部15と、合成部18を備える。
【0021】
アンテナ10は、基地局装置BSから中継対象信号を受信し、及び基地局装置BSへ中継対象信号を送信するためのアンテナである。アンテナ10により受信された受信信号は、アンテナ共用器11を経由して中継装置R内の受信部内に取り込まれる。アンテナ10及びアンテナ共用器11は、特許請求の範囲の第2受信部の一例として挙げられる。アンテナ10により受信された受信信号は、無線リソース情報受信部12と、同期検出部14とマッピング部15に入力される。
【0022】
無線リソース情報受信部12は、基地局装置BSから送信される無線リソース情報を受信する。無線リソース情報は、中継装置Rと中継装置Rの中継対象の移動局装置MS3との間の無線通信において、移動局装置MS3へ送信される信号が繰り返しマッピングされる複数の無線リソースを指定する情報と、移動局装置MS3から送信される信号が繰り返しマッピングされる複数の無線リソースを指定する情報を含む。無線リソース情報記憶部13には、無線リソース情報受信部12により受信された無線リソース情報が記憶される。
【0023】
同期検出部14は、基地局装置BSから受信した受信信号に基づいて、基地局装置BSと同期し、中継対象信号の処理タイミングを示すタイミング信号を生成する。例えば、同期検出部14は、基地局装置BSから送信されるパイロット信号を用いて、基地局装置BSと同期してよい。マッピング部15は、同期検出部14が生成するタイミング信号に従って、移動局装置MS3へ送信する中継対象信号を、無線リソース情報記憶部13に記憶された無線リソース情報に指定される複数の無線リソースへ繰り返しマッピングする。
【0024】
アンテナ17は、中継装置Rのカバーエリア内の移動局装置MS3から中継対象信号を受信し、及び移動局装置MS3へ中継対象信号を送信するためのアンテナである。中継対象信号が複数の無線リソースへマッピングされた信号は、アンテナ共用器16及びアンテナ17を経由して中継装置R内の信号処理回路から送信される。アンテナ17及びアンテナ共用器16は、特許請求の範囲の第2送信部の一例として挙げられる。
【0025】
移動局装置MS3から送信されアンテナ17により受信された受信信号は、アンテナ共用器16を経由して中継装置R内の受信部内に取り込まれる。アンテナ17及びアンテナ共用器16は、特許請求の範囲の第1受信部の一例として挙げられる。アンテナ17により受信された受信信号は、合成部18に入力される。
【0026】
合成部18は、無線リソース情報記憶部13に記憶された無線リソース情報と同期検出部14が生成するタイミング信号とに従って、移動局装置MS3が送信したアップリンク信号が繰り返しマッピングされた複数の無線リソース上の信号を合成する。すなわち合成部18は、この複数の無線リソース上にそれぞれマッピングされた信号同士を足し合わせる。
【0027】
合成部18により合成された信号は、アンテナ共用器11及びアンテナ10を経由して中継装置R内の信号処理回路から送信される。アンテナ10及びアンテナ共用器11は、特許請求の範囲の第1送信部の一例として挙げられる。
【0028】
図3は、図1に示す移動局装置MSの第1構成例を示す図である。参照符号20はアンテナを示し、参照符号21はアンテナ共用器を示し、参照符号22は無線リソース情報受信部を示し、参照符号23は無線リソース情報記憶部を示し、参照符号24は同期検出部を示す。参照符号25は合成部を示し、参照符号26は受信処理部を示し、参照符号27はベースバンド信号処理部を示し、参照符号28は送信処理部を示し、参照符号29はマッピング部を示す。
【0029】
移動局装置MSは、アンテナ20と、アンテナ共用器21と、無線リソース情報受信部22と、無線リソース情報記憶部23と、同期検出部24を備える。また移動局装置MSは、合成部25と、受信処理部26と、ベースバンド信号処理部27と、送信処理部28と、マッピング部29を備える。
【0030】
アンテナ20は、基地局装置BSからダウンリンク信号を受信し、及び基地局装置BSへアップリンク信号を送信するためのアンテナである。アンテナ20及びアンテナ共用器21は、特許請求の範囲の第3受信部及び第3送信部の一例として挙げられる。アンテナ20により受信された受信信号は、アンテナ共用器21を経由して移動局装置MS内の受信部内に取り込まれる。アンテナ20により受信された受信信号は、合成部25と同期検出部14に入力される。
【0031】
無線リソース情報受信部22は、基地局装置BSから送信され、かつ後述する受信処理部26にて復調及び復号された無線リソース情報を、ベースバンド信号処理部27から入力する。無線リソース情報記憶部23には、無線リソース情報受信部22により受信された無線リソース情報が記憶される。
【0032】
同期検出部24は、基地局装置BSから受信した受信信号に基づいて、基地局装置BSと同期し、中継対象信号の処理タイミングを示すタイミング信号を生成する。例えば、同期検出部24は、基地局装置BSから送信されるパイロット信号を用いて、基地局装置BSと同期してよい。合成部25は、無線リソース情報記憶部23に記憶された無線リソース情報と同期検出部24が生成するタイミング信号とに従って、中継装置Rにより中継されたダウンリンク信号が繰り返しマッピングされた複数の無線リソース上の信号を合成する。すなわち合成部25は、この複数の無線リソース上にそれぞれマッピングされた信号同士を足し合わせる。
【0033】
受信処理部26は、合成部25により合成されたダウンリンク信号の復調及び復号処理を行う。ベースバンド信号処理部27は、基地局装置BSと移動局装置MSとの間で送信されるユーザデータ及び制御情報のベースバンド信号の信号処理を行う。
【0034】
送信処理部28は、移動局装置MSから基地局装置BSへ送信するアップリンク信号の符号化及び変調処理を行う。マッピング部29は、同期検出部24が生成するタイミング信号に従って、アップリンク信号を、無線リソース情報記憶部23に記憶された無線リソース情報に指定される複数の無線リソースへ繰り返しマッピングする。アップリンク信号が複数の無線リソースへマッピングされた信号は、アンテナ共用器21及びアンテナ20を経由して移動局装置MSから送信される。
【0035】
続いて、中継装置Rによる中継処理を説明する。図4は、ダウンリンクにおける中継処理の説明図である。別な実施の態様においては、下記のオペレーションAA〜AFの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションAAにおいて中継装置Rは、基地局装置BSから送信されたダウンリンク信号を受信する。
【0036】
オペレーションABにおいてマッピング部15は、移動局装置MS3宛のダウンリンク信号を、基地局装置BSから受信した無線リソース情報にて指定される複数の無線リソースへ繰り返しマッピングすることで、カバーエリア内に送信する信号SC1を生成する。このように複数の無線リソースへダウンリンク信号が繰り返しマッピングされた信号を、以下の説明において「カバーエリア内ダウンリンク信号」と表記することがある。
【0037】
オペレーションACにおいて中継装置Rは、カバーエリア内ダウンリンク信号SC1をカバーエリア内に送信する。図5の(A)は、中継装置Rのカバーエリア外におけるダウンリンク信号の第1例を示す。ダウンリンク信号は、時分割多元接続方式を用いて多重化されており、参照符号501〜504は、連続する4つのタイムスロットを示す。タイムスロット501及び503は、中継装置Rの中継対象の移動局装置MS3宛のダウンリンク信号S1及びS2に割り当てられている。またタイムスロット502及び504は、中継装置Rの中継対象でない移動局装置に割り当てられている。
【0038】
図5の(B)は、中継装置Rのカバーエリア内のダウンリンク信号の例を示す。この例では、無線リソース情報は、ダウンリンク信号を繰り返し割り当てる複数の無線リソースとして、基地局装置BSと移動局装置MS3との通信においてダウンリンク信号が割り当てられていた元のタイムスロットと、その次に連続するタイムスロットを指定する。このため、図5の(A)においてタイムスロット501にて伝送されるダウンリンク信号S1は、中継装置Rのマッピング部15により、タイムスロット501とこれに連続するタイムスロット502に繰り返しマッピングされる。また図5の(A)においてタイムスロット503にて伝送されるダウンリンク信号S2は、タイムスロット503とこれに連続するタイムスロット504に繰り返しマッピングされる。
【0039】
図6の(A)は、中継装置Rにカバーエリア外におけるダウンリンク信号の第2例を示す。ダウンリンク信号は、周波数分割多元接続方式を用いて多重化されており、参照符号511〜514は、連続する4つの周波数リソースすなわち周波数帯域を示す。周波数帯域511及び513は、移動局装置MS3宛のダウンリンク信号S1及びS2に割り当てられている。また周波数帯域512及び514は、中継装置Rの中継対象でない移動局装置に割り当てられている。
【0040】
図6の(B)は、中継装置Rのカバーエリア内のダウンリンク信号の例を示す。この例では、無線リソース情報は、ダウンリンク信号を繰り返し割り当てる複数の無線リソースとして、基地局装置BSと移動局装置MS3との通信においてダウンリンク信号が割り当てられていた元の帯域と、この帯域に隣接する周波数帯域を指定する。このため、図6の(A)において周波数帯域511にて伝送されるダウンリンク信号S1は、中継装置Rのマッピング部15により、周波数帯域511とこれに隣接する周波数帯域512に繰り返しマッピングされる。また図6の(A)において周波数帯域513にて伝送されるダウンリンク信号S2は、周波数帯域513とこれに連続する周波数帯域514に繰り返しマッピングされる。
【0041】
図4を参照する。オペレーションADにおいて移動局装置MS3は、カバーエリア内ダウンリンク信号SC1を受信する。オペレーションAEにおいて移動局装置MS3の合成部25は、カバーエリア内ダウンリンク信号SC1の複数の無線リソース上にそれぞれマッピングされたダウンリンク信号同士を足し合わせる。
【0042】
例えば、図5の(B)に示したカバーエリア内ダウンリンク信号の例では、合成部25は、タイムスロット501と502にマッピングされたダウンリンク信号同士を足し合わせる。また、合成部25は、タイムスロット503と504にマッピングされたダウンリンク信号同士を足し合わせる。また例えば、図6の(B)に示したカバーエリア内ダウンリンク信号の例では、合成部25は、周波数帯域511と512にマッピングされたダウンリンク信号同士を足し合わせる。また、合成部25は、周波数帯域513と514にマッピングされたダウンリンク信号同士を足し合わせる。オペレーションAFにおいて受信処理部26は、合成部25により合成されたダウンリンク信号の復調及び復号処理を行う。
【0043】
図7は、アップリンクにおける中継処理の説明図である。別な実施の態様においては、下記のオペレーションBA〜BFの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションBAにおいて移動局装置MS3の送信処理部28は、移動局装置MS3から基地局装置BSへ送信するアップリンク信号の符号化及び変調処理を行う。
【0044】
オペレーションBBにおいてマッピング部29は、アップリンク信号を、基地局装置BSから受信した無線リソース情報にて指定される複数の無線リソースへ繰り返しマッピングすることで、中継装置Rのカバーエリア内で送信する信号SC2を生成する。このように複数の無線リソースへアップリンク信号が繰り返しマッピングされた信号を、以下の説明において「カバーエリア内アップリンク信号」と表記することがある。
【0045】
オペレーションBCにおいて移動局装置MS3は、カバーエリア内アップリンク信号SC2を送信する。図8の(A)は、中継装置Rのカバーエリア内のアップリンク信号の第1例を示す。アップリンク信号は、時分割多元接続方式を用いて多重化されており、参照符号521〜524は、連続する4つのタイムスロットを示す。
【0046】
この例では、無線リソース情報は、アップリンク信号を繰り返し割り当てる複数の無線リソースとして、基地局装置BSと移動局装置MS3との通信においてアップリンク信号が割り当てられていた元のタイムスロットと、これに先行する連続するタイムスロットを指定する。このためアップリンク信号S1は、連続する2つのタイムスロット521及び522にマッピングされ、アップリンク信号S2は、連続する2つのタイムスロット523及び524にマッピングされる。
【0047】
図9の(A)は、中継装置Rのカバーエリア内のアップリンク信号の第2例を示す。アップリンク信号は、周波数分割多元接続方式を用いて多重化されており、参照符号531〜534は、連続する4つの周波数帯域を示す。この例では、無線リソース情報は、アップリンク信号を繰り返し割り当てる複数の無線リソースとして、基地局装置BSと移動局装置MS3との通信においてアップリンク信号が割り当てられていた元の帯域と、この帯域に隣接する周波数帯域を指定する。このためアップリンク信号S1は、隣接する2つの周波数帯域531及び532にマッピングされ、アップリンク信号S2は、連続する2つの周波数帯域533及び534にマッピングされる。
【0048】
図7を参照する。オペレーションBDにおいて中継装置Rは、カバーエリア内アップリンク信号SC2を受信する。オペレーションBEにおいて中継装置Rの合成部18は、カバーエリア内アップリンク信号SC2の複数の無線リソース上にそれぞれマッピングされたダウンリンク信号同士を足し合わせる。
【0049】
例えば、図8の(A)に示したカバーエリア内アップリンク信号の例では、合成部18は、タイムスロット521と522にマッピングされたアップリンク信号同士を足し合わせる。また、合成部18は、タイムスロット523と524にマッピングされたアップリンク信号同士を足し合わせる。また例えば、図9の(A)に示したカバーエリア内アップリンク信号の例では、合成部18は、周波数帯域531と532にマッピングされたアップリンク信号同士を足し合わせる。また、合成部25は、周波数帯域533と534にマッピングされたアップリンク信号同士を足し合わせる。
【0050】
図7を参照する。オペレーションBFにおいて中継装置Rは、合成部25により合成された信号を含んだアップリンク信号を送信する。図8の(B)は、図8の(A)に示すアップリンク信号が中継された場合の、中継装置Rのカバーエリア外でのアップリンク信号の例を示す。タイムスロット522には、タイムスロット521及び522において移動局装置MS3から繰り返し受信したアップリンク信号を合成した信号S1がマッピングされている。
【0051】
またタイムスロット524には、タイムスロット523及び524において移動局装置MS3から繰り返し受信したアップリンク信号を合成した信号S2がマッピングされている。タイムスロット521及び523は、中継装置Rの中継対象でない移動局装置に割り当てられている。
【0052】
図9の(B)は、図9の(A)に示すアップリンク信号が中継された場合の、中継装置Rのカバーエリア外でのアップリンク信号の例を示す。周波数帯域531には、周波数帯域531及び532において移動局装置MS3から繰り返し受信したアップリンク信号を合成した信号S1がマッピングされている。周波数帯域533には、周波数帯域533及び534において移動局装置MS3から繰り返し受信したアップリンク信号を合成した信号S2がマッピングされている。
【0053】
次に、無線リソース情報の設定方法の一例について説明する。図10は、図1に示す基地局装置BSの構成例を示す図である。参照符号30はアンテナを示し、参照符号31はアンテナ共用器を示し、参照符号32は無線通信部を示し、参照符号33はスケジューラを示し、参照符号34は端末情報記憶部を示し、参照符号35は無線リソース情報生成部を示す。
【0054】
基地局装置BSは、アンテナ30と、アンテナ共用器31と、無線通信部32と、スケジューラ33と、端末情報記憶部34と、無線リソース情報生成部35とを備える。アンテナ30は、移動局装置MSへ無線信号を送信し、及び移動局装置MSから無線受信するためのアンテナである。アンテナ30にて受信された無線信号はアンテナ共用器31を介して無線通信部32へ入力され、無線通信部32から出力される無線周波数信号は、アンテナ共用器31を介してアンテナ30にて無線信号として送信される。
【0055】
無線通信部32は、移動局装置MSと基地局装置BSとの間のユーザデータ及び制御情報の送受信処理を行う。スケジューラ33は、各移動局装置MSと基地局装置BSとの間のそれぞれの無線通信に対する無線リソースの割り当て処理や伝送フォーマットの決定処理を行う。
【0056】
端末情報記憶部34は、基地局装置BSに現在接続されておりスケジューラ33によって基地局装置BSとの間の無線通信の無線リソースが決定される移動局装置MSを記憶する。また端末情報記憶部34は、現在接続中の移動局装置MSのいずれが中継装置Rの中継対象であるかを記憶する。
【0057】
スケジューラ33は、中継装置Rの中継対象である各移動局装置MSについて、中継装置Rのカバーエリア内においてダウンリンク信号が繰り返しマッピングされる複数の無線リソースを決定する。また、スケジューラ33は、中継装置Rの中継対象である各移動局装置MSについて、中継装置Rのカバーエリア内においてアップリンク信号が繰り返しマッピングされる複数の無線リソースを決定する。
【0058】
無線リソース情報生成部35は、スケジューラ33により決定された、中継装置Rのカバーエリア内においてダウンリンク信号又はアップリンク信号が繰り返しマッピングされる複数の無線リソースを指定する無線リソース情報を生成する。無線通信部32は、各移動局装置MSに割り当てた無線リソースや伝送フォーマットを示すスケジューリング情報とともに、無線リソース情報を移動局装置MSへ送信する。また無線通信部32は、各中継装置Rへ無線リソース情報を送信する。
【0059】
スケジューラ33は、中継装置Rのカバーエリア内において時間的に又は周波数空間上において連続する複数の無線リソースにダウンリンク信号やアップリンク信号が繰り返し配置できるように、複数の移動局装置MSへ割り当てる無線リソースを決定してよい。このため、例えばスケジューラ33は、同一の中継装置Rによって中継される複数の移動局装置MSへ割り当てる無線リソースが互いに連続しないように、無線リソースの割り当てを決定してよい。
【0060】
隣接する複数の無線リソースに信号が配置されることによって、これらの信号が配置される無線リソースによって実現される伝送路の伝送路特性を互いに近似させることができる。互いに特性が近似した伝送路で同一の信号を繰り返し伝送することにより、受信装置において合成される信号同士が近似するため、信号の合成により受信品質がより向上することが期待できる。
【0061】
本実施例によれば、中継装置Rと移動局装置MS間において複数の無線リソースを用いて繰り返し同じ信号を伝送し、受信側においてこれら繰り返し受信された信号を合成する。このため、中継装置Rと移動局装置MSとの間の通信において信号対ノイズ比が向上する。
【0062】
続いて、中継装置Rの他の実施例を説明する。例えば上述のブースタ装置等の中継装置では、受信した無線信号を増幅器で所定のレベルまで増幅してから再送信する。このため中継装置では、受信した無線信号を信号成分だけでなく、中継装置内部の増幅器で発生した雑音まで送信されてしまう。複数の中継装置が一つの基地局装置のカバーエリアに設けられている場合には、各中継装置から出力される雑音成分の合流によって、チャネル容量の低下が生じる。
【0063】
本実施例では、アップリンクにおいて、中継装置Rのカバーエリア内の移動局装置MSのアップリンク信号を基地局装置BSへ送信する無線リソース以外のリソースにおける信号出力を停止する。図11は、図1に示す中継装置Rの第2構成例を示す図である。
【0064】
参照符号19は停止部を示す。中継装置Rは停止部19を備える。図2に示す中継装置Rが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。停止部19は、同期検出部14が生成するタイミング信号に従って、アンテナ10から信号を出力する無線リソースを制御する。停止部19は、中継対象の移動局装置MSのアップリンク信号を送信する無線リソース以外の無線リソースにおける信号出力を停止する。
【0065】
例えば図8の(B)に示すアップリンク信号においては、移動局装置MS3のアップリンク信号が送信されるタイムスロット522及び524以外のタイムスロット521及び523において、停止部19はアンテナ10からの出力を停止する。また例えば図9の(B)に示すアップリンク信号においては、移動局装置MS3のアップリンク信号が送信される周波数帯域531及び533以外の帯域532及び534においてサブキャリアの出力を停止する。
【0066】
本実施例によれば、中継装置Rから出力される雑音成分が低減される。このため、各中継装置から出力される雑音成分の合流によるチャネル容量の低下を抑制することができる。
【0067】
続いて、時分割多重接続方式を用いた通信システムにおける実施例を説明する。図12は、図1に示す中継装置Rの第3構成例を示す図である。参照符号40及び42は低雑音アンプを示し、参照符号41及び43は高出力アンプを示し、参照符号44及び46はバッファを示し、参照符号45及び48はスイッチを示し、参照符号47は加算器を示す。
【0068】
中継装置Rは、低雑音アンプ40及び42と、高出力アンプ41及び43と、バッファ44及び46と、スイッチ45及び48と、加算器47を備える。図11に示す中継装置Rが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。
【0069】
低雑音アンプ40は、アンテナ10及びアンテナ共用器11を介して基地局装置BSから受信した信号を増幅する。高出力アンプ41は、アンテナ共用器16及びアンテナ17を介して移動局装置MS3へ送信する信号を増幅する。低雑音アンプ42はアンテナ共用器16及びアンテナ17を介して移動局装置MS3から受信した信号を増幅する。高出力アンプ43は、アンテナ10及びアンテナ共用器11を介して基地局装置BSへ送信する信号を増幅する。なお実際の構成においては、低雑音アンプ40及び42の後段にアナログディジタル変換器が設けられ、高出力アンプ41及び43の前段にディジタルアナログ変換器が設けられるが、説明の簡略のため図示及び説明を省略する。他の実施例においても同様である。
【0070】
バッファ44は、中継対象の移動局装置MS3宛のダウンリンク信号を記憶する。スイッチ45は、同期検出部14が生成するタイミング信号に従って、高出力アンプ41の入力元を切り替える。すなわち、移動局装置MS3宛のダウンリンク信号が受信されている期間内では、スイッチ45は、アンテナ10から受信した信号を高出力アンプ41へ入力する。無線リソース情報においてダウンリンク信号を再度送信するように指定されたタイムスロットにおいては、スイッチ45は、バッファ44に記憶されたダウンリンク信号を高出力アンプ41へ入力する。
【0071】
このようなスイッチ45の動作によって、移動局装置MS3宛のダウンリンク信号は、複数のタイムスロットによって繰り返し伝送される。すなわちダウンリンク信号は、複数の無線リソースにマッピングされる。したがって、バッファ44及びスイッチ45は、図11に示す中継装置Rのマッピング部15の一例として挙げられる。
【0072】
バッファ46は、中継対象の移動局装置MS3から受信したアップリンク信号を記憶する。加算器47は、バッファ46に格納したアップリンク信号の後のタイムスロットで送信された同一のアップリンク信号と、バッファ46に格納したアップリンク信号とを加算することにより、これらの信号を合成する。バッファ46及び加算器47は、図11に示す中継装置Rの合成部18の一例として挙げられる。
【0073】
スイッチ48は、移動局装置MS3から基地局装置BSへのアップリンク信号の送信タイミングにおいては、加算器47の出力を高出力アンプ41へ入力する。それ以外のタイミングでは、高出力アンプ41への信号入力を停止する。スイッチ48によって、中継対象の移動局装置MS3からのアップリンク信号の送信タイミング以外の期間では、中継装置Rからのアップリンク信号の出力が停止される。スイッチ48は、図11に示す中継装置Rの停止部19の一例として挙げられる。
【0074】
図13は、図1に示す移動局装置MSの第2構成例を示す図である。参照符号50及び53はバッファを示し、参照符号51は加算器を示し、参照符号52及び54はスイッチを示す。移動局装置MSは、バッファ50及び53と、加算器51と、スイッチ52及び54を備える。図3に示す移動局装置MSが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。なお実際の構成においては、アンテナ共用器21とバッファ50との間にアナログディジタル変換器が設けられ、スイッチ54とアンテナ共用器21との間にディジタルアナログ変換器が設けられるが、説明の簡略のため図示及び説明を省略する。
【0075】
バッファ50は、中継装置Rから受信したダウンリンク信号を記憶する。加算器51は、バッファ50に格納したアップリンク信号の後のタイムスロットで送信された同一のダウンリンク信号と、バッファ50に格納したダウンリンク信号とを加算することにより、これらの信号を合成する。スイッチ52は、同期検出部24から出力されるタイミング信号にしたがって、加算器51により合成されたダウンリンク信号を受信処理部26の入力へ接続する。バッファ50、加算器51及びスイッチ52は、図3に示す移動局装置MSの合成部25の一例として挙げられる。
【0076】
バッファ53は、中継装置Rへ送信するアップリンク信号を記憶する。スイッチ54は、同期検出部24が生成するタイミング信号に従って、アンテナ20への信号の供給源を切り替える。すなわち、移動局装置MS3から中継装置Rへアップリンク信号が送信される最初のタイムスロットの期間内では、スイッチ54は、送信処理部28から出力される信号をアンテナ20へ入力する。無線リソース情報においてアップリンク信号を再度送信するように指定されたタイムスロットにおいては、スイッチ54は、バッファ53に記憶されたアップリンク信号をアンテナ20へ入力する。バッファ53及びスイッチ54は、図3に示す移動局装置MSのマッピング部29の一例として挙げられる。
【0077】
本実施例によれば、時分割多重接続方式を用いた通信システムにおいて、中継装置Rと移動局装置MS間において複数の無線リソースを用いて繰り返し信号を伝送し、中継装置Rと移動局装置MSとの間の通信における信号対ノイズ比を向上することができる。
【0078】
続いて、周波数分割多重方式の一例として、直交周波数分割多重接続(OFDMA: Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式を用いた通信システムにおける実施例を説明する。図14は、図1に示す中継装置Rの第4構成例を示す図である。参照符号60及び63は高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)部を示し、参照符号61は第1マッパーを示す。参照符号62及び65は、逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)部を示し、参照符号64は第2マッパーを示す。
【0079】
中継装置Rは、高速フーリエ変換部60及び63と、第1マッパー61及び第2マッパー64と、逆高速フーリエ変換62及び65を備える。図11に示す中継装置Rが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。なお実際の構成においては、逆高速フーリエ変換62及び65の後段にサイクリックプレフィクス(CP: Cyclic Prefix)付加部が設けられるが、説明の簡略のため図示及び説明を省略する。他の実施例においても同様である。
【0080】
同期検出部14は、シンボルタイミング同期用のタイミング信号を、高速フーリエ変換部60及び63、第1マッパー61及び第2マッパー64、並びに逆高速フーリエ変換62及び65に与える。高速フーリエ変換部60は、基地局装置BSから受信したOFDM(直交周波数分割多重:Orthogonal Frequency Division Multiple)信号をフーリエ変換することにより、複数のサブキャリアをそれぞれ変調する複素シンボル列を抽出する。逆高速フーリエ変換部62は、複素シンボル列で複数のサブキャリアを変調することによりOFDM信号を生成する。生成されたOFDM信号は、高出力アンプ41により増幅されてアンテナ17から出力される。
【0081】
高速フーリエ変換部60から出力される複素シンボルは、逆高速フーリエ変換部62へ入力される。第1マッパー61は、高速フーリエ変換部60から出力される複素シンボルと、逆高速フーリエ変換部62において各サブキャリアをそれぞれ変調する複素シンボルとの間のマッピングを行う。第1マッパー61は、中継対象の移動局装置MS3のダウンリンク信号の各複素シンボルによって、移動局装置MS3へのダウンリンク信号を送信するサブキャリアとして無線リソース情報で指定された複数のサブキャリアが変調されるようにマッピング処理を行ってよい。
【0082】
図15の(A)は第1マッパー61の構成例を示す図である。高速フーリエ変換部60からは、複数のサブキャリアSC1〜SC10をそれぞれ変調する複素シンボルがそれぞれ出力される。第1マッパー61は、中継装置Rの中継対象の移動局装置MSに割り当てられたサブキャリアSC1を変調する複素シンボルを、複数のサブキャリアSC1及びSC2を変調する複素シンボルとして、逆高速フーリエ変換部62に入力する。同様に第1マッパー61は、中継装置Rの中継対象の移動局装置MSに割り当てられたサブキャリアSC3を変調する複素シンボルを、複数のサブキャリアSC3及びSC4を変調する複素シンボルとして、逆高速フーリエ変換部62に入力する。中継装置Rの中継対象の移動局装置MSに割り当てられたサブキャリアSC5、7及び9についても同様である。
【0083】
このようなマッピング処理によって移動局装置MS3宛のダウンリンク信号は、複数の周波数帯域によって繰り返し伝送される。すなわちダウンリンク信号は、複数の無線リソースにマッピングされる。したがって、高速フーリエ変換部60、第1マッパー61及び逆高速フーリエ変換部62は、図11に示す中継装置Rのマッピング部15の一例として挙げられる。
【0084】
図14を参照する。高速フーリエ変換部63は、移動局装置MS3から受信したOFDM信号をフーリエ変換することにより、複数のサブキャリアをそれぞれ変調する複素シンボル列を抽出する。逆高速フーリエ変換部65は、複素シンボル列で複数のサブキャリアを変調することによりOFDM信号を生成する。生成されたOFDM信号は、高出力アンプ43により増幅されてアンテナ10から出力される。
【0085】
高速フーリエ変換部63から出力される複素シンボルは、逆高速フーリエ変換部65へ入力される。第2マッパー64は、高速フーリエ変換部63から出力される複素シンボルと、逆高速フーリエ変換部65において各サブキャリアをそれぞれ変調する複素シンボルとの間のマッピングを行う。
【0086】
第2マッパー64は、中継装置Rの中継対象の移動局装置MS3からアップリンク信号を送信するサブキャリアとして無線リソース情報によって指定された複数のサブキャリアをそれぞれ変調する複素シンボルを合成する。第2マッパー64は、合成したシンボルで、移動局装置MS3のアップリンク信号を中継装置Rから送信するために割り当てられたサブキャリアが変調されるように、逆高速フーリエ変換部65へ入力するシンボルのマッピングを行う。
【0087】
図15の(B)は第2マッパー64の構成例を示す図である。第2マッパー64は、複数のサブキャリアからそれぞれ抽出された複素シンボル同士を合成する加算器70〜74を備える。高速フーリエ変換部63からは、複数のサブキャリアSC1〜SC10をそれぞれ変調する複素シンボルがそれぞれ出力される。
【0088】
加算器70は、中継装置Rの中継対象の移動局装置MSからアップリンク信号を送信するサブキャリアとして無線リソース情報によって指定された複数のサブキャリアSC1及びSC2をそれぞれ変調する複素シンボルを加算する。第2マッパー64は、加算器70から出力される複素シンボルを、サブキャリアSC1を変調する複素シンボルとして、逆高速フーリエ変換部65に入力する。同様に加算器71は、無線リソース情報によって指定された複数のサブキャリアSC3及びSC4をそれぞれ変調する複素シンボルを加算する。第2マッパー64は、加算器71から出力される複素シンボルを、サブキャリアSC3を変調する複素シンボルとして、逆高速フーリエ変換部65に入力する。無線リソース情報によって指定された複数のサブキャリアSC5及びSC6、SC7及びSC8、並びにSC9及びSC10についても同様である。
【0089】
このようなマッピング処理によって、高速フーリエ変換部63、第2マッパー64及び逆高速フーリエ変換部65は、移動局装置MS3から複数のサブキャリアを用いて繰り返し伝送されたアップリンク信号を合成する。したがって高速フーリエ変換部63、第2マッパー64及び逆高速フーリエ変換部65は、図11に示す中継装置Rの合成部18の一例として挙げられる。
【0090】
また第2マッパー64は、アップリンク信号を基地局装置BSへ送信しないサブキャリアSC2、SC4、SC6、SC8及びSC10を変調するシンボルとして「0」を逆高速フーリエ変換部65に入力する。このため、これらのサブキャリアの成分は中継装置Rから出力されなくなる。第2マッパー64は、図11に示す中継装置Rの停止部19の一例として挙げられる。
【0091】
図16は、図1に示す移動局装置MSの第3構成例を示す図である。参照符号80は高速フーリエ変換部を示し、参照符号81は第1マッパーを示す。参照符号83は第2マッパーを示し、参照符号84は逆高速フーリエ変換部を示す。移動局装置MSは、高速フーリエ変換部80と、第1マッパー81及び第2マッパー83と、逆高速フーリエ変換部84を備える。図3に示す移動局装置MSが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。なお実際の構成においては、アンテナ共用器21と高速フーリエ変換部80との間にアナログディジタル変換器が設けられ、逆フーリエ変換部84とアンテナ共用器21との間にディジタルアナログ変換器が設けられるが、説明の簡略のため図示及び説明を省略する。また実際の構成においては、逆高速フーリエ変換84の後段にはサイクリックプレフィクス(CP: Cyclic Prefix)付加部が設けられるが、説明の簡略のため図示及び説明を省略する。
【0092】
同期検出部24は、シンボルタイミング同期用のタイミング信号を、高速フーリエ変換部80、第1マッパー81及び第2マッパー83、並びに逆高速フーリエ変換84に与える。高速フーリエ変換部80は、中継装置Rから受信したOFDM信号をフーリエ変換することにより、複数のサブキャリアをそれぞれ変調する複素シンボル列を抽出する。受信処理部26は、高速フーリエ変換部80により抽出された複素シンボル列を復調及び復号する。
【0093】
第1マッパー81は、高速フーリエ変換部80から出力される複素シンボルと、受信処理部26により復調及び復号される複素シンボルとの間のマッピングを行う。第1マッパー81は、中継装置Rからダウンリンク信号を送信するサブキャリアとして、無線リソース情報によって指定された複数のサブキャリアをそれぞれ変調する複素シンボルを合成する。第1マッパー81は、合成したシンボルを、復調及び復号する複素シンボルとして受信処理部26へ出力する。第1マッパー81の構成は、図15の(B)に示した第2マッパー64と同様の構成であってよい。高速フーリエ変換部80及び第1マッパー81は、図3に示す移動局装置MSの合成部25の一例として挙げられる。
【0094】
逆高速フーリエ変換部84は、送信処理部28から出力される複素シンボル列で複数のサブキャリアを変調することによりOFDM信号を生成する。生成されたOFDM信号は、アンテナ共用器21を介してアンテナ20から出力される。
【0095】
第2マッパー83は、送信処理部28から出力される複素シンボルと、逆高速フーリエ変換部84において各サブキャリアをそれぞれ変調する複素シンボルとの間のマッピングを行う。第2マッパー83は、中継対象の移動局装置MS3のアップリンク信号の各複素シンボルによって、移動局装置MS3からアップリンク信号を送信するサブキャリアとして無線リソース情報で指定された複数のサブキャリアが変調されるようにマッピング処理を行ってよい。第2マッパー83の構成は、図15の(A)に示した第1マッパー61と同様の構成であってよい。第2マッパー83及び逆高速フーリエ変換部84は、図3に示す移動局装置MSのマッピング部29の一例として挙げられる。
【0096】
本実施例によれば、直交周波数分割多重接続方式を用いた通信システムにおいて、中継装置Rと移動局装置MS間において複数の無線リソースを用いて繰り返し信号を伝送し、中継装置Rと移動局装置MSとの間の通信における信号対ノイズ比を向上することができる。
【0097】
なお、図12及び図14に示す中継装置Rの構成を組み合わせ、かつ図13及び図15に示す移動局装置MSの構成を組み合わせてもよい。このように時分割多重接続方式のための構成と、直交周波数分割多重接続方式のための構成を組み合わせることにより、中継装置Rと移動局装置MS間において、複数のタイムスロット及び複数の周波数リソースに、同一信号を繰り返しマッピングしてもよい。以下の実施例においても同様である。
【0098】
図17は、無線通信システム1における第2実施例の構成図である。参照符号R1及びR2は中継装置を示す。中継装置R1及びR2を総称して中継装置Rと表記することがある。本実施例では、複数の中継装置R1及びR2が無線通信システム1に設けられている。図1に示す無線通信システム1が備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。本例では、移動局装置MS2が中継装置R1によって中継され、移動局装置MS3が中継装置R2によって中継される場合を想定する。
【0099】
本実施例では、中継装置R1のカバー範囲と中継装置R2のカバー範囲とが重複しても、中継装置R1が送受信する無線信号と中継装置R2が送受信する無線信号とが干渉しないように、各中継装置R1及びR2に固有の直交符号がそれぞれ与えられる。各中継装置R1及びR2のそれぞれのカバーエリアにおいて、複数の無線リソースに繰り返しマッピングされる信号のそれぞれに直交符号の各ビットを乗じて送信することにより、中継装置間の干渉が低減される。
【0100】
図18は、図17に示す中継装置Rの第1構成例を示す図である。参照符号90は直交符号生成部90を示し、参照符号91及び92は乗算部を示す。中継装置Rは、直交符号生成部90と、乗算部91及び92を備える。図12に示す中継装置Rが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。
【0101】
直交符号生成部90は、同期検出部14が生成するタイミング信号に従うタイミングで、各中継装置Rに固有の直交符号を生成する。直交符号の例は、例えば、ウオールシュ符号やアダマール符号であってよい。ここでは、図17に示す中継装置R1に符号”1、1”を、中継装置R2には符号”1、−1”を、直交符号として割り当てる場合を想定する。
【0102】
乗算部91は、バッファ44及びスイッチ45が複数のタイムスロットに繰り返しマッピングしたダウンリンク信号に、直交符号を乗じる。すなわち乗算部91は、複数のタイムスロットに繰り返しマッピングしたダウンリンク信号のそれぞれに、直交符号に含まれた複数のビットのそれぞれを乗じる。
【0103】
例えば、同一のダウンリンク信号が2つのタイムスロットに繰り返しマッピングされたとする。中継装置R1の乗算部91は、第1番目のタイムスロット及び第2番目のタイムスロットにマッピングされたダウンリンク信号に、直交符号に含まれる第1ビット”1”及び第2ビット”1”をそれぞれ乗じる。中継装置R2の乗算部91は、第1番目のタイムスロット及び第2番目のタイムスロットにマッピングされたダウンリンク信号に、直交符号に含まれる第1ビット”1”及び第2ビット”−1”をそれぞれ乗じる。
【0104】
図19の(A)は、中継装置R1のカバーエリア外でのダウンリンク信号の例を示す。参照符号541〜544は、連続する4つのタイムスロットを示す。タイムスロット541及び543は、中継装置R1の中継対象の移動局装置MS2宛のダウンリンク信号S11及びS12に割り当てられている。またタイムスロット542及び544は、中継装置R1の中継対象でない移動局装置に割り当てられている。
【0105】
図19の(B)は、中継装置R1のカバーエリア内のダウンリンク信号の例を示す。この例では、図19の(A)においてタイムスロット541にて伝送されるダウンリンク信号S11は、タイムスロット541とこれに連続するタイムスロット542に繰り返しマッピングされる。また図19の(A)においてタイムスロット543にて伝送されるダウンリンク信号S12は、タイムスロット543とこれに連続するタイムスロット544に繰り返しマッピングされる。
【0106】
連続するタイムスロット541及び542にそれぞれマッピングされたダウンリンク信号S11には、直交符号の第1ビット”1”及び第2ビット”1”がそれぞれ乗じられる。同様に連続するタイムスロット543及び544にそれぞれマッピングされたダウンリンク信号S12には、直交符号の第1ビット”1”及び第2ビット”1”がそれぞれ乗じられる。
【0107】
図19の(C)は、中継装置R2のカバーエリア外でのダウンリンク信号の例を示す。参照符号551〜554は、連続する4つのタイムスロットを示す。タイムスロット551及び553は、中継装置R2の中継対象の移動局装置MS3宛のダウンリンク信号S21及びS22に割り当てられている。またタイムスロット552及び554は、中継装置R2の中継対象でない移動局装置に割り当てられている。
【0108】
図19の(D)は、中継装置R2のカバーエリア内のダウンリンク信号の例を示す。この例では、図19の(C)においてタイムスロット551にて伝送されるダウンリンク信号S21は、タイムスロット551とこれに連続するタイムスロット552に繰り返しマッピングされる。また図19の(C)においてタイムスロット553にて伝送されるダウンリンク信号S22は、タイムスロット553とこれに連続するタイムスロット554に繰り返しマッピングされる。
【0109】
連続するタイムスロット551及び552にそれぞれマッピングされたダウンリンク信号S21には、直交符号の第1ビット”1”及び第2ビット”−1”がそれぞれ乗じられる。この結果、タイムスロット552で伝送される信号−S21は、タイムスロット551で伝送される信号S21の符号を反転した信号となる。同様に連続するタイムスロット553及び554にそれぞれマッピングされたダウンリンク信号S22にも、直交符号の第1ビット”1”及び第2ビット”−1”がそれぞれ乗じられる。この結果、タイムスロット554で伝送される信号−S22は、タイムスロット553で伝送される信号S22の符号を反転した信号となる。
【0110】
図18を参照する。後述するように、中継装置によって中継されている移動局装置MSは、アップリンク信号を送信する際に、複数のタイムスロットにマッピングされた信号に直交符号を乗じる。乗算部92は、移動局装置MSからの受信信号に、中継装置Rに固有の直交符号を乗じる。乗算部92により直交符号が乗じられた複数のタイムスロットのアップリンク信号は、バッファ46及び加算器47によって合成される。移動局装置MSによってアップリンク信号に乗じられている直交符号と、この中継装置Rに固有の直交符号とが等しいとき、バッファ46及び加算器47による合成処理によって元のアップリンク信号が再生される。
【0111】
アップリンク信号に乗じられている直交符号と中継装置Rに固有の直交符号が等しくない場合には、バッファ46及び加算器47による合成後の信号成分は「0」となる。したがって、他の中継装置によって中継されている移動局装置MSからの受信信号は、中継対象の移動局装置MSからの受信信号に干渉しない。
【0112】
図20は、図17に示す移動局装置MSの第1構成例を示す図である。参照符号93は直交符号検出部を示し、参照符号94及び95は乗算部を示す。移動局装置MSは、直交符号検出部93と、乗算部94及び95を備える。図13に示す移動局装置MSが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。なお実際の構成においては、アンテナ共用器21と乗算部94との間にアナログディジタル変換器が設けられ、乗算部95とアンテナ共用器21との間にディジタルアナログ変換器が設けられるが、説明の簡略のため図示及び説明を省略する。
【0113】
直交符号検出部93は、受信信号の複数のタイムスロットに繰り返しマッピングされたダウンリンク信号に乗じられている直交符号を検出する。例えば、直交符号検出部93は、中継装置Rに割り当てられることが予想される複数の直交符号をそれぞれダウンリンク信号に乗じて、所定の閾値を超える信号強度が検出されたときの直交符号を、ダウンリンク信号に乗じられている直交符号として検出してよい。
【0114】
乗算部94は、受信信号の複数のタイムスロットに繰り返しマッピングされたダウンリンク信号に検出した直交符号を乗じる。直交符号が乗じられた複数のタイムスロットにそれぞれマッピングされたダウンリンク信号を、バッファ50及び加算器51によって合成することによって本来のアップリンク信号が再生される。
【0115】
移動局装置MSを中継する中継装置Rとは異なる他の中継装置によって中継された信号成分が混在しても、他の中継装置から送信された信号成分は、バッファ50及び加算器51による合成処理によって「0」となる。したがって、他の中継装置から送信される信号による干渉は、移動局装置MSが受信するダウンリンク信号へ干渉しない。
【0116】
乗算器95は、バッファ53及びスイッチ54が複数のタイムスロットに繰り返しマッピングしたアップリンク信号に、直交符号検出部93が検出した直交符号を乗じる。直交符号を乗じられたアップリンク信号は、アンテナ20から中継装置Rへ送信される。
【0117】
図21の(A)は、中継装置R1のカバーエリア内のアップリンク信号の例を示す。参照符号561〜564は、連続する4つのタイムスロットを示す。ダウンリンク信号S11は、タイムスロット561とこれに連続するタイムスロット562に繰り返しマッピングされる。ダウンリンク信号S12は、タイムスロット563とこれに連続するタイムスロット564に繰り返しマッピングされる。
【0118】
また、連続するタイムスロット561及び562にそれぞれマッピングされたダウンリンク信号S11には、中継装置R1の固有の直交符号の第1ビット”1”及び第2ビット”1”がそれぞれ乗じられる。同様に連続するタイムスロット563及び564にそれぞれマッピングされたダウンリンク信号S12には、直交符号の第1ビット”1”及び第2ビット”1”がそれぞれ乗じられる。
【0119】
図21の(A)に示すアップリンク信号が中継装置R1に受信されると、中継装置R1の乗算部92は、受信したアップリンク信号に中継装置Rに固有の直交符号”1、1”を乗じる。直交符号が乗じられたアップリンク信号をバッファ46及び加算器47が合成すると、本来のアップリンク信号が再生される。
【0120】
図21の(B)は、図21の(A)のアップリンク信号を中継する中継装置R1のカバーエリア外のアップリンク信号の例を示す。本来のアップリンク信号S11及びS12は、それぞれタイムスロット562及び564で送信される。タイムスロット561及び562は、中継装置R1の中継対象でない移動局装置に割り当てられている。
【0121】
図21の(C)は、中継装置R2のカバーエリア内のアップリンク信号の例を示す。参照符号571〜574は、連続する4つのタイムスロットを示す。ダウンリンク信号S21は、タイムスロット571とこれに連続するタイムスロット572に繰り返しマッピングされる。ダウンリンク信号S22は、タイムスロット573とこれに連続するタイムスロット574に繰り返しマッピングされる。
【0122】
また、連続するタイムスロット571及び572にそれぞれマッピングされたダウンリンク信号S21には、中継装置R2の固有の直交符号の第1ビット”1”及び第2ビット”−1”がそれぞれ乗じられる。その結果、タイムスロット572で伝送される信号−S21は、タイムスロット571で伝送される信号S21の符号を反転した信号となる。
【0123】
同様に連続するタイムスロット573及び574にそれぞれマッピングされたダウンリンク信号S22には、直交符号の第1ビット”1”及び第2ビット”−1”がそれぞれ乗じられる。この結果、タイムスロット574で伝送される信号−S22は、タイムスロット573で伝送される信号S22の符号を反転した信号となる。
【0124】
図21の(C)に示すアップリンク信号が中継装置R2に受信されると、中継装置R2の乗算部92は、受信したアップリンク信号に中継装置Rに固有の直交符号”1、−1”を乗じる。直交符号が乗じられたアップリンク信号をバッファ46及び加算器47が合成すると、本来のアップリンク信号が再生される。
【0125】
図21の(D)は、図21の(C)のアップリンク信号を中継する中継装置R2のカバーエリア外のアップリンク信号の例を示す。本来のアップリンク信号S21及びS22は、それぞれタイムスロット572及び574で送信される。タイムスロット571及び572は、中継装置R1の中継対象でない移動局装置に割り当てられている。
【0126】
本実施例によれば、複数の中継装置R1及びR2が無線通信システム1に設けられている場合において、これらの中継装置R1及びR2がそれぞれ送受信する無線信号同士の干渉を低減することができる。
【0127】
図18から図21を参照して行った説明では、時分割多重接続方式を使用する無線通信システムにおける実施例を例示した。しかし、周波数分割多重接続方式を使用する無線通信システムにおいても、複数の周波数帯域に繰り返しマッピングされる信号に直交符号を乗じることにより、同様に中継装置間の干渉を低減することができる。また、時分割多重接続方式と周波数分割多重接続方式を併用する無線通信システムにおいても、複数のタイムスロット及び複数の周波数帯域に繰り返しマッピングされる信号に直交符号を乗じることにより、同様に中継装置間の干渉を低減することができる。
【0128】
続いて、複数の中継装置R1及びR2がそれぞれ送受信する無線信号同士の干渉を低減する他の実施例を説明する。本実施例では、複数の中継装置R1及びR2の各カバーエリアにおいて、各中継装置R1及びR2にそれぞれ固有の位相回転を用いてインターリーブド周波数分割多元接続(IFDMA:Interleaved Frequency Division. Multiple Access)変調処理を行う。インターリーブド周波数分割多元接続変調処理によって、各中継装置R1及びR2のカバーエリア内の信号が周波数軸上で相互に重なり合わないように配置されるため、複数の中継装置間の干渉が低減される。
【0129】
図22は、図17に示す中継装置Rの第2構成例を示す図である。参照符号100は位相回転情報生成部を示し、参照符号101はIFDMA変調部を示し、参照符号102はIFDMA復調部を示す。中継装置Rは、位相回転情報生成部100と、IFDMA変調部101と、IFDMA復調部102を備える。図12に示す中継装置Rが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。
【0130】
バッファ44及びスイッチ45は、ダウンリンク信号のI、Q複素成分を複数のタイムスロット中に繰り返し発生させる。説明の簡単のため、I、Q複素成分を「シンボル」と記載することがある。位相回転情報生成部100は、複数の各タイムスロットT1、T2、T3、T4…にそれぞれ繰り返し発生するシンボルs1、s2、s3、s4…へそれぞれ乗じる位相回転量θ1、θ2、θ3、θ4…をそれぞれ生成する。
【0131】
位相回転量θ1、θ2…のステップ幅(θ2−θ1)=(θ3−θ2)=(θ4−θ3)…は、中継装置Rに応じてそれぞれ異なる固有のステップ幅が定められている。本例では、バッファ44及びスイッチ45が、同一のシンボルを4つのタイムスロットに繰り返し発生させる。このとき、中継装置R1の位相回転情報生成部100は、例えばステップ幅(π/2)で変化する位相回転量(0、π/2、π、3π/2)を生成してよい。また中継装置R2の位相回転情報生成部100は、例えばステップ幅πで変化する位相回転量(0、π、0、π)を生成してよい。
【0132】
IFDMA変調部101は、繰り返しシンボルs1、s2、s3、s4…に、位相回転量θ1、θ2、θ3、θ4…による位相回転を施すことにより、中継装置Rのカバーエリア内のダウンリンク信号にIFDMA変調処理を施す。中継装置Rに応じてそれぞれ異なる固有の位相回転量によってIFDMA変調処理を施すことにより、異なる中継装置Rの周波数スペクトルは周波数軸上で直交することになり、中継装置R間の干渉が低減される。
【0133】
後述するように、中継装置によって中継されている移動局装置MSは、アップリンク信号のシンボルs1、s2、s3、s4…を複数のタイムスロット中に繰り返し発生させる。移動局装置MSは、この移動局装置MSを中継している中継装置Rに固有の位相回転量によって、アップリンク信号にIFDMA変調処理を施す。
【0134】
中継装置RのIFDMA復調部102は、アップリンク信号に含まれる繰り返しシンボルs1、s2、s3、s4…へ、固有の位相回転量θ1、θ2、θ3、θ4…による位相回転を施すことにより、アップリンク信号にIFDMA復調処理を施す。バッファ46及び加算器47は、複数のタイムスロット中に繰り返し発生するシンボルs1、s2、s3、s4…を合成する。
【0135】
図23は、図17に示す移動局装置MSの第2構成例を示す図である。参照符号103は位相回転量検出部を示し、参照符号104はIFDMA復調部を示し、参照符号105はIFDMA変調部を示す。移動局装置MSは、位相回転量検出部103と、IFDMA復調部104と、IFDMA変調部105を備える。図13に示す移動局装置MSが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。なお実際の構成においては、アンテナ共用器21とIFDMA復調部104との間にアナログディジタル変換器が設けられ、IFDMA変調部105とアンテナ共用器21との間にディジタルアナログ変換器が設けられるが、説明の簡略のため図示及び説明を省略する。
【0136】
位相回転量検出部103は、IFDMA変調された受信信号を変調する際に使用された位相回転量θ1、θ2、θ3、θ4…を検出する。例えば、位相回転量検出部103は、中継装置Rに割り当てられることが予想される複数の位相回転量によって受信信号に含まれるシンボルにIFDMA復調を施して、所定の閾値を超える信号強度が検出されたときの位相回転量を、変調に使用された位相回転量として検出してよい。
【0137】
IFDMA復調部104は、受信信号に含まれる繰り返しシンボルs1、s2、s3、s4…へ、検出された位相回転量θ1、θ2、θ3、θ4…による位相回転を施すことにより、ダウンリンク信号にIFDMA復調処理を施す。バッファ50及び加算器51は、複数のタイムスロット中に繰り返し発生するシンボルs1、s2、s3、s4…を合成する。
【0138】
バッファ53及びスイッチ54は、アップリンク信号に含まれるシンボルを複数のタイムスロットに繰り返し発生させる。IFDMA変調部105は、複数のタイムスロットに繰り返し発生するシンボルs1、s2、s3、s4…に、位相回転量検出部103が検出した位相回転量θ1、θ2、θ3、θ4…による位相回転を施すことにより、アップリンク信号にIFDMA変調処理を施す。IFDMA変調処理が施されたアップリンク信号は、アンテナ20から中継装置Rへ送信される。
【0139】
本実施例によれば、複数の中継装置R1及びR2が無線通信システム1に設けられている場合において、これらの中継装置R1及びR2がそれぞれ送受信する無線信号同士の干渉を低減することができる。
【0140】
次に、基地局装置BSにおけるスケジューリング方法の一例について説明する。図24は、無線通信システム1における第3実施例の構成図である。図1に示す無線通信システム1が備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。本例では移動局装置MS3が中継装置Rによって中継される一方で、移動局装置MS1及び移動局装置MS2は基地局装置BSと直接通信を行っている場合を想定する。
【0141】
さらに、基地局装置BSのカバーエリアと中継装置Rのカバーエリアとが分離されていない場合を想定する。例えば、基地局装置BSから送信される無線信号も中継装置Rから送信される無線信号も移動局装置MS2に到達し、移動局装置MS2から送信される無線信号は、基地局装置BSにも移動局装置MS2にも到達する。
【0142】
本実施例では、基地局装置BSのカバーエリアと中継装置Rのカバーエリアとの間の干渉を低減する。基地局装置BSは、無線リソースのスケジューリングの際に、中継装置Rのカバーエリア内で移動局装置MS3が使用する複数の無線リソース以外の無線リソースを、中継装置Rによって中継されない移動局装置MS1及びMS2との無線通信のために割り当てる。
【0143】
図25は、図24に示す中継装置Rの構成例を示す図である。参照符号110は指示情報付加部を示す。中継装置Rは指示情報付加部110を備える。図12に示す中継装置Rが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。指示情報付加部110は、アンテナ17から送信されるダウンリンク信号に、このダウンリンク信号が中継装置Rによって中継されたことを指示する情報を付加する。中継装置Rによって中継されたことを指示するために無線信号に付加される情報を「指示情報」と表記する。
【0144】
図26は、図24に示す移動局装置MSの構成例を示す図である。参照符号111は中継判定部を示し、参照符号112は中継通知信号生成部を示す。移動局装置MSは、中継判定部111と、中継通知信号生成部112を備える。図13に示す移動局装置MSが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。なお実際の構成においては、アンテナ共用器21とバッファ50との間にアナログディジタル変換器が設けられ、スイッチ54とアンテナ共用器21との間にディジタルアナログ変換器が設けられるが、説明の簡略のため図示及び説明を省略する。
【0145】
中継判定部111は、受信したダウンリンク信号から指示情報を検出することにより、受信信号が中継装置Rにより中継されたか否かを判定する。中継判定部111は、判定の結果を示す判定結果信号を出力する。中継通知信号生成部112は、判定結果信号に従って、移動局装置MSが中継装置Rにより中継されたことを示す中継通知信号を生成する。送信処理部28は、中継通知信号を基地局装置BSへ送信する。
【0146】
図27は、図24に示す基地局装置BSの第1構成例を示す図である。参照符号36は中継通知信号検出部を示す。基地局装置BSは中継通知信号検出部36を備える。図10に示す基地局装置BSが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。中継通知信号検出部36は、移動局装置MSから送信された受信信号から中継通知信号を検出する。
【0147】
端末情報記憶部34には、中継通知信号の検出結果に基づいて、基地局装置BSに現在接続されている全ての移動局装置MSのそれぞれについて、各移動局装置MSが中継装置Rによって中継されているか否かが記憶される。スケジューラ33は、中継装置Rのカバーエリア内で移動局装置MS3が使用する複数の無線リソースと、中継装置Rによって中継されない移動局装置MS1及びMS2との無線通信のために割り当てる無線リソースとが重複しないように、無線リソースのスケジューリング処理を実行する。
【0148】
図28の(A)〜図28の(C)は、基地局装置BSにより無線リソースの割り当てがされたダウンリンク信号の第4例の説明図である。図28の(A)は、基地局装置BSから送信されるダウンリンク信号を示す。参照符号581〜588は、連続する8つのタイムスロットを示す。タイムスロット581及び585は、中継装置Rの中継対象の移動局装置MS3宛のダウンリンク信号S1及びS2に割り当てられている。また、タイムスロット583、584、587及び588は、中継装置Rの中継対象でない移動局装置に割り当てられている。
【0149】
図28の(B)は、中継装置Rのカバーエリア内のダウンリンク信号の例を示す。ダウンリンク信号S1は、タイムスロット581とこれに連続するタイムスロット582に繰り返しマッピングされる。ダウンリンク信号S2は、タイムスロット585とこれに連続するタイムスロット586に繰り返しマッピングされる。
【0150】
図28の(A)及び図28の(B)に示すように、中継装置Rのカバーエリア内でダウンリンク信号がマッピングされるタイムスロット581、582、585及び586は、中継装置Rの中継対象でない移動局装置に割り当てられない。図28の(C)に示す移動局装置MS2に到達するダウンリンク信号の例を示す。図28の(C)に示すように、移動局装置MS2には、図28の(A)の信号と図28の(B)が混合した信号が到来する。しかし、中継装置Rのカバーエリア内の信号が使用するタイムスロット581、582、585及び586と、基地局装置BSから直接到達する信号のタイムスロット583、584、587及び588とが異なるため、これらの信号間の干渉が低減される。
【0151】
図29の(A)〜図29の(C)は、基地局装置BSにより無線リソースの割り当てがされたアップリンク信号の第4例の説明図である。図29の(A)は、中継装置Rのカバーエリア内のアップリンク信号の例を示す。参照符号591〜598は、連続する8つのタイムスロットを示す。アップリンク信号S1は、タイムスロット591とこれに連続するタイムスロット592に繰り返しマッピングされる。アップリンク信号S2は、タイムスロット596とこれに連続するタイムスロット597に繰り返しマッピングされる。
【0152】
図29の(B)は、中継装置Rから送信されるアップリンク信号である。タイムスロット591及び592にて受信した信号を合成したアップリンク信号S1は、タイムスロット592において送信される。タイムスロット596及び597にて受信した信号を合成したアップリンク信号S1は、タイムスロット597において送信される。
【0153】
図29の(C)は、基地局装置BSにて受信されるアップリンク信号である。基地局装置BSには、中継装置Rのカバーエリア内のアップリンク信号(図29の(A))と、中継装置Rの中継対象外の移動局装置から送信されるアップリンク信号とが混合した信号が到来する。中継装置Rの中継対象外の移動局装置には、タイムスロット591、594、595及び598が割り当てられている。
【0154】
しかし、中継装置Rのカバーエリア内の信号が使用するタイムスロット592、593、596及び597は、中継装置Rの中継対象外の移動局装置から基地局装置BSへ直接到達する信号のタイムスロット591、594、595及び598と異なる。このため、中継装置Rのカバーエリア内の信号と、中継装置Rの中継対象外の移動局装置から基地局装置BSへ直接到達する信号との間の干渉が低減される。
【0155】
本実施例によれば、基地局装置BSのカバーエリアと中継装置Rのカバーエリアとが分離されていない場合に、基地局装置BSのカバーエリアと中継装置Rのカバーエリアとの間の干渉が低減される。
【0156】
続いて、図25に示す指示情報付加部110の実施例について説明する。指示情報付加部110は、例えば、中継対象信号に所定のパターンを多重化することによって、指示情報を中継対象信号に付加してよい。指示情報付加部110は、例えば、中継対象信号の主信号に与える影響が少ない周波数帯域に所定のパターンを多重化してよい。また指示情報付加部110は、例えば、所定のパターンをコード拡散して多重化してもよい。このとき、図26に示す中継判定部111は、受信信号に付加された所定のパターンを検出することにより、指示情報を検出する。
【0157】
また、指示情報付加部110は、中継対象信号の周波数の符号を反転することにより、すなわち、受信信号のスペクトラムを反転することにより、中継対象信号に指示情報を付加してよい。図30は、指示情報付加部110の構成例を示す図である。参照符号41は、図25に示す高出力アンプを示し、参照符号120及び123は局部発振器を示し、参照符号121及び124は乗算器を示し、参照符号122及び125は帯域通過フィルタを示す。
【0158】
中継装置Rが受信した中継対象信号の搬送波の周波数を「fc」と表記する。指示情報付加部110は、中継対象信号の搬送波の周波数fcと同じ高さの符号が異なる周波数成分「−fc」を含んだ信号へ中継対象信号を変換する周波数変換部と、周波数変換部の出力信号から周波数fcの周波数成分を取り出す帯域制限フィルタを備えてよい。図30に示す構成例では、指示情報付加部110は、局部発振器120及び乗算器121を含む第1のミクサと、局部発振器123及び乗算器124を含む第2のミクサを周波数変換部として含む。なお、図30に示す構成は、周波数変換部の構成の例示であり、指示情報付加部110の態様を、以下の説明の態様に限定することを意図するものではない。周波数変換部は様々な構成によって実現することが可能である。
【0159】
高出力増幅部41により増幅する中間周波数信号の周波数を「fi」と表記する。局部発振器120は、周波数「fc+fi」の局発信号を発生させる。乗算器121は、局部発振器120から出力される局発信号を、周波数fcの受信信号に乗算することにより、周波数「−fi」の成分及び周波数「2fc+fi」の成分を含む信号へ、中継対象信号を変換する。
【0160】
帯域通過フィルタ122の通過周波数帯域は中間周波数「fi」であり、帯域通過フィルタ122は、乗算器121の出力信号から周波数「−fi」の中間周波数信号を取り出す。高出力増幅部41は、中間周波数信号を増幅し乗算器124へ入力する。
【0161】
局部発振器123は、周波数「fc−fi」の局発信号を発生させる。乗算器124は、局部発振器123から出力される局発信号を、周波数「−fi」の中間周波数信号に乗算することにより、周波数「−fc」の成分及び周波数「fc−2fi」の成分を含む信号へ、中間周波数信号を変換する。
【0162】
帯域通過フィルタ125の通過周波数帯域は搬送波の周波数「fc」であり、帯域通過フィルタ125は、乗算器124の出力信号から、周波数「−fc」の搬送波信号を取り出す。このようにして指示情報付加部110は、受信信号の周波数の符号を反転する。
【0163】
図31は、中継判定部111の第1構成例を示す図である。中継判定部111は、図30に示す指示情報付加部110によって受信信号の周波数の符号が反転されたか否かを判定することにより、受信信号が中継装置Rにより中継されたか否かを判定する。参照符号130は直交検波部を示し、参照符号131及び132はパターン検出部を示し、参照符号133は符号判定部を示し、参照符号134は回転方向訂正部を示す。中継判定部111は、直交検波部130と、パターン検出部131及び132と、符号判定部133と、回転方向訂正部134を備える。
【0164】
直交検波部130は、受信信号に直交検波処理を施し、同相成分信号(I成分信号)及び直交成分信号(Q成分信号)を生成する。パターン検出部131は、受信信号に含まれていることが既知である所定パターンと、直交検波部130から出力される同相成分信号及び直交成分信号に対応する信号点のシンボルのパターンとの間の相関を算出する。パターン検出部131は、例えば、このような既知のパターンとしてパイロット信号やリファレンス信号を使用してよい。
【0165】
一方でパターン検出部132は、直交検波部130が出力した同相成分信号及び直交成分信号の位相の回転方向を反転させた信号に対応するシンボルのパターンと、上記の所定パターンとの間の相関を算出する。
【0166】
符号判定部133は、パターン検出部131及び132により算出される相関に基づいて、無線通信装置Xにより受信された受信信号の搬送波の周波数の符号が反転しているか否か、すなわち、受信信号が中継装置によって中継されたか否かを判定する。
【0167】
パターン検出部131により計算された相関が、パターン検出部132により計算された相関よりも高いとき、符号判定部133は、受信信号の搬送波の周波数の符号が反転していないと判定する。パターン検出部131により計算された相関が、パターン検出部132により計算された相関よりも低いとき、符号判定部53は、受信信号の搬送波の周波数の符号が反転していると判定する。符号判定部133は、受信信号が中継装置によって中継されたか否かを示す判定結果信号を出力する。
【0168】
回転方向訂正部134は、符号判定部133による判定結果に従って、直交検波部130が出力した同相成分信号及び直交成分信号の位相の回転方向を訂正する。受信信号の搬送波の周波数の符号が反転していないとき、回転方向訂正部134は、直交検波部130が出力した同相成分信号及び直交成分信号を、そのまま後段の受信処理部26へ出力する。
【0169】
受信信号の搬送波の周波数の符号が反転しているとき、回転方向訂正部134は、直交検波部130が出力した同相成分信号及び直交成分信号の位相の回転方向を反転させて、後段の受信処理部26へ出力する。回転方向訂正部134は、例えば、入力した同相成分信号及び直交成分信号の同相成分と直交成分とを入れ替えることにより、同相成分信号及び直交成分信号の位相の回転方向を反転させてよい。また回転方向訂正部134は、例えば入力した同相成分信号及び直交成分信号のいずれか一方の値を反転させることにより、同相成分信号及び直交成分信号の位相の回転方向を反転させてよい。
【0170】
本実施例によれば、中継対象信号の搬送波の周波数の符号を反転させるか否かによって、中継装置によって中継されたことを指示する情報を、中継対象の信号に付加することが可能となる。搬送波の周波数の符号を反転しても無線信号の無線リソースは消費されない。
【0171】
図25〜図27を参照して説明した構成例では、中継装置Rの指示情報付加部110は、ダウンリンク信号に指示情報を付加した。これに代えて、中継装置Rの指示情報付加部110は、アップリンク信号に指示情報を付加してもよい。基地局装置BSは、各移動局装置MSから送信されるアップリンク信号に指示情報が付加されるか否かに応じて、各移動局装置MSが中継装置Rによって中継されるか否かを判定してもよい。
【0172】
図32は、図24に示す基地局装置BSの第2構成例を示す図である。参照符号37は中継判定部37を示す。基地局装置BSは中継判定部37を備える。図10に示す基地局装置BSが備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。中継判定部37は、移動局装置MSから受信したアップリンク信号から指示情報を検出することにより、各移動局装置MSが中継装置Rによって中継されているか否かが記憶される。中継判定部37の構成は、上述した中継判定部111と同様の構成であってよい。
【0173】
中継判定部37による判定結果は、端末情報記憶部34に記憶される。スケジューラ33は、中継装置Rのカバーエリア内で移動局装置MS3が使用する複数の無線リソースと、中継装置Rによって中継されない移動局装置MS1及びMS2との無線通信のために割り当てる無線リソースとが重複しないように、無線リソースのスケジューリング処理を実行する。
【0174】
本実施例によれば、アップリンク信号に指示情報を付加することにより、基地局装置BSにおいて各移動局装置MSが中継装置Rによって中継されているか否かを判定することが可能になる。基地局装置BSは、この判定結果に基づいて、基地局装置BSのカバーエリアと中継装置Rのカバーエリアとの間の干渉が低減されるように、各移動局装置MSへの無線リソースの割り当てを決定することができる。
【0175】
なお、図24から図32を参照して行った説明では、時分割多重接続方式を使用する無線通信システムにおける実施例を例示した。しかし、周波数分割多重接続方式を使用する無線通信システムにおいても、同様の手法によって、中継装置のカバーエリア内で使用される複数の無線リソース以外の無線リソースを、中継装置によって中継されない移動局装置の無線通信のために割り当ててよい。
【0176】
続いて、図26に示す構成を有する移動局装置MSにおいて、受信信号が中継装置Rにより中継されたか否かを判定する他の実施例を説明する。図33は、中継判定部111の第2構成例を示す図である。中継判定部111は、複数の無線リソース上で伝送された信号同士の相関を算出する。中継判定部111は、複数のタイムスロットで伝送された信号同士の相関を算出してもよいし、複数の周波数帯域上で伝送された信号同士の相関を検出してもよい。
【0177】
中継装置Rが、中継装置Rのカバーエリア内で複数の無線リソース上において同一の信号を繰り返し送信されているとき、繰り返して送信される信号同士の相関を計算すると相関値は大きくなる。例えば中継判定部111は、複数の無線リソース上において繰り返し送信されるパイロット信号同士の相関を算出してよい。算出された相関が所定の閾値以上の場合には、受信信号が中継装置Rにより中継されたと判定する。算出された相関が所定の閾値よりも小さい場合には、受信信号が基地局装置BSから直接到達したと判定する。
【0178】
参照符号140はバッファを示し、参照符号141は相関検出部を示し、参照符号142は比較部を示す。中継判定部111は、バッファ140と、相関検出部141と、比較部142を備える。
【0179】
バッファ140は、あるタイムスロットにて送信されるパイロット信号を記憶する。相関検出部141は、他のタイムスロットにて送信されるパイロット信号と、バッファ140に記憶されたパイロット信号との相関を算出する。比較部142は、算出された相関値が所定の閾値以上であるか否かに応じて、受信信号が中継装置Rにより中継されたか否かを判定する。比較部142は、判定の結果を示す判定結果信号を出力する。
【0180】
図33に示す構成は、時分割多元接続方式を採用する通信システムにおいて使用される実施例である。周波数分割多元接続方式を採用する通信システムにおいては、相関検出部141は、異なる周波数帯域上で送信されるパイロット信号同士の相関を検出してよい。
【0181】
本実施例によっても、移動局装置MSにおいて受信信号が中継装置によって中継されたか否かを判定することができる。
【0182】
次に、移動局装置MSが、基地局装置BSのカバーエリアから中継装置Rのカバーエリアへ移動する場合、移動局装置MSが、中継装置Rのカバーエリアから基地局装置BSのカバーエリアへ移動する場合における、基地局装置BSの動作について説明する。
【0183】
図34は、無線通信システムにおける第4実施例の構成図である。図1に示す無線通信システム1が備える構成要素と同様の構成要素には、同じ参照符号を付する。また、基地局装置BSの構成は、図27又は図32に示す構成と同様であってよい。いま、移動局装置MS1が、基地局装置BSのカバーエリアから中継装置Rのカバーエリアへ移動する場合、又は移動局装置MS1が、中継装置Rのカバーエリアから基地局装置BSのカバーエリアへ移動する場合を想定する。
【0184】
図35は、図34に示す基地局装置BSによるスケジューリング処理の説明図である。別な実施の態様においては、下記のオペレーションCA〜CFの各オペレーションはステップであってもよい。
【0185】
オペレーションCAにおいて基地局装置BSの中継通知信号検出部36又は中継判定部37は、移動局装置MS1が中継装置Rによって中継されているか否かを判定する。移動局装置MS1が中継装置Rによって中継されているか否かの判定は、図24から図33を参照して説明した方法と同様に行ってよい。移動局装置MS1が中継装置Rによって中継されている場合(オペレーションCA:Y)、処理はオペレーションCBへ移行する。移動局装置MS1が中継装置Rによって中継されていない場合(オペレーションCA:N)、処理はオペレーションCEへ移行する。
【0186】
オペレーションCBにおいてスケジューラ33は、基地局装置BSと移動局装置MS1との間の無線通信に使用する無線リソースを決定する。オペレーションCCにおいてスケジューラ33は、中継装置Rのカバーエリア内において移動局装置MS1へ送信又は移動局装置MS1から受信される中継対象信号が繰り返しマッピングされる複数の無線リソースを決定する。
【0187】
オペレーションCDにおいて無線通信部32は、オペレーションCBで定めた無線リソースを指定するスケジューリング情報と、オペレーションCCで決定した無線リソースを指定する無線リソース情報を、移動局装置MS1及び中継装置Rへ送信する。なお、オペレーションCBで決定される無線リソースと、オペレーションCCにおいて決定される無線リソースとの関係が予め定められている場合には、オペレーションCBで定めた無線リソースに関するスケジューリング情報は送信されなくともよい。オペレーションCDの後、処理は終了する。
【0188】
オペレーションCEにおいてスケジューラ33は、基地局装置BSと移動局装置MS1との間の無線通信に使用する無線リソースを決定する。例えばスケジューラ33は、中継装置Rによって中継される他の移動局装置が中継装置Rのカバーエリア内で使用する無線リソースと異なる無線リソースを移動局装置MS1に割り当ててよい。
【0189】
オペレーションCFにおいて無線通信部32は、オペレーションCEで定めた無線リソースを指定するスケジューリング情報を移動局装置MS1に送信する。
【0190】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0191】
(付記1)
予め設定された複数の無線リソースに同一の第1中継対象信号が繰り返しマッピングされた無線信号を受信し、
繰り返しマッピングされた同一の前記第1中継対象信号同士を合成し、
合成された前記第1中継対象信号を送信する無線信号の中継方法。
【0192】
(付記2)
前記複数の無線リソースのうち、前記合成された第1中継対象信号が送信される無線リソース以外の無線リソースによる信号出力を停止する付記1に記載の中継方法。
【0193】
(付記3)
第2中継対象信号である無線信号を受信し、
予め設定された複数の無線リソースへ同一の前記第2中継対象信号を繰り返しマッピングし、
複数の無線リソースへマッピングされた前記第2中継対象信号を送信する付記1又は2に記載の中継方法。
【0194】
(付記4)
無線信号を受信する第1受信部と、
前記第1受信部にて受信した、予め設定された複数の無線リソースに繰り返しマッピングされた同一の第1中継対象信号同士を合成する合成部と、
合成された前記第1中継対象信号を送信する第1送信部と、
を備える中継装置。
【0195】
(付記5)
前記複数の無線リソースのうち、前記合成された第1中継対象信号が送信される無線リソース以外の無線リソースによる前記第1送信部からの信号出力を停止する停止部を備える付記4に記載の中継装置。
【0196】
(付記6)
第2中継対象信号である無線信号を受信する第2受信部と、
予め設定された複数の無線リソースへ同一の前記第2中継対象信号を繰り返しマッピングする第1マッピング部と、
複数の無線リソースへマッピングされた前記第2中継対象信号を送信する第2送信部と、
を備える付記4又は5に記載の中継装置。
【0197】
(付記7)
前記複数の無線リソースにマッピングされた無線信号のそれぞれに対して、前記中継装置に固有の直交符号の各ビットをそれぞれ乗じることにより、前記第1中継対象信号を検出する中継対象信号検出部を備える付記4又は5に記載の中継装置。
【0198】
(付記8)
前記複数の無線リソースへ繰り返しマッピングされる前記第2中継対象信号のそれぞれに対して、前記中継装置に固有の直交符号の各ビットをそれぞれ乗じる直交符号乗算部を備える付記6に記載の中継装置。
【0199】
(付記9)
同一の前記第1中継対象信号が繰り返しマッピングされる前記複数の無線リソースは、複数のタイムスロットであり、
前記中継装置は、前記複数のタイムスロットにマッピングされた無線信号のそれぞれに対して前記中継装置に固有の位相回転を乗算する、インターリーブド周波数分割多元接続(IFDMA)復調処理を行うことにより、前記第1中継対象信号を検出するインターリーブド周波数分割多元接続復調部を備える付記4又は5に記載の中継装置。
【0200】
(付記10)
前記第1マッピング部は、前記複数の無線リソースとしての複数のタイムスロットへ同一の前記第2中継対象信号を繰り返しマッピングし、
前記中継装置は、前記複数のタイムスロットに繰り返してマッピングされる前記第2中継対象信号のそれぞれに対して前記中継装置に固有の位相回転を乗算する、インターリーブド周波数分割多元接続変調処理を行うインターリーブド周波数分割多元接続変調部を備える付記6に記載の中継装置。
【0201】
(付記11)
前記第1送信部及び前記第2送信部の少なくともいずれかから送信される無線信号の周波数の符号を反転する反転部を備える付記6〜10のいずれか一項に記載の中継装置。
【0202】
(付記12)
付記4又は5に記載の中継装置によって送信信号が中継される無線通信装置であって、
予め設定された複数の無線リソースへ同一の送信信号を繰り返しマッピングする第2マッピング部と、
複数の無線リソースへマッピングされた前記送信信号を送信する第3送信部と、を備える無線通信装置。
【0203】
(付記13)
付記6に記載の中継装置によって中継された無線信号を受信する無線通信装置であって、
無線信号を受信する第3受信部と、
前記第3受信部にて受信した、予め設定された複数の無線リソースに繰り返しマッピングされた同一の前記第2中継対象信号同士を合成する合成部と、
を備える無線通信装置。
【0204】
(付記14)
付記13に記載の無線通信装置としての移動局装置であって、
前記第3受信部により受信された無線信号が前記中継装置によって中継されたか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を前記移動局装置が接続する基地局装置へ通知する判定結果通知部と、
を備える移動局装置。
【0205】
(付記15)
付記4〜11のいずれか一項に記載の中継装置によって、移動局装置との間の無線通信が中継される基地局装置であって、
前記移動局装置と前記基地局装置との間で送信される無線信号がマッピングされる無線リソースの割り当てと、前記中継装置と前記移動局装置との間で送信される無線信号が繰り返しマッピングされる前記複数の無線リソースの割り当てと、を決定するスケジューラと、
決定された前記複数の無線リソースの割り当てを前記中継装置と前記移動局装置とに通知する無線リソース通知部と、を備え、
前記スケジューラは、同一の前記第1中継対象信号又は同一の前記第2中継対象信号が繰り返し割り当てられる前記複数の無線リソースが時間的に又は周波数空間上において連続するように、同一の前記中継装置によってそれぞれ中継される複数の移動局装置へ割り当てる無線リソースを決定する、基地局装置。
【0206】
(付記16)
付記4〜11のいずれか一項に記載の中継装置によって、移動局装置との間の無線通信が中継される基地局装置であって、
前記移動局装置と前記基地局装置との間で送信される無線信号がマッピングされる無線リソースの割り当てと、前記中継装置と前記移動局装置との間で送信される無線信号が繰り返しマッピングされる前記複数の無線リソースの割り当てと、を決定するスケジューラと、
前記移動局装置と前記基地局装置との間で送信される無線信号が前記中継装置によって中継されるか否かを判定する判定部と、
決定された前記複数の無線リソースの割り当てを前記中継装置と前記移動局装置とに通知する無線リソース通知部と、を備え、
前記スケジューラは、前記中継装置によって中継されない移動局装置との間の無線通信のために、前記複数の無線リソース以外の無線リソースを割り当てる基地局装置。
【0207】
(付記17)
付記4〜10のいずれか一項に記載の中継装置によって、移動局装置との間の無線通信が中継される基地局装置であって、
前記移動局装置と前記基地局装置との間で送信される無線信号が前記中継装置によって中継されるか否かを判定する第1判定部を備える基地局装置。
【0208】
(付記18)
前記中継装置は、前記第1送信部から前記基地局装置へ送信される無線信号の周波数の符号を反転する反転部を備え、
前記第1判定部は、受信した無線信号の周波数の符号の向きに応じて、前記移動局装置から送信された無線信号が前記中継装置によって中継されたか否かを判定する付記17に記載の基地局装置。
【0209】
(付記19)
前記移動局装置は、受信信号が前記中継装置によって中継されたか否かを判定する第2判定部と、前記第2判定部による判定結果を前記基地局装置へ通知する判定結果通知部と、を備え、
前記中継装置は、前記第2送信部から前記移動局装置へ送信される無線信号の周波数の符号を反転する反転部を備え、
前記第2判定部は、受信信号の周波数の符号の向きに応じて、前記基地局装置から送信された無線信号が前記中継装置によって中継されたか否かを判定し、
前記第1判定部は、前記移動局装置から通知された前記判定結果に応じて、前記移動局装置と前記基地局装置との間で送信される無線信号が前記中継装置によって中継されるか否かを判定する付記17に記載の基地局装置。
【0210】
(付記20)
前記移動局装置は、受信信号が前記中継装置によって中継されたか否かを判定する第2判定部と、前記第2判定部による判定結果を前記基地局装置へ通知する判定結果通知部と、を備え、
前記第2判定部は、受信信号の複数の無線リソースに繰り返しマッピングされた信号同士の相関の大きさに応じて、前記基地局装置から送信された無線信号が前記中継装置によって中継されたか否かを判定し、
前記第1判定部は、前記移動局装置から通知された前記判定結果に応じて、前記移動局装置と前記基地局装置との間で送信される無線信号が前記中継装置によって中継されるか否かを判定する付記17に記載の基地局装置。
【符号の説明】
【0211】
1 無線通信システム
10、17 アンテナ
11、16 アンテナ共用器
12 無線リソース情報受信部
13 無線リソース情報記憶部
14 同期検出部
15 マッピング部
18 合成部
BS 基地局装置
MS1〜MS3 移動局装置
R 中継装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された複数の無線リソースに同一の第1中継対象信号が繰り返しマッピングされた無線信号を受信し、
繰り返しマッピングされた同一の前記第1中継対象信号同士を合成し、
合成された前記第1中継対象信号を送信する無線信号の中継方法。
【請求項2】
無線信号を受信する第1受信部と、
前記第1受信部にて受信した、予め設定された複数の無線リソースに繰り返しマッピングされた同一の第1中継対象信号同士を合成する合成部と、
合成された前記第1中継対象信号を送信する第1送信部と、
を備える中継装置。
【請求項3】
前記複数の無線リソースのうち、前記合成された第1中継対象信号が送信される無線リソース以外の無線リソースによる前記第1送信部からの信号出力を停止する停止部を備える請求項2に記載の中継装置。
【請求項4】
第2中継対象信号である無線信号を受信する第2受信部と、
予め設定された複数の無線リソースへ同一の前記第2中継対象信号を繰り返しマッピングする第1マッピング部と、
複数の無線リソースへマッピングされた前記第2中継対象信号を送信する第2送信部と、
を備える請求項2又は3に記載の中継装置。
【請求項5】
前記第1送信部及び前記第2送信部の少なくともいずれかから送信される無線信号の周波数の符号を反転する反転部を備える請求項4に記載の中継装置。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の中継装置によって送信信号が中継される無線通信装置であって、
予め設定された複数の無線リソースへ同一の送信信号を繰り返しマッピングする第2マッピング部と、
複数の無線リソースへマッピングされた前記送信信号を送信する第3送信部と、を備える無線通信装置。
【請求項7】
請求項4に記載の中継装置によって中継された無線信号を受信する無線通信装置であって、
無線信号を受信する第3受信部と、
前記第3受信部にて受信した、予め設定された複数の無線リソースに繰り返しマッピングされた同一の前記第2中継対象信号同士を合成する合成部と、
を備える無線通信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の無線通信装置としての移動局装置であって、
前記第3受信部により受信された無線信号が前記中継装置によって中継されたか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を前記移動局装置が接続する基地局装置へ通知する判定結果通知部と、
を備える移動局装置。
【請求項9】
請求項2〜5のいずれか一項に記載の中継装置によって、移動局装置との間の無線通信が中継される基地局装置であって、
前記移動局装置と前記基地局装置との間で送信される無線信号がマッピングされる無線リソースの割り当てと、前記中継装置と前記移動局装置との間で送信される無線信号が繰り返しマッピングされる前記複数の無線リソースの割り当てと、を決定するスケジューラと、
前記移動局装置と前記基地局装置との間で送信される無線信号が前記中継装置によって中継されるか否かを判定する判定部と、
決定された前記複数の無線リソースの割り当てを前記中継装置と前記移動局装置とに通知する無線リソース通知部と、を備え、
前記スケジューラは、前記中継装置によって中継されない移動局装置との間の無線通信のために、前記複数の無線リソース以外の無線リソースを割り当てる基地局装置。
【請求項10】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の中継装置によって、移動局装置との間の無線通信が中継される基地局装置であって、
前記移動局装置と前記基地局装置との間で送信される無線信号が前記中継装置によって中継されるか否かを判定する第1判定部を備える基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−55213(P2011−55213A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201737(P2009−201737)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】