説明

中継装置及び遊技場システム

【課題】 差分時間を含む遊技情報のデータ量を削減可能にして、その遊技情報を記憶する記憶手段の容量を削減する。
【解決手段】 遊技機10等の遊技用装置から出力された遊技情報信号を受信して上流装置へ中継する中継装置40であって、遊技情報信号の出力時刻を計測する出力時刻計測手段45と、計時手段44が計測する時間軸上で、出力時刻とは異なる時刻を基準時刻として設定する基準時刻設定手段48と、基準時刻と出力時刻との時間的差分を出力時刻毎の相対時間として算出する相対時間算出手段49とを有し、相対時間算出手段49は、複数種類の遊技情報信号について一の基準時刻に対する相対時間をそれぞれ算出し、送信手段41は、相対時間と一の基準時刻と遊技情報信号の種類とを関連付けて、上流装置へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場に設置される遊技機などの遊技用装置から出力された遊技情報信号を他の装置に中継する中継装置、及び、これら遊技用装置と中継装置とを少なくとも備えた遊技場システムに関し、特に、中継される遊技情報を圧縮して、遊技情報信号の容量を削減する中継装置及び遊技場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンやパチンコ機に代表される遊技機は、遊技の進行にともなって、所定の遊技情報信号を出力する。この遊技情報信号には、例えば、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体が払い出された数量を示すセーフ信号などがある。また、遊技機の裏側などに備えられたアウトメータは、遊技機に投入された遊技媒体の数量をカウントし、この数量を示すアウト信号を遊技情報信号として出力している。
これら遊技情報信号は、遊技機やアウトメータなどの遊技用装置から出力されると、台コンピュータや島コンピュータなどの中継装置を介して、ホールコンピュータへ送信される。ホールコンピュータは、受信した遊技情報信号にもとづいて、遊技に関する様々なデータを算出し、集計管理している。
【0003】
ところで、その遊技情報信号を中継する台コンピュータでは、受信した遊技情報信号にもとづいて所定の遊技情報を算出して記憶するとともに、その遊技情報信号を島コンピュータに送信している。
この台コンピュータが遊技情報信号に対して行う処理については、従来から種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、前回出力された遊技情報信号a1と異なる種類の遊技情報信号b1が遊技機から出力されると、この遊技情報信号b1以外の種類の遊技情報信号a2の出力を監視し、この遊技情報信号a2が出力されると、当該遊技情報信号a2と前述の遊技情報信号b1との差分時間を特定し、この差分時間において遊技情報信号b1と同じ種類の遊技情報信号が出力された回数を特定し、これら特定した差分時間と特定した回数とを対応付けた信号情報を記憶手段に累積して記憶させるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
この技術によれば、遊技機等から出力された遊技情報信号のそれぞれの出力時間をそのまま記憶するのではなく、同じ種類の遊技情報信号が続けて出力された場合に、これら遊技情報信号の出力時間を差分時間や出力回数というデータ量の少ない情報に変換して記憶することとしたので、遊技情報信号に関する情報を記憶するための記憶手段の記憶容量を減らすことができる。
【0005】
また、パルス信号を検出した時刻に関する検出時刻情報を含むパルス履歴情報を記憶するとともに、そのパルス信号の高レベル状態又は低レベル状態の継続時間にもとづいて、当該パルス信号が正常パルスか異常パルスかを判定するものがある(例えば、特許文献2参照。)。
これによれば、遊技機等の誤作動の原因となるノイズを異常パルスとして検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−118233号公報
【特許文献2】特開2006−271703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1、2に記載の技術においては、次のような問題があった。
例えば、特許文献1に記載の技術は、差分時間や出力回数を履歴として管理しているが、最初に出力された遊技情報信号と最後に出力された遊技情報信号については、履歴から漏れてしまっていた。このため、その履歴からは、遊技情報を正確に算出できないという問題があった。
【0008】
また、遊技情報信号b1が出力されてから遊技情報信号a2が出力されるまでの時間が非常に長い場合、これら遊技情報信号b1と遊技情報信号a2との差分時間を示す数値が非常に大きくなり、その分、データ量も多くなっていた。具体的には、例えば、その差分時間が256ms以上の場合には、差分時間に割り当てられる記憶手段の容量を2byte以上にする必要がある。また、その差分時間が65536ms(1分5秒536ms)以上の場合には、差分時間に割り当てられる記憶手段の容量を3byte以上にする必要がある。つまり、特許文献1に記載の技術は、差分時間のデータ量を削減できないという問題があった。
【0009】
さらに、特許文献2に記載の技術は、検出したパルス信号の一つ一つについて、パルス履歴情報を生成し、これらをそのまま記憶手段に記憶していた。このため、その記憶手段においては、膨大な記憶容量が必要となっていた。
【0010】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、最初に出力された遊技情報信号や最後に出力された遊技情報信号についても履歴に反映させて遊技情報を正確に算出可能とするとともに、遊技情報のデータ量だけでなく差分時間のデータ量も削減可能にして、その遊技情報を記憶する記憶手段の容量を削減する中継装置及び遊技場システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、本発明の中継装置は、遊技場に設けられた遊技用装置に接続されるとともに、遊技の進行にともなって遊技用装置から出力された信号を遊技情報信号として受信して上流装置へ中継する中継装置であって、遊技情報信号を受信する受信手段と、所定の時刻を基点として時間を計測する計時手段と、この計時手段が計測する時間軸上で、遊技情報信号が遊技用装置から出力された時刻を計測し、この計測により得られた時刻を表す数値を出力時刻とする出力時刻計測手段と、計時手段が計測する時間軸上で、出力時刻とは異なる時刻を基準時刻として設定する基準時刻設定手段と、設定された基準時刻と出力時刻との時間的差分を出力時刻毎の相対時間として算出する相対時間算出手段と、基準時刻、この基準時刻との時間的差分が算出された遊技情報信号の種類、及び算出された相対時間をそれぞれ関連付けて記憶する記憶手段と、少なくとも、遊技情報信号の種類と、この遊技情報信号の種類に関連付けられた相対時間とを上流装置に送信する送信手段と、を有し、遊技情報信号は、少なくともアウト信号とセーフ信号を含む複数種類の遊技情報信号からなり、相対時間算出手段は、複数種類の遊技情報信号について一の基準時刻に対する相対時間をそれぞれ算出し、上流装置が相対時間を出力時刻に変換する際に基準時刻設定手段が設定した基準時刻を使用する場合、送信手段は、相対時間算出手段で複数種類の遊技情報信号について一の基準時刻に対して算出された相対時間と、一の基準時刻と、遊技情報信号の種類とを関連付けて、上流装置へ送信する構成としてある。
【0012】
また、本発明の遊技場システムは、遊技場に設けられた遊技用装置と、遊技の進行にともなって遊技用装置から出力された遊技情報信号を受信して上流装置へ中継する中継装置とを備えた遊技場システムであって、中継装置は、前述の中継装置である構成としてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の中継装置及び遊技場システムによれば、中継装置から上流装置へ送信される遊技情報を圧縮することで、その遊技情報のデータ量を減らすことができ、その遊技情報を記憶する記憶手段の容量を削減できる。
また、遊技情報信号が出力された時刻以外の時刻が基準時刻とされるため、最初に出力された遊技情報信号や最後に出力された遊技情報信号についても相対時間を算出できる。よって、すべての遊技情報信号を履歴に反映させることができるので、遊技情報を正確に算出できる。
さらに、遊技情報信号の出力時刻を相対時間に変換する際に用いられる基準時刻について、一の基準時刻を設定した時刻から所定時間が経過する前に次の基準時刻を設定するようにし、これら基準時刻が設定されるたびに、記憶手段に記憶されている出力時刻を相対時間に変換するようにしたので、相対時間のデータ量を一定量以下に抑えることができ、この相対時間を記憶する記憶手段の容量を削減できる。
【0014】
しかも、相対時間算出手段が、複数種類の遊技情報信号について一の基準時刻に対する相対時間をそれぞれ算出し、上流装置が相対時間を出力時刻に変換する際に基準時刻設定手段が設定した基準時刻を使用する場合、送信手段が、相対時間算出手段で複数種類の遊技情報信号について一の基準時刻に対して算出された相対時間と、一の基準時刻と、遊技情報信号の種類とを関連付けて、上流装置へ送信することとしたので、上流装置は、中継装置で相対時間の算出に使用された基準時刻を受信し、この受信した基準時刻を用いてその相対時間を解凍することができる。よって、上流装置は、遊技情報信号の出力時刻を正確に算出でき、その遊技情報信号の波形を正確に再現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態における遊技場システムの構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態における遊技場システムの構成を示すブロック図である。
【図3】遊技情報信号の出力時刻と相対時間を説明するためのタイムチャートであって、(i)及び(ii)は、出力時刻を説明するためのタイムチャート、(iii)は、相対時間を説明するためのタイムチャートである。
【図4】計数信号にもとづく検知情報を圧縮する処理について説明するための図であって、(i)は、計数信号の出力タイミングを示すタイムチャート、(ii)は、計数信号にもとづき作成された検知情報の履歴を示す図表、(iii)は、相対時間変換処理を行った後の履歴を示す図表、(iv)は、統合処理を行った後の履歴を示す図表である。
【図5】計数信号とアウト信号にもとづく検知情報を圧縮する処理について説明するための図であって、(i)は、計数信号とアウト信号のそれぞれの出力タイミングを示すタイムチャート、(ii)は、計数信号及びアウト信号にもとづき作成された検知情報の履歴を示す図表、(iii)は、相対時間変換処理を行った後の履歴を示す図表、(iv)は、統合処理を行った後の履歴を示す図表である。
【図6】セーフ信号にもとづく検知情報を圧縮する処理について説明するための図であって、(i)は、セーフ信号の出力タイミングを示すタイムチャート、(ii)は、セーフ信号にもとづき作成された検知情報の履歴を示す図表、(iii)は、相対時間変換処理を行った後の履歴を示す図表である。
【図7】セーフ信号とアウト信号にもとづく検知情報を圧縮する処理について説明するための図であって、(i)は、セーフ信号とアウト信号のそれぞれの出力タイミングを示すタイムチャート、(ii)は、セーフ信号及びアウト信号にもとづき作成された検知情報の履歴を示す図表、(iii)は、相対時間変換処理を行った後の履歴を示す図表である。
【図8】アウト信号とセーフ信号と計数信号のそれぞれの出力タイミングを示すタイムチャートである。
【図9】図8に示された各種遊技情報信号にもとづく検知情報の履歴を示す図表である。
【図10】基準時刻が出力時刻より以前の場合において、計数信号にもとづく検知情報を圧縮する処理について説明するための図であって、(i)は、計数信号の出力タイミングを示すタイムチャート、(ii)は、計数信号にもとづき作成された検知情報の履歴を示す図表、(iii)は、相対時間変換処理を行った後の履歴を示す図表、(iv)は、統合処理を行った後の履歴を示す図表である。
【図11】計数信号とアウト信号とセーフ信号と図柄確定信号のそれぞれの出力タイミングを示すタイムチャートである。
【図12】図11に示した各種遊技情報信号に関し、出力時刻より以前の時刻を示す基準時刻を用いて相対時間を算出したときの履歴を示す図表であって、(i)は、データ送信時刻500msで送信される履歴を示す図表、(ii)は、データ送信時刻900msで送信される履歴を示す図表ある。
【図13】図11に示した各種遊技情報信号に関し、出力時刻よりも後の時刻を示す基準時刻を用いて相対時間を算出したときの履歴を示す図表であって、(i)は、データ送信時刻500msで送信される履歴を示す図表、(ii)は、データ送信時刻900msで送信される履歴を示す図表ある。
【図14】本発明の実施形態における台コンピュータの動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施形態における島コンピュータの動作を示すフローチャートである。
【図16】島コンピュータで作成された解凍処理後の履歴を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る中継装置及び遊技場システムの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
[遊技場システム]
まず、本発明の遊技場システムの実施形態について、図1、図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態の遊技場システムの構成を示す概略図、図2は、本実施形態の遊技場システムの構成を示すブロック図である。
【0018】
図1、図2に示すように、遊技場システム1は、スロットマシンやパチンコ機などに代表される遊技機10と、遊技機10ごとに備えられたアウトメータ20、各台計数機30、台コンピュータ40と、遊技機10の設置される遊技機島単位に設けられた島コンピュータ60と、島コンピュータ60に接続されたホールコンピュータ70とで構成され、これらは、所定のネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク)を介して、各種信号を送受可能に接続されている。
【0019】
遊技機10は、遊技の進行にともなって所定の遊技情報信号を出力する信号出力手段11を有している。
遊技機10がパチンコ機の場合、信号出力手段11は、例えば、図2に示すように、特賞状態(大当たり遊技状態)であることを示す特賞状態信号と、遊技盤に配置された所定の入賞口への遊技球の入賞に伴い遊技機10から払い出される遊技球の払出数を示すセーフ信号と、図柄確定信号(後述)とを、遊技情報信号として出力する。
ここで、セーフ信号は、例えば、玉数10個毎に1パルスの信号として出力される。
図柄確定信号とは、次の信号をいう。遊技機10であるパチンコ機の遊技において、始動入賞口に遊技球が入賞して1回の抽選が行われている間に、特別図柄が変動して停止するまでを1回の遊技(ゲーム)として規定したときに(すなわち、特別図柄の変動回数にもとづいて所定の遊技の実行回数が特定されるときに)、1回の遊技が実行されるごと(特別図柄の変動回数1回ごと)にパチンコ機から出力される信号を図柄確定信号という。
【0020】
なお、この図柄確定信号に代えて、図柄回転開始信号(特別図柄の変動開始時に出力される信号)を遊技情報信号に含めることができる。
また、遊技機10が封入式パチンコ機の場合、セーフ信号は、入賞により払い出された遊技媒体の数量を示す信号ではなく、特典が遊技者に所定量(10個又は1個)付与される毎に出力される信号とすることができる。
さらに、本実施形態においては、遊技機10の代表例としてパチンコ機を挙げて説明するが、遊技機10は、パチンコ機に限るものではなく、スロットマシンやパロットなどであってもよい。ただし、以下の説明においては、遊技機10がパチンコ機であるものとして説明する。
【0021】
アウトメータ20は、パチンコ機(遊技機10)の遊技領域に発射された玉の数量を計数し、複数個(例えば、10個又は1個)の玉数毎に1パルスのアウト信号を出力する。
なお、本実施形態において、アウト信号は、アウトメータ20から出力されるものとするが、アウトメータ20から出力することに限るものではなく、遊技機10から出力するようにしてもよい。
また、遊技機10が封入式パチンコ機の場合、アウト信号の代わりに発射玉数を出力するようにしてもよい。
【0022】
各台計数機30は、遊技機10と一対一に対応して備えられており、対応する遊技機10において遊技で使用されていない遊技媒体を計数するための計数手段(図示せず)を有している。
計数手段は、遊技媒体を計数し、所定の玉数(例えば、1個又は10個など)を計数する毎に、この計数結果を示す計数信号(1パルスの計数信号)を出力する。
【0023】
また、本実施形態においては、遊技機10、アウトメータ20、各台計数機30からそれぞれ出力される信号を「遊技情報信号」というものとする。つまり、遊技情報信号には、少なくとも、特賞状態信号、セーフ信号、図柄確定信号、アウト信号、計数信号を含むことができる。ただし、「遊技情報信号」には、不正に遊技機の扉が開放されるなどの不正行為が発生したことを示す不正情報(例えば、扉開放信号など)を含めることもできる。
さらに、本実施形態においては、遊技情報信号を出力する装置を「遊技用装置」というものとする。つまり、「遊技用装置」には、遊技機10、アウトメータ20、各台計数機30が含まれる。しかも、遊技機10単体、遊技機10とアウトメータ20との組み合わせ、遊技機10と各台計数機30との組み合わせのいずれの場合も、「遊技用装置」というものとする。
【0024】
台コンピュータ40は、遊技用装置から出力された遊技情報信号を島コンピュータ60に中継する中継装置である。
この台コンピュータ40は、図2に示すように、遊技用装置から遊技情報信号を受信するとともに島コンピュータ60との間で所定の信号を送受信する通信手段41と、遊技情報信号が遊技用装置から出力されたことを検知する出力検知手段42と、この出力検知手段42が検知する遊技情報信号の変化点(遊技情報信号のONの時点か、OFFの時点か、ONとOFFの両方か)を遊技情報信号の種類ごとに設定する検知点設定手段43と、時間を計測する計時手段44と、遊技情報信号の出力時刻(後述)を計測する出力時刻計測手段45と、遊技情報の履歴を作成する履歴作成手段46と、この履歴作成手段46で作成された履歴などを記憶する記憶手段47と、計時手段44が計測する時間軸上に、出力時刻とは異なる時刻を基準時刻として設定する基準時刻設定手段48と、遊技情報信号の出力時刻を相対時間(後述)に変換する相対時間算出手段49と、遊技情報を圧縮する圧縮手段50と、台コンピュータ40の有する機能を実現するための制御を行う制御手段51とを有している。
【0025】
なお、これら台コンピュータ40の各構成が実行する処理の詳細については、後記の「遊技情報圧縮方法」にて詳述する。
また、本実施形態においては、一台の遊技機10に対して台コンピュータ40を一つ設けているが、これに限るものではなく、複数台の遊技機10に対して一つの台コンピュータ40を設けるようにしてもよい。
さらに、ここまでの説明においては、遊技用装置から外部に出力される信号を「遊技情報信号」と称し、台コンピュータ40から島コンピュータ60に送信される信号も「遊技情報信号」と称してきたが、これらは、データ形式が異なるため、以降の説明においては、前者を「遊技情報信号」と称し、後者を「中継信号」と称するものとする。
【0026】
島コンピュータ60は、台コンピュータ40から出力された中継信号を受信してホールコンピュータ70に中継する中継装置である。
この島コンピュータ60は、台コンピュータ40やホールコンピュータ70との間で中継信号を送受信する通信手段61と、台コンピュータ40から送信されてきた遊技情報の履歴を記憶する遊技情報履歴記憶手段(記憶手段)62と、遊技情報の履歴を解凍する解凍手段63と、島コンピュータ60の有する機能を実現するための制御を行う制御手段64とを有している。
なお、島コンピュータ60は、台コンピュータ40(中継装置)から中継信号を受信することから、「上流装置」としての機能を有している。
また、以降の説明においては、台コンピュータ40から島コンピュータ60に送信される中継信号を「第一中継信号」といい、島コンピュータ60からホールコンピュータ70に送信される中継信号を「第二中継信号」というものとする。
【0027】
ホールコンピュータ70は、島コンピュータ60から送信されてきた中継信号(第二中継信号)にもとづいて、遊技機10毎、遊技機10の機種毎、遊技機島毎、遊技場全体などの単位で、遊技情報を集計・管理する情報処理装置である。
このホールコンピュータ70は、島コンピュータ60との間で所定の信号を送受信する通信手段71と、島コンピュータ60から送信されてきた遊技情報の履歴を記憶する遊技情報履歴記憶手段72と、遊技情報の履歴にもとづいて、遊技情報信号の波形を再現する波形再現手段73と、再現された波形を表示する表示手段74と、遊技ホールの管理者などが操作可能に取り付けられたキーボードなどの入力手段である操作手段75と、ホールコンピュータ70の有する機能を実現するための制御を行う制御手段76とを有している。
なお、ホールコンピュータ70は、島コンピュータ50(中継装置)から中継信号(遊技情報信号)を受信することから、「上流装置」としての機能を有している。
【0028】
以上のような構成を備えた遊技場システム1においては、前述したように、遊技情報信号を受信して中継する中継装置として、台コンピュータ40が接続されている。
台コンピュータ40は、遊技用装置から送られてきた遊技情報信号にもとづいて遊技情報の履歴を作成し、この履歴に対して圧縮処理を実行している。
この遊技情報の圧縮処理について、次の「遊技情報圧縮方法」にて詳述する。
【0029】
[遊技情報圧縮方法]
遊技情報圧縮方法とは、中継装置である台コンピュータが、受信した遊技情報信号にもとづいて算出した遊技に関する情報に対し、データ量を減らすように圧縮する方法をいう。
なお、ここでは、(1)出力時刻と相対時間、(2)圧縮処理、(3)基準時刻が出力時刻より以前の時刻である場合の相対時間の算出方法、(4)台コンピュータの動作手順、(5)島コンピュータの動作手順、(6)解凍処理、(7)ホールコンピュータにおける波形再現処理の各項目について、順次説明する。
【0030】
(1)出力時刻と相対時間
遊技情報圧縮方法を説明するにあたり、後述する(2)〜(7)の説明を理解容易とするために、最初に、出力時刻と相対時間について、図3(i)〜(iii)を参照して説明する。
図3(i)、(ii)は、出力時刻を説明するためのタイムチャート、図3(iii)は、相対時間を説明するためのタイムチャートである。
【0031】
出力時刻とは、遊技用装置から遊技情報信号が出力された時刻をいう。
例えば、遊技用装置から遊技情報信号が出力された時刻が「11時00分00秒100ms」であるとき、この「11時00分00秒100ms」が当該遊技情報信号の出力時刻となる。このように、出力時刻は、絶対時刻で表現することができる。
【0032】
また、出力時刻は、遊技用装置から遊技情報信号が出力された時刻を、基点からの経過時間で表現することができる。
ここで、基点とは、計時手段44が時間の計測を開始した時刻をいう。そして、例えば、基点が「11時00分00秒000ms」であって、遊技用装置から遊技情報信号が出力された時刻(絶対時刻)が「11時00分00秒100ms」であるとき、これら基点から絶対時刻までの経過時間である「100ms」を、当該遊技情報信号の出力時刻とすることができる。この場合、出力時刻は、ミリ秒単位の数値で表現される。
このように、出力時刻は、絶対時刻又は経過時間によって表現することができる。
【0033】
この出力時刻は、台コンピュータ40の出力時刻計測手段45で計測される。出力時刻計測手段45は、計時手段44により基点から計測が開始された時間軸上で出力時刻を計測する。計測された出力時刻は、出力された遊技情報信号の種類を特定可能な情報とともに、記憶手段47に記憶される。そして、従来は、それら出力時刻等を中継信号として島コンピュータ60へ送信していた。
中継信号においては、その出力時刻を送信するためのデータ領域が割り当てられている。従来、このデータ領域には、例えば4byteの容量が割り当てられていた。この4byteという容量は、約10日分の出力時刻を一度に送信可能な容量である。
ところが、約10日分の出力時刻を一度に送信するような状況は殆ど起こり得ない。このため、出力時刻に4byteを割り当てる必要性は低いと言える。
そこで、出力時刻に1byteを割り当てることが考えられる。このようにすれば、中継信号の容量を減らすことができる。
ただし、1byteは、1から255までしか表現できない。例えば、出力時刻が1ms単位の場合には、255msまでしか表現できない。そうすると、図3(ii)に示すように、その255msを超過した時刻である「300ms」などは、表現できなくなる。
そこで、本発明では、255msを超過した時刻についても表現可能とするために、「出力時刻」を「相対時間」に変換して表現することとした。
【0034】
相対時間とは、遊技用装置から遊技情報信号が出力された時刻を、その遊技情報信号の出力時刻と所定の基準時刻との時間的差分で表現したものをいう。
例えば、遊技情報信号の出力時刻が「11時00分00秒100ms」であって、基準時刻(後述)が「11時00分00秒200ms」であるとき、これらの差分「100ms」が当該遊技情報信号の相対時間となる。
また、出力時刻や基準時刻が絶対時刻で表現されたものではなく、「100ms」や「200ms」のように、ミリ秒単位の数値で表現されたものの場合でも、同様に相対時間を算出できる。例えば、図3(iii)に示すように、遊技情報信号s1の出力時刻が「100ms」であって、基準時刻(例えば、データ送信時刻)が「200ms」であるとき、これらの差分「100ms」が当該遊技情報信号s1の相対時間となる。
【0035】
ここで、基準時刻とは、遊技情報信号の相対時間を算出する際の基準となる時刻であって、計時手段44が計測する時間軸上に複数設定される時刻であり、かつ、遊技用装置から遊技情報信号が出力された時刻以外の時刻をいい、出力時刻と同様なデータ容量(例えば、4byte)を有している。
例えば、基準時刻は、計時手段44が計測する時間軸上に設定される時刻であることから、「11時00分00秒200ms」のように、絶対時刻で表現できる。よって、同じく絶対時刻で表現可能な出力時刻と同様なデータ容量(例えば、4byte)を有している。
また、基準時刻は、出力時刻と同様、ミリ秒単位の数値で表現することもできる(例えば、「200ms」など)。この表現の場合でも、時間の経過にともなって数値が次第に増加するため、出力時刻と同様なデータ容量(例えば、4byte)が必要となる。
【0036】
この基準時刻は、所定のイベント毎に設定することができる。所定のイベントには、例えば、所定の信号の送信時刻又は受信時刻、若しくは、台コンピュータ40が自ら定めた時刻などがある。具体的には、例えば、台コンピュータ40から島コンピュータ60に中継信号を送信する時刻(図3(iii)の「データ送信時刻」)や、島コンピュータ60が台コンピュータ40に対して遊技情報のポーリングを行った時刻、定期又は不定期の所定時間毎の時刻などを基準時刻とすることができる。これらのうち、ポーリングとは、島コンピュータ60から台コンピュータ40に対して、遊技情報の送信を要求するための信号を送信することをいう。また、「定期又は不定期の所定時間毎の時刻」とは、台コンピュータ40が一定時間間隔で又は異なる時間間隔で複数設定した時刻をいう。
【0037】
この基準時刻は、基本的には、台コンピュータ40から島コンピュータ60に送信されるものである。特に、島コンピュータ60が解凍処理(相対時間を出力時刻に変換する処理。詳細は後述)を実行する際に台コンピュータ40が設定した基準時刻を使用する場合には、その基準時刻が台コンピュータ40から島コンピュータ60に送信される。このようにする理由は、次の通りである。
基準時刻は、台コンピュータ40が出力時刻を相対時間に変換する処理(圧縮処理。詳細は後述)を実行するときに用いられる時刻であるとともに、島コンピュータ60が前述した解凍処理を実行するときに用いられる時刻である。すなわち、台コンピュータ40が相対時間aを算出するのに用いた基準時刻と、島コンピュータ60がその相対時間aを解凍するのに用いる基準時刻とは、同一であることを要する。このため、台コンピュータ40と島コンピュータ60は、同一の基準時刻を共有する必要がある。
そこで、台コンピュータ40で設定された基準時刻を島コンピュータ60に送信するようにする。このようにすれば、台コンピュータ40と島コンピュータ60が同一の基準時刻を共有できる。よって、台コンピュータ40が相対時間aの圧縮処理に使用した基準時刻を、島コンピュータ60が、その基準時刻を使用して相対時間aの解凍処理を実行できる。
【0038】
ただし、台コンピュータ40から島コンピュータ60に基準時刻を送信しない場合でも、それら台コンピュータ40と島コンピュータ60が同一の基準時刻を共有できるときがある。
その例として、島コンピュータ60が台コンピュータ40に信号(例えば、ポーリング)を送信した時刻を基準時刻として使用する場合が挙げられる。この場合、島コンピュータ60は、自身が信号を送信した時刻を基準時刻として設定する。一方、台コンピュータ40では、受信した信号の受信時刻を基準時刻として設定する。そして、台コンピュータ40では、その設定した基準時刻を使用して圧縮処理を実行し、島コンピュータ60では、自ら設定した基準時刻を使用して解凍処理を実行する。
このように、島コンピュータ60が台コンピュータ40に信号を送信した時刻を基準時刻として使用する場合には、台コンピュータ40と島コンピュータ60が同一の基準時刻を共有できる。このため、台コンピュータ40から島コンピュータ60への基準時刻の送信が不要となる。
【0039】
なお、上記の場合、台コンピュータ40から島コンピュータ60に送信された相対時間などの履歴(後述)が、島コンピュータ60で自ら設定した基準時刻と関連付けられるか否かが問題となる。その解決策として、例えば、ポーリングを行った時刻から所定時間内に受信した履歴を、そのポーリング時刻である基準時刻と関連付けるようにすることで解決できる。
また、上記の場合においても、台コンピュータ40から島コンピュータ60に基準時刻を送信することは可能であり、島コンピュータ60では、受信した基準時刻を使用して解凍処理を実行することもできる。
【0040】
さらに、基準時刻は、基準時刻設定手段48により設定される。基準時刻設定手段48は、計時手段44が計測する時間軸上に基準時刻を複数設定する。しかも、複数の基準時刻の間隔が、出力時刻のデータ容量(例えば、4byte)よりも少ないデータ容量(例えば、1byte)を示す時間の間隔となるように、それら複数の基準時刻が設定される。そして、相対時間算出手段49は、設定された基準時刻ごとに、記憶手段47に記憶されている出力時刻を相対時間に変換し、通信手段41は、その相対時間を含む履歴を島コンピュータ60に送信する。
例えば、基準時刻設定手段48が、最初の基準時刻を「11時00分00秒200ms」に設定したものとする(図3(iii)の「200ms」に相当)。この「11時00分00秒200ms」と、基点「11時00分00秒000ms」との時間的間隔は、「200ms」である。この「200ms」は、1byte(0〜255)で表現できる時間であり、この1byteというデータ容量は、出力時刻のデータ容量である4byteよりも少ない。
相対時間算出手段49は、その設定された基準時刻「11時00分00秒200ms」にもとづいて遊技情報信号s1の相対時間を算出する。具体的には、基準時刻「11時00分00秒200ms」から出力時刻「11時00分00秒100ms」を減算して、当該遊技情報信号s1の相対時間である「100ms」を算出する。そして、基準時刻「11時00分00秒200ms」がデータ送信時刻である場合、その算出された遊技情報信号s1の相対時間である「100ms」が、中継信号として、「データ送信時刻200ms」の時点で島コンピュータ60に送信される。
【0041】
次いで、基準時刻設定手段48は、「11時00分00秒350ms」を新たな基準時刻として設定したものとする(図3(iii)の「350ms」に相当)。この「11時00分00秒350ms」と、前回設定した基準時刻「11時00分00秒200ms」との時間的間隔は、「150ms」である。この「150ms」は、1byte(0〜255)で表現できる時間であり、この1byteというデータ容量は、出力時刻のデータ容量である4byteよりも少ない。
相対時間算出手段49は、その設定された基準時刻「11時00分00秒350ms」にもとづいて遊技情報信号s2の相対時間を算出する。そして、基準時刻「11時00分00秒350ms」がデータ送信時刻である場合、その算出された遊技情報信号s2の相対時間(基準時刻「11時00分00秒350ms」−出力時刻「11時00分00秒300ms」=50ms)が、中継信号として、「データ送信時刻350ms」の時点で島コンピュータ60に送信される。
【0042】
このように、基準時刻設定手段48が設定する複数の基準時刻の間隔(基点から最初の基準時刻までの間隔を含む)は、出力時刻のデータ容量よりも少ないデータ容量を示す時間の間隔となっている。このため、基準時刻毎に算出される相対時間は、出力時刻のデータ容量よりも少ないデータ容量を示す時間として算出される。よって、中継信号においては、出力時刻に割り当てていた4byteを1byte(又は2byte)に削減し、ここに相対時間を割り当てることにより、中継信号の容量を減らすことができる。
【0043】
なお、図3(iii)では、データ送信時刻を基準時刻としているが、上述したように、基準時刻には、島コンピュータ60からのポーリングの時刻や、定期又は不定期の所定時間毎の時刻などを用いることができる。そして、これらポーリングの時刻等を基準時刻として設定した場合でも、データ送信時刻を基準時刻として設定した場合と同様に相対時間を算出でき、中継信号の容量を削減できる。
【0044】
(2)圧縮処理
次に、遊技情報の圧縮処理について、説明する。
圧縮処理とは、台コンピュータ40から島コンピュータ60に送信される遊技情報のデータ量を削減するための処理をいう。
ここでは、(2-1)遊技情報信号の検知点の設定、(2-2)複数の計数信号が出力された場合の圧縮処理、(2-3)計数信号とアウト信号が出力された場合の圧縮処理、(2-4)複数のセーフ信号が出力された場合の圧縮処理、(2-5)セーフ信号とアウト信号が出力された場合の圧縮処理、(2-6)アウト信号とセーフ信号と計数信号が出力された場合の圧縮処理、の各項目について説明する。
【0045】
(2-1)遊技情報信号の検知点の設定
台コンピュータ40においては、遊技情報信号の受信を開始する前に、初期設定として、遊技情報信号の検知点が、遊技情報信号の種類ごとに設定される。
遊技情報信号の検知点とは、遊技情報信号の示す波形のうち、台コンピュータ40の出力検知手段42がその遊技情報信号を検知するタイミングをいう。具体的には、遊技情報信号のON(立ち上がり)のタイミングのみ、OFF(立ち下がり)のタイミングのみ、ONのタイミングとOFFのタイミングの両方、のいずれかが設定される。
【0046】
ここで、どの種類の遊技情報信号にどの検知点を設定するかは、任意に決めることができる。
ただし、本実施形態においては、アウト信号、セーフ信号、図柄確定信号、特賞状態信号のそれぞれの検知点を、ONのタイミングとOFFのタイミングの両方とする。これは、ホールコンピュータ70でアウト信号等の波形を再現するときに、ONのタイミングとOFFのタイミングの両方を再現することを考慮したものである(波形の再現については後述)。
また、本実施形態においては、計数信号の検知点を、OFFのタイミングのみとする。
これら遊技情報信号の検知点の設定は、検知点設定手段43で行われる。また、出力検知手段42は、それら設定された検知点で、遊技情報信号を検知する。
【0047】
(2-2)複数の計数信号が出力された場合の圧縮処理
ここでは、各台計数機30から複数の計数信号が出力された場合の圧縮処理の手順について、図4(i)〜(iv)を参照して説明する。
なお、その圧縮処理の手順として、(2-21)遊技情報信号の検知と履歴の作成、(2-22)相対時間変換処理(第一圧縮処理)、(2-23)統合処理(第二圧縮処理)の各項目について、以下、順に説明する。
【0048】
(2-21)遊技情報信号の検知と履歴の作成
図4(i)に示すように、各台計数機30は、計数信号sk1、sk2、sk3を出力したものとする。
台コンピュータ40の出力検知手段42は、それら計数信号sk1、sk2、sk3を、OFFのタイミングで検知する。
出力時刻計測手段45は、出力検知手段42が計数信号sk1、sk2、sk3を検知した時点の出力時刻を計測する。
【0049】
履歴作成手段46は、出力検知手段42で検知された計数信号sk1、sk2、sk3について、検知情報を作成する。
検知情報とは、出力検知手段42で検知された遊技情報信号に関する情報であって、一つの検知点について作成される情報群をいう。
この検知情報には、図4(ii)に示すように、「出力時刻」と、「接点」と、「差分値」の各情報が含まれる。
ここで、「出力時刻」には、出力時刻計測手段45で計測された出力時刻が記される。
「接点」には、遊技情報信号の種類が記される。
「差分値」には、遊技情報信号が出力された回数(遊技情報信号の信号数)が記される。
例えば、計数信号sk1については、図4(ii)に示すように、この計数信号sk1の検知情報(1)の「出力時刻」が「100」とされ、「接点」が「計数」とされ、「差分値」が「1」とされる。
【0050】
これら「出力時刻」、「接点」、「差分値」の各情報は、互いに関連付けられ、検知情報として記憶手段47に記憶される。また、履歴作成手段46は、出力検知手段42で遊技情報信号が検知されるたびに、その検知点に関する検知情報を作成し、記憶手段47に蓄積していく。これが検知情報の履歴となる。
例えば、図4(ii)に示す履歴は、計数信号sk1を検知した時点(1)について作成された検知情報(1)と、計数信号sk2を検知した時点(2)について作成された検知情報(2)と、計数信号sk3を検知した時点(3)について作成された検知情報(3)を蓄積したものである。
この履歴において、「出力時刻」は、4byte、「接点」は、1byte、「差分値」は、1byteのデータ容量を有している。よって、この履歴の合計byte数は、18byteとなる。なお、「接点」の1byteは、bit0−6に接点番号、bit7にレベルが割り当てられる。
【0051】
(2-22)相対時間変換処理(第一圧縮処理)
次いで、台コンピュータ40の相対時間算出手段49は、相対時間変換処理を行う。相対時間変換処理とは、検知情報の「出力時刻」を「相対時間(ターンアラウンド時刻)」に変換する処理をいう。
具体的に、図4(ii)、(iii)の例をもって説明する。基準時刻である「データ送信時刻」を350[ms]とする。計数信号sk1の検知情報(1)の「出力時刻」である「100」と「データ送信時刻」との差分(350-100=250)を算出し、この「250」を検知情報(1)の「ターンアラウンド時刻」とする。同様に、計数信号sk2の検知情報(2)の「出力時刻」である「200」を、「ターンアラウンド時刻」である「150」に変換する。また、計数信号sk3の検知情報(3)の「出力時刻」である「300」を、「ターンアラウンド時刻」である「50」に変換する。
このように、ターンアラウンド時刻(相対時間)は、記憶手段47に記憶された履歴に含まれている出力時刻のそれぞれについて算出される。
そして、この変換後の「ターンアラウンド時刻」は、「接点」及び「差分値」(変換前の「出力時刻」に関連付けられていた「接点」及び「差分値」)に関連付けられ、図4(iii)に示す履歴を構成する検知情報(変換後の検知情報)として、記憶手段47に記憶される。
また、基準時刻である「データ送信時刻」は、履歴の一部として、変換後の検知情報に関連付けられ、記憶手段47に記憶される。
【0052】
なお、この相対時間変換処理においては、「接点」と「差分値」に変更はない。
また、ここでは、計数信号sk1、sk2、sk3の出力時刻毎の相対時間を算出する処理について説明したが、例えば、基点(0)から基準時刻(例えば、データ送信時刻350ms)までの間に出力された遊技情報信号が計数信号sk1のみである場合でも、計数信号が複数出力された場合と同様に、その出力時刻について相対時間が算出される。つまり、「出力時刻毎」には、基点から基準時刻まで(又は、一の基準時刻から次の基準時刻まで)の間に出力された複数の遊技情報信号のそれぞれの出力時刻毎という意味と、その間に一つのみ出力された遊技情報信号の出力時刻という意味の双方が含まれる。
【0053】
この図4(iii)に示す履歴において、「データ送信時刻」は、4byte、「ターンアラウンド時刻」は、2byte、「接点」は、1byte、「差分値」は、1byteのデータ容量を有している。このため、この履歴の合計byte数は、16byteとなる。よって、この図4(iii)の履歴と図4(ii)の履歴とを比較すると、2byte分のデータ量を圧縮できたことになる。
また、図4(ii)に示す履歴の「出力時刻」のデータ容量が4byteであるのに対し、図4(iii)に示す履歴の「ターンアラウンド時刻」(相対時間)のデータ容量は、2byteである。これは、「出力時刻」を絶対時刻で表現したときに4byteが必要となるのに対し、「ターンアラウンド時刻」は、出力時刻のデータ容量よりも小さいデータ容量を示す時間の間隔で複数の基準時刻が設定され、これら複数の基準時刻の間隔を示すデータ量を最大のデータ量として相対時間が算出されるため、その相対時間のデータ容量が2byteを超えることがないからである。このように、「出力時刻」を「相対時間」に変換する処理を行うことで、相対時間を示すデータ容量を、出力時刻を示すデータ容量よりも小さくすることができる。
【0054】
なお、図4(iii)に示す履歴においては、基準時刻である「データ送信時刻」を、基点からの経過時間(図4(iii)においては、ミリ秒単位で表現された「350」)で表現しているが、この表現に限るものではなく、絶対時刻(例えば、「11時00分00秒350ms」)により表現することができる。このように、絶対時刻で表現された「データ送信時刻」を履歴に含めて島コンピュータ60に送信することにより、島コンピュータ60では、遊技情報信号の出力時刻を、絶対時刻で表現される時刻として算出できる。この出力時刻の算出処理については、後記の「(6)解凍処理」にて詳述する。
【0055】
(2-23)統合処理(第二圧縮処理)
さらに、台コンピュータ40の圧縮手段50は、図4(iii)に示された履歴にもとづいて、統合処理を行う。統合処理とは、所定の条件を満たすときに、複数の検知情報を一の統合情報に統合する処理をいう。
ここで、所定の条件とは、ONのタイミング又はOFFのタイミングのいずれか一方が検知点として設定された遊技情報信号が、遊技用装置から連続して複数出力された場合であって、その間に他の種類の遊技情報信号が出力されていないときをいう。
図4(i)に示す計数信号sk1、sk2、sk3は、この条件を満たしている。よって、それら計数信号sk1、sk2、sk3の検知情報(1)、(2)、(3)が、一の統合情報に統合される。
【0056】
統合の仕方は、次の通りである。
統合する検知情報(1)〜(3)のうち、最初又は最後に出力された計数信号についての検知情報の「ターンアラウンド時刻」が、統合情報の「ターンアラウンド時刻」に記される。図4(iv)においては、最後に出力された計数信号sk3の検知情報(3)の「ターンアラウンド時刻」が、統合情報の「ターンアラウンド時刻」として記されている。
また、統合する検知情報(1)〜(3)の「接点」が、統合情報の「接点」に記される。図4(iv)においては、計数信号を表す「計数」が、統合情報の「接点」に記されている。
さらに、統合する検知情報(1)〜(3)のそれぞれの「差分値」の合計が、統合情報の「差分値」に記される(「差分値」の積み増し)。図4(iv)においては、計数信号sk1、sk2、sk3の出力数の和である「3」が、統合情報の「差分値」として記されている。
これら「ターンアラウンド時刻」、「接点」、「差分値」は、互いに関連付けられ、図4(iv)に示す履歴を構成する統合情報として、記憶手段47に記憶される。
また、「データ送信時刻」(基準時刻)は、履歴の一部として、統合情報に関連付けられ、記憶手段47に記憶される。なお、図4(iv)の「データ送信時刻」は、図4(iii)の「データ送信時刻」と同じである。
【0057】
図4(iv)に示す履歴において、「データ送信時刻」は、4byte、「ターンアラウンド時刻」は、2byte、「接点」は、1byte、「差分値」は、1byteのデータ容量を有している。よって、この履歴の合計byte数は、8byteとなる。このため、図4(ii)の履歴とを比較すると、10byte分のデータ量を圧縮できたことになる。
このように、相対時間変換処理(第一圧縮処理)と統合処理(第二圧縮処理)とを行うことにより、履歴のデータ量を削減できる。
【0058】
なお、図4(iv)の履歴の場合、計数信号sk3の出力時刻は、ホールコンピュータ70で再現できるものの、計数信号sk1及びsk2の出力時刻は、再現できない(再現の詳細については、後述)。ただし、計数信号sk1〜sk3は、遊技機10の遊技状態とは関係しない信号であるため、この場合は、計数信号sk1〜sk3の各波形を均等に割り付けるようにすればよい。
【0059】
(2-3)計数信号とアウト信号が出力された場合の圧縮処理
ここでは、各台計数機30から複数の計数信号が出力されるとともに、アウトメータ20からアウト信号が出力された場合の圧縮処理の手順について、図5(i)〜(iv)を参照して説明する。
【0060】
(2-31)遊技情報信号の検知と履歴の作成
図5(i)に示すように、各台計数機30は、計数信号sk1、sk2、sk3を出力したものとする。また、アウトメータ20は、計数信号sk1が出力された後であって計数信号sk2が出力される前に、アウト信号so1を出力したものとする。
台コンピュータ40の出力検知手段42は、計数信号sk1、sk2、sk3を、OFFのタイミングで検知する。また、アウト信号so1を、ONのタイミングとOFFのタイミングの両方を検知点として検知する。
出力時刻計測手段45は、出力検知手段42が計数信号sk1、sk2、sk3を検知した時点の出力時刻と、アウト信号so1をONのタイミングとOFFのタイミングのそれぞれで検知した時点の出力時刻を計測する。
【0061】
履歴作成手段46は、出力検知手段42で検知された計数信号sk1、sk2、sk3及びアウト信号so1について、検知情報を作成する。
ここで、アウト信号so1については、ONの時点の検知情報(2)と、OFFの時点の検知情報(3)が、それぞれ作成される。このとき、ONの検知情報(2)においては、「接点」をアウトONとし、「差分値」を0とする。また、OFFの検知情報(3)においては、「接点」をアウトOFFとし、「差分値」を1(つまり、アウト信号1パルス)とする。
このようにして作成された履歴を、図5(ii)に示す。この履歴の合計byte数は、30byteとなる。
【0062】
(2-32)相対時間変換処理(第一圧縮処理)
次いで、台コンピュータ40の相対時間算出手段49は、相対時間変換処理を行う。
具体的に、図5(ii)、(iii)の例をもって説明する。基準時刻である「データ送信時刻」を350[ms]とする。計数信号sk1の検知情報(1)の「出力時刻」である「100」と「データ送信時刻」との差分(350-100=250)を算出し、この「250」を検知情報(1)の「ターンアラウンド時刻」とする。
同様に、アウト信号so1のONの時点の検知情報(2)の「出力時刻」、アウト信号so1のOFFの時点の検知情報(3)の「出力時刻」、計数信号sk2の検知情報(4)の「出力時刻」、計数信号sk3の検知情報(5)の「出力時刻」についても、それぞれ相対時間である「ターンアラウンド時刻」に変換する。
このように、相対時間算出手段49は、複数種類の遊技情報信号(図5(i)においては、計数信号やアウト信号)について一の基準時刻(例えば、データ送信時刻350ms)に対するターンアラウンド時刻(相対時間)をそれぞれ算出する。
この圧縮処理を行うことで、図5(iii)に示す履歴が得られる。この履歴の合計byte数は、24byteとなる。よって、図5(ii)の履歴と比較すると、6byte分のデータ量を圧縮できたことになる。
また、基準時刻である「データ送信時刻」は、履歴の一部として、それら検知情報に関連付けられ、記憶手段47に記憶される。特に、図5(iii)の履歴においては、複数種類の遊技情報信号について一の基準時刻に対して算出された相対時間を含む検知情報が、その一の基準時刻に関連付けられている。
【0063】
なお、図5(iii)に示すように、遊技情報信号の出力の古いものから順に検知情報が蓄積されているので、この履歴を受信するホールコンピュータ70では、その蓄積された順にしたがって波形を再現することで、それが時間の経過に即した波形として再現することができる。つまり、波形を再現する際に、時間を遡らなくてもよいため、負荷がかからないという利点がある。なお、ホールコンピュータ70における波形の再現処理については、後記の「(7)ホールコンピュータにおける波形再現処理」にて詳述する。
【0064】
(2-33)統合処理(第二圧縮処理)
さらに、台コンピュータ40の圧縮手段50は、統合処理を行う。
例えば、計数信号sk1〜sk3は、(2-23)で説明した条件を満たしているため、圧縮手段50は、図5(iii)に示す検知情報(4)、(5)を、一の統合情報(4)(5)に統合する(図5(iv)参照)。
【0065】
一方、アウト信号so1については、連続して出力されていないため、統合処理は実行されない。
ただし、そのアウト信号so1が、ONのタイミング又はOFFのタイミングのいずれか一方を検知点として設定されているときには、その検知されたアウト信号so1のONの時点の検知情報か、あるいは、OFFの時点の検知情報が履歴に記される(図5(iv)に示す履歴においては、OFFの時点の検知情報(3)が記されている)。
【0066】
この図5(iv)に示す履歴の合計byte数は、16byteとなる。よって、図5(ii)の履歴とを比較すると、14byte分のデータ量を圧縮できたことになる。
このように、相対時間変換処理と統合処理とを行うことにより、履歴のデータ量を削減できる。
【0067】
なお、「(2-33)統合処理」においては、計数信号sk1、sk2、sk3のすべての検知情報(1)、(4)、(5)を一つの統合情報に統合することも考えられる。ただし、この圧縮処理を行うと、ホールコンピュータ70で波形を再現するときに、それら計数信号sk1、sk2、sk3とアウト信号so1との前後関係が不明になってしまう(波形の再現については、後述)。
そこで、統合処理を行う条件として、ONのタイミング又はOFFのタイミングの一方のみが検知点として設定された遊技情報信号については、連続して複数出力された場合であって、その間に他の種類の遊技情報信号が出力されていないときに、統合処理を行うこととした。
具体的に、計数信号sk1、sk2、sk3については、アウト信号so1の出力前に出力された計数信号sk1と、アウト信号so1の出力後に出力された計数信号sk2、sk3とに分けられ、複数出力されている計数信号sk2、sk3に対して統合処理が行われることになる。これにより、計数信号sk1、sk2、sk3とアウト信号so1の前後関係が明確となり、それら検知情報の時系列が維持されるので、ホールコンピュータ70で波形を再現するときに、それら計数信号sk1、sk2、sk3とアウト信号so1との前後関係を明確に再現できる。
【0068】
また、検知情報の時系列が保持されるので、それら検知情報にもとづいて遊技情報を正確に算出することができる。例えば、特賞信号中にアウトやセーフがあったかどうかを識別できることから、特賞中の差玉を正確に算出できる。そして、差玉が正確になることで、釘調整を的確に行うことができる。
さらに、ベースの異常判定を従来よりも正確に行うことができる。例えば、従来は、送信したデータの前後関係が分からなかったため、所定のアウトを検出しベース異常を判定するときに所定のアウト数プラスαで算出していた。これに対し、本発明では、所定のアウト毎にベース異常を算出できる。
【0069】
(2-4)複数のセーフ信号が出力された場合の圧縮処理
ここでは、遊技機10から複数のセーフ信号が出力された場合の圧縮処理の手順について、図6(i)〜(iii)を参照して説明する。
【0070】
(2-41)遊技情報信号の検知と履歴の作成
図6(i)に示すように、遊技機10は、セーフ信号ss1、ss2を出力したものとする。
台コンピュータ40の出力検知手段42は、セーフ信号ss1、ss2を、ONのタイミングとOFFのタイミングの両方の検知点でそれぞれ検知する。
出力時刻計測手段45は、出力検知手段42がセーフ信号ss1、ss2をONのタイミングとOFFのタイミングのそれぞれで検知した時点の出力時刻を計測する。
【0071】
履歴作成手段46は、出力検知手段42で検知されたセーフ信号ss1のONの時点(1)とOFFの時点(2)、セーフ信号ss2のONの時点(3)とOFFの時点(4)のそれぞれについて、検知情報(1)〜(4)を作成する。
これら検知情報(1)〜(4)が蓄積された履歴は、図6(ii)に示すようになり、合計byte数は、24byteとなる。
【0072】
(2-42)相対時間変換処理(第一圧縮処理)
次いで、台コンピュータ40の相対時間算出手段49は、相対時間変換処理を行う。
具体的には、基準時刻である「データ送信時刻」を350[ms]とし、セーフ信号ss1、ss2の検知情報(1)〜(4)のそれぞれの「出力時刻」を、「相対時間(ターンアラウンド時刻)」に変換する。
この変換処理を行うことで得られた履歴を、図6(iii)に示す。この履歴の合計byte数は、20byteとなる。よって、図6(ii)の履歴とを比較すると、4byte分のデータ量を圧縮できたことになる。
このように、相対時間変換処理とを行うことにより、履歴のデータ量を削減できる。
【0073】
なお、セーフ信号ss1とss2は、同じ種類の遊技情報信号が連続して出力されたものであるが、これらセーフ信号は、ONのタイミングとOFFのタイミングの両方が検知点として設定されていることから、それら連続して出力された遊技情報信号の種類が同一であるか否かに関わらず、統合処理は、行わない。
ただし、セーフ信号の検知点をONとOFFの両方とした理由は、このセーフ信号の波形をホールコンピュータ70で再現するときに、このセーフ信号のONとOFFの各検知時刻についても再現するのが望ましいためである。よって、セーフ信号の波形をホールコンピュータ70で再現しない場合や、台コンピュータ40から島コンピュータ60へ送信される中継信号のデータ容量の削減を最優先にするようなときには、統合処理を行うようにすることもできる。
【0074】
(2-5)セーフ信号とアウト信号が出力された場合の圧縮処理
ここでは、遊技機10から複数のセーフ信号が出力されるとともに、アウトメータ20からアウト信号が出力された場合の圧縮処理の手順について、図7(i)〜(iii)を参照して説明する。
【0075】
(2-51)遊技情報信号の検知と履歴の作成
図7(i)に示すように、遊技機10は、セーフ信号ss1、ss2を出力したものとする。また、アウトメータ20は、セーフ信号ss1の出力後であってセーフ信号ss2の出力前にアウト信号so1を出力したものとする。
台コンピュータ40の出力検知手段42は、セーフ信号ss1、ss2とアウト信号so1を、それぞれONのタイミングとOFFのタイミングの両方の検知点で検知する。出力時刻計測手段45は、出力検知手段42がセーフ信号ss1、ss2とアウト信号so1をONのタイミングとOFFのタイミングのそれぞれで検知した時点の出力時刻を計測する。
【0076】
履歴作成手段46は、出力検知手段42で検知されたセーフ信号ss1、ss2とアウト信号so1のそれぞれのONの時点とOFFの時点について、検知情報(1)〜(6)を作成する。
作成された検知情報(1)〜(6)の履歴は、図7(ii)に示すようになる。この履歴の合計byte数は、36byteである。
【0077】
(2-52)相対時間変換処理(第一圧縮処理)
次いで、台コンピュータ40の相対時間算出手段49は、相対時間変換処理を行う。
具体的には、基準時刻である「データ送信時刻」を400[ms]とし、セーフ信号ss1、ss2とアウト信号so1のそれぞれのONの時点の「出力時刻」と、OFFの時点の「出力時刻」を、「相対時間(ターンアラウンド時刻)」に変換する。
このように、相対時間算出手段49は、複数種類の遊技情報信号(図7(i)においては、セーフ信号とアウト信号)について一の基準時刻(例えば、データ送信時刻400ms)に対するターンアラウンド時刻(相対時間)をそれぞれ算出する。
この圧縮処理を行うことで得られた履歴を、図7(iii)に示す。この履歴の合計byte数は、28byteとなる。よって、図7(ii)の履歴と比較すると、8byteのデータ量を圧縮できたことになる。
このように、相対時間変換処理とを行うことにより、履歴のデータ量を削減できる。
なお、セーフ信号ss1、ss2とアウト信号so1は、いずれも連続して出力されていないため、統合処理は、行わない。
【0078】
(2-6)アウト信号とセーフ信号と計数信号が出力された場合の圧縮処理
(2-2)〜(2-5)では、図4〜図7を用いて、一つの基準時刻に対する圧縮処理について説明した。しかし、実際には、遊技ホールの一営業時間内において、台コンピュータ40から島コンピュータ60へ多数の中継信号が送信され、基準時刻もその都度更新される。この状況について、図8、図9を参照して説明する。
【0079】
図8に示すように、アウト信号と、セーフ信号と、計数信号が、アウトメータ20、遊技機10、各台計数機30から、それぞれ図8に示すタイミングで出力されたものとする。
また、中継信号が、500msの間隔で台コンピュータ40から島コンピュータ60へ送信されるものとする(図8(t1)〜(t4))。
この場合、統合処理が実行された後の履歴は、図9(i)〜(iv)に示すようになる。
【0080】
例えば、一回目のデータ送信時刻(t1)においては、図9(i)に示すように、セーフ信号ss1のONの時点に関する検知情報と、そのセーフ信号ss1のOFFの時点に関する検知情報を含む履歴が送信される。また、二回目のデータ送信時刻(t2)においては、図9(ii)に示すように、この間に遊技情報信号が出力されなかったので、履歴は送信されない。さらに、三回目のデータ送信時刻(t3)においては、図9(iii)に示すように、計数信号sk1〜sk3に関する統合情報と、セーフ信号ss2のONの時点に関する検知情報と、計数信号sk4に関する検知情報と、セーフ信号ss2のOFFの時点に関する検知情報と、計数信号sk5に関する検知情報が履歴として送信される。そして、四回目のデータ送信時刻(t4)においては、図9(iv)に示すように、計数信号sk6〜sk10に関する統合情報を含む履歴が送信される。
このように、台コンピュータ40では、データ送信時刻に達するたびに、前回のデータ送信時刻以降に蓄積された検知情報について圧縮処理を行って、島コンピュータ60へ送信している。このように、検知情報を送信しようとするたびに圧縮処理を行うことで、島コンピュータ60に送信される中継信号の容量を削減できる。
【0081】
また、遊技用装置から出力された遊技情報信号のそれぞれについて算出される相対時間は、島コンピュータ60に送信されるデータ送信時刻を基準時刻として算出される。
例えば、図8に示すように、計数信号sk1〜sk5は、データ送信時刻1500msを基準時刻として相対時間が算出される。また、計数信号sk6〜sk10は、データ送信時刻2000msを基準時刻として相対時間が算出される。
つまり、基準時刻を設定する基準時刻設定手段48は、履歴が島コンピュータ60に送信されるたびに、その基準時刻を更新している。そして、相対時間算出手段49は、更新後の基準時刻を用いて相対時間を算出する。通信手段41は、この算出された相対時間を含む履歴を、島コンピュータ60に送信する。これにより、島コンピュータ60に送信される遊技情報のデータ量を削減できる。
【0082】
さらに、前回の基準時刻から今回の基準時刻までの間に、遊技用装置から複数種類の遊技情報信号が出力された場合には、それら複数種類の遊技情報信号について一の基準時刻に対する相対時間が算出され、これら算出された相対時間を含む検知情報(又は、統合情報)と一の基準時刻とが関連付けられて、履歴が作成される。
例えば、データ送信時刻1000ms(t2)とデータ送信時刻1500ms(t3)との間においては、遊技用装置から、セーフ信号ss2と、計数信号sk1〜sk5が出力されている。相対時間算出手段49は、データ送信時刻1500ms(t3)を一の基準時刻として、それらセーフ信号ss2の出力時刻を相対時間に変換するとともに、計数信号sk1〜sk5の出力時刻を相対時間に変換する。そして、図9(iii)に示すように、セーフ信号ss2の相対時間を含む検知情報と、計数信号sk1〜sk5の相対時間を含む検知情報と、一の基準時刻が、関連付けられて、履歴が作成される。
これにより、その履歴を受信した島コンピュータ60では、その一の基準時刻を用いて、複数種類の遊技情報信号(セーフ信号ss2、計数信号sk1〜sk5)についての相対時間を出力時刻に変換することができる(この変換処理については、後述)。
【0083】
なお、図8においては、データ送信時刻(基準時刻)を一定時間間隔(500msごと)としたが、一定時間間隔とすることに限るものではなく、その間隔が不定期的であってもよい。
【0084】
ところで、ここまで説明した「(1)出力時刻と相対時間」と「(2)圧縮処理」では、相対時間を算出する場合に、基準時刻から遡った出力時刻との差分を相対時間として算出していた。つまり、基準時刻が出力時刻よりも後の時刻であった。
しかしながら、相対時間の算出方法は、その方法に限るものではなく、例えば、基準時刻を出力時刻より以前の時刻とし、それら基準時刻と出力時刻との差分を相対時間とすることも考えられる。この方法について、次に説明する。
【0085】
(3)基準時刻が出力時刻より以前の時刻である場合の相対時間の算出方法
図10(i)に示すように、各台計数機30は、計数信号sk1、sk2、sk3を出力したものとする。この場合、台コンピュータ40の履歴作成手段46は、図10(ii)に示す内容の履歴を作成する。
この履歴の合計byte数は、18byteとなる。
【0086】
次いで、台コンピュータ40の相対時間算出手段49は、図10(ii)に示された履歴にもとづいて、「出力時刻」を「相対時間(ターンアラウンド時刻)」に変換する相対時間変換処理を行う。
具体的には、基準時刻である「データ送信時刻」を0[ms]とし、計数信号sk1の検知情報(1)の「出力時刻」である「100」と「データ送信時刻」との差分(100-0=100)を算出し、この「100」を計数信号sk1の「ターンアラウンド時刻」とする。計数信号sk2の検知情報(2)の「出力時刻」と、計数信号sk3の検知情報(3)の「出力時刻」についても、同様にして、「ターンアラウンド時刻」が算出される。
この相対時間変換処理を行うことで得られた履歴を、図10(iii)に示す。
この履歴の合計byte数は、16byteとなる。よって、図10(ii)の履歴と比較すると、2byte分のデータ量を圧縮できたことになる。
【0087】
さらに、台コンピュータ40の圧縮手段50は、図10(iii)に示された履歴にもとづいて、統合処理を行う。ここでは、計数信号sk1〜sk3の検知情報(1)〜(3)が、一つの統合情報(1)〜(3)に統合される。
この統合情報(1)〜(3)を含む履歴を、図10(iv)に示す。この履歴の合計byte数は、8byteとなる。よって、図10(ii)の履歴と比較すると、10byte分のデータ量を圧縮できたことになる。
【0088】
このように、基準時刻が出力時刻より以前の時刻である場合でも、相対時間を算出することができる。
ただし、この方法では、次のような状況が生じていた。
島コンピュータ60は、複数の台コンピュータ40から中継信号(第一中継信号)を受信し、その受信した順番でホールコンピュータ70に中継信号(第二中継信号)を送信している。このため、台コンピュータ40では、一度中継信号を送信すると、次に送信するまでに時間的間隔が空いていた。また、遊技用装置から出力される遊技情報信号には、遊技機10にて何らかのイベント(特賞や不正など)が発生したことを知らせる情報が含まれており、こうした情報は、ホールコンピュータ70にリアルタイムに送信されることが望まれる。そこで、島コンピュータ60が複数の台コンピュータ40のすべてから中継信号を受信するのに要する時間(例えば、1秒)を設定したときに、この時間を遵守するように、一の台コンピュータ40から送信されるデータ量に上限を設けている。
例えば、24台の台コンピュータ40が1つの島コンピュータ60に中継信号を送信する場合には、8個分の検知情報がデータ量の上限数とされる。
【0089】
このように、検知情報8個分という上限数が設けられた場合には、次の状況が生じる。
例えば、図11に示すように、各台計数機30から計数信号sk1、sk2、sk3、sk4が出力され、アウトメータ20からアウト信号so1が出力され、遊技機10からセーフ信号ss1と図柄確定信号st1が出力されたものとする。
ここで、一つ目のデータ送信時刻を0ms、二つ目のデータ送信時刻を500msとすると、この二つ目のデータ送信時刻(500ms)で送信される履歴は、8個分の検知情報となる。具体的には、図12(i)に示すように、計数信号sk1、sk2、sk3の各検知情報(1)、(4)、(7)と、アウト信号so1に関する検知情報(2)、(3)と、セーフ信号ss1に関する検知情報(5)、(6)と、図柄確定信号st1のONの時点の検知情報(8)とを含む履歴となる。つまり、このデータ送信時刻500msの時点では、図柄確定信号st1のOFFの時点の検知情報(9)と、計数信号sk4の検知情報(10)は、送信されず、次のデータ送信時刻900msまで記憶手段47に保存されることになる。
【0090】
三つ目のデータ送信時刻(900ms)では、記憶手段47に保存されていた検知情報(9)と(10)が送信される。
このとき、検知情報(9)と(10)は、二つ目のデータ送信時刻(500ms)を基準時刻として更新されて、相対時間が算出される。そうすると、検知情報(9)に係る図柄確定信号st1と、検知情報(10)に係る計数信号sk4は、二つ目のデータ送信時刻(500ms)よりも以前に出力された信号であるため、図12(ii)に示すように、相対時間がマイナス(−)の値として算出されてしまう。そして、そのマイナスを表現するためのbitが必要となることから、中継信号の容量が増えてしまうという状況が生じていた。
そこで、基準時刻を出力時刻よりも後の時刻とする。具体的には、図13(i)に示すように、データ送信時刻500msで送信される履歴については、そのデータ送信時刻500msを基準時刻として相対時間を算出し、また、図13(ii)に示すように、データ送信時刻900msで送信される履歴については、そのデータ送信時刻900msを基準時刻として相対時間を算出する。このように、基準時刻を出力時刻よりも後の時刻とすることで、図13(i)、(ii)に示すように、相対時間がプラス(+)となることから、マイナスを表現するためのbitが不要となり、その分中継信号の容量が増えることがなくなる。
【0091】
(4)台コンピュータの動作手順
次に、本実施形態の台コンピュータの動作手順について、図14を参照して説明する。
図14は、本実施形態の台コンピュータの動作手順を示すフローチャートである。
【0092】
図14に示すように、台コンピュータ40において、初期化処理が実行される(S10)。この初期化処理には、(2-1)で説明した遊技情報信号の検知点の設定が含まれる。
次いで、遊技機10、アウトメータ20、各台計数機30のいずれかから遊技情報信号が出力されると、その遊技情報信号が台コンピュータ40の通信手段41で受信される(遊技情報信号の出力あり?、S11のYes)。なお、通信手段41は、遊技情報信号を受信することから、「受信手段」としての機能を有している。
【0093】
出力検知手段42は、通信手段41で受信された遊技情報信号を、検知点設定手段43で設定された検知点で検知する。
出力時刻計測手段45は、出力検知手段42で遊技情報信号が検知された時刻を測定し、これを遊技情報信号が遊技用装置から出力された時刻として特定し、この特定した時刻を当該遊技情報信号の検知時点の出力時刻とする。
制御手段51は、出力検知手段42で検知された遊技情報信号の種類を特定する。そして、履歴作成手段46は、出力時刻計測手段45で特定された遊技情報信号の出力時刻と、制御手段51が特定した遊技情報信号の種類と、特定した遊技情報信号の信号数とを関連付け、検知情報として、記憶手段47に記憶させる(S12)。この検知情報は、出力検知手段42で遊技情報信号が検知されるたびに作成されて記憶される。これにより、記憶手段47には、検知情報が履歴として蓄積される。
【0094】
島コンピュータ60からのポーリングが通信手段41で受信されると(S13のYes)、制御手段51は、記憶手段47に履歴が保存されているか否かを判断する(S14)。
判断の結果、記憶手段47に履歴が保存されていないときは、履歴以外の情報を島コンピュータ60に送信する(S15)。履歴以外の情報には、今回のポーリングの時刻、ファースト接点レベル、ヘッダー、コマンド番号などがある。
一方、記憶手段47に履歴が保存されているときは、制御手段51は、履歴として記憶されている検知情報の数を数える。そして、その検知情報の数が上限数(例えば、8個)よりも多いか否かを判断する(S16)。
【0095】
判断の結果、履歴として記憶されている検知情報の数が上限数以下のときは、基準時刻設定手段48は、島コンピュータ60からのポーリングが通信手段41で受信された時刻を基準時刻として設定し、相対時間算出手段49は、検知情報を記憶手段47から取り出すと、基準時刻設定手段48で設定された基準時刻にもとづいて、それら検知情報の出力時刻を相対時間に変換する(S17)。
また、圧縮手段50は、所定の条件下、変換後の検知情報に対して、統合処理を実行する(S18)。
さらに、通信手段41は、履歴と、履歴以外の情報を、中継信号として、島コンピュータ60に送信する(S19)。なお、通信手段41は、相対時間を含む中継信号を島コンピュータ60(上流装置)に送信することから、「送信手段」としての機能を有している。
そして、制御手段51は、送信された履歴を記憶手段47から消去(クリア)する(S20)。
その後は、S11以降の処理が実行される。
【0096】
また、S16の判断の結果、履歴として記憶されている検知情報の数が上限数よりも多いときは、基準時刻設定手段48が、島コンピュータ60からのポーリングが通信手段41で受信された時刻を基準時刻として設定し、相対時間算出手段49が、上限数を超えない数の検知情報を記憶手段47から取り出すと、基準時刻設定手段48で設定された基準時刻にもとづいて、それら検知情報の出力時刻を相対時間に変換する(S21)。
また、圧縮手段50は、所定の条件下、変換後の検知情報に対して、統合処理を実行する(S22)。
【0097】
さらに、通信手段41は、上限数を超えない数の検知情報又は統合情報を含む履歴と、履歴以外の情報を、島コンピュータ60に送信する(S23)。
そして、制御手段51は、送信された検知情報を記憶手段47から消去(クリア)する(S24)。これにより、記憶手段47には、送信されなかった検知情報(上限数を超過した分の検知情報)が記憶される(S25)。
その後は、S11以降の処理が実行される。
【0098】
このように、台コンピュータ40において、相対時間変換処理(S17、S21)や統合処理(S18、S22)とを行うことにより、島コンピュータ60に送信する履歴のデータ量を削減できる。
【0099】
(5)島コンピュータの動作手順
次に、島コンピュータの動作について、図15を参照して説明する。
図15に示すように、島コンピュータ60においては、初期化処理が実行される(S30)。
次いで、島コンピュータ60の制御手段64は、N=N+1を実行する(S31)。ここで、「N」とは、当該島コンピュータ60に接続されている台コンピュータ40の数(当該島コンピュータ60に対して中継信号を送信する台コンピュータ40の数)をいう。つまり、以降に説明するS32〜S35の処理が、N個の台コンピュータ40のすべてに対して実行されたか否かを判断するために、Nをカウントするものである。
【0100】
通信手段61は、N番目の台コンピュータ40に対してポーリングを送信する(S32)。
次いで、制御手段64は、N番目の台コンピュータ40からポーリングへの応答があったか否かを判断する(S33)。この判断は、例えば、物理的に接続されているか否かで判断される。
判断の結果、N番目の台コンピュータ40からポーリングへの応答がなかったときは、S38以降の処理が実行される。
【0101】
一方、N番目の台コンピュータ40からポーリングへの応答があったときは、制御手段64は、その台コンピュータ40から履歴が送信されてきたか否か(その台コンピュータ40からの履歴が通信手段61で受信されたか否か)を判断する(S34)。なお、通信手段61は、履歴を含む中継信号を受信することから、「受信手段」としての機能を有している。
判断の結果、その台コンピュータ40から履歴が送信されてきていないときは、S38以降の処理が実行される。
一方、その台コンピュータ40から履歴が送信されてきていたときは、解凍手段63が、その履歴(圧縮処理された履歴)を解凍し、この解凍後の履歴を遊技情報履歴記憶手段62に記憶させる(S35)。この島コンピュータ60で作成される履歴には、例えば、「年月日時分秒」、「(アウト、セーフなど)接点名称」、「(特賞、ドア開、稼働などの)開始終了情報」、「差分値(カウント値)」などの情報が含まれる。なお、解凍手段63が行う解凍処理については、後記の「(6)解凍処理」にて詳述する。
【0102】
続いて、制御手段64は、Nが台コンピュータ40の総数(例えば、24)に達しているか否かを判断する(S36)。
判断の結果、Nが台コンピュータ40の総数に達しているときは、そのNに0を代入する(S37)。
一方、Nが台コンピュータ40の総数に達していないときは、Nに0を代入する処理を実行しない。
【0103】
そして、制御手段64は、ホールコンピュータ70との通信が接続されているか否かを判断する(ホールコンピュータとの通信オンライン?、S38)。
判断の結果、ホールコンピュータ70との通信が接続されていないときは、S31以降の処理が実行される。
一方、ホールコンピュータ70との通信が接続されているときは、制御手段64は、当該島コンピュータ60で作成された履歴が遊技情報履歴記憶手段62に保存されているか否かを判断する(S39)。
判断の結果、島コンピュータ60で作成された履歴が遊技情報履歴記憶手段62に保存されていないときは、S31以降の処理が実行される。
一方、島コンピュータ60で作成された履歴が遊技情報履歴記憶手段62に保存されているときは、通信手段61は、島コンピュータ60で作成した履歴をホールコンピュータ70に送信する(S40)。
【0104】
(6)解凍処理
次に、島コンピュータ60の解凍手段63で実行される解凍処理について、図16を参照して説明する。図16は、図9(iii)に示された履歴を解凍した結果を示す図表である。
解凍処理とは、台コンピュータ40から送信されてきた中継信号(履歴)に含まれている検知情報又は統合情報を、島コンピュータ60が管理する履歴の各情報に変換する処理をいう。特に、この解凍処理には、台コンピュータ40から送信されてきた履歴に含まれている相対時間にもとづいて、遊技情報信号が遊技用装置から出力された時刻である出力時刻を算出する処理が含まれる。
【0105】
ここで、島コンピュータ60が管理する履歴の各情報には、図16に示すように、「出力時刻」と、「接点」と、「差分値」がある。
ここで、「出力時刻」とは、遊技情報信号が遊技用装置から出力された時刻をいう。この「出力時刻」の算出処理については、後述する。
「接点」とは、遊技情報信号の種類をいう。この「接点」には、台コンピュータ40から送信されてきた履歴に含まれる検知情報又は統合情報の「接点」がそのまま記される。
「差分値」とは、遊技情報信号が出力された回数(遊技情報信号の信号数)をいう。この「差分値」には、台コンピュータ40から送信されてきた履歴に含まれる検知情報又は統合情報の「差分値」がそのまま記される。
なお、島コンピュータ60が管理する履歴の情報には、これらの他に、例えば、「(特賞、ドア開、稼働などの)開始終了情報」などを含めることができる。
【0106】
次に、「出力時刻」の算出処理について説明する。
この算出処理は、島コンピュータ60の解凍手段63が実行する。解凍手段63は、基準時刻である「データ送信時刻」から相対時間である「ターンアラウンド時刻」を減算して「出力時刻」を算出することにより、「ターンアラウンド時刻(相対時間)」を「出力時刻」に変換する。具体的には、次の手順で行われる。
遊技情報履歴記憶手段62には、台コンピュータ40から送信されてきた履歴が記憶されている。この履歴には、基準時刻である「データ送信時刻」と一又は二以上の検知情報又は統合情報が関連付けられており、それら検知情報又は統合情報には、「ターンアラウンド時刻(相対時間)」が含まれている。また、「データ送信時刻」は、例えば、「11:00:01:500」のように絶対時刻で表現されるデータとして記憶されている。解凍手段63は、それら「データ送信時刻」と「ターンアラウンド時刻(相対時間)」とを取り出して、「データ送信時刻」から「ターンアラウンド時刻(相対時間)」を減算する。
例えば、図9(iii)及び図16に示すように、「データ送信時刻」を「11:00:01:500」、「ターンアラウンド時刻(相対時間)」を200とすると、「出力時刻」は、「11:00:01:500」−200ms=「11:00:01:300」となる。また、「ターンアラウンド時刻(相対時間)」を120とすると、「出力時刻」は、「11:00:01:380」となる。
そして、変換された「出力時刻」は、遊技情報信号の種類を示す「接点」と、遊技情報信号の信号数を示す「差分値」(変換前の「ターンアラウンド時刻」に関連付けられていた「接点」及び「差分値」)に関連付けられて、遊技情報履歴記憶手段62に記憶される。
【0107】
また、この「出力時刻」の算出処理は、台コンピュータ40から送信されてきた履歴に含まれている「ターンアラウンド時刻」のすべてに対して実行される。しかも、それら「ターンアラウンド時刻」を「出力時刻」に変換する際には、それら「ターンアラウンド時刻」に関連付けられていた基準時刻である「データ送信時刻」が使用される。
このような手順により、解凍手段63は、台コンピュータ40から送信されてきた履歴に含まれる検知情報又は統合情報の「ターンアラウンド時刻(相対時間)」を、島コンピュータ60が管理する履歴の「出力時刻」に変換することができる。
【0108】
また、履歴として台コンピュータ40から送信されてきた「差分値」については、その「差分値」の示す値が、そのまま島コンピュータ60の遊技情報履歴記憶手段62に記憶される。つまり、遊技情報履歴記憶手段62には、台コンピュータ40で統合された遊技情報信号の信号数(統合処理で積み増しされた遊技情報信号の信号数)がそのまま「差分値」として記憶される。よって、遊技情報信号のそれぞれについての遊技情報を記憶する場合と比較して、遊技情報履歴記憶手段62の記憶容量を削減できる。
【0109】
なお、解凍処理後の履歴は、島コンピュータ60の遊技情報履歴記憶手段62に記憶されるとともに、ホールコンピュータ70に送信される。ホールコンピュータ70は、その履歴を遊技情報履歴記憶手段72に記憶させる。そして、遊技ホールの管理者が操作手段75を操作したときなどにおいて、波形再現手段73は、遊技情報履歴記憶手段72からその履歴を取り出し、波形を再現して表示手段74に表示させることができる。
【0110】
(7)ホールコンピュータにおける波形再現処理
次に、ホールコンピュータにおける波形再現処理について、図16、図8を参照して説明する。
波形再現処理とは、島コンピュータ60から送信されてきた履歴にもとづいて、遊技用装置から出力された遊技情報信号を、波形のかたちで時系列的に並べて目視可能に表示手段74に表示する処理をいう。
【0111】
具体的には、例えば、島コンピュータ60から送信されてきた履歴が、図16に示す内容である場合、波形再現手段73は、その履歴を構成する各情報(「出力時刻」、「接点」、「差分値」)にもとづいて、遊技情報信号を示す波形を、それら遊技情報信号毎の時間軸上に並べていく。
例えば、図16に示す履歴のうち、「出力時刻」である「11:00:01:300」と、「接点」である「計数OFF」と、「差分値」である「3」にもとづいて、図8に示された計数信号sk1〜sk3の波形が形成されて表示される。すなわち、「接点」が「計数OFF」であることから、計数信号がOFFの時点で検知されたものと判断し、「出力時刻」が「11:00:01:300」であることから、その計数信号を示す波形を、計数信号の時間軸上の「11時00分01秒300ms」の時点に配置する。また、「差分値」が「3」であることから、その計数信号が3回出力されたものと判断し、「11時00分01秒300ms」の時点に配置した計数信号を計数信号sk3として、この計数信号sk3の配置された時刻よりも以前の時刻に、計数信号sk1を示す波形とsk2を示す波形をそれぞれ配置する。これにより、図16に示す履歴にもとづいて、計数信号sk1〜sk3の波形を、表示手段74に表示させることができる。
【0112】
なお、計数信号sk1、sk2を示す波形は、計数信号sk3を示す波形が配置された時刻から所定時間間隔離れた時刻(例えば、計数信号sk2を示す波形は、計数信号sk3を示す波形から100ms手前に離間した時刻、計数信号sk1を示す波形は、計数信号sk3を示す波形から200ms手前に離間した時刻)に配置することができる。
【0113】
また、図16に示す履歴のうち、「出力時刻」である「11:00:01:380」と、「接点」である「セーフON」と、「差分値」である「0」にもとづいて、セーフ信号ss2の波形のうちのONの時刻が特定される。さらに、図16に示す履歴のうち、「出力時刻」である「11:00:01:430」と、「接点」である「セーフOFF」と、「差分値」である「1」にもとづいて、セーフ信号ss2の波形のうちのOFFの時刻が特定される。そして、これらにより、セーフ信号の時間軸上に、セーフ信号ss1の波形が形成され、表示手段74に表示される。
同様にして、計数信号sk4、sk5を示す波形が、計数信号の時間軸上に配置される。
その結果、図16に示す履歴にもとづいて、図8に示すタイムチャート(データ送信時刻1000msから1500msまでの間に示された波形)が、表示手段74に表示される。
このような方法により、ホールコンピュータ70は、島コンピュータ60から送信されてきた履歴にもとづいて、遊技用装置から出力された遊技情報信号を、時系列に並べた波形として、目視可能に再現することができる。
【0114】
以上説明したように、本実施形態の中継装置及び遊技場システムによれば、中継装置である台コンピュータが、遊技情報信号の出力時刻である出力時刻を相対時間に変換する処理や、検知した遊技情報信号に関する複数の検知情報を一の統合情報に統合する処理を行うことにより、島コンピュータに送信する遊技情報のデータ量を減らすことができ、その中継信号の容量を削減できる。
また、相対時間を算出する場合に、出力時刻同士の時間的差分を用いるのではなく、遊技情報信号が出力された時刻以外の時刻である基準時刻と出力時刻との差分を相対時間としたため、例えば一営業時間において最初に出力された遊技情報信号や最後に出力された遊技情報信号についても相対時間を算出できる。よって、すべての遊技情報信号を履歴に反映させることができ、遊技情報を正確に算出できる。
【0115】
以上、本発明の中継装置及び遊技場システムの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る中継装置及び遊技場システムは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、中継装置の例として台コンピュータを挙げて説明したが、これ限るものではなく、島コンピュータを中継装置として使用することもできる。
また、台コンピュータでは、接点の種類(遊技情報信号の種類)がわかるようにしているが、この構成に限るものではなく、例えば、接点番号を島コンピュータに送って、島コンピュータで接点番号が何かを特定するようにしてもよい。
【0116】
さらに、波形を再現するためにホールコンピュータに、島コンピュータで作成されたデータを全て送るようにしているが、この構成に限るものではなく、例えば、遊技情報の算出に必要のない一部の出力時刻などは送らないようにし、波形を再現するときにホールコンピュータが島コンピュータに取りに行くようにしてもよい。
また、遊技情報信号に含まれる各種信号のうち、状態信号(特賞信号、確変信号、時短信号、ドア開信号など)以外は、レベル変化又は差分値変化のどちらでもよい。
さらに、遊技情報信号には、売上時の信号(例えば、1万円札を投入すると100パルス出力される信号)を含めることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、遊技用装置から出力される遊技情報信号や、台コンピュータから島コンピュータへ送信される中継信号に関する発明であるので、それら遊技情報信号や中継信号を扱う装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 遊技場システム
10 遊技機
20 アウトメータ
30 各台計数機
40 台コンピュータ(中継装置)
41 通信手段
42 出力検知手段
43 検知点設定手段
45 出力時刻計測手段
46 履歴作成手段
47 記憶手段
48 基準時刻設定手段
49 相対時間算出手段
50 圧縮手段
60 島コンピュータ
62 遊技情報履歴記憶手段(記憶手段)
63 解凍手段
70 ホールコンピュータ
73 波形再現手段
74 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場に設けられた遊技用装置に接続されるとともに、遊技の進行にともなって前記遊技用装置から出力された信号を遊技情報信号として受信して上流装置へ中継する中継装置であって、
前記遊技情報信号を受信する受信手段と、
所定の時刻を基点として時間を計測する計時手段と、
この計時手段が計測する時間軸上で、前記遊技情報信号が前記遊技用装置から出力された時刻を計測し、この計測により得られた時刻を表す数値を出力時刻とする出力時刻計測手段と、
前記計時手段が計測する時間軸上で、前記出力時刻とは異なる時刻を基準時刻として設定する基準時刻設定手段と、
設定された前記基準時刻と前記出力時刻との時間的差分を前記出力時刻毎の相対時間として算出する相対時間算出手段と、
前記基準時刻、この基準時刻との前記時間的差分が算出された前記遊技情報信号の種類、及び算出された前記相対時間をそれぞれ関連付けて記憶する記憶手段と、
少なくとも、前記遊技情報信号の種類と、この遊技情報信号の種類に関連付けられた前記相対時間とを前記上流装置に送信する送信手段と、を有し、
前記遊技情報信号は、少なくともアウト信号とセーフ信号を含む複数種類の遊技情報信号からなり、
前記相対時間算出手段は、前記複数種類の遊技情報信号について一の前記基準時刻に対する前記相対時間をそれぞれ算出し、
前記上流装置が前記相対時間を前記出力時刻に変換する際に前記基準時刻設定手段が設定した前記基準時刻を使用する場合、前記送信手段は、前記相対時間算出手段で前記複数種類の遊技情報信号について一の前記基準時刻に対して算出された前記相対時間と、前記一の基準時刻と、前記遊技情報信号の種類とを関連付けて、前記上流装置へ送信する
ことを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記相対時間算出手段は、前記出力時刻よりも後の時刻を示す前記基準時刻と前記出力時刻との時間的差分を、前記相対時間として算出する
ことを特徴とする請求項1記載の中継装置。
【請求項3】
前記基準時刻設定手段は、所定のイベント毎に前記基準時刻を設定し、
前記相対時間算出手段で算出される前記相対時間を示すデータ容量は、前記出力時刻を示すデータ容量よりも小さい
ことを特徴とする請求項1又は2記載の中継装置。
【請求項4】
前記受信手段で受信された遊技情報信号を検知する出力検知手段と、
この出力検知手段で前記遊技情報信号が検知されると、この検知点における前記遊技情報信号の前記出力時刻と、検知された前記遊技情報信号の種類と、検知された前記遊技情報信号の信号数とを関連付けて、検知情報として前記記憶手段に記憶させるとともに、前記出力検知手段で前記遊技情報信号が検知されるごとに前記検知情報を履歴として前記記憶手段に記憶させる履歴作成手段と、
所定の条件下で、複数の前記検知情報を一つの統合情報に統合する圧縮手段と、
前記出力検知手段が前記遊技情報信号を検知するタイミングとして、前記遊技情報信号のONのみ、OFFのみ、ONとOFFの両方、のうちの何れを検知させるかを、前記遊技情報信号の種類毎に設定する検知点設定手段とを有し、
前記圧縮手段は、
前記検知点設定手段で、ONのみ、又は、OFFのみ、が設定された前記遊技情報信号が前記出力検知手段で連続して複数検知され且つ検知された複数の前記遊技情報信号の種類がいずれも同じであるときには、これら連続して検知された複数の遊技情報信号のそれぞれの検知情報を一つの統合情報に統合し、この統合を行うときに、前記連続して検知された複数の遊技情報信号の信号数の和を、前記統合情報の一つとし、
前記検知点設定手段で、ONとOFFの両方、が設定された遊技情報信号が連続して複数検知されたときには、これら連続して検知された複数の前記遊技情報信号の種類が同一であるか否かに関わらず前記統合を行わない
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中継装置。
【請求項5】
前記基準時刻設定手段は、所定の前記基準時刻を設定し、
前記相対時間算出手段は、前記記憶手段に記憶された一又は二以上の前記検知情報の中から、所定の上限数を超えない数の検知情報を取り出し、この取り出した検知情報のそれぞれに含まれている前記出力時刻を、前記所定の基準時刻にもとづいて前記相対時間に変換し、
前記送信手段は、前記相対時間算出手段で変換された前記相対時間を含む検知情報と前記所定の基準時刻とを関連付けて、前記上流装置へ送信し、
前記記憶手段は、前記送信手段が送信しなかった検知情報を継続して記憶し、
前記基準時刻設定手段は、前記基準時刻を新たに設定し、
前記相対時間算出手段は、前記記憶手段に記憶されている検知情報の中から、上限数を超えない数の検知情報を古いものから順に取り出し、この取り出した検知情報のそれぞれに含まれている前記出力時刻を、前記新たな基準時刻にもとづいて前記相対時間に変換し、
前記送信手段は、前記相対時間算出手段で変換された前記相対時間を含む検知情報と前記新たな基準時刻とを関連付けて、前記上流装置へ送信する
ことを特徴とする請求項4記載の中継装置。
【請求項6】
前記基準時刻は、前記送信手段が前記検知情報又は前記統合情報を前記上流装置に送信する時刻、又は、前記上流装置から前記中継装置へポーリングが行われた時刻である
ことを特徴とする請求項5記載の中継装置。
【請求項7】
遊技場に設けられた遊技用装置と、遊技の進行にともなって前記遊技用装置から出力された遊技情報信号を受信して上流装置へ中継する中継装置とを備えた遊技場システムであって、
前記中継装置は、前記請求項1〜6のいずれかに記載の中継装置からなる
ことを特徴とする遊技場システム。
【請求項8】
前記遊技用装置は、遊技媒体を計数する計数手段を備え、
この計数手段は、前記遊技媒体を一つ計数する毎に、この計数結果を示す遊技情報信号を前記中継装置に送信する
ことを特徴とする請求項7記載の遊技場システム。
【請求項9】
前記中継装置は、
前記遊技用装置から前記遊技情報信号が出力された時刻を出力時刻とし、この出力時刻と所定の基準時刻との時間的差分を前記出力時刻毎の相対時間として算出するとともに、前記遊技用装置から出力された複数種類の遊技情報信号について一の基準時刻に対して前記相対時間を算出する相対時間算出手段と、
前記一の基準時刻に対して算出された前記相対時間と、前記遊技情報信号の種類と、前記遊技情報信号の信号数とを関連付け、これらを中継信号として前記上流装置へ送信する送信手段とを有し、
前記上流装置は、
前記中継装置から前記中継信号を受信する受信手段と、
前記中継信号として送信されてきた前記相対時間と前記遊技情報信号の種類と前記遊技情報信号の信号数とを関連付けて記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された前記相対時間とこの相対時間に関連付けられた前記一の基準時刻とを使用して、前記相対時間を前記出力時刻に変換する解凍手段とを有した
ことを特徴とする請求項7又は8記載の遊技場システム。
【請求項10】
前記上流装置は、前記中継信号に含まれる情報にもとづいて、前記遊技用装置から出力された遊技情報信号の波形を、時系列に並べて、目視可能に表示手段に表示させる波形再現手段を有した
ことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の遊技場システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−59379(P2013−59379A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198205(P2011−198205)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】