説明

中間転写ベルトの製造方法、中間転写ベルト、画像形成装置

【課題】二次転写後のクリーニング部材によるトナーの除去における耐摩耗性、耐キズ性等の耐久性及び耐フィルミング性に優れた表面層を有する中間転写ベルト及びこの中間転写ベルトを使用した画像形成装置を提供することである。
【解決手段】基材の上に少なくとも1層の表面層を有する電子写真方式の画像形成装置に使用する中間転写ベルトの製造方法において、前記表面層が少なくとも活性エネルギー線硬化型モノマーと、ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体とを有する表面層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し形成することを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式の画像形成装置に使用する中間転写ベルトの製造方法、中間転写ベルト、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザープリンタ等の電子写真方式の画像形成装置は、近年では高画質フルカラー化、高品質化の要求が強く求められている。電子写真方式の画像形成装置は、従来から知られている様に、感光体を一様に帯電する帯電部材、感光体上に静電潜像を形成する露光部材、静電潜像をトナー像で現像する現像部材、得られたトナー像を転写体に転写する転写部材、トナー像を転写体上に定着させる定着部材、感光体上の残留トナーをクリーニングするクリーニング部材、感光体上の静電潜像を除去する除電部材等の構成部材を有している。
【0003】
電子写真方式の画像形成装置は、帯電したトナーを感光体上の静電潜像に接触或いは非接触で供給し、静電潜像を顕像にする現像過程を経て形成したトナー像を転写工程で中間転写ベルトに一次転写した後、転写材に二次転写し、更に定着して最終画像を形成するものである。中間転写体としては、基体に無端のベルトを使用した中間転写ベルトが知られている。
【0004】
転写工程では中間転写ベルトにトナー像を一次転写するための転写帯電と除電、転写後の中間転写体に残ったトナーを除去するためのブレードによるクリーニング等の様々な機械的及び電気的外力が中間転写体に加えられる。
【0005】
このため、中間転写ベルトにはこれらの外力に対する耐久性、即ち機械的強度や耐摩耗性及び電気的耐久性、フィルミングが発生しないと言った様々な特性が要求されている。
【0006】
耐久性とは、長時間の転写材への転写が可能となる性能を言う。中間転写ベルトの表面は転写材(例えば、紙等)へ二次転写した後、残存するトナーを除去するためクリーニングブレードで擦りクリーニングされるため、クリーニングブレードとの接触で表面の平滑性がなくなり、ヒビ割れが発生し感光体からの安定したトナー画像の転写が出来なくなる。又、引き回しでヒビ割れが発生する。
【0007】
フィルミングとは、転写材(例えば紙)へ二次転写した後、中間転写ベルトの表面をクリーニングブレードでクリーニングを行うのであるが、除去されずに残るトナーが徐々に集積される現象を言う。トナーが残る原因としては、1)中間転写ベルトの表面に発生したクラックにトナーが入り込む、2)クリーニングブレードとの接触等で表面に出来た凹部に溜まったトナーが残る等が挙げられる。フィルミングが発生した場所では転写率が低下し、画像スジやムラが発生し高画質化が出来ない。中間転写ベルトの耐久性に対してこれまでに多くの検討がされて来た。
【0008】
例えば、耐熱性、耐磨耗性に優れ、かつ離型性(又は忌避性)にも優れた画像転写用ベルト表面に少なくとも一種以上の耐熱樹脂を有し、主鎖部分がポリイミド構造、ポリベンゾイミダゾール構造、又はポリアミド構造を有し、主鎖部分から垂下したポリシロキサン構造の側鎖部分を有する耐熱樹脂で形成されたことを特徴とする画像転写用ベルトが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
ベース層、弾性層及び表面層の少なくとも3層構成を有し、表面層が、フッ素樹脂1質量部に対してフッ素ゴムを1質量部より多く、5質量部以下の割合で含むゴムラテックスと硬化剤とを有するものであるか、又は、フッ素樹脂とシリコーン成分とを含有する水系ウレタン樹脂と硬化剤とを有し、又、その表面層における表面エネルギーが20mN/mから40mN/mであり、且つ、ナノインデンターで測定した3μm押し込み時硬度が0.1MPaから1.5MPaの中間転写ベルトが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−191554号公報
【特許文献2】特開2010−15143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、次の欠点を有していることが判った。
1)樹脂のみの構成であり、そのため表面硬度が低く、転写効率が悪い。
2)トナーとの付着力が高く、フィルミングが発生しやすい。
3)離形性が悪く、ゴムブレードなどによる清掃性がよくない。
【0012】
又、特許文献2に記載の技術は、次の欠点を有していることが判った。
1)硬度が低いため、耐摩耗性や耐傷性が劣る。
2)硬度が低いため、清掃部材の選択幅が狭くなる。特にブレード清掃等が困難になる。
3)抵抗を調整するための因子の記載がなく、結果抵抗調整が難しい。
【0013】
この様な状況から、二次転写後のブレードによるトナーの除去による耐摩耗性、耐キズ性等の耐久性に優れた表面層を有する中間転写ベルトの製造方法、この製造方法により製造した中間転写ベルト及びこの中間転写ベルトを使用した画像形成装置の開発が望まれている。
【0014】
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、二次転写後のクリーニング部材によるトナーの除去における耐摩耗性、耐キズ性等の耐久性及びフィルミング耐性に優れた表面層を有する中間転写ベルトの製造方法、この製造方法により製造した中間転写ベルト及びこの中間転写ベルトを使用した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、中間転写ベルトの表面層の耐久性を良くするために、表面層にシロキサングラフト共重合体樹脂を使用した場合に、長期間使用した場合の耐久性が劣るかを検討した結果次のことが判った。
1.表面層の総厚に対して表面から0.5%の深さの部分のSi濃度が高く、表面から2%以上の深さでは殆ど存在していない。
2.この結果、ブレードやブラシによりトナーを除去する際、クリーニング部材を中間転写ベルトの表面に押圧され応力が集中するため表面層が削られ、ブレードやブラシと接触する表面層の表面はSi濃度が低い状態となっている。
3.このため、ブレードやブラシと接触する表面層の滑り性が低下し、ブレード、ブラシ等のクリーニング部材によりトナーを除去する際、クリーニング部材により押圧が掛けられた状態でブレードの表面層との接触面と表面層の間にトナーが挟まり、相対的に表面層が移動することでトナーにより表面層が削られキズが発生する。
4.Si濃度が低い状態となることで、中間転写ベルト上のトナーの離型性が悪くなりブレードやブラシによりトナーを除去する際、トナーやトナーの外添剤が中間転写ベルトに押し当てられることで、それらが中間転写ベルトを局所的に被覆するフィルミングが発生する。
【0016】
3.Si濃度が低い状態となることで、トナーと中間転写ベルト間の付着力が強く(離型性が悪い)なり、トナーが中間転写ベルトから紙等の被転写体に二次転写される際、トナーが被転写体に転写されず中間転写ベルト上に残存してしまい転写率が低下する。
【0017】
これらのことから、長期に使用した時の、トナーによる擦りキズ耐性を同時に上げ、中間転写ベルトの離型性を上げて耐フィルミング性を上げ、トナーと中間転写ベルト間の付着力を低下させ転写率を上げるには、表面層中に存在しているSiを表面だけでなく深さ方向にも存在する構成にすることが必要であることが判った。
【0018】
何故、ポリシロキサン樹脂を使用した時に、Siが表面に集中するのかを検討した結果、次の現象によるものであると推定した。
【0019】
1.シロキサングラフト共重合体の疎水性が高く、分子鎖が動き易いため、混在する樹脂との親和性が低く表面に移行しやすい。
【0020】
2.グラフトされたシロキサン部位の疎水性が高いため表面側に配向しやすい。
【0021】
更にポリシロキサン樹脂を使用した時に、Siが表面に集中するのを抑制する方法につき検討した結果、シロキサングラフト共重合体の分子鎖の動きを抑制することが効果的であることが判り、更にシロキサングラフト共重合体の分子鎖の動きを抑制するには、シロキサングラフト共重合体の構造を嵩高の構造とすることが有効であることが判り、表面層を活性エネルギー線硬化型モノマーと、ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体を有することにより、ベンゼン環が嵩高いために、分子鎖が動きにくいために、Siが、表面層の表面に集中することなく深さ方向にSiを存在させることが出来ることが判り、本発明に至った次第である。
【0022】
本発明の上記目的は下記の構成により達成された。
【0023】
1.基材の上に少なくとも1層の表面層を有する電子写真方式の画像形成装置に使用する中間転写ベルトの製造方法において、
前記表面層が少なくとも活性エネルギー線硬化型モノマーと、ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体とを有する表面層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し形成することを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。
【0024】
2.前記表面層の表面から前記表面層の総厚に対して2%から5%の深さのSi濃度が0.1%から10%であることを特徴とする前記1に記載の中間転写ベルトの製造方法。
【0025】
3.前記シロキサングラフト共重合体が、少なくとも下記一般式Aで示されるポリシロキサンモノマーと、下記一般式Bで示されるベンゼン環を含むモノマーからなる重合体であり、該一般式Aで示されるポリシロキサンモノマーが10%から30%、該一般式Bで示されるベンゼン環を含むモノマーが65%から85%の割合で重合し得られていることを特徴とする前記1又は2に記載の中間転写ベルトの製造方法。
【0026】
【化1】

【0027】
(R1は水素原子もしくはメチル基、R2は炭素数1から6のアルキレン基を示す。)
【0028】
【化2】

【0029】
(R1は水素原子もしくはメチル基、R3は炭素数1から6個のアルキレン基、もしくは酸素数1から3のエーテル、R4は炭素数1から6のアルキル基を示す。)
4.前記表面層形成用塗布液が、前記活性エネルギー線硬化型モノマー100部に対して、少なくとも前記シロキサングラフト共重合体を5部から100部含有していることを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の中間転写ベルトの製造方法。
【0030】
5.前記1から4の何れか1項に記載の中間転写ベルトの製造方法により製造されたことを特徴とする中間転写ベルト。
【0031】
6.前記5に記載の中間転写ベルトを使用したことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0032】
二次転写後のクリーニング部材によるトナーの除去における耐摩耗性、耐キズ性等の耐久性及びフィルミング耐性に優れた表面層を有する中間転写ベルトの製造方法、この製造方法により製造した中間転写ベルト及びこの中間転写ベルトを使用した画像形成装置を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】中間転写体として中間転写ベルトを使用した電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。
【図2】図1に示す中間転写体の中間転写ベルトの部分拡大概略断面図である。
【図3】図2に示す中間転写ベルトを製造する概略製造工程図である。
【図4】図3に示す硬化処理工程で使用している表面層(保護層)の硬化処理装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施の形態を図1から図4を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
図1は、中間転写体として本発明の中間転写ベルトを使用した電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。尚、本図はフルカラー画像形成装置の場合を示している。
【0036】
図中、1はフルカラー画像形成装置を示す。フルカラー画像形成装置1は、複数組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体形成ユニット7と、記録媒体Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としてのベルト式定着装置24とを有する。フルカラー画像形成装置1の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0037】
各感光体1Y、1M、1C、1Kに形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Y、感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。
【0038】
又、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。
【0039】
又、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。
【0040】
又、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成ユニット10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、一次転写手段としての一次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
【0041】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体として無端の中間転写ベルト70を有する。
【0042】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端の中間転写ベルト70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録媒体として用紙等の記録媒体Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aに搬送され、記録媒体(転写材)P上にカラー画像が一括転写される。
【0043】
カラー画像が転写された記録媒体(転写材)Pは、熱ローラ定着器270が装着された定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0044】
一方、二次転写ローラ5Aにより記録媒体(転写材)Pにカラー画像を転写した後、記録媒体(転写材)Pを曲率分離した無端の中間転写ベルト70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
【0045】
画像形成処理中、一次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
【0046】
二次転写ローラ5Aは、ここを記録媒体(転写材)Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、中間転写ベルト70に圧接する。
【0047】
又、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。筐体8は、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体形成ユニット7とを有する。
【0048】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端の中間転写ベルト70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとを有している。
【0049】
筐体8の引き出し操作により、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
【0050】
この様に感光体1Y、1M、1C、1Kの外周面上を帯電、露光し外周面上に潜像を形成した後、現像によりトナー像(顕像)を形成し、無端ベルト状の中間転写ベルト70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録媒体(転写材)Pに転写し、ベルト式定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。尚、本発明で像形成時とは潜像形成、トナー像(顕像)を記録媒体Pに転写し最終画像を形成することを含む。
【0051】
トナー像を記録媒体Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、各感光体1Y、1M、1C、1Kに配設されたクリーニング手段6Y、6M、6C、6Kで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
【0052】
上記カラー画像形成装置では、中間転写体をクリーニングするクリーニング手段6Aのクリーニング部材として、弾性ブレードを用いる。又、各感光体に脂肪酸金属塩を塗布する手段(11Y、11M、11C、11K)を設けている。尚、脂肪酸金属塩としては、トナーで用いたと同じものを用いることが出来る。
【0053】
本発明は、本図に1例として示す電子写真方式の画像形成装置に使用される中間転写ベルトの製造方法、この方法により製造した中間転写ベルト及びこの中間転写ベルトを使用した画像形成装置に関するものである。
【0054】
図2は図1に示す画像形成装置に使用されている中間転写体の中間転写ベルトの部分拡大概略断面図である。
【0055】
図中、70は中間転写ベルトを示す。中間転写ベルトは、環状の無端ベルト状の基体70aの上に表面層70bを有する構成を有している。
【0056】
環状の無端ベルト状の基体70aの硬度は、機械的強度、画質、製造コスト等を考慮し、20MPaから200MPaであることが好ましい。
【0057】
環状の無端ベルト状の基体70aの厚さEは、機械的強度、画質、製造コスト等を考慮し、50μmから250μmが好ましい。
【0058】
表面層70bの硬度はユニバーサル硬度(HU)(DIN 50359)で、ブレードによる擦りキズ、摩耗、耐久性、転写率、フィルミング、画質性画像品質等を考慮し、0.60GPa以上が好ましく、更には0.7GPaから1GPaがより好ましい。
【0059】
硬度は、超微小硬度計「H−100V(フィッシャーインストルメンツ社製)」を用いて下記条件で測定した値を示す。
【0060】
測定条件
測定機:微小硬度計「H−100V(フィッシャーインストルメンツ(株)製)」
圧子形状:ビッカース圧子(a=136°)
測定環境:20℃、60%RH
最大試験荷重:2mN
荷重速度:2mN/10sec
最大荷重クリープ時間:5sec
除荷速度:2mN/10sec
尚、測定は表面層70bと環状の無端ベルト状の基体70aで異なる方法で行った。表面層70bについては厚み1mmのアルミニウム板上に厚さ2μmとなる様に塗布・硬化し、ランダムに10点から30点測定した。又、環状の無端ベルト状の基体70aについては厚み1mmのアルミニウム板上に設置し、軸方向に均等間隔で5点、周方向に10点から30点測定した。各々それらの平均値をユニバーサル硬度(HU)とする。
【0061】
中間転写ベルトについては、周方向における場所によるユニバーサル硬度(HU)のムラは、試料1本当たりの平均値に対し最大値、最小値の値の差がユニバーサル硬度(HU)で、感光体上のトナー像を中間転写ベルトに転写する時の転写ムラ、画像濃度ムラ、画像品質等を考慮し、20%以下が好ましい。尚、ユニバーサル硬度のムラは下記式より求めた値である。
【0062】
ユニバーサル硬度のムラ=(同一軸上の周方向の最大硬度−同一軸上の周方向の最小硬度)/同一軸上の周方向の最大硬度
表面層70bの厚さFは、転写率、耐久性、フィルミング、画質を考慮し、0.5μmから5μmが好ましい。
【0063】
表面層70bの厚さFは、Fischer Instruments社製のフィッシャースコープ(登録商標)mmsにて測定した。
【0064】
環状の無端ベルト状の基体70aの構成は特に限定はなく、1層であってもよく、2層から構成されていても構わない。本図では1層で構成されている場合を示している。
【0065】
表面層70bの構成は特に限定はなく、1層であってもよく、2層から構成されていても構わない。本図では1層で構成されている場合を示している。
【0066】
表面層70bの表面自由エネルギーは、耐フィルミング性、転写性等を考慮し、30J/m以下であることが好ましい。更には、25J/mから20J/mがより好ましい。
【0067】
表面自由エネルギーは、協和界面科学(株)DropMasterを用いて測定した値を示す。
【0068】
尚、測定は表面層70b上を、ランダムに10点から30点行い、それらの平均値を表面自由エネルギーとする。
【0069】
表面層70bの表面70b1から総厚Fの2%から5%の深さにおけるSi含有率は、耐フィルミング性、転写効率、耐久性等を考慮し、0.1%から10%が好ましい。
【0070】
Si含有率AはX線光電子分光法(ESCA)により以下に示す条件で測定した値を示す。
【0071】
測定条件
中間転写ベルトを、1辺がおよそ10mmとなるように切り出し、下記Arイオンを用いたデプスプロファイル測定条件にて、1回に50秒間ずつ掘削した表面を下記条件でナロースペクトル測定(検出元素、C、O、Si)を行い、T秒掘削した時のケイ素元素含有率A(T)を求める。下記デプスプロファイル測定条件では、標準試料にて0.13nm/秒で掘削できることから、時間を深さ方向に換算した。尚、掘削する時間は試料の厚さに合わせ適宜変更することは可能である。
【0072】
<ESCA分析条件>
測定装置:K−Alpha(サーモサイエンティフィック社製)
測定光源:Al(モノクロメータ)
ビーム径:400μm
中和銃:ON
スペクトル:Narrowモード
測定元素:C、O、Si
パスエネルギー:50eV
ステップサイズ:0.1eV
デプスプロファイル測定条件(Arイオン)
掘削時間:50秒/回
加速電圧:1000eV
電流:LOW
掘削深度:0.13nm/秒
上記に示すESCA分析条件で、総厚が2μmの試料を分析する場合の例を次ぎに示す。50秒間掘削すると6.5nmの深さを掘削することになる。総厚が2μmの場合、総厚に対して2%の深さとは0.04μmに相当する。即ち、掘削深度が0.13nm/秒の場合では307.7秒(50秒間掘削を約6回繰り返し行う)を要することになる。
【0073】
尚、本図に示す中間転写ベルト70は、環状の無端ベルト状の基体70aの上に表面層70bを有する構成の場合を示しているが、環状の無端ベルト状の基体70aと表面層70bとの間に弾性層、中間層等を設けても構わない。
【0074】
図3は図2に示す中間転写ベルトを製造する概略製造工程図である。図3(a)は図2に示す中間転写ベルトを製造する概略フロー図である。図3(b)は図3(a)に示される塗布工程で使用する環状の無端ベルト状の基体の表面に表面層形成用塗布液を塗布する塗布装置の一例を示す概略図である。
【0075】
本発明の中間転写ベルトの製造方法に係わる中間転写ベルトの製造工程9は、基体としての無端ベルト状基体を製造する基体製造工程9aと、製造された環状の無端ベルト状の基体の表面に表面層形成用塗布液を塗布する塗布工程9bと、表面層形成用塗布液調製工程9cと、表面層形成用塗布液塗布工程で形成された表面層形成用塗布膜を硬化する硬化処理工程9dとを有している。
【0076】
基体製造工程9aでは図2に示す環状の無端ベルト状の基体70aが、従来公知の一般的な製造方法により製造される。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイを使用したインフレーション法により筒状に成形した後、輪切りにすることで環状の無端ベルト状の基体を作製することが出来る。又、特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等に記載の公知の方法で作製することが可能である。無端ベルトの製造に際しては、型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことが出来る。環状の無端ベルト状の基体70a(図2参照)としては、樹脂に導電剤を分散させ、導電性を有することが好ましい。
【0077】
表面層形成用塗布液調製工程9cは、表面層形成用塗布液調製容器9c1と、攪拌機9c2と、調製された表面層形成用塗布液を浸漬塗布装置9b1の塗布液供給タンク9b5に送る送液管9c3とを使用している。
【0078】
表面層形成用塗布液調製工程9cで調製される表面層形成用塗布液についての詳細の説明は後述する。
【0079】
9b1は塗布工程9bで使用している浸漬塗布装置を示す。浸漬塗布装置9b1は、塗布部9b2と、中間転写ベルト用の環状の無端ベルト状の基体の供給部9b3とを有している。塗布部9b2は塗布槽9b2aと、塗布槽9b2aの開口部9b2a1から溢れる塗布液を受けるため塗布槽9b2aの上部に配設されたオーバーフロー液の受け槽9b4と、塗布液供給タンク9b5と、送液ポンプ9b6とを有している。
【0080】
塗布槽9b2aは底部9b2a2と、底部9b2a2の周面から立ち上げられ側壁9b2a3を有し、上部が開口部9b2a1となった構造となっている。9b2a4は塗布槽9b2aの底部9b2a2に設けられた送液ポンプ9b6から送られてくる表面層形成用塗布液Sの塗布液供給口を示す。塗布槽9b2aは開口部9b2a1の径と底部9b2a2の径とが同じ円筒の形状をしている。
【0081】
9b41はオーバーフロー液の受け槽9b4の蓋を示し、中央に孔9b42を有している。9b43はオーバーフロー液の受け槽9b4の塗布液を塗布液供給タンク9b5に戻す塗布液戻し口を示す。Sは表面層形成用塗布液を示す。9b8は塗布液供給タンク9b5に設けられた攪拌用の羽根を示す。
【0082】
供給部9b3は、ボールネジ9b3aと、ボールネジ9b3aを回転させる駆動部9b3bと、ボールネジ9b3aの回転速度を制御する制御部9b3cと、ボールネジ9b3aに螺合されている昇降部材9b3dと、ボールネジ9b3aの回転に伴い昇降部材9b3dを上下方向(図中の矢印方向)に移動させるガイド部材9b3eとを有している。9b3fは昇降部材9b3dに取り付けられた中間転写ベルト用の環状の無端ベルト状の基体の保持部材を示す。尚、環状の無端ベルト状の基体70aは環状の無端ベルト状の基体の直径に合わせた円筒状又は円柱状部材3(図4参照)の表面に保持した状態となっている。保持部材9b3fは、保持された環状の無端ベルト状の基体70aが塗布槽9b2aのほぼ中央に位置する様に昇降部材9b3dに取り付けられている。
【0083】
ボールネジ9b3aの回転に伴い、昇降部材9b3dが上下方向に移動することで、昇降部材9b3dに取り付けられた保持部材9b3fに保持された環状の無端ベルト状の基体70aは、塗布槽9b2aの中の表面層形成用塗布液Sに浸漬され、その後引き上げられることで環状の無端ベルト状の基体70aの表面に塗布液が塗布される。
【0084】
環状の無端ベルト状の基体70aの引き上げる速度は、使用する表面層形成用塗布液Sの粘度により適宜変更する必要があり、例えば塗布液の粘度が10mPa・sから200mPa・sの場合は、塗布均一性、塗布膜厚、乾燥等を考慮し、0.5mm/secから15mm/secが好ましい。図2に示す浸漬塗布装置を使用し、環状の無端ベルト状の基体70aの表面に表面層形成用塗布液Sを塗布した後は、硬化処理工程9dで活性エネルギー線を照射し、表面層形成用塗膜を硬化することで塗膜が形成される。硬化する前に塗膜を加熱乾燥してもよい。乾燥温度は60℃から100℃が望ましい。
【0085】
本図は、浸漬塗布方法について説明したものであるが、環状の無端ベルト状の基体70aの表面に表面層形成用塗布液Sを塗布する方法は特に限定はなく公知の塗布方法適用することが出来る。例えば、環状塗布槽を使用した環状塗布方法、スプレイ塗布方法、超音波アトマイザーによる塗布方法等が挙げられる。
【0086】
硬化処理工程9dは硬化処理装置2(図4参照)を使用している。硬化処理工程9dで表面層形成用塗膜に活性エネルギー線を照射することで硬化処理が行われ、図1に示す表面層70bが形成される。硬化処理装置2(図4参照)に付いては図4で説明する。
【0087】
尚、中間転写ベルトが環状の無端ベルト状の基体70aと表面層70bとの間に弾性層又は中間層を有する構成の場合、弾性層及び中間層も本図に示す浸漬塗布装置を使用し形成することが可能である。
【0088】
図4は図3に示す硬化処理工程で使用している表面層の硬化処理装置の一例を示す概略図である。図4(a)は図3に示す硬化処理工程で使用している表面層の硬化処理装置の一例を示す概略斜視図である。図4(b)は図4(a)に示すA−A′に沿った概略拡大断面図である。
【0089】
図中、2は環状の無端ベルト状の基体70aの表面層70bの硬化処理装置を示す。硬化処理装置は活性エネルギー線照射装置201と、表面に形成された表面層形成用塗布膜を有する環状の無端ベルト状の基体70aを保持した円筒状又は円柱状部材3の保持装置202とを有している。活性エネルギー線照射装置201は円筒状又は円柱状部材3と対向する位置に配設されており、保持装置202に保持され環状の無端ベルト状の基体70aを保持した円筒状又は円柱状部材3上の表面層形成用塗膜に対して活性エネルギー線を照射する様になっている。表面層形成用塗膜に活性エネルギー線を照射することで硬化処理が行われ、図2に示す表面層70bが形成される。
【0090】
活性エネルギー線照射装置201は筐体201aと、筐体201aの内部に納められた活性エネルギー線源201bと、活性エネルギー線源201bのエネルギー制御装置(不図示)とを有している。活性エネルギー線照射装置201は硬化処理装置2のフレーム(不図示)に固定して配設されている。201cは筐体201aの底部(環状の無端ベルト状の基体70aの表面と対向する面)に設けられた活性エネルギー線の照射口を示す。
【0091】
Lは照射口201cと環状の無端ベルト状の基体70aの表面層形成用塗膜表面までの距離を示す。距離Lは、活性エネルギー線の強度、表面層形成用塗膜の種類等により適宜設定することが可能となっている。
【0092】
保持装置202は第1保持台202aと、第2保持台202bと、駆動用モーター202cとを有している。
【0093】
駆動用モーター202cは第1保持台202a上に配設されており、円筒状又は円柱状部材3は、円筒状又は円柱状部材3の取り付け軸と接続部材を介して駆動用モーター202cの回転軸に接続されている。
【0094】
第2保持台202bには円筒状又は円柱状部材3の他方の取り付け軸を受ける軸受け部202dが配設されており、これにより、活性エネルギー線照射装置201により活性エネルギー線を照射する時、駆動用モーター202cの回転により円筒状又は円柱状部材3を回転させながら保持することが可能となっている。
【0095】
活性エネルギー線を照射する時の円筒状又は円柱状部材3の回転速度(周速度)は、硬化ムラ、硬度、硬化時間等を考慮し、10mm/sから300mm/sが好ましい。
【0096】
本図は活性エネルギー線照射装置201を固定し、円筒状又は円柱状部材3を回転させ活性エネルギー線を照射する場合を示しているが、円筒状又は円柱状部材3を固定し、感円筒状又は円柱状部材3の周囲に沿って活性エネルギー線照射装置201を移動させる方式で合ってもよい。又、本図は円筒状又は円柱状部材3を横置きにした場合を示しているが、円筒状又は円柱状部材3を縦置きにしても勿論構わない。
【0097】
本発明に使用することが出来る活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、γ線等で、形成された活性エネルギー線硬化型樹脂を活性化させるエネルギー源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が好ましい。特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。又、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることが出来る。スポット状の活性エネルギー線を照射するには紫外線レーザーを使用することが好ましい。
【0098】
又、電子線も同様に使用出来る。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50keVから1000keV、好ましくは100keVから300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることが出来る。
【0099】
照射条件はそれぞれの光源によって異なるが、照射光量は、硬化ムラ、硬度、硬化時間、硬化速度等を考慮し、100mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、120mJ/cmから200mJ/cmであり、特に好ましくは、150mJ/cmから180mJ/cmである。照射光量は、UIT250(ウシオ電機(株)製)で測定した値を示す。
【0100】
活性エネルギー線の照射時間は0.5秒から5分が好ましく、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率等から更に好ましくは、3秒から2分である。
【0101】
本発明においては、活性エネルギー線照射の時の雰囲気は、空気雰囲気で問題なく硬化可能であるが、硬化ムラ、硬化時間等を考慮すると雰囲気中の酸素濃度は、5%以下、特に1%以下であることが好ましい。該雰囲気にするには窒素ガス等を導入することが有効である。
【0102】
酸素濃度は、雰囲気ガス管理用酸素濃度計OX100(横河電機(株)製)で測定した値を示す。
【0103】
又、本発明においては、活性エネルギー線の硬化反応を効率的に進めるため、表面層形成用塗膜を加熱乾燥することも出来る。加熱方法としては、特に制限はないが、例えば加熱風の吹き付けが挙げられる。加熱温度としては、使用する活性エネルギー線硬化型樹脂の種類により一概には規定出来ないが、溶媒を十分に乾燥できる温度範囲であり、且つ重合開始剤が劣化しないことが好ましい。温度範囲としては、60℃から150℃が好ましく、更に80℃から120℃が好ましく、特に好ましくは90℃から100℃である。
【0104】
図3、図4に示す装置を使用して、少なくとも活性エネルギー線硬化型モノマーと、ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体とを有する表面層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し表面層を形成し、図2に示す構成の中間転写ベルトを製造することで次の効果が挙げられる。
【0105】
1.長期間使用によるクリーニング部材との接触で表面が削られても、中間転写ベルトの厚さ方向の内部にもSiが存在することで、表面の滑り性の減少が少なく、二次転写後のブレードによるトナーの除去によるキズが低減出来た。
【0106】
2.長期間使用によるクリーニング部材との接触で表面が削られても、中間転写ベルトの厚さ方向の内部にもSiが存在することで、表面層の表面エネルギーが小さくなり、摩擦係数が低減出来るため、トナーの離型性が向上する。その結果、耐フィルミング性が向上する。
【0107】
3.長期間使用によるクリーニング部材との接触で表面が削られても、中間転写ベルトの厚さ方向の内部にもSiが存在することで、表面層の表面エネルギーが小さくなり、トナーの離型性が向上することにより、トナーと中間転写ベルト間の付着力が低減出来るため、二次転写において転写率が向上する。
【0108】
次ぎに本発明の中間転写ベルトの製造方法に係わる表面層形成用塗布液に付き説明する。
【0109】
(表面層形成用塗布液の構成)
本発明で使用する表面層形成用塗布液は、少なくとも活性エネルギー線硬化型モノマーと、ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体とを有する組成となっており、表面層形成用塗布液には必要に応じて金属酸化物微粒子を加えた構成としてもよい。
【0110】
本発明で用いられるベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体の数平均分子量は、結晶化、生産性、表面硬度、中間転写ベルトとしての機能等を考慮し、5,000から100,000であることが好ましい。
【0111】
数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)島津製作所(株)製で測定した値を示す。
【0112】
(表面層形成用塗布液の調製方法)
本発明に使用する表面層形成用塗布液は次の様にして調製することが可能である。
【0113】
(金属酸化物微粒子を使用しない表面層形成用塗布液の調製方法)
本発明で使用する表面層形成用塗布液は、活性エネルギー線硬化型モノマー100部に対して、ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体を5部から50部を、不揮発分が3%から10%になるように有機溶媒を添加し、光重合開始剤を加えて調製することが出来る。
【0114】
(金属酸化物微粒子を使用した表面層形成用塗布液の調製方法)
金属酸化物微粒子を使用しない表面層形成用塗布液の不揮発分100部に対し、金属酸化物微粒子を30部から200部を、不揮発分が3%から10%になるように有機溶媒を添加し、湿式メディア分散型装置で分散した後、光重合開始剤を加えることで調製することが出来る。
【0115】
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、更に回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物微粒子の凝集粒子を砕いて解砕・分散する工程を有する装置であり、例えば、縦型・横型、連続式・回分式等、種々の様式が採用出来る。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用出来る。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、専断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
【0116】
サンドグラインダーミルで用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。又、ビーズの大きさとしては、通常、直径1mmから2mm程度のものを使用するが、本発明では0.3mmから1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
【0117】
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用出来るが、本発明では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
【0118】
分散の終点は、分散液を、PETフィルム上にワイヤーバーで塗布した液を自然乾燥後、405nmの光透過率の1時間前との変化率が3%以下となる分散状態が好ましい。更に望ましくは、1%以下が好ましい。
【0119】
以上の様な分散処理により、表面層形成用塗布液を得ることが出来る。
【0120】
以下、本発明に使用する表面層形成用塗布液を構成している材料に付き説明する。
【0121】
(活性エネルギー線硬化型モノマー)
本発明で使用する活性エネルギー線硬化型モノマーは、炭素・炭素二重結合を有する各種モノマーを用いることが出来る。
【0122】
活性エネルギー線硬化型モノマーは、紫外線や電子線等の活性エネルギー線照射により重合(硬化)し樹脂となるラジカル重合性モノマーが好適であり、ラジカル重合性モノマーでは特に、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーが好ましい。中でも、少ない光量或いは短い時間での硬化が可能であることからアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するアクリル系モノマーが特に好ましい。
【0123】
本発明においては、これらのラジカル重合性モノマーを単独で用いても、混合して用いてもよい。
【0124】
以下にラジカル重合性モノマーの内、アクリル系モノマーの一例を示す。アクリル系モノマーとは、アクリロイル基(CH=CHCO−)又はメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を有する化合物である。又、以下に言うAc基数(アクリロイル基数)とはアクリロイル基又はメタクリロイル基の数を表す。
【0125】
【化3】

【0126】
【化4】

【0127】
【化5】

【0128】
【化6】

【0129】
【化7】

【0130】
【化8】

【0131】
【化9】

【0132】
但し、上記においてR及びR′はそれぞれ下記で示される。
【0133】
【化10】

【0134】
尚、本発明外の化合物ではあるが、従来よく知られているオキサタン化合物としては、下記のものがある。
【0135】
【化11】

【0136】
【化12】

【0137】
本発明においては、アクリル系モノマーは官能基が2以上であること好ましく、4以上が特に好ましい。又、前記アクリル系モノマーでは、前記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物の分子量Mと該アクリロイル基又はメタクリロイル基数Acの比(Ac/M、アクリロイル基又はメタクリロイル基数/分子量)が0.005より大きい化合物が好ましい。その様な化合物を用いた構成とし、重合反応率を上げることによりAc/Mを大きくすると、膜密度の高い定着ベルトの離型層を形成することが出来る。
【0138】
Ac/Mが0.005より大きい化合物としては、例えば例示化合物中、No.1から19、21、23、26、28、30、31から33、35、37、40から44が挙げられる。
【0139】
更に、前記アクリル系モノマーが、反応性アクリロイル基を有し、且つ、そのAc/Mが、0.005より大きく、0.012より小さい条件を満たす範囲が特に好ましい。
【0140】
この関係範囲で用いることにより、架橋密度が高くなり、定着ベルトの離型層の耐摩耗性が向上する。
【0141】
尚、本発明においては、官能基密度の異なる2種類以上の硬化性化合物を混合して使用してもよい。
【0142】
(ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体の合成)
本発明で使用するベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体の合成方法に付き説明する。
【0143】
ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体は、公知の方法、例えば、溶液重合で合成することができる。重合時の溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエチル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。溶媒は、2種以上を混合して用いてもよい。重合時の単量体の仕込み濃度は、10質量%から80質量%が好ましい。
【0144】
重合開始剤としては、通常の過酸化物またはアゾ化合物、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチルバレノニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオクトエート、クメンヒドロキシペルオキシドなどが用いられ、重合温度は、好ましくは50℃から140℃、さらに好ましくは70℃から140℃である。
【0145】
得られるシロキサングラフト共重合体の好ましい数平均分子量は、5,000から100,000である。
【0146】
(ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体)
本発明で用いられるベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つ数平均分子量5,000から100,000のシロキサングラフト共重合体は、下記一般式(A)に示すポリシロキサンモノマーが10%から30%、下記一般式Bで示されるベンゼン環を含むモノマーが65%から85%の割合で重合することで得ることが出来る。
【0147】
又、下記一般式(A)に示すポリシロキサンモノマーと、下記一般式Bで示されるベンゼン環を含むモノマーの他に、下記一般式(C)で示されるアクリルモノマーを加えて重合することで得ることも出来る。
【0148】
【化13】

【0149】
(R1は水素原子もしくはメチル基、R2は炭素数1から6のアルキレン基を示す。)
【0150】
【化14】

【0151】
(R1は水素原子もしくはメチル基、R3は炭素数1から6個のアルキレン基、もしくは酸素数1から3のエーテル、R4は炭素数1から6のアルキル基を示す。)
【0152】
【化15】

【0153】
(R1は水素原子もしくはメチル基、R4は炭素数1から6のアルキル基を示す。)
次ぎに一般式(A)で示される具体的なポリシロキサンモノマーを以下に示す。
【0154】
【化16】

【0155】
次ぎに一般式(B)で示される具体的なベンゼン環を含むモノマーを以下に示す。
【0156】
【化17】

【0157】
次ぎに一般式(C)で示される具体的なアクリルモノマーを以下に示す。
【0158】
【化18】

【0159】
本発明で用いられるベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体として、市販の化合物を用いることもできる。市販のシロキサングラフト共重合体の例としては、東亞合成(株)製サイマックシリーズ等が挙げられる。例えば、GS−30、GS−101、US−270、US−350、US−352、US−380等が挙げられる。
【0160】
〔金属酸化物微粒子〕
本願発明に用いられる金属酸化物微粒子は、遷移金属も含めた金属酸化物微粒子であればよく、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化錫、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム等の金属酸化物微粒子が例示されるが、中でも、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫等の粒子が好ましく、特に酸化チタン、アルミナが好ましい。
【0161】
これらの金属酸化物微粒子は、気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法、電解法等の一般的な製造法で作製されたものが用いられる。
【0162】
金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、耐摩耗性、書き込み光の散乱、光硬化の阻害等を考慮し、1nmから300nmの範囲が好ましい。特に好ましくは3nmから100nmである。
【0163】
金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ)ソフトウェアバージョン Ver.1.32を使用して数平均一次粒径を算出した値を示す。
【0164】
尚、本発明では金属酸化物微粒子の他に、上記の金属酸化物微粒子を各種表面処理剤で表面処理した金属酸化物微粒子を使用することも可能である。尚、表面処理剤としては例えば、ヘキサメチルシラザン、メチルトリメトキシシラン、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等が挙げられる。
【0165】
(光重合開始剤)
本発明に使用する表面層形成用塗布液は光重合開始剤を使用することも出来る。光重合開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエール、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4−ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物:テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物:アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物:ベンゾイルパーオキシド、ジターシャリーブチルパーオキシド等のパーオキシド化合物:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド化合物を挙げることが出来る。これらの光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化型組成物全体中に、重合開始効果、表面層の硬度等を考慮し、0.1質量%から20質量%、望ましくは1質量%から10質量%の割合で使用することが好ましい。又、上記光重合開始剤は1種類だけでなく数種類組み合わせて使用することも出来る。
【0166】
(その他添加剤)
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物中には必要に応じて、有機溶剤、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤、表面改質剤等の添加成分を含ませることは可能である。
【0167】
有機溶剤は活性エネルギー線硬化型組成物の均一溶解性、分散安定性、更には無端ベルト状基体との密着性及び被膜の平滑性、均一性などの面から用いられ、有機溶剤として特に限定されるものではなく、上記性能を満足するものであればよい。具体的には、アルコール系、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、エーテル系、ケトン系、エステル系、多価アルコール誘導体等の有機溶剤を挙げることが出来る。
【0168】
(環状の無端ベルト状の基体)
次に本発明の中間転写ベルト用の環状の無端ベルト状の基体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリイミド、PEEK(ポリエーテル・エーテルケトン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフロロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。更に、これらの樹脂材料と弾性材料とをブレンドした材料を使用することも可能である。
【0169】
弾性材料としては、例えば、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0170】
樹脂材料の中でも機械特性の点からポリイミド樹脂が好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂材料として、DuPont(株)のカプトンHA等のポリピロメリット酸イミド系のイミド樹脂材料、宇部興産(株)のユーピレックスS等のポリビフェニルテトラカルボン酸イミド系樹脂材料、宇部興産(株)のユーピレックスR、三井東圧化学工業(株)のLARC−TPI(熱可塑性ポリイミド樹脂)等のポリベンゾフェノンテトラカルボン酸イミド酸系樹脂材料等が挙げられる。
【実施例】
【0171】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0172】
実施例1
図2に示す基体/表面層の構成を有する中間転写ベルトを以下に示す方法で作製した。
【0173】
(表面層形成用塗布液の調製)
(ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体の合成)
表1に示す様に、ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体を以下に示す方法で合成しNo.1−イから1−トとした。
【0174】
数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)島津製作所(株)製で測定した値を示す。
【0175】
(シロキサングラフト共重合体No.1−イの合成)
ポリシロキサンモノマー(例示モノマーA2)を20部と、ベンゼン環を含むモノマー(例示モノマーB1)を80部と、MIBK200部とを、冷却管、撹拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流化で撹拌しながら90℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル3部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1部を加え、数平均分子量が20000になった時点で反応を終了した。
【0176】
(シロキサングラフト共重合体No.1−ロの合成)
ポリシロキサンモノマー(例示モノマーA3)を15部と、ベンゼン環を含むモノマー(例示モノマーB1)を85部と、MIBK200部とを、冷却管、撹拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流化で撹拌しながら90℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル3部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1部を加え、数平均分子量が30000になった時点で反応を終了した。
【0177】
(シロキサングラフト共重合体No.1−ハの合成)
ポリシロキサンモノマー(例示モノマーA1)を25部と、ベンゼン環を含むモノマー(例示モノマーB1)を75部と、MIBK200部とを、冷却管、撹拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流化で撹拌しながら90℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル3部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1部を加え、数平均分子量が50000になった時点で反応を終了した。
【0178】
(シロキサングラフト共重合体No.1−ニの合成)
ポリシロキサンモノマー(例示モノマーA2)を30部と、ベンゼン環を含むモノマー(例示モノマーB2)を70部と、MIBK200部とを、冷却管、撹拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流化で撹拌しながら90℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル3部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1部を加え、数平均分子量が20000になった時点で反応を終了した。
【0179】
(シロキサングラフト共重合体No.1−ホの合成)
ポリシロキサンモノマー(例示モノマーA4)を20部と、ベンゼン環を含むモノマー(例示モノマーB1)を80部と、MIBK200部とを、冷却管、撹拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流化で撹拌しながら90℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル3部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1部を加え、数平均分子量が20000になった時点で反応を終了した。
【0180】
(シロキサングラフト共重合体No.1−ヘの合成)
ポリシロキサンモノマー(例示モノマーA2)を20部と、ベンゼン環を含むモノマー(例示モノマーB1)を65部と、アクリルモノマー(例示モノマーC1)を15部と、MIBK200部とを、冷却管、撹拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流化で撹拌しながら90℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル3部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1部を加え、数平均分子量が30000になった時点で反応を終了した。
【0181】
(シロキサングラフト共重合体No.1−トの合成)
ポリシロキサン(例示モノマーA1)を20部と、ベンゼン環を含むモノマー(例示モノマーB2)を70部と、アクリルモノマー(例示モノマーC1)を10部と、MIBK200部とを、冷却管、撹拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流化で撹拌しながら90℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル3部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1部を加え、数平均分子量が20000になった時点で反応を終了した。
【0182】
(市販のベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体1−チの準備)
サイマックGS−101(東亞合成(株)製)を準備し1−チとした。
【0183】
(比較シロキサングラフト共重合体No.1−リの合成)
ベンゼン環を含むモノマー(例示モノマーB1)に変えて、メチルメタアクリレートを使用した他はシロキサングラフト共重合体No.1−イと同じ方法で重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1部を加え、数平均分子量が20000になった時点で反応を終了した。
【0184】
(比較シロキサングラフト共重合体No.1−ヌの合成)
ベンゼン環を含むモノマー(例示モノマーB1)に変えて、比較シロキサングラフト共重合体No.1−チと同じモノマーを使用した他はシロキサングラフト共重合体No.1−ロと同じ方法で重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1部を加え、数平均分子量が30000になった時点で反応を終了した。
【0185】
(比較シロキサングラフト共重合体No.1−ルの合成)
ベンゼン環を含むモノマー(例示モノマーB1)に変えて、比較シロキサングラフト共重合体No.1−チと同じモノマーを使用した他はシロキサングラフト共重合体No.1−ハと同じ方法で重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1部を加え、数平均分子量が50000になった時点で反応を終了した。
【0186】
【表1】

【0187】
上記シロキサングラフト共重合体には溶剤が含まれることがあるが、以降の「部」及び「%」は、特に示さない限り不揮発分に関するものであり、溶剤(揮発分)は除くものとする。
【0188】
(活性エネルギー線硬化型モノマーの準備)
表2に示す活性エネルギー線硬化型モノマーを準備しNo.aからdとした。
【0189】
【表2】

【0190】
(表面層形成用塗布液の調製)
準備した活性エネルギー線硬化型モノマーNo.aからdと、準備したベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体No.1−イから1−トを使用し、表3に示す様に固形分4%の表面層形成用塗布液の調製しNo.1−1から1−22とした。
【0191】
(比較表面層形成用塗布液の調製)
準備した活性エネルギー線硬化型モノマーNo.aからdと、準備したベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体No.1−チから1−ヲを使用し、表3に示す様にした下記に示す組成の固形分4%の表面層形成用塗布液を調製しNo.1−23から1−30とした。
【0192】
(表面層形成用塗布液組成)
活性エネルギー線硬化型モノマー 100質量部
ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体
20質量部
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 1質量部
イルガキュア379(BASFジャパン(株)製) 3質量部
シクロヘキサノン 500質量部
MIBK 2450質量部
【0193】
【表3】

【0194】
(中間転写ベルトの作製)
(環状の無端ベルト状の基体の準備)
3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18質量%))に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%))をポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して、23質量部になるよう添加して、衝突型分散機(シーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mmで2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を得た。
【0195】
カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱した。その後、360℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に360℃で30分加熱して溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、金型から剥離し、総厚0.1mmの無端ベルト状基体を作製した。
【0196】
(塗布)
(表面層形成用塗布液の塗布)
準備した無端ベルト状基体の表面に図3に示す塗布装置を使用し、浸漬塗布方法で調製した各表面層形成用塗布液No.1−1から1−30を乾燥膜厚が2μmとなる様に表面層形成用塗布膜を形成した後、活性エネルギー線として紫外線を使用し、図4に示す硬化処理装置で表面層形成用塗布膜を硬化し表面層を形成し、中間転写ベルトを作製し試料No.101から130とした。尚、紫外線を照射する時、光源を固定し、中間転写ベルトを保持した円筒状基体を周速度60mm/sで回転しながら行った。
【0197】
塗布条件
塗布液供給量:1l/min
引き上げ速度:4.5mm/min
紫外線照射条件
光源の種類:高圧水銀ランプ(H04−L41:アイグラフィックス(株)製)
照射口から表面層形成用塗膜の表面までの距離:100mm
照射光量:1J/cm
照射時間(基体を回転させている時間):240秒
評価
作製した試料No.101から130について、表面層の総厚に対して表面から2%から5%の深さのSi濃度、耐久性の代用特性として転写率、耐キズ性、耐摩耗性、耐フィルミング性について以下に示す方法で評価し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表4に示す。
【0198】
表面層の総厚に対して表面から2%から5%の深さのSi濃度の測定
X線光電子分光法(ESCA)により明細書本文中に記載の条件で測定した。
【0199】
転写率の評価方法
作製した中間転写ベルトを、コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub PRO C6500(レーザー露光・反転現像・中間転写体のタンデムカラー複合機)を評価が行えるように改造し、露光量を適正化した評価機に搭載し、(20℃、50%RH)でシアン印字率100%のA4画像を中性紙に出力した。
【0200】
吸引装置を用いて中間転写ベルト上の所定面積(10mm×50mmを3点)のトナーを採取し、転写前トナー質量(S)を測定した。
【0201】
次に、中間転写ベルト上の転写残トナーをブッカーテープにより採取し白色用紙に貼り付け、分光測色計(コニカミノルタセンシング(株)製、CM−2002)を用い転写残トナーを測色し、予め検量していたトナー質量と測色値の関係から、転写残トナー質量(T)を求めた。
【0202】
転写率(η)は、η=(1−T/S)×100(%)として求めた。
【0203】
転写率の評価ランク
◎:転写率が98%以上から100%
○:転写率が95%以上から98%未満
△:転写率が90%以上から95%未満
×:転写率が90%未満
耐キズ性の評価方法
作製した中間転写ベルトをコニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub PRO C6500(レーザー露光・反転現像・中間転写体のタンデムカラー複合機)を評価が行える様に改造し、露光量を適正化した評価機に搭載し、(20℃、50%RH)でYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を中性紙に100万枚印刷出力前後に中間転写ベルトの表面状態を観察し、100mm×100mmの範囲内に発生したキズの状態を評価した。
【0204】
耐キズ性の評価ランク
◎:100万枚印字後に表面キズ発生なし
○:100万枚印字後に表面キズ1箇所以上から6箇所未満発生
△:100万枚印字後に表面キズ6箇所以上から11箇所未満発生
×:100万枚印字後に表面キズ11箇所以上発生
耐摩耗性の評価方法
耐キズ性の評価と同じ方法で100万枚の画出しを行い、初期の中間転写ベルトの膜厚と100万枚後の中間転写ベルトの膜厚さで評価した。中間転写ベルトの膜厚は均一膜厚部分(両端は膜厚が不均一になりやすいので、少なくとも両端3cmは除く)をランダムに10ヶ所測定し、その平均値を中間転写ベルトの膜厚とする。膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用いて行い、実写試験前後の中間転写ベルト膜厚の差を膜厚減耗量とする。
【0205】
耐摩耗性の評価ランク
◎:膜厚減耗量が0.5μm未満
○:膜厚減耗量が0.5μm以上から1μm未満
△:膜厚減耗量が1μm以上から2μm未満
×:膜厚減耗量が2μm以上
耐フィルミング性の評価方法
耐キズ性の評価と同じ方法で100万枚の画出しを行い、初期と100万枚後の色差ΔEで評価した。中間転写ベルトを、分光測色計(コニカミノルタセンシング(株)製、CM−2002)で測色し、ΔEを算出した。
【0206】
耐フィルミング性の評価ランク
◎:ΔEが、0以上から1未満
○:ΔEが、1以上から4未満
△:ΔEが、4以上から6未満
×:ΔEが、6以上
【0207】
【表4】

【0208】
活性エネルギー線硬化型モノマーと、ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体とを有する表面層形成用塗布液を塗布して形成した。
【0209】
表面層を有する試料No.101から122は、表面層の総厚に対して表面から2%から5%までの深さのSi濃度が0.10%から10.00%存在し、長期使用後でも転写率、耐キズ性、耐摩耗性、耐フィルミング性も優れた結果を示し、耐久性に優れていることが確認された。
【0210】
活性エネルギー線硬化型モノマーと、ベンゼン環を含まないモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体とを有する表面層形成用塗布液を塗布して形成した表面層を有する試料No.123から130は、表面層の総厚に対して表面から2%から5%までの深さのSi濃度が0.00%から0.04%と少なく、長期使用後で転写率、耐キズ性、耐摩耗性、耐フィルミング性が本発明の試料No.101から122に対して劣る結果を示すことが確認された。
【0211】
実施例2
図2に示す基体/表面層の構成を有する中間転写ベルトを以下に示す方法で作製した。
【0212】
(表面層形成用塗布液の調製)
(ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体の合成)
実施例1の表1に示すベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体No.1−イを合成する時、一般式Aで示されるポリシロキサンモノマー(例示モノマーA2)と、一般式Bで示されるベンゼン環を含むモノマー(例示モノマーB1)とを、表5に示す様に割合(%)を変えて合成し、No2−aから2−fとした。
【0213】
数平均分子量は、実施例1と同じ測定方法で測定した値を示す。
【0214】
【表5】

【0215】
(表面層形成用塗布液の調製)
実施例1で調製した表面層形成用塗布液No.1−1を調製する時、表5に記載のシロキサングラフト共重合体No.2−aから2−fを使用した他は全て同じ方法で表面層形成用塗布液を調製し、No.2−Aから2−Fとした。
【0216】
(中間転写ベルトの作製)
調製した表面層形成用塗布液を使用し、実施例1と同じ方法で中間転写ベルトを作製し試料No.201から206とした。
【0217】
評価
作製した試料No.201から206について、表面層の総厚に対して表面から2%から5%の深さのSi濃度、耐久性の代用特性として転写率、耐キズ性、耐摩耗性、耐フィルミング性について実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表6に示す。
【0218】
【表6】

【0219】
一般式Aで示されるポリシロキサンモノマー15部から35部と、一般式Bで示されるベンゼン環を含むモノマー85部から65部とを反応させ得られたシロキサングラフト共重合体を使用して作製した試料No.202から205は表面層の総厚に対して2%から5%の深さのSi濃度が、1.00%から9.00%を有し、転写率、耐キズ性、耐摩耗性、耐フィルミング性共に優れた性能を示した。
【0220】
一般式Aで示されるポリシロキサンモノマー5部と、一般式Bで示されるベンゼン環を含むモノマー95部とを反応させ得られたシロキサングラフト共重合体を使用して作製した試料No.201は、表面層の総厚に対して表面から2%から5%の深さのSi濃度0.07%と低くなるに伴い、耐久性の代用特性として転写率、耐キズ性、耐摩耗性、耐フィルミング性が実用上問題とならないが試料No.202から205に比べ多少劣る結果となった。
【0221】
一般式Aで示されるポリシロキサンモノマー40部と、一般式Bで示されるベンゼン環を含むモノマー60部とを反応させ得られたシロキサングラフト共重合体を使用して作製した試料No.206は、表面層の総厚に対して表面から2%から5%の深さのSi濃度が14.00%から15.00%と高くなるに伴い、耐久性の代用特性として転写率、耐キズ性、耐摩耗性、耐フィルミング性が実用上問題とならないが試料No.202から205に比べ多少劣る結果となった。本発明の有効性が確認された。
【0222】
実施例3
実施例1で調製した表面層形成用塗布液No.1−1を調製する時、活性エネルギー線硬化型モノマー100部に対して、シロキサングラフト共重合体の量を表7に示す様に変えた他は全て同じ方法で表面層形成用塗布液を調製しNo.3−1から3−6とした。
【0223】
【表7】

【0224】
(中間転写ベルトの作製)
調製した表面層形成用塗布液No.3−1から3−6を使用し、実施例1と同じ方法で中間転写ベルトを作製し試料No.301から306とした。
【0225】
評価
作製した試料No.301から306について、表面層の総厚に対して表面から2%から5%の深さのSi濃度、耐久性の代用特性として転写率、耐キズ性、耐摩耗性、耐フィルミング性について実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表8に示す。
【0226】
【表8】

【0227】
表面層形成用塗布液を構成している活性エネルギー線硬化型モノマー100部に対して、シロキサングラフト共重合体の量を5部から100部として調製した表面層形成用塗布液No.3−2から3−5を使用して作製した試料No.302から305は、表面層の総厚に対して表面から2%から5%の深さのSi濃度が、0.10%から10.00%を有し、転写率、耐キズ性、耐摩耗性、耐フィルミング性共に優れた性能を示した。
【0228】
表面層形成用塗布液を構成している活性エネルギー線硬化型モノマー100部に対して、シロキサングラフト共重合体の量を4部として調製した表面層形成用塗布液No.3−1を使用して作製した試料No.301は、実用上問題とならないが表面層の表面から2%から5%のSi濃度が0.08%と低くなるに伴い、耐久性の代用特性として転写率、耐キズ性、耐摩耗性、耐フィルミング性が試料No.302から305に比べ多少劣る結果となった。
【0229】
表面層形成用塗布液を構成している活性エネルギー線硬化型モノマー100部に対して、シロキサングラフト共重合体の量を110部として調製した表面層形成用塗布液No.3−6を使用して作製した試料No.306は、実用上問題とならないが、表面層の総厚に対して表面から2%から5%の深さのSi濃度が13.00%から14.00%と高くなるに伴い、転写率、耐キズ性、耐摩耗性が多少試料No.302から305に比べ多少劣る結果となった。本発明の有効性が確認された。
【符号の説明】
【0230】
1 フルカラー画像形成装置
2 硬化処理装置
201 活性エネルギー線照射装置
201b 活性エネルギー線源
202 保持装置
3 円筒状又は円柱状部材
7 無端ベルト状中間転写体形成ユニット
70 中間転写ベルト
70a 基体
70b 表面層
9 製造工程
9a 基体製造工程
9b 塗布工程
9b1 浸漬塗布装置
9b2 塗布部
9b2a 塗布槽
9c 表面層形成用塗布液調製工程
9d 硬化処理工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の上に少なくとも1層の表面層を有する電子写真方式の画像形成装置に使用する中間転写ベルトの製造方法において、
前記表面層が少なくとも活性エネルギー線硬化型モノマーと、ベンゼン環を含むモノマー単位からなる主鎖を持つシロキサングラフト共重合体とを有する表面層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し形成することを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。
【請求項2】
前記表面層の表面から前記表面層の総厚に対して2%から5%の深さのSi濃度が0.1%から10%であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルトの製造方法。
【請求項3】
前記シロキサングラフト共重合体が、少なくとも下記一般式Aで示されるポリシロキサンモノマーと、下記一般式Bで示されるベンゼン環を含むモノマーからなる重合体であり、該一般式Aで示されるポリシロキサンモノマーが10%から30%、該一般式Bで示されるベンゼン環を含むモノマーが65%から85%の割合で重合し得られていることを特徴とする請求項1又は2に記載の中間転写ベルトの製造方法。
【化1】

(R1は水素原子もしくはメチル基、R2は炭素数1から6のアルキレン基を示す。)
【化2】

(R1は水素原子もしくはメチル基、R3は炭素数1から6個のアルキレン基、もしくは酸素数1から3のエーテル、R4は炭素数1から6のアルキル基を示す。)
【請求項4】
前記表面層形成用塗布液が、前記活性エネルギー線硬化型モノマー100部に対して、少なくとも前記シロキサングラフト共重合体を5部から100部含有していることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の中間転写ベルトの製造方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の中間転写ベルトの製造方法により製造されたことを特徴とする中間転写ベルト。
【請求項6】
請求項5に記載の中間転写ベルトを使用したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44989(P2013−44989A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183394(P2011−183394)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】