説明

丸型コネクタ、地上子、及びケーブルコネクタ

【課題】作業の迅速化に寄与し得る通信用の丸型コネクタ、これを使用した地上子、及び該丸型コネクタと接続されるケーブルコネクタを提供する。
【解決手段】本発明に係る丸型コネクタは、円形状の端面と、一対の収納孔と、第1及び第2の位置決め部とを含む。一対の収納孔は、端面の反対面に開口し、端面から見て、その中心を挟むように設けられている。第1の位置決め部は、端面の中心に設けられ、第2の位置決め部は、端面の中心と端縁の間に設けられている。発明に係る丸型コネクタによれば、接続対象物のケーブルコネクタと、第1の位置決め部により端面の中心を合わせて、第2の位置決め部により端面の角度を決定することができるから、取付時の丸型コネクタの角度によらず、ケーブルコネクタを簡便に、かつ正確に接続することができ、作業の迅速化に寄与し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光素子による通信に使用される丸型コネクタと、該丸型コネクタを実装し、列車制御に供される地上子と、該丸型コネクタと接続されるケーブルコネクタとに関する。
【背景技術】
【0002】
地上子は、鉄道線路に沿って数多く設置されて、列車の車上装置に制御電文を送信する装置であり、安全な鉄道運行にとって必要不可欠である。この地上子は、大きく分けると、有電源地上子と無電源地上子とが存在する。
【0003】
有電源地上子は、複数台が1台の符号処理器と接続された形態で運用され、この符号処理器から、電力だけでなく、送信すべき電文も供給される。
【0004】
一方、無電源地上子は、通信可能な他装置と接続されることがなく、いわゆるスタンドアローンの形態で運用され、近傍を通過する列車から電力波を受信して動作する。このため、無電源地上子は、装置内メモリに予め記録された制御電文を列車に送信する。
【0005】
前者については、親装置である符号処理器が施設内に設置されているから、電文の書き込み(あるいは書換)は非常に容易である。これとは対照的に、後者は、線路内に設置されているため、電文の書き込みは非常に困難である。これは、屋外という過酷な環境条件に加えて、列車が通過しない時間帯(主に夜間)のうちに迅速に完了しなければならないという時間的制約が伴うからである。
【0006】
一般的に、書き込み作業は、まず、地上子を線路上から回収して、背面(地面側の表面)の蓋を取り外した後、露出したコネクタに通信ケーブルを接続して行われる。したがって、このような煩雑な作業を多くの地上子について行うには、莫大な労力と時間を必要とするという問題があった。
【0007】
また、書き込み時の通信に関しては、一般的に、DSUBコネクタなどを介した電気的接続による手法が多く用いられているが、環境条件を考慮した場合、例えば特許文献1に開示されているように、非接触通信が可能で、かつ、ノイズ耐性のある光素子による通信を利用する手法が望ましいと考えられている。これを実現するには、地上子と通信ケーブルを接続したときに、発光素子と受光素子の対向位置、及び間隔が正確に決定されることが要求される。しかし、特許文献1や他の文献には、この要求を満たし得る接続構造は何ら開示されていない。
【0008】
更に、この種の素子は、確実なデータの送受信を担保するために、2個を組み合わせて二重に設けられるのが一般的である。したがって、これらを、雨水等に対する地上子の封止構造に最適な丸型コネクタの端面に露出させて設けるとすれば、コネクタを地上子に固定したときの端面の(回転方向の)角度によって、発光素子、または受光素子の位置が変化してしまい、素子同士の位置合わせは、なおさら困難となり、迅速な作業の障害となる。
【0009】
もっとも、このような問題は、地上子の電文の書き込み作業に限られず、情報の書き込み、及び/または読み出しを行うために、光素子による通信を必要とする他の作業についても同様に存在し得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−11718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、作業の迅速化に寄与し得る通信用の丸型コネクタ、これを使用した地上子、及び該丸型コネクタと接続されるケーブルコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1.丸型コネクタ
上述した課題を解決するため、本発明に係る丸型コネクタは、円形状の端面と、一対の収納孔と、第1及び第2の位置決め部とを含む。
【0013】
前記一対の収納孔は、前記端面の反対面に開口し、前記端面から見て、その中心を挟むように設けられている。前記第1の位置決め部は、前記端面の中心に設けられ、前記第2の位置決め部は、前記端面の中心と端縁の間に設けられている。
【0014】
本発明に係る丸型コネクタによれば、一対の収納孔を備えるから、これに光素子、すなわち、発光素子、または受光素子を収納し、上述した二重化された通信を実現することができる。また、一対の収納孔は、端面の反対面に開口しているから、収納した一対の光素子を外気に曝すことがなく、素子の劣化を抑制することができる。
【0015】
この一対の収納孔は、端面から見て、その中心を挟むように設けられているため、取り付けたときのコネクタの端面の角度によって位置が異なる。
【0016】
そこで、本発明に係る丸型コネクタは、端面の中心に第1の位置決め部を設けるとともに、端面の中心と端縁の間に第2の位置決め部を設けるという特徴的な構成によって、上述した位置決めの問題を解決している。
【0017】
具体的には、まず、丸型コネクタと同様の構成を備えたケーブルコネクタを用意する。すなわち、このケーブルコネクタは、端面の中心に第1の位置決め部が、端面の中心と端縁の間に第2の位置決め部がそれぞれ設けられ、さらに、一対の光素子を収納する一対の収納孔が、端面から見て、その中心を挟むように設けられている。そして、丸型コネクタとケーブルコネクタは、第1の位置決め部、第2の位置決め部、一対の収納孔の端面における位置が、互いに鏡面対象の関係にある。
【0018】
次に、丸型コネクタの第1の位置決め部に、ケーブルコネクタの第1の位置決め部を合わせ、第1の位置決め部を中心としてケーブルコネクタを回転させる。そして、回転により丸型コネクタの第2の位置決め部とケーブルコネクタの第2の位置決め部の位置が合致する。
【0019】
ここで、第1の位置決め部と第2の位置決め部の形状としては、例えば凸形状、または凹形状を挙げることができる。すなわち、仮に、丸型コネクタの第1及び第2の位置決め部を凹形状とすれば、ケーブルコネクタの第1及び第2の位置決め部を凸形状とするとよい。これにより、丸型コネクタとケーブルコネクタは、互いの第1及び第2の位置決め部を嵌合させることができる。
【0020】
したがって、丸型コネクタの一対の収納孔は、ケーブルコネクタの一対の収納孔と対向する位置に、正確に位置決めされる。
【0021】
このように、本発明に係る丸型コネクタによれば、接続対象物のケーブルコネクタと、第1の位置決め部により端面の中心を合わせて、第2の位置決め部により端面の角度を決定することができるから、取付時の丸型コネクタの角度によらず、ケーブルコネクタを簡便に、かつ正確に接続することができ、作業の迅速化に寄与し得る。
【0022】
2.地上子
上述した課題を解決するため、本発明に係る地上子は、本体部と、接続部とを含む。前記本体部は、情報を記憶する記憶部を収納している。前記接続部は、コネクタを含み、前記本体部の側方に設けられている。
【0023】
前記コネクタは、一対の光素子が前記一対の収納孔に収納された、上記の丸型コネクタであり、前記端面が露出している。前記記憶部は、前記コネクタにケーブルコネクタを接続したとき、外部から前記光素子を介して、情報が書き込まれ、あるいは、読み出される。
【0024】
本発明に係る地上子によれば、接続部が本体部の側方に設けられ、この接続部は端面が露出したコネクタを含むから、上述した従来技術とは異なり、線路上から回収することなく、現場で外部装置のケーブルコネクタを接続することができる。該外部装置としては、例えば、電文を書き込むための書き込み装置が挙げられる。
【0025】
そして、本発明に係る地上子は、本体部に情報を記憶する記憶部を収納し、コネクタにケーブルコネクタを接続したとき、外部から光素子を介して、記憶部に情報が書き込まれ、あるいは、記憶部から情報が読み出される。このため、本発明に係る地上子は、上述したような外部からの電文の書き込み作業などを行うことができる。
【0026】
さらに、本発明に係る地上子によれば、上述した丸型コネクタを含むので、これと同様の作用効果を得ることができる。
【0027】
3.ケーブルコネクタ
上述した課題を解決するため、本発明に係るケーブルコネクタは、収容体と、回転体と、弾性部材とを含む。
【0028】
前記収容体は、その内部に前記回転体を回転自在に保持するための円筒部と、接続対象物に対して固定するための固定部とを含む。
【0029】
前記回転体は、円形状の端面と、第1の位置決め部と、第2の位置決め部と、一対の収納孔とを含む。前記第1の位置決め部は、前記端面の中心に設けられ、前記第2の位置決め部は、前記端面の中心と端縁の間に設けられている。また、前記一対の収納孔は、前記端面から見て、その中心を挟むように設けられている。
【0030】
前記弾性部材は、前記回転体の回転軸方向において、前記回転体を前記収容体に対して付勢する。
【0031】
本発明に係るケーブルコネクタは、収容体が、その内部に回転体を回転自在に保持するための円筒部と、接続対象物に対して固定するための固定部とを含むから、収容体を接続対象物に固定したまま、回転体だけを自由に回転させることができる。
【0032】
また、本発明に係るケーブルコネクタは、回転体の端面に一対の収納孔を備えるから、これに光素子、すなわち、発光素子、または受光素子を収納し、上述した二重化された通信を実現することができる。
【0033】
そして、回転体は、円形状の端面の中心に第1の位置決め部が、端面の中心と端縁の間に第2の位置決め部がそれぞれ設けられ、さらに、一対の光素子を収納する一対の収納孔が、端面から見て、その中心を挟むように設けられている。したがって、本発明に係るケーブルコネクタは、既に述べたように、上述したような丸型コネクタと接続するにあたって、簡便で正確な位置決めを可能とする。
【0034】
さらに、本発明に係るケーブルコネクタは、回転体の回転軸方向において、回転体を収容体に対して付勢する弾性部材を含むから、回転体を回転させて、第1及び第2の位置決め部がそれぞれ丸型コネクタの第1及び第2の位置決め部と一致したときに、弾性部材の弾性力によって回転体の端面を丸型コネクタの端面に押し当てることができる。これにより、それぞれの第1及び第2の位置決め部が互いに合わさった状態で回転体をロックすることができるから、回転体の一対の収納孔と丸型コネクタの一対の収納孔が対向状態に保持され、さらに、これらの一対の光素子も対向状態に保持される。
【0035】
また、回転体の端面を丸型コネクタの端面に押し当てることによって、それぞれの一対の収納孔の間の距離を常に所定値にすることができるため、これらの一対の光素子も所定間隔をおいて対向し、一対の光素子による正常な通信を担保することができる。
【発明の効果】
【0036】
以上述べたように、本発明によれば、作業の迅速化に寄与し得る通信用の丸型コネクタ、これを使用した地上子、及び該丸型コネクタとの接続に適したケーブルコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る地上子の上面図である。
【図2】本発明に係る地上子の側面図である。
【図3】本発明に係る地上子の正面図である。
【図4】地上子の内部構成(回路基板)の下面図である。
【図5】地上子の内部構成(コイル)の下面図である。
【図6】図1の6−6線における断面図である。
【図7】本発明に係る丸型コネクタの(a)正面図、(b)側面図、及び(c)背面図である。
【図8】図7の8−8線における断面図である。
【図9】本発明に係るケーブルコネクタの(a)背面図、(b)側面図、及び(c)正面図である。
【図10】図9の10−10線における断面図である。
【図11】ケーブルコネクタの接続時の地上子の接続面の正面図(位置決め未完了)、
【図12】図11の12−12線における断面図である。
【図13】ケーブルコネクタの接続時の地上子の接続面の正面図(位置決め完了)、
【図14】図13の14−14線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は本発明に係る地上子の上面図、図2は側面図、図3は正面図である。図1に示されるように、地上子1は、上面視で略長方形状を有し、取付用の金具を介し、その長片が線路2の枕木3と平行になるように設置される。地上子1の寸法は、典型的には、幅W=530(mm)、長さL=225(mm)、高さH=103(mm)である。
【0039】
地上子1は、略直方体形状の本体部11と、この本体部11の側方に設けられた接続部10と、平板状の延出部12とを含む。地上子1の筐体は、エポキシ樹脂などの硬質樹脂により一体成形されている。
【0040】
本体部11は、地上子の機能を実現するための電子回路やコイルなどの主要部品が収納されている。本体部11の高さhは、典型的には、60(mm)である。
【0041】
接続部10は、電文の書き込み装置などの外部装置と通信を行うための構造を備えている。接続部10は、本体部11より小型の略直方体形状を有し、線路2に対向する本体部11の側面に、互いの辺の中心を合わせて隣接している。接続部10の寸法は、典型的には、幅W=100(mm)、長さL=92(mm)である。
【0042】
延出部12は、本体部11の側面の該隣接部分の両側部分から接続部10の端まで、接続部10の両側面と隣接して延在している。延出部12の中心には、固定用の貫通孔121が設けられている。また、本体部11にも、下面側の空洞部110と連通する3つの固定用の貫通孔111が設けられている。延出部12の厚さDは、典型的には22(mm)である。
【0043】
接続部10は、レール2側に接続面101を有しており、この接続面101に、本発明に係る丸型コネクタ5の端面が露出して、外部装置接続用のケーブルコネクタと接続可能に構成されている。したがって、上述した従来技術とは異なり、電文情報の書き込み作業などを行うにあたって、地上子1をレール2上から回収する必要はない。
【0044】
図3に示されるように、接続面101は、コネクタ5を取り付けるためのコネクタ取付穴101aと、外部装置接続用のケーブルコネクタを固定するためのケーブルコネクタ固定部101bとを含む。ケーブルコネクタ固定部101bは、具体的には、コネクタ取付穴101aの周囲に設けられた4個の螺子穴から構成される。もっとも、ケーブルコネクタ固定部101bとしては、螺子孔に限定されるものではなく、嵌合機構などの他の固定手段を採用してもよい。
【0045】
また、図2を参照すると理解されるように、接続部10は、高さ寸法Hが本体部11の高さ寸法hより大きい。接続部10は、本体部11の上面より高い部分に、第2コネクタ4が挿入接続されている。第2コネクタ4は、近傍の器具箱から延びており、第2コネクタ4を介して、地上子1から外部に故障情報などが送信される。
【0046】
図4〜図6には、地上子1の内部構造が示されている。本体部11の内部には、略矩形状の回路基板13と、ループ状のコイル141,142とが収納されている。図6を参照して理解されるように、回路基板13は、本体部11の下方に設けられており、コイル141,142は、本体部11の上方に設けられている。
【0047】
回路基板13は、本体部の上面板に対して、ゴムなどからなる複数の弾性部材90によって支持されており、これにより外部からの衝撃から保護されている。さらに、本体部11の下部は、エポキシ樹脂からなる蓋部71〜73によって二重に覆われるとともに、本体部11の内部は、ポリウレタンなどの軟質樹脂63によって充填されており、これによっても衝撃からの保護の効果が得られるとともに、雨水からの保護、及び温度変化や湿度変化などの外気の影響からの保護の効果も得られる。
【0048】
また、コイル141,142は、車上子の電力波受信用の第1コイル141と、電文信号送信用の第2コイル142とが含まれる。第1コイル141は、本体部11の外周壁に沿って巻きまわされており、一方、第2コイル142は、第1コイル141の中央において、8字形状に巻きまわされている。第1コイル141の一端には、蓋部71,72との間に、既に述べたような弾性部材90が設けられている。
【0049】
一方、回路基板13には、電子部品131と接続パッド132が該板面に設けられている。電子部品131には、車上子へ送信する電文信号を周波数変調する変調部や、外部装置との通信を処理する通信処理部や、電文情報を記憶する記憶部である不揮発性メモリなどが含まれる。不揮発性メモリは、EEPROMが一般的であるが、FRAMであってもよい。
【0050】
また、接続パッド132は、回路基板13に形成された配線を介して、通信処理部などの電子部品131に接続されるとともに、コネクタ5、及び第2コネクタ4から延びているリード線5a,4aが電気的に接続されている。リード線5a,4aは、収容部102と本体部11を連通させる貫通孔15を介して、本体部11へと導かれている。
【0051】
リード線5a,4aは、接続部10の内部に設けられた収容部102に、部分的に収容されている。これにより、リード線5a,4aの余った長さ部分は、本体部11内に巻き回すことなく、効率よく収容されるので、構造が煩雑になることを回避できる。
【0052】
収容部102はエポキシ樹脂などの充填材61によって充填され、貫通孔15はパテなどの充填材62によって充填されており、これにより、リード線5a,4aを外部からの衝撃などによるダメージから保護している。さらに、接続部10の下部は、エポキシ樹脂などからなる蓋部74によって覆われており、同様にリード線5a,4aを保護している。
【0053】
また、収容部102には、防水パッキンにより覆われた第2コネクタ4が挿入される。第2コネクタ4の先端部は、収容部102内に存在し、ここからリード線4aが延びている。
【0054】
収容部102の内壁には、上述したコネクタ取付穴101aが開口している。コネクタ取付穴101aは、内壁に螺子溝64が設けられ、これがコネクタ5と螺合するようになっている。コネクタ取付穴101aは、ケーブルコネクタを接続しないとき、内部を装置外の雰囲気から遮断するために、ゴムなどからなるコネクタ蓋63により気密に封止されている。
【0055】
次に、本発明に係る丸型コネクタ5について説明する。図7には、コネクタ5の外観が例示されている。丸型コネクタ5は、略円筒状の筐体を有し、円形状の端面50と、一対の収納孔53と、第1及び第2の位置決め部51,52と、中空部56と、突出部55とを含む。
【0056】
丸型コネクタ5の筐体は、好ましくは、無色透明のポリカーボネイトにより一体に射出形成され、外気からの保護、及び耐熱性と耐衝撃性の観点から最適に構成されている。丸型コネクタ5の寸法は、例えば、端面50の直径Rr=33.9(mm)、円筒部の高さHr=24(mm)である。
【0057】
コネクタ5の外周側面には螺子溝54が設けられており、これが上述したコネクタ取付穴101aの螺子溝64と螺合する。したがって、コネクタ5は、防水性に優れた接合構造を備える。コネクタ5の取付にあたっては、螺子溝54を、薄い防水パッキンなどの防水シール材で覆っておき、防水性を向上させておくと好ましい。
【0058】
端面50には、その中心を横切るように溝57が形成されており、コネクタ5の取付時、この溝57にドライバー等のツールをあてがって、コネクタ5を容易に回転させることができる。さらに、端面50には、外周沿いにテーパ50aが設けられており、コネクタ5の取付時に端面50を指で押さえやすくなっている。
【0059】
また、突出部55は、端面50から見て、外周側面の端縁から奥に向かって延在する4つの薄板部位である。この4つは円周上で等間隔に設けられている。突出部55は、取付時に、上述した収容部102の内部に位置するので、収容部102を充填材61により充填したときに、コネクタ5の回転止めとして機能する。
【0060】
図8にはコネクタ5の断面が表されている。図8を参照して理解されるように、一対の収納孔53は、端面50の反対面50bだけに開口した略円柱状の孔であり、端面50から見て、その中心を挟むように対称な位置に設けられている。一対の収納孔53は、筐体の射出成形時に貫通孔として形成してもよいが、この場合、外気を遮断するために、端面50上の開口を別の透過性部材で閉塞する必要がある。
【0061】
一対の収納孔53には、一対の光素子501が収納されている。光素子501としては、典型的には、発光ダイオードなどの発光素子、フォトダイオードなどの受光素子が挙げられるが、これに限定されることはなく、光を媒体とする通信に用いられる素子が広く含まれる。
【0062】
収納孔53の先端部には、その内壁と光素子501との間に隙間53aが生ずる。望ましくは、この隙間53aにアルゴンなどの希ガスを封入することによって、光素子501を腐食などの好ましくない化学反応から保護するとよい。
【0063】
一対の光素子501は、上述したリード線5aと電気的に接続されている。リード線5aは、正極及び負極のペア線を互いに捻り合わせてなる縒り線となっており、これにより電気信号の雑音耐力を向上している。
【0064】
一対の光素子501が受光素子である場合、コネクタ5とケーブルコネクタを接続したとき、外部から光素子501を介して、電子部品131のうち、記憶部である不揮発性メモリ131に電文情報が書き込まれる。一方、一対の光素子501が発光素子である場合、該電文情報が読み出される。もっとも、一対の光素子501として発光素子及び受光素子を1個ずつ採用した場合、双方向通信が可能となるので、書き込みと読み出しの両方が可能となる。
【0065】
一対の光素子501は、共通の基板502に固定された状態で収納されている。この基板502は、硬質樹脂などで形成され、リード線5aの一方の端部とともに、コネクタ5の端面50から見て、奥に設けられた中空部56に収納されている。基板502は、光素子501を安定に保持するとともに、端面50の反対面50bと当接することによって、収納孔53の挿入方向において、光素子501の位置決めを行うことができる。
【0066】
また、中空部56は、一対の収納孔53と連なり、外周側面により囲まれている。中空部56は、ウレタンなどの軟質樹脂503により充填されており、衝撃などから、光素子501だけでなく、光素子501とリード線5aのはんだ接続部も保護している。
【0067】
本発明に係る丸型コネクタ5の最も特徴的部分は、端面50に設けられた位置決め構造にある。丸型コネクタ5は、上述したように、取付時に回転するから、端面50の角度θ(図7(a)を参照)にばらつきが生ずる。したがって、一対の収納孔53、及びその中の一対の光素子501の位置にもばらつきが生ずるため、ケーブルコネクタを接続するにあたって、光素子同士の位置決めが非常に困難となる。端面50の第1及び第2の位置決め部51,52は、この問題を解決するものである。以下に詳細を述べる。
【0068】
端面50は、上述したようにコネクタ取付穴101aから露出し、ケーブルコネクタの接続時に、その端面と対向する。第1及び第2の位置決め部51,52は、ケーブルコネクタに備えられた一対の光素子が、上述した一対の収納孔53と対向するように位置決めするための構成である。
【0069】
第1の位置決め部51は、円筒状の凹部であり、端面50の中心に設けられている。第1の位置決め部51は、ケーブルコネクタの接続時、中心同士の位置合わせに供される。
【0070】
一方、第2の位置決め部52は、端面50の半径方向に延びる溝状の凹部であり、端面50の中心と端縁の中間付近から端面50の端縁まで延設されている。第2の位置決め部52は、ケーブルコネクタの接続時、その端面の角度合わせに供される。したがって、第2の位置決め部52は、必ずしも溝状である必要はなく、端面50の中心と端縁の間にあれば、如何なる形状の窪みでもよい。
【0071】
図8を参照して理解されるように、第1の位置決め部51は、端面50からの深さ寸法が、第2の位置決め部52の深さ寸法より大きく、本発明に係るケーブルコネクタとの接続に適した構造となっている。
【0072】
本発明に係るケーブルコネクタの外観は、図9に例示されており、その内部構造は、図10に例示されている。ケーブルコネクタ8は、塩化ビニルなどの硬質樹脂からなる筐体を有し、収容体81と、回転体82と、取手部83と、弾性部材85とを含む。ケーブルコネクタ8の寸法は、例えば、全長Ls=155(mm)、直径Rs=474(mm)である。
【0073】
収容体81は、その内部に回転体82を、回転軸Aを中心として回転自在に保持するための円筒部811と、接続対象物に対して固定するための固定部810とを含む。
【0074】
固定部810は、収容体81の一端において外周側面から連なる鍔状部位であって、螺子止めのための4つの貫通孔810aが等間隔に設けられている。したがって、貫通孔810aに螺子91を挿通し、これを、上述した地上子1のケーブルコネクタ固定部101b(つなり、螺子穴)に螺合することによって、固定部810を地上子1の接続面101に固定することができる。
【0075】
回転体82は、円筒部811の中に収容された筒体82bと、筒体82bの一端面に被せるように設けられたキャップ形状の蓋体82aと、筒体82bの内部に収納された一対の光素子93と、一対の光素子93を固定する基板930とを含む。
【0076】
蓋体82aは、接続対象物と対向する円形状の端面821と、端面821の端縁から回転軸A方向に連なる外周側部821aと、第1の位置決め部822と、第2の位置決め部823と、一対の開口824とを含む。
【0077】
蓋体82aは、図10に示されるように、断面視で略コ字形状を有し、外周側部825により筒体82bの一端が蓋体82aに嵌合され、さらに、端面821からの3箇所の螺子止め94により固定されている。
【0078】
一対の開口824は、接続対象物に対する通信媒体の光が通る窓部分であって、端面821から見て、その中心を挟むように対称に設けられている。
【0079】
第1の位置決め部822と第2の位置決め部823は、上述したコネクタ5の第1及び第2の位置決め部51,52に対応する部位であり、本発明に係るケーブルコネクタ8の特徴的部分である。
【0080】
第1の位置決め部822は、凸形状を有し、端面821の中心に設けられている。第1の位置決め部822は、接続時に接続対象物との間で中心同士の位置合わせに供される。すなわち、第1の位置決め部822は、接続時にコネクタ5の第1の位置決め部51と合致する。第1の位置決め部822の高さ寸法は、コネクタ5の第1及び第2の位置決め部51,52に従い、第2の位置決め部823の高さ寸法より大きく設定されている。
【0081】
一方、第2の位置決め部823は、凸形状を有し、端面821の中心と端縁の間に設けられている。第2の位置決め部52は、接続時に端面821の角度合わせに供される。すなわち、第2の位置決め部823は、接続時にコネクタ5の第2の位置決め部52と合致することによって、一対の光素子93が露出する一対の開口824を、コネクタ5の一対の収納孔53に対向させることができる。
【0082】
一対の光素子93は、既に述べたように、典型的には発光素子、あるいは受光素子であり、発光素子を採用した場合、ケーブルコネクタ8は電文情報の書き込みに用いることができる。一対の光素子93は、蓋体82aと接する筒体820の端面に設けられた一対の収納孔824に収納されている。
【0083】
一対の収納孔825は、円柱状の貫通孔であって、蓋体82aの端面821に設けられた一対の開口824と、開口面の位置が合致している。これにより、一対の光素子93は、一対の開口824を介して、接続対象物との間で光の送信、あるいは受信を行うことができる。
【0084】
取手部83は、筒状部材であって、筒体82bと、互いの鍔部820,830を介して接続され、収容体81の外部に、回転軸Aを中心として回転自在に設けられている。このため、回転体82は、取手部83と連動して回転し、接続作業が容易な構成となっている。もっとも、取手部83に代えて、回転体82の背面につまみ等を設けてもよい。
【0085】
筒体82bの鍔部820は、筒体82bの取手部83側の一端の外周側面から延設されており、他方、取手部83の鍔部830は、取手部83の筒体82b側の一端の外周側面から延設されている。鍔部820,830同士は、4つの螺子92により接続されている。もっとも、取手部83と筒体82bの接続手段は、このような構造に限定されるものではなく、嵌合機構やギア機構などの他の適当な手段を採用し得るのは言うまでもない。
【0086】
取手部83は、内部にケーブル84が挿通され、さらに、ケーブル84の先端部分は、筒体82bの空洞部826に至る。空洞部826において、ケーブル822の被覆からリード線931が露出している。リード線931は、上述した縒り線であって、一対の光素子93と電気的に接続されている。これにより、ケーブルコネクタ8は、接続対象物から光信号を受信し、あるいは接続対象物に光信号を送信することができる。なお、ケーブル84の他端は、電文の書き込み装置などと接続されている。
【0087】
本発明に係るケーブルコネクタ8のさらなる特徴的部分は弾性部材85である。弾性部材85は、回転体82の回転軸A方向において、回転体82を収容体81に対して付勢する。図10を参照して理解されるように、本実施形態における弾性部材85としては、スプリング(バネ)を例示しているが、ゴムなどの他の弾性部材も採用し得る。
【0088】
弾性部材85は、収納体81と回転体82との間に生ずる隙間85aに収納されている。詳しく述べると、隙間85aは、蓋体82aの外周側部821aの端面と、これに対向する円筒部811の肉厚端部811aの端面と、筒体82bの外周面の一部と、これと対向する円筒部811の内周面の一部とによって取り囲まれた筒状空間である。言い換えれば、スプリング85は、筒体82bの外周面に巻きまわされているのである。もっとも、弾性部材85の配置は、このような態様に限定されることはなく、回転体82を収容体81に対して付勢する限り、如何なる態様であってもよい。
【0089】
弾性部材85は、第1の位置決め部822と第2の位置決め部823が接続対象物の所定位置、つまりコネクタ5の第1の位置決め部51と第2の位置決め部52とにそれぞれ合致したときに、回転体82をロックする機能を備える。
【0090】
次に、本発明に係る丸型コネクタ5、地上子1、及びケーブルコネクタ8の作用効果について具体的に説明する。ここでは、上述した地上子1に取り付けられた丸型コネクタ5に、上記のケーブルコネクタ8を接続する場合を例に挙げる。その前提として、ケーブルコネクタ8の第1及び第2の位置決め部822,823、一対の開口824及び収納孔825は、それぞれ、コネクタ5の第1及び第2の位置決め部51,52、一対の収納孔53と鏡面対象の位置関係にあるものとする。
【0091】
まず、図11と図12に示されるように、ケーブルコネクタ8の第1の位置決め部822をコネクタ5の第1の位置決め部51に合わせ、ケーブルコネクタ8の螺子91を地上子1のケーブルコネクタ固定部101bに螺合させる。なお、図では、固定に2個の螺子91を用いているが、4個の螺子91を用いてもよい。
【0092】
この螺合によりケーブルコネクタ8の固定部810は地上子1の接続面101に固定されるから、弾性体85の弾性力が作用して、ケーブルコネクタ8の端面821は、地上子1のコネクタ5の端面50に押し付けられる。ここで、ケーブルコネクタ8の第1の位置決め部822の高さ寸法は、第2の位置決め部823の高さ寸法より大きいため、ケーブルコネクタ8は、その端面821をコネクタ5の端面50に対して略平行に保ったまま、第1の位置決め部822の先端部がコネクタ5の第1の位置決め部51に嵌入されるとともに、第2の位置決め部823がコネクタ5の端面50と当接する。この当接のため、ケーブルコネクタ8の端面821とコネクタ5の端面50の間には間隔Sが生ずる。
【0093】
本実施形態では、好適な位置合わせを実現するために、ケーブルコネクタ8の第1の位置決め部822の高さ寸法が第2の位置決め部823の高さ寸法より大きいものとしているが、必ずしも、このような構成とする必要はない。上記の高さ寸法の関係を満たさずとも、例えば、図12に示された態様とは異なり、ケーブルコネクタ8の端面821をコネクタ5の端面50に対して傾斜させたままであっても、第1の位置決め部822の嵌入はなされ得るからである。さらに言えば、逆に、コネクタ5の端面50において、第1及び第2の位置決め部51,52の各開口面の高さ位置を調節してもよい。
【0094】
次に、図11と図12に示された状態では、ケーブルコネクタ8の一対の収納孔825及び開口824の位置が、コネクタ5の一対の収納孔53の位置と合っていないため、ケーブルコネクタ8の第2の位置決め部823をコネクタ5の第2の位置決め部52に合わせるべく、回転軸Aを中心として取手部83を方向Rに回転させる必要がある。この回転より、回転体82も連動して回転するため、第2の位置決め部823の位置は中心周りに変化する。
【0095】
そして、両者の位置が合致したとき、図13と図14に示されるように、弾性体85の弾性力が作用して、回転体82と取手部83が方向dに移動する。この移動により、ケーブルコネクタ8の第2の位置決め部823は、コネクタ5の第2の位置決め部52に嵌入されて、取手部83、及び回転体82がロックされる。
【0096】
ここで、ケーブルコネクタ8とコネクタ5の各部の配置が鏡面対象であるから、ロック時、ケーブルコネクタ8の一対の収納孔825、及び一対の開口824の位置は、コネクタ5の一対の収納孔53の位置と合致する。このとき、作業者は、ロックの手ごたえを取手部83から感知できるため、位置合わせの完了を容易に認識することができ、作業効率が向上する。
【0097】
さらに、回転体82の端面821は、弾性体85の弾性力によって丸型コネクタ5の端面50に向かって押し当られるから、それぞれの一対の収納孔53,825の間の距離、つまり光素子501,93間の距離を常に所定値にすることができる。これにより、ケーブルコネクタ8の一対の光素子93は、コネクタ5の一対の光素子501と所定間隔をおいて対向した状態に保持され、コネクタ5及びケーブルコネクタ8は、通信可能な一組の接合コネクタとして機能する。
【0098】
このように、本発明に係る丸型コネクタ5、地上子1、及びケーブルコネクタ8によれば、地上子1に丸型コネクタ5を取り付けたときの端面50の角度θのばらつきにも関わらず、ケーブルコネクタ8の固定部810を地上子1の接続面101に固定し、取手部83を回転させるという手順だけで、丸型コネクタ5とケーブルコネクタ8の接続作業を迅速かつ正確に行うことができる。そして、上述したように電文などの情報を地上子1に書き込み、あるいは地上子1から読み出すことができる。
【0099】
最後に、本発明に係る丸型コネクタ5、地上子1、及びケーブルコネクタ8の各効果を個別に述べておく。
【0100】
(1)丸型コネクタ
本発明に係る丸型コネクタ5によれば、一対の収納孔53を備えるから、これに光素子501、すなわち、発光素子、または受光素子を収納し、上述した二重化された通信を実現することができる。また、一対の収納孔53は、端面50の反対面50bに開口しているから、収納した一対の光素子501を外気に曝すことがなく、素子501の劣化を抑制することができる。
【0101】
この一対の収納孔53は、端面50から見て、その中心を挟むように設けられているため、取り付けたときのコネクタ5の端面50の角度θによって位置が異なる。
【0102】
そこで、本発明に係る丸型コネクタ5は、端面50の中心に第1の位置決め部51を設けるとともに、端面50の中心と端縁の間に第2の位置決め部52を設けるという特徴的な構成によって、上述した位置決めの問題を解決している。
【0103】
具体的には、まず、丸型コネクタ5と同様の構成を備えたケーブルコネクタ8を用意する。すなわち、このケーブルコネクタ8は、端面821の中心に第1の位置決め部822が、端面821の中心と端縁の間に第2の位置決め部823がそれぞれ設けられ、さらに、一対の光素子93を収納する一対の収納孔825が、端面821から見て、その中心を挟むように設けられている。そして、丸型コネクタ5とケーブルコネクタ8は、第1の位置決め部51,822、第2の位置決め部52,823、一対の収納孔53,825の端面50,821における位置が、互いに鏡面対象の関係にある。
【0104】
次に、丸型コネクタ5の第1の位置決め部51に、ケーブルコネクタ8の第1の位置決め部822を合わせ、第1の位置決め部822を中心としてケーブルコネクタ8を回転させる。そして、回転により丸型コネクタ5の第2の位置決め部52とケーブルコネクタ8の第2の位置決め部823の位置が合致する。
【0105】
ここで、第1の位置決め部51,822と第2の位置決め部52,823の形状としては、例えば凸形状、または凹形状を挙げることができる。すなわち、仮に、丸型コネクタ5の第1及び第2の位置決め部51,52を凹形状とすれば、ケーブルコネクタ8の第1及び第2の位置決め部822,823を凸形状とするとよい。これにより、丸型コネクタ5とケーブルコネクタ8は、互いの第1及び第2の位置決め部51,52,822,823を嵌合させることができる。
【0106】
したがって、丸型コネクタ5の一対の収納孔53は、ケーブルコネクタ8の一対の収納孔825と対向する位置に、正確に位置決めされる。
【0107】
このように、本発明に係る丸型コネクタ5によれば、接続対象物のケーブルコネクタ8と、第1の位置決め部51により端面50の中心を合わせて、第2の位置決め部52により端面50の角度を決定することができるから、取付時の丸型コネクタ5の角度によらず、ケーブルコネクタ8を簡便に、かつ正確に接続することができ、作業の迅速化に寄与し得る。
【0108】
(2)地上子
本発明に係る地上子1によれば、接続部10が本体部11の側方に設けられ、この接続部10は端面50が露出したコネクタ5を含むから、上述した従来技術とは異なり、線路R上から回収することなく、現場で外部装置のケーブルコネクタ8を接続することができる。該外部装置としては、例えば、電文を書き込むための書き込み装置が挙げられる。
【0109】
そして、本発明に係る地上子1は、本体部11に情報を記憶する記憶部131を収納し、コネクタ5にケーブルコネクタ8を接続したとき、外部から光素子501を介して、記憶部131に情報が書き込まれ、あるいは、記憶部131から情報が読み出される。このため、本発明に係る地上子1は、上述したような外部からの電文の書き込み作業などを行うことができる。
【0110】
さらに、本発明に係る地上子1によれば、上述した丸型コネクタ5を含むので、これと同様の作用効果を得ることができる。
【0111】
(3)ケーブルコネクタ
本発明に係るケーブルコネクタ8は、収容体81が、その内部に回転体82を回転自在に保持するための円筒部811と、接続対象物1に対して固定するための固定部810とを含むから、収容体81を接続対象物1に固定したまま、回転体82だけを自由に回転させることができる。
【0112】
また、本発明に係るケーブルコネクタ8は、回転体82の端面821に一対の収納孔825を備えるから、これに光素子93、すなわち、発光素子、または受光素子を収納し、上述した二重化された通信を実現することができる。
【0113】
そして、回転体82は、円形状の端面821の中心に第1の位置決め部822が、端面821の中心と端縁の間に第2の位置決め部823がそれぞれ設けられ、さらに、一対の光素子93を収納する一対の収納孔825が、端面821から見て、その中心を挟むように設けられている。したがって、本発明に係るケーブルコネクタ8は、既に述べたように、上記の丸型コネクタ5と接続するにあたって、簡便で正確な位置決めを可能とする。
【0114】
さらに、本発明に係るケーブルコネクタ8は、回転体82の回転軸方向において、回転体82を収容体81に対して付勢する弾性部材85を含むから、回転体82を回転させて、第1及び第2の位置決め部822,823がそれぞれ丸型コネクタ5の第1及び第2の位置決め部51,52と一致したときに、弾性部材85の弾性力によって回転体82の端面821を丸型コネクタ5の端面50に押し当てることができる。これにより、それぞれの第1及び第2の位置決め部51,52.822,823が互いに合わさった状態で回転体82をロックすることができるから、回転体82の一対の収納孔825と丸型コネクタ5の一対の収納孔53が対向状態に保持され、さらに、これらの一対の光素子501,93も対向状態に保持される。
【0115】
また、回転体82の端面821を丸型コネクタ5の端面50に押し当てることによって、それぞれの一対の収納孔53,825の間の距離を常に所定値にすることができるため、これらの一対の光素子501,93も所定間隔をおいて対向し、一対の光素子93による正常な通信を担保することができる。
【0116】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0117】
1 地上子
10 接続部
101a コネクタ取付穴
101b ケーブルコネクタ固定部
64 螺子溝
11 本体部
102 収容部
61,62 充填材
4a,5a リード線
15 貫通孔
5 丸型コネクタ
50 端面
50b 反対面
51 第1の位置決め部
52 第2の位置決め部
53 一対の収納孔
501 一対の光素子
502 基板
54 螺子溝
55 突出部
56 中空部
503 軟質樹脂
8 ケーブルコネクタ
81 収容体
810 固定部
810a 貫通孔
82 回転体
821 端面
822 第1の位置決め部
823 第2の位置決め部
824 一対の開口
825 一対の収納孔
93 一対の光素子
930 基板
83 取手部
85 弾性部材
A 回転軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形状の端面と、一対の収納孔と、第1及び第2の位置決め部とを含む丸型コネクタであって、
前記一対の収納孔は、前記端面の反対面に開口し、前記端面から見て、その中心を挟むように設けられ、
前記第1の位置決め部は、前記端面の中心に設けられ、
前記第2の位置決め部は、前記端面の中心と端縁の間に設けられた、
丸型コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載された丸型コネクタであって、
さらに一対の光素子を含んでおり、
前記一対の光素子は、前記一対の収納孔に収納されている、
丸型コネクタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載された丸型コネクタであって、
さらに基板を含んでおり、
前記一対の光素子は、前記基板に固定されている、
丸型コネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載された丸型コネクタであって、
前記第1の位置決め部は、凸形状、または凹形状を有する、
丸型コネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載された丸型コネクタであって、
前記第2の位置決め部は、凸形状、または凹形状を有する、
丸型コネクタ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載された丸型コネクタであって、
外周側面に螺子溝が設けられている、
丸型コネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載された丸型コネクタであって、
さらに、中空部を含み、
前記中空部は、前記一対の収納孔と連なり、前記外周側面により囲まれている、
丸型コネクタ。
【請求項8】
請求項7に記載された丸型コネクタであって、
前記中空部が、軟質樹脂により充填された、
丸型コネクタ。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載された丸型コネクタであって、
さらに、1以上の突出部を含み、
前記1以上の突出部は、前記端面から見て、外周側面の端縁から奥に向かって延在する、
丸型コネクタ。
【請求項10】
本体部と、接続部とを含む地上子であって、
前記本体部は、情報を記憶する記憶部を収納しており、
前記接続部は、コネクタを含み、前記本体部の側方に設けられており、
前記コネクタは、請求項2乃至9の何れかに記載された丸型コネクタであり、前記端面が露出しており、
前記記憶部は、前記コネクタにケーブルコネクタを接続したとき、外部から前記光素子を介して、情報が書き込まれ、あるいは、読み出される、
地上子。
【請求項11】
請求項10に記載された地上子であって、
前記接続部は、さらに、前記コネクタを取り付けるためのコネクタ取付穴を含み、
前記コネクタ取付穴は、内壁に螺子溝が設けられている、
地上子。
【請求項12】
請求項10または11に記載された地上子であって、
前記接続部は、さらに、ケーブルコネクタを固定するためのケーブルコネクタ固定部を含む、
地上子。
【請求項13】
請求項12に記載された地上子であって、
前記ケーブルコネクタ固定部は、1以上の螺子穴を含む、
地上子。
【請求項14】
請求項10乃至13の何れかに記載された地上子であって、
前記コネクタは、外周側面が防水シール材により覆われている、
地上子。
【請求項15】
請求項11乃至14の何れかに記載された地上子であって、
前記接続部は、さらに収容部を含み、
前記収容部は、内壁に前記コネクタ取付穴が開口している、
地上子。
【請求項16】
請求項15に記載された地上子であって、
前記光素子は、リード線と電気的に接続されており、
前記リード線は、前記収容部に部分的に収容される、
地上子。
【請求項17】
請求項16に記載された地上子であって、
さらに、貫通孔を含み、
前記貫通孔は、前記収容部と前記本体部を連通させており、
前記リード線は、前記貫通孔を通って前記本体部へと導かれている、
地上子。
【請求項18】
請求項15乃至17の何れかに記載された地上子であって、
前記収容部は、充填材によって充填されている、
地上子。
【請求項19】
収容体と、回転体と、弾性部材とを含むケーブルコネクタであって、
前記収容体は、その内部に前記回転体を回転自在に保持するための円筒部と、接続対象物に対して固定するための固定部とを含み、
前記回転体は、円形状の端面と、第1の位置決め部と、第2の位置決め部と、一対の収納孔とを含み、
前記第1の位置決め部は、前記端面の中心に設けられ、
前記第2の位置決め部は、前記端面の中心と端縁の間に設けられ、
前記一対の収納孔は、前記端面から見て、その中心を挟むように設けられ、
前記弾性部材は、前記回転体の回転軸方向において、前記回転体を前記収容体に対して付勢する、
ケーブルコネクタ。
【請求項20】
請求項19に記載されたケーブルコネクタであって、
さらに一対の光素子を含んでおり、
前記一対の光素子は、前記一対の収納孔に収納されている、
ケーブルコネクタ。
【請求項21】
請求項19または20に記載されたケーブルコネクタであって、
さらに基板を含んでおり、
前記一対の光素子は、前記基板に固定されている、
ケーブルコネクタ。
【請求項22】
請求項19乃至21の何れかに記載されたケーブルコネクタであって、
前記第1の位置決め部は、凸形状、または凹形状を有する、
ケーブルコネクタ。
【請求項23】
請求項19乃至22の何れかに記載されたケーブルコネクタであって、
前記第2の位置決め部は、凸形状、または凹形状を有する、
ケーブルコネクタ。
【請求項24】
請求項19乃至23の何れかに記載されたケーブルコネクタであって、
前記固定部は、前記収容体の外周面に設けられた鍔状部位であって、螺子止めのための貫通孔が設けられている、
ケーブルコネクタ。
【請求項25】
請求項19乃至24の何れかに記載されたケーブルコネクタであって、
さらに取手部を含み、
前記取手部は、前記収容体の外部に回転自在に設けられており、
前記回転体は、前記取手部と連動して回転するように構成されている、
ケーブルコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−60065(P2012−60065A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204449(P2010−204449)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】