説明

丸編弾性布および相当する布の製造方法

本発明は、裸スパンデックス糸(12)を提供する工程と、硬質糸(14)を提供する工程と、裸スパンデックスを牽伸する工程と、硬質糸および牽伸された裸スパンデックスがあらゆる方向に添え糸編みされた状態で硬質糸および牽伸された裸スパンデックスから布を編む工程と、50%未満の相対湿度を有する空気中で、160℃を超えて幅出機で編布を加熱することなしに裸スパンデックスを硬化させるのに十分な温度および圧力の条件下に十分な期間、編布を連続相水性溶液と接触させる工程とを含む、裸スパンデックスで布(10)を編むための方法を提供する。本発明はさらに、スパンデックスの分子量分析によって示される際の160℃以下の製造プロセス温度にさらされた、そして約14%未満の洗濯収縮を示すあらゆる編み方向にスパンデックスを含有する裸スパンデックス含有編布を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その方法の一環として布を乾式ヒートセットすることなく、スパンデックスおよび硬質糸を含む丸編弾性布を製造するための方法に関する。より具体的には、本発明は、染色手順の前にまたはその間にハイドロセッティング工程を用いることによる良好な伸び率、良好な収縮、および100〜400g/m2の範囲の重量を有する弾性化布の製造方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は2004年12月21日出願の米国仮特許出願第60/637815号明細書の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
丸シングル−ニットジャージー布は、下着およびTシャツのようなトップウェイト衣服を製造するために使用される。織り構造体と比較して、編布は、編布を形成する個々の表目(相互連結されたループよりなる)を圧縮するまたは引き伸ばすことによって、より容易に変形する、または伸縮することができる。編み目再配列によって伸縮するこの能力は、編布から製造された衣服の着心地の良さを高める。編布が、例えば、綿、ポリエステル、ナイロン、アクリルまたは羊毛のような、100%硬質糸で構築されているときでさえ、強制力が取り除かれた後に元の寸法への表目の幾らかの回復がある。しかしながら、表目再配列によるこの回復は、エラストマー的ではない硬質糸が表目を再配列させる回復力を提供しないので一般には完全ではない。結果として、シングル編布は、より多くの伸縮が起こる、例えばシャツスリーブの肘でなど、特定の衣服区域で永久的な変形または「袋地」を経験するかもしれない。
【0004】
丸シングル−ニット布の回復性能を向上させるために、少量のスパンデックス繊維を同伴硬質糸と共に編むことは今や一般的である。布が編まれ、そして丸編機の制約から解放された後に、ヒートセッティングがスパンデックスを「硬化する」ために用いられない場合、布中の延伸されたスパンデックスは、スパンデックスが存在しない場合のそれらの寸法に比べて布の寸法が減るように縮んで布編み目を圧縮するであろう。
【0005】
ヒートセッティングはウェフトニット弾性布のすべての種類に用いられるわけではない。例えばダブルニット/リブおよびフラット・セーターニットでなど、幾つかのケースでヘビーニットが望まれるであろう。これらのケースでは、スパンデックスによる幾らかの編み目圧縮は受け入れられる。他のケースでは、裸スパンデックス繊維はコアスピニングまたはスピンドル被覆操作で天然または合成繊維で被覆され、その結果スパンデックスの回復およびこれに伴う編み目圧縮は被覆によって抑えされる。さらに他のケースでは、裸または被覆されたスパンデックスは、あらゆる第2または第3編み方向ごとにのみ添え糸編みされ、それによって表目を圧縮する総回復力を制限する。シームレス編み、チューブラーニットが特殊機械で編まれながら直接使用のために造形される方法では、緻密な伸縮性布が意図されるので、布はヒートセットされない。しかしながら、裸スパンデックスがあらゆる方向で添え糸編みされている、裁断および裁縫用に製造された丸編ジャージー弾性布については、ヒートセッティングがほとんど常に必要とされる。ヒートセッティングは不利点を有する。ヒートセッティングは、弾性でない布(堅い布)に対して、スパンデックスを含有する弾性編布を仕上げるための余分のコストである。さらに、高いスパンデックス・ヒートセッティング温度は、敏感な同伴の硬質糸に悪影響、例えば、綿の黄変を与え得るし、それによって漂白のような、より攻撃的なその後の仕上げ操作を必要とする。攻撃的な漂白は、「手触り」のような布の良い感触性に負の影響を及ぼし得るし、通常製造業者に、布軟化剤を含めて漂白の影響を弱めるように要求する。また、ポリアクリロニトリル、羊毛およびアセテートからのもののような、熱に敏感な硬質糸は、高いヒートセッティング温度がかかる熱に敏感な糸に悪影響を及ぼすであろうので、高温スパンデックス・ヒートセッティング工程に使用することができない。
【0006】
ヒートセッティングの不利点は長い間認められてきたし、結果として、幾分より低い温度でヒートセットするスパンデックス組成物が特定されてきた(米国特許公報(特許文献1)および米国特許公報(特許文献2))。例えば、米国特許公報(特許文献2)に明示されるスパンデックスは、おおよそ175〜190℃で85%以上のヒートセット効率を有する。85%というヒートセット効率値は、効果的なヒートセッティングのための最小値と考えられる。それは、ヒートセッティング前後の延伸されたスパンデックスの長さを延伸される前のスパンデックス長さと比較する実験室試験によって測定される。かかるより低いヒートセッティング・スパンデックス組成物は改善を提供するが、ヒートセッティングは依然として必要とされ、それに関連したコストは著しく低減されなかった。
【0007】
丸編布の製造およびヒートセッティングの伝統的な慣行はさらなる不利点を有する。編布は連続チューブの形態で丸編機から出てくる。チューブはニッティングにおいて形成されるので、それはマンドレル上へテンション下に巻かれるか、それは折り畳むまたはゆるく折り重ねることによって編機の下にフラットチューブとして集められるかのどちらかである。どちらのケースでも、布は、布チューブが折り重ねられたまたはフラットにされた2つの永久的なしわを固定する。布は、しわの1つに沿って布チューブをスリット化することによって「オープンされる」が、布のその後の使用および裁断は通常、残っているしわを避けなければならない。これは布収量(または衣服へさらに加工することができる編布の量)を減らす。
【0008】
この分野での最近の進歩には、Tシャツに好適な丸編布の形成を記載している、米国特許公報(特許文献3)が含まれる。米国特許公報(特許文献3)では、弾性化丸編布は低い牽伸を用いて編まれ、結果として、安定な布を達成するためにヒートセッティングは全く必要とされない。しかしながら、米国特許公報(特許文献3)の布は、安定な布を達成するために非常に低いスパンデックス糸テンションで編まれなければならない。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,948,875号明細書
【特許文献2】米国特許第6,472,494 B2号明細書
【特許文献3】米国特許第6,776,014号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、紡績および/または連続フィラメント硬質糸と添え糸編みされた裸エラストマー材料を含む丸編シングルジャージー弾性布であって、(1)エラストマー繊維牽伸が編みプロセス中に制限され得る、(2)ある種の所望のシングル編布パラメーターが維持され得る、および(3)丸編シングルジャージー弾性布が裸エラストマー材料を実質的に硬化させるのに十分な温度および圧力の条件下に十分な期間連続相水性溶液と接触させられてもよいので、布中エラストマー繊維乾式ヒートセッティングの必要性なしに商業的に受け入れられる特性で製造することができる丸編シングルジャージー弾性布を提供する。
【0011】
本発明の第1態様は、15〜156デシテックス、例えば17〜78デシテックスの、裸スパンデックス糸のような、裸エラストマー材料が10〜165、例えば44〜68の糸番手(Nm)の、紡績および/または連続フィラメント糸、またはそれらのブレンドの少なくとも1つの硬質糸と添え糸編みされてもよい丸編シングルジャージー弾性布の製造方法を含む。
【0012】
エラストマー材料および硬質糸は添え糸編みされて丸、フラット、トリコット、リブ、およびフリースのような編布を製造することができる。この編み方法によって製造される丸編シングルジャージー弾性布は1.1〜1.9のカバーファクター(cover factor)を有することができる。ニッティング中に、エラストマー材料供給上の牽伸は、丸編シングルジャージー弾性布を形成するために編まれるときにエラストマー材料がその元の長さの約7倍以下、典型的には5倍以下、例えば2.5倍以下牽伸されてもよいように制御することができる。
【0013】
本方法はさらに、熱ハイドロセッティング処理を丸編シングルジャージー弾性布にそして丸編シングルジャージー弾性布中のエラストマー材料に変化を受けさせ、実質的に「硬化」にならせるのに十分な温度でおよび期間適用することを含む安定化工程を含む。例えば、安定化工程は、丸編シングルジャージー弾性布をジェット染色機中約105℃〜約145℃の範囲の温度に、約15分〜約90分の範囲の滞留時間ハイドロセットすることを含んでもよい。安定化工程は、布負荷および無負荷力ならびに布基本重量を下げるためにスパンデックスを再デニール化する(re−denier)。該安定化工程のために、丸編シングルジャージー弾性布は、約50%未満の相対湿度を有する空気中約160℃より上でテンション下に幅出機で丸編シングルジャージー弾性布を加熱するような、乾式ヒートセッティング工程を受ける必要はないかもしれない。
【0014】
次に、丸編シングルジャージー弾性布は、染色され、仕上げされおよび/または丸編シングルジャージー弾性布もしくは丸編弾性布内のスパンデックスを乾式ヒートセットすることなくスパンデックスのヒートセッティング温度未満の温度で乾燥されてもよい。仕上げは、クリーニング、漂白、染色、乾燥、ナッピング、ブラシかけ、および圧縮のような1つまたは複数の工程、ならびにかかる工程の任意の組合せを含んでもよい。典型的には、仕上げおよび乾燥は160℃未満の1つまたは複数の温度で実施される。乾燥または圧縮は、丸編シングルジャージー弾性布がたて糸方向にオーバーフィード条件にある間に実施される。
【0015】
生じた丸編シングルジャージー弾性布は、平方メートル当たりの総布重量を基準にして約3.5〜約14重量%、例えば平方メートル当たりの総布重量を基準にして約5〜約14重量%のエラストマー材料含有率を有してもよい。さらに、丸編シングルジャージー弾性布は約1.1〜約1.9、例えば、約1.29〜約1.4のカバーファクターを有してもよい。
【0016】
本発明の第2および第3態様は、本発明の方法に従って製造された丸編シングルジャージー弾性布、およびかかる布から構築された衣服である。本発明の方法によって製造される丸編シングルジャージー弾性布は、合成フィラメント、天然繊維の紡績スフ糸、合成繊維または糸とブレンドされた天然繊維、綿の紡績スフ糸、合成繊維または糸とブレンドされた綿、紡績ステープルポリプロピレン、ポリプロピレンとブレンドされたポリエチレンまたはポリエステル、ポリエチレンまたはポリエステル繊維または糸、およびそれらの組合せで形成することができ、約100〜約400g/m2、例えば約140〜約240g/m2の基本重量を有することができる。丸編シングルジャージー弾性布はまた、長さ(たて糸)方向に約45%〜約175%、例えば約60%〜約175%の伸び率、ならびに長さおよび幅の両方に約15%以下、典型的には14%以下、例えば約7%未満の洗濯および乾燥後収縮を有することができる。丸編シングルジャージー弾性布は約160℃以下の温度にさらされてもよい(スパンデックスの示差走査熱量測定法または分子量分析によって示される際の)。丸編シングルジャージー弾性布は、チューブの形態に(丸編プロセスからのアウトプットとして)、またはフラットニットの形態にあってもよい。布チューブはフラット布を提供するためにスリット化されてもよい。丸編弾性布は典型的には約1.0以下、例えば約0.5以下のフェイスカールのカーリング値を有する。シングルジャージー弾性布から製造される衣服には、水着、下着、Tシャツ、およびいつでも着用できる運動着、または室外着のような、トップまたはボトム−ウェイト衣服が含まれる。
【0017】
本発明は、少なくとも1つのエラストマー材料がその中に組み込まれた丸編シングルジャージー弾性布であって、少なくとも1つのエラストマー材料がその元の長さの約7倍以下、典型的には5倍以下、例えば2.5倍以下牽伸されことができる布を含み、丸編シングルジャージー弾性布は染色手順前にまたはその間にハイドロセッティング工程にさらされることができる。
【0018】
本発明はさらに、少なくとも1つのエラストマー材料がその中に組み込まれた丸編シングルジャージー弾性布の製造方法であって、少なくとも1つのエラストマー材料をその元の長さの約7倍以下牽伸する工程を含み、かつ、ハイドロセッティング工程を含み、そして乾式ヒートセッティング工程を含まなくてもよい方法を含む。本発明の布は裸スパンデックス接触ポイントの約50%未満が融合され、典型的には約30%未満、例えば裸スパンデックス接触ポイントの約10%未満が融合されてもよい。
【0019】
本発明はさらに、少なくとも1つのエラストマー材料がその中に組み込まれた丸編シングルジャージー弾性布であって、チューブの形態で製造することができ、そして約15%未満、典型的には14%以下、例えば7%以下の洗濯収縮を示し得る丸編シングルジャージー弾性布を含む。編布チューブは側面のしわがその中に形成されないことが可能で、丸編弾性布はかかる布の衣服への裁断および裁縫のために使用することができる。
【0020】
本発明はさらに、熱に敏感な硬質糸およびその中に組み込まれた少なくとも1つのエラストマー材料でできた丸編シングルジャージー弾性布を含む。
【0021】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面および添付の特許請求の範囲と併せて読まれるときに次の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次の用語はテキスタイル技術の態様を記載するために本明細書で用いられる。本明細書で用いるところでは、「牽伸」は、スパンデックスに加えられる延伸の量を意味する。繊維の牽伸は、繊維に加えられる伸び率(延伸)に直接関係する(例えば、100%伸び率は2倍牽伸に相当し、200%伸び率は3倍牽伸に相当する、など)。本明細書で用いるところでは、「スパンデックス」は、繊維形成物質が少なくとも85%のセグメント化ポリウレタンよりなる長鎖合成ポリマーである人造繊維を意味する。ポリウレタンは、ポリエーテルグリコール、ジイソシアネートの混合物、および鎖延長剤から製造され、次にスパンデックス繊維を形成するために溶融紡糸、乾式紡糸または湿式紡糸され得るが、ポリウレタンウレア繊維に限定されない。本明細書で用いるところでは、「たて糸」は布の長さ方向を意味し、「よこ糸」は布の幅方向を意味する。本明細書で用いるところでは、「硬質糸」は、紡績綿糸またはナイロン合成繊維のような、高い量の弾性伸縮を含有しない編糸を意味する。本明細書で用いるところでは、用語「分子量分析」および「示差走査熱量測定法」は、スパンデックスのサンプルがさらされた最高温度の測定方法に関する。用語「分子量分析」は、エラストマー材料の分子量を分析し、そしてそれをエラストマー材料の熱履歴に相関させる方法を意味する。用語「示差走査熱量測定法」は、サンプルが加熱される、冷却される、または一定温度に保持されるときにサンプルによって吸収されるまたは放出されるエネルギー(熱)の量の測定に関する。
【0023】
丸編機でのジャージーニット構造物については、スパンデックスの共編み方法は「添え糸編み(plating)」と呼ばれる。添え糸編みでは、硬質糸および裸スパンデックス糸は、スパンデックス糸が硬質糸の一面上に、従って編布の一面上に常に保たれて、平行、サイド−バイ−サイド関係で編まれる。図1は、編糸がスパンデックス12およびマルチ−フィラメント硬質糸14を含む添え糸編みされた表目10の略図である。スパンデックスが編布を形成するために硬質糸と添え糸編みされるとき、追加の処理コストが、スパンデックス繊維の追加コストを超えて発生する。例えば、布延伸およびヒートセッティングは、弾性ニットジャージー布を製造するときに仕上げ工程で通常必要とされる。
【0024】
用語「丸編」は、編針が円形の編みベッドに組織されているよこ編みの形態を意味する。一般に、シリンダーが回転し、編み活動のために相互に針を移動させるためのカムと相互作用する。編まれるべき糸はパッケージから、糸ストランドを編針に導くキャリアプレートへ供給される。丸編布は、編針からシリンダーの中心を通ってチューブ形状で出てくる。
【0025】
一公知方法40に従った弾性丸編布の製造工程は図4に概要を示される。プロセス変動は異なる布ニット構造物および布最終用途について存在するが、図4に示される工程は、綿のような、紡績された硬質糸でのジャージーニット弾性布の製造の典型である。布は、高いスパンデックス牽伸および供給テンションの条件での第1丸編42である。例えば、あらゆる編み方向で添え糸編みされた裸スパンデックスで製造されるシングルジャージー編布については、典型的な供給テンション範囲は22デシテックス・スパンデックスに対しては2〜4cNであり、33デシテックスに対しては3〜5cNであり、44デシテックスに対しては4〜6cNである。布はチューブの形態で編まれ、それは、フラットにされたチューブのまま回転マンドレル上へロールとしてか、それが前後にゆるく折り重ねられた後にボックス中にかのどちらかで編機の下に集められる。
【0026】
オープン幅仕上げでは、編まれたチューブは次にスリットオープンされ44、フラットに置かれる。オープン布は、それをスチームにさらすことによるか、浸漬および圧搾(パッディング)によってそれを湿らせることによるかのどちらかで次にリラックスさせられる46。リラックスした布は次に幅出機に適用され、オーブン中で加熱される(ヒートセッティング46のために)。幅出機は、布をピンによってエッジ上に保持し、布を所望の寸法および基本重量に戻すためにそれを長さおよび幅方向の両方に延伸する。湿っている場合、布は先ず乾燥され、次にヒートセッティングはその次の湿式処理工程の前に成し遂げられる。従って、ヒートセッティングはしばしば当業界では「プレ−セッティング」と言われる。オーブン出口で、フラット布は牽伸機から解放され、次にチューブ状の形状へ仮縫いされる48(縫い合わせられる)。布は次にチューブ形状で、例えば、ソフト流ジェット装置によるクリーニング(こすり洗い)および任意の漂白/染色の湿式プロセス50によって処理され、次に、例えば圧搾ロールによりまたは遠心分離機中で脱水される52。布は次に、縫糸を除去し、そして布をフラットシートへ再オープンすることによって「脱仮縫いされる」54。フラットな、まだ湿った布は次に、ヒートセッティング温度未満の温度で乾燥されつつある間布が長さ(縦)方向に無テンション下にあるように布オーバーフィード(延伸の反対)の条件下に幅出機オーブン中で乾燥される56。布は、いかなる可能なしわもフラットにするために幅方向にわずかにテンションをかけられる。軟化剤のような、任意の布仕上げ剤が乾燥操作の直前に塗布されてもよい56。幾つかのケースでは布仕上げ剤は、仕上げ剤が等しく乾燥している繊維によって一様に取り上げられるように、布が先ずベルトまたは幅出機オーブンで乾燥された後に塗布される。この追加の工程は、乾燥した布を仕上げ剤で再び湿らせ、次に布を幅出機オーブン中で再び乾燥させることを含む。
【0027】
幅出機または他の乾燥装置での乾燥布のヒートセッティングは、伸びた形態でスパンデックスを「硬化する」。これはまた、より高いデニールのスパンデックスがより低いデニールに牽伸され、または延伸され、そして次に、スパンデックスをより低いデニールで安定化させるのに十分に高い温度に十分な時間加熱される、再デニール化としても知られる。ヒートセッティングはそれ故延伸されたスパンデックスでの回復テンションがほとんど軽減され、そしてスパンデックスが新たなより低いデニールで安定になるようにスパンデックスが永久に変化することを意味する。スパンデックス用のヒートセッティング温度は一般に約175〜約200℃の範囲にある。図4に示される方法40については、ヒートセッティング46は一般に、約190℃で約45秒間以上である。
【0028】
編布中の編み目の圧縮は、弾性編布特性に直接関係する3つの主要な効果を有し、それによって、通常、布をその後の裁断および裁縫操作に不適切なものにする。
【0029】
第一に、編み目圧縮は、衣服での使用のためのシングルジャージー編布についての所望の範囲を超えて布寸法を減らし、布基本重量(g/m2)を増やす。結果として、弾性丸編布のための伝統的な仕上げ工程は、ニット中のスパンデックス糸が所望の延伸された寸法で「硬化する」であろうように、十分に高い温度および十分に長い滞留時間での布牽伸および加熱工程を含む。ヒートセッティング後に、スパンデックス糸は縮まないか、そのヒートセット寸法より少しだけ下に縮むかのどちらかであろう。このように、ヒートセットされたスパンデックス糸は、ヒートセット寸法から表目を有意に圧縮しないであろう。延伸およびヒートセッティング・パラメーターは、比較的厳しい限界内の、所望の布基本重量および伸び率をもたらすよう選ばれる。典型的な綿ジャージー弾性シングルニットについて、所望の伸び率は少なくとも60%であり、基本重量は約100〜約400g/m2の範囲である。第二に、編み目圧縮が厳しければ厳しいほど、布は百分率基準でより多く伸び、こうして最小標準および実用的なニーズをはるかに超えるであろう。弾性糸と添え糸編みされたニットが弾性糸なしの編布と比較されるとき、添え糸編みされた弾性編布が弾性糸なしの布より50%短い(より多く圧縮される)ことは一般的である。添え糸編みされたニットは、この圧縮された状態から長さで150%以上延伸することができ、かかる過度の伸び率は、裁断および裁縫用途のためのジャージーニットでは一般に望ましくない。この長さは布のたて糸方向にある。長さで高い伸び率(延伸)の布は、不規則に裁断される可能性が高く、そしてまた洗濯時に過度に収縮する可能性が高い。同様に、編み目は幅方向にスパンデックスによって圧縮され、その結果、堅い(非弾性)布で通常遭遇される15〜20%のニットされたままの幅減少をはるかに超えて約50%も布幅が減少する。
【0030】
第三に、完成布中の圧縮された編み目は、スパンデックス回復力と同伴硬質糸による編み目圧縮に対する抵抗との平衡状態にある。布の洗濯および乾燥は、多分一つには布のかき混ぜのために、硬質糸抵抗を減少させることができる。こうして、洗濯および乾燥は、スパンデックス回復力が表目をさらに圧縮することを可能にするかもしれず、それは受け入れられないレベルの布収縮をもたらし得る。編布のヒートセッティングは、スパンデックスをリラックスさせ、そしてスパンデックス回復力を低下させるのに役立つ。ヒートセッティング操作はそれ故布の安定性を向上させ、布が繰り返し洗濯後に収縮するであろう量を減少させる。本発明は、セッティングを必要とせずにスパンデックスおよび硬質糸を含む丸編弾性布を製造するための方法を提供することができる。生じた布は、減少した布収縮および受け入れられる布伸び率と共に約100g/m2〜約400g/m2の布基本重量の達成という観点から公知の布と比べて優れた性能を有するかもしれない。さらに、布カーリングの改善は、ハイドロセッティングが100〜400g/m2の最終重量の布に適用されたときに見いだされる。丸編に関して、図2は、図式的な形態で、編針を保持する回転シリンダー(示されていない)の下方のカム(示されていない)に応答して矢印24で示されるように相互に移動する一連の編針22を有する丸編機の1供給場所20を示す。丸編機には、移動シリンダーによって運ばれる編針が該場所を通り過ぎて回転するときに個々の編み場所に供給するように、円形に配置された多数のこれらの供給場所がある。
【0031】
添え糸編み操作のために、スパンデックス糸12および硬質糸14はキャリアプレート26によって編針22に送られる。キャリアプレート26は両糸を編み場所に同時に導く。スパンデックス糸12および硬質糸14は編針22に導入されて図1に示されるもののようなシングルジャージー表目10を形成する。
【0032】
硬質糸14は巻取糸パッケージ28からアキュムレータ30へ送られ、それは糸をキャリアプレート26そして編針22に計量供給する。硬質糸14は供給ロール32上を、そしてキャリアプレート26中のガイドホール34を通過する。場合により、2つ以上の硬質糸がキャリアプレート26中の異なるガイドホール経由で編針に送られてもよい。
【0033】
スパンデックス12は、表面駆動パッケージ36から切断端検出器39および方向変換ロール37を通り過ぎてキャリアプレート26内のガイドスロット38に送られる。スパンデックス12の供給テンションは、検出器39と駆動ロール37との間、あるいはまた、切断端検出器が用いられない場合には表面駆動パッケージ36とロール37との間で測定される。ガイドホール34およびガイドスロット38は、硬質糸14およびスパンデックス12をサイド−バイ−サイド、概して平行関係(添え糸編みされる)で編針22に与えるようにキャリアプレート26で互いに分離されている。
【0034】
丸編用の商業的に入手可能なエラスタン製品は本発明で有用である。商業的に入手可能な銘柄の例には、ライクラ(Lycra)(登録商標)(本願特許出願人の登録商標)タイプ162、169および562(本願特許出願人から入手可能な)が挙げられる。
【0035】
スパンデックスは、それが供給パッケージからキャリアプレートへ、そして順繰りに表目へ送られるときに編み目使用速度とスパンデックス供給パッケージからの供給速度との間の差のために延伸される(牽伸される)。硬質糸供給速度(メートル/分)対スパンデックス供給速度の比は通常2.5〜4倍(2.5倍〜4倍)より大きく、機械牽伸として公知である。これは、150%〜300%、またはそれ以上のスパンデックス伸び率に相当する。スパンデックス糸での供給テンションは、スパンデックス糸の牽伸に直接関係する。この供給テンションは典型的には、スパンデックスについての高い機械牽伸と一致する値に維持される。我々は、総スパンデックス牽伸が、布で測定されるように、約7倍以下、典型的には3倍以下、例えば2.5倍以下に保たれるときに改善された結果が得られることを見いだした。この牽伸値は、紡績されたままの糸の供給パッケージに含まれるスパンデックスのいかなる牽伸または引張も含むスパンデックスの総牽伸である。紡績からの残留牽伸の値はパッケージ・リラクセーション「PR」と称され、それは典型的には丸編弾性シングルジャージー布に使用されるスパンデックスについては0.05〜0.15の範囲である。布でのスパンデックスの総牽伸はそれ故MD倍(1+PR)であり、ここで、「MD」は編機牽伸である。編機牽伸は、両方ともそれらのそれぞれの供給パッケージからの、硬質糸供給速度対スパンデックス・供給速度の比である。
【0036】
その応力−歪み特性のために、スパンデックスに加えられるテンションが増えるにつれてスパンデックス糸はより多く牽伸され、逆に、スパンデックスが牽伸されるのが多ければ多いほど、糸中のテンションは高くなる。丸編機での典型的なスパンデックス糸経路は図2に図式的に示される。スパンデックス糸12は供給パッケージ36から、切断端検出器39上をまたはそれを通って、1つまたは複数の方向変換ロール37上を、そして次にスパンデックスを編針22にそして編み目へ導くキャリアプレート26へ計量供給される。スパンデックスに触れる各デバイスまたはローラーによって与えられる摩擦力のために、スパンデックスが供給パッケージから各デバイスまたはローラー上を通過するにつれてスパンデックス糸中にテンションの蓄積がある。編み目でのスパンデックスの総牽伸はそれ故スパンデックス経路の全体にわたってのテンションの合計に関係する。
【0037】
スパンデックス・供給テンションは、図2に示されるような切断端検出器39とロール37との間で測定される。あるいはまた、スパンデックス・供給テンションは、切断端検出器39が用いられない場合には表面駆動パッケージ36とロール37との間で測定される。設定され、そして制御されるこのテンションが高ければ高いほど、布中のスパンデックス牽伸はより大きくなり、逆もまた同様である。例えば、この供給テンションは、市販の丸編機で22デシテックス・スパンデックスについては2〜4cN、44デシテックス・スパンデックスについては4〜6cNの範囲であることができる。これらの供給テンション設定値およびその後の糸経路摩擦によって課せられる追加のテンションで、スパンデックスは市販の編機で3倍より多くかなり牽伸されるであろう。
【0038】
供給パッケージと表目との間のスパンデックス摩擦の最小化は、スパンデックス牽伸が7倍以下であるときに信頼できるスパンデックス供給のためにスパンデックス・供給テンションを十分に高く保つのに役立つ。供給パッケージから表目へスパンデックスを確実に供給するために、スパンデックス牽伸は典型的には3倍以下である。
【0039】
硬質糸と添え糸編みされたスパンデックスの丸編弾性シングルジャージー布を編んだ後、布は、図6に図式的に図解される代わりの方法61のどちらかで仕上げられる。
【0040】
本発明の第2態様は、こすり洗いおよび漂白工程64、図6の直前または直後に実施することができる熱水セッティング処理74である。布は、ジェット染色機中105〜145℃の水温および4.0kg/cm2以下の圧力で15〜90分間熱水で処理される。前記ハイドロセッティング中に、布は、あたかもそれが染色されつつあるように、しかし染料を加えることなく、ジェットを通過させられてもよい。あるいはまた、ハイドロセッティング工程は、布を水性染色液と接触させることを含んでもよい。ジェット染色機では、チューブ状編布のループは、浴液(あるいはまた空気)を用いて布を送るベンチュリ(venturi)ジェットの作用によって液浴中へおよびそれから外へ移動させられる。このハイドロセッティング工程74中に、布内のスパンデックス繊維は、スパンデックスの特性が変わるように湿式熱条件にさらされる。繊維のデニールおよび繊維の弾性強度は低下する。非ハイドロセット繊維と比べてハイドロセッティング後のスパンデックスの負荷力は約40%だけ低下するが、無負荷力は約20%だけ低下する。布は次に、同じジェット染色機、経路65a、65b、65c、または65dで染色されるまたはこすり洗いされる。ハイドロセッティング工程が経路63aおよび63bでのように用いられない場合、そのときは完成布についての基本重量はより高いだろう、実施例を参照されたい。
【0041】
乾燥操作は、オープン幅ウェブの形態で(図のトップ2行、経路65a、65c)の、またはチューブとして(図のボトム2行、経路65b、65d)の丸編布に関して実施することができる70。これらの経路のいずれについても、湿式仕上げプロセス工程64(こすり洗い、漂白および/または染色)は、それがチューブ形状にある間に布に関して実施される。ソフト流ジェット染色と呼ばれる染色の1つの形は通常、布にテンションおよび幾らかの長さ変形を与える。布処理および湿式仕上げから乾燥機への移送中に加えられるいかなる追加テンションも最小にするよう、そしてまた布が乾燥中にかかる湿式仕上げおよび移送テンションからリラックスするおよび回復することができるよう注意が払われるべきである。
【0042】
湿式仕上げプロセス工程64後に、布は、例えば圧搾または遠心分離などによって脱水される66。プロセス経路65aおよび65cでは、チューブ状布は次に、それが任意の仕上げ剤塗布(例えば、パディングによる軟化剤)および布長さオーバーフィードの条件下での幅出機オーブン中でのそれに続く乾燥のための仕上げ/乾燥工程70に送られる前にスリットオープンされる68。プロセス経路65bおよび65dでは、チューブ状布はスリットオープンされないが、チューブとして仕上げ/乾燥工程70に送られる。軟化剤のような仕上げ剤は場合によりパッディングによって塗布することができる。チューブ状布は、乾燥オーブンを通って、例えば、ベルト上に横たわって、次に圧縮機に送られて別々に布オーバーフィードを提供する。圧縮機は一般にロールを用いて布を通常スチーム雰囲気中で移送する。第1ロールは、布が圧縮機へオーバーフィードされるように第2ロールより速い回転速度で駆動される。一般に、スチームは、追加の乾燥が圧縮後に全く必要とされないように布を「再び湿らせ」ない。
【0043】
乾燥工程70(経路65aおよび65c)または圧縮工程72(経路65bおよび65d)は、布編み目がテンションなしに自由に移動する、かつ、転位することできるように長さ(縦)方向に制御された高い布オーバーフィードで操作される。フラットな、しわが寄っていないまたは嵩高くない布が乾燥後に出てくる。これらの技術は当業者におなじみである。オープン幅布のために、幅出機が乾燥中に布オーバーフィードを提供するために用いられる。チューブ状布のためには、強制オーバーフィードが典型的には、ベルト乾燥後に、圧縮機72で提供される。オープン幅布加工かチューブ状布加工かのどちらでも、布乾燥温度および滞留時間は、スパンデックスをヒートセットするために必要とされる値未満にセットされる。
【0044】
丸編布の構造デザインは、各表目の「開放性」によってある程度特徴づけることができる。この「開放性」は、各編み目においてオープンである面積対糸によって被覆されている面積の百分率に関係し(例えば、図1および3を参照されたい)、従って布基本重量および伸び率可能性に関係する。堅い非弾性よこ編布については、カバーファクター(「Cf」)は開放性の相対尺度として周知である。カバーファクターは比であり、
Cf=√(テックス)÷L
(ここで、テックスは1000メートルの硬質糸のグラム重量であり、Lはミリメートル単位の編み目長さである)
と定義される。図3はシングルニットジャージー編み目パターンの略図である。編み目長さ「L」がどのように画定されるかを示すためにパターン中の編み目の1つが強調された。メートル法番手Nmの糸については、テックスは1000÷Nmであり、カバーファクターはあるいはまた次の通り表される:
Cf=√(1000/Nm)÷L
【0045】
本発明の方法は、スパンデックス牽伸が約7倍以下に保たれ、そしてハイドロセッティング操作が追加されるときに、約160℃より上の乾式加熱工程なしにスパンデックスおよび硬質糸から添え糸編みされた商業的に有用な丸編弾性シングルジャージー布を生み出すかもしれない。次のプロセス条件が好適である。
・ニット構造の開放性を特徴づけるカバーファクターは約1.1〜約1.9、例えば1.4であることができる。
・硬質糸番手Nmは10〜165、例えば47〜54であることができる。
・スパンデックスは15〜156デシテックス、例えば22〜33デシテックスであることができる。
・%重量基準で、布中のスパンデックスの含有率は3.5%〜14%、例えば5%〜12%であることができる。
・熱ハイドロセッティング処理は、ジェット染色機中約105〜約145℃の温度で15〜90分間編布へ適用することができる。
・そのように形成された編布は、長さおよび幅の両方向に約14%以下、例えば7%未満の洗濯および乾燥後収縮を有することができる。
・編布は、長さ(たて糸)方向に約60%以上、典型的には約60%〜約130%の伸び率を有することができる。
・硬質糸はフィラメント・ナイロン、綿または合成繊維もしくは糸とブレンドされた綿の紡績スフ糸であることができる。
【0046】
いかなる一理論によっても縛られたくないが、ニット構造中の硬質糸は表目を圧縮する役割を果たすスパンデックス力に抵抗すると考えられる。この抵抗の有効性は、カバーファクターで定義されるような、ニット構造に関係する。ある所与の硬質糸番手Nmについて、カバーファクターは編み目長さLに反比例する。この長さは編機で調節することができ、それ故本方法では制御のための重要な変数である。
【0047】
本発明の方法では、スパンデックス牽伸は、測定誤差の限界内で、丸編弾性シングルジャージー編みのままの布、完成布でと、または布処理工程中間でと同じものであることができる。
【0048】
丸編弾性シングルジャージー布については、編機の適切なゲージは、硬質糸番手と編機ゲージとの間の公知関係に従って選択することができる。ゲージの選択を用いて、例えば、丸編弾性シングルジャージー基本重量を最適化することができる。
【0049】
軟化剤の使用は任意であるが、一般に軟化剤を、布手触りをさらに改善するために、そして乾燥中の表目の動きやすさを増やすために編布に塗布することができる。シュアソフト(SURESOFT)SN(サリー・ケミカル(Surry Chemical))またはサンドパーム(SANDOPERM)SEI(登録商標)(クラリアント(Clairant))のような軟化剤が典型的である。布は、液体軟化剤組成物を含有するトラフに通され、そして次に布から過剰の液体を圧搾するために圧力ローラー(パディングローラー)のペア間のニップを通されてもよい。
【0050】
本発明の方法は、折り重ねること(折り畳むこと)によって集められるときに、他の方法によって製造される類似の丸編シングルジャージー布と同じ程度にしわが付かない丸編弾性シングルジャージー布を提供するかもしれない。完成布中のよりわずかなまたはより少ない目で見える折り目は、衣服への布の裁断および裁縫のための増収をもたらすことができる。本発明の丸編弾性シングルジャージー布はまた、他の方法によって製造された布と比較して、オープン幅仕上げ法かチューブ状仕上げ法かのどちらでもプロセス中に実質的に減少した歪曲を示すかもしれない。過度の歪曲またはねじれで、布は斜めに変形し、方向は「斜めに」あり、そして受け入れられない。歪曲布で製造された衣服は身体上でゆがむであろう。
【実施例】
【0051】
次の非限定的な実施例は本発明の方法および布を実証する。本発明は他のおよび異なる実施形態であることができ、その幾つかの詳細は本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な明らかな観点において修正できる。従って、本実施例は本来例示的なものと見なされるべきであり、限定的なものと見なされるべきではない。
【0052】
(布編みおよび仕上げ)
裸スパンデックスが実施例用に硬質糸と添え糸編みされた丸編弾性シングルジャージー布を、16インチ・シリンダー径、28ゲージ(円周インチ当たりの編針)、および48糸供給場所のパイ・ラング丸編機モデル(Pai Lung Circular Knitting Machine Model)PL−FS3B/Tで編む。丸編機を24回転毎分(rpm)で運転する。
【0053】
各スパンデックス・供給経路中の切断端検出器(図2を参照されたい)は、糸テンションに対する感受性を低下させるように調節するか、これらの実施例については機械から取り外すかのどちらかである。切断端検出器は、糸と接触した、それ故スパンデックス中にテンションを誘導したタイプである。
【0054】
スパンデックス・供給テンションをジビー(Zivy)デジタル張力計、モデル番号EN−10でスパンデックス供給パッケージ36とローラーガイド37(図2)との間で測定する。以下の実施例については、スパンデックス・供給テンションを20、30、および40デニール・スパンデックスについて1〜3グラム以下に維持する。これらのテンションは、編針へのスパンデックス糸の信頼できる連続供給にとっては十分であり、かつ、スパンデックスをたったの約(または7倍)3倍以下牽伸するように十分に低い。供給テンションが余りにも低いとき、スパンデックス糸は供給パッケージでローラーガイドに巻き付き、丸編機に確実に供給することができない。
【0055】
編布をすべて、図6のオープン幅法65aおよび65cによってかチューブとして65bおよび65dかのどちらかでこすり洗いし、ハイドロセットし(またはハイドロセットし、こすり洗いし)、染色しそして乾燥する。編布1、7、13、および19は経路63aの方法に従って仕上げる。編布4、10、16、および22は経路63bの方法に従って仕上げる。編布2、3、8、9、14、15、20、および21は経路65aの方法に従って仕上げた。編布5、6、11、12、17、18、23、および24は経路65bの方法に従って仕上げる。
【0056】
布を300リットル溶液中100℃で30分間こすり洗いし、漂白する。ハイドロセッティング、染色を含む、すべてのかかる湿式ジェット仕上げはトン・ゲング(Tong Geng)機(台湾)モデルTGRU−HAF−30で行う。水性溶液は安定剤シファ(Stabilizer SIFA)(300g)(ケイ酸塩フリーアルカリ性)、NaOH(45%、1200g)、H22(35%、1800g)、クリーニング用のイメロール(IMEROL)ST(600g)、消泡用のアンチムスゾル(ANTIMUSSOL)HT2S(150g)、およびしわ防止用のイマコル(IMACOL)S(150g)を含有した。30分後に、溶液および布を75℃に冷却し、次に溶液を排水させた。布を次に、水およびHAC(150g)(水素+ドナ、酢酸)の300リットル溶液中60℃で10分間中和した。こすり洗い後に、新たな淡水をハイドロセット工程、図6の74用にジェットに加える。布を約105℃〜約140℃で約15〜約90分間水と共にジェット中ランさせる。
【0057】
布を、反応性染料および他の成分を使用する300リットル水性溶液中60℃で60分間染色する。染色液はR−3BF(215g)、Y−3RF(129g)、Na2SO4(18,000g)、およびNa2CO3(3000g)を含有した。10分後に、染浴を排水させ、HAC(150g)を補充して60℃で10分間中和する。中和後に、浴を再び排水させ、10分リンス用のきれいな水を補給する。中和の後に、300リットル容器を再び水で満たし、150gのサンドプア(SANDOPUR)RSK(石鹸)を加える。溶液を98℃に加熱し、布を10分間洗濯する/石鹸で洗う。排水および別の10分クリーン水リンス後に、布を容器から取り出す。
【0058】
湿った布を次に遠心分離機によって8分間脱水する。
【0059】
最終工程については、滑剤(軟化剤)をサンドパームSEI液体(1155g)(またはシュアソフトSE)入り77リットル水中で布上へパディングする。布を次に、50%オーバーフィードで、テンターオーブン中145℃で約30秒間乾燥させる。
【0060】
上記手順および添加剤は、テキスタイル製造、およびシングルジャージー編布の丸編の技術における経験者にはおなじみであろう。
【0061】
(試験方法)
(スパンデックス牽伸)
20℃および65%相対湿度の環境中で行う以下の手順を、実施例でスパンデックス牽伸を測定するために用いる。
−単一方向からの200編み目(編針)の糸サンプルを解ニットし(de−knit)(ほどき)、このサンプルのスパンデックスおよび硬質糸を分離すること。より長いサンプルを解ニットするが、200編み目を始まりおよび終わりでマークする。
−スティックのトップに1マークキングありで一端をメータースティックに取り付けることによって各サンプル(スパンデックスまたは硬質糸)を自由に垂れ下がらせること。各サンプルに重り(硬質糸については0.1g/デニール、スパンデックスについては0.001g/デニール)を取り付けること。重りをゆっくりと下げ、重りが衝撃なしに糸サンプルの端に加えられるようにすること。
−マーク間で測定される長さを記録すること。スパンデックスおよび硬質糸の5サンプルそれぞれについて測定を繰り返すこと。
−次式に従って平均スパンデックス牽伸を計算すること:
牽伸=(マーク間の硬質糸の長さ)÷(マーク間のスパンデックス糸の長さ)
【0062】
ある種の条件下での通常の乾式ヒートセッティングは、布中スパンデックス牽伸を測定することを不可能にし得る。これは、スパンデックス乾式ヒートセッティングのための高温がスパンデックス糸表面を柔らかくすることができ、裸スパンデックスが布中の編み目交差点16(図1)で互いに結合できるからである。これが起こった場合、布方向を解ニットし、そして糸サンプルを抽出することができない。
【0063】
(布重量)
編布サンプルを10cm径ダイでダイ穴開けする。各切り取った編布サンプルをグラム単位で秤量する。「布重量」を次にグラム/平方メートルとして計算する。
【0064】
(スパンデックス繊維含有率)
編布を手動で解ニットする。スパンデックスを同伴硬質糸から分離し、精密実験室天秤またはねじり秤で秤量する。スパンデックス含有率は布重量に対するスパンデックス重量の百分率として表す。
【0065】
(布伸び率)
伸び率はたて糸方向でのみ測定する。3布検体を、結果の一貫性を確実にするために使用する。公知長さの布検体を固定伸長試験機へ取り付け、長さのセンチメートル当たり4ニュートンの負荷を表す重りを検体に取り付ける。検体を手動で3サイクル運動させ、次に自由に垂れ下がらせる。重りを付けた検体の伸長した長さを次に記録し、布伸び率を計算する。
【0066】
(収縮)
それぞれ60×60センチメートルの2検体を編布から採取する。3つのサイズマークを布正方形の各エッジ近くに引き、マーク間の距離をノートする。検体を次に40℃水温での12分洗濯機サイクルで3回順次機械洗濯し、実験室環境中テーブル上で風乾させる。サイズマーク間の距離を次に再測定して収縮の量を計算する。
【0067】
(フェイスカール)
4インチ×4インチ(10.16cm×10.16cm)正方形検体を編布からカットする。点を正方形の中心に付け、点を「X」の中心として「X」を引く。「X」の脚は2インチ(5.08cm)長さであり、正方形の外角線上にある。Xをナイフで注意深くカットし、次にカットによって生み出された内部ポイントの2つの布フェイスカールを直ちにおよび2分後に再び測定し、平均する。布ポイントが完全に360°円周にカールしている場合、カールを1.0と格付けし、それが180°だけカールしている場合、カールを1/2と格付けする、などである。
【0068】
(分子量分析)
スパンデックス繊維の分子量は次の方法によって測定することができる。フィルター光度検出器中に280ナノメートルフィルターを備えたUV検出器と2フェノゲル(Phenogel)TMカラム(線状/混合ベッド(フェノメックス(Phenomex)(登録商標)、カリフォルニア州トランス(Torrance,CA))中にスチレンおよびジビニルスチレンの5ミクロンカラム充填剤で充填された300mm×7.8mm)とを装備したアジレント・テクノロジーズ1090LC(液体クロマトグラフ、アジレント・テクノロジー、カリフォルニア州パロ・アルト(Agilent Technologies,Palo Alto,CA))を用いてスパンデックスポリマーの分子量を分析する。サンプルを1ml/分の流量でおよび60℃のカラム温度で移動相に走らせる。分析用のサンプルは、1ミリリットルの溶剤当たり2.0〜3.0ミリグラムのポリマーを使用して調製する。ポリマー溶液の50マイクロリットルサンプルを分析のためにLCへ注入する。得られたクロマトグラフデータを、ビスコテック250GPCソフトウェア(ビスコテック、テキサス州ヒューストン(Viscotek,Houston,Texas))を用いて分析する。
【0069】
LCを、ハミーレック・ブロード(Hamielec Broad)標準較正方法と仕上げ剤、添加剤、または顔料を全く含有しない、安定な分子量のポリウレタン/ウレアポリマーの幅広い標準とを用いて較正する。幅広い標準は、標準として使用する前に重量平均分子量(104,000ダルトン)および数平均分子量(33,000ダルトン)について十分にキャラクタリゼーションする。
【0070】
(示差走査熱量測定法)
本手順は、示差走査熱量計(DSC)からサンプルを取り出すことなくスパンデックスの同じ検体へ4つの温度を誘導した。DSC機器は、パーキン・エルマー(マサチューセッツ州ウェルズリー(Perkin Elmer(Wellesley,MA)))から商業的に入手可能な、パーキン・エルマー示差走査熱量計モデルピリス1(Perkin Elmer Differential Scanning Calorimeter Model Pyris 1)であった。機器は50℃でスタートし、各温度に1分間保持して、140、160、180および200℃まで加熱するようプログラムされた。サンプルを、各発熱がスキャンされた後に50℃のスタート温度に冷却し、次に、次のより高い温度をスキャンする前に50℃に5分間保持した。
【0071】
検体を次に、先行試験で引き起こされた吸熱の場所を示すために50℃から240℃までスキャンした。各吸熱は±3℃と分かった。誘導された温度に対して見いだされる吸熱の相違はDSC機器の許容差内であった。
【0072】
(実施例1〜10)
下の表1は実施例編布についてのニッティング条件を示す。ライクラ(登録商標)タイプ169または562をスパンデックス・供給用に使用する。ライクラ(登録商標)デニールは20すなわち22デシテックスである。編み目長さLは機械セッティングである。下の表2は完成布についての試験の重要な結果をまとめる。カールの値はすべての試験条件について受け入れるものであった。スパンデックス・供給テンションはグラム単位でリストする。1.00gは0.98センチニュートン(cN)に等しい。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
各スパンデックス・供給経路(図2を参照されたい)での切断端検出器は、糸テンションに対する感受性を低下させるように調節するか、これらの実施例について機械から取り出すかのどちらかである。切断端検出器は、糸と接触した、それ故スパンデックス中にテンションを誘導したタイプである。
【0076】
(実施例1)
20デニール・スパンデックス・供給テンションは、4〜6cNの範囲にある、1.5グラム(1.47cN)である。本実施例での硬質糸はリング紡績綿(32Ne、165デニール)である。布を図5に図式的に示す方法に従って染色し、仕上げる。布を63aでのようにスリット化し、オープン幅乾燥させる。実施例1についての布基本重量は219g/m2である。
【0077】
(実施例2)
実施例1の編布をジェット染色機中熱水(230°Fまたは110℃)で5分間処理し、ハイドロセッティング工程74の経路65aでのように実施例1、図6と同様に染色し、仕上げる。実施例2での完成布は、ハイドロセッティング工程が布を仕上げるために用いられたにもかかわらず実施例1での編布と同じ基本重量(重量)、伸び率、収縮、およびフェイスカールを有する。本実施例は、ハイドロセッティング温度でさえ、ハイドロセッティングへの5分の暴露が布特性を変えるのに十分ではないことを例示する。
【0078】
(実施例3)
実施例1の編布をジェット染色機中熱水(266°Fまたは130℃)で15分間処理し、実施例2と同様に染色し、仕上げる。実施例3での完成布は、実施例1より11%低い、194g/m2の基本重量を有する。
【0079】
(実施例4)
実施例1の編布を図5に図式的に示す方法に従って染色し、仕上げる。布を63bでのようにチューブ状乾燥させる。チューブ状商品にとって所望の布重量は約200g/m2であるので、本方法は、すべての他の布特性は望ましいにもかかわらす、過度の重量(232g/m2)の布を製造する。
【0080】
(実施例5)
実施例1の編布をジェット染色機中熱水(230°Fまたは110℃)で5分間処理し、チューブ状ハイドロセッティング工程74の経路65bでのように、実施例4、図6と同様に染色し、仕上げる。実施例5での完成布は、実施例4での布よりたったの1%低い基本重量を有する。実施例5についての最大長さ伸び率、収縮、およびフェイスカールは、ハイドロセッティング工程が布を仕上げるために用いられるにもかかわらず実施例4での編布と同じものである。本実施例は、ハイドロセッティング・プロセス条件(高い温度および圧力)でさえ、ハイドロセッティングへの5分の暴露が布特性を変えるのに十分ではないことを例示する。
【0081】
(実施例6)
実施例1の編布をジェット染色機中熱水(266°Fまたは130℃)で15分間処理し、実施例5と同様に染色し、仕上げる。実施例6での完成布は、実施例4より10%低い、そしてチューブ状Tシャツ衣にとって受け入れられる、206g/m2の基本重量を有する。布伸び率、収縮、およびフェイスカールもまた本目的にとって受け入れられる。
【0082】
(実施例7)
プロセス・パラメーターは、異なるスパンデックス糸、ライクラ(登録商標)タイプ562B(「容易に硬化」)をスパンデックス・供給用に使用したことを除いて実施例1でと同じものである。結果は実施例1での布に匹敵する。
【0083】
(実施例8)
実施例7の編布をジェット染色機中熱水(230°Fまたは110℃)で5分間処理し、チューブ状ハイドロセッティング工程74の経路65aでのように、実施例1、図6と同様に染色し、仕上げる。実施例8での完成布は、実施例7での布よりたったの5%低い基本重量を有する。実施例8についての最大長さ伸び率、収縮、およびフェイスカールは、ハイドロセッティング工程が布を仕上げるために用いられたにもかかわらず実施例7での編布と似ている。本実施例は、ハイドロセッティング温度でさえ、ハイドロセッティングへの5分の暴露が布特性を変えるのに十分ではないことを例示する。
【0084】
(実施例9)
実施例7の編布をジェット染色機中熱水(266°Fまたは130℃)で15分間処理し、実施例1と同様に染色し、仕上げる。編布を図6、経路65aに従って処理してオープン幅布を与える。このスパンデックスはライクラ(登録商標)銘柄スパンデックスの他の銘柄より熱に敏感であり、従って実施例9での布についての基本重量は、実施例7での布より19%低い171g/m2である。伸び率、収縮、および布フェイスカールはTシャツの製造にとって受け入れられる。
【0085】
(実施例10)
実施例7の編布を図5に図式的に示す方法に従って染色し、仕上げる。布を63bでのようにチューブ状乾燥させる。チューブ状商品にとって所望の布重量は約200g/m2であるので、本方法は、すべての他の布特性は望ましいにもかかわらす、過度の重量(229g/m2)の布を製造する。
【0086】
(実施例11)
実施例7の編布をジェット染色機中熱水(230°Fまたは110℃)で5分間処理し、チューブ状ハイドロセッティング工程74の経路65bでのように実施例4、図6と同様に染色し、仕上げる。実施例11での完成布は、実施例10での布よりたったの2%低い基本重量を有する。実施例11についての最大長さ伸び率、収縮、およびフェイスカールは、ハイドロセッティング工程が布を仕上げるために用いられたにもかかわらず実施例10での編布と同じものである。本実施例は、ハイドロセッティング温度でさえ、ハイドロセッティングへの5分の暴露が布特性を変えるのに十分ではないことを例示する。
【0087】
(実施例12)
実施例7の編布をジェット染色機中熱水(266°Fまたは130℃)で15分間処理し、実施例11と同様に染色し、仕上げる。実施例12での完成布は、実施例7より23%低い、そしてチューブ状Tシャツ衣にとって受け入れられる173g/m2の基本重量を有する。布伸び率、収縮、およびフェイスカールもまた受け入れられる。
【0088】
(実施例13)
20デニール・スパンデックス・供給テンションは、4〜6cNの範囲にある、1.70グラム(1.67cN)であった。本実施例での硬質糸はテクスチャー加工ナイロン(140デニール/48フィラメント)であった。布を染色し、仕上げた、図5。布を63aでのようにスリット化し、オープン幅乾燥させた。実施例13についての布基本重量は242g/m2である。
【0089】
(実施例14)
実施例13の編布をジェット染色機中熱水(230°Fまたは110℃)で5分間処理し、実施例13、図6、ハイドロセッティング工程74の経路65aと同様に染色し、仕上げる。実施例14での完成布は、ハイドロセッティング工程が布を仕上げるために用いられたにもかかわらず実施例13での編布と同じ基本重量(重量)、伸び率、収縮、およびフェイスカールを有する。本実施例は、ハイドロセッティング温度でさえ、ハイドロセッティングへの5分の暴露が布特性を変えるのに十分ではないことを例示する。
【0090】
(実施例15)
実施例13の編布をジェット染色機中熱水(266°Fまたは130℃)で15分間処理し、実施例14と同様に染色し、仕上げる。実施例15での完成布は、実施例13での完成布に対して著しく(>25%)低下しているたて糸伸び率を有する。
【0091】
(実施例16)
実施例13の編布を図5に図式的に示す方法に従って染色し、仕上げる。布を63bでのようにチューブ状乾燥させる。
【0092】
(実施例17)
実施例13の編布をジェット染色機中熱水(230°Fまたは110℃)で5分間処理し、実施例16、図6、チューブ状ハイドロセッティング工程74の経路65bと同様に染色し、仕上げる。実施例17での完成布は実施例16よりたったの5%低いたて糸伸び率を有する。実施例17についての布基本重量、収縮、およびフェイスカールは、ハイドロセッティング工程が布を仕上げるために用いられたにもかかわらず実施例16での編布と本質的に同じものである。本実施例は、ハイドロセッティング温度でさえ、ハイドロセッティングへの5分の暴露が布特性を変えるのに十分ではないことを例示する。
【0093】
(実施例18)
実施例13の編布をジェット染色機中熱水(266°Fまたは130℃)で15分間処理し、実施例17と同様に染色し、仕上げる。実施例18での完成布は、実施例16より28%低い、そしてチューブ状Tシャツ衣にとって受け入れられる、69%のたて糸伸び率を有する。布基本重量、収縮、およびフェイスカールもまた実施例16と本質的に同じものであった。
【0094】
(実施例19)
プロセス・パラメーターは、異なるスパンデックス糸、ライクラ(登録商標)タイプ562B(「容易に硬化」)をスパンデックス・供給用に使用したことを除いて実施例13でと同じものである。結果は実施例13のそれらに匹敵した。
【0095】
(実施例20)
実施例19の編布をジェット染色機中熱水(230°Fまたは110℃)で5分間処理し、実施例19、図6、チューブ状ハイドロセッティング工程74の経路65aと同様に染色し、仕上げる。実施例20での完成布は実施例19のそれよりたった2%低い基本重量を有する。実施例20についての最大長さ伸び率、収縮、およびフェイスカールは、ハイドロセッティング工程が布を仕上げるために用いられたにもかかわらず実施例19での編布に似ている。本実施例は、ハイドロセッティング温度でさえ、ハイドロセッティングへの5分の暴露が布特性を変えるのに十分ではないことを例示する。
【0096】
(実施例21)
実施例19の編布をジェット染色機中熱水(266°Fまたは130℃)で15分間処理し、実施例20と同様に染色し、仕上げる。編布を図6、65aに従って処理してオープン幅布を与えた。このスパンデックスはライクラ(登録商標)銘柄スパンデックスの他の銘柄より熱に敏感であり、従って実施例21での布についての基本重量は、実施例19での布より14%低い209g/m2である。伸び率、収縮、および布フェイスカールは受け入れられるものであった。
【0097】
(実施例22)
実施例19の編布を図5に図式的に示す方法に従って染色し、仕上げる。布を63bでのようにチューブ状乾燥させる。本方法は、すべての他の布特性は望ましいにもかかわらず、過度の重量(260g/m2)の布を製造する。
【0098】
(実施例23)
実施例19の編布をジェット染色機中熱水(230°Fまたは110℃)で5分間処理し、実施例22、図6、チューブ状ハイドロセッティング工程74の経路65bと同様に染色し、仕上げる。実施例23での完成布は、実施例22での布よりたったの1%低い基本重量を有する。実施例23についての最大長さ伸び率、収縮、およびフェイスカールは、ハイドロセッティング工程が布を仕上げるために用いられたにもかかわらず実施例22での編布と同じものである。本実施例は、ハイドロセッティング温度でさえ、ハイドロセッティングへの5分の暴露が布特性を変えるのに十分ではないことを例示する。
【0099】
(実施例24)
実施例19の編布をジェット染色機中熱水(266°Fまたは130℃)で15分間処理し、実施例23と同様に染色し、仕上げる。実施例24での完成布は、実施例22より15%低い、220g/m2の基本重量を有する。
【0100】
(実施例25)
20デニール・スパンデックス牽伸は3.0倍である。本実施例での硬質糸はリング紡績綿(32Ne、165デニール)である。布を図5に図式的に示す方法に従って染色し、仕上げる。布を63bでのようにチューブ状乾燥させる。実施例25についての布基本重量は300g/m2である。
【0101】
(実施例26)
実施例25の編布をジェット染色機中熱水(266°Fまたは130℃)で15分間処理し、実施例25、図6、チューブ状ハイドロセッティング工程74の経路65bと同様に染色し、仕上げる。実施例26での完成布は、実施例25での布より37%低い基本重量を有する。
【0102】
(実施例27)
40デニール・スパンデックス牽伸は2.0倍である。本実施例での硬質糸はリング紡績綿(32Ne、165デニール)である。布を図5に図式的に示す方法に従って染色し、仕上げる。布を63aでのようにスリット化し、オープン幅乾燥させる。実施例27についての布基本重量は285g/m2である。
【0103】
(実施例28)
実施例27の編布をジェット染色機中熱水(266°Fまたは130℃)で15分間処理し、実施例27、図6、チューブ状ハイドロセッティング工程74の経路65aと同様に染色し、仕上げる。実施例28での完成布は、実施例25での布より23%低い基本重量を有する。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】硬質糸およびスパンデックスを含む添え糸編みされた表目を図解する。
【図2】スパンデックス・供給および硬質糸供給を供給される丸編機の一部の概略図である。
【図3】一連のシングルジャージー表目を図解し、編み目長さ「L」の1つの編み目を強調する。
【図3A】編み目長さ「L」を図解するために真っ直ぐにされた図3の単一編み目を示す。
【図4】あらゆる編み方向に裸スパンデックスが添え糸編みされた丸編弾性シングルジャージー布を製造するためのプロセス工程を示すフローチャートである。
【図5】米国特許公報(特許文献3)によるあらゆる編み方向に裸スパンデックスが添え糸編みされた丸編弾性シングルジャージー布を製造するためのプロセス工程を示すフローチャートである。
【図6】あらゆる編み方向に裸スパンデックスが添え糸編みされた丸編弾性シングルジャージー布を製造するための本発明プロセス工程を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.エラストマー材料を提供する工程と、
b.紡績糸、連続フィラメント糸およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの硬質糸を提供する工程と、
c.エラストマー材料を少なくとも1つの硬質糸と添え糸編みする工程と、
d.添え糸編みされたエラストマー材料および少なくとも1つの硬質糸をあらゆる編み方向において丸編して丸編弾性シングルジャージー布を形成する工程と、
e.エラストマー材料を実質的に硬化させるのに十分な温度および圧力の条件下にそして十分な期間、丸編弾性シングルジャージー布を連続相水性溶液と接触させる工程と、
によって製造されることを特徴とする丸編弾性シングルジャージー布。
【請求項2】
前記エラストマー材料が裸スパンデックス糸としてさらに定義されることを特徴とする請求項1に記載の丸編弾性シングルジャージー布。
【請求項3】
前記少なくとも1つの硬質糸が綿および綿ブレンドからなる群から選択され、そして前記丸編弾性シングルジャージー布が約100〜約400g/m2の基本重量を有することを特徴とする請求項1に記載の丸編弾性シングルジャージー布。
【請求項4】
前記丸編弾性シングルジャージー布が洗濯後に約14%以下の収縮を有することを特徴とする請求項1に記載の丸編弾性シングルジャージー布。
【請求項5】
チューブの形態で製造され、そして目で見える側面のしわがその中に実質的に形成されないことを特徴とする請求項1に記載の丸編弾性シングルジャージー布。
【請求項6】
請求項1に記載の丸編弾性シングルジャージー布から製造されることを特徴とする衣服。
【請求項7】
前記エラストマー材料が裸スパンデックス糸としてさらに定義されることを特徴とする請求項6に記載の衣服。
【請求項8】
前記少なくとも1つの硬質糸が綿および綿ブレンドからなる群から選択され、そして前記丸編弾性シングルジャージー布が約100〜約400g/m2の基本重量を有することを特徴とする請求項6に記載の衣服。
【請求項9】
前記丸編弾性シングルジャージー布が洗濯後に約14%以下の収縮を有することを特徴とする請求項6に記載の衣服。
【請求項10】
前記スパンデックスの示差走査熱量測定法または分子量分析によって示される際の160℃以下の温度にさらされて、そして約15%未満の洗濯収縮を示し、あらゆる方向に裸弾性糸および少なくとも1つの硬質糸を含むことを特徴とする丸編弾性シングルジャージー布。
【請求項11】
前記裸弾性糸が平方メートル当たりの総布重量を基準にして約3.5重量%〜約14重量%の量で丸編弾性シングルジャージー布中に存在するスパンデックス糸であることを特徴とする請求項10に記載の布。
【請求項12】
前記丸編弾性シングルジャージー布が、約1.4のカバーファクターを有することを特徴とする請求項10に記載の布。
【請求項13】
乾燥、圧縮、およびそれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1つのさらなる処理工程をさらに含み、前記丸編弾性布が少なくとも1つのさらなる処理工程中にその長さにおいてオーバーフィードを受けることを特徴とする請求項10に記載の布。
【請求項14】
前記丸編弾性シングルジャージー布を処理工程にさらす工程をさらに含み、そのような処理工程が約160℃未満の温度で起こることを特徴とする請求項10に記載の布。
【請求項15】
前記処理工程がクリーニング、漂白、染色、乾燥、圧縮、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項10に記載の布。
【請求項16】
前記丸編弾性シングルジャージー布がチューブの形態で製造され、そして目で見える側面のしわがその中に実質的に形成されないことを特徴とする請求項10に記載の布。
【請求項17】
前記少なくとも1つの硬質糸が綿または綿ブレンドであり、そして前記丸編弾性シングルジャージー布が約100〜約400g/m2の基本重量を有することを特徴とする請求項10に記載の丸編弾性シングルジャージー布。
【請求項18】
前記丸編弾性シングルジャージー布がそのたて糸方向に少なくとも約60%の伸び率を有することを特徴とする請求項10に記載の丸編弾性シングルジャージー布。
【請求項19】
前記丸編弾性シングルジャージー布が洗濯後に約14%以下の収縮を有することを特徴とする請求項10に記載の丸編弾性シングルジャージー布。
【請求項20】
請求項10に記載の丸編弾性シングルジャージー布から製造されることを特徴とする衣服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−524468(P2008−524468A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548358(P2007−548358)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/045912
【国際公開番号】WO2006/068995
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【氏名又は名称原語表記】INVISTA Technologies S.a.r.l.
【住所又は居所原語表記】Talstrasse 80,8001 Zurich,Switzerland
【Fターム(参考)】