説明

主として鉱物性組成物を有する柔軟性コーティング複合材

本発明の主題は、鉱物性柔軟建材の製造方法並びに前記方法により得られる建材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材の製造又はコーティングのための主として鉱物性の柔軟性コーティング複合材の製造方法並びにそのために必要な製造方法に関する。
【0002】
技術水準においては、基材の表面特性をコーティングによって変化させるかもしくは改善するという需要が存在する。特に、コーティングによって、機械的影響に対する抵抗力又は攻撃性物質に対する耐性が改善されることができる。コーティングされる基材は、極めて異なる特性を有してよい。建築材料の領域においては基材として、硬質の、すなわち、柔軟でない基材が考慮され、例えばコンクリート、石、セラミック又は木材である。但し、柔軟性建築材料の極めて広い適用領域も存在し、例えば壁、床及び天井のための表面被覆物である。ここでは、特に材料複合材、例えば柔軟性不織布、テキスタイル、壁紙又はフローリング被覆物、例えばリノリウムを挙げることができる。
【0003】
全ての基材は、利用の間の多かれ少なかれ強力な負荷に耐える表面を有しなくてはならないという点で共通している。物質的影響、例えば攻撃性化学薬品又は環境影響、例えばUV線及び水に対して抵抗力がなくてはならないという要求が存在する。他方では、この建築材料が少ない汚染化傾向を有し、清浄化が容易であり、かつ、機械的な負荷に耐える場合に他の領域において好ましい。
【0004】
他の領域、例えば織布及び編地では、表面特性をコーティングによって改善する必要性が存在する。この場合に、複合材の基本的安定性は基材によって保証されるが、その一方で、攻撃性物質、機械的負荷に対する耐性又は汚染化傾向の低下は設けられたコーティングによって保証される。
【0005】
柔軟性基材では特に、設けられたコーティングが、その構造を損なうことなく、この柔軟性基材の変形に追従するように柔軟であることが必要である。柔軟性基材が曲げられると、この基材の表面に応力が生じる。但し、この応力は、基材のコーティングの損傷を、例えば引裂形成によって、引き起こしてはならない。さらに、材料複合材中の老化現象は、適当な時間内において、前述の利点を再度駄目にする脆化を引き起こしてはならない。
【0006】
技術水準においては、柔軟性基材の変形の際にコーティングに不利に影響することなく、柔軟性基材にコーティングを設ける方法が知られている。
【0007】
WO 99/15262からは、物質透過性複合材料が知られている。ここでは、「物質透過性」担体にはコーティングが設けられ、これは引き続き硬化される。このコーティングは少なくとも1の無機成分を含有し、その際、無機成分は、周期表の第3〜第7主族の少なくとも1の元素を有する金属、半金属又は混合金属からの少なくとも1の化合物を有する。このコーティング組成物は前駆体の加水分解により得られることができる。ここでゾルが形成でき、このゾルは引き続き物質透過性基材に設けられる。
【0008】
WO 99/15262に開示される物質透過性複合材料は、前記材料が設けられる基材又は下地を保護し、かつ、複合材料の少ない屈曲半径でも設けられたコーティングの損傷を生じない丈夫な(robust)材料複合材を作り出すことにより優れている。この複合材料の欠点は、その高くかつ意図される物質透過性、液体に対する高い吸収力及びこれに関連した少ないしみ抵抗性及び摩耗抵抗性であり、これは求められる適用には基材及び/又は下地の十分な保護を保証しない。このような材料複合材の気密性を改善する、及び、この欠点を克服するとの試みは、しかし、従来では脆い材料を、又は、顕著に低下した柔軟性を有する原料を生じるものであった。
【0009】
公報DE 10 2004 006612 A1は、引掻負荷に対して保護し、かつ、材料を洗浄可能にするセラミックコーティングを備える担体材料を教示する。さらに、シリカート架橋により包囲されている、Al23、ZrO2、TiO2及び/又はSiO2からの粒子を含有する中間層が設けられることができる。この種の材料複合材の大きな欠点は、容易な汚染能及び高い脆性であり、この後者のものは、それ自体所望される引掻強度がここに記載される付着促進剤の使用により生じるものである。
【0010】
公報WO 2007/051680は、当時の技術水準に比較して厚いゾル−ゼル−コーティングを設けるための技術的解決策が可能であることが判明したことを記載する。このより厚い層によって、この基材は環境影響に対して有効に保護されるものである。この試みは、フルオロカーボン基を有するシランの使用により支援される。
【0011】
この方式の欠点は、この材料の商業的普及に対して妨げとなる比較的高い材料コストである。これは、より厚い層から、及び場合によって、フルオロシランの使用から生じる。フルオロシランの使用を断念すると、この材料はしみ抵抗性を示さない。更なる欠点は、この生じる材料が老化に供されることであり、これは時間経過すると脆性の増加をより注意をひくものにする。このことは、老化材料の加工にとって欠点である。
【0012】
そこで、柔軟性基材の表面特性に影響を及ぼす更なる要求が存在する。所望されるのは、一方では、鉱物性コーティングの利点、例えば、ゾル−ゲル法により達成される利点を際だたせることであり、また同様に、このようなコーティング系により生じる欠点を克服することである。
【0013】
本発明の根底をなす技術的課題は、基材又は下地を利用の間の環境影響及び消耗から保護するコーティングを備える、コスト安価な、コーティングされた基材であって、前記基材は柔軟性も有することができ、かつ、前記コーティングがこの種の材料複合材の変形によって老化後にも不利に影響されないものを提供することである。本発明の更なる課題は、このような改善された材料複合材の製造方法を提供することである。
【0014】
前記課題は、
次の工程:
1)基材を調製する工程、
2)前記基材の少なくとも一方の側に組成物を設け、前記組成物を乾燥させる工程、
その際、前記組成物は、少なくとも1の無機化合物を含有し、
各無機化合物は次のものを含有する:
少なくとも1の金属及び/又は半金属であってSc、Y、Ti、Zr、Nb、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、B、Al、In、Tl、Si、Ge、Sn、Zn、Pb、Sb、Bi又はその混合物の群から選択されたもの、及び、少なくとも1の元素であってTe、Se、S、O、Sb、As、P、N、C、Ga又はその混合物の群から選択されたもの、
引き続き、
3) 工程2)において得られた前記基材の少なくとも一方の側に少なくとも1の有機ポリマー分散液を設け、1又は複数のこのコーティングを乾燥させる工程、
又は
4)前記基材の少なくとも一方の側に少なくとも1のコーティングを設け、1又は複数の前記コーティングを乾燥させる工程、
その際、前記コーティングは、次のものを含有する:
一般式(Z1)Si(OR)3
[式中、Z1=R、Gly(Gly=3−グリシジルオキシルプロピル)、AP(3−アミノプロピル)、及び/又はAEAP(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル)である、及び、R=1〜18個の炭素原子を有するアルキル基又は脂環式基であり、全てのRは同一又は異なっていてよい]のシランからの混合物、
酸化物粒子であってTi、Si、Zr、Al、Y、Sn、Zn、Ceの酸化物又はその混合物から選択されたもの、
少なくとも1のポリマー及び開始剤、
引き続き、
5)少なくとも1の有機ポリマー分散液を前記基材の少なくとも一方の側に設け、1又は複数のこのコーティングを乾燥させる工程
を含む、鉱物性柔軟建材の製造方法により解決される。
【0015】
本発明の方法の工程2)により得られるコーティングの利点は、機械的抵抗力の向上にあり、かつ、基材及び場合により下地の基本的保護を空間的バリアーと同じ意味で実現する、抵抗力のある物品を提供する。破断又は引裂形成の傾向がある基材は、さらに、この本発明の方法工程により機械的に安定化される。
【0016】
本発明の方法の工程3)又は工程4)により得られるコーティングの利用は、工程2)のコーティングの強化及び工程5)の実施の際の所望の表面特性の形成のための表面の前処理にある。
【0017】
本発明の方法の工程5)により得られたコーティングの利点は、本発明の材料複合材の表面特性の形成である。
【0018】
本発明の方法は、特殊な基材に限定されていない。基材は、開放孔を有しても閉鎖孔を有してもよい。特に、工程1)における基材は柔軟な及び/又は固い基材であってよい。好ましい一実施態様において、工程1)の基材は、編地、織布、網状物(Geflecht)、シート及び/又は平面構造体である。
【0019】
好ましくは、工程1)における基材は、工程2)、3)又は4)及び5)の乾燥条件下で実質的に温度安定性である。
【0020】
好ましい一実施態様において、工程2)の無機化合物は、TiO2、Al23、SiO2、ZrO2、Y23、BC、SiC、Fe23、SiN、SiP、アルモシリカート、アルミニウムホスファート、ゼオライト、部分交換ゼオライト又はこの混合物から選択される。好ましいゼオライトは例えばWessalith(R)型又はZSM型又は無定形ミクロ孔混合酸化物である。
【0021】
好ましくは工程2)の無機化合物は1nm〜10000nmの粒径を有する。本発明の複合材料が、少なくとも1の無機化合物の少なくとも2つの粒径分画を有する場合に好ましくてよい。この粒径比は1:1〜1:10000、好ましくは1:1〜1:100であってよい。この粒径分画の量比は工程2)との関連において好ましくは0.01:1〜1:0.01であってよい。工程2)の組成物は好ましくは懸濁液であり、好ましくは水性懸濁液である。この懸濁液は好ましくは、水、アルコール、酸又はこの混合物から選択した液体を有してよい。
【0022】
更なる好ましい一実施態様において、工程2)の無機化合物は、金属及び/又は半金属を有する無機化合物の前駆体の加水分解により得られることができる。この加水分解は、例えば水及び/又はアルコールにより行われることができる。この加水分解では、開始剤が存在してよく、これは好ましくは酸又は塩基であり、これは好ましくは水性酸又は塩基である。
【0023】
無機化合物の前駆体は好ましくは、金属ニトラート、金属ハロゲン化物、金属カーボナート、金属アルコラート、半金属ハロゲン化物、半金属アルコラート又はこの混合物から選択されている。好ましい前駆体は例えばチタンアルコラート、例えばチタンイソプロピラート、ケイ素アルコラート、例えばテトラエトキシシラン、ジルコニウムアルコラートである。好ましい金属ニトラートは例えば硝酸ジルコニウムである。好ましい一実施態様において、この組成物においては、加水分解可能な前駆体に関して、この前駆体の加水分解可能な基に対して、少なくとも半モルの比の水、水蒸気又は氷が含まれている。
【0024】
好ましい一実施態様において、工程2)の組成物はゾルである。好ましい一実施態様において、市販のゾル、例えば硝酸チタンゾル、硝酸ジルコニウムゾル又はシリカゾルを添加することができる。好ましい一実施態様において、式(Z2)Si(OR)3[式中、Z2=R、OR、Gly(Gly=3−グリシジルオキシプロピル)、AP(アミノプロピル)及び/又はAEAP(N−2−アミノエチル−3−アミノプロピル)である、及び
R=1〜18個の炭素原子を有するアルキル基であり、全てのRは同一か又は異なっていてよい]のシラン、並びに、酸化物粒子であってTi、Si、Zr、Al、Y、Sn、Zn、Ceの酸化物又はその混合物から選択されたものが添加されることができる。この酸化物粒子は粒径10nm〜100μmを有することができる。
【0025】
好ましくは、工程2)におけるこの組成物の乾燥は温度50℃〜1000℃への加熱によって実施される。好ましい一実施態様において、10秒間〜5時間にわたり温度50℃〜500℃で乾燥され、かつ特に好ましくは温度120℃〜250℃で20秒間〜30分間乾燥される。
【0026】
工程2)における乾燥は加温した空気、熱風又は電気的に生じた熱を用いて行われることができる。放射線硬化も続くことができ、例えば赤外線又はマイクロ波照射を用いる。
【0027】
最終適用の満足すべき要求プロファイルに応じて、更なるコーティングを工程3)又は4)に応じて行うことができる。このコーティングの機能は実質的に抵抗性のある材料複合材の形成にある。
【0028】
工程3)又は4)の繰り返しは、全ての任意の順序で実施できる。この方式は好ましくは建材の抵抗力を高め、というのも、3)及び/又は4)の繰り返し後には複数の、緊密に、にもかかわらず、固くなく相互に連結した薄い層が得られるからである。
【0029】
好ましい一実施態様において、工程3)のコーティングは、ポリマー分散液、様々なポリマー分散液又は少なくとも1のポリマー分散液からの調合物の混合物を含む。このポリマー分散液は、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリカーボナート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、シリコーン樹脂及びこの組み合わせ又は場合によって更なるビニルモノマーの使用下でのコポリマー/共縮合物のポリマー物質からなることができ、これは場合によって更なる官能性を架橋のために有し、例えば、エポキシド、イソシアナート、ブロックトイソシアナート及び/又は放射線硬化可能な二重結合である。
【0030】
このポリマーの平均分子量は好ましくは10000g/mol超、特に好ましくは20000g/mol超である。
【0031】
このポリマー分散液は水性であるか又は有機溶媒を含んでよい。ポリマー分散液に関する湿式塗布量は、溶液(Flotte)中の固形物質使用濃度0.1〜150g/L、好ましくは3〜100g/Lで10〜200g/qmである。
【0032】
特に好ましくは工程3)において水性ポリマー分散液を使用することである。この分散液は自体乳化性であるか、又は乳化剤で安定化されることができる。
【0033】
高い洗浄持続性を提供するポリマー分散液が使用される場合に特に好ましい。さらに、このポリマー分散液には既知のやり方で、助剤、例えば乳化剤、消泡剤、固定化樹脂、殺菌剤、帯電防止剤又は触媒が効率的な使用のために添加されることができる。
【0034】
このポリマー分散液の塗布は、ドクター、スプレー、ロールコート、浸漬、パディング、流し塗、フォーム塗布(Schaumauftrag)を介して又はハケ塗りにより自体公知の方法で行われることができる。
【0035】
好ましくは、工程3)におけるこの組成物の乾燥は温度80℃〜250℃への加温によって実施される。好ましい一実施態様において、10秒間〜6時間にわたり温度110℃〜210℃で乾燥され、かつ特に好ましくは温度130℃〜190℃で20秒間〜60分間乾燥される。
【0036】
工程3)の間の乾燥は加温した空気、熱風(Heissluft)、IR線、マイクロ波照射又は電気的に生じた熱を用いて行われることができる。
【0037】
工程4)のコーティングの好ましい一実施態様において、一般式(Z1)Si(OR)3中のR及び/又はZ1は、Z1の他の意味の他に、メチル、エチル又は直鎖状、分枝鎖状又は脂環式アルキル基であって3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17及び/又は18個の炭素原子を有する。
【0038】
更に好ましい一実施態様において、工程4)のコーティングは、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン及び/又は3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランをシランとして、そして、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及び/又はN−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランを第2のシランとして含有する。好ましくは工程4)のコーティングは更なるシランとして式RZSi(OR)4-zのシランを含み、その際、zは1又は2であり、全てのRは同じか又は異なっていてよく、かつ1〜18個の炭素原子を含有する。3〜18個の炭素原子では、この炭素鎖は分枝しているか又は直鎖状であってよい。
【0039】
更に好ましくは工程4)のコーティングは、少なくとも2のポリマーからの混合物を含む。
【0040】
更に好ましくは、工程4)のコーティング中には、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン及び/又はヘキサデシルトリエトキシシランである。特に、工程4におけるアルキルシランの使用では、しみ防止(Fleckabweisend)特性の発揮に対する相乗作用が、記載の材料複合材中の最終コーティングに対して達成されることが見出された。
【0041】
好ましい一実施態様において、工程4)のコーティング中には開始剤として酸又は塩基が含有され、これは好ましくは水性酸又は塩基である。
【0042】
好ましくは工程4)のコーティング中に含まれる酸化物粒子の表面は疎水性である。工程4)のコーティングの酸化物粒子の表面には好ましくはケイ素原子に結合されている有機基X1+2nnが存在しており、nは1〜20に等しく、かつXは水素及び/又はフッ素である。この有機基は同一又は異なってよい。好ましくは、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び/又は20である。好ましくは、ケイ素原子に結合した基はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及び/又はペンチル基である。特に好ましい一実施態様において、トリメチルシリル基が酸化物粒子の表面に結合している。この有機基は好ましくは分離され、再度好ましくは加水分解されることができる。
【0043】
工程4)のコーティングの酸化物粒子は、Ti、Si、Zr、Al、Y、Sn、Zn、Ceの酸化物又はそれらの混合物から選択されるものが含まれていてよい。好ましくはこの工程のコーティングの酸化物粒子はその反応条件下で酸化物粒子の表面で部分的に加水分解される。この場合に、工程4)のコーティングの有機ケイ素化合物と反応する反応中心が好ましくは形成される。これらの有機ケイ素化合物は乾燥の間に、酸化物粒子に、例えば−O−結合を介して共有結合されることができる。これによって、硬化するコーティングと酸化物粒子が共有的に架橋される。
【0044】
酸化物粒子は平均粒径10nm〜10μm、好ましくは20〜1000nm、更に好ましくは30〜500nmを有することができる。コーティングが透明及び/又は無色であるべき場合には、10〜250nmの平均粒径を有する酸化物粒子のみが好ましくは使用される。この平均粒径は、一次粒子の粒径に関するものであるか又は、酸化物がアグロメレートとして存在する場合には、アグロメレートの大きさに関するものである。粒径は、光散乱法によって、例えばHORIBA LB 550(R)型(Retsch Technology社製)の装置によって決定される。
【0045】
工程4)のコーティング中では、ポリマーは好ましくは平均質量平均分子量少なくとも3000g/molを有する。好ましくは平均質量平均分子量少なくとも5000g/mol、更に好ましくは少なくとも6000g/mol、最も好ましくは少なくとも10000g/molである。
【0046】
好ましくは工程4)のこのコーティングのポリマーは、平均重合度少なくとも50を有する。更に好ましい一実施態様において、この平均重合度は少なくとも80、更に好ましくは少なくとも95、最も好ましくは少なくとも150である。好ましくは、工程4)のコーティングのポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド−縮合物、ウレタン−ポリオール−樹脂又はこの混合物から選択される。
【0047】
好ましくは工程4)において、乾燥後にこの乾燥コーティングの層は層厚0.05μm〜30μmを有して存在するようにてコーティングが設けられる。好ましくはこの乾燥した材料には、工程4)のコーティングが層厚0.1μm〜20μmを有して、最も好ましくは0.2μm〜10μmを有して存在する。
【0048】
コーティング4)の塗布は、ドクター、スプレー、ロールコート、浸漬、流し塗を介して又はハケ塗りにより自体公知の方法で行われることが出来る。
【0049】
工程4)におけるコーティングの乾燥は、当業者に知られている全ての方法によって実施されることができる。特に、乾燥は、炉中で実施されることができる。更に好ましくはこの乾燥は熱風炉、循環空気炉、電子レンジを用いて又は赤外線照射によりである。好ましい一実施態様において、コーティング4)は、1秒間〜30分間の間温度50℃〜300℃への加温により乾燥され、特にとりわけ好ましくは110〜200℃で5秒間〜10分間乾燥される。技術的に有用かつ必要である場合には、UV線又は電子線を用いた放射線硬化が続くことができる。
【0050】
好ましい他の一実施態様において工程4)において1秒間〜10分間温度100℃〜800℃で乾燥される。
【0051】
好ましい一実施態様において、工程5)のコーティングは、ポリマー分散液、様々なポリマー分散液又は少なくとも1のポリマー分散液からの調合物の混合物を含む。このポリマー分散液は、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリカーボナート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、シリコーン樹脂及びこの組み合わせ又は場合によって更なるビニルモノマーの使用下でのコポリマー/共縮合物のポリマー物質からなることができ、これは場合によって更なる官能性を架橋のために有し、例えば、エポキシド、イソシアナート、ブロックトイソシアナート及び/又は放射線硬化可能な二重結合である。
【0052】
このポリマーの平均分子量は好ましくは10000g/mol超、特に好ましくは20000g/mol超である。
【0053】
この分散液は水性であるか又は有機溶媒を含んでよい。ポリマー分散液に関する湿式塗布量は、溶液(Flotte)中の固形物質使用濃度0.1〜120g/L、好ましくは3〜70g/Lで10〜200g/qmである。
【0054】
特に好ましくは工程5)において水性ポリマー分散液を使用することである。この分散液は自体乳化性であるか、又は乳化剤で安定化されることができる。
【0055】
高い洗浄持続性を提供するポリマー分散液が使用される場合に特に好ましい。さらに、このポリマー分散液には既知のやり方で、助剤、例えば乳化剤、消泡剤、固定化樹脂、殺菌剤、帯電防止剤又は触媒が効率的な使用のために添加されることができる。
【0056】
このポリマー分散液の塗布は、ドクター、スプレー、ロールコート、浸漬、パディング、流し塗、フォーム塗布(Schaumauftrag)を介して又はハケ塗りにより自体公知の方法で行われることが出来る。
【0057】
工程3)又は4)の後に工程5)を繰り返し実施すること、特に好ましくは、2つの相次いで続く工程5)の実施の間に、本発明の方法の他の工程を実施しないように繰り返し実施することが有用であり得る。さらに、工程5)の少なくとも1回の実施では、特に好ましくはこの工程の最後の実施ではフルオロカーボンを使用することが有用であり得る。工程5)が1回しか実施されない場合には、フルオロカーボンをこの実施の場合に使用することが特にとりわけ好ましい。
【0058】
このフルオロカーボンは好ましくはフルオロアルキル基CF3n2n[式中n=1〜17、特に好ましくはn=3〜11]又は構造CF3CFR″[−O−CF2CFR″]p[式中、p=0〜10、そしてR″=F、Cl、CF3]のエーテル鎖を含む。
【0059】
特に好ましくはフッ素化側鎖を有するポリマー、特にとりわけ好ましくはフッ素化していない炭化水素側鎖と付加的に組み合わせられるポリマーを使用することができる。
【0060】
工程5)が繰り返し実施され、かつ1より多くを実施する場合にフルオロカーボンが使用される場合に、各実施の際に同じフルオロアルキル基、同じエーテル鎖及び/又は同じフッ素化鎖の側鎖を有するフルオロカーボンを使用することも好ましくあり得る。
【0061】
このポリマー分散液は架橋剤(例えばブロックトイソシアナート)を含有できる。このポリマー分散液は好ましくはカチオン変性されているか又はブースター(Booster)及びエキステンダー(Extender)を含むことができる。この架橋剤がブースターとしても作用できる。
【0062】
フルオロカーボン分散液の使用の場合には、有機的に結合したフッ素の塗布は0.01〜12g/qm、好ましくは0.1〜6g/qmである。
【0063】
好ましくは、工程5)におけるこの組成物の乾燥は温度80℃〜250℃への加温によって実施される。好ましい一実施態様において、10秒間〜6時間にわたり温度110℃〜210℃で乾燥され、かつ特に好ましくは温度130℃〜190℃で20秒間〜60分間乾燥される。
【0064】
工程5)の間の乾燥は加温した空気、熱風、IR照射、マイクロ波照射又は電気的に生じた熱を用いて行われることができる。
【0065】
さらに好ましい一実施態様において、工程3)又は4)及び5)においてコーティングを設ける前に、少なくとも1つの更なるコーティングが設けられることができる。この更なるコーティングは、例えばプリントであってよい。このようなプリントは当業者に慣用の全ての印刷方法、特にオフセット印刷法、フレキソ印刷法、タンポン印刷又はインクジェット印刷法を用いて設けられることができる。
【0066】
このコーティングした基材がその完成した実施形態において下地に設けられることが望ましい場合には、更なる一実施形態では工程2)、3)又は4)及び5)においてコーティングを設けた後に、更なるコーティングが裏側コーティングとして設けられることができる。このバリアー層はこうして裏側を形成し、そして、更なるコーティングが続く場合には、これはこの向かい合った側にさらに設けられるに過ぎない。この更なるコーティングは限定されず、かつ、当業者に知られている全てのコーティングであってよい。この更なるコーティングは、例えばプリントであってもよい。
【0067】
本発明のコーティングした基材は、この基材が柔軟である場合には、意外なことに、極めて高い柔軟性を示す。そして、この基材は、この設けられたコーティングを破壊したり又は亀裂を生じる(einreissen)ことなく、曲げられることができる。特に、これによって、例えば、コーティングに不利な影響を及ぼすことなく、柔軟な不織布として使用され、かつ、下地の表面輪郭に適合される材料複合材を産生できる。コーティングとしては、既に説明したように、異なる保護層が設けられることができ、特に攻撃性化学薬品に対する保護層又は防汚性コーティングである。
【0068】
意外なことに、記載の材料複合材においては有機ポリマー分散液の使用の場合に本発明の方法の枠内では後続コーティングのために、生じる乾燥塗布量が、材料特性の維持下で、DE 10 2004 006612 A1又はWO 2007/051680からの技術水準に対して顕著に減少されることができる(このことは、顕著により高い経済性を結果として伴う)だけでなく、全体として、洗浄抵抗性及び摩耗抵抗性も、同様に、しみ抵抗性(Fleckbestaendigkeit)も、この技術水準に対して顕著に改善され、かつ、老化の際の脆化は顕著に減少されることが見出された。
【0069】
材料使用量の減少によってまさに、摩耗(Scheuern)による完成した材料複合材の機械的負荷能の向上が達成されたことはあらゆる予想とは相容れず、というのも、例えばWO 2007/051680において、摩耗抵抗性の改善にはより厚い層が必要であると教示されるからである。
【0070】
さらに、この記載の材料複合材は高められた洗浄安定性及び摩耗安定性にもかかわらず、より良好なしみ抵抗性、水蒸気に関する並はずれて少ない拡散抵抗性(まとめて、「水蒸気拡散抵抗性」の概念を構成する)をも有することは意外である。
【0071】
「水蒸気拡散抵抗性」(「水蒸気当量空気層厚(wasserdampfaequivalente Luftschichtdicke)SD」とも呼ばれる)は、建材が、その熱により生ずる伝播の意味合いにおいて水蒸気の拡散をどの程度抑制するかを表す。「水蒸気拡散抵抗性」が異なる材料は、空気の「水蒸気拡散抵抗性」に対して「水蒸気拡散抵抗数」を用いて関連させられる。
【0072】
建材の水蒸気拡散抵抗数(記号μ)は、無次元の材料特性値である。これは、当該材料が、同じ厚さの静止空気層に比較して、水蒸気に対して何倍より不漏性(dicht)であるかを表す。
【0073】
この材料特性値が大きいほど、建材は水蒸気に対してより不漏性である。
【0074】
空気については
μ=1
と定義される。
【0075】
慣用の建材のための値μはDIN EN 12524に挙げられている。
【0076】
重要であるのは、建築部品を通じた蒸気拡散流の算出のための水蒸気拡散抵抗数である。この蒸気拡散は、個々の層の拡散抵抗に依存する。
【0077】
この水蒸気当量空気層厚SD(単位メートル)の測定は、規格DIN 53122-1により挙げられている。この「水蒸気拡散抵抗性」は、これに応じて、次式から算出される:
μ × 厚さ(メートルで)。
【0078】
この厚さは、同じ「水蒸気拡散抵抗性」を有する静止空気層の厚さ(m)である。例えば、20cmの厚さのれんが塀は
5×0.2m=1m
の拡散抵抗性を有し、このことは、20cmの厚さのれんが塀を通過して、1mの厚さの静止空気層を通過するのと同じだけ水蒸気が貫流することと同じ意味を持つ。
【0079】
例えば、ポリスチレンは、広い意図にもかかわらず、十分に蒸気透過性であり、おおよそ木材に匹敵する。4cmの厚さのStyroporプレートではSD値は約50×0.04m=2mである。
【0080】
蒸気抑制シート(Dampfbremsfolie)は例えばSD値約0.25m〜10mである。湿式空気で乾燥空気よりも開孔性である蒸気抑制シートの構成が存在する。
【0081】
本発明の方法は、その水蒸気当量空気層厚SDが、引用された技術水準DE 10 2004 006612 A1 又はWO 2007/051680からのコーティングのものよりも遙かに優れている鉱物性建材を達成する。SDの低い値は、一時的に高い空気湿分に曝露されている閉鎖空間中の良好な空間気候の形成のために重要である。
【0082】
本発明の更なる主題は、従って、本発明の方法により得られる柔軟性鉱物性建材でもある。
【0083】
様々な有機表面及びコンクリートに良好な防水性及び防油性を生じるためにフルオロカーボン含有ポリマーの使用を前記文献が記載し、かつ、所定の系の天然繊維及び合成繊維からのテキスタイルに対して洗浄持続性がもくろまれている(ausloben)にもかかわらず、個々の利点又は効果の全体は意外なものであった。
【0084】
本発明の主題は、従って、同様に、最高10のしみ抵抗性、少なくとも13%の破断点伸び、60℃で7日間の貯蔵後に少なくとも10%の破断点伸び、最高3mmの最小曲げ半径、及び最高0.2mの水蒸気等価空気層厚SDを示す鉱物性柔軟建材である。
【0085】
実施例
比較例1
第1のコーティングの製造
水31.3g、65%硝酸4.3g及びエタノール12.6gを装入し、酸化アルミニウム粉末(d50=2.7μm;BET=1.3m2/g)48.1g並びに分散助剤0.56gを添加し、撹拌した。この分散液中に、0.0146molシランからの混合物(Dynasylan(R) MTES、TEOS及びGLYMO、比1.00:0.86:1.52)を添加した。この混合物を室温で24時間撹拌した。
【0086】
配置したPET不織布(面積当たり質量:45g/qm;厚さ0.39mm)をこの分散液で浸漬させ、炉中で10秒間220℃で乾燥させ、硬化させた。記載の不織布の乾燥質量が220g/qmになるまで分散液を設けた。
【0087】
第2のコーティングの製造
Aerosil(R) R812S2.9gをGLYMO67.7g中に分散し、引き続きビスフェノールA26.0g並びに1%のHCL3.4gを撹拌しながら添加した。24時間の撹拌後に6℃でメチルイミダゾリン2.3g及びBakelite EPR 76010.2gを添加し、更なる20時間撹拌した。
【0088】
この材料から20g/qmを湿式で前もって製造したコーティングに設け、かつ30分間120℃で硬化させた。
【0089】
この材料の評価は以下の特性プロファイルを生じた:
【表1】

【0090】
このしみ抵抗性を1〜3mlのコーヒー、紅茶、トマトケチャップ、マスタード、1%NaOH、10%クエン酸溶液、Stoko Skincareのシャワーゲル"Hair &Body"、葡萄ジュース、植物油へ1時間曝露させ、更なる機械的清浄化なしに水ですすいで評価する。この評価を、各試験剤について、配点(Vergabe von Punkt)により行う:
可視可能な変化無し:0
光沢及び着色にかろうじて錦可能な変化あり:1
光沢及び着色にわずかな変化あり:2
表面の著しい印、試験面の構造は大幅には損なわれていない:3
顕著な印が可視可能、
試験面の構造が変化:4
試験面が著しく変化:5。
【0091】
しみ抵抗性は、各試験剤での配点の合計である。
【0092】
摩耗抵抗性の算出を、DIN EN 12956及びにDIN EN 259-1に応じて高度に摩耗抵抗性表面について行う。これは、3つの光学的視角での観察により具体化される:ルーペ(8×)を用いて上からの視点(Draufsicht)、鋭角で表面上、照射した表面の斜め上から黒色の背景に対して。
【0093】
評価:0点は変化無し、10点は規格に応じた可視可能な変化、1点は突出している繊維が可視可能、2点は多数の突出している繊維、3点は鋭角での光沢変化。評価基準から合計が形成される。
【0094】
破断点伸びは、Zwick社のZ2.5/PN1 S型の装置を用いて測定する。
【0095】
比較例2
第1のコーティングの製造
水15.0g、65%硝酸0.6g及びエタノール7.9gを装入し、酸化アルミニウム粉末(CT3000 SG (AICoA))71.0g並びに分散助剤0.1gを添加し、撹拌した。この分散液中で、0.0249molシランからの混合物(Dynasylan(R) MTES、TEOS及びGLYMO、比1.00:0.86:1.50)を添加した。この混合物を室温で24時間撹拌した。
【0096】
PET不織布(PET FFKH 7210)をこの分散液で50μmの厚さで設け、炉中で30分間130℃で乾燥させた。
【0097】
第2のコーティングの製造
GLYEO29.5gを装入し、撹拌下で1%の塩酸2.6%を添加した。この混合物が明澄になってから、エタノール中の15%のAerosil(R) R812S分散液42.9gを添加した。この混合物中に20分間にわたりDynasylan(R) AMEO25gを滴加した。
【0098】
この材料から50g/qmを湿式で前もって製造したコーティングに設け、かつ30分間140℃で硬化させた。
【0099】
この材料の評価は以下の特性プロファイルを生じた:
【表2】

【0100】
比較例3
第1のコーティングの製造
水36.5g、65%硝酸0.5g及びエタノール3.4gを装入し、酸化アルミニウム粉末(d50=2.7μm;BET=1.3m2/g)56.1g並びに分散助剤0.07gを添加し、撹拌した。この分散液中に、0.0162molシランからの混合物(Dynasylan(R) MTES、TEOS及びGLYMO、比1.00:0.86:1.36)を添加した。この混合物を室温で24時間撹拌した。
【0101】
PET不織布(PET FFKH 7210)をこの分散液で含浸させ、炉中で3分間220℃で乾燥させた。
【0102】
第2のコーティングの製造
GLYEO24gを装入し、撹拌下で1%の塩酸2.5gを添加した。この混合物が明澄になってから、エタノール中のAerosil(R) R812S 15%分散液34.5gを添加した。この混合物中で20分間にわたりDynasylan(R) AMEO20gを、引き続きDynasylan F8261 6.5gを滴加した。Bakelite EPR 760 12.5gの添加後、この材料をコーティングのために使用した。
【0103】
この材料から100g/qmを湿式で前もって製造したコーティングに設け、かつ3分間150℃で硬化させた。この工程を再度もう1度繰り返し、結果として基材は合計で3つのコーティングを有した。
【0104】
この材料の評価は以下の特性プロファイルを生じた:
【表3】

【0105】
本発明に従う実施例
実施例I
水36g、65%硝酸0.5g及びエタノール3.5gを装入し、酸化アルミニウム粉末(d50=2.7μm;BET=1.3m2/g)56g並びに分散助剤0.07gを添加し、撹拌した。この分散液中に、0.017molシランからの混合物(Dynasylan(R) MTES、TEOS及びGLYMO、比1.00:0.86:1.51から構成)を添加した。この混合物を室温で24時間撹拌した。
【0106】
PET不織布(面積当たり質量:45g/qm;厚さ0.39mm)をこの分散液に浸漬させ、炉中で10秒間230℃で乾燥させた。
【0107】
第2のコーティングの製造
Dynasylan GLYEO21g中に水1.8g及び65%のHNO30.03gを導入し、明澄化まで撹拌した。この溶液中にAerosil R812S 8.6g及びエタノール48.9gを導入した。この分散液にDynasylan AMEO18g及びDynasylan IBTEO2.5gを添加し、更なる24時間室温で撹拌した。
【0108】
この前もってコーティングした基材をこの混合物でコーティングし、150℃で炉中で乾燥した。
【0109】
第3のコーティングの製造
水900g中にFluowet UD3g、Genagen LAB3g、及びClariant社のNuva(R) N2114 50gを導入し、均質に撹拌した。この分散液で、このコーティングした基材をパディングした。この湿式塗布は約100gであった。引き続きこのコーティングした試料を100℃で乾燥させ、90秒間170℃で硬化させた。
【0110】
この材料の評価は以下の特性プロファイルを生じた:
【表4】

【0111】
実施例II
第1のコーティングの製造
水36g、53%硝酸0.6g及びエタノール3.4gを装入し、酸化アルミニウム粉末(d50=2.7μm;BET=1.3m2/g)56g並びに分散助剤0.07gを添加し、撹拌した。この分散液中で、0.025molシランからの混合物(Dynasylan(R) MTES、TEOS及びGLYMO、比1.04:1.0:0.86)を添加した。この混合物を40℃で24時間撹拌した。
【0112】
PET不織布(面積当たり質量:45g/qm;厚さ0.39mm)をこの分散液で浸漬させ、炉中で230℃で乾燥させ、硬化させた。
【0113】
第2のコーティングの製造
Dynasylan GLYEO21g中に水1.8g及び65%のHNO30.03gを導入し、明澄化まで室温で撹拌した。この溶液中にAerosil R812S 8.6g及びエタノール48.9gを導入した。この分散液にDynasylan AMEO18g及びDynasylan IBTEO2.5gを添加し、更なる24時間撹拌した。
【0114】
この前もってコーティングしたPET不織布をこの混合物でコーティングし、150℃で炉中で乾燥した。
【0115】
第3のコーティングの製造
水900g中にGenagen LAB3g及びFluowet UD3gを溶解し、Clariant社のNuva(R) TTC100gを導入し、均質に撹拌した。この分散液で、この前もってコーティングした基材をパディングした。この湿式塗布は約100gであった。引き続きこのコーティングした試料を100℃で乾燥させ、30秒間180℃で硬化させた。
【0116】
この材料の評価は以下の特性プロファイルを生じた:
【表5】

【0117】
実施例III
第1のコーティングの製造
水35g、53%硝酸0.6g及びエタノール3.3gを装入し、酸化アルミニウム粉末(d50=2.7μm;BET=1.3m2/g)54g並びに分散助剤0.06gを添加し、撹拌した。この分散液中に、0.0334molシランからの混合物(Dynasylan(R) MTES、TEOS及びGLYMO、比1.00:1.00:0.57)を添加した。この混合物を40℃で24時間撹拌した。
【0118】
PET不織布(面積当たり質量:45g/qm;厚さ0.39mm)をこの分散液で浸漬させ、炉中で230℃で乾燥させ、硬化させた。
【0119】
第2のコーティングの製造
水700g中にFluowet UD3g及びGenagen LAB3gを溶解し、並びにRudolf GmbH社のRUCO-COAT PU8510 300gを導入し、均質に撹拌した。この分散液で、この前もってコーティングした基材をパディングした。この湿式塗布は約180g/qmであった。引き続き、このコーティングした試料を100℃で乾燥させ、2分間160℃で硬化させた。
【0120】
第3のコーティングの製造
水900g中にGenagen LAB3g及びFluowet UD3gを溶解し、Clariant社のNuva(R) TTC100gを導入し、均質に撹拌した。この分散液で基材を流し塗りし、ドクターで除去した。この湿式塗布は約120gであった。引き続きこのコーティングした試料を100℃で乾燥させ、30秒間180℃で硬化させた。
【0121】
この材料の評価は以下の特性プロファイルを生じた:
【表6】

【0122】
実施例IV
第1のコーティングの製造
水36g、65%硝酸0.5g及びエタノール3.5gを装入し、酸化アルミニウム粉末(d50=2.7μm;BET=1.3m2/g)56g並びに分散助剤0.07gを添加し、撹拌した。この分散液中で、0.017molシランからの混合物(Dynasylan(R) MTES、TEOS及びGLYMO、比1.00:0.86:1.51)を添加した。この混合物を室温で24時間撹拌した。
【0123】
PET不織布(面積当たり質量:45g/qm;厚さ0.39mm)をこの分散液で浸漬させ、炉中で220℃で乾燥させた。
【0124】
第2のコーティングの製造
Dynasylan GLYEO18.8g中に水1.6g及び65%のHNO30.03gを導入し、明澄化まで撹拌した。この溶液中にAerosil R812S 7.8g及びエタノール44.4gを導入した。この分散液にDynasylan AMEO16g及びDynasylan IBTEO2.3gを添加し、更なる24時間室温で撹拌した。
【0125】
この前もってコーティングした基材をこの混合物でコーティングし、150℃で炉中で乾燥した。
【0126】
第3のコーティングの製造
水900g中にGenagen LAB3g及びFluowet UD3gを溶解し、Clariant社のNuva(R) TTC100gを導入し、均質に撹拌した。この分散液を質量50g/Lを有するフォームへと発泡させた。このフォームから約100g/qmをこの基材に設けた。引き続き、このコーティングした試料を100℃で乾燥させ、30秒間180℃で硬化させた。
【0127】
この材料の評価は以下の特性プロファイルを生じた:
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程:
1)基材を調製する工程、
2)前記基材の少なくとも一方の側に組成物を設け、前記組成物を乾燥させる工程、
その際、前記組成物は、少なくとも1の無機化合物を含有し、
各無機化合物は次のものを含有する:
少なくとも1の金属及び/又は半金属であってSc、Y、Ti、Zr、Nb、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、B、Al、In、Tl、Si、Ge、Sn、Zn、Pb、Sb、Bi又はその混合物の群から選択されたもの、及び、少なくとも1の元素であってTe、Se、S、O、Sb、As、P、N、C、Ga又はその混合物の群から選択されたもの、
引き続き、
3) 工程2)において得られた前記基材の少なくとも一方の側に少なくとも1の有機ポリマー分散液を設け、1又は複数のこのコーティングを乾燥させる工程、
又は
4)前記基材の少なくとも一方の側に少なくとも1のコーティングを設け、1又は複数の前記コーティングを乾燥させる工程、
その際、前記コーティングは、次のものを含有する:
一般式(Z1)Si(OR)3
[式中、Z1=R、Gly(Gly=3−グリシジルオキシプロピル)、AP(3−アミノプロピル)、及び/又はAEAP(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル)である、かつ、R=1〜18個の炭素原子を有するアルキル基又は脂環式基であり、全てのRは同一か又は異なっていてよい]のシランからの混合物、
酸化物粒子であってTi、Si、Zr、Al、Y、Sn、Zn、Ceの酸化物又はその混合物から選択されたもの、
少なくとも1のポリマー及び開始剤、
引き続き、
5)少なくとも1の有機ポリマー分散液を前記基材の少なくとも一方の側に設け、1又は複数のこのコーティングを乾燥させる工程
を含む、鉱物性柔軟建材の製造方法。
【請求項2】
工程3)及び/又は工程5)において1より多くの有機ポリマー分散液が設けられる場合には、前記ポリマー分散液は同一か又は異なっており、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリウレタン、ポリエステル、ビニルモノマーとのコポリマー及び/又は共縮合体、又は前記ポリマーの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程3)において最後に設けられるポリマー分散液はフルオロカーボンを有することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
工程5)において最後に設けられるポリマー分散液はフルオロカーボンを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
工程2)において前記組成物が少なくとも1の金属酸化物の水性分散液を含むか又は前記水性分散液であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
工程4)においてZ1=Rである場合には、Rはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ヘキサデシル、OR′又は前記基の組み合わせから選択されていて、その際、R′は1〜18個の炭素原子を有するアルキル基であり、かつ、全てのR′は同一か又は異なっていてよいことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の方法により得られる鉱物性柔軟建材。
【請求項8】
最高10のしみ抵抗性、
少なくとも13%の破断点伸び、
60℃で7日間の貯蔵後に少なくとも10%の破断点伸び、
最高3mmの最小曲げ半径、及び
最高0.2mの「水蒸気等価空気層厚」SD
を示す鉱物性柔軟建材。

【公表番号】特表2013−503989(P2013−503989A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527254(P2012−527254)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059609
【国際公開番号】WO2011/026668
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】