説明

主族金属イオンを含有する金属有機骨格材料の製造方法

本発明は、金属がBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga又はInである少なくとも1つの金属化合物を、少なくとも二座の少なくとも1つの有機化合物と反応させることによる多孔質の金属有機骨格材料の製造方法並びにそのような多孔質の金属有機骨格材料の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質の金属有機骨格材料の製造方法並びに製造された前記骨格材料の使用に関する。
【0002】
多孔質の金属有機骨格材料は、技術水準から知られている。これらは典型的には、少なくとも1つの金属イオンに配位結合された少なくとも二座の少なくとも1つの有機化合物を含有する。そのような金属有機骨格材料(MOF=metal organic framework)は、例えば、米国特許(US-A)第5,648,508号明細書、欧州特許出願公開(EP-A)第0 790 253号明細書、M.O. Keeffe, J. Sol. State Chem., 152 (2000), 3-20; H. Li他, Nature 402 (1999), 276; M. Eddaoudi, Topics in catalysis 9 (1999), 105-111; B. Chen他, Science 291 (2001), 1021-1023及び独国特許出願公開(DE-A)第101 11 230号明細書に記載されている。
【0003】
そのような多孔質の金属有機骨格材料を製造するために、多数の方法が開発されてきた。典型的には、この場合に、適した溶剤中で、高められた圧力及び高められた温度下に、金属塩は少なくとも二座の有機化合物、例えばジカルボン酸と反応される。
【0004】
しかしながら、その場合にしばしば困難が生じる。問題は、金属塩の使用に基づいて、金属有機骨格材料の形成後に反応媒体中に残留する、金属カチオンに対する対イオン(例えば硝酸塩)が、骨格材料から分離されなければならないことにありうる。
【0005】
高い圧力及び温度の使用によって、多孔質の金属有機骨格材料を製造するための合成装置には、高い要求が課される。通常、比較的小さな装置中でのバッチ合成のみが可能であり、かつ記載されている。スケールアップは、極めて費用がかかることが判明している。
【0006】
さらなる困難は、骨格材料の製造に使用される金属及び有機化合物に応じて、反応条件の転用が簡単に可能でないことにある。そのような1つの場合は、例えば、金属有機骨格材料中の金属成分が、周期表の第2又は第3主族の主族金属である場合に存在する。この場合に、金属成分が遷移金属、例えば亜鉛又は銅である類似した骨格材料と比較して、製造のためには部分的に明らかに異なる反応条件が使用される。
【0007】
第2又は第3主族の主族金属を有しうるそのような多孔質の金属有機骨格材料は、それらの性質に関しても前記の類似した骨格材料とは相違し、このことは、ここで技術水準においてしばしば改変された製造方法が採用される理由でありうる。
【0008】
T. Loiseau他, Chem. Eur. J. 2004, (10), 1373-1332には、例えば、多孔質のアルミニウムテレフタラートの製造が記載されている。これは、著しく高い熱安定性により特徴づけられている。例えば、前記材料が500℃を上回る温度ではじめて分解することが報告されている。合成は、この場合に、脱イオン水中での硝酸アルミニウム(九水和物として)及び1,4−ベンゼンジカルボン酸の反応により行われる。反応は220℃で加圧下に行われる。他の金属有機骨格材料とは異なり、ここでは製造の際に、有機化合物としての使用された配位子が、金属有機骨格材料中で骨格構成要素として生じるだけでなく、そのうえ、配位子として骨格材料の細孔中に保持されることが明らかになる。多孔質の金属有機骨格材料中の配位子のこの付加的な結合は典型的に、遷移金属から構成されている類似した骨格材料の場合に生じない。この問題を解決するために、Loiseau他は、材料を、細孔中に捕えられた配位子が除去されるまで加熱することを提案する。この手順は、実際の合成に続き、配位子の沸騰圧もしくは蒸気圧に著しく依存する、部分的に時間を浪費しかつ厳重な後処理工程が行われるべきであるという欠点を必然的に伴う。特に高沸点配位子の場合に、この手順も完全に失敗しうる。
【0009】
Z. Lin他, Inorganic Chemistry 44 (2005), 73-76には金属有機骨格材料が記載されており、その際にインジウムが金属成分を形成し、かつ有機化合物として1,3,5−ベンゼントリカルボン酸が使用される。ここでは、同様に水が溶剤として使用される。さらに、Lin他は、反応のためには、適切なpH値に調節するために、高過剰量の塩基(ピリジン)が添加されていなければならないことを指摘する。
【0010】
L. Pan他, Inorg. Chem. 40 (2001), 1271-1233には、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムを含有する多孔質の金属有機骨格材料が記載されており、かつ同様に水もしくは水/トリエチルアミンの使用が提案されている。配位子として3,5−ピラゾールジカルボン酸が使用される。
【0011】
Z. Fei他, Inorg. Chem. 44 (2005), 5200-5202には、ストロンチウム−イミダゾリウムカルボキシラートが記載されている。
【0012】
H.-F. Zhu他, Crystal Growth & Design 5 (2005), 177-182には、水中の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸と共にカルシウム及びバリウムから誘導される金属有機骨格材料が記載されている。
【0013】
J. Sun他, Angew. Chem. 114 (2002), 4851-4653には、とりわけ、DMF中でのインジウムテレフタラートの製造が記載されている。反応はこの場合に、160℃で高められた圧力下に行われる。
【0014】
B. Gomez-Lor他, Inorganic Chemistry 41 (2002), 2429-2432には、同様にインジウムテレフタラートが記載されており、その際に反応は、水中で塩基としてのトリエチルアミンの使用下に実施される。
【0015】
水の使用の際に不利であるのは、水への有機化合物の部分的に劣悪な溶解度並びにしばしば得られる骨格材料の低収量及び/又はその低い比表面積である。
【0016】
別の欠点は、高圧の使用にある。ここでは、装置上高い出費は、金属有機骨格材料を製造するための個々の出発物質の混合のための撹拌をたいてい不可能にする。
【0017】
それゆえ、依然として、金属成分が周期表の第2又は第3主族の金属である多孔質の金属有機骨格材料を製造する改善された方法の需要が存在する。
【0018】
それゆえ、本発明の課題は、そのような多孔質の金属有機骨格材料を製造する改善された方法を提供することにある。
【0019】
前記課題は、非水系有機溶剤の存在で、少なくとも1つの金属化合物を、金属に配位結合できる少なくとも二座の少なくとも1つの有機化合物と反応させる工程を含み、その際に金属がBeII、MgII、CaII、SrII、BaII、AlIII、GaIII又はInIIIであり、かつ有機化合物が、酸素、硫黄及び窒素からなる群からその都度独立して選択され、有機化合物が金属に配位結合できる少なくとも2個の原子を有し、その際にこの反応は撹拌しながら及び高くとも2bar(絶対)の圧力で行われる、
多孔質の金属有機骨格材料の製造方法によって解決される。
【0020】
すなわち、非水系有機溶剤の使用及びさらに挙げられた条件によって、単純な"スケールアップ"を特に可能にする、多孔質の金属有機骨格材料の少なくとも部分的により効率的な製造が可能であることが見出された。
【0021】
この場合に、反応を撹拌しながら行うことができることはとりわけ有利であり、このことはスケールアップの際にも有利である。
【0022】
反応は、高くとも2bar(絶対)の圧力で行われる。しかしながら好ましくは、圧力は高くとも1230mbar(絶対)である。特に好ましくは、反応は大気圧で行われる。
【0023】
反応は、室温で実施されることができる。しかしながら好ましくは、この反応は室温を上回る温度で行われる。好ましくは、温度は100℃を上回る。さらに好ましくは、温度は高くとも180℃及びより好ましくは高くとも150℃である。
【0024】
典型的には、前記の金属有機骨格材料は、溶剤としての水中で、別の塩基の添加下に実施される。これは、少なくとも二座の有機化合物としての多塩基カルボン酸の使用の際にこれが水に易溶にするために特に役立つ。非水系有機溶剤の使用により、そのような塩基を使用することは不要である。それにも関わらず、本発明による方法のための溶剤は、これがそれ自体として塩基性で反応するように選択されることができるが、しかしながらこのことは、本発明による方法の実施のために絶対に必要ではない。
【0025】
同じように、塩基が使用されることができる。しかしながら、さらに付加的な塩基が使用されないことが好ましい。
【0026】
さらに好ましくは、多孔質の金属有機骨格材料の製造に使用される金属化合物が非イオン性であってよい及び/又は金属カチオンに対する対イオンがプロトン性溶剤から誘導されることができる。非イオン性の化合物の使用により、適した選択の場合に、多孔質の金属有機骨格材料への変換の際に、金属化合物により反応の際に別の妨害する塩が発生されない限りは、金属が塩の形で存在し、かつそれにより場合により金属塩中の相応するアニオンの除去の際の困難が生じることは回避されることができる。対イオンが溶剤アニオンである場合には、これは、適した選択の場合に、反応後に、使用される非水系有機溶剤と同じ又はそれとは異なっていてよい溶剤として存在していてよい。後者の場合に、この溶剤が非水系有機溶剤と少なくとも一部が混和性である場合に好ましい。金属化合物の反応の際に水が生じる場合には、その割合は、さらに以下に記載される限度内であるべきである。これは、十分な量の非水系有機溶剤が使用されることによって達成されることができる。
【0027】
そのような非イオン性の化合物もしくはプロトン性溶剤から誘導されうる金属カチオンに対する対イオンは、例えば金属アルコラート、例えばメタノラート、エタノラート、プロパノラート、ブタノラート、特にアルミニウムアルコラートであってよい。同じように、酸化物又は水酸化物が考えられる。
【0028】
使用される金属は、BeII、MgII、CaII、SrII、BaII、AlIII、GaIII又はInIIIである。好ましくは、金属はMgII、CaII、SrII、BaII、AlIII又はInIIIである。AlIII及びMgIIが極めて特に好ましい。AlIIIが殊に好ましい。
【0029】
少なくとも二座の少なくとも1つの有機化合物は、酸素、硫黄及び窒素からなる群からその都度独立して選択されており、有機化合物が金属に配位結合できる少なくとも2個の原子を有する。これらの原子は、骨格又は官能基の一部であってよい。
【0030】
前記の配位結合が形成されることができる官能基として、特に、例えば次の官能基を挙げることができる:−COH、−CSH、−COSH、−NO、−SOH、−Ge(OH)、−Sn(OH)、−Si(SH)、−Ge(SH)、−Sn(SH)、−AsOH、−AsOH、−P(SH)、−As(SH)、−CH(RSH)、−C(RSH)、−CH(RNH、−C(RNH、−CH(ROH)、−C(ROH)、−CH(RCN)、−C(RCN)、その際にRは、例えば好ましくは、炭素原子1、2、3、4又は5個を有するアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はn−ペンチレン基、又は1もしくは2個の芳香族核、例えば2個のC6−環を有するアリール基であり、これらは場合により縮合されていてよく、かつ互いに独立して少なくともその都度1個の置換基で適当に置換されていてよく、及び/又は互いに独立してその都度少なくとも1個のヘテロ原子、例えばN、O及び/又はSを有していてよい。同様に好ましい実施態様によれば、前記の基Rが存在していない官能基を挙げることができる。これに関連して、とりわけ−CH(SH)、−C(SH)、−CH(NH、−C(NH、−CH(OH)、−C(OH)、−CH(CN)又は−C(CN)を挙げることができる。
【0031】
少なくとも2個の官能基は、原則的に、これらの官能基を有する有機化合物が、配位結合の形成のため及び骨格材料の製造のために適していることが保証されている限り、各々適した有機化合物に結合されていてよい。
【0032】
好ましくは、少なくとも2個の官能基を有する有機化合物は、飽和又は不飽和の脂肪族化合物から又は芳香族化合物から又は脂肪族でも芳香族でもある化合物から誘導される。
【0033】
脂肪族化合物、又は脂肪族でも芳香族でもある化合物の脂肪族部分は、線状及び/又は分枝鎖状及び/又は環状であってよく、その際に1つの化合物につき複数の環も可能である。さらに好ましくは、脂肪族化合物、又は脂肪族でも芳香族でもある化合物の脂肪族部分は、炭素原子1〜15個、さらに好ましくは1〜14個、さらに好ましくは1〜13個、さらに好ましくは1〜12個、さらに好ましくは1〜11個及び特に好ましくは1〜10個、例えば炭素原子1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個を有する。この場合に、とりわけメタン、エタン、ブタン、2−ブテン、アダマンタン、アセチレン、エチレン又はブタジエンが特に好ましい。
【0034】
芳香族化合物、又は芳香族でも脂肪族でもある化合物の芳香族部分は、1つ又はまたそれ以上の核、例えば2、3、4又は5個の核を有していてよく、その際にこれらの核は互いに別個に及び/又は少なくとも2個の核が縮合された形で存在していてよい。特に好ましくは、芳香族化合物、又は脂肪族でも芳香族でもある化合物の芳香族部分は、1、2又は3個の核を有し、その際に1又は2個の核が特に好ましい。互いに独立して、さらに、前記の化合物のそれぞれの核は、少なくとも1つのヘテロ原子、例えばN、O、S、B、P、Si、好ましくはN、O及び/又はSを有していてよい。さらに好ましくは、芳香族化合物、又は芳香族でも脂肪族でもある化合物の芳香族部分は、1又は2個のC6−核を有し、その際に2個のC6−核は、互いに別個に又は縮合された形で存在する。特に、芳香族化合物として、ベンゼン、ピレン、ジヒドロピレン、ナフタレン及び/又はビフェニル及び/又はビピリジル及び/又はピリジルを挙げることができる。
【0035】
例えば、とりわけトランス−ムコン酸又はフマル酸又はフェニレンビスアクリル酸を挙げることができる。
【0036】
例えば、本発明の範囲内で、ジカルボン酸、例えば
シュウ酸、コハク酸、酒石酸、1,4−ブタンジカルボン酸、1,4−ブテンジカルボン酸、4−オキソ−ピラン−2,6−ジカルボン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、1,8−ヘプタデカンジカルボン酸、1,9−ヘプタデカンジカルボン酸、ヘプタデカンジカルボン酸、アセチレンジカルボン酸、1,2−ベンゼンジカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、ピリジン−2,3−ジカルボン酸、1,3−ブタジエン−1,4−ジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸、p−ベンゼンジカルボン酸、イミダゾール−2,4−ジカルボン酸、2−メチル−キノリン−3,4−ジカルボン酸、キノリン−2,4−ジカルボン酸、キノキサリン−2,3−ジカルボン酸、6−クロロキノキサリン−2,3−ジカルボン酸、4,4′−ジアミンフェニルメタン−3,3′−ジカルボン酸、キノリン−3,4−ジカルボン酸、7−クロロ−4−ヒドロキシキノリン−2,8−ジカルボン酸、ジイミドジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、2−メチルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸、チオフェン−3,4−ジカルボン酸、2−イソプロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸、ペリレン−3,9−ジカルボン酸、ペリレンジカルボン酸、Pluriol E 200−ジカルボン酸、3,6−ジオキサオクタンジカルボン酸、3,5−シクロヘキサジエン−1,2−ジカルボン酸、オクタジカルボン酸、ペンタン−3,3−カルボン酸、4,4′−ジアミノ−1,1′−ジフェニル−3,3′−ジカルボン酸、4,4′−ジアミノジフェニル−3,3′−ジカルボン酸、ベンジジン−3,3′−ジカルボン酸、1,4−ビス−(フェニルアミノ)−ベンゼン−2,5−ジカルボン酸、1,1′−ジナフチルジカルボン酸、7−クロロ−8−メチルキノリン−2,3−ジカルボン酸、1−アニリノアントラキノン−2,4′−ジカルボン酸、ポリテトラヒドロフラン−250−ジカルボン酸、1,4−ビス−(カルボキシメチル)−ピペラジン−2,3−ジカルボン酸、7−クロロキノリン−3,8−ジカルボン酸、1−(4−カルボキシ)−フェニル−3−(4−クロロ)−フェニルピラゾリン−4,5−ジカルボン酸、1,4,5,6,7,7,−ヘキサクロロ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、1,3−ジベンジル−2−オキソ−イミダゾリジン−4,5−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸、2−ベンゾイルベンゼン−1,3−ジカルボン酸、1,3−ジベンジル−2−オキソイミダゾリジン−4,5−シス−ジカルボン酸、2,2′−ビキノリン−4,4′−ジカルボン酸、ピリジン−3,4−ジカルボン酸、3,6,9−トリオキサウンデカンジカルボン酸、ヒドロキシベンゾフェノンジカルボン酸、Pluriol E 300−ジカルボン酸、Pluriol E 400−ジカルボン酸、Pluriol E 600−ジカルボン酸、ピラゾール−3,4−ジカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、5,6−ジメチル−2,3−ピラジンジカルボン酸、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルジイミドジカルボン酸、4,4′−ジアミノジフェニルメタンジイミドジカルボン酸、4,4′−ジアミノジフェニルスルホンジイミドジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、8−メトキシ−2,3−ナフタレンジカルボン酸、8−ニトロ−2,3−ナフタレンカルボン酸、8−スルホ−2,3−ナフタレンジカルボン酸、アントラセン−2,3−ジカルボン酸、2′,3′−ジフェニル−p−テルフェニル−4,4″−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、4(1H)−オキソチオクロメン−2,8−ジカルボン酸、5−t−ブチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸、7,8−キノリンジカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、ヘキサトリアコンタンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、1,7−ヘプタジカルボン酸、5−ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジカルボン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ジカルボン酸、ピラジン−2,3−ジカルボン酸、フラン−2,5−ジカルボン酸、1−ノネン−6,9−ジカルボン酸、エイコセンジカルボン酸、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン−3,3′−ジカルボン酸、1−アミノ−4−メチル−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2,3−ジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、シクロヘキセン−2,3−ジカルボン酸,2,9−ジクロロフルオルビン−4,11−ジカルボン酸、7−クロロ−3−メチルキノリン−6,8−ジカルボン酸、2,4−ジクロロベンゾフェノン−2′,5′−ジカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、1−メチルピロール−3,4−ジカルボン酸、1−ベンジル−1H−ピロール−3,4−ジカルボン酸、アントラキノン−1,5−ジカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸、2−ニトロベンゼン−1,4−ジカルボン酸、ヘプタン−1,7−ジカルボン酸、シクロブタン−1,1−ジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、5,6−デヒドロノルボルナン−2,3−ジカルボン酸、5−エチル−2,3−ピリジンジカルボン酸又はカンファージカルボン酸、
トリカルボン酸、例えば
2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、7−クロロ−2,3,8−キノリントリカルボン酸、1,2,3−、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、4,5−ジヒドロ−4,5−ジオキソ−1H−ピロロ[2,3−F]キノリン−2,7,9−トリカルボン酸、5−アセチル−3−アミノ−6−メチルベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、3−アミノ−5−ベンゾイル−6−メチルベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸又はアウリントリカルボン酸、
又はテトラカルボン酸、例えば
1,1−ジオキシドペリロ[1,12−BCD]チオフェン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸、例えばペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸又はペリレン−1,12−スルホン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸又はメソ−1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、デカン−2,4,6,8−テトラカルボン酸、1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン−2,3,11,12−テトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、1,2,11,12−ドデカンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,7,8−オクタン−テトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,9,10−デカンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸又はシクロペンタンテトラカルボン酸、例えばシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸
を挙げることができる。
【0037】
極めて特に好ましくは、場合により少なくともモノ置換された単核、二核、三核、四核又はより多核の芳香族のジカルボン酸、トリカルボン酸又はテトラカルボン酸が使用され、その際にこれらの核のそれぞれが少なくとも1つのヘテロ原子を有していてよく、その際に2つ又はそれ以上の核は、同じか又は異なるヘテロ原子を有していてよい。例えば、単核のジカルボン酸、単核のトリカルボン酸、単核のテトラカルボン酸、二核のジカルボン酸、二核のトリカルボン酸、二核のテトラカルボン酸、三核のジカルボン酸、三核のトリカルボン酸、三核のテトラカルボン酸、四核のジカルボン酸、四核のトリカルボン酸及び/又は四核のテトラカルボン酸が好ましい。適したヘテロ原子は、例えばN、O、S、B、P、Siであり、好ましいヘテロ原子は、この場合にN、S及び/又はOである。適した置換基として、これに関連して、とりわけ−OH、ニトロ基、アミノ基又はアルキル基又はアルコキシ基を挙げることができる。
【0038】
特に好ましくは、少なくとも二座の有機化合物として、アセチレンジカルボン酸(ADC)、カンファージカルボン酸、フマル酸、コハク酸、ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、例えば4,4′−ビフェニルジカルボン酸(BPDC)、ピラジンジカルボン酸、例えば2,5−ピラジンジカルボン酸、ビピリジンジカルボン酸、例えば2,2′−ビピリジンジカルボン酸、例えば2,2′−ビピリジン−5,5′−ジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、例えば1,2,3−、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸又は1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(BTC)、ベンゼンテトラカルボン酸、アダマンタンテトラカルボン酸(ATC)、アダマンタンジベンゾアート(ADB)、ベンゼントリベンゾアート(BTB)、メタンテトラベンゾアート(MTB)、アダマンタンテトラベンゾアート又はジヒドロキシテレフタル酸、例えば2,5−ジヒドロキシテレフタル酸(DHBDC)が使用される。
【0039】
極めて特に好ましくは、とりわけイソフタル酸、テレフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,2,3,4−及び1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、カンファージカルボン酸又は2,2′−ビピリジン−5,5′−ジカルボン酸が使用される。
【0040】
これらの少なくとも二座の有機化合物に加えて、金属有機骨格材料は、1つ又はそれ以上の一座の配位子も含んでいてよい。
【0041】
好ましくは、少なくとも二座の少なくとも1つの有機化合物は、ホウ素原子又はリン原子を含有しない。さらにまた、好ましくは、金属有機骨格材料の骨格は、ホウ素原子又はリン原子を含有しない。
【0042】
非水系有機溶剤は、好ましくは、C1-6−アルカノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)、アセトニトリル、トルエン、ジオキサン、ベンゼン、クロロベンゼン、メチルエチルケトン(MEK)、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチルエステル、場合によりハロゲン化されたC1-200−アルカン、スルホラン、グリコール、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、脂環式アルコール、例えばシクロヘキサノール、ケトン、例えばアセトン又はアセチルアセトン、シクロケトン、例えばシクロヘキサノン、スルホレン又はそれらの混合物である。
【0043】
1-6−アルカノールは、炭素原子1〜6個を有するアルコールを意味する。これらの例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール並びにそれらの混合物である。
【0044】
場合によりハロゲン化されたC1-200−アルカンは、炭素原子1〜200個を有するアルカンを意味し、その際に水素原子の1つ又は複数から全てまでが、ハロゲン、好ましくは塩素又はフッ素、特に塩素により、置換されていてよい。これらの例は、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン並びにそれらの混合物である。
【0045】
好ましい溶剤はDMF、DEF及びNMPである。DMFが特に好ましい。
【0046】
"非水系"という概念は、好ましくは、溶剤の全質量を基準として、10質量%、より好ましくは5質量%、さらにより好ましくは1質量%、さらに好ましくは0.1質量%、特に好ましくは0.01質量%の最高含水量を上回らない溶剤を指す。
【0047】
好ましくは、反応の間の最高含水量は、10質量%、より好ましくは5質量%及びさらにより好ましくは1質量%である。
【0048】
"溶剤"という概念は、純粋な溶剤並びに多様な溶剤の混合物に該当する。
【0049】
さらに好ましくは、少なくとも1つの金属化合物と少なくとも二座の少なくとも1つの有機化合物との反応の処理工程に続いて、か焼工程が行われる。この際に調節される温度は、典型的には250℃を上回り、好ましくは300〜400℃である。
【0050】
か焼工程に基づいて、特に、多孔質のアルミニウム骨格材料の製造の際に細孔中に存在している配位子は除去されることができる。
【0051】
これに補充して又は選択的に、多孔質の金属有機骨格材料の細孔からの配位子の除去は、形成された骨格材料を非水系溶剤で処理することにより行われることができる。この場合に、"抽出法"のやり方で配位子は除去され、かつ場合により骨格材料中で溶剤分子により置換される。この温和な方法は、配位子が高沸点化合物である場合に特に適している。
【0052】
前記処理は、好ましくは少なくとも30分間行われ、かつ典型的には2日間まで実施されることができる。これは、室温又は高められた温度で行われることができる。好ましくは、これは高められた温度下に、例えば少なくとも40℃、好ましくは60℃で行われる。さらに好ましくは、抽出は、使用される溶剤の沸騰温度で行われる(還流下)。
【0053】
前記処理は、単純な釜中で、骨格材料のスラリー化及び撹拌により行われることができる。抽出装置、例えばソックスレー装置、特に工業用抽出装置も使用されることができる。
【0054】
適した溶剤として、前記のもの、すなわち、例えばC1-6−アルカノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)、アセトニトリル、トルエン、ジオキサン、ベンゼン、クロロベンゼン、メチルエチルケトン(MEK)、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチルエステル、場合によりハロゲン化されたC1-200−アルカン、スルホラン、グリコール、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、脂環式アルコール、例えばシクロヘキサノール、ケトン、例えばアセトン又はアセチルアセトン、シクロケトン、例えばシクロヘキサノン又はそれらの混合物が使用されることができる。
【0055】
メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、MEK及びそれらの混合物が好ましい。
【0056】
極めて特に好ましい抽出溶剤はメタノールである。
【0057】
抽出に使用される溶剤は、少なくとも1つの金属化合物と少なくとも二座の少なくとも1つの有機化合物との反応のための溶剤と同じか又は異なっていてよい。特に、"抽出"の際に溶剤が水不含であることが、どうしても必要であるというわけではないが、しかし好ましい。
【0058】
本発明による金属有機骨格材料は、細孔、特にミクロ孔及び/又はメソ孔を含有する。ミクロ孔は、2nm又はそれ以下の直径を有するそのような孔として定義されており、かつメソ孔は、2〜50nmの範囲内の直径により定義されており、その都度、例えばPure Applied Chem. 57 (1985), p.603-619, 特にp.606に記載されているような定義に対応する。ミクロ孔及び/又はメソ孔の存在は、収着測定を用いて調べることができ、その際にこれらの測定は、DIN 66131及び/又はDIN 66134に従い77Kで窒素についてのMOFの吸収容量が決定される。
【0059】
好ましくは、DIN 66135(DIN 66131、66134)によるラングミュアモデルに従い算出される比表面積は粉末形の金属有機骨格材料については、5m2/g超、より好ましくは10m2/g超、より好ましくは50m2/g超、さらにより好ましくは500m2/g超、さらにより好ましくは1000m2/g超及び特に好ましくは1250m2/g超である。
【0060】
MOF成形体は、より低い比表面積を有していてよく;しかしながら好ましくは10m2/gを上回り、より好ましくは50m2/gを上回り、さらにより好ましくは500m2/gを上回る。
【0061】
金属有機骨格材料の孔径は、適した配位子及び/又は少なくとも二座の有機化合物の選択により制御されることができる。しばしば、有機化合物が大きければ大きいほど、孔径も大きくなることが当てはまる。好ましくは、孔径は0.2nm〜30nmであり、特に好ましくは、孔径は結晶質材料を基準として、0.3nm〜9nmの範囲内である。
【0062】
しかしながら、MOF成形体中で、大きさ分布が変わりうるより大きな細孔も生じる。しかしながら、好ましくは、全細孔容積の50%超、特に75%超が、1000nmまでの孔径を有する細孔によって形成される。しかしながら、好ましくは、細孔容積の大部分が、2つの直径範囲からなる細孔によって形成される。故に、全細孔容積の25%超、特に全細孔容積の50%超が、100nm〜800nmの直径範囲内である細孔によって形成される場合及び全細孔容積の15%超、特に全細孔容積の25%超が、10nmまでの直径範囲内である細孔によって形成される場合にさらに好ましい。孔径分布は、水銀ポロシメトリーを用いて決定されることができる。
【0063】
金属有機骨格材料は、粉末状でもしくは凝集物として存在していてよい。前記骨格材料はそれ自体として使用されてよく、又は前記材料は成形体へ変換される。好ましい方法は、この場合に押出し(Verstrangung)又は錠剤化である。成形体製造の際に、骨格材料は、製造の間に添加される別の材料、例えば結合剤、潤滑剤又はその他の添加剤を有していてよい。同じように、骨格材料が別の成分、例えば吸着剤、例えば活性炭等を有することが考えられる。
【0064】
これらの成形体の可能なジオメトリーに関して、本質的に制限は存在しない。例えば、とりわけペレット、例えばディスク状ペレット、ピル、球、グラニュール、押出物、例えばビレット、ハニカム、格子又は中空体を挙げることができる。
【0065】
これらの成形体の製造のためには、原則的に全ての適した方法が可能である。特に次の方法実施が好ましい:
・骨格材料を、単独で又は少なくとも1つの結合剤及び/又は少なくとも1つのペースト化剤(Anteigungsmittel)及び/又は少なくとも1つのテンプレート化合物と共に混練/エッジミル粉砕(Kneten/Kollern)して、混合物を得る;
得られた混合物を、適した少なくとも1つの方法、例えば押出しにより成形する;
場合により押出物を洗浄する及び/又は乾燥する及び/又はか焼する;
場合により仕上げ加工する(Konfektionieren)。
・骨格材料を、少なくとも1つの場合により多孔質の担持材料上に施与する。得られた材料は、ついで、前記の方法に従い、成形体にさらに加工されることができる。
・骨格材料を、少なくとも1つの場合により多孔質の基体上に施与する。
【0066】
混練/エッジミル粉砕及び成形は、各々適した方法により、例えばUllmanns Enzyklopaedie der Technischen Chemie、第4版、第2巻、p.313以降(1972)に記載されているように、行われることができる。
【0067】
例えば、混練/エッジミル粉砕及び/又は成形は、ピストンプレス、少なくとも1つの結合剤材料の存在又は不在でのロールプレス、コンパウンディング、ペレット化、錠剤化、押出し、同時押出し、発泡、スピニング、コーティング、造粒、好ましくは噴霧造粒、噴霧、噴霧乾燥又はこれらの方法の2つ又はそれ以上からなる組合せを用いて、行われることができる。
【0068】
ペレット及び/又は錠剤が極めて特に製造される。
【0069】
混練及び/又は成形は、高められた温度で、例えば室温から300℃までの範囲内で及び/又は高められた圧力で、例えば常圧から数百barまでの範囲内で及び/又は保護ガス雰囲気中で、例えば、少なくとも1つの希ガス、窒素又はそれらの2つ又はそれ以上からなる混合物の存在で行われることができる。
【0070】
混練及び/又は成形は、別の一実施態様によれば、少なくとも1つの結合剤の添加下に実施され、その際に結合剤として原則的に、混練すべき及び/又は成形すべき材料の混練及び/又は成形のために望ましい粘度を保証する各々化合物が使用されることができる。それに応じて、結合剤は、本発明の範囲内で、粘度を高める化合物並びに粘度を低下させる化合物であってよい。
【0071】
例えば、とりわけ好ましい結合剤として、例えば国際公開(WO)第94/29408号パンフレットに記載されているような酸化アルミニウム又は酸化アルミニウムを含有する結合剤、例えば欧州特許出願公開(EP-A1)第0 592 050号明細書に記載されているような二酸化ケイ素、例えば国際公開(WO)第94/13584号パンフレットに記載されているような二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる混合物、例えば特開平(JP-A)第03-037156号公報に記載されているような粘土鉱物類、例えばモンモリロナイト、カオリン、ベントナイト、ハロサイト(Hallosit)、ディッカイト、ナクライト及びアナウキサイト(Anauxit)、例えば欧州特許(EP-B1)第0 102 544号明細書に記載されているようなアルコキシシラン、例えばテトラアルコキシシラン、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、又は例えばトリアルコキシシラン、例えばトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリブトキシシラン、アルコキシチタナート、例えばテトラアルコキシチタナート、例えばテトラメトキシチタナート、テトラエトキシチタナート、テトラプロポキシチタナート、テトラブトキシチタナート、又は例えばトリアルコキシチタナート、例えばトリメトキシチタナート、トリエトキシチタナート、トリプロポキシチタナート、トリブトキシチタナート、アルコキシジルコナート、例えばテトラアルコキシジルコナート、例えばテトラメトキシジルコナート、テトラエトキシジルコナート、テトラプロポキシジルコナート、テトラブトキシジルコナート、又は例えばトリアルコキシジルコナート、例えばトリメトキシジルコナート、トリエトキシジルコナート、トリプロポキシジルコナート、トリブトキシジルコナート、シリカゾル、両親媒性物質及び/又はグラファイトを挙げることができる。グラファイトが特に好ましい。
【0072】
粘度を増大させる化合物として、例えば、場合により前記の化合物に加えて、有機化合物及び/又は親水性ポリマー、例えばセルロース又はセルロース誘導体、例えばメチルセルロース及び/又はポリアクリラート及び/又はポリメタクリラート及び/又はポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドン及び/又はポリイソブテン及び/又はポリテトラヒドロフラン及び/又はポリエチレンオキシドが使用されることもできる。
【0073】
ペースト化剤として、とりわけ好ましくは、水又は少なくとも1つのアルコール、例えば、炭素原子1〜4個を有するモノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール又は2−メチル−2−プロパノール又は水と少なくとも1つの前記のアルコールとからなる混合物又は多価アルコール、例えばグリコール、好ましくは単独で又は水及び/又は少なくとも1つの前記の一価アルコールとの混合物としての水混和性の多価アルコールが使用されることができる。
【0074】
混練及び/又は成形に使用されることができる別の添加剤は、とりわけ、アミン又はアミン誘導体、例えばテトラアルキルアンモニウム化合物又はアミノアルコール及び炭酸塩を含有する化合物、例えば炭酸カルシウムである。そのような別の添加剤は、例えば、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 389 041号明細書、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 200 260号明細書又は国際公開(WO)第95/19222号パンフレットに記載されている。
【0075】
テンプレート化合物、結合剤、ペースト化剤、成形及び混練の際に粘度を増大させる物質のような添加剤の順序は、原則的に重要でない。
【0076】
好ましい別の一実施態様によれば、混練及び/又は成形により得られた成形体は、一般的に25〜300℃の範囲内、好ましくは50〜300℃の範囲内及び特に好ましくは100〜300℃の範囲内の温度で実施される少なくとも1つの乾燥にかけられる。同じように、真空中で又は保護ガス雰囲気下に又は噴霧乾燥により乾燥させることが可能である。
【0077】
特に好ましい一実施態様によれば、この乾燥過程の範囲内で、添加剤として添加された少なくとも1つの化合物が、少なくとも部分的に成形体から除去される。
【0078】
本発明のさらなる対象は、本発明による製造方法から得ることができる多孔質の金属有機骨格材料である。この場合に、前記骨格材料は好ましくは、さらに上記で骨格材料に一般的に記載された比表面積(ラングミュアによる)を有する。
【0079】
本発明のさらなる対象は、少なくとも1つの物質をその貯蔵、分離、制御放出又は化学反応のために取り込むための、並びに例えば金属、金属酸化物、金属硫化物又はその他の骨格構造用の、担持材料としての、BeII、MgII、CaII、SrII、BaII、AlIII、GaIII及びInIIIからなる群から選択される少なくとも1つの金属及び少なくとも二座の少なくとも1つの有機化合物を含有し、その際に有機化合物が、酸素、硫黄及び窒素からなる群からその都度独立して選択され、有機化合物が金属に配位結合する少なくとも2個の原子を有する、多孔質の金属有機骨格材料、特に本発明による方法から得ることができる骨格材料の使用である。
【0080】
少なくとも1つの前記物質は、気体又は液体であってよい。好ましくは前記物質は気体である。
【0081】
本発明の範囲内で、単純化して"気体"及び"液体"という概念が使用されるが、しかしながらその際にここでは、同じように気体混合物並びに液体混合物もしくは液状溶液が"気体"もしくは"液体"の概念であると理解されるべきである。
【0082】
好ましい気体は、水素、炭化水素、特にメタン、エタン、エテン、アセチレン、プロパン、n−ブタン並びにイソブタン、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物、酸素、硫黄酸化物、ハロゲン、ハロゲン化された炭化水素、NF3、SF6、アンモニア、ボラン、ホスファン、硫化水素、アミン、ホルムアルデヒド、希ガス、特にヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン並びにキセノンである。
【0083】
水素貯蔵のための、金属がAlIII又はMgIIである本発明による金属有機骨格材料の使用が特に好ましい。
【0084】
しかしながら、少なくとも1つの前記物質は液体であってもよい。そのような液体の例は、消毒剤、無機溶剤又は有機溶剤、燃料 − 特にベンジン又はディーゼル −、作動液、冷却器液、ブレーキ液又は油、特に機械油である。さらに、液体は、ハロゲン化された脂肪族又は芳香族の、環状又は非環状の炭化水素又はそれらの混合物であってよい。特に、液体は、アセトン、アセトニトリル、アニリン、アニソール、ベンゼン、ベンゾニトリル、ブロモベンゼン、ブタノール、t−ブタノール、キノリン、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、氷酢酸、無水酢酸、酢酸エチルエステル、エタノール、エチレンカーボナート、二塩化エチレン、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ホルムアミド、ヘキサン、イソプロパノール、メタノール、メトキシプロパノール、3−メチル−1−ブタノール、塩化メチレン、メチルエチルケトン、N−メチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ピペリジン、プロパノール、プロピレンカーボナート、ピリジン、二硫化炭素、スルホラン、テトラクロロエテン、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、トルエン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、トリエチルアミン、トリエチレングリコール、トリグリメ(Triglyme)、水又はこれらの混合物であってよい。
【0085】
さらに、少なくとも1つの前記物質はにおい物質であってよい。
【0086】
好ましくは、におい物質は、窒素、リン、酸素、硫黄、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の少なくとも1つの元素を含有する揮発性の有機又は無機の化合物、又は不飽和又は芳香族の炭化水素、又は飽和又は不飽和のアルデヒド、又はケトンである。より好ましい元素は、窒素、酸素、リン、硫黄、塩素、臭素であり;窒素、酸素、リン及び硫黄が特に好ましい。
【0087】
特に、におい物質は、アンモニア、硫化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物、オゾン、環状又は非環状のアミン、チオール、チオエーテル並びにアルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、酸又はアルコールである。アンモニア、硫化水素、有機酸(好ましくは酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、ヘプチル酸、ラウリン酸、ペラルゴン酸)並びに窒素又は硫黄を有する環状又は非環状の炭化水素並びに飽和又は不飽和のアルデヒド、例えばヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、オクテナール又はノネナール及び特に揮発性のアルデヒド、例えばブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド及びホルムアルデヒド及びさらに燃料、例えばベンジン、ディーゼル(成分)が特に好ましい。
【0088】
におい物質は、例えば香水の製造に使用される香料であってもよい。例示的に、香料又はそのような香料を遊離する油として、次のものを挙げることができる:精油、バジル油、ゼラニウム油、ミント油、イランイラン油、カルダモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、マスカット油、カミツレ油、ユーカリ油、ローズマリー油、レモン油、ライム油、オレンジ油、ベルガモット油、マスカテルセージ油、コリアンダー油、サイプレス油、1,1−ジメトキシ−2−フェリルエタン、2,4−ジメチル−4−フェニルテトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、2,6−ジメチル−7−オクテン−2−オール、1,2−ジエトキシ−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン、フェニルアセトアルデヒド、ローズオキシド(Rosenoxid)、エチル−2−メチルペンタノアート、1−(2,6,6−トリメチル−1,3−シクロヘキサジエン−1−イル)−2−ブテン−1−オン、エチルバニリン、2,6−ジメチル−2−オクテノール、3,7−ジメチル−2−オクテノール、t−ブチルシクロヘキシルアセタート、酢酸アニシル類、アリルシクロヘキシルオキシアセタート、エチルリナロール、オイゲノール、クマリン、アセト酢酸エチル、4−フェニル−2,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、4−メチレン−3,5,6,6−テトラメチル−2−ヘプタノン、エチルテトラヒドロサフラナート、ゲラニルニトリル、シス−3−ヘキセン−1−オール、シス−3−ヘキセニルアセタート、シス−3−ヘキセニルメチルカーボナート類、2,6−ジメチル−5−ヘプテン−1−アール、4−(トリシクロ[5.2.1.0]デシリデン)−8−ブタナール、5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−3−メチルペンタン−2−オール、p−t−ブチル−α−メチルヒドロシンナムアルデヒド、エチル[5.2.1.0]トリシクロデカンカルボキシラート、ゲラニオール、シトロネロール、シトラール、リナロール、酢酸リナリル、イオノン類、フェニルエタノール又はこれらの混合物。
【0089】
本発明の範囲内で、揮発性のにおい物質は好ましくは、300℃未満の沸点又は沸点範囲を有する。より好ましくは、におい物質は、易揮発性の化合物又は混合物である。特に好ましくは、におい物質は、250℃未満、より好ましくは230℃未満、特に好ましくは200℃未満の沸点又は沸点範囲を有する。
【0090】
同様に、高い揮発性を有するにおい物質が好ましい。揮発性の尺度として、蒸気圧が採用されることができる。本発明の範囲内で、揮発性のにおい物質は、好ましくは0.001kPa(20℃)を上回る蒸気圧を有する。より好ましくは、におい物質は、易揮発性の化合物又は混合物である。殊に好ましくは、におい物質は、0.01kPa(20℃)を上回る蒸気圧、より好ましくは0.05kPa(20℃)を上回る蒸気圧を有する。特に好ましくは、複数のにおい物質は、0.1kPa(20℃)を上回る蒸気圧を有する。
【実施例】
【0091】
例1 DMF中でのAl−BDC−MOFの大気圧下での製造
テレフタル酸(BDC)5.8g及びAl(NO33×9H2O 26gを、DMF 100ml中に懸濁させ、混合物を133℃で還流下に16h撹拌する。引き続いて、固体をろ別し、メタノール20mlで洗浄し、真空乾燥器中で200℃で16hにわたって乾燥させる。最終的に、粉末を3日間にわたってマッフル炉(空気100l/h)中で330℃で後処理する(約75℃/hで加熱)。
【0092】
1267m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する淡褐色粉末7.7gが得られる。回折図形(XRD)は図1に示されている。全ての回折図形について、試料を乳鉢で粉砕せずにN2ベルジャ下に調製し、Styroflexフィルムで気密に覆う。試料を、Siemens社の装置D5000で、Cuアノードを用いて0.02゜のステップ幅及び3.6sのステップ速度で記録する。
【0093】
例2 DMF中でのAl−BDC−MOFの大気圧下での製造
テレフタル酸(BDC)19.9g及びAl2(SO43×18H2O 23.3gを、DMF 100ml中に懸濁させ、混合物を130℃で還流下に16h撹拌する(350rpm)。引き続いて、固体をろ別し、DMF 3×20ml及びメタノール20mlで洗浄し、真空乾燥器中で200℃で16hにわたって乾燥させる。最終的に、粉末を3日間にわたってマッフル炉(空気100l/h)中で330℃で後処理する(約75℃/hで加熱)。
【0094】
1398m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する生成物15.7gが得られる。
【0095】
例3 DEF中でのAl−BDC−MOFの大気圧下での製造
テレフタル酸(BDC)19.9g及びAl2(SO43×18H2O 23.3gを、DEF 100ml中に懸濁させ、混合物を130℃の油浴の外部温度で130℃で16h撹拌する(290rpm)。バッチをまず最初に室温で約60h静置する。引き続いて、固体をろ別し、DMF 7×20ml及びメタノール2×20mlで洗浄し、真空乾燥器中で200℃で16hにわたって乾燥させる。最終的に、粉末を3日間にわたってマッフル炉(空気100l/h)中で330℃で後処理する(約75℃/hで加熱)。
【0096】
1425m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する生成物16gが得られる。回折図形(XRD)は図3に示されている。
【0097】
比較例4 水中でのAl−BDC−MOFの大気圧下での製造
テレフタル酸(BDC)5.8g及びAl2(SO43×18H2O 23.3gを、水100ml中に懸濁させ、混合物を100℃で還流下に3日間撹拌する(500rpm)。バッチをまず最初に室温で約60h静置する。引き続いて、固体をろ別し、水3×20ml及びメタノール3×20mlで洗浄し、真空乾燥器中で200℃で16hにわたって乾燥させる。最終的に、粉末を3日間にわたってマッフル炉(空気100l/h)中で330℃で後処理する(約75℃/hで加熱)。
【0098】
1416m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する生成物1.5gのみが得られるに過ぎない。
【0099】
比較例5 後処理をしない加圧下での水中でのAl−BDC−MOFの製造
テレフタル酸(BDC)5.76g及びAl(NO33×9H2O 26gを、水100ml中に懸濁させ、混合物を周囲条件で30min撹拌する。引き続いて、バッチを、Berghoffオートクレーブ("Teflonライナー")中で220℃で3日間保持する。ろ過後に、水5×20mlで洗浄し、マッフル炉(空気100l/h)中で330℃で3日間にわたって乾燥させる。
【0100】
319m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する生成物4.5gのみが得られるに過ぎない。回折図形(XRD)は図2に示されている。
【0101】
比較例6 加圧下でのDMF中でのAl−BDC−MOFの製造
テレフタル酸(BDC)5.8g及びAl(NO33×9H2O 26gを、DMF 100ml中に懸濁させ、混合物を周囲条件で10min撹拌する。引き続いて、バッチを、Berghoffオートクレーブ("Teflonライナー")中で170℃で1日間保持する。ろ過後に、何度もDMFで及び引き続き何度もアセトンで洗浄する。生成物を、まず最初に真空乾燥器中で130℃で20h予備乾燥させ、マッフル炉(空気100l/h)中で330℃で3日間にわたってで乾燥させる。
【0102】
1196m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する生成物7.8gが得られる。スケールアップは実施されることができなかった。
【0103】
例7 DMF中でのAl−BDC−MOFの大気圧下での製造(スケールアップ)
テレフタル酸(BDC)292.9g及びAl2(SO43×18H2O 250.1gをDMF 1257g中に懸濁させ、撹拌しながら130℃に24h加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークを何度もDMFで後洗浄する。ろ過ケークをまず最初に、空気中で2日間予備乾燥させ、引き続きマッフル炉中で空気雰囲気下に320℃で72h乾燥させる。
【0104】
1483m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する生成物192gが得られる。
【0105】
例8 Al−BDC−MOFの大気圧下での製造
テレフタル酸(BDC)19.9g及びAl2(SO43×18H2O 23.3gをNMP 100g中に懸濁させ、撹拌しながら130℃に24h加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークを何度もNMPで後洗浄する。ろ過ケークをまず最初に、空気中で2日間予備乾燥させ、引き続きマッフル炉中で空気雰囲気下に320℃で72h乾燥させる。
【0106】
1134m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する生成物15.1gが得られる。
【0107】
例9 例3からの骨格材料を用いるイソブテン重合
骨格材料5gを、300ml鋼オートクレーブ中に装入し、トルエン100gと混合する。密閉したオートクレーブ中に、液状イソブテン82mlを圧入する。オートクレーブを、170℃で3h保持した。冷却後に、液相をGCにより分析する(GC面積%):とりわけC4 68%、C8 26%が含まれている。それに加えて、高級オレフィン、例えばC16 2.3%及びC20 1.7%も見出される。
【0108】
例10 例7からの骨格材料を用いるH2の貯蔵
例7からのAl−MOFを、測定前に、1mbar未満の圧力で80℃で5時間、真空排気する。乾燥させた生成物161.96gを空の容器へ移す。この容器を引き続き77Kに冷却し、真空排気する。気体計量供給装置を経て、少しずつ水素を添加し、その都度取り込まれた量を重量分析によって決定する。50.3barで、Al−MOFは約3質量%の水素取り込みを達成する。
【0109】
例11 例7からの骨格材料を用いるメタンの貯蔵
例7からのAl−MOFを、測定前に、1mbar未満の圧力で80℃で5時間、真空排気する。乾燥させた生成物161.96gを空の容器へ移す。この容器を引き続き25℃に温度調節し、真空排気する。気体計量供給装置を経て、少しずつメタンを添加し、その都度取り込まれた量を重量分析によって決定した。50.4barで、MOFの充填されたびん中にメタン40.3g/L、99.7barでそれどころか79.8g/Lが貯蔵されることができる。
【0110】
例12 DMF中でのAl−BDC−MOFの大気圧下での製造(スケールアップ)
テレフタル酸(BDC)398.7g及びAl2(SO43×18H2O 466.5gをDMF 2000ml中に懸濁させ、撹拌しながら115℃に24h加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークを何度もDMF 3×400ml及びメタノール400mlで後洗浄する。ろ過ケークを、まず最初にN2で96hドライブローイング(trockengeblasen)する。生成物375gが得られた。
【0111】
乾燥させた生成物15gを、ソックスレー抽出器中でメタノールで48h抽出し、ろ別する。ろ過ケークをメタノール3×25mlで後洗浄し、真空乾燥器中で110℃で24h乾燥させる。
【0112】
抽出された材料の表面積は1522m2/gであった(ラングミュアによる)。
【0113】
例13 DMF中でのAl−BTC−MOFの大気圧下での製造
ベンゼントリカルボン酸(BTC)7.8g及びAl(NO33×9H2O 22.9gをDMF 520.5g中に懸濁させ、撹拌しながら130℃に4日間加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークをDMF 2×100ml及びメタノール4×100mlで後洗浄する。ろ過ケークを、まず最初に真空乾燥器中で200℃で16時間乾燥させる。最終的に、粉末を3日間にわたってマッフル炉(空気100l/h)中で330℃で後処理する(約75℃/hで加熱)。
【0114】
1791m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する生成物8.4gが得られる。
【0115】
例14 DMF中でのAl−BTC−MOFの大気圧下での製造
ベンゼントリカルボン酸(BTC)7.8g及びAlCl3×6H2O 14.7gをDMF 520.5g中に懸濁させ、撹拌しながら130℃に4日間加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークをDMF 2×100ml及びメタノール4×100mlで後洗浄する。ろ過ケークを、まず最初に真空乾燥器中で200℃で16時間乾燥させる。最終的に、粉末を3日間にわたってマッフル炉(空気100l/h)中で330℃で後処理する(約75℃/hで加熱)。
【0116】
1451m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する生成物10.9gが得られる。
【0117】
比較例15 水中でのAl−BTC−MOFの大気圧下での製造
ベンゼントリカルボン酸(BTC)7.8g及びAl(NO33×9H2O 22.9gを水130.8g中に懸濁させ、撹拌しながら100℃に4日間加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークを水で後洗浄する。ろ過ケークを、真空乾燥器中で150℃で2日間乾燥させる。
【0118】
生成物0.6gのみが得られるに過ぎない。
【0119】
比較例16 H2O中でのAl−BTC−MOFの水熱製造
ベンゼントリカルボン酸(BTC)7.8g及びAl(NO33×9H2O 22.9gを水 130.8g中に懸濁させ、Berghoffオートクレーブ(Teflonライナー)中で130℃に4日間加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークを水で後洗浄する。ろ過ケークを、真空乾燥器中で150℃で2日間乾燥させる。
【0120】
生成物0.4gのみが得られるに過ぎない。
【0121】
例17/例18 DMF中でのAl−BDC−MOFの製造
テレフタル酸(BDC)250.1g及びAl2(SO43×18H2O 292.9gをDMF 1257g中に懸濁させ、撹拌しながら130℃に24h加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークをDMFで後洗浄する。ろ過ケークを、乾燥器中で120℃で2h乾燥させる。
【0122】
引き続いて、その半分を乾燥器中で250℃で24hにわたってか焼する。質量損失は38.6%である。634m2/gの表面積を有する生成物が生じる。
【0123】
もう一方の半分を、マッフル炉中で320℃で3hか焼する。質量損失は59.8%である。1368m2/gの表面積を有する生成物が生じる。
【0124】
例19 DEF中でのAl−カンファー二酸−MOFの大気圧下での製造
(+)−カンファー二酸7.4g及びAl(SO43×18H2O 24gをDEF 520.5g中に懸濁させ、撹拌しながら130℃に4日間加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークをDEF 2×100ml及びメタノール4×100mlで後洗浄する。ろ過ケークを、真空乾燥器中で200℃で16時間乾燥させる。429m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する生成物11.8gが生じる。回折図形(XRD)は図4に示されている。生成物1.5gを、ソックスレー装置中で沸騰メタノール中で16h抽出し、引き続き室温で真空中で乾燥させる。表面積は555m2/gに改善される。
【0125】
例20 DEF中でのAl−ブタンテトラカルボン酸−MOFの大気圧下での製造
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸8.7g及びAl(SO43×18H2O 48gをDEF 520.5g中に懸濁させ、撹拌しながら130℃に4日間加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークをDEF 2×100ml及びメタノール4×100mlで後洗浄する。ろ過ケークを、真空乾燥器中で200℃で16時間乾燥させる。518m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する生成物14.9gが生じる。
【0126】
例21 DEF中でのAl−メルカプトコハク酸−MOFの大気圧下での製造
メルカプトコハク酸5.6g及びAl(NO33×9H2O 27.8gをDEF 520.5g中に懸濁させ、撹拌しながら130℃に3日間加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークをDEF 2×100ml及びメタノール4×100mlで後洗浄する。ろ過ケークを、真空乾燥器中で200℃で16時間乾燥させる。488m2/gの表面積(ラングミュアによる)を有する生成物7.8gが生じる。回折図形(XRD)は図5に示されている。
【0127】
例22 DMF中でのAl−1,4−ナフタレンジカルボン酸−MOFの大気圧下での製造
1,4−ナフタレンジカルボン酸8g及びAl(NO33×9H2O 27.8gをDMF 520.5g中に懸濁させ、撹拌しながら130℃に3日間加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークをメタノール3×100mlで後洗浄する。ろ過ケークを、真空乾燥器中で200℃で16時間乾燥させる。生成物8.7gが生じる。引き続いて、1.5gをソックスレー抽出器中で16h、メタノールで抽出し、真空中で室温で16h乾燥させる。
【0128】
752m2/gの比表面積が得られる。
【0129】
例23 DEF中でのMg−2,6−ナフタレンジカルボン酸−MOFの大気圧下での製造
2,6−ナフタレンジカルボン酸4.9g及びMg(NO32×6H2O 8.16gをDEF 1686g中に懸濁させ、撹拌しながら105℃に24h加熱する。引き続いて、懸濁液をろ過し、ろ過ケークをまず最初にDMFで及び引き続きクロロホルムで後洗浄する。ろ過ケークを空気中で乾燥させる。生成物4.8gが生じる。乾燥させた生成物を、マッフル炉中で330℃で2日間か焼する。
【0130】
生成物3.6gが生じる。回折図形(XRD)は図6に示されている。MOFsに典型的な回折図形を有する結晶性物質である。
【0131】
例24 Al−1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸−MOFの製造
1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸9.4g及びAl(NO33×9H2O 30.5gを、1l撹拌フラスコ中でDMF 520.5g中に懸濁させ、130℃に加熱し、撹拌しながらこれらの条件で72h保持する。沈殿した生成物をろ別し、DMF 2×100ml及びメタノール4×100mlで洗浄し、真空乾燥器中で200℃で16h乾燥させる。最終的に、生成物をマッフル炉中で空気雰囲気下に330℃で72hか焼する。
【0132】
930m2/gのN2表面積(ラングミュアによる)を有する生成物12.8gが得られる。
【0133】
例25 Al−メルカプトコハク酸−MOFの製造
メルカプトコハク酸13.6g及びAl(NO33×9H2O 67.6gを、2l撹拌フラスコ中でDMF 1246g中に懸濁させ、130℃に加熱し、撹拌しながらこれらの条件で72h保持する。沈殿した生成物をろ別し、DMF 1×200ml及びメタノール3×200mlで洗浄し、真空乾燥器中で200℃で16h乾燥させる。
【0134】
551m2/gのN2表面積(ラングミュアによる)を有する帯黄色生成物17.7gが得られる。
【0135】
例26 Al−テレフタル酸−MOFの製造
テレフタル酸239kg及びAl2(SO43×18H2O 279kgを、DMF 1500kg中に懸濁させ、130℃に加熱し、撹拌しながらこれらの条件で18h保持する。沈殿した生成物をろ別し、アセトン3×500lで洗浄する。引き続いて、ろ過ケークを2回メタノール500l中に60℃で3h再懸濁させ、引き続きメタノールを再びろ別する。引き続きろ過ケークを、真空中で初めに50℃、後に100℃で乾燥させる。
【0136】
白色材料249kgが得られる。マッフル炉中で、空気雰囲気下に360℃で48h後処理した後に、材料は1400m2/gのN2表面積を有する。XRDは図7に示されている。
【0137】
例27 Al−イソフタル酸−MOFの製造
イソフタル酸7.23g及びAlCl3×6H2O 7.0gを、撹拌フラスコ中でDMF 300ml中に懸濁させ、130℃に加熱し、撹拌しながらこれらの条件で20.5h保持する。沈殿した生成物をろ別し、DMF 3×50ml及びメタノール4×50mlで洗浄し、真空乾燥器中で110℃で16h乾燥させる。
【0138】
1242m2/gのN2表面積(ラングミュアによる;活性化温度150℃)を有する黄色生成物3.94gが得られる。元素分析によれば、材料はC 42.8%、Al 8.8%及びH 4.5%を含有する。XRDは図8に示されている。
【0139】
例28 Al−4,5−イミダゾールジカルボン酸−MOFの製造
4,5−イミダゾールジカルボン酸5.17g及びAlCl3×6H2O 5.33gを、撹拌フラスコ中でDMF 300ml中に懸濁させ、130℃に加熱し、撹拌しながらこれらの条件で20.5h保持する。沈殿した生成物をろ別し、DMF 3×50ml及びメタノール4×50mlで洗浄し、真空乾燥器中で110℃で72h乾燥させる。
【0140】
703m2/gのN2表面積(ラングミュアによる;活性化温度150℃)を有する薄い橙色の生成物3.94gが得られる。元素分析によれば、材料はC 35.3%、Al 8.5%及びH 3.7%を含有する。
【0141】
例29 Al−シクロヘキサンジカルボン酸−MOFの製造
シクロヘキサンジカルボン酸(シス/トランス混合物)1.33g及びAl(NO33×9H2O 5.95gを、撹拌フラスコ中でDMF 111g中に懸濁させ、130℃に加熱し、撹拌しながらこれらの条件で17h保持する。沈殿した生成物をろ別し、DMF 2×50ml及びメタノール4×50mlで洗浄し、真空乾燥器中で130℃で16h乾燥させる。
【0142】
410m2/gのN2表面積(ラングミュアによる)を有する白色生成物3.94gが得られる。XRDは図9に示されている。
【0143】
例30 Mg−ナフタレンジカルボン酸−MOFの製造
2,6−ナフタレンジカルボン酸6.66g及びMg(NO32×6H2O 10.98gを、撹拌フラスコ中でDMF 137g中に懸濁させ、130℃に加熱し、撹拌しながらこれらの条件で48h保持する。反応中に生じた水を、N2流と共に蒸留連結管(Destillationsbruecke)を経て追い出す。沈殿した生成物をろ別し、DMFで2回及びクロロホルムで2回洗浄する。ろ過ケークを、まず最初に室温で乾燥させ、最終的に250℃で48hか焼する。
【0144】
乾燥後に生成物7.8gもしくはか焼後に生成物5.4gが得られる。か焼された形は、294m2/gのN2表面積(ラングミュアによる)を有する。図10は乾燥された形のXRDを示し、図11はか焼された形のXRDを示す。
【0145】
例31 Ca−5−t−ブチル−イソフタル酸−MOFの製造
5−t−ブチル−イソフタル酸4.95g及びCaCl2×6H2O 9.75gを、撹拌フラスコ中でDMF 312.3g中に懸濁させ、130℃に加熱し、撹拌しながらこれらの条件で20h保持する。沈殿した生成物をろ別し、DMF 1×50ml及びメタノール3×50mlで洗浄し、真空乾燥器中で200℃で10h乾燥させる。
【0146】
生成物4.9gが得られる。N2表面積は、5m2/g(ラングミュアによるによる)である − これは明らかに、単に低い多孔度又は極めて狭い細孔を有するMOFである。XRDは図12に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】例1により得られたAl−BDC−MOFの回折図形(XRD)。
【図2】比較例5により得られたAl−BDC−MOFの回折図形(XRD)。
【図3】例3により得られたAl−BDC−MOFの回折図形(XRD)。
【図4】例19により得られたAl−カンファー二酸−MOFの回折図形(XRD)。
【図5】例21により得られたAl−メルカプトコハク酸−MOFの回折図形(XRD)。
【図6】例23により得られたMg−2,6−ナフタレンジカルボン酸−MOFの回折図形(XRD)。
【図7】例26により得られたAl−テレフタル酸−MOFのXRD。
【図8】例27により得られたAl−イソフタル酸−MOFのXRD。
【図9】例29により得られたAl−シクロヘキサンジカルボン酸−MOFのXRD。
【図10】例30により得られたMg−ナフタレンジカルボン酸−MOFの乾燥された形のXRD。
【図11】例30により得られたMg−ナフタレンジカルボン酸−MOFのか焼された形のXRD。
【図12】例31により得られたCa−5−t−ブチル−イソフタル酸−MOFのXRD。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質の金属有機骨格材料の製造方法であって、
非水系有機溶剤の存在で、少なくとも1つの金属化合物を、金属に配位結合できる少なくとも二座の少なくとも1つの有機化合物と反応させる工程を含み、その際に金属がBeII、MgII、CaII、SrII、BaII、AlIII、GaIII又はInIIIであり、かつ有機化合物が、酸素、硫黄及び窒素からなる群からその都度独立して選択され、有機化合物が金属に配位結合できる少なくとも2個の原子を有し、その際にこの反応を、撹拌しながら及び高くとも2bar(絶対)の圧力で行うことを特徴とする、
多孔質の金属有機骨格材料の製造方法。
【請求項2】
反応を高くとも1230mbar(絶対)で、好ましくは大気圧で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
反応を、付加的な塩基を用いずに行う、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも二座の有機化合物がジカルボン酸、トリカルボン酸又はテトラカルボン酸である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
金属がAlIIIである、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
非水系有機溶剤が、C1-6−アルカノール、DMSO、DMF、DEF、アセトニトリル、トルエン、ジオキサン、ベンゼン、クロロベンゼン、MEK、ピリジン、THF、酢酸エチルエステル、場合によりハロゲン化されたC1-200−アルカン、スルホラン、グリコール、NMP、γ−ブチロラクトン、脂環式アルコール、ケトン、シクロケトン、スルホレン又はそれらの混合物である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
反応後に、形成された骨格材料を有機溶剤で後処理する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
反応後にか焼工程を行う、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
金属化合物が非イオン性であり、及び/又は金属カチオンに対する対イオンが、プロトン性溶剤から誘導されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法から得ることができる、多孔質の金属有機骨格材料。
【請求項11】
ラングミュアによる10m2/gを上回る比表面積を有する、請求項10記載の骨格材料。
【請求項12】
少なくとも1つの物質をその貯蔵、分離、制御放出又は化学反応のために取り込むための、並びに担持材料としての、請求項10記載の多孔質の金属有機骨格材料の使用。
【請求項13】
金属がAlIII又はMgIIであり、かつ骨格材料を水素貯蔵に使用する、請求項12記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−506991(P2009−506991A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527449(P2008−527449)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065442
【国際公開番号】WO2007/023134
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】