説明

主流気体測定装置との通信に適する気体監視システム及び副流気体測定装置

主流気体測定装置及び副流気体測定装置を含む複数の気体測定装置(8,28,60)をインターフェース・ユニット(64)を通じてホストシステム(74)に接続する方法と装置。本発明は、主流気体測定装置から出力される信号又は信号の一部をエミュレートする信号を出力して、ホストシステム(86)に間断なく通信できる副流気体測定装置(80)にも関連する。

【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
米国特許法第119条(e)の規定により、本願は、2003年2月21日に出願された米国仮出願第60/449,428号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、インターフェースユニットを通じてホストシステムに複数の気体測定装置を接続する方法及び装置並びに主流気体測定装置にのみ特に通信するホストシステムに通信できる副流気体測定装置に関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸気体監視システムは、通常、呼吸気体検出機能、測定機能、処理機能、通信機能及び表示機能を備える。これらの機能は、一般に、分岐構造(即ち、副流)又は非分岐構造(即ち、主流)とに大別される。分岐型の気体測定装置は、試料採取管を通じて試料採取位置から試料セルまで採取された呼吸気体の一部を移送し、試料セル内の呼吸気体の成分を気体センサにより測定する。採取側は、通常、患者(被験者)の気道に連結され又は患者の気道に近接する位置に配置された呼吸回路内である。他方、非分岐型の気体測定装置は、呼吸回路又は患者の気道から離間して呼吸気体を移送せずに、呼吸回路内に配置された試料セルを通過する気体成分を測定する。
【0004】
従来の主流気体測定装置8の例を図1に略示する。主流気体測定装置8は、呼吸回路12内に配置された試料セル10を備え、矢印Aで示すように、患者に対して進退自在に移動する呼吸気体が試料セル10を通過する。試料セル10に取付けられた気体センサ14は、例えば、試料セル10内の気体試料の気体成分の濃度を示す電圧である検出信号又は測定信号を発生する。気体センサ14は、呼吸回路12に配置される試料セル10に対し光学的に通信し、測定すべき呼吸気体の特性に対応する検出信号を出力するのに必要な構成要素を備える。
【0005】
例えば、二酸化炭素を測定できる従来の主流気体測定装置では、気体センサ14は、二酸化炭素の吸収帯を含みかつ矢印Bで示す赤外光を放射する光源16を備える。赤外光は、試料セル10を通過する呼吸気体流体の流路に対して垂直な経路に沿って照射される。従来の主流気体測定装置8の気体センサ14は、照射された放射光を測定する光検出器18を更に備える。試料気体中の二酸化炭素は、この放射光のある波長を吸収しかつ他の波長を通過させる。
【0006】
多導体で軽量の可撓性ケーブル20は、光検出器18から出力される検出信号を気体監視装置22に伝送し、気体監視装置22では二酸化炭素CO2の分圧が算出される。従来の主流気体測定装置8では、気体監視装置22は、ケーブル20を選択的に接続する端子27を備えるハウジング26中に収容される独立型装置である。ハウジング26内では、気体監視装置22は、試料セル10の気体試料中の特定気体の成分濃度を表示するのに使用される透過率等の数値に気体センサ14からの検出信号を変換する処理要素を備える。分析する呼吸気体の濃度を示すこの数値は、多様な用途にこの情報を使用するハウジング26に同様に収容されるホストシステム24に付与される。例えば、ホストシステム24は、mmHg等の分圧値単位若しくは波形又は百分率(%)等の濃度値単位として、指定された呼吸気体の指標を表示できる。ホストシステム24は、指標を使用して他のパラメータを算出でき、その後、中央ステーション等の別の装置にパラメータを表示し又は送信することができる。
【0007】
本実施の形態では、ハウジング26の外部に設けられた表示装置等となりかつホストシステムとして作用する出力装置を介して、算出されたCO2分圧を通常、カプノグラムの形で視覚的に示すことができる。このように、気体監視装置22は、気体センサ14の動作を制御しかつ気体センサ14からの出力信号に基づいてホストシステムに気体測定機能を付与する複数の処理要素を備える。前記従来の主流気体測定装置8の例は、ノードルその他名義の下記特許文献1に開示される。
【0008】
試料セル10を直接呼吸回路に配置する主流気体測定装置では、副流方法を使用して通常可能となる気道内の二酸化炭素等の測定気体の変化する分圧をリアルタイムでかつ正確に反映する「新鮮な」気体濃度波形が得られる利点がある。また、キュベット又は気道アダプタとも呼ばれる試料セル10を呼吸器の呼吸気体流中に設けることにより、副流気体測定装置に要する気体採取及び気体掃気を省略することができる。
【0009】
従来の副流気体測定装置28の例を図2に示す。副流気体測定装置28は、例えば、気管内管又はマスクコネクタに接続されるT型片等の呼吸回路ライン中に接続されるアダプタ32に接続される長い試料採取管30を利用する。従来の副流気体測定装置28の気体採集部材として呼吸気体を患者の気道で直接採取する鼻カニューレを使用することもまた公知である。採取管30を通じて呼吸回路又は鼻カニューレから試料セル10'内に50〜250ml/minで変化する試料流量の試料気体が矢印Cで示すように連続的に吸い込まれる。通常、気体採取位置から試料セル10'内に呼吸気体を吸引するポンプ34が設けられる。
【0010】
試料セル10'は、全体を38で示す気体センサ及び気体監視装置22の両方を同様に備えるハウジング36内に収容される。主流気体測定装置と同様に、副流気体測定装置28の気体センサ38は、試料セル10'の気体試料中の成分濃度を示す検出信号を出力する例えば光源16及びエミッタ光検出器18等の構成要素を備える。同様に、副流気体測定装置28の気体監視装置22は、気体センサからの検出信号を特定の気体成分濃度を表す数値に変換する処理要素を備える。成分濃度数値は、ホストシステム24に付与され、ハウジング36に設けられる表示装置に通常表示される。従来の副流気体測定装置の例は、パサロその他名義の下記特許文献2、マックラッチー名義の下記特許文献3及びブラッグその他名義の下記特許文献4に開示されている。
【特許文献1】米国特許第4,914,720号
【特許文献2】米国特許第4,692,621号
【特許文献3】米国特許第4,177,381号
【特許文献4】米国特許第5,282,473号
【特許文献5】米国特許第4,958,075号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
主流気体測定装置には大きな設置基礎が必要である。しかしながら、増加する主流気体測定装置の利用者は、副流気体測定装置の使用を希望し又は必要とする。これらの利用者は、既存の主流気体測定装置を完全に又は部分的に交換せずに、利用者の既存の患者監視装置に副流気体測定性能を加える単純かつ簡単な解決法を求めている。しかしながら、主流動作専用に作られる既存の主流気体測定装置は、利用者が容易に副流採取機能を加えることができない。
【0012】
単一の外囲体内に主流機能と副流機能とを設けた気体監視システムを提供することにより、この問題に対応する製造業者も存在した。勿論、この方法は、比較的高価である。副流型の気体掃気装置に主流気体測定装置を使用することも公知である。例えば、メイスその他名義の上記特許文献5('475特許)は、長管と、長管の長さ方向に沿って配置された試料セルと、長管内に呼吸気体を吸引するポンプ等との副流気体測定装置に必要となる大部分の機械設備を備える副流気体測定装置を開示する。しかしながら、図1に示す従来の主流気体測定装置8で実施されるように、試料セル10を取り付けるハウジング26に気体センサ14を設ける代わりに、'475特許に開示される副流気体測定装置は、試料セルに接続する主流型の気体センサを備える。要するに、'475特許は、気体監視装置機能を有するハウジングの外に、副流装置の気体センサ機能を移動する構造を示す。この方法では、同一箱内に設けられる弁装置及び制御回路のみならず、ポンプに接続された特殊なアダプタを使用しなければならないことは理解できよう。
【0013】
必要に応じて、副流気体測定構造を追加できるように主流気体測定装置の機能を保持する方法で、既存の主流気体測定装置の利用者が副流気体測定性能を追加できることが望ましい。また、副流気体測定を使用しながら、主流気体測定の効果を得るために、完全な装置又は負担のかかる主流気体測定装置を使用する負担を利用者にかけないことが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、従来の気体監視システムの欠点を解決する呼吸気体監視システムを提供することを目的とする。入力接続部及び出力部を有するインターフェースユニットを備える呼吸気体監視システムを提供する本発明の一実施の形態によって、この目的は達成される。出力部は、あらゆる従来方式のホストシステムとの通信にも適する。呼吸気体監視システムは、複数の気体測定装置を更に備える。各気体測定装置は、少なくとも1つの呼吸気体を測定するため、患者の気道に流体接続して配置される。また、各気体測定装置は、インターフェースユニットの入力接続部に着脱可能に接続される出力接続部を有する。各気体測定装置は、呼吸気体から患者の少なくとも1つの呼吸変数を決定しかつインターフェースユニットを通じてホストシステムに出力を送出する処理装置も備えている。呼吸気体監視システムは、例えば、副流型、主流型又は両方の型の複数の気体検出装置をホストシステムに接続された単一のインターフェースユニットに接続する便利な技術であることは理解できよう。
【0015】
本発明の更に別の目的は、従来の気体監視技術に伴う欠陥のない呼吸気体監視法を提供することにある。この目的は、入力接続部及び出力部を有するインターフェースユニットを準備する過程と、複数の気体測定装置を準備する過程とを含む方法を提供することにより、達成される。各気体測定装置は、出力接続部と、呼吸気体から患者の少なくとも1つの呼吸変数を決定する処理要素とを有する。呼吸気体監視法は、対応する気体測定装置の出力接続部をインターフェースユニットの入力接続部に接続することにより、複数の気体測定装置の1つをインターフェースユニットに選択的に接続する過程を更に備える。このように、インターフェース装置を通じて全型式の気体測定装置をホストシステムに接続することができる。
【0016】
主流気体測定装置又はその一部にのみ通信するホストシステムに間断なく通信できる副流気体測定装置を提供することが本発明の更に別の目的である。ハウジング上に配置される試料セルコネクタを通じてハウジングに一体に又は着脱可能に接続される試料セルを備える副流気体測定装置を設けることにより、この目的は達成される。ハウジング内の気体センサは、試料セルに連絡しかつ試料セル内の呼吸気体の特性を示す信号を出力する。副流気体測定装置は、気体センサからの信号を受信し、受信した信号を使用して出力信号を発生する制御装置も備える。この出力信号は、制御装置により書式化もされ、主流気体測定装置から出力される信号をシミュレート(本来の機能を模倣し、本来のシステムとは異なるシステムにより、本来のシステムが提供するインターフェースを模倣すること)し又は主流気体測定装置の一部から出力された信号をシミュレートする。制御装置に作動接続される通信要素は、副流気体測定装置とホストシステムとを連結する。
【0017】
主流気体測定装置にのみ通信するホストシステムと共に利用者が副流気体測定装置を間断なく使用させる副流気体監視法を提供することが本発明の更なる目的である。(1)カニューレを通じて直接的に又は呼吸回路を通じて間接的に、患者の気道に第1の導管を接続する過程と、(2)第1の導管を通じて試料セルに呼吸気体流を連絡する過程と、(3)試料セルに作動接続する気体センサを通じて試料セル内の呼吸気体の特性を測定する過程と、(4)主流気体測定装置から出力された測定された特性を含む信号又は信号の一部をエミュレート(異なるシステム用に開発されたソフトウェアを、擬似的にその環境を作り出し動作させること)する過程と、(5)主流気体測定装置にのみ通信するホストシステムにエミュレート信号を出力する過程とを含む方法により、この目的は達成される。このように、副流気体測定装置は、主流気体測定装置又はその構成要素と通信できる。
【0018】
種々の図で同一の部分に同様の参照符号を付し、全て本明細書の一部を構成する添付図面、下記の詳細な説明及び特許請求の範囲を考慮すれば、本発明の前記目的及び他の目的、特徴並びに特性に加えて、操作法、構造の関連要素及び組合せ部品の機能並びに製造の経済性は、明らかとなろう。しかしながら、図面は、例示及び図示の目的に過ぎず、本発明の限界を定義する意味ではないことを明瞭に理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
A.主流気体測定装置又は副流気体測定装置に対するインターフェースユニットを有する呼吸気体監視システム
本発明は、単一のインターフェースユニットにより、共通のホストシステムに複数の気体検出装置を接続するのに便利な技術を示す。より詳しくは、本発明の一実施の形態は、全型式の気体測定装置、即ち、主流気体測定装置又は副流気体測定装置に接続するのに適するインターフェースユニットを提供することを企図する。インターフェースユニットの出力部は、ホストシステムに接続される。このように、インターフェースユニットは、事実上、全型式の気体測定装置を共通のホストシステムに通信接続することが可能である。図1及び図2は、前記インターフェースユニットに接続できる従来の気体測定装置の2つの形態を略示する。図3と図4は、インターフェースユニットに接続される主流気体測定装置50の別の実施の形態の略示図と斜視図とを示す。
【0020】
図3及び図4に示すように、患者に対して進退自在に移動する矢印Aで示す呼吸気体が試料セル10を通過するように、主流気体測定装置50は、呼吸回路12内に配置された試料セル10を備える。従来の主流気体測定装置8と同様に、全体を50で示す気体センサは、試料セル10に接続される。気体センサ50は、試料セル内の気体試料の成分濃度を示す検出信号54を発生するのに必要な光源16及び光検出器18等の構成要素を備える。図1に示す従来の主流気体測定装置と異なり、気体監視装置22は、光検出器(気体センサ)18を収容する同一ハウジング56内に組み込まれる。気体監視装置22は、試料セル10内を通る気体試料中の特定気体の成分濃度を表示するのに使用される透過率等の数値に光検出器(気体センサ)18からの検出信号を変換する処理要素を備える。分析する呼吸気体の濃度を示すこの数値は、通信リンク58を通じてホストシステム24に付与される。従来の主流気体測定装置又は副流気体測定装置に接続されるホストシステムと同様に、ホストシステム24は、気体監視装置22からのこの数値情報を使用する。
【0021】
図3及び図4に示す実施の形態では、全体を60で示す主流気体測定装置は、ハウジング56の内部に完全に収容されかつ試料セル10に選択的に取り付け可能な光検出器18と気体監視装置22とのサブシステムを備える。商業上実現可能な前記主流気体測定装置は、患者及び/又は人工呼吸器の支障とならないように、十分に小形でかつ軽量でなければならない。慎重な温度設計及び光学設計に加え、電子装置製造法により、前記主流気体測定装置を製造できる。本発明では、通信リンク58は、従来の電気ケーブル、専門のケーブル又は赤外線接続及びRF(無線周波数)接続等のワイヤレス接続を含むがこれらに限定されない周知のあらゆる技術を使用する無線接続を企図する。
【0022】
二酸化炭素に対する主流気体測定装置の典型的な用途は、挿管されかつ人工呼吸を受ける患者を監視することである。前記状況で監視するため、患者の気管内に挿入される気管内チューブ62と人工呼吸器(図示せず)に接続される呼吸回路12のY字状回路部との間に試料セル10が配置される。患者の二酸化炭素を監視する臨床表示法は、当該技術分野で周知であり、麻酔科、救命医療、呼吸療法及び緊急医療等の専門分野に関する特定の雑誌のみならず、ニューイングランド・ジャーナル・オヴ・メディシン等の一般の医学専門誌の記事中に概説された。
【0023】
気体監視装置22の処理要素を気体センサ要素と共に同一ハウジング内に配置することにより、独立型装置、即ち、ホストシステムの複雑さと費用とを低減することは理解できよう。例えば、従来の主流気体測定装置8では、図1に点線26で示す独立型の装置は、ホストシステム24の構成要素のみならず、気体監視装置22の処理要素を備えなければならない。しかしながら、図3及び図4の実施の形態では、独立型の装置は、ホストシステム24の構成要素のみを備えればよい。これにより、着脱可能な気体測定装置への使用に適する安価なインターフェース、即ち、ホストシステム24を利用者が得ることができる。また、気体センサ50又は気体監視装置22の構成要素が改良されても、利用者は、ホストシステム24を交換する必要はない。
【0024】
図3及び図4は、主流気体測定装置の例示的な実施の形態を示すが、本発明は、ホストシステム構成要素を収容するハウジングとは別のハウジングに気体検知構成要素及び気体監視構成要素を設けるのと同様に、副流気体測定装置を設けることを企図する。選択的に試料セル10に取付けられ又は試料セル10に一体化された共通のハウジング56内に副流気体測定装置のサブシステムを収容する実施の形態は、主流気体測定装置と同一のホストシステム24に接続することができる。ホストシステムのハウジング又は気体センサ及び気体監視装置のハウジング内にも小型ポンプを使用する採取手段を収容できる場合もある。
【0025】
図5は、本発明の原理よる気体監視システム63の略示図であり、例えば図1〜図4に示す主流気体測定装置又は副流気体測定装置等の全型式の気体測定装置に接続できるインターフェースユニット64を設けて、気体監視システムを構成することができる。インターフェースユニット64は、入力接続部66及び出力部68を有する。各気体測定装置60,8及び28は、インターフェースユニット64の入力接続部66に着脱可能に接続する出力接続部70a,70b及び70cを有する。各気体測定装置60,8及び28をインターフェースユニット64に接続するため、各気体測定装置60,8及び28と入力接続部66との間に通信リンク72a,72b及び72cは、配線接続の形で設けられる。
【0026】
単一の入力接続部66をインターフェースユニット64に設けて、常に単一の気体測定装置のみを入力接続部66に接続できることも理解されよう。他方、本発明は、インターフェースユニット64に2つ以上の入力接続部を設けて、2つ以上の気体測定装置をインターフェースユニット64に同時に接続できることも企図する。この場合、現在どの気体測定装置60,8及び28がホストシステム74に通信しているかを装置が決定し又は制御するように、インターフェースユニット内のソフトウェア、ホストシステム74又は気体測定装置60,8及び28を形成すべきである。例えば、インターフェースユニット64に設けられるスイッチ等の機械設備を通じ、複数の入力接続部の1つを選択的に付勢することによっても、この通信制御機能を構成できる。
【0027】
インターフェースユニット64は、通信リンク72を通じてホストシステム74と通信する。ホストシステム74は、気体測定装置60,8又は28の出力を利用者に対し、表示し、印刷し、ダウンロードし、通信し、又は別法として転送する表示機能及び/又は通信機能を備える。通信リンク72は、配線又はワイヤレス等のあらゆる従来の通信技術により構成される。このように、インターフェースユニット64を介して、主流気体測定装置、副流気体測定装置又はその混成装置を含む全型式の気体測定装置60,8又は28をホストシステム74と通信させて、分析される呼吸気体を示す数値をホストシステム74に出力して、分析、表示又はその両方をホストシステム74で行うことができる。気体監視システム63の利点は、従来の全型式の気体測定装置をインターフェースユニット64に接続できるので、利用者は、特殊な気体監視システムを購入する必要がない点である。
【0028】
本発明に適用される呼吸気体は、呼吸に伴う気体(即ち、酸素及び二酸化炭素)、麻酔に伴う気体(即ち、亜酸化窒素及びハロゲン化麻酔薬)、治療に伴う気体(即ち、ヘリウム/酸素混合気及び酸化窒素)並びに、息中に存在しかつ疾患又は生理作用の指標として知られる気体又は物質(即ち、酸化窒素)を含むが、これらに限定されないことに留意すべきである。要するに、本発明の気体監視システムは、従来の副流気体測定装置又は主流気体測定装置と同一の気体を測定できる。
【0029】
B.主流気体測定装置と通信する副流気体測定装置
本発明は、全型式の気体測定装置に接続できるインターフェースユニットを設けるのではなく、主流気体測定装置にのみ接続するホストシステムに通信できる副流気体測定装置を設けることを企図する。主流気体測定装置が待つ信号を副流気体測定装置にエミュレートさせることにより、主流気体測定装置にのみ接続する副流気体測定装置を設けることにより、これを達成することができる。このように、既存の主流気体測定装置又は特に主流気体測定装置のみと通信するホストシステムに連動して副流気体測定装置を使用することができる。
【0030】
図6は、主流気体測定装置の信号プロトコルをエミュレートするのに装着される副流気体測定装置80を略示する。副流気体測定装置80は、採取管30を通じて患者の気道に流体接続される試料セル81を備える。本実施の形態では、ハウジング36に選択的に試料セル81を取り付けることができる。より詳しくは、容器形状の試料セルコネクタ83をハウジング36に設けるので、試料セル81をハウジング36に選択的に取り付け、ハウジング36に設けられた気体センサ82の構成要素と同軸上に試料セル81が配置される。呼吸回路12に採取管30を接続するアダプタ32は、呼吸回路12のラインに接続される。アダプタ32の代わりに、呼吸気体を患者の気道で直接採取する気体採集部材として鼻カニューレを使用することもできる。採取管30を通じて呼吸回路又は鼻カニューレから試料セル10'内に矢印Cで示すように、試料気体は連続的に吸い込まれる。気体採取位置から試料セル10内に呼吸気体を吸引するポンプ34が通常設けられる。
【0031】
前記のように、試料セルコネクタ83を通じてハウジング36に試料セル81を適切に取り付けたとき、副流気体測定装置80の気体センサ82は、試料セル81に作動連絡される。従来の副流気体測定装置のように、気体センサ82は、試料セル81内の気体特性を示す信号を出力する。気体センサ82の信号は、気体監視装置22に送出されかつ処理され、この信号に基づいて呼吸気体変数が決定される。処理装置84は、呼吸気体変数を受信し、通信リンク88を通じて呼吸気体変数をホストシステム86に送信する。従来の主流気体測定装置に設けられる通信リンクに対応する配線接続又はワイヤレス接続により通信リンク88を構成して、従来の主流気体測定装置の接続要素又は特に主流気体測定装置にのみ通信するホストシステムの接続要素に通信リンク88の端部を接続できる。図6に示すように、処理装置84及び気体監視装置22を単一の処理システム85に構成し又は個別の処理要素により各機能を構成してもよい。
【0032】
気体センサ14からの信号(即ち、図1のケーブル20に出力される信号)を受信し又は気体センサ50と気体監視装置22との組合せ装置からの信号(即ち、図3の通信リンク58に出力される信号)を受信して、主流気体測定装置が使用する信号プロトコルをエミュレートするため、処理装置84は、通信リンク88を通じて呼吸気体変数を出力する。副流気体測定装置による主流気体測定装置の信号/制御のエミュレーション及び電力インターフェースにより、呼吸気体監視システムのホスト部のどの機械設備も改造せずに、主流気体測定装置にのみ通信するホストシステムに副流気体測定装置を接続することが可能になる。従って、本発明では、新規な構成装置又は監視装置を購入せずに、主流気体測定装置の既存の設置基礎に副流採取性能を組み込んで一体化することができる。
【0033】
主流気体測定装置は、試料セル81の窓部を直接又は間接的に加熱して結露を低減する電力を気体センサ82に通常付与しなければならない。従って、副流気体測定装置により主流気体測定装置の電力インターフェースをエミュレートするため、副流ポンプ及び各制御電子装置に電力を付与する代わりに、気体監視装置22又はホストシステム86により気体センサ82に電力を供給して試料セル81を加熱することが必要である。同様に、副流気体測定装置により、センサインターフェースを通じてホストシステム86に温度を表示する信号を調節する制御信号を出力しなければならない。
【0034】
ポンプ及び制御電子装置に継続的に電力を供給するため、副流気体測定装置は、温度が作動温度範囲より低いと認められる温度に対応してホストシステムがエラー状態にならないように十分に高い温度を表す信号を提供しなければならない。同時に、この信号は、主流気体測定装置に使用する公称温度よりも低くするか又はホストシステムが主流検出器の加熱に使用する電力を削減又は遮断してポンプ及び各制御用電子装置の作動に必要な電力を低減し又は除去しなければならない。
【0035】
副流気体測定装置の作動に適する電力を付与しながら、呼吸気体監視システムの継続的作動を確保するのに十分な温度帰還信号を出力するため、定電圧レギュレータ又は緩動帰還回路を使用することができる。加熱器の電力の発振(又は反復上下)を防止するため、濾波して帰還回路の動作を遅延させ、加熱器の応答遅延をシミュレートしなければならない。
【0036】
主流気体測定装置の信号/制御インターフェースのエミュレーション過程は、副流気体測定装置の不都合な状態をホストシステム86が障害状態又はエラー状態として認識できる状態に変換しかつホストシステム86が前記不都合な状態を検出しかつ利用者に警告できる手段を必要とする。呼吸気体を測定する気体測定装置の機能に障害が発生した状態を気体監視装置22又はホストシステム86が検出し、利用者に警告する必要がある状況は、主流気体測定装置と副流気体測定装置の両方の動作に存在する。主流気体測定装置の場合、前記状況は、一般に凝縮水及び他の汚染物等の液体が気道内に存在する場合を含む。副流気体測定装置の場合、前記状況は、気道及び副流気体測定装置に流体接続する試料管内に前記液体又は汚染物が存在する場合を含む。しかしながら、副流気体測定装置の場合、採取管の漏洩又は切断等の装置動作に支障を来たす別の状況も存在する。この検出機能及び警報機能を達成するため、本発明では、障害発生時に主流気体測定装置から発生するのと同一の帰還信号を出力する。
【0037】
本発明の原理による例示的な副流気体測定装置では、副流気体測定装置の試料セル付近の圧力降下を測定する圧力センサと、毛細管に交差して接続される差圧センサから成りかつ採取管を通過する流量を測定する流量センサとを備え、制御回路は、圧力降下及び流量を使用して気体の測定に支障を来たす状態を検出する。例えば、採取管内の汚染物に起因する閉塞を流量センサにより測定させる流量変化により検出することができる。また、圧力センサにより、試料セルの圧力測定値の変化によって試料管の漏洩又は切断を検出できる。主流気体測定装置に前記の状態が生じないように、これらの状態の何れかを検出して、主流気体測定装置で生じる状態、即ち、試料セルの窓部の汚濁をシミュレートすることができる。主流気体測定装置では、測定する呼吸気体により影響を受けない波長で、試料セルを横切る透過光の測定値である基準光信号のレベル減少によって光学的に汚染を検出することができる。本発明では、前記障害発生状態を検出したときは常に、副流気体測定装置からホストシステム86に送信される基準信号が低減される。
【0038】
本発明の実施に使用する副流気体測定装置は、主流気体測定装置にのみ機能するホストシステム86に直接接続できる。光学上の零度及び規準セルを使用して特定の校正処理を行い、副流気体測定装置の使用を省略できるホストシステム86もある。また、ホストシステム86により表示されて利用者に障害発生状態を警告するメッセージには、副流動作に対して不適切に表示されるものもある。主流気体測定装置に通常使用されて校正パラメータ及び識別情報を記憶する非揮発性メモリ装置を副流気体測定装置にも使用できる。ホストシステム86内のソフトウェアにより適用できない校正手順へのアクセスを解除し、適切なメッセージの表示に改めるならば、副流気体測定装置の存在をホストシステム86が判断できるように、識別情報を記号化することができる。
【0039】
副流気体測定装置80は、図5に示す形態で使用できる点にも留意すべきである。即ち、本発明では、副流気体測定装置80は、ホストシステム74に接続されるインターフェースユニット64に出力を付与できることを企図する。
【0040】
同様のエミュレーション方法を使用して、副流気体測定装置にのみ機能するホストシステムに主流気体測定装置を接続することも可能である。例えば、種々の主流インターフェース及び副流インターフェースに要求される役割を介在させ、試料セル自身に収容され主流気体測定装置内の試料セルの窓部を加熱する温度制御システムを設けることにより、これを達成できる。
【0041】
現在最も実用的で及び好適と思われる実施の形態を図示して詳述したが、前記記載は単に説明の便宜に過ぎず、本発明を開示した実施の形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内に該当すると共に、特許請求の範囲と同趣旨の変更態様並びに同等の装置を包含すること企図する。
【0042】
明細書中に使用する用語の定義
上記明細書中に使用する用語の一覧は、下記の通りである。この一覧は、明細書の補足を企図するが、明細書に記載した用語の定義をこれらに置き換えるのではなく、背景技術に基づいて当業者が理解し、企図する各意味を明確にするのに役立つ。
【0043】
特定気体の成分濃度を確定する試料セル−静的又は動的な気体試料を収容する装置。
【0044】
気体センサ−光学エミッタ及び光学検出器等により構成されかつ試料セル内の気体成分を測定し、測定中の気体試料の気体成分濃度を示す検出信号を発生する気体成分測定要素。気体センサの検出信号を通常処理して、試料セル内の気体試料の特定気体の成分濃度を表示する。
【0045】
気体監視装置−気体センサからの検出信号に基づいて、試料セル内の気体試料の特定気体の成分濃度を表示する処理要素等の機能を有する装置。
【0046】
気体測定装置−試料セル、気体センサ及び気体監視装置を備える装置。前記構成要素は、他の装置から物理的に分離し若しくは分離可能に設けるか又は構成要素の種々の組合せを単一のユニットに構成できることは理解されよう。例えば、気体センサ及び気体監視装置を共通のハウジングに設けて、従来の副流気体測定装置では、試料セルをハウジングに選択的(着脱自在)に取り付けられる。
【0047】
ホストシステム−気体測定装置から出力される測定する気体成分の指標信号を受信する装置。本発明は、多様な用途の何れかにこの情報を使用するホストシステムを企図する。例えば、ホストシステムは、mmHg等の分圧値単位若しくは波形又は百分率(%)等の濃度値単位として、指定された気体の指標を表示できる。ホストシステムは、指標を使用して他のパラメータを算出でき、その後、中央ステーション又はインターフェースユニット等の別の装置にパラメータを表示し又は送信することができる。
【0048】
気体監視システム−ホストシステム及び気体測定装置(試料セル、気体センサ及び気体監視装置)を備える装置。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】従来の主流気体測定装置の略示図
【図2】従来の副流気体測定装置の略示図
【図3】本発明への適用に適する主流気体測定装置の別の実施の形態の略示図
【図4】図3の主流気体測定装置の斜視図
【図5】本発明の原理による気体監視システムの略示図
【図6】主流気体測定装置の信号プロトコルをエミュレートする副流気体測定装置の例示的な実施の形態の略示図
【符号の説明】
【0050】
(8,28,60)・・気体測定装置、 (10,10',81)・・試料セル、 (12)・・呼吸回路(患者回路)、 (22)・・気体監視装置(処理手段)、 (26,36,56)・・ハウジング、 (30)・・試料採取管(採取管、第1の導管)、 (58,72,88)・・通信リンク(ホストシステムインターフェース、通信要素)、 (64)・・インターフェースユニット、 (66)・・入力接続部、 (68)・・出力部、 (70a,70b,70c)・・出力接続部、 (74,86)・・ホストシステム、 (80)・・副流気体測定装置、 (82)・・気体センサ、 (83)・・試料セルコネクタ、 (84)・・処理装置(エミュレーション手段)、 (85)・・処理システム(処理要素)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力接続部(66)及び出力部(68)を有するインターフェースユニット(64)と、複数の気体測定装置(8,28,60)とを備え、
各気体測定装置(8,28,60)は、患者の気道に流体接続して配置されて少なくとも1つの呼吸気体を測定し、
各気体測定装置(8,28,60)は、インターフェースユニット(64)の入力接続部(66)に着脱可能に接続される出力接続部(70a,70b,70c)を有し、
各気体測定装置(8,28,60)は、呼吸気体から患者の少なくとも1つの呼吸変数を決定しかつ出力接続部(70a,70b,70c)を通じてインターフェースユニット(64)に出力を送出する処理手段(22)を有することを特徴とする呼吸気体監視システム。
【請求項2】
複数の気体測定装置(8,28,60)は、副流気体測定装置及び主流気体測定装置を備える請求項1に記載の呼吸気体監視システム。
【請求項3】
インターフェースユニット(64)の出力部(68)は、配線接続の通信リンク(72)又はワイヤレス接続の通信リンクにより構成される請求項1に記載の呼吸気体監視システム。
【請求項4】
入力接続部(66)及び出力部(68)を有するインターフェースユニット(64)を準備する過程と、
出力接続部(70a,70b,70c)を備え、呼吸気体から患者の少なくとも1つの呼吸変数を決定しかつ出力接続部(70a,70b,70c)を通じてインターフェースユニット(64)に出力を送出する処理手段(22)を有する複数の気体測定装置(8,28,60)を準備する過程と、
対応する気体測定装置(8,28,60)の出力接続部(70a,70b,70c)をインターフェースユニット(64)の入力接続部(66)に接続することにより、複数の気体測定装置(8,28,60)の1つをインターフェースユニット(64)に選択的に接続する過程とを含むことを特徴とする呼吸気体監視法。
【請求項5】
ホストシステム(74)にインターフェース装置(64)の出力部(68)を作動接続する過程と、
インターフェースユニット(64)を通じて気体測定装置(8,28,60)からホストシステム(74)に少なくとも1つの呼吸気体変数を送信する過程とを含む請求項4に記載の監視法。
【請求項6】
ハウジング(36)と、
ハウジング(36)に対応しかつ試料セル(81)を収容する試料セルコネクタ(83)と、
ハウジング(36)内に配置され、試料セルコネクタ(83)内に収容される試料セル(81)に対応して試料セル(81)を通じて通信して、試料セルコネクタ(83)付近の試料セル(81)内の気体の特性を示す信号を出力する気体センサ(82)と、
気体センサ(82)から信号を受信し、出力信号内の信号を使用して、主流気体測定装置から出力される信号をシミュレートするエミュレーション手段(84)と、
エミュレーション手段(84)に作動接続され、副流気体測定装置をホストシステム(86)に接続する通信要素(88)とを備え、
主流気体測定装置にのみ通信するホストシステム(86)に通信することを特徴とする副流気体測定装置(80)。
【請求項7】
患者回路(12)に流体接続して配置される第1の端部と第2の端部とを有する第1の導管(30)と、
第1の導管(30)の第2の端部に配置された試料セル(81)と、
試料セル(81)に作動接続され、呼吸気体の特性を示す信号を出力する気体センサ(82)と、
気体センサ(82)の信号を受信しかつ該信号に基づいて呼吸気体変数を決定する処理要素(85)と、
主流気体測定装置にのみ接続するホストシステム(86)に処理要素(85)の出力信号を通信するホストシステムインターフェース(88)とを備え、
処理要素(85)は、ホストシステムインターフェース(88)から出力される信号を修正して、主流気体測定装置から出力される信号又は信号の一部をエミュレートすることを特徴とする副流気体測定装置(80)。
【請求項8】
第1の導管(30)を患者の気道に接続する過程と、
第1の導管(30)を通じて試料セル(81)に呼吸気体流を供給する過程と、
試料セル(81)に作動接続する気体センサ(82)を通じて試料セル(81)内の呼吸気体の特性を測定する過程と、
主流気体測定装置から出力された測定された特性を含む信号又は信号の一部をエミュレートする過程と、
主流気体測定装置にのみ接続するホストシステム(86)に信号を出力する過程とを含むことを特徴とする気体監視法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−519638(P2006−519638A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503771(P2006−503771)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/005178
【国際公開番号】WO2004/076944
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(503084303)アールアイシー・インベストメンツ・インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】