説明

主観的地図作成システム

【課題】ユーザ一人一人の視点に立ち、ユーザにとって利用価値の極めて高い主観的な地図を容易に作成することのできる、主観的地図作成システムを提供する。
【解決手段】情報収集手段(21)が、位置情報および時刻情報とを関連付けて収集し、情報記憶手段(22)が、収集された行動情報、位置情報および時刻情報とを関連付けて記憶し、既存地図記憶手段(23)が、既存の地図データを記憶し、領域分割手段(24)が、既存の地図データを複数の領域に分割し、移動回数カウント手段(25)が、最も古い時刻を示している時刻情報と対をなす位置情報が該当する領域をスタート領域とし、以後移動した周りの領域に対する移動回数を数え上げ、移動ネットワーク作成手段(26)が、移動した全ての領域の間を移動時刻順に結ぶネットワークを作成し、各領域間に対して決定した重み付け値で移動ネットワークを重み付けし、抽出した主観的情報を既存の客観的地図データへ埋め込むことにより、主観的地図作成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、主観的地図作成システムに関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、ユーザから見て主観性に富んだ地図を容易に作成することのできる、新しい主観的地図作成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より社会一般に利用されている地図は、ユーザにとって客観的なデータの集まり、つまりユーザの意思とは関係なく測量された緯度・経度・方位角・距離等や予め決められた地域名・路線名・ランドマーク名等の集まりに過ぎず、ユーザは単に地図上に示されているそれら客観的データを参照できるに留まっている。
【0003】
他方、近年では、各地域における様々なお店・名所等を既存の地図上に掲載して紹介する「タウンナビ」などと呼ばれるタウン情報地図も出現しており、このものはユーザからのアンケート回答や電子掲示板・電子メール告知などによって収集した情報をしばしば利用していると考えられ、各ユーザにとってはある程度主観的なデータの集まりとなっている。アンケート等では、ユーザ自身の行動により得られた、嗜好や感情、観念などを反映した主観的情報が提供されるためである。
【0004】
しかしながら、このような主観的データからなる主観的地図の作成は、ユーザがわざわざ情報提供する手間、収集した情報を統計する手間、統計データを地図データに適合させる手間などがかかり、非常に煩雑な作業を伴っている。
【0005】
また、上記タウンナビは、主観的地図といっても、ユーザからのアンケート回答等やそれを表すテキスト情報が主な情報源であると考えられるため、未だ主観性および情報性に乏しいと言える。
【0006】
なお、地図の作成を支援する技術としては、たとえば下記特許文献1〜5に記載された各種技術が提案されている。しかしながら、いずれも主観的地図に関するものではなく、主観的地図の作成を容易ならしめる技術は何ら実現されていないのが現状である。
【0007】
また、地図の作成支援ではないが、屋外の任意地点にて該地点の位置に関する情報および該地点の状況に関する映像や音声等のマルチメディア情報とを取得し、それらを関連付けて記憶するデータベースの作成支援の技術として、下記特許文献6に記載されたものが提案されており、この特許文献6ではさらに、データベースから抽出した上記マルチメディア情報を地図上にマッピングすることも提案されている。しかしながら、このものも、収集するマルチメディア情報についての主観性が乏しく、また単に地図表示の横にマルチメディア情報を表示させたりするに過ぎないため、この技術を仮に主観的地図の作成に応用することができたとしても、上記タウン情報地図と同程度の主観性・情報性のものしか実現し得ないと考えられる。
【特許文献1】特開2002−318533号公報
【特許文献2】特開2002−15331号公報
【特許文献3】特開2001−338305号公報
【特許文献4】特開平10−332391号公報
【特許文献5】特開平10−63181号公報
【特許文献6】特開2000−235576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑み、ユーザ一人一人の視点に立ち、ユーザにとって利用価値の極めて高い主観的な地図を容易に作成することのできる、主観的地図作成システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、図3にその機能ブロック図を例示したような、任意地点において行われた行動により生まれた情報である行動情報、当該任意地点の位置に関する情報である位置情報、および時刻情報とを関連付けて収集する情報収集手段(21)と、情報収集手段(21)により収集された行動情報、位置情報および時刻情報とを関連付けて記憶する情報記憶手段(22)と、既存の地図データを記憶する既存地図記憶手段(23)と、既存地図記憶手段(23)に記憶されている地図データを複数の領域に分割する領域分割手段(24)と、領域分割手段(24)により分割された地図データの各領域間の移動回数を、情報記憶手段(22)に記憶されている位置情報および時刻情報に基づいてカウントするに際して、最も古い時刻を示している時刻情報と対をなす位置情報が該当する領域をスタート領域とし、以後移動した周りの領域に対する移動回数を数え上げる移動回数カウント手段(25)と、移動した全ての領域の間を移動時刻順に結ぶネットワークを作成し、各領域間に対して移動回数カウント手段(25)によりカウントされた移動回数に応じた重み付け値を決定し、該重み付け値で移動ネットワークを重み付けする移動ネットワーク作成手段(26)と、を備えたことを特徴とする主観的地図作成システム(2)を提供する。
【0010】
第2には、前記移動ネットワーク作成手段(26)により作成された移動ネットワークを前記既存地図記憶手段(23)に記憶されている地図データに埋め込むデータ埋込手段(27)、をさらに備えたことを特徴とする主観的地図作成システム(2)、第3には、前記重み付け値は、各領域間の移動回数が総移動回数に対してどの程度の割合となっているかを表す移動頻度値であることを特徴とする主観的地図作成システム(2)を提供する。
【発明の効果】
【0011】
この出願の発明によって、ユーザ一人一人の視点に立ち、ユーザにとって利用価値の極めて高い主観的な地図を容易に作成することのできる、主観的地図作成システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
昨今の街中を観察すると、多くの人々が、携帯電話や携帯端末、デジタルカメラなどの各種の電子機器を持ち歩き、歩きながら、立ち止まりながら、お店の中で座りながらなどの様々なシチュエーションで、好きな場所で好きな時に、電話をかける、電子メールを送る、デジタル画像を撮るなど、電子情報に触れた様々な行動を頻繁に行っていることがわかる。当然このような行動から生まれる各種電子情報は、その行動を行った本人の意思、観念、感情、嗜好などの主観そのものを表している。たとえば、電子メールの送信行為は自らの意思に従ったもので、送ったメールの内容も自らの感情等を表したものである。デジタル画像の撮像行為も自らの意思に従ったもので、撮られた画像も自らの嗜好等を表している。また一方で、これら各種電子情報は、場所に関する様々な情報を含んでいる場合が多いと考えられる。たとえば、メールには、送信場所を表す言葉やその場所周辺に関連する言葉、あるいは送信場所ではないが自分が実際に訪れた場所(メール自体はその場所から離れた場所で送っている場合が該当する)に関する言葉などが入力されていることが多く、画像には、撮影場所の風景や撮影場所にある特徴的な物体が映されていることが多い。すなわち、地球上のある地点にて行われた行動により生まれた電子情報はその行動を行った者の主観的情報であって、それに含まれる場所に関する情報も主観的情報ということになる。
【0013】
そこで、この出願の発明の発明者は、以上の観点から、ユーザの行動に起因した異種電子情報を行動情報として一括に捉え、それを位置情報とともに収集、蓄積し(図1:ステップS1)、且つその中から場所に関する行動者の主観的情報を抽出して(図1:ステップS2)、それを既存の客観的地図にマッピングすることで(図1:ステップS3)、実社会にて行動している人々の主観的情報からなる、主観性および情報性に富む、従来にない全く新しい地図を作成できることを見いだし、これに基づいてこの出願の発明を想到したのである。そして、このように作成された地図を「主観的地図」と呼ぶこととした。
【0014】
したがって、タウンナビのようなタウン情報地図を前記従来技術の説明にて主観的地図と呼んだが、実際にはこの出願の発明の発明者が考えた上記「主観的地図」とはかけ離れた概念のものであり、従来に同様な概念の「主観的地図」は存在しないと思われる。
【0015】
以下、上記のとおりの特徴を有するこの出願の発明の実施形態について、上記各種手段毎に詳細に説明する。なお、処理手段や記憶手段と呼ぶものは、ここで説明する各種手段に対応する。また、実施形態に関してはその後に記載の実施形態の基礎となるものを含めて記載するものとする。
【0016】
<<第1の実施形態>>
[情報収集手段]
情報収集手段(図2:(11))は、たとえば図5に例示したような、任意地点における行動情報および位置情報とを関連付けて収集する行動情報収集部(411)および位置情報収集部(412)を有している情報収集装置(41)を考慮でき(図6:「情報収集処理」)、たとえば行動情報収集部(411)および位置情報収集部(412)を備えた遠隔操作型あるいはプログラム型の自走式ロボットなどや、携帯電話や携帯端末などが挙げられる。上記「主観的地図」の概念説明では実社会で移動する人間の主観的な行動情報を利用するとしたが、人間の主観に基づく遠隔操作やプログラムに従って移動し行動するロボット等の装置も当然利用可能である。
【0017】
ここで、「行動情報」とは、任意の地点において行われた行動により生まれた情報を意味し、たとえば任意地点にて入力された電子メールや日記データ等のテキストデータ、録音された音声等の聴覚データ、撮像された静止画像や動画像等の視覚データなどの様々な異種情報を考慮できる。テキストと音声については言語データとしても分類できる。また、任意地点にて計測された身体情報(たとえば、人間の場合には体温、脈拍、血圧、筋電位、呼吸状態、脳波等、ロボットの場合にはバッテリー電圧、モータ電流、内部温度、モータ温度、回路温度、トルク付加等)も、ここでいう「行動情報」に含めることができる。これらの身体情報は、任意地点において人間やロボットが行なった歩く、登る、降りるなどの様々な行動により生まれた情報と言えるからである。これらは各種センサ等の検出装置(後述の「行動情報収集部(411)」を参照)により計測されるので「行動センシング情報」とも呼べる。またさらに、インターネットWeb上にて公開されている日記や掲示板、旅行記などに含まれているユーザ個人個人の行動に関する情報も、ここでいう「行動情報」に含めることができる。言い換えると、上記のとおりに実際に移動した先での行動により生まれた情報(行動センシングデータを含む)のみならず、別の場所に移動してから入力・送信等した過去の移動先地点で行なった行動情報をも考慮できるのである。たとえば、ある公園に行ったがそこではメール送信等はせず、お店や自宅などの別の場所に移ってから公園に関する情報をメール送信したりWeb公開したりした場合、その情報をもこの出願の発明が意図する主観的地図の作成に利用することで、その者の主観性を網羅できるようになる。もちろん以上の異種行動情報は、その全てを地図作成に利用しても、その中の一つや複数の組み合わせで利用してもよい。少なくとも一種の行動情報を利用すれば主観的地図は作成できるが、複数種の行動情報を対象とした方がより主観性および情報性が高くなることは言うまでもない。
【0018】
「位置情報」とは、任意地点の位置に関する情報を意味し、たとえば経緯度や高度、番地などを考慮できる。この位置情報は、既存の客観的地図データに行動情報をマッピングする際に該行動情報の発生位置と客観的地図上の位置とを対応付けできるデータであればよい。たとえば経緯度のみでのマッピングや番地のみでのマッピング、それらを組み合わせたマッピングなどが挙げられる(これについては情報分配手段の説明にてさらに詳述する)。また、行動情報が、上記のように実際の移動先でのものではなく、別の場所に移動してからのものである場合には、後者の行動情報に含まれる過去の移動先地点の位置に関する情報をも、ここでいう「位置情報」に含める。たとえば上記公園での一例の場合、入力・送信等した場所はお店や自宅などであるが、その位置情報を取得してもメールやWeb等に記載されている公園の位置とは全く関係ないので、その場合にはテキスト情報に含まれる公園の位置に関する言葉(たとえば公園の名称など)を、マッピングに利用する位置情報とする。
【0019】
行動情報収集部(411)は、上記行動情報を収集する機能を有するものであり、たとえばテキストデータにはキーボードなど、聴覚データにはマイクなど、視覚データにはカメラなど、行動センシングデータには各種センサなど、Web公開データには検索エンジンなどを考慮できる。行動情報の種類によって適用される装置も異なる。上記自走式ロボットや携帯電話、携帯端末にこれら装置を付与すればよい。なお、たとえば、行動センシングデータのための各種センサについては、人間の場合にはたとえば腕時計に組み込んで脈拍等を自動計測したり、ロボットの場合にはたとえば駆動源や制御回路等に組み込んで電圧等を自動計測したりする態様も考えられる。また、Web公開データのための検索エンジンについては、移動する人間やロボットに装備させなくても、たとえば行動情報収集センタなるものを構築してそのセンタ内にて主観的地図作成時に各種検索エンジンにて日記や掲示板等を検索するようにすればよい。
【0020】
位置情報収集部(412)は、上記位置情報を収集する機能を有するものであり、たとえば実際に行動を行なった場所の位置情報についてはGPSなどを考慮できる。上記自走式ロボットや携帯電話、携帯端末にGPS機能等を付与すればよい。また、たとえばPHS電話において電子メール等が発信された地点を最寄りの基地局の位置として認識し、それが地図作成時の位置精度の許容範囲にあれば、その認識装置も位置収集機能を有するものとして考慮できる。また、別の場所に移動してからの行動情報に含まれる位置情報については(上記公園の一例では公園の名称など)、各種単語抽出手法などを実行する機能を有する抽出装置も考慮できる。
【0021】
以上のように収集する行動情報と位置情報との関係は、一つの行動情報に対して一つの位置情報が必ず対応して存在する。たとえば、GPS機能および電子メール機能を有する携帯電話において、電子メールが送信される度にその送信時のGPSデータを収集したり、GPSデータを連続収集している中で電子メールが発信された時刻と同一時刻でのGPSデータを抽出したり、あるいは人やロボットなどの身体情報を計測する度にその計測時の位置情報を収集したり、またさらにはWeb公開データ中のある一つの場所に関する行動情報および位置情報とをペアで抽出したりする。
【0022】
なお、これらの例で分かるように、行動情報と位置情報との収集には両者を結ぶ時刻情報が必ず関係している。したがって、情報収集装置(41)は、行動情報および位置情報を関連付けるリンク情報とも呼べる時刻情報を、両者の収集と同時に収集しており、そのための時刻情報収集部(413)(図5参照)を有していると言える。たとえば、電子メールの発信時刻を携帯電話・携帯端末内蔵時計などにより、あるいは身体情報の計測時刻を計測機器内蔵時計などにより記録し収集する態様や、電子メールやWeb公開データ中に含まれる時間を表す情報を抽出し収集する態様などを考慮できる。時間を表す情報としては、テキストデータに含まれる日付、時分秒という数値を用いた情報や午前午後、朝昼夜、朝方、夕方、昼頃、早朝、深夜等の様々な言葉情報、さらには各種ヘッダに含まれる作成日時や送信日時等の情報など、時間を把握できるあらゆる情報を利用でき、これを行動情報および位置情報との収集時に抽出すればよい。
【0023】
以上の情報収集装置(41)は、収集した行動情報および位置情報、さらには時刻情報を次述の情報記憶手段へ与える必要があるので、それら収集情報を電波や光等により無線もしくは有線で送信したり、あるいは通信以外の形態で与える情報出力部(414)を備えてもいる(図5参照)。通信以外の形態については、たとえば、各収集部から収集情報を吸い出して情報記録手段へ受け渡すことのできる磁気あるいは光記録媒体などを考慮できる。
【0024】
[情報記憶手段]
情報記憶手段(図2:(12))は、たとえば図5に例示したような、上記情報収集装置(41)からの収集情報を受け取る情報入力部(421)と、情報入力部(421)から入力された収集情報をそれぞれ関連付けて蓄積する情報蓄積部(422)とを有している情報データベース(42)を考慮できる(図6:「情報蓄積処理」)。
【0025】
この情報データベース(42)は、情報収集装置(41)とは別体のものとしても、それ自体に組み込んだものとしてもよい。
【0026】
前者の場合、たとえば、情報収集蓄積センター等を構築してそれに設置されたデータベース装置を考慮でき、情報収集装置(41)の情報出力部(414)から収集情報を情報入力部(421)にて受信あるいは吸い取り、情報蓄積部(422)にて逐次蓄積する(図5はこの形態を示す)。
【0027】
また後者の場合、たとえば、情報収集装置(41)自体にデータベース装置を組み入れた形態や、その内蔵記憶媒体にデータベースを構築する形態を考慮でき、情報収集装置(41)内にて収集情報の受け取りが行われる(情報出力部(414)および情報入力部(421)はともに装置内部での出入力機能ということになる)。この後者形態では、さらに、情報収集装置(41)の集合体をネットワーク上の分散データベースとして実現してもよく、これによれば、たとえば後述の各プログラム(図5:44、45、46、47、48)からなる地図作成プログラムをネットワークにつながれた情報収集装置(41)間を地図作成処理を行いながら移動するエージェントとして実現することが可能になる。
【0028】
[既存地図記憶手段]
既存地図記憶手段(図2:(13))は、たとえば図5に例示したような、既存の地図データを入力する地図入力部(431)と、地図入力部(431)により入力された地図データを蓄積する地図蓄積部(432)とを有している地図データベース(43)を考慮できる。
【0029】
「既存の地図データ」とは、測量された緯度・経度・方位角・距離等や予め決められた地域名・路線名・ランドマーク名等の集まりで成る客観的地図データのことを意味し、この出願の発明が作成しようとする主観的地図のベースとなる地図である。なお、この客観的地図については、整備済みであっても未整備であってもかまわない。
【0030】
[領域分割手段]
領域分割手段(図2:(14))は、たとえば図5に例示したような、上記地図データベース(43)に予め記憶されている客観的地図データを複数の領域に分割する領域分割部(441)を有している領域分割装置(44)を考慮できる。
【0031】
この領域分割装置(44)は、領域分割部(441)をプログラムとして有する装置形態やそれ自体がプログラムである形態などとして実現できる。
【0032】
具体的処理については、たとえば、客観的地図データを格子状に分割したり、客観的地図データに予め含まれている行政区画や番地、あるいは建築物・道路・交差点・緑地・河川等のランドマークなどの各種地理的データに従って分割したりできる(図6:「領域分割処理」)。前者の場合では、一律に同一サイズで格子状分割してもよいが、上記情報データベース(42)から位置情報を読み出し、頻繁に出現する位置についてはより細かなサイズに分割する処理も考えられる。あるいは、後述の情報分配手段により分配された行動情報のデータ量をフィードバックし、データ分布つまりデータ量の多少に応じて各領域サイズを自動調整することもできる(図6:「フィードバック」)。
【0033】
[情報分配手段]
情報分配手段(図2:(15))は、たとえば図5に例示したような、上記情報データベース(42)から行動情報および位置情報の対データを読み出し、その位置情報と上記領域分割装置(44)により分割された客観的地図データの各領域位置とのマッチングをする位置マッチング部(451)と、位置マッチング部(451)によりマッチングされたつまり一致した領域に該位置情報と対をなす行動情報を割り当てる行動情報割当部(452)とを有し、この位置マッチングおよび行動割当てを全行動・位置情報について行う情報分配装置(45)を考慮できる。
【0034】
この情報分配装置(45)は、位置マッチング部(451)および行動情報割当部(452)をプログラムとして有する装置形態やそれ自体がプログラムである形態などとして実現できる。
【0035】
具体的処理については、たとえば、位置情報が経緯度の場合には、いずれの領域の経緯度範囲に入るかを検出し、該当する領域に行動情報を割り当てる。番地の場合や経緯度・番地の組合せ、その他の位置情報の場合も同様である。これにより、実際の行動が客観的地図上のどの領域で行われたのかが対応付けされる。
【0036】
なお、各領域に割り当てた行動情報を蓄積しておくために、領域毎に領域情報データベース(400a、400b、400c・・・)を構築しておいてもよい(図6:「情報分配処理」)。
【0037】
[情報抽出手段]
情報抽出手段(図2:(16))は、たとえば図5に例示したような、上記領域分割装置(44)により分割された客観的地図データの各領域毎に、上記情報分配装置(45)により割り振られた行動情報から地理的情報を抽出する情報抽出部(461)を有している情報抽出装置(46)を考慮できる。
【0038】
この情報抽出装置(46)は、情報抽出部(461)をプログラムとして有する装置形態やそれ自体がプログラムである形態などとして実現できる。
【0039】
具体的処理については、たとえば、各領域の上記領域データベース(400a、400b、400c・・・)毎に、それに記憶されている行動情報一つ一つから地理的情報を抽出する(図6:「情報抽出処理」)。抽出には、たとえば、行動情報がテキストデータの場合には形態素解析による単語の切り出しや辞書マッチングによる単語の切り出し、画像データの場合には画像認識処理による物体の切り出しや各種画像処理による色、テキスチャ、図形の抽出、画像文字認識処理による文字情報の抽出、音声データの場合には音声認識処理による音源の同定と切り出しや周波数解析による主要音声周波数成分の抽出、などが実行され、これ以外にも各種の抽出技術や認識技術を適用可能である。
【0040】
ここで、「地理的情報」とは、地球上の山川・海陸・気候・人口・集落・産業・交通、土地の様子・事情、土地の高低・広狭・形状、地勢、地形、建造物、建築物、景観など、ありとあらゆる地理に関する情報を意味し、さらには地理上の人間の生活・文化に関する情報をも含む。すなわち、主観的地図を構成し得る情報であれば全て含まれるのである。実際には、これら抽出すべき情報を予め決めておき、それに基づいて上記抽出処理を行う。もちろん抽出情報の種類は随時更新可能とする。
【0041】
抽出された各領域の地理的情報は、それぞれ対応する領域データベース(400a、400b、400c・・・)に蓄積させておいてもよい。
【0042】
[特徴選定手段]
特徴選定手段(図2:(17))は、たとえば図5に例示したような、上記領域分割装置(44)により分割された客観的地図データの各領域毎に、上記情報抽出装置(46)により抽出された地理的情報から地理的特徴を選定する特徴選定装置(47)を考慮できる。
【0043】
「地理的特徴」とは、ある領域での行動情報から抽出された上記地理的情報の中でも、特にその領域において代表的または典型的な情報(で表された重要特徴)のことをいう。
【0044】
より具体的には、ある地理的情報iが領域Rにおける「地理的特徴」であるためには、以下の条件(a)(b)のいずれか一方または両方を満たすか、条件(c)を満たす必要がある。
【0045】
(a)領域Rで得られた行動情報の中で、地理的情報iの出現頻度が高いこと(「同一領域での高再現性」)。
【0046】
(b)領域R以外の領域で得られた行動情報の中で、地理的情報iの出現頻度が低いこと。または、地理的情報iの出現頻度が領域Rと同程度に高い領域が少数であること(「他領域での希少性」。
【0047】
(c)ユーザが直接、地理的情報iを領域Rにおける重要特徴であると指定すること(「ユーザによる重要性」)。
【0048】
以下に具体例をいくつか挙げる。
【0049】
・例1(条件(a)(b)を満たす場合):領域Rにおける地理的情報の中では地理的情報i(=「東京タワー」)が出現する頻度が高かったが、他にこの地理的情報iが同程度の高い頻度で出現する領域は非常に少数であった。このとき、地理的情報iは領域Rにおける地理的特徴である。
【0050】
・例2(条件(a)を満たすが(b)を満たさない場合):領域Rにおける地理的情報の中では地理的情報i(=「交差点」)が出現する頻度が高かったが、この地理的情報iが同程度の高い頻度で出願する領域は他にも多数存在していた。このとき、地理的情報iは領域Rにおける地理的特徴ではない。
【0051】
・例3(条件(b)を満たすが(a)を満たさない場合):領域Rにおける地理的情報に含まれる地理的情報i(=「火事」)は他の領域での出現頻度が非常に小さかったが、領域Rにおいても1度しか出現しなかった。このとき地理的情報iは地理的特徴ではない。
【0052】
・例4(条件(a)(b)を満たさないが(c)を満たす場合):領域Rにおける地理的情報において地理的情報i(=「神社」)の出現頻度は他の領域と比較して大きくなかったが、ユーザが地理的情報iを領域Rの地理的特徴として指定。
【0053】
例1〜3は、条件(a)(b)の両方を同時に具備する場合を判断基準としているが、それらいずれか一方のみを判断基準としてもよく、その場合では例2、3における地理的情報iも地理的特徴となる。ただし、前者の方が特徴度(重要度)がより高い地理的情報が地理的特徴として選定されることになる。また、例4のような条件(c)については、オプション的な態様ではあるが、ユーザの主観性をより強く汲み取る場合には好ましい。
【0054】
したがって、特徴選定装置(47)は、たとえば、各領域毎に抽出された地理的情報について上記条件(a)(b)(c)の具備/不具備を判断する高再現性判断部(471)、希少性判断部(472)およびユーザ指定判断部(473)を有するものとでき、各領域間で地理的情報の出現頻度を統計的に比較することで、あるいはユーザからの指定に従い、各領域のランドマークとも呼ぶべき地理的特徴を選定する(図6:「特徴選定処理」)。
【0055】
高再現性判断部(471)および希少性判断部(472)については、「tf(term frequency)・idf(inverted document frequency)法」「統計的検定」「総合情報量による方法」などの各種統計的手法の実行が考えられる。
【0056】
またユーザ指定判断部(473)が判断するユーザ指定については、たとえば、情報収集装置(41)が行動情報収集の際に行動情報の中の地理的情報iに対するユーザ指定情報をも収集し、その指定情報を情報データベース(42)が行動情報とともに蓄積しておくことで、地理的情報iはユーザ指定有りと判断されて該当する領域Rにおける地理的特徴として選定されることになる。あるいは、別途ユーザからの指定を入力受付可能となっていてもよい。
【0057】
抽出された各領域の地理的特徴は、それぞれ対応する領域データベース(400a、400b、400c・・・)に蓄積させておいてもよい。
【0058】
この特徴選定装置(47)は、これら高再現性判断部(471)、希少性判断部(472)およびユーザ指定判断部(473)をプログラムとして有する装置形態やそれ自体がプログラムである形態などとして実現できる。
【0059】
以上のようにして選定された地理的特徴は、単なるユーザの主観的データではなく、それを統計的処理して得られた各地点毎の主観的ランドマークデータとも呼ぶべきものであり、これを利用することで極めて主観性および情報性の高い主観的地図を作成できる。
【0060】
[データ埋込手段]
データ埋込手段(図2:(18))は、たとえば図5に例示したような、上記特徴選定装置(47)により選定された各領域の地理的特徴データを、上記地図データベース(43)に記憶されている既存の客観的地図データにおける対応する領域にマッピングして埋め込むデータ埋込部(481)を有しているデータ埋込装置(48)を考慮できる。
【0061】
このデータ埋込装置(48)は、データ埋込部(481)をプログラムとして有する装置形態やそれ自体がプログラムである形態などとして実現できる。
【0062】
なお、選定された地理的特徴を客観的地図に埋め込んで主観的地図とする他にも、地理的特徴のみを主観的地図として利用するようにしてもよい。この場合、たとえば、前記領域データベース(400a、400b、400c・・・)に蓄積されている地理的特徴を各領域に位置付けたマップ状データとし、この特徴マップをそのまま主観的地図として用いる。これによれば、主観的地図としての特徴マップと既存の客観的地図とを別々に参照できる。
【0063】
また、この特徴マップデータを客観的地図データに重ね合わせて主観的地図データを作成してもよい。図6ではこの形態を示し、「特徴マップ作成処理」「重ね合わせ処理」を順に行っている。
【0064】
以上の各処理によって、各地点毎の主観的ランドマークデータからなる主観性および情報性に富んだ主観的地図が作成されることになり、ユーザは電子メール送信やデジタル画像撮影等の通常行っている行動だけで、主観的地図の作成を簡単に支援することができる。
【0065】
また、自分だけの主観的情報に基づくプライベート地図とも呼べる主観的地図を簡単に作成したりもできる。この場合ではたとえば、行動情報をユーザのID情報付きデータとして収集・蓄積しておけば、そのID情報で認識されるユーザのみの主観的地図を作成できる。
【0066】
<<第2の実施形態>>
上述した第1の実施形態では、任意地点においてユーザが起こした主観的行動を地図データに変換し客観的地図に埋め込むことで、主観的地図を作成するとしたが、本実施形態では、任意地点間を移動するユーザのその移動履歴を利用して主観的地図を作成する。
【0067】
本実施形態は、行動情報、位置情報および時刻情報とを関連付けて収集する情報収集手段(図3:(21))と、情報収集手段(21)により収集された行動情報、位置情報および時刻情報とを関連付けて記憶する情報記憶手段(図3:(22)と、既存の地図データを記憶する既存地図記憶手段(図3:(23))と、既存地図記憶手段(23)に記憶されている地図データを複数の領域に分割する領域分割手段(図3:(24))と、以下に説明する各手段を必要とするが、前者4つの手段は、たとえば図7に例示したような、第1の実施形態におけるものとほぼ同様の機能を有する情報収集装置(51)、情報データベース(52)、地図データベース(53)、領域分割装置(54)として提供できる。
【0068】
上記以外の各手段について、図7および図8を適宜参照しながら、以下に詳細
に説明する。
【0069】
[移動回数カウント手段]
移動回数カウント手段(図3:(25))は、たとえば図7に例示したような、領域分割装置(54)により分割された客観的地図データの各領域間の移動回数を、情報データベース(52)に記憶されている位置情報および時刻情報に基づいてカウントするつまり数え上げるカウント部(551)を有している移動回数カウント装置(55)を考慮できる(図8:「移動回数カウント処理」)。
【0070】
この移動回数カウント装置(55)は、カウント部(551)をプログラムとして有する装置形態やそれ自体がプログラムである形態などとして実現できる。
【0071】
具体的処理については、まず最も古い時刻を示している時刻情報と対をなす位置情報が該当する領域をスタート領域と判断し(図8では領域RA)、それを基準として、以後移動した周りの領域RBIに対する移動回数を数え上げる。
【0072】
カウントされた各領域の移動回数は、それぞれ対応する領域データベース(500a、500b、500c・・・)に蓄積させておいてもよい。
【0073】
[移動ネットワーク作成手段]
移動ネットワーク作成手段(図3:(26))は、たとえば図7に例示したような、移動した領域間を結ぶネットワークを作成するネットワーク作成部(561)と、作成されたネットワークを移動回数カウント装置(55)によりカウントされた移動回数に基づいて重み付けするネットワーク重付部(562)を有し、これにより重み付き領域間移動ネットワークを作成する移動ネットワーク作成装置(56)を考慮できる(図8:「移動ネットワーク作成処理」)。
【0074】
この移動ネットワーク作成装置(56)は、ネットワーク作成部(561)およびネットワーク重付け部(562)をプログラムとして有する装置形態やそれ自体がプログラムである形態などとして実現できる。
【0075】
具体的処理については、たとえば、まず移動した全ての領域つまり位置情報が該当する全ての領域の間を移動時刻順に結ぶネットワークを作成し、続いて各領域間に対して移動回数に応じた重み付け値を決定する。この重み付け値としては、各移動回数が総移動回数に対してどの程度の割合となっているかを表す移動頻度値を用いるこことができ、この移動頻度値で重み付けする。たとえば、総移動回数が100回である場合に領域RAから領域RBへの移動回数が10回であれば0.1、領域RCへの移動回数が5回であれば0.05、というように移動頻度値を算出し、この値で領域RAから領域RB、領域RCへのネットワークを重み付けすればよい。
【0076】
これによれば、領域間の関係を重み付き領域間移動ネットワークにより視覚化することができ、そしてこのものを利用することで主観的地図の作成を実現することができる。
【0077】
[データ埋込手段]
データ埋込手段(図3:(27))は、たとえば図7に例示したような、上記移動ネットワーク作成装置(56)により作成された重み付き領域間移動ネットワークを、上記地図データベース(53)に記憶されている既存の客観的地図データに埋め込むデータ埋込部(571)を有しているデータ埋込装置(57)を考慮できる。
【0078】
このデータ埋込装置(57)は、データ埋込部(571)をプログラムとして有する装置形態やそれ自体がプログラムである形態などとして実現できる。
【0079】
なお、作成された移動ネットワークを客観的地図に埋め込んで主観的地図とする他にも、移動ネットワークのみを主観的地図として利用するようにしてもよい。この場合、たとえば、重み付き領域間移動ネットワークをマップ状データとして表示可能なものとし、この重み付き領域間移動マップをそのまま主観的地図として用いる。これによれば、主観的地図としての移動マップと既存の客観的地図とを別々に参照できる。
【0080】
また、この移動マップデータを客観的地図データに重ね合わせて主観的地図データを作成してもよい。図8ではこの形態を示し、「移動マップ作成処理」「重ね合わせ処理」を順に行っている。
【0081】
以上の各処理によって、各地点毎間の主観的移動データからなる主観性および情報性に富んだ主観的地図が作成されることになり、ユーザは電子メール送信やデジタル画像撮影等の通常行っている行動だけで、主観的地図の作成を簡単に支援することができ、また自分だけの移動履歴を表したプライベート地図も実現可能である。
【0082】
なお、上述した移動マップの作成処理では位置情報として経緯度データや高度データ、番地データなどを用いるとしたが、より緻密な移動マップを作成すべく、移動した距離や方向、速度などの各種移動情報も、位置情報の一種として収集・蓄積し、移動ネットワークの作成時に利用するようにしてもよい。たとえば、ある領域間の移動回数に加えて、その移動速度等も考慮した重み付けを行うなど、様々な態様が考えられる。
【0083】
<<第3の実施形態>>
この出願の発明によれば、上述した第1の実施形態および第2の実施形態を組み合わせて、主観的ランドマークデータおよび主観的移動データからなる主観的地図を作成することもできる。
【0084】
この場合では、情報収集手段(図4:31)、情報記憶手段(図4:32)、既存地図記憶手段(図4:33)、領域分割手段(図4:34)、情報分配手段(図4:35)、情報抽出手段(図4:36)、特徴選定手段(図4:37)、移動回数カウント手段(図4:38)、移動ネットワーク作成手段(図4:39)として、特に図には示さないが、上述した情報収集装置(図5:41)、情報データベース(図5:42)、地図データベース(図5:43)、領域分割装置(図5:44)、情報分配装置(図5:45)、情報抽出装置(図5:46)、特徴選定装置(図5:47)、移動回数カウント装置(図7:55)、移動ネットワーク作成装置(図7:56)を考慮でき、さらにデータ埋込手段(図4:310)としては、上述したデータ埋込装置(図5:48)およびデータ埋込装置(図7:57)の機能組合せを考慮できる。データ埋込については、特徴選定装置(47)により得られた地理的特徴または地理的マップおよび移動ネットワーク作成装置(56)により得られた移動ネットワークまたは移動マップの両者を客観的地図データに埋め込めばよい。
【0085】
これにより得られた主観的地図は、主観的ランドマークデータおよび主観的移動データを一度に把握することができ、極めて有用なタウンナビ等を実現できる
のである。
【実施例】
【0086】
ここでは、この出願の発明の上記実施形態による実施例について説明する。なお、実施例に関してはその後に記載の実施例の基礎となるもの、関連するものを含めて記載するものとする。
【0087】
<<第1の実施例>>
第1の実施例として、個人が持ち歩くGPS付き携帯端末から屋外のある地点にて送信された電子メールを主観的地図作成に利用する場合を考える。図9は、本実施例を説明するための処理フロー図である。
【0088】
まず、既存の客観的地図データを記憶しておき、送信された電子メールのテキストデータ(行動情報)とそれが送信された地点の経緯度データ(GPSによる位置情報)、ならびにそれが送信された時刻データ(携帯端末内蔵時計による時刻情報)とを関連付けて蓄積しておく(図5:情報収集装置(41)、情報データベース(42)、地図データベース(43))。
【0089】
次に、客観的地図データを複数領域に分割する(図5:領域分割装置(44))。本実施例では一様サイズ固定の格子状分割を行っている。
【0090】
次に、テキストデータを経緯度データに基づいて各領域に割り振る(図5:情報分配装置(45))。より具体的には、経緯度データがどの領域の経緯度範囲に入るかが検出され、検出された領域にその経緯度データと対をなすテキストデータが割り当てられる。
【0091】
次に、各領域毎にテキストデータから地理的単語を抽出する(図5:情報抽出装置(46))。たとえば、テキストデータ「この神社は坂の上にあって、富士山が・・・」がイラスト中の左上角領域にある場合に、形態素解析等により地理的単語「神社」「坂」「富士山」が切り出される。
【0092】
次に、各領域毎に地理的単語の中から地理的特徴単語を選定する(図5:特徴選定装置(47))。たとえば、左上角領域ではその地理的単語データ「神社」「坂」「富士山」のうちの「神社」が、tf・idf法等の統計的処理により地理的特徴単語として選定される。つまり、「神社」がこの領域におけるランドマークキーワードとなる。
【0093】
以上の抽出処理および選定処理を全領域について行うことで特徴マップが作成され、それと客観的地図とを重ね合わせることで主観的地図が作成される(図5:データ埋込装置(48))。
【0094】
<<第2の実施例>>
第2の実施例として、ある人が屋外のある場所に訪れ、その後別の場所に移って携帯電話から送ったその訪れた場所に関する情報を含む電子メールを、主観的地図作成に利用する場合を考える。図10は、本実施例を説明するための処理フロー図である。
【0095】
まず、既存の客観的地図データを記憶しておき、送信された電子メールのテキストデータ(行動情報)とそのテキストデータ中に含まれる訪れた場所の名称を示すデータ(単語認識による位置情報)、ならびにそのテキストデータ中に含まれる訪れた時間を示す時刻データ(単語認識による時刻情報)とを関連付けて蓄積しておく(図5:情報収集装置(41)、情報データベース(42)、地図データベース(43))。
【0096】
次に、客観的地図データを複数領域に分割する(図5:領域分割装置(44))。本実施例では地理的データに基づく分割を行っている。
【0097】
次に、テキストデータを上記場所名データに基づいて各領域に割り振る(図5:情報分配装置(45))。より具体的には、場所名データがどの領域にある場所の名称を示すかが検出され、検出された領域にその場所名データと対をなすテキストデータが割り当てられる。たとえばあるお寺の名称が含まれていた場合に、それが抽出されて、そのお寺が存在する領域であるイラスト中の右側真中領域にテキストデータが分配される。
【0098】
次に、各領域毎にテキストデータから地理的単語を抽出する(図5:情報抽出装置(46))。たとえば、上記お寺に関して「あそこは暗くて寒い感じがした。とても静かだったし。」というテキストデータがある場合に、その中から地理的単語「暗い」「寒い」「静か」が切り出される。
【0099】
次に、各領域毎に地理的単語の中から地理的特徴単語を選定する(図5:特徴選定装置(47))。たとえば、上記右側真中領域では上記地理的単語データ「暗い」「寒い」「静か」のうちの「静か」が地理的特徴単語として選定される。これにより、「静か」がこの領域におけるランドマークキーワードとなり、静かなお寺、という主観的情報が得られるのである。
【0100】
後は、以上の抽出処理および選定処理を全領域について行うことで特徴マップが作成され、それと客観的地図とを重ね合わせることで主観的地図が作成される(図5:データ埋込装置(48))。
【0101】
<<第3の実施例>>
第3の実施例として、ある人が屋外のある場所に訪れ、その後家に帰ってパソコンから書き込んだその訪れた場所に関する情報を含むWeb上公開されている日記を、主観的地図作成に利用する場合を考える。図11は、本実施例を説明するための処理フロー図である。
【0102】
まず、既存の客観的地図データを記憶しておき、公開されているWeb日記のテキストデータ(行動情報)とそのテキストデータ中に含まれる場所の名称を示すデータ(単語認識による位置情報)、ならびにそのテキストデータ中に含まれる訪れた時間を示す時刻データ(単語認識による時刻情報)とを関連付けて蓄積しておく(図5:情報収集装置(41)、情報データベース(42)、地図データベース(43))。
【0103】
次に、客観的地図データを複数領域に分割する(図5:領域分割装置(44))。本実施例ではデータ分布に基づく分割(フィードバック有り)を行っている。
【0104】
次に、テキストデータを上記場所名データに基づいて各領域に割り振る(図5:情報分配装置(45))。より具体的には、場所名データがどの領域にある場所の名称を示すかが検出され、検出された領域にその場所名データと対をなすテキストデータが割り当てられる。たとえばある公園の名称が含まれていた場合に、それが抽出されて、その公園が存在する領域であるイラスト中の左上角領域にテキストデータが分配される。
【0105】
次に、各領域毎にテキストデータから地理的単語を抽出する(図5:情報抽出装置(46))。たとえば、上記公園に関して「桜の花が満開で、とても綺麗でした。」というテキストデータがある場合に、その中から地理的単語「桜」「花」「綺麗」が切り出される。
【0106】
次に、各領域毎に地理的単語の中から地理的特徴単語を選定する(図5:特徴選定装置(47))。たとえば、上記左上角領域では上記地理的単語データ「桜」「花」「綺麗」のうちの「桜」が地理的特徴単語として選定される。これにより、「桜」がこの領域におけるランドマークキーワードとなり、桜で有名な公園、という主観的情報が得られるのである。
【0107】
後は、以上の抽出処理および選定処理を全領域について行うことで特徴マップが作成され、それと客観的地図とを重ね合わせることで主観的地図が作成される(図5:データ埋込装置(48))。
【0108】
なお、以上の第1〜第3の実施例は電子メールやWeb公開日記別に場合分けしたものであるが、もちろんそれらを一括して利用できることは言うまでもない。たとえば、左上角領域に電子メールのテキストデータもWeb公開日記のテキストデータも割り振られている場合、それぞれから各種地理的単語が抽出され、その全単語から統計的にある一つまたは複数の地理的特徴が選定される。このような処理が全領域に対して行われることになる。
【0109】
<<第4の実施例>>
第4の実施例として、デジタルカメラ+GPS付き携帯端末から屋外のある地点にて撮像された画像データを主観的地図作成に利用する場合を考える。図12は、本実施例を説明するための処理フロー図である。
【0110】
まず、既存の客観的地図データを記憶しておき、画像データ(行動情報)とその画像データが撮像された地点の経緯度データ(GPSによる位置情報)、ならびにそれが撮像された時刻データ(携帯端末内蔵時計による時刻情報)とを関連付けて蓄積しておく(図5:情報収集装置(41)、情報データベース(42)、地図データベース(43))。
【0111】
続いて、客観的地図データを複数領域に分割(図5:領域分割装置(44))し、画像データを経緯度データに基づいて各領域に割り振る(図5:情報分配装置(45))。
【0112】
次に、各領域毎に画像データから地理的物体を抽出する(図5:情報抽出装置(46))。たとえば、図12中に示したような画像データが左上角領域にある場合、画像認識処理等により地理的物体「家」「木」「赤い屋根」「車」が切り出される。
【0113】
次に、各領域毎に地理的物体の中から地理的特徴物体を選定する(図5:特徴選定装置(47))。たとえば、左上角領域では上記地理的物体のうちの「赤い屋根」「車」が統計的処理により地理的特徴物体として選定される。つまり、これらがこの領域におけるランドマーク物体となる。
【0114】
後は、以上の抽出処理および選定処理を全領域について行うことで特徴マップが作成され、それと客観的地図とを重ね合わせることで主観的地図が作成される(図5:データ埋込装置(48))。
【0115】
<<第5の実施例>>
第5の実施例として、デジタルカメラ付き携帯端末から屋外のある地点にて撮像された画像データを主観的地図作成に利用する場合を考える。図13は、本実施例を説明するための処理フロー図である。
【0116】
まず、既存の客観的地図データを記憶しておき、画像データ(行動情報)とその画像データの中に含まれる撮影場所を示す画像データ(画像物体認識による位置情報)、ならびに撮像時間を示す時刻データ(携帯端末内蔵時計による時刻情報)とを関連付けて蓄積しておく(図5:情報収集装置(41)、情報データベース(42)、地図データベース(43))。
【0117】
次に、客観的地図データを複数領域に分割する(図5:領域分割装置(44))。本実施例では一様サイズ固定の格子状分割を行っている。
【0118】
次に、画像データを撮影場所画像データに基づいて各領域に割り振る(図5:情報分配装置(45))。より具体的には、撮影場所画像データがどの領域にある場所を示すかが検出され、検出された領域にその撮影場所画像データと対をなす画像データが割り当てられる。たとえばある富士山が映し出されていた場合に、それが抽出されて、富士山が存在する領域にテキストデータが分配される。
【0119】
次に、各領域毎に画像データから地理的物体を抽出する(図5:情報抽出装置(46))。たとえば、図12中に示したような画像データが左上角領域にある場合に、画像認識処理等により地理的物体「神社」「坂」「富士山」が切り出される。
【0120】
次に、各領域毎に地理的物体の中から地理的特徴物体を選定する(図5:特徴選定装置(47))。たとえば、左上角領域では上記地理的物体のうちの「富士山」が統計的処理により地理的特徴物体として選定される。つまり、こがこの領域におけるランドマーク物体となる。
【0121】
後は、以上の抽出処理および選定処理を全領域について行うことで特徴マップが作成され、それと客観的地図とを重ね合わせることで主観的地図が作成される(図5:データ埋込装置(48))。
【0122】
<<第6の実施例>>
第6の実施例として、ICレコーダ+GPS付き携帯端末から屋外のある地点にて録音された音データを主観的地図作成に利用する場合を考える。図14は、各々、本実施例を説明するための処理フロー図である。
【0123】
まず、既存の客観的地図データを記憶しておき、音データ(行動情報)とその音データが録音された地点の経緯度データ(GPSによる位置情報)、ならびにそれが録音された時刻データ(携帯端末内蔵時計による時刻情報)とを関連付けて蓄積しておく(図5:情報収集装置(41)、情報データベース(42)、地図データベース(43))。
【0124】
次に、客観的地図データを複数領域に分割する(図5:領域分割装置(44))。本実施例では一様サイズ固定の格子状分割を行っている。
【0125】
次に、音データを経緯度データに基づいて各領域に割り振る(図5:情報分配装置(45))。より具体的には、経緯度データがどの領域の経緯度範囲に入るかが検出され、検出された領域にその経緯度データと対をなす画像データが割り当てられる。
【0126】
次に、各領域毎に音データから地理的音源を抽出する(図5:情報抽出装置(46))。たとえば、図14中に示したように、左上角領域に「カンカンカン」「ザワザワ」といった音データ、右上角領域に「ぎゃー」「ガウー」「ヒュー」「ゴロゴロ」といった音データがある場合に、音声認識処理等によりそれぞれ地理的音源として「踏切」「雑踏」、「子供の声」「犬の鳴き声」「風」「雷」が抽出される。
【0127】
次に、各領域毎に地理的音源の中から地理的特徴音源を選定する(図5:特徴選定装置(47))。たとえば、左上角領域では上記地理的音源のうちの「踏切」が、右上角領域では「子供の声」がそれぞれ統計的処理に地理的特徴物体として選定される。つまり、これらが対応する領域におけるランドマーク物体となる。
【0128】
後は、以上の抽出処理および選定処理を全領域について行うことで特徴マップが作成され、それと客観的地図とを重ね合わせることで主観的地図が作成される(図5:データ埋込装置(48))。
【0129】
<<第7の実施例>>
第7の実施例として、体温・脈拍計測機能+GPS機能付き腕時計型携帯電話を装着した人が屋外のある場所に訪れた際にその場所にて計測されたその人の身体情報である体温データおよび脈拍データを、主観的地図作成に利用する場合を考える。図15は、本実施例を説明するための処理フロー図である。
【0130】
まず、既存の客観的地図データを記憶しておき、計測された体温データおよび脈拍データ(行動センシング情報)とそれが計測された場所の経緯度データ(GPSによる位置情報)、ならびにそれが計測された時刻データ(携帯電話内蔵時計による時刻情報)とを関連付けて蓄積しておく(図5:情報収集装置(41)、情報データベース(42)、地図データベース(43))。
【0131】
続いて、客観的地図データを複数領域に分割し(図5:領域分割装置(44))、体温データおよび脈拍データを経緯度データに基づいて各領域に割り振る(図5:情報分配装置(45))。
【0132】
次に、各領域毎に体温データおよび脈拍データから地理的身体情報を抽出する(図5:情報抽出装置(46))。たとえば、図15中に示したように、体温が平時より高くなっていれば「体温上昇」、脈拍が平時より高くなっていれば「脈拍増加」、という地理的身体情報が認識・抽出される。
【0133】
次に、各領域毎に地理的身体情報の中から地理的特徴身体情報を選定する(図5:特徴選定装置(47))。たとえば、右上角領域では上記地理的身体情報のうちの「脈拍増加」が統計的に地理的特徴身体情報として選定される。これにより、「脈拍増加」がこの領域におけるランドマーク身体情報となり、この領域は脈拍が増加する、という主観的情報が得られるのである。
【0134】
後は、以上の抽出処理および選定処理を全領域について行うことで特徴マップが作成され、それと客観的地図とを重ね合わせることで主観的地図が作成される(図5:データ埋込装置(48))。
【0135】
<<第8の実施例>>
第8の実施例として、温度・トルクセンサ機能+GPS機能付き遠隔操作型ロボットが屋外のある場所に移動させられた際にその場所にて計測されたそのロボットの身体情報である内部温度データおよびトルク負荷データを、主観的地図作成に利用する場合を考える。図16は、本実施例を説明するための処理フロー図である。
【0136】
まず、既存の客観的地図データを記憶しておき、計測された内部温度データおよびトルク負荷データ(行動センシング情報)とそれが計測された場所の経緯度データ(GPSによる位置情報)、ならびにそれが計測された時刻データ(ロボット内蔵時計による時刻情報)とを関連付けて蓄積しておく(図5:情報収集装置(41)、情報データベース(42)、地図データベース(43))。
【0137】
続いて、客観的地図データを複数領域に分割し(図5:領域分割装置(44))、内部温度データおよびトルク負荷データを経緯度データに基づいて各領域に割り振る(図5:情報分配装置(45))。
【0138】
次に、各領域毎に内部温度データおよびトルク負荷データから地理的身体情報を抽出する(図5:情報抽出装置(46))。たとえば、図16中に示したように、内部温度が平時より高くなっていれば「内部温度上昇」、トルク負荷が平時より高くなっていれば「トルク負荷増加」、という地理的身体情報が認識・抽出される。
【0139】
次に、各領域毎に地理的身体情報の中から地理的特徴身体情報を選定する(図5:特徴選定装置(47))。たとえば、右上角領域では上記地理的身体情報のうちの「トルク負荷増加」が統計的に地理的特徴身体情報として選定される。これにより、「トルク負荷増加」がこの領域におけるランドマークロボット身体情報となり、この領域はトルク負荷が増加する、という主観的情報が得られるのである。
【0140】
後は、以上の抽出処理および選定処理を全領域について行うことで特徴マップが作成され、それと客観的地図とを重ね合わせることで主観的地図が作成される(図5:データ埋込装置(48))。
【0141】
なお、以上の第1〜第9の実施例はテキストデータ、画像データ、音データ別に場合分けしたものであるが、もちろんそれらを一括して利用できることは言うまでもない。たとえば、同一領域内に異種行動情報が存在する場合、各情報から各種地理的情報が抽出され、その全情報から統計的にある一つまたは複数の地理的特徴が選定される。このような処理が全領域に対して行われることになる。
【0142】
<<第9の実施例>>
第9の実施例として、上記第1の実施例で収集された電子メールの発信地点の経緯度データおよび時刻データを利用して、移動マップを作成する場合を考える。
【0143】
図17に例示したように、まず、既存の客観的地図データを記憶しておき、送信された電子メールのテキストデータとそれが送信された地点の経緯度データ、ならびに時刻データとを関連付けて蓄積し(図7:情報収集装置(51)、情報データベース(52)、地図データベース(53))、その一方で、客観的地図データを複数領域に分割する(125:領域分割装置(54))。ここまでは第1の実施例と同じである。
【0144】
次に、各領域間の移動回数をカウントし、さらに移動頻度を算出する(図7:移動回数カウント装置(55))。たとえば、領域RAから領域RBへの移動頻度=0.1、領域RCへの移動頻度=0.05、領域RDへの移動頻度=0.4というように算出される。
【0145】
次に、各領域間の移動ネットワークを、算出した移動頻度で重み付けする(図7:移動ネットワーク作成装置(56))。重み付けしたネットワークは、たとえば移動頻度が大きいほど太くし、小さいほど細くする。
【0146】
以上により作成された移動ネットワークは、領域間関係が明瞭に視覚化された移動マップとして利用でき、これ単体を主観的地図として用いても、これをさらに客観的地図と重ね合わせて作成した主観的地図としてもよい(図7:データ埋込装置(57))。
【0147】
なおもちろん、第1の実施例だけではなく、第2、第3の実施例で収集された電子メールやWeb公開日記中に含まれている訪れた場所の位置データおよび訪れた時間の時刻データ、あるいは第4〜第8の実施例で収集された位置データおよび時刻データを利用しても、同様に移動ネットワーク・移動マップを作成できることは言うまでもない。
【0148】
<<第10の実施例>>
上述のとおりに作成された特徴マップおよび移動マップの両方を客観的地図に重ね合わせて主観的地図を作成する場合を、図18に示す。
【0149】
図18から明らかなように、この主観的地図は、従来からある客観的地図上に、ユーザ自らが注目した、感じた、ランドマークを的確に表示しているとともに、それらの間の移動履歴も明瞭に表示しており、客観的情報および主観的情報を一度に簡単に把握することができるものとなっている。
【0150】
<<第11の実施例>>
以上の主観的地図を利用すれば、たとえば以下のような様々なアプリケーションが可能になると考えられる。
【0151】
I.「やわらかい」ナビゲーション(言葉や知覚情報に基づいた位置推定や経路検索など)
主観的地図に埋め込まれたランドマークキーワードやキー物体、キー音源などの情報を用いて道案内などを行う。
【0152】
II.個人個人に適した「略地図」の作成
主観的地図のランドマーク物体をそれ以外のものよりも強調することにより、個人個人の興味や身体性に特化した略地図を作成する。
【0153】
III.各個人の空間知識獲得・整理の支援(方向音痴の治療など)
主観的地図に埋め込まれたランドマークキーワード、キー物体、キー音源などをユーザに適時提示することによって強く意識させ、その土地の地理情報の記憶を支援する。
【0154】
IV.空間情報の共有・交換を促進(コミュニティー支援など)
興味や居住地域などを共有するグループ内において、各個人が主観的地図を互いに公開しあったり、グループ共有の主観的地図を作成することにより、個人間の交流を支援する。たとえば、メールグループやチャットグループであれば、グループ内で送受されるメールデータやチャットデータを利用して、そのグループ用主観的地図を作成したりできる。
【0155】
V.散歩情報支援(散歩ナビなど)
ある地域について詳しい人がその主観的地図を公開することにより、その地域に馴染みの薄い他の人たちが参考にして散策を行うことを支援する。
【0156】
VI.空間認知における個人差(身体性などの影響)の分析
ある地域について、年齢、性別、興味、身体的特徴などが異なる様々な人々の主観的地図を比較や分類分析し、その結果を商品広告戦略や街設計戦略に利用する。
【0157】
もちろん、この出願の発明は以上の実施形態および実施例に限定されるもので
はなく、細部については様々な態様が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】この出願の発明を説明するためのフローチャートである。
【図2】この出願の発明を説明するための機能ブロック図である。
【図3】この出願の発明を説明するための別の機能ブロック図である。
【図4】この出願の発明を説明するためのさらに別の機能ブロック図である。
【図5】この出願の発明の第1の実施形態を説明するための機能ブロック図である。
【図6】この出願の発明の第1の実施形態を説明するための処理フロー図である。
【図7】この出願の発明の第2の実施形態を説明するための機能ブロック図である。
【図8】この出願の発明の第2の実施形態を説明するための処理フロー図である。
【図9】この出願の発明の第1の実施例を説明するための処理フロー図である。
【図10】この出願の発明の第2の実施例を説明するための別の処理フロー図である。
【図11】この出願の発明の第3の実施例を説明するためのまた別の処理フロー図である。
【図12】この出願の発明の第4の実施例を説明するためのさらに別の処理フロー図である。
【図13】この出願の発明の第5の実施例を説明するためのまたさらに別の処理フロー図である。
【図14】この出願の発明の第6の実施例を説明するための処理フロー図である。
【図15】この出願の発明の第7の実施例を説明するための処理フロー図である。
【図16】この出願の発明の第8の実施例を説明するための処理フロー図である。
【図17】この出願の発明の第9の実施例を説明するための処理フロー図である。
【図18】この出願の発明の第10の実施例を説明するための処理フロー図である。
【符号の説明】
【0159】
1 主観的地図作成システム
11 情報収集手段
12 情報記憶手段
13 既存地図記憶手段
14 領域分割手段
15 情報分配手段
16 情報抽出手段
17 特徴選定手段
18 データ埋込手段
2 主観的地図作成システム
21 情報収集手段
22 情報記憶手段
23 既存地図記憶手段
24 領域分割手段
25 移動回数カウント手段
26 移動ネットワーク作成手段
27 データ埋込手段
3 主観的地図作成システム
31 情報収集手段
32 情報記憶手段
33 既存地図記憶手段
34 領域分割手段
35 情報分配手段
36 情報抽出手段
37 特徴選定手段
38 移動回数カウント手段
39 移動ネットワーク作成手段
310 データ埋込手段
4 主観的地図作成システム
41 情報収集装置
411 行動情報収集部
412 位置情報収集部
413 時刻情報収集部
414 情報出力部
42 情報データベース
421 情報入力部
422 情報蓄積部
43 地図データベース
431 地図入力部
432 地図蓄積部
44 領域分割装置
441 領域分割部
45 情報分配装置
451 位置マッチング部
452 行動情報割当部
46 情報抽出装置
461 情報抽出部
47 特徴選定装置
471 高再現性判断部
472 希少性判断部
473 ユーザ指定判断部
48 データ埋込装置
481 データ埋込部
400a、400b、400c・・・ 領域データベース
5 主観的地図作成システム
51 情報収集装置
511 位置情報収集部
512 時刻情報収集部
513 情報出力部
52 情報データベース
521 情報入力部
522 情報蓄積部
53 地図データベース
531 地図入力部
532 地図蓄積部
54 領域分割装置
541 領域分割部
55 移動回数カウント装置
551 移動回数カウント部
56 移動ネットワーク作成装置
561 ネットワーク作成部
562 ネットワーク重付部
57 データ埋込装置
571 データ埋込部
500a、500b、500c・・・ 領域データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意地点において行われた行動により生まれた情報である行動情報、当該任意地点の位置に関する情報である位置情報、および時刻情報とを関連付けて収集する情報収集手段と、
情報収集手段により収集された行動情報、位置情報および時刻情報とを関連付けて記憶する情報記憶手段と、
既存の地図データを記憶する既存地図記憶手段と、
既存地図記憶手段に記憶されている地図データを複数の領域に分割する領域分割手段と、
領域分割手段により分割された地図データの各領域間の移動回数を、情報記憶手段に記憶されている位置情報および時刻情報に基づいてカウントするに際して、最も古い時刻を示している時刻情報と対をなす位置情報が該当する領域をスタート領域とし、以後移動した周りの領域に対する移動回数を数え上げる移動回数カウント手段と、
移動した全ての領域の間を移動時刻順に結ぶネットワークを作成し、各領域間に対して移動回数カウント手段によりカウントされた移動回数に応じた重み付け値を決定し、該重み付け値で移動ネットワークを重み付けする移動ネットワーク作成手段と、
を備えたことを特徴とする主観的地図作成システム。
【請求項2】
前記移動ネットワーク作成手段により作成された移動ネットワークを前記既存地図記憶手段に記憶されている地図データに埋め込むデータ埋込手段、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の主観的地図作成システム。
【請求項3】
前記重み付け値は、各領域間の移動回数が総移動回数に対してどの程度の割合となっているかを表す移動頻度値であることを特徴とする請求項1記載の主観的地図作成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−11391(P2007−11391A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195645(P2006−195645)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【分割の表示】特願2003−96706(P2003−96706)の分割
【原出願日】平成15年3月31日(2003.3.31)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】